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特表2022-528364血液サンプル中のフィブリノゲン濃度を測定するための方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】血液サンプル中のフィブリノゲン濃度を測定するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20220603BHJP
   G01N 33/86 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557413
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 AU2020000024
(87)【国際公開番号】W WO2020191428
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】2019901020
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519132366
【氏名又は名称】ハエモキネシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Haemokinesis Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マノリオス、ジム
(72)【発明者】
【氏名】バールコワー、マレック
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン、クレア
(72)【発明者】
【氏名】テイバー、リコ
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ、ジル
(72)【発明者】
【氏名】マクリーシュ、ヘザー
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA08
2G045AA13
2G045CA26
2G045DA40
2G045FB16
2G045GC12
(57)【要約】
血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にする診断デバイス。診断デバイスは、検査の状態の決定を可能にする視認インジケータを含む濡れ性検査基板を備える。濡れ性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、反応ゾーンは、少なくとも1つの試薬で予め充填される。検査されるべき血液サンプルが流れ受けゾーン又は反応ゾーンのうちのいずれかの近く又はその中に沈着され、血液サンプルは、血液サンプルの凝血化を誘発する試薬と反応する。反応ゾーンに加えられた染料に加えらたれ水が、濡れ性検査基板に沿った距離を進む。染料によって濡れ性検査基板に沿って、及び血液サンプルを通って移動される距離は、検査対象の血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を示す。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にする診断デバイスであって、前記診断デバイスは、検査の状態の決定を可能にする視認インジケータを含む濡れ性検査基板を備え、前記濡れ性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、前記反応ゾーンは、少なくとも1つの試薬で予め充填され、検査されるべき血液サンプルが前記流れ受けゾーン又は前記反応ゾーンのうちのいずれかの近く又はその中に沈着されるとき、前記血液サンプルは、前記血液サンプルの凝血化を誘発する前記試薬と反応し、前記反応ゾーンに加えられた染料に加えられた水が、前記濡れ性検査基板に沿った距離を進み、前記染料によって前記濡れ性検査基板に沿って、及び前記血液サンプルを通って移動する距離は、検査対象の前記血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を提供する、デバイス。
【請求項2】
血液又は血漿が前記反応ゾーンに適用されると、疎水性のゾーンが前記反応ゾーン中又はその近くに作成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記反応ゾーンに予め充填される試薬は、前記濡れ性検査基板に予め適用される物理的要因、生物学的要因、及び化学的要因を備えるグループから選択される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記フィブリノゲンの濃度は、前記流れ受けゾーン又は反応ゾーン中に導入される前記血液サンプルの挙動、及び前記濡れ性検査基板中に誘発される疎水性に関連する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記濡れ性検査基板は、多孔性であり、セルロース繊維(紙)から製造される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記血液サンプルが前記流れ受けゾーン又は反応ゾーン中又はその近くに沈着されると、前記濡れ性検査基板の多孔性は、前記濡れ性検査基板に沿った距離で、毛細管現象(溶出)下で前記染料を付勢し、前記濡れ性検査基板に沿って、及び前記血液サンプルを通って移動する前記距離は、検査対象の前記血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を提供する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記溶出は、前記血液サンプルの赤血球膜からの抗体分子の放出を引き起こす、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記放出された抗体分子は、免疫抗体特異性が存在するかどうかを決定するために、試薬赤血球に対して検査される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
多孔性の前記濡れ性検査基板に適用される前記物理的要因及び/又は化学的要因又は生物学的要因は、前記濡れ性検査基板の疎水性に影響を与える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記疎水性のゾーンは、測定可能である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
多孔性の前記濡れ性検査基板に適用される前記物理的要因及び/又は化学的要因又は生物学的要因は、前記濡れ性検査基板の疎水性を減少させるか又は増加させる、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記濡れ性検査基板の化学的要因の改質を事前に充填することは、化学物質で前記濡れ性検査基板をコーティングすることを備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
血液又は血漿が前記反応ゾーンに又はその近くに適用されると、凝血形成の開始後に疎水性のゾーンが形成される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
使用される前記生物学的要因、物理的要因、化学的要因、並びに/又は前記生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、オプションとして、前記反応ゾーンの外側に適用及び/又は予め適用され得る、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記血液又は血漿は、前記反応ゾーンの外側の多孔性の前記濡れ性検査基板上に適用される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
使用される前述の前記生物学的要因、物理的要因、化学的要因、並びに/又は前記生物学的要因、物理的要因、及び/若しくは化学的要因の誘導体は、前記凝血形成の開始、実行、増幅、及び/又は加速に関わる、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
使用される前述の前記生物学的要因、物理的要因、化学的要因、並びに/又は前記生物学的要因、物理的要因、及び/若しくは化学的要因の誘導体は、凝血の疎水性の強化又は弱化に関わる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
使用される前記物理的要因は、凝血の疎水性に影響を与える、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前述の前記物理的要因は、凝血形成の生成又は防止を決定する、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスは、単回使用であり、使い捨てである、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記反応ゾーンは、トロンビン発色基質及び染料で予め充填される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記疎水性は、前記流れ受けゾーン又は反応ゾーン上に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、前記血液サンプル中のフィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
診断は、前記流れ受けゾーン又は反応ゾーン中に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、前記血液サンプル中の前記フィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される疎水性の有意な変化に依拠する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
毛細管現象が、前記血液サンプルをトロンビンで処理された前記流れ受けゾーン中に分配し、洗浄溶液が、多孔性材料から前記流れ受けゾーン中に沈着された染料を除去するために、前記流れ受けゾーンを通って運ばれる、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
洗浄後の色強度は、前記ゾーンの前記疎水性を測定及び視覚化するために使用され、前記血液サンプル中の前記フィブリノゲン濃度に関連する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
多孔性の前記濡れ性検査基板は、視認インジケータを含むハウジング中に含まれる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記視認インジケータは、前記視認インジケータの染料及び/又はサンプルが前記濡れ性検査基板に沿って進むにつれて、検査の状態を明らかにする視認ウィンドウを通して観察される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記距離は、前記水が凝血した血漿を通って青い染料をどれだけ遠くまで吸い上げたかの測定値である、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記青い染料は、(それを通って同時に移動しながら)それと共に前記疎水性のゾーンを移動する、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
使い捨て診断インジケータデバイスであって、前記デバイスは、前記デバイスに適用された血液血漿サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にし、前記デバイスは、濡れ性多孔性検査基板を備え、前記検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、前記検査基板の前記反応ゾーンは、トロンビン及び表示染料で予め充填され、前記血液血漿サンプルが前記流れ受けゾーン又は前記反応ゾーン中に沈着されるとき、疎水性のゾーンが作成され、水が前記表示染料と混合すると、前記表示染料は、前記流路ゾーンに沿って進み、また、前記検査基板に沿った距離で前記血液血漿サンプルを付勢し、前記表示染料の前記検査基板に沿って移動する距離は、検査対象の前記血液血漿サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を提供する、デバイス。
【請求項31】
診断デバイスを使用して血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度について検査する方法であって、前記診断デバイスは、前記血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にし、前記診断デバイスは、検査の状態の決定を可能にする視認インジケータを含むハウジング及び濡れ性検査基板を備え、前記検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、前記反応ゾーンは、試薬で予め充填され、
前記方法は、
a)反応ゾーン中に試薬反応混合物を提供するために、多孔性の前記検査基板をトロンビン発色基質及び染料/緩衝溶液で予め充填するステップ、
b)前記試薬と関わるように、前記流れ受けゾーンの近く若しくはその中に又は前記反応ゾーンの近く若しくはその中に血液又は血漿サンプルを加えるステップ、
c)疎水性のゾーンを作成し、凝血化を誘発するために、前記血漿サンプルが前記トロンビン発色基質と反応することを可能にするステップ、
d)前記検査基板に沿って、及び前記反応ゾーンを通って前記染料/緩衝溶液を運ぶために、前記検査基板中の多孔性を使用するステップ、
e)前記染料/緩衝溶液が通過する多孔性の前記検査基板に沿った距離を観察するステップ、
f)前記染料/緩衝溶液が前記流路ゾーンに沿って移動する距離を参照して、前記血液又は血漿サンプル中のフィブリノゲン濃度を決定するステップ
を備える、方法。
【請求項32】
血液又は血漿サンプルが凝血を形成することを可能にし、前記凝血の質量又は体積又は高さを測定することによって前記血液又は血漿サンプルの凝血化の開始後に凝血化の程度を測定する更なるステップを備える、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
物理的要因によって非多孔性の前記検査基板の表面から凝血した血液又は血漿を除去する更なるステップ
を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
多孔性基板を使用して検査サンプル中のフィブリノゲンの濃度を決定するための検査方法であって、前記多孔性基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、前記検査方法は、
g)反応ゾーンに表示染料を提供するために、前記多孔性基板をトロンビン発色基質で予め充填するステップ、
h)血漿サンプルを前記反応ゾーンに加えるステップ、
i)前記血漿サンプルが前記トロンビン発色基質と反応して凝血し、疎水性のゾーンを作成することを可能にするステップ、
j)前記反応ゾーン中の染料/緩衝溶液を洗浄するステップ、
k)前記染料/緩衝溶液が前記流路ゾーンに沿って移動する距離及び任意の変色を観察するステップ、
l)前記距離及び/又は前記変色を参照して、前記検査サンプル中のフィブリノゲン濃度を決定するステップ
を備える、方法。
【請求項35】
側方流動で前記疎水性のゾーンを通って又はそれから離れて少なくとも1つの発色マーカによって移動される前記距離を測定することによって前記疎水性のゾーン/疎水性を定量化する更なるステップを備える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
非多孔性基板の表面上の任意の沈着された液滴の形状、高さ、及び/又は接触角度を測定することによって前記疎水性のゾーンの表面の疎水性を定量化する追加のステップを備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記疎水性は、前記反応ゾーンの受け表面上に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、血液サンプル中の前記フィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
診断が、前記流れ受けゾーン中に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、前記血液サンプル中の前記フィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される疎水性の有意な変化に依拠する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
フィブリノゲン濃度の前記診断は、以下の組み合わされた3つの機構、
1)前記流れ受けゾーン上に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、前記血液サンプル中の前記フィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される染料の付着性の変化、
2)前記流れ受けゾーン中に沈着された前記染料の前記フィブリンへの直接の(又は染料結合剤の支援を介した間接的な)付着、及び、
3)トロンビンで処理された前記流れ受けゾーン中に前記血液サンプルを分配することと、多孔性材料から染料を除去するために前記受け表面を通って洗浄溶液を運ぶこととを行うために使用される毛細管現象
を使用して行うことができる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
洗浄後の色強度は、前記ゾーン中に残留しているフィブリン付着染料の量を測定及び視覚化するために使用され、それによって、前記血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の決定を可能にする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記トロンビンは、凍結乾燥される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記染料は、緩衝剤を含む、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本発明は、診断方法及び関連機器に関し、より具体的には、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にする診断方法に関する。より詳細には、本発明はまた、サンプル中のフィブリノゲン濃度の決定を可能にするインジケータを有するデバイスを使用して、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度について検査する視覚比色法に関する。本発明は更に、インジケータストリップなどのデバイスに供給されるフィブリノゲン及びトロンビン溶液を使用して血液サンプルを検査し、染色された流体溶出を観察する方法に関する。本発明は更に、フィブリノゲン及びトロンビン溶液で充填されたセルロース繊維インジケータストリップを使用し、ストリップに染料液滴を適用して溶出の長さ方向の範囲を観察する、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の決定のための方法に関する。
[先行技術]
【0002】
[0002]フィブリノゲンは、凝血形成に必須であるタンパク質(凝固要因)である。フィブリノゲンは肝臓によって産生され、いくつかの他の凝固要因タンパク質と共に循環中に放出される。通常、身体組織又は血管壁が損傷すると、止血と呼ばれるプロセスが始まり、損傷部位に栓を形成することによって出血を止める。血小板と呼ばれる小さい細胞断片がその部位に付着して凝集し、凝血化要因が次々に活性化されて最終的に凝血を形成する。
【0003】
[0003]フィブリノゲンは、それらの凝血化要因のうちの1つである。その濃度を測定して、切断又は衝撃損傷の場合の患者の血液凝固能力を確認することができる。凝血化が起こると、フィブリノゲンは、互いに架橋して損傷部位で安定化するフィブリン網を形成する不溶性フィブリン糸に変換される。フィブリン網は、血小板と共に損傷部位に付着して、安定した凝血を形成する。安定した凝血が形成されるためには、十分に正常に機能する血小板及び凝固要因が存在しなければならない。機能不全的要因若しくは血小板が存在する場合、又はそれらが少なすぎるか若しくは多すぎる場合、これは、出血症状の発現及び/又は血栓症として知られる適切な凝血の形成をもたらす可能性がある。従って、患者における凝血化能力、特にフィブリノゲン濃度を決定することが重要である。
【0004】
[0004]現在、血液中のフィブリノゲン濃度を評価し、止血を評価するために利用可能ないくつかの検査が存在する。1つのそのような検査は、フィブリノゲン活性検査であり、それは、凝血の形成を助ける際にフィブリノゲンがどの程度良好に機能するかを評価する。フィブリノゲン抗原検査として知られる第2の検査は、血液中のフィブリノゲンの量を測定する。この検査は、インビボ止血を反映することを意図される(しかし、必ずしもそうではない)。実験室検査は、インビボ挙動を反映しないことがあるが、その目的は、フィブリノゲン濃度を示すことであり(シミュレートしない場合)、止血の特定の成分を評価することも有用である。
【0005】
[0005]知られているフィブリノゲン活性検査は、可溶性フィブリノゲンがフィブリン糸に変換される止血プロセスの一部を評価する。検査サンプルにトロンビンを加えると、フィブリノゲン検査は、フィブリノゲンの機能に焦点を合わせ、標準量のトロンビンを血液血漿に加えた後にフィブリン凝血が形成されるのに掛かる時間を測定する。凝血が形成するのに必要とされる時間は、存在する活性フィブリノゲンの量と直接相関する。この検査は、フィブリノゲンの機能、フィブリンに変換されるその能力を評価する。長引く凝血形成時間は、正常なフィブリノゲンの減少した濃度に起因し得るか、又は機能不全のフィブリノゲンに起因し得ることが知られている。
【0006】
[0006]別の知られている検査方法は、フィブリノゲン抗体を使用して血液サンプル中のフィブリノゲンに結合させるフィブリノゲン抗原検査である。この検査は、フィブリノゲンの活性ではなく量を測定することを可能にする。フィブリノゲンの濃度は、急性組織炎症又は損傷を引き起こす条件で急激に上昇する。フィブリノゲンを含むこれらの急性期反応物についての検査は、身体における炎症の程度を決定するために、血液サンプルを使用して実行され得る。
【0007】
[0007]先行技術には、本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願公開第2012/0107851A1号の開示が含まれる。この公報は、トロンビンでコーティングされた「流路ゾーン」及び「流れ受けサンプル」から成るデバイスを教示している。血漿は、流れ受けサンプルに加えられ、毛細管現象を介して流路ゾーンを通って移動し、そこで凝固し、流速が変化する。設定された時間期間の後、血漿は移動を停止し、流路ゾーンの上方の距離がフィブリノゲン濃度の表示を提供する。この構成は、主にマイクロピラーの押し出しに依存して、凝血化中に血漿がデバイスを通ってどれだけ遠くまで移動するかを決定することによって機能する。この構成は、プラスチック、シリコン、又はガラスのうちの1つから製造された基板を用いるが、セルロース繊維(紙又はボール紙)のいかなる使用も教示していない。
【0008】
[0008]例えば、先行技術では、流体の流れを促進する固有の毛細管現象を有さないプラスチック診断デバイスが使用されている。それ故に、プラスチック診断デバイスは、流体の流れを促進する毛細管現象を有さないので、マイクロピラーを含めることによって人工的に誘発されなければならない。また、プラスチック診断デバイスは、流路ゾーンの親水性を増加するために、SiOxでコーティングされ、高分子電解質で処理されなければならない。
【0009】
[0009]この検査は本質的に凝血形成時間を測定するので、トロンビン動態の変化の影響を受けやすい。凝血形成時間が短いほど、フィブリノゲン濃度は高くなる。凝血形成時間が長いほど、フィブリノゲン濃度は低くなる。従って、トロンビン活性化剤のレベルを有する血漿サンプルは、血漿サンプルを早期に凝血し、高いフィブリノゲン濃度読み取り値を与える可能性が高い。同様に、高濃度の阻害剤(ヘパリン又はワルファリンなど)は、凝血化を遅延させ、誤って低いフィブリノゲンレベルの読み取り値を与える可能性がある。後者は、そのような阻害剤が心臓発作を治療するための医薬品として使用される西洋医学において特に問題である。
【0010】
[0010]この開示は、着色された溶液又は染料が、血漿がトロンビンに加えられてある時間期間にわたって反応した後、及び染料又は顔料に水が加えられた後に、凝血した血漿を通って距離を毛細管現象下で移動する構成を教示も示唆もしていない。先行技術は、水が凝血した血漿を通って染料を吸い上げる方法を教示していない。また、トロンビンでコーティングされた1つの部分と染料でコーティングされた別の部分とを有する検査デバイスも教示していない。
フィブリノゲン濃度を測定するための別のデバイスは、以下の刊行物に開示されている。
【0011】
[0011]Dudek, M.M., Lindahl, T.L. and Killard, A.J., “Developing a point of care lateral flow device for measuring human plasma fibrinogen”, Analy. Chem., vol 82, 5, pp 2029-2035, March 1 (2010).
【0012】
[0012]この刊行物は、基板として熱可塑性樹脂を使用してフィブリノゲン濃度を測定する側方流動アッセイを教示している。US2012/0107851A1号に記載されているように、記載されている検査は、熱可塑性樹脂で作られた流路ゾーン及び流れ受けサンプルを組み込んでいる。流路ゾーンは、マイクロピラーの存在によって毛細管現象を誘発する。この検査は、250~1000mUのトロンビンを流路ゾーン中に予め固定化し、37℃で予め加熱された15μLの血漿を流れ受けサンプルに加える。血漿は、流路ゾーンを通って移動し、そこで凝血する。血漿の移動が止まったときに検査は停止する。血漿が流路ゾーンの上方に移動する距離は、より高い濃度がより低い移動をもたらすフィブリノゲン濃度と相関する。検査は、>4g/Lのフィブリノゲンについて0~11mm、2~4g/Lのフィブリノゲンについて12~20mm、及び1~2g/Lのフィブリノゲンについて21~27mmから測定する。デバイスは、27mmの長さ以上には届かない。この機構は、凝血化時間に関連するようである(Clauss Assayと同様)。より低い濃度のフィブリノゲン溶液は、最終的に血漿の移動を停止する凝血を形成するためにより長い時間が掛かるであろう。これは、血漿を停止する前に流路ゾーンの更に上方に移動させる。
【0013】
[0013]凝血形成時間に依拠する記載された検査方法は、基板として微細構造化熱可塑材を用い、出血及び心血管疾患のリスクの両方をカバーするために、低(1~2g/L)、中(2~4g/L)、及び高(>4g/L)フィブリノゲンを測定する。また、先行技術の方法は、1~2g/Lのフィブリノゲンをmm増分で分離する。
【0014】
[0014]検査速度、利便性、及び効率を改善するために、知られている検査体制における改善及びそれに対する有用な代替物を絶えず探求する継続的な必要性が存在する。血清学的検査の効率及び速度を増加させるために、知られている方法の欠点に対する代替物を提供し、その欠点を克服するか、又は少なくともその欠点を改善する更なる必要性が存在する。
【発明の概要】
【0015】
[0015]本発明は、視覚的インジケータを使用して血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にする診断方法を提供する。より具体的には、本発明は、サンプル中のフィブリノゲン濃度の決定を可能にするインジケータを使用して、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度について検査する視覚的比色法を提供する。本発明は、インジケータストリップに供給されるトロンビン溶液を使用して血液サンプルを検査し、染色された流体溶出を観察する方法を更に提供する。より具体的には、本発明は、トロンビン溶液で充填されたセルロース繊維インジケータストリップを使用し、ストリップに染料を適用して吸い上げ/溶出の長さ方向の範囲を観察する、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の決定のための方法を提供する。
【0016】
[0016]装置の態様によると、本発明は、フィブリノゲンのフィブリンへの変換によって誘発される疎水性の増加を使用してヒトの血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の視覚的測定を可能にするストリップ又はプレートを備え得るハンドヘルド診断インジケータを提供する。方法の態様によると、第1のステップでは、血栓症が生じることを可能にするフィブリノゲン及びトロンビンの溶液が紙ストリップに加えられる。それに続いて、水性染料がストリップ上に沈着され、吸い上げ/溶出が生じることを可能にし、それによって、染色された流体が各ストリップを吸い上げる/溶出する距離に関連する溶液のフィブリノゲン濃度の視覚的表示を可能にする。
【0017】
[0017]視覚的検査は、吸い上げの長さからフィブリノゲンの濃度を決定することを可能にする。染料は、溶液吸い上げの視認性を改善するために使用される。好ましくは、プレート又はストリップは、紙(セルロース繊維)で構成される。疎水性の増加は劇的であり、フィブリノゲンの濃度に依存する。溶出が小さい場合、フィブリノゲン濃度は高く、溶出距離が大きい(より低い疎水性)場合、濃度は小さいか又は非常に低い。一実施形態によると、インジケータは、所定の長さ及び幅の紙ストリップである。吸い上げ及び毛細管流動は、親水性多孔性及び繊維状媒体及びフィルムによって誘発される。
【0018】
[0018]検査方法及び結果に影響を与えるパラメータは、紙又は多孔性媒体のタイプ(濡れ性及び孔サイズ分布を含む)、ストリップの幅、加えられる血液サンプルの量、使用されるトロンビン及びFXIIIaの個々の濃度、並びに反応時間及び溶出時間を含む。同様に主な効果を有する3つの他の態様が存在する:
1.血液サンプル/トロンビンが紙ストリップ上に加えられる位置(即ち、サンプル/トロンビンを流れ受けゾーン中に更に加えることがより良い)。
2.流れ受けゾーンの幅(幅は広いほど良い)。
3.ストリップに加えられる染料の量(多いほど良い)。
【0019】
[0019]加えて、血漿様条件を模倣するための検査に対する非特異的血中タンパク質の効果が許容及び定量化される。説明全体を通して、溶出への言及は、吸収、毛細管現象を含む現象への言及を含むと解釈することができる。溶出の目的は、赤血球膜から抗体分子を放出させることである。溶液中で遊離したら、溶出された抗体分子は、免疫抗体特異性が存在するかどうかを決定するために、試薬赤血球に対して検査される。溶出は、赤血球の表面から抗体を除去するプロセスである。本明細書全体を通して、血漿サンプルへの言及は、血液サンプルへの言及を含むと解釈することができ、血液サンプルへの言及は、血漿サンプルへの言及を含むと解釈することができる。また、本明細書における溶出への言及は、吸い上げへの言及を含むと解釈することができ、吸い上げへの言及は、溶出への言及を含むと解釈することができる。キットへの言及は、検査デバイス及び任意の関連する付属品への言及、又は単に検査デバイスへの言及を含むと解釈することができる。凝血化への言及は、凝固への言及を含むと解釈することができる。
【0020】
[0020]1つの広い形態では、本発明は、
血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にする使い捨て診断デバイスを備え、使い捨て診断デバイスは、濡れ性多孔性検査基板と、検査状態の決定を可能にする視認インジケータとを備え、濡れ性多孔性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、反応ゾーンは、トロンビン及び表示染料又はトロンビン及びフィブリノゲン溶液及び染料で予め充填され、検査用の血液サンプルが流れ受けゾーン又は反応ゾーン中に沈着されるとき、濡れ性多孔性検査基板中の多孔性は、濡れ性多孔性検査基板に沿った距離で流体を付勢し、濡れ性多孔性検査基板に沿って移動される距離は、検査対象の血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を提供する。
【0021】
[0021]一実施形態によると、デバイスは、流路ゾーンに沿ってユーザにフィブリノゲン濃度を示す表示ウィンドウを含むハウジングを含む。
【0022】
[0022]別の広い形態では、本発明は、
使い捨て診断ストリップを備え、使い捨て診断ストリップは、使い捨て診断ストリップに適用された血液血漿サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にし、使い捨て診断ストリップは、濡れ性多孔性検査基板を備え、濡れ性多孔性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、反応ゾーンは、トロンビン及び表示染料で予め充填され、検査されるべきサンプル流体が流れ受けゾーン又は反応ゾーン中に沈着されるとき、血液血漿サンプルは、凝血化を誘発するトロンビンと反応し、沈着されたときの血液血漿サンプルは、疎水性のゾーンを作成し、それによって、表示染料に加えられた水が、流路ゾーン中の距離に沿って進み、濡れ性多孔性検査基板に沿って移動される距離は、検査対象の血液血漿サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を提供する。
【0023】
[0023]別の広い形態では、本発明は、
使い捨て診断インジケータデバイスを備え、使い捨て診断インジケータデバイスは、使い捨て診断インジケータデバイスに適用された血液血漿サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にし、使い捨て診断インジケータデバイスは、濡れ性多孔性検査基板を備え、濡れ性多孔性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、濡れ性多孔性検査基板の反応ゾーンは、トロンビン及び表示染料で予め充填され、血液血漿サンプルが流れ受けゾーン又は反応ゾーン中に沈着されるとき、疎水性のゾーンが作成され、水が表示染料と混合すると、表示染料は、流路ゾーンに沿って進み、また、濡れ性多孔性検査基板に沿った距離で血液血漿サンプルを付勢し、表示染料の濡れ性多孔性検査基板に沿って移動される距離は、検査対象の血液血漿サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を提供する。
【0024】
[0024]別の広い形態では、本発明は、
サンプルの凝血化の開始後にデバイス中で生成される疎水性を測定することによって、血液サンプルのフィブリノゲン濃度の診断を可能にするデバイス
を備え、デバイスは、多孔性検査基板を含み、多孔性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、反応ゾーンは、多孔性検査基板に予め適用された生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/又は化学的要因の誘導体から成る。
【0025】
[0025]その最も広い形態では、本発明は、
血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にする診断デバイスを備え、診断デバイスは、検査の状態の決定を可能にする視認インジケータを含む濡れ性検査基板を備え、濡れ性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、反応ゾーンは、少なくとも1つの試薬で予め充填され、検査されるべき血液サンプルが流れ受けゾーン又は反応ゾーンのうちのいずれかの近く又はその中に沈着されるとき、血液サンプルは、血液サンプルの凝血化を誘発する試薬と反応し、反応ゾーンに加えられた染料に加えられた水が、濡れ性検査基板に沿った距離を進み、染料によって濡れ性検査基板に沿って、及び血液サンプルを通って移動される距離は、検査対象の血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度の測定値を提供する。
【0026】
[0026]好ましい実施形態によると、多孔性基板は、セルロース繊維(紙)から製造される。好ましい実施形態によると、反応ゾーンは、トロンビン及び表示染料で予め充填され、サンプル流体が流れ受けゾーン中に沈着されると、基板内の多孔性は、基板に沿った距離で、毛細管現象下で流体を付勢する。水と混合された染料は、流路ゾーン中で基板に沿って進み、染料に関連する移動距離は、テスト対象の血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度を確認することができるインジケータを提供する。
【0027】
[0027]一実施形態によると、濡れ性多孔性基板は、基板の疎水性を増加させるであろう若しくは増加させ得る又は減少させるであろう若しくは減少させ得る物理的要因及び/又は化学的要因又は生物学的要因で改質される。一実施形態では、基板の化学的要因の改質は、基板をコーティングすることを備える。血液血漿は、一実施形態によると、反応ゾーンの外側の多孔性基板上に適用される。代替として、血液又は血漿を反応ゾーンに適用されて、凝血形成を開始した後に疎水性のゾーンを形成する。疎水性を測定することは、疎水性のゾーンの疎水性を測定することを指す。
【0028】
[0028]使用される前述の生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、凝血形成の開始、実行、増幅、及び/又は加速に関わる。代替として、使用される生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、凝血の疎水性の強化又は弱化に関わる。使用される生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、反応ゾーンの外側に適用及び/又は予め適用され得る。使用される前述の物理的要因は、凝血形成の開始を可能にするであろう若しくは可能にし得る又は防止するであろう若しくは防止し得る。使用される物理的要因は、凝血の疎水性を強化又は弱化し得る。代替として、使用される任意の物理的要因は、凝血形成の実行、増幅、及び/又は加速を増加させるであろう若しくは増加させ得る又は減少させるであろう若しくは減少させ得る。
【0029】
[0029]別の広い形態では、本発明は、
遠心分離器中の少なくとも1つの毛細管を使用する、血液又は血漿サンプル中のフィブリノゲンの濃度の診断の方法であって、少なくとも1つの毛細管は各々、少なくとも1つの毛細管の内側に適用及び/又は予め適用された生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/又は化学的要因の誘導体の反応混合物を含み、方法は、血液又は血漿を反応混合物に適用して凝血を形成し、血液又は血漿サンプルの凝血化を開始した後に凝血化の程度を測定するステップを含む。凝血化の程度を測定することは、毛細管中の凝血の質量、体積、又は高さを定量化することを指す。表示染料は、水と混合され、太いサンプル中のフィブリノゲンの濃度の距離を進んだ決定要因と共に流路に沿って進む。
【0030】
[0030]方法の態様による別の広い形態では、本発明は、多孔性基板を使用して検査サンプル中のフィブリノゲンの濃度を決定するための検査方法を備え、多孔性基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、検査方法は、
a)反応ゾーン中で、多孔性基板をトロンビン発色基質及び表示染料で予め充填するステップ、
b)血漿/血液サンプルを反応ゾーンに加えるステップ、
c)血漿/血液がトロンビンと反応し、凝血化を経ることを可能にするステップ、
d)血漿が疎水性のゾーンを作成することを可能にするステップ、
e)染料に水を加え、染料が基板に沿ってある距離まで進むことを可能にするステップ、
f)血漿サンプルのフィブリノゲン濃度を決定するために距離を測定するステップ、
を備える。
【0031】
[0031]好ましくは、疎水性のゾーン/疎水性を定量化する方法は、側方流動セットアップで疎水性のゾーンを通って又はそれから離れて少なくとも1つの発色マーカによって移動される距離を測定することから成る。
【0032】
[0032]方法の態様の他の広い形態では、本発明は、
診断デバイスを使用して血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度について検査する方法を備え、診断デバイスは、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度の測定を可能にし、診断デバイスは、検査の状態の決定を可能にする視認インジケータを含むハウジング及び濡れ性検査基板を備え、濡れ性検査基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、反応ゾーンは、試薬で予め充填され、
方法は、
a)反応ゾーン中に試薬反応混合物を提供するために、多孔性の濡れ性検査基板をトロンビン発色基質及び染料/緩衝溶液で予め充填するステップ、
b)試薬と関わるように、流れ受けゾーンの近く若しくはその中に又は反応ゾーンの近く若しくはその中に血液又は血漿サンプルを加えるステップ、
c)疎水性のゾーンを作成するために、血漿サンプルが試薬反応混合物中のトロンビン発色基質と反応することを可能にするステップ、
d)濡れ性検査基板に沿って、及び反応ゾーンを通って染料/緩衝溶液を運ぶために、濡れ性検査基板中の多孔性を使用するステップ、
e)染料/緩衝溶液が通過する多孔性の濡れ性検査基板に沿った距離を観察するステップ、
f)染料/緩衝溶液が流路ゾーンに沿って移動する距離を参照して、血液又は血漿サンプル中のフィブリノゲン濃度を決定するステップ、
g)血液又は血漿サンプルが凝血を形成することを可能にし、凝血の質量又は体積又は高さを測定することによって血液又は血漿サンプルの凝血化の開始後に凝血化の程度を測定するステップ
を備える。
【0033】
[0033]方法の態様の別の広い形態では、本発明は、
多孔性基板を使用して検査サンプル中のフィブリノゲンの濃度を決定するための検査方法を備え、多孔性基板は、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの間の中間に流れ受けゾーン、流路ゾーン、及び反応ゾーンを有し、検査方法は、
h)反応ゾーンに表示染料を提供するために、多孔性基板をトロンビン発色基質で予め充填するステップ、
i)血漿サンプルを反応ゾーンに加えるステップ、
j)血漿サンプルがトロンビン発色基質と反応して凝血し、疎水性のゾーンを作成することを可能にするステップ、
k)反応ゾーン中の染料/緩衝溶液を洗浄するステップ、
l)染料/緩衝溶液が流路ゾーンに沿って移動する距離及び任意の変色を観察するステップ、
m)距離及び/又は変色を参照して、検査サンプル中のフィブリノゲン濃度を決定するステップ
を備える。
【0034】
[0034]疎水性は、受け表面上に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、血液サンプル中のフィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される。一実施形態によると、診断は、流れ受けゾーン中に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、血液サンプル中のフィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される疎水性の有意な変化に依拠する。疎水性のゾーンの表面の疎水性を定量化する方法は、非多孔性基板の表面上の任意の沈着された液滴の形状、高さ、及び/又は接触角度を測定することから成る。一実施形態によると、毛細管現象は、血液サンプルをトロンビンで処理された流れ受けゾーン中に分配し、洗浄溶液は、多孔性材料から流れ受けゾーン中に沈着された染料を除去するために、流れ受けゾーンを通って運ばれる。洗浄後の色強度が、ゾーンの疎水性を測定及び視覚化するために使用される。従って、色強度は、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度に相関する。
【0035】
[0035]方法の態様の代替の実施形態によると、フィブリノゲン濃度の診断は、以下の組み合わされた3つの機構を使用して行うことができる。第1の機構は、流れ受けゾーン上に沈着されたトロンビン及び/又はFXIIIaとの酵素反応に際し、血液サンプル中のフィブリノゲンがフィブリンに重合することによって誘発される染料の付着性の変化である。第2の機構は、流れ受けゾーン中に沈着された染料のフィブリンへの直接の(又は染料結合剤の支援を介した間接的な)付着である。第3の機構は、1)トロンビンで処理された流れ受けゾーン中に血液サンプルを分配することと、2)多孔性材料から染料を除去するために受け表面を通って洗浄溶液を運ぶこととを行うために使用される毛細管現象である。洗浄後の色強度が、ゾーン中に残留するフィブリン付着染料の量を測定及び視覚化するために使用される。従って、色強度は、血液サンプル中のフィブリノゲン濃度に相関する。
【0036】
[0036]好ましい実施形態によると、インジケータ又はストリップは、セルロース繊維又は他の適切な多孔性及び濡れ性材料を備える。好ましくは、血液サンプルは、インジケータデバイスの反応ゾーン中に沈着され、トロンビンの事前充填と反応することを可能にされる。インジケータは、好ましくは、トロンビン及び/又はFXIIIa又は同様のもので予め充填される。インジケータは、反応ゾーン又は異なる流れ受けゾーンのうちのいずれかに染料/緩衝溶液で予め充填される。代替として、染料は、血液/血漿サンプルの導入中又は導入後に加えられる。表示染料又は溶液は、緩衝剤を含有し得る。染料は、流れ受けゾーンに加えられた流体が疎水性のゾーンによって影響されて移動し、次に血漿サンプルとトロンビンとの間の反応によって影響されて移動するという距離の視覚的表示を可能にする。これは、測定された距離に基づくフィブリノゲン濃度についての診断結果を可能にする。
【0037】
[0037]好ましくは、反応ゾーン中の染料は、視覚的インジケータとして作用し、色は青である。好ましくは、トロンビンは、凍結乾燥される。好ましくは、反応ゾーンは、流路ゾーン中にある。血漿は、毛細管現象を通して基板に沿って進む。結果は、反応ゾーン(及び最終的な疎水性のゾーン)が流路及び流れ受けゾーンの両方にわたってより良好に広がることを示唆する。
【0038】
[0038]これらは、本発明の他の目的と一緒に、本発明を特徴付ける新規性の様々な特徴と共に、本開示に添付され、その一部を形成する特許請求の範囲において特に指摘される。本発明、その動作上の利点、及びその使用によって達成される特定の目的をより良く理解するために、本発明の好ましい実施形態を含む様々な実施形態が例示されている添付の図面及び説明事項が参照されるべきである。
【0039】
[0039]本発明は、知られている先行技術及び特定された欠点に対する代替物を提供する。前述及び他の目的及び利点は、以下の説明から明らかになるであろう。説明では、説明の一部を形成し、本発明が実施され得る特定の実施形態が例示として示される添付の図面への参照が成される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分に詳細に説明し、他の実施形態が利用され得、本発明の範囲から逸脱することなく構造的変更が成され得ることが理解されるべきである。添付の図面では、同様の参照文字は、いくつかの図全体を通して同一又は類似の部分を示す。以下の発明を実施するための形態は、従って、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって最も良く定義される。
【0040】
[0040]以下の発明を実施するための形態を考慮すると、本発明はより良く理解され、上述のもの以外の目的が明らかになるであろう。ここで、好ましいが非限定的な実施形態に従って、及び添付の図面を参照して、そのような説明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】多孔性基板を含むフィブリノゲン濃度診断検査デバイスの概略構成を示す。
図2】検査の第1の段階における図1のデバイスを示す。
図3】検査の第2の段階における図1のデバイスを示す。
図4】検査キットを完成させる外側ケーシングと、未使用状態を示す視覚的インジケータとを有する図1の検査デバイスを示す。
図5】反応及び有効な検査を示す視覚的インジケータを有する検査の第1の段階を示す図4のケーシングを示す。
図6】結果を示す視覚的インジケータを有する検査の第2の段階における図4の検査デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[0041]ここで、本発明を、好ましい実施形態であるが非限定的な実施形態に従って、及び添付の図面を参照してより詳細に説明する。本明細書で言及される例は例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。本発明の様々な実施形態が本明細書に記載されているが、これらは修正が可能であり、従って、本明細書の開示は、述べられた正確な詳細を限定するものとして解釈されるべきではなく、説明の範囲内に入るような変更及び改変を利用するものであることが理解されるであろう。
[専門用語]
【0043】
[0042]説明全体を通して、基質への言及は、アッセイを容易にする診断の活性基体/媒体への言及を含むと解釈することができる。要因への言及は、結果に影響を及ぼす診断の構成要素への言及を含むと解釈することができる。生物学的要因への言及は、生物学的供給源に由来する要因、例えばトロンビン、血小板、等への言及を含むと解釈することができる。化学的要因への言及は、非生物学的供給源に由来する要因、例えば塩化カルシウム、等への言及を含むと解釈することができる。物理的要因への言及は化学物質から構成されていない要因、例えばUV照射、温度、圧力への言及を含むと解釈することができる。
【0044】
[0043]適用する/適用されるという言及は、検査手順の一部として診断器具に化学物質を加えるという言及を含むと解釈することができる。予め適用するという言及は、本質的な設計の一部として診断器具への化学物質の組み込みへの言及を含むと解釈することができる。凝血への言及は、重合されたフィブリンモノマーから構成される網への言及を含むと解釈することができ、凝血化又は凝血形成への言及は、フィブリノゲンのフィブリン網への変換への言及を含むと解釈することができる。(凝血形成の)増幅への言及は、反応に許容される時間内におけるより大きい規模の凝血網の生成への言及を含むと解釈することができる。
【0045】
[0044]染料とも呼ばれる発色マーカへの言及は、裸眼で明確に見える着色化学物質への言及を含むと解釈することができる。側方流動への言及は、毛細管力を介した長く狭いチャネルを通る液体の移動への言及を含むと解釈することができる。吸い上げ液体への言及はまた、毛細管現象力を通して基板を通って移動する液体への言及を含むと解釈することができる。吸い上げ流体はまた、流路ゾーンを通って移動するために流れ受けゾーンを飽和させる流体である。
【0046】
[0045]流れ受けゾーンへの言及は、吸い上げ液体を適用することができるゾーンへの言及を含むと解釈することができる。流路ゾーンへの言及は、吸い上げ液体が流れ受けゾーンから移動することができるゾーンへの言及を含むと解釈することができる。
【0047】
[0046]洗浄液への言及は、基板から発色マーカ(複数可)を変位させるために使用される液体への言及を含むと解釈することができる。血漿/血液溶液もまた、(染料が反応ゾーン中に予め充填されている場合)紙から染料を変位させることが可能なので、この場合洗浄液として定義することができる。
【0048】
[0047]閾値結果への言及は、測定から提供される結果がある特定の値より上又は下としてのみ読み取り可能である(即ち読み取り値が正又は負である)単純化された定量化への言及を含むと解釈することができる。
【0049】
[0048](基板の)表面への言及は、液体又は気体のみに曝すことができる基板の表面の固体界面への言及を含むと解釈することができ、この界面に適用及び/又は予め適用された任意の化学的改質又はコーティングを含む。毛細管への言及は、血液又は血漿を保持することができる細いチューブへの言及を含むと解釈することができる。遠心分離器又は遠心分離器デバイスへの言及は、(サンプルに)向心力又は遠心力を加えるデバイスへの言及を含むと解釈することができる。
【0050】
[0049]本発明は、例示の目的で紙ストリップを参照して本明細書に説明するが、本発明がフィブリノゲン検査とは別の用途を有することが当業者によって理解されるであろう。説明全体を通して、吸い上げへの言及は、毛細管によって液体を吸収又は引き出すように作用することへの言及を含むと解釈することができる。
【0051】
[0050]一実施形態によると、mm又はcm単位で潜在的に測定することができる距離増分を使用して血液サンプル中のフィブリノゲンの濃度を確認するために、トロンビン及び染色溶液を使用する紙インジケータが提供される。インジケータは、低フィブリノゲン血症(特に出血の初期段階における)を診断するために0~2g/L間を測定することを意図される。方法の態様によると、検査は、血漿を用い、知られている技術におけるような凝血形成時間ではなく、凝血疎水性に基づいて測定する。
【0052】
[0051]好ましい実施形態によると、トロンビンでコーティングされた1つのセクション及び青い染料でコーティングされた別のセクションを有する紙基板が提供される。血漿をトロンビンを有するセクションに加えて短い時間期間にわたって反応させ、次いで青い染料と有するセクションに水を加える。代わりに反応ゾーン中の青い染料を使用する(そして、最終的な疎水性のゾーン中で吸い上げさせる)ことが好ましい。測定される距離は、水が凝血した血漿を通って青い染料をどれだけ遠くまで吸い上げるかである。実際には、青い染料はまた、(それを通って同時に移動しながら)それと共に疎水性のゾーンを移動する。これは、凝血化中に血漿がデバイスを通ってどれだけ遠くまで移動するかを測定する従来技術とは区別されるべきである。疎水性のゾーンの正面は、それを通って移動する吸い上げ流体によって生成されるものよりも遙かに透明であり得るため、距離マーカとして使用することができる。
【0053】
[0052]図1は、一実施形態による、多孔性基板2を含むフィブリノゲン濃度診断検査デバイス1(図2を参照)の概略構成を示す。好ましくは、基板2は、ストリップの形態で提供されるが、流路ゾーンを含む限り他の形状も実現可能であることが理解されるであろう。図示の実施形態によると、基板2は、第1の端部3及び第2の端部4を備える。端部3と端部4との間には、検査結果を分析するための流路ゾーン6及び流れ受けゾーン5がある。基板2は、流路ゾーン6中にトロンビン発色基質(例えばS2238)を含む。[発色基質は、色の形成下でタンパク質分解酵素と反応するペプチドである。それらは合成的に作製され、酵素に対する天然基質の選択性と同様の選択性を有するように設計される。発色基質は、基質が生成物に変換されるにつれて、特定の波長における光の吸収を増加又は減少させるように、酵素によって作用される。]水を受け入れるための流れ受けゾーン5に隣接して、及び端部3の近くにワックス境界7があり、それは検査中に流れ受けゾーン5中に導入される水についての流量限界を提供する。基板2は、好ましくは凍結乾燥トロンビン及び青い染料を組み込む反応ゾーン8を更に備える。反応ゾーン8は、トロンビン及び染料で予め充填される。
【0054】
[0053]図2は、血液血漿サンプル中のフィブリノゲン濃度を決定するための検査の第1の段階における図1の基板2を対応する番号付けで示す。一実施形態によると、血漿は、好ましくはピペットを使用して反応ゾーン8に加えられる。基板2中の毛細管力は、血漿、青い染料、及びトロンビンを端部3及び/又は4のうちのいずれかの方向に横方向に吸い上げる。トロンビンは、血漿フィブリノゲン及びトロンビン発色基質と反応する。これは、疎水性のゾーン9を作成する。表示ゾーン20は、トロンビンが発色基質を開裂する際に変色を経る。
【0055】
[0054]図3は、検査の第2の段階における図1のデバイスを示す。この段階の間に、水が流れ受けゾーン5に加えられる。これは、ピペットを使用して、又は代替として、水などであるがこれに限定されない吸い上げ流体のビーカー中に基板2を配置することによって行われ得る。多孔性基板2中の毛細管力は、吸い上げ流体を流路ゾーン6に沿って付勢する/吸い上げる。吸い上げ流体が流路ゾーン6に沿って移動する距離Lは、疎水性のゾーン9中の疎水性のレベルの関数である。水が基板に沿って移動する距離は、血漿サンプル中のフィブリノゲン濃度の視覚的表示である。
【0056】
[0055]図4は、図1の基板2を内側に備え、検査デバイス1を完成させる外側/ハウジング/ケーシング11中に収容され、未使用状態を示す視覚的インジケータを有する未使用の検査デバイス1を示す。ケーシング11は、適用インジケータウィンドウと分析ウィンドウとに分割される。適用ウィンドウ中には、血漿の導入を示す表示ウィンドウ13と、水導入の位置を示すウィンドウ12とが設けられている。血漿が加えられると、ウィンドウ13は変色を経る。血漿/血液サンプルとトロンビンとの前反応を評価するために使用される品質チェックウィンドウ14が設けられている。ウィンドウ14は、トロンビン発色基質を有する。(ウィンドウ13からの)血漿又は血液サンプルを加えた後にトロンビンがそれに広げられると、それは変色して、トロンビンが分解していないことを示し、検査が有効であることを示す。ゾーン6(開裂されていないトロンビン発色基質を含む)は、ウィンドウ14の下にある。血液又は血漿サンプルがウィンドウ13に加えられると、それは、反応ゾーンからの予め充填されたトロンビンがゾーン6に広がることを可能にする。不活性トロンビン発色マーカは、反応ゾーンから上流の別個の領域中に配置することができる。これは、代わりに色がないことを示すために、陰影のない図4の追加のボックス(図示せず)によって示すことができる。次いで、血漿/血液サンプルが加えられると、図5に示すように着色される。トロンビンが作用している場合、それは、次いで、トロンビン発色基質を開裂し、ウィンドウ14を変色させて有効な検査を示す。トロンビンが作用していない場合、変色は起こらず、検査デバイスを使用することができないことが使用者に示される。検査の完了時に、ウィンドウ15は、低フィブリノゲンの表示を提供するか、又はウィンドウ16は、非常に低いフィブリノゲンの表示を提供するであろう。これは、好ましくは、ウィンドウ15又は16のうちのいずれかに現れる色表示によって行われる。
【0057】
[0056]図5は、対応する番号付けで、サンプルとトロンビン発色基質との間で反応が発生し、有効な検査(品質チェック)が存在することを示す視覚的インジケータ品質チェックウィンドウ14を有する検査の第1の段階を示す図4のハウジング/ケーシング11を示す。ウィンドウ14における有効な検査の表示は、好ましくは変色、例えばこれらに限定されないが白から緑への変色によって達成される。染料を反応ゾーンに組み込むこともできる。ゾーン6(開裂されていないトロンビン発色基質を含む)は、ウィンドウ14の下にある。血液又は血漿サンプルがウィンドウ13に加えられると、それは反応ゾーンからの予め充填されたトロンビンがゾーン6に広がることを可能にする。トロンビンが作用している場合、それは、トロンビン発色基質を開裂し、ウィンドウ14を変色させて有効な検査を示す。トロンビンが作用していない場合、変色は起こらず、検査を使用することができないことが使用者に示される。血液/血漿サンプルが加えられると、ウィンドウ14の下にも染料が広がるであろう。故に、血漿が加えられた後のウィンドウ14は、トロンビン発色基質が反応すると緑に変わる前に最初は青に見え得る。
【0058】
[0057]図6は、検査の第2の段階における表示を示す。インジケータウィンドウを参照すると、ウィンドウ13は、血漿が加えられたこと、及びウィンドウ14から有効な検査が行われたことを示す。この場合、ウィンドウ16は表示を示さない(白のままである)が、ウィンドウ15は、検査された患者が、結果を示す視覚的インジケータを有する検査の第2の段階における図4のデバイスの1~2g/L間の低濃度のフィブリノゲンを有することを示す。この場合、フィブリノゲン濃縮物が必要とされる。
【0059】
[0058]本発明は、血漿及び水の両方を吸い上げるための媒体として、紙、セルロース、又は任意の多孔性及び濡れ性材料を用いる。セルロースの多孔性構造は、毛細管現象を誘発するが、マイクロピラーの押し出しからの現象に依存しない。紙は、プラスチック、ガラス、又はシリコンと比較して経済的である(検査当たりAU$5セント対検査当たりAU$50セント)。紙は、多くの異なる形状、構成、及び構造に切断することができ、疎水性バリア及び親水性チャネルを容易に組み込むことができる可撓性材料である。従って、その製造コストは、従来技術と比較して非常に経済的である。
【0060】
[0059]本発明は、従来技術に対して多くの利点を提示する。例えば、従来技術では、流体の流れを促進する固有の毛細管現象を有さないプラスチック診断デバイスが使用されている。それ故に、流体の流れは、マイクロピラーを含めることによって人工的に誘発されなければならない。加えて、先行技術のプラスチック診断デバイスは、US2012/0107851A1号におけるように、流路ゾーンの親水性を増加させるために、SiOxでコーティングされ、高分子電解質で処理される必要がある。余分な製造は、デバイスの製造コストを著しく増加させる。本発明によると、材料自体が毛細管現象を誘発するための前処理又は改質を必要としない固有の毛細管現象を有するので、毛細管現象を誘発するための前処理を必要としない紙インジケータが使用される。本発明の1つの利点は、紙インジケータを使用することにより、部分的に加えたり表面を改質したりする必要なく、自然な毛細管流が得られることである。
【0061】
[0060]別の利点は、トロンビン動態に関連する変動性の欠点が排除されることである。更に、紙などの多孔性材料を用いることは、側方流動アッセイ以外の方法でフィブリノゲン濃度を測定することを可能にする。例えば、検査は、ある特定の回数の洗浄後に色強度を測定するフロースルー型検出システムに変換することができる。本発明の別の利点は、検査用の感度が1~2g/Lのフィブリノゲンの濃度範囲にわたってより高いことである。例えば、引用された先行技術US2012/0107851A1号では、1~2g/Lの血漿間について移動された距離は、停止する前に僅か0.6cmである。
【0062】
[0061]本発明によると、例えば、7分の溶出後に同じ濃度に対して1.7cmの分離が存在する。基板2は、濡れ性繊維状材料を含む、流体を吸い上げるための様々なユーザオプションを含み、濡れ性にするために血漿処理、放射線、界面活性剤コーティング、及び/又は化学的反応によって処理された非濡れ性材料を含むが、これらに限定されないことが企図される。基板は、織布又は不織布であり得る。トロンビン及び/若しくはFXIIIa又はこれらの酵素の誘導体で前処理又は後処理され得る。それは、沈着(堆積)された脱着可能な染料及び/又は脱着可能な染料結合剤及び粒子及びナノ粒子で処理され得る。検査中、基板は、水、緩衝溶液、染料溶液、及び/又は洗浄溶液、集合的に吸い上げ流体で充填される。
【0063】
[0062]検査及び検査結果を分析するための代替の方法が提供される。疎水性のゾーン/疎水性を定量化する方法は、側方流動で疎水性のゾーン9を通って又はそれから離れて1つの発色マーカによって移動される距離を測定することを含む。好ましくは、側方流動は、流れ受けゾーン5及び流路ゾーン6中の多孔性基板2中で発生する。一実施形態によると、流路ゾーン6は、長さL1及び幅W1を有する。流れ受けゾーン5は、長さL2及び幅W2を有する。L1は、L2と同じ長さであり得るか、又はそれとは異なる長さであり得る。同様に、W1は、W2と同じ長さであり得るか、又はそれとは異なる長さであり得る。側方流動様式は、先に説明したように流れ受けゾーン5及び流路ゾーン6を横断する。一実施形態によると、生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、流路ゾーン6中の基板2を予め充填する。代替として、それらの要因は、検査中に流路ゾーン6及び/又は流れ受けゾーン5の少なくとも一部に適用され得る。使用時には、血液又は血漿サンプルが、流路ゾーン6及び/又は流れ受けゾーン5の少なくとも一部のうちのいずれかに導入される。発色マーカ(複数可)は、基板2にこの時点で適用することができるか、又は予め適用することができる。
【0064】
[0063]流路ゾーン6を通る発色マーカ(複数可)の移動を誘発するために、吸い上げ流体が流れ受けゾーン5に適用される。吸い上げ流体は、一実施形態によると、有限リザーバ又は無限大体積リザーバの形態で流れ受けゾーンに適用される。発色マーカ(複数可)によって移動された距離は、流路ゾーン6の隣の罫線マーカで測定される。基板2がケーシング11中に保持されてデバイス1を形成すると、ケーシング11中の透明ウィンドウ12、13、14、15、及び16を通して流路ゾーン6を観察することによって、発色マーカ(複数可)によって移動された距離が測定される。ウィンドウ12、14、15、及び16は、流路ゾーン6と位置合わせされ、図5及び6を参照して先に説明した観察を可能にする。表示ウィンドウは、流路ゾーン6の上方のキー距離と位置合わせされ、発色マーカ(複数可)がキー距離に到達した及び/又はキー距離を過ぎたか否かを示す。
【0065】
[0064]一実施形態によると、疎水性のゾーン9の疎水性は、多孔性基板を洗浄液ですすいだ後に、全ての他の生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/又は化学的要因の誘導体と共に、反応ゾーン中(又はその外側)に適用された及び/又は予め適用された少なくとも1つの発色マーカの保持の程度を測定することによって決定される。疎水性は、非多孔性基板の表面における疎水性を指す。基板の表面の疎水性は、任意の沈着された液滴の形状、高さ、及び/又は接触角度に影響を及ぼすために使用される。疎水性は、基板の疎水性を増加させるであろう若しくは増加させ得る又は減少させるであろう若しくは減少させ得る物理的要因及び/又は化学的要因で改質することができる。疎水性を改質する1つの方法は、基板に化学コーティングを適用することである。
【0066】
[0065]好ましくは、形成された凝血は、洗浄液が基板から発色マーカ(複数可)を変位させることを防止するための疎水性バリアとして作用する。形成している又は形成された凝血は、非多孔性基板の表面をコーティングしてその疎水性を改質することができる。物理的要因は、凝血形成の開始を可能にし得る又は防止し得る。使用される物理的要因、生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、凝血形成の開始、実行、増幅、及び/又は加速に関わる。これらの要因は、凝血の疎水性にも影響を及ぼす。発色マーカ(複数可)の保持は、所与の量の洗浄液で基板を洗浄した後の絶対及び/又は相対色強度によって測定される。発色マーカ(複数可)は、全ての他の生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体と共に、反応ゾーン中に適用及び/又は予め適用される。
【0067】
[0066]フィブリノゲン濃度検査を行う方法には多くの変形が存在する。変形は、以下を含む:
反応ゾーンの外側の非多孔性基板上に血液又は血漿を適用するステップ、
凝血形成を開始した後に疎水性のゾーンを形成するために、血液又は血漿を反応ゾーンに適用するステップ、
物理的要因によって非多孔性基板の表面から凝血した血液又は血漿を除去するステップ、
少なくとも1つの発色マーカを使用して液滴の視認性を強化するステップ、
非多孔性基板の直上に多孔性吸収性基板を配置し、任意の沈着(堆積)された液滴が多孔性吸収性基板と接触することを可能にすることによって決定することができる高さ測定についての閾値結果。
【0068】
[0067]方法は、形成された又は形成している凝血への少なくとも1つの発色基質の直接の及び/又は間接的な結合を指す発色染色を測定するプロセスを企図する。凝血形成の開始後に染色された凝血のゾーンを形成するために、反応ゾーンに血液又は血漿が適用される。生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、発色マーカ(複数可)の色強度を強化するために使用することができる。
【0069】
[0068]代替の実施形態によると、本発明の血液又は血漿サンプル中のフィブリノゲンの濃度の診断の1つの方法は、遠心分離器中の少なくとも1つの毛細管を使用することを含み、少なくとも1つの毛細管は各々、少なくとも1つの毛細管の内側に適用された及び/又は予め適用された生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体の反応混合物を含む。血液又は血漿が、凝血を形成する反応混合物に適用され、凝血化が開始した後の凝血化の程度が測定される。凝血化の程度を測定することは、毛細管中の凝血の質量、体積、又は高さを定量化することを指す。
【0070】
[0069]遠心力が毛細管に加えられ、そのため、凝血が回転の軸から離れる方向に圧縮される。凝血化の程度は、毛細管中の遠心的に圧縮された凝血の高さを測定することによって決定される。圧縮された凝血の高さは、毛細管(複数可)の頂部及び/又は隣の罫線マーカで測定することができる。代替として、圧縮された凝血は、毛細管の上方のキー高さと位置合わせされた透明ウィンドウを有する外部ケーシング中に毛細管を含めることによって測定され、故に、凝血がキー高さに到達したか及び/又はキー高さを過ぎたか否かを示すであろう。
【0071】
[0070]以前に説明したように、発色染料又は他の適切なマーカが使用される。使用される生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、発色染料(複数可)の色強度を強化するために使用され、凝血形成の開始、実行、増幅、及び/又は加速に関わる。使用される物理的要因は、凝血形成の開始を可能にするであろう若しくは可能にし得る又は防止するであろう若しくは防止し得る。使用される生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、凝血の疎水性の強化又は弱化に関わる。使用される物理的要因は、凝血の疎水性を強化するであろう若しくは強化し得る又は弱化するであろう若しくは弱化し得る。使用される生物学的要因、化学的要因、並びに/又は生物学的要因及び/若しくは化学的要因の誘導体は、少なくとも1つの発色マーカに直接及び/又は間接的に結合する凝血の能力の強化又は弱化に関わる。
【0072】
[0071]本発明の全体的な趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に広く説明されている本発明に対して多数の変形及び修正が成され得ることが当業者によって認識されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】