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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(54)【発明の名称】可動の家具部分のための駆動装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/463 20170101AFI20220607BHJP
   A47B 88/45 20170101ALI20220607BHJP
【FI】
A47B88/463
A47B88/45
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556669
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 AT2020060028
(87)【国際公開番号】W WO2020186276
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】A50238/2019
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ヤンザー
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB31
3B160AB42
3B160AB61
3B160CA14
3B160DA24
3B160EA13
3B160EA14
3B160EA32
3B160EA37
3B160EB02
3B160EB13
3B160EB24
3B160EB33
3B160EB51
3B160EB75
3B160EB82
(57)【要約】
可動の家具部分(2)のための、特に引出しのための駆動装置(1)であって、支持体(3)、可動の家具部分(2)を閉鎖位置(SS)から開放位置(OS)へと押し出すためのエジェクション装置(4)、エジェクション装置(4)をロック位置(VS)でロックするためのロック装置(5)であって、このロック装置(5)は、エジェクション装置(4)に結合されたロックピン(51)と、少なくとも部分的に支持体(3)内にまたは支持体(3)表面に形成された、ロックピン(51)のためのガイド軌道(52)と、を有しており、ロックピン(51)はロック位置(VS)で、ガイド軌道(52)の係止凹部(R)内でロックされているロック装置(5)、および支持体(3)に対して相対的に可動の、駆動装置(1)の運動を第2の駆動装置(1’)と同期させるための同期装置(6)であって、この同期装置(6)は、ロックピン(51)によって移動させることができる伝達エレメント(60)を有しており、伝達エレメント(60)は少なくとも過剰押込み運動の際に静止しており、開放運動の際に、ロックピン(51)によって移動させることができ、閉鎖運動の際にロックピン(51)によって移動させることができ、伝達エレメント(60)は、支持体(3)に直線状に移動可能に支持されている、駆動装置(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の家具部分(2)のための、特に引出しのための駆動装置(1)であって、
-支持体(3)、
-前記可動の家具部分(2)を閉鎖位置(SS)から開放位置(OS)へと押し出すためのエジェクション装置(4)であって、前記エジェクション装置(4)は、前記閉鎖位置(SS)の後方に位置する過剰押込み位置(US)への前記可動の家具部分(2)の過剰押込み運動により、ロック位置(VS)からロック解除可能であるエジェクション装置(4)、
-前記エジェクション装置(4)を前記ロック位置(VS)でロックするためのロック装置(5)であって、前記ロック装置(5)は、前記エジェクション装置(4)に結合されたロックピン(51)と、少なくとも部分的に前記支持体(3)内にまたは前記支持体(3)表面に形成された、前記ロックピン(51)のためのガイド軌道(52)とを有しており、前記ロックピン(51)は前記ロック位置(VS)で、前記ガイド軌道(52)の係止凹部(R)内でロックされているロック装置(5)、および
-前記支持体(3)に対して相対的に可動の、前記駆動装置(1)の運動を第2の駆動装置(1’)と同期させるための同期装置(6)であって、前記同期装置(6)は、前記ロックピン(51)によって移動させることができる伝達エレメント(60)を有しており、前記伝達エレメント(60)は少なくとも過剰押込み運動の際に静止しており、開放運動の際に、前記ロックピン(51)によって移動させることができ、閉鎖運動の際に前記ロックピン(51)によって移動させることができる、同期装置(6)、
を備えた駆動装置(1)において、
前記伝達エレメント(60)は、前記支持体(3)に直線状に移動可能に支持されていることを特徴とする、駆動装置(1)。
【請求項2】
前記伝達エレメント(60)には、前記ガイド軌道(52)を共に形成する、前記ロックピン(51)のためのロックエレメント(53)が配置されている、請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ロックピン(51)は前記ロック位置(VS)で前記ガイド軌道(52)の前記係止凹部(R)内にロックされており、前記係止凹部(R)は、少なくとも部分的に、前記支持体(3)に対して相対的に可動な前記ロックエレメント(53)によって形成されており、前記ロックピン(51)は前記ロック位置(VS)で前記ロックエレメント(53)において、好適には前記ロックエレメント(53)に形成された保持面(H)において、保持されている、請求項2記載の駆動装置。
【請求項4】
前記伝達エレメント(60)は、前記ガイド軌道(52)の開放区分(O)に突入する第1の伝達当接部(61)を有しており、前記伝達エレメント(60)は、前記開放運動の際に、前記第1の伝達当接部(61)を介して、前記ロックピン(51)によって移動させることができる、請求項1から3までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1の伝達当接部(61)は、前記ロックエレメント(53)に形成された、好適には、前記保持面(H)に対して横方向に向けられている端面(S)によって形成されている、請求項4記載の駆動装置。
【請求項6】
前記伝達エレメント(60)は、前記ガイド軌道(52)の閉鎖区分(C)に突入する第2の伝達当接部(62)を有しており、前記伝達エレメント(60)は、前記閉鎖運動の際に、前記第2の伝達当接部(62)を介して、前記ロックピン(51)によって移動させることができる、請求項1から5までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項7】
好適には専ら、閉鎖運動の際に前記ロックピン(51)によって前記第2の伝達当接部(62)を介して引き起こされる、前記伝達エレメント(60)の動きによって、前記ロックエレメント(53)を、前記係止凹部形成位置へと移動させることができ、この位置では、前記ロックエレメント(53)が、前記ガイド軌道(52)の前記係止凹部(R)を形成する、請求項6記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第2の伝達当接部(62)を、前記ロックピン(51)によって、前記当接位置(A)から、退避位置(W)へと移動させることができ、前記退避位置では、前記ロックピン(51)は、前記第2の伝達当接部(62)から離される、請求項6または7記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第2の伝達当接部(62)の、前記退避位置(W)への移動により、係止区分(E)内への前記ロックピン(51)のさらなる運動が許容される、請求項8記載の駆動装置。
【請求項10】
前記伝達エレメント(60)は、前記ロックピン(51)の移動の際に、前記係止区分(E)において、および過剰押込み区分(U)において静止している、請求項9記載の駆動装置。
【請求項11】
前記同期装置(6)は、前記伝達エレメント(60)に結合されている同期連結エレメント(63)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項12】
前記伝達エレメント(60)は、支持体本体(64)を有しており、前記第1の伝達当接部(61)、前記第2の伝達当接部(62)、および/または前記同期連結エレメント(63)は、前記支持体本体(64)に一体に形成されている、請求項4から11までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項13】
-請求項1から12までのいずれか1項記載の駆動装置(1)、
-請求項1から12までのいずれか1項記載の第2の駆動装置(1’)、および
-前記両駆動装置(1,1’)の同期装置(6)を、特に同期連結対応エレメント(66)を連結するための同期ロッド(65)、
を備える装置(7)。
【請求項14】
家具本体(9)、前記家具本体(9)に対して相対的に可動の少なくとも1つの家具部分(2)、および請求項1から12までのいずれか1項記載の駆動装置(1)または請求項13記載の装置(7)、を備えた家具(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動の家具部分のための、特に引出しのための駆動装置であって、支持体、可動の家具部分を閉鎖位置から開放位置へと押し出すためのエジェクション装置であって、閉鎖位置の後方(閉鎖方向側)に位置する過剰押込み位置への可動の家具部分の過剰押込み運動により、ロック位置からロック解除可能であるエジェクション装置、エジェクション装置をロック位置でロックするためのロック装置であって、このロック装置は、エジェクション装置に結合されたロックピンと、少なくとも部分的に支持体内にまたは支持体表面に形成された、ロックピンのためのガイド軌道と、を有しており、ロックピンはロック位置で、ガイド軌道の係止凹部内でロックされているロック装置、および支持体に対して相対的に可動の、駆動装置の運動を第2の駆動装置と同期させるための同期装置であって、この同期装置は、ロックピンによって移動させることができる伝達エレメントを有しており、伝達エレメントは少なくとも過剰押込み運動の際に静止しており、開放運動の際に、ロックピンによって移動させることができ、閉鎖運動の際にロックピンによって移動させることができる、同期装置、を備えた駆動装置に関する。さらに本発明は、同期させられる2つの駆動装置を備えた装置に関する。さらに本発明は、このような駆動装置を備えた家具に関する。
【0002】
数年来、可動の家具部分(例えば、引出し、家具扉、および家具フラップ)の移動を支援するための家具用金具が製造され、使用されている。可動の家具部分を押すことにより開放運動を発動させる、いわゆるタッチラッチ機構が公知である。閉鎖位置に位置している可動の家具部分を押すこと(「タッチ」)により、ロック装置のロック(「ラッチ」)が解消され、これによりエジェクション装置が、可動の家具部分を開放させる。
【0003】
このような家具用金具もしくはこのような駆動装置の一例が、国際公開第2017/004638号により公知である。ロックピンは、過剰押込み後に、開放運動を開始するために、部分的にスリーブ状の同期連結部材に形成されているロックエレメントを動かす。この同期連結部材は、本発明の伝達エレメントに相当する。しかしながら、国際公開第2017/004638号は、同期連結部材が、開放運動の際にしかロックピンによって動かされないので、冒頭で述べた形式の従来技術を形成していない。可動の家具部分の閉鎖運動の際には、ロックピンから同期連結部材への運動の伝達は行われない。むしろ、この明細書によれば、同期連結部材は、ロックピンが同期連結部材に接触しなくなった後で、同期連結部材に配置されたロックエレメントが再び、ガイド軌道の係止凹部を共に形成する位置へと、同期蓄力器によって再び動かされる。この明細書における欠点は、付加的な蓄力器を設けなければならず、この蓄力器によって、第2の駆動装置の制御不能な同期が行われるということにある。
【0004】
これに対し、欧州特許第3054811号明細書からは、冒頭で述べた形式の駆動装置が公知である。この明細書では、連結エレメントが、本発明の伝達エレメントに相当する。この連結エレメントには、係止凹部を共に形成するロックエレメントが形成されている。この連結エレメントは、蓄力器によって負荷されていない。むしろ、連結部材は、閉鎖運動の際に、ロックピンによって、連結エレメントに配置されたロックエレメントが再び、ガイド軌道の係止凹部を共に形成する位置へと動かされる。この明細書における欠点は、回転可能な連結エレメントが比較的大きく、所要スペースが大きいことである。さらに、連結エレメントの回転運動に基づき必要な多数のレバーおよび構成部品による同期は極めて手間がかかる。
【0005】
したがって本発明の課題は、従来技術のものに対して代替的なまたは改善された駆動装置を提供することにある。特に従来技術の公知の欠点は解消されるべきである。とりわけ、駆動装置を簡単に組み立てることができるのが望ましく、所要スペースが比較的小さく、構成部品数が少ないことが望ましい。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を備えた駆動装置によって解決される。したがって、本発明によれば、伝達エレメントは、支持体に直線状に移動可能に支持されていることが想定されている。したがって、所要スペースが比較的大きく煩雑な、伝達エレメントの回転運動は不要である。
【0007】
本発明の好適な実施例は、従属請求項に規定されている。
【0008】
例えば、ガイド軌道が、ハートカム状の区分を有していることが好適と思われる。
【0009】
さらに、伝達エレメントには、ガイド軌道を共に形成する、ガイド軌道に干渉する、ロックピンのためのロックエレメントが配置されていることが好適と思われる。
【0010】
ロックピンはロック位置でガイド軌道の係止凹部内でロックされており、係止凹部は、少なくとも部分的に、支持体に対して相対的に可動なこのロックエレメントによって形成されており、ロックピンはロック位置でロックエレメントにおいて、好適にはロックエレメントに形成された保持面において、保持されていることも好適と思われる。特に、ロックエレメントは、所定のロック位置において、係止凹部形成位置を起点として、ロックピンが過剰押込み運動の際に動く方向とは逆の方向に直線状に移動可能であることが想定されている。
【0011】
エジェクション装置に関しては、エジェクション装置が、支持体に対して相対的に可動のエジェクションキャリッジと、一方では支持体に、他方ではエジェクションキャリッジに取り付けられたエジェクション蓄力器とを有していることが好適と思われる。好適には、エジェクション蓄力器は、ばねとして、好適には引張ばねとして形成されている。
【0012】
好適な実施例によれば、伝達エレメントは、ガイド軌道の開放区分に突入する第1の伝達当接部を有しており、伝達エレメントは、開放運動の際に、この第1の伝達当接部を介して、ロックピンによって移動させることができることが想定されている。したがって、この運動を第2の駆動装置に伝達することができる。
【0013】
第1の伝達当接部は、ロックエレメントに形成された、好適には、保持面に対して横方向に向けられている端面によって形成されていることが特に好適である。したがって、ロックエレメントは2つの機能を有しており、すなわち一部(具体的には、保持面)は、ロックピンのロックまたは係止のために機能し、一部(具体的には、端面)は、第2の駆動装置への運動の伝達のために設けられている。
【0014】
さらに、伝達エレメントは、ガイド軌道の閉鎖区分に突入する第2の伝達当接部を有しており、伝達エレメントは、閉鎖運動の際に、第2の伝達当接部を介して、ロックピンによって移動させることができることが好適と思われる。
【0015】
特に、好適には専ら、閉鎖運動の際にロックピンによって第2の伝達当接部を介して発動される、伝達エレメントの動きによって、ロックエレメントを、係止凹部形成位置内へと移動可能させることができ、この位置では、ロックエレメントが、ガイド軌道の係止凹部を共に形成することが想定されている。
【0016】
さらに、第2の伝達当接部を、ロックピンによって、当接位置から、退避位置へと移動させることができ、退避位置では、ロックピンは、第2の伝達当接部から離されることが好適と思われる。したがって、ロックピンは、もはや、第2の伝達当接部に接触していない。すなわち第2の伝達当接部は、ロックピンによって、もはやガイド軌道内に突入しない退避位置へと移動させられる。換言すると、第2の伝達当接部は、閉鎖運動の1つの部分区分(のみ)において、ロックピンによって連行される。
【0017】
第2の伝達当接部の、退避位置への移動により、係止区分内へのロックピンのさらなる運動が許容されることが好適と思われる。
【0018】
駆動装置間で手間のかかる恒常的な同期を不要とするためには、伝達エレメントが、ロックピンの移動の際に、係止区分において、および過剰押込み区分において静止していることが特に好適であると思われる。すなわち、係止の際および過剰押込みの際には特に、運動の伝達は不要である。すなわち、例えば、過剰押込みによってロックを解除する際には、可動の家具部分を、一方の駆動装置のエジェクション蓄力器の力にのみ抗して動かせばよい。
【0019】
さらに、同期装置が、伝達エレメントに結合されている同期連結エレメントを有していることが好適と思われる。具体的には、この同期連結エレメントは、互いに離間された複数の歯列を有することができ、これらの歯列は、歯車状の同期連結エレメントと、運動伝達式に連結可能である。
【0020】
伝達エレメントが支持体本体を有しており、この支持体本体に、両伝達当接部が(および同期連結エレメントも)、取外し可能に取り付けられること自体は可能である。しかしながら、簡単な構成形式のためには、伝達エレメントは、支持体本体を有しており、第1の伝達当接部、第2の伝達当接部、および/または同期連結エレメントは、支持体本体に一体に形成されていることが好適と思われる。これにより、唯1つの構成部品が複数の役割を果たす。
【0021】
ここまで記載した駆動装置は、同期のために、または第2の駆動装置への運動の伝達のために使用されなくてもよい。むしろこのような駆動装置は、単独(かつ片側)のみであっても家具に組み込むことができる。その場合、駆動装置は確かに(実際には、不必要に)、同期のための構成要素も有してはいるが、このような駆動装置は、1つの形式の(すなわち、常に同期構成要素を備えている)駆動装置のみを製作すればよいという点で有利である。これにより、例えば、在庫管理が容易になり、製造は単純になりもしくは統一される。
【0022】
しかしながら特許権保護は、個別の駆動装置だけではなく、本発明による(第1の)駆動装置と、この駆動装置に同期する本発明による第2の駆動装置とを備えた装置に対しても求められる。好適には、この装置は、両駆動装置の同期装置を、特に同期連結対応エレメントを連結するための同期ロッドも有している。
【0023】
さらには、特許権保護は、家具本体と、家具本体に対して相対的に可動の少なくとも1つの家具部分と、本発明による駆動装置、または2つの駆動装置を備えた装置とを備えた家具に対しても求められる。これら両駆動装置は、家具本体または可動の家具部分の対向する側に組付けられていることが好適と思われる。
【0024】
駆動装置の支持体は、可動の家具部分に(または引出し用引出しガイドの引出し側レールに)取り付けることができ、この場合、エジェクション装置は可動の家具部分と共に、(家具本体に配設された)連行体に衝突する。しかしながら、駆動装置の支持体が、家具本体に(好適には、それぞれ引出し用引出しガイドの本体側レールに)取り付けられていて、この場合、エジェクション装置は(可動の家具部分に配設された)連行体を介して、可動の家具部分を、家具本体に対して相対的に開放方向に動かすことが好適と思われる。
【0025】
本発明のさらなる詳細および利点を、図面の説明につき、図面示した実施例に関して以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】引出しの形態の複数の可動の家具部分を備えた家具の概略図である。
図2】引出し用引出しガイドと、可動の家具部分のための駆動装置とを備えた引出しを示す斜視図である。
図3】同期させられる2つの駆動装置から成る装置を示す図である。
図4】駆動装置の分解状態を示す斜視図である。
図5a】開放位置にある駆動装置を示す図である。
図5b】開放位置にある駆動装置を示す別の図である。
図5c】開放位置にある駆動装置を示すさらに別の図である。
図6a】閉鎖の際の駆動装置を示す図である。
図6b】閉鎖の際の駆動装置を示す別の図である。
図7a】第2の伝達当接部にロックピンが当接した状態の駆動装置を示す図である。
図7b】第2の伝達当接部にロックピンが当接した状態の駆動装置を示す別の図である。
図7c】第2の伝達当接部にロックピンが当接した状態の駆動装置を示すさらに別の図である。
図8a】第2の伝達当接部からロックピンが離れた状態の駆動装置を示す図である。
図8b】第2の伝達当接部からロックピンが離れた状態の駆動装置を示す別の図である。
図8c】第2の伝達当接部からロックピンが離れた状態の駆動装置を示すさらに別の図である。
図9a】閉鎖位置にある駆動装置を示す図である。
図9b】閉鎖位置にある駆動装置を示す別の図である。
図9c】閉鎖位置にある駆動装置を示すさらに別の図である。
図10a】ロック位置にある駆動装置を示す図である。
図10b】ロック位置にある駆動装置を示す別の図である。
図10c】ロック位置にある駆動装置を示すさらに別の図である。
図11a】過剰押込み位置にある駆動装置を示す図である。
図11b】過剰押込み位置にある駆動装置を示す別の図である。
図11c】過剰押込み位置にある駆動装置を示すさらに別の図である。
図12a】第1の伝達当接部にロックピンが当接した状態の駆動装置を示す図である。
図12b】第1の伝達当接部にロックピンが当接した状態の駆動装置を示す別の図である。
図12c】第1の伝達当接部にロックピンが当接した状態の駆動装置を示すさらに別の図である。
図13a】第1の伝達当接部からロックピンが離れた状態の駆動装置を示す図である。
図13b】第1の伝達当接部からロックピンが離れた状態の駆動装置を示す別の図である。
図13c】第1の伝達当接部からロックピンが離れた状態の駆動装置を示すさらに別の図である。
図14a】押出し運動中の駆動装置を示す図である。
図14b】押出し運動中の駆動装置を示す別の図である。
図14c】押出し運動中の駆動装置を示すさらに別の図である。
図15】自由走行通路内にロックピンが位置している状態の駆動装置の一部を示す平面図である。
図16a】開放位置にある駆動装置を示す図である。
図16b】開放位置にある駆動装置を示す別の図である。
図16c】開放位置にある駆動装置を示すさらに別の図である。
【0027】
図1には、家具本体9と、全部で4つの可動の家具部分2とを備えた家具8が極めて一般的に示されている。各家具部分2は、少なくともスライド容器10とフロントパネル11とから成っている。可動の家具部分2は、引出し側レール13と本体側レール14と(場合によっては図示されていない中間レールと)から成る引出し用引出しガイド12を介して、家具本体9に取り付けられている。
【0028】
最上部の引出しには、概略的に駆動装置1が示されている。駆動装置1は支持体3を有している。この場合、この支持体3は、引出し側レール13に取り付けられている(図1の概略図では、支持体3は引出し側レール13に相当する)。駆動装置1は、エジェクション装置4を有しており、このエジェクション装置4のエジェクションキャリッジ41とエジェクション蓄力器42とが概略的に示されている。ロック装置5は、支持体3に形成されたガイド軌道52と、(この場合ハートカム状の)このガイド軌道52で案内されるロックピン51とを有している。本体側レール14(または家具本体9自体)には、連行体15が配置されていて、この連行体には、エジェクション装置4が、少なくとも所定の区分で係合している。しかしながらこの配置は逆であってもよい。すなわち、駆動装置1が本体側レール14に配設されていて、連行体15が可動の家具部分2に配設されている。最上部の引出しは、開放位置OSに位置している。
【0029】
引出しをこの開放位置OSから閉鎖方向SRで動かすと、ロックピン51は、ガイド軌道52の閉鎖区分Cを移動する(後述する詳細参照)。この場合、エジェクション蓄力器42は、エジェクションキャリッジ41と支持体3との間の相対運動により緊張させられる。
【0030】
閉鎖位置(上から3番目の引出し)では、エジェクション蓄力器42が完全に緊縮している。この閉鎖位置SSには、純粋に手動の閉鎖運動により達することができる。代替的に、設けるとすれば引出しガイド12に組み込まれている、概略的にのみ示された引込み装置16によって、可動の家具部分2を閉鎖位置SSへと動かすことが、もしくは引き込むことができる。
【0031】
この閉鎖位置SSを起点として、可動の家具部分2は、可動の家具部分2を押し込むことにより、過剰押込み位置US(図1の最下方の引出し)に到る。これにより、ロック装置5のロック解除が行われる。閉鎖方向SRに過剰押込みが行われた後、使用者がそれ以上可動の家具部分2を押さなくなるとすぐに、可動の家具部分2は、駆動装置1によって開放方向ORに押し出される。これにより、可動の家具部分2は、上から2番目の引出しのような開放位置OSへと到る。この位置では、引出しを例えばフロントパネル11を介して把持することができ、手動でさらに、1番上の引出しの位置へと移動させることができる。
【0032】
図2には、スライド容器10とフロントパネル11とを備えた引出しの形態の可動の家具部分2の斜視図が示されている。さらに、引出し側レール13と本体側レール14とを備えた引出し用引出しガイド12が示されており、この場合、引出し用引出しガイド12が可動の家具部分2の両側に設けられている。さらに、図2には駆動装置1が示されている。駆動装置1は本体側レール14に取り付けられている。この駆動装置1(もしくはその支持体3)は、可動の家具部分2の閉鎖方向SRで延在している。とりわけより小さいまたはより短い引出しの場合は、可動の家具部分2に駆動装置1が1つだけ配置されていれば十分である。1つだけの駆動装置は、(図示したように)右側の引出し用引出しガイド12に配置することができるが、左側の引出し用引出しガイド12に配置されていてもよい。
【0033】
より幅の広いもしくはより大きな引出しの場合は、とりわけ家具本体9内での引出しの傾きまたは引っかかりを回避するために、可動の家具部分の両側に互いに同期する駆動装置1および1’が設けられていると好適である。これに合わせて、図3には、(第1の)駆動装置1と第2の駆動装置1’とから成る装置7が示されている。これらの両駆動装置1および1’は、同期ロッド65を介して互いに接続されている。具体的には、駆動装置1および1’の開放運動および閉鎖運動の個々の動きが互いに同期されている。第1の駆動装置1は、第2の駆動装置1’に対して鏡像対称的に形成されている。または、駆動装置1および1’は同一に形成されている。
【0034】
図4は、駆動装置1の分解状態を示す斜視図である。この駆動装置1は、細長い支持体3を有している。この支持体3は、引出し側レール13に取外し可能に接続されている。例えば、このために、スナップ結合またはねじ結合が行われてよい。この支持体3には、ロックピン51のためのハートカム状のガイド軌道52が形成されている。ガイド軌道52は、ロックエレメント53とロックピン51と共に、エジェクション装置4のためのロック装置5を形成する。
【0035】
エジェクション装置4はさらに、エジェクションキャリッジ41、エジェクションキャリッジ41に可動に(好適には回転可能に)支持された制御レバー43、およびエジェクション蓄力器42を有している。エジェクションキャリッジ41は支持体3に直線状に摺動可能に支持されている。エジェクションキャリッジ41には、回転軸X45が配設されている。この回転軸X45内には、もしくはこの回転軸X45には、制御レバー43がその回転軸対応部材45を介して回転可能に支承されている。制御レバー43には、ロックピン51が配置もしくは形成されている。エジェクションキャリッジ41には、第1の蓄力器ベース46が形成されている。第2の蓄力器ベース47は支持体3に形成されている。引張ばねの形態のエジェクション蓄力器42は、一方の端部で第1の蓄力器ベース46に取り付けられていて、他方の端部で第2の蓄力器ベース47に取り付けられている。エジェクションキャリッジ41には、連行体捕捉レバー48のための回転軸X44が形成されている。この連行体捕捉レバー48は、回転軸対応部材44を介して回転軸X44に回転可能に支承されている。連行体捕捉レバー48は、支持体3に形成されたスロット軌道49においてガイドエレメントを介してガイドされている。
【0036】
駆動装置1は、同期装置6も有している。この同期装置6は、一方では、支持体3に沿って直線状に可動の伝達エレメント60を含む。この伝達エレメント60はさらに、支持体本体64と、第1の伝達当接部61と、第2の伝達当接部62と、同期連結エレメント63とを有している。同期連結エレメント63は、閉鎖方向SRで互いに離間した歯列67を有している。他方では、同期装置6は、同期連結対応エレメント66も含む。この同期連結対応エレメント66は支持体3に回転可能に支持されている。同期連結対応エレメント66は、歯列68を備えた歯車を有している。これらの歯列68は、歯列67に噛み合う。同期連結対応エレメント66に形成された収容部69には同期ロッド65を取り付けることができる。
【0037】
図4により、同期連結エレメント63は、閉鎖方向SRに対して直角方向で測定した最大幅B63を有しており、この最大幅B63が伝達エレメント60の支持体本体64の、閉鎖方向SRに対して直角方向で測定した最大幅B64よりも小さいこともわかる。
【0038】
図4からはさらに、ガイド軌道52が、閉鎖方向SRに対して直角方向で測定した最大ガイド軌道幅Bmaxを有していることもわかる。この最大ガイド軌道幅Bmaxは、図5aおよび図5cにも再度示されている。閉鎖方向SRで見て、同期連結エレメント63とエジェクション蓄力器42とは、図5aにおいて破線で示されているように、このガイド軌道幅Bmaxの内側に配置されている。これにより、駆動装置1は比較的小幅に形成されている。
【0039】
図5aには、組み立てられた駆動装置1の平面図が示されている。エジェクション蓄力器42は、両蓄力器ベース46および47に保持されている。連行体15は、連行体捕捉レバー48とエジェクションキャリッジ41との間に捕捉されている。図5aの左側の領域には、同期連結エレメント63の、歯列67とは反対の側が示されている。支持体3に形成されたガイド軌道52を認識することができる。同期連結エレメント63は、閉鎖方向SRでガイド軌道52の後方に位置していて、エジェクション蓄力器42は閉鎖方向SRでガイド軌道52の手前に位置している。ガイド軌道52内で案内されるロックピン51は、図5aでは、ガイド軌道52の最も右側の端部の格納区分Lに位置している。図5aに示された駆動装置1のこの位置は、可動の家具部分2の完全な開放位置OSに相当する。
【0040】
これに適合する図5bの詳細図により、制御レバー43に設けられたロックピン51が格納区分Lに位置していることがわかる。
【0041】
図5cには、図5aの駆動装置1の一部が平面図で示されており、この場合、右側の領域とエジェクションキャリッジ41とは示されていない。ロックピン51は、ガイド軌道52の格納区分Lに位置している。ガイド軌道52はさらに、ロックピン51が、可動の家具部分2の閉鎖運動時に移動可能である閉鎖区分Cも有している。次には、ロックピン51が、閉鎖区分Cを離れた後に移動可能である係止区分Eが続いている。その後には、過剰押込み区分Uが続く。この区分には、さらに、ロックピン51が、可動の家具部分2の開放もしくは押出し時に移動可能である開放区分Oが続いている。この開放区分Oは最終的には再び格納区分Lもしくは閉鎖区分Cに移行する。図5cの左側の領域には、同期連結エレメント63の背面に隣接して、同期連結対応エレメント66の歯列68も示されている。
【0042】
図6aでは、可動の家具部分2は閉鎖方向SRで動かされているが、まだ開放位置OSにある。閉鎖運動により、可動の家具部分2に配設されている連行体15は閉鎖方向SRで動かされ、この際に、エジェクションキャリッジ41を連行する。これにより、エジェクションキャリッジ41は、支持体3に対して相対的に動かされ、エジェクション蓄力器42は緊張させられる。
【0043】
図6bの詳細図により、ロックピン51がもはや格納区分Lにはなく、ガイド軌道52の閉鎖区分Cに位置していることがわかる。
【0044】
図7aによれば、可動の家具部分2、および可動の家具部分と共にエジェクションキャリッジ41が、さらに閉鎖方向SRへと動かされている。しかしながら可動の家具部分2はまだ開放位置OSに位置している。エジェクション蓄力器42は、さらに緊張させられる。
【0045】
図7bの詳細図では、ロックピン51は閉鎖区分Cにおいて、このロックピン51が、ガイド軌道52内に突入している第2の伝達当接部62に当接するまで移動させられている。具体的には、同期装置6の伝達エレメント60が、ガイド軌道52の閉鎖区分C内に突入しているこの第2の伝達当接部62を有している。第2の伝達当接部62は、当接位置Aに位置している。
【0046】
図7cには、再び、エジェクションキャリッジ41が図示されていない状態で、駆動装置1が示されている。
【0047】
図8aによれば、可動の家具部分2はさらに閉鎖方向SRで動かされているが、閉鎖位置SSにはまだ到達していない。したがって、可動の家具部分2はまだ開放位置OSにある。エジェクション蓄力器42は、ほぼ完全に緊張させられている。
【0048】
ロックピン51が当接位置Aで第2の伝達当接部62に当接することにより、伝達エレメント60は(図7aから図8aへの)閉鎖運動の際に、この第2の伝達当接部62を介してロックピン51によって移動させられる。第2の伝達当接部62は、ロックピン51によって当接位置Aから、(下降された)退避位置W(図8bの破線参照)へと移動可能であり、この退避位置では、第2の伝達当接部62はもはやガイド軌道52内には突入しておらず、ロックピン51は第2の伝達当接部62から解放される。第2の伝達当接部62の退避位置Wへのこのような移動により、係止区分E内へのロックピン51のさらなる運動が解放される。
【0049】
図8cにより、(専ら)閉鎖運動の際にロックピン51によって第2の伝達当接部62を介して引き起こされる、伝達エレメント60の動きによって、(伝達エレメント60に形成された)ロックエレメント53が、係止凹部形成位置へと移動可能であり、この位置では、ロックエレメント53が、ガイド軌道52の係止凹部Rをガイド軌道52において形成していることがわかる。伝達エレメント60のこの移動と同時に、同期連結エレメント63も動かされ、これにより、同期連結対応エレメント66の回転運動も引き起こされる。この回転運動は、同期ロッド65を介して第2の駆動装置1’へと伝達される。したがって、閉鎖区分Cにおける閉鎖運動のこのような最後の移動区分が同期させられる。
【0050】
図9aによれば、可動の家具部分2がさらに閉鎖方向SRで動かされていて、これにより閉鎖位置SSに到達している。エジェクション蓄力器42は、完全に緊張させられている。
【0051】
図9bおよび図9cに示されたように、ロックピン51は、ガイド軌道52の押込み保護通路D内にまで移動している。伝達エレメント60は、この(押込み)運動の際には静止している。すなわち、同期もしくは第2の駆動装置1’への運動の伝達は行われない。
【0052】
図10a~図10cに示されたこの位置で、使用者が可動の家具部分2に対する押込みをやめると、エジェクション蓄力器42は幾分弛緩されて、この場合、エジェクションキャリッジ41を僅かに開放方向ORに動かし、これによりロックピン51は、ロックピン51が係止凹部R内で係止されるまで、係止区分Eに沿って動かされる。これにより、図10a、図10b、および図10cに示されたように、ロック装置5のロック位置VSが生じる。係止凹部Rは、係止区分Eの最後の領域と、ロックエレメント53の保持面Hとによって形成される。係止区分Eにおけるロックピン51のこのような動きの際も、伝達エレメント60は静止している。すなわち、同期もしくは第2の駆動装置1’への運動の伝達は行われない。
【0053】
図11a、図11b、および図11cには、過剰押込み運動が示されている。図10a~図10cに示された閉鎖位置SSに位置している可動の家具部分2を閉鎖方向SRに押すと、可動の家具部分2は過剰押込み位置USに到る。可動の家具部分2のこのような過剰押込み運動は、連行体15によって、エジェクション装置4のエジェクションキャリッジ41へと、そして更にエジェクションキャリッジに連結された制御レバー43へと伝達され、これにより、制御レバー43に配設されたロックピン51は、係止凹部Rから解放されて、変位斜面54によって、変位させられて、ガイド軌道52の(過剰押込み通路を含む)過剰押込み区分Uに到る。このような変位によって、制御レバー43はさらに、反時計回りで旋回させられる。ロック位置VSは解消されて、ロック装置5はロック解除される。伝達エレメント60は、この過剰押込み運動の際も静止している。
【0054】
図11a~図11cに示されたこの過剰押込み位置USで、使用者が可動の家具部分2に対する押込みをやめると、ロックピン51はもはやロックされていないので、エジェクション蓄力器42は弛緩される。この弛緩により、エジェクションキャリッジ41、およびこのエジェクションキャリッジ41と共にロックピン51が、ガイド軌道52の開放区分Oに沿って動かされる。この移動の際に、ロックピン51はまず、ロックエレメント53に形成された端面Sに当接する。図12bでは、ロックピン51はちょうど端面Sに当接している。図12cでは、ロックピン51は、端面Sを介してロックエレメント53を既に僅かに開放方向ORで動かしている。第1の伝達当接部61は、ロックエレメント53に形成された、保持面Hに対して横方向に向けられているこの端面Sによって形成されている。ガイド軌道52の開放区分Oに進入するこの第1の伝達当接部61によって、伝達エレメント60は、開放運動の際にロックピン51によって移動させることができる。したがって、同期もしくは第2の駆動装置1’へのこの開放運動の伝達が行われる。可動の家具部分2の過剰押込みにも関わらず、第2の駆動装置1’において、何らかの理由で、未だにロック解除が行われていない場合には、このような同期によって、第2の駆動装置1’のロックエレメント53が、開放方向ORで動かされるので、このロックエレメント53は、係止凹部Rをもはや形成してはおらず、第2の駆動装置1’のロックピン51はロック解除される。
【0055】
図13a、図13b、および図13cでは、エジェクション蓄力器42は、僅かにさらに弛緩されて、可動の家具部分2の開放位置OSに到達する。ロックピン51は、ロックエレメント53の端面Sにまだ当接しているが、この傾斜している端面Sから、ロックエレメント53とガイド軌道52の半島状の領域55との間のギャップを通って、既に変位している。伝達エレメント60の運動、したがって第2の駆動装置1’の同期は終了する。
【0056】
図14a、図14b、および図14cでは、エジェクション蓄力器42はさらに弛緩されている。ロックピン51は、ギャップ56を通って完全に移動している。
【0057】
図14a~図14cに示された、実際に、エジェクション装置4によって押出し運動が行われるこの位置から出発において、可動の家具部分2が閉鎖方向SRに誤って押されると、ロックピン51は、開放区分Oの構成に基づき、再び過剰押込み区分U内にまたは係止凹部R内に到ることはできない。このような理由から、ガイド軌道52は、図15に示された自由走行通路Fを有している。この通路内において、ロックピン51は、早過ぎる誤った閉鎖運動の際に、破壊されることなく移動することができる。
【0058】
図16a、図16b、および図16cでは、押出し運動もしくは開放運動は殆ど終了している。ロックピン51は、開放区分Oの最後の領域に位置している。エジェクション蓄力器42は、ほぼ完全に弛緩しているもしくは放圧されている。
【0059】
最後に、可動の家具部分2と駆動装置1とは再び、図5a~図5cに示された位置へと到る。この位置で、使用者がさらに、可動の家具部分2を開放方向ORに引くと、連行体捕捉レバー48は、スロット軌道49のカム状の構成に基づき、反時計回りに、回転軸X44を中心として回転する。これにより、連行体15は、それ以降、エジェクションキャリッジ41と連行体捕捉レバー48との間には捕捉されない。可動の家具部分2は、自由に移動することができる。駆動装置1は、静止していて、可動の家具部分2による影響を受けない。
【符号の説明】
【0060】
1 (第1の)駆動装置
1’ 第2の駆動装置
2 可動の家具部分
3 支持体
4 エジェクション装置
41 エジェクションキャリッジ
42 エジェクション蓄力器
43 制御レバー
44 回転軸対応部材
45 回転軸対応部材
46 第1の蓄力器ベース
47 第2の蓄力器ベース
48 連行体捕捉レバー
49 スロット軌道
5 ロック装置
51 ロックピン
52 ガイド軌道
53 ロックエレメント
54 変位斜面
55 半島状の領域
56 ギャップ
6 同期装置
60 伝達エレメント
61 第1の伝達当接部
62 第2の伝達当接部
63 同期連結エレメント
64 支持体本体
65 同期ロッド
66 同期連結対応エレメント
67 歯列
68 歯列
69 収容部
7 装置
8 家具
9 家具本体
10 スライド容器
11 フロントパネル
12 引出し用引出しガイド
13 引出し側レール
14 本体側レール
15 連行体
16 引込み装置
SS 閉鎖位置
OS 開放位置
US 過剰押込み位置
VS ロック位置
R 係止凹部
H 保持面
O 開放区分
S 端面
C 閉鎖区分
A 当接位置
W 退避位置
E 係止区分
U 過剰押込み区分
L 格納区分
D 押込み保護通路
F 自由走行通路
SR 閉鎖方向
OR 開放方向
max 最大ガイド軌道幅
63 同期連結エレメントの最大幅
64 支持体本体の最大幅
44 回転軸
45 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
図14c
図15
図16a
図16b
図16c
【国際調査報告】