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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】試料のビーズベースの分析
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20220603BHJP
【FI】
G01N33/543 595
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557416
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(85)【翻訳文提出日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 CA2020050286
(87)【国際公開番号】W WO2020191480
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】16/368,707
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512112024
【氏名又は名称】アレンティック マイクロサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン・マーク・ファイン
(57)【要約】
とりわけ、2つ以上の異なる抗体を、試料中の化学成分の1つ又は複数の単位に結合させる。抗体のぞれぞれは、1つ又は複数のビーズ(例えば、マイクロビーズ)に付着している。試料はイメージセンサの表面上に位置する。イメージセンサでは、ビーズ以外の光源から発せられた光を受け取る。受信光は、ビーズによって反射、屈折、又は透過された光を含む。イメージセンサは、ビーズを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉する。試料の画像の少なくとも1つを処理して、個々のビーズと、化学成分の1つの単位に結合している2つ以上の抗体に付着した2つ以上のビーズの複合体とを別々に数え上げる。処理の結果を使用して、試料中の化学成分の存在又はレベルを識別する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の化学成分の1つ又は複数の単位の各単位に2つ以上の異なる抗体を結合させる工程であって、抗体のそれぞれが1つ又は複数のビーズに付着している、工程、
イメージセンサの表面上に試料を置く工程、
イメージセンサにおいて、ビーズ以外の光源から発せられた光を受け取る工程であって、受け取った光がビーズによって反射、屈折、又は透過された光を含み、
イメージセンサが、ビーズを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉する、工程、
試料の画像の少なくとも1つを処理して、個々のビーズと、化学成分の各単位に結合している2つ以上の抗体に付着した2つ以上のビーズの複合体とを別々に数え上げる工程、並びに
処理の結果を使用して、試料中の化学成分の存在又はレベルを識別する工程
を含む方法。
【請求項2】
2つ以上の異なる抗体が、化学成分の1つの単位の異なる位置で結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの異なる抗体に付着したビーズが、同じ反射、屈折、及び透過の特性を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの異なる抗体に付着したビーズが、光源から発せられた光に対して、異なる反射、屈折、若しくは透過の特性、又はそれらの組み合わせを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
異なる反射、屈折、又は透過の特性が、ビーズの色を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
異なる反射、屈折、又は透過の特性が、ビーズのサイズを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
異なる反射、屈折、又は透過の特性が、ビーズの形状を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
異なる反射、屈折、又は透過の特性が、ビーズの複屈折を含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
イメージセンサの表面上に試料を置くことが、表面上に試料の単層を形成することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
処理が、(a)個々のビーズの数とビーズの複合体の数との間の決定された関係、及び(b)個々のビーズの数と、既知の量の成分を有する他の試料中のビーズの複合体の数との間の既知の関係の比較に基づいて、試料中の化学成分の量を決定することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
試料がヒト又は動物の全血を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
画像の少なくとも1つを処理して、試料中の1つ又は複数のタイプの血球の数を決定する工程
を含む請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
画像の少なくとも1つを処理して、試料の全血球数を決定する工程
を含む請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ポイントオブケアで行われる、請求項1~13のいずれか一項の方法。
【請求項15】
イメージセンサの表面に曝露された感光性要素のアレイを有するイメージセンサであって、表面が、化学成分の単位を含む試料を受け取るように構成されており、化学成分の単位の少なくとも1つが、それに結合した2つ以上の異なる抗体を有し、異なる抗体のそれぞれが同じ反射、屈折、及び透過の特性を有する単一のタイプのビーズに付着している、イメージセンサ、
試料を照らすように構成されている光源、
ビーズによって反射、屈折、又は透過された光を含む光源からの光を受け取るように構成されている感光性要素、並びに
(a)受け取った光に基づき直接インジケータビーズを含む試料のイメージセンサによって捕捉された1つ又は複数の画像を受け取り、(b)画像の少なくとも1つを処理して、個々のビーズと、化学成分の単位に結合している2つ以上の抗体に付着した2つ以上のビーズの複合体とを識別し、(c)個々のビーズと、2つ以上のビーズの複合体との識別を表す情報を使用して、試料中の化学成分の存在若しくは量、又はその両方を決定するように構成されているプロセッサ
を含む装置。
【請求項16】
2つ以上の異なる抗体を試料中の化学成分の1つ又は複数の単位に結合させる工程であって、1つ又は複数の抗体が1つ又は複数のビーズに付着しており、少なくとももう1つの抗体が表面上のある位置に付着している工程、
イメージセンサの表面上に試料をアプライする工程、
イメージセンサにおいて、光源から発せられ、抗体に付着した1つ又は複数のビーズによって反射、屈折、又は透過された光を受け取る工程、
イメージセンサが1つ又は複数のビーズを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉する工程、
1つ又は複数のビーズを含む試料の画像の少なくとも1つを処理して、抗体が表面に付着している位置を識別する工程、
前記位置を使用して、試料中の化学成分の存在又はレベルを決定する工程
を含む方法。
【請求項17】
抗体が付着している表面がイメージセンサの表面を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
抗体が付着している表面が、イメージセンサの表面に面する表面を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
イメージセンサの表面に曝露された感光性要素のアレイであって、表面が1つ又は複数の単位の化学成分を含む試料を受け取るように構成されており、1つ又は複数の単位の化学成分の少なくとも1つが、それに結合した2つ以上の異なる抗体を有し、抗体の少なくとも1つが1つ又は複数のビーズにカップリングしており、少なくとももう1つの抗体が表面上のある位置に付着している、感光性要素のアレイ、
試料を照らすように構成されている光源、
光源から発せられ、1つ又は複数のビーズによって反射、屈折、又は透過された光を受け取るように構成されている感光性要素、並びに
(a)受け取った光に基づきイメージセンサによって捕捉された1つ又は複数の画像を受け取り、(b)1つ又は複数の画像の少なくとも1つを処理して、ビーズにカップリングした抗体が表面に付着している位置を識別し、(c)その位置を使用して、試料中の化学成分の存在又はレベルを決定するように構成されているプロセッサ
を含む装置。
【請求項20】
可視識別マーカーを試料の複数の単位の化学成分に会合させる工程、
感光性要素のアレイが曝露されているイメージセンサの表面に試料が接触すると、可視識別マーカーを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉する工程、並びに
捕捉された画像に基づいて、1つ又は複数のタイプの化学成分の存在又はレベルを決定する工程
を含む方法。
【請求項21】
試料の化学成分の複数のタイプの複数の単位と、単位に会合した可視識別マーカーを含む試料、
イメージセンサの表面に曝露された感光性要素のアレイであって、イメージセンサが、試料が表面に位置すると、可視識別マーカーを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉するように構成されている、感光性要素のアレイ、並びに
捕捉された画像に基づいて1つ又は複数の化学成分の存在又はレベルを決定するように構成されているプロセッサ
を含む装置。
【請求項22】
感光性要素のアレイが曝露されているイメージセンサの表面上で、全血試料の全血球計算と化学分析の両方を実施する工程であって、全血球計算と化学分析が、試料以外の光源から発せられ、試料によって反射、屈折、又は透過されてイメージセンサの表面に到達した光に基づく工程
を含む方法。
【請求項23】
イメージセンサの表面に曝露された感光性要素のアレイであって、表面が全血の試料を受け取るように構成されている、感光性要素のアレイ、
試料を照らすように構成されている光源、
光源から発せられ、試料によって反射、屈折、又は透過された光を受け取るように構成されている、感光性要素、並びに
光源から発せられ、試料によって反射、屈折、又は透過されてイメージセンサの表面に到達した光に基づき、全血試料の全血球計算と化学分析の両方を実施するように構成されているプロセッサ
を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記述は、試料のビーズベースの分析に関連する。
【背景技術】
【0002】
例えば、診断の目的で患者の全血の試料におけるあらゆる有用な情報を取得するには、血液試料中の様々なタイプの血球の全血球計算(CBC)とそのヘモグロビン含有量だけでなく、血液の非細胞性部分(例えば、血漿)における他の成分の化学分析も必要となる。そのような他の成分は、様々な種類の分子及びイオンを含み得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0041200号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0152801号
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0284416号
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0293133号
【特許文献5】米国特許出願公開第2016/0187235号
【特許文献6】米国特許第9,041,790号
【特許文献7】米国特許第9,720,217号
【特許文献8】米国特許第10,114,203号
【特許文献9】米国特許第9,075,225号
【特許文献10】米国特許第9,518,920号
【特許文献11】米国特許第9,989,750号
【特許文献12】米国特許第9,910,254号
【特許文献13】米国特許第9,952,417号
【特許文献14】米国特許第10,107,997号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伝統的には、CBCと血液の化学分析のどちらも、実験室において、静脈切開術によって得られた静脈血のチューブを使用して大型の高価な装置上で実施される。化学分析が完了し、結果が返されるまでには、数時間又は数日がかかりうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般に、一態様では、2つ以上の異なる抗体を、試料中の化学成分の1つ又は複数の単位の各単位に結合させる。抗体のそれぞれは、1つ又は複数のビーズ(例えば、マイクロビーズ)に付着している。試料はイメージセンサの表面上に位置する。イメージセンサでは、ビーズ以外の光源から発せられた光を受け取る。受信光は、ビーズによって反射、屈折、又は透過された光を含む。イメージセンサは、ビーズを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉する。試料の画像の少なくとも1つを処理して、個々のビーズと、化学成分の各単位に結合している2つ以上の抗体に付着した2つ以上のビーズの複合体とを別々に数え上げる。処理の結果を使用して、試料中の化学成分の存在又はレベルを識別する。
【0006】
実施形態は、以下の特徴の1つ又は2つ以上の組み合わせを含みうる。2つ以上の異なる抗体が、化学成分の1つの単位の異なる位置で結合する。場合によっては、少なくとも2つの異なる抗体に付着したビーズが、同じ反射、屈折、及び透過の特性を有する。場合によっては、少なくとも2つの異なる抗体に付着したビーズが、光源から発せられた光に対して、異なる反射、屈折、又は透過の特性、又はそれらの組み合わせを有する。異なる反射、屈折、又は透過の特性は、ビーズの色を含む。異なる反射、屈折、又は透過の特性は、ビーズのサイズを含む。異なる反射、屈折、又は透過の特性は、ビーズの形状を含む。異なる反射、屈折、又は透過の特性は、ビーズの複屈折を含む。イメージセンサの表面上に試料を置くことは、表面上に試料の単層を形成することを含む。処理は、(a)個々のビーズの数とビーズの複合体の数との間の決定された関係、及び(b)個々のビーズの数と、既知の量の成分を有する他の試料中のビーズの複合体の数との間の既知の関係の比較に基づいて、試料中の化学成分の量を決定することを含む。試料は、ヒト又は動物の全血を含む。画像の少なくとも1つを処理して、試料中の1つ又は複数のタイプの血球の数を決定する。画像の少なくとも1つを処理して、試料の全血球数を決定する。本方法はポイントオブケアで行われる。
【0007】
一般に、一態様では、イメージセンサは、イメージセンサの表面に曝露された感光性要素のアレイを有する。表面は、複数の単位の化学成分を含む試料を受け取るように構成されている。化学成分の単位の少なくとも1つは、それに結合した2つ以上の異なる抗体を有する。異なる抗体のそれぞれは、同じ反射、屈折、及び透過の特性を有する単一のタイプのビーズに付着している。光源は、試料を照らすように構成されている。感光性要素は、ビーズによって反射、屈折、又は透過された光を含む光源からの光を受け取るように構成されている。プロセッサは、(a)受け取った光に基づき直接インジケータビーズを含む試料のイメージセンサによって捕捉された1つ又は複数の画像を受け取り、(b)画像の少なくとも1つを処理して、個々のビーズと、化学成分の単位に結合している2つ以上の抗体に付着した2つ以上のビーズの複合体とを識別し、(c)個々のビーズと、2つ以上のビーズの複合体との識別を表す情報を使用して、試料中の化学成分の存在又は量、又はその両方を決定するように構成されている。
【0008】
一般に、一態様では、2つ以上の異なる抗体を、試料中の化学成分の1つ又は複数の単位に結合させる。1つ又は複数の抗体が、1つ又は複数のビーズに付着している。少なくとももう1つの抗体が、表面上のある位置に付着している。試料を、イメージセンサの表面上でイメージセンサにアプライする。光源から発せられ、抗体に付着した1つ又は複数のビーズによって反射、屈折、又は透過された光を受け取る。イメージセンサは、1つ又は複数のビーズを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉する。1つ又は複数のビーズを含む試料の画像の少なくとも1つを処理して、抗体が表面に付着している位置を識別し、その位置を使用して、試料中の化学成分の存在又はレベルを決定する。
【0009】
実施形態は、以下の特徴の1つ又は2つ以上の組み合わせを含みうる。抗体が付着している表面は、イメージセンサの表面を含む。抗体が付着している表面は、イメージセンサの表面に面する表面を含む。
【0010】
一般に、一態様では、感光性要素のアレイがイメージセンサの表面に曝露される。表面は、1つ又は複数の単位の化学成分を含む試料を受け取るように構成されている。1つ又は複数の単位の化学成分の少なくとも1つは、それに結合した2つ以上の異なる抗体を有する。抗体の少なくとも1つは、1つ又は複数のビーズにカップリングしている。少なくとももう1つの抗体は、表面上のある位置に付着している。光源は、試料を照らすように構成されている。感光性要素は、光源から発せられ、1つ又は複数のビーズによって反射、屈折、又は透過された光を受け取るように構成されている。プロセッサは、(a)受け取った光に基づきイメージセンサによって捕捉された1つ又は複数の画像を受け取り、(b)1つ又は複数の画像の少なくとも1つを処理して、ビーズにカップリングした抗体が表面に付着している位置を識別し、(c)その位置を使用して、試料中の化学成分の存在又はレベルを決定するように構成されている。
【0011】
一般に、一態様では、可視識別マーカーを、試料の複数の単位の化学成分に会合させる。感光性要素のアレイが曝露されているイメージセンサの表面に試料が接触すると、可視識別マーカーを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉する。捕捉された画像に基づいて、1つ又は複数のタイプの化学成分の存在又はレベルを決定する。
【0012】
一般に、一態様では、試料は、複数のタイプの複数の単位の試料の化学成分と、単位に会合した可視識別マーカーとを含む。感光性要素のアレイは、イメージセンサの表面に曝露される。イメージセンサは、試料が表面に位置すると、可視識別マーカーを含む試料の1つ又は複数の画像を捕捉するように構成されている。プロセッサは、捕捉された画像に基づいて1つ又は複数の化学成分の存在又はレベルを決定するように構成されている。
【0013】
一般に、一態様では、感光性要素のアレイが曝露されているイメージセンサの表面上で、全血の試料の全血球計算及び化学分析の両方を実施する。全血球計算と化学分析は、試料以外の光源から発せられ、試料により反射、屈折、又は透過されてイメージセンサの表面に到達した光に基づく。
【0014】
一般に、一態様では、感光性要素のアレイがイメージセンサの表面に曝露される。表面は全血の試料を受け取るように構成されている。光源は、試料を照らすように構成されている。感光性要素は、光源から発せられ、試料によって反射、屈折、又は透過された光を受け取るように構成されている。プロセッサは、光源から発せられ、試料によって反射、屈折、又は透過されてイメージセンサの表面に到達した光に基づき、全血試料の全血球計算と化学分析の両方を実施するように構成されている。
【0015】
これら及び他の態様、特徴、実施形態、及び利点は、(1)方法、装置、システム、コンポーネント、プログラム製品、ビジネス方法、機能を実施するための手段又はステップ、及びその他の方法で表現でき、(2)以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、試料の化学分析の概略図である。
図2図2は、試料の化学分析の概略図である。
図3図3は、試料の化学分析の概略図である。
図4図4は、標準曲線のグラフである。
図5図5は、試料の化学分析の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで本発明者らは、いくつかの実施形態において、小型のポータブルで使いやすい比較的安価な試料分析デバイスを使用して、全血の試料の化学分析を単独で、又はCBCと組み合わせて、直接、ポイントオブケアで数分以内に低コストで実行できる試料分析技術について説明する。いくつかの用途では、サイズが小さく低コストであるため、試料分析デバイスは、大量に複製して、1つ又は複数の、ヘルスケア、住宅、工業、又は商業的な区域内の多くの場所に配布され得る。いくつかの用途では、試料分析デバイスの多くの単位が、試料分析(例えば、血液化学又はCBC)用の機器がさもなければ利用できないか、又は法外に高価な場所を含む現場において配布及び使用され得る。
【0018】
「ポイントオブケア」という用語は、例えば、患者又はヘルスケアが提供されている他の人に物理的に近接する場所を含むように広く使用される。多くの場合、ポイントオブケアとは、同じ部屋や建物、同じ場所、又は近距離内において、患者の物理的な存在下で提供されるサービスを指す。
【0019】
以下の議論の多くは、ヒト又は他の動物から採取された全血の化学分析への試料分析技術の適用に言及しているが、本試料分析技術は、試料(生物学的試料でありうるが、そうである必要はない)が目的の化学成分(分子やイオン等)を含み、計数を伴わないものでもよく、計数される粒子、単位、又は1種又は複数種の他の要素を含んでも含まなくてもよい、広範な状況にも適用され得る。
【0020】
「試料」という用語は、例えば、1つ又は複数の分析可能な化学成分を含み、1つ又は複数のタイプの1つ又は複数の計数可能な単位を含んでも含まなくてもよい流体又は他の材料の集合体又は塊を含むように広く使用される。計数可能な単位は、場合によっては、不透明、半透明、又は入射光に対して別なふうに非透過性でありうる。分析可能な化学成分は、いくつかの例では、透明、半透明、又は入射光に対して別なふうに不透明でないことがある。いくつかの例では、試料は、異なるタイプの計数可能な血球を含み、分析可能な化学成分、例えば2つ挙げると、分子又はイオンも含む全血である。
【0021】
「化学成分」という用語は、例えば、化合物、イオン、分子、及び認識可能な(例えば、可視の)計数可能な単位の形で存在しなくてもよい試料の他の成分を含むように広く使用される。
【0022】
「化学成分の単位」という用語は、例えば、単一の分子、イオン、又は他の成分等の化学成分の単一の単位を含むように広く使用される。典型的な試料中には、所与の種類の化学成分の多くの単位、例えば、化合物の多くの分子が存在する。
【0023】
「計数可能な単位」という用語は、例えば、離散的な、認識可能な、可視的な、識別可能な、数え上げの対象となる試料中に存在する要素を含むように広く使用される。通常、計数可能な単位は透明ではない。全血の場合、計数可能な単位は、異なるタイプの血球を含み得る。
【0024】
「化学分析」という用語は、例えば、試料中の1つ又は複数のタイプの化学成分の識別と定量化(例えば、レベルの決定)を含むように広く使用される。場合によっては、化学分析は、1つ又は複数のタイプの1つ又は複数の分子の存在を識別し、試料又は特定の体積の試料中の各タイプの分子の量、体積、又はパーセンテージを特徴付けることを含み得る。
【0025】
前述のように、本試料分析技術は幅広い用途を有するが、便宜上、時折、試料が全血又は全血の成分を含む特定の例について説明する。
【0026】
「全血」という用語は、例えば、ヒト又は他の動物から採取された元の形の血液を含むように広く使用される。全血は、血球及び化学成分を含む血漿等の計数可能な単位を含む。「血漿」というタイトルのウィキペディアの項目で説明されているように、血漿は「通常、全血中の血球を懸濁状態に保つ黄色がかった血液の液体成分である。言い換えれば、それは細胞とタンパク質を運ぶ血液の液体部分である・・・それは主に水(最大95体積%)であり、溶解したタンパク質(6~8%)(例えば、血清アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲン)、グルコース、凝固因子、電解質(Na+、Ca2+、Mg2+、HCO3 -、Cl-等)、ホルモン、二酸化炭素(血漿は排泄物輸送の主な媒体である)及び酸素を含む。」凝固因子は、血餅形成に関与するプラスミノーゲンやプロトロンビン等の分子を含む。
【0027】
「血球」という用語は、例えば、赤血球(エリスロサイト)、白血球(ロイコサイト)、まれな血球タイプ、曖昧な血球タイプ、及び血小板(トロンボサイト)を含むように広く使用される。
【0028】
図1に示されるように、血液の化学分析のための典型的な自動化技術10は、蛍光ベースのサンドイッチイムノアッセイ技術を使用して、血漿14中の非細胞性化学成分12、例えば1つ又は複数の化学成分の分子を識別及び定量化する。蛍光ベースのサンドイッチイムノアッセイにおける「サンドイッチ」の「中身」は、例えば、血漿中の所与の標的化学成分の分子16である。血液試料に2種類の抗体20、22を加える結果、各分子は要するにサンドイッチ18される。一方の種類の抗体20は、標的分子上のある位置24に特異的に結合することが知られており、標的分子が保持される既知の「ベース」となるという意味で「捕捉抗体」として機能する。他方の種類の抗体22は「検出抗体」として機能し、標的分子に特異的に結合するが、標的分子上の異なる位置26に結合することも知られている。いくつかの例では、捕捉抗体は、例えば、表面28に固定され、文字通り標的分子を「捕捉」し、それらを表面上の特定の位置に保持する。検出抗体は典型的には、検出抗体に付着した蛍光分子30によって標識される。
【0029】
標的分子が捕捉されると、すなわち捕捉抗体に結合されると、高強度の励起光32が1つの波長帯域で試料を照射し、付着した蛍光分子から異なる、典型的にはより長い、蛍光波長帯域においてはるかに低い強度の光34が放出される。放出された光は、(はるかに高い強度の励起光を遮断するためのフィルタ38を通過した後)光検出器36によって感知される。本光検出器は、比較的低い強度の蛍光波長帯域の光の存在及び強度レベルに対して高度に感応性であり、したがって蛍光強度、ひいては試料中に存在する標的化学成分の量を示すシグナルを生成し得る。
【0030】
蛍光サンドイッチ技術は、捕捉抗体と(蛍光分子によって)適切に標識された検出抗体の異なる適切なペアを使用することにより、血液の異なる標的化学成分を同時に識別及び定量化するために使用され得る。そのような多重化のいくつかの実施形態において、異なる捕捉抗体は、固定された表面におけるそれらの位置に基づいて異なる標的分子を区別する方法として、固定された表面に異なる位置で付着している。一部の実施形態では、標的分子は試料中に溶解又は懸濁したままであり、試料中のそれらの位置に関係なく、異なるタイプの標的分子を区別する方法として、異なる捕捉抗体が、異なる波長帯域又は帯域の異なる組み合わせで蛍光を生成する蛍光ビーズ(例えば、Luminex(登録商標)ビーズ)を使用して標識される。
【0031】
後で説明するように、試料分析技術のいくつかの実施形態では、化学分析は、全血球計算(CBC)を実施するための接触単層非蛍光イメージング技術と組み合わされる。いくつかの理由のために、今説明した標準的な蛍光サンドイッチ技術は、接触単層非蛍光CBC技術とは最適には適合しない。1つの理由は、接触CBC技術では、血液試料は典型的にはイメージセンサの感光性表面と直接接触しているため、これが、高強度の励起光を遮断するために表面と試料の間にフィルタ要素を含めることを妨げることである。2つ目の理由は、接触CBC技術は、蛍光サンドイッチイムノアッセイ技術で一般的に必要とされる洗浄及び他の処理ステップ(その1つは試料から不透明な血球を除去することを含む)と容易に適合しないことである。本試料分析技術に使用されるのと同じ全血試料が接触CBC技術にも使用される場合、洗浄及び処理ステップは簡単には適用できない。[ただし、後で説明するように、接触CBC技術は血液の単層の使用に基づいているため、単層の一部には血球がなく、光が通過する血漿のみが含まれている。したがって、血球の存在のために、イメージセンサの全ての領域は標的分子の化学分析に適していないかもしれないが、イメージセンサの領域の一部の領域は、全血であっても試料分析技術に適している。蛍光サンドイッチ技術が上記の接触CBC技術と最適に適合しない3つ目の理由は、高解像度イメージセンサの小さなサイズのピクセルが、大面積の光検出器で可能なような、低い強度の放出された蛍光を検出するのに十分な低照度感度を提供しないことである。
【0032】
ここで説明される試料分析技術は、全血の化学分析を実施するために独立して使用可能であり、又は同じ試料と同じ光源からの光を使用する接触CBC技術と(同時に又は順次に)組み合わせて、又はそれを補うために、全血の化学分析を実施するために使用可能である。その結果、全血の小さな試料(例えば、50マイクロリットル未満又は15マイクロリットル未満又は5マイクロリットル未満の試料)に対して、小型で安価なデバイスを使用して、ポイントオブケアで接触CBC技術と血液化学分析の両方が本質的に同時に迅速に実施され得る。全血に対して化学分析を実施する例についてしばしば議論するが、本試料分析技術は、未加工の全血、又は化学成分を変更、調整、除去、補足するために処理された全血、又は血漿を含む血球の一部又はすべてが除去された全血に適用され得る。
【0033】
「接触CBC技術」という用語は、例えば、イメージセンサの表面に接触している(例えば、近接場の距離内にある)試料において1つ又は複数のタイプの血球が識別及び計数される任意の手法を含むように広く使用される。接触CBC技術に関する追加の情報は、米国特許出願公開第2016/0041200号、第2014/0152801号、第2018/0284416号、第2017/0293133号、第2016/0187235号、及び米国特許第9,041,790号、第9,720,217号、第10,114,203号、第9,075,225号、第9,518,920号、第9,989,750号、第9,910,254号、第9,952,417号、第10,107,997号の1つ又は複数において見出すことができ、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
図2を参照すると、試料分析技術のいくつかの実施形態では、全血の単層100は、感光性要素(例えば、ピクセル)のアレイ106が曝露されている高解像度イメージセンサ104の表面102と蓋110の対応する表面108の間に位置しており、その長さ、幅、及び表面102と表面108との間の厚さ112によって定義される既知の体積を有する単層を形成する。そのような単層を形成するための構造及び技術の例は、米国特許公開第2016/0041200号、第2014/0152801号、第2018/0284416号、第2017/0293133号、第2016/0187235号、及び米国特許9,041,790号、第9,720,217号、第10,114,203号、第9,075,225号、第9,518,920号、第9,989,750号、第9,910,254号、第9,952,417号、第10,107,997号の1つ又は複数において説明されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
「高解像度」という用語は、例えば、5μm、3μm、1μmよりも小さい、例えばサブミクロンの2次元の一方又は両方におけるピクセル間隔を有するイメージセンサを含むように広く使用される。
【0036】
「単層」という用語は、例えば、単層全体にわたって厚さによって定義される次元で2つの単位を積み重ねることができないように、血球等の試料中の特定のタイプの単位の厚さ以下の厚さを有する試料の体積を含むように広く使用される。全血試料の場合、単層の厚さは1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲であり得る。
【0037】
光源122からの光120は、単層100を照らす。光の部分124は、試料単層を通過し、イメージセンサのアレイ128内の感光性要素126によって受け取られうる。光の部分130は、単層の成分131によって反射又は屈折されてもよく、反射又は屈折された光が、アレイ内の感光性要素によって受け取られうる。光の部分132は、単層の成分を透過してもよく、透過光は、アレイ内の感光性要素によって受け取られうる;光の一部は、単層の成分によって吸収されてもよい。後で説明するように、単層の成分は、計数可能な単位、化学成分、ビーズ、及びその他の要素を含み得る。
【0038】
光源は、1つ又は複数の選択された波長帯域及びそれらの組み合わせで照明光を提供するように構成若しくは制御され、又は構成及び制御され得る。例えば、LED、LEDパネル、有機LED、蛍光パネル、白熱灯、周囲照明、モノクロLEDのアレイ、赤、緑、青のLEDやレーザー等の狭帯域光源のアレイ、液晶や有機LED(OLED)ディスプレイ等の小型カラーディスプレイ、又はRGBレーザーカラープロジェクターといった多種多様な光源とそれらの組み合わせが使用され得る。
【0039】
光源から発せられ、単層を通過、反射又は屈折、又は透過する光を使用して、イメージセンサは、様々なタイプの計数可能な単位(例えば、血球)及び検出可能な化学成分を含む単層の1つ又は複数の画像を(それら本来の状態で、又は後で説明するように標識された結果として)捕捉する。捕捉された1つ又は複数の画像は、例えば、計数可能な単位及び化学成分のCBC又は化学分析、又は両方を含む全血試料に関する情報133を生成するために、1つ又は複数のプロセッサ(Processor)又は他の画像処理コンポーネント113によって処理される。とりわけ、結果として得られる情報は、赤血球の数とそのヘモグロビン含有量を含み得る。
【0040】
CBC情報は、捕捉された画像において試料中の各タイプの計数可能な単位の数を識別して計数することにより生成され得る。CBC技術及び接触イメージセンサを使用した画像化に関する追加の情報は、例えば、米国特許出願公開第2016/0041200号、第2014/0152801号、第2018/0284416号、第2017/0293133号、第2016/0187235号、及び米国特許第9,041,790号、第9,720,217号、第10,114,203号、第9,075,225号、第9,518,920号、第9,989,750号、第9,910,254号、第9,952,417号、第10,107,997号の中に見出すことができ、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
図3に示されているように、(接触CBC技術に使用されるのと同じ全血の単層等の)全血の単層140は、全血の様々な化学成分142、144の化学分析に使用され得る。この目的のために、全血単層試料の異なるタイプの化学成分の個々の単位が、蛍光サンドイッチと同様なサンドイッチの中身148として処理され得る。しかしながら、ここに記載の試料分析技術の実施形態において、捕捉抗体150、152及び検出抗体154、156は、蛍光特性を有する必要はなく、直接可視であるか、そうでなければ光源から発せられ、単層又は単層の成分を通過、反射若しくは屈折、又は透過する光を使用して検出可能なビーズ158、160、162、164に付着している。結果として生じる光は、イメージセンサ168中に配列された感光性要素(例えば、ピクセル)166によって受け取られる。(蛍光技術とは異なり、光源は単層試料内ではなく、試料の外部にある。)
【0042】
受信光(場合によっては、接触CBC技術に使用されるのと同じ受信光)を使用して、イメージセンサは単層試料の1つ又は複数の画像を捕捉する。1つ又は複数のプロセッサ170又は他の画像処理デバイスは、1つ又は複数の受信画像を処理し、様々な技術を適用して、試料中の各化学成分の存在を識別し、レベル(例えば、数量、量、体積、パーセンテージ)を決定する。
【0043】
抗体150、152及び154、156が付着しているビーズ158、160、160、162は、蛍光特性を有している必要はない。ビーズは、ビーズから反射、屈折、又は通過する光源からの光に基づき検出可能、可視、又はその他の方法で認識可能な特性を有し得る。そのようなビーズは「直接インジケータビーズ」とも呼ばれる。直接インジケータビーズは、その小さなサイズに関連してマイクロビーズと時折呼ばれるものの形態をとり得る。マイクロビーズのサイズは典型的には0.5~500マイクロメートルの範囲である。
【0044】
「直接インジケータビーズ」(又は単に「ビーズ」ともいう)という用語は、例えば、試料の化学成分に付着又は会合可能であり、また、インジケータデバイス又は特性に入射し、反射若しくは屈折、又は透過した受信光を用いてセンサで識別可能なタグ、マーカー、又はその他のインジケータデバイス又はインジケータ特性を含むように広く使用される。場合によっては、直接インジケータビーズは、小さな粒子、粒子、ビーズ、小球、又は他の要素、及びそれらの組み合わせの形をとることができ、様々な形状、サイズ、材料、及び色のものであり得る。
【0045】
試料中の化学成分の単位の存在を決定するために、プロセッサは画像を分析して、光源から発せられ、ビーズによって反射、屈折、又は透過されてイメージセンサの表面に到達する光によって明らかにされるビーズ及び2つ以上のビーズの複合体の直接認識可能な特性を検出する。
【0046】
ビーズ及びビーズの複合体の「直接認識可能な特性」という用語は、例えば、品質、属性、又は、光源から発せられ、ビーズによって反射、屈折、又は透過された光から検出、決定、又は導出され得る他の特性を含むように広く使用される。直接認識可能な特性は、例えば、色、サイズ、テクスチャ、複屈折、形状、又はそれらの組み合わせを含む。
【0047】
「ビーズの複合体」という用語は、例えば、分子や他の化学成分等の試料中の単位に付着しているために互いに会合され得る2つ以上のビーズを含むように広く使用される。典型的には、複合体の2つ以上のビーズは、互いに一定の近傍(例えば、接触している)で検出可能である。場合によっては、複合体の2つ以上のビーズは、2つ以上の所定の異なる直接認識可能な特性を有しているために検出可能である。例えば、複合体の2つのビーズは、イメージセンサからの画像を処理することによって認識可能な2つの特定の異なる色を有していてもよい。
【0048】
ここで説明する試料分析技術は、様々な異なる様式で適用され得る。
【0049】
複合ビーズ様式と呼ぶこともあるそのような様式のいくつかの例では、化学成分は試料中に溶解又は懸濁されたままである。それぞれが別個の直接インジケータビーズにカップリングした捕捉抗体及び検出抗体は、所与の標的分子又は他の標的化学成分の単位上の2つの異なる位置に同時に結合して、2つのビーズの複合体(すなわち、ダブレット)を形成する。[各直接インジケータビーズは、その表面に結合した特定の(捕捉又は検出)抗体を複数有するため、ビーズは同時に複数のそのような複合体に関与して、トリプレット又はより高次のビーズ複合体を形成しうる。]
【0050】
イメージセンサによって捕捉された1つ又は複数の画像を処理することにより、ダブレット又はより高次の複合体中に存在し、したがって化学成分に会合したビーズを識別することが可能である。試料において識別されたビーズの総数(複合体及びシングルトン、つまり非複合)に対する複合ビーズの割合を決定することにより、試料中の化学成分の標的単位(例えば、分子)のレベル又は量又は数量又は濃度を決定することが可能である。
【0051】
場合によっては、両方ではなく、捕捉抗体又は検出抗体のみが標的分子に結合している場合があるため、識別されたシングルトンビーズが必ずしも標的分子に非結合のビーズではないことは事実である。
【0052】
しかしながら、一定のインキュベーション条件下で、試料中のビーズにカップリングした捕捉抗体とビーズにカップリングした検出抗体の濃度が一定であり、それらの比率がわかっている場合、ビーズ複合指数(つまり、デバイスによって識別された全ビーズに対する複合ビーズの比率)と標的分子の濃度との間の関係を表す「標準曲線」を経験的に確立することが可能である。
【0053】
これは、図4に示される標準曲線を生成するために、プロラクチン(Prolactin)について実験的に行われた。標準曲線を使用して、同一のインキュベーション条件下でビーズ複合指数(Bead complex index)を決定することにより、試料中のプロラクチンのさもなければ未知の濃度を決定することが可能である。
【0054】
いくつかの実施形態では、化学成分の所与の単位に結合する捕捉抗体及び検出抗体の両方を標識するために、同じビーズが使用され得る。いくつかの実施形態では、異なる化学成分の単位に付着する捕捉抗体及び検出抗体に対して、直接認識可能な異なる特性を有するビーズの複合体を使用することによって異なる化学成分の存在とレベルを同時に検出するプロセスを多重化することが可能である。多重化は、異なる色、サイズ、形状、テクスチャ、又はその他の直接認識可能な特性を有するビーズを使用することにより実現され得る。
【0055】
図5に示されるように、いくつかの実施形態では、捕捉抗体200は固定された表面202に不可逆的に結合しており、例えば、異なるタイプの捕捉抗体が、固定された表面上のアレイ204内の既知の対応する位置にスポット206として結合している。そのような実施形態では、捕捉抗体はそれらに付着した直接インジケータビーズを有する必要はないが、検出抗体はそれらに付着した直接インジケータビーズを有するであろう。固定された表面は、イメージセンサ104の表面102に面し、試料の単層100によって占められるギャップを規定する蓋110の表面108であり得る。試料の単層がギャップにあり、アレイ内の捕捉抗体のプリントされたスポットと接触している場合、試料中のそれぞれの化学成分は、化学成分のタイプに基づいて、アレイ内のプリントされたスポットの位置によって定義される位置で、それぞれの捕捉抗体に結合し、同時に直接インジケータビーズにカップリングした検出抗体に結合することができる。単層を通過し、直接インジケータビーズによって反射、屈折、又は透過された入射光を使用して捕捉された画像は、それから、検出抗体に付着したビーズの画像化された位置に基づいて、異なるタイプの化学成分の量を識別及び決定するために処理され得る。この化学分析の手法は、個別に使用することも、上で議論した接触CBC技術と組み合わせて使用することも可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、位置ベースの化学分析技術と、溶液中又は懸濁液中(すなわち、非位置ベースの複合ビーズ様式)の化学分析技術との組み合わせが使用され得る。
【0057】
ポイントオブケアの状況でCBC技術と組み合わせてこれらの化学分析技術を使用するためには、試料がイメージセンサ表面上に負荷される前に、ビーズにカップリングした抗体を試料に付与するための手順が実行されなければならない。1つのアプローチは、乾燥したビーズにカップリングした抗体が血液によって可溶化され、標的分子と結合できるようにするチューブに、患者から採取した血液の試料を通すことであろう。それから、調製された試料がセンサ表面に置かれ得る。別のアプローチは、蓋が単層を形成する血液試料に遭遇したときにそれらが可溶化されるように、(場合によっては、蓋の特定の位置に不可逆的に結合したビーズを含まない捕捉抗体に加えて)ビーズにカップリングした抗体を蓋110の表面108に沈着させることであろう。
【0058】
他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内となる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】