(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】増強型トランスフェクション
(51)【国際特許分類】
C12N 15/87 20060101AFI20220603BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20220603BHJP
C07K 7/00 20060101ALI20220603BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20220603BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220603BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20220603BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220603BHJP
A61P 7/00 20060101ALN20220603BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20220603BHJP
A61P 17/02 20060101ALN20220603BHJP
A61P 19/08 20060101ALN20220603BHJP
A61P 3/10 20060101ALN20220603BHJP
A61P 25/28 20060101ALN20220603BHJP
A61P 25/16 20060101ALN20220603BHJP
A61P 19/02 20060101ALN20220603BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
C12N15/113 Z ZNA
C07K7/00
C07K14/00
A61K48/00
A61K35/12
A61K38/16 200
A61P7/00
A61P43/00 105
A61P17/02
A61P19/08
A61P3/10
A61P25/28
A61P25/16
A61P19/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556847
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 GB2020050766
(87)【国際公開番号】W WO2020188302
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511093498
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノッティンガム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディクソン、ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084BA44
4C084DC32
4C084NA14
4C084ZA151
4C084ZA161
4C084ZA511
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB211
4C084ZC202
4C084ZC351
4C087AA02
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZA15
4C087ZA16
4C087ZA51
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZC33
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA17
4H045EA20
4H045FA20
(57)【要約】
本発明は、細胞に分子をトランスフェクトする方法であって、該細胞へのトランスフェクションのための分子を添加するステップ、該細胞内のプロテインキナーゼC(PKC)の活性を調節するステップ、および/または、約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドを提供するステップを含む方法、ならびに療法における関連する組成物および使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞に分子をトランスフェクトする方法であって、
前記細胞へのトランスフェクションのための分子を添加するステップ、ならびに
前記細胞内のプロテインキナーゼC(PKC)の活性を調節するステップ、および/または、約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドを提供するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記細胞内のPKCの活性の調節が、PKC活性の活性化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PKC活性の調節が、ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA)、インゲノール3-アンゲラート(I3A)およびブリオスタチンを含む群から選択されるPKCのモジュレーター、もしくはその機能的類似体および誘導体、またはPKCの発現を阻害するよう配置された遺伝子サイレンサーsiRNAであるPKCのモジュレーターの添加によって提供される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記PKC活性の調節が、トランスフェクション開始後約1~約3時間の時点で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞内のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の調節をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
HDAC活性の調節が、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、パノビノスタット、トリコスタチンA(TSA)、ツバスタチンA、およびバルプロ酸を含む群から選択されるHDAC阻害剤、もしくはその機能的類似体および誘導体、またはHDACの発現を阻害するよう配置された遺伝子サイレンサーsiRNAであるHDACのモジュレーターの添加によって提供される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
PKC活性のPMA/TPA活性化が、HDAC阻害剤であるパノビノスタット、TSAまたはSAHAのうちの1つ以上と組み合わせて提供される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記トランスフェクションのための分子が、核酸、タンパク質、ペプチドまたはナノ粒子を含むかまたはそれらからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸が、1つ以上の遺伝子配列および/または1つ以上の調節配列をコードするDNAである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記トランスフェクションのための分子が、転写因子、または転写因子をコードする核酸を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トランスフェクションのための分子が、成長因子または成長因子をコードする核酸を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記トランスフェクションのための分子が、トランスフェクション送達分子と会合している、トランスフェクション送達分子と複合体を形成している、トランスフェクション送達分子内に捕捉されている、またはトランスフェクション送達分子に連結されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記トランスフェクション送達分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、ウイルス粒子、ウイルス様粒子、非ウイルス性分子、合成ポリマー、およびグリコサミノグリカン(GAG)結合増強型導入物(GET)カーゴ分子、またはそのpH介在性変異体を含む群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
トランスフェクションのための前記細胞または細胞の集団が、末梢血単核細胞(PBMC)、造血幹細胞(HSC)、間葉系幹細胞(MSC)、人工多能性幹細胞(IPSC)、ヒト胚性幹細胞(HESC)、精子、卵母細胞、骨格筋細胞、脳細胞、および肺細胞、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
pH応答性ペプチドが、10~25個のK残基および/またはL残基の配列をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記pH応答性ペプチドが、配列KLLKLLLKLLLKLLK(H
5~20)を含むまたはその配列からなる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
組成物であって、
PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドと、
トランスフェクションのための分子と、
を含む、組成物。
【請求項18】
HDACモジュレーターをさらに含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
キットであって、
PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドと、
トランスフェクションのための分子と、
を含む、キット。
【請求項20】
HDACモジュレーターをさらに含む、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
細胞トランスフェクション効率を高めるための、PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドの、場合によりHDACモジュレーターと組み合わせた、使用。
【請求項22】
遺伝子療法の方法であって、対象に、
(a)PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチド、ならびに
(b)核酸を含む、トランスフェクションのための分子
を投与することを含む、方法。
【請求項23】
対象の処置方法であって、前記対象に、
(a)PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチド、ならびに
(b)治療上有効な分子を含む、トランスフェクションのための分子
を投与することを含む、方法。
【請求項24】
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法によって形質転換した細胞を対象に投与することを含む、対象の処置方法。
【請求項25】
トランスフェクションのための分子と組み合わせて薬剤として使用するための、PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞トランスフェクションの方法、トランスフェクションのための関連試薬、および該方法の治療上の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子送達は、細胞プロセスの調査および操作、ならびに療法のための有用なツールである。ヒト細胞のエクスビボ遺伝子改変は、該ヒト細胞の治療上の可能性を有意に改善することが示されている。学術研究室および臨床研究室のいずれにおいても最も一般的に利用される核酸送達ビヒクルは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターは、非常に効率的であることが実証されている。しかしながら、宿主ゲノムへのウイルスベクターの無作為な組込みについての可能性があり、このことは必須の遺伝子発現および細胞プロセスを妨害することができる。安全性の懸念、ウイルス遺伝子送達の高いコストおよび技術の困難性により、非ウイルス遺伝子送達系の開発に注目が集まっている。
【0003】
非ウイルス遺伝子送達は、多くの細胞株において比較的高い効率を有するが、幹細胞および有糸分裂後の細胞は、現行の非ウイルス送達法では非応答性(0~35%のトランスフェクション効率)であることが公知である。非ウイルス遺伝子送達の不十分なトランスフェクション効率を克服するために開発された1つの方法が、電気穿孔法である。電気穿孔法は、高いトランスフェクションをもたらすが、トランスフェクション後の低い細胞生存率をもたらし、スケーラビリティが懸念される。すべて特殊な設定を必要とする代替方法としては、微量注射、遺伝子銃、ソノポレーション、レーザーおよび細胞変形がある。現在のところ、非ウイルス遺伝子送達を使用したトランスフェクト困難細胞型における高いトランスフェクション効率は、未解決のままである。
【0004】
近年開発された別の送達方法が、Dixonら(参照により本明細書に組み込まれるPCT公報:国際公開第2015092417号)によって開示されている。生細胞内へのカーゴ分子の導入の方法であって、カーゴと、グリコサミノグリカン(GAG)結合要素(細胞表面上のGAGに結合することができる)と、タンパク質導入ドメインとを含む送達分子が、細胞内へのタンパク質の効率的な導入を提供する、方法が開示される。このアプローチの変法は、特許出願公開番号国際公開第2016207638号(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されており、該公開は、カーゴに結合するためのカーゴまたはカーゴ結合分子と、タンパク質導入ドメインと、細胞の表面上のGAGに結合することができるGAG結合要素とを含むpH介在性細胞送達ビヒクルであって、該GAG結合要素が、酸性環境下でプロトン化され得る1つ以上のヒスチジン残基を含むように改変されたペプチドである、pH介在性細胞送達ビヒクルを開示する。トランスフェクション方法の進歩にもかかわらず、いくつかの細胞型はトランスフェクションが困難なままである。それゆえ、さらなる改善についての必要性がある。
【0005】
トランスフェクトしにくい細胞のトランスフェクションを改善することを目指して、Hoら(2016)は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の化学的阻害が非ウイルストランスフェクションの方法を増強することができることを実証した。このことは、トランスフェクションプロセスを支援するために細胞活性を改変することが可能であることを示唆している。
【0006】
また、先のトランスフェクション方法は、タンパク質およびナノ粒子など、核酸以外の分子を細胞にトランスフェクトすることができることも望ましく、公知である。それゆえ、核酸送達と、さもなければ細胞膜を通過することが困難であろうタンパク質、ペプチドおよびナノ粒子などの他のカーゴの両方を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、トランスフェクトするのが困難な細胞を含む、細胞の改善されたトランスフェクション効率を提供することとする。
【0008】
本発明の第1の態様によると、細胞に分子をトランスフェクトする方法であって、
該細胞へのトランスフェクションのための分子を添加するステップと、
該細胞内のプロテインキナーゼC(PKC)の活性を調節し、および/または、約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドを提供するステップ
を含む方法が提供される。
【0009】
pH応答性ペプチドのヒスチジン残基は、エンドソームの酸性環境下でプロトン化されることができる可能性がある。
【0010】
本発明は、驚くべきことに、細胞内のPKC活性の、場合によりヒストンデアセチラーゼ(HDAC)調節を伴う調節が、細胞のトランスフェクション、有利には、現にゴールドスタンダード試薬で効率的にトランスフェクトすることができない細胞型のトランスフェクションを劇的に増強する上で有意な効果を有することを発見している。特に、本明細書中の本発明は、HDAC調節単独についてのトランスフェクション効率の効果が3~10倍程度で効率を高め、PKC調節単独では効率の有意に大きな10~20倍の上昇を提供することができ、かつ、HDAC調節およびPKC調節がまとまって、効率の驚くべき50~200倍またはそれより大きな上昇を提供することができることを発見した。
【0011】
PKC調節
細胞内のPKCの活性を調節することは、作用因子を細胞に添加して、細胞内のPKCの活性を調節することを含むことができる。
【0012】
一実施形態では、細胞内のPKCの活性の調節は、PKC活性の阻害を含む。阻害は、活性における完全な(すなわち、100%の)阻害または低減を含むことができる。別の実施形態では、阻害は、活性の有意なまたは実質的な阻害または低減を含むことができる。細胞内のPKCの活性は、少なくとも5%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも10%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも20%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも50%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも80%阻害することができる。当業者は、PKC阻害の成功またはレベルが、1つ以上のPKC標的のリン酸化状態を検出することによって判定されることができることを理解するであろう。
【0013】
細胞内のPKCの活性は、PKCの阻害剤によって阻害することができる。一実施形態では、細胞内のPKCの活性を調節することは、PKCのモジュレーターを細胞に添加することを含む。PKCのモジュレーターは、PKC阻害剤であってよい。
【0014】
一実施形態では、細胞内のPKCの活性の調節は、PKC活性の活性化を含む。活性化は、有意なまたは実質的な活性化または活性の上昇を含むことができる。細胞内のPKCの活性は、少なくとも5%上昇させることができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも10%上昇させることができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも20%上昇させることができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも50%上昇させることができる。別の実施形態では、細胞内のPKCの活性は、少なくとも80%上昇させることができる。当業者は、PKC活性化の成功またはレベルが、1つ以上のPKC標的のリン酸化状態を検出することによって判定されることができることを理解するであろう。
【0015】
細胞内のPKCの活性は、PKCの活性化因子によって上昇させることができる。一実施形態では、細胞内のPKCの活性を調節することは、PKCのモジュレーターを細胞に添加することを含む。PKCのモジュレーターは、PKC活性化因子であってよい。一実施形態では、細胞内のPKCの活性の調節は、細胞内のPKCの発現を上方調節することを含む。発現を上方調節させることは、PKCを上方調節させることができる分子を提供することによって達成することができる。分子は、siRNAなどの核酸であってよい。分子は、PKCをコードするDNAまたはRNAなどの、過剰発現のための核酸であってよい。
【0016】
PKCのモジュレーターは、ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA)、インゲノール3-アンゲラート(I3A)およびブリオスタチンを含む群から選択することができる。一実施形態では、PKCのモジュレーターは、ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA)(12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセタート(TPA)としても公知)を含む。別の実施形態では、PKCのモジュレーターは、インゲノール3-アンゲラート(I3A)を含む。別の実施形態では、PKCのモジュレーターは、ブリオスタチンを含む。当業者は、このようなモジュレーターの機能的類似体および誘導体もまた代替として使用することができることを認識するであろう。別の実施形態では、PKCのモジュレーターは、PKCアイソフォームの発現を阻害し、それにより、その活性を低減させるための、siRNAなどの遺伝子サイレンサーであってよい。
【0017】
一実施形態では、PKCのモジュレーターは、ビスインドリルマレイミドI(さもなくば2-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)インドール-3-イル]-3-(インドール-3-イル)マレイミドまたはGFX(GF109203X)、カルホスチンC、およびGo6976(5,6,7,13-テトラヒドロ-13-メチル-5-オキソ-12H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-12-プロパンニトリル)を含む群から選択されるPKCの阻害剤、またはその組み合わせであってよい。
【0018】
一実施形態では、細胞内のPKCの活性の調節は、細胞内のPKCの発現を下方調節することを含む。発現を下方調節させることは、PKCを下方調節させることができる分子を提供することによって達成することができる。該分子は、PKCの発現を抑制することができるsiRNAなどの核酸であってよい。当業者は、細胞内のPKCなどの特定のタンパク質を上方調節するおよび下方調節するための技術に精通しているであろう。
【0019】
PKCのモジュレーターは、活性化などの所望の調節を提供するための有効な濃度および量で提供されることができる。当業者は、異なるPKC調節薬が、PKCの有効な調節のために異なる濃度および量を必要とし得ることを認識するであろう。例えば、PKCモジュレーターの量は、10nm~約10μmであってよい。別の実施形態では、PKCモジュレーターの量は、0.1~100μMであってよい。別の実施形態では、PKCモジュレーターの量は、10nm~1μMであってよい。別の実施形態では、PKCモジュレーターの量は、0.1~1μMであってよい。
【0020】
例えば、PKC活性調節のための作用薬を添加することによるPKCの活性の調節は、トランスフェクションのための分子を細胞に添加することと同時に、またはその後であってよい。理論に拘束されるものではないが、PKC調節は、トランスフェクションのための分子のエンドソーム放出にとって重要であることが理解される。それゆえ、PKC調節は、細胞内へのエンドソーム放出を増強するのに適した時点であってよい。
【0021】
PKC活性の阻害などの調節は一時的であってよい。例えば、調節は、トランスフェクションプロセスを助けるのに十分な時間生じることができる。PKC活性の活性化などの調節は、4時間以内であってよい。PKC活性の活性化などの調節は、トランスフェクションの開始後であってよい。PKC活性の活性化などの調節は、トランスフェクションの開始後3時間までであってよい。一実施形態では、PKC活性の活性化などの調節は、トランスフェクションの開始後約1~約3時間の時点であってよい。別の実施形態では、PKC活性の活性化などの調節は、トランスフェクションの開始後約12~約24時間の時点であってよい。別の実施形態では、PKC活性の活性化などの調節は、トランスフェクションの開始後約0~約24時間の時点であってよい。
【0022】
HDAC調節
細胞に分子をトランスフェクトする方法はさらに、細胞内のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の調節を含むことができる。一実施形態では、細胞内のHDACの活性の調節は、HDAC活性の阻害を含む。細胞内のHDACの阻害などの調節は、細胞内のPKCの活性の活性化などの調節と同時であってよい。一実施形態では、HDACは阻害され、PKCは活性化される。別の実施形態では、HDACが阻害され、PKCは阻害される。別の実施形態では、HDACが活性化され、PKCは活性化される。別の実施形態では、HDACが活性化され、PKCは阻害される。
【0023】
有利なことに、より特異的またはより幅広い特異性を有するいくつかのHDAC阻害剤(HDACi)はすべて、複数の細胞株において毒性を伴わずにあるレベルのトランスフェクション促進活性を示した。
【0024】
HDAC阻害は、HDACの活性における完全な(すなわち、100%の)阻害または低減を含むことができる。別の実施形態では、阻害は、HDACの活性の有意なまたは実質的な阻害または低減を含むことができる。細胞内のHDACの活性は、少なくとも5%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のHDACの活性は、少なくとも10%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のHDACの活性は、少なくとも20%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のHDACの活性は、少なくとも50%阻害することができる。別の実施形態では、細胞内のHDACの活性は、少なくとも80%阻害することができる。当業者は、HDAC阻害の成功またはレベルが、ヒストンデアセチラーゼアッセイ(例えば、Sigma-Aldrich/Merck製のHistone Deacetylase Assay Kit,Fluorometric、または同等のアッセイおよびそのキット)などのアッセイによって決定されることができることを理解するであろう。
【0025】
HDACの阻害は、HDAC阻害剤の使用を含むことができる。それゆえ、一実施形態では、細胞に分子をトランスフェクトする方法はさらに、分子のトランスフェクションの間または前にHDAC阻害剤を添加することを含むことができる。
【0026】
HDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、パノビノスタット、トリコスタチンA(TSA)、ツバスタチンAおよびバルプロ酸を含む群から選択することができる。一実施形態では、HDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)を含む。別の実施形態では、HDAC阻害剤は、パノビノスタット、トリコスタチンA(TSA)を含む。別の実施形態では、HDAC阻害剤は、ツバスタチンAを含む。別の実施形態では、HDAC阻害剤は、バルプロ酸を含む。当業者は、このような阻害剤の機能的類似体および誘導体もまた代替として使用することができることを認識するであろう。別の実施形態では、HDAC阻害剤は、HDACの発現を阻害し、それにより、その活性を低減させるための、siRNAなどの遺伝子サイレンサーであってよい。
【0027】
一実施形態では、細胞内のHDACの活性の調節は、例えば、HDACエンハンサーを提供することによってHDAC活性を増強することを含む。HDACエンハンサーは、N-アセチルチオ尿素を含むことができる。追加的または代替的に、HDAC阻害剤は、HDAC活性を増強するために阻害されることができる。例えば、HDAC阻害剤TSAは、阻害されることができる。TSA阻害剤は、ISTA1を含むことができる。
【0028】
一実施形態では、細胞内のHDACの活性の調節は、細胞内のHDACの発現を上方調節することを含む。発現を上方調節させることは、HDACを上方調節させることができる分子を提供することによって達成することができる。分子は、siRNAなどの核酸であってよい。分子は、HDACをコードするDNAまたはRNAなどの、過剰発現などの発現のための核酸であってよい。HDAC活性を増強するための分子は、HDACをコードするベクターおよび場合により発現を駆動するためのプロモーターを含むことができる。当業者は、細胞内のHDACなどの特定のタンパク質を上方調節するおよび下方調節するための技術に精通しているであろう。
【0029】
PKCおよびHDACの阻害の組み合わせは、パノビノスタット、TSAまたはSAHAのうちの1つ以上と組み合わせたPMA/TPAの使用を含むことができる。
【0030】
トランスフェクトされる細胞がT細胞もしくはB細胞またはそれらのハイブリッドである実施形態では、PKCモジュレーターは、PMA/TPAを含むことができる。トランスフェクトされる細胞が2ハイブリッドヒトT/B細胞である実施形態では、PKCモジュレーターは、PMA/TPAを含むことができる。
【0031】
トランスフェクトされる細胞がマクロファージ細胞である実施形態では、PKCモジュレーターは、PMA/TPAを含むことができ、これはさらにHDAC阻害剤SAHAと一緒に使用することができる。トランスフェクトされる細胞がリンパ芽球化様細胞株細胞(LCL)である実施形態では、PKCモジュレーターは、PMA/TPAを含むことができ、これはさらにHDAC阻害剤SAHAと一緒に使用することができる。LCL細胞は、リンパ芽球化様ヒトB細胞であってよい。
【0032】
HDACのモジュレーターは、HDAC活性の所望の阻害を提供するための有効な濃度および量で提供されることができる。当業者は、異なるHDAC阻害剤が、HDACの有効な阻害のために異なる濃度および量を必要とすることができることを認識するであろう。例えば、HDAC阻害剤の量は、10nM~約100μMであってよい。別の実施形態では、HDACモジュレーターの量は、0.1~100μMであってよい。別の実施形態では、HDACモジュレーターの量は、0.1~10μMであってよい。別の実施形態では、HDACモジュレーターの量は、1~10μMであってよい。
【0033】
HDAC阻害は一時的であってよい。例えば、阻害は、トランスフェクションプロセスを助けるのに十分な時間生じることができる。HDAC阻害は、4時間以内であってよい。HDAC阻害は、トランスフェクションの開始後であってよい。HDAC阻害は、トランスフェクションの開始後6時間までであってよい。一実施形態では、HDACの阻害は、トランスフェクションの開始後約1~約6時間の時点であってよい。
【0034】
一実施形態では、HDAC阻害および阻害などのPKC調節は、互いに実質的に同時であってよい。
【0035】
トランスフェクションのための分子
トランスフェクションのための分子は、それ自体では細胞内のプロテインキナーゼC(PKC)の活性を調節することができない可能性がある。トランスフェクションのための分子は、阻害剤または活性化因子など、プロテインキナーゼC(PKC)モジュレーターを含むことができないかまたは該モジュレーターからなることができない。
【0036】
トランスフェクションのための分子は、核酸ベクターなどの核酸を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、オリゴヌクレオチドを含むことができる。トランスフェクションのための分子は、siRNA、修飾メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA、DNA、PNA、LNAまたはそれらのコンストラクトから選択される群のうちのいずれかを含むことができる。一実施形態では、トランスフェクションのための分子は、DNAである。タンパク質またはペプチドについてコードするまたはコードしない、DNAなどの核酸である。DNAなどの核酸は、1つ以上の遺伝子配列および/または1つ以上の調節配列を含むことができる。
【0037】
別の実施形態では、トランスフェクションのための分子は、タンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、ペプチドを含むことができる。トランスフェクションのための分子は、生理学的または代謝上関連するタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、細胞内タンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、シグナル経路に関与するタンパク質であるシグナルタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、細胞の発現または代謝の調節に関与するタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、細胞分裂に関与するタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、幹細胞分化などの細胞分化に関与するタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、多能性幹細胞の誘導に必要なタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、心臓細胞分化に関与するタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、タンパク質マーカーなどのマーカーを含むことができる。トランスフェクションのための分子は、細菌タンパク質または細菌由来のタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、哺乳動物タンパク質または哺乳動物由来のタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、何らかのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であってよい。トランスフェクションのための分子は、研究用、診断用または治療用分子を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、シグナル生成のメンバーである転写モジュレーターを含むことができる。トランスフェクションのための分子は、酵素もしくはその基質、プロテアーゼ、酵素活性モジュレーター、パーチュバイマー(perturbimer)およびペプチドアプタマー、抗体、タンパク質間相互作用のモジュレーター、成長因子、または分化因子を含むことができる。
【0038】
トランスフェクションのための分子は、プレタンパク質であってよい。例えば、細胞内への進入の際または後に開裂するように構成された送達分子内に切除ドメインが提供されることができる。トランスフェクションのための分子は、細胞内で翻訳後修飾されるように配置されたタンパク質であってよい。トランスフェクションのための分子は、細胞内に入ると機能するように配置されることができる。例えば、トランスフェクションのための分子は、細胞内へのトランスフェクションの後まで機能的でなくてよい。
【0039】
トランスフェクションのための分子は、何らかの細胞内分子を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、細胞内機能(作用様式)、細胞内受容体、細胞内リガンド、または細胞内基質を有する何らかのタンパク質または分子を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、天然に/通常は細胞内へと内在化したタンパク質または分子を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、細胞表面受容体など、細胞表面に送達または提示することを意図したタンパク質を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、治療用分子、薬物、プロドラッグ、酵素もしくは転写因子などの機能的タンパク質もしくはペプチド、微生物のタンパク質もしくはペプチド、および毒素、またはこれらをコードする核酸を含む群のうちのいずれかから選択することができる。
【0040】
一実施形態では、トランスフェクションのための分子は、転写因子、または転写因子をコードする核酸を含むことができる。追加的または代替的に、トランスフェクションのための分子は、成長因子または成長因子をコードする核酸を含むことができる。
【0041】
トランスフェクションのための分子は、毒素、jun、fosなどのホルモン転写因子、max、mad、血清応答因子(SRF)、AP-1、AP2、myb、MyoD、ミオゲニン、ETSボックス含有タンパク質、TFE3、E2F、ATF1、ATF2、ATF3、ATF4、ZF5、NFAT、CREB、HNF4、C/EBP、SP1、CCAATボックス結合タンパク質、インターフェロン調節因子(IRF-1)、ウィルムス腫瘍タンパク質、ETS結合タンパク質、STAT、GATA-ボックス結合タンパク質、例えば、GATA-3、HIF1aおよびRUNTなどの転写因子、ウィングドヘリックスタンパク質のフォークヘッドファミリー、カルバモイルシンテターゼI、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギノコハク酸シンテターゼ、アルギノコハク酸リアーゼ、アルギナーゼ、フマリルアセトアセタートヒドロラーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、α1アンチトリプシン、グルコース-6-ホスファターゼ、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ、第VIII因子、第IX因子、シスタチオンβシンターゼ、分枝鎖ケト酸デカルボキシラーゼ、イソバレリル-coAデヒドロゲナーゼ、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、メチルマロニルCoAムターゼ、グルタリルCoAデヒドロゲナーゼ、β-グルコシダーゼ、ピルバートカルボキシラート、肝ホスホリラーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グリシンデカルボキシラーゼ、Hタンパク質、Tタンパク質、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)配列、ジストロフィンcDNA配列、Oct-3/4(Pou5f1)、Sox2、c-Myc、Klf4、RPE65Nanog、およびSoxB1、もしくはこれらの断片、ならびに/またはそれらの組み合わせを含む群のうちのいずれかから選択することができる。
【0042】
成長因子は、アドレノメデュリン(AM)、アンギオポエチン(Ang)、自己分泌型細胞運動刺激因子、骨形成タンパク質(BMP)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、白血病抑制因子(LIF)、インターロイキン6(IL-6)、コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、表皮成長因子(EGF)、エフリン、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞成長因子(FGF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、ペルセフィン、アルテミン、成長分化因子9(GDF9)、肝細胞成長因子(HGF)、肝癌由来成長因子(HDGF)、インスリン、インスリン様成長因子、インターロイキン、ケラチノサイト成長因子(KGF)、遊走刺激因子(MSF)、肝細胞成長因子様タンパク質(HGFLP)としても公知のマクロファージ刺激タンパク質(MSP)、ミオスタチン(GDF-8)、ニューレグリン、ニューロトロフィン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン、胎盤成長因子(PGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、レナラーゼ(RNLS)、抗アポトーシス生存因子、T細胞成長因子(TCGF)、トロンボポエチン(TPO)、形質転換成長因子、形質転換成長因子α(TGF-α)、形質転換成長因子β(TGF-β)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、血管内皮成長因子(VEGF)、およびWnt、もしくはこれらの組み合わせ、ならびに/またはこのような成長因子をコードする核酸を含む群から選択される成長因子を含むことができる。
【0043】
トランスフェクトされる核酸は、細胞内の成長因子を上方制御する可能性があるか、または上方制御することができる可能性がある。一実施形態では、トランスフェクトされる核酸は、細胞内のBMP2および/またはVEGFの発現を上方制御するか、または上方制御することができる。
【0044】
トランスフェクトされる核酸は、転写因子をコードすることができる。トランスフェクトされる核酸は、BMP2および/またはVEGFをコードすることができる。
【0045】
一実施形態では、トランスフェクションのための分子は、ウイルス粒子またはウイルス様粒子(VLP)などのタンパク質の複合体を含むことができる。ウイルス粒子またはウイルス様粒子(VLP)はさらに、核酸を含むことができる。
【0046】
一実施形態では、トランスフェクションのための分子は、金属ナノ粒子またはポリマーナノ粒子などのナノ粒子を含むことができる。ナノ粒子は、金属ロッドなどのロッドであってよい。ナノ粒子は、多孔質であってよい。トランスフェクションのための分子は、ナノ構造を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、非小分子を含むことができる。
【0047】
トランスフェクションのための分子は、タンパク質-タンパク質複合体、タンパク質-mRNA、タンパク質-非コードRNA、タンパク質-脂質およびタンパク質-小分子複合体などの非共有結合性複合体を含むことができる。このような複合体の例は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)およびスプライセオソームである。
【0048】
トランスフェクションのための分子は、少なくとも1KDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、少なくとも5KDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、少なくとも10KDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、少なくとも20KDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、400KDa以下の分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、300KDa以下の分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、約0.5KDa~約400kDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、約1KDa~約400kDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、約0.5KDa~約200kDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、約1KDa~約200kDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、約2KDa~約300kDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、約20KDa~約300kDaの分子量を有することができる。トランスフェクションのための分子は、約20KDa~約100kDaの分子量を有することができる。
【0049】
トランスフェクションのための分子がアミノ酸を含む場合、トランスフェクションのための分子は、長さが約20~約30,000アミノ酸であってよい。トランスフェクションのための分子は、長さが約20~約10,000アミノ酸であってよい。トランスフェクションのための分子は、長さが約20~約5,000アミノ酸であってよい。トランスフェクションのための分子は、長さが約20~約1000アミノ酸であってよい。トランスフェクションのための分子は、長さが少なくとも約20アミノ酸であってよい。トランスフェクションのための分子は、長さが少なくとも約100アミノ酸であってよい。
【0050】
一実施形態では、トランスフェクションのための分子は、トランスフェクション送達分子と会合しているか、トランスフェクション送達分子と複合体を形成しているか、トランスフェクション送達分子内に捕捉されているか、またはトランスフェクション送達分子に連結されている。一実施形態では、トランスフェクションのための分子は、トランスフェクション送達分子のカーゴである。トランスフェクションのための分子(すなわち、カーゴ)は、トランスフェクション送達分子にイオン結合するかまたは共有結合するなどの結合することができる可能性がある。トランスフェクションのための分子(すなわち、カーゴ)は、トランスフェクション送達分子に結合するための要素を含むことができる。トランスフェクションのための分子は、ビオチン、または代替的にストレプトアビジンを含むことができる。トランスフェクションのための分子は、ビオチン化されていてよい。トランスフェクションのための分子は、トランスフェクション送達分子上の相補的親和性タグに結合することができる親和性タグを含むことができる。
【0051】
トランスフェクションのための分子は、トランスフェクションのための分子とトランスフェクション送達分子とを含む融合ペプチドであってよい。
【0052】
「トランスフェクションのための分子」および「カーゴ」という用語は、本明細書では相互交換可能に使用することができる。
【0053】
トランスフェクション送達分子
トランスフェクション送達分子は、核酸、ペプチド、タンパク質、ウイルス粒子、ウイルス様粒子、非ウイルス性分子、合成ポリマー、およびグリコサミノグリカン(GAG)結合増強型導入物(GET)カーゴ分子を含む群から選択することができる。一実施形態では、トランスフェクション送達分子は、グリコサミノグリカン(GAG)結合増強型導入物(GET)カーゴ分子(本明細書では「GET系」または「GET分子」と称する)を含む。
【0054】
GET系の有利なトランスフェクション効率は、PCT公開番号WO第2015092417号に詳細に説明されている。GET分子をPKC修飾剤と一緒に、場合によりさらにHDACiと一緒に使用することにより、リポフェクタミン製品(Life Technologies製)などのゴールドスタンダードのトランスフェクション技術を有意に上回るトランスフェクションレベルが有利に生じる。
【0055】
一実施形態では、トランスフェクション送達分子は、
・カーゴと、
・グリコサミノグリカン(GAG)結合要素であって、該細胞の表面上のGAGに結合することができるGAG結合要素と、
・タンパク質導入ドメインと、
を含む、GAG結合増強型導入物(GET)送達分子であってよい。
【0056】
別の実施形態では、トランスフェクション送達分子は、
・カーゴに結合するためのカーゴ結合分子であって、場合により該カーゴがカーゴ結合分子に結合したカーゴ結合分子と、
・グリコサミノグリカン(GAG)結合要素であって、該細胞の表面上のGAGに結合することができるGAG結合要素と、
・タンパク質導入ドメインと、
を含む、GAG結合増強型導入物(GET)送達分子であってよい。
【0057】
GAG結合要素は、タンパク質導入ドメインとは異なってよい。GAG結合要素は、タンパク質導入ドメインに対して構造および/または配列が異なってよい。GAG結合要素は、タンパク質導入ドメインに対して異なる細胞表面分子に特異的であってよい。GAG結合要素は、タンパク質導入ドメインよりも細胞表面分子に特異的であってよい。一実施形態では、GAG結合要素は、本明細書に説明するタンパク質導入ドメインではない。一実施形態では、タンパク質導入ドメインは、本明細書に説明するように、特異的GAG結合要素ではない。当業者は、タンパク質導入ドメインが細胞表面上のGAGに結合していてもしていなくてもよいが、結合することがGAGに特異的ではないかまたは優先的ではないことを理解するであろう。GAG結合要素は、タンパク質導入ドメインによるGAGの非特異的結合と比較して、GAGに優先的に結合することができる。
【0058】
GAG結合要素は、ヘパリン硫酸グリコサミノグリカン(HS-GAG)結合要素であってよく、細胞の表面上のHS-GAGに結合することができる。
【0059】
ヘパラン硫酸グリコサミノグリカン(HS-GAG)は、2つまたは3つのHS鎖が細胞表面または細胞外マトリックスタンパク質に近接して結合しているプロテオグリカンである。HSが様々なタンパク質リガンドに結合し、発達過程、血管新生、血液凝固および腫瘍転移をはじめとする幅広い種々の生物学的活性を調節するのはこの形態である。ヘパラン硫酸は、炭水化物のグリコサミノグリカンファミリーのメンバーであり、構造においてヘパリンと非常に密接に関連している。いずれも、易変性に硫酸化された反復二糖単位からなる。ヘパラン硫酸内で最も一般的な二糖単位は、典型的には二糖単位全体の約50%を構成するN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)に結合したグルクロン酸(GlcA)から構成される。
【0060】
GAG結合要素は、GAGに対して特異的親和性を有することができる。HS-GAG結合要素は、HS-GAGに対して特異的親和性を有することができる。HS-GAG結合要素は、ヘパリン結合ドメイン(HBD)またはその変異体を含むことができる。ヘパリン結合ドメイン変異体は、切形型ヘパリン結合ドメインまたは伸長型ヘパリン結合ドメインを含むことができる。GAG結合要素は、GAGに特異的または優先的に結合する何らかのタンパク質、ペプチドまたは分子を含むことができる。HS-GAG結合要素は、HS-GAGに特異的または優先的に結合する何らかのタンパク質、ペプチドまたは分子を含むことができる。
【0061】
HS-GAG結合要素は、ヘパリン結合EGF様成長因子(HB-EGF)のヘパリン結合ドメインの少なくとも一部を含むことができる。ヘパリン結合ドメインは、HB-EGFのP21を含むことができる。ヘパリン結合ドメインは、P21の切形型変異体、伸長型変異体、または機能的変異体を含むことができる。
【0062】
HS-GAG結合要素は、線維芽細胞成長因子のヘパリン結合ドメインまたはその機能的変異体を含むことができる。
【0063】
HS-GAG結合要素は、FGF、ATIIIなどのアンチトロンビン、VEGF、BMP、Wnt、Shh、EGF、およびPDGFを含む群またはこれらの変異体のいずれかから選択することができる。HS-GAG結合要素は、FGF2、FGF7、またはPDGFのうちのいずれかを含むことができる。HS-GAG結合要素は、何らかのFGFタンパク質のヘパリン結合硫酸ドメイン(例えば、ドメインA、ドメインBまたはドメインC)のうちの1つ以上を含むことができる。HS-GAG結合要素は、FGF4を含むことができる。HS-GAG結合要素は、FGF1 HBD A(ヘパラン硫酸結合ドメインA(FGF1の第1のHBDドメイン))、FGF2 HBD A(ヘパラン硫酸結合ドメインA)、FGF4 HBD A(ヘパラン硫酸結合ドメインA)、FGF1 HBD C(ヘパラン硫酸結合ドメインC)、FGF2 HBD B(ヘパラン硫酸結合ドメインB)、FGF2 HBD C(ヘパラン硫酸結合ドメインC)、FGF4 HBD C(ヘパラン硫酸結合ドメインC)、FGF7 HBD B(ヘパラン硫酸結合ドメインB)、FGF7 HBD C(ヘパラン硫酸結合ドメインC)、ATIIIなどのアンチトロンビン、VEGF、もしくはPDGF、またはこれらの変異体を含むことができる。
【0064】
HS-GAG結合要素は、肝細胞成長因子、インターロイキン、モルフォゲン、HS-GAG結合酵素、Wnt/無翅・無翼奇形、エンドスタチン、口蹄疫ウイルスタンパク質などのウイルスタンパク質、アネキシンV、リポタンパク質リパーゼを含む群またはそれらのHS-GAG結合断片のうちのいずれかから選択することができる。HS-GAG結合要素は、HS-GAGを特異的に結合することができる何らかのタンパク質、ペプチドまたは分子を含むことができる。
【0065】
「変異体」は、機能的変異体を含むと当業者によって理解されてよく、ここで、公知の、報告された、開示されたまたは特許請求された配列とはいくつかの配列差があってよいが、該変異体は依然としてHS-GAGに結合することができる。保存的アミノ酸置換もまた、「変異体」の意味の範囲内で想定される。
【0066】
HS-GAG結合要素は、アミノ酸配列KRKKKGKGLGKKRDPCLRKYK(P21、配列番号1)を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号1と少なくとも80%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号1と少なくとも95%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号1と少なくとも98%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号1と少なくとも99%の同一性を有する配列を含むことができる。
【0067】
HS-GAG結合要素は、アミノ酸配列GRPRESGKKRKRKRLKPT(PDGF、配列番号3)を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号3と少なくとも80%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号3と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号3と少なくとも95%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号3と少なくとも98%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号3と少なくとも99%の同一性を有する配列を含むことができる。
【0068】
HS-GAG結合要素は、アミノ酸配列TYASAKWTHNGGEMFVALNQ((FGF7、HBD B)配列番号5)を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号5と少なくとも80%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号5と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号5と少なくとも95%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号5と少なくとも98%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号5と少なくとも99%の同一性を有する配列を含むことができる。
【0069】
HS-GAG結合要素は、アミノ酸配列TYRSRKYTSWYVALKR((FGF2、HBD B)配列番号7)を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号7と少なくとも80%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号7と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号7と少なくとも95%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号7と少なくとも98%の同一性を有する配列を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号7と少なくとも99%の同一性を有する配列を含むことができる。
【0070】
配列同一性は、標準的なBLAST整列パラメータ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/によって提供)によって決定することができる。
【0071】
GAG結合要素は、GAG結合抗体、またはその変異体もしくは断片を含むことができる。HS-GAG結合要素は、HS-GAG結合抗体、またはその変異体もしくは断片を含むことができる。抗体断片は、抗体可変ドメイン、scFv、ダイアボディ、FAb、Dab、F(ab)’2、重鎖-軽鎖二量体、または一本鎖構造であってよい。抗体変異体は、CDR、抗体模倣物、またはDARPinを含むタンパク質足場を含むことができる。
【0072】
GAGまたはHS-GAG結合要素は、ナノボディ(軽鎖を欠きかつラクダ科で天然に生じる、重鎖抗体由来の単一ドメイン抗原結合断片)を含むことができる。
【0073】
単一ドメイン抗体は、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含むVHH断片を含むことができ、この中で、
CDR1は、GFTVSSNEまたはGFAFSSYAのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができ、
CDR2は、ISGGSTまたはIGTGGDTのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができ、かつ
CDR3は、GRRLKDまたはSLRMNGWRAHQのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができる。
【0074】
単一ドメイン抗体は、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含むVHH断片を含むことができ、この中で、
CDR1は、GFTVSSNEのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができ、
CDR2は、ISGGSTのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができ、かつ
CDR3は、GRRLKDのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができる。
【0075】
あるいは、CDR3は、アミノ酸配列GMRPRL、HAPLRNTRTNT、GSRSSR、GRTVGRN、GKVKLPN、SGRKGRMR、SLRMNGWRAHQ、またはRRYALDYを含むことができる。
【0076】
単一ドメイン抗体は、CDR1と、CDR2と、CDR3とを含むVHH断片を含むことができ、この中で、
CDR1は、GFAFSSYAのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができ、
CDR2は、IGTGGDTのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができ、かつ
CDR3は、SLRMNGWRAHQのアミノ酸配列を含むことができるか、または該アミノ酸配列からなることができる。
【0077】
あるいは、CDR3は、アミノ酸配列LKQQGIS、AMTQKKPRKLSL、HAPLRNTRTNT、GMRPRL、RRYALDY、またはSGRKYFRARDMNを含むことができる。
【0078】
HS-GAG結合要素は、(参照により本明細書に組み込まれるJenniskens et al(2000.The Journal of Neuroscience,20(11):4099-4111)およびSmits,et al(2006.METHODS IN ENZYMOLOGY,VOL.416,pp.61-87)において説明されるような)抗HS scFv抗体AO4B08、AO4B05、AO4F12、RB4CB9、RB4CD12、RB4EA12、もしくはRB4EG12、またはこれらの断片を含むことができる。HS-GAG結合要素は、AO4B08を含むことができる。HS-GAG結合要素は、AO4B08、AO4B05、AO4F12、RB4CB9、RB4CD12、RB4EA12、またはRB4EG12のCDR1、CDR2およびCDR3を含むことができる。HS-GAG結合要素は、AO4B08のCDR1、CDR2およびCDR3を含むことができる。
【0079】
HS-GAG結合要素は、(参照により本明細書に組み込まれるWijnhoven et al(2008)Glycoconj J 25:177-185)およびSmits,et al(2006.METHODS IN ENZYMOLOGY,VOL.416,pp.61-87)において説明されるような)HS3A8、LKIV69、EW3D10、EW4G2、NS4F5、RB4EA12、HS4E4またはHS4C3を含むことができる。HS-GAG結合要素は、HS4E4またはHS4C3を含むことができる。HS-GAG結合要素は、HS3A8、LKIV69、EW3D10、EW4G2、NS4F5、RB4EA12、HS4E4またはHS4C3のCDR1、CDR2およびCDR3を含むことができる。HS-GAG結合要素は、HS4E4またはHS4C3のCDR1、CDR2およびCDR3を含むことができる。
【0080】
HS-GAG結合要素は、配列番号15または17(AO4B08)を含むことができる。HS-GAG結合要素は、配列番号11または13(HS4C3)を含むことができる。HS-GAG結合要素は、抗体、または抗体断片、重鎖および/もしくは軽鎖を含むことができる。HS-GAG結合要素は、抗体、または抗体断片、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖ならびに/もしくはLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖を含むことができる。
【0081】
本発明の一実施形態では、タンパク質導入ドメインはGAGではない。別の実施形態では、タンパク質導入ドメインはGAGとは異なる。
【0082】
タンパク質導入ドメインは、親水性または両親媒性であってよい。タンパク質導入ドメインは、親水性アミノ酸残基の大部分を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、アルギニンアミノ酸残基および/またはリジンアミノ酸残基の大部分を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、アミノ酸配列モチーフの反復した周期的な配列を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、ペネトラチン、HIV由来TATなどのTAT、MAP、またはトランスポータン、pVec、またはpep-1を含むことができる。
【0083】
残基の「大部分」に言及する場合、このことは残基の50%超を含むことが当業者によって理解されることができる。大部分は、残基の55%、60%、70%、80%、90%または95%であってよい。
【0084】
タンパク質導入ドメインは、以下を含む群のいずれかから選択することができる。
ペネトラチンまたはアンテナペディアPTD RQIKWFQNRRMKWKK、
HIVトランス活性化タンパク質(TAT)YGRKKRRQRRR、
Synembryn B(SynB)1 RGGRLSYSRRRFSTSTGR、
SynB3 RRLSYSRRRF;
PTD-4 PIRRRKKLRRLK;
PTD-5 RRQRRTSKLMKR;
フロックハウスウイルス(FHV)コート-(35-49)RRRRNRTRRNRRRVR、
ブロムモザイクウイルス(BMV)Gag-(7-25)KMTRAQRRAAARRNRWTAR、
ヒトT細胞リンパ増殖性ウイルス(HTLV)-II Rex-(4-16)
TRRQRTRRARRNR、
D-Tat GRKKRRQRRRPPQ、
R9-Tat GRRRRRRRRRPPQ、
トランスポータン GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKILキメラ、
微小管結合タンパク質(MAP)KLALKLALKLALALKLA、
ストレプトアビジン結合ペプチド(SBP)
MGLGLHLLVLAAALQGAWSQPKKKRKV、
葉酸結合タンパク質(FBP)GALFLGWLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、
ヒト3-メチルアデニン-DNAグリコシラーゼ)(MPG)
ac-GALFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV-cya、
10MPG-核局在化配列(NLS)
ac-GALFLGFLGAAGSTMGAWSQPKSKRKV-cya、
Pep-1 ac-KETWWETWWTEWSQPKKKRKV-cya、および
Pep-2 ac-KETWFETWFTEWSQPKKKRKV-cya、または
RxN(4<N<17)キメラなどのポリアルギニン、KxN(4<N<17)キメラなどのポリリジン、(RAca)6R、(RAbu)6R、(RG)6R、(RM)6R、(RT)6R.(RS)6R、R10、(RA)6R、R7、およびR8。
【0085】
タンパク質導入ドメインは、ポリアルギニンまたはポリリジンを含むことができる。タンパク質導入ドメインは、アルギニンおよびリジンリピート配列を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、連続的なアルギニン残基などのアルギニン残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、アルギニン残基から本質的になることができる。タンパク質導入ドメインは、4~20個のアルギニン残基などのアルギニン反復を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、8個のアルギニン残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約6~約12個のアルギニン残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約7~約9個のアルギニン残基を含むことができる。
【0086】
タンパク質導入ドメインは、約4~約12個のアミノ酸残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約6~約12個のアミノ酸残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約7~約9個のアミノ酸残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、少なくとも約4個のアミノ酸残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、少なくとも約6個のアミノ酸残基を含むことができる。
【0087】
タンパク質導入ドメインは、連続的なリジン残基などのリジン残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、リジン残基から本質的になることができる。タンパク質導入ドメインは、4~20個のリジン残基などのリジン反復を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、8個のリジン残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約4~約12個のリジン残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約6~約12個のリジン残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約7~約9個のリジン残基を含むことができる。
【0088】
タンパク質導入ドメインは、連続的なQR反復残基など、Q残基およびR残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、Q残基およびR残基から本質的になることができる。タンパク質導入ドメインは、4~20個のOR反復残基などのQR反復を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、8個のQR反復残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約6~約12個のQR反復残基を含むことができる。タンパク質導入ドメインは、約7~約9個のQR反復残基を含むことができる。
【0089】
一実施形態では、カーゴはカーゴ結合分子に結合している。カーゴは、送達分子の製造中、製造後、使用前、または使用中にカーゴ結合分子に結合していてよい。
【0090】
カーゴ結合分子は、カーゴ分子のための担体であってよい。単一のカーゴ結合分子は、複数のカーゴ分子を結合して該分子を担持することができる。カーゴ結合分子は、細胞内への内在化の前にカーゴを保護することができる。カーゴ結合分子は、ビオチン化カーゴ上のビオチンに結合することができる可能性がある。カーゴ結合分子は、核酸系カーゴに結合することができる可能性がある。カーゴ結合分子は、ペプチド系カーゴに結合することができる可能性がある。カーゴ結合分子は、抗体カーゴまたはその断片もしくは模倣物に結合することができる可能性がある。カーゴ結合分子は、金属またはポリマーナノ粒子などのナノ粒子カーゴに結合することができる可能性がある。カーゴ結合分子は、細胞内で機能的に不活性であってよいが、活性のあるカーゴを担持することができるか、または該カーゴに結合することができる。カーゴ結合分子は、化学リンカー分子を含むことができる。カーゴ結合分子は、親和性タグを含むことができる。カーゴ結合分子は、ペプチドまたはタンパク質を含むことができる。カーゴ結合分子は、mSA2(ストレプトアビジン2単量体)を含むことができる。カーゴ結合分子は、LK15などの核酸相互作用ペプチドを含むことができる。カーゴ結合分子は、IgG結合タンパク質などの抗体結合分子を含むことができる。IgG結合タンパク質は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)IgG含有タンパク質SpABを含むことができる。当業者は、分子の何らかの適切な対または群が、カーゴおよびカーゴ結合分子について使用されることができ、ただし、該分子が、該カーゴおよび該カーゴ結合分子との間で十分な結合または親和性を有することを条件とすることを理解するであろう。
【0091】
カーゴとカーゴ結合分子との間の結合または相互作用は、例えば、細胞内環境において可逆的または分解可能であってよい。
【0092】
GAG結合要素およびタンパク質導入ドメインは、直接的な化学的共役によって、またはリンカー分子を経て、カーゴおよび/またはカーゴ結合分子に結合することができる。GAG結合要素およびタンパク質導入ドメインは、直接的な化学的共役によって、またはリンカー分子を経て、カーゴに結合することができる。GAG結合要素およびタンパク質導入ドメインは、直接的な化学的共役によって、またはリンカー分子を経て、カーゴ結合分子に結合することができる。GAG結合要素、タンパク質導入ドメインおよびカーゴは、単一の融合分子であってよい(例えば、単一の融合分子は、単一のペプチド分子としてコードされることができおよび転写されることができる)。GAG結合要素、タンパク質導入ドメインおよびカーゴ結合分子は、単一の融合分子であってよい(例えば、単一の融合分子は、単一のペプチド分子としてコードされることができおよび転写されることができる)。タンパク質導入ドメインおよびGAG結合要素は、カーゴ結合分子および/またはカーゴに挟まれていることができる。
【0093】
送達分子は、長さが約10~約30,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約20~約30,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約30~約30,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約40~約30,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約10~約10,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約20~約10,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約40~約10,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約10~約3,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約20~約3,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約40~約3,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約10~約1000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約20~約1000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約40~約1000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約40~約500アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約10~約500アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約20~約500アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが約100~約3,000アミノ酸であってよい。送達分子は、長さが少なくとも約100アミノ酸であってよい。
【0094】
送達分子は、単一の融合分子であってよい。カーゴ、HS-GAG結合要素、およびタンパク質導入ドメインは、一緒に融合していることができる。HS-GAG結合要素およびタンパク質導入ドメインは、カーゴを挟んでいることができる。カーゴ、HS-GAG結合要素、およびタンパク質導入ドメインは、1つ以上のリンカー分子によって一緒に連結していることができる。
【0095】
送達分子は、少なくとも1KDaの分子量を有することができる。送達分子は、少なくとも5KDaの分子量を有することができる。送達分子は、少なくとも10KDaの分子量を有することができる。送達分子は、少なくとも20KDaの分子量を有することができる。送達分子は、400KDa以下の分子量を有することができる。送達分子は、300KDa以下の分子量を有することができる。送達分子は、約0.5KDa~約400kDaの分子量を有することができる。送達分子は、約1KDa~約400kDaの分子量を有することができる。送達分子は、約0.5KDa~約200kDaの分子量を有することができる。送達分子は、約1KDa~約200kDaの分子量を有することができる。送達分子は、約2KDa~約300kDaの分子量を有することができる。送達分子は、約20KDa~約300kDaの分子量を有することができる。送達分子は、約20KDa~約100kDaの分子量を有することができる。
【0096】
カーゴは、イオン結合または共有結合など、タンパク質導入ドメインおよび/またはGAG結合要素に結合することができ得る。
【0097】
一実施形態では、トランスフェクション送達分子は、送達のための分子(カーゴ)を含む。特に、送達のための分子(すなわち、カーゴ)およびトランスフェクション送達分子は、「トランスフェクション送達分子」と称することができる。
【0098】
細胞/細胞の集団
細胞は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞であってよい。細胞は、癌性細胞であってよい。細胞は、幹細胞であってよい。細胞は、変異細胞であってよい。細胞は、細胞の集団を含んでよい。細胞の集団は、細胞型の混合集団であってよい。細胞は、iHMSCなどの間葉系幹細胞であってよい。細胞は、胚性幹細胞であってよい。細胞は、ヒト多能性幹細胞(hPSC)などの多能性幹細胞であってよい。
【0099】
一実施形態では、トランスフェクションのための細胞または細胞の集団は、LCLまたはRAW246.7などの血球である。一実施形態では、トランスフェクションのための細胞または細胞の集団は、BV2などのミクログリアである。
【0100】
一実施形態では、トランスフェクションのための細胞または細胞の集団は、末梢血単核細胞(PBMC)、造血幹細胞(HSC)、間葉系幹細胞(MSC)、人工多能性幹細胞(IPSC)、ヒト胚性幹細胞(HESC)、精子、卵母細胞、骨格筋細胞、脳細胞、および肺細胞、またはそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。
【0101】
肺細胞は、肺胞細胞を含んでよい。脳細胞は、ニューロンおよび/またはグリア細胞を含んでよい。骨格筋細胞は、筋細胞および/または筋芽細胞を含んでよい。
【0102】
当業者は、トランスフェクトされる細胞の数が、用途、およびトランスフェクションがインビボであるかインビトロであるかに応じて異なってよいことを認識するであろう。一実施形態では、例えばインビトロで、トランスフェクトされる細胞の数は、少なくとも1000個の細胞、5000個の細胞、1×103個の細胞、5×103個の細胞、または8×103個の細胞、またはそれを超える細胞を含む。別の実施形態では、例えばインビボで、トランスフェクトされる細胞の数は、少なくとも1000個の細胞、5000個の細胞、1×103個の細胞、5×103個の細胞、8×103個の細胞、1×104個の細胞、1×105個の細胞、1×106個の細胞、1×107個の細胞、または1×108個の細胞、またはそれを超える細胞を含む。
【0103】
本方法はさらに、例えば、トランスフェクトされる細胞の接触を容易にし、トランスフェクション効率を高めるために、トランスフェクトされる細胞と共に送達分子を遠心分離することを含んでよい。
【0104】
他の方法の詳細
本方法は、インビトロまたはインビボで実施することができる。本方法がインビボで実施される実施形態では、トランスフェクトされる細胞は対象の体内にあってよい。対象は、ヒトなどの哺乳動物であってよい。
【0105】
本方法がインビトロで実施される実施形態では、トランスフェクトされる細胞は対象から単離されてよい。細胞は、維持された細胞株、または対象から抽出された維持された細胞培養物であってよい。
【0106】
本方法がインビボで実施される実施形態では、PKCモジュレーターおよび/またはトランスフェクションのための分子は、対象に投与することができる。HDAC阻害をさらに提供する実施形態では、HDAC阻害剤を対象に投与することができる。PKCモジュレーターおよび/またはトランスフェクションのための分子は、医薬として許容され得る賦形剤中で提供することができる。HDAC阻害剤は、医薬として許容され得る賦形剤中で提供することができる。投与は、全身、および/またはトランスフェクトされるインサイツの細胞に直接的であってよい。
【0107】
細胞に分子をトランスフェクトする方法は、非ウイルストランスフェクション法であってよい。「非ウイルストランスフェクション法」は、トランスフェクションのための分子がウイルス起源ではない何らかのトランスフェクション法を包含することが当業者によって理解されることができる。
【0108】
有利なことに、非ウイルストランスフェクション法は、ウイルストランスフェクション法と比較して、導入遺伝子発現の持続時間がより短いことを可能にし、いろいろなサイズのDNAを輸送することを可能にし、より安価であり、調製がより容易であり、インビボ免疫応答をほとんどまたは全く生じない。
【0109】
インビトロトランスフェクションは、細胞成長培地、緩衝液または生理塩類溶液中で実施することができる。
【0110】
pH介在性エンドソーム逸出
一実施形態では、トランスフェクション送達分子は、約5~20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドと組み合わせて送達されるなど使用することができる。
【0111】
ヒスチジンはかなりの緩衝能を呈するので、後期エンドソームまたはリソソームの低いpH値でプロトン化されるであろう。ヒスチジンのイミダゾール環などの非プロトン化残基は、エンドソーム/リソソーム内へとポンプ注入されるときにプロトンを吸収することができ、より多くのプロトンがポンプ注入されるのをもたらし、Cl-イオンおよび水の流入の上昇につながることを説明する「プロトン-スポンジ」仮説がある。浸透圧膨潤と、プロトン化アミン基間の反発によるカーゴ内での正に帯電した残基の膨潤との組み合わせは、エンドソーム/リソソーム膜の破裂を引き起こし、その後、その内容物が細胞質中へと放出される。
【0112】
後期エンドソームおよびリソソーム中へのプロトン輸送の上昇は、ATP駆動性V-ATPアーゼによるものである。このポンプはプロトンの持続的な輸送が可能であり、細胞質ゾル中で十分なATPが利用可能である限り、V-ATPアーゼ活性は小胞膜を横切るプロトン勾配を保持することを目的とする。GETペプチドはリソソームを緩衝する可能性が高いが、V-ATPアーゼポンプは、プロトンの流入を上昇させることによって小胞の大部分を酸性に保つ。プロトンの流入が上昇しても、「プロトンスポンジ」仮説のために、pHの変化は観察されない。
【0113】
一実施形態では、約5~20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドを、本明細書に説明するGAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子に添加することができる。特に、pH応答性ペプチドは、本明細書に説明するGAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子に結合していることができるか、またはトランスフェクション送達分子と複合体形成することができる。pH応答性ペプチドは、例えば、融合ペプチドの形態で、本明細書に説明するGAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子に共有結合していることができる。
【0114】
別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、トランスフェクション送達分子と共に提供されるアクセサリーペプチドであってよい。一実施形態では、pH応答性ペプチドは、エンドソーム小胞内で放出されるナノ粒子内に含有されていてよい。
【0115】
別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、本明細書に説明するGAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子のPTD(タンパク質導入ドメイン/CPP)を置き換えることができる。
【0116】
一実施形態では、pH応答性ペプチドは、5~20個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、5~12個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、8~20個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、5~15個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、8~15個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、8~12個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、9~11個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、10個のヒスチジン残基と、核酸と相互作用する配列とを含むか、または該残基と該配列とからなる。
【0117】
核酸と相互作用する配列は、核酸を、好ましくは非特異的に、例えば該核酸の電荷を介して待つことができる可能性がある。核酸と相互作用する配列は両親媒性であってよく、それによってエンドソームの逸出機能も有することができる。核酸と相互作用する配列は、長さが5~30残基であってよい。核酸と相互作用する配列は、長さが25、30または40残基以下であってよい。核酸と相互作用する配列は、複数のK残基および/もしくはL残基を含むことができるか、または該複数のK残基および/もしくはL残基からなることができる。核酸と相互作用する配列は、10~25個のK残基および/もしくはL残基を含むことができるか、または該10~25個のK残基および/もしくはL残基からなることができる。核酸と相互作用する配列は、15個のK残基および/もしくはL残基を含むことができるか、または該15個のK残基および/もしくはL残基からなることができる。K残基およびL残基は交互であることができるか、またはpH応答性ペプチドはKLLおよび/もしくはKLLLの繰返し単位を含むことができる。核酸と相互作用する配列は、KLLKLLLKLLLKLLK(配列番号19)もしくはその変異体を含むことができるか、またはそれらからなることができる。該変異体は、配列番号19と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性を有することができる。
【0118】
一実施形態では、pH応答性ペプチドは、配列KLLKLLLKLLLKLLKHHHHHHHHHH(本明細書では「LK15-10H」と称される)(配列番号20)もしくはその変異体を含むかまたは該配列もしくはその変異体からなる。該変異体は、配列番号20と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性を有することができる。一実施形態では、pH応答性ペプチドは、配列KLLKLLLKLLLKLLK(H5~20)(配列番号21)を含むまたは該配列からなる。
【0119】
pH応答性ペプチドがGAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子に結合している実施形態では、pH応答性ペプチドは、GAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子のタンパク質導入ドメインを置き換えることができる。pH応答性ペプチドがGAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子に結合している別の実施形態では、pH応答性ペプチドは、GAGペプチドなどのトランスフェクション送達分子のタンパク質導入ドメインに加えて提供することができる。
【0120】
一実施形態では、pH応答性ペプチドを有するトランスフェクション送達分子は、次の配列を含むまたは該配列からなる。
FLHTYRSRKYTSWYVALKRKLLKLLLKLLLKLLKHHHHHHHHHH (配列番号22)(FGF2B-LK15-10H)(本明細書では「44」とも称される)。
【0121】
一実施形態では、pH応答性ペプチドを有するトランスフェクション送達分子は、次の配列を含むまたは該配列からなる。
TYRSRKYTSWYVALKRKLLKLLLKLLLKLLKHHHHHHHHHHRRRRRRRR (配列番号23)(FGF2B-LK15-10H-8R)(本明細書では「FLHR」とも称される)。
【0122】
一実施形態では、pH応答性ペプチドを有するトランスフェクション送達分子は、次の配列を含むまたは該配列からなる。
TYRSRKYTSWYVALKRKLLKLLLKLLLKLLKRRRRRRRRHHHHHHHHHH (配列番号24)(FGF2B-LK15-8R-10H)(本明細書では「FLRH」とも称される)。
【0123】
一実施形態では、pH応答性ペプチドを有するトランスフェクション送達分子は、次の配列を含むまたは該配列からなる。
TYRSRKYTSWYVALKRRRRRRRRRKLLKLLLKLLLKLLKHHHHHHHHHH (配列番号25)(FGF2B-8R-LK15-10H)(本明細書では「FRLH」とも称される)。
【0124】
他の態様
本発明の別の態様によると、組成物であって、
PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドと、
トランスフェクションのための分子と、
を含む、組成物が提供される。
【0125】
好ましくは、pH応答性ペプチドの5~20個のヒスチジン残基は、エンドソームの酸性環境下でプロトン化されることができる。
【0126】
該組成物の一実施形態では、PKCのモジュレーターは、PKC阻害剤であってよい。該組成物は、HDAC阻害剤をさらに含んでよい。該組成物は、医薬として許容され得る組成物であってよい。
【0127】
本発明の別の態様によると、キットであって、
PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドと、
トランスフェクションのための分子と、
を含む、キットが提供される。
【0128】
該キットの一実施形態では、PKCのモジュレーターは、PKC阻害剤であってよい。
【0129】
該キットは、HDAC阻害剤をさらに含んでよい。該キットの構成要素は、別々にまたは組成として提供されてよい。
【0130】
該キットは、遠心管と、場合により遠心分離機をさらに備えてよい。
【0131】
トランスフェクションのための分子は、凍結乾燥した形態にあってよい。該キットは、緩衝液などの再構成溶液を追加として備えてよい。
【0132】
本発明の別の態様によると、トランスフェクションのための分子の細胞へのトランスフェクションを増強する方法であって、
該細胞へのトランスフェクションのための分子を添加するステップと、
該細胞内のプロテインキナーゼC(PKC)の活性を調節し、および/または、約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドを提供して、該細胞内のエンドソーム放出を増強するステップと、
を含む方法が提供される。
【0133】
pH応答性ペプチドは、内在化後にエンドソーム内でプロトン化されることができる。
【0134】
トランスフェクションのための分子は、それ自体では細胞内のPKCの活性を調節することができない可能性がある。トランスフェクションのための分子は、阻害剤または活性化因子など、PKCモジュレーターを含むことができないかまたは該モジュレーターからなることができない。
【0135】
本発明の別の態様によると、細胞トランスフェクション効率を高めるための、PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドの使用が提供される。
【0136】
場合により、HDACモジュレーターは、PKCのモジュレーターと組み合わせて、細胞トランスフェクション効率を高めるために使用することができる。特に、該使用は、HDAC阻害剤と組み合わせることができる。該使用は、GET介在性トランスフェクションによるものであることができる。
【0137】
本発明の方法は、遺伝子療法において使用することができる。
【0138】
本発明の別の態様によると、遺伝子療法の方法であって、対象に、
(a)PKCのモジュレーターおよび/または約5~20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドと、
(b)トランスフェクションのための分子であって、核酸を含む、トランスフェクションのための分子と、
を投与することを含む、遺伝子療法の方法が提供される。
【0139】
遺伝子療法の方法は、HDAC阻害剤の投与をさらに含むことができる。
【0140】
本発明の別の態様によると、対象の処置の方法であって、該対象に、
(a)PKCのモジュレーターおよび/または約5~20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドと、
(b)トランスフェクションのための分子であって、治療上有効な分子を含む、トランスフェクションのための分子と、
を投与することを含む、方法が提供される。
【0141】
治療上有効な分子は、本明細書に説明するような核酸、タンパク質またはペプチドであってよい。治療上有効な分子は、例えば、本明細書に説明するように、遺伝子配列および/または調節配列をコードする核酸であってよい。
【0142】
本発明の別の態様によると、本明細書の本発明の方法によって形質転換された細胞を対象に投与することを含む、該対象の処置方法が提供される。
【0143】
本明細書の本発明の方法によって形質転換された細胞は、トランスフェクションのための分子を細胞内に含むことができる。
【0144】
本発明の別の態様によると、薬剤としてのトランスフェクションのための分子との併用のための、PKCのモジュレーターおよび/または約5~約20個のヒスチジン残基を含むpH応答性ペプチドが提供される。
【0145】
該使用は、遺伝子療法のためであってよい。別の実施形態では、該使用は、疾患の処置または予防のためであってよい。別の実施形態では、該使用は組織の修復または置き換えのためであってよい。該組織は、軟組織または骨組織であってよい。
【0146】
処置または予防は、単一遺伝子疾患の処置または予防のためであってよい。単一遺伝子疾患は、鎌状赤血球症、嚢胞性線維症、多発性嚢胞腎疾患、テイ・サックス病、α1アンチトリプシン欠損症、および原発性毛様体ジスキネジアを含む群のいずれかから選択することができる。
【0147】
処置または予防は、成長因子過剰発現によって処置または予防することができる疾患または容態の処置または予防のためであってよい。処置または予防は、創傷治癒、組織修復、骨修復、糖尿病性潰瘍、神経変性(例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病)、または骨関節症を含む疾患または容態の処置または予防のためであってよい。
【0148】
定義
「モジュレーター」は、アゴニスト、インバースアゴニスト、またはアンタゴニストを説明すると当業者に理解されることができ、すなわちモジュレーターはその標的の活性を上昇または低下させることができる。
【0149】
「阻害剤」は、インバースアゴニストまたはアンタゴニストを説明すると当業者によって理解されることができ、すなわち、阻害剤はその標的の活性を低減または停止させる。
【0150】
「一時的阻害」または「一時的活性化」をはじめとする「一時的調節」という用語は、永続的ではない、細胞内の活性の調節であると理解される。例えば、調節薬の離脱または非存在の際に、元の細胞活性が回復することができる。対照的に、永続的な調節は、突然変異による遺伝子のノックアウトなどの遺伝子調節を含むことができる。
【0151】
「トランスフェクション」および「導入」という用語は、本明細書で相互交換可能に使用され得る。該用語は、核酸またはタンパク質などの分子を細胞内へと導入するプロセスを意味すると理解される。
【0152】
細胞に関して「トランスフェクトされた」、「導入された」または「形質転換された」という用語は、細胞がトランスフェクションのための分子を内在化したことを意味すると理解される。トランスフェクションのための分子は、細胞質および/または核内にあってよく、すなわちエンドソーム内に隔離されていなくてよい。成功したトランスフェクションは、レポーター遺伝子発現(GFPまたは他の蛍光タンパク質およびフローサイトメトリーなど)を介して測定することができる。当業者は、該方法が、毎回、または該方法の実施のために、トランスフェクション率またはトランスフェクション効率の決定を必要としなくてよいことを理解するであろう。「遺伝子療法」という用語は、治療上の利益を提供するために、または容態もしくは疾患を予防するために、遺伝子および/または調節要素などの遺伝材料を対象の1つ以上の細胞内へ導入することであると理解される。
【0153】
当業者は、本発明の一実施形態または一態様の任意の特徴が、適宜、本発明の他の実施形態または態様に適用可能である可能性があることを理解するであろう。
【0154】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面に関して、例としてのみ、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【
図1】TPA(T)は、T2細胞のトランスフェクションを有意に増強する。1μgのpCMV-Gluc pDNAのGETによるトランスフェクションの24時間後に測定した、20,000個のT2ハイブリッドヒトT/B細胞に関する実験。T=TPA(μm)、S=SAHA(μM)。TPAは、T2細胞におけるトランスフェクション効率に対する主要な効果として示されている。
【
図2】SAHA(S)は、RAW264.7細胞のトランスフェクションを有意に増強する。1μgのpCMV-Gluc pDNAのGETによるトランスフェクションの24時間後に測定した、20,000個のRAW264.7マウスマクロファージ細胞に関する実験。T=TPA(μm)、S=SAHA(μM)。
【
図3】SAHA(S)、およびTPA(T)の短時間曝露は、LCL細胞のトランスフェクションを有意に増強する。1μgのpCMV-Gluc pDNAのGETによるトランスフェクションの24時間後に測定した、20,000個のLCLリンパ芽球様ヒトB細胞に関する実験。T=TPA(μm)、S=SAHA(μM)。TPAは、LCL細胞におけるトランスフェクションに対して最も効果があることが示されており、SAHAによって増強される。これらのモジュレーターを用いないトランスフェクションは事実上存在しない。
【
図4】T2細胞のトランスフェクション。pCMV-Gluc pDNAのGETによるトランスフェクションの24時間後に測定した、20,000個のT2ハイブリッドヒトT/B細胞に関する実験。1×=GETを用いた1μgのpCMV-Gluc pDNA。0.2×=GETを用いた0.2μgのpCMV-Gluc pDNA。T=TPA(μm)、S=SAHA(μM)。
【
図5】LCL細胞のトランスフェクション。pCMV-Gluc pDNAのGETによるトランスフェクションの24時間後に測定した、20,000個のLCLリンパ芽球様ヒトB細胞に関する実験。1×=GETを用いた1μgのpCMV-Gluc pDNA。0.2×=GETを用いた0.2μgのpCMV-Gluc pDNA。T=TPA(μm)、S=SAHA(μM)。
【
図6】ラット小脳切片についてのトランスフェクションプロトコルの概略。 出生8日後(P8)の仔ラットに関する実験。実体顕微鏡を用いて、氷冷調製培地中で脳から小脳を摘出する。厚さ350μmの切片を、McIlwain組織チョッパまたはビブロトームを使用して矢状方向に作製する。Millipore細胞培養インサート(1ウェルあたり0.25mlおよび上部に50μl)。トランスフェクション物(100μl)を上部ウェル内のスライスに添加することによって、インビトロで3~5日後(D3~5)にトランスフェクションを開始した。
【
図7】同じペプチドに関するエンドソーム逸出系。pCMV-glucならびに、ペプチド:pDNA電荷比が低下(5:1、4:1、3:1、2:1、1:1)するFLR、FLHおよびFRLHを用いたヒト皮膚線維芽細胞のトランスフェクション。Glucをトランスフェクションの1日後に測定し、1ugのpDNAを2×10
5個の細胞の12ウェルプレート内にトランスフェクトした。バーはSDである。N=3。
【
図8】アクセサリーペプチドに関するエンドソーム逸出系。pCMV-glucならびに、FLHおよびFRLHの比率を高めながら(5:1、4:1、3:1、2:1、1:1のFLR、アクセサリーペプチドはpDNAに対して5:1までペプチド電荷を構成する)または高めることなくFLRを用いたヒト皮膚線維芽細胞のトランスフェクション。Glucをトランスフェクションの1日後に測定し、1ugのpDNAを2×10
5個の細胞の12ウェルプレート内にトランスフェクトした。バーはSDである。N=3。
【
図9】HDACi活性は、トランスフェクションの初期(マクロピノサイトーシスおよびエンドソーム輸送の間)であり、(転写活性に影響を及ぼす)その後ではない。急速トランスフェクション(5分)によるpCMV-glucおよびFLR:FLH(1:1)を用いたヒト不死化MSCのトランスフェクション。トランスフェクション物を取り出し、取り込み/トランスフェクションの最初の6時間において1時間、SAHA(1~100uM、S1~100)に曝露した。Glucをトランスフェクションの1日後に測定し、1ugのpDNAを2×10
5個の細胞の12ウェルプレート内にトランスフェクトした。バーはSDである。N=3。
【
図10】HDACおよびPKC阻害(阻害剤SAHAおよびGF109203X、GFX)の存在下でのiHMSCのトランスフェクション。GFX0=0μMのGF109203X、GFX0.1=0.1μMのGF109203X、GFX1=1μMのGF109203X、S0=0μMのSAHA、S1=1μMのSAHA、S10=10μMのSAHA。
【
図11】HDACおよびPKC阻害(阻害剤SAHAおよびカルホスチンC)の存在下でのLCLのトランスフェクション。CPC0=0μMのカルホスチンC、CPC0.1=0.1μMのカルホスチンC、S0=0μMのSAHA、S1=1μMのSAHA、S10=10μMのSAHA。
【0156】
使用する材料
pCMV-Glucは、CMVプロモーターの制御下でGaussiaルシフェラーゼを発現する哺乳動物発現ベクターである。pCMV-Glucは、New England Biolabs Inc.(NEB)、https://international.neb.com/products/n8081-pcmv-gluc-2-control-plasmid#Product%20Information)から入手した。
【0157】
pGM(pGM206)は、Gaussiaルシフェラーゼを発現するCpG非含有DNAベクター版(pG4-hCEFI-soGluc)である(http://spiral.imperial.ac.uk:8080/bitstream/10044/1/19179/2/Biomaterials_32_10_2011.pdf)。
【0158】
当業者は、トランスフェクション効率を実証するために何らかの適切な対照ベクターを使用することができることを認識するであろう。
トランスフェクション送達分子についての例となる配列
例となるHS-GAG結合配列
P21アミノ酸配列
(配列番号1)
KRKKKGKGLGKKRDPCLRKYK
P21ヌクレオチド配列(メチオン/ATG含有):
(配列番号2)
aagcgcaagaagaagggcaaaggcctgggcaagaagcgcgatccgtgcctgcgcaagtataag
PDGF(194~211)アミノ酸配列:
(配列番号3)
G R P R E S G K K R K R K R L K P T
PDGF(194~211)ヌクレオチド配列:
(配列番号4)
ggccgcccgcgcgaaagcggcaaaaaacgcaaacgcaaacgcctgaaaccgacc
FGF7Bアミノ酸配列:
(配列番号5)。
T Y A S A K W T H N G G E M F V A L N Q
FGF7Bヌクレオチド配列:
(配列番号6)
Acctatgcgagcgcgaaatggacccataacggcggcgaaatgtttgtggcgctgaaccag
FGF2 HBD B(247~262)アミノ酸配列:
(配列番号7)。
T Y R S R K Y T S W Y V A L K R
FGF2 HBD B(247~262)ヌクレオチド配列:
(配列番号8)
acctatcgcagccgcaaatataccagctggtatgtggcgctgaaacgc
8Rタンパク質導入ドメイン配列をコードするヌクレオチド:
(配列番号9)
CGA AGA CGC AGG AGA CGT CGA AGG
例となる送達分子ヌクレオチド配列(P21-カーゴ-8R):
(配列番号10)
aagcgcaagaagaagggcaaaggcctgggcaagaagcgcgatccgtgcctgcgcaagtataagNcgaagacgcaggagacgtcgaagg
N=様々な長さのカーゴ核酸配列(すなわち、ヌクレオチド残基の数は変わることができる)、または別の分子実体。
【0159】
ScFv抗体のナノボディ変異体の各々の2つのバージョンを作製し、1つは、ScFv vHHドメインと同一の配列を有しており(フレームドメイン1-CDR1-フレームドメイン2-CDR2-フレームドメイン3-CDR3-IgAヒンジドメイン/フレームドメイン4)、1つは、CDR1ドメイン、CDR2ドメインおよびCDR3ドメインが、一般的なvHHドメイン配列内へと接ぎ木されたものである。いずれのバージョンも同等の活性を有しているので、一般的な抗体にCDRドメインを単に接ぎ木することもまた機能することを証明するために接ぎ木バージョンを作製した。
【0160】
以下は、HS4C3、およびAO4BO8 ScFv vHHおよび接ぎ木したvHHの配列である。
HS4C3 ScFv vHH
(配列番号11)
EVQLVESGGGLVQPRGSLRLSCAASGFTVSSNEMSWIRQAPGKGLEWVSSISGGSTYYADSRKGRFTISRDNSKNTLYLQMNNLRAEGTAAYYCGRRLKDPSTPPTPSPSTPPTPSPS
CDR1 GFTVSSNE
CDR2 ISGGST
CDR3 GRRLKD
HS4C3 ScFv vHHヌクレオチド配列
(配列番号12)
gaagtgcagctggtggaaagcggcggcggcctggtgcagccgcgcggcagcctgcgcctgagctgcgcggcgagcggctttaccgtgagcagcaacgaaatgagctggattcgccaggcgccgggcaaaggcctggaatgggtgagcagcattagcggcggcagcacctattatgcggatagccgcaaaggccgctttaccattagccgcgataacagcaaaaacaccctgtatctgcagatgaacaacctgcgcgcggaaggcaccgcggcgtattattgcggccgccgcctgaaagatccgagcaccccgccgaccccgagcccgagcaccccgccgaccccgagcccgagc
HS4C3を接ぎ木したvHH
(配列番号13)
QVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCTASGFTVSSNELGWFRQAPGQERWAVAAISGGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVTLQMNNLKPEDTAIYYCGRRLKDWGQGTQVTVSSPSTPPTPSPSTPPTPSPS
CDR1 GFTVSSNE
CDR2 ISGGST
CDR3 GRRLKD
HS4C3を接ぎ木したvHHヌクレオチド
(配列番号14)
caggtgcagctggtggaaagcggcggcggcagcgtgcaggcgggcggcagcctgcgcctgagctgcaccgcgagcggctttaccgtgagcagcaacgaactgggctggtttcgccaggcgccgggccaggaacgctgggcggtggcggcgattagcggcggcagcacctattatgcggatagcgtgaaaggccgctttaccattagccgcgataacgcgaaaaacaccgtgaccctgcagatgaacaacctgaaaccggaagataccgcgatttattattgcggccgccgcctgaaagattggggccagggcacccaggtgaccgtgagcagcccgagcaccccgccgaccccgagcccgagcaccccgccgaccccgagcccgagc
AO4B08 ScFv vHH
(配列番号15)
EDQLVESGGGLVQPGGSLRPSCAASGFAFSSYALHWVRRAPGKGLEWVSAIGTGGDTYYADSVMGRFTISRDNAKKSLYLHMNSLIAEDMAVYYCSLRMNGWRAHQPSTPPTPSPSTPPTPSPS
CDR1 GFAFSSYA
CDR2 IGTGGDT
CDR3 SLRMNGWRAHQ
AO4B08 ScFv vHHヌクレオチド配列
(配列番号16)
gaagatcagctggtggaaagcggcggcggcctggtgcagccgggcggcagcctgcgcccgagctgcgcggcgagcggctttgcgtttagcagctatgcgctgcattgggtgcgccgcgcgccgggcaaaggcctggaatgggtgagcgcgattggcaccggcggcgatacctattatgcggatagcgtgatgggccgctttaccattagccgcgataacgcgaaaaaaagcctgtatctgcatatgaacagcctgattgcggaagatatggcggtgtattattgcagcctgcgcatgaacggctggcgcgcgcatcagccgagcaccccgccgaccccgagcccgagcaccccgccgaccccgagcccgagc
AO4B08を接ぎ木したvHH
(配列番号17)
QVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCTASGFAFSSYALGWFRQAPGQERWAVAAIGTGGDTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVTLQMNNLKPEDTAIYYCSLRMNGWRAHQWGQGTQVTVSSPSTPPTPSPSTPPTPSPS
CDR1 GFAFSSYA
CDR2 IGTGGDT
CDR3 SLRMNGWRAHQ
AO4B08を接ぎ木したvHHヌクレオチド配列
(配列番号18)
caggtgcagctggtggaaagcggcggcggcagcgtgcaggcgggcggcagcctgcgcctgagctgcaccgcgagcggctttgcgtttagcagctatgcgctgggctggtttcgccaggcgccgggccaggaacgctgggcggtggcggcgattggcaccggcggcgatacctattatgcggatagcgtgaaaggccgctttaccattagccgcgataacgcgaaaaacaccgtgaccctgcagatgaacaacctgaaaccggaagataccgcgatttattattgcagcctgcgcatgaacggctggcgcgcgcatcagtggggccagggcacccaggtgaccgtgagcagcccgagcaccccgccgaccccgagcccgagcaccccgccgaccccgagcccgagc
【配列表】
【国際調査報告】