(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(54)【発明の名称】パーチメント紙および多糖類系のコーティングを含む密閉パッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20220607BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220607BHJP
C09J 167/04 20060101ALI20220607BHJP
B32B 29/06 20060101ALI20220607BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20220607BHJP
D21H 19/10 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
B65D65/40 D
C09J201/00
C09J167/04
B32B29/06
D21H27/00 B
D21H19/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560483
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 SE2020050370
(87)【国際公開番号】W WO2020209781
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441250
【氏名又は名称】フェルナンディ イノベーション アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】FERNANDI INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンディ、カール-ヘンリク
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J040
4L055
【Fターム(参考)】
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4L055GA47
(57)【要約】
本発明は、i)食品の貯蔵用の容積を密閉し、かつ形成する第1パーチメント紙と、ii)ii.a)前記第1パーチメント紙の片側面上、またはii.b)前記第1パーチメント紙の片側面上に直接コーティングされたバイオ系の結合剤コーティング上、にコーティングされた多糖類系の組成物と、を含む食品用の密閉パッケージに関連し、前記多糖類系の組成物は、前記形成された容積とは反対側に面する前記パッケージの側面上にコーティングされる。本発明はまた、密閉パッケージの形成方法およびその使用方法に関連する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)食品の貯蔵用の容積を密閉し、かつ形成する第1パーチメント紙
ii)ii.a)前記第1パーチメント紙の片側面上;または
ii.b)前記第1パーチメント紙の片側面上に直接コーティングされたバイオ系の結合剤コーティング上
にコーティングされた多糖類系の組成物
を含む食品用密閉パッケージであって、前記多糖類系の組成物は、形成された前記容積とは反対側に面する前記パッケージの側面上にコーティングされる、パッケージ。
【請求項2】
前記第1パーチメント紙は、樹脂および/またはロジンから選択されるサイジング剤によって前処理される請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記多糖類系の組成物は、ヘミセルロース、マイクロフィブリルセルロース、ナノフィブリルセルロース、またはそれらの混合物を含む請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記パーチメント紙は、シリコーン系の化合物および/またはフッ素系の化合物を含まない請求項1~3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記多糖類系の組成物は、マイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリル多糖類を含む請求項1~4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記バイオ系の結合剤は、前記第1パーチメント紙上および/または前記多糖類系の組成物のコーティング上に直接コーティングされる請求項1~5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
バイオ系の結合剤でコーティングされた第2パーチメント紙は、形成された前記容積の最も近くの前記パッケージの側面上で前記第1パーチメント紙に積層され、前記バイオ系の結合剤コーティングは、前記第1パーチメント紙と前記第2パーチメント紙との間に配置される請求項1~6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記多糖類系の組成物コーティングは、1~20μmの範囲の厚さを有する請求項1~7のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記バイオ系の結合剤コーティングは、ラテックス、ワックス、ポリ乳酸修飾ポリエステル、誘導体および/またはそれらの混合物を含む請求項1~8のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項10】
外部パッケージを形成するポリエチレン系の、および/またはバイオ系の、押し出し可能なポリマーパッケージは、請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージを封入する請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記外部パッケージは、請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージにしっかりと密閉される請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージと前記外部パッケージとの間のギャップは空気を含有するか、または真空にされる請求項10または11に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記バイオ系の結合剤コーティングは、ポリ乳酸修飾ポリエステルを含む請求項1~12のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記バイオ系の結合剤コーティングは、5~50μmの厚さの範囲を有する請求項1~13のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記多糖類系の組成物は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、ヒドロキシエチルセルロースを含まない請求項1~14のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項16】
第2パーチメント紙は多糖類系の組成物でコーティングされ、バイオ系の結合剤は、前記形成された多糖類系の組成物コーティング上にコーティングされ、密閉された前記容積に最も近い前記第2パーチメント紙は、前記第1パーチメント紙に積層され、前記多糖類系の組成物の前記コーティングおよび前記バイオ系の結合剤コーティングは、前記第1パーチメント紙と前記第2パーチメント紙との間に配置される請求項1~6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項17】
前記第1パーチメント紙は、片側が多糖類系の組成物で、および、任意選択的には、バイオ系の結合剤でコーティングされ、前記第1パーチメント紙は折り畳まれて封入容積を形成し、前記多糖類系の組成物の接着特性は、少なくとも前記第1パーチメント紙の隣接する折り畳まれた側面の縁を密閉して、食品用の容積を封入する前記密閉パッケージを形成するために利用される請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージを形成する方法。
【請求項18】
20wt%未満の含水量を有する食品用の、請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージの使用方法。
【請求項19】
少なくとも25wt%の含水量を有する食品用の、請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージの使用方法。
【請求項20】
40~100wt%の範囲内の脂肪含有量を有する食品用の、請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉パッケージ、そのパッケージの製造方法、およびその使用方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
紙ベースのパッケージは、当技術分野において良く知られている。そのようなパッケージは、従来的に、紙、板紙、バリア、アルミホイル、プラスチックフィルムなどの積層された複数の層を含む。そのようなパッケージは、食品の貯蔵を含む多くの用途に使用され得る。しかしながら、そのようなパッケージでは、持続可能な方法で、それらの層をリサイクルすることが困難である。したがって、パッケージは十分にリサイクルされない廃棄物として何度も処分される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、その質および機能性を損なわない、リサイクル可能なパッケージを提供することを意図する。本発明は、したがって、長期貯蔵および例えば脂肪組成物および/または水性組成物の低浸透性を備えた高性能パッケージを提供することを目的としている。さらなる目的は、化石フリー製品および化石フリー物質からのみ製造できるリサイクル可能なパッケージを提供することにある。さらなる目的は、有害物質または毒性物質が、パッケージ中に収容される固体食品または液体食品に移行しないことを、実質的に確実にするパッケージを提供することにある。本発明のさらなる目的は、サプライヤからエンドユーザまたは配給業者などに出荷するときに、可能な限り小さなコンテナで効率的な輸送を最適化するために、スペース効率の良い方法でパッケージを配置するパッケージの輸送が可能になるパッケージを提供することにある。特に、本発明の1つの目的は、パッケージ自体のサイズを最小化することによって、例えばパッケージが開かれるときに展開されて引き裂かれる比較的厚い重なり合う縁を省略することによって、貯蔵体積を最適化するパッケージを提供することにある。本発明のさらなる目的は、パッケージ、とりわけ乾燥食品および/または脂肪食品のためのパッケージに良好な酸素バリアを提供することにある。本発明のさらなる目的は、パッケージの寿命を延長し、パッケージ内に含まれる可能性があるバイオ系の結合剤を保護することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明
本発明は、
i)食品の貯蔵用の容積を密閉し、かつ形成する第1パーチメント紙
ii)ii.a)前記第1パーチメント紙の片側面上、または
ii.b)前記第1パーチメント紙の片側面上に直接コーティングされたバイオ系の結合剤コーティング上
にコーティングされた多糖類系の組成物
を含む食品用密閉パッケージであって、多糖類系の組成物は、形成された容積とは反対側に面するパッケージの側面上にコーティングされる、食品用密閉パッケージに関連する。
【0005】
明確性の理由により、上記に定義された密閉パッケージは、以下において、内部パッケージとも言及され得る。
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物はバイオ系の結合剤を含む。多糖類系の組成物は、第1パーチメント紙上に直接コーティングされたとき、および/またはバイオ系の結合剤コーティング上にコーティングされたとき、バイオ系の結合剤を含み得る。
【0006】
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物は、1つの多糖類または複数の多糖類の混合物を単独で含む。好ましくは、多糖類は、さらなる成分なしに、第1パーチメント紙上に直接、単独でコーティングされる。
【0007】
一実施形態にしたがって、多糖類系のコーティングがコーティングされて、第1パーチメント紙に接着されていれば、バイオ系の結合剤は、多糖類系の組成物のコーティング上にコーティングされ得る。これは、バイオ系の結合剤の外側の水性成分または水-含有成分の影響および/または移行に起因し得る溶解から多糖類系の組成物を保護する。
【0008】
一実施形態にしたがって、食品を収容し得る、形成された容積と第1パーチメント紙が直接接触するとき、第1パーチメント紙は、密閉された容積に面する側面上にはコーティングされない。これはもちろん、密閉された容積に面する側が食品と直接接触するとき、そのパッケージ内に貯蔵される食品に、全くないか、または最小限の、コーティングの物質が移行および/または溶解し得ることを必然的に伴う。
【0009】
一実施形態にしたがって、第1パーチメント紙は、例えば樹脂および/またはロジンから選択されるサイジング剤によって事前に含侵している。この含侵は、好適にはパーチメント紙を通る浸透性を低下させ、パーチメント紙からの化合物の移行の最小化をもたらす。
【0010】
一実施形態にしたがって、前記第1パーチメント紙の厚さ、および好ましくは第2パーチメント紙などの任意のさらなるパーチメント紙の厚さは、20~100、好ましくは35~80、例えば40~70μmの範囲である。好ましくは、前記第1または第2またはさらなるパーチメント紙などの任意の非コーティングパーチメント紙の坪量(表面重量)は、20~100、より好ましくは35~80、例えば40~70g/m2の範囲である。好ましくは、パーチメント紙の耐脂性は、試験方法Tappi 454にしたがって、1200~2000、例えば1500~1900秒の範囲である。好適なパーチメント紙は、例えばNordic Paperから入手可能なSuper Perga WS Opaque Parchment、Candor FA/FL、またはFoodwrap Paperから選択され得る。
【0011】
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物は、密閉された容積とは反対側に面する第1パーチメント紙の側面上に、事前にコーティングされているバイオ系の結合剤コーティング上にコーティングされる。
【0012】
一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤でコーティングされた第2パーチメント紙は、形成された容積に最も近いパッケージの側面上の第1パーチメント紙に積層され、バイオ系の結合剤コーティングは、第1パーチメント紙と第2パーチメント紙との間に配置される。したがって、第2パーチメント紙は、この実施形態にしたがった密閉された容積に最も近くなり得る。
【0013】
一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤は、密閉された容積に対して面する側面上の第1パーチメント紙上、および、密閉された容積とは反対側に面する第2パーチメント紙側面上にコーティングされ、第2パーチメント紙は密閉された容積に最も近く配置される。本実施形態によるパッケージは、したがって、述べられた順序で、密閉された容積に最も近い第2パーチメント紙、バイオ系の結合剤コーティングおよび第1パーチメント紙を含む。好ましくは、第1パーチメント紙および第2パーチメント紙は、間にバイオ系の結合剤コーティングを含んで互いに積層される。好ましくは、第2パーチメント紙は、密閉された容積、すなわち封入容積に面するコーティングが接触する食品の貯蔵のための容積に面する側面上にはコーティングされない。したがって、この実施形態において、前記バイオ系の結合剤は、第1パーチメント紙と第2パーチメント紙との間に配置され、第1パーチメント紙と、密閉された容積とは反対に面する第1パーチメント紙の側面上にコーティングされた多糖類系の組成物との両方に対する水バリアとして機能し得る。したがって、多糖類系の組成物のコーティングは、第2パーチメント紙によってさらに保護され得、それによって、例えば酸素バリアとしてのその機能性はさらに維持できる。
【0014】
一実施形態にしたがって、第2パーチメント紙は多糖類系の組成物でコーティングされ、バイオ系の結合剤は前記多糖類系の組成物コーティング上にコーティングされ、形成された容積に最も近い前記第2パーチメント紙は、第1パーチメント紙に積層され、前記多糖類系の組成物のコーティングおよび前記バイオ系の結合剤コーティングは、前記第1パーチメント紙と前記第2パーチメント紙との間に配置される。
【0015】
一実施形態にしたがって、第1パーチメント紙および任意のさらなるパーチメント紙は、シリコーン系の化合物および/またはフッ素系の化合物を含まない。
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物は、ヘミセルロース、マイクロフィブリルセルロース、ナノフィブリルセルロース、またはそれらの混合物、好ましくはヘミセルロースを含む。
【0016】
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物は、マイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリル多糖類、好ましくはマイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリルセルロースを含む。
【0017】
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物は、例えばペントサンが豊富な多糖類などのヘミセルロースを含み、それはとりわけキシラン、グルコマンナン、ガラクトグルコマンナン、アラビノガラクタン、またはそれらの混合物を含み得、それは約20wt%から最大75wt%または80wt%または100wt%までの量で存在し得る。一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物は、ペントサンおよび/またはキシロースを含有する多糖類を、約20wt%から最大約75wt%または80wt%または100wt%までの量で含む。一実施形態にしたがって、少なくとも1つの多糖類、特にヘミセルロースを含む多糖類系の組成物は、8000~50000g/mol、例えば8000~48000g/molまたは8000~45000g/mol、例えば15000~45000g/molまたは20000~40000g/molの分子量を有する。やや高い分子量の使用は、とりわけヘミセルロースを含み得る多糖類系の組成物のコーティングの能力および接着を改善し得る。さらに高い分子量が使用される場合、高粘度は、コーティングを製造するためのヘミセルロースの使用を複雑にし得る。ヘミセルロースなどの少なくとも1つの多糖類を含む多糖類系の組成物の分子量はまた、8000~15000g/mol、例えば8000~14000g/molの範囲であり得る。低分子量の使用は、多くの源からヘミセルロースを使用でき、そこからの抽出手順が簡素化されるので利点がある場合がある。
【0018】
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物は、マイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリル多糖類、好ましくはマイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリルセルロースを含む。マイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリルセルロースの調製用のセルロースの源は以下を含む:(a)例えば硬材および軟材に由来する、例えば化学パルプ、機械パルプ、熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、リサイクル繊維からなどの木材繊維(b)種子繊維、例えばコットン;(c)種子外皮繊維、例えば大豆外皮、豆外皮、トウモロコシ外皮;(d)靭皮繊維、例えば亜麻、麻、ジュート、ラミー、ケナフから(e)葉繊維、例えばマニラ麻、サイザル麻から;(f)茎繊維またはわら繊維、例えばバガス、トウモロコシ、小麦から;(g)草繊維、例えば竹から;(h)藻類、例えばベロニア(velonia)からのセルロース繊維;(i)細菌または真菌および(j)例えば、野菜および果実、特にてんさい、および柑橘類果実、例えば、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツからの柔細胞。これらのセルロース材料の微結晶性形態がまた使用されてよい。セルロース源は(1)亜硫酸パルプ化プロセス、クラフト(硫酸)パルプ化プロセス、または予備加水分解クラフトパルプ化プロセスから製造された、精製され、任意選択的に漂白される木材パルプ、および、(2)精製されたコットンリンターを含む。セルロースの源は限定されず、合成セルロースまたはセルロース類似体を含む任意の源が使用され得る。一実施形態にしたがって、マイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリルセルロースなどのマイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリル多糖類は、硬材および/または軟材に由来する。
【0019】
一実施形態にしたがって、マイクロフィブリルまたはナノフィブリル多糖類は、約0.05~約0.5、例えば約0.1~約0.4、または約0.15~約0.3mmの算術繊維長を有する。
【0020】
一実施形態にしたがって、マイクロフィブリルまたはナノフィブリルセルロースなどの多糖類の表面積は、1~100g/m2、好ましくは10~80g/m2の範囲内である。
【0021】
一実施形態にしたがって、マイクロフィブリルまたはナノフィブリルセルロースなどの多糖類のマイクロフィブリルまたはナノフィブリルは、約5~100nm、好ましくは約25~約35nmの直径の範囲である。
【0022】
好ましくは、例えばマイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリルセルロースなどの多糖類の厚さは、1~100nm、好ましくは25~100nmの範囲である。一実施形態にしたがって、例えばマイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリルセルロースなどのマイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリル多糖類は、例えばグラフト化、架橋、例えば過酸化水素の使用による化学酸化によって修飾される。多糖類は、国際公開第2009/153225号に開示されるようなさらなる特性を有し得る。
【0023】
一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤は、例えば修飾バイオポリマーなどバイオポリマー、および好ましくは、天然植物化合物を含む水性エマルジョンに由来し得る。好ましくは、バイオ系の結合剤は疎水性である。好ましくは、バイオ系の結合剤は、カチオン性である。好ましくは、バイオ系の結合剤コーティングは、ラテックスおよび/またはワックスおよび/またはポリ乳酸修飾ポリエステルなどポリエステル系の誘導体を含む。好ましくは、バイオ系のコーティングは、少なくとも20wt%の、例えば少なくとも40wt%の、または少なくとも60wt%のラテックス、ワックス、ポリ乳酸修飾ポリエステルなどポリエステル系の誘導体、および/またはそれらの混合物を含む。ラテックスおよびワックスという用語にはまた、ラテックスおよびワックスの分散物およびエマルジョンに由来する固化したコーティングが含まれる。
【0024】
一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤コーティングは、好ましくは少なくとも1種のラテックスおよび/またはワックスおよび/またはポリエステル誘導体を含有する、ポリマー分散物またはエマルジョンから調製され得る。したがって、第1パーチメント紙上、または任意選択的に任意の他のコーティングおよび/またはパーチメント紙上に、ラテックスおよび/またはワックスまたはポリエステル誘導体の分散物および/またはエマルジョンを適用し、乾燥した後に、コーティングが得られる場合がある。ポリマー分散物は、好ましくは再生可能な材料であるか、または少なくとも30wt%の再生可能な材料から構成される。好適なラテックス種は、0.1~0.3μmの範囲の粒子サイズを有し得る、例えばスチレン-ブタジエンゴム(SBR)ラテックスポリマー分散物に由来し得る。一実施形態にしたがって、本発明にしたがって使用されるワックスは、脂質を含み、好ましくは約12から32個の炭素原子および脂肪酸を含む長鎖アルコールのエステルから選択される。そのようなワックスは、植物の葉および茎のコーティングとして自然界で見つけることができ、植物が過剰量の水を失うことを防いでいる。一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤コーティングは、ラテックス、ワックス、ポリ乳酸修飾ポリエステル、または誘導体および/またはそれらの混合物、好ましくはポリ乳酸修飾ポリエステルを含む。自然な理由で、任意のバイオ系の結合剤の任意の分散物またはエマルジョンは、コーティングが形成される前に事前に乾燥される。
【0025】
好適には、バイオ系の結合剤の分子量は、50~1500、例えば100~900、例えば150~700、または最も好ましくは220~600g/moleの範囲である。一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤の粘度は、50~700mPas、より好ましくは100~500mPasの範囲である。好ましくは、バイオ系の結合剤の融点は、70~95℃、例えば80~90℃の範囲内である。
【0026】
一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤コーティングを形成する前駆体である任意のポリマー分散物の乾燥含有量は、10~50wt%、好ましくは30~40wt%の範囲内である。
【0027】
好ましくは、バイオ系の結合剤コーティングの密度は、0.7~1.3、より好ましくは0.9~1.1g/cm3の範囲内である。
一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤は、ポリ乳酸修飾ポリエステル、例えば芳香族脂肪族ポリエステルまたはコポリエステルを含む。好ましくは、ポリエステルまたはコポリエステルは、ポリ乳酸などのポリラクチド酸(polylactide acid)および添加物として充填剤、好ましくは炭酸カルシウムによって修飾される。そのようなバイオ系の結合剤の例は、市販のBiodolomer(登録商標)を含む。好ましくは、修飾ポリエステルの密度は、1.2~1.5、より好ましくは1.27~1.42g/cm3である。好ましくは、粒状形態で現れる修飾ポリエステルは、ポリエステル誘導体または修飾ポリエステルを加熱することによって、それがパーチメント紙などの接触表面に粘着することによってパーチメント紙および/または多糖類系の組成物のコーティングに接着する。好ましくは、炭酸カルシウムなどの無機充填剤は、バイオ系の結合剤内に、バイオ系の結合剤組成物の総重量に基づいて5~60wt%の量で、ポリ乳酸修飾ポリエステルなどのバイオ系の結合剤とともに存在する。
【0028】
一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤は、第1パーチメント紙上、および/または多糖類系の組成物のコーティング上に直接コーティングされる。
好ましくは、本明細書に記載されるように、本発明の任意の実施形態にしたがってコーティングされた第1パーチメント紙は、好ましくは、多糖類系の組成物で利用可能な接着特性を利用して、折り畳まれた第1パーチメント紙の隣接する縁などの縁を密閉して、したがって食品の貯蔵用の容積を封入する密閉パッケージを形成することによって、密封された体積を形成するように好適には折り畳まれる。好ましくは、さらなるパーチメント紙が第2パーチメント紙などを含む場合、そのようなパーチメント紙は、第1パーチメント紙または追加のパーチメント紙に積層され、パーチメント紙の全体の構造は、折り畳まれて封入容積を形成する。
【0029】
好ましくは、パーチメント紙は、製紙用パルプのシートを硫酸または塩化亜鉛の槽に通すことによって調製される。このプロセスは、紙を部分的に溶解またはゼラチン化する。この処理により、高密度、安定性、耐熱性、および低表面エネルギを備えた硫化架橋材料が形成され、良好な非粘着特性または剥離特性が与えられる。
【0030】
好ましくは、多糖類系の組成物コーティングは、1~20μm、最も好ましくは3~15μmまたは5~15μmの範囲の厚さを有する。好ましくは、多糖類系の組成物コーティングの表面重量は1~20、例えば3~15、例えば5~15g/m2の範囲内である。
【0031】
一実施形態にしたがって、多糖類系の組成物はカルボキシメチルセルロース、デンプン、またはヒドロキシエチルセルロースを含まない。
好ましくは、バイオ系の結合剤コーティングは、1~80、例えば1~70、より好ましくは5~50、例えば7~35μmの範囲の厚さを有する。一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤コーティングの厚さは10~50、例えば20~40、または25~35μmの範囲である。
【0032】
好ましくは、バイオ系の結合剤の表面重量は、1~100、例えば1~80、例えば5~50g/m2の範囲内である。一実施形態にしたがって、バイオ系の結合剤の表面重量は、20~50、例えば30~50、または35~50g/m2の範囲である。
【0033】
好ましくは、バイオ系の結合剤の粒子サイズは、0.1~500μm、より好ましくは0.1~100μmの範囲である。
第1パーチメント紙と多糖類系の組成物コーティングとの間に配置されたバイオ系の結合剤コーティングは、多糖類系のコーティングが最終的に溶解する前に、特定の水含有量および/または脂肪含有量の食品へのより長い曝露時間を可能にし得る。
【0034】
バイオ系の結合剤の観点から、少なくとも15wt%、例えば少なくとも20wt%かつ最大約100wt%、好ましくは20wt%から約90%の含水量を有する水分を含む食品を収容するパッケージは、多糖類系の組成物コーティングをバイオ系の結合剤がない場合より長期間にわたって保存することが注目される。
【0035】
用語「ポリエチレン」は、「ポリエテン」と同等であり、幅広いグレードをカバーする。ポリエチレンは、その密度および分岐により分類される。その機械的特性は、分岐の程度およびタイプ、結晶構造、分子量などの変数に大きく依存する。好ましくは、LDPE(低密度ポリエチレン)またはHDPE(高密度ポリエチレン)が使用され、最も好ましくは、例えばサトウキビから製造されたHDPE、バイオ系のHDPEなどのHDPE(化石フリー)が使用される。
【0036】
一実施形態にしたがって、ポリ乳酸修飾ポリエステルなどのポリエチレン系のおよび/またはバイオ系の押し出し可能なポリマーは、本明細書に記載されるように、内部パッケージを封入する外部パッケージを形成する。
【0037】
好ましくは、ポリ乳酸修飾ポリエステルなどのポリエチレン材料および/またはバイオ系の押し出し可能なポリマーの縁は、一緒に溶接されて内部パッケージの周りに密閉パッケージを形成する。したがって、形成されたパッケージは、したがって密閉された内部パッケージと、取り囲む密閉されたポリエチレン系の、および/または例えばポリ乳酸修飾ポリエステル系のパッケージとの両方を含み得る。
【0038】
一実施形態にしたがって、ポリ乳酸修飾ポリエステルパッケージなどのポリエチレン系のパッケージおよび/またはバイオ系の押し出し可能なポリマーパッケージは、本明細書に外部パッケージとしても表されるが、内部パッケージとしっかりと密閉および/または積層される。しかしながら、好ましくは、内部パッケージと外部パッケージとは積層されることなく、または互いに解放できないようにした他の方法で、互いに接触される。
【0039】
一実施形態にしたがって、内部パッケージと外部パッケージとの間に、それらを組み立てた後、ギャップが残る。そのギャップは、空気を含有してもよく、または真空にされる。
製造されて、内部パッケージまたは内部パッケージおよび外部パッケージの両方から構成されるパッケージを開くとき、好適なサイズにされた開口部を形成するために、パッケージを同時に開封するための切れ目が作られる。内部層および外部層は、パッケージの食品を空にした後、互いに簡単におよび容易に分離することができ、それによって迅速かつ効率的なそのリサイクルを可能にする。紙は分離して処分され、例えばポリ乳酸修飾ポリエステルおよび/またはポリエチレンは、好ましくはこれらの層が非分離可能ではなく積層されるので、別個に処分される。パッケージの内部は開口部から引き出され得、したがって囲んでいるポリエチレンおよび/または例えばポリ乳酸修飾ポリエステル層から分離され、その後別個に処分され得る。
【0040】
ポリエチレンおよび/または例えばポリ乳酸修飾ポリエステル層を含む外部パッケージは、取り巻く環境の湿気から内部パッケージを保護する。ポリエチレンおよび/または例えばポリ乳酸修飾ポリエステル層はまた、とりわけ長期間貯蔵する場合、食品内容物の一部がパッケージ全体に浸透することを防ぐ。ポリエチレンおよび/または例えばポリ乳酸修飾ポリエステル層は、したがって、パッケージの両側からの湿気および/または水の移行を防ぐという点で二重の機能を果たす。一実施形態にしたがって、ポリエチレン層および/またはポリ乳酸修飾ポリエステル層の厚さは0.01~1mm、好ましくは0.05~0.8mm、例えば0.1~0.5mmの範囲である。
【0041】
コーティングされた第1パーチメント紙(および可能な追加のパーチメント紙)は、移行に関して二重の機能を有する。それは、例えばポリエチレンおよび/またはポリ乳酸修飾ポリエステル層の外部パッケージに由来するモノマー、オリゴマーおよびポリマーの封入容積からの移行を防ぎ得、および、封入容積への移行を防ぎ得る。また、パーチメント紙上にコーティングされた多糖類系の組成物は、モノマー、オリゴマー、およびポリマーが移行することからの追加の遮断を提供する。
【0042】
一実施形態にしたがって、内部パッケージは、例えば五角形の容積を形成するように、コーティングされたパーチメント紙を折り畳むことによって形成され、コーティングされたパーチメント紙の折り畳まれた側面の縁、好ましくは隣接する側面の縁が縁の重なり合う端部によって密閉され、それによって密閉パッケージを形成する。好ましくは、折り畳み可能な紙の側面の縁はフラップ、例えば隣接する側面と密閉される縁の全長に沿って延在するフラップとともに提供される。縁の重なり合う端部は、したがって、隣接する縁の外部表面または内部表面のいずれか上で密閉され得る。好ましくは、まだ接着特性を示すとき、多糖類系の組成物は、コーティングされたパーチメント紙の縁を密閉するための接着剤として使用される。多糖類系の組成物が第1パーチメント紙上に最近コーティングされた場合、多糖類系の組成物でコーティングされた縁に接触することで十分であり、これにより、縁間に密閉接合が作られ得る。多糖類系の組成物がパーチメント紙上にコーティングされてから特定の時間経過し、多糖類系の組成物が十分な接着特性を示さない場合、多糖類系の組成物を十分に接着させるために、密閉縁を加熱する必要がある場合がある。
【0043】
一実施形態にしたがって、パッケージの外部部分は、パッケージの内部と同じ方法でポリエチレン層および/またはポリ乳酸修飾ポリエステル層を折り畳むことによって形成され、ポリエチレンおよび/またはポリ乳酸修飾ポリエステル層がしっかりとパッケージの内部を覆い、それと接触する。好ましくは、折り畳み後のポリエチレンおよび/またはポリ乳酸修飾ポリエステル層の縁は、縁を一緒に溶接することによって密閉され、それによって密閉パッケージが得られる。一実施形態にしたがって、ポリエチレンおよび/またはポリ乳酸修飾ポリエステルパッケージは折り畳まれ、溶接されて、内部パッケージに対する密封を形成する。
【0044】
好ましくは、五角形としてパッケージを形成することにより、その中に収容される食品は、その最終内容物を押し出すことにより、容易に空にすることができる。したがって、最終的な残りは、例えば立方体形状パッケージと比較して、そのような五角形状パッケージから、より容易に押し出され得、不必要に処分される食品がより少なくなる。
【0045】
製造されたパッケージは、スペース効率の良い方法でそれらを配置することによって、例えば五角形状パッケージを互いの上に積み重ねることによって、したがって箱または長方形の直方体を形成し得る。パッケージは、したがって例えばウェルボード(wellboard)パッケージの容積全体を充填され得、それがひいてはそれらの出荷のためにパレットに配置され得る。
【0046】
本発明はまた、密閉パッケージを形成する方法に関連し、第1パーチメント紙は、片側が多糖類系の組成物で、および、任意選択的には、バイオ系の結合剤でコーティングされ、前記方法は、多糖類系の組成物の接着特性を利用して、前記少なくとも第1パーチメント紙の隣接する折り畳まれた側面の縁を密閉して、食品用の容積を封入する密閉パッケージを形成するように、第1パーチメント紙を折り畳んで封入された容積を形成することを含む。
【0047】
本発明はまた、1wt%より高い、例えば5wt%より高く、かつ20wt%未満、例えば10wt%未満の含水量を有する食品用の密閉パッケージの使用方法に関連する。
本発明はまた、少なくとも25wt%、例えば少なくとも40wt%または少なくとも60wt%の含水量、および50wt%未満、または70wt%未満、または90wt%未満の含水量を有する食品用の密閉パッケージの使用方法に関連する。
【0048】
本発明はまた、1~100wt%、例えば40~100wt%または20~80wt%または40~60wt%の範囲内の脂肪含有量を有する食品用のパッケージの使用方法に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】示された線で紙を折り畳むことにより本発明によるパッケージを形成するための好適なパターンの複数の実施形態を示す図。
【
図2】示された線で紙を折り畳むことにより本発明によるパッケージを形成するための好適なパターンの複数の実施形態を示す図。
【
図3】示された線で紙を折り畳むことにより本発明によるパッケージを形成するための好適なパターンの複数の実施形態を示す図。
【
図4a】パッケージ材料の組成物の異なる複数の実施形態を示す図。
【
図4b】パッケージ材料の組成物の異なる複数の実施形態を示す図。
【
図4c】パッケージ材料の組成物の異なる複数の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図の説明
図1は、本発明にしたがって調製されたパーチメント紙を示す。密閉パッケージは、示されたマーキングで紙を折り畳むことによって調製される。
図2は、同様の方法で紙を折り畳むことによってパッケージを製造し得る方法を示す。また、
図3は、パッケージを形成するために折り畳むパターンを示す。パッケージは、パーチメント紙の隣接する縁を折り畳むとき、それを接着することによって密閉される。好適には、縁はフラップ(図示されていない)を備え、フラップは、好ましくは多糖類によって接着され、例えば形成されたパッケージの接着性および密閉を改善するために、縁および/またはフラップに加熱下で適用することによって、互いに接着される。バイオ系の結合剤を含有する複数の実施形態において、バイオ系の結合剤は、縁間および/またはフラップ間の接着材料として同様に使用され得る。また、隣接する縁および/またはフラップを接着するために、バイオ系ののりが同様に使用され得る。
【0051】
図4aは、本発明の一実施形態によるパッケージおよびその組成物の概略側面を示す。層a)はHDPE(高密度ポリエチレン)、とりわけサトウキビから製造されたHDPE、例えばSGF9490である。この層は、好適には0.1~1mmである。
【0052】
図4a内の符号bは、エアギャップを表し、c)はSkalax(登録商標)など多糖類コーティング(バイオ系の結合剤とも組み合わせ得るヘミセルロースに基づく)を表す。
【0053】
層d)は、Super Perga Opatique WS Parchment(登録商標)などパーチメント紙である。層d)は、パッケージの内容物、例えば固形食品または液体食品に曝露され、層a)は、パッケージを取り囲む雰囲気に曝露される。
【0054】
パーチメント紙および多糖類系の組成物からのみ構成される、すなわち
図4aにおいて示されるポリエチレン層a)がないパッケージは、例えば乾燥食品または脂肪食品、例えば、水分含有量が20wt%未満または10wt%未満の食品のために使用することができる。
【0055】
図4cは
図4aに対応するが、バイオ系の結合剤(層e)は、封入容積とは反対側に面する側面上のパーチメント紙上にコーティングされる。多糖類系のコーティングcは、バイオ系の結合剤e上に配置される(
図4cにおいて、層eおよび層cは接合層として示される)。b)は、エアギャップまたは真空を表す。
図4bにおいて、さらなるパーチメント紙d)およびバイオ系の結合剤e)は、
図4cに示されるように、その構造に追加されている。さらなるパーチメント紙は、パッケージ内の貯蔵される食品と接触するように配設される。
図4bに示されるように、追加のバイオ系の結合剤(層e)は、2つのパーチメント紙(層d)の間に配置される。
図4bおよび4cに示されるように、層組成物を有するパッケージは、水分を含む食品および/または酸味のある食品、例えば20wt%を超える含水量である食品に好適である。本発明から明らかであるように、本発明はまた、外部パッケージの使用なしに実装されてよい。
【0056】
実施例1
プラスチックから水性食品模擬物質中へのセルによる(片側接触)総移行の方法(EN 1185-5、認定分析)を適用し、2.25dm2(2.25×10-2m2)のサンプルを100mlの酢酸(模擬物質として使用)に曝露した。総移行を決定するための測定の不確かさは±2mg/dm2である。
【0057】
サンプル:パーチメント紙+高密度ポリエチレンプラスチック(パーチメント紙は、食品模擬物質に最も近く配置された)。
移行模擬物質
3%酢酸を模擬物質として使用した。報告限度:2mg/dm2。
【0058】
試験条件
20日、40℃(本試験による20日は、1年の曝露に対応する)。
結果
総移行(mg/dm2サンプルにおける)は、それぞれ7.6および7.3であった(結果の平均値7.5)。委任規則(EU)第10/2011号によれば、総移行限度は10mg/dm2である。20日の移行後に、食品模擬物質中には視認可能な粒子はなかった。
【0059】
実施例1は、酸性食品および/または水分を含む食品(本試験において酢酸は確立された模擬物質である)と接触するコーティングのないパーチメント紙が元のままであり、移行に関して良好な特性を有することを示す。
【0060】
実施例2
Nordic Paperによって提供される1平方メートルあたり65グラムの耐油性パーチメント紙を使用した。
【0061】
SeelutionからのSkalax(ヘミセルロース系の多糖類)を多糖類として使用し、BIM BA85015Xをバイオ系の結合剤(ラテックス系のSBR-ラテックス)として使用した。
【0062】
ベンチロッドコータ、熱風およびIRヒータの両方を有するドライヤによって、コーティングを調製した。実験台ロッドコータを使用して、パーチメント紙をコーティングした。シートを180℃のオーブンでおおよそ1.5分乾燥させた。表面特性を評価する前に、少なくとも1時間、シートを23℃および50%相対湿度(RH)に順応させた。
【0063】
表面の疎水性をCobb300(ISO 535)方法を使用して300秒間評価した。耐脂性の評価のために、KIT(TAPPI T-559 pm-96)を使用した。コーティングされたパーチメント紙の1dm2の1片の重さを量り、非コーティング紙と比較して平方メートルあたりのコーティングの重さを決定した。
【0064】
COBB300試験を使用して、所与の時間内に紙または板の表面に吸収され得る水の量を決定した。サンプルをCOBB300(ISO 535)方法で300秒間、評価した。二重反復試験を行った。KIT試験(TAPPI T-559 pm-96)で耐脂性は測定され、0から12の間の値として報告された。基材の表面に浸透しない、最も大きい数のKIT試液は、顕著な耐脂性(KIT数)である。
【0065】
上記によるSkalaxおよびBIM BA85015Xは、既に調製された溶液として入手可能であるので、さらなる調製は必要ではなかった。サンプルを下記にしたがって、ロッド数2(カラーコード:赤)によって、示される順序でコーティングした。以下のサンプルが調製された:
サンプル111:パーチメント紙上にコーティングされたSkalax(多糖類)5.5g/m2
サンプル112:パーチメント紙上にコーティングされたSkalax5.5g/m2;Skalax上にコーティングされたBim BA85015X(バイオ系の結合剤)10.6g/m2
サンプル116:パーチメント紙上にコーティングされたBim BA85015X(バイオ系の結合剤)8.9g/m2;バイオ系の結合剤上にコーティングされたSkalax 5.3g/m2。
【0066】
【表1】
表は、本発明によるサンプル111、112、および116が良好なCobb300値およびKIT値を有することを示す。
実施例3-酸素透過率
パッケージ材料の、酸素がそれを通過することを防ぐ能力を測定するために、標準手法ASTM D3985およびISO 15105-2を使用した。
【0067】
OTR(酸素透過率)は、規定温度および相対湿度(値%RH)で酸素ガスがフィルムまたは積層を透過する定常状態の速度である。
ポリ乳酸の粒状修飾ポリエステルおよび充填剤として炭酸カルシウムである、Gaia Biomaterialsから入手可能なBiodolomer(登録商標)をバイオ系の結合剤として使用した。
【0068】
サンプル
サンプル111:上記のもの。
サンプル101:パーチメント紙の両側面上にコーティングされたFinnfix(登録商標)10 Dry(カルボキシルメチルセルロース)20g/m2。TCI Europeからの8g/m2ヒドロキシエチルセルロースおよびImerysからの4.6g、43%固体のBarrisurf LX(登録商標)スラリー(鉱物)をパーチメント紙の両側のFinnfix上にコーティングした。
サンプル120:111のようであるが、加えて、第1パーチメント紙の、封入容積に面する側に42g/m2の量でBiodolomer(登録商標)がコーティングされ、Biodolomerも封入容積とは反対側に面する、第1パーチメント紙の側面上に積層された第2パーチメント紙上のコーティングを形成した。したがって、封入容積から起算したパッケージ構造は、第2パーチメント紙、Biodolomer(登録商標)コーティング42g/m2、第1パーチメント紙、Skalaxコーティング5.5g/m2を含む。
【0069】
混合中、20gのFinnfix 10 Dryを180gの水道水に加えることによって、FinnFixの溶液からサンプル101を調製した。混合物を50℃に加熱し、その温度で維持した。Finnfixが完全に溶解すると、ロッド数3(カラーコード:緑)を使用して、パーチメント紙をコーティングした。サンプル101の逆側をロッド数1(カラーコード:黄)でコーティングした。
【0070】
続いて、184.6gの水道水を8gのHECおよび4.6 Barrisurf LXスラリーと混合することによって溶液を調製した。混合物を50℃に加熱し、その温度で維持した。均一な混合物が得られると、形成されたFinnfixコーティング上にロッド数3(カラーコード:緑)を使用したコーティングを開始した。
【0071】
酸素透過率(OTR)からの結果により、サンプル111(発明)は、非常に良好なOTRを有することが示された。サンプル101(参照)は、ポリエチレンと同等、すなわちOTRバリアとしての使用が可能ではないとみなされる。10cc/m2 24h(mL/m2 24h)未満のOTR測定値からの結果を検討する場合、それらのレベルの材料は、真の酸素バリアとみなされる。サンプル120は同様に優れた結果を示す。
【0072】
【表2】
実施例4-植物油模擬物質での移行
植物油を模倣した模擬物質としてイソオクタンを用いて移行試験を行い、移行試験は以下に従って行われた:
接触領域サンプル:0.45dm
2
イソオクタンの体積:50ml
イソオクタンへの移行後のスクリーニング結果を表3に示す。結果は、6dm
2の表面積と接触する1kgの食品の従来のEU食品接触率に基づいて、mg/kg食料品および/またはmg/6dm
2において表される。50ml模擬物質の開始体積に基づいて、計算が行われる。
【0073】
この分析のLOQは0.01mg/kg(ppm)食品であり、したがってLOQ未満の濃度の成分は、表3には報告されない。
【0074】
【表3】
表3は、非分岐アルカン(異なる種)の保持時間(RT)を示す。表3から分かるように、バイオ系の結合剤コーティングに由来するアルカンがSkalaxコーティングおよびパーチメント紙(サンプル112)の両方を通る必要がある場合、バイオ系の結合剤コーティングがパーチメント紙上に直接配置されるときよりも、移行が明らかに低い。したがって、表3により、Skalax層(多糖類)は移行の減少に寄与することが示される。
【0075】
実施例5
異なる積層および様々な食料品に曝露した後にそのままでいるそれらの能力を観察するための試験方法が実施された。試験はArrhenius式、および、加速係数がおおよそ50倍の高温を使用した加速された試験として設計された。破断(漏出)までの時間を示す異なる表を検討する場合、測定された全ての期間は、対応する室温での破断までの時間に到達するために50をかけなければならない。
【0076】
実験手順の設計は、以下の表に記載されるように、ガラス瓶、キャップ、およびパッケージ材料を伴う。食料品はパッケージ材料の上面に置かれ、その材料の裏側は、光学的に観察され、すなわち裏側のスポットの視認性が観察された。観察は5分後に開始され、20時間後に終了された。試験中のどのサンプルも900分後には元のままではなかった。温度は、75℃に設定された。食料品は、したがって、本発明にしたがって形成された容積に対応する表面上に置かれた。
【0077】
ミートボール試験
使用されたミートボールは、Scanから市販されているスウェーデン風ミートボールであった。
【0078】
サンプル103はサンプル101のように調製されたが食料品(ミートボールなど)が置かれた側面とは反対側に面する(本試験において底側に対応する)パーチメント紙側面上のコーティングは、コーティングされていないままであった。サンプル121は、内側から見たとき、以下に述べられた順序の層を伴う紙の積層であり、すなわち食料品が置かれた側面は、パッケージの形成された容積の内部表面に対応する:第2パーチメント紙(65g/m2)、Skalax(5.5g/m2)、Biodolomer(42g/m2)、パーチメント紙(65g/m2)、Skalax(5.5g/m2)。サンプル121はまた、以下のグラーヴァッドサーモンおよびキュウリピクルス試験に使用された。
【0079】
【表4】
結果から、サンプル101および103(参照)は60分後に湿気の漏出を有する、すなわち材料破壊ということが示され得る。本発明にしたがって、サンプル111、112、および116はそれぞれ、240分後に漏出、すなわち材料破壊を示した。表4から分かるように、サンプル121(本発明にしたがって)は、他の全てのサンプルと比較して素晴らしい性能を示した。異なるセットのサンプルの差は、有意であった。注目すべきことは、これは50倍の加速された試験であり、本発明にしたがったサンプルと参照101および103との間の差が非常に大きくなったことである。
【0080】
グラーヴァッド(Graved)サーモン試験
サーモンは、標準的なスウェーデン風グラーヴァッドサーモンであった。サーモンを塩、砂糖、およびオイルの混合物中に3日間入れた。その後、その種の魚を紙で乾燥させ、細かく切った。
【0081】
【表5】
結果から、サンプル101および103(参照)は60分後に湿気の漏出を有する、すなわち材料破壊ということが示され得る。本発明にしたがって、サンプル111、112、および116はそれぞれ、240分後に漏出、すなわち材料破壊を示した。表5から分かるように、サンプル121は、他の全てのサンプルと比較して素晴らしい性能を示した。異なるサンプルの差は有意であった。注目すべきことは、これは50倍の加速された試験であり、差が非常に大きくなったことである。
【0082】
酢酸中のキュウリ試験
この試験は、重量で同量の酢酸を含むキュウリを用いて行った。使用されたキュウリは、Felix(登録商標)Aettiksgurka(キュウリのピクルス)であった。
【0083】
【表6】
結果から、サンプル101および103(参照)は60分後に湿気の漏出を示す、すなわち材料破壊ということが示される。本発明にしたがって、サンプル111および112はそれぞれ、240分後に漏出、すなわち材料破壊を示した。サンプル116(発明)は、サンプル101および103(参照)より有意に良好であったが、111、112および121(発明)ほど良好ではなかった。サンプル111および112は、サンプル116より有意に良好であるとみなされるべきであることが観察された。表6から分かるように、サンプル121は、他の全てのサンプルと比較して素晴らしい性能を示した。注目すべきことは、これは50倍の加速された試験であり、差が非常に大きくなったことである。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)食品の貯蔵用の容積を密閉し、かつ形成する第1パーチメント紙
ii)ii.a)前記第1パーチメント紙の片側面上;または
ii.b)前記第1パーチメント紙の片側面上に直接コーティングされたバイオ系の結合剤コーティング上
にコーティングされた多糖類系の組成物
を含む食品用密閉パッケージであって、前記多糖類系の組成物は、形成された前記容積とは反対側に面する前記パッケージの側面上にコーティングされる、パッケージ。
【請求項2】
前記第1パーチメント紙は、樹脂および/またはロジンから選択されるサイジング剤によって前処理される請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記多糖類系の組成物は、ヘミセルロース、マイクロフィブリルセルロース、ナノフィブリルセルロース、またはそれらの混合物を含む請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記パーチメント紙は、シリコーン系の化合物および/またはフッ素系の化合物を含まない請求項1~3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記多糖類系の組成物は、マイクロフィブリルおよび/またはナノフィブリル
セルロースを含む請求項1~4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記バイオ系の結合剤は、前記第1パーチメント紙上および/または前記多糖類系の組成物のコーティング上に直接コーティングされる請求項1~5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
バイオ系の結合剤でコーティングされた第2パーチメント紙は、形成された前記容積の最も近くの前記パッケージの側面上で前記第1パーチメント紙に積層され、前記バイオ系の結合剤コーティングは、前記第1パーチメント紙と前記第2パーチメント紙との間に配置される請求項1~6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記多糖類系の組成物コーティングは、1~20μmの範囲の厚さを有する請求項1~7のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記バイオ系の結合剤コーティングは、ラテックス、ワックス、ポリ乳酸修飾ポリエステル、誘導体および/またはそれらの混合物を含む請求項1~8のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項10】
外部パッケージを形成するポリエチレン系の、および/またはバイオ系の、押し出し可能なポリマーパッケージは、請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージを封入する請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記外部パッケージは、請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージにしっかりと密閉される請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージと前記外部パッケージとの間のギャップは空気を含有するか、または真空にされる請求項
10に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記バイオ系の結合剤コーティングは、ポリ乳酸修飾ポリエステルを含む請求項1~12のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記バイオ系の結合剤コーティングは、5~50μmの厚さの範囲を有する請求項1~13のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記多糖類系の組成物は、カルボキシメチルセルロース、澱粉、ヒドロキシエチルセルロースを含まない請求項1~14のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項16】
第2パーチメント紙は多糖類系の組成物でコーティングされ、バイオ系の結合剤は、前記形成された多糖類系の組成物コーティング上にコーティングされ、密閉された前記容積に最も近い前記第2パーチメント紙は、前記第1パーチメント紙に積層され、前記多糖類系の組成物の前記コーティングおよび前記バイオ系の結合剤コーティングは、前記第1パーチメント紙と前記第2パーチメント紙との間に配置される請求項1~6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項17】
前記第1パーチメント紙は、片側が多糖類系の組成物で、および、任意選択的には、バイオ系の結合剤でコーティングされ、前記第1パーチメント紙は折り畳まれて封入容積を形成し、前記多糖類系の組成物の接着特性は、少なくとも前記第1パーチメント紙の隣接する折り畳まれた側面の縁を密閉して、食品用の容積を封入する前記密閉パッケージを形成するために利用される請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージを形成する方法。
【請求項18】
20wt%未満の含水量を有する食品用の、請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージの使用方法。
【請求項19】
少なくとも25wt%の含水量を有する食品用の、請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージの使用方法。
【請求項20】
40~100wt%の範囲内の脂肪含有量を有する食品用の、請求項1~16のいずれか1項に記載のパッケージの使用方法。
【国際調査報告】