(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(54)【発明の名称】化粧パネル、パネル被覆材、およびこのような化粧パネルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20220607BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20220607BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
E04F15/02 A
E04F13/08 E
B32B27/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560698
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 IB2020053508
(87)【国際公開番号】W WO2020208615
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521446624
【氏名又は名称】ノーザン ビルディング ソリューションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】NORTHANN BUILDING SOLUTIONS LLC
【住所又は居所原語表記】7495 Reese Rd,Sacramento,California 95828 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】リ,リン
【テーマコード(参考)】
2E110
2E220
4F100
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、化粧パネルに関し、詳細には床パネル、天井パネル、または壁パネルに関する。本発明はまた、本発明による複数のパネルを含む、床被覆材、天井被覆材、または壁被覆材などのパネル被覆材にも関する。本発明はさらに、本発明による化粧パネルを製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧パネルであって、特に床パネル、天井パネルまたは壁パネルであり、
- 上面および下面が与えられた芯材と、
- 前記芯材の前記上面に直接または間接的に貼り付けられた化粧上部構造物とを備え、前記化粧上部構造物が、
・ 少なくとも1つの化粧像を形成する少なくとも1つの化粧印刷層と、
・ 前記印刷層を少なくとも部分的に覆う、実質的に透明または半透明の三次元エンボス構造物とを含み、前記エンボス構造物が、
○ 複数の凹部が設けられている、少なくとも1つの、少なくとも部分的に硬化されたベース層と、
○ 前記ベース層の上に印刷された複数の隆起部によって形成されている、少なくとも1つの、少なくとも部分的に硬化された隆起パターン層とを含む多層エンボス構造体である、化粧パネル。
【請求項2】
前記ベース層の上面がエンボス・ベース・レベルを画定し、前記凹部と前記隆起部の少なくとも一部とが、前記エンボス・ベース・レベルの反対側に位置する、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記ベース層の上面がベース・レベルを画定し、前記凹部と前記隆起部の少なくとも一部とが、前記ベース・レベルと同じ側に位置する、請求項1または2に記載のパネル。
【請求項4】
前記ベース層の一部に前記複数の凹部が設けられており、前記ベース層の別の部分には凹部がない、請求項1~3の一項に記載のパネル。
【請求項5】
前記隆起部の少なくとも一部が、前記ベース層のうちの凹部がない部分に印刷される、請求項4に記載のパネル。
【請求項6】
前記ベース層の前記複数の凹部が不連続凹部パターンを形成する、請求項1~5の一項に記載のパネル。
【請求項7】
前記ベース層が印刷ベース層である、請求項1~6の一項に記載のパネル。
【請求項8】
前記ベース層に設けられた前記凹部は、厚さが2マイクロメートル~100マイクロメートルの間、好ましくは3マイクロメートル~50マイクロメートルの間にある、請求項1~7の一項に記載のパネル。
【請求項9】
前記隆起パターン層の前記隆起部は、高さが2マイクロメートル~500マイクロメートルの間、好ましくは3マイクロメートル~300マイクロメートルの間にある、請求項1~8の一項に記載のパネル。
【請求項10】
前記ベース層の前記凹部の少なくとも一部が、前記化粧印刷層によって形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整される、請求項1~9の一項に記載のパネル。
【請求項11】
前記隆起パターン層の前記隆起部の少なくとも一部が、前記化粧印刷層によって形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整される、請求項1~10の一項に記載のパネル。
【請求項12】
少なくとも1つの追加の化粧印刷層が、少なくとも1つのベース層および少なくとも1つの隆起パターン層に位置している、請求項1~11の一項に記載のパネル。
【請求項13】
着色コーティングが前記凹部の中および前記ベース層の上に施される、請求項1~12の一項に記載のパネル。
【請求項14】
前記凹部の少なくとも一部が、化学的にエンボス加工された凹部である、請求項1~13の一項に記載のパネル。
【請求項15】
前記ベース層の坪量が少なくとも40g/m
2、好ましくは少なくとも50g/m
2である、請求項1~14の一項に記載のパネル。
【請求項16】
前記ベース層がアクリル樹脂を含む、請求項1~15の一項に記載のパネル。
【請求項17】
前記ベース層が、エトキシル化されたプロピリジネトリメタノール、アクリル酸とのエステルを含む、請求項16に記載のパネル。
【請求項18】
前記ベース層が少なくとも1つのエポキシ・アクリレート・オリゴマーを含む、請求項16または17に記載のパネル。
【請求項19】
前記ベース層が少なくともジアクリレートを含む、好ましくはトリシクロデカンジメタノール・ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオール・ジアクリレート、および3-メチル1,5-ペンタンジオール・ジアクリレートからなる群から選択された少なくとも1つのジアクリレートを含む、請求項16~18の一項に記載のパネル。
【請求項20】
前記隆起パターン層の坪量が、少なくとも60g/m
2、好ましくは少なくとも70g/m
2である、請求項1~19の一項に記載のパネル。
【請求項21】
前記隆起パターン層がアクリル樹脂を含む、請求項1~20の一項に記載のパネル。
【請求項22】
前記隆起パターン層が、バイアクリレート、好ましくはトリプロピレン・グリコール・バイアクリレートを含む、請求項21に記載のパネル。
【請求項23】
前記エンボス構造物が、少なくとも部分的にラッカー層で覆われる、請求項1~22の一項に記載のパネル。
【請求項24】
前記ベース層の前記凹部の少なくとも一部が前記ラッカー層で覆われないままになっている、請求項23に記載のパネル。
【請求項25】
前記化粧層の少なくとも一部が前記芯材の前記上面に直接印刷されている、請求項1~24の一項に記載のパネル。
【請求項26】
前記芯材の前記上面に、好ましくはプライマーまたはフィルムによって形成された支持体層が設けられ、前記化粧層の少なくとも一部が前記支持層に直接印刷される、請求項1~25の一項に記載のパネル。
【請求項27】
前記印刷化粧層と前記エンボス構造物の間に少なくとも1つの中間層が位置している、請求項1~26の一項に記載のパネル。
【請求項28】
少なくとも1つの中間層が、透明または半透明で光反射性の熱可塑性層によって、好ましくはポリエステル層によって、より好ましくはポリエチレン・テレフタレート層によって形成される、請求項27に記載のパネル。
【請求項29】
前記光反射性の熱可塑性層が前記印刷化粧層に接着される、請求項28に記載のパネル。
【請求項30】
前記ベース層が、前記光反射性の熱可塑性層の上部に直接付着される、請求項28または29に記載のパネル。
【請求項31】
裏打ち層が前記芯材の下面に貼り付けられる、請求項1~30の一項に記載のパネル。
【請求項32】
第1のパネル縁部が第1の結合輪郭を備え、好ましくは前記第1のパネル縁部と対向する第2のパネル縁部が、水平方向および垂直方向の両方で隣接するパネルの前記第1の結合輪郭とインターロック係合するように設計された第2の結合輪郭を備え、前記第1の結合輪郭と前記第2の結合輪郭が好ましくは、下げる動きによってこのようなパネルの2つを互いに結合できるように構成される、請求項1~31の一項に記載のパネル。
【請求項33】
前記パネルが、第3のパネル縁部および第4のパネル縁部にそれぞれ配置された、少なくとも1つの第3の結合輪郭および少なくとも1つの第4の結合輪郭を備え、前記第3の結合輪郭が、
・ 前記芯材の前記上面と実質的に平行な方向に延びる横向き舌部と、
・ 前記横向き舌部からある距離をおいたところにある少なくとも1つの第2の下向き側面と、
・ 前記横向き舌部と前記第2の下向き側面の間に形成された第2の下向き溝とを備え、
前記第4の結合輪郭が、
・ 隣接するパネルの前記第3の結合輪郭の前記横向き舌部の少なくとも一部を収容するように構成された第3の溝を備え、前記第3の溝が上方リップおよび下方リップによって画定され、前記下方リップに上向きロック要素が設けられ、
前記第3の結合輪郭および前記第4の結合輪郭は、このようなパネルの2つが回転させる動きによって互いに結合できるように構成され、結合状態では、第1のパネルの前記横向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2のパネルの前記第3の溝に挿入され、前記第2のパネルの前記上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1のパネルの前記第2の下向き溝に挿入されている、請求項1~32の一項に記載のパネル。
【請求項34】
前記芯材が実質的に剛性である、請求項1~33の一項に記載のパネル。
【請求項35】
前記芯材が少なくとも部分的に発泡されている、請求項1~34の一項に記載のパネル。
【請求項36】
前記芯材が、エチレン・ビニル・アセテート(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリイソシアヌレート(PIR)、またはこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1~35の一項に記載のパネル。
【請求項37】
前記芯材が少なくとも1つの木質材料を含む、請求項1~37の一項に記載のパネル。
【請求項38】
前記芯材が、少なくとも1つのポリマー材料および少なくとも1つの非ポリマー材料からなる少なくとも1つの複合材料を含む、請求項1~37の一項に記載のパネル。
【請求項39】
少なくとも1つの非ポリマー材料が、タルク、チョーク、木材、炭酸カルシウム、および無機充填剤からなる群から選択される、請求項38に記載のパネル。
【請求項40】
前記芯材が酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む、請求項1~39の一項に記載のパネル。
【請求項41】
前記エンボス基板が、複数のベース層および/または複数の隆起パターン層を含む、請求項1~40の一項に記載のパネル。
【請求項42】
前記芯材の前記上面が実質的に平坦である、請求項1~41の一項に記載のパネル。
【請求項43】
請求項1~42のいずれかに記載の相互結合したパネルで構成される、特に床被覆材、天井被覆材、または壁被覆材である、パネル被覆材。
【請求項44】
請求項1~42の一項に記載の化粧パネルを製造する方法であって、
A)少なくとも1つの化粧像を前記芯材の前記上面に印刷によって、好ましくはデジタル印刷によって形成するステップと、
B)液体ベース層を、ステップA)の間に形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部に付着させるステップと、
C)複数のエンボス液滴を、依然として液体のベース層の上に、エンボス液滴が噴霧されている位置で前記ベース層の厚さが変化するようにして、これらの位置で凹部が前記液体ベース層に形成されるように、位置選択的に印刷するステップと、
D)前記凹部が設けられた前記ベース層を少なくとも部分的に硬化させるステップと、
E)複数の隆起部によって形成される隆起パターン層を前記ベース層に、好ましくは、ステップD)の間に少なくとも部分的に硬化されている前記ベース層に、位置選択的に印刷するステップと、
F)前記パターン層を少なくとも部分的に硬化させるステップとを含む、方法。
【請求項45】
ステップC)の間に、前記エンボス液滴が、ステップA)の間に形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整されている第1のデジタルテンプレートに従って、前記液体ベース層に印刷される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ステップE)の間に、前記隆起パターンが、ステップA)の間に形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整されている第2のデジタルテンプレートに従って、前記ベース層に印刷される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のデジタルテンプレートが前記第2のデジタルテンプレートとは異なる、請求項45および46に記載の方法。
【請求項48】
ステップD)による前記ベース層の硬化、および/またはステップF)による前記パターン層の硬化が、好ましくはUV放射および/または電子放射および/またはIR放射による放射線硬化で行われる、請求項44~47の一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧パネルに関し、詳細には床パネル、天井パネル、または壁パネルに関する。本発明はまた、本発明による複数のパネルを含む、床被覆材、天井被覆材、または壁被覆材などのパネル被覆材にも関する。本発明はさらに、本発明による化粧パネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層パネルは、通常は外観が木目模様である化粧パターンを有する化粧層を備える。化粧層は、化粧層を保全および保護するための透明層で覆われている。化粧層の化粧パターンの視覚的および触覚的な見かけを改善するために、透明層に凹部を実現させることができ、これは、たとえば、本物の木材の表面に存在し得る木材の穴および他の凹凸を模倣したものを得るためである。知られているパネルでは、これを得るのは、単に床パネルに一連の凹部を設けることによって行われ、これらの凹部は、実質的に同一の方向に沿って延びる。このような、エンボスとも呼ばれる凹部が用いられるにもかかわらず、知られているパネルは、模倣効果がまだ最善ではないという不利点を示す。したがって、たとえば、そのような床パネルを比較的小角で見た場合に、合成物からなる透明層において光の屈折が生じ、その結果、実際の印刷のいかなる視覚効果も知覚されずに、光沢のある表面だけが見えるという不利点をこれらのパネルは示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、エンボス効果が改善されている、改善されたパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、上面および下面が与えられた芯材と、芯材の前記上面に直接または間接的に貼り付けられた化粧上部構造物とを備える、前文に記載のパネルを提供することによって達成することができ、前記化粧上部構造物は、少なくとも1つの化粧像を形成する少なくとも1つの化粧印刷層と、前記印刷層を少なくとも部分的に覆う、実質的に透明または半透明の三次元エンボス構造物とを含み、このエンボス構造物は、複数の凹部が設けられている、少なくとも1つの、少なくとも部分的に硬化されたベース層と、前記ベース層の上部に印刷された複数の隆起部によって形成されている、少なくとも1つの、少なくとも部分的に硬化された隆起パターン層とを含む。
【0005】
本発明によるパネルは、凹部(くぼみ)がベース層に付けられている少なくとも1つのネガティブ・エンボス層と、隆起部(突起)が前記ネガティブ・エンボス層の上部に設けられている少なくとも1つのポジティブエンボス層とを含む、多層エンボス構造物を備える。この結果、より明白な(粗く起伏に富む)エンボス構造物が得られ、相対的に深いエンボスを作り出すことができ、そのようなパネルがより本物のように見えることになる。複数レベルの層状エンボス構造物を付着させることによって作り出せる相対的に深いエンボスの故に、より本物のような照明効果、ならびにより良い奥行き効果を得ることができ、化粧像の色が一般に、より望ましく知覚できる。一般に、ベース層の上面がエンボス・ベース・レベルを画定し、凹部と、隆起部の少なくとも一部および/または少なくともいくつかとが、前記エンボス・ベース・レベルの反対側に位置している。凹部と、隆起部の少なくとも一部および/または少なくともいくつかとが、前記ベース・レベルの同じ側に位置することもまた考えられる。
【0006】
通常では、ベース層の一部に前記複数の凹部が設けられ、ベース層の他の部分には凹部がない。それゆえに、この実施形態では、ベース層は部分的にしかエンボス加工されていない。隆起部は、少なくともその一部および/またはそのいくつかが、好ましくは、ベース層のうちの凹部がない部分に印刷され、こうすることにより、そのようなエンボス構造物の奥行き効果が増大することになる。
【0007】
ベース層の複数の凹部が不連続および/または連続の凹部パターンを形成することが考えられる。ベース層の複数の凹部が規則的な凹部パターンを形成することもまた考えられる。一般に、実現されるべき凹部パターンは、化粧層の少なくとも1つの化粧像に強く依存し、さらには完全に依存する。
【0008】
好ましくは、ベース層は印刷ベース層である。これは、最初は液体状態のベース層が、化粧層の上部に直接または間接的に印刷されることを意味する。ベース層がまだ液体状態にあるときに、1つまたは複数の凹部をベース層に設けることができ、かつ/または、ベース層を硬化(固化)させる間および/またはその後に、1つまたは複数の凹部をベース層に設けることができる。液体のベース層に1つまたは複数の凹部を設けることは、好ましくは化学的にエンボス加工することによって行われる。この目的のために、好ましくはエンボス液の(小さな)液滴が液体ベース層の上に位置選択的に印刷(噴霧)されて、印刷液滴の材料と依然として液体のベース層との間で化学反応が起こり、その後の反応生成物が、この位置のベース層の構造を光学的および/または触覚的に変化させる。硬化中または硬化後にベース層に1つまたは複数の凹部を設けることは、(上述の)化学的エンボス加工によって、および/または機械的エンボス加工によって、たとえば、水ビームなどの、レーザーまたは粒子ビームを使用することによって行うことができる。
【0009】
好ましくは、ベース層に設けられた凹部は、深さが2マイクロメートルから100マイクロメートルの間にあり、好ましくは3マイクロメートルから50マイクロメートルの間にある。好ましくは、隆起パターン層の隆起部は、高さが2マイクロメートルから500マイクロメートルの間にあり、好ましくは3マイクロメートルから300マイクロメートルの間にある。全エンボス深さは、最大凹部深さと最大隆起部高さの合計によって決まる。複数のベース層および/または複数の隆起パターン層が付着される場合に、全エンボス深さの増大を達成することができる。
【0010】
好ましい一実施形態では、ベース層の凹部の少なくとも一部が、化粧印刷層によって形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整される。好ましくは、隆起パターン層の隆起部の少なくとも一部が、化粧印刷層によって形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整される。位置合わせエンボス加工とも呼ばれる位置合わせ調整を適用することによって、非常に写実的および/または芸術的なパネルのデザインおよび外観を実現することができる。化粧像は、木目模様で形成することができる。しかし、化粧像が、たとえば、カスタマイズされた絵および/またはモザイクパターンもしくはタイルパターンなどの、別の種類のパターンであることも十分に考えられる。モザイクパターンまたはタイルパターンの場合、1つまたは複数のグラウトによって美的に分離されている人工的なタイルが描かれることもある。ここで、付着されるエンボス構造物は、人工タイルを覆う厚い層の部分と、1つまたは複数のグラウトを覆う薄い層の部分とを有するベース層を含み得る。ここで、隆起パターンの隆起部が、人工タイルを主に、またはただ単に覆い、また、人工タイルをあまり、または全く覆わないことも考えられる。このようにして、本物のタイルおよびグラウトを使用したときに得られる表面浮き彫りと実質的に同等の、本物のような表面浮き彫りを実現することができる。
【0011】
少なくとも1つの追加の化粧印刷層が、少なくとも1つのベース層および少なくとも1つの隆起パターン層に位置していることが考えられる。このようにして、多層化粧パターンを実現することができる。これにより、エンボス構造物および複数の化粧層を含む化粧上部構造物を作り出す設計の自由度がさらに高まり、これによりまた、たとえば、化粧像全体に立体効果を生じさせることも可能になる。凹部の中またはベース層の上に着色コーティングが施されることもまた考えられる。この着色コーティングは、追加の化粧印刷層と考えることができる。
【0012】
好ましくは、ベース層の坪量は、少なくとも40g/m2、好ましくは少なくとも50g/m2である。通常では、ベース層は放射線硬化材料で作られる。好ましくは、ベース層は、少なくとも初期の液体状態において、エポキシ・アクリレート、ポリエステル・アクリレート、ポリエーテル・アクリレート、アミノ・アクリレート、シリコーン・アクリレート、ウレタン・アクリレート、ポリイソプレン・アクリレート、ポリブタジエン・アクリレートおよびアクリレート・モノマーからなる群から選択された少なくとも1つの樹脂で作られる。用語のアクリレートは、アクリル樹脂とも呼ばれ、アクリレート樹脂とメタクリレート樹脂の両方を含む。先に説明した各樹脂は、たとえば、一般にはUVレーザーであるレーザー、赤外線源、および/または水銀(Hg)光源から照射される電磁エネルギーによって重合および硬化するという点で関連している。好ましい一実施形態では、(メタ)アクリレート樹脂は、樹脂の重量に対して、たとえば20~30重量%に等しい高い固形成分含有量を有しており、これにより一般に、ベース層の所望の体積増加がもたらされる。任意選択で、ベース層は、ベース層の硬化を促進するための1つまたは複数の光開始剤を含み得る。(透明および/または半透明の)ベース層は、(i)ベース層の耐摩耗性を向上させるための酸化アルミニウム、(ii)ベース層のレオロジーを修正するためのタルク、(iii)ベース層の光沢を低減するためのシリカ、炭酸カルシウム、および/または(iv)レオロジー修正剤などの他の添加剤、および/または着色剤などの、フィラーを含み得る。任意選択で、ベース層は、エンボスの深さを増大させることができるシリコーンを含み得る。一般には、シリコーンは、ベース層の0.01~20重量%の量で、好ましくは0.01%~10%の量で、より好ましくはベース層の0.01~2重量%の量で添加される。適切なシリコーンには、たとえば、シリコーン、シリコーン・ポリエーテル、シリコーン・アクリレート、およびシリコーン・ポリエーテル・アクリレートが含まれる。
【0013】
好ましくは、ベース層は、少なくとも初期の液体状態において、エトキシル化されたプロピリジネトリメタノール、アクリル酸とのエステル、および好ましくはさらにN-エチルアミン、より好ましくはN-エチルタナミンを含む。これらの生成物は一般に、互いに反応して、フリーラジカルによって重合することができるアミン修飾アクリル・オリゴマーになる。また、この後者の特性は、ベース層を放射線硬化させるのに利用される。
【0014】
ベース層は、少なくとも初期の液体状態では、好ましくはエポキシ・アクリレート・オリゴマーを含み、より好ましくはビスフェノールAエポキシ・ジアクリレートを含む。ビスフェノールA型エポキシ・ジアクリレートは、無色の液体である。このエポキシ・アクリレート・オリゴマーは、高い光沢をもたらし、優れた反応性を与え、放射線硬化性ベース層の突出した化学的および機械的に堅牢な特性を特徴として持つ。
【0015】
好ましくは、少なくとも液状のベース層は、少なくともジアクリレートを含み、好ましくは、トリシクロデカンジメタノール・ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオール・ジアクリレート、ヘキサメチレン・ジアクリレート、オキシビス(メチル-2,1-エタンジイル)ジアクリレート、および3-メチル1,5-ペンタンジオール・ジアクリレートからなる群から選択された少なくとも1つのジアクリレートを含む。これらの2官能性アクリル・モノマーは非常に反応しやすく、通常は、ベース層に位置選択的に凹部を作り出すために元のベース層(液体状態)の上に、エンボス液(エンボスインク)として印刷および/またはスプレーされる。このエンボスインクの液滴は、ベース層に非常に正確に、通常は約500~1,000dpi(またはそれ以上)の解像度で付着させることができる。
【0016】
隆起パターン層の坪量は、少なくとも60g/m2、好ましくは少なくとも70g/m2である。隆起パターン層の坪量は、好ましくはベース層の坪量よりも大きい。隆起パターン層は、好ましくはアクリル樹脂を含む。より好ましくは、隆起パターン層は、少なくとも液体状態において、ビアクリレート、好ましくはトリプロピレン・グリコール・ビアクリレートを含む。隆起パターン層は、ベース層の上に位置選択的に印刷および/または噴霧することができる。この印刷プロセスはまた、好ましくは非常に正確に、通常では約500~1,000dpi(またはそれ以上)の解像度で実行される。
【0017】
エンボス構造物は、好ましくは、少なくとも部分的にラッカー層(摩耗層)で覆われる。ラッカー層は、その下の層にコーティングされた耐摩耗性高分子材料、または知られているセラミック・ビーズ・コーティングなどの、適切な任意の知られている耐摩耗性材料を含み得る。摩耗層が層の形で付けられている場合、摩耗層は、その下の層に接着させることができる。摩耗層はまた、紫外線コーティングまたは別の有機ポリマー層と紫外線コーティングの組み合わせなどの、有機ポリマー層および/または無機材料層も含み得る。たとえば、表面耐傷性、光沢性、抗菌性、および製品の他の特性を向上させることができる紫外線塗料。ビニル樹脂などの、ポリ塩化ビニル樹脂または他のポリマーを含む他の有機ポリマー、および適量の可塑剤および他の加工用添加剤が必要に応じて含まれ得る。本発明によるパネルの一実施形態では、ベース層の凹部の少なくとも一部がラッカー層で覆われないままになっている。このようにして、さらなるエンボス効果(浮き彫り効果)を達成することができ、さらに、光沢領域および無光沢領域をこのようにして作り出すことができ、これらの領域は、そのようなパネルの所望の美的外観にさらに寄与し得る。ここで、たとえば、グラウトで分離された人工タイルによって化粧像が形成されている場合に、人工タイルは、ラッカー層で覆われて、これらのタイルに光沢効果をもたらすことができ、一方、グラウトは、実質的にラッカー層で覆われないままにされて、より無光沢な外観が維持される。
【0018】
少なくとも1つの化粧層の少なくとも一部が、芯材の上面に直接印刷され、好ましくはデジタル印刷されることが考えられる。芯材の上面に、好ましくは少なくとも1つのプライマーまたはフィルムによって形成された少なくとも1つの支持体層が設けられることもまた考えられ、化粧層の少なくとも一部が支持体層の上に直接印刷され、好ましくはデジタル印刷される。支持体層は、芯材の上に直接または間接的に(1つまたは複数の中間層を介して)貼り付けることができる。プライマーが付けられる場合、光沢プライマーおよび無光沢プライマーなどの少なくとも2つの異なるプライマーを付けることが考えられ、これらのプライマーは、芯材の上に位置選択的に並べて(隣り合わせて)付けられ、好ましくは、前記プライマーの上部に付けられる化粧印刷層と位置合わせ調整されて付けられる。このようにしてまた、そのようなパネルの所望の、本物のような、および/または人工的な外観(および感触)にさらに寄与できる光沢効果および無光沢効果が、位置選択された場所で実現され得る。
【0019】
本発明によるパネルの一実施形態では、印刷化粧層とエンボス構造物の間に少なくとも1つの中間層が位置している。この中間層は一般に透明であり、好ましくは非常に透明であり、および/または半透明である。好ましくは、少なくとも1つの中間層は、透明または半透明で光反射性の熱可塑性層によって、好ましくはポリエステル層によって、より好ましくはポリエチレン・テレフタレート層(PET層)によって形成される。この光反射性の熱可塑性樹脂層は、昼光(または人工光)の照射による劣化から化粧像を保護する保護層として機能する。さらに、この光反射性の熱可塑性層はまた、昼光(または人工光)に曝されることによるパネルの加熱を防止し、したがって、熱作用(膨張および収縮)を抑制し、このことは、そのようなパネルと、複数の好ましくは相互に結合したパネルで構成される床被覆材との両方の耐久性および信頼性に有利である。光反射性の熱可塑性樹脂層は、好ましくは印刷化粧層の上に接着され、より好ましくはホットメルト接着剤を用いて接着される。ベース層は、光反射性の熱可塑性層の上部に直接付着されてもよい。
【0020】
通常では、裏打ち層が芯材の下面に貼り付けられる。裏打ち層の材料の非限定的な例には、ポリエチレン、コルク、ポリウレタン、エチレンビニル・アセテートで作ることができるものがある。ポリエチレン裏打ち層の厚さは、たとえば通常で2mm以下である。裏打ち層は一般に、そのような各タイルに付加的な堅牢性および耐衝撃性をもたらし、タイルの耐久性を向上させる。さらに、(可撓性の)裏打ち層は、タイルの音響(音減衰)特性を向上させることができる。
【0021】
好ましい実施形態では、第1のパネル縁部は第1の結合輪郭を備え、好ましくは第1のパネル縁部と対向する第2のパネル縁部は、水平方向および垂直方向の両方で隣接するパネルの前記第1の結合輪郭とインターロック係合するように設計された第2の結合輪郭を備え、第1の結合輪郭と第2の結合輪郭が好ましくは、下げる動き(折り畳む動き)によってこのようなパネルの2つを互いに結合できるように構成される。パネルが長方形である場合、第1のパネル縁部および第2のパネル縁部は通常、パネルの対向する短辺に位置している。パネルは、好ましくはまた、第3のパネル縁部および第4のパネル縁部にそれぞれ配置された、少なくとも1つの第3の結合輪郭および少なくとも1つの第4の結合輪郭を備え、第3の結合輪郭は、芯材の上面と実質的に平行な方向に延びる横向き舌部と、横向き舌部からある距離をおいたところにある少なくとも1つの第2の下向き側面と、横向き舌部と第2の下向き側面の間に形成された第2の下向き溝とを備え、
第4の結合輪郭は、隣接するパネルの第3の結合輪郭の横向き舌部の少なくとも一部を収容するように構成された第3の溝を備え、前記第3の溝が上方リップおよび下方リップによって画定され、前記下方リップに上向きロック要素が設けられ、
第3の結合輪郭および第4の結合輪郭は、このようなパネルの2つが回転させる動き(曲げる動き)によって互いに結合できるように構成され、結合状態では、第1のパネルの横向き舌部の少なくとも一部は、隣接する第2のパネルの第3の溝に挿入され、前記第2のパネルの上向きロック要素の少なくとも一部は、前記第1のパネルの第2の下向き溝に挿入されている。
【0022】
芯材は、可撓性でも、半剛性でも、実質的に剛性でもよい。芯材は、固形でも、少なくとも部分的に発泡されていてもよい。芯材は、エチレン・ビニル・アセテート(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリイソシアヌレート(PIR)、またはこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つのポリマーを含み得る。芯材は、少なくとも1つの木質材料を含み得る。芯材は、少なくとも1つのポリマー材料および少なくとも1つの非ポリマー材料からなる少なくとも1つの複合材料を含み得る。少なくとも1つの非ポリマー材料は、好ましくは、タルク、チョーク、木材、炭酸カルシウム、および無機充填剤からなる群から選択される。芯材は、酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムを含み得る。芯材の上面は、好ましくは実質的に平坦である。
【0023】
本発明はまた、本発明による、好ましくは相互結合した複数のパネルで構成される、特に床被覆材、天井被覆材、または壁被覆材である、パネル被覆材に関する。ここで、少なくとも2つのパネルが別個の化粧像を有し、各化粧像が部分的な像であり、前記化粧画像を組み合わせたものが単一の像(絵または写真)を形成することが考えられる。
【0024】
本発明はさらに、本発明による化粧パネルを製造する方法に関し、この方法は、A)少なくとも1つの化粧像を芯材の上面に印刷によって、好ましくはデジタル印刷によって形成するステップと、B)液体ベース層を、ステップA)の間に形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部に付着させるステップと、C)複数のエンボス液滴を、依然として液体のベース層の上に、エンボス液滴が噴霧されている位置でベース層の厚さが変化するようにして、これらの位置で凹部が液体ベース層に形成されるように、位置選択的に印刷するステップと、D)前記凹部が設けられた前記ベース層を少なくとも部分的に硬化させるステップと、E)複数の隆起部によって形成される隆起パターン層を前記ベース層に、好ましくは、ステップD)の間に少なくとも部分的に硬化されている前記ベース層に、位置選択的に印刷するステップと、F)前記パターン層を少なくとも部分的に硬化させるステップとを含む。
【0025】
パネルの利点および実施形態について、すでに広範囲にわたって以上で論じた。ステップC)の間に、エンボス液滴は、好ましくは、ステップA)の間に形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整されている第1のデジタルテンプレートに従って、液体ベース層に印刷される。ステップE)の間に、隆起パターンは、好ましくは、ステップA)の間に形成された少なくとも1つの化粧像の少なくとも一部と位置合わせ調整されている第2のデジタルテンプレートに従って、ベース層に印刷される。より好ましくは、第1のデジタルテンプレートは第2のデジタルテンプレートとは異なる。好ましくは、ステップD)によるベース層の硬化、および/またはステップF)によるパターン層の硬化は、好ましくはUV放射および/または電子放射および/またはIR放射による放射線硬化で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】本発明による方法の順次ステップを示す説明図である。
【
図1b】本発明による方法の順次ステップを示す説明図である。
【
図1c】本発明による方法の順次ステップを示す説明図である。
【
図1d】本発明による方法の順次ステップを示す説明図である。
【
図1e】本発明による方法の順次ステップを示す説明図である。
【
図3】本発明による化粧パネルの別の例の概略図である。
【
図4a】本発明による化粧パネルに使用される結合輪郭を示す側面概略図である。
【
図4b】本発明による化粧パネルに使用される結合輪郭を示す側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を、以下の図に示される非限定的な例示的実施形態に基づいて説明する。
【0028】
図1a~1eは、本発明による方法の順次ステップを示す。
図1aは、化粧パネル(110)の断面の概略図を示す。この図は、パネル(110)の芯材(100)を示す。芯材(100)は通常、実質的に剛性であり、場合によっては少なくとも1つのポリマーおよび/または少なくとも1つの木質材料を含み得る。化粧像が芯材(100)の上面(100A)に印刷によって、特にデジタル印刷によって形成されている。
図1bは、パネル(110)の上面(100A)に形成された化粧像に液体ベース層(101)が塗布されていることを示す。液体ベース層(101)を形成する液体は、たとえば、UVシーラーである。液体ベース層(101)は一般に、液体ベース層(101)での正確なエンボス加工を可能にするために、表面張力が比較的高い。
図1cは、複数のエンボス液滴(102)が、依然として液体のベース層(101)の上に、位置選択的に印刷されていることを示している。この印刷は、エンボス液滴(102)が噴霧されている各位置でベース層(101)の厚さが変化するように行われる。
図1dは、この結果として凹部(103)が、エンボス液滴(102)が噴霧されている位置で液体ベース層(101)に形成されることを示す。ベース層(101)は、前記凹部(103)がベース層(101)に設けられた後に少なくとも部分的に硬化される。続いて隆起パターン層が、複数の隆起部をベース層(101)の上に位置選択的に印刷することによって形成される。パネル(110)の上に付着させる隆起液滴(104)が
図1dに示されている。隆起部(105)を位置選択的に印刷することによって得られたパターン層は、続いて少なくとも部分的に硬化される。好ましくは、エンボス液滴(102)および/または隆起液滴(104)は、液体ベース層(101)の表面張力よりも高い表面張力を有する。任意選択で、1つまたは複数の仕上げ層(図示せず)をパネル(110)に付着させることができる。
図1a~1eに示すステップによって、芯材(100)と、芯材(100)の上面(100A)に貼り付けられた化粧上部構造物とを備える化粧パネル(110)が得られる。化粧上部構造物は、少なくとも1つの化粧像を形成する化粧印刷層と、前記印刷層を少なくとも部分的に覆う実質的に透明または半透明の三次元エンボス構造物とを備える。このエンボス構造物は、複数の凹部(103)が設けられたベース層(101)と、前記ベース層(101)の上部に印刷された複数の隆起部(105)によって形成された隆起パターン層とを備える多層エンボス構造物である。高さが不規則な構造物を有するパネル(110)が得られるように、凹部(103)と隆起部(105)が重なり合えることが分かる。ベース層(101)の複数の凹部(103)は、不連続な凹部パターンを形成する。パネル(110)は、場合によっては、複数のパネル(110)を結合するための複数の結合輪郭を含み得る。パネル(110)はまた、芯材(100)の下面に貼り付けられた裏打ち層(図示せず)を備えることもある。
【0029】
図2aは、本発明による化粧パネル(220)の別の例の概略図を示す。パネル(220)は、上面および下面が与えられた芯材(200)と、芯材(200)の前記上面に直接または間接的に貼り付けられた化粧上部構造物(201)とを備える。化粧上部構造物(201)は、少なくとも1つの化粧像を形成する化粧印刷層を備える。パネル(220)はまた、実質的に透明または半透明の、前記印刷層(201)を覆う三次元エンボス構造物(202)も備える。図示の実施形態では、エンボス構造物(202)は、複数の凹部(203)が設けられたベース層(204)と、前記ベース層(204)の上に印刷された複数の隆起部(205)によって形成された隆起パターン層とを備える。前記隆起部は、ラッカー層(205)の一部を形成する。支持体層(206)が、特にプライマー層(206)が、上部構造物(201)とエンボス構造物(202)の間に密封されて存在する。図示の実施形態では、プライマー層(206)は、無光沢プライマー(206A)と光沢プライマー(206B)からなるパターンを備える。凹部(203)は、プライマー層(206)が無光沢プライマー(206A)で形成されているところに存在する。構造化隆起部(205)は、プライマー層(206)の光沢プライマー(206B)を覆う。エンボス構造物(202)が実質的に透明であるので、プライマー層(206)内の違いが見える。プライマー層(206)が芯材(200)の上面に貼り付けられ、化粧トップ構造物(201)がプライマー層(206)の上に貼り付けられることもまた考えられる。
【0030】
図2bは、
図2aに示されたパネル(220)の上面図を示す。ベース層の一部には前記複数の凹部(203)が設けられ、また、ベース層の一部には凹部がないために、視覚的に目に見えるパターンが得られていることが分かる。この効果は、エンボス構造物(202)と合致しているパターンで無光沢と光沢の両方のプライマー(206A、206B)を備えるプライマー層(206)によって、さらに強調される。
【0031】
図3は、本発明による化粧パネル(330)のさらなる例の概略図を示す。この図は、化粧パネル(330)、特に床パネル(330)の断面を示す。パネル(330)は、上面および下面が与えられた芯材(300)を備える。化粧印刷層(301)が、芯材(300)の上面に間接的に貼り付けられている。プライマー(302)で形成された支持体層(302)が、化粧層(301)の接着性を良くするために芯材(300)と化粧層(301)の間に存在する。中間層(303)が、印刷化粧上部層(301)の上部に存在する。中間層(303)は、透明または半透明の、光反射性の熱可塑性層(303)で形成されている。光反射性の熱可塑性層(303)は、ホットメルト接着剤層(304)を用いて印刷化粧層(301)の上に接着されている。実質的に透明または半透明の三次元エンボス構造物(305)が、前述の層(300、301、302、303、304)の上部に配置されている。エンボス構造物(305)は、多層エンボス構造物(305)であり、複数の凹部が設けられた、少なくとも部分的に硬化されている2つのベース層(306A、306B)を備える。各ベース層(306A、306B)の一部には、凹部がない。エンボス構造物(305)はまた、上側ベース層(306B)の上部に印刷された複数の隆起部によって形成された隆起パターン層(307)も備える。隆起部は、凹部がそれぞれ設けられているベース層(306B)の部分にも、凹部がない部分にも印刷されている。図示されていないが、エンボス層が下方ベース層(306A)の上部に存在することもまた考えられる。二次印刷化粧層(308)が、下部ベース層(306A)に貼り付けられている。この印刷化粧層(308)は、ベース層(306A)のうちの凹部がない部分に貼り付けられる。パネル(330)全体は、仕上げ層(309)で、特にラッカー層(309)で覆われている。パネル(330)は、独特の視覚パターンが得られることになる2つの印刷化粧層(301、308)が存在するという利益を得る。ベース層(306A、306B)に設けられた凹部は通常、深さが2マイクロメートルから100マイクロメートルの間、好ましくは3マイクロメートルから50マイクロメートルの間にある。隆起パターン層(307)の隆起部は通常、高さが2マイクロメートルから500マイクロメートルの間、好ましくは3マイクロメートルから300マイクロメートルの間にある。
【0032】
図4aおよび4bは、本発明によるパネル(400A、400B)に使用される結合輪郭(401A、401B、402A、402B)の非限定的な例を示す。第1のパネル縁部(440A)が第1の結合輪郭(401A)を備え、第1のパネル縁部(440A)と対向する第2のパネル縁部(440B)が、水平方向および垂直方向の両方で隣接するパネルの前記第1の結合輪郭(401A)とインターロックして係合するように設計された第2の結合輪郭(401B)を備え、第1の結合輪郭(401A)と第2の結合輪郭(401B)は、下げる動きによってこのようなパネルの2つを互いに結合できるように構成されている。この構成は、
図4aに示されている。
図4bは、第3のパネル縁部(441A)および第4のパネル縁部(441B)にそれぞれ配置された第3の結合輪郭(402A)および結合輪郭(402B)を備えるパネルを示す。第3の結合輪郭(402A)および第4の結合輪郭(402B)は、このようなパネルの2つ(440A、440B)が回転させる動きによって互いに結合できるように構成され、結合状態では、第1のパネルの横向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2のパネルの第3の溝に挿入されており、前記第2のパネルの上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1のパネルの第2の下向き溝に挿入されている。
【0033】
こうして、上述の本発明の概念は、いくつかの例示的な実施形態によって説明されている。個々の発明概念は、適用する際に、説明された例の他の細部もまた適用しなくても適用できると考えられる。当業者には、特定の適用例に到達するために多数の発明概念を(再)結合できることが理解されるので、上述の発明概念からなるすべての考えられる組み合わせの例を詳述する必要はない。
【0034】
本発明は、本明細書に示され記載された実施例に限定されず、当業者には明らかな多数の変形が添付の請求項の範囲内で可能であることが明らかであろう。
【0035】
本特許公開で使用される動詞「備える(comprise)」およびその活用型は、「備える」だけでなく、語句の「含む(contain)」、「から実質的に成る(substantially consist of)」、「によって形成された(formed by)」、およびこれらの活用型を意味するとも理解される。
【国際調査報告】