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特表2022-528319タンクの断熱本体のポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック、およびその調製プロセス
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  • 特表-タンクの断熱本体のポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック、およびその調製プロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】タンクの断熱本体のポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック、およびその調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20190101AFI20220603BHJP
   F17C 3/04 20060101ALI20220603BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20220603BHJP
   B63B 25/08 20060101ALI20220603BHJP
   B63B 27/24 20060101ALI20220603BHJP
   B63B 27/34 20060101ALI20220603BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20220603BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
B65D90/02 B
F17C3/04 D
B63B25/16 103
B63B25/16 104
B63B25/16 F
B63B25/08 B
B63B27/24 A
B63B27/34
C08J9/04 101
C08J5/04 CFF
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556766
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 FR2020000058
(87)【国際公開番号】W WO2020193873
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】1903121
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、ド、コンバリュー
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ、ドルトル
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン、クロープ
【テーマコード(参考)】
3E170
3E172
4F072
4F074
【Fターム(参考)】
3E170AA08
3E170AA09
3E170AB29
3E170LA04
3E170LA06
3E170NA01
3E170VA07
3E170VA20
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BD02
3E172DA03
3E172DA13
3E172DA20
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB03
4F072AB09
4F072AB28
4F072AB29
4F072AB30
4F072AD43
4F072AE14
4F072AG03
4F072AH04
4F072AH22
4F072AH31
4F072AH41
4F072AJ22
4F072AK05
4F072AL07
4F074AA02
4F074AA80
4F074AA90D
4F074AC02
4F074AC17
4F074AC20
4F074AC22
4F074AC31
4F074AC34
4F074AD16
4F074AD18
4F074AE04
4F074AG01
4F074AG10
4F074AG20
4F074BA34
4F074BA53
4F074BA95
4F074BC05
4F074CA21
4F074CC10X
4F074CC10Y
4F074CC22X
4F074DA02
4F074DA07
4F074DA32
(57)【要約】
本発明は、繊維ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)であって、前記発泡体ブロックは、その厚さEに沿って2つの周辺領域、すなわち、前記ブロックの上面から他方に延びる上方周辺領域、および前記ブロックの下面から延びる下方周辺領域を備え、2つの前記領域は、前記ブロックの前記厚さに沿って20%未満をそれぞれ占めるとともに、中間領域により隔てられ、上方および下方周辺領域は、2/3≦(Tf upp./Tf low.)≦3/2となる繊維密度Tf upp.およびTf low.をそれぞれ有し、前記中間領域の繊維密度Tf int.は、前記周辺領域の前記密度より小さい、すなわち、Tf int.<Tf upp.、かつTf int.<Tf low.である繊維ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉断熱タンクの断熱本体(30)の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)であって、前記繊維強化発泡体ブロック(20)の密度は30~300kg/mであり、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)は、繊維(10)の1重量%~60重量%の平均繊維密度Tを呈するとともに、少なくとも10センチメートル、有利には10~500センチメートルの幅L、および前記ブロック(20)の下面からその上面までの厚さEであって少なくとも10センチメートル、有利には10~100センチメートルの厚さEを呈し、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)は、有利には低い熱伝導率を有するガスを貯蔵するセルから構成される繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)であって、
-前記発泡体ブロック(20)は、その前記厚さEに沿って、2つの周辺ゾーン(21、22)を備え、一方は上側ゾーン(21)と呼ばれて前記ブロック(20)の前記上面から延び、他方は下側ゾーン(22)と呼ばれて前記ブロック(20)の前記下面から延び、これら2つの前記ゾーン(21、22)は、前記ブロック(20)の前記厚さ(E)に沿って最大で20%をそれぞれ占めるとともに、中間ゾーン(23)と呼ばれるゾーンにより隔てられ、
-上側ゾーン(21)および下側ゾーン(22)である前記周辺ゾーン(21、22)は、2/3≦(Tf upp./Tf low.)≦3/2となる繊維密度Tf upp.およびTf low.をそれぞれ呈し、
-前記中間ゾーン(23)の繊維密度Tf int.は、前記周辺ゾーン(21、22)の前記密度より小さい、すなわち、Tf int.<Tf upp.、かつTf int.<Tf low.である、
繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項2】
2つの前記周辺ゾーン(21、22)は、前記ブロック(20)の前記厚さEに沿って最大で10%をそれぞれ占める、
請求項1に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項3】
前記中間ゾーン(23)は、2つのメジアンゾーン(24、25)に囲まれた中央ゾーン(26)であって、前記厚さEに沿って最大で20%、好適には前記厚さEに沿って最大で10%を占める中央ゾーン(26)を備え、
前記中央ゾーン(26)の繊維密度Tf cen.は、前記メジアンゾーン(24、25)の繊維密度Tf med.の少なくとも1.5倍以上である、すなわち、Tf cen.≧1.5Tf med.である、
請求項1または2に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項4】
前記中央ゾーン(26)の前記繊維密度Tf cen.は、上側ゾーン(21)および下側ゾーン(22)である前記周辺ゾーン(21、22)の繊維密度Tf upp.およびTf low.に対して、0.5≦Tf cen./(Tf upp.またはTf low.)となるように定義される、
請求項3に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項5】
前記繊維強化発泡体ブロック(20)の密度は、50~250kg/m、好適には90~210kg/mである、
請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項6】
有利には低い熱伝導率を有するガスを貯蔵する前記セルの少なくとも60%、好適には少なくとも80%が、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)の厚さEの軸に平行な軸に沿って延ばされた、または引き延ばされた形状を呈する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項7】
前記繊維は、ガラス繊維または玄武岩繊維から、好適にはガラス繊維からなる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項8】
前記繊維は、長く連続する繊維である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項9】
前記平均繊維密度Tは、2%~25%、好適には6%~20%である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項10】
前記ブロックの前記下面および/または前記上面(41)、好適には前記上面(41)は、前記発泡体ブロックを前記本体(30)に固定するよう前記断熱本体(30)の係合手段に係合可能であるアンカー(40)を呈し、好適には、前記アンカー(40)は、前記発泡体または前記繊維と異なる材料から構成される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)。
【請求項11】
-波型部を備え得る複数の金属板または金属プレートから構成された少なくとも1つの密閉金属膜と、前記膜に隣接する少なくとも1つの断熱バリアを備える断熱本体(30)と、を備える少なくとも1つの密閉断熱タンクを備える支持構造体に組み込まれたタンク、または、
-少なくとも1つの断熱本体(30)を備える、IGCコードの定義によるタイプA、BまたはCのタンク、
からなる密閉断熱タンク(71)であって、
前記断熱本体(30)は、複数の、請求項1~10のいずれか一項に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)を備える、
密閉断熱タンク(71)。
【請求項12】
少なくとも1つの船体(72)と、請求項11に記載の1つの密閉断熱タンク(71)と、を備える低温液体製品を輸送するための船舶(70)であって、前記タンク(71)がIGCコードの定義によるタイプA、BまたはCのタンクである場合、前記タンク(71)は、前記船体に配置される、または前記船舶(70)に搭載される、船舶(70)。
【請求項13】
低温液体製品用の移送システムであって、請求項12に記載の船舶(70)と、前記船舶の前記船体に設置された前記タンク(71)を浮動または陸上貯蔵ユニット(77)に接続するように配置された断熱管(73、76、79、81)と、低温液体製品の流れを、前記断熱管を介して前記浮動または陸上貯蔵ユニットから前記船舶(71)に、または前記船舶(71)から前記浮動または陸上貯蔵ユニットに駆動するためのポンプと、を備えた移送システム。
【請求項14】
低温液体製品が、断熱管(73、76、79、81)を介して前記浮動または陸上貯蔵ユニット(77)から前記船舶(71)に、または前記船舶(71)から前記浮動または陸上貯蔵ユニット(77)に搬送される、請求項12に記載の船舶(70)の積み降ろしプロセス。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載の、密閉断熱タンクの断熱本体の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)の調製プロセスであって、
a)ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体を得るために必要な化学成分を混合する工程(12)であって、前記成分は、ポリウレタン/ポリイソシアヌレートを得るための反応剤と、選択的に少なくとも1つの反応触媒と、選択的に少なくとも1つの乳化剤と、少なくとも1つの発泡剤と、を含む工程と、
b)前記化学成分の混合物(12)の重力による流れにより複数の繊維強化材(10)を含浸させる工程であって、前記繊維強化材は、重ね合わせた層に配置されるとともに可変の繊維密度を呈し、前記繊維強化材(10)は、前記重力による流れの方向に対して垂直な方向に本質的に沿って延びる工程と、
c)前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体を形成し膨張させる工程であって、
前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の膨張は、自由膨張による、すなわち、少なくとも1面、好適には前記上面の閉鎖されたセクションの体積による制約を受けない工程、または、
前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の膨張は、ダブルベルトラミネーターの壁により物理的に制約を受ける、好適には、横方向に配置された壁間の距離がLに等しく、かつ水平方向に配置された壁間の距離がEに等しい矩形断面のトンネルであって、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)を得るように膨張する繊維強化発泡体を包囲するトンネルを形成するダブルベルトラミネーターの壁により物理的に制約を受ける工程と、
を備える、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)の調製プロセス。
【請求項16】
工程c)が自由膨張により実施される場合、少なくとも前記自由膨張する面の切断の実施後直ちに、前記発泡体ブロック(20)を形成するように、前記周辺ゾーン(21、22)の少なくとも一方、好適には前記上側ゾーン(21)が独立して形成され固定される、
請求項15に記載の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロック(20)の調製プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、断熱本体に取り付けられる繊維強化ポリウレタン(PUR)および/またはポリイソシアヌレート(PIR)発泡体からなるブロックである。ブロックは、特定の用途に応じて非常に特殊な機械的および熱的特性を呈する必要がある一方で、可能な限り経済的に製造できなくてはならない。前記発泡体からなるブロックは、膜構造体に組み込まれたタンク(一体型タンクとも呼ばれる)、または、極低温流体と呼ばれる超低温の流体、具体的には例えば液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)を収容する機能を有するタイプA、BまたはCの自立型/半自立型タンク内で使用される。
【背景技術】
【0002】
より具体的には、本発明は、このような発泡体を使用した密閉断熱タンク、少なくとも1つのこのようなタンクを設けられた船舶、このような船舶の積み降ろしプロセス、およびこのような船舶に収容された液体製品の移送システムに関する。
【0003】
また、本発明は、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールからこのような発泡体からなるブロックを調製するためのプロセスに関する。
【0004】
ポリウレタンPUR発泡体は、低い熱伝導率を有し得るガスを貯蔵する微細なセルからなるセル状の断熱材である。PUR発泡体は、例えば可撓性を有するPUR発泡体として自動車産業に、あるいは硬質なPUR発泡体として断熱材にと、非常に多くの用途に使用されている。ポリウレタンタイプの発泡体の形成は、当業者に周知である。その形成には、ポリオール(少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物)と、ポリイソシアネート(少なくとも2つのイソシアネート-NCO官能基を有する化合物)と、「発泡剤」とも呼ばれる膨張剤との多成分反応が含まれる。この縮合反応は、特に塩基性および/または求核性の性質を持つ化合物、例えば第三級アミンや、スズ塩やビスマス塩などの金属-カルボキシレート配位錯体による触媒作用を受ける。PUR発泡体の製造に一般的に使用されるポリオールは、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールである。このように、PUR発泡体の形成には多数の化合物が必要である。
【0005】
ポリイソシアヌレート(PIR)およびポリウレタン/ポリイソシアヌレート(PUR-PIR)発泡体は、建築業界(建設/改築)でも使用されており、PURよりも優れた耐火特性を提供するだけでなく、より大きな圧縮強度を提供するという利点を呈する。これらの発泡体の形成プロセスは、PUR発泡体の形成プロセスと類似している。なぜならば、PUR、PIRおよびPUR-PIR発泡体の獲得は、イソシアネート/ポリオール比に依存するからである。
【0006】
PUR、PIRおよびPUR-PIR発泡体は当業者にはよく知られているが、繊維の添加には、繊維を良好に含浸させる必要がある等の特殊な技術的問題を伴うため、少なくとも局所的に比較的多量の繊維を含む発泡体は、現在のところ存在しない。
【0007】
実際に、タンクの断熱本体にこのような発泡体を使用する特有の技術分野において、前記本体は、タンクの内部空間に露出するその面において例えばLNGの場合はおよそ-160℃の非常な低温にさらされる。一方で、タンクの外部空間、すなわち従来的に船舶の船体は、20℃前後と考えられる周囲空気や海の温度と少なくとも同じか、これよりずっと高い温度であるずっと高い環境温度にさらされることが多い。
【0008】
したがって、このようなタンクの断熱本体に使用されるPUR、PIRおよびPUR-PIR発泡体ブロックは、極低温流体と呼ばれる非常に低温の流体を積み込む際に、その厚さにおいて非常に大きな温度勾配が生じ、発泡体ブロックの不均一な収縮現象が発生する。発泡体ブロックのこの不均一な収縮は、厚さ方向におけるブロックの不均一な収縮により、ブロックがその長手方向軸に沿ってたるむ(両端部が顕著に持ち上がる傾向を有する)バイメタル効果を引き起こす。従来的に、発泡体ブロックは、機械的にまたは接着により固定されているため、このたるみにより、PUR、PIRおよびPUR-PIR発泡体ブロックの利用可能な機械的特性が著しく低下し、さらには、(本発明による発泡体ブロックを組み込んだ)断熱本体の熱的特性が局所的に低下する。
【0009】
バイメタル効果や発泡体ブロックのたるみの現象は、極低温液体を収容するこのようなタンク用の断熱本体を形成する発泡体ブロックの厚さが増加している、時として非常に増加しているという事実により、近年倍加している。具体的には、このようなタンクが、従来的に「一次」および「二次」層(この二次層は、極低温液体から最も離れて配置される)と呼ばれる二重の断熱層から構成される場合、Markタイプ等の近年の構造体において、二次断熱層の厚さEが非常に増加している。したがって、二次断熱層の厚さEは、Mark III構造体における170mm(ミリメートル)から、Mark III Flex構造体では300mmに、そしてMark III Flex+構造体では380mmに変化している。
【0010】
二次断熱層の厚さが一次断熱層の厚さに対して著しく大きい場合、二次断熱層のバイメタル効果やたるみは、密閉断熱タンクの断熱本体に非常に有害な構造的影響を及ぼす。
【0011】
文書FR 2 882 756、WO 2017/202667、JP 2005225945に記載されているような構造が知られているが、上述の特定の技術的問題を十分に解決するものはない。
【0012】
現時点で、この問題に効果的に対応できる、繊維強化型または非繊維強化型のポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体ブロックは存在していない。換言すれば、(均質な熱環境における)その初期状態とその使用状態、すなわち極低温液体を収容するタンクで使用された場合との間で熱機械的安定性を有するPUR、PIRおよびPUR-PIR発泡体ブロックは存在していない。
【0013】
発泡体ブロックのこれら2つの状態間での歪みや形状不安定性の問題を克服するために、特殊形状のブロック、具体的にはノッチを組み込んだ、または寸法を縮小したブロックが現在製造されている。この目的は、(小型の)体積要素または(小型の)発泡体ブロックそれぞれの熱変形を許容可能な範囲に制限することである。このような小型の発泡体ブロックを製造するには、切断、位置決め、および互いの接合のための多数の作業が必要であり、かなりのコストがかかる。さらに、多くの伸縮継手の存在により、タンクの熱的性能は著しく低下する。
【0014】
また、タンクの断熱用本体の特定の実施形態において、既存の発泡体ブロックは、モミ、カバ、ブナ等の木製合板製の容器、典型的には箱に配置される。このような実施形態では、発泡体ブロックの下面および上面は、ブロックを正しく位置決めするために容器の内面に接着固定されている。しかしながら、冷却中に、すなわち、タンクが使用状態にある(タンクが極低温液体を収容している)とき、発泡体ブロックの中央部または中心部が非常に収縮する一方で、ブロックの上方領域および下方領域は、容器の内壁に接着固定されていることにより拘束されている。発泡体の熱収縮係数が合板の熱収縮係数よりはるかに高いという事実により、この現象は、使用/利用状態にあるブロックの形状に歪みをもたらし、ブロックの側端部が実質的に円弧を有する円弧状または逆円弧状を呈することにより、発泡体ブロックとこれに隣接する部材、すなわち合板製容器の側壁との間に空の空間が生じる。このような空の発泡体空間は、タンクの断熱本体の断熱性に比例してダメージを与えるため、熱対流の不所望の現象の出現の原因となり得る。
【発明の概要】
【0015】
また、本発明は、ポリウレタン(PUR)および/またはポリイソシアヌレート(PIR)発泡体ブロックの特定の使用態様に特有のこのような問題への解決策を提供することを意図している。
【0016】
このような背景のもと、本件出願人は、多量の繊維を含むポリウレタン(PUR)および/またはポリイソシアヌレート(PIR)発泡体の製造プロセスの開発に成功した。これにより、ブロックの使用状態にある場合、すなわち、上面と下面との2つの面の間で大きく異なる熱環境において、発泡体は、優れた機械的特性および熱的特性を有しつつ、その形状/構造の全体性を発泡体ブロック全体に亘って維持することができる。
【0017】
したがって、本発明は、場合により(非常に)大型の繊維強化PUR/PIR発泡体を工業的に得るための特に効果的な解決策を提供することにより、現状の欠点を克服することを意図している。その機械的/熱的特性は、その初期状態(停止状態であって発泡体ブロックが実質的に均質な熱環境にある)と、発泡体ブロックが非常に不均質な熱環境にあるその使用/利用状態であって、ブロックの厚さに沿って検討されるその上面(タンクの収容部側)とその下面(タンクの外側)との差が少なくとも80℃、さらには少なくとも100℃である使用/利用状態との間において、最適であり、少なくとも実質的に類似している。
【0018】
本件出願人は、種々の研究や分析を実施した結果、使用中のPUR/PIR発泡体ブロックの熱環境が非常に大きく変化することに伴う技術的問題を解決することができる繊維強化ポリウレタン(PUR)および/またはポリイソシアヌレート(PIR)発泡体ブロックとその調製を発見した。
【0019】
有利には、好適な実施形態によれば、このような繊維強化発泡体の製造コストを非常に顕著に削減することも可能である。これは、所望の(平行六面体の)寸法を得るために発泡体ブロックを切断する際に従来技術において従来は避けられなかった発泡体ブロックからの材料の損失を、非常に顕著に削減することによる。
【0020】
したがって、本発明は、密閉断熱タンクの断熱本体の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックであって、前記繊維強化発泡体ブロックの密度は30~300kg/mであり、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックは、繊維の1重量%~60重量%の平均繊維密度Tを呈するとともに、少なくとも10センチメートル、有利には10~500センチメートルの幅L、および前記ブロックの下面からその上面までの厚さEであって少なくとも10センチメートル、有利には10~100センチメートルの厚さEを呈し、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックは、有利には低い熱伝導率を有するガスを貯蔵するセルから構成される繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックに関する。
【0021】
繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックは、前記ブロックの少なくとも95重量%まで、有利には低い熱伝導率を有するセルと、ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体と、繊維と、から構成されている。
【0022】
本発明による発泡体ブロックは、ポリウレタン(PUR)および/またはポリイソシアヌレート(PIR)発泡体と、好適には単一の性質を有するガラス繊維等の繊維と、セルにトラップされたガスと、選択的に充填剤やその他の機能的補助材の最小部と、から(主に)構成される。すなわち、後者については、本発明による発泡体ブロックの最大で5重量%、さらに好適には最大で2重量%または1重量%である(繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックは、前記ブロックの少なくとも98重量%または99重量%まで、ガスを貯蔵するセルと、ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体と、繊維と、から構成される)。これは、本発明による発泡体ブロックが、以下の作業により得られるためである。すなわち、
-好適にはダブルバンドラミネーター(DBL)における発泡体の調製の単一の作業(選択的に充填剤/補助剤の反応成分と繊維との混合)、
-以下に説明する周辺ゾーンの接着固定のための、従来的にブロックの上面の切断作業により補完される上述の作業。
【0023】
本発明による発泡体ブロックは、
-前記発泡体ブロックは、その前記厚さEに沿って、2つの周辺ゾーンを備え、一方は上側ゾーンと呼ばれて前記ブロックの前記上面から延び、他方は下側ゾーンと呼ばれて前記ブロックの前記下面から延び、これら2つの前記ゾーンは、前記ブロックの前記厚さEに沿って最大で20%をそれぞれ占めるとともに、中間ゾーンと呼ばれるゾーンにより隔てられ、
-上側ゾーンおよび下側ゾーンである前記周辺ゾーンは、2/3≦(Tf upp./Tf low.)≦3/2となる繊維密度Tf upp.およびTf low.をそれぞれ呈し、
-前記中間ゾーンの繊維密度Tf int.は、前記周辺ゾーンの前記密度より小さい、すなわち、Tf int.<Tf upp.、かつTf int.<Tf low.である、
ことを特徴とする。
【0024】
本発明は、特に発泡体ブロックが従来的に「二次」と指定された二次層に設置される場合に適用されるが、これに限られない。本願において、好適には、発泡体ブロックは、少なくとも25センチメートル(cm)、さらに好適には少なくとも30~35cmの厚さを呈する。
【0025】
「上、上方、上側」および「下、下方、下側」という用語は、タンクの断熱本体において所定位置に配置された発泡体ブロックに与えられる意義や方向を意味するものとして理解される。したがって、断熱本体がタンクに配置された場合に、発泡体ブロックの上部または上面は、タンクの容器の近く、またはその側に位置する。これに対し、発泡体ブロックの下部または下面は、タンクの外側に面して、またはその側に位置する、すなわち、タンクが極低温液体の輸送および/または貯蔵用の船舶に組み込まれているか搭載されている場合、特に船舶の船体に面する。
【0026】
したがって、発泡体ブロックの製造または調製においては、発泡体ブロックがまだタンクの断熱本体に設置されていないため、「上、上方、上側」および「下、下方、下側」という概念または用語はまだ意味を持たないことが理解される。換言すれば、本発明による発泡体ブロックは、その調製/製造ラインの出口において、タンクの断熱本体への最終取付/組付の状態とは反対の状態で得られるように調製することが完全に可能である。
【0027】
「その厚さEに沿って」という表現は、以下に説明する種々の周辺ゾーン、中間ゾーン、さらにはメジアン/中央ゾーンに関して、これらのゾーンが、本発明による発泡体ブロックと同一の幅Lおよび同一の長さ(厚さのみが異なる)を呈するブロック部分をそれぞれ形成するように、特に図3および図4に示すように、厚さEを有するセクションに沿って切断することにより、検討される繊維強化ポリウレタン(PUR)および/またはポリイソシアヌレート(PIR)発泡体ブロックの体積を表すという事実を意味するものとして理解される。
【0028】
「ガスを貯蔵するセル」という表現は、ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体が、反応混合物の核生成段階で注入されたガスに由来する、あるいは化学的または物理的な発泡剤に直接または間接的に由来する、好適には低い熱伝導率を示すガスを封じ込めた閉鎖したセルを呈するという事実を意味するものとして理解される。
【0029】
「繊維」という用語、または「繊維強化材」という表現は、繊維が以下の2つの別個の形態で提供され得るという事実を意味するものとして理解される。
-繊維が少なくとも1つの方向に沿って完全に整列している状態にある、換言すれば、繊維が少なくとも1つの好適な繊維の方向を呈する状態にある、繊維からなる少なくとも1つの布の形態。「繊維からなる布」という表現は、それ自体で当業者に知られている明確な技術的定義を指す。
-または、繊維が明白な配向を呈さない状態にある、換言すれば、繊維がマットの層の種面に沿って本質的に等方向に配向された、繊維からなる少なくとも1つのマットの形態。同じく、「繊維からなるマット」という表現は、それ自体で当業者に知られている明確な技術的定義を指す。
【0030】
一実施形態によれば、「(有利には)低い熱伝導率を有するガス」という表現は、発泡剤から発生するガスを意味するものとして理解される。発泡剤が「化学的」であると言われる場合には、発泡剤の化学反応による。化学的発泡剤が水からなる場合には、従来的に二酸化炭素(CO)による。物理的発泡剤は、例えば、分子状窒素(N)、分子状酸素(O)、二酸化炭素、炭化水素、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、およびそれらの混合物、また対応するアルキルエーテルである。分子状窒素N、分子状酸素O、またはCO等の物理的発泡剤は、ガス状である。これらのガスを、例えば静的ミキサーを使用して高圧下でコポリマーの液体塊に分散または溶解させる。システムを減圧することで、気泡の核生成と成長により、セル状構造が生成される。
【0031】
「平均繊維密度T」という表現は、繊維強化発泡体ブロックの総重量に対する繊維の重量として表現される繊維密度を、これらの繊維の(ブロック内での)可変の局所的な割合は考慮せずに意味するものとして理解される。
【0032】
したがって、繊維強化発泡体ブロックは、支持構造体に組み込まれたタンクだけでなく、(IMO)IGC規則に従うタイプA、BまたはCの自立型/半自立型タンクでの使用、すなわち、LNGやLPG等の非常に低温の液体を貯蔵および/または輸送する自立型タンクに関連付けられる外部断熱材としても適合する。
【0033】
最後に、繊維強化発泡体ブロックの熱特性は、従来技術の非繊維強化発泡体ブロックの熱特性と少なくとも同等である。より正確には、発泡体ブロックは、厚さEにおいて、20℃で測定した30mW/m.K(milliwatt per metre per Kelvin)未満、すなわち0.03W/m.K、好適には25mW/m.K未満の熱伝導率、およびブロックの上面が-160℃である、この時、発泡体ブロックは使用可能状態にあり、発泡体ブロックが収蔵されたタンクはLNGを収容している場合に、20mW/m.K未満の熱伝導率を呈する。
【0034】
本発明の他の有利な特徴を以下に簡単に提示する。
【0035】
好適には、2つの前記周辺ゾーンは、前記ブロックの前記厚さEに沿って最大で10%をそれぞれ占める。
【0036】
本発明の好適な実施形態によれば、前記中間ゾーンは、2つのメジアンゾーンに囲まれた中央ゾーンであって、前記厚さEに沿って最大で20%、好適には前記厚さEに沿って最大で10%を占める中央ゾーンを備え、前記中央ゾーンの繊維密度Tf cen.は、前記メジアンゾーンの繊維密度Tf med.の少なくとも1.5倍以上である、すなわち、Tf cen.≧1.5Tf med.である。
【0037】
本実施形態は、添付図面4に示され、より高い繊維密度を有する周辺ゾーンによるバイメタル現象を回避しつつ、発泡体の中心部、すなわち中央ゾーンにおける収縮という問題に、より明確に対処することができる。
【0038】
本実施形態に特有の別の特徴によれば、前記中央ゾーンの前記繊維密度Tf cen.は、上側ゾーンおよび下側ゾーンである前記周辺ゾーンの繊維密度Tf upp.およびTf low.に対して、0.5≦Tf cen./(Tf upp.またはTf low.)≦2となるように定義される。
【0039】
好適には、前記繊維強化発泡体ブロックの密度は、50~250kg/m、好適には90~210kg/mである。自立タイプ(タイプB、C)、または半自立タイプ(タイプA)のタンク内で使用される発泡体ブロックについて、繊維強化発泡体ブロックの密度範囲は、好適には30~90kg/mにあり、膜の場合には、より好適な密度範囲は90~210kg/mであることに留意されたい。
【0040】
有利には、有利には低い熱伝導率を有する気体を貯蔵する前記セルの少なくとも60%、好適には少なくとも80%が、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックの厚さEの軸に平行な軸に沿って延ばされた、または引き延ばされた形状を呈する。
【0041】
本発明が提供する1つの可能性によれば、前記繊維は、ガラス繊維または玄武岩繊維から、好適にはガラス繊維からなる。
【0042】
好適には、前記繊維は、長く連続する繊維である。
【0043】
「繊維は長く連続する」(または「長く連続する繊維」)という表現は、繊維、または適切であれば繊維の集合体の凝集物(互いに接着または固定された繊維)の全てが、または、単独であれ単一の繊維の相当物を形成する凝集物であれ、少なくとも前記繊維の総重量による繊維の少なくとも90%が、少なくとも5センチメートル(cm)の長さを呈するという事実を意味するものとして理解される。
【0044】
好適には、前記平均繊維密度Tは、2%~25%、好適には6%~20%である。
【0045】
好適には、本発明による発泡体ブロックは、平行六面体または立方体の形状で提供される。
【0046】
平行六面体または立方体の形状を呈するこの発泡体ブロックは、平行六面体または立方体の形状と表現できるにもかかわらず、連続して存在するアンカー等の単数または複数の局所的凸部を呈し得る、または逆に中空または空洞部を呈し得ることが明瞭に理解される。
【0047】
有利には、前記ブロックの前記下面および/または前記上面は、前記発泡体ブロックを前記本体に固定するよう前記断熱本体の(添付図面に示さない)係合手段に係合可能であるアンカーを呈し、好適には、前記アンカーは、前記発泡体または前記繊維と異なる材料から構成される。
【0048】
これらのアンカーは、有利には、繊維強化発泡体ブロックを囲む、または収容する断熱本体の要素または部品に係合するための、例えばL字状取付ラグ、または例えばL字状スロット/開口等を呈する金属製要素である(これらのアンカーは、プラスチック/ポリマー、または単数または複数のポリマーをセラミックおよび/または金属材料と組み合わせた複合材料からも構成され得る)。断熱本体のこの部品は、膜タンクの場合には、例えばステンレス鋼製またはマンガンをベースとした容器を密閉するための金属製膜から構成され得る、または、タイプA、BまたはCタイプの自立型または半自立型タンクの場合には、(タンク外部の周囲環境に対する密閉を保証する技術的機能を有する)蒸気バリアから構成され得る。本発明が提供する1つの可能性において、(膜タンクにおける)断熱本体のこの要素またはこの部品は、繊維強化発泡体ブロックを他の断熱本体の要素に機械的に維持または保持するためのアンカーの一部との係合を可能にすることが意図されたノッチまたは類似物を呈する。当然ながら、これらのアンカーは、膜タンクの場合には発泡体ブロックを船体に固定する機能、タイプA、BまたはCの自立型タンクの場合には自立構造体に固定する機能も有し得る。これらのアンカーは、発泡体ブロックの下面に存在するものであることが理解される。
【0049】
本発明の文脈において、これらのアンカーは、少なくとも部分的に繊維強化積層体の下側または上側層を構成する繊維強化材に挿入される。アンカーは面上に配置されるが、発泡体ブロックの調製/完成後にアンカーが前記面から突出しないようになっている。
【0050】
有利には、本発明による繊維強化発泡体ブロックは、0.1重量%~5重量%の割合で、有機リン系の難燃剤、有利にはトリエチルホスフェート(TEP)、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3-ジクロロイソプロピル)ホスフェート(TDCP)、トリス(2-クロロエチル)ホスフェートまたはトリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、またはそれらの混合物、あるいは、無機難燃剤系の難燃剤、有利には赤リン、膨張性グラファイト、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウム、硫酸カルシウムまたはシアヌル酸誘導体、またはそれらの混合物を含む。
【0051】
また、本発明は、
-波型部を備え得る複数の金属板または金属プレートから構成された少なくとも1つの密閉金属膜と、前記膜に隣接する少なくとも1つの断熱バリアを備える断熱本体と、を備える少なくとも1つの密閉断熱タンクを備える支持構造体に組み込まれたタンク、または、
-少なくとも1つの断熱本体を備える、IGCコードの定義によるA、BまたはCタイプのタンク、
からなる密閉断熱タンクに関する。
【0052】
本発明によるタンクは、前記断熱本体が、複数の、上で簡潔に説明した繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックを備えることを特徴とする。
【0053】
「IGCコード」という表現は、前述のタイプBおよびCのタンクのように当業者によく知られた「液化ガスの撒積運送のための船舶構造および設備に関する国際規則」を意味するものとして理解される。
【0054】
特にIGCコードにおいて、「一体型タンク」に代わる「膜タンク」という表現の使用は、少なくとも一部が液化したガスを輸送および/または貯蔵するタンカーに特に装備されたタンクの同一のカテゴリーを意味することができることに留意すべきである。「膜タンク」は、支持構造体に組み込まれるが、タイプA、BまたはCのタンクは自立型または半自立型(特にタイプA)と呼ばれる。
【0055】
最後に、本発明は、少なくとも1つの船体と、上で簡潔に説明した1つの密閉断熱タンクと、を備える低温液体製品を輸送するための船舶であって、前記タンクがIGCコードの定義によるA、BまたはCタイプのタンクである場合、前記タンクは、前記船体に配置される、または前記船舶に搭載される船舶にも関する。
【0056】
有利には、タンクが支持構造体に組み込まれたタンク(膜タンク)からなる場合、このような船舶は、上述の少なくとも1つの密閉断熱タンクを備える。前記タンクは、2つの連続する密閉バリアを備える。一方は、タンクに収容された製品に接触する一次バリアであり、他方は、一次バリアと支持構造体との間に配置され、好適には船舶の壁の一部から形成される二次バリアである。これら2つの密閉バリアは、2つの断熱バリアと交互配置される、または、単一の断熱バリアが一次バリアと支持構造体との間に配置される。
【0057】
このようなタンクは、従来的に国際海事機関(IMO)のコードに従って、例えば、タイプNO 96(登録商標)、NO 96L03(登録商標)、NO 96L03+またはNO 96、またはMark III(登録商標)、Mark III(登録商標)FlexまたはFlex+を含むタイプNOのタンク、好適にはタイプNOのタンクである一体型タンクとして指定されている。
【0058】
好適には、膜タイプまたはタイプA、BまたはCと呼ばれるタンクは、液化天然ガス(LNG)または液化ガス(LG)を収容する。
【0059】
また、本発明は、低温液体製品用の移送システムであって、上述の船舶と、前記船舶の前記船体に設置された前記タンクを浮動または陸上貯蔵ユニットに接続するように配置された断熱管と、低温液体製品の流れを、前記断熱管を介して前記浮動または陸上貯蔵ユニットから前記船舶に、または前記船舶から前記浮動または陸上貯蔵ユニットに駆動するためのポンプと、を備えた移送システムに関する。
【0060】
また、本発明は、低温液体製品が、断熱管を介して前記浮動または陸上貯蔵ユニットから前記船舶に、または前記船舶から前記浮動または陸上貯蔵ユニットに搬送される、上述の船舶の積み降ろしプロセスに関する。
【0061】
また、本発明は、上で簡潔に説明した、密閉断熱タンクの断熱本体の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックの調製プロセスであって、
a)ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体を得るために必要な化学成分を混合する工程であって、前記成分は、ポリウレタン/ポリイソシアヌレートを得るための反応剤と、選択的に少なくとも1つの反応触媒と、選択的に少なくとも1つの乳化剤と、少なくとも1つの発泡剤と、を含む工程と、
b)前記化学成分の混合物の重力による流れにより複数の繊維強化材を含浸させる工程であって、前記繊維強化材は、重ね合わせた層に配置されるとともに可変の繊維密度を呈し、前記繊維強化材は、前記重力による流れの方向に対して垂直な方向に本質的に沿って延びる工程と、
c)前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体を形成し膨張させる工程であって、
前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の膨張は、自由膨張による、すなわち、少なくとも1面、好適には前記上面の閉鎖されたセクションの体積による制約を受けない工程、または、
前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の膨張は、ダブルベルトラミネーターの壁により物理的に制約を受ける、好適には、横方向に配置された壁間の距離がLに等しく、かつ水平方向に配置された壁間の距離がEに等しい矩形断面のトンネルであって、前記繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックを得るように膨張する繊維強化発泡体を取り囲むトンネルを形成するダブルベルトラミネーターの壁により物理的に制約を受ける工程と、
を備えることを特徴とする繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックの調製プロセスに関する。
【0062】
「クリームタイム(cream time)」という表現は、化学成分の混合から計測して、化学成分が重合反応を開始し、その結果、成分の混合物が膨張および架橋工程c)(=繊維強化PUR/PIR発泡体の形成)を開始するのに必要な時間を意味するものとして理解される。このクリームタイムは、当業者にはよく知られた情報である。換言すれば、クリームタイムとは、化学成分を常温で混合した後、気泡(ガスを貯蔵したセル)の核生成および発泡体の膨張の作用で混合物が白色になるまでの経過時間である。クリームタイムは、目視や発泡体の形成を反映する厚さの変化を検出する超音波センサを使用して測定される。
【0063】
「繊維強化材は、化学成分の混合物の重力による流れの方向に対して垂直な方向に本質的に沿って延びる」という表現は、これらの繊維強化材が、含浸工程b)において、前記成分の混合物の流れ方向に対して垂直な平面に沿って延びる小さい厚さの層の形状において提供されるという事実を意味するものとして理解される。したがって、図1に示すように、幅Lを呈する複数の繊維強化材であって、重ね合わせた層に配置された繊維強化材は、長手方向Iに引っ張られつつ、化学成分の混合物の重力による流れが許容する/可能にする分配器から化学成分の混合物が繊維強化材上に堆積する。換言すれば、化学成分の混合物は、選択的に圧力を受けて分配器から流出して、少なくともその自重の影響で積層された繊維層に落下することにより、これらの繊維強化材は上側層から下側層まで含浸される。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、工程c)が自由膨張により実施される場合、少なくとも前記自由膨張する面の切断の実施後直ちに、前記発泡体ブロックを形成するように、前記周辺ゾーンの少なくとも一方、好適には前記上側ゾーンが独立して形成され固定される。
【0065】
本発明による組成物において、化学的発泡剤の使用を物理的発泡剤の使用と組み合わせることができる。この場合、物理的発泡剤は、好適には、液状または超臨界状態で発泡性(コ)ポリマー組成物と混合され、その後、PUR/PIR発泡体の膨張工程中に気相に変換される。
【0066】
化学的および物理的発泡剤は、当業者によく知られており、当業者は、得ようとするPUR/PIR発泡体に応じて、全てを適切な量で選択する。
【0067】
ポリオールという用語は、少なくとも2つのOH基を有する任意の炭素ベースの構造を意味すると理解される。
【0068】
イソシアネート/ポリオール比に応じてPUR、PIRおよびPUR-PIR発泡体が得られるため、この比に応じてPUR、PIRまたはPUR-PIR発泡体が得られることになる。ポリオール成分のイソシアネート成分に対する比率が、
-1:1~1:1.3である場合、ポリウレタンPUR発泡体が得られ、
-1:1.3~1:1.8である場合、ポリウレタン-ポリイソシアヌレートPUR-PIR発泡体が得られ、
-1:1.8~1:2.8である場合、ポリイソシアヌレートPIR発泡体が得られることになる。
【0069】
PUR、PIRおよびPUR-PIR発泡体の形成に適切なポリイソシアネートは、当業者に知られており、例えば、芳香族、脂肪族、シクロ脂肪族およびアリール脂肪族ポリイソシアネートおよびそれらの混合物、有利には芳香族ポリイソシアネートを含む。
【0070】
本発明の範囲内で適切なポリイソシアネートの例には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’-、2,4’-および2,2’-異性体、これらの異性体の重合から得られる化合物、トルエン2,4-および2,6-ジイソシアネート(TDI)、m-およびp-フェニレンジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート等の芳香族イソシアネートが含まれる。脂肪族、シクロ脂肪族またはアリール脂肪族のイソシアネート、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、DDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のイソシアネートを使用することができる。また、これらのジイソシアネートの任意の混合物を使用することも可能である。有利には、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’-、2,4’-および2,2’-異性体である。
【0071】
一般に、PUR、PIRまたはPUR-PIR発泡体の形成時に、ポリオール、ポリイソシアネートおよび発泡剤からなる混合物に、例えばN,N-ジメチルシクロヘキシルアミンやN,N-ジメチルベンジルアミン等の第3級アミン、またはビスマス、カリウム、スズ等の有機金属化合物から選択される反応触媒を添加することが知られている。
【0072】
本発明の好適な実施形態によれば、有利には、ダブルベルトラミネーター(DBL)のトンネルの壁の位置決めは、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の膨張に対する制約によって繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の体積が、ダブルベルトラミネーターの出口において、このようなダブルベルトラミネーターの壁の制約がない自由膨張の場合の当該同一の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の膨張体積の85%~99%、好適には90%~99%を占めるように定義される。この場合、卵型のセルが好ましくは軸Eに沿って配向された発泡体が得られる。この結果、上述の軸Eに垂直な平面における上述の特性とともに、軸Eに沿った(ISO 844規格に基づいて測定された)耐破砕性という有利な特性が得られる。上述の広範かつ好適な範囲を決定するように、試験や実験が本件出願人により実施されたが、明確性および簡潔性を期して、ここでは紹介しない。
【0073】
DBLにおける繊維強化PUR/PIR発泡体の膨張に対する制約を上述のように特定のパラメータとすることで、熱伝導率の低いガスを貯蔵するセルの少なくとも60%、通常は80%を超えるセル、さらには90%を超えるセルが、発泡体ブロックの厚さEの軸に平行な軸に沿って長手方向に延びる繊維強化PUR/PIR発泡体ブロックが得られる一方、繊維強化材の特性および化学成分の混合物の粘度に関連する特定の選択に加えて、繊維強化発泡体ブロックの完全な均質性に対する寄与が得られる。セルの配向、およびブロック内の繊維含有量Tが異なる周辺または中央ゾーンに沿って均質であるというこれら2つの特性により、厚さEに沿った優れた機械的特性(圧縮強度)、および厚さの方向に垂直な平面内における優れた機械的特性(引張強度および低い熱収縮係数)を呈する繊維強化発泡体ブロックを得ることができる。
【0074】
延ばされた、または引き延ばされた形状は、長さが延長された形状により定義され得る。すなわち、延ばされた、または引き延ばされた形状は、長さという1つの寸法を有し、その長さは他の寸法(幅および厚さ)より大きい。
【0075】
本発明が提供する別の実施形態によれば、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の膨張は、自由である、すなわち、閉鎖したセクションの体積による制約を受けない。
【0076】
本例では、DBLを使用した本発明による調製の実施形態とは異なり、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の調製は、有限の体積を規定する型と違い、繊維強化発泡体の膨張が少なくとも膨張の1側または1面において制約を受けないため、繊維強化発泡体の膨らみがこの側またはこの面において自由である限りにおいて、「自由膨張」によると言われる。従来、自由膨張は、「上」カバーを省略することで実施され、側壁により発泡体が側面を超えて溢れることが防止される。発泡体は、場合により側壁の上端を超えて自然に上方に膨らむ。
【0077】
有利には、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の自由膨張の工程に続いて、上述の繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックを得るように、前記繊維強化発泡体を切断する。
【0078】
添付図面に示さない本発明が提供する1つの可能性によれば、繊維強化材を含浸させる工程の直後に、成分と繊維を含浸させる少なくとも発泡剤との混合物に、上述の混合物と繊維とからなる集合体の上面に圧力を印加することが意図された圧力印加用システム(例えば、「ニップロール」と呼ばれるタイプのローラシステムであり得る)が適用される。この圧力システムは、この集合体の上面の計画を可能とする一方で、集合体にかかる圧力により、上述の混合物中の繊維の含浸を促進することに貢献する。この圧力システムは、シングルまたはダブルローラからなり得る。液体集合体の上方、かつ場合により発泡体支持体の下方におけるそれらの相対位置は、液体集合体が完全に均一に強制的に広がるように調整される。したがって、このようにすることにより、2つのローラまたは上方ローラとコンベヤベルトとの間隔により定義されるセクションのいずれの位置でも同等の量の液体集合体が得られる。換言すれば、この圧力システムの主たる目的は、液体集合体を、主要部分のその膨張の前に、厚さ/幅において均一にするよう貢献することで、液体分配装置を補完することである。
【0079】
好適には、前記成分混合物の動的粘度ηは、大気温度(25℃)および大気圧(1015mPa)において、30mPa.s~3000mPa.s(すなわち0.03Pa.s~3Pa.s)、好適には50mPa.s~1500mPa.s(すなわち0.05Pa.s~1.5Pa.s)である。
【0080】
成分混合物の動的粘度は、例えばブルックフィールド型の粘度計や、例えばISO 2555規格のレオメーターを用いて測定することができる。
【0081】
一般に、本発明の主題は、市場で入手可能な材料/製品を使用しており、その特性、特に密度や(動的)粘度に関する特性は、対象となる材料/製品に関する仕様書から得られることが明確に理解される。
【0082】
有利には、有利には低い熱伝導率を有するガスを貯蔵する上記セルの少なくとも60%が、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックの厚さEの軸に平行な軸に沿って延ばされた、または引き延ばされた形状を呈する。
【0083】
より有利には、有利には低い熱伝導率を有するガスを貯蔵する上記セルの少なくとも80%、好適には少なくとも90%が、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックの厚さEの軸に平行な軸に沿って延ばされた、または引き延ばされた形状を呈する。
【0084】
有利には低い熱伝導率を有するガスを貯蔵するセルの延ばされた形状に関する特性、および本発明によるブロックにおけるそれらの含有量/割合は、より具体的にDBLを用いた調製プロセスの実施という状況を対象としているが、このシナリオに限定されるものでは全くないことが明確に理解される。これは、自由膨張の場合、より明確には繊維強化発泡体の膨張を制限する上方の壁/カバーが存在しない場合、有利には低い熱伝導率を有するガスを貯蔵するセルのこのような好ましい配向が得られるためである。
【0085】
好適には、繊維(繊維強化材)は、全幅Lに亘って配置され、繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体を得るための成分と発泡剤との混合物による繊維の含浸工程b)は、制御式液体分配器を介して全幅Lに亘って同時に実施される。
【0086】
「同時に」という用語は、(反応剤と少なくとも発泡剤との)液体混合物が、幅Lのセクションに亘って、このセクションに沿って同じ時間で繊維に到達することにより、異なる繊維強化材の含浸が、発泡体ブロックの厚さ(または高さ)に沿って、同一の幅のセクションについて、同じ時間で、または同じ速度で開始する、または実施されるという事実を意味するものとして理解される。
【0087】
有利には、発泡剤は、物理的および/または化学的発泡剤からなり、好適にはこの2つのタイプを組み合わせたものである。
【0088】
好ましくは、物理発泡剤は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルカンおよびシクロアルカン、ジアルキルエーテル、エステル、ケトン、アセタール、1個から8個の炭素原子を有するフルオロアルカン、フルオロオレフィン、およびアルキル鎖に1個から3個の炭素原子を有するテトラアルキルシラン、特にテトラメチルシラン、またはこれらの混合物から選択される。
【0089】
この前提における化合物の例として、プロパン、n-ブタン、イソブタン、シクロブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、ギ酸メチル、アセトン、フルオロアルカンの事項であり得る。フルオロアルカンは、オゾン層を破壊しないものが選択され、例えば、トリフルオロプロパン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパンが挙げられる。フルオロオレフィンの例としては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンや1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(例えば、デュポン社から販売されているHFO FEA1100)がある。
【0090】
本発明の好適な実施形態によれば、選択される物理的発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンまたはHFC-245fa(Honeywell社から販売)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンまたは365mfc(例えばSolvay社から販売されているSolkane(登録商標) 365mfc)、2,3,3,3-テトラフルオロプロップ-1-エン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(国際的にはHFC-227eaとも呼ばれ、例えばデュポン社から販売)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(例えばデュポン社から販売されているHFO FEA1100)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(Solstice LBA-ハネウェル社)、またはこれらの混合物である。
【0091】
有利には、化学的発泡剤は、水からなる。
【0092】
有利には、化学成分を混合する工程a)において、核生成ガスを少なくとも1つのポリオール化合物に、好適には20~250バールの圧力下で、静的/動的ミキサーを用いて導入する。核生成ガスはポリオールの0~50体積%、好適にはポリオールの0.05~20体積%を占める。
【0093】
好適には、化学成分を混合する工程a)において、ポリウレタン/ポリイソシアヌレートを得るための各反応物の温度は、10℃~40℃、好適には15℃~30℃である。
【0094】
好適には、本発明の好適な実施形態によれば、ポリオール、イソシアネート、および/または発泡剤の流れの最終的な混合は、動的または静的ミキサーを使用して、低圧(<20バール)または高圧(>50バール)のミキシングヘッドで実施される。
【0095】
本発明が提供する1つの可能性によれば、混合物に、工程a)において、有機リン系難燃剤、有利にはリン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリス(2-クロロイソプロピル)(TCPP)、リン酸トリス(1,3-ジクロロイソプロピル)(TDCP)、リン酸トリス(2-クロロエチル)またはリン酸トリス(2,3-ジブロモプロピル)、またはこれらの混合物、あるいは無機系難燃剤、特に赤リン、膨張性黒鉛、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウム、硫酸カルシウム、シアヌル酸誘導体等の無機系難燃剤、またはこれらの混合物がさらに添加される。
【0096】
また、難燃剤として、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスホネート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルホスホネート(DPC)を使用することも可能である。
【0097】
この難燃剤は、本発明による組成物中に存在する場合、PUR/PIR発泡体の0.01重量%~25重量%の量で見出される。
【0098】
以降の説明は、添付図面を参照しつつ、例示のみを目的として本発明を限定せずになされる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図1図1は、本発明による繊維強化PUR/PIR発泡体ブロックの調製プロセスの種々の工程を示す概略図である。
図2図2は、本発明による制御式液体分配器の一実施形態の概略図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による発泡体ブロックの概略断面図であって、周辺ゾーンならびに中間ゾーンを示す図である。
図4図4は、本発明の別の実施形態による発泡体ブロックの概略断面図であって、周辺ゾーンならびに中間ゾーンを示し、中間ゾーンは中央ゾーンを挟む2つのメジアンゾーンを呈している示す図である。
図5図5は、タンク用の一次断熱空間および二次断熱空間をそれぞれ形成する、互いに固定された2組の断熱パネルであって、複数の、本発明による繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックから形成された断熱パネルの概略図である。
図6図6は、本発明による発泡体ブロックの部分図であって、複数のアンカーが、その調製中に、前記発泡体ブロックの固定または固着を可能とするように配置されている図である。
図7図7は、本発明による発泡体ブロックに挿入可能なアンカーの実施形態を、概略断面に沿って示す図である。
図8図8は、LNGタンカーのタンク、およびこのタンク用の積み降ろしターミナルの一部が切り取られた概略図であって、タンク内には図7に示すタイプの2組の断熱パネルが設置されている図。
【発明を実施するための形態】
【0100】
好適には、本発明による繊維強化PUR/PIR発泡体ブロック20の調製は、イソシアネート/ポリオール反応を促進可能な触媒の存在下で実施される。このような化合物は、例えば、カール・ハンザー社発行の「Kunststoffhandbuch, Volume 7, Polyurethane」と題された従来技術の文書、第3版、1993年、第3.4.1章に記載されている。これらの化合物は、アミン系触媒と有機化合物をベースにした触媒から構成される。
【0101】
好適には、本発明による繊維強化PUR/PIR発泡体ブロック20の調製は、発泡体の形成中に規則的なセル構造の形成を促進することが意図された単数または複数の安定剤の存在下で実施される。これらの化合物は、当業者によく知られており、例えば、シロキサン-オキシアルキレンコポリマー等のシリコーン、および他の有機ポリシロキサンから構成される泡安定剤が挙げられる。
【0102】
当業者には、想定される反応剤に応じて、PUR/PIR発泡体の0.5重量%~4重量%の安定剤の量が知られている。
【0103】
本発明が提供する1つの可能性によれば、調製プロセスの工程a)において、化学成分の混合物は、一価アルコールを有する多塩基性エステル、好適には二塩基性エステル、カルボン酸等の可塑剤を含み得る、または、アジピン酸、セバシン酸および/またはフタル酸のポリエステル等の高分子可塑剤からなり得る。当業者には、使用する反応剤に応じて、従来的にポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の0.05重量%~7.5重量%の可塑剤の量が想定されることが知られている。
【0104】
有機および/または無機の充填剤、特に強化用充填剤は、珪酸質鉱物、金属酸化物(例えば、カオリン、チタンまたは鉄酸化物)および/または金属塩等の化学成分の混合物であり得ることが想定される。このような充填剤が混合物に存在する場合、その量は、従来的にPUR/PIR発泡体の0.5重量%~15重量%である。
【0105】
本発明は、必須の化学成分の性質についての観点、および任意の機能剤やそのそれぞれの量についての観点の両方から、PUR/PIR発泡体の形成に技術的教示を追加することを意図していないことに留意されたい。当業者には、どのように異なるタイプの繊維強化PUR/PIR発泡体を得るかが知られており、本発明の調製は、繊維強化材の特性、具体的には異なる繊維強化材における繊維密度の特定の選択、および前記強化材の含浸のための発泡体の特定の選択を起点として説明される。
【0106】
したがって、本発明が本明細書で主として目標とするものは、繊維強化PUR/PIR発泡体の新規な化学的調製ではなく、むしろ、ブロック20の厚さまたは高さに沿った非常に特殊な繊維の密度分布による新規な繊維強化PUR/PIR発泡体ブロック20である。この繊維強化発泡体ブロック20は、その全ての方向に沿って寸法が一定の係数でわずかに収縮する以外、その平行六面体全体の形状/構造のたるみおよび変形がなく、好適には、熱対流の現象をもたらす傾向のある発泡体ブロック20の中心部が収縮することがない。
【0107】
したがって、図1に示すように、複数の繊維強化材10がほどかれ、これらの強化材10およびPUR/PIR発泡体を形成する構成要素を運搬することが意図されたコンベヤベルト11上に互いに平行な配置に沿って載置される。これは、繊維強化材10の含浸が、本発明の繊維強化発泡体ブロック20の好適な調製方法の文脈において、重力により実施されるためである。すなわち、PUR/PIR発泡体を得るために使用される化学成分、発泡剤、および任意の他の機能剤の混合物12が、繊維強化材10の上方に配置された液体分配器から、繊維10に直接的に吐出される。
【0108】
したがって、上記混合物12を、繊維強化材10の全ての層に、これらが強化材について複数のマットであっても複数の布であっても、PUR/PIR発泡体の膨張開始が、繊維強化材10が全て完全に混合物12に含浸された後、または最も早い場合にはその瞬間に起こるように、非常に均質な態様でクリームタイムtに亘って含浸させる必要がある。このようにすることにより、PUR/PIR発泡体ブロック20の体積中の繊維10の完全な特異的分布を維持しつつ、PUR/PIR発泡体の膨張を実現することにより、繊維密度の所望の勾配が得られる。
【0109】
本発明の目的は、繊維強化材を互いに平行に、すなわち重ね合わせた層に配置することにより達成される。これらの各強化材は、他のものと比較して高いか低い繊維密度を有している。したがって、周辺ゾーン21、22、さらには中央ゾーン26に意図された繊維強化材は、中央ゾーン26が存在する実施形態において、中間ゾーン23やさらにはメジアンゾーン24、25のものより高い繊維密度を呈する。
【0110】
より正確には、周辺ゾーン21、22ならびに選択的に中央ゾーン26は、同等の範囲または領域内で繊維密度を呈する、すなわち高い繊維密度を有している。したがって、これらのゾーン21、22、26の繊維密度の比率は、以下の不等式に含まれると定義することができる。
2/3≦Tf upp./Tf low.≦3/2かつTf int.<Tf upp,Tf low.:図3に示す2つの周辺ゾーン21、22および中間ゾーン23の場合。
2/3≦Tf cen/(Tf low.またはTf upp.)≦3/2、かつTf med.<Tf low.,Tf upp.,Tf cen.:図4に示す2つの周辺ゾーン21、22と、中央ゾーン26と2つのメジアンゾーン24、25とで形成される中間ゾーン23の場合。
【0111】
高い繊維密度を有するこれらのゾーン21、22、26は、発泡体ブロック20の(前記ゾーン21、22または26で想定される)局所的重量に対して、繊維の10重量%~45重量%の繊維密度、好適には12重量%~25重量%の繊維密度を呈する。
【0112】
これに対して、中間ゾーン23(中央ゾーン26が存在しない場合)およびメジアンゾーン24、25(中央ゾーン26が存在する場合)は、比較的低い繊維密度を呈する。これらのゾーン23または24、25において、繊維密度は、発泡体ブロック20の局所的重量に対して、繊維の1重量%~20重量%、好ましくは、発泡体ブロック20の局所的重量に対して、繊維の4重量%~11重量%である。
【0113】
高い繊維密度を有するゾーン21、22、26を低い繊維密度を有するゾーン23または24、25と比較した場合、高い繊維密度を有するゾーン21、22、26は、好適には低い繊維密度を有するゾーン23または24、25の繊維密度より少なくとも大きい繊維密度を呈する、さらに有利には低い繊維密度を有するゾーン23または24、25の繊維密度より2~3倍大きい繊維密度を呈する。
【0114】
本発明の文脈において、PUR/PIR発泡体を形成するための混合物12の構成要素のクリームタイムは当業者に知られており、以下のように選択される。コンベヤベルト11が、成分と発泡剤と繊維10との混合物12から形成された集合体を、発泡体の膨張が開始した直後に、例えば添付図面に示さないダブルベルトラミネーターまで運搬する、換言すれば、PUR/PIR発泡体の膨張がその後ダブルベルトラミネーターで終了するように選択される。
【0115】
ダブルベルトラミネーター(DBL)を用いたこのような実施形態において、1つまたは2つのローラを使用する圧力システムが、ダブルベルトラミネーターの前に、すなわち、混合物の繊維への含浸領域とダブルベルトラミネーターとの間に、選択的に配置される。DBLを使用する場合、発泡体の体積の膨張は、膨張が自由な状態、すなわちいかなる制約も受けない状態の場合、この発泡体の膨張体積がこの同一の発泡体の膨張体積の30%~60%に達したときにラミネーターで実施される。このようにすることにより、ダブルベルトラミネーターは、PUR/PIR発泡体の膨張を、その第2膨張フェーズにおいて、これがその最大膨張にほぼ達した、または相対的にほぼ達したとき、換言すれば、その膨張により発泡体がダブルベルトラミネーターの矩形または正方形断面のトンネルを形成する全ての壁に近接する状態となったとき、抑制することができる。本発明による調製の特定の選択を提示する別の方法によれば、成分の混合物のゲル点、すなわち、成分の混合物の重合の少なくとも60%が達する瞬間、換言すれば混合物の最大体積膨張の70%~80%に達する瞬間が、ダブルベルトラミネーター内で、場合によりダブルベルトラミネーターの長さの後半部分(すなわち、ラミネーターの入口より出口に近い)で必然的に生じる。
【0116】
化学成分と発泡剤との混合物12の吐出を繊維強化材10の全幅Lに亘って同時に行う機能に関して、それは図2に示す制御式分配器15により提供される。このような分配器15は、添付図面に示さない反応剤ミキサーを形成する容器からの化学成分と少なくとも発泡剤との混合物12から形成される集合体用の供給チャネル16を備えている。反応剤ミキサーを形成する容器において、一方で全ての化学成分と発泡剤とが混合され、他方でこのような混合物の核生成、さらには加熱が実施される。化学成分と発泡剤との混合物12から形成された液体集合体は、次いで圧力下で、幅Lに沿って延びる2つの同一の分配プレート18(各々がL/2に実質的に等しい長さを呈する)であって、前記混合物12を繊維強化材10上に通流させるための複数のノズル19を備えた分配プレート18においてそれぞれ横方向に延びる2つのチャネル17の端部に分配される。これらの通流ノズル19は、所定の長さを呈する較正断面を有するオリフィスからなる。したがって、これらのノズル19の長さは、液体が全てのノズル19間で同一の流量で流出するように予め決められている。この目的は、繊維強化材10の含浸が、繊維強化材10の幅Lのセクションに亘って同じ時に、すなわち同時に生じ、かつ各ノズルで直角に堆積した液体の表面密度が等しくなるようにすることである。このようにすることにより、繊維10の幅Lのセクションを考えた場合、繊維は同時に含浸されるため、混合物12による繊維10の層の含浸が、当該セクションの全てのポイントで同一の態様で実施される。これは、ダブルベルトラミネーターの出口で、繊維の局所的な密度が、混合物12の重力による流れの瞬間に、繊維強化材の重ね合わせた層それぞれの繊維の密度に正確に対応する繊維強化発泡体のブロック20を得ることに寄与する。
【0117】
図2に示す制御式液体分配器15は、2つの同一の分配プレート18が使用されている例示的な実施形態であるが、液体を繊維10の幅セクション上に同時に分配する機能が得られる限り他の設計も想定できる。当然ながら、本例で利用される主な技術的特徴は、分配器15の供給ダクト16から想定される通流ノズル19までの液体混合物12のルートまたはコースに応じて長くなったり短くなったりする通流ノズル19の長さの違いにある。
【0118】
PUR/PIR発泡体のクリームタイムT直前に繊維強化材10の良好な含浸を達成するために重要な点の1つは、種々の繊維強化材の特定の特性に関連する(化学成分と発泡剤との混合物12からなる)液体の特定の粘度であって、繊維密度に応じて変化し得る粘度の選択である。選択された粘度範囲ならびに繊維強化材の透過特性は、繊維10の最初の層に良好に浸透し、最後の層(繊維10の下方層、すなわち繊維強化材の積層体において最も下方に位置する層)まで後続の層に到達することを可能にしなければならない。これにより、繊維10の含浸時間tが、クリームタイムtに実質的に対応するが多くの場合これより短い化学成分により与えられる時間内に実現される。成分の混合物12の粘度は、化学成分と発泡剤との混合物12による幅Lのセクションに亘る全ての繊維10の含浸が、クリームタイムの直前に、換言すればPUR/PIR発泡体の膨張開始の前に、またはその直前に得られるように、例えば加熱、可塑剤の添加、および/または多少の核生成により選択される。
【0119】
繊維強化発泡体ブロック20は、非常に特殊な環境で使用されることが意図されているため、特定の機械的および熱的特性が保証されなければならない。本発明による調製により得られた繊維強化発泡体ブロック20は、従来的に断熱本体30の一部を形成する。すなわち、図5で使用する例において、LNGまたはLPG等の超低温の液体を受容することが意図されたタンク71の当該断熱本体30の上方または一次パネル31および/または下方または二次パネル32を形成する。このようなタンク71は、例えば、地上タンク、浮体式バージ等(例えば、FSRU「Floating Storage Regasification Unit」やFLNG「Floating Liquefied Natural Gas」)、あるいは、2つの港間でこのエネルギー液体を輸送するLNGタンカー等の船舶に装備され得る。
【0120】
図6に示す本発明による発泡体ブロックは、その上面41および側面42、43である種々の面に分散配置された複数のアンカー40を備えている。これらのアンカー40は、発泡体ブロックの前記面41、42、43の表面に面一になるように配置され、発泡体を覆うその厚さ(または大きくない厚さ)を呈することがない、および/または発泡体を外部から保護しない。
【0121】
図7は、このようなアンカー40を断面で示す。このアンカー40は、平面に沿って延びるプレート44を呈する。このプレート44は、複数のオリフィス45を備えている。オリフィス45は、機械的アンカー手段、換言すれば、断熱本体の要素(添付図面に示さず)に係合しているときに発泡体ブロックをタンクの断熱本体に固定することを可能にする2つの要素のうちの1つからなる。また、プレート44は、複数の同一の固定スタッド46、並びに固定スタッド46の寸法より大きい寸法を呈する中央固定スタッド47を備えている。これらのスタッド46、47の機能は、アンカー40を本発明による繊維強化発泡体ブロックに可能な限り良好に固定することである。固定スタッド46は、理想的には、アンカー40の外周または周縁付近に円を形成するように周方向に配置される。
【0122】
図7に示すアンカー40は、有利にはコンベヤベルト11に載置され、次いでスタッド46、47は上方に向けられ、プレート44は前記ベルト11上で静止する。
【0123】
しかしながら、図6に示すブロック上のように、これらのアンカー40をブロックの上面41、さらには側面42、43に配置することも想定され得る。後者の場合、有利には、スタッド46、47を、ポリマー発泡体によるその含浸の前に、隣接/連続する繊維マットに少なくともわずかに埋設することが想定され得る。
【0124】
当然ながら、アンカー40のオリフィス45のうちの1つをそのまま使用してアンカーの雌型部を形成することができるが、複数のオリフィス45の使用を必要とするアンカーも想定され得る。さらに、これらのオリフィス45は、アンカーによる解決策からなるが、本発明は本実施例に決して限定されず、異なる形状および異なる機械的特性を有する単数または複数のアンカー40が想定され得る。
【0125】
図8を参照すると、LNGタンカーの一部が切り取られた図には、船舶の二重船体72に装着された、全体として角柱状の形状を有する密閉断熱タンク71が示されている。タンク71の壁は、タンク内に収容されたLNGと接触することが意図された一次密閉バリアと、一次密閉バリアと船舶の二重船体72との間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間および二次密閉バリアと二重船体72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアと、を備えている。
【0126】
既知の方法で、LNGの貨物をタンク71から、またはタンク71に移送するように、船舶の上甲板に配置された積み降ろしパイプ73が、適切なコネクタにより、船荷ターミナルまたは水陸ターミナルに接続され得る。
【0127】
図8は、積み降ろしステーション75と水中パイプライン76と陸上設備77とを備えた船荷ターミナルの例を示す。積み降ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78とを備える固定式の沖合設備である。可動アーム74は、積み降ろしパイプ73に接続可能な断熱可撓性ホース79の束を支持している。旋回する可動アーム74は、全てのサイズのLNGタンカーに適合する。連結パイプライン(図示せず)が、タワー78の内部で延びている。積み降ろしステーション75により、LNGタンカー70は陸上設備77から荷物を積んだり陸上設備77に荷物を降ろしたりすることができる。この設備は、液化ガス貯蔵タンク80と、積み降ろしステーション75に水中パイプライン76を介して接続された連結パイプライン81とを備えている。水中パイプライン76により、液化ガスを積み降ろしステーション75と陸上設備77との間で例えば5kmに亘る長距離において移送することができる。これにより、積み降ろし作業中に、LNGタンカー70を海岸から遠い距離に維持することができる。
【0128】
液化ガスの移送に必要な圧力を生成するために、船舶70に搭載されたポンプ、および/または陸上設備77に装備されたポンプ、および/または積み降ろしステーション75に装備されたポンプが使用される。
【0129】
上述のように、本発明の主題、すなわち繊維強化ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体ブロックの使用または利用は、支持構造体における一体型タンクに限定することを意図するものではなく、本特許出願時に有効なIGCコードのタイプA、BおよびCのタンクだけでなく、本コードの将来のバージョンにも、タイプA、BおよびCのタンクに対して大幅な変更が適用されない限り提供される。さらには、IGCコードの変更という仮定の下で、他のタイプのタンクが、本発明による繊維強化PUR/PIR発泡体ブロック20に想定される用途になり得ることが理解される。
【0130】
以下では、本発明の主題とその範囲を評価するために出願人が実施した実験および試験の一部を紹介するが、他の試験/実験も実施されており必要/要求に応じて後から提供されることも想定されている。
【0131】
本発明を実証するために、マット状の繊維を組み込んだポリイソシアヌレート発泡体組成物が使用される。これらの繊維は、常に長く連続する繊維として提供される。より正確には、これらの繊維の長さは、本発明による組成物と従来技術による組成物とで全く同じである。出願人は、特に、(上で定義した長く連続する繊維に対して)短いと言われる繊維を有する本発明の主題、または布の形態で提供された本発明の主題を試験した。得られた結果は、以下に示すように、長く連続する繊維からなるマットを使用して得られた結果と同等または実質的に類似している。
【0132】
したがって、繊維強化材の繊維密度と、非常に特別なクリームタイムを呈するPIR発泡体、または前記繊維強化材の特定に適したものの選択との組み合わせのみを非常に確実にするように、PIR発泡体ブロックの調製の他のパラメータは、本発明による調製と従来技術による調製との間で変更したり異なったりしないようにする。非排他的な例として、適切であれば、核生成、発泡剤の量、反応温度、化学成分の混合物の性質および量、吐出プロセス、化学成分の混合物の注入箇所とDBLまたは自由膨張を可能とする装置との間の距離は、本発明によるケースと従来技術によるケースとで厳密に同一であるという事実が言及され得る。
【0133】
当然ながら、本例において、明瞭性と完結性を期してPUR発泡体を使用して本発明を説明するが、PIR発泡体ならびにPUR/PIR混合体でも同等または実質的に同様の結果が得られている。
【0134】
同様に、以下に結果を示す繊維強化発泡体の調製では自由膨張技術が利用されているが、本発明による繊維強化発泡体および従来技術による繊維強化発泡体の観点から、出願人は、同等または実質的に同様の結果がDBLを使用して得られたことを示している。
【0135】
さらに、継続して試験した全ての組成物は、同一の密度条件下で検討されることが理解される。この密度のパラメータが、圧縮強度における性能品質の評価に関与していることが理解される。
【0136】
従来技術の組成物について、繊維強化材およびPUR発泡体の特性は以下の通りである。
【0137】
【表1】
【0138】
従来技術の組成物について、繊維強化材およびPUR発泡体の特性は以下の通りである。
【0139】
【表2】
【0140】
上記で使用したPUR発泡体のクリームタイムは、使用された発泡体が検討されるいずれのケースにおいても同じであるため、従来技術による組成物および本発明による組成物について論理的に同一であることに留意されたい。
【0141】
試験を実施した後、繊維強化材がガラス繊維からなる少なくとも1つのマットの形態で提供された場合について、出願人の発見を説明するよう一部の結果を簡略化して以下に示す。
【0142】
【表3】
上記の表3の(180mmの厚さを有するブロックに対してU809またはU801の8層を有する)第1組成物は、文書FR 2 882 756による組成物からなることに留意されたい。文書FR 2 882 756によるこのような組成物についての結果は、本発明に従った組成物(表3の最終組成物)で得られた結果よりも非常に著しく劣っている。
【0143】
上述の表に示した結果からわかるように、得られた繊維強化発泡体の比較に際して考慮した3つの基準に関して、従来技術による繊維強化発泡体の結果より、本発明による繊維強化発泡体は非常に顕著に良好な結果を呈する。
【0144】
さらに、本発明による繊維強化PUR/PIR発泡体は、(非常に低い)熱伝導率に関して特性の顕著な低下を呈さないことに留意するべきである。
【0145】
【表4】
【0146】
本発明をいくつかの具体的な実施形態に関連して説明したが、本発明は決してこれらに限定されず、記載した手段の技術的な同等物、およびそれらの組み合わせが本発明の範囲内にある場合、それらが全て含まれることは極めて明白である。
【0147】
動詞「備える」または「含む」およびその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の他の要素または他の工程の存在を排除しない。
【0148】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】