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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】液体を投与するための投与装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20220608BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20220608BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20220608BHJP
   A61M 5/28 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A61F9/007 130D
A61M5/315 500
A61M5/32 510B
A61M5/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549247
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2020060690
(87)【国際公開番号】W WO2020212476
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】19170230.7
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ロート アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ホルマン ヴィオラ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン ハンス ヨルゲン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE14
4C066FF04
4C066GG13
4C066HH02
4C066HH22
4C066KK04
(57)【要約】
本発明は、特に流体の硝子体内投与のための投与装置に関し、この投与装置は、好ましくは予め充填されたシリンジと、シリンジを作動させるための作動機構とを含む。投与装置は、特に作動機構に加えて、プライミング装置を含むことが好ましい。プライミング装置が定められた端部位置を超えて前進することが防止されることが好ましい。シリンジは、好ましくは、投与装置のハウジング内で移動可能であり、及び/又は、完全にハウジング内部に配置することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ(2)と、前記シリンジ(2)を作動させるための作動機構(9)とを含む、流体(F)を投与するための投与装置(1)、特に硝子体内投与装置(1)であって、
前記投与装置(1)は、前記シリンジ(2)のピストン(4)に作用するように構成されたプライミング装置(10)と、前記プライミング装置(10)が前記ピストン(4)を前記シリンジ(2)の端部に移動させるのを防止するためのブロック装置(12)とを含み、及び/又は
前記投与装置(1)は、前記作動機構(9)に加えて、プライミング装置(10)を含むことを特徴とする投与装置。
【請求項2】
前記プライミング装置(10)は、前記ピストン(4)を作動させ、及び/又は、前記ピストン(4)を前記シリンジ本体(3)に対して移動させるように構成及び/又は配置されることを特徴とする、請求項1に記載の投与装置。
【請求項3】
前記プライミング装置(10)は、前記ピストン(4)を前記シリンジ(2)の出口(7)に向かって移動させる又は押すように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の投与装置。
【請求項4】
前記プライミング装置(10)は、前記ピストン(4)から物理的に隔離されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項5】
前記プライミング装置(10)は、前記ハウジング(8)の外部に配置された作動部(11)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項6】
前記プライミング装置(10)は、細長い及び/又はロッド状であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項7】
前記ブロック装置(12)は、前記プライミング装置(10)の端部位置を定めることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項8】
前記ブロック装置(12)は、前記プライミング装置(10)のための停止部を形成することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項9】
前記ブロック装置(12)は、前記ハウジング(8)の内壁(16)から突出する、及び/又は、前記内壁(16)の又はその上に高さを形成することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項10】
前記プライミング装置(10)は、前記作動機構(9)から分離されている、及び/又は機能的に切り離されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項11】
前記作動機構(9)は、前記ピストン(4)を作動させるように構成された押し要素(18)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項12】
前記投与装置(1)は、前記プライミング装置(10)に加えて、前記押し要素(18)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の投与装置。
【請求項13】
前記押し要素(18)は、前記プライミング装置(10)から独立して前記ピストン(4)を作動させるように構成されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の投与装置。
【請求項14】
前記押し要素(18)は、前記プライミング装置(10)に近接して配置されることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項15】
前記押し要素(18)は、前記プライミング装置(10)に対して少なくとも本質的に平行に延びることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項16】
好ましくは請求項1~15のいずれか一項に記載のように構成され、かつハウジング(8)と、シリンジ(2)と、前記シリンジ(2)を作動させるための作動機構(9)とを含む、流体(F)を投与するための投与装置(1)であって、
前記シリンジ(2)及び/又はそれに取り付けられた注入針(5)は、完全に前記ハウジング(8)の内部に配置される、又は配置することができ、及び/又は
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)を前記ハウジング(8)に対して移動させるように構成されることを特徴とする、投与装置。
【請求項17】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)を前記ハウジング(8)に対して投与位置に移動させるように構成されることを特徴とする、請求項16に記載の投与装置。
【請求項18】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)を作動させることなく、前記シリンジ(2)を移動させるように構成されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の投与装置。
【請求項19】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)を前記投与位置へ移動させた後に、前記シリンジ(2)のピストン(4)を移動させることによって、前記シリンジ(2)を作動させるように構成されることを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項20】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)を作動させた後に、前記シリンジ(2)及び/又は前記注入針(5)を、完全に前記ハウジング(8)の内部に配置するように構成されることを特徴とする、請求項16~19のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項21】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)を作動させた後に、前記シリンジ(2)及び/又は前記注入針(5)を、完全に前記ハウジング(8)の内部に自動的に配置するように構成されることを特徴とする、請求項16~19のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項22】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)と前記ハウジング(8)又はその部品(8A、8B)を互いに対して移動させるためのバネを含むことを特徴とする、請求項16~21のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項23】
前記バネは、前記ハウジング(8)内に配置されることを特徴とする、請求項22に記載の投与装置。
【請求項24】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)のピストン(4)を作動させるための押し要素(18)を含み、前記押し要素(18)は、前記シリンジ(2)の本体(3)に結合するための結合装置(19)を含むことを特徴とする、請求項16~23のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項25】
前記シリンジ(2)は、投与後又は投与位置に配置された後に、前記ハウジング(8)内に後退可能であることを特徴とする、請求項16~24のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項26】
前記シリンジ(2)は、自動的に後退可能であることを特徴とする、請求項25に記載の投与装置。
【請求項27】
前記ハウジング(8)は、互いに対して及び/又は前記シリンジ(2)に対して移動可能な2つのハウジング部品(8A、8B)を含むことを特徴とする、請求項16~26のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項28】
前記バネは、前記2つのハウジング部品(8A、8B)の間に配置されることを特徴とする、請求項22及び27に記載の投与装置。
【請求項29】
前記バネは、前記ハウジング部品(8A、8B)を離すように構成されることを特徴とする、請求項28に記載の投与装置。
【請求項30】
前記投与装置(1)は、前記シリンジ(2)のピストン(4)の作動中、前記ハウジング部品(8A、8B)の第1のものが前記シリンジ本体(3)及び前記ハウジング部品(8A、8B)の第2のものに対して移動する一方、前記シリンジ本体(3)及び前記第1のハウジング部品(8A)が互いに対して移動しないように構成されることを特徴とする、請求項27~29のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項31】
前記ピストン(4)を移動させるための押し要素(18)は、前記第1のハウジング部品(8A)に剛に接続されることを特徴とする、請求項27~30のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項32】
前記投与装置(1)は、前記流体(F)の硝子体内投与用に構成されることを特徴とする、請求項1~31のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項33】
前記シリンジ(2)は予め充填されたシリンジであることを特徴とする、請求項1~32のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項34】
前記シリンジ(2)は注入針(5)を含む、又は、特にルアー接続によって注入針(5)に接続可能であることを特徴とする、請求項1~33のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項35】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)のピストン(4)を移動させることによって、前記シリンジ(2)を作動させるように構成されることを特徴とする、請求項1~34のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項36】
前記作動機構(9)は作動要素(20)を含むことを特徴とする、請求項1~35のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項37】
前記作動要素(20)はボタン状であることを特徴とする、請求項36に記載の投与装置。
【請求項38】
前記作動要素(20)は、前記プライミング装置(10)とは独立して手動作動用に構成されることを特徴とする請求項36又は37に記載の投与装置。
【請求項39】
前記作動要素(20)は、前記シリンジ(2)の長手方向延長線に対して横断方向に、特に垂直方向に作動するように構成されることを特徴とする、請求項36~38のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項40】
前記作動要素(20)は、前記プライミング装置(10)の移動方向に対して横断方向に、特に垂直方向に作動するように構成されることを特徴とする、請求項36~39のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項41】
前記作動要素(20)は、前記ハウジング(8)の横方向に配置されることを特徴とする、請求項36~40のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項42】
前記作動要素(20)は、投与開口部(15)を含む前記投与装置(1)の軸方向端部に又はその近くに配置されることを特徴とする、請求項36~41のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項43】
前記作動要素(20)は、前記プライミング装置(10)又はその作動部(11)を含む軸方向端部とは反対側にある前記投与装置(1)の軸方向端部の近くに配置されることを特徴とする、請求項36~42のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項44】
前記作動機構(9)は、前記シリンジ(2)を移動させるためのトランスミッション(22)を含むことを特徴とする、請求項1~43のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項45】
前記シリンジ(2)は、前記トランスミッション(22)によって後退可能であることを特徴とする、請求項25及び44に記載の投与装置。
【請求項46】
前記トランスミッション(22)は、前記作動要素(20)によって駆動されることを特徴とする、請求項43又は44に記載の投与装置。
【請求項47】
前記投与装置(1)は、前記投与装置(1)を患者の眼(E)と位置合わせするように構成された位置合わせ装置(25)を含むことを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項48】
前記位置合わせ装置(25)は、患者の眼(E)と直接接触するように構成された位置合わせ領域(25A)を含むことを特徴とする、請求項47に記載の投与装置。
【請求項49】
前記位置合わせ領域(25A)は、少なくとも実質的に層状であることを特徴とする、請求項47又は48に記載の投与装置。
【請求項50】
前記位置合わせ領域(25A)は湾曲していることを特徴とする、請求項47~49のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項51】
前記位置合わせ装置(25)は、前記ハウジング(8)又はその部品(8A、8B)の長手方向延長線及び/又は投与装置(8)の軸(L)に対して横断方向に延びる位置合わせ領域(25A)を含む又は形成することを特徴とする、請求項47~50のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項52】
前記ハウジング(8)又はその部品(8A、8B)は、前記位置合わせ装置(25)を含む又は形成することを特徴とする、請求項47~51のいずれか一項に記載の投与装置。
【請求項53】
流体(F)、特に薬物を直接目(E)の中に硝子体内注入又は注入するための、請求項1~52のいずれか一項に記載の投与装置(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に請求項1又は請求項16の前文に記載された流体の硝子体内投与のための投与装置、並びに投与装置の使用に関する。
【0002】
本発明は、薬剤の硝子体内注入に、すなわち眼、具体的には、硝子体の中へ直接薬剤を注入するのに特に適しているが、本発明の投与装置は、他の文脈において、具体的には、流体又は薬剤の投与又は注入に用いることもできる。本発明は、人間又は動物の身体又はその一部の中に直接薬剤又は他の流体を投与又は注入するための医療分野において特に有利である。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2014/005728号は、眼科用注入に適した小容量のシリンジに関するものである。このシリンジは、薬剤が予め充填されており、本体と、ストッパと、プランジャとを含む。プランジャは、ストッパに接触するように配置されたプランジャ接触面を含み、プランジャを用いてストッパをシリンジ本体の出口に向かって強制的に向けることができるようになっている。
【0004】
国際公開第00/69488号は、ハウジングと、ハウジングに対して移動可能な、針を備えたシリンジとを含む注入器装置に関するものである。この注入器装置は、針を後方位置から前方位置に移動させるように動作可能な穿通構成と、針を後部方向に移動させるための戻り構成と、針を通してシリンジの内容物を放出するための注入構成とを含む。さらに、注入装置は、ハウジング上に配置された制御ボタンを含み、この制御ボタンは、穿通構成と注入構成とを段階的にトリガする。ボタンは、少なくとも、針の軸に垂直な移動成分を有するように配置される。この注入装置は、硝子体内注入には適合しない。
【0005】
米国特許出願公開第2006/0069350号明細書は、シリンジを収容するためのハウジングを備えた医療用シリンジ注入器ペンに関するものである。ペンは、駆動機構と、駆動機構を解放して装置を作動させ、流体をシリンジからユーザに送出するための作動部材とを含む。流体を送出した後、シリンジはハウジングの中に戻るように後退される。注入器ペンは、硝子体内注入には適合しない。
【0006】
米国特許出願公開第2010/0241102号明細書は、シリンジを受け取るように適合された注入アセンブリを含む、硝子体内注入装置に関するものである。注入アセンブリは、ユーザ入力に応答して、自動的かつ連続的に、第1にシリンジを患者の眼の中に移送し、第2にシリンジから注入物質を供給する(dispense)ように適合される。この注入装置は、プライミング装置を有していない。
【0007】
英国特許出願公開第2541445号明細書は、注入装置に関するものである。この注入装置は、薬物を放出するためのストッパを備えた予め充填されたシリンジを含む。ハウジングには、シリンジと、ストッパを駆動するためのプランジャと、ハウジングに対して移動可能な操作部材を有するプライミング機構とが含まれる。プライミング機構は、操作部材の移動時にシリンジをプランジャに向かって移動させ、ストッパがプランジャと接触するように配置される。操作部材の回転により、シャトルが軸方向に変位し、シリンジ・バレルの肩部を押す。プライミングは、キャップを注入器から除去することによって駆動される。この注入装置は、硝子体内注入には適合しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2014/005728号
【特許文献2】国際公開第00/69488号
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0069350号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0241102号明細書
【特許文献5】英国特許出願公開第2541445号明細書
【0009】
本発明の目的は、安全に使用でき、使用が容易であり、及び/又は、特に硝子体内投与の場合に、投与される流体又は薬剤の正しい及び/又は正確な投薬を保証する投与装置を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の目的は、請求項1又は請求項16に記載の投与装置、又は請求項53に記載の使用によって解決される。有利なさらなる発展は従属項の対象となる。
【0011】
本発明による投与装置は、シリンジと、シリンジを作動させるための作動機構とを含む。シリンジは、好ましくは、予め充填されたシリンジ、すなわち、シリンジから供給される及び/又は患者に投与される流体又は薬剤を含むシリンジである。シリンジは、シリンジ本体と、本体内に配置されたピストンとを含み、ピストンはシリンジ本体内で移動可能である。
【0012】
本発明の一態様によれば、投与装置はハウジングを含み、作動機構が、シリンジ又はシリンジ本体をハウジングに対して移動させるように構成される。このことは、投与装置の使用及び取り扱いを容易にするために有益である。
【0013】
独立して実施することもできる更に別の態様によれば、投与装置はハウジングを含み、シリンジ及び/又はそれに取り付けられた注入針は、特にシリンジ及び/又は注入針がハウジングから突き出ないように、完全にハウジング内部に配置することができる、又はそのように構成される。このことは、投与装置の安全な取り扱いの助けとなる。
【0014】
独立して実施することもできる更に別の態様によれば、投与装置は、作動機構に加えて、プライミング装置を含む。特に、プライミング装置は、作動機構から分離されている、及び/又は機能的に切り離されている。このように、プライミングは、意図しない流体の供給をもたらす可能性があるシリンジの偶発的な作動の可能性なしに、行うことができる。このようにして、投与装置の容易で安全な取り扱いを達成することができる。
【0015】
独立して実施することもできる更に別の態様によれば、投与装置は、シリンジのピストンに作用するように構成されたプライミング装置と、プライミング装置が、ピストンを、プライミング位置を超えて、及び/又は、シリンジの端部に移動させるのを防止するためのブロック装置とを含む。これにより、正しく正確な、及び/又は定められたプライミングが保証され、投与装置の容易で安全な取り扱いの助けとなる。特に、ブロック装置は、プライミング装置が定められた端部位置を超えて前進するのを防止するように構成される。
【0016】
シリンジは、好ましくは、注入針を含み、又は、特にルアー接続によって注入針に接続可能である。
【0017】
作動機構は、好ましくは、シリンジ、特にシリンジ本体を、ハウジングに対して投与位置に移動させるように構成される。特に、シリンジが投与位置に移動されている間、シリンジ又はそのピストンは作動しない。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0018】
さらに、作動機構は、シリンジ、特にシリンジ本体を投与位置へ移動させた後、シリンジを作動させるように構成されることが好ましい。最初にシリンジ又はシリンジ本体を投与位置へ移動させるステップと、その後にシリンジを作動させるステップは、作動機構の1回の共通動作で行われることが好ましい。具体的には、シリンジは、シリンジの本体内に配置されたピストンを移動させることによって作動する。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0019】
さらに、作動機構は、シリンジを作動させた後、シリンジ及び/又は注入針を完全にハウジングの内部に、特に自動的に配置するように構成されることが好ましい。換言すれば、シリンジ及び/又は注入針は、好ましくは自動的に、シリンジを作動させた後、特に流体の投与又は供給の後、ハウジング内に後退させられるか、又はハウジングによって覆われる。このようにして、投与装置の安全で容易な取り扱いが達成される。
【0020】
作動機構は、シリンジとハウジング又はその部品とを互いに対して移動させるための戻り手段、具体的にはバネを含むことが好ましい。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0021】
好ましい態様によれば、作動機構は、シリンジのピストンを作動又は移動させるための押し要素を含み、押し要素は、具体的には投与位置において、特に押し要素に対するシリンジ又はシリンジ本体の位置が結合によって固定されるように、シリンジ本体に結合するための結合装置を含むことが好ましい。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0022】
好ましい実施形態において、作動機構は、ボタン状の作動要素を含むことが好ましい。作動要素は、具体的にはプライミング装置の作動から独立して、投与装置のユーザが手動で及び/又は直接作動させるように構成されることが好ましい。作動要素は、シリンジの長手方向延長線及び/又はプライミング装置の移動方向に対して横断方向に、具体的には垂直方向に作動するように構成されることが好ましい。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0023】
作動機構は、シリンジを移動させるためのトランスミッション又はギアを含むことが好ましい。トランスミッションは、ボタン状の作動要素によって駆動されることが好ましい。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0024】
作動要素は、好ましくは、ハウジングの横方向に配置され、及び/又は投与開口部を含む投与装置の軸方向端部に又はその近くに配置され、及び/又はプライミング装置又はその作動部を含む軸方向端部とは反対側にある投与装置の軸方向端部の近くに配置される。このように、投与装置は、好ましくは、片手で作動するように設計され、及び/又は、特にペンのように投与装置を保持している間、ユーザの人さし指で作動させることができる。
【0025】
好ましい態様によれば、シリンジ及び/又は注入針は、具体的にはトランスミッションによって、好ましくは自動的に、ハウジング内に後退させることができる。シリンジ及び/又は注入針の後退は、好ましくは、流体の投与又は供給の後に、特に自動的に行われる。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0026】
別の好ましい実施形態によれば、ハウジングは、互いに対して及び/又はシリンジに対して移動可能な2つのハウジング部品を含む又はそれらから構成する。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0027】
上述の戻り手段又はバネは、ハウジング内及び/又は2つのハウジング部品の間に配置されることが好ましい。バネは、ハウジング部品を離すように構成されることが好ましい。このように、例えば、シリンジ及び/又は注入針をハウジング部品の1つで覆うため、又は具体的には流体を投与又は供給した後にシリンジをハウジング内に後退させるために、ハウジング部品を自動的に離すことを達成することができる。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0028】
更に別の好ましい態様によれば、投与装置は、シリンジのピストンの作動中、2つのハウジング部品の第1のものがシリンジ本体及び2つのハウジング部品の第2のものに対して移動し、シリンジ本体と第1のハウジング部品が互いに対して移動しないように構成される。具体的には、ピストンを移動させるための押し要素が、第1のハウジング部品に剛に接続されるか、又は、第1のハウジング部品の一部又は部分を形成する。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いの助けとなる。
【0029】
本発明の意味での「プライミング(priming)」という用語は、好ましくは、投与装置又はシリンジ内に含まれる流体を投与する前の投与装置の準備を意味し、シリンジ内に含まれる流体のごく一部が供給され、流体内に潜在的に含まれる気泡が除去され、プライミング後のシリンジ内に含まれる容積は、患者に投与されるべき所望の用量に対応する。一般的には、(予め充填された)シリンジ内に含まれる流体の容積は、投与されるべき用量の容積を少し上回るため、投与されるべき用量に影響を与えることなく、プライミングによって、シリンジ内に含まれる空気を除去することができる。しかしながら、「プライミング」という用語の使用は、シリンジが実際に流体で充填されることを意味するものではない。換言すれば、「プライミング」とは、具体的には、シリンジのピストンを、以下「プライミング位置」とも呼ぶ定められた位置へ移動させることを意味する。具体的には、プライミング装置は、シリンジが空であっても(すなわち、液体又は薬剤で充填されていなくても)作動又は移動させることができる。従って、プライミング装置の移動又はシリンジのピストンの移動など、プライミング中又はプライミングのために行われる他のすべての動作は、空のシリンジ、すなわち予め充填されていないシリンジで行うことができる。
【0030】
本発明の意味での「投与位置」という用語は、好ましくは、流体を供給するためのシリンジの作動以外にさらなるステップを行うことなく、シリンジ内に含まれる流体を患者に供給又は投与することができる、シリンジ及び/又はそれに取り付けられた注入針の位置を意味する。具体的には、投与位置とは、シリンジ内に含まれる流体を患者に投与する際のシリンジ本体の位置である。しかしながら、投与位置は、投与装置の他の部品、特にハウジング又はその部品に対して定められる。従って、投与位置は、患者を指すものではない。
【0031】
本発明の意味での「投与する」及び「供給する」という用語、並びにそれに関連する用語は、好ましくは、特にシリンジに取り付けられた注入針を通して、投与装置又はシリンジから、流体を供給することを意味する。本発明による投与装置は、例えば注入針を用いることによって、及び/又は、薬剤を眼、具体的には硝子体の中に直接注入することによって、患者の身体に薬剤を直接投与するために用いられることが好ましいが、これらの用語は、患者の存在なしに流体を供給することも指す。具体的には、「投与する」という用語は、患者の存在なしに流体を供給するためにも用いることができる。
【0032】
本発明の意味での「シリンジを作動させる」という用語及び関連する用語は、好ましくは、シリンジ本体に対するピストンの移動、具体的には、流体を供給できるシリンジの出口に向かう方向の移動を意味する。従って、「シリンジを作動させる」という用語は、「ピストンを作動させる」という用語で置き換えることもできる。
【0033】
本発明の意味での「シリンジを移動させる」という用語は、好ましくは、シリンジ本体の、具体的には投与装置の他の部品、例えばハウジングに対する好ましくは直線的な移動を意味する。具体的には、シリンジ本体を移動させずに、シリンジ本体に対してピストンを作動又は移動させるだけでは、本発明の意味でのシリンジの移動とは理解されない。従って、具体的には、「シリンジを移動させる」という用語は、「ピストンを移動させる」という用語に置き換えることもできる。さらに、「シリンジ」という用語は、「シリンジを移動させる」という用語のように、「シリンジ」という用語が具体的にはシリンジ本体を指していることが文脈から容易にわかる場合には、「シリンジ本体」という用語に置き換えることもできる。
【0034】
本発明の上述の態様及び特徴、及び特許請求の範囲及び以下の説明から明らかになる本発明の態様及び特徴は、原則として互いに独立して実施することができるだけでなく、任意の組み合わせ又は順序で実施することができる。
【0035】
本発明のさらなる態様、利点、特徴、及び特性は、特許請求の範囲、及び図面を参照した好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による投与装置の第1の実施形態の概略的な斜視図を示す。
図2】ユーザにより保持されている、第1の実施形態による投与装置の概略的な側面図を示す。
図3】シリンジが静止位置にある、第1の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図4】プライミングが行われた、第1の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図5】シリンジが投与位置にあり、シリンジが作動されていない、第1の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図6】シリンジが投与位置にあり、シリンジが作動された、第1の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図7】シリンジが後退位置又は静止位置に配置された、第1の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図8】本発明による投与装置の第2の実施形態の概略的な斜視図を示す。
図9】ユーザにより保持されている、第2の実施形態による投与装置の概略的な側面図を示す。
図10】シリンジが静止位置にある、第2の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図11】シリンジが投与位置にあり、シリンジが作動されていない、第2の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図12】シリンジが作動された、第2の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図13】シリンジが投与装置のハウジング内に配置された、第2の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
図14】第3の実施形態による投与装置の概略的な斜視図を示す。
図15】第3の実施形態による投与装置の概略的な断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図において、これらの図は概略的なものに過ぎず、縮尺通りでない場合もあるが、同じ又は類似の部品及び構成要素には同じ参照符号が用いられており、対応する又は同等の特性及び利点は、それらが繰り返し記載されていなくても達成することができる。
【0038】
図は、本発明による投与装置の異なる実施形態を示しており、具体的に示されている実施形態は、幾つかの共通の特徴を有している。従って、1つの実施形態に関連して説明される特徴は、好ましくは、別の実施形態でも実現することができる。従って、簡潔にするために、1より多い実施形態に共通する特徴の説明の繰り返しは避けている。さらに、異なる実施形態は、特に、組み合わせることができる。
【0039】
以下では、まず本発明が、本発明の第1の好ましい実施形態を幾つかの描写で示す図1乃至図6を参照して説明される。その後、さらなる実施形態について説明される。
【0040】
図1は、第1の実施形態による投与装置1を斜視図で示す。
【0041】
投与装置1は、具体的には、硝子体内投与装置であり、及び/又は、流体F、具体的には薬物を硝子体内に投与及び/又は注入するように、すなわち、患者の眼E、具体的にはその硝子体の中に流体Fを直接投与及び/又は注入するように構成される。
【0042】
以下で説明される投与装置1の部品の全ては、滅菌される、及び/又は、滅菌可能であることが好ましい。具体的には、投与装置及び/又はその部品は、オートクレーブによって滅菌されるように構成される。
【0043】
投与装置1は、シリンジ2を含む。投与装置1又はシリンジ2は、流体Fを供給するように構成され、具体的には、流体Fを患者(図示せず)の身体又はその一部に、具体的には眼Eに、特に好ましくは硝子体に直接投与するように構成される。このことは、投与装置の安全で容易な取り扱いをもたらす。
【0044】
シリンジ2は、投与装置1に予め取り付けられる、及び/又は恒久的に取り付けられる、及び/又は投与装置1と一体であることが好ましい。しかしながら、ユーザがシリンジ2を投与装置1の中に挿入することができる解決策も考えることができる。
【0045】
投与装置1及び/又はシリンジ2は、使い捨て物品であり、及び/又は、使い捨て用に構成されることが好ましい。
【0046】
シリンジ2は、シリンジ本体3とピストン4とを含む、又はそれらから成る。
【0047】
シリンジ本体3は、少なくとも本質的に円筒形である及び/又は細長く、具体的にはバレル状に設計されることが好ましい。具体的には、シリンジ2又はシリンジ本体3は、投与装置1及び/又はシリンジ2の長手方向延長線又は軸Lに対して少なくとも本質的に平行に、具体的には同軸に及び/又は対称的に配置される。
【0048】
「軸方向」、「同軸」、「半径方向」等のような用語は、他に明示的に示されていない場合、好ましくは、軸Lに関連するものである。
【0049】
ピストン4は、本体3内に配置され、好ましくは、流体Fがピストン4と本体3との間を通過できないように、本体3に緊密に及び/又は密閉して嵌合することが好ましい。
【0050】
ピストン4は、シリンジ本体3内で、具体的には直線的に、及び/又は軸Lに沿って移動可能である。
【0051】
シリンジ本体3は、出口7と反対側の軸方向端部にカラー3Aを含むことが好ましい。特に、カラー3Aは、シリンジ本体3の円筒部を、具体的には環状方式で取り囲み、及び/又は、シリンジ本体3から半径方向に突出する。
【0052】
好ましい態様によれば、シリンジ2は、流体Fが予め充填されているか、又は流体Fを含む。流体Fは、具体的には、患者に投与される薬剤又は薬物であり、例えば、VEGF-アンタゴニスト、ベバシズマブ、ラニビズマブ、アフリベルセプト、及び/又はペガプタニブである。しかしながら、他の薬剤又は薬物も可能である。
【0053】
さらに、シリンジ2が、投与装置1のユーザによって充填又は再充填されるように構成されること、及び/又は、シリンジ2が予め充填されないことも可能である。代替的に又は付加的に、シリンジ2を、ハウジング8から取り出す、及び/又は交換することもできる。
【0054】
また、シリンジ2は、注入針5、例えばステーキドニードル(staked needle)及び/又はシリンジ2から取り外し可能でない針を含むこともできる。しかしながら、シリンジ2が単に注入針5に接続されるように構成されること、及び/又は、注入針5を、特に医療分野で広く使用されるルアー接続又はシステム、具体的にはルアー・ロック又はルアー・スリップによって、シリンジ2から取り外すことができるようにすることも可能である。
【0055】
シリンジ2は、流体Fのためのチャンバ6を含む又は定める。チャンバ6は、本体3とピストン4とによって形成又は画定されることが好ましい。チャンバ6は、可変の容積を有する。ピストン4をシリンジ本体3に対して移動させることにより、チャンバ6の容積を変更すること、特に減少させることができる。
【0056】
さらに、シリンジ2又はシリンジ本体3は、流体Fを供給するための出口7を含む。この出口7は、シリンジ2の軸方向端部に配置されることが好ましい。
【0057】
ピストン4は、出口7に向かってのみ移動可能であること、及び/又は、出口7から離れるように移動できないことが好ましい。
【0058】
注入針5は、出口7に配置されること、又は出口7に接続できることが好ましい。
【0059】
ピストン4を出口7に向かって移動させることによって、流体Fをシリンジ2から供給し、チャンバ6の容積が減少し、チャンバ6内に含まれる流体Fが出口7を通して放出されるようにすることができる。
【0060】
投与装置1は、ハウジング8を含むことが好ましい。シリンジ2は、ハウジング8内部に配置されることが好ましい。ハウジング8は、シリンジ2又はシリンジ本体3の少なくとも主要部を取り囲む又は密封することが好ましい。シリンジ2は、完全にハウジング8内部に配置し、シリンジ2のどの部分もハウジング8から突き出ないようにすることが好ましい。特に、このことは、注入針5がシリンジ2に取り付けられている、又はシリンジ2の一部を形成している場合にも当てはまる。
【0061】
ハウジング8は、投与装置1、特にシリンジ2の内部の目視検査が可能なように、少なくとも部分的に透明とすることができる。
【0062】
ハウジング8は、シリンジ2、シリンジ本体3、及び/又は針5を外的影響から保護することが好ましい。
【0063】
投与装置1は、注入針5のための、特に剛性のカバー又はシールド27を含むことが好ましい。具体的には、シールド27は、注入針5を損傷から保護し、及び/又は、注入針5の無菌性を保証するように構成される。
【0064】
シールド27は、注入針5、投与装置1、ハウジング8及び/又はシリンジ2から取り外し可能であることが好ましい。
【0065】
ハウジング8は、投与装置1の軸方向端部に、シリンジ2及び/又は注入針5のための投与開口部15を含むことが好ましい。
【0066】
シリンジ2又はシリンジ本体3は、ハウジング8内で及び/又はハウジング8に対して移動可能であることが好ましい。具体的には、シリンジ2又はシリンジ本体3は、特に図3及び図4に示される後退位置又は静止位置と、特に図5に示される投与位置との間で移動可能である。後退位置又は静止位置は、具体的には、投与装置1が使用されない又は作動していないときにシリンジ2が配置される位置である。
【0067】
投与位置とは、具体的には、患者への流体Fの投与のために流体Fを供給することができる位置である。投与位置においては、出口7及び/又は注入針5は、ハウジング8から突き出ていることが好ましい。投与位置においては、注入針5及び/又はシリンジ2、具体的には出口7は、投与開口部15を通って延びることが好ましい。
【0068】
投与装置1は、シリンジ2を作動させるための、具体的にはピストン4をシリンジ本体3に対して、特に好ましくは出口7に向かって移動させるための作動機構9を含む。
【0069】
好ましくは、投与装置1は、具体的には、作動機構9に加えて及び/又は作動機構9とは別個に、プライミング用に構成されたプライミング装置10を含む。「プライミング」という用語は、上で定義される。
【0070】
プライミング装置10は、作動機構9から分離及び/又は機能的に切り離されることが好ましい。従って、特にプライミング装置10によるプライミングは、作動機構9によりシリンジ2を作動させずに行うことができる。
【0071】
プライミング装置10は、ピストン4を作動させるように、及び/又は、ピストン4をシリンジ本体3に対して移動させるように構成及び/又は配置されることが好ましい。具体的には、プライミング装置10は、ピストン4をシリンジ2の出口7に向かって移動させる又は押すように構成される。
【0072】
プライミング装置10は、ピストン4を、以下に「プライミング位置」とも呼ばれる規定された端部位置に移動させるように構成されることが好ましい。具体的には、ピストン4は、プライミング装置10によってプライミング位置を超えて移動することはできない。
【0073】
「プライミング位置」という用語は、好ましくは、プライミングのためにピストン4が移動される位置を意味する。ピストン4がプライミング位置にあるとき、チャンバ6は、好ましくは、所望の又は所定の容積を(正確に)有し、及び/又は、前述の容積に対応する量の流体F、特に患者に投与されるべき流体Fの1回分の用量に正確に対応する容積を含む。
【0074】
プライミング位置において、ピストン4は、出口7を含むシリンジ2の軸方向端部から離間配置されることが好ましい。
【0075】
投与装置1及び/又はプライミング装置10は、投与装置1の作動、具体的には薬剤を供給すること、及び/又はピストン4を、プライミング位置を超えて移動させることは、プライミング後にのみ可能であり、及び/又は、プライミング前及び/又はプライミング中に防止されるように構成されることが好ましい。例えば、プライミング装置10は、プライミング位置に移動される前に、投与装置1の作動を(機械的に)ブロックするように構成することができる。
【0076】
シリンジ本体3は、好ましくは、出口7とは反対側のシリンジ2又はシリンジ本体3の軸方向端部14で開口している。具体的には、プライミング装置10は、軸方向端部14又はその開口部を通して、シリンジ本体3内に延びる。
【0077】
プライミング装置10は、ハウジング8に対して、及び/又はシリンジ2に対して、具体的には軸Lに沿って及び/又は軸Lに平行に移動可能であることが好ましい。
【0078】
プライミング装置10は、固有の作動のために構成することができる。換言すれば、プライミング装置10は、一度だけ作動させることが可能である。プライミング装置10は、好ましくは、プライミング装置10によってピストン4をプライミング位置に移動させる時に、具体的にはハウジング8又はその部品との係合によって、ロックされるように構成される。好ましくは、プライミング装置10は、プライミング後は、二度と移動できない。
【0079】
プライミングによって又はプライミング後にプライミング装置10をロックすることは、好ましくは、プライミングが既に実行されたこと、投与装置1の使用準備が整っていること、具体的には患者への薬剤の投与準備が整っていること、及び/又は投与装置1が既に使用されたことを、投与装置1のユーザに示す役割を果たす。
【0080】
代替的に又は付加的に、プライミング装置10及び/又は投与装置1は、プライミング装置10を覆うためのキャップ(図示せず)などを含むことができる。具体的には、キャップは、ハウジング8又は投与装置1から取り外すことができる。キャップは、プライミング装置10の(偶発的な)作動がキャップによって防止されるように、プライミング装置10を覆うことが好ましい。
【0081】
プライミング装置10は、ピストン4から物理的に隔離されることが好ましい。従って、好ましくは、プライミング装置10によって、ピストン4を出口7から離れる方向に移動させることはできない。これにより、例えば、プライミング装置10が(偶発的に)ピストン4及び/又は出口7から離れる方向に移動される場合に、ピストン4が出口7から離れる方向に移動されることが防止される。従って、流体Fが患者の身体内に投与又は注入されている間、空気がシリンジ2に引き込まれること、及び/又は、ピストン4が出口7から離れる方向に移動することが防止される。このように、プライミング装置10を偶発的に誤った方向に移動させることによって、患者を傷つけることが回避される。
【0082】
プライミング装置10は、好ましくは、ハウジング8及び/又はシリンジ本体3内に部分的に配置され、及び/又はシリンジ2又はシリンジ本体3内に延びる。
【0083】
プライミング装置10は、特にハウジング8の外部に配置された作動部11を含み、ユーザが作動部11を作動できるようにすることが好ましい。作動部11は、投与装置1の軸方向端部、具体的には投与開口部15の反対側に配置されることが好ましい。
【0084】
投与装置1は、プライミング装置10をブロック又は停止するための、及び/又はプライミング装置10が規定された端部位置を超えて移動するのを防止するための、ブロック装置12を含むことが好ましい。従って、ブロック装置12は、プライミング装置10のための端部位置を規定することが好ましい。ブロック装置12は、ハウジング8の内壁16上に配置され、及び/又は内壁16と一体形成されることが好ましい。ブロック装置12は、プライミング装置10のための停止部を形成することが好ましい。具体的には、ブロック装置12は、ハウジング8の内壁16から突出し、及び/又は、該内壁16の高さを形成する又は該内壁16上に形成される。
【0085】
プライミング装置10は、細長い及び/又はロッド状であることが好ましい。作動部11を含むプライミング装置10の端部において、プライミング装置10は、プライミング装置10又は作動部11がブロック装置12に接触するように構成及び/又は配置された接触領域13を含むように、プライミング装置10の長手方向延長線及び/又は軸Lに対して具体的には垂直な、拡大した断面及び/又は直径を有することが好ましい。接触領域13は、プライミング装置10の軸L及び/又は長手方向延長線に対して横断方向に、具体的には少なくとも本質的に垂直に延びることが好ましい。
【0086】
具体的には、プライミング装置10は、ハウジング8及び/又は投与装置1内に、及び/又はシリンジ2、具体的にはピストン4に向かって、好ましくは接触領域13がブロック装置12に接触するまで(直線的に)移動可能であり、それによりプライミング装置10のさらなる移動がブロックされる。
【0087】
図3においては、プライミング装置10は非作動位置で示される。図4においては、プライミング装置10は、プライミング装置10を出口7及び/又は投与開口部15に向けて移動させることによって、図3の非作動位置から作動位置又は規定された端部位置へ移動されている。これは、図4の矢印で示される。
【0088】
従って、好ましくは、ピストン4は、プライミング装置10によって予め定められたプライミング位置を超えて移動させることはできない。具体的には、プライミング装置10によってピストン4を出口7に向かって移動させることで、チャンバ6の容積を(少なくとも本質的に)ゼロに減少させることはできない。具体的には、シリンジ2の作動は、プライミングのために作動される部分、すなわちプライミング装置10とは異なる部分の作動によって行われる。従って、プライミングで、チャンバの容積を意図したより少なく減少させることはできない。結果的に、プライミングによって又はプライミング中に、患者に投与されるべき流体F又は薬剤の用量の一部がチャンバ6から取り出されることが防止される。
【0089】
シリンジ2、ピストン4、ハウジング8、ブロック装置12、プライミング装置10、及び/又は接触領域13は、接触領域13がブロック装置12に接触するまで、プライミング装置10をピストン4に向かって移動させたときに、ピストン4がプライミング位置へ移動するような寸法及び/又は配置になっていることが好ましい。
【0090】
作動機構9は、シリンジ2又はシリンジ本体3をハウジング8に対して移動させるように構成されることが好ましい。
【0091】
プライミング装置10によるプライミングは、シリンジ2を移動及び/又は作動させる前に行われる又は実行されることが好ましい。
【0092】
作動機構9は、具体的にはシリンジ2を作動させるため、及び/又は、具体的にはハウジング8に対してシリンジ2を移動させるために、互いに互に作用又は協働する幾つかの部品を含む。
【0093】
作動機構9は、シリンジ2をハウジング8に対して投与位置に移動させるように構成されることが好ましい。この投与位置への移動は、具体的には、シリンジ2を作動させることなく、すなわち、作動機構9によってシリンジ2を移動させる間、ピストン4をシリンジ本体3に対して移動させることなく、実行することができる。このことは、特に図4及び図5に示される。
【0094】
さらに、作動機構9は、具体的にはシリンジ2を投与位置に移動させた後に、シリンジ2を作動させる、又はピストン4をシリンジ本体3に対して、好ましくは出口7に向かって移動させるように構成されることが好ましい。このことは、特に図6に示される。図5の矢印は、図4に示される静止位置から図5に示される投与位置へのシリンジ2の移動を示す。
【0095】
さらに、作動機構9は、具体的には、シリンジ2を作動させた後に、例えばシリンジ2をハウジング8内に後退させることによって、シリンジ2及び/又は注入針5を少なくとも本質的に完全にハウジング8内部に配置するように構成されることが好ましい。好ましくは、シリンジ2及び/又は注入針5のハウジング8内部への配置は、自動的に実行することができ、又は、自動的に実行される。これは、特に図7に示される。図6の矢印は、図6に示される投与位置から図7に示される静止位置又は後退位置へのシリンジ2の移動を示す。
【0096】
従って、特に好ましい実施形態において、作動機構9は、まず、シリンジ2を投与位置へ移動させ、続いて、ピストン4を出口7に向かって移動させることによってシリンジ2を作動させて、シリンジ2のチャンバ6内に含まれる流体Fを供給し、続いて、例えばシリンジ2をハウジング8内に後退させることによって、シリンジ2をハウジング8内部に完全に(再び)配置し、シリンジ2及び/又は注入針5がハウジング8から突き出ないように構成される。好ましくは、これらのステップは、以下でさらに詳しく説明するように、投与装置1又は作動機構9の1回の作動によって、後で及び/又は自動的に行われる。その結果、投与装置1の安全で容易な取り扱いを達成することができる。
【0097】
作動機構9は、好ましくは、戻り手段17を含む。戻り手段17は、シリンジ2、具体的にはシリンジ本体3を後退位置又は静止位置に付勢する又は押し付けるように構成及び/又は配置されることが好ましい。
【0098】
戻り手段17は、好ましくはバネであり、特に好ましくはコイルバネ及び/又は圧縮バネである。
【0099】
作動機構9は、具体的にはプライミング装置10に加えて及び/又はプライミング装置10とは独立して、ピストン4を作動させるように構成された押し要素18を含むことが好ましい。具体的には、押し要素18は、プライミング装置10よりもシリンジ2及び/又は出口7に向かってさらに遠くに移動させることができる。押し要素18は、具体的には、押し要素18を用いてピストン4を作動させ、押し、又は移動させることによって、所望の用量の流体F、具体的にはチャンバ6内に含まれる流体の全てを、出口7を通して供給できるように、ピストン4を、出口7を含むシリンジ2の軸方向端部まで移動させる又は押すように構成されることが好ましい。好ましくは、押し要素18は、ピストン4とは別個であるか、又はピストン4から物理的に隔離されている、及び/又は、ピストン4に剛に接続されていない。
【0100】
押し要素18は、ロッド状及び/又は細長いものであり、及び/又は軸Lに沿って及び/又は軸Lに対して平行に延びることが好ましい。好ましくは、押し要素18は、シリンジ本体3内に部分的に配置され、及び/又はシリンジ本体3内に延びる。特に好ましくは、押し要素18は、プライミング装置10に近接して配置され、及び/又は、プライミング装置10に対して少なくとも本質的に平行に延びる。押し要素18は、好ましくは、完全にハウジング8内部に配置される。押し要素18は、好ましくは、プライミング装置10とは独立して移動するように構成される。
【0101】
好ましくは、押し要素18は、押し要素18をシリンジ本体3に結合するための結合装置19を含む。
【0102】
好ましくは、押し要素18又は結合装置19は、2つの異なる結合位置で、シリンジ2、具体的にはシリンジ本体3と結合することができる。
【0103】
第1の結合位置において、押し要素18は、押し要素18に対するシリンジ本体3の位置が少なくとも一時的に固定されるように、具体的には、押し要素18が投与開口部15に向かって移動されたときに、シリンジ2が静止位置から出て及び/又は投与位置に向かって移動されるように、シリンジ本体3と結合されることが好ましい。第1の結合位置において、押し要素18は、プライミング装置10に対して移動可能であることが好ましい。
【0104】
好ましくは、押し要素18は、具体的には、自動的に及び/又は第1の結合位置での結合に続いて、第2の結合位置でシリンジ本体3と結合することができる。好ましくは、第1の結合位置での結合が解放され、及び/又は、第1の位置での結合後及び/又は第2の結合位置での結合前に、押し要素18がシリンジ本体3に対して移動される。第2の結合位置での結合は、押し要素18がピストン4を出口7に向かって移動した後にのみ行われることが特に好ましい。従って、第2の結合位置での結合は、シリンジ2から流体Fを供給した後にのみ行われることが好ましい。
【0105】
換言すれば、第1の位置での結合は、シリンジ2の静止位置で、及び/又は静止位置から投与位置へのシリンジ2の移動中に行われることが好ましい。第2の結合位置での結合は、シリンジ2が投与位置へ移動したとき又は移動した後、及び/又は、シリンジ2が投与位置から静止位置又は後退位置へ戻る移動中にのみ行われることが好ましい。
【0106】
第1の結合は、図3図4、及び図5に示される。第2の結合は、図6及び図7に示される。
【0107】
結合装置19は、好ましくは、1つ又は幾つかのフラップ又はアーム19A、19Bを含む、又はそれらによって形成される。
【0108】
押し要素18は、好ましくは、押し要素18の横方向に配置されることが好ましい第1のアーム19Aを含む。具体的には、第1のアーム19Aは、押し要素18から横断方向又は傾斜しており、及び/又は、軸L及び/又は押し要素18に対して横断方向に突出し又は押し要素18から傾斜される。アーム19Aは、好ましくは、押し要素18と一体に構築される。
【0109】
第1の結合位置での結合は、好ましくは、第1のアーム19Aによって行われる。押し要素18の直径及び/又は断面は、好ましくは、第1のアーム19Aによって拡大される。第1のアーム19Aを備えた押し要素18の直径及び/又は断面は、アーム19Aがシリンジ本体3の軸方向端部14に接触するように、シリンジ本体3の内径又は断面より大きいことが好ましい。
【0110】
シリンジ本体3、押し要素18及びアーム19Aは、シリンジ2が静止位置にあるとき、及び/又は、投与装置1、具体的には作動要素20が作動していないときに、アーム19Aがシリンジ2又はシリンジ本体3の軸方向端部14に接触するように配置されることが好ましい。これは、特に図3及び図4に示される。
【0111】
押し要素18が投与開口部15に向かって移動されると、シリンジ本体3は、軸方向端部14における第1のアーム19Aとの結合のため、好ましくは、押し要素18と共に移動される。従って、押し要素18は、好ましくは、シリンジ本体3及び/又はピストン4に対して移動されず、シリンジ2は、投与位置に移動されることによって作動されることはない。
【0112】
投与装置1は、シリンジ2のための停止部26を含むことが好ましい。具体的には、停止部26は、シリンジ2を投与位置で停止させるように構成されており、及び/又は、投与位置を定める。具体的には、停止部26は、シリンジ2のカラー3Aと接触するように構成される。
【0113】
停止部26は、ハウジング8内部に配置されることが好ましい。停止部26は、ハウジング8又はその部品8A、8B、具体的にはその内壁と一体に形成されることが好ましい。
【0114】
シリンジ2が投与位置に達すると、押し要素18は、好ましくは投与開口部15に向かってさらに前進させることができ、具体的にはピストン4が作動され、具体的には出口7に向かって移動される。
【0115】
結合装置19又は第1のアーム19Aは、可撓性であることが好ましい。具体的には、第1のアーム19Aは、押し要素18に向かって変形及び/又は旋回されるように構成され、それによって押し要素18の直径及び/又は断面が小さくなり、アーム19Aとシリンジ本体3との間の結合が解放され、押し要素18をシリンジ本体3内にさらに前進させてピストン4を移動又は作動させることができるようになる。
【0116】
第1のアーム19Aは、好ましくは、シリンジ2が(既に)投与位置に到達しているとき、及び/又はシリンジ2又はシリンジ本体3の投与開口部15に向かったさらなる移動が停止部26によってブロックされたとき、押し要素18を出口7に向かって(さらに)押すこと、及び/又は作動要素20を(さらに)作動させる又は押し下げることによって変形される。
【0117】
結合装置19は、好ましくは、ピストン4が押し要素18によって出口7に向かって移動されたとき又はその後にのみ、第2の結合位置で結合するように構成される。結合装置19は、第2位置で結合するための第2のアーム19Bを含むことが好ましい。第2のアーム19Bは、ロッド23上に配置されることが好ましい。
【0118】
ロッド23は、具体的には接続部24によって、押し要素18に剛に接続されることが好ましい。接続部24は、押し要素18とロッド23との間に配置されることが好ましい。押し要素18、ロッド23及び接続部24は、好ましくはU字形状を形成し、具体的には、押し要素18とロッド23とは互いに平行である。ロッド23は、完全にハウジング8の内部及び/又はシリンジ2又はシリンジ本体3の外部に配置されることが好ましい。
【0119】
第2のアーム19Bは、可撓性であることが好ましい。具体的には、ロッド23に向かって変形及び/又は旋回されるように構成され、その結果、ロッド23及び/又は第2のアーム19Bはカラー3Aを通過することができる。
【0120】
第2のアーム19Bは、シリンジ3のカラー3Aに、具体的には出口7に面するカラー3Aの側に係合するように構成されることが好ましい。第2のアーム19Bは、弾性であることが好ましい。第2のアーム19Bは、押し要素18がピストン4を出口7に向かって押したときに第2のアーム19Bがカラー3Aを通過させるように、及び/又は、ピストン4が出口7に向かって十分に遠くに移動したときに、第2のアーム19Bがカラー3A、具体的には出口7に面する側と係合するように、ロッド23に配置されることが好ましい。
【0121】
押し要素18及び/又はロッド23が投与開口部15から遠ざけられると、具体的には流体Fを投与した後、シリンジ2又はシリンジ本体3は、好ましくは、第2の結合位置での結合のため、具体的には第2のアーム19Bとカラー3Aとの係合のため、押し要素18及び/又はロッド23と共に移動される。
【0122】
以上の説明は、主に、図1乃至図7に示される第1の実施形態を参照して行われたが、これらの説明及び説明された特徴は、図8乃至図13に示される更に別の実施形態にも適用され、第1の実施形態に限定されるものではない。
【0123】
以下では、更に別の実施形態について説明する前に、特に図1乃至図7を参照して、第1の実施形態の幾つかの特別な特徴を説明する。
【0124】
投与装置1及び/又は作動機構9は、投与装置1、具体的にはシリンジ2及び/又は作動機構9を作動させるように構成された作動要素20を含むことが好ましい。
【0125】
作動要素20は、ボタン状及び/又はプランジャ状に構成又は形成されることが好ましい。
【0126】
作動要素20は、好ましくは、投与装置1において横方向に配置され、具体的には、作動するように構成された作動要素の領域又は面が、軸Lに対して半径方向に向いている。作動要素20は、ハウジング8の開口部又は凹部21を通って延びることが好ましく、凹部21は、ハウジング8において横方向に配置されることが好ましい。作動要素20は、ハウジング8から突き出ることが好ましい。
【0127】
作動要素20は、投与開口部15を含む又は形成する投与装置1の軸方向端部又はその近くに配置されることが好ましい。作動要素20は、プライミング装置10及び/又はその作動部11を含む(軸方向)端部とは反対側にある投与装置1の軸方向端部又はその近くに配置されることが好ましい。作動要素20は、プライミング装置10を含む端部よりも投与開口部15を含む端部のより近くに配置されることが好ましい。
【0128】
作動要素20は、軸L及び/又は押し要素18の移動方向及び/又はプライミング装置10の移動方向に対して横断方向に、具体的には少なくとも本質的に垂直に延びることが好ましい。
【0129】
作動要素20は、軸L及び/又は押し要素18の移動方向及び/又はプライミング装置10の移動方向に対して横断方向に、具体的には垂直に移動可能であることが好ましい。
【0130】
作動要素20は、投与装置1のユーザによって、具体的にはユーザの人さし指によって、手動で及び/又は直接作動するように構成されることが好ましい。
【0131】
図2に示されるように、投与装置1及び/又は作動要素20は、好ましくは、片手で作動できるように、具体的には、投与装置1をペンのように保持する、及び/又は投与装置1のユーザの親指と人さし指及び/又は中指の間に保持することができるように配置及び/又は構成され、具体的には、投与装置1を保持している間、作動要素20を人さし指で作動させる、具体的には押し下げることができる。好ましくは、具体的には、針5で患者の身体、具体的には眼を穿刺する間及び/又はその後、投与装置1及び/又は作動要素20を作動させるために、ユーザが掴み変える必要はない。これにより、投与装置1の使用がより容易かつ安全になる。好ましくは、使用中の投与装置1のぐらつき又は小刻みな揺れは、このようにして防止される。
【0132】
投与装置1は、好ましくは、投与装置1の作動及び/又は流体Fの投与が、投与装置1又はシリンジ2の軸方向端部に配置されたシリンジのピストン又はプランジャなどの作動装置を押すのとは異なる方法で行われるように構築される。好ましくは、投与装置1は、出口7及び/又は投与開口部15を含む軸方向端部とは反対側の投与装置1の軸方向端部に配置された、及び/又はそこで作動するように構成されたシリンジ2を作動させるための装置を含まない。
【0133】
作動要素20は、具体的には戻り手段17によって、非作動位置に付勢される及び/又は押し付けられることが好ましい。これは、特に図3乃至図7に示される。
【0134】
バネ又は戻り手段17は、ハウジング8の外部に及び/又はハウジング8と作動要素20との間に、具体的には軸L及び/又はプライミング装置10の移動方向及び/又は押し要素18の移動方向に対して横断方向又は垂直方向に配置されることが好ましい。
【0135】
戻り手段17は、作動要素20の作動時に圧縮するように構成されることが好ましい。
【0136】
押し要素18は、作動要素20の作動によって、具体的には作動要素20を押し下げることによって、すなわち、作動要素20をハウジング8に向かって、及び/又は、軸Lに対して垂直な方向に移動させることによって、移動可能又は作動可能であることが好ましい。
【0137】
作動要素2は、プライミング装置10に加えて及び/又はプライミング装置10とは別個に設けられることが好ましい。作動要素20は、プライミング装置10から機械的に及び/又は機能的に切り離され、具体的には、作動要素20及びプライミング10が独立して作動すること、及び/又は、互いに独立して動作又は移動することができることが好ましい。
【0138】
作動要素20及び/又はプライミング装置10は、プライミングが実行されていないか、又はプライミング装置10がプライミング位置に前進されていない限り、作動要素20の作動又は押下が、具体的にはプライミング装置10によってブロックされるように構成することができる。
【0139】
作動機構9は、ギア又はトランスミッション22を含むことが好ましい。トランスミッション22は、作動要素20の作動又は移動を、押し要素18又はその移動に伝達又は変換するように構成されることが好ましい。具体的には、トランスミッション22は、作動要素20の移動を、作動要素20の移動方向に対して横断方向の、具体的には少なくとも本質的に垂直な押し要素18の移動に変換するように構成される。
【0140】
さらに、トランスミッション22は、ギアトレインを含む又は形成することが好ましい。ギア比、具体的には、作動要素20の移動距離と、押し要素18及び/又はロッド23の移動距離との間の比は、1:3より大きく、具体的には1:5より大きく、及び/又は、1:20より小さく、具体的には1:10より小さいことが好ましい。
【0141】
トランスミッション22は、ギアホイール22Aを含むことが好ましい。特に好ましくは、ギアホイール22Aはダブル・ギアホイール、すなわち2つの異なる環状ギア又は歯付きリム22B、22Cを含むギアホイールである。2つの環状ギア又は歯付きリム22B、22Cは、好ましくは、異なる直径を有し、具体的には、以下に内側リム22Bとして示される第1のリム22Bの直径は、以下に外側リム22Cとして示される第2の歯付きリム22Cの直径よりも小さい。
【0142】
作動要素20は、1つ又はそれ以上の歯付きのラック又はロッドを含むことが好ましい。具体的には、ギアホイール22Aと作動要素20は協働して1つ又はそれ以上のラックアンドピニオンを形成する。
【0143】
作動要素20は、前述の歯付きロッドの1つを含む又は形成することが好ましい。具体的には、作動要素20とギアホイール22Aの内側歯付きリム22Bは協働して第1のラックアンドピニオンを形成する。
【0144】
ロッド23は、前述の歯付きロッドの第2のものを含む又は形成することが好ましい。具体的には、ロッド23と、ギアホイール22Aの外側歯付きリム22Cは協働して第2のラックアンドピニオンを形成する。
【0145】
このようにして、作動要素20の相対的に小さい移動距離が、押し要素18のはるかに大きい移動距離に変換される。これは、投与装置1の容易な取り扱いのために有利である。
【0146】
シリンジ2を投与位置に移動させること、及び/又はシリンジ2を作動させること、具体的には流体Fを供給することは、好ましくは、作動要素20の単一及び/又は連続的な作動によって、具体的には作動要素20を(ハウジング8に向かって及び/又は軸Lに対して横断方向に)押し下げることによって行うことができる。シリンジ2は、具体的には、流体Fの投与後及び/又は作動要素20の作動後、ハウジング8内に自動的に後退されるか、又は後退位置若しくは静止位置へ移動される(戻る)ことが好ましい。
【0147】
本発明の意味において、シリンジ2をハウジング8内に「後退させる」とは、好ましくは、後退が終了したときにシリンジ2がハウジング8の内部に配置されるような、ハウジング8又はその部品8A、8Bに対するシリンジ2又はシリンジ本体3の移動を意味する。具体的には、シリンジ2及び/又は注入針5は、後退位置において、ハウジング8から突き出ない。一実施形態においては、シリンジ2の後退は、シリンジ2をハウジング8に対して移動させることによって行うことができる。しかしながら、別の実施形態においては、ハウジング部品8A、8Bが互いに対して移動される、及び/又は、ハウジング部品8A、8Bのうちの少なくとも一方がシリンジ2又はシリンジ本体3に対して移動されることで、この相対移動によってシリンジ2がハウジング8に取り囲まれる及び/又は覆われるようにすることも可能である。
【0148】
具体的には、「シリンジ2を後退させる」という用語は、投与位置から後退位置又は静止位置へシリンジ2を移動させることを意味する。
【0149】
戻り手段17は、シリンジ2をハウジング8内に(自動的に)配置する、及び/又は、シリンジ2をハウジング8内に後退させるように構成されることが好ましい。戻り手段17は、シリンジ2を投与位置から後退位置又は静止位置へ(自動的に)移動させるように構成されることが好ましい。具体的には、戻り手段17は、作動要素20が作動される又は押し下げられる前に配置される/配置されていた開始位置に、作動要素20を戻すことによって、シリンジ2を移動させるように構成される。作動要素20の移動は、作動機構9、具体的にはトランスミッション22、押し要素18、結合装置19及び/又はロッド23によって、シリンジ2の後退位置又は静止位置への移動に伝達されることが好ましい。
【0150】
以下では、特に図7乃至図12に示される第2実施形態による投与装置1について説明する。上で説明したように、第2の実施形態は、第1の実施形態と複数の特徴を共有する。従って、以下では、主に第1の実施形態と比較した、第2の実施形態の相違点について説明する。従って、他に示されない場合、第1の実施形態に関連する上の説明は、好ましくは第2の実施形態にも当てはまる。
【0151】
第2の実施形態によれば、投与装置1又はハウジング8は、好ましくは、2つのハウジング部品8A及び8Bを含み、以下では「第1のハウジング部品8A」及び「第2のハウジング部品8B」という用語で区別される。
【0152】
ハウジング部品8A、8Bは、互いに及び/又は軸Lに対して同軸に配置されることが好ましい。
【0153】
ハウジング部品8A、8Bは、互いに対して、具体的には直線的に及び/又は軸Lに沿って移動可能であることが好ましい。ハウジング部品8A、8Bは、入れ子様式で互いに対して移動可能であることが好ましい。
【0154】
好ましくは、第2のハウジング部品8Bは、少なくとも部分的に第1のハウジング部品8A内に延び、及び/又は、第1のハウジング部品8Aは、少なくとも部分的に第2のハウジング部品8Bを取り囲み、又はその逆も同様である。
【0155】
投与装置1、具体的にはハウジング8、特に好ましくは第2のハウジング部品8Bは、注入針5のためのカバー又はシールド27を含む又は形成することが好ましく、ハウジング部品8Bは、注入針5を少なくとも半径方向に取り囲むことが好ましい。しかしながら、シールド27は、ハウジング8又は第1のハウジング部品8Aから取り外し可能な部品とすることもできる。
【0156】
シールド27は、具体的には注入針5が、例えばルアー接続によって投与装置1及び/又はシリンジ2に接続可能及び/又は取り外しである場合には、1つ又はそれ以上の開口部又は凹部27Aを含むことが好ましい。
【0157】
凹部/凹部27Aは、シールド27の横方向に配置されることが好ましい。好ましくは、2つの凹部27Aが設けられ、具体的には、凹部27Aはシールド27の半径方向に対向する側に配置されることが好ましい。
【0158】
注入針5及び/又はシールドの内部は、凹部/凹部27Aによってアクセス可能であることが好ましい。凹部27Aは、具体的にはルアー接続による、注入針5のシリンジ2への接続、及び/又は注入針5のシリンジ2からの除去又は分離を可能及び/又は容易にするように構成されることが好ましい。さらに、凹部/凹部27Aによって、注入針5の検査が可能になる。
【0159】
投与装置1は、投与装置1を患者の眼Eに位置合わせするための位置合わせ装置25を含むことが好ましい。
【0160】
第2のハウジング部品8Bは、位置合わせ装置25を形成する又は含むことが好ましい。
【0161】
位置合わせ装置25は、投与開口部15を含むハウジング8又はハウジング部品8Bの軸方向端部に配置されることが好ましい。
【0162】
位置合わせ装置25は、位置合わせ領域25Aを含む又は形成することが好ましい。位置合わせ装置25及び/又は位置合わせ領域25Aは、患者の眼Eに直接接触するように構成されることが好ましい。位置合わせ領域25Aは、第2のハウジング部品8B及び/又は軸Lの長手方向延長線に対して横断方向に延びることが好ましい。位置合わせ領域25Aは、位置合わせ装置25の軸方向端部に配置されることが好ましい。
【0163】
位置合わせ領域25Aは、少なくとも実質的に平坦、平面、及び/又は層状であることが好ましい。
【0164】
具体的には、位置合わせ装置25及び/又は位置合わせ領域25Aは、湾曲しており、及び/又は(僅かな)曲率及び/又は少なくとも本質的に球形の形状を含み、従って、特に眼Eの形状に適合される。
【0165】
位置合わせ装置25は、細長いチューブ状、スリーブ状、及び/又は少なくとも本質的に円筒形であることが好ましい。具体的には、位置合わせ装置25は、針5を少なくとも部分的に取り囲む。
【0166】
第2の実施形態による投与装置1の作動機構9は、原則として、第1の実施形態による投与装置1の作動機構9と非常に類似している、及び/又は部分的に同一である。具体的には、プライミング装置10及び押し要素18によるシリンジ2の作動に関する上の説明、具体的には、最初にシリンジ2を作動位置に移動させ、次にシリンジ2を作動させ、続いてシリンジ2を再びハウジング8内に配置するか、又はシリンジ2を後退させるステップは、第2の実施形態にも当てはまる。
【0167】
第1の実施形態とは対照的に、第2の実施形態による投与装置1は、ボタン状の作動要素を含まないことが好ましい。
【0168】
第2の実施形態による投与装置1及び/又はシリンジ2は、好ましくは、具体的には直線的な移動によって、ハウジング部品8A、8Bを互いに対して移動させることによって作動されるように構成される。
【0169】
さらに、第2の実施形態においては、バネ又は戻り手段17は、ハウジング8の内部に及び/又は第1のハウジング部品8Aと第2のハウジング部品8Bとの間に配置される。戻り手段17は、ハウジング8又はハウジング部品8A、8Bの長手方向の延長線及び/又は軸Lに対して同軸に配置されることが好ましい。
【0170】
戻り手段17は、第1及び第2のハウジング部品8A、8Bを押し開く、及び/又は静止位置に押し込むように構成又は配置されることが好ましい。
【0171】
第2の実施形態の押し要素18は、好ましくは、ハウジング8、具体的には第1のハウジング部品8Aと一体に形成され、及び/又は、第1のハウジング部品8Aに対して移動可能でない。
【0172】
ハウジング8、好ましくは、具体的には第1のハウジング部品8Aは、具体的には押し要素18を含む又は形成することによって、作動機構9の一部を形成する。
【0173】
押し要素18及び/又はプライミング装置10は、好ましくは、戻り手段17と同軸に配置され、及び/又は戻り手段17内に又は戻り手段17を通って延びる。具体的には、戻り手段17は、押し要素18及び/又はプライミング装置10を取り囲む。
【0174】
第2の実施形態による作動機構9は、好ましくは、トランスミッション22を含まない。
【0175】
シリンジ2は、第1のハウジング部品8Aが第2のハウジング部品8Bに対して、具体的には直線的に移動することにより、投与位置へ移動する及び/又は作動するように構成されることが好ましい。この動きによって、戻り手段17は圧縮されることが好ましい。
【0176】
停止部26は、第2のハウジング部品8B、具体的にはその内壁に配置されることが好ましい。
【0177】
押し要素18は、第1の実施形態に関連して上で説明したように、結合装置19、具体的にはそのアーム19A、19Bによって、シリンジ2に結合することができ、又は好ましくは結合される。第1のハウジング部品8A及び/又は押し要素18に対するシリンジ2の配置は、少なくともシリンジ2が投与位置に到達するまで、結合によって固定されることが好ましい。
【0178】
換言すれば、シリンジ2は、第1のハウジング部品8Aが第2のハウジング部品8Bに対して、具体的には投与開口部15に向かって移動されたときに、第2のハウジング部品8Bに対して、具体的には静止位置から投与位置へ移動するように構成されることが好ましい。
【0179】
シリンジ2が投与位置に到達すると、好ましくは、第1のハウジング部品8Aを第2のハウジング部品8Bに対してさらに移動させることによって、シリンジ2を作動させること、及び/又は流体Fを投与することができる。このさらなる移動によって、結合装置19又はアーム19Aとシリンジ本体3との結合が好ましくは解放され、押し要素18がピストン4に向かってさらに移動され、それにより、ピストン4又はシリンジ2が作動される。
【0180】
ピストン4の作動時、具体的にはピストン4を出口7に向かって移動させると、第1のハウジング部品8Aは、好ましくは、シリンジ2及び/又は第2のハウジング部品8Bに対して移動され、具体的にはシリンジ2及び/又は第2のハウジング部品8Bが第1のハウジング部品8A内に又は第1のハウジング部品8Aに向かって移動するようになる。これは、特に図11図12を比較することで分かる。
【0181】
その後、シリンジ2、具体的には注入針5は、好ましくは、具体的には自動的に、完全にハウジング8の内部に配置すること、及び/又はハウジング8内に後退させることが可能である。
【0182】
第2の実施形態による結合装置19は、好ましくは、唯一の又は正に1つの結合アーム19Aを含むことが好ましい。結合アーム19Aは、2つの異なる結合位置でシリンジ本体3と結合することができる。
【0183】
シリンジ本体3は、第2の結合位置でアーム19Aと結合するように構成された凹部28などを含むことが好ましい。好ましい実施形態においては、アーム19Aは、ピストン4が押し要素18によって出口7に向かって押されると、シリンジ本体3の凹部28と係合し、それによって第2の結合位置でシリンジ本体3と結合するように構成される。具体的には、アーム19Aは弾性であるので、その位置に到達すると自動的に凹部28と係合する。
【0184】
具体的には、第2の結合位置におけるアーム19Aの結合により、シリンジ2のハウジング8内への後退が可能になる。
【0185】
2つの異なる位置でシリンジ本体3と係合するように構成された1つだけのアーム19Aを含む結合装置19を用いた解決策は、好ましくは、投与装置の第1の実施形態においても実現することができる。
【0186】
戻り手段17は(自動的に)シリンジ2をハウジング8内部に配置すること、又はシリンジ2をハウジング8内に後退させるように構成されることが好ましい。特に、投与装置1は、第2のハウジング部品8Bを第1のハウジング部品8Aに対して移動させることによって、具体的には(圧縮された)バネ又は戻り手段17によってハウジング部品8A、8Bを離間させることによって、シリンジ2を後退させるように構成され、特定的には、第2のハウジング部品8Bは第1のハウジング部品8Aから押し出され、それによって第2のハウジング部品8Bがシリンジ2及び/又は注入針5を覆うようにする。特に、第2のハウジング部品8Bは、シリンジ2に対して移動され、及び/又は、シリンジ2の後退時、シリンジ2は第1のハウジング部品8Aに対して移動されない。
【0187】
投与装置1が、具体的には、以下で説明する方法を行うように構成される。
【0188】
投与装置1を使用する又は作動させるための方法、及び/又は、投与装置1から/又は投与装置1を用いて流体Fを供給又は投与するための方法、及び/又は、薬剤を患者に、具体的には患者の身体又はその一部に直接投与又は注入するための方法は、好ましくは、以下のステップのうちの1つ又はそれ以上を含む。
【0189】
まず、シールド27は、投与装置1から取り外されることが好ましい。
【0190】
プライミング装置10は、好ましくは、具体的にはプライミング装置10を投与開口部15に向かって押すことにより、規定された端部位置まで前進され、それにより、好ましくは、プライミング装置が軸Lと平行に移動される。プライミング装置を移動させることによって、ピストン4は、好ましくはプライミング位置に移動される又は押し込まれる。
【0191】
プライミング装置10によるプライミングは、シールド27を除去する前に行うことも可能である。
【0192】
投与装置1は、薬剤又は流体Fを投与する患者の身体に対して所望の位置に配置することが好ましく、例えば、薬剤を注入する静脈上又はその上方に配置され、又は薬剤を注入する眼E上に配置される。
【0193】
さらに、投与装置1を眼Eに対して配置する前に、患者の眼Eに麻酔をかけることが可能である。
【0194】
投与装置1の配置は、位置合わせ装置25によって支援する又は容易にすることができる。
【0195】
投与装置1は、プライミングの後又はプライミング装置10を作動させた後に作動されることが好ましい。好ましい態様によれば、投与装置1は、プライミング前には作動可能でなく、及び/又はプライミング又はプライミング装置を作動させた後にのみ作動可能である。
【0196】
投与装置1の作動は、好ましくは、作動装置20を作動させること、及び/又は、ハウジング部品8A、8Bを互いに対して移動させることによって行われる。
【0197】
投与装置1又はシリンジ2内に含まれる流体F又は薬剤は、好ましくは患者に投与される。これは、好ましくは、投与装置1を作動させることによって、例えば作動要素20を作動すること又は押し下げることによって、及び/又は、ハウジング部品8A、8Bを互いに対して移動させることによって行われ、好ましくは、シリンジ2をまず投与位置へ移動させ、次に作動させることにより、流体Fがシリンジ2から放出され、及び/又は患者に投与される。
【0198】
流体Fを投与した後、注入針5は、好ましくは投与装置1、具体的にはハウジング8の中に後退される。これは、具体的には、作動要素20及び/又はハウジング部品8A、8Bを解放し、シリンジ2を後退させることによって、自動的に行われることが好ましい。具体的には、作動要素20を作動させるために、及び/又はハウジング部品8A、8Bを互いに対して移動させるために用いられる力は、例えば、作動要素20を押し下げるために用いられる指を離すことによって低減又は除去される。
【0199】
以下では、本発明の特に好ましい実施形態について説明する。好ましい実施形態は、図14及び図15に示される。
【0200】
投与装置1の第3の実施形態は、第1の実施形態と類似している。従って、以下では、第1実施形態に関する相違点のみを説明し、上記の説明、特に第1実施形態に関連する説明は、好ましくは第3実施形態にも適用される。
【0201】
第3の実施形態による投与装置1は、(意図しない)プライミングを防止するため、具体的にはプライミング装置10のシリンジ2に向かう移動を防止するためのロック装置10Aを含むことが好ましい。ロック装置10Aは、プライミング装置10を(機械的に)ロックするように構成されることが好ましい。ロック装置10Aは、プライミング装置10のための停止部を形成することが好ましい。
【0202】
ロック装置10Aは、好ましくは、プライミング装置10、具体的には作動部11と、ハウジング8及び/又はその部品との間に配置される、又は配置可能である。
【0203】
ロック装置10Aは、プライミング装置10を少なくとも部分的に取り囲むように構成されることが好ましい。具体的には、ロック装置10Aは、U字形状を有する。
【0204】
ロック装置10Aは、プライミング装置10及び/又は投与装置1から、具体的には軸Lに対して横断方向に、具体的には垂直方向に取り外し可能であることが好ましい。
【0205】
第1の実施形態に係る投与装置1が、ロック装置10Aを含むこともできる。
【0206】
第3の実施形態においては、ハウジング8内のシリンジ2、具体的にはシリンジ本体3の位置は、固定されていることが好ましく、及び/又は、シリンジ2、具体的にはシリンジ本体3は、ハウジング8に対して移動可能でない。
【0207】
押し要素18は、ピストン4に作用するように構成されたプレート状及び/又は平坦な要素によって形成されることが好ましい。代替として又は付加的に、押し要素18又はその部分は、ピストン4、具体的にはピストン4の軸方向端部に配置された半径方向に延びるプレートを少なくとも部分的に取り囲む又は把持するように構成することができる。このことは、特に図15に示される。
【0208】
第3の実施形態による投与装置1は、好ましくは、作動要素20を作動させることによって、シリンジ2のピストン4のみが移動されるように、及び/又は、作動要素20を作動させることによって、シリンジ3の本体3が移動されない又は移動できないように構成される。トランスミッション22のギア比は、好ましくは、少なくとも本質的に1:1である。ギアホイール22Aは、唯一の又はちょうど1つの歯付きリムを含むことが好ましい。
【0209】
押し要素18は、ロッド23に直接接続され、及び/又は、ロッド23に対して横断方向、具体的には垂直に延びることが好ましい。
【0210】
上述のように、第3の実施形態による投与装置1は、作動後に作動要素20を非作動位置へ戻すための戻り手段17(図14及び図15には図示されていない)を含むことができる。しかしながら、好ましくは、作動要素20及び/又は戻り手段17は、シリンジ2又はシリンジ本体3に結合されておらず、及び/又は、シリンジ2をハウジング8に対して移動させるように構成されていない。従って、戻り手段17は、作動後に作動要素20を非作動位置へ戻すためのみに構成されることが好ましい。
【0211】
第3の実施形態による投与装置1は、第2の実施形態に関連して上述したような針シールド27を含むことが好ましい。
【0212】
本発明の個々の態様及び特徴は、互いに独立して実施することができるだけでなく、任意の所望の組み合わせで、及び/又は順序で実施することもできる。
【符号の説明】
【0213】
1:投与装置
2:シリンジ
3:シリンジ本体
3A:カラー
4:ピストン
5:注入針
6:チャンバ
7:出口
8:ハウジング
8A:第1のハウジング部品
8B:第2のハウジング部品
9:作動機構
10:プライミング装置
10A:ロック装置
11:作動部
12:ブロック装置
13:接触領域
14:軸方向端部
15:投与開口部
16:内壁
17:戻り手段
18:押し要素
19:結合装置
19A:第1のアーム
19B:第2のアーム
20:作動要素
21:凹部
22:トランスミッション
22A:ギアホイール
22B:内側リム
22C:外側リム
23:ロッド
24:接続部
25:位置合わせ装置
25A:位置合わせ領域
26:停止部
27:シールド
27A:凹部(シールド)
28:凹部
E:眼
F:流体
L:軸
図1
図2
図3
図4
図5
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【国際調査報告】