(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】マイクロ固体レーザレーダ及びそのデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220603BHJP
G01S 17/06 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01S17/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560169
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2020074802
(87)【国際公開番号】W WO2020192283
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】201910241228.2
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438755
【氏名又は名称】上海小瞳智能科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 強
(72)【発明者】
【氏名】張 建飛
(72)【発明者】
【氏名】王 歓
【テーマコード(参考)】
2F065
5J084
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065DD02
2F065DD11
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF09
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2F065HH05
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL10
2F065LL22
2F065QQ13
2F065QQ31
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA13
5J084AD07
5J084BA04
5J084BA16
5J084BA34
5J084BB02
5J084BB20
5J084CA65
5J084CA67
(57)【要約】
本発明は、マイクロ固体レーザレーダ及びそのデータ処理方法に関する。マイクロ固体レーザレーダは、レーザ発射器と、結像レンズと、結像センサと、制御及びデータ処理装置とを含む。レーザ発射器は、線状レーザを発射するために用いられ、結像レンズは、反射してきたレーザ光線を収集して結像センサ上に結像するために用いられ、結像センサは、結像レンズでフォーカスされた光線を受けて結像し、制御及びデータ処理装置は、レーザ発射器の動作を制御し、結像センサの結像データを受信し、構造化光アルゴリズムを実行し、最終的に空間環境における点群データを得るために用いられる。本発明では、線状レーザにより三角測量を行い、データ処理方法は短パルスレーザの動作方式を採用することにより、低い平均電力および人間の目の安全性を前提として作動距離を長くし、点状レーザと機械的走査による走査装置のコストの増加を回避できるとともに、システムの安定性を高め、寿命を延ばし、システムの小型化を図ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発射器と、結像レンズと、結像センサと、制御及びデータ処理装置とを含むマイクロ固体レーザレーダであって、
前記レーザ発射器は、線状レーザを発射するために用いられ、
前記結像レンズは、反射してきたレーザ光線を収集して結像センサ上に結像するために用いられ、
前記結像レンズは、非対称的にフォーカスする特性を有する非対称光学レンズであり、
前記非対称的にフォーカスする特性は、具体的には、前記レーザ発射器と結像レンズとの接続線の方向における結像レンズの等価焦点距離が、レーザ発射器と結像レンズとの接続線に垂直な方向における結像レンズの等価焦点距離よりも大きいことを指し、
前記結像センサは、結像レンズでフォーカスされた光線を受けて結像し、
前記制御及びデータ処理装置は、レーザ発射器の動作を制御し、結像センサの結像データを受信し、構造化光アルゴリズムを実行し、最終的に空間環境における点群データを得るために用いられ、
前記レーザ発射器から出射した光線が物体の表面に照射した後、物体の表面で反射され、結像レンズによって受信され、最終的に結像レンズに結像し、
前記レーザ発射器及び結像センサはいずれも前記制御及びデータ処理装置に電気的に接続されることを特徴とする、マイクロ固体レーザレーダ。
【請求項2】
前記結像センサの前端には、狭帯域バンドパスフィルタレンズが設けられ、
前記狭帯域バンドパスフィルタレンズの中心波長は、レーザ発射器が発射するレーザの波長と同じであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ固体レーザレーダ。
【請求項3】
前記レーザ発射器は、レーザ駆動回路と、レーザダイオードと、レーザ投影レンズとを含むことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ固体レーザレーダ。
【請求項4】
前記制御及びデータ処理装置は、前記レーザ発射器及び前記結像センサに電気的に接続され、
前記制御及びデータ処理装置は、タイミング制御インターフェース、データ通信インターフェース及び中央処理装置から構成され、
前記タイミング制御インターフェースは、前記レーザ発射器及び前記結像センサに電気的に接続され、前記データ通信インターフェースは、前記結像センサに電気的に接続されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロ固体レーザレーダ。
【請求項5】
前記制御及びデータ処理装置は、4つのレーザ発射器及び4つの結像センサに同時に接続され、
前記データ通信インターフェースと前記結像センサとは、電子スイッチを介して接続され、
前記結像レンズは、前記結像センサの前面に設けられ、光線を結像センサにフォーカスさせ、
前記結像レンズの可視域の水平角度は90度以上であり、
前記レーザ発射器が発射するレーザ光線の拡散角度は90度以上であり、
前記結像レンズの可視域と前記レーザ発射器が発射するレーザ光線の領域とは重なり合うことを特徴とする、請求項4に記載のマイクロ固体レーザレーダ。
【請求項6】
マイクロ固体レーザレーダのデータ処理方法であって、
前記マイクロ固体レーザレーダは、レーザ発射器と、結像レンズと、結像センサと、制御及びデータ処理装置とを含み、前記制御及びデータ処理装置は、タイミング制御インターフェース、データ通信インターフェース、及び中央処理装置から構成され、
前記処理方法は、
前記レーザ発射器が前記タイミング制御インターフェースによって制御されて線状レーザを選択的に発射するステップ1と、
前記結像レンズが反射してきたレーザ光線を収集して結像センサに結像するステップ2と、
前記結像センサが前記タイミング制御インターフェースによって制御されて露光し始め、前記結像レンズでフォーカスされた光線を受け、前記データ通信インターフェースを介して前記中央処理装置に結像データを送信するステップ3と、
前記中央処理装置が結像データを受信し、構造化光アルゴリズムを実行し、最終的に空間環境における点群データを得るステップ4と、
を含むことを特徴とする、マイクロ固体レーザレーダのデータ処理方法。
【請求項7】
ステップ3において、前記中央処理装置は、前記タイミング制御インターフェースを介して前記結像センサの露光を周期的に制御しながら、レーザ発射器の動作を交互に制御し、具体的には、
第1時間周期において、タイミング制御回路は前記レーザ発射器がレーザを発射するように前記レーザ発射器を制御し、同時に前記結像センサは露光し始め、T
on時間間隔を経た後、前記レーザ発射器はオフにされ、前記結像センサは露光を停止させ、
第2時間周期において、中央処理装置はタイミング制御インターフェースにより前記レーザ発射器がレーザを発射しないように前記レーザ発射器を制御し、前記結像センサは露光し始め、T
on時間間隔を経た後、前記結像センサは露光を停止させ、
前記1つ目及び第2時間周期は交互に繰り返されることを特徴とする、請求項6に記載のマイクロ固体レーザレーダのデータ処理方法。
【請求項8】
前記タイミング制御インターフェースは、前記レーザ発射器及び前記結像センサの時分割動作を制御し、最終的な複数のグループの点群データの結果を組み合わせ、組み合わせた広い角度範囲の点群データを得ることを特徴とする、請求項6に記載のマイクロ固体レーザレーダのデータ処理方法。
【請求項9】
前記構造化光アルゴリズムには、レーザ光線抽出と、三角測量計算との2つの部分が含まれ、
前記レーザ光線抽出は、具体的に、背景モデリングによりレーザ光線を抽出することであり、
前記背景モデリングは、具体的に、前記結像センサの隣り合う両フレームの結像データを比較し、両フレーム間の採取した画素データの差が所定の閾値よりも高い場合、この画素がレーザ光線の候補領域に位置すると判断することであり、
前記三角測量計算は、具体的に、前記結像センサにおけるレーザ光線に属する各サブ画素点に対して、三角測量原理により空間における三次元座標を算出することであることを特徴とする、請求項6に記載のマイクロ固体レーザレーダのデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定装置分野に関し、具体的には、マイクロ固体レーザレーダ及びそのデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、従来技術には距離測定を行うための様々な方法があり、超音波距離測定とレーザ距離測定が現在主流である距離測定方法である。
【0003】
超音波測定は圧電または磁気ひずみ現象を利用して超音波を発生させて測定する。超音波測距システムは、超音波発生装置と超音波受信装置とを備える。超音波発生装置は超音波を発射し、超音波が伝播する過程で障害物や目標物にぶつかると反射して超音波受信機に受信され、超音波伝播速度と超音波伝播に必要な時間により距離を計算することができる。しかし、超音波は曲面や湾面によって乱反射を起こし、測定精度に影響を及ぼす。また、超音波距離測定器の干渉防止能力は低く、風などの自然要因の影響を受けやすい。
【0004】
レーザ距離測定は他の距離測定方式である。使用する物理情報によってレーザ距離測定は様々な方式に分けられる。いくつかのレーザ距離測定は反射波の位相変化を利用して間接的なレーザ往復時間を測定する。パルスを使用してレーザの往復時間を直接測定し、レーザの往復時間に基づいて距離情報を計算できる方法もある。レーザ三角測距では、レーザ、ターゲットポイント、レーザ受信装置が3つの点に配置され、レーザ機がレーザを発射し、目標点で反射され、最終的にレーザ受信機によって受信され、レーザ受信機がレーザを受信した後、レーザ三角測距原理に基づいて距離を計算する。
【0005】
従来技術の機械式走査レーザレーダは点レーザ三角距離測定をもとにレーザ回転走査転置を増設して周囲環境に対する360度の走査と距離測定を完成する。しかし、機械式走査型レーザレーダは、モーターの回転によって点レーザ距離測定モジュールが円運動を維持する必要があるため、寿命が短く、体積が大きく、価格が高い。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術の欠陥に対して周囲環境の測定を行うマイクロ固体レーザレーダを提供することを目的とする。
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は以下の通り実現される。
【0008】
レーザ発射器と、結像レンズと、結像センサと、制御及びデータ処理装置とを含むマイクロ固体レーザレーダであって、
前記レーザ発射器は、線状レーザを発射するために用いられ、
前記結像レンズは、反射してきたレーザ光線を収集して結像センサ上に結像するために用いられ、
前記結像レンズは、非対称的にフォーカスする特性を有する非対称光学レンズであり、
前記非対称的にフォーカスする特性は、具体的には、前記レーザ発射器と結像レンズとの接続線の方向における結像レンズの等価焦点距離が、レーザ発射器と結像レンズとの接続線に垂直な方向における結像レンズの等価焦点距離よりも大きいことを指し、
前記結像センサは、結像レンズでフォーカスされた光線を受けて結像し、
前記制御及びデータ処理装置は、レーザ発射器の動作を制御し、結像センサの結像データを受信し、構造化光アルゴリズムを実行し、最終的に空間環境における点群データを得るために用いられ、
前記レーザ発射器から出射した光線が物体の表面に照射した後、物体の表面で反射され、結像レンズによって受信され、最終的に結像レンズに結像し、
前記レーザ発射器及び結像センサはいずれも前記制御及びデータ処理装置に電気的に接続されるマイクロ固体レーザレーダ。
【0009】
さらに、前記結像センサの前端には、狭帯域バンドパスフィルタレンズが設けられ、
前記狭帯域バンドパスフィルタレンズの中心波長は、レーザ発射器が発射するレーザの波長と同じである。
【0010】
さらに、前記レーザ発射器は、レーザ駆動回路と、レーザダイオードと、レーザ投影レンズとを含む。
【0011】
さらに、前記制御及びデータ処理装置は、前記レーザ発射器及び前記結像センサに電気的に接続され、
前記制御及びデータ処理装置は、タイミング制御インターフェース、データ通信インターフェース及び中央処理装置から構成され、
前記タイミング制御インターフェースは、前記レーザ発射器及び前記結像センサに電気的に接続され、前記データ通信インターフェースは、前記結像センサに電気的に接続される。
【0012】
さらに、前記制御及びデータ処理装置は、4つのレーザ発射器及び4つの結像センサに同時に接続され、
前記データ通信インターフェースと前記結像センサとは、電子スイッチを介して接続され、
前記結像レンズは、前記結像センサの前面に設けられ、光線を結像センサにフォーカスさせ、
前記結像レンズの可視域の水平角度は90度以上であり、
前記レーザ発射器が発射するレーザ光線の拡散角度は90度以上であり、
前記結像レンズの可視域と前記レーザ発射器が発射するレーザ光線の領域とは重なり合う。
【0013】
マイクロ固体レーザレーダのデータ処理方法であって、
前記マイクロ固体レーザレーダは、レーザ発射器と、結像レンズと、結像センサと、制御及びデータ処理装置とを含み、前記制御及びデータ処理装置は、タイミング制御インターフェース、データ通信インターフェース、及び中央処理装置から構成され、
前記処理方法は、
前記レーザ発射器が前記タイミング制御インターフェースによって制御されて線状レーザを選択的に発射するステップ1と、
前記結像レンズが反射してきたレーザ光線を収集して結像センサに結像するステップ2と、
前記結像センサが前記タイミング制御インターフェースによって制御されて露光し始め、前記結像レンズでフォーカスされた光線を受け、前記データ通信インターフェースを介して前記中央処理装置に結像データを送信するステップ3と、
前記中央処理装置が結像データを受信し、構造化光アルゴリズムを実行し、最終的に空間環境における点群データを得るステップ4と、
マイクロ固体レーザレーダのデータ処理方法。
【0014】
さらに、ステップ3において、前記中央処理装置は、前記タイミング制御インターフェースを介して前記結像センサの露光を周期的に制御しながら、レーザ発射器の動作を交互に制御し、具体的には、
第1時間周期において、タイミング制御回路は前記レーザ発射器がレーザを発射するように前記レーザ発射器を制御し、同時に前記結像センサは露光し始め、Ton時間間隔を経た後、前記レーザ発射器はオフにされ、前記結像センサは露光を停止させ、
第2時間周期において、中央処理装置はタイミング制御インターフェースにより前記レーザ発射器がレーザを発射しないように前記レーザ発射器を制御し、前記結像センサは露光し始め、Ton時間間隔を経た後、前記結像センサは露光を停止させ、
前記1つ目及び第2時間周期は交互に繰り返される。
【0015】
さらに、前記タイミング制御インターフェースは、前記レーザ発射器及び前記結像センサの時分割動作を制御し、最終的な複数のグループの点群データの結果を組み合わせ、組み合わせた広い角度範囲の点群データを得る。
【0016】
さらに、前記構造化光アルゴリズムには、レーザ光線抽出と、三角測量計算との2つの部分が含まれ、
前記レーザ光線抽出は、具体的に、背景モデリングによりレーザ光線を抽出することであり、
前記背景モデリングは、具体的に、前記結像センサの隣り合う両フレームの結像データを比較し、両フレーム間の採取した画素データの差が所定の閾値よりも高い場合、この画素がレーザ光線の候補領域に位置すると判断することであり、
前記三角測量計算は、具体的に、前記結像センサにおけるレーザ光線に属する各サブ画素点に対して、三角測量原理により空間における三次元座標を算出することである。
【0017】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
1、本発明では、線状レーザにより三角測量を行い、レーザ発射器、結像レンズ、結像センサ、制御及びデータ処理装置を集積する構造設計により、電子交換技術と組み合わせ、固体状態で周囲環境を測距モデリングすることによって、点状レーザと機械的走査による走査装置のコストの増加を回避することができ、システムの安定性を高め、寿命を延ばし、システムの小型化を図ることができる。
2、本発明では、非対称光学レンズを結像レンズとして用いることにより、レーザ発射器と結像レンズ及び結像チップの基線距離が大幅に減少され、本システムは小型化される。
3、本発明のデータ処理方法は、短パルスレーザの動作方式を採用することにより、低い平均電力および人間の目の安全性を前提として十分に高いピーク電力を提供でき、線状レーザによるエネルギ減衰の問題を解決し、作動距離を長くすることができる。
4、本発明のデータ処理方法は、狭帯域フィルタ及び背景モデリングに基づく方法を採用することにより、レーザ光線を効果的に抽出するとともに、騒音の干渉を抑制できるため、本システムは日光下で動作することができる。
【0018】
上記の説明は本発明の技術的手段の概要である。本発明の技術的手段をより明確に理解し、本明細書の内容に従って実施することができ、本発明の上記および他の目的、特徴、利点をより明確に理解しやすくするために、以下、好ましい実施例を挙げ、図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例または従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下では、実施例または従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明の図面は、本発明のいくつかの実施例である。当業者にとって、創造的な労力なしにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0020】
【
図3】レーザビームと結像レンズ及び結像センサとの位置関係を示す図である。
【
図4】本発明の測定目標点と装置との間の距離の原理図である。
【
図5】タイミング制御インターフェースがレーザ発射器及び結像センサを制御するタイミング図である。
【
図6】本発明の固体レーザレーダのデータ処理方法のフローチャートである。
【
図7】本発明のレーザ光線抽出及び構造化光アルゴリズムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術的手段、特徴、目的及び効果をより明確にするために、以下、図面及び好適実施例により、本発明のマイクロ固体レーザレーダの具体的な実施形態、構造、特徴、データ処理方法及びその効果について詳しく説明する。
【0022】
図1に示すように、マイクロ固体レーザレーダは、レーザ発射器1と、結像レンズ2と、結像センサ3と、制御及びデータ処理装置4とを含む。レーザ発射器1は、線状レーザを発射するために用いられる。結像レンズ2は、反射してきたレーザ光線を収集して結像センサ上に結像するために用いられる。結像センサ3は、結像レンズでフォーカスされた光線を受けて結像する。制御及びデータ処理装置4は、レーザ発射器の動作を制御し、結像センサ3の結像データを受信し、構造化光アルゴリズムを実行し、最終的に空間環境における点群データを得るために用いられる。
【0023】
1つのレーザ発射器1、1つの結像レンズ2及び1つの結像センサ3によって、1セットの線状レーザ距離測定システム5が構成される。4セットの線状レーザ距離測定システム5は、空間において回りを取り囲み、それぞれ制御及びデータ処理装置4に電気的に接続されることで大角度の動作範囲の固体レーザレーダを構成する。結像センサ3の前端には、狭帯域バンドパスフィルタレンズが設けられる。この狭帯域バンドパスフィルタレンズの中心波長はレーザ発射器が発射するレーザの波長と同じである。
【0024】
図2に示すように、結像レンズ2は、水平方向における等価焦点距離が短く、垂直方向における等価焦点距離が長い。可視域7は非対称構造である。非対称結像レンズを使用することにより、レーザ発射器と結像レンズ及び結像チップの基線距離が大幅に減少され、本システムは小型化される。
【0025】
図3に示すように、固体レーザレーダ8における制御及びデータ処理装置4は、レーザ発射器1が線状レーザ9を射出するように制御する。線状レーザ9は、空間伝播の過程で測定対象物10に当たって反射し、結像レンズ2によって収束され、結像センサ3上に結像する(仮想の結像平面位置)。制御及びデータ処理装置4は、結像データを分析処理し、最終的なレーザ距離測定点群データを得る。
【0026】
図4に示すように、本発明において、三角測量の原理は以下の通りである。レーザビームとカメラ光軸との夾角をθ、交点をOとする。前記レーザビームは障害物に投影されて点Pが形成される。P’はP点の鏡像である。O点から光学平面までの垂直距離をh、P点からO点までの垂直距離をΔhとする。vは点P’から結像平面u軸までの距離であり、zは点Pから光学平面までの垂直距離である。カメラの焦点距離をfとする。以下の式を満たす。
【数1】
【0027】
以下、上記実施例に係るマイクロ固体レーザレーダの応用及びデータ処理の実例を示す。
ステップ1:レーザ発射器は、タイミング制御インターフェースによって制御されて線状レーザを発射する。
ステップ2:結像レンズは反射してきたレーザ光線を収集して結像センサに結像する。
ステップ3:結像センサが前記タイミング制御インターフェースによって制御されて露光し始め、結像レンズでフォーカスされた光線を受け、データ通信インターフェースを介して中央処理装置に結像データを送信する。具体的には、第1時間周期において、タイミング制御回路は前記レーザ発射器がレーザを発射するように前記レーザ発射器を制御し、同時に前記結像センサは露光し始め、1msの時間間隔を経た後、前記レーザ発射器はオフにされ、前記結像センサは露光を停止させる。第2時間周期において、タイミング制御回路により前記レーザ発射器がレーザを発射しないように前記レーザ発射器を制御し、前記結像センサは露光し始め、1msの時間間隔を経た後、前記結像センサは露光を停止させ、その後、前記1つ目及び第2時間周期を交互に繰り返す。結像センサの露光時間は、100us~10msであり、第1及び第2時間周期における結像センサの露光時間は同じである。
ステップ4:中中央処理装置は結像データを受信し、レーザ光線抽出と三角測量計算を含む構造化光アルゴリズムを実行する。前記レーザ光線抽出は、具体的に、背景モデリングによりレーザ光線を抽出することであり、即ち、前記結像センサの隣り合う両フレームの結像データを比較し、両フレーム間の採取した画素データの差が所定の閾値よりも高い場合、この画素がレーザ光線の候補領域に位置すると判断することである。
【0028】
前記三角測量計算は、具体的に、前記結像センサにおけるレーザ光線に属する各サブ画素点に対して、三角測量原理により空間における三次元座標を算出し、最終的な複数群の点群データの結果を組みわせて、広い角度範囲の点群データを取得し、最終的に空間環境における点群データを取得する。
【0029】
図7に示すように、第1時間周期結像画像11と第2時間周期結像画像12とを比較し、利用背景差分法によりレーザ光線領域13を抽出することができる。レーザ光線領域13に対してサブ画素分析処理を行うことにより、抽出後のレーザ光線14を取得する。抽出後のレーザ光線14における各画素点に対して構造化光アルゴリズムの運算を実行し、点群データ15を得る。
【0030】
以上の各実施例は、本発明の技術的手段を説明するものに過ぎず、制限するものではない。上述した各実施例により本発明を詳しく説明したが、当業者は、上述した各実施例に記載の技術的手段を修正し、又はその中の一部又は全部の技術的特徴を同等置換することができる。これらの修正及び置換は、いずれも本発明の各実施例の技術的手段の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1:レーザ発射器
2:結像レンズ
3:結像センサ
4:制御及びデータ処理装置
5:線状レーザ距離測定システム
6:線状レーザ距離測定システムの動作角度
7:非対称可視域
8:固体レーザレーダ
9:線状レーザ平面
10:障害物
11:第1時間周期結像画像
12:第2時間周期結像画像
13:レーザ光線領域
14:抽出後のレーザ光線
15:点群データ
【国際調査報告】