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特表2022-528614蒸発冷却燃料電池システム用の触媒ヒーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】蒸発冷却燃料電池システム用の触媒ヒーター
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20220608BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20220608BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220608BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04701
H01M8/04 Z
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556696
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 GB2020050642
(87)【国際公開番号】W WO2020188256
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】1903880.1
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】チェラッパ、アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ダッドフィールド、クリストファー
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC09
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA36
5H127BB02
5H127BB13
5H127BB18
5H127BB37
5H127CC07
5H127CC18
5H127DC74
(57)【要約】
燃料電池システム(10)および方法の複数の側面がここに開示され、これは、燃料電池アセンブリ(20)、燃料セルアセンブリに冷却剤を提供するように構成された冷却剤モジュール(30)を具備し、冷却剤モジュールは、燃料セルアセンブリ(20)および冷却剤タンクヒーターに流体接続された冷却剤貯蔵(32)タンクを有し、冷却剤タンクヒーターは、冷却剤を加熱するために冷却剤貯蔵タンク(32)の近くに配置された1つまたは複数の触媒加熱要素(55)を有し、1つまたは複数の触媒加熱要素(55)は、水素を燃焼し、自発的に発火する触媒材料を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体冷却剤を放出するための燃料電池冷却剤供給装置において、
冷却剤貯蔵タンクから燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールと、
制限された流れの冷却剤に熱を供給するように構成された上記冷却剤貯蔵タンクの近くに配置された1または複数の触媒加熱要素とを有し、
上記1または複数の触媒加熱要素は、少なくとも、接触時に水素を燃焼する触媒材料を含むことを特徴とする燃料電池冷却剤供給装置。
【請求項2】
流体冷却剤を放出する遊離させるための燃料電池冷却剤供給方法において、
冷却剤モジュールを使用して、冷却剤貯蔵タンクから燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するステップと、
上記冷却剤貯蔵タンクの近くに配置された1または複数の触媒加熱要素を使用して、制限された流れの冷却剤に熱を供給するステップとを有し、
上記触媒加熱要素は、少なくとも、接触時に水素を燃焼する触媒材料を含むことを特徴とする燃料電池冷却剤供給方法。
【請求項3】
燃料電池システムにおいて、
アノード入口、カソード入口、アノード排気およびカソード排気を具備する燃料電池アセンブリと、
上記燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールとを有し、
上記冷却剤モジュールは、さらに、
冷却剤を貯蔵するように構成された冷却剤タンクであって、内壁および外壁を有し、上記燃料電池アセンブリに流体的に接続された上記冷却剤タンクと、
上記冷却剤貯蔵タンクと熱交換関係に配置された1または複数の触媒加熱要素を含む少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターであって、上記触媒加熱要素はその内部に触媒材料を具備する、上記少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターと、
自発的触媒燃焼のために、上記冷却水タンクヒーターにガス燃料サプライを供給する手段とを有することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
上記冷却剤が水であり、上記ガス燃料サプライが水素を含む請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
上記触媒材料が、-30℃以下の温度で水素ガスの燃焼を実現する請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
上記触媒材料が白金族金属または合金を有する請求項3~5のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
上記触媒材料が、パラジウムまたはその合金を有する請求項3~5のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項8】
上記触媒材料が、金属またはセラミック製の基板上に提示される請求項3~5のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項9】
上記基板が、発泡金属、ワイヤ、およびワイヤメッシュのうちの1つである請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
少なくとも1つの触媒加熱要素が、内壁の部分に取り付けられているか、または固定されている請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
少なくとも1つの触媒加熱要素が、上記外壁の部分に取り付けられている、または固定されている請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
上記冷却剤貯蔵タンクは、上記外側ジャケットをさらに有する請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
上記触媒ヒーターは、上記燃料電池アセンブリとは独立して作動する請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
排気モジュール(80)をさらに有する請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
上記排気モジュールは、上記アノード排気を剥離処理し、その中の水素を除去するように構成される請求項14に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
上記排気モジュールは、オフ・ガス・バーナー(84)をさらに含む請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
さらに、吸収媒体(86)が充填された吸収モジュール(85)を有し、
そうでなければオフ・ガス燃焼から失われた熱が捕捉され、吸収媒体を再生するために供給される請求項16に記載の燃料電池システム。
【請求項18】
燃料電池システムにおいて、
燃料電池アセンブリと、
上記燃料セルアセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールとを有し、
上記冷却剤モジュールは、上記燃料セルアセンブリおよび冷却剤タンクヒーターに流体接続された冷却剤貯蔵タンクを有し、上記冷却剤タンクヒーターは、上記冷却剤貯蔵タンクに近接して配置された1または複数の触媒加熱要素を有し、
上記1または複数の触媒加熱要素が、水素を燃焼し、自発的に発火する触媒材料を含むことを特徴とする燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、燃料電池システムに関し、より具体的には、燃焼のためにアノード排気ストリームを利用するように構成された、冷却剤サプライを加熱するための触媒ヒーターを備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料ガスと酸化性ガスの電気化学反応により発電する。多くの場合、燃料ガスは水素であり、酸化性ガスは空気である。パラジウムや白金などの金属は、燃料ガスと酸化性ガスの間で電気化学反応を引き起こす触媒として使用される。
【0003】
従来の電気化学燃料電池は、燃料と酸化剤を電気エネルギーと反応生成物に変換する。一般的なタイプの電気化学燃料電池は、アノードとカソードの間の高分子イオン(プロトン)移送膜とガス拡散構造とを含む膜電極アセンブリ(MEA)を備えている。水素などの燃料と空気中の酸素などの酸化剤は、MEAのそれぞれの側を通過して、電気エネルギーと反応生成物としての水を生成する。スタックは、別個のアノードおよびカソード流体流路で配置されたいくつかのそのような燃料電池を含むように形成することができる。そのようなスタックは、典型的には、スタックのいずれかの端部でエンドプレートによって一緒に保持された多数の個々の燃料電池プレートを含むブロックの形態である。
【0004】
効率的な操作のためには、高分子イオン移送膜が水和したままであることが重要である。スタックの温度を制御することも重要である。したがって、冷却剤は、冷却および/または水和のためにスタックに供給されて良い。したがって、燃料電池システムは、例えば、燃料電池スタックの水和および/または冷却のために水を貯蔵するための水/冷却剤貯蔵タンクを含んで良い。燃料電池システムが氷点下の状態で保管または操作されている場合、燃料電池スタックおよび貯水タンク内の水が凍結する可能性があります。凍結した水は、燃料電池スタックへの冷却水または水和水の供給を妨げる閉塞を引き起こす可能性がある。これは、燃料電池システムがオフになっている場合に特に問題になる。そのため、貯水タンク内の水は、スタックを通過しても過熱されず、完全に凍結する可能性がある。このような場合、水和および/または冷却に十分な液状の水が利用できない可能性がある。これにより、凍結した水が解凍されるまで、燃料電池アセンブリが再起動されたり、フルパワーで動作したりすることができなくなる可能性がある。燃料電池システムにヒーターを設けることは知られており、これはバッテリーなどからの蓄積エネルギーで動作し、凍結の発生を防ぐために燃料電池システムをゼロ以上の温度に維持する。ただし、バッテリーの電力は制限されており、バッテリーが故障したり放電したりすると、燃料電池システムが凍結する可能性がある。さらに、電気抵抗発熱体がよく使用される。ただし、電気抵抗加熱は、最適な温度まで加熱するのに時間がかかり、システムに枯渇が生じる。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの側面によれば、燃料電池システムおよびその使用方法が開示され、これは、冷却剤貯蔵タンクから燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールを介して流体冷却剤を放出する方法を含み、これは、制限された流れの冷却剤に熱を供給するように構成された上記冷却剤貯蔵タンクの近くに配置された1または複数の触媒加熱要素を具備し、上記触媒加熱要素は、少なくとも、接触時に水素を燃焼する触媒材料を含む。
【0006】
本開示のいくつかの側面によれば、燃料電池システムおよびその使用方法が開示され、これは、アノード入口、カソード入口、アノード排気およびカソード排気を具備する燃料電池アセンブリと;上記燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールとを有し;上記冷却剤モジュールは、さらに、冷却剤を貯蔵するように構成された冷却剤タンクであって、内壁および外壁を有し、上記燃料電池アセンブリに流体的に接続された上記冷却剤タンクと;上記冷却剤貯蔵タンクと熱交換関係に配置された1または複数の触媒加熱要素を含む少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターであって、上記触媒加熱要素はその内部に触媒材料を具備する、上記少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターと;自発的触媒燃焼のために、上記冷却水タンクヒーターにガス燃料サプライを供給する手段とを有する。いくつかの場合において、上記冷却剤が水であり、上記ガス燃料サプライが水素を含む。いくつかの場合において、上記触媒材料が、-30℃以下の温度で水素ガスの燃焼を実現する。
【0007】
本開示のいくつかの側面によれば、燃料電池システムおよびその使用方法が開示され、これは、アノード入口、カソード入口、アノード排気およびカソード排気を具備する燃料電池アセンブリと;上記燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールとを有し;上記冷却剤モジュールは、さらに、冷却剤を貯蔵するように構成された冷却剤タンクであって、内壁および外壁を有し、上記燃料電池アセンブリに流体的に接続された上記冷却剤タンクと;上記冷却剤貯蔵タンクと熱交換関係に配置された1または複数の触媒加熱要素を含む少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターであって、上記触媒加熱要素はその内部に触媒材料を具備する、上記少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターと;自発的触媒燃焼のために、上記冷却水タンクヒーターにガス燃料サプライを供給する手段とを有する。いくつかの場合において、上記触媒材料が白金族金属または合金を有する。いくつかの場合において、上記触媒材料が、金属またはセラミック製の基板上に提示される。いくつかの場合において、上記基板が、発泡金属、ワイヤ、およびワイヤメッシュのうちの1つである。
【0008】
本開示のいくつかの側面によれば、燃料電池システムおよびその使用方法が開示され、これは、アノード入口、カソード入口、アノード排気およびカソード排気を具備する燃料電池アセンブリと;上記燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールとを有し;上記冷却剤モジュールは、さらに、冷却剤を貯蔵するように構成された冷却剤タンクであって、内壁および外壁を有し、上記燃料電池アセンブリに流体的に接続された上記冷却剤タンクと;上記冷却剤貯蔵タンクと熱交換関係に配置された1または複数の触媒加熱要素を含む少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターであって、上記触媒加熱要素はその内部に触媒材料を具備する、上記少なくとも1つの冷却剤タンクヒーターと;自発的触媒燃焼のために、上記冷却水タンクヒーターにガス燃料サプライを供給する手段とを有する。いくつかの場合において、少なくとも1つの触媒加熱要素が、内壁の部分に取り付けられているか、または固定されている。いくつかの場合において、少なくとも1つの触媒加熱要素が、上記外壁の部分に取り付けられている、または固定されている。いくつかの場合において、上記冷却剤貯蔵タンクは、上記外側ジャケットをさらに有する。いくつかの場合において、上記触媒ヒーターは、上記燃料電池アセンブリとは独立して作動する。いくつかの場合において、排気モジュールが含まれている。いくつかの場合において、上記排気モジュールは、上記アノード排気を剥離処理し、その中の水素を除去するように構成される。いくつかの場合において、上記排気モジュールは、オフ・ガス・バーナー(84)をさらに含む。いくつかの場合において、吸収媒体が充填された吸収モジュールが含まれ、そうでなければオフ・ガス燃焼から失われた熱が捕捉され、吸収媒体を再生するために供給される。
【0009】
本開示のいくつかの側面によれば、燃料電池システムおよびその使用方法が開示され、これは、燃料電池アセンブリを含み、これは、上記燃料セルアセンブリに冷却剤を供給するように構成された冷却剤モジュールを具備し、上記冷却剤モジュールは、上記燃料セルアセンブリおよび冷却剤タンクヒーターに流体接続された冷却剤貯蔵タンクを有し、上記冷却剤タンクヒーターは、上記冷却剤貯蔵タンクに近接して配置された1または複数の触媒加熱要素を有し、上記1または複数の触媒加熱要素が、水素を燃焼し、自発的に発火する触媒材料を含む。
【0010】
一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本開示を制限するものではない。本開示の他の態様は、本明細書で提供される本開示の詳細な説明を考慮すると、当業者には明らかであろう。
【0011】
本概要および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとさらに理解される。本開示を例示する目的で、図面において本開示の例示的な実装が示されている。しかしながら、本開示は、開示された特定の方法、組成物、およびデバイスに限定されない。さらに、図面は必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の上述および他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する態様は、添付の図面と併せて本開示の一側面の以下の説明を参照することによって明らかになり、よりよく理解されるであろう。
図1A図1Aは、本開示の燃料電池システムのいくつかの側面の模式図である。
図1B図1Bは、本開示の燃料電池システムのいくつかの側面の部分的な模式図である。
図2図2は、本開示の冷却剤貯蔵モジュールの模式図である。
図3図3は、本開示の熱モジュールのいくつかの側面の模式図である。
図4図4は、冷却剤貯蔵タンク内の触媒ヒーターのいくつかの実装の側面である。
図5図5は、冷却剤貯蔵タンク内の触媒ヒーターのいくつかの実装の側面である。
図6図6は、冷却剤貯蔵タンク内の触媒ヒーターのいくつかの実装の側面である。
図7図7は、冷却剤貯蔵タンク内の触媒ヒーターのいくつかの実装の側面である。
図8図8は、ジャケット付き冷却剤貯蔵タンクおよびヒーターシステムのいくつかの実装の側面である。
図9図9は、ジャケット付き冷却剤貯蔵タンクおよびヒーターシステムのいくつかの実装の側面である。
図10図10は、ジャケット付き冷却剤貯蔵タンクおよびヒーターシステムのいくつかの実装の側面である。
【0013】
図において、同様の参照番号は、異なる図を通して対応する部分を示している。図中のすべての説明および引出し文は、本明細書に完全に記載されているかのように、この参照により本明細書に組み込まれる。
【詳細な説明】
【0014】
本開示は、冷却剤サプライを加熱するために触媒燃焼を使用する燃料電池システムを提供する。図1Aは、燃料電池アセンブリ20および冷却剤貯蔵モジュール30を含む燃料電池システム10の模式図である。燃料電池アセンブリ20は、一緒に積み重ねられた複数のプロトン交換膜燃料電池を含む1つまたは複数の燃料電池スタック21と、当技術分野でよく知られているポンプ、バルブ、ファン、コントローラ、および回路等を含むプランバランス・オブ・プラントトBOP(図示せず)とを含む。図示の燃料電池アセンブリ20は、蒸発冷却燃料電池アセンブリである。この例において、冷却剤は水を含むけれども、グリコール、水、その他、または水溶液などの他の冷却剤を使用できることを理解されたい。この例において、冷却剤または水貯蔵モジュール30は、燃料電池アセンブリ20の水和および/または蒸発冷却のために純水を貯蔵する。冷却剤貯蔵モジュール30は、冷却剤サプライ40を保持するための冷却剤貯蔵タンク32を含む。貯蔵タンクは、漏れや腐食の影響を受けない素材で作られている。適切な材料には、PTFE、PVDF、PA、PE、PEEK、PPなどのポリマーおよびオーステナイト鋼、シリーズ6000アルミニウム、チタンなどの金属が含まれるけれども、これらに限定されない。
【0015】
図1Bは、燃料電池アセンブリ内の複数のスタック構成を示している。そのような構成において、操作上および設計上の考慮事項に応じて、単一の冷却剤貯蔵モジュール30がすべてのスタックと流体接続されるか、または単一の冷却剤貯蔵モジュールのそれぞれが1つのスタックと流体接続されて良い。
【0016】
凍結状態の場合、冷却剤モジュール30内の冷却剤サプライ(水であって良い)40は凍結し得る。システム10は、システム10がパワーダウンされている間、氷点以上の温度を維持するために補助ヒーターを含まないか、または使用しない場合がある。システム10を再起動する際に、水が冷却剤である場合、それは、燃料電池スタックを冷却するため、および/または上述スタック内の燃料電池膜の水和のために必要とされて良い。したがって、水がタンク32内の選択された冷却剤40であり、それが凍結されている場合、それがスタックに利用可能であるように、それは迅速に解凍されなければならない。冷却剤が凍結状態または非液体状態にあり、自由に流れることができない場合、それは制限流冷却剤と呼ばれることがある。開示されたシステム10は、外部の低電圧または高電圧供給を必要とせず、自家発電の下で液体冷却剤を利用可能にするように動作する。氷を溶かすのに必要な電力は、有益なことに、バッテリーを消耗させるのではなく、スタックから得られる。バッテリーは低温で性能が低下する可能性があることが知られており、そのため、燃料電池アセンブリ20の電力を使用することは有益である。
【0017】
燃料電池アセンブリ20およびその中のスタックは、燃料および酸化剤を受け入れるように構成される。図1Bは、単一の燃料電池アセンブリ20内の燃料電池スタック21および21'のアレイまたはグループの模式図を示し、これは、図1Aおよび図2~10に関して説明するように、システム内で動作するように構成される。
【0018】
水素などの燃料の流れは、アノード入口24を通り、空気などの酸化剤の流れは、カソード入口25を通る。アノード排気26は、燃料の貫流を可能にするために設けられる。カソード排気27は、酸化剤の貫流を可能にするために設けられている。排気フローは、また、いくつかの反応副生成物、およびアセンブリ20を通過した可能性のある任意の冷却剤/水和液体を運ぶことが理解されよう。カソード排気27は、冷却剤セパレータ28を含んで、カソード排気フローから、生成水および冷却剤(水)40'を分離して良い。分離された水は、冷却剤貯蔵モジュール30に貯蔵される。この例は、スタックを通過した水(冷却剤)のリサイクルを示しているけれども、この開示は、冷却剤をリサイクルしない、または冷却剤を異なった方法でリサイクルするシステムに適用可能であることを理解されたい。
【0019】
冷却剤貯蔵モジュール30は、導管によって燃料電池アセンブリに流体的に接続されているけれども、モジュール30は、スタック内の燃料電池と統合されて良いことが理解されよう。冷却剤貯蔵モジュール30は、カソード入口25に接続されて、燃料電池アセンブリ20の蒸発冷却のためにカソード流に冷却剤を導入することを可能にする。冷却剤は、別個の導管によってスタックに導入されて良い。
【0020】
冷却剤貯蔵モジュール30は、複数の冷却剤貯蔵タンクを含んで良く、これら冷却剤貯蔵タンクは、燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成され、それぞれ1または複数のヒーター要素を具備し、それらは、その中に配置されるか、または熱モジュール70内に遠隔配置される。触媒加熱要素は、燃焼によって動力を供給され、熱放散要素52を含み、これは、抵抗ヒーターまたは熱パイプ54または熱交換器56を含んで良く、これは燃料電池システムのある部分から別の部分に熱を移動するように構成される。さらに、燃料電池アセンブリを介して酸化剤を駆動するコンプレッサは、燃料セルアセンブリの起動後、比較的急速に暖まる可能性があり、したがって、熱交換器、作動流体および/またはヒートパイプ(流体接続)を使用して、酸化剤(空気ソース)12内の、コンプレッサから熱を冷却剤貯蔵モジュールに移動させ、いくつかの場合において、その熱は排気として放出され、また、スタートアップのような他のいくつかの場合においては、廃熱が熱交換器を介して捕捉され、凍結冷却剤を加熱するように構成される。そのような機能は、スタートアップ状態から非スタートアップ状態へと切り替え可能であり、熱の放出および熱の捕捉を選択する。さらに、いくつかの場合において、排熱がエネルギー回収モジュール内で利用されて良い。
【0021】
冷却剤注入/フローコントローラ100は、燃料電池システムのさらなる動作を制御するための燃料電池システムコントローラ105の一部を形成して良い。
【0022】
[冷却剤タンクヒーター/触媒ヒーター]
燃料電池システム10は、燃焼触媒の触媒作用によって燃焼燃料を燃焼させる少なくとも1つの触媒ヒーター52を含む。触媒ヒーターは、異なる方法でシステム10の加熱要求を満たすために使用されて良い。従来の燃料電池システムは電気ヒーターを使用していた。ただし、電気ヒーターには、バッテリーの消耗やその他の寄生損失など、上述のような欠点がある。
【0023】
触媒ヒーター52は、1つまたは複数の触媒加熱要素55を含む。アイドル触媒ヒーター52は、触媒加熱要素55を収容するためのハウジング57を提供して良い。触媒加熱要素55は、燃焼用の触媒材料を含む。触媒材料は、基板上に支持されて良い。本開示により、触媒ヒーター52および触媒加熱要素55の様々な異なる構造が企図されている。
【0024】
好ましくは、触媒ヒーター52は、燃料電池アセンブリ20から独立している。独立した触媒ヒーター52は、燃料電池アセンブリ20が停止している間、動作し続けることができる。この機能は、冷却液の温度が維持され、燃料電池の動作に左右されないため、特に有益である。触媒ヒーター52が燃料電池アセンブリから独立していない場合、燃料電池のスタートアップは、氷点下の動作周囲条件で遅延する可能性がある。
【0025】
図2に示される冷却剤貯蔵タンク32は、冷却剤サプライ40を保持する。冷却剤貯蔵タンクは、外層33を含んで良い。外層は、冷却剤貯蔵タンクを実質的に取り囲んで良い。外層は、輪郭を描かれ、冷却剤貯蔵タンク32に接着されて良い。外層は、冷却剤貯蔵タンクおよびその中の冷却剤の温度を保護するために断熱性であって良い。断熱材は、冷却剤サプライからの熱損失を最小限に抑えて良い。外層は、剛性または可撓性であって良い。外層は、ここで検討されるように、種々の適切な材料から構成されて良い。
【0026】
外層は、外層の内側境界と冷却剤貯蔵タンクの外側境界との間に隙間空間「IS」を規定して良い。金属発泡体、ハニカム、ワックスを含み得る断熱材および熱伝達材料のうちの少なくとも1つが、隙間空間に存在して良い。冷却剤貯蔵タンク内に、1つまたは複数の触媒ヒーター52、蒸気を排出するためのファン36、および/または温度を測定するための温度センサ37がある。追加の触媒ヒーター55は、冷却剤貯蔵タンクの外側に配置して良いけれども、これは冷却剤貯蔵タンクと熱的に連通されている。
【0027】
図3に示される熱モジュールは、カソード排気27から水を回収するように構成され、それは、燃料電池アセンブリ20および冷却剤モジュール30に流体的に接続されている。
【0028】
[触媒加熱要素]
図4~7は、冷却剤貯蔵タンク内の触媒ヒーターと発熱体のいくつかの実装の側面を示している。いくつかの場合において、以下に説明するヒーターを定期的に加熱して、未処理のままにしておくと冷却剤中を増殖する可能性のある細菌に対処する。いくつかの場合において、以下に説明するヒーターはタンクの内部に取り付けられ、さらに他の例において、それらはタンクの外部に取り付けられるが、タンクを通して冷却剤と熱的に接触して良い。
【0029】
図4は、冷却剤貯蔵タンク32を示し、これは、冷却剤40と、複数の側面のU-形状ハウジング60とを含む、このU-形状ハウジング60は、その内部にフローチャネル61を含み、フローチャネル61の内部に触媒ヒーター52を具備するように構成されている。ハウジングは、そこを通る流体経路を提供し、水素(H)および空気の混合物200を受け取るために、入口62を備えるように構成される。H混合物は、水素燃料タンク、燃料供給ライン、アノードパージなどの廃棄物ストリーム、または他の適切な供給ストリームから提供されて良い。
【0030】
いくつかの場合において、空気および水素(H)供給ストリームの圧力に応じて、ポンプ64を追加して、所望の圧力レベルを維持または達成して良い。水素と空気の混合物は、フローチャネル61を通って移動し、触媒加熱要素55と相互作用し、それによって、上述の混合物中の水素の燃焼から熱を生成する。結果として生じる廃棄物のストリーム210は、出口63を介して流路として存在する。
【0031】
さらに、延長フィン「F」などの熱交換構造は、上述のハウジング60の外部に形成されて良い。
【0032】
約4%~74%のHの空気とHの混合物、好ましくは混合物の可燃限界の外側のものが、触媒ヒーター52に供給される。以下に説明する触媒は、水素を燃焼し、それによって反応中に熱を放出する。廃棄物ストリームは、出口を介して除去される。
【0033】
図5は、冷却剤貯蔵タンク32を示し、この冷却剤貯蔵タンク32は、冷却剤40と、いくつかの側面のクローズドエンドチューブ(TCET)ハウジング65とを含み、このハウジング65はその中に含まれるフローチャネル61内に触媒ヒーター52を備えるように構成されている。ハウジングは流体経路をそこに形成し、解放端チューブ65内に内側フローチャネル61を形成し、チューブ65は、遠位端66および近位端66'を具備する。遠位端は、閉鎖端チューブ65'内に固定され、それにより、閉鎖端チューブ65'の端67と開放端チューブの遠位端66との間にギャップがあり、それにより、開放端チューブおよび閉鎖端チューブの間に流体接続を形成する。水素及び空気の混合物は、入口62に入り、フローチャネル61を通って移動し、触媒加熱要素55と相互作用し、それによって、上述の混合物中の水素の燃焼から熱を生成する。結果として生じる廃棄物外リーム210は、出口63を介してフローチャネルを出る。
【0034】
図6は、冷却剤40を含む冷却剤貯蔵タンク32を示し、図5を参照して説明したように、複数のTCETハウジング65'および対応する内側開放端チューブ65と触媒ヒーター52との組み合わせの側面を示す。
【0035】
図7は、冷却剤貯蔵タンク32を示し、この冷却剤貯蔵タンク32は、冷却剤40と、所与の側面の複数の解放端チューブ65とを有し、これは、遠位端66および近位端66'を具備し、各解放端チューブハウジング内のフローチャネル61内に触媒ヒーター52を備えるように構成されている。ハウジングは、そこを通る流体経路を提供し、水素(H)および空気200の混合物を受け入れるための入口62を具備するように構成される。H混合物は、水素燃料タンク、燃料供給ライン、アノードパージなどの廃棄物ストリームから提供されて良い。いくつかの場合において、空気および水素(H)供給ストリームの圧力に応じて、ポンプ64を追加して、所望の圧力レベルを維持または達成して良い。水素および空気の混合物は、フローチャネル61を通って移動し、触媒加熱要素55と相互作用し、それによって、上述混合物中の水素の燃焼から熱を生成する。結果として生じる廃棄物ストリーム210は、出口63を介してフローチャネルを出る。
【0036】
熟練者または当業者は、非円形断面のフローチャネルを包含するように開示を理解するであろう。フローチャネルのペールを囲むハウジングの説明としての「チューブ」の使用は、限定的ではなく、簡潔にするために、すべての潜在的な断面形状をリストするのではなく、チューブを使用して、囲まれたまたは部分的に囲まれたフローチャネルを指し示す。
【0037】
冷却剤タンク内の単一の触媒ヒーターの図解は限定ではなく、熟練者および当業者は、均質または不均質構造の追加の触媒ヒーターの追加が本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0038】
当技術分野の熟練者および当業者は、1つまたは複数の触媒加熱要素、例えば、オフ・ガス・バーナー、および/または、アノード排気吸収ヒーターが、冷却剤貯蔵タンクに加えて要素との熱交換関係を介して熱を提供するように配置されて良いことを認識するであろう。排気中の廃水素を管理するため、または供給ストリームから燃焼によって水素を除去するために熱を必要とする可能性のあるシステム構造である。
【0039】
図8~10は、ジャケット付き冷却剤貯蔵タンクと組み合わせた触媒ヒーターと発熱要素のいくつかの実装の側面を示す。
【0040】
図8は、冷却剤40を含み、輪郭を描かれ、冷却剤貯蔵タンクに接着され得る外側ジャケット90によって少なくとも部分的に囲まれている冷却剤貯蔵タンク32を示している。外側ジャケットは、冷却剤貯蔵タンクおよびその中の冷却剤の温度を保護するために断熱性であって良い。断熱は、クーラントサプライからの熱損失を最小限に抑えることができる。外側ジャケットは、剛性または柔軟性があって良い。アウタージャケットは、様々な適切な材料から構成されて良く、アウタージャケットは、多層であって良く、その中に、発泡金属およびハニカムなどの絶縁された不燃性の材料92を具備して良い。図8に示される外側ジャケットは、オプションとしてバッフル93を含んで良く、それにより、外側ジャケットの入口93に流体接続された触媒ヒーター52からの加熱空気220は、予め定められた経路に方向付けられて外側ジャケットを通りぬけ出口95を通って退出する。
【0041】
図9は、冷却剤40を含み、少なくとも部分的に外部ジャケット90によって囲まれている冷却剤貯蔵タンク32を示す。図9に示される外部ジャケットは、オプションとしてバッフルを含んで得良く、それにより、加熱された空気は、外部ジャケット出口を通って所定の経路に向けられる。この実装において、触媒ヒーター52は、熱伝達交換媒体96に流体的に接続されるように構成される。熱伝達交換媒体96は、外側ジャケットに流体的に接続される。2回加熱された空気221は、熱交換媒体96からアウタージャケット90に通過し、出口93を介して出て、この出口93は、アウタージャケットの内部空間に流体接続されて、結果として生じる廃棄物ストリーム210として、次にオプションの熱交換器98または直接に熱伝達媒体の1つに向けられる。熱熱交換器98は、熱伝達媒体96に流体的に接続されていてもよく、または熱伝達媒体と熱接触していてもよい。熱交換器を含むこれらの例では、廃棄物ストリームの中のエネルギーの少なくとも一部が、熱伝達交換媒体96によって収集され、再利用される。
【0042】
当業者および熟練者は、外側ジャケットから出る、結果として生じる廃棄物ストリームをリサイクルすることを追加すると、前述のように廃棄物ストリームの既存のチューブヒーターのリサイクルに等しく適用可能であり、本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0043】
図10は、外側ジャケット90によって少なくとも部分的に囲まれている冷却剤40を含むジャケット付き冷却剤貯蔵タンク32の部分断面図を示す。図10に示される外側ジャケットは、その中の1つまたは複数の触媒加熱要素55'を示し、これが、水素(H)と空気200の混合物を受け取り、この混合物は外側ジャケット90へ、その入口93への流体接続を介して方向付けられ、出口95を介して退出する。触媒加熱要素55'は、内側ジャケット表面の少なくとも一部に延びる触媒でって良く、または、外側ジャケットの内部の基板上にあって良く、それは、平らなストリップ、金属発泡体、またはハニカムであって良い。
【0044】
[触媒材料]
上述の実装は、触媒ヒーターの使用を詳述し、それらのヒーターは、いくつかの異なる材料で構成されて良い。適切な触媒材料の非排他的なリストは、金属を含む。以下の金属は、触媒材料として機能して良い。すなわち、パラジウム、プラチナ、ルテニウム、ロジウム、オスミウムイリジウム金、銀、レニウム、鉄、クロムコバルト、銅、マンガンタングステン、ニオブ、チタン、タンタル、鉛、インジウム、カドミウム、スズ、ビスマス、および、ガリウムなど、並びに、これらの金属の化合物および合金である。本開示の一側面において、白金、パラジウム、ロジウム、ならびにそれらの組み合わせ、および合金が、触媒材料として好ましい。本開示の別の側面において、触媒材料は好ましくはパラジウムである。他の適切な触媒材料および金属は、一般に、熟練者および/または当業者に知られている。
【0045】
触媒材料は、好ましくは、比較的低温で、燃料電池システムの燃料ソース(すなわち、水素ガス)を自然発火させる。例えば、本開示のいくつかの側面において、触媒材料は、最低0℃または最低-30℃の温度で水素ガスを燃焼させることができる。比較的低温から比較的高温までを含む広範囲の温度にわたって、直火なしで水素ガスを安全に燃焼する触媒材料を選択することも有用であろう。
【0046】
触媒材料は、好ましくは、比較的低濃度の水素を使用して燃焼を誘発することができる。本開示の一側面において、触媒ヒーターは、アノード排気ストリーム中に存在する水素ガスを燃焼させるように構成される。燃料電池アセンブリが定常状態で動作しているとき、アノード排気ストリーム中の水素濃度は比較的低い。例えば、アノード排気の水素濃度は、1%まで低くてもよい。アノード排気については、以下でさらに詳しく説明する。代替的には、触媒ヒーターは、水素ソースから直接水素ガスを受け取って良い。これは、所定の状況では燃料電池システムに有益であろう。
【0047】
好ましくは、水素ガスは、触媒ヒーターに導入される前に空気と事前に混合される。供給される空気は、燃料電池アセンブリに使用されるのと同じ空気ソースによって供給されて良い。この場合、燃料電池アセンブリのカソードフローフィールドへの空気入口は、触媒ヒーターに流体的に接続されている。代替的には、供給される空気は、燃料電池アセンブリの空気ソースとは別の供給ソースから供給されて良い。ファンを使用して、空気をクーラントモジュールと触媒ヒーターに送ることができる。供給された空気と水素ガスを混合するために、混合チャンバーを触媒ヒーターの上流に設けることができる。次に、水素ガス混合物は、ガス混合物が触媒材料と直接接触し、それによって触媒燃焼反応を引き起こす触媒ヒーターに向けられる。触媒燃焼反応によって生成される熱の量は、触媒材料、ガス混合物中の水素濃度、および触媒ヒーターへのガス混合物の流量に大きく依存する。いくつかの側面において、ガス混合物は、最小:34:1(質量で)-化学量論比から最大:180:1(質量)である。
【0048】
しかしながら、氷点下の温度で水素を燃焼させることを可能にする触媒材料は、より低温の気候で作動する燃料電池システムにとって特に有利である。白金族金属は、この点で特に効果的である。ここで検討されるように、氷点下または凍結温度から燃料電池をスタートアップすることは、特定の課題を提示する。ここに開示される触媒材料を使用する触媒ヒーターは、冷却剤貯蔵タンク内の冷却剤を解凍するために即座に熱を提供することによって、燃料電池システムのコールドスタートを加速する。本開示のいくつかの側面において、触媒ヒーターは、冷却剤が燃料電池に提供される前に、冷却剤を除氷するのに十分な時間作動しなければならない。
【0049】
一側面において、触媒ヒーターは、冷却剤が凍結するのを防ぐために、冷却剤貯蔵タンクに継続的に熱を供給して良い。換言すれば、触媒ヒーターは、燃料電池とは別に作動して、冷却剤貯蔵タンク内の冷却剤を特定の作動温度に維持して良い。冷却剤の作動温度は、冷却剤の凍結温度よりも高くて良い。したがって、触媒ヒーターが作動し続けている間、寒冷気候で燃料電池アセンブリ20をシャットダウンすることが可能であり、それにより、冷却剤が凍結しないことを保証する。
【0050】
[基板サポート]
触媒材料は、基板上に支持されて良い。例えば、触媒材料は、熟練者および/または当業者に周知の方法を使用して、適切な幾何学的表面積の基板上に被着またはコーティングされて良い。適切な基板は、金属、セラミック材料、およびそれらの組み合わせを含んで良いけれども、これらに限定されない。基材は、セラミック発泡体または発泡金属などの多孔質または発泡材料であって良い。基板は、また、フォイル、プレート、ワイヤ、金網、ハニカムなど、またはそれらの組み合わせなどの構造を含んで良い。基板材料は、燃料ソースの触媒燃焼によって生成された熱を分散させるのを支援して良い。
【0051】
[冷却剤貯蔵タンク]
燃料電池システム10は、冷却剤サプライ40を貯蔵するための少なくとも1つの冷却剤貯蔵タンク32を含む。本開示のいくつかの側面において、冷却剤は水である。冷却剤貯蔵タンクは、アルミニウムなどの軽量金属または高温プラスチック材料を含むがこれらに限定されず、様々な適切な材料から構成されて良い。図2は、冷却剤貯蔵モジュールの追加の側面を示している。冷却剤貯蔵タンクは、断熱されて良い(33)。例えば、真空断熱パネルを使用して、タンクを断熱して良い。貯蔵タンクは、また、必要に応じて適切なベントを含んで良い。
【0052】
冷却水貯蔵タンクは、燃料電池アセンブリに流体接続されている。冷却剤貯蔵タンクは、入口34および出口35を有する。貯蔵タンクへの入口は、燃料電池アセンブリ20から冷却剤を受け取り、燃料電池アセンブリ20は、電気化学反応の副産物として水を生成する。貯蔵タンクの出口は、冷却剤を燃料電池アセンブリに放出して、燃料電池スタック21を冷却する。冷却剤貯蔵タンクは、触媒ヒーターによって生成された熱の少なくとも一部が冷却剤貯蔵タンク内の冷却剤に供給されるように、触媒ヒーターに熱的に接続される。
【0053】
[水素ソース]
燃料電池システム10は、水素ソース12を含む。水素ソース12は、必要に応じて、燃料電池システム10の様々な部分に水素燃料ガスを供給する。例えば、水素ソース12は、水素燃料ガスを燃料電池アセンブリ20に供給する。燃料電池20のアノード側は水素ガスを受け取る。水素ソース12は、燃料電池アセンブリ20のアノード入口22に流体接続されている。本開示のいくつかの側面において、水素ソース12は、冷却剤タンクヒーター/触媒ヒーター、アノード排気バーナー、および/またはアノード排気アブソーバーに供給される。燃料電池システム10は、水素の供給を貯蔵するための水素貯蔵タンク(図示せず)を含んで良い。
【0054】
[空気ソース]
燃料電池システム10は、燃料電池アセンブリ20に酸素サプライを供給するために使用される空気ソース12を含む。燃料電池アセンブリ20のカソード側は、空気ソース12を受け取る。空気ソース12は、カソード入口24で燃料電池アセンブリ20に流体的に接続されている。コンプレッサは、カソード入口25の上流に配置されて、燃料電池アセンブリ20のカソード側に導入される前の空気の圧力を上昇させる。
【0055】
[冷却剤温度コントローラ]
コントローラ100は、冷却剤貯蔵タンク内の冷却剤の温度を監視し、冷却剤温度を選択された閾値温度より上に維持するために、冷却剤温度の変化に応答して触媒加熱要素の動作を制御するように構成される。閾値温度は、燃料電池システムの特定の用途および/または使用される冷却剤のタイプに従って選択されて良い。選択された閾値温度は、一般に、冷却剤の最低温度要件よりも高くなる可能性があるため、触媒ヒーターがオンラインになり、臨界レベルに低下する前に冷却剤温度の回復を開始できる。たとえば、冷却剤として水を使用する場合、水が0°Cに達して凍結するのを防ぐために、選択した閾値温度を15°Cにして良い。
【0056】
コントローラは、入力ラインを使用して冷却剤貯蔵タンクの内部と流体接触しており、出力ラインによって触媒加熱要素の動作を制御する。センサは、温度、圧力、電流などを測定して良い。このセンサは、コントローラと信号通信している。コントローラは、センサ出力を処理し、加熱要素(複数)のデューティサイクルを決定するように構成されている。
【0057】
冷却液の温度が閾値温度を下回ると、コントローラは触媒加熱要素の作動を開始させる。触媒ヒーターが作動している間、水素ガスは触媒加熱要素に供給され、そこで触媒燃焼、すなわち触媒の存在下での燃料の無炎酸化を受ける。熱は触媒燃焼から放出され、放射によって触媒加熱要素から冷却剤貯蔵タンクの壁に伝達される。その後、熱が吸収されて冷却剤貯蔵タンク内の冷却剤に伝導され、冷却剤の温度が上昇する。
【0058】
[酸化剤除去モジュール]
燃料電池システム10は、水素モジュール90を含み、この水素モジュール90は、アノード排気中に存在する水素燃料を回収し、それを燃料電池アセンブリ20に再循環させるように構成されている。図1に示されるように、水素モジュール40は、コンプレッサ42および水セパレータ44を含んで良い。コンプレッサ42および水セパレータ44は、アノード排気から水を分離および凝縮する単一の装置として統合されて良い。代替的には、コンプレッサ42および水セパレータ44は、別個の装置であって良い。
【0059】
一側面において、水素燃料は燃料集合体にリサイクルされる。アノード排気中の水素ガスを水素燃料入口にリサイクルする。
【0060】
水素モジュール40は、燃料電池アセンブリ20からアノード排気を受け取る。アノード排気は、主に水、および少量の水素を含む。アノード排気中の水素燃料は、回収され、燃料電池アセンブリ20に再循環されて良い。触媒ヒーターの燃料として使用される、および/またはオフ・ガス・バーナーおよびアノード・オフ・ガス吸収ヒーターの燃料として使用される。
【0061】
[熱モジュール]
燃料電池システムは、カソード排気から水を回収するように構成された熱モジュール70を含む。図1および図3に示すように、熱モジュール70は、燃料電池アセンブリ20および冷却剤モジュール30に流体接続されている。熱モジュール70は、コンデンサ71およびセパレータ72を含む。コンデンサ71およびセパレータ72は、単一の操作として統合されて良い。コンデンサ71は、空冷または液冷であって良い。代替的には、コンデンサ71は、空冷と液体冷却の組み合わせを使用して良い。例えば、コンデンサ71の第1の段階は空冷を使用して良く、第2の段階は液体冷却を使用して良い。
【0062】
カソード排気27は、燃料電池アセンブリ20からコンデンサ71に向けられ、コンデンサ71は、カソード排気中の水蒸気を液化および回収するのに役立つ。1つまたは複数のファン73を使用して、その動作中にコンデンサ71を冷却して良い。次に、凝縮水蒸気を含むカソード排気は、コンデンサ71からセパレータ72に流れる。セパレータ72は、カソード排気中に残っているガスから水を分離するのに役立つ。セパレータ72およびコンデンサは、それぞれ、水中出口74'を提供して良い。一次水出口74およびガス出口76は、冷却剤貯蔵モジュール30に流体接続されている。凝縮されたカソード排気がセパレータ72を通って流れると、水が除去され、冷却剤貯蔵タンク32に向けられる。カソード排気ストリームからのガスはガス出口76においてセパレータを出て、大気に放出される。
【0063】
[排気モジュール]
燃料電池システム10は、アノード排気をスクラブし、その中の水素を除去するように構成された排気モジュール80を含む。特に自動車用途では、排出基準により、排気流中の水素のppmが厳密に制限される場合がある。排気モジュール80は、空気ソース12、燃料電池アセンブリ20、および冷却剤モジュール30に流体接続されている。排気モジュール80は、コンプレッサ82およびオフ・ガス・バーナー84を含む。オフ・ガス・バーナーは、先に述べたように、触媒ヒーター52であって良い。排気モジュールは、アノード排気ストリーム内で水素ガスを受け取り、水素を燃焼させて熱を生成熱させ、これは、システムから排出され、タービンで生成された電力などの追加のアプリケーションに使用され、リサイクルされ、冷却剤の解凍に使用される。冷却モジュールから排出される熱
【0064】
排気モジュール80は、システムに流体的に接続されており、空気ソース12から直接空気を受け取って良い。そのような排出空気は、ファンまたはコンプレッサ82を介して流体接続を通過し、それによって加圧される。コンプレッサからのサプライは、オフ・ガス・バーナー84に供給される。オフ・ガス・バーナーは、排気流中の水素ppmを減少させ、吸収器モジュール85と熱連絡するとき、そうでなければオフガス燃焼から失われる熱が捕捉されて、その中に充填された酸素吸収媒体86を再生するために供給され、これは、出願人の同時係属中の出願でより完全に説明されている。酸素吸収剤または酸素捕捉剤は、それによって捕獲された酸素を除去するために定期的に再生する必要がある。再生は、排気モジュール80内への流体ストリームに水素を加えることによって達成される。酸素吸収媒体86を十分に加熱することによって、水を形成し、媒体を再生する。水は、ガスストリーム中の水蒸気として酸素吸収媒体86から運び出される。
【0065】
酸素吸収媒体86は、燃料電池の動作中に定期的に再生される。スタートアップ時に、アノードは、当該アノードに移動した酸素を含み、そのような酸素が存在する燃料電池を操作(スタートアップ)すると、カソード電位を上げてカソードサポートを腐食し、それによってカソードサポートを酸化してこれを劣化させることによって損傷を与え、膜の表面積を減らす。
【0066】
全般的には、オフ・ガス・バーナーは吸収材料で囲まれ、水素モジュールは、それに流体的に接続されたアノード排気流の部分から酸素を除去し、燃料電池スタックのスタートアップのために低酸素の燃料を供給するように機能する。
【0067】
上述の説明は、開示されたシステムおよび技術の例を提供することが理解されよう。しかしながら、本開示の他の実装は、上述の例とは詳細に異なる可能性があることが企図されている。本開示またはその例へのすべての言及は、その時点で議論されている特定の例を参照することを意図しており、より一般的に開示の範囲に関する制限を意味することを意図していない。特定の機能に関する差別および軽視のすべての文言は、それらの機能に対する選好の欠如を示すことを意図しているが、特に明記しない限り、そのような機能を開示の範囲から完全に除外するものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】