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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】新規なエノールアセテート(II)
(51)【国際特許分類】
   C07C 403/12 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
C07C403/12 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556335
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020059482
(87)【国際公開番号】W WO2020212166
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】19169208.6
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, マーク‐アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ウェステンベルグ, ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー, フローリアン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC48
4H006BA05
4H006BA30
4H006BA66
4H006UC12
(57)【要約】
本発明は、新規な特定の式(I)のエノールエステル、及び対応するジヒドロレチナール類似体のアシル化によるそれらの製造方法に関する。式(I)において、Rは-COR’であり、R’はC~C16アルキル基である。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Rは-COR’であり、
R’はC~C16アルキル基(特にC、C及びC15)である]の化合物。
【請求項2】
式(Ia)
【化2】

[式中、
Rは-COR’であり、
R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(Ib)
【化3】

[式中、
Rは-COR’であり、
R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)
【化4】

[式中、
Rは-COR’であり、
R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]の化合物を製造する方法であって、前記方法が、式(II)
【化5】

の化合物のアセチル化によるものであり、
前記アセチル化が、少なくとも1つの、式(III)
【化6】

[式中、
Rは-COR’又は
【化7】

であり、
R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)であり、及び
R’’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]のアセチル化剤を使用することによる、請求項1に記載の式(I)の化合物を製造する方法。
【請求項5】
少なくとも1つの遷移金属触媒の存在下で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒の量が、(式(II)の化合物に対して)0.001モル当量から0.01モル当量までである、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの有機酸の存在下で行われる、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの塩基の存在下で行われる、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸又は前記塩基の量が、(式(II)の化合物に対して)0.005モル当量から0.1モル当量までである、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
不活性溶媒の中で行われる、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶媒を使用せずに行われる、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
0℃~100℃(好ましくは5℃~90℃)の温度で行われる、請求項4~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規な特定のエノールアセテート及びそれらの製造に関する。
【0002】
エノールアセテートは、種々の有機合成における重要な中間体である。
【0003】
発明者らが発見した新規なエノールアセテートは、式(I)
【化1】

[式中、
Rは-COR’であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]のものである。
【0004】
2種の異性体(式(Ia)及び(Ib)の化合物)
【化2】

[式中、
Rは-COR’であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]が存在する。
【0005】
したがって、本発明は、式(I)
【化3】

[式中、
Rは-COR’であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]の化合物に関する。
【0006】
したがって、本発明は、式(Ia)
【化4】

[式中、
Rは-COR’であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]の化合物に関する。
【0007】
したがって、本発明は、式(Ib)
【化5】

[式中、
Rは-COR’であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]の化合物に関していた。
【0008】
C-C二重結合があるため、多様な立体異性体が存在する。
【0009】
これらの新規なエノールアセテートは、有機合成における(特に、ビタミンA及び/又はその誘導体の合成における)重要且つ有用な中間体である。
【0010】
本発明によるエノールアセテートは、式(II)
【化6】

の化合物のエノールアセテート形成によって製造される。
【0011】
式(II)の化合物は、(中でもとりわけ)次式(IIa)及び(IIb)
【化7】

の2種の異性体を有する。
【0012】
本方法は、式(III)
【化8】

[式中、
Rは-COR’又は
【化9】

であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)であり、
R’’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]の化合物である少なくとも1つのアセチル化剤の存在下で行われる。
【0013】
代替として、本発明の方法は、遷移金属触媒の存在下で行うことができる。特にCu触媒の存在下で。特にCu(II)触媒。触媒としてCu(Ac)が極めて適している。
【0014】
したがって、本発明は、式(I)
【化10】

[式中、
Rは-COR’であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]の化合物を製造する方法(P)であって、
方法(P)が、式(II)
【化11】

の化合物のアセチル化によるものであり、
当該アセチル化が、少なくとも1つの、式(III)
【化12】

[式中、
Rは-COR’又は
【化13】

であり、R’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)であり、
R’’はC~C16アルキル基(好ましくは、C、C又はC15-アルキル基)である]のアセチル化剤を使用することによる、
式(I)の化合物を製造する方法(P)に関する。
【0015】
代替として(任意選択により)、本発明による方法は、少なくとも1つの遷移金属触媒の存在下で、特にCu触媒の存在下で行うことができる。特にCu(II)触媒。触媒としてCu(Ac)が極めて適している。
【0016】
本発明による方法において使用される触媒の量は変動し得る。触媒の量は通常、(式(II)の化合物に対して)0.001モル当量から0.01モル当量までである。
【0017】
本発明による方法は、通常、少なくとも1つの有機酸の存在下で、又は塩基の存在下で行われる。特にp-トルエンスルホン酸の存在下で。
【0018】
酸又は塩基の量は変動し得る。それは、通常、(式(II)の化合物に対して)0.005モル当量から0.1モル当量までである。
【0019】
反応は不活性溶媒の中で行ってもよく、又は反応は溶媒を使用せずに行ってもよい。好ましくは溶媒を使用しない。
【0020】
現在による方法は、通常、昇温で行われる。通常、本発明による方法は、0℃~100℃、好ましくは5℃~90℃の温度で行われる。
【0021】
上に述べたように、本発明による方法は、ビタミンA(及び/又はその誘導体)の合成における1つの重要なステップである。
【0022】
以下の実施例は、本発明を例示する役割をする。温度は℃で記載され、パーセンテージは全て重量に関する。
【0023】
[実施例]
[実施例1:]
還流冷却器を備えた、加熱乾燥した二口フラスコに、p-トルエンスルホン酸(無水、0.01当量)、ヒドロキノン(0.01当量)、酢酸銅(II)(0.004当量)、酢酸イソプロペニル(2.0当量)及び3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ノナ-2,4,6-トリエナール(1.0当量)を、記載した順番で入れた。反応混合物を60℃で3時間撹拌し、室温まで冷却し、EtO(10mL)を添加した。この溶液を、飽和NaHCO水溶液(5mL)で洗浄した。水性相をEtO(5mL)で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した(45℃、2mbar)。粗製物質をシリカで濾過し(最初にヘプタンで、次に酢酸エチルで洗浄した)、生成物を異性体の混合物として得た。
【国際調査報告】