IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インペリアル・カレッジ・イノベ−ションズ・リミテッドの特許一覧

特表2022-528560電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー
<>
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図1
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図2
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図3
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図4
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図5
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図6a
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図6b
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図7a
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図7b
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図7c
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図8
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図9
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図10
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図11
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図12
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図13
  • 特表-電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(54)【発明の名称】電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサー
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/30 20060101AFI20220607BHJP
   G01N 27/27 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
G01N27/30 F
G01N27/27 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560193
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 GB2020050859
(87)【国際公開番号】W WO2020201741
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】1904554.1
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519340400
【氏名又は名称】インペリアル・カレッジ・イノベーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL COLLEGE INNOVATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ガン-ゾン
(72)【発明者】
【氏名】アナスタソワ-イワノワ,サルジツァ
(72)【発明者】
【氏名】テメルクラン,ブラク
(72)【発明者】
【氏名】アブデラジズ,モハメド イー.エム.ケー
(72)【発明者】
【氏名】ソリン,ファビエン
(57)【要約】
電気化学フィラメントを含む電気化学センサーを含む細長部材を備えるセンサー(20)であって、電気化学フィラメントは、細長部材の長さに沿って延在し、細長部材は、延伸可能な材料から形成されたファイバーを含み、センサーは、光透過性材料から形成された光フィラメントを含む光センサーをさらに備え得る。さらに、複数の電気化学的および任意選択で光学的なフィラメントが細長部材を通って延在し得、細長部材が、対象の分子の電気化学的かつ任意選択で光学的な検出を可能にするように機能化された露出領域を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学フィラメントを含む電気化学センサーを含む細長部材を備えるセンサーであって、前記電気化学フィラメントは前記細長部材の長さに沿って延在し、前記細長部材は、延伸可能な材料から形成されたファイバーを含む、センサー。
【請求項2】
前記細長部材の前記長さに沿って延在する光フィラメントを含む光センサーをさらに備える、請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記延伸可能な材料が、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート合金(PC/ABS、PC/PMMA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)などの延伸可能なアモルファス熱可塑性材料を含む、請求項1または2に記載のセンサー。
【請求項4】
前記電気化学センサーが、導電性フィラメントから形成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項5】
前記光センサーが、光透過性フィラメントから形成されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項6】
前記電気化学フィラメントが少なくとも1つの露出領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項7】
前記光フィラメントが少なくとも1つの露出領域を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項8】
前記電気化学センサーが作用電極を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項9】
前記細長部材が、基準センサーをさらに含み、前記基準センサーが基準電極を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記細長部材が補助センサーをさらに含み、前記補助センサーが補助電極を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項11】
前記細長部材を通って延在する複数の電気化学的および任意選択で光学的なフィラメントを含み、前記細長部材は、遠位端に、かつ/または、前記細長部材の側面に、かつ/または、前記細長部材の内部に、1つ以上の露出領域を有し、前記1つ以上の露出領域は、対象の分子の電気化学的かつ任意選択で光学的な検出を可能にするように機能化されている、先行請求項のいずれか一項に記載のセンサー。
【請求項12】
電気化学センサーを含むセンサーを形成する方法であって、前記センサーが細長部材の長さに沿って延在するフィラメントを含み、
(a)母材を形成するための材料を選択するステップと、
(b)電気化学センサー材料を前記母材に組み込むステップと、
(c)前記母材を延伸して、前記細長部材および前記電気化学センサーを形成するステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記母材を形成するために選択された前記材料が、延伸可能なアモルファス熱可塑性材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記選択された材料が、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート合金(PC/ABS、PC/PMMA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)から選択される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
光センサー材料を前記母材に組み込むステップをさらに含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記センサーまたは各センサーの表面を露出させるさらなるステップを含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記母材が5~100mmの直径を有する、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーに関し、特に、限定されるものではないが、電気化学的検知を組み込んだファイバーベースのセンサーに関する。本発明は、光学的検知を組み込んだファイバーベースの電気化学センサーにも関する。
【0002】
電気化学センサー、または電気化学センサーおよび光センサーの双方がファイバー内に組み込まれているファイバーベースのセンサーは、特に医療分野での用途が考えられ得るが、その他の用途も想定される。このようなセンサーは、診断目的にも使用され得る。
【0003】
導電性素子をポリマーファイバーに導入することが知られている。しかし、そのような既知のセンサーでは、電気化学的要因と光学的要因の双方を検出するための測定を行うことはできない。
【0004】
本発明の第1の態様によれば、電気化学フィラメントを含む電気化学センサーを含む細長部材を備えたセンサーが提供され、電気化学フィラメントは細長部材の長さに沿って延在し、細長部材は、ファイバーを含み、ファイバーは延伸可能な材料から形成されている。
【0005】
電気化学フィラメントは、細長部材の長さに沿って完全に、または、部分的にのみ延在してよい。
【0006】
本発明により、細長部材の先端に電気化学センサーを有することが可能である。このような配置は、気管支、胃腸、小腸などの身体の部位にある精密で微少な粒子の濃度の検出に有益である。
【0007】
本発明の実施形態では、センサーは、細長部材の長さに沿って延在する光フィラメントを含む光センサーをさらに含む。
【0008】
電気化学的変数と光学的変数の双方を1つのセンサーで検知できる本発明のこのような実施形態は、電気化学的な分析物に加えて光学的に検出可能な分析物の検出における大きな利点から利益を得る。
【0009】
光フィラメントは、細長部材の長さに沿って完全に、または部分的にのみ延在してよい。
【0010】
細長部材が形成される延伸可能な材料は、例えば、延伸可能なポリマー材料を含んでよい。広範な適切な材料が存在し、本発明の実施形態では、ファイバーは、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート合金(PC/ABS、PC/PMMA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)などの延伸可能なアモルファス熱可塑性材料から延伸される。
【0011】
延伸可能な材料から形成されたファイバーを含むセンサーを有することの利点は、センサーの長さおよび寸法を容易に調整して、適切な寸法を有するセンサーを実現し得ることである。
【0012】
電気化学センサーは、任意の適切な材料から形成してよく、本発明の実施形態では、電気化学センサーは、導電性フィラメントから形成される。
【0013】
導電性フィラメントは、アモルファス金属もしくはポリマーでよく、または、結晶性の金属もしくはポリマーでよい。
【0014】
本発明の一実施形態では、電気化学センサーを形成するための適切な材料の例は、炭素を含む。
【0015】
本発明の他の実施形態では、電気化学センサーは、炭素などのナノ粒子、またはカーボンMTもしくはPtMTなどのナノチューブ、またはこれらの材料の組み合わせを装填することによって導電性となるアモルファスまたは結晶性の金属またはポリマーを含む。
【0016】
他の適切な、適切な金属には、Pt、Ir、金、これらの材料の合金、ならびに他の類似の材料および合金が含まれる。
【0017】
光センサーは、任意の適切な材料から形成してよく、本発明の実施形態では、光センサーは、光透過性フィラメントから形成される。
【0018】
本発明の実施形態では、光センサーは、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの光透過性ポリマーから形成される。
【0019】
適切なポリマーは、光透過性であるだけでなく、光透過性ポリマーを含むシリカファイバーを形成するために、シリコーンなどの別の材料と共延伸されることに適合しなくてはならない。
【0020】
本発明の実施形態では、光センサーは、所定の波長の光を透過させるポリマーから形成される。所定の波長は、検出される特定の分析物、および分析物を検出するために使用される染料に応じて変化する。
【0021】
代替的に、光センサーは、シリカファイバーから形成されてよい。
【0022】
本発明の実施形態では、センサーは、複数の電気化学センサーおよび複数の光センサーを含む。
【0023】
本発明のそのような実施形態では、電気化学センサーの各々は、電気化学センサーを参照して本明細書に記載された材料の1つ以上を含む電気化学フィラメントから形成されてもよく、光センサーの各々は、光センサーを参照して本明細書に記載された材料の1以上を含む光フィラメントから形成されてよい。
【0024】
本発明の実施形態では、各電気化学および光フィラメントは、少なくとも1つの露出領域を含む。換言すると、フィラメントの各々は、細長部材内に囲まれていない領域を含む。
【0025】
露出領域は、細長部材の任意の都合の良い部分に配置してもよく、例えば、細長部材の一端、または、細長部材の側部にあってよい。露出領域の位置は、センサーが置かれる用途によって決定されよう。
【0026】
センサーは、細長部材の先端、細長部材の側面の様々な位置、および/または、ファイバーのくぼみ内の内側などの任意の都合の良い場所に配置されてよい。
【0027】
センサーが複数の位置にあることによって、検知領域が大きくなり、センサーを1つの場所にのみ配置する場合よりも広い領域にわたって試験と検出を実行できるようになる。
【0028】
例えば、ファイバー内などのファイバーに沿った複数の異なる位置にセンサーを配置することのさらなる利点は、検知膜が保護され、生物付着が回避されることである。したがって、センサーの寿命が延びる。
【0029】
本発明の実施形態では、電気化学センサーは作用電極を含む。このような電極は、電気化学的測定を行うために使用してよい。
【0030】
本発明の実施形態では、細長部材は、基準センサーをさらに含み、その基準センサーは、基準電極を含む。
【0031】
次に、作用電極と基準電極の双方を使用して測定を行ってよい。
【0032】
本発明の実施形態では、細長部材は、補助センサーをさらに含み、その補助センサーは、補助電極を含む。
【0033】
本発明のそのような実施形態では、センサーを相互に使用して、適切な測定を行ってよい。
【0034】
本発明の実施形態では、センサーが、細長部材を通って延在する複数の電気化学的および任意選択で光学的なフィラメントを含んでよく、細長部材は、遠位端に、かつ/または、細長部材の側面に、かつ/または、細長部材の内部に、1つ以上の露出領域を有し、1つ以上の露出領域は、対象の分子の電気化学的かつ任意選択で光学的な検出を可能にするように機能化されている。
【0035】
本発明のそのような実施形態によって、細長部材を形成する単一のファイバーを介して電気的接続が提供され得るセンサーを提供することが可能である。これは、必要な電極のすべてが、ファイバーの形態である細長部材内に形成され得るためである。
【0036】
1つ以上の電気化学的センサーは、検知カクテルの電気化学的堆積によって調製されてよい。検知カクテルは、任意の適切な溶液でよく、例えば、グルコース、乳酸塩、ピルビン酸塩、過酸化水素、ドーパミン、pH、ナトリウム、またはカリウムを検知するための適切な溶液でよい。
【0037】
1つ以上の光センサーは、適切な染料を組み込んだ検知膜が固定化される精密なニードルドロップ鋳造法を使用して調製されてよい。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、電気化学センサーを含むセンサーを形成する方法が提供され、センサーが細長部材の長さに沿って延在するフィラメントを含み、当該方法は、
(a)母材を形成するための材料を選択するステップと、
(b)電気化学センサー材料を母材に組み込むステップと、
(c)母材を延伸して、細長部材および電気化学センサーを形成するステップと、を含む。
【0039】
母材を形成するために選択される材料は、任意の都合の良い材料であってよく、本発明の実施形態では、材料は延伸可能なアモルファス熱可塑性材料を含む。
【0040】
本発明の実施形態において、選択された材料が、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート合金(PC/ABS、PC/PMMA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)から選択される。
【0041】
本発明の実施形態では、この方法は、母材を形成する材料を選択するステップの後、導電性金属および任意選択で光センサー材料を母材に組み込むさらなるステップを含む。
【0042】
電気化学センサー材料を母材に組み込むステップは、光センサー材料を母材に組み込むステップの前に、該ステップの後で、または、該ステップと同時に行ってよい。
【0043】
電気化学センサー材料および光センサー材料は、任意の都合の良い方法によって母材に組み込んでよい。適切な方法は、
延伸工程中に適切な材料を母材内に同時供給することと、
適切な材料を母材と一緒に延伸することと、を含む。
【0044】
母材は、任意の都合の良い方法で形成してよい。このような方法の例は、真空中での熱可塑性ペレットのホットプレス、注型成形、または射出成形、積層造形技術(3Dプリント)の使用、市販のロッドまたはバーの直接的な加工、ならびに/または、熱可塑性シート/フィルムの圧延および母材への固化、を含む。
【0045】
母材は、上記の種類の方法の1つまたは組み合わせによって形成されてよい。
【0046】
母材が製造され、適切な材料が母材に組み込まれると、延伸工程が行われてよい。
【0047】
本発明の実施形態では、母材は、直径が5~100mmの寸法を有する微細母材である。
【0048】
本発明の実施形態では、母材の断面は、延伸工程全体を通して実質的に変化しないままである。これは、結果として得られるセンサーの断面が、延伸工程が開始される前の母材の断面と実質的に同じであることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
ここで、本発明は、以下の添付図面を参照して、例示としてのみさらに説明される。
図1図1は、イオン検知のための本発明の第1の実施形態を示す概略図である。
図2図2は、酵素検知に適した本発明の第2の実施形態の概略図である。
図3図3は、親和性に基づく検知のための本発明の第3の実施形態の概略図である。
図4図4は、イオン検知と酵素検知の双方に適した本発明の第4の実施形態の概略図である。
図5図5は、イオン、酵素、および親和性に基づく生物検知を検知するように適合されたセンサーを含む本発明の第5の実施形態の概略図である。
図6a図6aは、センサーを制御モジュールに接続するPCBインターフェースを示す、本発明のさらなる実施形態の概略図である。
図6b図6bは、センサーを制御モジュールに接続するPCBインターフェースを示す、本発明のさらなる実施形態の概略図である。
図7a図7aは、本発明の実施形態における選択的ファイバー機能化の工程を示す概略図である。
図7b図7bは、本発明の実施形態における選択的ファイバー機能化の工程を示す概略図である。
図7c図7cは、本発明の実施形態における選択的ファイバー機能化の工程を示す概略図である。
図8図8は、センサーが当該センサーの一端で露出している本発明の別の実施形態を示す概略図である。
図9図9は、センサーがカテーテルを含む本発明のさらに別の実施形態の概略図である。
図10図10は、本発明の実施形態において、センサーがファイバー内の異なる位置にどのように置かれ得るかを示す概略図である。
図11図11は、本発明の実施形態において、センサーがファイバー内の異なる位置にどのように置かれ得るかを示す概略図である。
図12図12は、本発明の実施形態において、センサーがファイバー内の異なる位置にどのように置かれ得るかを示す概略図である。
図13図13は、本発明の実施形態において、センサーがファイバー内の異なる位置にどのように置かれ得るかを示す概略図である。
図14図14は、検知と一体化された操縦可能なカテーテルを含む本発明のさらなる別の実施形態の概略図である。
【0050】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態によるセンサーは、概して、参照番号2によって示されている。センサー2は、延伸可能な材料から形成された単一のファイバーの形態である。延伸可能な材料は、延伸可能なポリマー材料を含んでよい。適切な材料は、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート合金(PC/ABS、PC/PMMA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)などのアモルファス熱可塑性材料を含む。
【0051】
センサー2は複数のフィラメント4を含み、本実施形態では、センサーは、4つの電気化学フィラメント4と、基準フィラメント6と、を含む。電気化学フィラメント4の各々は、イオン作用電極を含み、白金-イリジウム合金から形成されてよい。基準フィラメント6は、イオン基準電極であり、ステンレス鋼から形成されている。
【0052】
ここで図2に目を向けると、本発明の第2の実施形態によるセンサーは、概して、参照番号20によって示されている。本実施形態では、センサーは、ここでもファイバーから形成されており、ファイバー自体が延伸可能な材料から形成されている。適切な材料は、図1の実施形態を参照して上述したものと同一である。
【0053】
センサー20はアンペロメトリーセンサーであり、それゆえ、乳酸、グルコース、ピルビン酸などの代謝物を検知および測定するように適合されている。センサー20は、3つの電気化学フィラメント8を含み、これらの各々は、白金から形成された酵素作用電極を含む。センサーは、同じく白金から形成された酵素対極または補助電極であるフィラメント10をさらに含む。最後に、センサー20は、ステンレス鋼から形成された電気化学的基準電極であるフィラメント12を含む。
【0054】
ここで図3に目を向けると、本発明の第3の実施形態によるセンサーは、概して、参照番号30によって示されている。また、このセンサーは、図1および図2を参照して上述した種類の延伸可能な材料から形成されたファイバーから形成されている。センサー30は、親和性に基づくセンサーである。親和性に基づくセンサーは、分析物の濃度に比例する信号変換器とインターフェースする、抗体、受容体タンパク質、生体模倣材料、またはDNAなどの生体認識要素から構成された分析装置である。センサー30は電気化学フィラメント14をさらに含み、電気化学フィラメント14は、抗原/抗体(APTAMER)検出に基づく生物マーカーセンサーであり、かつ、作用電極である。電極は、ポリカーボネートを装填したカーボンナノチューブから形成されている。センサー30は、白金から形成された対極または補助電極の形態であるフィラメント16と、ステンレス鋼から形成された基準電極であるフィラメント18と、をさらに含む。
【0055】
本発明の第4の実施形態によるセンサー40は、図4に概略的に示されている。センサー40は、図1図3を参照して上述したように、延伸可能な材料から形成されたファイバーである。センサー40は、イオンおよび酵素を測定および分析するように適合されている。センサー40は、各々が白金から形成された酵素作用電極を含む3つのファイバー100と、同じく白金から作られた酵素対極、または、補助電極であるフィラメント110と、を含む。センサー40は、各々が白金-イリジウム合金から形成されたイオン作用電極を含む4つのフィラメント120と、ステンレス鋼から形成されたイオン基準電極130と、をさらに含む。最後に、センサー40は、ステンレス鋼から形成された酵素基準電極140を含む。
【0056】
ここで図5を参照すると、センサー50を含む本発明の第5の実施形態が示されている。センサー50は、図1図4を参照して上述した種類の延伸ファイバーから形成されている。センサー50は、イオンおよび酵素を測定および分析するように適合されており、かつ、単一のファイバー内で親和性に基づく生物検知を実行するように適合されている。センサー50は、ステンレス鋼から形成されたイオン基準電極150と、白金-イリジウム合金から形成されたイオン作用電極160と、ステンレス鋼から形成された酵素基準電極170と、白金から形成された酵素作用電極180と、同じく白金から形成された酵素対極、または、補助電極190と、を含む。センサー50は、ポリカーボネートが装填されたカーボンナノチューブから作られた生物マーカーセンサー200をさらに含む。この生物マーカーセンサー200は、抗原/抗体(APTAMER)検出作用電極に基づいている。
【0057】
また、酵素作用電極180および酵素対極190は、生物マーカーおよび/または細菌を検知するために使用されてよい。
【0058】
ここで図6aおよび図6bに目を向けると、ファイバーPCBインターフェースが概略的に示されている。本実施形態では、センサー20は、図2に示され、かつ、上述された種類であるが、本発明の任意の実施形態によるセンサーは、図6aおよび図6bに示されるように、PCBインターフェースを使用して接続されてよい。
【0059】
図6aおよび図6bに示されるように、センサー20は、例えば分析器(図示せず)へセンサー20を電気的に接続するために、PCBボード60に接続されてよい。
【0060】
フィラメント8、10、12の各々の端部は、適切な電気的接続を実現するために、PCBボード60の適切な部分にはんだ付けされてよい。
【0061】
ここで図7a~図7cに目を向けると、選択的ファイバー機能化の工程が概略的に示されている。
【0062】
図示するように、本発明の実施形態によるセンサーは、本発明の実施形態によるセンサー200を含み、このセンサー200は、前の実施形態を参照した上記のように延伸可能な材料から形成されたファイバーを含む。センサー200は、以下に説明するようにセンサーとして機能するフィラメント220を含む。センサー200は、容器72内の溶液70に挿入される。溶液70は、センサーが適切に校正され得るように、所定の濃度を有する所定の化合物から形成される。
【0063】
図7bは、プローブ20の一部を形成するフィラメント220をより詳細に示している。センサー220の各々は、プローブが置かれる使途に応じて調製される。
【0064】
イオン選択センサーの場合、センサーは、最初に洗浄および乾燥され、次に、白金230などの材料が、例えば、ナノ粒子堆積を使用して適用される。このような工程により、センサーの表面積が増加し、センサーの感度が高くなることにつながり得る。
【0065】
図7cは、ファイバーが、各検知先端上のいくつかの異なる層230、240でどのように機能化され得るかを示している。
【0066】
さらなる層を堆積してよく、その層は検知膜を含む。イオン検知膜には、ニトロフェニルオクチルエーテルなどのイオンサイト、pH、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉛、鉄、マグネシウムなどの対象のイオンに特有のイオン泳動、ポリ塩化ビニルなどの可塑剤、テトラヒドロフランなどの溶媒が含まれている。
【0067】
このような混合物(またはカクテル)を、センサーに堆積させ、一晩乾燥させることができる。
【0068】
このステップに続いて、膜は調整または充電される。このような工程の間に、試験される分析物の低濃度と高濃度が膜にさらされるため、センサーは必要な対象範囲内で高感度になり得る。
【0069】
代謝物を検知するように適合されたセンサーの場合、膜は、対象の分析物に感受性のある酵素から調製されてよく、また、その酵素は、グルタルアルデヒドを使用してウシ血清アルブミンに架橋されてよい。
【0070】
ポリウレタンなどの生体適合性膜層のいくつかの層は、センサーを保護し、かつ、センサーがプローブ200の寿命中に適切に応答することを可能にするために、これらの工程の後に堆積されてよい。
【0071】
ここで図8に目を向けると、本発明の別の実施形態によるセンサー300の一部の概略図が示されている。センサー300は、電気化学センサー、光センサー、またはこれら2つの組み合わせであり得る複数のフィラメント、もしくは、ワイヤ310を含む。本実施形態のセンサーは、センサー300の一端で露出している。図8に示されるセンサーは、図7a~図7cを参照して上で説明したように機能化され得る。
【0072】
図9では、本発明の別の実施形態は、概して、参照番号400によって示されている。本実施形態では、センサー400は、カテーテルまたはドレーンとして使用するように適合されている。本実施形態では、センサー400は、ファイバー410から形成され、ファイバー410は、中央チャネルの形態の腹腔外ドレーンであり得るドレーン420を有し、かつ、ファイバー410を通って軸方向に延在する。チャネル420は、帯の形態のファイバー壁430によって規定されている。ドレーン420は、薬物を送達するために使用されてよい。ファイバー壁に形成されるのは、本実施形態ではファイバー410の一端で露出されるセンサーを含む複数のフィラメント440である。フィラメント440から形成されたセンサーは、例えば、感染、敗血症、または炎症の精密な連続監視を可能にするために、図7a~図7cを参照して上で説明したように機能化されてよい。
【0073】
ここで図10から図13に目を向けると、本発明のさらなる実施形態が示されている。図示された実施形態の各々において、センサーは、それぞれファイバー500、510、520、および530を含む。本発明の各実施形態では、センサーは、それぞれ複数のフィラメント440、450、460、および470を含む細長いファイバーから形成されている。実施形態の各々において、フィラメントは、それぞれのファイバーの一端で露出されており、またファイバーの片側のみに配置されている。フィラメント540、540、560および570の各々は、それぞれのファイバーの一端で露出している。さらに、図11図12、および図13に示される実施形態の各々において、ファイバーの曲面の部分600に沿って同じく露出されているフィラメント580が存在する。
【0074】
ここで図14に目を向けると、本発明の別の実施形態が示されている。本実施形態では、センサーは、延伸ファイバー710の形態の細長部材から形成されたカテーテル700を含み、延伸ファイバー710の中にフィラメント720の形態のセンサーが形成されている。センサーは、ファイバー710に沿って一体化され、かつ操縦可能なカテーテルと一体化され得る検知部品を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】