(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】発酵飲料及び発酵飲料を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C12H 3/00 20190101AFI20220603BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20220603BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20220603BHJP
C12C 5/02 20060101ALI20220603BHJP
C12C 11/00 20060101ALI20220603BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
C12H3/00
C12G3/06
A23L2/56
C12C5/02
C12C11/00 A
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560208
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 NL2020050234
(87)【国際公開番号】W WO2020204722
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591211799
【氏名又は名称】ハイネケン サプライ チェーン ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Heineken Supply Chain B.V.
【住所又は居所原語表記】Tweede Weteringplantsoen21 1017 ZD Amsterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サビーヌ・シャルレット・ジャクリーヌ・テシオ
【テーマコード(参考)】
4B115
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
4B115MA03
4B117LC03
4B117LK07
4B117LK27
4B117LL01
4B117LP02
4B117LP05
4B117LP10
4B128CP16
4B128CP39
(57)【要約】
本発明は、発酵飲料、並びにエタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造する方法であって、エタノール含有発酵ベース飲料を用意する工程と、脱アルコール工程によって発酵ベース飲料のエタノール含有量を低減させる工程と、続いて、エタノール含有量を低減させた発酵ベース飲料にフレーバーを添加して、発酵飲料を製造する工程とを含み、添加フレーバーが、少なくともある量の4-ビニルグアイアコール(4VG)を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造する方法であって、エタノール含有発酵ベース飲料を用意する工程と、脱アルコール工程によって前記発酵ベース飲料のエタノール含有量を低減させる工程と、続いて、エタノール含有量を低減させた前記発酵ベース飲料にフレーバーを添加して、前記発酵飲料を製造する工程とを含み、前記添加フレーバーが、少なくともある量の4-ビニルグアイアコール(4VG)を含む、方法。
【請求項2】
4VGが、0.2~2.0ppm、好ましくは0.5~1.0ppmの量で添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
4VG添加後の前記製造された発酵飲料中の4VGの総量が、0.3~2.0ppm、好ましくは0.5~1.0ppmである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記添加フレーバーが、ある量の酢酸イソアミルを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
酢酸イソアミルが、2.0~14.0ppmの量で添加される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記添加フレーバーが、ある量の酢酸エチルを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
酢酸エチルが、40.0~80.0ppmの量で添加される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記添加フレーバーが、ある量のバニリンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に請求項1から8のいずれか一項に記載の方法における、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造する際に使用する濃縮フレーバー組成物であって、4VGと、酢酸イソアミル及び酢酸エチルのうちの一方又は両方とを含み、任意選択でバニリンを更に含む、濃縮フレーバー組成物。
【請求項10】
エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造するための、請求項9に記載の濃縮フレーバー組成物の使用。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料。
【請求項12】
0.3~2.0ppm、好ましくは0.5~1.0ppmの量の4VG;及び
2.0~14.0ppmの量の酢酸イソアミル;及び
任意選択で、以下のうちの1種又は複数種:
40.0~80.0ppmの量の酢酸エチル
バニリン
を含む、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料。
【請求項13】
上面発酵のビール又はビール様飲料である、請求項11又は請求項12に記載の発酵飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、望ましいフレーバーを有するゼロ又は低アルコール飲料、特にビール又はビール様飲料の製造に関する。より詳細には、本発明は、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%であり、十分に認識できる「スパイシー」及び/又は「フルーティー」なフレーバーノートを有する発酵飲料を製造する方法を提供する。本発明は更に、オフフレーバー(嫌な匂い)ノートが低減及び/又は最小化された特別なフレーバープロファイルを有し、それによって、飲料がより飲みやすく且つ楽しめるようになる、ノンアルコール又は低アルコールの発酵飲料、特にビール又はビール様飲料に関する。本発明はまた、発酵飲料を製造する際に使用する濃縮フレーバー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール含有量が低い又はゼロの発酵飲料は、一般に、発酵中のアルコール形成を制限する方法によって、即ち、適合した発酵(「制限付きアルコール発酵」)によって、又は発酵後に得られたアルコール含有ベース飲料の脱アルコールによって製造される。
【0003】
低温接触発酵(cold contact fermentation)などの制限付きアルコール発酵は、ベース飲料を、ゼロ又は低アルコール(エタノール)飲料をもたらすエタノールの形成がほとんど又は全くない条件下で発酵させる方法である。制限付き発酵の欠点は、エタノールの形成が制限されるだけでなく、望ましくない又はオフフレーバーノートに関連することが知られているベース飲料中の化合物を消費(変換)する酵母の能力も制限されることである。例えば、制限付き発酵で製造された低又はゼロアルコール飲料、例えば、低温接触発酵ビールは、望ましくないアルデヒドを大量に含み、飲用性が欠如している可能性がある。
【0004】
一方、脱アルコールは、通常の発酵ベース飲料で行われ、発酵中に形成されたエタノールを除去するように設計されている。脱アルコールは、例えば、通常のビールの精留、逆浸透、又は分離(dialysis)によって達成することができる(一般的な方法論については、Mangindaan等、Trends in Food Science and Technology 71 (2018)、36~45頁;又はBranyik等、J. Food Eng. 108 (2012)、493~506頁を参照されたい)。制限付きアルコール発酵とは対照的に、脱アルコールは、ベース飲料中の望ましくない化合物が酵母によって消費されて、製造された飲料がそのような望ましくない化合物の量をより少なく又は全く有さないようにすることができる、制限のない発酵を可能にする。しかし、飲料の脱アルコール後のフレーバーの喪失を防ぐのは困難である。その結果、脱アルコール飲料は、「風味のない」フレーバーを有する、即ち、消費したときの感覚的な匂い及び味が少ない可能性がある。これは、許容できる飲料を得るために、ベース飲料にフレーバー(味及び匂い)化合物を添加することによって整えることができる。しかし、飲料のフレーバーは、飲料の構成成分の間の複雑で微妙なバランス、とりわけ、様々な糖、エステル、アルデヒドの量及び種類、並びにアルコール、特にエタノールの量からもたらされるため、脱アルコール後にフレーバーを添加することで快い味を得ることは容易ではない。更に、アルコール、特にエタノールの存在は、いくつかの味の特性を抑制し、他の特性を高める。したがって、通常の(アルコール含有)発酵飲料、特にビール又はビール様飲料の味は、フレーバーの原因となるすべての化合物を同量でノンアルコール飲料に導入しても単純にまねすることはできない(上で引用したBranyik等の文献を参照されたい)。したがって、脱アルコール及びその後にフレーバー付けされた発酵飲料を製造することの欠点は、脱アルコール及びその後にフレーバー付けされた発酵飲料の快い味を得るために添加するのに望ましいフレーバー及びそのような望ましいフレーバーの適正な量を見つけることが難しいことである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mangindaan等、Trends in Food Science and Technology 71 (2018)、36~45頁
【非特許文献2】Branyik等、J. Food Eng. 108 (2012)、493~506頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アルコール含有量が低い又はゼロの発酵飲料を製造する際の記載した欠点を克服するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造する方法であって、エタノール含有発酵ベース飲料を用意する工程と、脱アルコール工程によって発酵ベース飲料のエタノール含有量を低減させる工程と、続いて、エタノール含有量を低減させた発酵ベース飲料にフレーバーを添加して、発酵飲料を製造する工程とを含み、添加フレーバーが、少なくともある量の4-ビニルグアイアコール(4VG)を含む、方法に関する。
【0008】
4VGは、フェルラ酸の酵素分解又は熱分解によって形成される芳香族モノマーのフェノールである。ビールなどの発酵飲料では、4VGは、フェノール性オフフレーバー(POF)表現型の酵母が大麦麦芽の殻に由来するフェルラ酸を変換することによって生成される。4VGは、多くの既知のアルコールビール中に存在するが、通常、味として検出できないような、そのフレーバー閾値をはるかに下回る量で存在する。4VGが、フレーバー閾値を超える量で飲料中に存在する場合、味として検出できるようになる可能性がある。例えば、一部の飲料では、例えばいくつかの特殊なベルギービールのように、4VGは、ビールにクローブ様ノートの形で刺激的でスパイシーなフレーバーを与える。しかし、ほとんどのビール及び他の発酵飲料では、かなりの量の4VGが、望ましくない薬のような不快なノートとして現れる。したがって、多くの既知の発酵飲料の製造では、最終飲料中の4VGの量は、発酵中に4VGの形成を制限することによって、又はろ過若しくは他の任意の適切な方法で最終飲料中の4VGの量を減らすことによって制御される。アルコール含有量が低い又はゼロの発酵飲料では、4VGのレベルは、一般に、制限付き発酵又は脱アルコール工程により、それぞれ4VGの形成が制限され、飲料中の4VGの量が低減した結果、フレーバー閾値をはるかに下回る。
【0009】
驚くべきことに、アルコール含有量が低い又はゼロの脱アルコール発酵ベース飲料中の4VGの量を実際に増加させると、得られるゼロ又は低アルコール発酵飲料に望ましいフレーバーが付与されることが見出された。したがって、脱アルコール発酵ベース飲料に4VGを添加すると、最終のゼロ又は低アルコール発酵飲料が改善され、特に「香味のない」フレーバーが阻止され、最終飲料に十分に認識できる「スパイシー」なフレーバーノートが与えられる。特に、本発明の方法では、甘味、フルーツ風味、及び芳しい香りのバランスが良く、オフフレーバーノートを最小限にした特別なフレーバープロファイルを有し、それによって、最終飲料が非常に飲みやすく且つ楽しめるようになる、飲料の製造が見出されている。
【0010】
本発明は更に、本発明による方法によって得られる、又は本発明による方法によって得ることができる、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料に関する。
【0011】
特に、本発明は、
- 0.3~2.0ppm、好ましくは0.5~1.0ppmの量の4VG;及び
- 2.0~14.0ppmの量の酢酸イソアミル;及び任意選択で、以下のうちの1種又は複数種:
- 40.0~80.0ppmの量の酢酸エチル
- バニリン
を含む、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料に関する。
【0012】
本発明は更に、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造する際に使用する濃縮フレーバー組成物であって、特に、エタノール含有量を低減させた発酵ベース飲料にフレーバーを添加して発酵飲料を製造するために本発明による方法で使用することができ、4VGと、酢酸イソアミル及び酢酸エチルのうちの一方又は両方とを含み、任意選択でバニリンを更に含む、濃縮フレーバー組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ゼロ又は低アルコール発酵飲料を製造する方法であって、エタノール含有発酵ベース飲料を用意する工程と、脱アルコール工程によって発酵ベース飲料のエタノール含有量を低減させる工程と、続いて、エタノール含有量を低減させた発酵ベース飲料にフレーバーを添加して、発酵飲料を製造する工程とを含み、添加フレーバーが、少なくともある量の4-ビニルグアイアコール(4VG)を含む、方法を開示する。
【0014】
本文では、「ゼロ又は低アルコール飲料」は、エタノール含有量が1.0体積%(「ABV」)以下、好ましくは0.5体積%以下、より好ましくは0.2体積%以下の飲料である。このような飲料は、NA飲料と呼ばれる。したがって、NA飲料は、エタノール含有量が0~1.0体積%、例えば、好ましくは0~0.5体積%などの飲料である。NA飲料は、好ましくは、NAビール又はNAビール様飲料である。
【0015】
本文脈では、ビールは広い意味で理解されるべきであり、即ち、ビールは、エール、ポーター、スタウト、ラガー、及びボックビールを含むがこれらに限らない任意のタイプのビールを指すことができる。ビールは、好ましくは麦芽ベースのビールであり、即ち、(とりわけ)麦芽から調製された麦汁の発酵から調製されたビールである。NAビール又はNAビール様飲料は、上述のようにエタノール含有量が1.0体積%(「ABV」)以下、好ましくは0.5体積%以下、より好ましくは0.2体積%以下の本文脈におけるビールである。本発明の目的は、通常のビールと同等又はそれに類似した味及び飲用性を有するNAビール又はNAビール様飲料を提供することである。
【0016】
本発明による方法では、例えば、所望の濃度の4VGを含む最終発酵飲料を製造するために、4VGを、エタノール含有量を低減させた発酵ベース飲料に濃縮フレーバー組成物として添加することができる。ベース飲料と混合するフレーバー組成物の適切な希釈係数は、使用するフレーバー組成物の実際の4VG濃度(強さ)及び最終飲料中の所望の4VG濃度に依存して容易に決定することができる。
【0017】
本発明の方法の好ましい一実施形態では、4VGは、0.2~2.0ppm(mg/L)、好ましくは0.5~1.0ppmの量で添加される。したがって、ベース飲料に添加する4VGの量は、最終飲料が、使用した発酵ベース飲料中の4VGの量を超える、0.2~2.0ppm(mg/L)、好ましくは0.5~1.0ppmの4VGを有するような量である。例えば、使用した脱アルコールベース飲料中に残留4VGが存在しない場合、本発明による4VGの添加により、4VG添加後の最終飲料中の4VGの濃度は、0.2~2.0ppm(mg/L)、好ましくは0.5~1.0ppmとなる。代わりに、使用した脱アルコールベース飲料がいくらかの残留4VGを含む場合、本発明による4VGの添加により、4VG添加後の最終飲料中の4VGの濃度は、ベース飲料中の残留4VG濃度を超える、0.2~2.0ppm(mg/L)、好ましくは0.5~1.0ppmとなる。脱アルコール後の使用するベース飲料が4VGの残存量又は残留量を有するかどうか、及びその量は、当業者が利用できる従来の手段及び技術によって決定することができる。任意選択で、本発明の方法は、4VG添加前の脱アルコール後のベース飲料中に存在する4VGの量をこのように決定して、その決定した量に依存して添加すべき4VGの量を調整することを含んでよい。
【0018】
0.2ppm以上の4VGを添加すると、最終飲料は、脱アルコール発酵ベース飲料よりも「香味のない」フレーバーが目立たなくなる。2ppmを超える4VGを添加すると、最終飲料は、ほとんどの場合、味及び飲用性が低下する。0.5ppm~1.0ppmの4VGを添加すると、ほとんどの脱アルコール発酵ベース飲料において、最終飲料中のオフフレーバーノートが最小限に抑えられ、フレーバー改善の好ましいバランスが得られることがわかった。
【0019】
これに従って、本発明の方法のさらなる好ましい一実施形態では、製造した発酵飲料中の4VGの総量は、0.3~2.0ppm、好ましくは0.5~1.0ppmである。0.2ppm以上の4VGを添加すると、最終飲料は、本明細書に記載の脱アルコール発酵ベース飲料よりも「香味のない」フレーバーが目立たなくなるが、最終飲料が検出可能な「スパイシー」な4VGフレーバーノートを有するようにするため、4VGの添加量は、最終飲料が少なくとも0.3ppmの4VG濃度を有するような量であることが特に好ましい。最終飲料中の4VG濃度が0.5~1.0ppmであると、特に、4VGフレーバーノートが十分に認識できるようになり、オフフレーバーノートが最小限に抑えられた特別なフレーバープロファイルが得られ、それによって、最終飲料が非常に飲みやすく且つ楽しめるものになる。
【0020】
本発明の方法の特定の一実施形態は、添加フレーバーがある量の酢酸イソアミルも含むことを含む。ある量の酢酸イソアミルを添加すると、特に一般的に好まれているフルーティーなフレーバーに関して最終飲料の味が更に改善され、重要なことには、4VGによって引き起こされる可能性のある任意の望ましくない薬のような不快なノートが酢酸イソアミルによって効果的に隠されることから、4VGフレーバーの添加が補足され、したがって、例えば、飲料中に残っている可能性のある他のいずれのオフフレーバーノートも最終飲料では目立たなくなる。最終飲料の酢酸イソアミルの濃度が2.0~14.0ppmの場合に、最良の結果が得られた。
【0021】
したがって、本発明の方法の好ましい一実施形態では、酢酸イソアミルを2.0~14.0ppmの量で添加する。
【0022】
本発明の方法の特定の一実施形態は、添加フレーバーがある量の酢酸エチルを含むことを含む。本明細書で上述した酢酸イソアミルと同様に、酢酸エチルは、4VGによって引き起こされる可能性のある任意の望ましくない薬のような不快なノートを隠すのと同時に、特にフルーツ風味の観点から最終飲料の味を改善するのに効果的である。最終飲料の酢酸エチル濃度が2.0~14.0ppmの場合に、最良の結果が得られた。
【0023】
したがって、本発明の方法のさらなる好ましい一実施形態では、酢酸エチルを40.0~80.0ppmの量で添加する。
【0024】
したがって、本発明の方法では、4VGに加えて、ある量の酢酸イソアミル又は酢酸エチルも、使用するベース飲料に添加した場合、非常に良好な結果が得られる。4VGに加えて、ある量の酢酸イソアミル並びにある量の酢酸エチルを、使用するベース飲料に添加した場合、特に良好な結果が得られた。
【0025】
前述のように4VG並びに任意選択で酢酸イソアミル及び酢酸エチルのうちの一方又は両方に加えて、ベース飲料に香料としてバニリンを添加すると、最終飲料に、甘味、フルーツ風味、及び芳しい香りの最適なバランスが付与されて、最良の結果が得られることがわかった。したがって、本発明の方法のさらなる好ましい一実施形態は、添加フレーバーがある量のバニリンを含むことを含む。
【0026】
本発明は更に、特に前述の請求項のいずれか一項に記載の方法における、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造する際に使用する濃縮フレーバー組成物であって、4VGと、酢酸イソアミル及び酢酸エチルのうちの一方又は両方とを含み、任意選択でバニリンを更に含む、濃縮フレーバー組成物を開示する。
【0027】
エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を製造するための、本発明の濃縮フレーバー組成物の使用も本明細書に開示している。
【0028】
更に、本発明が開示するのは、本発明による方法によって得ることができる、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料である。
【0029】
本発明は、特に、
- 0.3~2.0ppm、好ましくは0.5~1.0ppmの量の4VG;及び
- 6.0~14.0ppmの量の酢酸イソアミル;及び任意選択で、以下のうちの1種又は複数種:
- 40.0~80.0ppmの量の酢酸エチル
- バニリン
を含む、エタノール含有量が0.0体積%~1.0体積%である発酵飲料、特にビール又はビール様飲料を開示する。
【0030】
本発明の発酵飲料の好ましい一実施形態では、発酵飲料は、上面発酵のNAビール又はNAビール様飲料である。
【0031】
本発明の範囲には、記載した特徴のすべて又はいくつかの組合せを有する諸実施形態が含まれ得ることが認識されよう。
【0032】
単語「含む」は、本明細書で使用する場合、特許請求の範囲に記載したもの以外の特徴又は工程の存在を排除するものではない。更に、単語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、「1つのみの(only one)」に限定されるものと解釈すべきではなく、それよりむしろ、「少なくとも1つの(at least one)」を意味するために使用され、複数を除外するものではない。
【0033】
当業者なら、説明に開示した様々な値、濃度、及び量を、別段の指示がない限り変更することができ、開示且つ/又は特許請求する様々な実施形態を、本発明の範囲から逸脱することなく組み合わせることができることを容易に認識するであろう。
【国際調査報告】