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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】噴霧乾燥粉末
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220603BHJP
   B01J 13/04 20060101ALI20220603BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20220603BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20220603BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220603BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
B01J13/04
C11B9/00 A
B01J2/04
A23L27/00 A
A23L27/00 C
A23L5/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021557339
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 US2020024600
(87)【国際公開番号】W WO2020198297
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/823,593
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520017591
【氏名又は名称】ズーメッセンス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビーツ,チャールズ,パーシング
(72)【発明者】
【氏名】シュリプフ,ダニエル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェイソン,ツーシン
【テーマコード(参考)】
4B035
4B047
4G004
4G005
4H059
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE01
4B035LE07
4B035LG13
4B035LG15
4B035LG17
4B035LG21
4B035LG26
4B035LG28
4B035LG32
4B035LG33
4B035LG44
4B035LK02
4B035LK13
4B035LP24
4B035LP36
4B047LE08
4B047LG18
4B047LG19
4B047LG23
4B047LG27
4B047LG28
4B047LG29
4B047LG30
4B047LG36
4B047LG38
4B047LG43
4B047LG51
4B047LP07
4B047LP09
4B047LP20
4G004EA08
4G005AA01
4G005AB15
4G005BA14
4G005BB09
4G005BB11
4G005DB02X
4G005DB05X
4G005DB06X
4G005DB12X
4G005DB12Z
4G005DB13X
4G005DB16X
4G005DB19X
4G005EA01
4G005EA05
4H059BC23
4H059CA54
4H059CA96
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
大きいサイズであり、流動性が高く、完全に稠密であり、分散性及び/又は可溶性が高く、体積に対する低い表面積比並びに高いかさ密度を有する、粒子を有する、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末について記載する。このようなフレーバー粉末は、フレーバー成分の高い保持率を提供するとともに、本明細書にさまざまに記載する技法によって乾燥が強化される、低温噴霧乾燥プロセス、例えば単一段階プロセスによって有利に製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分を含む噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末であって、以下の特性:
(A)60秒未満の分散媒溶解時間、
(B)15秒未満の分散媒分散時間、
(C)前記粉末における粒子の少なくとも75%が少なくとも80μmの粒径を有する、粒度分布、
(D)0.01~0.03の範囲である、前記粉末の前記粒子の体積(μm)に対する表面積(μm)比、
(E)総粒子体積の10%未満である、前記粉末の前記粒子の粒子空隙体積、
(F)22~40lb/ftの範囲である前記粉末の前記粒子のかさ密度、及び
(G)40°を超えない、前記粉末の安息角、
を特徴とし、任意に、前記噴霧乾燥粉末がカプセル化油を含む場合、表面油率が1.5%未満である、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項2】
前記1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分が、アーモンド、オレンジ、レモン、ライム、タンジェリン、アマレット、アニス、パイナップル、ココナッツ、ペカン、リンゴ、バナナ、イチゴ、カンタロープ、カラメル、チェリー、ブラックベリー、ラズベリー、ショウガ、ボイセンベリー、ブルーベリー、バニラ、ハチミツ、モラセス、ウィンターグリーン、シナモン、クローブ、バター、バタークリーム、バタースコッチ、コーヒー、ティー、ピーナッツ、ココア、ナツメグ、チョコレート、キュウリ、ミント、トフィー、ユーカリ、グレープ、レーズン、マンゴー、ピーチ、メロン、キーウイ、ラベンダー、リコリス、メープル、メントール、パッションフルーツ、ザクロ、ドラゴンフルーツ、洋ナシ、クルミ、ペパーミント、パンプキン、ルートビア、ラム及びスペアミントからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項3】
前記1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分が、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、天然及び合成高分子材料からなる群より選択される少なくとも1種を含む担体材料によってカプセル化されている、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項4】
前記1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分が、マルトデキストリン、粉飴、加工澱粉、アラビアガム、変性セルロース、ゼラチン、シクロデキストリン、レシチン、乳清タンパク質及び水素添加油脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む担体材料によってカプセル化されている、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項5】
前記1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分が、加工澱粉を含む担体材料によってカプセル化されている、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項6】
前記1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分が、少なくとも1種のフレーバー油を含む、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項7】
単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を含む、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項8】
45、40、35、30、25、20、15、12、10、8、7、6又は5秒のうちの少なくとも1つ未満の分散媒溶解時間を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項9】
15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、8、2又は1秒のうちの少なくとも1つ未満の分散媒分散時間を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項10】
前記粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%のうちの少なくとも1つが、少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項11】
前記粉末の粒子の少なくとも80%が少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項12】
前記粉末の粒子の少なくとも85%が少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項13】
前記粉末の粒子の少なくとも90%が少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項14】
総粒子体積の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%又は1%のうちの少なくとも1つ未満である粒子空隙体積を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項15】
総粒子体積の2.5%未満である粒子空隙体積を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項16】
総粒子体積の2%未満である粒子空隙体積を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項17】
25~38lb/ftの範囲である前記粉末の前記粒子のかさ密度を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項18】
35°を超えない前記粉末の安息角を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項19】
30°を超えない前記粉末の安息角を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項20】
前記粉末における前記粒子の内部に大型の空隙がない、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項21】
前記粉末における前記粒子が非球形状である、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項22】
前記粉末における前記粒子が細長い形状である、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項23】
前記粉末が、少なくとも0.7の平均偏心率を有する、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項24】
前記粉末が、0.70~0.95の範囲の平均偏心率を有する、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項25】
前記粉末が、0.75~0.95の範囲の平均偏心率を有する、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項26】
前記粉末が、0.80~0.95の範囲の平均偏心率を有する、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項27】
前記粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%が、少なくとも85μm、90μm、95μm、100μm、110μm又は120μmの粒径を有する粒度分布を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項28】
前記粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%が、端点が80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、110μm及び120μmのうちのいずれかである範囲の(ただし、このような範囲の下端点はこのような範囲の上端点よりも小さい)粒径を有する、粒度分布を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項29】
100μmよりも大きいメジアン粒径を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項30】
100μmよりも大きい平均粒径を特徴とする、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項31】
前記1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分がフレーバー油を含む、請求項1に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【請求項32】
前記噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末が製造される噴霧乾燥可能材料におけるフレーバー成分の重量に対して、90%、91%、92%、93%、94%、35%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%及び99.9%のうちの少なくとも1つであるフレーバー成分保持レベルを特徴とする、請求項1~31のいずれか一項に記載の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2019年3月25日に出願された米国仮特許出願第62/823,593号の米国特許法第119条の下での利益をここに主張する。このような出願の開示は、すべての目的でその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
本開示は、概して、噴霧乾燥フレーバー粉末に関し、より詳細には、優れた使用及び性能特性を有する、単一段階噴霧乾燥/単一霧化カプセル化フレーバー粉末に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
食品及び/又は飲料製品において添加物及び原料成分(ingredient)として使用される噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の分野において、多種多様の不都合な特性を有する噴霧乾燥フレーバー粉末が商用に製造されている。これらの欠点としては、フレーバー成分(component)の酸化、分解及び/又は劣化のしやすさ、液状媒質におけるフレーバー粉末の不十分な分散性及び/又は可溶性、小さい粉末粒径、粉末粒子における高い空隙体積(対応して、使用時により大量の粉末が必要となる)、並びにフレーバー粉末の分配及び処理の困難さをもたらす不十分な流動性とともに、活性フレーバー成分の不十分な保持率が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本技術分野では、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の改善を求める努力が続けられている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示は、従来技術の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関して、大きく、流動性が高く、完全に稠密であり、分散性及び/又は可溶性が高く、体積に対する表面積比が低く且つかさ密度が高く、活性フレーバー成分の保持率が高いという組み合わされた特性を有する、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0006】
さまざまな態様において、本開示は、1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分を含み、以下の特性:
(A)60秒未満の分散媒溶解時間、
(B)15秒未満の分散媒分散時間、
(C)粉末における粒子の少なくとも75%が少なくとも80μmの粒径を有する、粒度分布、
(D)0.01~0.03の範囲である、粉末の粒子の表面積(μm)対体積(μm)比、
(E)総粒子体積の10%未満である、粉末の粒子の粒子空隙体積、
(F)22~40lb/ftの範囲である粉末の粒子のかさ密度、及び
(G)40°を超えない、粉末の安息角、
のうちの1つ又は複数、好ましくはすべてを特徴とし、任意に、噴霧乾燥粉末がカプセル化油を含む場合、表面油率が1.5%未満である、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末、例えば、単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0007】
別の態様では、本開示は、少なくとも90%のフレーバー成分保持率を有し、さらに、上述した特性(A)~(G)のうちのいずれか及び/又は上記に指定した表面油率を特徴とすることができる、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末、例えば、単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0008】
本開示のさらなる態様は、任意に、噴霧乾燥粉末がカプセル化油を含む場合、対応する量単位において、カプセル化油の量に対する表面油の量の比が1.5%未満である、上述した特性(A)~(G)のうちの任意の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つすべてを特徴とする、このような噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0009】
さまざまな態様において、本開示は、1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分が、アーモンド、オレンジ、レモン、ライム、タンジェリン、アマレット、アニス、パイナップル、ココナッツ、ペカン、リンゴ、バナナ、イチゴ、カンタロープ、カラメル、チェリー、ブラックベリー、ラズベリー、ショウガ、ボイセンベリー、ブルーベリー、バニラ、ハチミツ、モラセス、ウィンターグリーン、シナモン、クローブ、バター、バタークリーム、バタースコッチ、コーヒー、ティー、ピーナッツ、ココア、ナツメグ、チョコレート、キュウリ、ミント、トフィー、ユーカリ、グレープ、レーズン、マンゴー、ピーチ、メロン、キーウイ、ラベンダー、リコリス、メープル、メントール、パッションフルーツ、ザクロ、ドラゴンフルーツ、洋ナシ、クルミ、ペパーミント、パンプキン、ルートビア、ラム及びスペアミントからなる群より選択される、上述したような単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0010】
さまざまなさらなる態様において、本開示は、カプセル化フレーバーが、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、天然及び合成高分子材料からなる群より選択される担体材料によってカプセル化されている、さまざまに上述したような単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0011】
本開示の他の態様、特徴及び実施形態は、続く説明及び添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなろう。
【0012】
本特許又は出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な手数料の支払いにより、特許庁によって提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子を製造する噴霧乾燥プロセス中の、噴霧される供給原料の液滴の温度の、液滴の固体パーセントの関数としてのグラフによる図であり、従来の高温噴霧乾燥プロセスにおける液滴(「Spray Dry Powder(噴霧乾燥粉末)」)と、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末(「CoolZoom(登録商標)Powder(CoolZoom(登録商標)粉末)」)を製造するように低温で噴霧乾燥された液滴とが受ける、乾燥段階の進行を示す。
図2】従来の高温噴霧乾燥によって製造された噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子の、2500倍の倍率での電子顕微鏡写真であり、このような粒子の中空の性質(中心空隙)を示す。
図3】本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子の、1510倍の倍率での電子顕微鏡写真であり、図2の粉末粒子に示すような大型の空隙のない、このような粒子の稠密な性質を示す。
図4】レモン油の組成パーセントのグラフであり、このようなフレーバー油におけるフレーバー成分を示す。
図5】担体と噴霧乾燥させたレモン油に最初に含まれる、及び本開示の噴霧乾燥粉末(Lemon DriZoom(レモンDriZoom))にカプセル化される、レモン油の組成率のグラフであり、このようなフレーバー油におけるフレーバー成分を示す。
図6】フルーツポンチフレーバー材料のフレーバー成分の重量パーセントを示す円グラフである。
図7】本開示の噴霧乾燥粉末にカプセル化された、図6のフルーツポンチフレーバー材料のフレーバー成分の重量パーセントを示す円グラフである。
図8】本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の製造に採用することができる噴霧乾燥システムの概略表現である。
図9図8の噴霧乾燥プロセスシステムの一部の破断図での概略表現であり、このようなシステムの噴霧乾燥容器の内部容積において局所乱流を誘発することによる噴霧乾燥プロセスの強度の向上を示す。
図10】本開示のカプセル化フレーバー噴霧乾燥粉末を製造するために採用することができる別の噴霧乾燥装置の概略表現であり、この装置は、噴霧乾燥チャンバ内の主流体流内に一時的な間欠的乱流空気バーストを注入するように構成された、噴霧乾燥チャンバ壁の乱流混合ノズルのアレイを含む。
図11】本開示のカプセル化フレーバー噴霧乾燥粉末を製造するために採用することができるさらなる噴霧乾燥装置の概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本開示は、従来技術の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関して、大きく、流動性が高く、完全に稠密であり、分散性及び/又は可溶性が高い、体積に対する表面積比が低く且つかさ密度が高く、活性フレーバー成分の保持率が高いという組み合わされた特性を有する、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末、例えば単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0015】
本明細書で用いる場合の「フレーバー」という用語は、味、又は組合せ効果での味及び香りの感覚を生み出すために使用される物質を指す。フレーバーは、後の使用において、食品及び/又は飲料のための、それらの品質及び魅力を向上させるための添加原料成分であり得る。
【0016】
本開示の粉末に関する「単一段階噴霧乾燥」という用語は、いかなる噴霧後乾燥処理、例えば流動層処理、コーティング又は化学反応もなしに、噴霧乾燥可能材料の単一源噴霧器によって生成される霧状粒子を乾燥流体と接触させて、噴霧乾燥粉末の総重量に対して、溶媒5wt%未満の乾燥度まで、噴霧乾燥可能材料からの溶媒除去をもたらすことを含む、低温噴霧乾燥(噴霧乾燥容器に流れ込む乾燥流体の110℃未満の入口温度)のみによって粉末が製造されることを意味する。このような定義において指定される「単一源噴霧器」は、対応する供給源から1種の噴霧乾燥可能材料を受け取る単一噴霧器を指し、すなわち、噴霧器は、異なる供給源から異なる噴霧乾燥可能材料を同時に受け入れない。
【0017】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末のさまざまな特性に適用可能なさまざまな測定/決定技法について以下に記載する。
【0018】
分散媒溶解時間
分散媒溶解時間は、分散媒としての水における噴霧乾燥粉末溶解の割合の測定値である。分散媒溶解時間を決定する手順は、以下の通りである。
1)(150mLビーカ内の)100グラムの水の中に2グラムの噴霧乾燥粉末を滴下し、その間、水は、室温で混合器により250RRMで攪拌されている。
2)粉末が水中で溶解を開始するとその後15秒間隔で、粉末及び水組成物のブリックス(brix)測定値(Milwaukee Instruments MA871デジタルブリックス屈折計(Digital Brix Refractometer)によって測定される、水溶液中の溶解固形物の測定値)を測定し、すべての測定値を記録する。
3)ブリックス値が1分間変化することなく平衡化すると、その時間値を溶解値として記録する。
4)方法注記:完全な混合を確実にするために、混合速度を2分及び4分でそれぞれ250RPMから500RPM及び1000RPMまで増大させる。
【0019】
分散媒分散時間
分散媒分散時間は、分散媒としての水の中で噴霧乾燥粉末を分散させるために必要な時間の測定値である。分散媒分散時間を決定する手順は以下の通りである。
1)(150mLビーカ内の)100グラムの水の中に2グラムの噴霧乾燥粉末を滴下し、その間、水は、室温で250RPMで攪拌されている。
2)完全な混合を確実にするために、混合速度を2分及び4分でそれぞれ250RPMから500RPM及び1000RPMまで増大させる。
3)すべての粉末が攪拌ビーカ内の水の表面の下に沈下するために必要な時間として、分散媒分散時間を記録する。時間は、粉末が水と接触すると開始する。
【0020】
粒度分布
噴霧乾燥粉末の粒度分布は、体積分布出力を提供するBeckman Coulter LS 13 320粒径分析器によって測定される。
1)およそ1グラムの噴霧乾燥粉末をサンプルチューブ内に装填する。
2)Beckman Coulter LS 13 320は、製造業者のプロトコルに従って分析チャンバを通して粉末を吸引する。
3)レーザ回析データを、フラウンホーファー(Fraunhofer)法を介して解釈し、体積分布として報告する。
4)分布からの中央値(d50)として粒径を報告する。
【0021】
体積(μm)に対する表面積(μm)比
体積に対する表面積比は、粒子における材料の(μmの単位での)体積(質量)に対する、粒子が露出される(μmの単位での)表面積の量を表す。単位体積あたりの粒子表面積が低減すると、製品の酸化され得る面積が低減する。したがって、体積に対する表面積比を低減させるために、この値は
【数1】
に比例するため、粒子の直径を増大させることが好ましい。体積に対する表面積比は、粒度分布から生成される粒子の直径(粒径値)を使用して計算される。以下のように、球形粒子を想定する表面積/体積計算に対して、中央(d50)値が使用される。
【数2】
【0022】
粒子空隙体積
粒子空隙体積は、粒子内部の任意のエアポケットによって占有される体積の計算された割合として求められる。粒子空隙体積測定は、測定のために粒子の内部断面を見るために、走査型電子顕微鏡(SEM)の断面画像に頼る。粒子空隙体積値は、エアポケットの体積/外側の粒界によって画定される粒子全体の体積によって計算された、割合として報告される。粒子空隙体積を決定する手順は以下の通りである。
1)5mLのエポキシ樹脂内でおよそ100mgの粉末を完全に混合する。
2)樹脂を型(Electron Microscopy Sciences部品番号70900)で鋳込み、1日硬化させる。
3)硬化後、型に刻み目を入れ、型を半分に折って、樹脂内に埋め込まれた、断面切断された粒子のクリーンな面を提示する。
4)5KVで0.1~1K倍で、顕微鏡画像解析を実施する。断面から、画像解析ソフトウェア(Image J、アメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health))を使用して、粒子の断面直径と内部空隙の任意の断面とを測定する。
5)(V=4/3×π×rから計算される)空隙体積の和を粒子全体の体積で割って100を掛けることにより、空隙体積を求める。
【0023】
かさ密度
粉末の粒子のかさ密度は、ASTM規格によって測定される。手順は以下の通りである。
1)秤で、較正(校正)されたCopley BEP225mL密度カップの風袋を差し引く。
2)溢れ及び過剰分をこすり落とすまでカップを充填する。
3)粉末+カップを再度計量する。
4)グラムでの重量を25mL(カップの容積)で割り、62.428を掛けてポンド/ftに変換する。
【0024】
安息角
流動性指標とも称される安息角は、噴霧乾燥粉末に対して以下のように求められる。
1)Copley BEP2流量計を使用して、漏斗を通ってつかみ板(catch plate)上に流れる粉末によって形成される錐体の安息角を測定する。
2)シャッタを閉じて、アライメントツールを使用して、つかみ板の75mm上方で漏斗を固定する。
3)およそ30gの粉末を量り分け、分析のために漏斗内に配置する。
4)粉末を迅速に解放して、すべての粉末を落下させる。
5)十分に流動可能でない製品に対して、攪拌付属部品を低速で円滑な攪拌運動で使用する。
6)つかみ板上に生成された錐体の高さ(h)及び直径(d)を測定する。そして、以下の式を使用して安息角を計算する。
【数3】
【0025】
以下の表1は、一般化された流動特性と安息角の所定値との相関を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表面油率
表面油率表面油/総粉末重量比は、表面油がヘキサン洗浄によって粉末から洗い流され、油成分がガスクロマトグラフィ-質量分析法(GC-MS)によって定量化される、測定値である。ヘキサンで洗浄された油の濃度に、使用されたヘキサンの重量が掛けられ、それが洗浄された粉末の重量で割られ、それに100を掛けることにより表面油率が得られる。手順は以下の通りである。
1)セルロース円筒濾紙(Whatman Grade 603、33mm×100mm)内に35gの噴霧乾燥粉末を配置する。
2)次いで、ソックレー(Soxhlet)抽出装置内に円筒濾紙を配置する。
3)100gのヘキサンを計量し、250mL平底フラスコ内に配置し、ソックレー装置に接続する。
4)フラスコを加熱板の上で沸騰するまで加熱し、同時に、磁気攪拌棒で攪拌する。4時間、ヘキサンを還流させる。
5)4時間の還流操作に続き、フラスコを放冷する。放冷されると、GC-MS分析のためにヘキサンの一定分量を回収する。
【0028】
定量化方法
1)分析されているフレーバーセットを使用して5点標準曲線を生成して、検出器応答と表面油の洗浄濃度との線形相関を求める。
2)以下の式に従って表面油率を求める。
【数4】
【0029】
本開示の単一パス噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の乾燥度は、噴霧乾燥粉末に存在する任意のフレーバー油の排除に対して測定され、このような乾燥度は、水及び他の揮発性溶媒が製品粉末に含まれない程度を示す。好ましくは、単一パス噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の乾燥度は、粉末の総重量に対して、粉末における5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.75重量%未満の水及び/又は他の揮発性溶媒を特徴とする。
【0030】
さまざまな具体的な実施形態では、粉末の総重量に基づく、噴霧乾燥粉末における水及び/又は他の揮発性溶媒の重量は、噴霧乾燥粉末の処理と粉末に対する後続する使用要件とに応じて、5%、4.8%、4.6%、4.5%、4.4%、4.2%、4%、3.8%、3.6%、3.5%、3.4%、3.2%、3%、2.8%、2.6%、2.5%、2.4%、2.2%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%又は0.05%未満であり得る。
【0031】
本開示は、本明細書に記載する種々の特性から明らかであるように、種々の点で優れた使用及び性能特性を有する噴霧乾燥カプセル化粉末を提供する。
【0032】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における本来のフレーバー成分の高レベルの保持率を提供し、フレーバー成分保持レベルは、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末が製造される噴霧乾燥可能材料におけるフレーバー成分の重量に対して、さまざまな実施形態において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、35%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%又は99.9%の保持率であり得る。フレーバー成分は、1種又は複数種のフレーバー化合物及び原料成分を含むことができる。このような点で、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末が形成された原材料におけるフレーバー成分化合物及び原料成分と非常に一致するフレーバー成分の「フィンガプリント」を特徴とする。
【0033】
本開示は、一態様では、1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分を含み、以下の特性:
(A)60秒未満の分散媒溶解時間、
(B)15秒未満の分散媒分散時間、
(C)粉末における粒子の少なくとも75%が少なくとも80μmの粒径を有する、粒度分布、
(D)0.01~0.03の範囲である、粉末の粒子の体積(μm)に対する表面積(μm)比、
(E)総粒子体積の10%未満である、粉末の粒子の粒子空隙体積、
(F)22~40lb/ftの範囲である粉末の粒子のかさ密度、及び
(G)40°を超えない、粉末の安息角、
のうちの1つ又は複数、好ましくはすべてを特徴とし、任意に、噴霧乾燥粉末がカプセル化油を含む場合、表面油率が1.5%未満である、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末、例えば、単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末に関する。
【0034】
したがって、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、特性(A)~(G)のうちの任意の1つ及び/又は1.5%未満の表面油率を特徴とすることができる。
【0035】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、最も好ましくは、上記特性(A)~(G)のすべてと、噴霧乾燥粉末がカプセル化油を含む場合、表面油率が1.5%未満であるという追加の特性とを特徴とする。
【0036】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末、例えば単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末では、1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、アーモンド、オレンジ、レモン、ライム、タンジェリン、アマレット、アニス、パイナップル、ココナッツ、ペカン、リンゴ、バナナ、イチゴ、カンタロープ、カラメル、チェリー、ブラックベリー、ラズベリー、ショウガ、ボイセンベリー、ブルーベリー、バニラ、ハチミツ、モラセス、ウィンターグリーン、シナモン、クローブ、バター、バタークリーム、バタースコッチ、コーヒー、ティー、ピーナッツ、ココア、ナツメグ、チョコレート、キュウリ、ミント、トフィー、ユーカリ、グレープ、レーズン、マンゴー、ピーチ、メロン、キーウイ、ラベンダー、リコリス、メープル、メントール、パッションフルーツ、ザクロ、ドラゴンフルーツ、洋ナシ、クルミ、ペパーミント、パンプキン、ルートビア、ラム及びスペアミントからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0037】
さまざまな実施形態において、1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分は、少なくとも1種のフレーバー油を含む。
【0038】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末の対応するフレーバー原料成分のためのカプセル材料として任意の好適な担体材料を含むことができる。担体材料の例示的な例としては、限定されないが、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、天然及び合成高分子材料から選択される少なくとも1種を含む。有利に採用することができる具体的な材料としては、マルトデキストリン、粉飴(corn syrup solid)、加工澱粉、アラビアガム、変性セルロース、ゼラチン、シクロデキストリン、レシチン、乳清タンパク質及び水素添加油脂が挙げられる。好ましくは、担体材料は、加工澱粉材料である。さまざまな噴霧乾燥担体を、以下の表2に特定する。
【0039】
【表2】
【0040】
さまざまな実施形態において、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、45、40、35、30、25、20、15、12、10、8、7、6又は5秒未満の分散媒溶解時間を特徴とすることができる。
【0041】
さまざまな実施形態において、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、8、2又は1秒未満の分散媒分散時間を特徴とすることができる。
【0042】
具体的な実施形態では、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%が少なくとも80μmの粒径を有する、粒度分布を有することができる。他の実施形態では、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%が、少なくとも85μm、90μm、95μm、100μm、110μm又は120μmの粒径、又は、端点(endpoint)が80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、110μm及び120μmのうちのいずれかである(ただし、このような範囲の下端点(lower endpoint)はこのような範囲の上端点(upper endpoint)よりも小さい)範囲の粒径を有する、粒度分布を有することができる。さらに他の実施形態では、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、100μmを超えるメジアン粒径、又は別法として平均粒径を有することができる。
【0043】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、さまざまな実施形態において、総粒子体積の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%又は1%未満である粒子空隙体積を有することができる。
【0044】
さまざまな実施形態において、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末のかさ密度は、22~40lb/ftの範囲、又はより好ましくは25~38lb/ftの範囲であり得る。
【0045】
さまざまな実施形態において、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、40°を超えない、より好ましくは35°を超えない、最も好ましくは30°を超えない、安息角を有することができる。
【0046】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、低温噴霧乾燥(噴霧乾燥容器の110℃未満の入口温度)によって形成され、そこでは、乾燥操作は、本明細書に記載するさまざまな特性を特徴とする粉末を得るように実施される。
【0047】
好ましくは、噴霧乾燥操作は、対応する単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を形成する単一段階噴霧乾燥操作として行われる。
【0048】
噴霧乾燥操作は、有利には、噴霧乾燥容器内の湿潤した霧状液滴から乾燥流体への水及び他の揮発性溶媒種の物質移動を促進するとともに、本明細書に記載する性能特性を有する粉末を製造するように、噴霧乾燥容器内の乾燥流体において局所乱流が発生する、乾燥強化条件下で実施することができる。
【0049】
このような粉末の製造に有用な例示的なプロセス条件について、このような目的で使用することができる例示的な噴霧乾燥システムに関連付けて、以下により詳細に説明する。
【0050】
ここで図面を参照すると、図1は、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子を製造する噴霧乾燥プロセス中の、噴霧される供給原料の液滴の温度の、液滴の固体率の関数としてのグラフによる図であり、従来の高温噴霧乾燥プロセスにおける液滴(「Spray Dry Powder」)と、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末(「CoolZoom(登録商標)Powder」)を製造するように低温で噴霧乾燥された液滴とが受ける、乾燥段階の進行を示す。
【0051】
図1に示すように、噴霧乾燥器における入口温度が380~400°Fである噴霧乾燥によって製造され得る、従来の高温Spray Dry Powderは、溶媒蒸発段階、拡散段階及び加熱段階を進み、その過程において、供給原料材料液滴が高温にさらされ、そうした高温により、小さい粒子及び中空球形が生成し、カプセル化フレーバーがフレーバー油を含む場合は高い表面油形成が生成される。
【0052】
対照的に、噴霧乾燥器の入口温度が110℃未満である噴霧乾燥によって噴霧乾燥させる、本開示の噴霧乾燥カプセル化粉末は、拡散段階における低温処理の結果として、完全に稠密であるとともに低い表面油含有率を有する、大きい粒子を形成する。
【0053】
図2は、従来の高温噴霧乾燥によって製造された噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子の、2500倍の倍率での電子顕微鏡写真であり、このような粒子の中空の性質(中心空隙)を示す。カプセル化フレーバーは、バレンシアオレンジ油であり、噴霧乾燥粉末粒子は、380~400°Fの噴霧乾燥器の入口温度での噴霧乾燥によって製造された。顕微鏡写真に示すように、粉末粒子は中空の性質を有し、それは、全体的な粒子体積の実質的な部分が空隙体積で構成されていたことを意味する。
【0054】
図3は、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子の、1510倍の倍率での電子顕微鏡写真であり、図2の粉末粒子に示すような大型の空隙のない、このような粒子の稠密な性質を示す。カプセル化フレーバーは、バレンシアオレンジ油であり、噴霧乾燥粉末粒子は、本開示により、190~210°Fの噴霧乾燥器の入口温度での噴霧乾燥によって製造された。
【0055】
したがって、図2及び図3の比較から、従来の高温噴霧乾燥によって製造された噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子(図2)は、原則的に中空の性質を有する形状で概して球形であるが、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子は、完全に稠密な性質を有し、大型の空隙がなく、形状が非球形であり細長い性質を有することが明らかである。
【0056】
したがって、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、従来の高温噴霧乾燥によって製造された噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末粒子から、形状の偏心によりさらに識別することができ、従来の高温噴霧乾燥によって製造された粉末は、粉末粒子が自動化画像処理及び解析技法によって特徴付けられるとき、0~0.55程度であり得る偏心値を有し、本開示の粉末は、少なくとも0.70であり得る、例えば、0.70~0.95、0.75~0.95、0.80~0.95の範囲、又は他の好適な偏心値の範囲であり得る、平均偏心値を有する。
【0057】
このような文脈で用いる場合の噴霧乾燥粒子の偏心値は、偏心率
【数5】
として求めることができ、式中、aは、2次元図で見たときの粒子の軌道長半径の長さであり、bは、2次元図で見たときの粒子の軌道短半径である。噴霧乾燥粉末の代表的なサンプルの分析により、粉末に対して平均偏心率Eをその特性として求めることができる。
【0058】
図4は、レモン油の組成率のグラフであり、α-ピネン、β-ピネン、サビネン、ミルセン、リモネン、γ-テルピノレン、α-ベルガモテン、ゲラニオール及びネロールを含むものとして、このようなフレーバー油におけるフレーバー成分を示す。
【0059】
図5は、レモン油の組成率のグラフであり、図4のグラフにも示す、このようなフレーバー油におけるフレーバー成分を示す。図5は、担体を用いて噴霧乾燥させたレモン油(Lemon Oil)に最初に含まれる、及び本開示の噴霧乾燥粉末(Lemon DriZoom)にカプセル化される、さまざまなフレーバー成分を示す。フレーバー原料成分(本来の供給原料油、及び乾燥粉末カプセル化フレーバー粉末)に対する棒の対が略一致することによって示すように、本開示の噴霧乾燥粉末は、初期フレーバー油の原料成分、すなわち、α-ピネン、β-ピネン、サビネン、ミルセン、リモネン、γ-テルピノレン、α-ベルガモテン、ゲラニオール及びネロールの各々の高レベルの保持率を達成する。
【0060】
図6は、フルーツポンチフレーバー材料のフレーバー成分の重量パーセントを示す円グラフである。フルーツポンチフレーバー材料は、28%リモネン、66.2%ベンズアルデヒド、4.6%酢酸イソアミル、0.7%カプロン酸エチル及び0.5%酪酸エチルを含有していた。このフルーツポンチフレーバー材料を、110℃未満の温度での噴霧乾燥器における入口温度で噴霧乾燥して、本開示のカプセル化フレーバー粉末を製造し、その組成は、図7において、25.3%リモネン、68.6%ベンズアルデヒド、4.8%酢酸イソアミル、0.8%カプロン酸エチル及び0.5%酪酸エチルを含有するものとして示されている。したがって、フルーツポンチフレーバー材料をカプセル化するカプセル化フレーバー粉末は、粉末を製造するように噴霧乾燥された本来のブレンドの成分に対して97%保持レベルを達成した。
【0061】
図8は、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の製造に採用することができる例示的な噴霧乾燥システムの概略表現である。
【0062】
図示するように、噴霧乾燥プロセスシステム10は、噴霧乾燥器12を備え、噴霧乾燥器12は、上方円筒状部分18と下向きに先細りの円錐形の下方部分16とを有する、噴霧乾燥容器14を含む。この実施形態では、噴霧乾燥容器14には、パッファジェット(puffer jets)20のアレイが備えられており、パッファジェット20のアレイは、周方向に延在する長手方向に間隔を空けて配置された2つの列で設置され、そこでは、各パッファジェットは、列において隣接するパッファジェットから周方向に間隔を空けて配置されている。それぞれの列におけるパッファジェットの各々は、供給源構造体22に関連付けられた二次流体供給ライン24によって二次乾燥流体が供給されるように配置されており、二次流体供給ライン24は、噴霧乾燥容器14の周囲を周方向に延在することができ、それにより、パッファジェットの各々は、図1に示すシステムにおいて噴霧乾燥容器14の両側に示すパッファジェットと同様に、二次流体供給ライン24に接続されている。パッファジェットは、噴霧乾燥容器の内部容積内の乾燥流体に局所乱流を誘発するために利用される。
【0063】
本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、乾燥流体内に局所乱流を誘発するこのようなパッファジェット又は他の装置を採用しない噴霧乾燥容器を使用して製造することができるが、このような装置は、本明細書に記載するさまざまな特性(上述した特性(A)~(G)とともに、噴霧乾燥粉末がフレーバー成分にカプセル化フレーバー油を含むときに適用可能であるような上述した表面油率特性)を特徴とする噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を製造するのに非常に有利であり得る、容器の内部容積内に導入される噴霧乾燥可能な材料の液滴の乾燥の強化を提供することができる。
【0064】
図8のシステムでは、二次流体源構造体22を概略的に示すが、実際には、二次流体供給ライン24におけるパッファジェット20に導入される加圧二次乾燥流体の流れを形成する、二次流体供給タンク及びポンプ、圧縮器、又は他の原動力となる流体ドライバに関連付けられた好適な配管、弁及びマニホールドによって構成することができる。
【0065】
噴霧乾燥容器14の上端部に入口26が設けられており、液体組成物供給ライン40において、液体フレーバー組成物供給ライン36において組成物供給容器28から液体フレーバー組成物を受け取る液体フレーバー組成物ポンプ38の作用の下で、噴霧乾燥容器14において噴霧乾燥させるべき噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物が、入口26まで流れる。噴霧乾燥させるべき液体フレーバー組成物は、液体フレーバー組成物供給容器28内で配合することができ、液体フレーバー組成物供給容器28には、例えば、液体組成物供給容器28(図1には示さず)の内部に配置されたミキサ装置の作用の下で、液体フレーバー組成物の原料成分をその内部で混合するために供給することができる。このようなミキサ装置は、機械式ミキサ、スタティックミキサ、超音波ミキサ、又は後に噴霧乾燥させるべき液体フレーバー組成物の混合及び均質化をもたらす他の装置であるか、又はそれを含むことができる。
【0066】
例えば、乾燥噴霧させるべき液体組成物が、溶媒、担体及び製品フレーバー材料のスラリー又は乳濁液である場合、図示するように、溶媒供給容器30から液体フレーバー組成物供給容器28に溶媒を供給することができ、担体材料供給容器32から液体組成物供給容器28に担体材料を提供することができ、製品フレーバー材料供給容器34から液体フレーバー組成物供給容器28に製品フレーバー材料を提供することができる。
【0067】
したがって、噴霧乾燥させるべき液体フレーバー組成物は、液体組成物供給容器28から液体フレーバー組成物供給ライン36を通ってポンプ38まで流され、その後、液体フレーバー組成物供給ライン40におけるこのようなポンプの作用の下で、噴霧乾燥容器14の入口26まで、噴霧乾燥容器の内部容積の入口領域に配置された噴霧器又はノズル等の噴霧装置まで流れる。同時に、主乾燥流体が、主乾燥流体供給ライン70において噴霧乾燥容器14の入口26まで流され、噴霧乾燥容器14の上方円筒状部分18から噴霧乾燥容器の内部容積を通って噴霧乾燥容器14の下方円錐形部分16まで流れ、下方円錐形部分16の下端部において、乾燥粉末製品及び流出乾燥流体は流出物ライン42に流れ込む。主乾燥流体が噴霧乾燥容器14の内部容積を通って流れる間、噴霧乾燥容器の物質移動及び乾燥効率の向上のために、乾燥流体流ストリームに、内部容積を通して局所乱流を誘発するために好適な圧力及び流量で二次乾燥流体を導入するように、パッファジェット20を選択的に作動させる。
【0068】
流出物ライン42を流れる乾燥カプセル化フレーバー粉末及び流出乾燥流体は、サイクロン分離機44まで進み、そこで、流出乾燥流体から乾燥カプセル化フレーバー粉末固体が分離され、分離されたカプセル化フレーバー粉末固体は、製品供給ライン46において乾燥カプセル化フレーバー粉末製品収集容器48まで進む。収集容器48における乾燥カプセル化フレーバー粉末製品は、このような容器内でパッケージングすることができ、又は、パッケージング施設(図8には示さず)に輸送することができ、そこで、収集された乾燥カプセル化フレーバー粉末製品は、出荷及び最終的な使用のために袋、ビン又は他の容器でパッケージングされる。
【0069】
サイクロン分離機44において乾燥カプセル化フレーバー粉末製品から分離された流出乾燥流体は、流出流体供給ライン52においてバッグハウス52まで流れ、そこで、流出流体におけるいかなる残留同伴微粒子も除去されて、微粒子のない流出流体を形成し、それはその後、流出流体移送ライン54においてブロワ56まで流され、ブロワ56から、流出流体は、ブロワ放出ライン58において凝縮器60まで流され、凝縮器60において流出流体は必要に応じて熱的に調整され、熱的に調整された流出流体は、その後再循環ライン62においてブロワ64まで流され、ブロワ64から、再循環する流出流体は、ポンプ吐出ライン66において除湿器68まで流れ、除湿器68において、乾燥流体の相対湿度及び露点特性を噴霧乾燥操作のための適切なレベルに調整するように、残留溶媒蒸気が除去され、除湿された乾燥流体は、その後、上述したように、主乾燥流体供給ライン70において噴霧乾燥容器14の入口26まで流れる。
【0070】
除湿器は、さまざまな実施形態では、一次乾燥流体及び二次乾燥流体の両方を、所定の相対湿度及び露点特性で噴霧乾燥容器14に提供するように構成し且つ配置することができ、又は、このような目的で、噴霧乾燥システムに複数の除湿器を設けることができる。
【0071】
図9は、図8の噴霧乾燥プロセスシステムの一部の破断図での概略表現であり、噴霧乾燥システムの噴霧乾燥容器の内部容積における局所乱流誘発の作用を示す。
【0072】
図示するように、噴霧乾燥器14の入口26は、上壁80を含み、そこに入口26が載っており、入口26は、主乾燥流体供給ライン70において主乾燥流体を受け取り、液体フレーバー組成物供給ライン40において噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物を受け取る。入口において、導入された噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物は、上壁80を通して延在している噴霧器ノズル88内に流れ込み、このようなノズルの開放下端部において、噴霧乾燥容器14の内部容積を通って落ちる液体液滴84の霧状噴霧76として、矢印Aによって示す方向に放出され、その間、上壁80の開口部82を通って流れるように主乾燥流体供給ライン70から入口26に導入される主乾燥流体と接触し、主乾燥流体はその後矢印78によって示すように下向きに流れ、それにより、同時に導入された主乾燥流体及び霧状液体フレーバー組成物液滴84は、互いに接触する。
【0073】
噴霧乾燥容器14の内部容積に導入される乾燥流体は、噴霧乾燥容器の入口領域において著しい乱流を誘発するような方法で導入することができ、それは、乾燥流体の霧状液体フレーバー組成物液滴との接触中に噴霧乾燥容器の内部容積を通して局所乱流を誘発するように、二次乾燥流体の注入によって強化される。
【0074】
したがって、主乾燥流体と霧状噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物の液滴とのこのような接触の間、信号伝送ライン202においてCPU200から伝送された作動信号によりパッファジェット20を作動させて、二次流体供給ライン24においてパッファジェットの先端ノズル72から供給される二次乾燥流体の注入を開始して、二次乾燥流体の乱流注入流74を導入し、これが、主乾燥流体流ストリームとの相互作用において、噴霧乾燥容器14の内部容積内に局所乱流領域86を生成し、物質移動及び乾燥効率を向上させる。
【0075】
したがって、CPU200は、主乾燥流体流ストリーム内に、乾燥流体を霧状液体フレーバー組成物の液滴と破壊的に且つ意図的に混合する乱流二次乾燥流体の一連のバーストを提供するように、パッファジェット20を間欠的に、周期的に且つ反復的に作動させるように、プログラム可能とし、配置及び構成することができ、噴霧乾燥容器14に関連する複数のパッファジェットのうちの他のものは、システム全体における個々のパッファジェットの「発射」の任意の好適なパターン及びタイミングスケジュールで、パッファジェット20に関連して同時に又は非同時に作動させることができる。
【0076】
噴霧乾燥容器の内部容積における局所乱流の誘発により、噴霧乾燥操作において噴霧乾燥フレーバー組成物液滴から乾燥流体への溶媒の非常に高レベルの物質移動が可能になり、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末製品の達成のために利用される噴霧乾燥容器容積を最小限にすることができ、それにより、資本設備、エネルギー及び稼働費の低減が達成される。このような利点は、低温噴霧乾燥操作において特に重要であり、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の製造のために、著しく小型且つ効率的な噴霧乾燥プロセスシステムを高速噴霧乾燥操作において効率的に利用することができる。
【0077】
噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を製造するために実施される噴霧乾燥操作において、本明細書に記載する粉末製品特性を満足させる噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末製品を製造する、任意の好適な乾燥流体を採用することができる。多くの実施形態において、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を製造するために空気が好ましいが、他の実施形態における乾燥流体は、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、一酸化炭素、又は単成分流体を含む他の流体種とともに、流体混合物を含むことができる。乾燥流体は、さまざまな実施形態において、気体又は蒸気の形態で存在することができ、流体は、噴霧乾燥フレーバー組成物材料の噴霧から乾燥流体に溶媒又は他の望ましくは揮発性の材料が移動するために適切な物質移動駆動力を提供するプロセス条件で、構成されるとともに噴霧乾燥容器に流されるべきである。
【0078】
噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物で使用される溶媒は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、水、無機溶媒、有機溶媒、並びにそれらの混合物、ブレンド、乳濁液、懸濁液及び溶液を含むことができる。さまざまな実施形態において、例えば、アセトン、クロロフォルム、メタノール、塩化メチレン、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMS)、グリセリン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、及び上述したもののうちの1種又は複数種の水との混合物等、有機溶媒を採用することができる。具体的な実施形態では、水、アルコール及び水-アルコール溶液からなる群より選択される溶媒を有利に採用することができる。
【0079】
フレーバー成分をカプセル化するために噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物で使用される担体材料は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、天然及び合成高分子材料、並びに上述したものの2種以上の混合物から選択することができる。好ましい担体としては、澱粉担体、糖担体及びセルロース系担体が挙げられる。
【0080】
噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物が、担体、フレーバー成分及び溶媒のスラリー又は乳濁液を含む場合、スラリー材料の粘度は、液体フレーバー組成物の噴霧乾燥の時点で、粘度が有利に300mPa-s(1mPa-s=1センチポアズ)~28,000mPa-sの範囲又はそれを超えるように、適切な配合によって制御することができる。さまざまな他の応用では、粘度は、下限が325、340、350、375、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950及び1000mPa-sのうちの任意の1つであり、上限が下限よりも大きく、且つ400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000及び20,000のうちの任意の1つである、範囲とすることができ、任意の粘度範囲は、このような下限のうちの任意の1つを含み、このような上限のうちの任意の1つは、さまざまな具体的な応用において有用に採用される。いくつかの応用における好ましい粘度範囲は、500~16,000mPa-sであり、他の応用における好ましい粘度範囲は、1000~4000mPa-sである。
【0081】
さまざまな実施形態において、噴霧乾燥可能スラリー又は乳濁液内の溶媒の比は、望ましくは、噴霧乾燥操作時のスラリー内の溶媒の比が、スラリー(乳濁液)の総重量に対して50重量%を超えないように制御される。例えば、さまざまな応用において、噴霧乾燥段階時のスラリー内の溶媒の比は、同じ総重量に対して、関連する所定の噴霧乾燥操作並びにフレーバー組成物及び他の材料に適切であるように、20~50重量%、又は20~45重量%、又は20~40重量%、又は25~35重量%であり得る。
【0082】
噴霧乾燥容器の入口において測定される、噴霧乾燥容器内に導入される乾燥流体の温度(噴霧乾燥容器に流れ込む乾燥流体の入口温度)は、110℃未満である。さまざまな応用において、乾燥流体の入口温度は、関連する所定の噴霧乾燥操作に適切であるように、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃又は20℃未満であるように制御することができる。図1のグラフによる比較に示すように、スラリー又は乳濁液の初期溶媒濃度が低いため、低温噴霧乾燥における「恒」率期間が非常に短いか又は存在せず、そのため、多孔質乾燥層を通して、内部粒子コアからの拡散により最初から乾燥が制御されて、中空領域又はシェル構造なしに完全に稠密の乾燥粉末製品が製造される。このような低温プロセスにおいて局所乱流誘発が使用される場合、噴霧粒子(液滴)表面と周囲の乾燥流体との間に高濃度勾配が達成される。
【0083】
噴霧乾燥操作において、所望の性質の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を得るように噴霧乾燥プロセスを実施するために、乾燥流体の相対湿度を適切に制御することが必要である。さまざまな実施形態において、噴霧乾燥チャンバ内に流れ込む乾燥流体は、35%、30%、25%、20%、15%、12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%又は0.01%を超えない相対湿度を有することができる。
【0084】
さまざまな実施形態において、噴霧乾燥チャンバ内に流れ込む乾燥流体のストリームの相対湿度は、下限端点が10-4%、10-3%、10-2%、10-1%、1%、1.5%又は2%のうちの任意の1つであり、且つ上限端点が、下限端点よりも大きく、35%、30%、20%、15%、12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%、0.01%又は0.05%のうちの任意の1つである、範囲であり得る。例えば、噴霧乾燥チャンバ内に流れ込む乾燥流体のストリームは、10-4%~35%、10-3%~18%、0.005~17%、0.01%~15%、0.01~5%、0.1~5%又は0.001%~2%の範囲の相対湿度を有することができる。
【0085】
噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末の製造のための噴霧乾燥操作を促進するために有用であり得る別の選択肢として、噴霧乾燥プロセスは、噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物の電気流体力学的噴霧乾燥のために、噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物と液体フレーバー組成物粒子の霧状噴霧とのうちの少なくとも一方に電気流体力学的電荷(通常、静電荷と誤った名称で称され、対応する噴霧乾燥は一般に静電噴霧乾燥と称される)を印加することをさらに含むことができる。このような電気流体力学的噴霧操作は、電気流体力学的噴霧が採用される所定の応用に対して適切な、任意の好適な電圧条件で実施することができる。さまざまな実施形態において、電気流体力学的電荷は、0.25~80kVの範囲であり得るが、所定の応用において、噴霧乾燥させるべきフレーバー組成物材料に、より高い又はより低い電気流体力学的電荷を与えることができることが理解されよう。さまざまな実施形態において、噴霧乾燥させている粒子に与えられる電気流体力学的電荷は、0.5~75kV若しくは5~60kV若しくは10~50kVの範囲、又は他の好適な範囲若しくは他の所定値であり得る。
【0086】
電気流体力学的噴霧乾燥の他の実施形態では、ノズルに周期的に切り替えられる電圧を、例えば、上述した又は他の電圧範囲のうちのいずれかの範囲にある高電圧と低電圧との間で、印加するように配置された電圧源に、作動的に結合された電気流体力学的ノズルを通して、供給原料の液体フレーバー組成物を噴霧することができる。
【0087】
噴霧乾燥可能フレーバー組成物液滴の霧化後帯電は、ノズルを接地した状態で外部電極を使用するコロナ放電型噴霧器を用いて実施することができ、又は、噴霧乾燥可能フレーバー組成物液滴の伝導率の特性が有利である場合は、このような霧化後帯電は、霧状液滴の電子ビーム放射を用いて実施することができる。
【0088】
したがって、噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物の電気流体力学的帯電は、このようなフレーバー組成物の霧化の前、間又は後に実施することができる。電気流体力学的噴霧システム及び操作において、広く異なるタイプの電気流体力学的噴霧機器、例えば、噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物の電気流体力学的に帯電した噴霧を、噴霧乾燥容器の内部容積内にその中の乾燥流体と接触するように導入するように位置決めされた電気流体力学的噴霧装置を利用することができる。
【0089】
乾燥流体と接触する噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物の噴霧の発生は、噴霧器、ネブライザー、超音波分散器、遠心装置、ノズル又は他の適切な装置を含む任意の好適な装置によって行うことができる。液体フレーバー組成物は、液滴を形成するように崩壊される液膜又はひも形態で、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。多種多様な機器及び技法が、液滴又は微粉化された液体粒子の形態で液体組成物の噴霧を形成するために利用することができる。例えば、液滴サイズ及び分布は、所与の噴霧乾燥システムに対して極めて一定である可能性があり、液滴は、10~300μmの範囲又は他の好適な範囲であり得る。
【0090】
図10は、本開示のカプセル化フレーバー噴霧乾燥粉末を製造するために採用することができる別の噴霧乾燥装置の概略表現であり、この装置は、噴霧乾燥チャンバ内の主流体流内に一時的な間欠的乱流空気バーストを注入するように構成された、噴霧乾燥チャンバ壁の乱流混合ノズルのアレイを含む。
【0091】
図示するように、噴霧乾燥システム500は、供給原料前駆体フレーバー組成物源502を含み、そこから、供給原料前駆体フレーバー組成物が、供給ライン504内を供給原料組成物処理ユニット506に流され、供給原料組成物処理ユニット506では、前駆体フレーバー組成物が、噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物を得るように処理又は処置される。このような上流処理ユニットは、任意の好適なタイプとすることができ、例えば濃縮ユニットを備えることができ、濃縮ユニットでは、噴霧乾燥させるべき製品材料が、供給原料前駆体フレーバー組成物濃度から、ライン508においてユニットから放出される噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物におけるより高い濃度に濃縮される。
【0092】
噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物は、液体組成物供給ライン508においてポンプ510によって供給原料フレーバー組成物処理ユニット506から供給原料供給ライン512まで流され、供給原料供給ライン512から、噴霧乾燥可能フレーバー液体組成物は、噴霧乾燥器容器518の噴霧乾燥器入口516内に流れ込み、その時点で、噴霧器514によって霧化されて、噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物の霧状噴霧520を発生させる。同時に、調整済み乾燥流体は、調整済み乾燥流体供給ライン570内を噴霧乾燥器容器518の入口516まで流され、それにより、導入された調整済み乾燥流体は、噴霧乾燥可能液体フレーバー組成物の霧状噴霧と接触するように、噴霧乾燥器容器518の内部容積522を通って流れる。
【0093】
調整済み乾燥流体又はその任意の部分は、いわゆる2つの流体の霧化において、噴霧器514を通って流すことができ、又は、調整済み乾燥流体は、噴霧乾燥可能液体組成物の導入及びその噴霧器514の通過に関連して、別個のストリームとして噴霧乾燥容器518の内部容積522内に流し込むことができる。
【0094】
噴霧器514は、任意の好適なタイプとすることができ、噴霧器514としては、例えば、回転噴霧器、遠心噴霧器、ジェットノズル噴霧器、ネブライザー、超音波噴霧器等のうちのいずれか、及び上述したもののうちの2つ以上の組合せを挙げることができる。噴霧器は、上述したように、濃縮された供給原料組成物の電気流体力学的噴霧乾燥を実施するように電気流体力学的であってもよく、又は、性質として非電気流体力学的であってもよい。
【0095】
採用する所定の噴霧器タイプ及び霧化モードに関わらず、供給原料組成物の霧状噴霧520は、噴霧乾燥容器518の内部容積522に導入され、噴霧乾燥可能液体組成物の霧状液滴は、内部容積を通って噴霧乾燥器出口524まで進む間、調整済み乾燥流体と接触して、霧状液滴を乾燥させ、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末製品を形成する。
【0096】
噴霧乾燥容器518に対して、任意に、補助乾燥流体周囲供給ライン526を設けることができ、そこでは、それぞれの概略的な供給ライン526の矢印は、噴霧乾燥容器518の内部容積522内に補助乾燥流体を導入するように配置されたインジェクタジェットを示す。したがって、供給ライン526及びそのインジェクタジェットは、インジェクタジェットが内部に配置されるように、噴霧乾燥容器518内の対応する壁開口部を貫通することができ、又は、インジェクタジェットは、噴霧乾燥容器の壁開口部と連通して、そこを通して補助乾燥流体を内部容積522内に注入するように配置することができる。補助乾燥流体は、噴霧乾燥容器の内部容積内への導入点において又はその近くで局所乱流530を発生させるように十分な圧力及び流量で、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。
【0097】
補助乾燥流体周囲供給ライン526は、補助乾燥流体マニホールド528に結合されているように示されており、補助乾燥流体マニホールド528を通して、補助乾燥流体はそれぞれの供給ライン526まで流される。補助乾燥流体は、連続的に又は間欠的に、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。補助乾燥流体は、バーストで、例えば時系列的に導入することができ、インジェクタジェットは、図10に示すCPU590等、中央処理装置のモニタリング及び制御の下でプログラム可能に配置することができる。
【0098】
このような乱流の局所誘発は、濃縮された供給原料フレーバー組成物の霧状液滴から噴霧乾燥容器内に存在する乾燥流体への液体溶媒の拡散率及び物質移動を促進する。
【0099】
容器の内部容積内の濃縮された供給原料フレーバー組成物の霧状液滴の乾燥のさらなる促進として、噴霧乾燥容器518に、図示するような補助乾燥流体中心供給ライン532を備えることができる。補助乾燥流体中心供給ライン532には、一連の長手方向に間隔を空けて配置された補助乾燥流体中心供給ラインインジェクタジェット534が設けられ、そこでは、補助乾燥流体が注入された乱流領域536を発生させるように、十分な圧力及び流量条件下で、補助乾燥流体を注入することができる。
【0100】
供給ライン526及び関連するインジェクタジェットを通して噴霧乾燥容器の内部容積内に導入される補助乾燥流体は、噴霧乾燥容器内の内部容積522の中心部分において補助乾燥流体が注入された乱流領域536を提供するように、インジェクタジェット534から連続的に又は間欠的に噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。補助乾燥流体は、バーストで、例えば時系列的に、中心供給ラインインジェクタジェット534を通して導入することができ、図10に示すCPU590等の中央処理装置のモニタリング及び制御の下で、インジェクタジェットをプログラム可能に配置することができる。
【0101】
図10に示すような周囲ジェット及び中心ジェットの組合せを用いて、噴霧乾燥器容器内の内部容積の中心領域並びに内部容積の外壁領域を通して局所乱流を提供して、内部容積内のデッドゾーン又は停滞領域等の異常な流れ挙動が最小限になる噴霧乾燥プロセスを実施することができる。対応して、さまざまに本明細書に記載する特性を有する噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を用意するために、非常に好都合な流体力学的物質移動環境が提供される。
【0102】
噴霧乾燥器容器の内部容積内の乾燥流体との濃縮された供給原料フレーバー組成物の霧状液滴の接触によって生成される、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末及び流出乾燥ガスは、噴霧乾燥器出口524で噴霧乾燥器容器から放出され、噴霧乾燥器流出ライン538においてサイクロン540まで流れる。サイクロン機器の代わりに、適切な性質の他の任意の好適な固体/気体分離ユニットを採用することができる。サイクロン540は、乾燥流体から乾燥したカプセル化フレーバー固体を分離し、乾燥したカプセル化フレーバー固体は、乾燥固体放出ライン542内を乾燥固体収集容器544まで流れる。固体内容物において消耗された乾燥流体は、乾燥流体放出ライン546においてサイクロンから流れ出て、微粒子フィルタ548を通って凝縮器550まで流れる。凝縮器550において、乾燥流体は冷却され、その結果、その中の凝縮性気体が凝縮し、凝縮液は凝縮液放出ライン552において凝縮器から放出される。
【0103】
次に、結果としての凝縮液が消耗された乾燥流体は、内部にポンプ556を含む乾燥流体再循環ライン554において、乾燥流体補給供給ライン610に導入された任意の必要な補給乾燥流体とともに、乾燥流体調整アセンブリ568まで流れる。乾燥流体調整アセンブリは、調整済み乾燥流体供給ライン570において噴霧乾燥器容器518まで流れるように、再循環乾燥流体及び任意の追加された補給乾燥流体を調整する。乾燥流体調整アセンブリは、温度及び相対湿度の適切な所望の条件で再循環させるように乾燥流体を提供する除湿器及び/又は熱交換(加熱器/冷却器)機器を備えることができる。
【0104】
したがって、任意の必要な補給乾燥流体を含む乾燥流体は、適切な供給源から、乾燥流体調整アセンブリ568に提供することができ、又は、システムにおける他の適切な場所において噴霧乾燥システムに提供することができ、所望の温度、圧力、流量、組成及び相対湿度で噴霧乾燥操作を行うための必要に応じて、関連する機器又は装置によって任意の適切な前調整操作が実施される。したがって、例えば、補給乾燥流体は、タンク、貯蔵容器又は他の供給源(例えば、このような乾燥流体として空気の場合、周囲雰囲気)から調整アセンブリ568に提供することができる。
【0105】
システムにおける補助乾燥流体源として、乾燥流体再循環ライン554からの再循環する乾燥流体の一部は、流量制御弁574を含む補助乾燥流体供給ライン572において補助乾燥流体調整アセンブリ576まで分流させることができる。補助乾燥流体調整アセンブリ576は、任意の好適な方法で構成及び配置することができ、乾燥流体調整アセンブリ568の構成及び配置と同じか又は同様の性質を有することができる。したがって、補助乾燥流体調整アセンブリ576は、システムにおいて補助乾燥流体を使用するために適切な条件にあるように、補助乾燥流体を調整する。
【0106】
上述したように、調整済み補助乾燥流体は、補助乾燥流体調整アセンブリ576から補助乾燥流体供給ライン578を通って流れ、補助乾燥流体供給ライン578から、ポンプ582を含む補助乾燥流体供給ライン580においてマニホールド528まで流れ、一方で、調整済み補助乾燥流体の残りは、補助乾燥流体供給ライン578においてポンプ584まで流れ、ポンプ584から、噴霧乾燥器容器の内部容積の中心領域に導入されるように、補助乾燥流体供給ライン586において補助乾燥流体中心供給ライン532まで流される。
【0107】
図10に示すシステムは、別法として、例えば、主乾燥流体及び補助乾燥流体がそれらの関連する流体特性に関して実質的に同じ性質を有する場合、別個の補助乾燥流体調整アセンブリ576を設けることなく、乾燥流体調整アセンブリ568が乾燥流体の主流及び補助乾燥流体の両方を処理するように、構成及び配置することができることが理解されよう。主乾燥流体及び補助乾燥流体が異なる気体であるか若しくは異なる気体を含み、又はそれらの関連する流体特性が他の意味で異なる場合、主乾燥流体及び補助乾燥流体の各々に対する別個の流れ循環ループを設けることができることも理解されよう。
【0108】
図10のシステムは、システムにおいてモニタリング及び/又は制御動作を行うように配置された中央処理装置(CPU)590を含むものとして示すが、制御態様で採用される場合、設定値又は他の所望の動作条件での動作を維持するように、機器及び/又は流体条件の調整のための制御信号を生成するように採用することができる。上述したように、CPUは、調整アセンブリ568及び576に、除湿器、熱コントローラ、熱交換機器等、その構成要素を制御するように、作動的に接続することができる。
【0109】
図10では、CPU590は、例示的に、モニタリング及び/又は制御信号伝送ライン592、594、596、598、600、602及び604により、ポンプ510、乾燥流体調整アセンブリ568、補助乾燥流体調整アセンブリ576、流量制御弁574、ポンプ582、ポンプ556及びポンプ584にそれぞれ作動的に結合されているものとして示す。
【0110】
図10に示すCPUの具体的な配置は、例示的な性質を有し、CPUは、任意の好適な動作構成要素、要素、特徴、ユニット、条件及びパラメータをモニタリングするように、及び/又は任意の好適な動作構成要素、要素、特徴、ユニット、条件、パラメータ及び変数を制御するように、濃縮ユニット506を含むシステム全体の任意の構成要素、要素、特徴及びユニットに関して、他の方法で配置することができることが理解されよう。このような目的で、モニタリング能力に関して、システムは、適切なセンサ、検出器、構成要素、要素、特徴及びユニットを備えることができる。信号伝送ラインは、双方向信号伝送ラインとすることができ、又は、モニタリング信号伝送ライン及び別個の制御信号伝送ラインを含むケーブル配線を構成することができる。
【0111】
噴霧乾燥システムは、接触気体、補助接触気体、乾燥流体及び補助乾燥流体、又はそれらのうちの任意の2つ以上が、実質的に同じ組成、温度及び/又は相対湿度を有することができ、それにより、対応してシステム要件が簡略化した資本設備及び運転コスト効率を達成することができる配置で、具現化することができることが理解されよう。したがって、例えば、接触気体、補助接触気体、乾燥流体及び補助乾燥流体のすべてが、共通気体源からの空気、窒素、アルゴン又は他の気体とすることができ、このような共通の気体は、共通の熱調整及び除湿機器を採用することができるように、実質的に同じ温度及び相対湿度で提供することができる。
【0112】
図10のシステムは、したがって、噴霧乾燥容器の内部容積を通る局所乱流誘発を採用して、プロセス動作条件の対応する選択によって達成することができる所定の粉末特性を有する、本開示の高性能噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を製造することができる、より高効率の噴霧乾燥システムを提供する。
【0113】
図11は、本開示のカプセル化フレーバー噴霧乾燥粉末を製造するために採用することができるさらなる噴霧乾燥装置の概略表現である。
【0114】
図11に示す噴霧乾燥システム700は、内部容積704を有する噴霧乾燥容器702を含む。内部容積内には、入口供給アセンブリ708から下向きに吊るされた噴霧器706が配置されている。入口供給アセンブリ708は、噴霧乾燥可能フレーバー組成物供給ライン710及び乾燥流体供給ライン712を含み、それらは、噴霧乾燥可能フレーバー組成物が、好適な供給源(図11には示さず)から供給ライン710を通って噴霧器706まで流されるように配置されている。噴霧器は、噴霧乾燥器容器702の内部容積704内に放出される霧状噴霧乾燥可能組成物を発生させるように動作する。乾燥流体供給ライン712は、供給源(図示せず)から入口供給アセンブリ708を通って噴霧乾燥器容器702の内部容積704に乾燥流体を流す。
【0115】
噴霧乾燥器容器702に、複数のジェットノズルインジェクタ714、716、718、720、722及び724が備えられ、それらは各々、二次乾燥流体源に接合された供給ラインを有する。ジェットノズルインジェクタは、内部容積704内の一次乾燥流体に乱流を誘発するように、好適な流量及び圧力条件で、二次乾燥流体を注入する。
【0116】
ジェットノズルインジェクタに加えて、噴霧乾燥器容器702は、一連の壁面に取付けられたタービュレータ728、730、732及び734も含み、それらは、容器の内部容積を通る乾燥流体の流れの間にそれらと接触している乾燥流体内に乱流を生成するようなサイズ及び形状である。容器の円錐形下方部分の下端部に、流出物放出ライン726があり、それにより、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末及び流出乾燥流体が容器から放出される。
【0117】
図11に示すタービュレータは、霧状噴霧乾燥可能材料と接触している乾燥流体内に乱流を誘発するように構成されている装置である。この装置は、任意の好適なタイプとすることができ、噴霧乾燥操作の促進のために乾燥流体内に乱流を誘発するように、一連の一次乾燥流体内に二次乾燥流体を注入するために利用される、任意の1つ又は複数のジェット、ノズル、インジェクタ等を含むことができる。装置は、別法として、乾燥流体と相互作用して、乾燥流体内で乱流を誘発する構造タイプのもの、例えば、ねじりテープ、スタティックミキサ装置、エーロフォイル、Brockタービュレータ、ワイヤタービュレータ、コイルタービュレータ、及び壁突起(wall protrusion)タービュレータであり得る。さまざまな種類のこのような装置は、霧状噴霧乾燥可能フレーバー組成物の乾燥の速度及び/又は程度を促進するために好適な乱流の強度を達成するために望ましい可能性があるように、さまざまな実施形態において互いに組み合わせることができる。
【0118】
噴霧乾燥材料及び流出乾燥流体は、サイクロン分離機まで進むことができ、そこで、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は流出乾燥流体から回収され、流出乾燥流体は、その後、望ましい場合は、全体的に又は部分的に、システムにおいて再循環するように処理され、又は別法として、システムから排出され、上述したように新たな乾燥流体が導入される。
【0119】
図11に示す噴霧乾燥システムは、プロセス制御ユニット736をさらに備え、それは、プロセス処理制御信号伝送ライン738及び740とともに概略的に示されており、それにより、少なくとも1つのタービュレータとの乾燥流体の相互作用により、乱流、例えば、容器の内部容積内の霧状噴霧乾燥可能材料における噴霧乾燥可能材料液滴の平均粒径未満のコルモゴロフ長を有する乱流を、乾燥流体内に生成するように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように、プロセス制御ユニットが送出ラインと作動的に連結されていることを概略的に表す。したがって、このような配置は、このような目的で、噴霧乾燥可能フレーバー組成物供給ライン710及び乾燥流体供給ライン712においてそれぞれの流量制御弁を含むことができる。
【0120】
上述したコルモゴロフ長ηは、式
【数6】
によって定義され、式中、vは乾燥流体の動粘度であり、εは、乾燥流体における誘発された乱流の運動エネルギーの散逸率である。
【0121】
コルモゴロフ長を利用して、噴霧乾燥容器に関連するジェット又は他のタービュレータ構成要素によって噴霧乾燥操作において誘発される乱流を特徴付けることができる。コルモゴロフ長は、噴霧乾燥容器の内部容積内の流体流において誘発される乱流におけるエネルギーを散逸させる渦を特徴付ける。このような流れにおける乱流運動エネルギーは、乱流が開始した後に噴霧乾燥容器の内部容積内の流体において時空的に展開する運動エネルギーカスケードに関して述べることができる。噴霧乾燥容器内の流体内に流体注入により又は流体分断により導入されるエネルギーは、通常積分スケールとして特徴付けられる、大きいスケールにおいて流体力学的不安定性を発生させる。そして、積分スケールにおけるエネルギーは、徐々に小さいスケールに、最初は、渦伸長(vortex stretching)等の非粘性メカニズムを通して、その後、粘性による散逸を通して、熱に伝達される。波数の関数としてエネルギーの対数プロットにグラフ式に示すように、誘発される乱流を反映する初期エネルギー保有領域、それに続く慣性領域、それに続く最終散逸領域の別個の領域は、低波数領域における大きい渦がさらにより小さい渦に変形し、最終的に熱に散逸する、エネルギーカスケードを示すものとして容易に視覚化される。散逸の減衰が開始するスケールは、コルモゴロフスケール
【数7】
であり、式中、εは、対数プロットに示す乱流散逸率であり、vは乾燥流体の動粘性である。
【0122】
乱流散逸率及びコルモゴロフ長は、熱線流速計又はレーザドップラ流速計技法を使用して容易に求められる。例えば、熱線流速計を採用して、誘発される乱流、慣性範囲及びカスケードの散逸範囲を示す、ヘルツでの周波数の関数としての乱流出力密度の対数-対数プロットを用いるとともに、上記コルモゴロフスケール式からコルモゴロフ長を計算することができる乱流散逸率を求めることができるようにする散逸範囲値を用いて、ある範囲の周波数で乱流出力密度の値を生成することができる。
【0123】
有利には、本明細書においてさまざまに考察する特性を有する噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を製造するために、噴霧乾燥操作を実質的に促進するように、容器の内部容積における乾燥流体の体積の少なくとも5体積%で乱流が誘発されてもよい。より全体的には、乱流は、容器の内部容積における乾燥流体の体積の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又はそれより大きい体積%で誘発されてもよい。したがって、乱流が誘発される乾燥流体の量を最大限にすることが有利であり、乱流が誘発される容器の内部容積における乾燥流体の体積比は、有利には、乾燥流体が導入され霧状噴霧乾燥可能フレーバー組成物と接触すると可能な限りすぐに乱流が誘発されるように、噴霧器と接触している乾燥流体を含むことができる。
【0124】
図11の装置において、プロセス制御ユニット736は、容器の内部容積内の霧状噴霧乾燥可能フレーバー材料における噴霧乾燥可能フレーバー材料液滴の平均粒径が50~300μmの範囲又は他の液滴サイズ範囲であるように、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能材料の流量とを調節するように適合させることができる。
【0125】
さらに又は別法として、プロセス制御ユニットは、内部容積内への乾燥流体の流量と噴霧器への噴霧乾燥可能フレーバー組成物材料の流量とを、噴霧乾燥容器の内部容積内の誘発された乱流の乱流散逸率が25m/secを超えるように調節するように適合させることができる。このような目的で、プロセス制御ユニットは、プロセス制御ユニットにおいて適切なハードウェア、ソフトウェア又はファームウェアによって噴霧乾燥プロセス操作を実施するようにプログラム可能に配置された、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、汎用又は専用のプログラム可能なコンピュータ、プログラム可能なロジックコントローラ等を含むことができる。プロセス制御ユニットは、ランダムアクセス、読み取り専用、フラッシュ又は他の性質のメモリを備えることができ、システムの動作性能に対する動作プロトコル又は他の情報のデータベースを備えることができる。
【0126】
したがって、本明細書に記載する属性及び特性を有する、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を製造するためにさまざまに採用することができる、種々の噴霧乾燥システム及び装置、並びに対応する種々の処理方法及び技法が存在する。
【0127】
この目的で、1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分を含むとともに、
(A)60秒未満の分散媒溶解時間、
(B)15秒未満の分散媒分散時間、
(C)粉末における粒子の少なくとも75%が少なくとも80μmの粒径を有する、粒度分布、
(D)0.01~0.03の範囲である、粉末の粒子の表面積(μm)対体積(μm)比、
(E)総粒子体積の10%未満である、粉末の粒子の粒子空隙体積、
(F)22~40lb/ftの範囲である粉末の粒子のかさ密度、及び
(G)40°を超えない、粉末の安息角、
という特性のうちの1つ又は複数、好ましくはすべてを特徴とし、任意に、噴霧乾燥粉末がカプセル化油を含む場合、表面油率が1.5%未満である、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末、例えば、単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を製造するために動作条件の好適なプロセスエンベロープ(process envelope)を経験的に決定するように、本明細書に記載するさまざまな動作条件及びパラメータ内で、採用する噴霧乾燥システム及び装置の所定の構造及び構成に従ってそうした動作条件及びパラメータを選択的に変更しながら、噴霧乾燥操作を行うことができる。
【0128】
さらに、先行する開示では、アーモンド、オレンジ、レモン、ライム、タンジェリン、アマレット、アニス、パイナップル、ココナッツ、ペカン、リンゴ、バナナ、イチゴ、カンタロープ、カラメル、チェリー、ブラックベリー、ラズベリー、ショウガ、ボイセンベリー、ブルーベリー、バニラ、ハチミツ、モラセス、ウィンターグリーン、シナモン、クローブ、バター、バタークリーム、バタースコッチ、コーヒー、ティー、ピーナッツ、ココア、ナツメグ、チョコレート、キュウリ、ミント、トフィー、ユーカリ、グレープ、レーズン、マンゴー、ピーチ、メロン、キーウイ、ラベンダー、リコリス、メープル、メントール、パッションフルーツ、ザクロ、ドラゴンフルーツ、洋ナシ、クルミ、ペパーミント、パンプキン、ルートビア、ラム及びスペアミントという例示的なフレーバー種が、さまざまに特定されているが、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末において、多数の他のフレーバー及びフレーバーブレンドが対象となり、優れた保持レベル及び本明細書にさまざまに記載する他の高性能特性を提供することが理解されよう。
【0129】
したがって、1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分を含む、本開示の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、さまざまな実施形態において、以下の特性:
(A)60秒未満の分散媒溶解時間、
(B)15秒未満の分散媒分散時間、
(C)粉末における粒子の少なくとも75%が少なくとも80μmの粒径を有する、粒度分布、
(D)0.01~0.03の範囲である、粉末の粒子の表面積(μm)対体積(μm)比、
(E)総粒子体積の10%未満である、粉末の粒子の粒子空隙体積、
(F)22~40lb/ftの範囲である粉末の粒子のかさ密度、及び
(G)40°を超えない、粉末の安息角、
を特徴とすることができ、任意に、噴霧乾燥粉末がカプセル化油を含む場合、表面油率が1.5%未満であり、
このような噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、以下の特性(1)~(31)のうちの任意の1つ又は複数をさらに特徴とすることができ、
(1)1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分は、アーモンド、オレンジ、レモン、ライム、タンジェリン、アマレット、アニス、パイナップル、ココナッツ、ペカン、リンゴ、バナナ、イチゴ、カンタロープ、カラメル、チェリー、ブラックベリー、ラズベリー、ショウガ、ボイセンベリー、ブルーベリー、バニラ、ハチミツ、モラセス、ウィンターグリーン、シナモン、クローブ、バター、バタークリーム、バタースコッチ、コーヒー、ティー、ピーナッツ、ココア、ナツメグ、チョコレート、キュウリ、ミント、トフィー、ユーカリ、グレープ、レーズン、マンゴー、ピーチ、メロン、キーウイ、ラベンダー、リコリス、メープル、メントール、パッションフルーツ、ザクロ、ドラゴンフルーツ、洋ナシ、クルミ、ペパーミント、パンプキン、ルートビア、ラム及びスペアミントからなる群より選択される少なくとも1種を含み、
(2)1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分は、炭水化物、タンパク質、脂質、蝋、セルロース系材料、糖類、澱粉、天然及び合成高分子材料からなる群より選択される少なくとも1種を含む担体材料によってカプセル化されており、
(3)1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分は、マルトデキストリン、粉飴、加工澱粉、アラビアガム、変性セルロース、ゼラチン、シクロデキストリン、レシチン、乳清タンパク質及び水素添加油脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む担体材料によってカプセル化されており、
(4)1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分は、加工澱粉を含む担体材料によってカプセル化されており、
(5)1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分は、少なくとも1種のフレーバー油を含み、
(6)請求項1の噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、単一段階噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末を含み、
(7)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、45、40、35、30、25、20、15、12、10、8、7、6又は5秒のうちの少なくとも1つ未満の分散媒溶解時間を特徴とし、
(8)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、8、2又は1秒のうちの少なくとも1つ未満の分散媒分散時間を特徴とし、
(9)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%のうちの少なくとも1つが、少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とし、
(10)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも80%が少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とし、
(11)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも85%が少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とし、
(12)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも90%が少なくとも80μmの粒径を有する粒度分布を特徴とし、
(13)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、総粒子体積の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%又は1%のうちの少なくとも1つ未満である粒子空隙体積を特徴とし、
(14)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、総粒子体積の2.5%未満である粒子空隙体積を特徴とし、
(15)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、総粒子体積の2%未満である粒子空隙体積を特徴とし、
(16)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、25~38lb/ftの範囲である粉末の粒子のかさ密度を特徴とし、
(17)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、35°を超えない粉末の安息角を特徴とし、
(18)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、30°を超えない粉末の安息角を特徴とし、
(19)粉末における粒子の内部に大型の空隙がなく、
(20)粉末における粒子は非球形状であり、
(21)粉末における粒子は細長い形状であり、
(22)粉末は、少なくとも0.7の平均偏心率を有し、
(23)粉末は、0.70~0.95の範囲の平均偏心率を有し、
(24)粉末は、0.75~0.95の範囲の平均偏心率を有し、
(25)粉末は、0.80~0.95の範囲の平均偏心率を有し、
(26)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%が、少なくとも85μm、90μm、95μm、100μm、110μm又は120μmの粒径を有する粒度分布を特徴とし、
(27)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%が、端点が80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、110μm及び120μmのうちのいずれかである範囲の、ただし、このような範囲の下端点はこのような範囲の上端点よりも小さい、粒径を有する、粒度分布を特徴とし、
(28)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、100μmよりも大きいメジアン粒径を特徴とし、
(29)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、100μmよりも大きい平均粒径を特徴とし、
(30)1種又は複数種のカプセル化フレーバー原料成分はフレーバー油を含み、
(31)噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末は、噴霧乾燥カプセル化フレーバー粉末が製造される噴霧乾燥可能材料におけるフレーバー成分の重量に対して、90%、91%、92%、93%、94%、35%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%及び99.9%のうちの少なくとも1つであるフレーバー成分保持レベルを特徴とし、
特に好ましい実施形態は、特性(1)~(30)のうちの任意の1つ又は複数を有する特性(31)を含む。
【0130】
したがって、本開示について、本明細書では、具体的な態様、特徴及び例示的な実施形態に関して示したが、本開示の有用性はそのように限定されず、本明細書の記載に基づき、本開示の分野における当業者に示唆されるように、多数の他の変形、変更及び代替実施形態まで広がるとともにそれらを包含することが理解されよう。対応して、以下の請求項に係る本発明は、その趣旨及び範囲内に、このような変形、変更及び代替実施形態のすべてを含むものとして、広く解釈されるように意図されている。
図1
図2
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図10
図11
【国際調査報告】