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特表2022-528435フルクトース転移ステビオール配糖体を含む組成物
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  • 特表-フルクトース転移ステビオール配糖体を含む組成物 図1
  • 特表-フルクトース転移ステビオール配糖体を含む組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】フルクトース転移ステビオール配糖体を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220603BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20220603BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20220603BHJP
【FI】
A23L27/00 101A
A23L27/30
A23L27/00 E
A23L27/10 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559901
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2020004809
(87)【国際公開番号】W WO2020213891
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0046300
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514199250
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ウン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,テ ジョ
(72)【発明者】
【氏名】バーク,スンヒ
(72)【発明者】
【氏名】カン,イン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ボ
(72)【発明者】
【氏名】チュ,スン
【テーマコード(参考)】
4B047
【Fターム(参考)】
4B047LB03
4B047LB06
4B047LB08
4B047LG08
4B047LG23
4B047LG32
4B047LG57
4B047LP18
4B047LP20
(57)【要約】
本発明は、フルクトース転移ステビオール配糖体を含む甘味料組成物、及びステビオール配糖体をフルクトース転移ステビオール配糖体に変換するステップを含む、ステビオール配糖体の甘味改善方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビオール配糖体の19-OH位置に直接又はそれに結合されたグルコースを介してフルクトースが連結されたフルクトース転移ステビオール配糖体を含む甘味料組成物。
【請求項2】
前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体にフルクトースがβ-(2,6)結合により連結されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ステビオール配糖体は、ステビオシド(stevioside)又はレバウジオシドA(rebaudioside A)である、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項4】
前記フルクトース転移は、フルクトースが1~3個付加されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、前記ステビオール配糖体に比べて苦味が改善されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、前記ステビオール配糖体に比べて甘味が改善されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の組成物を含む食品組成物。
【請求項8】
ステビオール配糖体をフルクトース転移ステビオール配糖体に変換するステップを含む、ステビオール配糖体の甘味改善方法であって、
前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体の19-OH位置に直接又はそれに結合されたグルコースを介してフルクトースが連結されたものである方法。
【請求項9】
前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体にフルクトースがβ-(2,6)結合により連結されたものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステビオール配糖体は、ステビオシド(stevioside)又はレバウジオシドA(rebaudioside A)である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記フルクトース転移は、フルクトースが1~3個付加されたものである、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルクトース転移ステビオール配糖体を含む甘味料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖摂取による疾病(肥満)の恐れから1日当たりの糖摂取量を低減することを世界保健機関(WHO)が勧告しており、先進国を中心に政府主導の下で糖類摂取量を低減するための様々な政策が盛んに議論されている。また、市場においては様々な代替甘味料素材に対するニーズが増加しており、代替甘味料素材の開発、製品化が続けられている。代替甘味料は、合成高甘味料(Saccharin、Aspartame、Sucraloseなど)、合成糖アルコール類(Maltitol, Xylitol)、高甘味料(Rebaudioside A, Liquorice)と変化を続けている。しかし、持続的な合成甘味料の安定性についての懸念から天然甘味料に対する消費者のニーズが大きくなってきているものの、天然甘味料特有の異味・異臭を有する味質の限界により、従来の合成甘味料中心の低カロリー・ゼロカロリー製品を本格的に代替することができていない現状である。
【0003】
近年、多くの注目を集めている天然の高甘味料は、植物であるステビアレバウディアナベルトニー(Stevia rebaudiana Bertoni)の葉から抽出したステビア(Stevia)である。ステビアは、天然素材であり、砂糖の200~300倍の甘味度を有し、ステビオシド(Stevioside)、レバウジオシドA(Rebaudioside A)などからなる。前記ステビオシド及び前記レバウジオシドAは高い甘味度を示すが、苦味が非常に強いという欠点があるので、使用に制限がある。
【0004】
ステビオシド及びレバウジオシドAの甘味質改善方法としては、酵素を用いて糖転移させる方法が挙げられ、前記方法としては、CGTaseを用いてステビオール配糖体にグルコース(1~12個)を転移する方法が広く用いられている(特許文献1;韓国特許出願第10-1991-0020769号)。しかし、ステビオール配糖体に転移したグルコースが腸内微生物により全て分解され、カロリーを上昇させる結果をもたらすという欠点がある。よって、グルコースでない糖を転移した糖転移ステビオール配糖体の必要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-1993-0010188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした背景の下、本発明者らは、フルクトース転移ステビオール配糖体がステビオール配糖体に比べて苦味が改善され、甘味の嗜好性及び全般的な嗜好性に優れることを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フルクトース転移ステビオール配糖体(transfructosylated steviol glycoside)を含む甘味料組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記甘味料組成物を含む食品組成物を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、ステビオール配糖体をフルクトース転移ステビオール配糖体に変換するステップを含む、ステビオール配糖体の甘味改善方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の甘味料組成物は、フルクトース転移ステビオール配糖体を含むものであり、ステビオール配糖体に比べて苦味が改善され、甘味の嗜好性及び全般的な嗜好性に優れるので、高甘味料として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】フルクトース転移レバウジオシドA(RA-Fru)及びレバウジオシドA(RA)の記述型官能評価結果を示す図である。
図2】フルクトース転移ステビオシド(STV-Fru)及びステビオシド(STV)の記述型官能評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、これらを具体的に説明する。なお、本発明で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本発明で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。また、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。なお、本明細書において定義された用語は、本発明の他の態様にも同様に適用される。
【0013】
前記目的を達成するための本発明の一態様は、フルクトース転移ステビオール配糖体、又はフルクトース転移ステビオール配糖体を含む甘味料組成物を提供する。前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、前記方法により製造されたものであってもよい。
【0014】
本発明における「ステビオール配糖体(steviol glycoside)」とは、天然甘味料の一つであり、化学式1で表されるものである。
【0015】
【化1】
【0016】
化学式1において、R1には水素(H)が結合されるか、グルコース(Glucose)がβ結合により1個~3個結合され、R2にはグルコース(Glucose)、キシロース(Xylose)又はラムノース(Rhamnose)がβ結合により1個結合され、そこにグルコース(Glucose)がβ結合により0個~2個結合されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0017】
前記ステビオール配糖体は、ステビオシド(stevioside)、ルブソシド、ズルコシド(dulcoside)A、レバウジオシド(rebaudioside)A、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF及びレバウジオシドMからなる群から選択される少なくとも1つであり、具体的にはステビオシド又はレバウジオシドAであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0018】
具体的には、前記ステビオール配糖体は、化学式2で表されるステビオシド、又は化学式3で表されるレバウジオシドAであってもよい。
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
本発明における「フルクトース転移ステビオール配糖体(transfructosylated steviol glycoside)」とは、前記ステビオール配糖体にフルクトース(fructose)が結合されたものを意味する。
【0022】
具体的には、前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体の19-OH位置に直接又はそれに結合されたグルコースを介してフルクトースが連結されたものであってもよい。
【0023】
具体的には、前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体にフルクトースがβ-(2,6)結合により連結されたものであってもよい。
【0024】
具体的には、前記フルクトース転移は、フルクトースが1~3個付加されたものであってもよい。
【0025】
具体的には、前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、フルクトース転移ステビオシド又はフルクトース転移レバウジオシドAであってもよい。よって、本発明の甘味料組成物は、フルクトース転移ステビオシド又はフルクトース転移レバウジオシドAを含むか、フルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAを含むものであってもよい。
【0026】
フルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAを含む甘味料組成物は、フルクトース転移レバウジオシドAをフルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAの総重量100重量部当たり40重量部以上含むものであってもよい。具体的には、前記組成物は、フルクトース転移レバウジオシドAを50重量部以上、より具体的には60重量部以上、さらに具体的には70重量部以上、一層具体的には75重量部以上含むものであってもよい。
【0027】
具体的には、前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、前記ステビオール配糖体に比べて苦味が改善されたものであってもよい。前記苦味の改善は、苦味の減少であってもよい。
【0028】
ここで、前記苦味の改善は、前記フルクトース転移ステビオール配糖体と前記ステビオール配糖体が同等の甘味度である場合に評価したものであってもよい。具体的には、前記甘味度は、砂糖の10ブリックス(brix)に相当する甘味度であってもよい。
【0029】
具体的には、前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、前記ステビオール配糖体に比べて甘味が改善されたものであってもよい。前記甘味の改善は、甘味の嗜好性及び全般的な嗜好性が向上したものであってもよい。
【0030】
ここで、前記甘味の改善は、前記フルクトース転移ステビオール配糖体と前記ステビオール配糖体が同等の甘味度である場合に評価したものであってもよい。具体的には、前記甘味度は、砂糖の10ブリックスに相当する甘味度であってもよい。
【0031】
具体的には、前記フルクトース転移ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体とフルクトース供与体をフルクトース転移酵素の存在下で反応させて生成したものであるが、本発明の目的上、前記フルクトース転移ステビオール配糖体が得られるものであれば前記反応に限定されるものではない。
【0032】
前記フルクトース転移酵素をコードする遺伝子の具体的な塩基配列及びタンパク質情報は、NCBIのGenBankなどの公知のデータベースから得られる。しかし、前述した公知の配列だけでなく、前記フルクトース転移酵素と同様にフルクトースを転移させる効果を有するものであれば、その由来や配列が限定されるものではなく、相同タンパク質や変異タンパク質も本発明のフルクトース転移酵素に含まれてもよい。
【0033】
ステビオール配糖体とフルクトース供与体を前記酵素の存在下で反応させるステップは、pH3~8、具体的にはpH4~7、より具体的にはpH5~6で行われるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、前記ステップは、10~60℃、具体的には20~50℃、より具体的には20~40℃で行われるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の甘味料組成物は、甘味料の製造や、食用製品の甘味のために用いられてもよい。また、本発明の甘味料組成物は、調理用途及び/又は加工食品の甘味剤として用いられてもよい。さらに、本発明の甘味料組成物は、食用製品以外に医薬製品の甘味剤としても用いられてもよいが、これに限定されるものではない。さらに、本発明の甘味料組成物は、香味剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤などをさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0036】
前記目的を達成するための本発明の他の態様は、前記甘味料組成物を含む食品組成物を提供する。
【0037】
本発明の食品組成物は、当該技術分野で通常用いられる方法により製造することができ、その製造時には当該技術分野で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、一般薬品とは異なり、食品を原料とするので、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという利点があり、携帯性に優れる。
【0038】
前記食品組成物は、総重量に対して0.001~25重量%、具体的には0.01~20重量%、より具体的には0.01~10重量%の前記甘味料組成物を含むものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0039】
前記目的を達成するための本発明のさらに他の態様は、ステビオール配糖体をフルクトース転移ステビオール配糖体に変換するステップを含む、ステビオール配糖体の甘味改善方法を提供する。
【0040】
前記「ステビオール配糖体」及び前記「フルクトース転移ステビオール配糖体」については前述した通りである。
【0041】
前記変換は、本発明の目的上、前記ステビオール配糖体から前記フルクトース転移ステビオール配糖体が得られるものであればいかなる方法であってもよい。
【0042】
具体的には、前記変換は、ステビオール配糖体とフルクトース供与体をフルクトース転移酵素の存在下で反応させるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記フルクトース供与体は、少なくとも1つのフルクトースがステビオール配糖体に転移するようにフルクトース転移酵素の存在下で反応し得る、フルクトースのオリゴマー、重合体及び環状形態のいずれか任意のものであり、具体的には砂糖であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0044】
前記フルクトース転移酵素をコードする遺伝子の具体的な塩基配列及びタンパク質情報は、NCBIのGenBankなど公知のデータベースから得られる。しかし、前述した公知の配列だけでなく、前記フルクトース転移酵素と同様にフルクトースを転移させる効果を有するものであれば、その由来や配列が限定されるものではなく、相同タンパク質や変異タンパク質も本発明のフルクトース転移酵素に含まれてもよい。
【0045】
ステビオール配糖体とフルクトース供与体を前記酵素の存在下で反応させるステップは、pH3~8、具体的にはpH4~7、より具体的にはpH5~6で行われるものであってもよい。
【0046】
また、前記ステップは、10~60℃、具体的には20~50℃、より具体的には20~40℃で行われるものであってもよい。
【0047】
本発明における「甘味の改善」とは、苦味又は異味/異臭が減少し、甘味の嗜好性又は全般的な嗜好性が改善されることを意味する。
【実施例
【0048】
以下、実施例を挙げて本出願をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示するものにすぎず、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
作製例1:フルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAの作製
5%ステビオシド(Carbosynth)又は5%レバウジオシドA(Purecircle)と20%白砂糖(CJ第一製糖)を50mM酢酸ナトリウム緩衝液(Sodium acetate buffer)に溶解し、その後アルスロバクター・グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)由来フルクトース転移酵素を添加して40℃で24時間反応させた。その後、吸着樹脂(HP-20)に吸着させて20%エタノールにより脱離させた。その後、脱離液を減圧濃縮し、乾燥させて試料を作製した。
【0050】
前記フルクトース転移酵素は、砂糖からフルクトースを転移させるものであり、ここで、転移した産物は、ステビオシド又はレバウジオシドAの19-OH位置に直接又はそれに結合されたグルコースを介してフルクトースがβ-(2,6)結合により1~3個転移したものである。
【0051】
作製したフルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAの構造を分析するために、1H/13C NMR、Homonuclear correlation spectroscopy(COSY)、Total correlation spectroscopy(TOCSY)、Heteronuclear single-quantum coherence(HSQC)、及びheteronuclear multiple-bond correlation(HMBC)により確認した。その結果(1H/13C NMR、COSY及びHMBC)を表1及び表2に示す。
【0052】
また、フルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAの構造を確認した結果、フルクトース転移ステビオシドは13-[(2-O-β-D-Glucopyranosyl-α-D-glucopyranosyl)oxy]kaur-16-en-18-oic acid 6-O-β-D-fructofuranose-β-D-glucopyranosyl esterであり、フルクトース転移レバウジオシドAは13-[(2-O-β-D-glucopyranosyl-3-O-β-D-glucopyranosyl-β-D-glucopyranosyl)oxy]ent-kaur-16-en-19-oic acid 6-O-β-D-fructofuranose-β-D-glucopyranosyl esterであることが確認された。
【0053】
フルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAは、それぞれ化学式4及び化学式5で表される。
【0054】
【化4】
【0055】
【化5】
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
実施例1
記述型官能評価
作製例1で作製したフルクトース転移ステビオシド(STV-Fru)及びフルクトース転移レバウジオシドA(RA-Fru)をそれぞれステビオシド(STV)、レバウジオシドA(RA)と同等の甘味度(砂糖10brix相当)に希釈し、その後専門家(n=15)に提供して記述型官能評価を行った。
【0059】
フルクトース転移レバウジオシドA(RA-Fru)とレバウジオシドA(RA)を比較した結果を表3及び図1に示す。
【0060】
フルクトース転移ステビオシド(STV-Fru)とステビオシド(STV)を比較した結果を表4及び図2に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
表3及び表4から、フルクトース転移レバウジオシドA(RA-Fru)及びフルクトース転移ステビオシド(STV-Fru)は、それぞれレバウジオシドA(RA)及びステビオシド(STV)に比べて、苦味強度及び異味/異臭強度が有意に低く、甘味の嗜好性及び全般的な嗜好性が有意に高いことが分かる。
【0064】
実施例2
嗜好性の官能評価
評価に先立ち、実施例1の4種の試料(STV,STV-Fru,RA,RA-Fru)を砂糖10%(w/w)又は10ブリックス相当の同等な甘味度に希釈して作製し、それらの官能評価を行った。
【0065】
15人を対象に、試料4種の甘味の嗜好性と全般的な嗜好性について9点尺度法で評価を行った(1=非常に好まない,5=どちらとも言えない,9=非常に好む)。
【0066】
その後、5点尺度に換算し、ペアT検定により有意差を検証することにより統計分析を行った(信頼水準95%)。
【0067】
(1)STVとSTV-Fruの比較
【0068】
【表5】
【0069】
表5から、フルクトース転移ステビオシド(STV-Fru)は、ステビオシド(STV)に比べて、甘味の嗜好性及び全般的な嗜好性に優れることが分かる。
【0070】
(2)RAとRA-Fruの比較
【0071】
【表6】
【0072】
表6から、フルクトース転移レバウジオシドA(RA-Fru)は、レバウジオシドA(RA)に比べて、甘味の嗜好性及び全般的な嗜好性に優れることが分かる。
【0073】
作製例2.フルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAを含む混合組成物の作製
5%ステビオシド(Carbosynth)及び5%レバウジオシドA(Purecircle)の混合物(ここで、前記混合物におけるレバウジオシドAの比率はそれぞれ40、60、80重量%である)と20%白砂糖(CJ第一製糖)を50mM酢酸ナトリウム緩衝液に溶解し、その後作製例1と同様に、原料におけるステビオシド及びレバウジオシドAの比率をそのまま維持するフルクトース転移ステビオシド及びフルクトース転移レバウジオシドAの混合組成物を作製した。
【0074】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
【国際調査報告】