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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-13
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021559180
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 IB2020052277
(87)【国際公開番号】W WO2020188431
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/818,821
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2019/5399
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518416997
【氏名又は名称】クレイズ, ステファニー キャサライナ アール.
(71)【出願人】
【識別番号】518417008
【氏名又は名称】クレイズ, ローレンス レオナード ジェイ.
(71)【出願人】
【識別番号】518417019
【氏名又は名称】クレイズ, ナウシカアー エルス ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(72)【発明者】
【氏名】クレイズ, エリック
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB02
2E002PA01
2E002QA04
2E002UB04
(57)【要約】
1つ又は2つ以上の仕切り(2)と、1つ又は2つ以上の横木(3)と、少なくとも前記仕切り(2)に、そして、選択的に横木(3)に、それらの縁(5)が嵌め込まれているパネル(4、4A)と、を備えるカーテンウォールにおいて、
1つ又は2つ以上のプラスチック形状部(2B)によって一緒に接合された、少なくとも内側形状部(2C)と外側形状部(2A)とから前記仕切りが組み立てられ、少なくとも内側形状部(2C)が実質的に鋼から成ることを特徴とする、カーテンウォール。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は2つ以上の仕切り(2)と、1つ又は2つ以上の横木(3)と、少なくとも前記仕切り(2)及び任意選択的に前記横木(3)に縁(5)が嵌め込まれているパネル(4、4A)と、を備えるカーテンウォールであって、前記1つ又は2つ以上の仕切り(2)が鉛直方向に延在し、前記1つ又は2つ以上の仕切り(2)が2つの対向する側部(6)にアクセス開口(8)を有する溝(7)を備えて提供され、前記溝(7)が前記パネル(4、4A)の前記横縁(5)が嵌め込まれる実接ぎ溝(a rebate)を形成し、前記1つ又は2つ以上の横木(3)が2つの仕切り(2)間に水平方向に延在し、そして、例えば、それらの端部がこれらの2つの仕切り(2)の前記溝(7)に嵌め込まれた、カーテンウォールにおいて、
前記仕切りが、1つ又は2つ以上のプラスチック形状部(2B)によって一緒に接合された内側形状部(2C)と外側形状部(2A)とから少なくとも組み立てられ、少なくとも前記内側形状部(2C)が実質的に鋼から成ることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項8】
前記横木(3)が、また、1つ又は2つ以上のプラスチック形状部(3B)によって一緒に接合された少なくとも内側形状部(3C)と外側形状部(3A)とから組み立てられ、少なくとも前記内側形状部(3C)が実質的に鋼から成ることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1つに記載のカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーテンウォール(curtain walls)又はカーテンウォール材に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンウォールは仕切り(mullions)と横木(transoms)との構造体であり、通常はガラスパネル(glass panels)であるが不透明なパネルのこともあるパネルが建物の外壁を形成するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許出願公開第20130075240号
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第3,266,210号
【特許文献3】WO2017/201588
【0004】
既知のカーテンウォール、例えば、韓国特許出願公開第20130075240号から知られているカーテンウォールの欠点は、仕切り及び横木が、外側から組み立てて形状部の構造にしなければならないように設計されていることである。次いで、同じくパネルを外側から取り付けなければならない。ある高さにおいてこれを行わなければならないとき、これは複雑であり、足場又は吊り下げ式の作業プラットフォームを必要とし、この作業を行う人、及びその下にいる人にとって危険である。
【0005】
さらに、この既知の仕切りと横木のシステムでは、多数の構成部品と、これらを組み立てるための多くの作業が必要である。
【0006】
横木が仕切りと仕切りの間に取り付けられたカーテンウォール構造は米国特許第3,266,210号から知られている。この既知の構造では、横木は、仕切りにクリック嵌合して収まるが、横木は、同じく、望ましくなくクリック解放されることもあり得るという欠点を有している。この既知の構造の別の重要な欠点は、公差の問題の解決策を提示していないことである。カーテンウォールでは、2つの異なる種類の公差、すなわち、一方では、製造精度と関係する制限の結果としての製造公差と、他方では、現場での配置の結果としての配置公差とがある。製造公差は、押出し公差、及び特定の形状部をさらに加工する際の公差の両方を含む。さらに、横木は、一方では、横木の熱膨張、他方では、コンクリート又は鋼そのままの構造物では不可避で典型的な建物の不等沈下を受け入れることができるようにその端部に隙間を設けて、仕切りと仕切りの間に取り付けられるべきである。しかしながら、その結果、仕切りと横木との間の接合部は防水でなくなり、漏れが生じることがあり、それは、ファサード部(facade)にとっては明らかに承認できない。
【0007】
米国特許第3,266,210号のカーテンウォール構造はあまり汎用性がない。これは、所定の厚さのガラスパネルなどのパネルでしかうまくいかない。
【0008】
横木と仕切りとの間の接合部が水に対するバリアを形成し、その結果、仕切りのチャンバにしみ出た水は、例えば、窓が取り付けられたゴムシールによって横木に導かれることができて外部に除去されるカーテンウォールが、WO2017/201588から知られている。WO2017/201588のシステムは、さらに、カーテンウォールの内側に沿って対象のパネルを定位置に保持する適切なガラス押し縁(glazing beads)を選ぶことによって、異なる厚さのガラスパネルなどのパネルにも対応することができる。WO2017/201588のカーテンウォールは建物の内側から取り付けることができる。WO2017/201588のカーテンウォールは火事の際に構造強度がすぐ失われることがある。
【0009】
前述の韓国特許出願公開第20130075240号のカーテンウォールは、少なくとも、圧延成形された鋼(roll-formed steel)よりなる仕切りに基づいて組み立てられる。しかしながら、韓国特許出願公開第20130075240号のカーテンウォールは、内側と外側との間に熱橋を形成し、すでに言及したように、カーテンウォールを外側から取り付けなければならない欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、第一に、様々な好ましい実施形態に従って、従来技術のカーテンウォールに付随する1つ又は2つ以上の問題に対する解決策を提示する代替のカーテンウォールに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明は、1つ又は2つ以上の仕切りと、1つ又は2つ以上の横木と、少なくとも仕切り及び選択的に横木に縁が嵌め込まれたパネルと、を備えるカーテンウォールであって、1つ又は2つ以上の仕切りが鉛直方向に延在し、1つ又は2つ以上の仕切りが2つの対向する側面にアクセス開口を有する溝を備えて提供され、前記溝は、前述のパネルの横縁が嵌め込まれる実接ぎ溝(rebate)を形成し、1つ又は2つ以上の横木は、2つの仕切り間を水平方向に延在し、例えば、これらの2つの仕切りの前述の溝に嵌め込まれた端部を有し、カーテンウォールは、前述の仕切りが、1つ又は2つ以上のプラスチック形状部によって一緒に接合された、少なくとも1つの内側形状部と1つの外側形状部とから組み立てられ、少なくとも内側形状部が実質的に鋼から成るという特徴を有する。仕切りを少なくとも部分的に鋼から製作すると、火事の場合など高温においてさえ、構造体の安定性が増す。プラスチック形状部は、内側形状部と外側形状部との間の熱遮断部を提供する。
【0012】
使用される鋼は、例えば、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼、クロムめっき鋼、又は何らかの他のコーティングを施した鋼であってもよい。
【0013】
鋼はそれ自体、耐食性であるか、又はコーティングによって腐食に対して保護されることが好ましい。コーティングは亜鉛及び/又はアルミニウムを含んでもよい。鋼は、例えば、溶融亜鉛めっき又は電気めっきされてもよい。溶融亜鉛めっきでは、対象物は、約450度の温度で溶融液体亜鉛槽中に浸漬されてもよい。冷却及び固化後、亜鉛層が鋼の表面に付着する。電気めっきでは、液体は加熱されず、電流によって付着する。保護材料が亜鉛から成るとき、この技法は電気亜鉛めっきとも呼ばれる。アルミニウムを含むコーティングの場合、アルミナイジング(aluminizing)を使用することができる。この技法は、高い耐熱性を必要とするカーテンウォール用の形状部の場合に特に関心を持たれる。特定の例によれば、それぞれのコーティングに適用するために、いわゆるTSA技法(アルミニウム溶射又は溶射亜鉛及びアルミニウム層(Thermal Spray Aluminum or Thermally sprayed zinc and aluminum layers)が用いられる。
【0014】
本発明のカーテンウォールは実際には様々な方法で生産することができる。第1の可能性によれば、前述の内側形状部は鋼管を含む。第2の可能性によれば、内側形状部は圧延成形された形状部を含む。第3の可能性によれば、前述の内側形状部は、鋼管及び鋼製の圧延成形された形状部を含む。後者の場合、内側形状部は、例えば、管と、それに固定された圧延成形された形状部とから組み立てられてもよい。この取付けは、例えば、1つ又は2つ以上の溶接接合、及び/又はねじ接合、及び/又はリベット接合によって実行されてもよい。純粋に機械的なフック・イン接合(hook-in joints)は除外されない。
【0015】
外側形状部は本質的に、鋼又はアルミニウムから成っていてもよい。外側形状部もまた鋼から成ることが好ましい。このために、内側形状部に使用されているものと同じか又は他の鋼が使用されてもよい。使用される鋼はそれ自体防錆であるか、又はコーティングによって腐食に対して保護されることが好ましい。外側形状部は圧延成形された形状部を含むことが好ましい。
【0016】
内側形状部と外側形状部の両方が鋼製である場合、カーテンウォールのパネルは、火事など、非常に高温のときでさえ実接ぎ溝に保持され、パネルが落下する危険性は限定される。
【0017】
前述のプラスチック形状部は耐火性であること、及び/又は、繊維強化複合材料から成ることが好ましい。この種のプラスチック形状部は、火事などの高温においてカーテンウォールの構造安定性を高める。
【0018】
繊維強化複合材料の樹脂は熱硬化性であることが好ましい。したがって、例えば、プラスチック形状部は繊維強化複合材料から成ってもよく、そのマトリックス、言い換えれば、樹脂は、添加材及び/又は充填材を加えることによって難燃材になる。例えば、硝酸アルミニウム又は炭化ケイ素を加えてもよい。例えば、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、又はアクリル酸塩を樹脂として使用してもよい。例えば、モダール(Modar)という名で知られている樹脂を使用してもよい。これは変性アクリレート樹脂である。別の例によれば、プラスチック形状部は繊維強化複合材料から成ってもよく、そのマトリックス、言い換えれば、樹脂は、その化学組成のためそれ自体難燃材である。例えば、樹脂として、ビスフェノールAポリエステル、ビスフェノールビニルエステル、及びエポキシ樹脂を使用してもよい。
【0019】
繊維強化複合材料の繊維は、例えば、繊維が、ガラス繊維、アラミド繊維、及び/又は炭素繊維から成る場合のように、それ自体難燃性であることが好ましい。アラミド繊維は断熱性が高いので、アラミド繊維を使用することは好ましい。他の例によれば、Sガラス繊維(S-glass fibers)、石英ガラス繊維、ホウ素、黒鉛、又はセラミック繊維が使用される。これら最後に言及した例は、非常に高温に対する高い耐熱性が必要なときに特に関心を持たれる。
【0020】
前述の内側形状部は前述の溝のアンダーカットを少なくとも部分的に形成することが好ましく、この場合、1つ又は2つ以上のガラス押し縁をアンダーカットに装着するために、少なくとも1つの嵌め止め取付具(one fastening attachment)は前述のアンダーカットに取り付けられることが好ましい。嵌め止め取付具はプラスチック製であってもよく、例えば、ポリ塩化ビニルなど熱可塑性であることが好ましい。熱可塑性材は、例えば、押出し(extrusion)又は射出成形(injection molding)によって形成しやすい。
【0021】
前述の横木もまた、1つ又は2つ以上のプラスチック形状部によって一緒に接合された、少なくとも1つの内側形状部と1つの外側形状部とから組み立てられ、少なくとも内側形状部が実質的に鋼よりなることが好ましい。内側及び外側形状部、並びにプラスチック形状部に対して、横木に関連して上で説明したのと同じ材料を使用してもよい。
【0022】
仕切りの横縁に形成された溝は長方形断面を有し、横方向端部のうちの1つ又は2つ以上の丸みのある部分を有して構成され、かつ/又は、横方向端部のうちの1つ又は2つ以上に2mmより小さい半径の丸みがない、又は、5mmより小さい半径の丸みすらないことが好ましい。アンダーカット溝の横方向端部のうちの1つ又は2つ以上が、丸みのある部分を有して構成され、あるいは2mm以上又は5mm以上の丸みを有して構成されるという事実により、様々な利点を得ることができる。例えば、アンダーカット溝の前記形状では、矩形部分を有するアンダーカット溝を有する場合よりも、前述の横木と仕切りとの間で完全な又は部分的な防水接合部を得ることが容易となる。後者の場合では、角頂の位置での防水を達成することが困難である。
【0023】
横木の端部のうちの少なくとも一方、好ましくは両方に、仕切りの横縁に形成された溝の前述の横方向端部のうちの1つ又は2つ以上と接触するヘッド片が設けられることが好ましい。前記接触位置において、ヘッド片の材料の圧縮があることが好ましい。例えば、公差のために、ヘッド片と対象の横方向端部との間に形状の違いがあっても、ヘッド片の表面の材料の変形によって、横木と仕切りとの間に水密及び/又は気密接合部が得られる。ヘッド片は、完全に、又は少なくとも接合部が形成されるヘッド片の表面が、前述の横木の材料よりも容易に圧縮可能な又は軟らかい材料よりなることが好ましい。ヘッド片は、それぞれの横木の端部に固定された別個の部品よりなることが好ましい。
【0024】
横木、より具体的には、横木に嵌められたヘッド片と、仕切り、より具体的には、仕切りの横縁に形成された溝との間の接合は、もっぱら機械的手段によって、すなわち、溝に横木を、より具体的には、ヘッド片を配置することによってなされることが好ましい。前述の接合は分離可能で再接続可能であることが好ましい。したがって、前述の接合部には、接着剤、又はシール材などの他の嵌め止め手段がないことが好ましい。上記のように、ヘッド片と溝との接合によって、横木、より具体的には、ヘッド片と、仕切り、より具体的には仕切りの横縁に形成された溝との間の接続箇所がシールされることが好ましい。
【0025】
上記から、前述の横木の端部に、水に対するバリアを形成するシールが設けられることが好ましいことは明らかである。前述のバリアは、前述の溝の少なくとも1つのシールを備えることが好ましく、このシールは、前述のヘッド片によって、より具体的には、前述のヘッド片と、仕切りの横縁に形成された溝の横方向端部のうちの1つ又は2つ以上との接触によって少なくとも部分的に形成される。前記シールは、対象のヘッド片と前述の溝のすべての壁との接続によって得られることが好ましい。言い換えれば、ヘッド片の形状は、両方の横方向端部全部にわたって、及び、溝の最も内側の横方向壁にわたって接触部を形成するように構成されることが好ましい。
【0026】
横木と仕切りとの間の接続箇所のシールは、個々のファサード部又はパネルごとに侵入水を制御することができる、すなわち、いわゆるフィールド効果(field effect)をもたらすことができることに留意されたい。ファサード部を取り囲む横木と仕切りとの間のすべての接続箇所がシールされたとき、少なくとも対象のヘッド片と溝との間の接触によって、いわゆるフィールド効果を得ることができることが好ましい。このフィールド効果によって、水が内側にしみ出る原因を簡単に検出することができる、より具体的には、局所化することができる。侵入水がいくつかのファサード部にわたって仕切りに集められ、排出される従来のカーテンウォールとは対照的に、このようなしみ出しは、フィールド効果により、すなわち、隣り合うファサード部や上方のファサード部ではなく、関係するファサード部にある漏れによる。ファサード部の漏れ、及び水が内側にしみ出る危険性を可能な限り最小限にし、さらに防止しなければならないことは明らかである。
【0027】
仕切りからの水が、横木に設けた1つ又は2つ以上の開口を通して排出されることが好ましく、これらの開口は、仕切りから、例えば、10~300mmの距離に配置されることが好ましい。このように、水の排出は、パネルごと又はファサード部ごとに行うことができる。上記のように、このような水抜きは、内側へのいかなる漏水の原因をも検出するために有利である。内側への漏水は、もちろん、意図するものではなく、絶対に避けるべきものである。この種の構成では、仕切りに水の排出部を設ける必要はなく、カーテンウォールのいかなる侵入水も、ファサード部ごとに外部に排出される。
【0028】
ヘッド片が、横木の端部を覆う単一部品又は2つ以上の部品であるが別個の部分として嵌められる場合には、シール嵌め止め手段は、前述のヘッド片と、関係する横木との間に取り付けられることが好ましい。シール嵌め止め手段は、例えば、弾性又は可塑性シール材、及び/又は、シリコーン、液体ブチルシール材、又は類似のものに基づく嵌め止め手段であってもよい。これは、横木にある水が、例えば、ヘッド片の小さな変形の結果、ヘッド片と横木との間に入り込むことを防ぐ。
【0029】
上記のように、ガラス押し縁を固定するための1つ又は2つ以上の嵌め止め取付具は、前述の横方向端部の少なくとも1つに接着されることが好ましく、カーテンウォールの内側に配置された横方向端部に接着されることが好ましい。嵌め止め取付具を接着することは、従来技術、例えばWO2017/201587の機械的接続と比べて、仕切りの形状を簡単にすることができる。横木のヘッド片が回転運動によって仕切りの溝に嵌め込まれる場合、これは、機械的接続の係止要素が障害にならずに達成することができる。
【0030】
前述の嵌め止め取付具は、前述の溝のアンダーカットに接着されることが好ましい。前述の第1のガラス押し縁はそれぞれ、仕切りに沿って互いに距離を空けて配置されたいくつかの第1の嵌め止め取付具によって固定されることが好ましい。上記のように、嵌め止め取付具の接着は、仕切りのより簡単な設計をもたらすことができる。このより簡単な設計は、仕切り及びその横縁の溝との場合と同様に、仕切りの空洞が、例えば、横木の端部又はヘッド片によってシールしやすくなるように構成されてもよい。
【0031】
それぞれ、仕切りに沿って互いに距離を空けて配置されたいくつかの第1の嵌め止め取付具による前述の第1のガラス押し縁の嵌め止めまた、嵌め止め取付具が、機械的係止によって仕切りに嵌め止めされる場合、言い換えれば、嵌め止め取付具がクリップで嵌め止めされる場合には有利であることはさらに留意されるべきである。
【0032】
嵌め止め取付具は1つ又は2つ以上のリブを有する表面を有することが好ましい。これらのリブは、前述の溝の横方向端部に接着しやすい表面を形成することが好ましい。これらのリブの頂部は、前述の溝の横方向端部の1つの表面と接触することが好ましいが、2つの隣り合うリブの間には、接着剤又は何らかの他の硬化嵌め止め手段を受け入れる空間がある。溝の横方向端部はそれ自体、リブなどの大きな凹凸がないことが好ましく、その結果、前述のヘッド片に基づいて横木と仕切りとの間の嵌め止め箇所において良好なシールがさらに可能となる。
【0033】
本発明のカーテンウォールは、前述の仕切りの横縁の溝がアクセス開口を有し、アクセス開口が、水平方向に第1の固定された寸法又は幅を有し、横木が、水平方向に、横木の輪郭方向に直角に第2の寸法を有し、第2の寸法が第1の寸法より大きく、横木が、輪郭方向に直角の非水平方向に第3の寸法を有し、第3の寸法が第1の寸法より小さく、その結果、横木の端部が、第3の寸法の方向が水平になる横木の回転された状態では、アクセス開口を通過し、横木が、例えば、可動ロッドの形態の係止要素を備え、仕切りが、前述の係止要素の一部分、例えば、前記ロッドの一部分を受け入れるための係止溝を備え、その結果、横木の回転運動を妨げるという特徴をさらに示すことが好ましい。横木を係止することは、火事など、非常に高温におけるカーテンウォールの構造的安定性を高める。
【0034】
上記は、本発明のカーテンウォールが、それほど多くの作業をせずに建物の内側から取り付けることができるように構成することができることを明らかにしている。例えば、横木は、その長手方向軸線の周りに回転された状態でアクセス開口に配置され、次いで、回転することによって所望の向きにして、アンダーカット溝に固定され、又はクリック留めされ、この場合、アンダーカット溝の気密及び/又は水密シールが達成されることが好ましい。カーテンウォールの施工中、横木は、係止要素及び係止溝によって固定することができる。例えば、係止要素、例えば、係止ロッド又は係止片を単に動かすだけで、仕切りと仕切りとの間に嵌められた横木が緩まないように十分係止することができる。
【0035】
内側形状部、プラスチック形状部、及び外側形状部は互いに嵌め止めされることが好ましく、互いに取外し可能でないことが好ましく、その結果、前述のアクセス開口の幅が固定された寸法を有することが好ましい。当該仕切りは、カーテンウォールの内側からカーテンウォールの外側に延在し、外側から組み立てられた従来技術の仕切りが有することができるすべての機能、すなわち、熱遮断、及びファサード部ごとの水抜きなどのすべての機能を果たす。仕切りは予め作られており、カーテンウォールを建設現場で取り付ける前に、互いに固定される部分形状部のほとんどがすでに互いに嵌め止めされていることが好ましいことは明らかである。一方では仕切り、及び/又は、他方では横木が、組み立てられた一体物として建設現場に送られることが好ましい。予め作られた仕切りでファサード部ごとの水抜きを達成することができることは独特なことであり、本発明のカーテンウォールは、好ましい実施形態に従って、このための理想的な解決策を提示することができる。
【0036】
本発明のカーテンウォールの取付け、すなわち横木と仕切りとを一緒に嵌め止めすることは、ねじのないことが好ましい。横木と仕切りとの間の嵌め止め箇所において、例えば、もっぱら、横木の任意選択のヘッド片と仕切りの横縁の溝との間の前述の接触によって、気密及び/又は水密シールが得られることは好ましい。
【0037】
好ましい実施形態では、溝の1つ又は2つ以上の壁には、横木の一部分が配置される凹部が設けられ、横木は前記凹部の下縁によって鉛直方向に支持される。前述の凹部は、前述の溝のアンダーカットを画定する横方向壁の1つ又は2つ以上を通って水平方向に延在することが好ましい。これは、追加の嵌め止め片(fastening pieces)なしに、横木を仕切りに固定する容易な方法である。加えて、この種の懸架(suspension)によって、横木はその輪郭方向に若干の隙間を有することができ、それは、カーテンウォールの応力を吸収することに対して望ましい。横木はこの凹部に「ぶら下がって(hang)」おり、前側及び内側の両方で仕切りに支持されることが好ましい。このように、横木の荷重は仕切りに伝えられる。
【0038】
前述の凹部は、フライス加工、打抜加工、又は切断加工によって仕切りに形成することができる。
【0039】
さらに好ましい実施形態では、横木はZ字形であり、上向きに突出し、横木の内側に配置された第1の鉛直方向の脚部と、下向きに突出し、横木の外側に配置された第2の鉛直方向の脚部と、第1の脚部と第2の脚部との間の水平方向の接続片とを有する。その結果、鉛直方向の脚部が十分な剛性を与える一方、水平方向の接続片は、横木の上方にパネルを取り付けるために十分な空間を残す。加えて、この種の横木は、水が内側にしみ出ることを制限する。第1の鉛直方向の脚部の高さは20mm以上であることが好ましく、その結果、200Paの圧力差がある場合のみ、流体力学的圧力差の結果として横木の水が内側に入る危険性がある。
【0040】
横木の回転を妨げるために、係止要素、例えば、ロッドを有する前述の係止溝は、第2の脚部の内側に嵌められることが好ましい。これによって、カーテンウォールを施工するとき、ロッドを内側から、言い換えれば、カーテンウォールが取り付けられる床から容易に動かすことができる。
【0041】
前記溝が、仕切りの異なる側で異なる深さを有することは好ましい。これによって、パネルを最も深い溝に傾けて入れて、次いで、所望の向きに設置し、次いで、浅い溝の方に動かすことによって、パネルも内側に配置することが可能になる。
【0042】
パネルはガラスパネルであることが好ましい。特定の実施形態によれば、パネルは、いわゆる「スマート窓ガラス」パネル、すなわち、透明度、反射、熱伝達、又は他の特性を電子信号に基づいて調節することができるガラスパネルである。
【0043】
カーテンウォールの外側は、大気の影響に曝されている側であることは明らかである。
【0044】
上記のように、溝は水平断面ではアンダーカットを有することが好ましく、アクセス開口を除けば、細長い形状を有することが好ましく、横方向端部は丸みのある部分を有する、又は、2mm以上の丸みをもって構成されることが好ましい。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、横木及び仕切りは矩形の開口を画定し、1つ又は2つ以上のパネルは前記開口に配置され、それによってこれらの開口を塞ぎ、1つ又は2つ以上のパネルは、第1の嵌め止め取付具によって前述の仕切りに嵌め止めされた第1のガラス押し縁によって固定され、第1の嵌め止め取付具及び仕切りは、第1の嵌め止め取付具を、好ましくは、上記のように、前述のアンダーカット溝に接着することによって固定することにより、又は、機械的な係止要素によってクリップ留めすることによって固定することにより、前述の仕切りに固定することができるようにするために配置され、第1の嵌め止め取付具及び第1のガラス押し縁は、好ましくは、第1の嵌め止め取付具にクリック留めすることによって第1のガラス押し縁を固定することができるようにするために配置される。このように、第1のガラス押し縁は、クリック留めによって容易に簡単に嵌め止めすることができる。これによって、パネルを内側から取り付けることが可能になる。上記のように、仕切りに沿って間隔を空けて配置されたいくつかの嵌め止め取付具を使用することが好ましい。
【0046】
接着によって、又は接着と組み合わせて、嵌め止め取付具を固定することに対する代替策によれば、第1の嵌め止め取付具及び前記仕切りは、第1の嵌め止め取付具を、対象のパネルの平面に直角の方向に前述の仕切りにクリック留めすることによって固定することができるようにするために配置されてもよく、第1の嵌め止め取付具及び第1のガラス押し縁は、第1のガラス押し縁を、対象のパネルの平面に平行な方向に第1の嵌め止め取付具にクリック留めすることによって固定することができるように配置される。しかしながら、嵌め止め取付具は、単に、接着によって仕切りに取り付けられことが好ましい。仕切りへの嵌め止め取付具の取付けは、例えば、予め作られて現場などに送られる仕切りの構成部品として、それぞれの仕切りを取り付ける前に実行されてもよい。しかしながら、例えば、パネル及び/又はガラス押し縁の配置と関連して、仕切りを取り付けた後に、嵌め止め取付具を仕切りに固定することも可能である。
【0047】
別の好ましい実施形態では、1つ又は2つ以上の前記仕切り及び第1のガラス押し縁は、第1のガラス押し縁が、対象のパネルから反対側を向いた仕切りに当たって載るように配置される。
【0048】
別の好ましい実施形態では、1つ又は2つ以上のパネルは、第2の嵌め止め取付具によって前述の横木に固定された第2のガラス押し縁によって固定され、第2の嵌め止め取付具及び1つ又は2つ以上の前記横木は、第2の嵌め止め取付具を前述の横木に固定することができるように配置され、第2の嵌め止め取付具及び第2のガラス押し縁は、第2のガラス押し縁を第2の嵌め止め取付具にクリック留めすることができるように配置される。したがって、第1のガラス押し縁及び仕切りと関連して言及した利点は、横木及び第2のガラス押し縁にも当てはまる。第2のガラス押し縁に対する嵌め止め取付具は、第1のガラス押し縁に対する嵌め止め取付具が仕切りに固定されるのと類似の方法で、横木に固定することができることは明らかである。
【0049】
第1及び/又は第2の嵌め止め取付具は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのプラスチック製が好ましく、第1のガラス押し縁はアルミニウム製が好ましい。
【0050】
本発明の特徴をよりよく示すために、添付の図面を参照して、いかなる特性も限定しない例として、いくつかの好ましい実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明のいくつかの特徴を示すカーテンウォールを示すが、本発明の一部を形成するものではない。
図2図1に示す断面線II-IIによる断面拡大図である。
図3図1に示す断面線III-IIIによる断面拡大図である。
図4】横木の端部に嵌めることができる、本発明によるヘッド片の斜視図である。
図5】横木の端部に嵌めることができる、本発明によるヘッド片の斜視図である。
図6図1に示された線VI-VIによる断面図であり、ヘッド片を有する横木をアンダーカット溝に嵌めることができる方法を示した図である。
図7図1に示された線VI-VIによる断面図であり、ヘッド片を有する横木をアンダーカット溝に嵌めることができる方法を示した図である。
図8図3と類似の、本発明の特徴を有するカーテンウォールの図である。
図9】代替案の同様の図である。
図10】本発明の特徴を有するカーテンウォールの、図1に示された線X-Xによる断面拡大図である。
図11図8と類似の、本発明の特徴を有する変形例の図である。
図12図10と類似の、本発明の特徴を有する変形例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は施工中のカーテンウォール1を示す。カーテンウォール1は仕切り2及び横木3を備える。窓ガラスなどのパネル4は、それらの縁5で仕切り2及び横木3に固定される。仕切り2は鉛直方向に延在し、横木3は水平方向に延在する。本例では、これらは、予め作られて現地に送られる形状部2、3である。パネル4を含む完全なカーテンウォール1は、内側から取り付けることができる。
【0053】
図2は、仕切り2が、2つの対向側面6に、アクセス開口8を有するアンダーカット溝7を備えていることを示す。溝7は、前述のパネル4の横縁5を嵌め込むことができる実接ぎ溝を形成する。横木3は、2つの仕切り2の間を水平方向に延在する。図示の仕切り2は、熱遮断部を形成する部分形状部2Bを含む、互いに固定され、互いに取り外すことができないいくつかの部分形状部2A、2B、2Cを備える。
【0054】
図3は、横木3の端部が前述の仕切り2の溝7に固定されていることを示す。このために、ヘッド片9は横木3の端部を覆って嵌められる。
【0055】
前述のアンダーカット溝7は長方形断面を有し、横方向端部10のうちの1つ又は2つ以上の丸みのある部分を有して構成され、この場合、横方向端部10に2mmより小さい半径の丸みはない。図2及び図3は、前述の長方形の断面が、前述のパネル4に対して横断する、又は垂直方向でさえあるその長軸11を有して向けられていることを明瞭に示している。
【0056】
図2に示すように、前述のパネル4はガラス押し縁13によってカーテンウォール1の内側12に沿って固定され、ガラス押し縁13は、例えば、この場合のように、嵌め止め取付具14によって前述の仕切り2に固定され、好ましくは、WO2017/201587により詳細に説明されているように、機械的な係止手段15、より具体的にはクリック留め又はスナップ留めによって、それぞれのガラス押し縁13を嵌め止め取付具14に固定することができる。本例では、嵌め止め取付具14は、カーテンウォール1の内側12に配置されたアンダーカット溝7の横方向端部10の位置で仕切り2に接着されている。このため、本例では、嵌め止め取付具14はリブ16を有する表面を備え、その頂部はそれぞれの横方向端部10の表面と接触する一方、2つの隣り合うリブの間には、接着剤又は何らかの他の硬化嵌め止め手段を受け入れる空間がある。アンダーカット溝7の横方向端部10はそれ自体、リブなどの凹凸はない。
【0057】
嵌め止め取付具14は、対象とするガラス押し縁13と同じ長さか、又はほぼ同じ長さに作られ得ることに留意されたい。しかしながら、ガラス押し縁13は、例えば、ガラス押し縁13当たり3つを互いに離れた距離に配置されたいくつかの嵌め止め取付具14によって固定されることが好ましい。この種の構成は、冒頭に言及した第2の独立した態様の例を形成する。例えば、嵌め止め取付具14は、2つの隣り合う嵌め止め取付具14間の距離が10~50cm、例えば、20~30cmの場合、仕切り2において、それぞれの場合、2~20cm、例えば、約5cmの距離にわたって延在してもよい。
【0058】
前述のヘッド片9は、アンダーカット溝7の断面に対して相補的な形状を有し、本例では、その横方向端部10の両方と接触していることを図3は明瞭に示している。上記のように、前記接触により、横木3と仕切り2との間に水密及び/又は気密接合部が形成される。このようなヘッド片9とアンダーカット溝7との間の接触は、アンダーカット溝7の壁の全周にわたって形成されることが好ましい。
【0059】
図4及び図5は、図3で使用されたヘッド片9の斜視図を示す。前記ヘッド片9はいくつかの開口17を備え、これらの開口17に沿ってシール嵌め止め手段を塗布又は注入することができる。嵌め止め手段は、横木3にある水分、及び、横木3とヘッド片9との間を通る水分に対するバリアを提供するように意図されている。
【0060】
図6は、ヘッド片9が嵌められた横木3を、まず、2つの仕切り2の間に上側から、及び/又は、角度をつけて、すなわち、ヘッド片9がアンダーカット溝7内にある状態で提示することができることを示している。次いで、例えば、WO2017/201589により詳細に説明されているのと同様に、横木3とヘッド片9とが仕切り2の凹部18の位置で回されて、図7に示す最終位置になる。この回転運動Wのあいだ、それぞれのヘッド片9とアンダーカット溝7との間での接触時に、好ましくは、ヘッド片9の材料の圧縮が生じることがあり、その結果、横木3と仕切り2との間の接続箇所又は嵌め止め箇所でのシール効果を向上させることができる。
【0061】
図6及び図7は、アンダーカット溝7が、水平方向Hに測った、横木3の長手方向に対して直角の横木3の幅B2よりも狭い水平方向Hの幅B1を有するアクセス開口8を有することを明瞭に示している。水平方向ではなく、例えば、長手方向に対して直角な鉛直方向Vにおいて、横木3は、アンダーカット溝7のアクセス開口8の幅B1より短い寸法Aを有し、その結果、横木3の端部は、回転された状態、例えば、図6の状態では、アクセス開口8を通過する。横木3及び/又は仕切り2は、最終位置、例えば、図7に示す位置で、横木3の回転を係止するための手段をさらに備えることが好ましい。ここでは示さないが、それは、WO2017/201589により詳細に説明されているのと同様に構成されてもよい。
【0062】
仕切り2と横木3の嵌め込み、並びにパネル4の取付けは、完全にねじを使わず、建物の内側12から実行することができ、しかも仕切り2と横木3との気密及び/又は水密接合部を得ることができることは明らかである。このようにして、冒頭に述べたような、水抜きに対するフィールド効果が得られる。
【0063】
図6及び図7は、横木3もまた、熱遮断部を形成する部分形状部3Bを含む、互いに嵌め止めされ、互いに取り外すことができない、いくつかの部分形状部3A、3B、3Cを備えることをさらに示す。横木3は予め作られていることが好ましい、言い換えれば、組み立てられた状態で現場に送られることが好ましい。
【0064】
また、仕切り2の対向縁6のアンダーカット溝7が異なる深さを有することが好ましいことはこの例から明らかである。この構成によって、最も深いアンダーカット溝7にパネル4の一方の縁を嵌め込み、窓ガラスの平面内でパネルを回転し、次いで、浅い方のアンダーカット溝7に押し込む、いわゆる摺入技法(shuffle technique)によって、窓ガラス用のパネル4などのパネル4をカーテンウォール1に挿入することができる。窓ガラスは、少なくとも前述のガラス押し縁13によってその最終位置に固定されることが好ましい。
【0065】
図6及び図7は、上方に突出し、横木3の内側に配置された1つの第1の脚部19と、好ましくは、下方に突出し、横木3の外側に配置された第2の脚部20とを少なくとも有して横木3を構成することができることを明瞭に示している。1つ又は2つ以上の脚部19、20は、形状部の曲げ強度を高める。第1の脚部19は20mm以上の高さH1を有することが好ましく、その結果、200Paの流体力学的圧力差がある場合のみ、横木3の水が内側に入る危険性がある。
【0066】
図8は、本発明の特徴を備えたカーテンウォール1を示す。この場合、仕切り2の内側形状部2Cは鋼製である。より具体的には、この場合、内側形状部2Cは圧延成形された鋼の形状部から成る。内側形状部2Aは、熱遮断部を形成する2つのプラスチック形状部2Bを介して、外側形状部2Aに接続され、外側形状部2Aもまた、この例では、鋼、より具体的には圧延成形された鋼の形状部から成る。それ以外では、本図は、図2と同様な構成部品及び特徴を示す。嵌め止め取付具14及びガラス押し縁13の実際の構成は、図2の例と同一又は類似であってもよい。上記の例と同じように、パネル4は、それらの縁で、シール21、特に、ゴムシール、例えば、EPDM製のシールを有するガラス押し縁によって溝7内に固定される。
【0067】
図9は別の例を示し、ここでは、内側形状部2Cはそれ自体、鋼管22と、それに固定された圧延成形形状部2Dとから組み立てられる。管22は、周囲が閉じた中空の形状部を意味する。形状部2Cと形状部2Dとを組み立てると図8の形状部2Cと類似の形状になる。
【0068】
図9は、嵌め止め取付具14が、溝7の2つの対向する横方向縁10の間の全距離にわたって延在することができることをさらに示している。2つの対向する横方向縁10の位置において、嵌め止め取付具14は、接着されてもよいし、何らかの他の方法、例えば、機械的なフック接続又はクリック接続で嵌め止めされてもよい。ガラス押し縁13の実際の構成は、図2の例と同一又は類似であってもよい。
【0069】
図10は、本明細書に示すように、好ましい実施形態による、少なくとも1つの鋼の内側形状部3C、少なくとも1つのプラスチック形状部2B、及び外側形状部2Aから組み立てることができる横木3の例を示す。それ以外では、横木3は、図6及び図7の文脈に示された横木3と類似の特徴を有する。
【0070】
横木3は、カーテンウォール1の外側に沿ってセパレート形状部(a separate profile)23によって覆われてもよいことは、さらに留意すべきである。このセパレート形状部23もまた、鋼から構成されてもよいし、アルミニウムなどの何らかの他の材料から作られてもよい。図10の例では、セパレート形状部23はまたゴムシール21を備え、ゴムシール21は、パネル4の下側でその縁と接触している。これは、必ずしもそうである必要はなく、セパレート形状部23は美的機能を果たすだけでもよく、一方、パネル4の下側のゴムシール21は、その場合には、例えば、外側形状部2Aに固定されてもよい。
【0071】
図11は、仕切り2に対する変形例を示し、これは、図8に基づいて説明したのと実質的に同一の特徴を有するが、圧延成形された鋼の形状部から成る内側形状部2Cは、熱遮断部を形成する唯一のプラスチック形状部2Bによって、これもまた圧延成形された鋼の形状部から成る外側形状部2Aに接続される。
【0072】
図12は横木3に対する変形例を示し、これは、図10に基づいて説明したのと実質的に同一の特徴を有する。
【0073】
上記において、カーテンウォール1の内側12への言及は、建物の内側の方を向くカーテンウォール1の部分、すなわち、横木3及び仕切り2の部分を意味することはさらに留意すべきである。この内側12は必ずしもカーテンウォール1の最も内側の面から始まるものではないが、窓ガラスの平面の裏から始まる。
【0074】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではないが、この種のカーテンウォールは、本発明の範囲内に留まりながら生産されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 カーテンウォール
2 仕切り
2A、2B、2C 部分形状部
3 横木
4 パネル
5 縁
6 対向側面
7 溝、アンダーカット溝
8 アクセス開口
9 ヘッド片
10 横方向端部
11 長軸
12 内側
13 ガラス押し縁
14 嵌め止め取付具
15 係止手段
16 リブ
17 開口
18 凹部
19 第1の脚部
20 第2の脚部
21 ゴムシール
22 鋼管、菅
23 セパレート形状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は2つ以上の仕切り(2)と、1つ又は2つ以上の横木(3)と、少なくとも前記仕切り(2)に、そして、選択的に横木(3)に、それらの縁(5)が嵌め込まれているパネル(4、4A)と、を備えるカーテンウォールであって、1つ又は2つ以上の仕切り(2)が、鉛直方向に延在し、そして、アクセス開口(8)を備えた溝(7)を2つの対向する側部(6)に提供され、前記パネル(4、4A)の横縁(5)が嵌め込まれる実接ぎ溝(a rebate)を前記溝(7)は形成し、1つ又は2つ以上の横木の端部に圧縮可能なヘッド片(9)が提供され、1つ又は2つ以上の横木(3)が2つの仕切り(2)の間に水平方向に延在し、それらの端部はヘッド片(9)をもってこれら2つの仕切り(2)の前記溝(7)の凹部(18)の中に嵌めこむことによって、1つ又は2つ以上の横木(3)が、ねじを用いることなしに、2つの仕切り(2)に嵌め止められているカーテンウォールにおいて、
1つ又は2つ以上のプラスチック形状部(2B)によって一緒に接合された、少なくとも内側形状部(2C)及び外側形状部(2A)とから前記仕切りが組み立てられ、内側形状部(2C)、外側形状部(2A)及び1つ又は2つ以上のプラスチック形状部(2B)は、互いに嵌め止められ、互いに分解することが不可能であり、少なくとも内側形状部(2C)が実質的に鋼から成ることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項8】
前記横木(3)が、また、1つ又は2つ以上のプラスチック形状部(3B)によって一緒に接合された少なくとも内側形状部(3C)と外側形状部(3A)とから組み立てられ、少なくとも前記内側形状部(3C)が実質的に鋼から成ることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1つに記載のカーテンウォール。
【国際調査報告】