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特表2022-528613酸素吸着/吸収媒体の除去による燃料電池のスタートアップ/シャットダウン劣化の緩和
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  • 特表-酸素吸着/吸収媒体の除去による燃料電池のスタートアップ/シャットダウン劣化の緩和 図1
  • 特表-酸素吸着/吸収媒体の除去による燃料電池のスタートアップ/シャットダウン劣化の緩和 図2A
  • 特表-酸素吸着/吸収媒体の除去による燃料電池のスタートアップ/シャットダウン劣化の緩和 図2B
  • 特表-酸素吸着/吸収媒体の除去による燃料電池のスタートアップ/シャットダウン劣化の緩和 図2C
  • 特表-酸素吸着/吸収媒体の除去による燃料電池のスタートアップ/シャットダウン劣化の緩和 図2D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】酸素吸着/吸収媒体の除去による燃料電池のスタートアップ/シャットダウン劣化の緩和
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20220608BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20220608BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20220608BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04302
H01M8/04303
H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556695
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 GB2020050717
(87)【国際公開番号】W WO2020188278
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】1903887.6
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、マックス アームストロング
(72)【発明者】
【氏名】ラマ、プラタプ
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー、ビンセント
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA20
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB37
5H127CC07
5H127DA01
5H127DA11
5H127DC56
(57)【要約】
スタートアップおよびシャットダウンのサイクル中の燃料電池(110)の劣化を低減するための方法およびシステムの側面が開示される。アノード排気ストリーム(201’)は、酸素捕捉媒体(86)を介した流体連通を介して周期的に方向づけられる。燃料電池のシャットダウン後、スタートアップ前またはスタとアップ中に、当該媒体(86)は、アノード排気ストリーム中の酸素を除去する。周期的に、酸素捕捉媒体(86)を加熱して、収集された酸素をパージし、当該媒体を再生する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料電池(110)であって、各燃料電池はアノードおよびカソードを含み、上記アノードは水素を流体的に受け取るように構成され、上記カソードは酸素を含む空気ソースを流体的に受け取るように構成される、上記少なくとも1つの燃料電池と、
上記アノードに流体的に接続された浄化ユニットとを有し、
上記浄化ユニットは、上記アノードに方向づけられるのに先立って上記純粋化ユニットから出る酸素の量を減少させるように構成されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
上記浄化ユニットは、酸素に吸着する、または酸素を吸収するように構成された再生可能な酸素捕獲媒体を含む請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
上記浄化ユニットは、アノード排気(201')を受け取り、上記アノード排気から酸素を除去するように構成された、アノード出口に流体接続された酸素捕捉システム(300)である請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
上記浄化ユニットは、酸素に吸着または酸素を吸収するように構成された再生可能な酸素捕獲媒体を含む、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
上記媒体が酸素除去触媒を含む、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
上記酸素捕獲媒体は、少なくとも水素ガスを含む流体で媒体を剥ぎ取り処理することによって再生される、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
上記酸素捕獲媒体を再生するための熱が、少なくとも1つの電気ヒーターによって提供される、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
上記酸素捕獲媒体は、水素ガスを燃焼するように構成された触媒ヒーター要素(55)で上記媒体を加熱することによって再生される、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
上記触媒ヒーター要素は、上記浄化ユニットと熱的に連結されている請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
上記酸素捕獲媒体が、ニッケル、銅、酸化亜鉛、および炭素のうちの少なくとも1つを含む請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
上記触媒が、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム金、銀、レニウム、鉄、クロム、コバルト、銅、マンガン、タングステン、ニオビウム、チタン、タンタル、鉛、イリジウム、カドミウム、スズ、ビスマス、およびガリウムからなるグループから選択された少なくとも1つのメンバーを含む請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
上記選択された触媒または触媒を形成する合金が、最低0℃の温度で水素を燃焼するように構成される請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
上記選択された触媒または上記触媒を形成する合金が、-30℃の低い温度で水素を燃焼するように構成される請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
スタートアップサイクルおよびシャットダウンサイクル中の燃料電池の劣化を低減する方法において、
燃料電池からのアノード排気ストリームを、酸素捕獲媒体を含む吸収モジュールに流体接続するステップと、
シャットダウン後、およびスタートアップ前またはスタータアップ中の少なくとも一方で、上記酸素捕獲媒体を介して上記アノード排気ストリーム中の酸素を除去するステップと、
スタートアップ前に、上記吸収モジュールの下流のアノード排気をアノード燃料入口に方向づけるステップとを有し、
上記下流の排気ストリームは酸素含有量が減少していることを特徴とする方法。
【請求項15】
上記酸素捕獲媒体が、十分に加熱されたときに、再生されて、吸収された酸素を放出できる触媒である請求項14に記載の方法電池システム。
【請求項16】
上記酸素捕獲媒体に熱を供給するように構成されたアノード・オフ・ガス・バーナーを、上記酸素捕獲媒体に熱的に接続するステップと、
上記アノード・オフ・ガス・バーナー内で水素を燃焼させて、上記媒体を加熱するステップとをさらに有する請求項14に記載の方法電池システム。
【請求項17】
燃焼用の水素のソースが、上記アノード排気ストリーム、上記水素燃料ソース、および再循環ループ内の再循環水素のうちの1つまたは複数を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
放出された酸素を含むガスストリームを上記アノード・オフ・ガス・バーナーに流体接続するステップと、
上記酸素を水蒸気および排気として放出するステップとをさらに有する請求項16に記載の方法電池システム。
【請求項18】
上記アノード排気を上記アノード・オフ・ガス・バーナーに通すことにより、上記アノード排気から水素を剥ぎ取り処理するステップをさらに有する請求項14に記載の方法。
【請求項19】
上記燃料電池システムのスタートアップおよびシャットダウンの間に、上記アノード・オフ・ガス・バーナー内の触媒ヒーターを介して、上記アノード排気中の水素を燃焼させて上記酸素捕獲媒体を再生するステップをさらに有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法は、バルブを選択的に開閉して、上記アノード入口および出口からの流体の流れを制御するコントローラ(105)をさらに有する請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システム、より具体的には、燃料電池のスタートアップおよびシャットダウン中の触媒および触媒担体の劣化を防止または軽減する燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料ガスと酸化性ガスの電気化学反応により発電する。多くの場合、燃料ガスは水素であり、酸化性ガスは空気である。パラジウムや白金などの金属は、燃料ガスおよび酸化性ガスの間で電気化学反応を引き起こす触媒として使用される。
【0003】
今日、燃料電池システムは、膜または電解質を横切って発生する電気化学反応を促進するために触媒に依存している。支持構造は、必要な膜および触媒を支持するように構成される。触媒作用は、反応のための表面積を増やすのに役立つ。多くの場合、パラジウムや白金などの金属触媒は、炭素などの触媒担体材料の表面上に使用される。これらの触媒作用は、効果的な反応速度を生み出すために所定の条件下で作用させる必要がある。
【0004】
燃料電池システムの耐久性、寿命、および性能は、燃料電池システムで使用される触媒および触媒担体の状態に直接的に左右されることが広く知られている。
【0005】
触媒の表面積が減少すると、燃料電池の性能や寿命が低下する。触媒担体構造が劣化または損なわれると、反応に利用できる触媒の性質と量が影響を受ける。燃料電池活性が膜電極組立体(MEA)を介して燃料電池スタックのアノード区画に酸素を導入し、これが、アノードおよびカソード電位の増加をもたらし、炭素担体の劣化をもたらすことも広く知られている。
【0006】
なぜならば、燃料電池がシャットダウンされた後、酸素はMEAを介してアノード区画に拡散することができるからである。スタートアップ時に、水素が導入されると、O+Hの混合体の波面が膜を通過し、MEAのアノード側の局所電位が増加し、その結果、カソード電位が、炭素が還元されるポイントまで増加する。これにより、触媒を支持する炭素が分解され、電極面積が失われる。
【0007】
このような問題に対処するために、電圧制限などの戦略が実装されている。電圧を制限するためのさまざまな戦略が実装/検討されている。これらの戦略は、燃料電池の始動時に不活性パージガスを導入し、燃料電池に補助負荷をかけることを含む。別の戦略は、システムから酸素濃度を枯渇させることであった。
【0008】
いくつかの場合において、触媒腐食の量は改善されるけれども、完全に排除されない。他の場合において、採用された戦略は、触媒担体の腐食、特に炭素の量を減少させなかった。
【0009】
上述の利点にもかかわらず、燃料電池システムは、触媒腐食に関連する課題に苦しみ続けている。
【0010】
燃料電池に耐久性を与え、寿命が長く、性能が安定するように、燃料電池が触媒または触媒担体の腐食を引き起こさないように構成されることが望ましい。したがって、開示されたシステムおよび方法は、現在利用可能な燃料電池システムにおけるこれらの不利な点の1つまたは複数を克服することを目的としている。
【発明の概要】
【0011】
本開示のいくつかの側面によれば、燃料電池システムおよびその使用方法が開示され、これは、燃料電池システムのシャットダウンおよびスタートアップサイクルが炭素支持体や当該炭素支持体に担持された触媒に及ぼす影響を低減および/または軽減するための方法、システム、およびデバイスの側面を含む。
【0012】
たとえば、燃料電池のシャットダウン中、空気は膜電極アセンブリ(MEA)を介してカソード区画に流れ、それによってアノード区画に酸素が導入される。残念ながら、燃料電池がシャットダウンすると、酸素はMEA膜電極アセンブリを介してアノード区画に拡散する可能性がある。次に、燃料電池のスタートアップ時に水素燃料ガスがアノードに供給され、既存の酸素と新しく導入された水素との間に電気化学反応が生じて、アノードの電位が上昇する。アノード電位が大幅に上昇すると、カソード電位が上昇し、炭素を還元させる。このより高い電位は、触媒および触媒担体の腐食を引き起こす。
【0013】
したがって、頻繁なシャットダウンとスタートアップのサイクルを必要とするアプリケーションの場合、燃料電池システムの性能に大きな影響を与える。
【0014】
酸素が燃料電池のカソード側からアノード側に移動するため、スタートアップ時に、水素が燃料電池システムに導入されると、酸素と水素の混合物が最初に膜を通過し、アノードの局所電位が増加する。これにより、カソード電位が上昇し、炭素が還元される。これにより、金属触媒を支持する炭素が分解または減少し、電極面積が失われ、燃料電池システムの性能に大きな影響が生じる。
【0015】
支持体を保護し、腐食を軽減するために、燃料電池のアノード側がほぼ純粋な水素を含み、酸化剤を、ほとんど、または、まったく含まず、それを維持することが重要である。
【0016】
ここに、本開示の燃料電池システムのシステム、デバイス、方法、または動作のいくつかの側面が開示される。本開示は、少なくとも1つの燃料電池であって、各燃料電池はアノードおよびカソードを含み、上記アノードは水素を流体的に受け取るように構成され、上記カソードは酸素を含む空気ソースを流体的に受け取るように構成される、上記少なくとも1つの燃料電池と、アノード出口に流体的に接続されたアノード排気を受け取ってアノード排気から酸素を除去するように構成された酸素捕捉システムを有する浄化ユニットとを含み、上記浄化ユニットは、上記アノードに方向づけられるのに先立って上記浄化ユニットから出る酸素の量を減少させるように構成される。いくつかの例において、上記浄化ユニットは、酸素に吸着または酸素を吸収するように構成された再生可能な酸素捕獲媒体を含む。酸素捕獲媒体は、少なくとも酸素を吸着するか、吸収するように構成される。いくつかの例において、上記媒体が酸素除去触媒を含む。いくつかの例において、上記酸素捕獲媒体は、少なくとも水素ガスを含む流体で、当該媒体を剥ぎ取り処理することによって再生される。
【0017】
先に述べたシステムにおいて、いくつかの例では、上記酸素捕獲媒体を再生するための熱が、少なくとも1つの電気ヒーターによって提供される。さらに他の例において、上記酸素捕獲媒体は、水素ガスを燃焼するように構成された触媒ヒーター要素で上記媒体を加熱することによって再生される。いくつかの例において、上記触媒ヒーター要素は、上記浄化ユニットと熱的に連結されている。
【0018】
先に説明したシステムにおいて、いくつかの例では、上記触媒が、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム金、銀、レニウム、鉄、クロム、コバルト、銅、マンガン、タングステン、ニオビウム、チタン、タンタル、鉛、イリジウム、カドミウム、スズ、ビスマス、およびガリウムからなるグループから選択された少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの例において、上記選択された触媒または触媒を形成する合金が、最低0℃の温度で水素を燃焼するように構成される。いくつかの例において、上記選択された触媒または上記触媒を形成する合金が、-30℃の低い温度で水素を燃焼するように構成される。
【0019】
スタートアップおよびシャットダウンのサイクルにおける燃料電池の劣化を低減するための燃料電池システムのシステム、デバイス、方法、または動作のいくつかの側面が開示され、これは、燃料電池からのアノード排気ストリームを、酸素捕獲媒体を含む吸収モジュールに流体接続するステップと、シャットダウン後、およびスタートアップ前またはスタータアップ中の少なくとも一方で、上記酸素捕獲媒体を介して上記アノード排気ストリーム中の酸素を除去するステップと、スタートアップ前に、上記吸収モジュールの下流のアノード排気をアノード燃料入口に方向づけるステップとを含み、上記下流の排気ストリームは酸素含有量が減少している。いくつかの例において、上記酸素捕獲媒体は、十分に加熱されたときに、再生されて、吸収された酸素を放出できる触媒である。いくつかの例において、当該方法は、上記酸素捕獲媒体に熱を供給するように構成されたアノード・オフ・ガス・バーナーを、上記酸素捕獲媒体に熱的に接続するステップと、上記アノード・オフ・ガス・バーナー内で水素を燃焼させて、上記媒体を加熱するステップとを含む。いくつかの例において、燃焼用の水素のソースは、上記アノード排気ストリーム、上記水素燃料ソース、および再循環ループ内の再循環水素のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの例において、当該方法は、放出された酸素を含むガスストリームを上記アノード・オフ・ガス・バーナーに流体接続するステップと、上記酸素を水蒸気および排気として放出するステップとを含む。
【0020】
少なくとも1つの燃料電池は、アノード側およびカソード側を有し、アノード側は、水素ガス燃料サプライを流体的に受け取るように構成され、カソード側は、酸素を含む空気ソースを受け取るように構成される。酸素捕捉システムは、アノード出口と流体連絡しており、アノード排気から水素を除去し、上記水素の燃焼から熱を生成するように構成された入口および出口を有するアノード・オフ・ガス・バーナーを有し、酸素吸収媒体を含む吸収モジュールを具備する。吸収モジュールは、アノード排気に流体的に接続されており、当該酸素捕捉システムは、アノードフローフィールドに向けられる前に、スタートアップ中に水素燃料サプライ中の酸素の量を減らすように構成されている。いくつかの例において、吸収媒体は、酸素除去触媒であり、これはニッケルおよび/または炭素も含んで良い。いつくかの例において、吸収性媒体は、酸素を充填したのちに、再生することができる。いつくかの例において、アノード・オフ・ガス・バーナー内の少なくとも1つの触媒ヒーターが水素を燃焼するように構成されている。いつくかの例において、コントローラがバルブを選択的に開閉して、システム内の流体の流れを制御する。
【0021】
ここに、本開示の燃料電池システムのシステム、デバイス、方法、または動作のいくつかの側面が開示される。本開示は、少なくとも1つの燃料電池を含み、これは、アノード側およびカソード側を具備し、アノード側は水素ガス燃料サプライを流体的に受け取るように構成され、カソード側は酸素を含む空気ソースを受け取るように構成されている。酸素捕捉システムは、アノード出口と流体連通し、当該酸素捕捉システムは入口および出口を具備し、アノード排気から水素を除去し、水素を燃焼させて熱を発生させるように構成されたアノード・オフ・ガス・バーナーを有し、水素吸収媒体を含む吸収モジュールを具備する。吸収モジュールは、アノード排気に流体的に接続されており、酸素捕捉システムは、スタートアップ中に、アノードフローフィールドに方向づけられる前に、水素燃料サプライ中の酸素の量を減らすように構成されている。いくつかの例において、吸収媒体は酸素除去触媒である。いくつかの例において、吸収性媒体は、酸素を酸素を充填した後に再生することができる。いくつかの例において、アノード・オフ・ガス・バーナー内の少なくとも1つの触媒ヒーターが水素を燃焼するように構成されている。いくつかの例において、触媒は、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム金、銀、レニウム、鉄、クロム、コバルト、銅、マンガン、タングステン、ニオブ、チタン、タンタル、鉛、インジウム、カドミウム、スズ、ビスマス、およびガリウムからなるグループの少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの例において、白金、パラジウム、ロジウム、ならびにそれらの組み合わせおよび合金が、触媒材料として好ましい。いくつかの例において、選択された触媒または触媒を形成する合金は、0℃という低い温度で水素を燃焼するように構成される。いくつかの例において、選択された触媒または触媒を形成する合金は、-30℃という低い温度で水素を燃焼するように構成される。
【0022】
スタートアップおよびシャットダウンのサイクルにおける燃料電池部品および動作の劣化を低減するための燃料電池システムのシステム、デバイス、方法、または動作のいくつかの態様が開示され、これは、これは、燃料電池からのアノード排気ストリームを、酸素吸収媒体を含む吸収モジュールに流体的に接続するステップ、シャットダウン中およびスタートアップ前に、燃料電池システムのシャットダウンおよびスタートアップの間に燃料電池のフロー分配チャネルのカソードギャラリーから、フロー分配チャネルのアノードギャラリーに移動したアノード排気流中の酸素を酸素吸収媒体によって除去するステップ、および、スタートアップ前に、酸素吸収脱着媒体の下流のアノード排気をアノード燃料入口に方向づけるステップを含む。いくつかの例において、酸素吸収脱着媒体は、十分に加熱されると再生された、吸収された酸素を放出できる触媒である。
【0023】
スタートアップおよびシャットダウンのサイクルにおける燃料電池部品および動作の劣化を低減するための燃料電池システムのシステム、デバイス、方法、または動作のいくつかの態様が開示され、これは、これは、燃料電池からのアノード排気ストリームを、酸素吸収媒体を含む吸収モジュールに流体的に接続するステップ、シャットダウン中およびスタートアップ前に、燃料電池システムのシャットダウンとスタートアップの間に、燃料電池のフロー分配チャネルのカソードギャラリーから、フロー分配チャネルのアノードギャラリーに移動したアノード排気ストリーム中の酸素を酸素吸収媒体によって除去するステップ、および、スタートアップ前に、酸素吸収脱着媒体の下流のアノード排気をアノード燃料入口に方向づけるステップを含む。いくつかの例において、この方法は、酸素吸収脱着媒体に熱を供給するように構成されたアノード・オフ・ガス・バーナーを、当該酸素吸収脱着媒体に熱的に接続するステップ、および、アノード・オフ・ガス・バーナー内で水素を燃焼させて、当該媒体を加熱するステップを含む。いくつかの例において、これは、放出された酸素を含むガスストリームをアノード・オフ・ガス・バーナーに流体接続するステップおよび水蒸気および排気として酸素を放出するステップを含む。
【0024】
スタートアップおよびシャットダウンのサイクルにおける燃料電池部品および動作の劣化を低減するための燃料電池システムのシステム、デバイス、方法、または動作のいくつかの態様が開示され、これは、これは、燃料電池からのアノード排気ストリームを、酸素吸収媒体を含む吸収モジュールに流体的に接続するステップ、シャットダウン中およびスタートアップ前に、燃料電池システムのシャットダウンとスタートアップの間に、燃料電池のフロー分配チャネルのカソードギャラリーから、フロー分配チャネルのアノードギャラリーに移動したアノード排気ストリーム中の酸素を酸素吸収媒体によって除去するステップ、および、スタートアップの前に、酸素吸収脱着媒体の下流のアノード排気をアノード燃料入口に方向づけるステップを含む。いくつかの例において、この方法は、上記排気をアノード・オフ・ガス・バーナーに通すことにより、アノード排気から水素をスクラブするステップを含む。いくつかの例において、この方法は、燃料電池システムのスタートアップおよびシャットダウンの間に、酸素吸脱着媒体を再生するために、アノード・オフ・ガス・バーナー内の触媒ヒーターを介してアノード排気中の水素を燃焼させるステップを含む。いくつかの例において、コントローラがバルブを選択的に開閉して、アノード出口からの流体の流れを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の上述および他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する態様は、添付の図面と併せて本開示の一側面の以下の説明を参照することによって明らかになり、よりよく理解されるであろう。
図1図1は、動作中の触媒の劣化を軽減または低減するように構成された本開示の燃料電池電力システムのシステムおよび動作方法の複数の側面を示している。
図2A図2Aは、動作中の触媒の劣化を軽減または低減するように構成された本開示の燃料電池電力システムのシステムおよび動作方法の複数の側面を示している。
図2B図2Bは、酸素緩和媒体の再生に関連するいくつかのモードでのシステムおよび方法の動作の側面を示している。
図2C図2Cは、酸素緩和媒体の再生に関連するいくつかのモードでのシステムおよび方法の動作の側面を示している。
図2D図2Dは、酸素緩和媒体の再生に関連するいくつかのモードでのシステムおよび方法の動作の側面を示している。
【詳細な説明】
【0026】
本開示は、燃料電池のスタートアップおよびシャットダウンのプロセス中の触媒および触媒担体の劣化を防止または軽減するための燃料電池システムを提供する。酸素吸収-脱着スキームおよび装置は、スタンドアローンのユニットとして、および燃料電池システム内に開示されている。スタートアップ時にアノードの燃料システムへの流体接続から酸素を除去することにより、燃料電池プレートのアノード側およびカソード側での潜在的なスパイクが減少し、その中の炭素担体の腐食が減少、緩和され、また、触媒の減少および/または触媒担持面積の減少が抑止、緩和される。
【0027】
[システム概要]
図1は、燃料電池アセンブリ20および冷却剤貯蔵モジュール30を含む燃料電池システム10のいくつかの側面を示す模式図である。本開示は、動作中の触媒の劣化を軽減または低減するように構成された燃料電池電力システムの動作を含む。
【0028】
燃料電池アセンブリ20は、一緒に積み重ねられた複数のプロトン交換膜燃料電池を含む1つまたは複数の燃料電池スタック21と、バランス・オブ・プラントBOP(図示せず)とを含み、BOPは当業界で良く知られているポンプ、バルブ、ファン、コントローラおよび回路などを含む。図示の燃料電池アセンブリ20は、蒸発冷却燃料電池アセンブリである。この例において、冷却剤は水を有するけれども、グリコール、水、その他、または水溶液などの他の冷却剤を使用できることが理解されよう。この例において、冷却剤また水の貯蔵モジュール30は、燃料電池アセンブリ20の水和および/または蒸発冷却のために純水を貯蔵する。冷却剤貯蔵モジュール30は、冷却剤サプライ40を保持するための冷却剤貯蔵タンク32を含む。
【0029】
燃料電池アセンブリ20およびその中のスタックは、燃料および酸化剤を受け入れるように構成される。図1Bは、単一の燃料電池アセンブリ20内の燃料電池スタック21および21'のアレイまたはグループの模式図を示す。
【0030】
水素などの燃料の流体の流れは、アノード入口24を通ってアノードに流れ、空気などの酸化剤の流体の流れは、カソード入口25を通ってカソードに向かう。アノード排気26は、燃料の貫通流を可能にするために提供される。酸化剤の貫流を可能にするために、カソード排気27が設けられている。排気フローは、また、いくつかの反応副生成物、およびアセンブリ20を通過した可能性のある冷却剤/水和液を運ぶことが理解されよう。カソード排気27は、カソード排気フローから、生成された水と冷却剤(水)40'を分離するための冷却剤セパレータ28を含んで良い。分離された水は、冷却剤貯蔵モジュール30に貯蔵される。この例において、スタックを通過した水(冷却剤)のリサイクルを示しているが、この開示は、冷却剤をリサイクルしない、または冷却剤を他の方法でリサイクルするシステムに適用可能であることを理解されたい。カソード排気27からの空気は、アノード・オフ・ガス・バーナー(AOBH)で使用するためにコンプレッサ82に供給されて良い。
【0031】
冷却剤貯蔵モジュール30は、導管によって燃料電池アセンブリに流体的に接続されているけれども、モジュール30は、スタック内の燃料電池と統合されて良いことが理解されよう。冷却剤貯蔵モジュール30は、カソード入口25に接続されて、燃料電池アセンブリ20の蒸発冷却のためにカソード流に冷却剤を導入することを可能にする。冷却剤は、別個の導管によってスタックに導入されて良い。
【0032】
冷却剤貯蔵モジュール30は、複数の冷却剤貯蔵タンクを含んで良い。コンプレッサは、燃料セルアセンブリを介して酸化剤を駆動し、燃料電池アセンブリのスタートアップ後、比較的急速に暖かくなり、このため、熱交換器および作動流体/またはヒートパイプ(流体接続)を使用して、場合によっては、廃熱を利用して、酸化剤(空気ソース)12内のコンプレッサから冷却剤貯蔵モジュールに熱を移動して、少なくとも部分的に、アノード・オフ・ガス・バーナーを駆動することができる。冷却剤注入/フローコントローラ100は、燃料電池システムのさらなる動作を制御するための燃料電池システムコントローラ105の一部を形成して良い。
【0033】
[触媒ヒーター]
燃料電池システム10は、燃焼触媒の触媒作用によって燃焼燃料を燃焼させる少なくとも1つの触媒ヒーター52を含む。触媒ヒーターは、種々の方法でシステム10の加熱要求を満たすために使用されて良い。従来の燃料電池システムは電気ヒーターを使用していた。ただし、電気ヒーターは、バッテリーの消耗やその他の寄生損失など、前述のような欠点がある。
【0034】
触媒ヒーター52は、1つまたは複数の触媒加熱要素55を含む。触媒ヒーター52は、触媒加熱要素55を収容するためのハウジング57を提供して良い。触媒加熱要素55は、燃焼用の触媒材料を含む。触媒材料は、基板上に支持されて良い。本開示により、触媒ヒーター52および触媒加熱要素55の様々な異なる構造が企図されている。
【0035】
好ましくは、触媒ヒーター52は、燃料電池アセンブリ20から独立している。独立した触媒ヒーター52は、燃料電池アセンブリ20が停止している間、動作し続けることができる。この機能は、冷却液の温度が維持され、燃料電池の動作の機能ではないため、特に有利である。触媒ヒーター52が燃料電池アセンブリから独立していない場合、燃料電池のスタートアップは、氷点下の動作周囲条件で遅延する可能性がある。
【0036】
[触媒材料]
上述の実装は、触媒ヒーターの使用を詳述し、それらのヒーターは、いくつかの異なる材料で構成されて良い。適切な触媒材料の非排他的なリストは、金属を含む。以下の金属は、触媒材料として機能して良い。すなわち、パラジウム、プラチナ、ルテニウム、ロジウム、オスミウムイリジウム金、銀、レニウム、鉄、クロムコバルト、銅、マンガンタングステン、ニオブ、チタン、タンタル、鉛、インジウム、カドミウム、スズ、ビスマス、および、ガリウムなど、並びに、これらの金属の化合物および合金である。本開示の一側面において、白金、パラジウム、ロジウム、ならびにそれらの組み合わせ、および合金が、触媒材料として好ましい。本開示の別の側面において、触媒材料は好ましくはパラジウムである。他の適切な触媒材料および金属は、一般に、熟練者および/または当業者に知られている。
【0037】
触媒材料は、好ましくは、比較的低温で、燃料電池システムの燃料ソース(すなわち、水素ガス)を自然発火させる。例えば、本開示のいくつかの側面において、触媒材料は、最低0℃または最低-30℃の温度で水素ガスを燃焼させることができる。比較的低温から比較的高温までを含む広範囲の温度にわたって、直火なしで水素ガスを安全に燃焼する触媒材料を選択することも有用であろう。
【0038】
触媒材料は、好ましくは、比較的低濃度の水素を使用して燃焼を誘発することができる。本開示の一側面において、触媒ヒーターは、アノード排気ストリーム中に存在する水素ガスを燃焼させるように構成される。燃料電池アセンブリが定常状態で動作しているとき、アノード排気ストリーム中の水素濃度は比較的低い。例えば、アノード排気の水素濃度は、1%まで低くてもよい。アノード排気については、以下でさらに詳しく説明する。代替的には、触媒ヒーターは、水素ソースから直接水素ガスを受け取って良い。これは、所定の状況では燃料電池システムに有益であろう。
【0039】
好ましくは、水素ガスは、触媒ヒーターに導入される前に空気と事前に混合される。供給される空気は、燃料電池アセンブリに使用されるのと同じ空気ソースによって供給されて良い。この場合、燃料電池アセンブリのカソードフローフィールドへの空気入口は、触媒ヒーターに流体的に接続されている。代替的には、供給される空気は、燃料電池アセンブリの空気ソースとは別の供給ソースから供給されて良い。ファンを使用して、空気をクーラントモジュールと触媒ヒーターに送ることができる。供給された空気と水素ガスを混合するために、混合チャンバーを触媒ヒーターの上流に設けることができる。次に、水素ガス混合物は、ガス混合物が触媒材料と直接接触し、それによって触媒燃焼反応を引き起こす触媒ヒーターに向けられる。触媒燃焼反応によって生成される熱の量は、触媒材料、ガス混合物中の水素濃度、および触媒ヒーターへのガス混合物の流量に大きく依存する。いくつかの側面において、ガス混合物は、最小:34:1(質量で)-化学量論比から最大:180:1(質量)である。
【0040】
しかしながら、氷点下の温度で水素を燃焼させることを可能にする触媒材料は、より低温の気候で作動する燃料電池システムにとって特に有利である。白金族金属は、この点で特に効果的である。
【0041】
[基板サポート]
触媒材料は、基板上に支持されて良い。例えば、触媒材料は、熟練者および/または当業者に周知の方法を使用して、適切な幾何学的表面積の基板上に被着またはコーティングされて良い。適切な基板は、金属、セラミック材料、およびそれらの組み合わせを含んで良いけれども、これらに限定されない。基材は、セラミック発泡体または発泡金属などの多孔質または発泡材料であって良い。基板は、また、フォイル、プレート、ワイヤ、金網、ハニカムなど、またはそれらの組み合わせなどの構造を含んで良い。基板材料は、燃料ソースの触媒燃焼によって生成された熱を分散させるのを支援して良い。
【0042】
[排気媒介]
燃料電池システム10は、アノード・オフ・ガス・バーナー84を示し、これは、アノード排気を浄化し、または、アノード排気をスクラブしてその中の水素を除去するように構成されている。特に自動車用途では、排出基準により、排気流中の水素のppmが厳密に制限される場合がある。システムは、空気ソース12、燃料電池アセンブリ20に流体的に接続され、また、冷却剤モジュール30に接続されて良い。排気システムは、コンプレッサ82およびアノード・オフ・ガス・バーナー・ヒーター(AOBH)84を含む。AOBHは、上述のように、触媒ヒーター52であって良い。排気モジュールは、アノード排気ストリーム内で水素ガスを受け取り、水素を燃焼させ熱を生成し、これは、システムから排出されても良いし、タービンで生成された電力などの追加のアプリケーションに使用されても良いし、リサイクルされ、冷却剤の解凍と酸素捕捉媒体の再生に使用されて良い。アノード排気からの水素の除去は、「スクラビング」と呼ばれて良い。
【0043】
[熱モジュール]
熱モジュール70は、カソード排気から水を回収するように構成され、この水は、流体的に接続された一次水出口74を介して冷却剤貯蔵モジュール30に追加することができる。図示のとおりカソード排気76は熱モジュールを出る。
【0044】
コンプレッサ82は、システムに流体接続されており、空気ソース12から直接空気を受け取って良い。酸化剤ストリーム12'および/または排気空気27'は、ファンまたはコンプレッサ82の流体接続を通過し、それによって加圧される。コンプレッサからの供給物は、オフ・ガス・バーナー84に供給される。オフ・ガス・バーナーは、排気ストリーム中の水素ppmを減少させるとともに、吸収モジュール85と熱連絡するとき、そうでなければオフ・ガス燃焼から失われる熱が捕捉され供給されて吸着/吸収モジュール85内にパックされた酸素捕獲媒体86を再生する。モジュールは、浄化ユニットと呼ばれて良い。吸着/吸収モードにおいて、これは、アノードに水素を供給するために使用される出口ストリームから酸素を除去する。酸素捕獲媒体は酸素捕捉剤とも呼ばれ、これにより捕捉された酸素を除去するように定期的に再生されなければならない。吸収剤という用語は明細書全体で使用されるけれども、媒体、動作環境などによっては、化学物質レベルで行われる実際のプロセスは、吸収の代わりに吸着を含んで良い。この例において、浄化ユニットは、アノード・オフ・ガス・バーナー・ヒーター(AOBH)と一体であるように構成され、これは、熱を供給して酸素吸収脱着媒体86(酸素捕獲、酸素吸収、酸素吸着または酸素吸入媒体とも呼ばれる)を再生し、酸素緩和システム300を形成する。その結合は、好ましくは、媒体を再生するために必要な熱を媒体に供給するための熱接続である。物理的な結合が有利な場合もあるけれども、すべての場合に必要なわけではない。再生は、カソード出力ストリーム26内の水素を利用することによって、または排気コンプレッサ82に入る流体ストリームに水素を加えることによって達成される。酸素吸収媒体86を十分に加熱することによって、酸素および水素は水を形成し、媒体を再生する。水は、ガスストリーム中の水蒸気として酸素吸収媒体86から運び出される。
【0045】
酸素吸収媒体86は、燃料電池の動作中に定期的に再生される。スタートアップ時に、アノードは当該アノードに移動した酸素を含み、そのような酸素が存在する燃料電池を操作(起動)すると、カソード電位を上げてそれによって当該カソードを酸化させて、カソードサポートを腐食させ、もって、当該サポートを劣化させて、損傷を与え、膜の表面積を減らす。水素流体フローで酸素捕獲媒体を剥離処理することは、その再生の一部であろう。
【0046】
アノード・オフ・ガス・バーナーは、吸収材料で囲まれて良く、吸収モジュールは、それに流体的に接続されたアノード排気ストリームの部分から酸素を除去し、燃料電池スタックのスタートアップのために、低酸素の燃料を供給するように機能する。
【0047】
図2A~2Dは、動作中の触媒の劣化を軽減または低減するように構成された本開示の燃料電池電力システムのシステムおよび動作方法の複数の側面を示す。
【0048】
図示の動作システムおよび方法108は、システムおよび方法のいくつかの側面の簡略化された概要である。開示されたシステムは、燃料電池の動作のシャットダウンサイクル中に燃料電池膜を横切って拡散することができるシステム内の酸素を軽減または対処することによって、燃料電池スタック110内の触媒担体構造の劣化を低減するように構成される。拡散移動は、カソード側からアノード側へである。緩和せずに放置すると、酸素がシステムに損傷を与える。酸素は、スタートアップ時に燃料電池内の触媒の炭素担体を腐食させて減少させる。スタートアップの側面は、燃料電池スタックが水素燃料をアノードに直接受け取り、酸化剤をカソードに受け取ることを含む。シャットダウンプロセスの側面は、燃料電池スタックがもはや電気を生成せず、燃料を受け取らなくなったときである。
【0049】
燃料電池のシャットダウン中、燃料電池システムには酸素が不可避的に存在する。システムに存在する酸素の主な供給ソースは、カソードフローフィールドへの出口に由来する。カソードには水素燃料ガスと反応する空気ソースが供給されるため、カソード出口は空気を含む酸素を燃料電池システムとアノードフローフィールドに導入する。システムに導入された空気は、主に未反応の反応物または酸素である。次に、酸素はMEAを横切って移動し、電位と圧力を増加させる。水素の電位は、燃料電池のアノード側120で約0V RHEであり、カソード側115で酸素の電位は約1V RHE(理論的には1.23V)であり、開回路電圧で少なくとも1Vの電位差を与える。アノード側115は、アノード入口116およびアノード出口117に流体的に接続されている。アノード側115は、また、表面形状によってフロー分配チャネル115'のギャラリーを提供するように構成されて良く、これがアノード側を通る層流を方向付け、拡散させ、またはその他の方法でこれに作用する。当該表面形状は、バンプ、ディボット、チャネル、および壁であって良いけれども、これらに限定されない。
【0050】
カソード側120は、カソード入口121およびカソード出口122に流体的に接続されている。カソード側120は、また、表面形状を備えたフロー分配チャネル120'のギャラリーを提供して、アノード側を通り抜ける層流を方向付ける、拡散させる、または、その他の影響を与えるするように構成されて良い。
【0051】
緩和されていないスタートアップ中、空気と水素の混合物がアノード側に存在し、これが、最初の「波面」(流入する水素によって空気がアノードからパージされる)を持つ流体として通り抜け、この波「面」において、ガス混合物は、電極表面を横切って移動して、局所的なアノード電位を0.5Vまで上昇させることができる。空気(酸素を含む)のみを持つカソード側は約1V(理論的には1.23V)の電位を持っているため、カソード側でIV差を維持するために、炭素は酸化を開始して酸化電位の高いCOとCO2になる。カソード電位が1.4Vを超えると、炭素の腐食速度が大幅に増加する。したがって、白金(触媒)を保持する炭素担体が酸化され、白金が電極に結合しなくなるため、白金の表面積が顕著に低下する。この問題を軽減するために、酸素吸収媒体の装置、システム、および方法は、排気流中の水素がアノード入口(116)にリダイレクトまたは再循環される前に、アノード排気流から酸素を除去するように構成される。吸収モジュールの下流のアノード排気は、酸素がその形で改善され、したがって軽減されたアノード排気を含む。当該システムは、再生せずに容量が制限されている吸収媒体または酸素捕捉媒体によって動作するため、オペレーティングシステムで使用するには再生が必要になる。再生は、除去された酸素を放出するのに十分な熱を加えることによって達成される。AOBHを吸収モジュール85と熱的に接続することは、吸収媒体の再生のためのエネルギーを提供するためにシステム損失を利用するという追加の利点を提供する。
【0052】
システム108の主な側面は、燃料電池110、水素燃料サプライ200、酸素緩和システム300、空気サプライ(酸化剤)400、冷却剤サプライ500、および燃料電池の動作中に生成される水600を含む。燃料電池は、1つまたは複数のプレナム112を有し、これは、水素200および酸化剤400をその中の複数のバイポーラプレートに分配するためのフロー分配チャネルのギャラリーを提供する。プレートのカソード側115は酸化剤400を受け取り、アノード側は水素200を受け取り、MEA125は2つのサイドを分離する。MEAは、先に開示されたように、炭素担体および担体触媒を含む。簡潔にするために、冷却剤サプライフローについてはこれ以上詳しく説明しない。
【0053】
[動作のシステムおよび方法の追加の側面]
[A.水素サプライ]
水素燃料サプライ200は、水素201を燃料電池110に流体的に接続し、燃料電池において、水素はスタックのアノード側を通って流れる。アノード出口ストリーム201'は、システムに流体的に接続されており、再循環ループの一部であって良い。燃料電池スタックへの流体経路は、第1のバルブ202、ガスインジェクタバルブ204、パッシブエジェクタバルブ206、第2のバルブ208、第1の三方電磁バルブ210、第2の三方電磁バルブ212、コンデンサ214、およびセパレータ216を含み、これは水を除去する。コンデンサ214は、酸素緩和または捕捉システム300に存在するガスストリームの温度制御のために使用されてよく、しばしば、全般的にはAOBHとも呼ばれる。水素ループは、また、ポンプ218、接続オリフィス220および第3のバルブ222、ならびに空気サプライ400への接続225を具備して良く、空気サプライ400は、水素を供給して、酸素緩和システム300を加熱し、酸素緩和システム300は、銅、酸化亜鉛またはニッケルベースの微粉末吸収剤などの酸素吸収媒体86を含むように構成されている。た酸素緩和システム300を加熱するための水素を提供するために、ポンプ218、接続オリフィス220および第3のバルブ222、ならびに空気サプライ400への接続225を有し得る。自発的に酸素を吸収する任意の材料を使用することができるけれども、候補材料の大部分は金属、金属酸化物またはそれらの合金であることに留意されたい。
【0054】
第3のバルブ122は、再生モードの間を除いて閉じられている。吸収モジュール85は、継続的な動作のために再生を必要とする媒体86を含む。AOBHは、再循環ループに流体的に接続された入口305を有し、それにより、酸素吸収媒体の再生中に放出された酸素は、出口307を介して排出できる。空気サプライ401は、入口305に流体的に接続されている。
【0055】
吸収および酸素緩和の間、アノード排気入口308は、吸収モジュール85内の酸素吸収媒体86に流体的に接続され、スタートアップ前のアノード排気ストリームは、カソードから移動した酸素を含み、緩和されないままに残されると燃料電池に有害である。AOBHの一部であり得る酸素軽減モジュール内の媒体86は、ストリームから酸素を吸収する。軽減された、はぎ落された、その他、酸素が低減されたアノード排気ストリームは、非制約的な例に示されるように、AOBH内にあり、アノード排気出口309を介してAOBHから外へと流体的に接続される。アノード排気は、流体フローから酸素パージするために再循環ループ内にあって良い。
【0056】
媒体は、アノードガスソースから酸素を吸着または吸収することができる任意の材料であって良い。媒体は、酸素捕捉システム(これも一種の浄化ユニット)を通過するアノードガスソースと十分に接触するのに適した任意の形態であって良い。同様に、浄化ユニットは、当該媒体を含み、実質的に酸素を含まないガスストリームまたは窒素に富むガスストリームを生成するために、当該媒体を酸素含有アノードストリームに許容可能または十分に曝露することができる任意の装置または装置を含んで良い。媒体アを再生するために、1つまたは複数の加熱手段が酸素緩和システムに熱的に接続され(別個に示されていないが、AOBH内に埋め込む必要はない)、これは、媒体86によって捕捉された酸を当該媒体が放出するのに十分な熱を供給するように構成されている。この手段には、触媒ヒーター52、システムからの排熱、他の化学的または電気的加熱要素が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの場合において、酸素捕捉システム300は、媒体86と熱連通するAOBHを含む。
【0057】
いくつかの例において、アノードストリーム20Gは、水素再循環ループの上流の接続225でAOBH再生入口305に流体的に接続されている。いくつかの例において、AOBHに流体的に接続された水素サプライ201は、水素再循環ループから流体的に接続されてもよいけれども、任意の凝縮および水の分離の下流にある。オプションとして、再生出口307から排出されたガスは、機械的エネルギーを回収するためにガス膨張ステージ(図示せず)に供給されて良い。
【0058】
三方電磁バルブ210および212は、吸収および再生中に酸素捕捉システム300および/またはAOBH入口および出口からのフローを調整するために、コントローラ105によって制御される。再生中、コントローラは、酸素を除去するために媒体86を通る最小の所定の必要な流量を維持し、三方電磁バルブ210および212、および他のバルブも、また、シャットダウン時に閉じ込められた体積を最小化するためにコントローラによって調整されて良い。三方電磁バルブ210および212および他のバルブは、システムが「オフ」状態にあるときにAOBH吸収体側を隔離するためにコントローラ105によって調整されて良い。三方電磁バルブ210および212および他のバルブは、通常の燃料電池動作中にAOBHを隔離するためにコントローラによって調整される。
【0059】
[B.酸素サプライ]
空気(酸化剤)サプライ400は、燃料電池110に流体的に接続されており、これは、スタックのカソード側を通って流れる。空気サプライ400は、また、酸素吸収/捕捉システム300に流体的に接続され、それにより、それは、捕捉システム300内の触媒加熱要素55(図1に示される)への流体接続を介して、空気および水素を提供して良い。
【0060】
[C.冷却剤サプライ]
オプションとして、冷却剤サプライ500は、燃料電池110に流体的に接続され501、そこで、スタック中を流れ、当該スタックを冷却する。冷却剤サプライは、また、ここで開示される燃料電池システムおよび操作方法のためのバランス・オブ・プラントの水捕捉システムの一部である受動コンデンサ350を冷却することが示されている。セパレータ216は、燃料ストリームから除去または再生された水を収集するために流体接続601に接続され、この流れは、第1の給水バルブ602を介して制御されて良い。
【0061】
酸素の軽減または捕捉によって対処される基本的な問題は、シャットダウンとスタートアップの間に燃料電池のアノード側から酸素を除去することである。シャットダウン中、先に開示されたように、酸素は膜を横切って移動し、それによって燃料電池内のプレートの炭素サポートのいずれの側にも増加した電位を設定する。緩和されないままにされると、潜在的な変動が炭素サポートの腐食を引き起こす。酸素捕捉システムは、固定または可変の時間枠で燃料電池の始動前に使用される。時間枠は、ルックアップテーブル(LUT)またはコントローラ(図示せず)によって与えられて良く、これは、オフ時間、および/または、圧力、温度、ガス成分の1つまたは複数のセンサ測定からのデータを測定して、酸素捕捉システム300を通り抜けるアノード燃料流体接続に流す時間を決定する。いくつかの場合では、酸素捕捉システムを通るアノード側燃料フロー時間は、10秒から90秒の間である。他のいくつかの場合では、時間は20から70秒の間であり、他のいくつかの場合では、時間は30から60秒の間である。さらに他のいくつかの場合は、時間は60秒であり、他のいくつかの場合では、時間は60秒未満であり、他のいくつかの場合では、時間は60秒より長い。この吸収が完了した後、酸素吸収媒体86は再生を必要とする。再生サイクルは、酸素吸収媒体を所定の温度に加熱することを含み、それにより、吸収された酸素が放出される。酸素捕捉システム300は、コンデンサおよびセパレータに流体的に接続されて良く、それにより、酸素は水素と結合されて水を形成し、水は水除去可能ライン601を介して流体的に接続され、残りの実質的に無酸素または窒素に富むガスストリームは、アノード水素燃料サプライ接続201に戻されて良い。
【0062】
吸収フェーズの側面が図2Bに示される。燃料電池110はオフロードであり、アノードフロー201’は、燃料電池のカソード側からアノード側に移動した酸素を含むであろう。その中の炭素サポートを腐食する電圧スパイクを回避するために、ガスインジェクター204、第2のバルブ208、第3のバルブ122、および第1の三方電磁バルブ210は、アノードストリーム201’をAOBHのアノード排気入口308に向けるように構成される。アノードフロー201’は、吸収媒体がアノード排気内の酸素を研磨、洗浄、除去、またはさもなければ還元した後、アノード排気出口309を通ってAOBHから出る。
【0063】
非アクティブまたはニュートラルフェーズの側面が図2Cに示される。燃料電池110は負荷がかかっており、アノードフロー201’は酸素をほとんどまたは全く含まず、第2のバルブ208および第1の三方電磁バルブ210は、アノードフロー201'を方向付けてAOBHを回避するように構成される。
【0064】
簡略化された再生フェーズのいくつかの側面が図2Dに示される。燃料電池110は、負荷がかかっており、アノードフロー201’は、顕著な量の水素を含んでおらず、ガスインジェクター204、第2のバルブ208、第3のバルブ122、および第1の三方電磁バルブ210は、アノードフロー201’を方向付けるように構成されている。第1の三方電磁バルブ210は1-3構成で開いており、第3のバルブ122は開いているので、再生サイクル中に、吸収された酸素が放出され、キャリアガスとしてアノード排気ガスを介して排出される。AOBHは、十分に加熱されて、吸収モジュール85内の媒体86に十分な熱を熱的に伝達して、貯蔵された酸素を放出する。空気サプライ401は、(再生)入口305に流体接続され、接続225を介して水素201も受け取り、これにより、空気と水素は媒体86を通過し、水素と放出された酸素生成水蒸気とを組み合わせて、出口307から排出される。
【0065】
温度変動が大きい別の再生プロセスの側面には、約15℃の低温始動が含まれる。ただし、動作中は約80℃の温度が予想される。システムを通る反応物の体積流量も低いため、スタートアップ時には低圧が通常の状態になる。逆に、より高い動作温度では、システムの流体接続を通るより大きな体積流量がありる。図2Dに詳細が示されているシステムは、動作中のこれらのさまざまな条件に対応するように構成されている。システムのカソード側とアノード側のそれぞれの圧力は、燃料電池スタックの劣化を避けるために、一般に約1~2バールの間で同じである必要がある。さらに、動作中、より高温の周囲条件で動作している場合、システムは3バールまでの圧力がかかる可能性があり、これにより熱の除去が促進されます。
【0066】
上述の説明は、開示されたシステムおよび技術の例を提供することが理解されよう。しかしながら、本開示の他の実装は、上述の例とは詳細に異なる可能性があることが企図されている。本開示またはその例へのすべての言及は、その時点で議論されている特定の例を参照することを意図しており、より一般的に開示の範囲に関する制限を意味することを意図していない。特定の機能に関する差別および軽視のすべての文言は、それらの機能に対する選好の欠如を示すことを意図しているが、特に明記しない限り、そのような機能を開示の範囲から完全に除外するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
【国際調査報告】