(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】抗IL13R抗体またはその結合フラグメントを用いた治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220603BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220603BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220603BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220603BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220603BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20220603BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220603BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220603BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220603BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220603BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220603BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220603BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220603BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K39/395 D
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/02
A61P11/06
A61P29/00
A61P37/06
A61P17/00
A61P37/08
A61P43/00 121
A61K45/00
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021556845
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 SG2020050170
(87)【国際公開番号】W WO2020197502
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】10201902713S
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10201905063R
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10201907597W
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517306167
【氏名又は名称】アスラン ファーマシューティカルズ ピーティーイー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】500021413
【氏名又は名称】シーエスエル、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワード,アリソン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC05
4C076CC07
4C076CC15
4C076CC18
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4C085AA14
4C085BB11
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4C085EE03
4C085GG01
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4C085GG04
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、配列番号51のVH配列またはそれと少なくとも95%同一の配列、および配列番号53のVL配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有する受容体に特異的な抗体またはその結合フラグメントでIL-13Rを阻害することを含む、治療の方法であって、当該抗体または結合フラグメントが、600mg~900mgの範囲の用量で各月に少なくとも1回、特に1か月に2回未満投与される、方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号51のVH配列またはそれと少なくとも95%同一の配列、および配列番号53のVL配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有する受容体に特異的な抗体またはその結合フラグメントでIL-13Rを阻害することを含む、治療の方法であって、前記抗体または結合フラグメントが、600mg~900mgの範囲の用量で各月に少なくとも1回投与される、方法。
【請求項2】
前記抗体またはその結合フラグメントが、抗IL13Rα1抗体またはその結合フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体またはその結合フラグメントまたはその結合フラグメントが、エピトープFFYQに結合する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体または結合フラグメントが、1か月に2回を超えて投与されない、例えば、1か月に2回未満投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各用量が、600mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各用量が、900mgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体または結合フラグメントが、皮下投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、静脈内投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体またはその結合フラグメントが、薬学的製剤、例えば、非経口製剤として投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記製剤が、
10~200mg/mlのIL-13R抗体またはその結合フラグメント(例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、または200mg/ml)、
50mM~200mMのアルギニン(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、または200mM、例えば、100mMのアルギニン)、
15~25mMのヒスチジン緩衝液、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、および25、例えば、20mMのヒスチジン緩衝液、
0.02%重量/体積などの、0.01~0.03%の非イオン性界面活性剤を含み、
前記製剤のpHが、5.5~7.5の範囲、例えば、6.2~7.2(例えば、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2)、例えば、6.5~7.0、特に6.4~6.9)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記製剤の浸透圧が、250~550mOsmo/kgの範囲、例えば、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、515、520、525、530、535、540、545、550、例えば、405~435mOsmo/kgである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項12】
前記製剤が、50~200mMの糖、例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、例えば、180mMの糖をさらに含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記pHが、6.2~6.8、例えば、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、または6.8、特に6.5である、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記製剤が、NaClを含まない、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記製剤が、50~150mMのNaCl、例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、例えば、62.5または140mMのNaClを含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、炎症性障害(慢性炎症など)または自己免疫疾患の治療または予防のためのものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記炎症性障害が、線維症(肺線維症、例えば、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、進行性塊状線維症;肝線維症、例えば、肝硬変;心臓疾患、例えば、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞;関節線維症;デュピュイトラン拘縮;ケロイド線維症;縦隔線維症;骨髄線維症;腎性全身性線維症;後腹膜線維症;および強皮症を含む)、ホジキン病、潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎、アレルギー性鼻炎、喘息、および慢性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患を含む)、ならびにアレルギー(例えば、ピーナッツ)を含む群から選択され、特に喘息である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炎症性障害が、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体または結合フラグメントが、単剤療法として投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体または結合フラグメントが、例えば、抗炎症剤と組み合わせて、併用療法として投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
治療における使用のための抗IL-13Rまたはその結合フラグメントであって、前記抗体またはその結合フラグメントが、配列番号51のVH配列またはそれと少なくとも95%同一の配列、および配列番号53のVL配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有し、前記抗体または結合フラグメントが、600mg~900mgの範囲の用量で各月に少なくとも1回投与される、抗IL-13Rまたはその結合フラグメント。
【請求項22】
治療における使用のための医薬品の製造における抗IL-13Rまたはその結合フラグメントの使用であって、前記抗体またはその結合フラグメントが、配列番号51のVH配列またはそれと少なくとも95%同一の配列、および配列番号53のVL配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有し、前記抗体または結合フラグメントが、600mg~900mgの範囲の用量で各月に少なくとも1回投与される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、炎症性障害または自己免疫疾患を有する患者の治療のために、受容体に特異的な抗体またはその結合フラグメントでIL-13Rを阻害することを含む治療の方法に関する。本開示はまた、本明細書に記載される抗IL13R抗体または結合フラグメントの製剤、および開示される治療の方法におけるそれらの使用に及ぶ。
【背景技術】
【0002】
IL-13は、様々な呼吸器およびアレルギー媒介性障害、線維症、強皮症、炎症性腸疾患、ならびに特定の癌を含むが、これらに限定されない、様々な状態に関連し、例えば、Wynn,T.A.,2003 Annu.Rev.Immunol.21:425-456、Terabe et al,2000 Nat.Immunol.1(6):515-520、Fuss et al,2004 J.Clin.Invest.113(10):1490-1497、Simms et al,2002 Curr.Opin.Rheumatol.14(6):717-722、およびHasegawa et al,1997 J.Rheumatol.24(2):328-332を参照されたい。よって、IL-13は、そのような疾患の治療のための魅力的な標的である。
【0003】
IL-13の活性を阻害する1つの可能な方法は、例えば、IL-13Rα1に特異的な抗体などのIL-13Rに特異的な抗体を使用することによって、IL-13のその受容体IL-13Rへの結合に干渉することである。IL-13Rα1に対する効果的な抗体アンタゴニストはまた、IL-13の結合に干渉し、IL-4RαおよびIL-13Rα1のヘテロ二量体化を防止し得る。そのような抗体は、I型受容体を通したIL-4シグナル伝達を抑制しながら、II型受容体(IL-13Rα1およびIL-4Rαによって形成される)を通したIL-13およびIL-4の両方のシグナル伝達を阻害するであろう。I型受容体を通したシグナル伝達は、Th2細胞が分化する免疫応答の誘導期に不可欠である。T細胞は、IL-13Rα1を発現しないため、II型受容体は、Th2分化に関与しない。したがって、IL-13Rα1抗体は、全体的なThl/Th2バランスに影響しない場合がある。II型IL-4/IL-13受容体を通したシグナル伝達は、確立されたアレルギー性炎症中の免疫応答のエフェクターA段階中に重要である。よって、II型受容体の遮断は、喘息および他のIL-13R媒介性状態の症状の多くに有益な効果をもたらすはずであり、効果的な疾患修飾剤であり得る。
【0004】
IL-13Rα1(モノクローナルおよびポリクローナルの両方)に対する抗体は、当該技術分野で記載され、例えば、WO97/15663、WO03/80675、WO03/46009、WO06/072564、Gauchat et al,1998 Eur.J.Immunol.28:4286-4298、Gauchat et al,2000 Eur.J.Immunol.30:3157-3164、Clement et al,1997 Cytokine 9(11):959(Meeting Abstract)、Ogata et al,1998 J.Biol.Chem.273:9864-9871、Graber et al,1998 Eur.J.Immunol.28:4286-4298、C.Vermot-Desroches et al,2000 Tissue Antigens 5(Supp.l):52-53(Meeting Abstract)、Poudrier et al,2000 Eur.J.Immunol.30:3157-3164、Akaiwa et al,2001 Cytokine 13:75-84、Cancino-Diaz et al,2002 J.Invest.Dermatol.119:1114-1120、およびKrause et al,2006 MoI.Immunol.43:1799-1807を参照されたい。
【0005】
1つの特に有望な抗IL-13Rα1抗体は、WO2008/060813に抗体10G5-6として記載されている。セリンからプロリンへの突然変異(S241P Kabat付番)を安定化するヒンジを有するIgG4としての10G5-6は、ASLAN004として知られている。ASLAN004は、高親和性でヒトIL-13Rα1に結合することが示されている(例えば、Kdは、500pMであり得る)。ASLAN004は、IL-13のその受容体IL-13Rα1への結合を阻害することによってIL-13機能を効果的にアンタゴナイズし、NHDF細胞におけるIL-13およびIL-4誘導性エオタキシン放出、NHDF細胞におけるIL-13およびIL-4誘導性STAT6リン酸化、ならびに血液または末梢血単核細胞におけるTARCのIL-13刺激性放出を阻害することが示された。
【0006】
しかしながら、治療効果を最大化および/または副作用を最小化するには、ASLAN004などのIL-13R抗体の最適化された投与量レジメンが必要である。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、以下の項によって要約される。
1.IL-13Rを、受容体に特異的な抗体またはその結合フラグメントで阻害することを含む、治療の方法であって、
抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量が、約1mg/kg~約15mg/kg(約50~1000mg、例えば、60~約900mg)、例えば、約3mg/kg~約15mg/kg(約200~約900mg)、約3mg/kg~10mg/kg(約200~約600mg)、または約10mg/kg~約15mg/kg(約600~約900mg)、特に約3mg/kg~約10mg/kg(約200~約600mg)の範囲であり、
各用量が、少なくとも1か月に1回、例えば、4週間毎に1回、3週間毎に1回、2週間毎に1回、または1週間に1回、特に1か月に1回のみ、非経口(例えば、静脈内)投与される、方法。
2.各用量が、3mg/kg~約15mg/kg、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15mg/kgである、項1に記載の方法。
3.各用量が、約3mg/kg~約10mg/kgの範囲、例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10mg/kgである、項1または2に記載の方法。
4.各用量が、約10mg~約15mg/kgの範囲、例えば、10、11、12、13、14、または15mg/kgである、項1または2に記載の方法。
5.各用量が、約200~900mg、例えば、200、300、400、500、600、700、800、または900mgである、項1または2に記載の方法。
6.各用量が、約200~600mg、例えば、200、250、300、350、400、450、500、550、または600mgである、項1または2に記載の方法。
7.各用量が、約600mg~約900mg、例えば、600、650、700、750、800、850、または900mgである、項1または2に記載の方法。
8.各用量が、200mgである、項1または2に記載の方法。
9.各用量が、600mgである、項1または2に記載の方法。
10.各用量が、3週間毎に1回投与される、項1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.各用量が、1か月に1回投与される、項1~9のいずれか1つに記載の方法。
12.各用量が、200mgであり、3週間毎に1回投与される、項1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.各用量が、600mg~900mgの範囲であり、各月に1回のみ投与される、項1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.各用量が、600mgであり、1か月に1回投与される、項1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.抗体またはその結合フラグメントが、皮下投与用である(例えば、皮下投与される)、項1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.抗体または結合フラグメントが、筋肉内投与用である(例えば、筋肉内投与される)、項1~14のいずれか1つに記載の方法。
17.抗体またはその結合フラグメントが、例えば、徐放用の、デポ製剤で提供される、項1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.抗体または結合フラグメントが、静脈内投与用である(静脈内投与される)、項1~14のいずれか1つに記載の方法。
19.抗IL-13R抗体またはその結合フラグメントが、抗IL13Rα1抗体である、項1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.抗IL-13R抗体またはその結合フラグメントが、エピトープFFYQに結合する、項1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.抗IL-13R抗体またはその結合フラグメントが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む、項1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.抗IL-13R抗体またはその結合フラグメントが、配列番号51に示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVHドメインを含む、項1~21のいずれか1つに記載の方法。
23.抗IL-13R抗体またはその結合フラグメントが、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、項1~22のいずれか1つに記載の方法。
24.抗IL-13R抗体またはその結合フラグメントが、配列番号53に示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVLドメインを含む、項1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.抗体またはその結合フラグメントが、配列番号51に示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVHドメイン、および配列番号53に示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVLドメインを含む、項1~24のいずれか1つに記載の方法。
26.抗IL-13R抗体またはその結合フラグメントが、薬学的製剤、例えば、非経口製剤として投与される、項1~25のいずれか1つに記載の方法。
27.製剤が、
10~200mg/ml、例えば、10~140mg/mlのIL-13R抗体またはその結合フラグメント(例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、または140mg/ml(または145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、もしくは200mg/ml))、
50~200mMのアルギニン、例えば、50mM~150mMのアルギニン(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、または150mMのアルギニン(または155、160、165、170、175、180、185、190、195、もしくは200mM、例えば、100mMのアルギニン))、
15~25mMのヒスチジン緩衝液、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、および25、例えば、20mMのヒスチジン緩衝液、
0.02%重量/体積などの、0.01~0.03%の非イオン性界面活性剤を含み、
製剤のpHが、5.5~7.5の範囲、例えば、6.2~7.2(例えば、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2)、例えば、6.5~7.0、特に6.4~6.9)である、項26に記載の方法。
28.製剤の浸透圧が、250~550mOsmo/kgの範囲、例えば、350~550mOsmo/kg、例えば、(250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345mOsmo/kg)350、355、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、515、520、525、530、535、540、545、550、例えば、405~435mOsmo/kgである、項22または23のいずれか1つに記載の方法。
29.製剤が、50~200mMの糖、例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、例えば、180mMの糖をさらに含む、項22~24のいずれか1つに記載の方法。
30.pHが、6.2~6.8、例えば、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、または6.8、特に6.5である、項22~25のいずれか1つに記載の方法。
31.製剤が、NaClを含まない、項22~26のいずれか1つに記載の方法。
32.製剤が、50~150mMのNaCl、例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、例えば、62.5または140mMのNaClを含む、項22~27のいずれか1つに記載の方法。
33.方法が、炎症性障害(慢性炎症など)または自己免疫疾患の治療または予防のためのものである、項1~23のいずれか1つに記載の方法。
34.炎症性障害または自己免疫疾患が、線維症(肺線維症、例えば、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、進行性塊状線維症;肝線維症、例えば、肝硬変;心臓疾患、例えば、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞;関節線維症;デュピュイトラン拘縮;ケロイド線維症;縦隔線維症;骨髄線維症;腎性全身性線維症;後腹膜線維症;および強皮症を含む)、ホジキン病、潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎、アレルギー性鼻炎(季節性鼻炎を含む)、喘息、慢性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患を含む)、およびアレルギー(例えば、ピーナッツアレルギー)を含む群から選択され、特に喘息である、項29に記載の方法。
35.炎症性障害が、アトピー性皮膚炎である、項29または30に記載の方法。
36.炎症性障害または自己免疫疾患の治療における使用のための抗IL13R抗体または結合フラグメント(例えば、項10~15のいずれか1つで定義される抗IL13R抗体またはその結合フラグメント)であって、抗体またはその結合フラグメントの各用量が、約1mg/kg~約15mg/kg(約60~約900mg)、例えば、約1mg/kg~約10mg/kg(約60~約600mg)、約3mg/kg~10mg/kg(約200~約600mg)、または約10mg/kg~約15mg/kg(約600~900mg)、例えば、3mg/kg~10mg/kg(200~600mg)の範囲であり、
各用量が、1か月(4週間)に少なくとも1回、例えば、3週間毎に1回、2週間毎に1回、1週間に1回、特に1か月に1回投与される、抗体または結合フラグメント。
37.炎症性障害または自己免疫疾患の治療のための医薬品の製造における抗IL13R抗体またはその結合フラグメント(例えば、項10~15のいずれか1つで定義される抗IL13R抗体またはその結合フラグメント)の使用であって、抗体またはその結合フラグメントの各用量または単位用量が、約1mg/kg~約15mg/kg(約60~約900mg)、例えば、約1mg/kg~約10mg/kg(約60~約600mg)、約3mg/kg~10mg/kg(約200~約600mg)、または約10mg/kg~約15mg/kg(約600~900mg)、例えば、3mg/kg~10mg/kg(200~600mg)の範囲であり、
各用量または単位用量が、1か月(4週間)に少なくとも1回、例えば、3週間毎に1回、2週間毎に1回、1週間に1回、または1日1回、特に1か月に1回投与される、使用。
【0008】
よって、本開示は、受容体に特異的な抗体またはその結合フラグメントでIL-13Rを阻害することを含む治療の方法であって、
抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量が、約1mg/kg~約15mg/kg(約60~約900mg)、例えば、約3mg/kg~約15mg/kg(約200~約900mg)、約3mg/kg~10mg/kg(約200~約600mg)、または約10mg/kg~約15mg/kg(約600~約900mg)、特に約3mg/kg~約10mg/kg(約200~約600mg)の範囲であり、
各用量が、1か月に少なくとも1回、例えば、4週間毎に1回、3週間毎に1回、2週間毎に1回、または1週間に1回、特に1か月に1回のみ、静脈内投与される、方法を提供する。
【0009】
一実施形態では、抗体、結合フラグメント、または製剤は、2週間毎に1回投与される。
【0010】
一実施形態では、抗体、結合フラグメント、または製剤は、3週間毎に1回投与される。
【0011】
一実施形態では、抗体、結合フラグメント、または製剤は、1か月に1回以下、例えば、1か月に1回の投与または1か月に1.5回の投与(すなわち、2か月にわたって3回の投与)で投与される。
【0012】
本開示は、本明細書に記載される治療レジメンにおける使用のための抗体、結合フラグメント、または製剤に及ぶ。
【0013】
有利なことに、現在開示される方法は、STAT6シグナル伝達の完全な阻害および約1週間(7日)以上、例えば、2週間、3週間、または4週間(または1か月)の完全なIL-13受容体占有などの阻害をもたらす。
【0014】
一実施形態では、STAT6の阻害は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30日、例えば、29日の期間(例えば、治療レベルで)維持される。
【0015】
一実施形態では、抗体または結合フラグメントによって結合される受容体は、例えば、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30日、例えば、29日の期間にわたって完全に占有される。
【0016】
よって、一実施形態では、薬力学的(例えば、完全な薬力学的)効果は、少なくとも14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30日、例えば、29日の期間にわたって提供される。
【0017】
さらに、投与後、急速な作用の発現があり、例えば、作用の発現は、IV投与後12時間以下、例えば、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2時間、より具体的には1時間、特に1時間以内である。
【0018】
本発明者らは、現在特許請求される抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの阻害作用が迅速であり、抗体またはその結合フラグメントの投与(静脈内投与など)の後1時間以内に完全な阻害が達成可能であることを実証した。
【0019】
さらに、本開示の投与レジメンは、TARC(胸腺および活性化制御ケモカイン)などの、他のアレルギー性メディエーターを阻害し得る。
【0020】
加えて、本開示の投与レジメンは、副作用を最小限に抑え、例えば、結膜炎の発生を低減もしくは排除し、かつ/または注射部位で低減した反応を有し得る。よって、本発明者らは、現在開示される投与量レベルが、有害な副作用の証拠なく安全に許容することができることを確立した。
【0021】
さらに有利なことに、本発明者らは、IL-13R阻害の持続時間が投与量レベルと密接に関連していることを確立した。具体的には、投与量を増加させることによって、IL-13R阻害の持続時間を増加させることができ、ひいては投与の頻度を低減することができる。したがって、特許請求される方法は、治療要件に従って具体的に調整することができる。
【0022】
一実施形態では、薬力学的効果(完全な薬力学的効果など)のための最低濃度は、0.5~70mg/Lの範囲、例えば、50~70mg/L、例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、60、60.5、61、61.5、62、63、64、65、66、67、68、69、または70mg/L、例えば、薬物血清レベルである。
【0023】
一実施形態では、薬力学的効果(完全な薬力学的効果など)のための最低濃度は、0.5~20mg/Lの範囲、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/Lである。
【0024】
一実施形態では、薬力学的効果(完全な薬力学的効果など)のための最低濃度は、1~10mg/Lの範囲である。
【0025】
一実施形態では、薬力学的効果(完全な薬力学的効果など)のための最低濃度は、0.5~2.5mg/Lの範囲である。
【0026】
一実施形態では、用量間の薬物血清レベル(トラフレベル)は、0.5~20mg/Lの範囲、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/Lである。
【0027】
一実施形態では、用量間の薬物血清レベル(トラフレベル)は、1~10mg/Lの範囲である。
【0028】
一実施形態では、用量間の薬物血清レベル(トラフレベル)は、0.5~2.5mg/Lの範囲である。
【0029】
よって、一実施形態では、用量、用量頻度、および投与の経路は、用量間で約0.5~20mg/L(1~10mg/Lなど)を超える薬物血清レベルを維持するように選択される。
【0030】
よって、一実施形態では、用量、用量頻度、および投与の経路は、用量間で約0.5~20mg/L(1~10mg/Lなど)を超える薬物血漿レベルを維持するように選択される。
【0031】
適切な投与の経路は、静脈内および/または皮下投与であり、好ましい用量頻度は、1週間あたり1回、2週間あたり1回、3週間あたり1回、および4週間あたり1回である。
【0032】
一実施形態では、用量(複数可)は、静脈内投与される。
【0033】
よって、本開示による静脈内投与は、1週間あたり1回、2週間あたり1回、3週間あたり1回、または4週間あたり1回であり得る。
【0034】
一実施形態では、用量(複数可)は、各週に1回のみ静脈内投与される。
【0035】
一実施形態では、用量(複数可)は、2週間毎に1回のみ静脈内投与される。
【0036】
一実施形態では、用量(複数可)は、3週間毎に1回のみ静脈内投与される。
【0037】
一実施形態では、用量(複数可)は、各月に1回のみ静脈内投与される。
【0038】
一実施形態では、用量(複数可)は、皮下投与される。
【0039】
一実施形態では、用量(複数可)は、各週に1回のみ皮下投与される。
【0040】
一実施形態では、用量(複数可)は、2週間毎に1回のみ皮下投与される。
【0041】
一実施形態では、用量(複数可)は、3週間毎に1回のみ皮下投与される。
【0042】
一実施形態では、用量(複数可)は、各月に1回のみ皮下投与される。
【0043】
本開示による皮下投与は、1週間あたり1回、2週間あたり1回、3週間あたり1回、または4週間あたり1回であり得る。
【0044】
一態様では、配列番号51のVH配列またはそれと少なくとも95%同一の配列、および配列番号53のVL配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有する受容体に特異的な抗体またはその結合フラグメントでIL-13Rを阻害することを含む治療の方法であって、当該抗体または結合フラグメントが、200mg~900mgの範囲の用量で各月に1回のみ静脈内投与される、方法が提供される。
【0045】
別の態様では、配列番号51のVH配列またはそれと少なくとも95%同一の配列、および配列番号53のVL配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を有する受容体に特異的な抗体またはその結合フラグメントでIL-13Rを阻害することを含む治療の方法であって、当該抗体または結合フラグメントが、600mg~900mgの範囲の用量で各月に1回のみ静脈内投与される、方法が提供される。
【0046】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約1mg/kg~約15mg/kgの範囲、例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、または15.0mg/kgである。これはほぼ、約60kgの平均的な成人について約60mg~約900mgの投与量に対応する。よって、一実施形態では、各用量は、約60mg~900mgの範囲、例えば、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、860、870、880、または900mgである。
【0047】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約1mg/kg~約10mg/kgの範囲、例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0mg/kgである。これはほぼ、成人について約60mg~約600mgの投与量に対応する。よって、一実施形態では、各用量は、約60mg~600mgの範囲、例えば、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、560、570、580、590、または600mgである。
【0048】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約3mg/kg~約10mg/kgの範囲、例えば、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0mg/kgである。これはほぼ、成人について約200mg~約600mgの投与量に対応する。よって、一実施形態では、各用量は、約200mg~600mgの範囲、例えば、200、210、220、230、240、250、300、350、400、450、500、550、560、570、580、590、または600mgである。
【0049】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約10mg/kg~約15mg/kgの範囲、例えば、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、または15.0mg/kgである。これはほぼ、成人について約600mg~約900mgの投与量に対応する。よって、一実施形態では、各用量は、約600mg~900mgの範囲、例えば、600、610、620、630、640、650、700、750、800、850、860、870、880、または900mgである。
【0050】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約1mg/kg、例えば、0.9、0.95、1.0、1.05、または1.1mg/kgである。この用量はほぼ、成人について約60mgの投与量に対応する。よって、一実施形態では、各用量は、約60mgの範囲、例えば、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、または65mgである。有利には、約1mg/kgの用量は、約7日または1週間にわたってIL-13R活性を効果的に阻害すると予想される。よって、一実施形態では、各用量は、7日に1回または1週間に1回投与される。
【0051】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約3.0mg/kg、例えば、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、または3.5mg/kgである。有利には、約3.0mg/kgの用量は、約21日または3週間にわたってIL-13R活性を効果的に阻害すると予想される。この用量はほぼ、成人について約200mgの投与量に対応する。一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約200mg、例えば、190、195、200、205、または210mgである。有利には、約200mgの用量は、約21日または3週間にわたってIL-13R活性を効果的に阻害すると予想される。よって、一実施形態では、各用量は、3週間毎または21日毎に1回投与される。
【0052】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約10.0mg/kg、例えば、9.0、9.5、10.0、10.5、または11.0mg/kgである。有利には、約10mg/kgの用量は、約4週間または約1か月にわたってIL-13R活性を効果的に阻害すると予想される。この用量はほぼ、成人について約600mgの投与量に対応する。一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約600mg、例えば、590、595、600、605、または610mgである。有利には、約600mgの用量は、約1か月または4週間にわたってIL-13R活性を効果的に阻害すると予想される。よって、一実施形態では、各用量は、4週間毎に1回または1か月に1回投与される。
【0053】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約15.0mg/kg、例えば、14、14.5、15.0、または15.5、または11.0mg/kgである。有利には、15.0mg/kgの用量は、4週間以上にわたってIL-13R活性を効果的に阻害すると予想される。この用量はほぼ、平均的な成人について約900mgの投与量に対応する。一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、約600mg、例えば、590、595、600、605、または610mgである。有利には、約600mgの用量は、約1か月または4週間にわたってIL-13R活性を効果的に阻害すると予想される。よって、一態様では、各用量は、4週間毎に1回もしくは1か月に1回、またはそれ以下、例えば、5、6、7、または8週間毎に1回投与される。一態様では、各用量は、5週間毎に投与される。一態様では、各用量は、6週間毎に投与される。一態様では、各用量は、7週間毎に投与される。一実施形態では、各用量は、8週間毎または2か月毎に1回投与される。
【0054】
用量頻度は、約7日毎に1回~約4週間毎に1回、すなわち、約1週間に1回~1か月に1回の範囲であり得る。
【0055】
よって、一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、7日毎または1週間に1回投与される。
【0056】
一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、14日毎または2週間毎に1回投与される。
【0057】
一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、21日毎または3週間毎に1回投与される。
【0058】
一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、28日毎または4週間毎に1回投与される。
【0059】
一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各用量は、1か月に1回、例えば、28日毎に1回、29日毎に1回、30日毎に1回、または31日毎に1回投与される。
【0060】
一実施形態では、用量は、約60mgであり、7日毎に1回または1週間に1回投与される。
【0061】
一実施形態では、用量は、約200mgであり、14日毎に1回または2週間毎に1回投与される。
【0062】
一実施形態では、用量は、約600mgであり、4週間毎に1回または1か月に1回投与される。
【0063】
一実施形態では、用量は、約900mgであり、1か月に1回以下、例えば、5、6、7、または8週間に1回投与される。
【0064】
一実施形態では、抗IL-13R抗体または結合フラグメントは、注入によって投与される。
【0065】
一実施形態では、抗IL-13R抗体または結合フラグメントは、約60分、例えば、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、または65分の期間にわたる注入によって投与される。
【0066】
一実施形態では、IL-13R抗体または結合フラグメントは、シリンジドライバーを介して投与される。
【0067】
一実施形態では、抗IL-13R抗体または結合フラグメントは、本開示の非経口製剤などの薬学的製剤の形態である。
【0068】
一実施形態では、抗IL-13R抗体または結合フラグメントは、本明細書に開示されるASLAN004である。
【0069】
したがって、一実施形態では、IL-13Rに特異的な抗体または結合フラグメントは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3、ならびに配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番45に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0070】
一実施形態では、抗体またはその結合フラグメントは、配列番号51に示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVHドメイン、および配列番号53に示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVLドメインを含む。
【0071】
一実施形態では、IL-13Rに特異的な抗体または結合フラグメントは、配列番号51のVH配列および配列番号53のVL配列を含む。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本明細書で使用される1か月とは、1暦月を指し、これには、29日を有する閏年の2月を含む、1年におけるすべての可能な月を含む。よって、「1か月に1回」とは、28日毎に1回、29日毎に1回、30日毎に1回、または31日毎に1回を指し得る。
【0073】
本明細書で使用される単位用量とは、一般に、単一用量で投与される本開示の抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの量を含む製品を指す。現在特許請求される抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの単位用量とは、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの製剤などの、市販形態の製品を指し得、製品は、単一用量に必要な抗IL13R抗体の正確な量に配分されている。よって、製造業者は、各単位用量に含まれる抗13R抗体またはその結合フラグメントの正確な量を決定および制御することができる。製品は、カプセル、バイアル、錠剤、パッチ、アンプルなど、特にバイアルのような、当業者に知られている様々な形態であり得る。
【0074】
よって、単位用量は、単一用量に必要な正確な量の抗13R抗体を含有する抗IL13R抗体製剤の単一バイアルであり得、その全内容物は、投与前に必要な量をまず配分することを必要とせずに患者に直接投与され得る。
【0075】
よって、一実施形態では、用量は、単位用量である。したがって、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの単位用量が提供され、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの各単位用量は、約1mg/kg~約15mg/kg(約60~約900mg)、例えば、約1mg/kg~約10mg/kg(約60~約600mg)、約3mg/kg~10mg/kg(約200~約600mg)、または約10mg/kg~約15mg/kg(約600~約900mg)、特に約3mg/kg~約10mg/kg(約200~約600mg)の範囲である。
【0076】
一実施形態では、単位用量は、600mg~900mg、例えば、600、650、700、800、850、または900mgである。
【0077】
一実施形態では、製剤は、非経口製剤である。
【0078】
本明細書で使用される非経口製剤とは、GI管を通して送達されないように設計された製剤を指す。典型的な非経口送達経路は、注射(ボーラス注射を含む)、移植、または注入を含む。一実施形態では、製剤はボーラス送達用の形態で提供される。
【0079】
一実施形態では、非経口製剤は、例えば、50、60、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000mgの抗IL13R抗体またはその結合フラグメントが静脈内投与され、特に1か月に1回投与される。
【0080】
一実施形態では、非経口製剤は、例えば、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1500mgの抗IL13R抗体またはその結合フラグメントが、特に1か月に1回、皮下投与される。
【0081】
一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの皮下用量は、200mg~1000mgの範囲である。
【0082】
一実施形態では、非経口製剤は、例えば、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1500mgの抗IL13R抗体またはその結合フラグメントが、特に1か月に1回、筋肉内投与される。
【0083】
一実施形態では、非経口製剤は、デポ製剤であり、例えば、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1500mgの用量の抗IL13R抗体またはその結合フラグメントが、特に1か月に1回、投与される。
【0084】
一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの用量は、600mg以上である。
【0085】
一実施形態では、抗IL13R抗体またはその結合フラグメントの用量は、8~10mg/Kgである。
【0086】
本明細書で使用される注射とは、シリンジまたはシリンジドライバーを介した体内への液体製剤の投与を指す。注射は、静脈内、皮下、腫瘍内、または筋肉内投与を含む。注射は、一般的には、5分以下などの短期間で行われる。しかしながら、注射は、例えば、シリンジドライバーを使用して、ゆっくりまたは継続的に投与することができる。注射は、一般的には、注入よりも小さな体積の投与を含む。一実施形態では、注射は、例えば、1.5~30分の期間にわたって、ゆっくりとした注射として投与される。本明細書で使用するゆっくりとした注射は、シリンジを使用した手動注射である。
【0087】
注射は、通常、注入よりも小さな体積であり、例えば、30mL以下は、通常、注射とみなされるであろう。
【0088】
一実施形態では、シリンジドライバーによって投与される場合など、製剤の1用量は100ml未満、例えば30mlである。
【0089】
本明細書で使用される注入は、点滴、注入ポンプ、または同等の装置による流体の投与を意味する。一実施形態では、注入は、1~120分(例えば、1~5分)、例えば、約1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、65、80、85、90、95、100、105、110、115、または120分の範囲の期間にわたって投与される。一実施形態では、注入は、約60分、例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70分の期間にわたって、特に60分にわたって投与される。
【0090】
注入には、通常、注射よりも大きな体積の投与が含まれ、例えば、体積は、一般的には、30mLを超えるであろう。
【0091】
本明細書で使用されるボーラス注射は、単一の「ショット」での多量の製剤の投与を指す。これは、静脈内、筋肉内、または皮下投与され得る。それは、例えば、デポ注射として、徐放用に製剤化され得る。
【0092】
本明細書で使用されるデポ製剤は、インビボでの増加した滞留時間を有する(注射可能な徐放性製品とも呼ばれる)製剤を指し、これは活性剤(抗体または結合フラグメント)の徐放を提供する。一般に、デポ製剤は、皮下または筋肉内投与用であろう。
【0093】
デポ製剤の例には、抗体または結合フラグメントがPEG化または修飾されて、血清アルブミンに結合するさらなる結合ドメインを含む場合が含まれる。これらのような製剤はまた、当業者が知っているように、静脈内投与され得る。
【0094】
他のタイプのデポ製剤には、ゴマ種子油などの油中で抗体または結合フラグメントを提供することが含まれる。
【0095】
プロタミンは、デポ製剤に使用され得る。
【0096】
ポリマー担体は、デポ製剤、例えば、PLA、PLGA、PLGA-グルコース、N-メチル-2-ピロリドンで製剤化されたPLGA、PLGAポリエステル(Eligard(登録商標)、Atridox(登録商標)、H.P.Acthar Gelなど)、ゼラチン、アミノ酸ポリマー、DL-乳酸およびグリコール酸コポリマー、Atrigel(商標)、ならびにポリラクチド/グリコリド製剤に使用され得る。
【0097】
リポソームは、PEGでコーティングされた脂質ナノ粒子を含む、デポ製剤に使用され得る。
【0098】
抗IL13R抗体
本明細書で使用されるインターロイキン-13受容体(IL-13R)は、インターロイキン-13に結合するサイトカイン受容体である。これは、それぞれ、2つのサブユニット:IL13Rα1およびIL4Rで構成される。これらのサブユニットは、二量体を形成する。IL-13はIL-13Rα1鎖に結合し、IL4はIL-4Rα鎖に結合する。したがって、IL13Rは、IL-4シグナル伝達も引き起こし得る。両方の場合において、シグナル伝達は、ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)経路の活性化を介して起こり、STAT6のリン酸化をもたらす。ヒトIL-13Rα1は、P3597のUniprot番号を有する。
【0099】
以前はIL-13RおよびIL-13Rαと呼ばれた、IL-13Rα2は、IL-13に結合することができる別の受容体である。しかしながら、IL-13Rα1とは対照的に、このタンパク質は、IL-13には高い親和性で結合するが、IL-4には結合しない。ヒトIL-13Rα2は、Q14627のUniprot番号を有する。
【0100】
本明細書で使用される抗IL13R抗体は、IL13R、例えば、IL13Rα1またはIL13Rα2について特異性を有する抗体を指す。
【0101】
一実施形態では、本開示の抗IL13R抗体は、IL13Rα1に特異的である。一実施形態では、抗IL13R抗体は、アミノ酸配列FFYQを含むエピトープに結合する。
【0102】
本開示の抗IL13R抗体は、全長重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子またはその結合フラグメントを含み得る。結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体(例えば、VH、VL、VHH、IgNAR Vドメイン)、scFv、二価、三価、または四価抗体、ビス-scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを含む(例えば、Holliger and Hudson,2005,Nature Biotech.23(9):1126-1136、Adair and Lawson,2005,Drug Design Reviews-Online 2(3),209-217を参照されたい)。
【0103】
これらの抗体フラグメントを作製および製造するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Verma et al,1998,Journal of Immunological Methods,216,165-181を参照されたい)。本発明で使用するための他の抗体フラグメントには、WO2005/003169、WO2005/003170およびWO2005/003171に記載されているFabおよびFab’フラグメントが含まれる。本発明における使用のための他の抗体フラグメントには、WO2010/035012に記載されるFab-FvおよびFab-dsFvフラグメント、ならびにそれらのフラグメントを含む抗体フラグメントが含まれる。多価抗体は、多重特異性または単一特異性であり得る(例えば、WO92/22853及びWO05/113605を参照)。
【0104】
本開示における使用のための、抗体およびそのフラグメントは、例えば、マウス、ラット、サメ、ウサギ、ブタ、ハムスター、ラクダ、ラマ、ヤギ、またはヒトを含む任意の種に由来し得る。キメラ抗体は、非ヒト可変領域およびヒト定常領域を有する。
【0105】
本発明における使用のための抗体または結合フラグメントは、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、またはIgA)またはサブクラスから誘導することができる。一実施形態では、本開示で使用される抗体は、ヒンジ安定化S241P(Kabat付番)突然変異を有するIgG4またはIgG4である。
【0106】
一実施形態では、本開示の製剤に使用される抗体または結合フラグメントは、5nM以上(より高い親和性はより低い数値である)、例えば、500pMの親和性、例えば、250pM以上の親和性、特に125pMまたはより低い数値を有する。
【0107】
一実施形態では、CDRH1は、アミノ酸配列GYSFTSYWIG(配列番号1)を含む。
【0108】
一実施形態では、CDRH2は、配列VIYPGDSYTR(配列番号2)を含む。
【0109】
一実施形態では、CDRH3は、以下の式を含む。
[配列表1]
【0110】
一実施形態では、本開示の製剤で使用されるIL13-R1α1抗体または結合フラグメントは、本明細書と共に提出された配列表における配列番号4~30を含む配列から独立して選択されるCDRH3を含む。これらの配列は、優先権文書の表1にも示され、これは参照によって本明細書に具体的に組み込まれる。
【0111】
一実施形態では、本開示で使用される抗IL13R抗体または結合フラグメントは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0112】
一実施形態では、本開示で使用される抗IL13R抗体または結合フラグメントは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む。
【0113】
一実施形態では、本開示で使用される抗IL13R抗体または結合フラグメントは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む。
【0114】
一実施形態では、CDRL1は、RASQSISSSYLA(配列番号31)を含む配列である。
【0115】
一実施形態では、CDRL2は、GASSRAT(配列番号32)を含む配列である。
【0116】
一実施形態では、CDL3は、以下の式を含む。
[配列表2]
【0117】
一実施形態では、本開示の製剤で使用されるIL-13Rα1抗体は、本明細書と共に提出された配列表における配列番号34~47を含む配列から独立して選択されるCDRL3を含む。これらの配列は、優先権文書の表2にも示され、これは参照によって本明細書に具体的に組み込まれる。
【0118】
一実施形態では、本開示で使用される抗IL-13Rα抗体または結合フラグメントは、アミノ酸配列、配列番号31を含むCDRL1、アミノ酸配列、配列番号32を含むCDRL2、および配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0119】
一実施形態では、本開示の抗IL-13Rα抗体は、アミノ酸配列、配列番号84を含むVL CDR1、アミノ酸配列、配列番号85を含むVL CDR2、および配列番号34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0120】
一実施形態では、本開示の抗IL-13Rα抗体は、アミノ酸配列、配列番号31を含むCDRL1、アミノ酸配列、配列番号32を含むCDRL2、および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0121】
一実施形態では、本開示の抗IL13R抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3、アミノ酸配列、配列番号31を含むCDRL1、アミノ酸配列、配列番号32を含むCDRL2、および配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0122】
一実施形態では、本開示の抗IL13R抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号3または10に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3、アミノ酸配列、配列番号31を含むCDRL1、アミノ酸配列、配列番号32を含むCDRL2、および配列番号34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0123】
一実施形態では、本開示の抗IL13R抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号3または10に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3、アミノ酸配列、配列番号31を含むCDRL1、アミノ酸配列、配列番号32を含むCDRL2、および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0124】
一実施形態では、本開示の抗IL13R抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3、アミノ酸配列、配列番号31を含むCDRL1、アミノ酸配列、配列番号32を含むCDRL2、および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0125】
一実施形態では、VH領域は、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、およびそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列を含む群からの配列から独立して選択される。
【0126】
一実施形態では、VLは、
配列番号52
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYETFGQGTKVEI*
配列番号53
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYASFGQGTKVEI*
配列番号54
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYEAFGQGTKVEI*
配列番号55(null配列)
およびそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列を含む群からの配列から独立して選択される(*翻訳後修飾においてK欠失)。
【0127】
一実施形態では、VH配列は、配列番号48(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、配列番号52、配列番号53、または配列番号54(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0128】
一実施形態では、VH配列は、配列番号49(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、配列番号52、配列番号53、または配列番号54(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0129】
一実施形態では、VH配列は、配列番号50(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、配列番号52、配列番号53、または配列番号54(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0130】
一実施形態では、VH配列は、配列番号51(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、配列番号52、配列番号53、または配列番号54(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0131】
一実施形態では、VL配列は、配列番号52(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VH配列は、配列番号48、配列番号49、配列番号50、または配列番号51である。(またはそれらのいずれか1つに少なくとも95%同一の配列)である。
【0132】
一実施形態では、VL配列は、配列番号53(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VH配列は、配列番号48、配列番号49、配列番号50、または配列番号51(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0133】
一実施形態では、VL配列は、配列番号54(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VH配列は、配列番号48、配列番号49、配列番号50、または配列番号51(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0134】
一実施形態では、VH配列は、配列番号51(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、配列番号53(またはそれらと少なくとも95%同一の配列)である。
【0135】
本明細書で使用される可変領域は、CDRおよび適切なフレームワークを含む抗体鎖内の領域を指す。
【0136】
一実施形態では、重鎖は、
配列番号56
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG*
配列番号57
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCVRMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG*
配列番号58
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCVRMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASIKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG*
配列番号59
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG*
配列番号60
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASIKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG*
配列番号61
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVTSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG*、
およびそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列を含む群から独立して選択される配列を含む(*翻訳後修飾においてK欠失)。
【0137】
一実施形態では、軽鎖は、配列番号62、配列番号63、配列番号55、およびそのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列を含む群から独立して選択される。
【0138】
一実施形態では、重鎖は、配列番号56、57、58、59、60、および61(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択され、軽鎖は、配列番号62、63、および55(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0139】
一実施形態では、重鎖は、配列番号56(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62、63、および55(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0140】
一実施形態では、重鎖は、配列番号57(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62、63、および55(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0141】
一実施形態では、重鎖は、配列番号58(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62、63、および55(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0142】
一実施形態では、重鎖は、配列番号59(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62、63、および55(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0143】
一実施形態では、重鎖は、配列番号60(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62、63、および55(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0144】
一実施形態では、重鎖は、配列番号61(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62、63、および55(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0145】
一実施形態では、重鎖は、配列番号59または61(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62(またはそれと少なくとも95%同一の配列)に示される配列を有する。
【0146】
一実施形態では、重鎖は、配列番号59(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62(またはそれと少なくとも95%同一の配列)に示される配列を有する。
【0147】
一実施形態では、重鎖は、配列番号61(またはそれらのいずれか1つと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、配列番号62(またはそれと少なくとも95%同一の配列)に示される配列を有する。
【0148】
本明細書で使用されるものから誘導されるとは、使用される配列または使用される配列と高度に類似する配列が、抗体の軽鎖または重鎖などの、元の遺伝物質から得られたという事実を指す。
【0149】
本明細書で使用される「少なくとも95%同一」とは、その全長にわたって、参照配列と95%以上同一、例えば、96、97、98、または99%同一であるアミノ酸配列を指すことを意図している。ソフトウェアプログラムを使用して、同一性パーセンテージを計算することができる。
【0150】
本明細書におけるタンパク質、抗体、またはアミノ酸配列の任意の議論は、製造および/または保存中に生成されるタンパク質、抗体、またはアミノ酸配列の任意の多様体を含むと理解されるであろう。例えば、製造または保存中に、抗体は、脱アミド化され(例えば、アスパラギンまたはグルタミン残基で)、および/またはグリコシル化が改変され、および/またはグルタミン残基がピログルタミン酸に変換され、および/またはN末端もしくはC末端残基が除去または「クリップ」され(コードされた抗体のC末端リジン残基は製造プロセス中に除去されることが多い)、かつ/またはシグナル配列の一部もしくは全部が不完全に処理され、結果として、抗体の末端に留まり得る。特定のアミノ酸配列またはその結合フラグメントを含む抗体は、記載もしくはコードされた配列および/またはその記載もしくはコードされた配列の多様体またはその結合フラグメントの不均一な混合物であり得ることが理解される。
【0151】
一実施形態では、本開示は、C末端リジンが切断されている、本明細書に明示的に開示される配列に及ぶ。
【0152】
一実施形態では、本開示の製剤で使用される、抗体またはその結合フラグメントは、ヒト化される。
【0153】
本明細書で使用されるヒト化(CDR移植抗体を含む)とは、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する分子を指す(例えば、US5,585,089、WO91/09967を参照されたい)。CDR全体ではなくCDRの特異性決定残基を転移することのみが必要であり得ることが理解されよう(例えば、Kashmiri et al.,2005,Methods,36,25-34を参照されたい)。ヒト化抗体は、例えば、CDRが由来した非ヒト種に由来する1つ以上のフレームワーク残基を任意にさらに含み得る。概説については、Vaughan et al,Nature Biotechnology,16,535-539,1998を参照されたい。
【0154】
CDRまたは特異性決定残基が移植される場合、マウス、霊長類、およびヒトフレームワーク領域を含む、CDRが由来するドナー抗体のクラス/タイプを考慮して、任意の適切なアクセプター可変領域フレームワーク配列が使用され得る。本発明で使用することができるヒトフレームワークの例は、KOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAY、およびPOMである(Kabat et al.)。例えば、KOLおよびNEWMは、重鎖に使用することができ、REIは、軽鎖に使用することができ、EU、LAY、およびPOMは、重鎖および軽鎖の両方に使用することができる。あるいは、ヒト生殖細胞系列配列が使用され得、これらはhttp://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/で入手可能である。
【0155】
本発明で使用されるヒト化抗体において、アクセプター重鎖および軽鎖は、必ずしも同じ抗体に由来する必要はなく、必要に応じて、異なる鎖に由来するフレームワーク領域を有する複合鎖を含み得る。
【0156】
フレームワーク領域は、アクセプター抗体の配列と完全に同じ配列である必要はない。例えば、まれな残基は、そのアクセプター鎖クラスまたはタイプについてより頻繁に発生する残基に変更され得る。あるいは、アクセプターフレームワーク領域における選択された残基は、ドナー抗体において同じ位置に見られる残基に対応するように変更され得る(Reichmann et al.,1998,Nature,332,323-324を参照されたい)。そのような変化は、ドナー抗体の親和性を回復するために必要な最小限に保たれるべきである。変更される必要があり得るアクセプターフレームワーク領域における残基を選択するためのプロトコルは、WO91/09967に記載されている。
【0157】
一実施形態では、本開示の抗IL13R抗体は、完全にヒトであり、特に可変ドメインのうちの1つ以上は、完全にヒトである。
【0158】
完全ヒト分子は、重鎖および軽鎖の両方の可変領域および定常領域(存在する場合)がすべてヒト起源であるか、またはヒト起源の配列と実質的に同一であり、必ずしも同じ抗体に由来するわけではない。完全ヒト抗体の例としては、例えば、上記のファージディスプレイ法によって生成される抗体、ならびにマウス免疫グロブリン可変領域遺伝子および任意に定常領域遺伝子が、例えば、EP0546073、US5,545,806、US5,569,825、US5,625,126、US5,633,425、US5,661,016、US5,770,429、EP0438474、およびEP0463151において一般的に記載されるように、それらのヒト対応物によって置換されている、マウスによって生成される抗体が挙げられ得る。
【0159】
本明細書で使用される定常領域は、重鎖における2つの可変ドメイン、例えば、非同族可変ドメインの間に位置する定常領域部分を指すことを意図している。よって、現在開示される抗IL13R抗体は、自然発生定常ドメインまたは自然発生ドメインの誘導体などの、1つ以上の定常領域を含み得る。
【0160】
本明細書で使用される自然発生ドメインの誘導体とは、例えば、望ましくない特性を排除するが、ドメインの特徴的な機能(複数可)は保持されるように、ドメインの特性を最適化するために、自然発生配列における1、2、3、4、または5つのアミノ酸が置換または欠失された場合を指す。
【0161】
所望であれば、本開示における使用のための抗体は、1つ以上のエフェクター分子(複数可)に結合され得る。エフェクター分子は、本発明の抗体に結合することができる単一の部分を形成するように結合された単一のエフェクター分子または2つ以上のそのような分子を含み得ることが理解されよう。エフェクター分子に結合した抗体フラグメントを得ることが望まれる場合、これは抗体フラグメントが直接またはカップリング剤を介してエフェクター分子に結合する標準的な化学的または組換えDNA手順によって調製され得る。そのようなエフェクター分子を抗体に結合させるための技法は、当該技術分野において周知である(Hellstrom et al.,Controlled Drug Delivery,2nd Ed.,Robinson et al.,eds.,1987,pp.623-53、Thorpe et al.,1982,Immunol.Rev.,62:119-58、およびDubowchik et al.,1999,Pharmacology and Therapeutics,83,67-123を参照されたい)。特定の化学的手順には、例えば、WO93/06231、WO92/22583、WO89/00195、WO89/01476、およびWO03/031581に記載されるものが含まれる。あるいは、エフェクター分子がタンパク質またはポリペプチドである場合、結合は、例えば、WO86/01533およびEP0392745に記載されるように、組換えDNA手順を用いて達成され得る。
【0162】
本明細書で使用されるエフェクター分子という用語は、例えば、生物学的に活性なタンパク質、例えば、酵素、他の抗体または抗体フラグメント、合成または自然発生ポリマー、核酸およびそのフラグメント、例えば、DNA、RNA、およびそのフラグメント、放射性核種、特に放射性ヨウ化物、放射性同位体、キレート化金属、ナノ粒子、およびレポーター基、例えば、蛍光化合物またはNMRもしくはESR分光法によって検出され得る化合物を含む。
【0163】
他のエフェクター分子は、例えば、診断において、有用な検出可能な物質を含み得る。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性核種、陽電子放出金属(陽電子放出断層撮影法に使用するため)、および非放射性常磁性金属イオンが含まれる。診断薬としての使用のために抗体に結合することができる金属イオンについては、一般にUS4,741,900を参照されたい。適切な酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ、適切な補欠分子族には、ストレプトアビジン、アビジン、およびビオチンが含まれ、適切な蛍光材料には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、およびフィコエリスリンが含まれ、適切な発光材料には、ルミノールが含まれ、適切な生物発光材料には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれ、適切な放射性核種には、125I、131I、111In、および99Tcが含まれる。
【0164】
別の例では、エフェクター分子は、インビボでの抗体の半減期を増加、および/または抗体の免疫原性を低減、および/または上皮性関門を越えて免疫系への抗体の送達を増強し得る。このタイプの適切なエフェクター分子の例には、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、またはWO05/117984に記載されているものなどのアルブミン結合化合物が含まれる。エフェクター分子がポリマーである場合、それは、一般に、合成または自然発生ポリマー、例えば、任意に置換された直鎖もしくは分岐鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレン、もしくはポリオキシアルキレンポリマー、または分岐もしくは非分岐多糖類、例えば、ホモもしくはヘテロ多糖類であり得る。
【0165】
上述の合成ポリマー上に存在してもよい特定の任意の置換基は、1つ以上のヒドロキシ、メチルまたはメトキシ基を含む。
【0166】
合成ポリマーの特定の例には、任意に置換されている直鎖または分枝鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ポリ(ビニルアルコール)またはそれらの誘導体、特に任意に置換されているポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)またはその誘導体が挙げられる。
【0167】
特定の自然発生ポリマーは、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲンまたはそれらの誘導体を含む。
【0168】
本明細書で使用される「誘導体」は、反応性誘導体、例えばマレイミドなどのチオール選択的反応基を含むことを意図している。反応性基は、直接またはリンカーセグメントを介してポリマーに結合していてもよい。そのような基の残基は、ある場合には抗体フラグメントとポリマーとの間の結合基として生成物の一部を形成するであろうことが理解されるであろう。
【0169】
好ましいポリマーとしては、ポリ(エチレングリコール)、または特にメトキシポリ(エチレングリコール)またはその誘導体などの、特に約15000Da~約40000Daの範囲の分子量を有するポリアルキレンポリマーが挙げられる。
【0170】
一例では、本発明で使用される抗体は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に結合している。1つの特定の例において、抗体は抗体フラグメントであり、PEG分子は、抗体フラグメント中に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖または末端アミノ酸官能基、例えば任意の遊離アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を通して結合し得る。そのようなアミノ酸は、抗体フラグメントにおいて自然発生してもよく、または組換えDNA法を用いてフラグメントに操作されてもよい(例えば、US5,219,996、US5,667,425、WO98/25971、WO2008/038024)。一例では、本発明の抗体分子は修飾Fabフラグメントであり、ここで修飾はエフェクター分子の付着を可能にするためのその重鎖のC末端への1つ以上のアミノ酸の付加である。好ましくは、追加のアミノ酸は、エフェクター分子が結合し得る1つ以上のシステイン残基を含有する修飾ヒンジ領域を形成する。複数の部位を用いて2つ以上のPEG分子を結合することができる。
【0171】
一実施形態では、本開示の製剤に使用される抗体または結合フラグメントは、モノクローナルである。
【0172】
一実施形態では、本開示の製剤に使用される抗体または結合フラグメントは、ヒトである。
【0173】
一実施形態では、本開示の製剤に使用される抗体または結合フラグメントは、キメラまたはヒト化である。
【0174】
治療
本明細書で使用される1か月に2回未満は、少なくとも2か月の期間にわたる用量の平均を指し、例えば、2か月に3回の用量は、平均で1か月あたり1.5回の用量である。しかしながら、実際には、1か月に1回の用量、翌月に2回の用量の投与を意味するであろう。
【0175】
本開示による抗IL13R抗体もしくはその結合フラグメントまたはその製剤は、治療のために、または医薬品の製造において使用され得る。例えば、開示される抗抗IL13R抗体またはその結合フラグメントまたはその製剤は、慢性炎症などの炎症性障害、または自己免疫疾患の治療における使用に適している。
【0176】
炎症状態または障害は、例えば、リウマチ性関節炎などの関節炎、重度喘息などの喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨盤内炎症疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペイロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、外科的癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ブドウ膜炎、中枢および末梢神経系の免疫媒介性炎症性障害、例えば、多発性硬化症、ループス(全身性エリテマトーデスなど)、およびギラン・バレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、バセドウ病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植片拒絶、虚血性疾患を含む心臓疾患(心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化症など)、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、骨関節炎、歯周炎、低塩酸症、ならびに癌(乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌、肝細胞癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、腎臓癌、特に腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸癌、および甲状腺癌、ならびにそれらの転移形態を含む)を含むか、それらからなる群から選択され得る。
【0177】
一実施形態では、自己免疫疾患は、急性播種性脳脊髄炎(adem)、急性壊死性出血性白質脳炎、アジソン病、副腎機能不全、低コルチゾール血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、脊椎関節炎、シュトリュンペル-マリー病、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群(aps)、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性自律神経失調症、自己免疫性肝炎、自己免疫性高脂血症、自己免疫性免疫不全、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、カナル-スミス症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性膵炎(AIP)、自己免疫性多腺症候群(I、II、およびIII型)、自己免疫性網膜症(AR)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性蕁麻疹、軸索/神経性ニューロパチー、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、慢性再発性多巣性骨髄炎(CRMO)、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜性類天疱瘡(CP)、クローン病、炎症性腸疾患、大腸炎、腸炎、回腸炎、コーガン症候群、寒冷凝集素病、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、クレスト病、クリオグロブリン血症、脱髄性ニューロパチー、疱疹状皮膚炎、デューリング病、皮膚筋炎、糖尿病、I型、円板状エリテマトーデス(DLE)、ドレスラー症候群、子宮内膜症、表皮水疱症(EB)および後天性表皮水疱症(EBA)、好酸球性胃腸炎、食道炎、好酸球性筋膜炎、シュルマン症候群、結節性紅斑、実験的アレルギー性脳脊髄炎、エバンス症候群、線維化性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、糸球体腎炎(非増殖性:巣状分節性糸球体硬化症および膜性糸球体腎炎。増殖性:IgA腎症)、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)(以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれた)、バセドウ病、ギラン-バレー症候群、ミラーフィッシャー症候群、急性運動性軸索型ニューロパチー、急性運動感覚性軸索型ニューロパチー、急性汎自律性ニューロパチー、ビッカースタッフ型脳幹脳炎、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症(IGAN)、バージャー症候群、咽頭炎併発糸球体腎炎、IgA天疱瘡、IgG4関連硬化性疾患、免疫調節性不妊症、封入体筋炎、インスリン依存性糖尿病、間質性膀胱炎、アイザック症候群、ニューロミオトニア、若年性関節炎、若年性筋炎、川崎症候群、ランバート-イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA皮膚病(LAD)、類天疱瘡、ループス(SLE)、ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、単クローン性免疫グロブリン異常症、モーレン潰瘍、ムッハ-ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎(デビック)、ニューロミオトニア、アイザック症候群(後天性、腫瘍随伴、遺伝性)、好中球減少症、眼部瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、卵巣炎、オプソクローヌス-ミオクローヌス症候群、精巣炎、回帰性リウマチ、panda(ストレプトコッカスに関連する小児自己免疫性精神神経障害)、腫瘍随伴性自己免疫性多臓器症候群(PAMS)、腫瘍随伴性小脳変性症、腫瘍随伴性天疱瘡(PNP)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンバーグ症候群、パーソネージ-ターナー症候群、扁平部炎(末梢性ブドウ膜炎)、妊娠性類天疱瘡(PG)、尋常性天疱瘡(PV)、落葉状天疱瘡(PF)、末梢性ニューロパチー、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血、Poems症候群、結節性多発動脈炎(PAN)、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、プロゲステロン皮膚炎原発性胆汁性肝硬変、アノー症候群、原発性硬化性胆管炎(PSC)、硬化性胆管炎、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、赤芽球癆、ラスムッセン脳炎、慢性限局性脳炎(CFE)、レイノー現象、反応性関節炎、ライター症候群、レコベリン関連網膜症(RAR)、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、レストレスレッグス症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、全身性硬化症、シェーグレン症候群、精子および精巣自己免疫、スティッフパーソン/マン症候群、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、閉塞性血栓性血管炎、バージャー病、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサ-ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織疾患(UCTD)、ブドウ膜炎、リウマチ性多発筋痛症、高安動脈炎、側頭動脈炎、バージャー病、皮膚血管炎、川崎病、結節性多発性動脈炎、ベーチェット症候群、チャーグ-ストラウス症候群、皮膚血管炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、顕微鏡的多発血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、ゴルファーの血管炎、小水疱性皮膚病、ならびに白斑ウェゲナー肉芽腫症(現在は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と呼ばれる)を含むか、またはそれらからなる群から選択される。
【0178】
一実施形態では、自己免疫疾患は、ANCA血管炎、IgA腎症(バージャー)、尋常性天疱瘡/水疱性類天疱瘡、ITP、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性甲状腺炎(バセドウ病)、橋本病、ループス腎炎、膜性糸球体腎炎(または膜性腎症)、APS、重症筋無力症、視神経脊髄炎、原発性シェーグレン、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性膵炎、皮膚筋炎、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性網膜症、ベーチェット病、IPF、全身性硬化症、肝線維症、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、白斑、グッドパスチャー症候群、肺胞蛋白症、慢性自己免疫性蕁麻疹、乾癬、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、軸性脊椎関節炎、移植(GvHDを含む)、喘息、COPD、巨細胞性動脈炎、難治性自己免疫性血球減少症、エバンス症候群(自己免疫性溶血性貧血)、I型糖尿病、サルコイドーシス、多発筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、セリアック病、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、巣状分節性糸球体硬化症、慢性ライム病(ライムボレリア症)、扁平苔癬、スティッフパーソン症候群、拡張型心筋症、自己免疫性(リンパ球性)卵巣炎、後天性表皮水疱症、自己免疫性萎縮性胃炎、悪性貧血、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、ラスムッセン脳炎、ギラン-バレー症候群、後天性ニューロミオトニア、脳卒中を含むか、またはそれらからなる群から選択される。
【0179】
一実施形態では、本開示による抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または製剤は、状態が不適切な炎症に関連する慢性炎症性状態の治療に使用される。そのような状態としては、限定されないが、リウマチ性関節炎(RA)、自己免疫状態、炎症性腸疾患、非治癒性創傷、多発性硬化症、癌、アテローム性動脈硬化症、シェーグレン病、糖尿病、エリテマトーデス(全身性エリテマトーデスを含む)、喘息、線維性疾患(肝硬変を含む)、肺線維症、ならびに紫外線損傷および乾癬を挙げることができる。
【0180】
慢性炎症は、上記疾患の多くに関連した衰弱性重篤状態であり、感染もしくは損傷の部位での持続性炎症、または原因不明、もしくは自己免疫疾患などの改変した免疫応答に関連した持続性炎症を特徴とする。
【0181】
よって、一実施形態では、本開示による抗体もしくは抗原結合フラグメント、製剤、または方法は、状態が不適切な炎症に関連する任意の状態に関連する慢性炎症性状態の治療に使用される。そのような状態としては、限定されないが、リウマチ性関節炎(RA)、自己免疫状態、炎症性腸疾患、非治癒性創傷、多発性硬化症、癌、アテローム性動脈硬化症、シェーグレン病、糖尿病、エリテマトーデス(全身性エリテマトーデスを含む)、喘息、線維性疾患(肝硬変を含む)、肺線維症、紫外線損傷、および乾癬を挙げることができる。
【0182】
一実施形態では、本開示による抗体もしくはその抗原結合フラグメント、製剤、または方法は、軸性脊椎関節症、原発性胆汁性胆管炎、およびアレルギー、例えば、ピーナッツアレルギーなどの食物アレルギー、または花粉症から選択される状態の治療に使用される。
【0183】
一実施形態では、炎症性障害または自己免疫疾患は、線維症(肺線維症、例えば、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、進行性塊状線維症;肝線維症、例えば、肝硬変;心臓疾患、例えば、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞;関節線維症;デュピュイトラン拘縮;ケロイド線維症;縦隔線維症;骨髄線維症;腎性全身性線維症;後腹膜線維症;および強皮症を含む)、ホジキン病、潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎、アレルギー性鼻炎、喘息、および慢性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患を含む)を含む群から選択される。
【0184】
乳癌などの癌、癌関連リンパ浮腫(BCRL)を有する患者において、本開示の製剤は、リンパ浮腫関連作用、例えば、線維症、過角化症、線維脂肪組織の沈着、体液蓄積、四肢腫脹、皮膚弾力性の低減、および疼痛を防止し得る。過剰体積を低減することによって、当該製剤は、リンパ管および、例えば、四肢機能を改善し得る。
【0185】
リンパ損傷後のリンパ浮腫の発症は、組織炎症、CD4陽性細胞の浸潤、および2型ヘルパーT細胞(Th2)表現型へのそれらの分化に関連している。Th2細胞は、リンパ浮腫関連症状および他のTh2媒介性疾患の発症において重要な役割を果たすIL-4およびIL-13を生成する。
【0186】
一実施形態では、本開示の抗体、結合フラグメント、または製剤は、喘息の治療に使用されるか、またはその治療のための医薬品の製造に使用される。
【0187】
一実施形態では、本開示の抗体、結合フラグメント、または製剤は、皮膚炎(アトピー性皮膚炎など)の治療に使用されるか、またはその治療のための医薬品の製造に使用される。
【0188】
一実施形態では、本開示の抗体、結合フラグメント、または製剤は、乾癬の治療に使用されるか、またはその治療のための医薬品の製造に使用される。
【0189】
一実施形態では、本開示の抗体、結合フラグメント、または製剤は、単剤療法として使用される。
【0190】
一実施形態では、本明細書の製剤は、別の療法、例えば、非ステロイド性抗炎症剤および/またはステロイド(例えば、プレドニゾロンまたはプレドニゾロン)などの、抗炎症剤と組み合わせて投与される。
【0191】
本明細書で使用される「組み合わせて」とは、別の療法と同時に、抗IL13R抗体が以前に投与される場合を包含することを意図している。
【0192】
本明細書で使用される治療用量は、特に、副作用を限定する用量を誘導することなく、適切な治療レジメンで使用される場合に意図された治療効果を達成するために適しており、例えば、疾患の症状または状態を改善する、ASLAN004などの抗IL13R抗体の量を指す。適切な治療用量は、一般に、治療効果と許容される毒性との間のバランスであり、例えば、副作用および毒性が治療によって達成される利益を考えると許容される場合である。
【0193】
一実施形態では、本開示による製剤(それを含む製剤を含む)は、例えば、治療サイクルにおいて、または維持療法として、毎月投与される。
【0194】
抗IL-13R抗体の製剤
ASLAN004などの抗体は、人間において望ましい用量が可能な限り最小の体積で投与されることを可能にするように、高濃度に製剤化する必要がある。相分離などの現象が観察され得るように、高濃度の製剤には特有の課題がある。凝集は、高い抗体濃度での一般的な特徴でもある。しかしながら、製剤は、非常に高レベルの「単量体」としての抗体分子、例えば、95%以上の単量体を含有する必要がある。加えて、製剤は、保存される場合に安定である必要がある。ASLAN004は、タンパク質に疎水性部分を有するようであり、これは、例えば、高い塩濃度の不在下で疎水性相互作用カラムと相互作用する。この仮定された疎水性部分は、抗体を製剤化し、凝集を防止する場合に、さらなる複雑さを追加する。よって、本開示の抗体は、製剤化することが特に困難である。
【0195】
本発明者らは、本開示の製剤を最適化し、ASLAN004などのIL-13R抗体が、狭いパラメータのセット内での製剤に最も適していることを確立した。本開示の製剤は、高抗体濃度で製剤化される場合でさえ、高度に単量体であり、例えば、少なくとも95%単量体(例えば、98~99.5%単量体)である。加えて、製剤は、適切に安定であり、例えば、いくつかの実施形態では、4℃または25℃で90日間保存される場合、単量体の変化が観察されなかったか、または単量体の0.5%未満の低減が観察された。40℃での加速された「ストレス試験」研究はまた、例えば、効力測定を使用して、本開示の製剤が60日間にわたって安定であることを示す。
【0196】
IL-13受容体抗体またはその結合フラグメントの安定化に寄与する、pHを含む、本開示の製剤の特徴の組み合わせ。
【0197】
一実施形態では、本開示の製剤は、例えば、周囲温度で、4.5~5.5の範囲、例えば、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、または5.5cP(センチポアズ)、例えば、4.9cPの粘度を有する。驚くべきことに、本開示の製剤の粘度は、高濃度の抗体でさえ比較的低い。
【0198】
一実施形態では、製剤の浸透圧は、350~450mOsmo/kgの範囲、例えば、390~430mOsmo/kg、特に410+/-5mOsmo/kgである。
【0199】
一実施形態では、製剤は、10~145mg/mlの抗IL13R抗体、例えば、10~125mg/ml、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、または120mg/ml、特に20mg/mlまたは100mg/mlの抗IL13R抗体をさらに含む。
【0200】
一実施形態では、本開示の特定の製剤は、例えば、2~25℃の範囲の温度で90日間保存された場合に、5%以下、例えば、4、3、2、1%以下のタンパク質凝集を有する。
【0201】
現在開示されている抗IL13R抗体製剤は、抗IL13R抗体の安定した長期保存に特に適している。
【0202】
本明細書で使用する長期とは、少なくとも6か月の期間、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36か月を指す。一実施形態では、開示される製剤保存は、少なくとも12か月、例えば、12か月、18か月、および24か月間である。
【0203】
一実施形態では、製剤は、2~8℃の範囲、例えば、2、3、4、5、6、7、または8℃、例えば、4℃の温度で保存される。
【0204】
一実施形態では、例えば、注入または注射のための非経口製剤(特に液体製剤)が提供される。一実施形態では、注射用の液体、例えば、注射用のグルコース、生理食塩水、または水での希釈のための濃縮物として液体非経口製剤が提供される。一実施形態では、液体非経口製剤は、希釈なしでの投与、例えば、注射または注入のために、最終濃度で提供される。
【0205】
一実施形態では、アルギニンは、L-アルギニンである。
【0206】
本明細書の文脈において、「含む(comprising)」は「含む(including)」と解釈されるべきである。特定の特徴/要素を含む本発明の実施形態は、関連する要素/特徴「からなる(consisting)」または「から本質的になる(consisting essentially)」代替の実施形態にも及ぶことも意図する。
【0207】
技術的に適切な場合には、本発明の実施形態を組み合わせることができる。
【0208】
特許および出願などの技術的参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0209】
本明細書に具体的かつ明示的に列挙されたいかなる実施形態も、単独で、または1つ以上のさらなる実施形態と組み合わせてのいずれかで、免責条項の原則を形成し得る。
【0210】
本明細書の見出しは、文書をセクションに分割するために使用され、本明細書で提供される開示の意味を解釈するために使用されることを意図していない。
【0211】
本明細書は、2019年3月26日に提出されたSG10201902713S、2019年6月3日に提出されたSG10201905063R、および2019年8月16日に提出されたSG10201907597Wからの優先権を主張する。これらの各々、特に配列および図は、参照によって組み込まれる。優先権文書は、本明細書の訂正の基礎として使用され得る。
【0212】
本発明は、例示のためだけにある以下の例においてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【
図1】3mg/KgのIV用量についてのIgEアッセイを示す
【
図2】0.1mg/kgのASLAN004が静脈内投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。
【
図3】0.3mg/kgのASLAN004が静脈内投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。
【
図4】1mg/kgのASLAN004が静脈内投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。S5021 D85 ROデータポイントは、アッセイエラーのために除外した。S5016およびS5017のD15は、D12で試験した。S5021のD85は、D82で試験した。
【
図5】3.0mg/kgのASLAN004が静脈内投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。S5032のD15は、D12に試験された。
【
図6】10.0mg/kgのASLAN004が静脈内投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。
【
図7】ASLAN004 SAD PKデータ-IV(測定された血清レベル)を示す。
【
図8】75mg/kgのASLAN004が皮下投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。
【
図9】150mg/kgのASLAN004が皮下投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。
【
図10】300mg/kgのASLAN004が皮下投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。
【
図11】600mg/kgのASLAN004が皮下投与される場合のpSTAT6およびROアッセイの結果を示す。
【
図12A】ASLAN004PKデータとデュピルマブPKデータ(A)静脈内(B)皮下(測定された血清レベル)との比較を示す。
【
図12B】ASLAN004PKデータとデュピルマブPKデータ(A)静脈内(B)皮下(測定された血清レベル)との比較を示す。
【
図13】デュピルマブと比較されるASLAN004のより低いC
トラフの背後にある潜在的な理論の概略図を示す。
【0214】
略語
pSTAT6-シグナル伝達兼転写活性化因子6
RO-受容体占有
IV-静脈内
SC-皮下
SAD-単一上昇用量
AE-有害事象
PD-薬力学
【実施例】
【0215】
ASLAN004製剤
ASLAN004の2つの製剤:20mg/mlのASLAN004製剤および100mg/mlのASLAN004製剤を調製した。各製剤は、20mMのヒスチジン-HCl pH6.5、180mMのスクロース、100mMのアルギニン、および0.02%ポリソルベート20を含む。
【0216】
単一上昇用量(SAD)研究
健康なボランティアに、シリンジドライバーを介した、または皮下注射(SC)を介した60分の静脈内注入(IV)で単一用量のASLAN004製剤を投与した。以下のコホートを実施した。
【0217】
【0218】
皮下(SC)コホート7~10は、静脈内(IV)コホート3が完了した後に並行して実施した。
【0219】
安全性評価は、有害事象(AE)、バイタルサイン、および他の臨床検査パラメータを含んだ。PKおよびPDパラメータの評価のために一連の血液試料を採取した。試料は、用量前、用量の1時間後、用量の24時間後、用量の1週間後(8日目)、用量の2週間後(15日目)、用量の4週間後(29日目)、および用量の12週間後(85日目)に採取した。IgEレベルを測定し、pSTAT6およびROアッセイを実施した。
【0220】
IgE試験
図1は、3mg/kgのIV用量が与えられたボランティアの試料結果を示す。基準点として、通常の予想されるIgE範囲は、0~87IU/mlである。
図1からわかるように、ASLAN004は、IgEレベルの約34%低減をもたらし、IgEの最低レベルは、15日目(用量後2週間)に測定された。PD効果は、約29日目(用量後4週間)に喪失された。
【0221】
したがって、結果は、IgEレベルの抑制におけるASLAN004の有効性を示し、炎症障害を治療するその可能性を示す。
【0222】
有害事象(AE)プロファイル
ASLAN004に直接起因し得るAEは観察されなかった。24時間以内に解消した軽度のかゆみの1例のみで、注射部位反応は観察されなかった。ボランティアは、共通の第I相AEプロファイルを有した。結膜炎またはドライアイも報告されなかった。これは、デュピルマブで治療された患者とはまったく対照的であり、処方ラベルによると患者の約10%、最近の文献報告によると25~50%もがこの副作用に罹患している。
【0223】
したがって、結果は、ASLAN004が安全で忍容性が良好であり、デュピルマブで治療された患者に見られる副作用を回避することを示す。
【0224】
SAD薬物動態および薬力学
pSTAT6およびROアッセイの結果を
図2~11に示す。静脈内(IV)コホートの結果(
図2~6)は、0.1mg/kgの用量が、ASLAN004の投与の1時間以内にほぼ完全な受容体占有を達成することができたことを示す。しかしながら、この効果は持続されず、pSTAT6および%遊離受容体レベルはその後まもなく上昇し始めた。0.3mg/kgの用量は、わずかに良好に機能し、完全な受容体阻害を達成し、これは約24時間続いた。しかしながら、pSTAT6および%遊離受容体レベルは、この後再び着実に上昇する。
【0225】
対照的に、1mg/kgの投与量レベルでは、pSTAT6および%遊離受容体レベルの持続的な阻害がASLAN004による治療後約1週間(8日目)観察された。投与量を3mg/kgに上昇させることは、この効果を約2週間(15日目)にさらに延長した。この一般的な傾向は、10mg/kgの投与量レベルで継続し、完全な阻害が約4週間(29日目)達成された。
【0226】
皮下(SC)コホート(
図8~11)について、結果は、75mgの用量が、ASLAN004の投与の24時間以内にほぼ完全な受容体占有を達成することができたことを示す。しかしながら、この効果は持続されず、pSTAT6および%遊離受容体レベルはその後まもなく上昇し始めた。
【0227】
しかしながら、150mgの投与量レベルでは、pSTAT6および%遊離受容体レベルの持続的な阻害がASLAN004による治療後約1週間(8日目)観察された。投与量を300mgに上昇させることは、この効果を約2週間(15日目)にさらに延長した。同様の結果は、600mgのSC用量についても観察された。
【0228】
以下の表は、600mgSCを投与された対象についてのPDに対する対象体重の影響を示す。
【0229】
【表2】
これらの結果は、増加する対象体重がPD持続時間に悪影響を与えることを示し得る。
【0230】
以下の表は、試験された様々な用量についてのPD詳細を要約する。
【0231】
【0232】
図12Aおよび12Bは、それぞれ、IVおよびSCについて、ASLAN004のPKデータをデュピルマブのPKデータと比較する。
【0233】
要約すると、PK結果は、ASLAN004が、静脈内投与(IV)される場合、1時間未満の早期作用発現を有することを示す。加えて、完全なPD効果(すなわち、IL-13Rα1への100%結合および/またはpSTAT6シグナル伝達の完全な阻害)は、約1mg/lで達成された。この完全なPD効果は、約600mg(すなわち、10mg/kg)の用量および10mg/lの予想されるCトラフで約1か月間続くと予測され得る。
【0234】
比較のために、デュピルマブは、61.5mg/lのCトラフレベル(16週目のデータに基づく)を有し、IL-4Rαの完全な結合を提供するために隔週の投与量を必要とする。
【0235】
理論に縛られることなく、本発明者らは、ASLAN004がIL-13Rα1を標的とし、デュピルマブがIL-4Rαを標的とするため、ASLAN004についてデュピルマブと比較してより低いCトラフを達成することができると考える。インビボでは、IL-13Rα1の数は、IL-4Rαの数を大幅に上回る。これは、デュピルマブと比較してより高いレベルの標的媒介性沈着のため、より低いレベルのASLAN004抗体が必要であることを意味する。
【0236】
よって、ASLAN004の薬力学的プロファイルは、ASLAN004がデュピルマブと比べて非常に遜色ないことを示し、アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患を治療するためのASLAN004の毎月の投与の可能性を示す。
【0237】
600mg以上のASLAN004が静脈内投与(10mg/kg)された場合、投与後1時間未満で100%の受容体占有およびSTAT6リン酸化の完全阻害を示した。これらの効果は、単一用量のASLAN004後29日超にわたって維持され、毎月の投与が達成可能であり得ることを示す。ASLAN004によるIL-4およびIL-13シグナル伝達の急速な阻害はまた、アトピー性皮膚炎およびアレルギー性喘息患者における症状緩和の早期開始につながり得る。
【配列表】
【国際調査報告】