(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】尿失禁を制御するための内部小胞デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 5/37 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A61F5/37 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536350
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 IL2019051403
(87)【国際公開番号】W WO2020136645
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521269285
【氏名又は名称】イノベンションズ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヤチア,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA10
4C098CD08
4C098CD10
(57)【要約】
【課題】本発明は、柔軟な材料で作られた充填可能で拡張可能なバルーンを有する、尿失禁を治療するためのデバイスを提供する。
【解決手段】バルーンの壁は、少なくとも1つの凹部及び弁を有する。バルーンの内腔に位置した中央コアは、1つまたは複数の開口部及び1つまたは複数の磁気要素を有する、中央チャネルを囲む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿失禁を治療するためのデバイスであって、
(a)内腔を囲む柔軟な材料で作られた壁を有し、前記壁は少なくとも1つの凹部を有し、かつ前記壁には弁が存在する、充填可能で拡張可能なバルーンと、
(b)前記弁に隣接した端部を有する、前記バルーンの前記内腔の中に位置された、中央コアであって、中央チャネルを囲む壁、及び1つまたは複数の磁気要素を備え、前記中央チャネルの前記壁には1つまたは複数の開口部が存在する、中央コアと
を備える、デバイス。
【請求項2】
2つ以上の磁気要素を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記磁気要素はドーナツ型リングである、請求項3に記載のデバイス。
【請求項4】
前記弁及び前記磁気要素を取り囲む前記中央コアは、柔軟な材料から作られる、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記中央コアは、長手方向に非圧縮性である、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記バルーンは流体で充填される、請求項1~5のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
充填された前記バルーンの前記壁は緊張しない、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
充填された前記バルーンはたるんでいる、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記バルーンは、1つまたは複数の物質を保管し、前記物質を膀胱の中に解放するよう適応される、請求項1~8のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記バルーンは、膀胱を撮像するための撮像手段をさらに備える、請求項1~9のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記バルーンは、膀胱のパラメータを監視するため、または膀胱の内容物を計測するための、1つまたは複数の監視手段をさらに含む、請求項1~10のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記バルーンは、前記監視手段から受信器へ信号を送信するための送信器をさらに備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記バルーンは、前記バルーンに関連付けられた撮像手段または監視手段によって生成されたデータを収集するための、データ収集器をさらに備える、請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記バルーンは、1つまたは複数の、表面またはアンテナ形状の電極をさら備える、請求項1~13のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
尿失禁を治療するためのシステムであって、
(a)尿失禁を治療するためのデバイスであって、
内腔を囲む柔軟な材料で作られた壁を有し、前記壁は少なくとも1つの凹部を有し、かつ前記壁には弁が存在する、充填可能なバルーン、及び
前記弁に隣接した端部を有する前記バルーンの前記内腔の中に位置された、中央コアであって、中央チャネルを囲む壁、及び1つまたは複数の磁気要素を備え、前記中央チャネルの前記壁には1つまたは複数の開口部が存在する、中央コア
を備えた、尿失禁を治療するためのデバイスと、
(b)個人の体表面に適用されるよう構成された磁石と
を備える、システム。
【請求項16】
前記デバイスを個人の膀胱に送達するよう構成された、送達カテーテルをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記デバイスを個人の膀胱から取り外すよう構成された、回収カテーテルをさらに備える、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
前記弁のうちの1つを介して、流体を前記バルーンの中に導入するよう構成され、かつ前記弁のうちの1つを介して流体を前記バルーンから除去するよう構成された、シリンジをさらに備える、請求項15~17のうちいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
尿失禁を治療するための方法であって、
(a)尿失禁を治療するためのデバイスを、個人の膀胱の中に挿入するステップであって、
内腔を囲む柔軟な材料で作られた壁を有し、前記壁は少なくとも1つの凹部を有し、かつ前記壁には弁が存在する、拡張可能なバルーン、及び
前記弁に隣接した端部を有する前記バルーンの前記内腔の中に位置された、中央コアであって、中央チャネルを囲む壁、及び1つまたは複数の磁気要素を備え、前記中央チャネルの前記壁には1つまたは複数の開口部が存在する、中央コア
を備える、挿入するステップと、
(b)前記バルーンの前記内腔を流体で充填するステップと、
(c)膀胱の外側に位置された磁石を使用して、膀胱の開口部に前記デバイスを位置付けるステップと、
(d)膀胱を空にするとき、膀胱の開口部から前記デバイスを取り外すステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記流体は、生体適合性流体、空気、水、食塩水、またはオイルから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
膨張した前記バルーンは、尿の比重未満の比重を有する、請求項19または20に記載のデバイス。
【請求項22】
膨張した前記バルーンは、尿の比重以上の比重を有する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項23】
前記バルーンの前記壁は、充填されたときに緊張しない、請求項19~22のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記バルーンは、充填されたときにたるんでいる、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスの分野にある。より具体的には、本発明は、膀胱疾患を治療するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の先行技術の公開は、本発明の背景技術を理解するために関連があるものと考慮される:米国特許第6293923号明細書、米国特許第4258705号明細書、米国特許第4834704号明細書、米国特許第4850963号明細書、米国特許第4871542号明細書、米国特許第4925446号明細書、米国特許第5019032号明細書、米国特許第5030199号明細書、米国特許第5188109号明細書、米国特許第5234409号明細書、米国特許第5443470号明細書、米国特許第5513659号明細書、米国特許第5579781号明細書、米国特許第5604531号明細書、米国特許第5704353号明細書、米国特許第5749845号明細書、米国特許第5806527号明細書、米国特許第5984860号明細書、米国特許第6039967号明細書、米国特許第6139535号明細書、及び欧州特許第0667115号明細書。
【0003】
尿失禁は、深刻な経済的、健康的、社会的、及び精神的な重要性を有する。公衆での失禁及び臭気の恐怖は、尿失禁者の社会的活動を著しく制限する。影響を受ける人のメンタルヘルスにおける衝撃は、社会的及び健康的結果よりもひどくなり得る。彼ら彼女らは、激しい困惑、自尊心の喪失、意気消沈、及び不安を被る。
【0004】
尿失禁は、外科的及び薬理学的に扱われてきた。骨盤底筋体操、排尿訓練、バイオフィードバック、膣円錐体、骨盤底筋の低周波電気刺激、膣内膀胱頸部の支持ペッサリ、尿道口吸引カップ、及び尿道内デバイスなど、様々な伝統的/行動的な治療が知られている。
【0005】
失禁する人に、ほぼ瞬間的な乾燥をもたらすために使用されてきたデバイスとして、尿道プラグ及び弁カテーテルが挙げられる。
【0006】
米国特許第6,293,923号明細書は、膀胱の中に挿入される拡張可能なバルーンを備えたシステムを説明している。それは、膀胱出口の断続的な封止のため、及び無意識の尿漏れを防止するために使用され得る。膀胱出口を封止することは、出口を封止するように、バルーンを出口にとどめることを伴う。膀胱を空にするために出口を封止解除することは、バルーンを出口から取り除くことを伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6293923号明細書
【特許文献2】米国特許第4258705号明細書
【特許文献3】米国特許第4834704号明細書
【特許文献4】米国特許第4850963号明細書
【特許文献5】米国特許第4871542号明細書
【特許文献6】米国特許第4925446号明細書
【特許文献7】米国特許第5019032号明細書
【特許文献8】米国特許第5030199号明細書
【特許文献9】米国特許第5188109号明細書
【特許文献10】米国特許第5234409号明細書
【特許文献11】米国特許第5443470号明細書
【特許文献12】米国特許第5513659号明細書
【特許文献13】米国特許第5579781号明細書
【特許文献14】米国特許第5604531号明細書
【特許文献15】米国特許第5704353号明細書
【特許文献16】米国特許第5749845号明細書
【特許文献17】米国特許第5806527号明細書
【特許文献18】米国特許第5984860号明細書
【特許文献19】米国特許第6039967号明細書
【特許文献20】米国特許第6139535号明細書
【特許文献21】欧州特許第0667115号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
態様の1つにおいて、本発明は、尿失禁の治療のためのデバイスを提供する。1つの実施形態において、このデバイスは、柔軟な生体適合性材料で作られた壁を有する、充填可能なバルーンを備える。バルーンの壁は、少なくとも1つの凹部を有する。中央コアは、バルーンの内腔に位置される。バルーンの壁における自己封止弁が、バルーンを充填するために使用される。コアは柔軟な材料から作られ、1つまたは複数の磁気要素を備える。開口部及びチャンバの壁において、コアの中央チャネルの中に導入された流体が、中央コアを離れてバルーンの内腔に入るのを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、実施形態の1つにおいて、本発明は、
(a)内腔を囲む柔軟な材料で作られた壁を有し、この壁は少なくとも1つの凹部を有し、かつこの壁には弁が存在する、充填可能で拡張可能なバルーンと、
(b)弁に隣接した端部を有するバルーンの内腔の中に位置された、中央コアであって、中央チャネルを囲む壁、及び1つまたは複数の磁気要素を備え、中央チャネルの壁には1つまたは複数の開口部が存在する、中央コアと
を備える、尿失禁を治療するためのデバイスを提供する。
【0010】
本発明のデバイスは、2つ以上の磁気要素を備え得る。これら磁気要素は、例えばドーナツ型リングであってよい。
【0011】
弁及び磁気要素を取り囲んだ中央コアは、柔軟な材料から作られ得る。この中央コアは、長手方向に非圧縮性であってよい。
【0012】
バルーンは流体で充填される。充填されたとき、充填されたバルーンの壁はたるんで、緊張しなくてよい。
【0013】
バルーンは、1つまたは複数の物質を保管し、これらの物質を解放するよう適応され得る。バルーンは、膀胱を撮像するための撮像手段をさらに備え得る。
【0014】
デバイスは、膀胱のパラメータを監視するため、または膀胱の内容物を計測するための、1つまたは複数の監視手段をさらに含み得る。この場合バルーンは、監視手段から受信器へ信号を送信するための、送信器も備え得る。バルーンは、バルーンに関連付けられた撮像手段または監視手段によって生成されたデータを収集するための、データ収集器も備え得る。バルーンは、1つまたは複数の、面またはアンテナ形状の電極もさらに備え得る。
【0015】
別の態様において、本発明は、
(a)尿失禁を治療するためのデバイスであって、
・内腔を囲む柔軟な材料で作られた壁を有し、この壁は少なくとも1つの凹部を有し、かつこの壁には弁が存在する、充填可能なバルーン、及び
・弁に隣接した端部を有するバルーンの内腔の中に位置された、中央コアであって、中央チャネルを囲む壁、及び1つまたは複数の磁気要素を備え、中央チャネルの壁には1つまたは複数の開口部が存在する、中央コア
を備える、尿失禁を治療するためのデバイスと、
(b)個人の体表面に適用されるよう構成された磁石と
を備えた、尿失禁を治療するためのシステムを提供する。
【0016】
本発明のシステムは、デバイスを個人の膀胱に送達するよう構成された送達カテーテルと、デバイスを個人の膀胱から取り外すよう構成された回収デバイスと、のうちの1つまたは複数をさらに備え得る。
【0017】
システムは、弁のうちの1つを介して、流体をバルーンの中に導入するよう構成され、かつ弁のうちの1つを介して流体をバルーンから除去するよう構成された、シリンジをさらに備え得る。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、
(a)尿失禁を治療するためのデバイスを、個人の膀胱の中に挿入するステップであって、
・内腔を囲む柔軟な材料で作られた壁を有し、この壁は少なくとも1つの凹部を有し、かつこの壁には弁が存在する、拡張可能なバルーン、及び
・弁に隣接した端部を有するバルーンの内腔の中に位置された、中央コアであって、中央チャネルを囲む壁、及び1つまたは複数の磁気要素を備え、中央チャネルの壁には1つまたは複数の開口部が存在する、中央コア
を備える、尿失禁を治療するためのデバイスを備えた、挿入するステップと、
(b)バルーンの内腔を流体で充填するステップと、
(c)膀胱の外側に位置された磁石を使用して、膀胱の開口部にデバイスを位置付けるステップと、
(d)膀胱を空にするとき、膀胱の開口部からデバイスを取り外すステップと
を含む、尿失禁を治療するための方法を提供する。
【0019】
本発明の方法において、流体は、生体適合性流体、空気、水、食塩水、またはオイルから選択され得る。充填されたバルーンは、尿の比重未満の比重、または尿の比重以上の比重を有し得る。バルーンの壁は、バルーンが充填されたときにたるむか、または緊張しなくてよい。
【0020】
本発明を理解するため、及び実際に如何にして本発明が実行され得るかを確認するために、次に好ましい実施形態を、単なる非限定の例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の1つの実施形態による、尿失禁を治療するためのバルーンを備えたデバイスを示す図である。
【
図3】
図1のデバイスに流体を充填している図である。
【
図4】女性個人の膀胱において封止位置にある、
図1のデバイスを示す図である。
【
図5】膀胱開口部近くの、
図1のデバイスの拡大図である。
【
図6a】比較的少量の流体で充填されたときの、
図1のデバイスを示す図である。
【
図6b】
図6aのように充填されたときの、
図1のデバイスの「設置面積」を示す図である。
【
図7a】デバイスが適量の流体で充填されたときの、
図1のデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、尿失禁を治療するために、個人の膀胱の中に挿入するための充填可能なバルーンを提供する。
【0023】
次に、本発明の1つの実施形態による、尿失禁を治療するためのデバイス2を示す
図1を参照する。デバイス2は、
図1で断面図が示された、充填可能なバルーン4を備える。充填可能な中空のバルーンが、単独で
図2に示され、それは、内腔8を囲んだ柔軟な生体適合性材料で作られた壁6を有する。バルーン2の壁は、直径方向に互いに反対側にある、2つの凹部24a及び24bを有する。
【0024】
バルーン4の壁6は、シリコーンなど、任意の生体適合性で柔軟な材料から作ることができる。バルーン4の壁は、最終的に封止閉鎖されることになる開口部を有する。バルーンを封止する前に、
図1に示される中央コア14は、バルーン4の内腔8の中に挿入される。自己封止弁16は、バルーンの壁における開口部の中に挿入され、以下で説明するように、バルーンを充填するために使用される。弁10は、例えばダックビル型弁またはボール弁とし得る。
【0025】
コア14は柔軟な材料から作られ、1つまたは複数の磁気要素18を備える。
図1の実施形態において、磁気要素18はドーナツ型リングであり、それらは中央コア14の長手方向軸に沿って並べられる。磁気要素18は、中央チャネル20を取り囲む。本発明者は、2つ以上の、並べられたドーナツ型の磁気要素を使用することで、中央コア14に柔軟性を与え、それが、男性の尿道を通してデバイス2が膀胱に挿入されるとき、以下で説明するように、有利となる場合があることを確認した。磁気要素18によって取り囲まれない、中央コア14のセクションは、本明細書では「チャンバ」26と称する。チャンバ26の壁における2つの開口部22a及び22bは、以下で説明するように、中央チャネルの中に導入された流体が、中央コア14を離れてバルーン4の内腔8に入るのを可能にする。
【0026】
デバイス2は、尿道を介して空のバルーン4の内腔8、及び潰れたバルーン4の壁6を中央コア14上に伴い、膀胱の中に送達される。デバイス2の送達は、例えば米国特許第6,293,923号明細書に開示されている送達アプリケータを使用して成される。コア18内の磁気要素は、長手方向の非圧縮性を中央コアに与え、それによって尿道を介してデバイスのより良好な押出性を提供する。膀胱の内側で、デバイス4は、その本来の容積またはそれ未満まで流体で充填され、次に送達カテーテルから解放される。
【0027】
図3に示されるように、バルーン4を充填するために、シリンジのカニューレ36が、尿道を介して膀胱まで送達され、弁16を介して中央コアの中央チャネル20の中に挿入される。流体は、シリンジからカニューレ36を介して中央コア20の中に注入され、チャンバ26の開口部22a及び22bを介して中央コア20を離れ、バルーン4の内腔8を充填する。これにより、バルーン4をその本来の容積またはそれ未満まで充填させる。充填後、カニューレ36は引き抜かれ、弁16はそれ自体を封止する。流体は、任意の生体適合性流体とすることができ、滅菌済みの、空気、水、食塩水、または流動パラフィンなどのオイルであってよい。充填されたバルーンは、尿の比重未満の比重、または尿の比重より大きい比重を有し得る。
【0028】
図4は、女性個人の膀胱42に配置した後のデバイス2を示す。外部磁石52は、デバイス2を膀胱出口64に位置付けるために使用される。
図5は、膀胱出口64に位置付けられたデバイス2の拡大図を示す。この位置において、デバイス2は封止位置にあり、尿漏れは防がれている。本発明者は、デバイス2が
図4に示される封止位置にあるとき、充填したバルーンの壁6の表面から弁16を引っ込ませることで、個人にとってより快適となる傾向であることを確認した。本発明者は、バルーン4が充填されるとき、好ましくはバルーン4がその最大容量まで充填されないのが望ましいことを、さらに確認した。バルーン4がその最大容量まで充填されないとき、バルーン4の壁6は緊張せず、かつバルーン4はたるんでおり、バルーンに追従性を与え、膀胱の開口部64及び膀胱出口周りの膀胱表面における不規則面に順応するために、より好適である。これらの条件下で、デバイス2と膀胱表面との間の接触表面積(膀胱表面上のデバイス2の「設置面積」)は大きくされ、バルーンはより良好な封止をもたらす。
【0029】
低いショア硬さのシリコーンを使用することで、通常のショアのシリコーンよりも、バルーンの壁において、より柔らかさをもたらす傾向にある。低いショア硬さのシリコーンから形成されたバルーンは、充填されたときに、通常のショアのシリコーンから形成されたバルーンによって生成される力未満の、拡張されたバルーンの力を作り出す傾向にある。
【0030】
一般的に、バルーン4の中に導入される流体が多いほど、バルーンの「設置面積」は小さくなる。
図6a、
図7a、及び
図8aは、様々な量で充填されたデバイス2を示す。
図6aにおいて、バルーン4は比較的少量の体積の流体で充填されている(磁石の重量に従って計算された、尿におけるデバイスの浮力を提供するために、ちょうど十分な量)。
図6bに示されるように、この量の流体を伴うデバイス2の設置面積70a(クロスハッチングで示される)は、比較的大きい。
図7aにおいて、バルーン4は、適量の流体で充填されている。
図7bに示されるように、この量の流体を伴うデバイス2の設置面積70b(クロスハッチングで示される)は、
図6bの設置面積70aよりも小さい。
図7aにおいて、バルーン4は、比較的多量の流体で充填されている。
図8bに示されるように、この量の流体を伴うデバイス2の設置面積70c(クロスハッチングで示される)は、
図6b及び
図7bそれぞれの設置面積70a及び7bよりも小さい。
【0031】
膀胱の尿を空にしたいとき、外部磁石52は取り除かれる。内腔8の充填後に、デバイス2が尿未満の比重を有する場合、デバイス2は自然に尿に浮き、それによって膀胱の開口部64を開いて空にするのを可能にする。内腔8の充填後に、デバイス2が尿よりも大きい比重を有する場合、外部磁石52を個人の腹部に配置することによって、デバイス2を膀胱内の非封止位置に動かすことができる。
【0032】
デバイス2を体から取り除きたいとき、カニューレが、尿道を介して膀胱に送達され、バルーンに係合される。このカニューレは、バルーン36の磁気要素に係合するよう、先端に磁気を有する回収デバイス内にあり、かつ空のシリンジまたは真空チャンバに接続される。カニューレ16は、中央コアの中央チャネル20の中に挿入される(
図3を再び参照)。内腔及びデバイスの中央コアの流体は、シリンジまたは真空チャンバの中に引き取られる。このように流体は、膀胱の中に解放されない。流体が膀胱の中に解放されると、膀胱の壁を刺激する場合がある。中央コアによって取り囲まれたチャネル内に排出カニューレを用いると、カニューレによる予期せぬ膀胱の損傷も防ぐ。次に空のデバイス2を、磁気を有する回収デバイスを使用して、体から取り外すことができる。
【0033】
外部磁石52を、衛生パッドの中、または個人の下着に組み込むことができる。
【0034】
バルーン4は、1つまたは複数の物質を保管し、これらの物質を膀胱の中に解放するよう適応され得る。1つまたは複数の物質は、バルーンの内腔8、またはバルーンの壁6に保管され得る。バルーンは、膀胱を撮像するための撮像手段、及びこの撮像手段から受信器へ信号を送信するための送信器を、さらに備え得る。バルーンは、膀胱のパラメータ及び膀胱の内容物を監視するための、1つまたは複数の監視手段をさらに含み得る。これらのパラメータは、例えば膀胱圧、尿温度、尿濃度、及び尿組成であってよい。バルーンは、監視手段から受信器へ信号を送信するための送信器を、さらに備え得る。バルーンは、1つまたは複数の電極も含み得る。
【図】
【国際調査報告】