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特表2022-528378組織接着及び分化特性を有する組織癒合用組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】組織接着及び分化特性を有する組織癒合用組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 24/00 20060101AFI20220603BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20220603BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20220603BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
A61L24/00 100
A61L27/36 100
A61L27/36 130
A61L27/36 300
A61L27/38 100
A61L27/38 110
A61L27/38 111
A61L27/38 112
A61L27/38 300
A61L27/52
A61L27/36 310
A61L27/36 311
A61L27/36 312
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557582
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 KR2020004253
(87)【国際公開番号】W WO2020197337
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0035835
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0036318
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】515131404
【氏名又は名称】アジュ ユニバーシティー インダストリー-アカデミック コーオペレイション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】AJOU UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195017
【弁理士】
【氏名又は名称】水間 章子
(72)【発明者】
【氏名】ミン ビョン-ヒュン
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB02
4C081AB11
4C081AB19
4C081AB21
4C081AC04
4C081BA12
4C081CD34
4C081DA02
4C081DA12
(57)【要約】
本発明は、組織接着及び分化特性を有する組織癒合用組成物及びその製造方法に関するものであって、本発明では、幹細胞及び幹細胞由来の細胞外基質を用いてゲル状またはシート状の組織癒合用組成物を製造し、組成物は、生体組織に優れた接着性及び結合力を有し、移植後、軟骨、骨、角膜、成長板などに分化が可能なことを確認したので、損傷組織または臓器再生治療のための接着剤及び分化剤として使用して究極的に組織癒合剤として有用に活用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹細胞及び幹細胞由来の細胞外基質を有効成分として含む、組織接着及び分化特性を有する組織癒合用組成物。
【請求項2】
前記組織は、角膜、上皮、成長板、骨、軟骨、靭帯、筋肉、及び皮膚組織からなる群から選択されたことを特徴とする、請求項1に記載の組織癒合用組成物。
【請求項3】
前記組成物は、ゲル状またはシート状であることを特徴とする、請求項1に記載の組織癒合用組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物で2つ以上の組織を付着させて製造される、移植用組織。
【請求項5】
(a)胎児軟骨組織から幹細胞を分離して培養する段階と、
(b)前記培養された幹細胞及びその細胞外基質を含む細胞膜を収得する段階と、
(c)前記収得された細胞膜を遠心分離して細胞ペレットを収得する段階と、
(d)前記収得された細胞ペレットを培地で培養する段階と、
を含む、請求項1に記載の組織癒合用組成物の製造方法。
【請求項6】
前記(b)段階の細胞膜収得は、細胞の分離段階なしに底面に付着された細胞と共に細胞外基質をいずれも含んで収得することを特徴とする、請求項5に記載の組織癒合用組成物の製造方法。
【請求項7】
前記(d)段階の培養期間によって組成物の圧縮強度、付着力及び塗布性が調節されることを特徴とする、請求項5に記載の組織癒合用組成物の製造方法。
【請求項8】
前記組織は、角膜、上皮、成長板、骨、軟骨、靭帯、筋肉、及び皮膚組織からなる群から選択されたことを特徴とする、請求項5に記載の組織癒合用組成物の製造方法。
【請求項9】
幹細胞及び幹細胞由来の細胞外基質を有効成分として含む、組織接着特性を有する組織癒合用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織接着及び分化特性を有する組織癒合用組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1998年米国FDAからフィブリンシーラント(fibrin sealant)が許可されて以来、毎年新たな組織接着剤が絶え間なく開発されている。このような組織接着剤は、従来の外科的または内科的手術で使われている縫合術、クリップ術、灸術のような技術を代替しうる素材として脚光を浴びている。
【0003】
縫合術のような従来の外科的技術は、強い伸張力(strong tensile strength)を有するが、患者の苦痛誘発及び施術後、除去などの短所を有し、一方、組織接着剤は、速い接着時間、簡便な使用、施術後、除去不要などの長所を有しているが、低い接着性及び伸張力と水分とが存在する場合、接着性が著しく劣る限界があった。これにより、前記のような組織接着剤の限界点を克服するための研究が持続している。
【0004】
医療用組織接着剤は、組織に直接接触するので、生体適合性が要求され、通常生体内で使われるために、接着剤が体液と血液中に流入される場合を備えて、より厳格な条件で人体への毒性及び危害性を除去し、かつ生分解性素材からなる必要がある。
【0005】
現在、商用化及び/または実用化されている組織接着剤は、大きくシアノアクリレート接着剤、フィブリン接着剤、ゼラチン接着剤、ポリウレタン系接着剤などがある。シアノアクリレート接着剤は、最近、高機能性及び高性能を有する瞬間接着剤の研究に脚光を浴びている。前記シアノアクリレート系組織接着剤は、単一物質であって、短時間に室温で開始剤なしに水分によって硬化され、外観が透明であり、接着強度が大きな長所があるが、衝撃に弱く、耐熱性が劣るという短所がある。また、毒性が激しくて、現在はほとんど使われておらず、米国を除いた他の国で部分的に使われており、一部では、組織毒性と脆弱性のために使用が制限されている。
【0006】
フィブリン接着剤は、接着部位に存在する水分に影響なしに迅速に接着が可能であり、血小板と凝固障害がなく、生体適合性に優れるという長所を有している。しかし、接着力が弱く、生分解速度が速く、血液感染の危険があるという短所がある。
【0007】
また、ゼラチン接着剤は、組織接着性は高いが、架橋剤として使われるホルマリンやグルタルアルデヒドが生体内のタンパク質とも架橋反応を起こして、組織毒性を起こすという短所があり、ポリウレタン系接着剤は、生体組織表面の水を吸収して組織との密着性を高め、水と反応して数分以内に硬化され、生分解されるという長所を有しているが、合成原料である芳香族ジイソシアネートが生体毒性を有するという短所がある。
【0008】
一方、現在まで開発された接着剤は、組織と組織との間、あるいは組織と移植物との間の癒合にほとんど寄与していない。すなわち、接着剤によって組織が永久的に癒合されないために、接着剤の生分解以後には、2つの組織あるいは移植物は再び離れる。このような短所を克服するために、外部から治療細胞を供給する細胞治療剤が研究されている。すなわち、組織と組織との間、あるいは組織と移植物との間に細胞を注入することにより、移植された細胞が細胞外基質を分泌して接着物質を付着しようとする試みである。しかし、細胞治療剤は、接着性が全くなくて、細胞が組織を生成する間に別途の接着剤あるいは物質が必要である。
【0009】
以上のように、組織接着剤は、2つの組織の間の接着力が必要であり、また、2つの組織を永久に付着するために、目標とする付着組織の細胞に分化して究極的に細胞外基質を分泌することができる細胞治療剤の機能を行うことが理想的である。このような細胞搭載組織接着剤は、身体の多くの組織損傷の治療のために使われる。例えば、筋肉の破裂、靭帯の損傷、骨付着、軟骨再生などがこれに該当する。したがって、組織接着と分化細胞を搭載した組織接着剤の開発は、移植治療において画期的な進歩をもたらすと見込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、組織接着及び分化特性を有する組織癒合剤(tissue adhesive product;TAP)組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を果たすために、本発明は、幹細胞及び幹細胞由来の細胞外基質を有効成分として含む組織癒合用組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記組成物で2つ以上の組織を付着させて製造される移植用組織を提供する。
【0013】
また、本発明は、(a)胎児軟骨組織から幹細胞を分離して培養する段階;(b)前記培養された幹細胞及びその細胞外基質を含む細胞膜を収得する段階;(c)前記収得された細胞膜を遠心分離して細胞ペレットを収得する段階;及び(d)前記収得された細胞ペレットを培地で培養する段階;を含む組織癒合用組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、幹細胞及び幹細胞由来の細胞外基質を用いてゲル状またはシート状の組織癒合用組成物を製造し、前記組成物は、生体組織に優れた接着性及び結合力を有し、移植後、軟骨、骨、角膜、成長板などに分化が可能なことを確認したので、損傷組織または臓器再生治療のための接着剤及び分化剤として使用して究極的に組織癒合剤として有用に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の軟骨組織癒合剤組成物(TAP)の接着強度を確認した結果である。
図2】軟骨損傷モデルに蛍光発現因子PKH-26が標識されたTAPを移植した後、損傷部位に付着有無を確認した結果である。
図3】1週、2週、3週間培養されて製造されたTAPのサフラニンO染色及びヘマトキシリン&エオシン染色の結果である。
図4】軟骨損傷モデルにTAPを移植した後、組織学的分析を通じて移植後、軟骨損傷の再生を確認した結果である。
図5】胎児軟骨組織由来幹細胞を用いて角膜細胞への分化を確認した結果である。
図6】TAPを用いてシート形態の角膜細胞への分化を確認した結果である。
図7】成長板損傷モデルの製作及びTAP移植方法を示した図面である。
図8】成長板損傷モデルでTAPによる軟骨組織及び成長板組織への分化を確認した結果である。
図9】成長板損傷モデルでTAPによるコラーゲン及び糖タンパクの形成を確認した結果である。
図10】成長板損傷モデルでTAPによる長さの成長及び角変形の改善効果を確認した結果である。
図11】成長板損傷モデルでTAPによる軟骨組織の形成を確認した結果である。
図12】成長板損傷モデルでTAPによる軟骨組織の形成を確認した結果である。
図13】成長板損傷モデルでTAPによる軟骨組織の形成を確認した結果である。
図14】TAPによる腰推椎間板の再生を確認した結果である。
図15】胎児軟骨由来幹細胞シートの培養7日後、細胞分化を確認したGross imageイメージ結果である。
図16】胎児軟骨由来幹細胞シートの培養7日後、根源細胞への分化を確認するために、Myf5及びMyoDの発現レベルを確認したウェスタンブロッティング分析の結果である。
図17】胎児軟骨由来幹細胞シートの培養7日後、根源細胞への分化を確認するために、免疫細胞化学(immunocytochemistry;ICC)を行ってMyf5及びMyoDの発現を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、幹細胞及び幹細胞由来の細胞外基質を有効成分として含む組織接着及び分化特性を有する組織癒合用組成物を提供する。
【0017】
本発明で使われた用語「幹細胞」は、胎児軟骨組織から分離された幹細胞であり、望ましくは、コラゲナーゼなどを用いて軟骨組織を完全に消化させた後、分離された軟骨前駆細胞(fetal cartilage derived progenitor cell;FCPC)である。
【0018】
本発明で使われた用語「幹細胞由来の細胞外基質(Extracellular Matrix)」は、胎児軟骨組織由来幹細胞から細胞によって合成され、細胞外に分泌、蓄積された分子で構成されている生体高分子の集合体であって、膠原質、弾力素などの線維性タンパク質、グリコサミノグリカンなどの複合タンパク質、フィブロネクチン、ラミニンなどの細胞付着性タンパク質などを含む。
【0019】
本発明で使われた用語「軟骨」は、硝子軟骨(hyaline cartilage)、線維軟骨(fibrocartilage)または弾性軟骨(elastic cartilage)を含み、特に制限されない。関節軟骨(articular Cartilage)、耳軟骨、鼻軟骨、ヒジ軟骨、半月状軟骨(meniscus)、ヒザ軟骨、肋軟骨、足首軟骨、気管軟骨、喉頭軟骨及び脊椎軟骨など軟骨部位に制限なしに含む。
【0020】
前記組成物は、角膜、上皮、成長板、骨、軟骨、靭帯、筋肉または皮膚組織に分化されるが、これらに制限されるものではないということを明示する。
【0021】
前記組成物は、ゲル状またはシート状に製造可能であるが、これらに制限されるものではないということを明示する。
【0022】
本発明で使われた用語「ゲル(gel)」は、ゼリーと類似した物質であって、柔らかくて弱い範囲から強くて粗い範囲までの物性を有し、定常状態で流れを表わさない固体(solid)を意味し、ゲルのほとんどの重量は、液体(liquid)や3次元ネットワーク構造によって全体としては固体のように行動する。
【0023】
前記組成物は、25~40℃で20~30時間保持されるが、これらに制限されるものではないということを明示する。
【0024】
また、本発明は、前記組成物で2つ以上の組織を付着させて製造される移植用組織を提供する。
【0025】
本発明で使われた用語「移植(transplantation)」は、一般的に供与者の細胞、組織または臓器などを受容者の損傷組織または臓器に移す過程を意味し、本発明においては、組織癒合用組成物の組織欠陥、損傷、欠損部位への適用を意味する。移植は、当業者に公知の方法で行われる。例えば、外科的手術で行われ、患部に直接注射することができる。
【0026】
また、本発明は、(a)胎児軟骨組織から幹細胞を分離して培養する段階;(b)前記培養された幹細胞及びその細胞外基質を含む細胞膜を収得する段階;(c)前記収得された細胞膜を遠心分離して細胞ペレットを収得する段階;及び(d)前記収得された細胞ペレットを培地で培養する段階;を含む組織癒合用組成物の製造方法を提供する。
【0027】
前記(b)段階の細胞膜収得は、細胞の分離段階なしに底面に付着された細胞と共に細胞外基質をいずれも含んで収得するものである。
【0028】
前記(d)段階の培養期間によって組成物の圧縮強度、付着力及び塗布性が調節される。
【0029】
本発明で使われた用語「塗布性(拡散性)」は、物性のうち、広がる性質を言い、患部などに塗る時、塊にならず、滑らかに全面に広がる性質を言う。本発明において、拡散性は、試料を1mm/分の速度で1秒間5Nの力を垂直に試料に与えた時、試料の単位重量当たり広がる程度を言う。
【0030】
本発明で使われた用語「付着性」は、物質に他の物質が張り付く性質を言い、患部などに塗る時、物質が落ちず、張り付いている性質を言う。本発明において、付着性は、直径5mmのジグと患部とに物質を接触して付着させた後、1.3mm/分の速度で引き付けながら、ジグと患部とに付着された物質が落ちて分離される時までの抵抗力を言う。
【0031】
前記組成物は、角膜、上皮、成長板、骨、軟骨、靭帯、筋肉または皮膚組織に分化されるが、これらに制限されるものではないということを明示する。
【0032】
また、本発明は、幹細胞及び幹細胞由来の細胞外基質を有効成分として含む組織接着特性を有する組織癒合用組成物を提供することができる。
【0033】
本発明で使われた用語「再生」は、一般的に生物体には身体の一部またはその機能を喪失した時、その部分の組織や器官を再び作って元の状態に復元させるか、その機能を回復しようとする作用を称する。このような再生能力は、体系が簡単であり、系統的に進化の程度が低いものであるほど強い。
【0034】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これらの実施例によって制限されないということは当業者にとって自明である。
【0035】
実施例1:ヒト胎児軟骨組織由来幹細胞の分離及び培養
【0036】
12~15週齢の胎児(出所:大韓民国亜洲大学病院倫理委員会で承認したIRB NO.AJIRB-CRO-07-139)のヒザ関節から軟骨組織由来幹細胞を分離した。簡略に、ヒザ関節から分離された軟骨組織をリン酸緩衝食塩水(phosphated buffered saline;PBS)で洗浄した後、0.2%(w/v)コラゲナーゼ(collagenase、Worthington Biochemical Corp.,Lakewood、NJ)が含有されたDMEM(Dulbecco's Modified Egle Medium、Gibco、Grand Island、NY)培地を添加した後、37℃、5% CO培養器で4時間培養した。軟骨組織が完全に消化されて放出された軟骨組織由来幹細胞を1700rpmで10分間遠心分離して沈殿された軟骨組織由来幹細胞(fetal cartilage derived progenitor cell;FCPC)を収得し、組織培養皿[150mm(dia.)X20mm(h)]に1X10細胞密度で接種した。
【0037】
実施例2:組織接着及び分化特性を有する組織癒合用組成物の製造(TAP)
【0038】
前記実施例1で収得した軟骨幹細胞を2X10細胞密度で希釈した後、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum;FBS)、50units/mLペニシリン及び50μg/mLストレプトマイシンが添加されたDMEM培地で15~18日間断層培養した。培養後、培地を除去し、0.05%トリプシン-EDTA(Gibco)を添加して細胞外基質と結合された細胞膜を収得した。細胞及び細胞外基質が結合された細胞膜の収得は、0.05%トリプシン-EDTA処理後、細胞をピペットで分離せず、細胞及び細胞外基質を含む細胞膜全体を一回に収得した。
【0039】
収得した細胞及び細胞外基質を含む細胞膜は、軟骨分化培地[1%抗生剤-抗真菌剤(antibiotic-antimycotic)、1.0mg/mLインスリン(insulin)、0.55mg/mLヒトトランスフェリン(human transferrin)、0.5mg/mL亜セレン酸ナトリウム(sodium selenite)、50μg/mLアスコルビン酸(Ascorbic acid)、1.25mg/mLウシ血清アルブミン(bovine serum albumin;BSA)、100nMデキサメタゾン(dexamethasone)、40μg/mLプロリン(proline)及び10ng/ml TGF-βが添加されたDMEM-HG]が含まれた50mlのチューブに入れ、250xgで20分間遠心分離してペレット形態の構造体を製造した。
【0040】
製造された細胞ペレットを培養皿に入れ、前記組成と同じ軟骨分化培地を用いて37℃、5% CO培養器で1週、2週及び3週間培養し、組織癒合用組成物を製造した。
【0041】
実施例3:組織癒合用組成物の接着強度の測定
【0042】
前記実施例2でTAPの接着強度を確認するために、Universal Testing Machine(Model H5K-T、H.T.E、イギリス)を使用してフィブリン接着剤と接着力を比較した。
【0043】
人工関節手術後、廃棄される患者の軟骨組織を同意書と共に寄贈された。患者の軟骨組織表面に6mm biopsy punchを用いて軟骨損傷モデルを製作し、製造されたTAPを挿入した。次いで、直径5mmのジグが挿入されたTAPに接触して付着させた後、1.3mm/分の速度で引き付けながら、ジグがTAPと分離される時までの抵抗力を測定した。
【0044】
その結果、図1を参照すれば、本発明のTAPの接着強度は、初期に2.52kPaでフィブリン接着剤よりも弱かったが、3週後、組織に分化が進行しながら、34.47kPaでフィブリン接着剤よりも格段に優れた接着強度を示すことを確認した。
【0045】
実施例4:蛍光発現因子PKH-26を標識したTAPの体内付着の確認
【0046】
細胞表面に標識される蛍光発現因子であるPKH-26をTAPに付着して体外培養及び体内から発現されるか否かを確認した。蛍光発現因子PKH-26を標識したTAPを製作してin vitroで一週間培養後、蛍光がよく発現されることを確認した後、ウサギの部分軟骨損傷モデルに移植した。移植後、一週間後、移植部位のヒザを分離し、凍結切片機を用いて4μmの厚さに切片した後、スライドを製作した。
【0047】
光学顕微鏡及び蛍光顕微鏡を用いて観察した結果、図2のように、部分軟骨損傷部位にTAPが残っており、蛍光発現因子が付着されていることを確認した。前記結果から本発明のTAPが患部に塗布されて付着されるということを確認した。
【0048】
実施例5:軟骨組織への分化の確認
【0049】
前記実施例2の細胞ペレットからTAP製造過程で1週が過ぎる度に、4%ホルマリンで固定させた後、パラフィンに包埋して4μmの厚さに切断し、蓄積された硫酸化されたプロテオグリカンの検出のために、横断面をサフラニン(Safranin)Oとヘマトキシリン&エオシン(H&E)とで染色した。
【0050】
その結果、図3のように、1週から3週に経時的にヘマトキシリン&エオシン染色では、細胞間隔が広がり、細胞形状が軟骨細胞と類似になることを確認し、サフラニンO染色では、3週でタンパク糖の量が増加し、軟骨から見られるラクーナ(lacuna)が形成されることを確認した。
【0051】
また、本発明のTAPをウサギの部分軟骨損傷モデルに移植した後、移植部位のヒザを分離し、凍結切片機を用いて4μmの厚さに切片した後、スライドを製作した後、サフラニンO染色を行った。
【0052】
その結果、図4のように、移植4週後、供与者(donor)軟骨と受容者(host)軟骨境界部と軟骨と骨との境界を見れば、対照群に比べて軟骨と軟骨、軟骨と骨との併合(integration)に優れていることを確認し、移植8週後には、軟骨と軟骨、軟骨と骨との併合がほぼ完全になされて、損傷部位がほとんど確認されない程度に正常組織と同様に軟骨が回復されることを確認した。
【0053】
実施例6:角膜上皮細胞への分化の確認
【0054】
6-1.角膜上皮細胞分化
【0055】
胎児軟骨幹細胞(3X10細胞/cm)は、2% KnockOutTM Serum Replacement(KnockOutTM SR、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)、10ng/ml角質細胞成長因子(KGF、Wako Pure Chemical、Japan)、10ng/ml肝細胞成長因子(HGF、Wako Pure Chemical、Japan)、20ng/ml上皮成長因子(EGF、Wako Pure Chemical、Japan)、0.5μg/mlヒドロコルチゾン(Sigma-Aldrich、St.Louis、USA)、5μMレチノイン酸(Sigma-Aldrich、St.Louis、USA)が含まれた低グルコースDMEM培地(HyClone、Logan、UT、USA)を用いて37℃、5% CO培養器で培養し、培地は、2日ごとに取り替えた。
【0056】
6-2.免疫細胞化学
【0057】
細胞は、4%パラホルムアルデヒドで20分間固定させ、0.1% Triton X-100と15分、5% BSAと1時間培養した。以後、細胞を1次抗体[anti-PAX6、anti-BCRP/ABCG2、anti-p63、anti-CK3/12(1:200希釈、Abcam、Cambridge、UK)]と共に常温で2時間反応させた後、PBSで洗浄し、2次抗体[goat anti-mouse IgG H&L及びgoat anti-rabbit IgG H&L(1:1000希釈、Alexa Fluor 488、Abcam、Cambridge、UK)]と常温で1時間反応させた。以後、細胞を4,6-diamidino-2-phenylindole(DAPI)で染色して核を視覚化し、蛍光顕微鏡(Mi8、Leica Microsystems、Wetzlar、Germany)を用いて細胞を観察した。
【0058】
6-3.FACS
【0059】
細胞(継代5)は、角膜上皮幹細胞マーカーと角膜上皮分化マーカーとを用いて分析した。細胞を1次抗体[anti-CD34-FITC(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)、anti-CD105(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)、anti-PAX6、anti-BCRP/ABCG2、anti-p63、anti-CK3/12(1:500希釈、Abcam、Cambridge、UK)]と共に常温で1時間反応させた後、PBSで洗浄し、2次抗体[goat anti-mouse IgG H&L及びgoat anti-rabbit IgG H&L(1:1000希釈、Alexa Fluor 488、Abcam、Cambridge、UK)]と常温で1時間反応させた。染色された細胞は、流細胞分析法(Becton Dickinson FACSavantage)で分析した。
【0060】
6-4.ウェスタンブロット
【0061】
細胞を収集した後、プロテアーゼ抑制剤(Rockland Immunochemicals、Pennsylvania、USA)が添加されたRIPA緩衝液を用いて4℃で30分間反応させて細胞を溶解した。細胞溶解物を4℃、12,000gで15分間遠心分離した後、タンパク質を定量した。20μgのタンパク質を用いてSDS-PAGEを行い、PVDF膜に移動させた。以後、前記PVDF膜を1次抗体[actin(1:1000)(GeneTex Inc.,California、USA)、anti-PAX6、anti-BCRP/ABCG2、anti-p63及びantiCK3(1:200、Abcam、Cambridge、UK)]と共に常温で2時間反応させ、非特異的結合を防止するために、スキムミルク(skim milk)でブロッキングした。以後、2次抗体[HRP-conjugated goat anti-rabbit IgG及びgoat anti-mouse IgG(1:1000、GeneTex Inc.,California、USA)]と共に1時間反応させた後、化学発光キット(ECLキット、Bio-Rad、Hercules、CA、USA)を使用してバンドを視覚化し、Chemiluminescenceシステム(Fusion SL2、VILBER LOURMAT、France)とImage J(NIH、USA)とを使用してイメージ分析を行った。
【0062】
6-5.組織学的及び免疫組織化学
【0063】
試料を4%ホルムアルデヒド(Duksan Chemical、Korea)で固定させた後、パラフィンワックス(Merck、Darmstadt、Germany)に包埋した。4mmの厚さのスライド切片を製作した後、ヘマトキシリン&エオシンで染色してin vivoで胎児軟骨幹細胞シートと細胞形態を確認した。
【0064】
CK3とHuman nucleusの免疫組織化学の分析のために、3%過酸化水素(徳山化学、大韓民国)が添加されたメタノールで10分間反応させた後、ペプシン溶液(Golden Bridge International,Inc.,Mukilteo、WA、USA)と10分間反応させた。1% BSAが添加されたPBSでブロッキング後、1次抗体[anti-CK3(1:100、Abcam、Cambridge、UK)、anti-human nucleus(1:100、Millipore、Massachusetts、USA)]と共に常温で1時間30分反応させた後、2次抗体(biotinylated-anti mouse IgG(SPlink HRP Detection Kit;Golden Bridge International,Inc.,Mukilteo、WA、USA)と30分反応させた後、HRP-conjugated streptavidin溶液と30分間反応させた。最後に、マウンティング(mounting)する前、3,3’-diaminobenzidine(DAB)溶液(Golden Bridge International,Inc.,Mukilteo、WA、USA)と反応させた後、Mayer’s hematoxylin(YD Diagnostics、Seoul、Korea)で対照染色した。
【0065】
その結果、図5のAのように、分化培地から培養された胎児軟骨幹細胞の形態学をSV40角膜上皮細胞と比較した。SV40角膜上皮細胞は、Cnt-Pr培地で培養した。その結果、2つの細胞間に形態学的差は観察されず、胎児軟骨幹細胞の形態学が角膜上皮細胞と類似したことを確認した。
【0066】
図5のBのように、角膜上皮幹細胞マーカー(ABCG2、p63)及び角膜上皮分化マーカー(PAX6、CK3/12)を用いて分化培地から培養された胎児軟骨幹細胞とSV40角膜上皮細胞とを比較した結果、SV40角膜上皮細胞でABCG2、p63、PAX6及びCK3/12が発現されることを確認し、一般培地から培養された胎児軟骨幹細胞では、PAX6及びCK3/12が発現されず、ABCG2及びp63が低く発現されたが、分化培地から培養された胎児軟骨幹細胞の場合、ABCG2、p63、PAX6及びCK3/12がいずれも高く発現されることを確認することにより、胎児軟骨幹細胞で角膜上皮幹細胞マーカー及び角膜上皮分化マーカーの発現が誘導されることを確認した。
【0067】
図5のC及び図5のDのように、幹細胞マーカー(CD34、CD105)、角膜上皮幹細胞マーカー(ABCG2、p63)及び角膜上皮分化マーカー(PAX6、CK3/12)を用いて分化培地から培養された胎児軟骨幹細胞とSV40角膜上皮細胞とを比較した結果、分化培地から培養された胎児軟骨幹細胞でSV40角膜上皮細胞と同様に角膜上皮幹細胞マーカー及び角膜上皮分化マーカーの発現が誘導されることを確認した。
【0068】
実施例7:化学熱傷を負った角膜上皮動物モデル
【0069】
7-1.胎児軟骨幹細胞シート(sheet)の製造
【0070】
胎児軟骨幹細胞は、トリプシン処理法(4~5継代)を通じて継代培養した。非付着性細胞は、2~3回新鮮な培地に交換して洗浄した。以後、胎児軟骨幹細胞(2X10細胞/cm)は、100U/mlペニシリンG及び100μg/mlストレプトマイシン(HyClone)、インスリン-トランスフェリン-セレン(ITS、Gibco BRL、NY、USA)、50μg/mlアスコルビン酸-2リン酸、100nMデキサメタゾン、40μg/mlプロリン、1.25mg/mlウシ血清アルブミン、100μg/mlピルビン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich,St.Louis、USA)が含まれた高グルコースDMEM培地を含むシート-培地で培養し、胎児軟骨幹細胞が培養皿から落ちるまで37℃、5% CO培養器で3~4日間培養した。
【0071】
7-2.化学熱傷を負った角膜上皮動物モデル
【0072】
動物実験は、大韓民国亜洲大学動物実験倫理委員会の承認を受けた後、実験を行った。角膜輪部幹細胞欠乏症(limbal stem cell deficiency;LSCD)を各ウサギ(18匹)の右側目に誘発させた。ケタミンとゾレチル混合物とをウサギ筋肉内注射して麻酔させた後、直径8mmの濾過紙を1M NaOHで飽和させ、30秒間角膜輪部に置き、食塩水で1分間洗浄し、それを3回繰り返した。胎児軟骨幹細胞シート及びPKH26で標識された胎児軟骨幹細胞シートをピンセットで角膜に位置させ、上部、下部、左側及び右側で6-0黒いシルク縫合糸で縫合した
【0073】
その結果、図6のBのように、右側目に化学熱傷を負わせたウサギ動物モデルで胎児軟骨幹細胞シートの効果を分析した結果、正常群では、0日と7日目に正常角膜上皮が観察され(A、D)、対照群では、0日及び7日目に損傷された角膜上皮が観察された(B、E)一方、胎児軟骨幹細胞シートを処理した場合、0日及び7日目に角膜上皮が観察されたので(C、F)、胎児軟骨幹細胞シートによって損傷された角膜上皮が治療されることを確認することができた。
【0074】
また、図6のCのように、移植後、7日目に胎児軟骨幹細胞のシート位置及び生存能力を分析した結果、損傷部位でPKH26で標識された胎児軟骨幹細胞シートが観察され(A)、損傷部位で胎児軟骨幹細胞シートが生存していることを確認した(B)。
【0075】
図6のDのように、移植7日目に角膜上皮分化マーカーであるCK3を用いて治癒能力を分析した結果、胎児軟骨幹細胞シートを処理した時、損傷部位に位置して、角膜損傷に対する治癒効果を示すことを確認した。
【0076】
実施例8:成長板組織への分化の確認
【0077】
図7のように、ウサギの成長板部分を2mmのパンチで2回斜めに穿孔した後、本発明のTAPを移植し、以後、移植部位を分離し、凍結切片機を用いて4μmの厚さに切片した後、スライドを製作した。陰性対照群は、成長板のみ損傷させ、陽性対照群としては、現在臨床で最も多く使われている硬膏剤(bone wax)を使用した。
【0078】
その結果、図8のように、8週後、本発明のTAPを移植した群で軟骨が形成されることを確認することができた。陽性対照群として使われた硬膏剤は、移植空間を満たす効果はあるが、移植材が骨組織で保持される限界があり、骨の角変形が起こったのに反して、本発明のTAPは、軟骨を形成させて肉眼で観察した時も移植した部位が見えないほど正常軟骨に再生されたことを確認した。
【0079】
また、サフラニンOとヘマトキシリン&エオシン染色を通じて損傷された移植部位に陰性対照群と陽性対照群では、骨組織が形成される一方、本発明のTAPを移植した群では、確実に軟骨組織が成長板位置に位置していることを確認することができた。
【0080】
また、図9のように、免疫染色を行った結果、TAPを移植した群で正常群と同様にコラーゲンと糖タンパクとを形成することを確認し、骨形成の段階であるコラーゲンXの場合、8週以後に形成されることを確認したので、骨化が遅く起こるか、防止されると期待される。
【0081】
実施例9:成長板内軟骨形成能の確認
【0082】
ウサギの成長板損傷モデルに本発明のTAPを移植し、成長板内軟骨で骨化能を確認した(Group 1:陰性対照群、Group 2:陽性対照群(硬膏剤)、Group 3:TAP処理群)(左側棒:平均長さ、右側棒:実施例の結果)。
【0083】
その結果、図10のように、陰性対照群のみで長さの成長に差が観察され、角変形が最も多く観察され、陽性対照群である硬膏剤を移植した群でも、角変形が観察された。
【0084】
また、図11のように、サフラニンOとヘマトキシリン&エオシン染色を通じて陰性対照群及び陽性対照群で損傷部位に骨組織が形成されたが、本発明のTAPの場合、軟骨組織で保持されていることを確認した。
【0085】
全体として4週の結果で陰性対照群及び陽性対照群とは異なって、TAPを移植した群のみで損傷された成長板部位に軟骨組織が満たされていることを確認した一方、成長される部位にhypertrophic markerが発現されることにより、長さの成長の可能性を確認することができた。
【0086】
また、図12のように、TAPを移植した群をHuNAで染色して移植された組織を確認し、PCNAで染色して増殖細胞を確認した。
【0087】
また、図13のように、移植後、4、14、21、28週にサフラニンOとuCTを行った結果、4、14、21、28週の結果でTAPを移植した群でも、ほとんど同じ傾向性を確認した。陰性対照群及び陽性対照群では、成長板損傷部位に軟骨組織が発見されず、u-CT結果で骨組織が形成されることを確認し、特に、陰性対照群の場合、あらゆる週で角変形が起こったことを確認した。
【0088】
また、図14のように、組織学的検査を通じて腰推椎間板の再生を比較した結果(腰推2~3番:正常対照群、腰推3~4番:TAP処理群、腰推4~5番:陰性対照群、腰推5~6番:TAP処理群)、腰推3~4番と5-6番との間の椎間板の線維輪の欠損が復元されることを確認した。
【0089】
実施例10:胎児軟骨由来幹細胞(Fetal cartilage-derived stem cells)シート(TAP-C)を活用した筋肉分化の効果の確認
【0090】
実験室内で胎児軟骨由来幹細胞シートを使用して筋肉再生に活用することができる人工筋肉組織を作るために、TAP-Cを用いて筋肉分化の効果を確認した。
【0091】
胎児軟骨由来幹細胞(FCSC)を6-ウェルプレートに分注し、細胞シートの密度及び厚さによる分化の差を確認するために、シートグループは、3×10/wellグループと2×10/wellグループとで構成した。培地は、10% FBSが添加されたHigh-glucose DMEM(Hyclone)を使用した。
【0092】
培養1日後、培地をMyoblast-分化誘導培地に取り替えた。培地は、DMEM/nutrient mixture F-12(Invitrogen)に1ng/ml transforming growth factor-β1(TGF-β1;R&D systems)、non-essential amino acids(NEAA;Invitrogen)、insulin-transferrin-selenium(ITS;Gibco)を添加して製造し、7日間培養して、FCSCを根源細胞(Myoblast)に分化させた。
【0093】
培養7日後、根源細胞への分化の確認のために、ウェスタンブロッティング(western blotting)及び免疫細胞化学(ICC)を行って、Myf5とMyoDとの発現レベルを確認した。
【0094】
その結果、図15ないし図17のように、筋肉分化初期に主要因子として作用するMyf5及びMyoDの発現が表れることによって、FCSCシートが根源細胞に分化されたことを確認することができた。
【0095】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な記述は、単に望ましい具現例に過ぎず、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。
【0096】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その均等概念から導出される、あらゆる変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれると解釈されねばならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図16
図17
【図
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【図
【国際調査報告】