(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング装置
(51)【国際特許分類】
A45D 1/00 20060101AFI20220608BHJP
A45D 1/02 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A45D1/00 504Z
A45D1/00 C
A45D1/00 503A
A45D1/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556853
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 GB2020050443
(87)【国際公開番号】W WO2020193939
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】ロリー ビューモント
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン コートニー
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ バララティ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クールトン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン イムハスリー
(57)【要約】
本発明は、互いにピボット結合された2本のアームを有し、それらの間に形成されるキャビティ内に毛髪を受け入れる構成としたヘアストレートナ装置に関する。少なくとも一方のアームにおけるプレナムは、ファンユニットからの空気流を受け入れるための空気入口と、キャビティ内の毛髪に向けて空気流を放出するための空気出口とを備える。空気出口は、第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方の内壁に沿って延在し、空気流をアームの下端に向ける構成とされている。
【選択図】
図6a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部において互いに結合された第1のアーム及び第2のアームを備えるヘアスタイリング装置であって、前記第1のアームの内壁が前記第2のアームの内壁に対向し、前記第1のアーム及び第2のアームが、これら両アーム間に形成されるキャビティ内に毛髪を受け入れるように配置され、前記第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方がプレナムを含み、該プレナムが、ファンユニットからの空気流を受け入れるための空気入口と、前記キャビティ内の毛髪に向かって空気流を放出するための空気出口とを含み、前記空気出口が、前記第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方の内壁に沿って延在する、ヘアスタイリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記空気出口が開口部を含み、該開口部の幅が1mm~3mmの範囲内である、ヘアスタイリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記開口部の幅が1.5mm~2.5mmの範囲内である、ヘアスタイリング装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の装置であって、前記開口部の長さが90mm~180mmの範囲内である、ヘアスタイリング装置。
【請求項5】
請求項2~4の何れか一項に記載の装置であって、前記開口部がスロットである、ヘアスタイリング装置。
【請求項6】
請求項2~5の何れか一項に記載の装置であって、前記開口部が、前記アームの長手方向軸線と平行に整列して、前記アームの上端近傍に配置される、ヘアスタイリング装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の装置であって、前記空気出口が、概ねアームの下端に向けて空気流を放出するように構成されている、ヘアスタイリング装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記空気出口が、前記内壁の平面に対して30°~60°の範囲内の角度で空気流を放出するように構成されている、ヘアスタイリング装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記空気出口が、前記内壁の平面に対して40°~50°の範囲内の角度で空気流を放出するように構成されている、ヘアスタイリング装置。
【請求項10】
請求項2~9の何れか一項に記載の装置であって、前記空気出口が、前記プレナムと前記キャビティとの間のチャネルを含み、該チャネルが前記開口部で終端する、ヘアスタイリング装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記チャネルが、前記空気出口の手前で所定の距離にわたって実質的に平行な壁を有する、ヘアスタイリング装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置であって、前記チャネルが、前記空気出口の手前で所定の距離にわたって徐々に収束する壁を有する、ヘアスタイリング装置。
【請求項13】
請求項10~12の何れか一項に記載の装置であって、前記空気出口が、前記チャネル内に配置された少なくとも1つのベーンを含む、ヘアスタイリング装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記少なくとも1つのベーンが、放出される空気流の方向を、前記装置のx軸線に修正するように構成されている、ヘアスタイリング装置。
【請求項15】
請求項2~14の何れか一項に記載の装置であって、前記開口部の幅が、前記空気出口の長さに沿って一定である、ヘアスタイリング装置。
【請求項16】
請求項2~14の何れか一項に記載の装置であって、前記開口部の幅が、前記空気出口の長さに沿って一定ではない、ヘアスタイリング装置。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載の装置であって、前記空気出口が、前記第1のアーム及び第2のアームのそれぞれに配置されている、ヘアスタイリング装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、前記空気出口が、前記第1のアーム及び第2のアームのそれぞれに対称的に配置されている、ヘアスタイリング装置。
【請求項19】
請求項17に記載の装置であって、前記空気出口が、前記第1のアーム及び第2のアームのそれぞれに非対称に配置されている、ヘアスタイリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアスタイリング装置に関する。加熱型のヘアスタイリング器具は、熱と機械的手段及び空気流の作用により、毛髪を所望の形状又はスタイルに成形するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
ヘアストレートナは、ピボットアームに取り付けられた加熱プレートを利用する。加熱プレートは、使用者が、加熱プレートの間に毛房を固定した状態で閉鎖位置に保持することができる。毛髪が転移温度を超える温度まで加熱されると、毛房を変化形状にスタイリングすることができる。
【0003】
ヘアストレートナにおいて閉鎖したアームの間に毛房を把持し、加熱されたプレートからの高温に曝すと、毛髪が熱損傷を生じる可能性がある。また、2枚の平坦で緊密に固定された加熱プレートの間に把持された毛房は、プレート全体に亘って広範に拡げられ、これは、毛髪を真っ直ぐで均一な毛房にスタイリングする際に有害である。更に、毛髪は断熱体であるため、加熱されたプレートからの熱が毛房の中心部まで十分に伝達されない。したがって、改良されたヘアスタイリング装置を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、第1の態様において、第1のアーム及び第2のアームを備え、これらのアームが第1の端部で互いに結合されたヘアスタイリング装置を提供する。第1のアーム及び第2のアームは、第1のアームの内壁が第2のアームの内壁に対向し、これらアームの間に形成されるキャビティ内に毛髪を受け入れるように配置される。第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方はプレナムを含み、そのプレナムはファンからの空気流を受け入れるための空気入口と、ユニット及びキャビティ内の毛髪に向けて空気流を放出するための空気出口とを備える。空気出口は、第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方の内壁に沿って延在する。
【0005】
ヘアスタイリング装置のファンユニットは、約3.5~3.9kPaの圧力を生成し、装置を通して中央本体から各アームのプレナムに高速・高圧の空気流を発生させることができる。
【0006】
本装置において、プレナムは、入口及び出口を有するチャンバを指しており、チャンバ内の空気圧は大気圧よりも高い。
【0007】
好適な実施形態において、空気出口は開口部を含み、該開口部の幅が1mm~3mmの範囲内である。更に好適な実施形態において、開口部の幅は1.5mm~2.5mmの範囲内である。
【0008】
好適な実施形態において、開口部は長さが90mm~180mmの範囲内である。
【0009】
有利な実施形態において、開口部から排出される層状でブレード状の空気流は、毛房内の個々の毛髪の整列状態を改善する。
【0010】
好適な実施形態において、開口部は、アームの長手方向軸線と平行に整列して、アームの上端近傍に配置することができるスロットである。
【0011】
好適な実施形態において、空気出口は、概ねアームの下端に向けて空気流を放出するように構成されている。好適な実施形態において、空気出口は、内壁の平面に対して30°~60°の範囲内の角度で空気流を放出するように構成される。更に好適な実施形態において、空気出口は、内壁の平面に対して40°~50°の範囲内の角度で空気流を放出するように構成されている。有利な実施形態において、そのような下向き空気流が毛房に作用すると、毛髪のキューティクル(毛房表面を形成する)は押下げられ、毛幹上に平坦に横たわる。そのため、毛髪の表面が滑らかになり、ツヤのある髪型とすることができる。
【0012】
空気出口は、プレナムとキャビティとの間のチャネルを含むことができ、そのチャネルは、開口で終端する。チャネルは、空気出口の手前で所定の距離にわたって実質的に平行な壁を有することができる。代替的に、チャネルは、空気出口の前に所定の距離の間、徐々に収束する壁を有することができる。
【0013】
開口部の内壁末端は、プレナムを出てチャネルに入る際に空気流を効率的に転向させるために、滑らかで丸みを帯びた構成とされる。有利には、プレナム内における空気流は、内壁の丸い末端に付着し、比較的狭い開口チャネルを通過する際に速度が増加させる構成とすることができる。
【0014】
好適な実施形態において、空気出口は、チャネル内に配置された少なくとも1つのベーンを含む。そのベーンは、放出される空気流の方向を、装置のx軸線に修正するように構成することができる。
【0015】
更に、チャネル内には、一連のベーンを開口部に沿って所定間隔で配置することができる。有利な実施形態において、一連のベーンは、層流を所望の方向に向けると同時に、開口部の長さに沿って構造的剛性を提供するように機能する。このような支持構造は、ねじり力が装置アームに加えられた場合、又は高温で部品の可塑性が生じる場合でも、元のスロット寸法を維持する。
【0016】
開口部の幅は、空気出口の長さに沿って一定とすることができる。代替的に、開口部の幅は、空気出口の長さに沿って一定ではない構成とすることもできる。
【0017】
好適な実施形態において、空気出口が、第1のアーム及び第2のアームのそれぞれに配置される。空気出口は、第1のアーム及び第2のアームのそれぞれに対称的に配置することができる。
代替的に、空気出口は、第1のアーム及び第2のアームのそれぞれに非対称に配置することもできる。
【0018】
そのようなヘアスタイリング装置における高速の加熱空気流は、対流を使用して毛房を加熱し、熱伝達は毛房全体に亘って均一である。乾燥キャビティ内における空気流温度は、約130~170℃、好適には約140~160℃とすることができる。したがって、加熱プレートを使用する通常のヘアストレーナよりも低温度で、髪形を真っ直ぐなストランド状に変更することができる。キャビティを通して流れる空気流の流量は、使用者が必要とする主要な効果に応じて、毎秒約4~12リットルである。具体的に、より高い流量は、湿った毛房の含水量を減らす上で有利であり、一方、より低い流量(より高い温度と組み合わせて)は、毛髪を成形する上で有利である。使用に際して、ヘアスタイリング装置は、毛房を乾燥させると同時に真っ直ぐにする。
【0019】
有利な実施形態において、開口部から排出される空気流の特性は、ファンユニットの出力や、任意のベーンを含む開口部の形状を制御することにより、正確に決定することができる。
【0020】
本発明は、第2の態様において、第1のアーム及び第2のアームを備え、これらのアームが第1の端部で互いに結合されたヘアスタイリング装置を提供する。第1のアームの内壁は、第2のアームの内壁に対向する。第1のアーム及び第2のアームは、これら両者間に形成されるキャビティ内に毛髪を受け入れるように配置される。第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方はプレナムを含み、そのプレナムは、キャビティ内の毛髪に向けて空気を放出するための空気出口を含む。ヘアスタイリング装置は、一対のクランプ部材を含み、該クランプ部材の間に毛髪を把持するためのヘアクランプを更に備える。各クランプ部材は、それぞれ第1のアーム及び第2のアームの内壁により支持される。
【0021】
各クランプ部材は、毛髪に接触させるためのクランプ面を備えることができる。
【0022】
好適な実施形態において、各クランプ部材は、該クランプ部材を支持するアームに対して、伸長位置と収縮位置との間で移動可能であり、その移動は伸長位置に向かってバイアスされる。
【0023】
ヘアスタイリング装置が不使用状態にあってアームが開放位置にあれば、ヘアクランプ部材は伸長位置にある。ヘアスタイリング装置が使用状態にあってアームが閉鎖位置まで絞り込まれていれば、ヘアクランプ部材は収縮位置まで押し込まれる。
【0024】
好適な実施形態では、伸長位置において、一対のクランプ面の相互間の距離は、第1のアームの内壁と第2のアームの内壁との間の距離よりも短い。
【0025】
好適な実施形態において、各クランプ部材は、それぞれのアームの内壁上に長手方向に延びる細長いバーを備える。各クランプ部材は、金属材料で構成することができる。代替的に、各クランプ部材は、弾性変形可能な材料で構成することもできる。
【0026】
内壁は、ヘアスタイリング装置の使用中に温度が上昇するも、装置の不使用時に周囲温度まで復元するプラスチック材料で構成することができる。代替的に、内壁は陽極酸化金属で構成することもできる。
【0027】
好適な実施形態において、各クランプ部材は、アームと平行に整列して配置され、かつ、該アームの上端近傍に配置される。各アームは、アームの内壁に沿って長手方向に延びる溝を含み、クランプ部材はその溝内に部分的に取り付けられる構成とすることができる。上記溝内に弾性手段が配置され、クランプ部材が当該弾性手段上に配置される構成とすることができる。好適な実施形態において、弾性手段は、少なくとも1つのばねである。弾性手段は、シリコーン支持体で構成することもできる。
【0028】
好適な実施形態において、各クランプ部材は、真っ直ぐな長手方向プロファイルを有する。代替的に、各クランプ部材は、凹状の長手方向プロファイルを有する。
【0029】
好適な実施形態において、第1のアーム及び第2のアームは、ヒンジを介して互いに結合され、かつ、開放位置と、第1のアームの内壁と第2のアームの内壁が互いに平行となり、これら両者間にヘアトリートメント用のキャビティが形成される閉鎖位置との間で移動可能である。
【0030】
アーム及び中央本体は、互いに弾性的に固定することができ、その場合にはアームを開放位置にバイアスすることができ、また、使用者によりスムーズに閉鎖することができる。
【0031】
内壁は、ヘアスタイリング装置の使用中に温度が上昇するも、装置の不使用時に周囲温度まで復元するプラスチック材料で構成することができる。代替的に、乾燥用のキャビティ壁は、陽極酸化された金属から構成することもできる。
【0032】
好適な実施形態において、第1のアーム及び第2のアームは、構造が対称であり、重量が実質的に同一である。また、中央本体は、ヘアスタイリング装置の長手方向中心軸線に関して構造が実質的に対称である。利点として、そのような対称的でバランスの取れた配置は、バランスのとれた装置により使用者の手や腕の負担を最小限に抑えると共に、アンバランスの装置と比較して軽量であると感知されるために使用者の人間工学的な快適性を高める。
【0033】
利点として、このようにスタイリングが施されて乾燥させた毛房では、毛髪が主に高圧気流によって真っ直ぐにされ、概ね整列している。重要な点として、毛房間の気流によって毛房の体積が増加し、これはヘアスタイリングに所望される機能である。対照的に、従来のストレートナでは、毛房が2つの剛性的な加熱プレートの間に挟まれるため、毛房の体積が減少する。
【0034】
ヘアスタイリング装置は、電池式とすることができ、主電源から給電することもできる。
【0035】
本発明の理解に資するため、例示として、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1a】本発明に係るヘアスタイリング装置を、第1のアーム及び第2のアームが閉鎖位置にある状態で示す平面図である。
【
図1b】
図1aのヘアスタイリング装置を、アームが開放位置にある状態で示す平面図である。
【
図2】ヘアスタイリング装置の主要構成要素を示す概略図である。
【
図3a】ヘアスタイリング装置におけるヘアトリートメント部を示す概略断面図である。
【
図3b】ヘアトリートメント部の代替的な実施形態を示す概略断面図である。
【
図6a】代替的な実施形態によるヘアトリートメント部の断面図である。
【
図7a】ヘアクランプを含むヘアスタイリング装置のアームを示す概略的な斜視図である。
【
図7c】ヘアトリートメント部の正面斜視図であり、ヘアスタイリング装置における閉鎖したアームの間に保持される毛房の移動を示している。
【
図8a】代替の実施形態によるヘアトリートメント部の断面図である。
【
図9a】囲い込み機能の実施形態を示す説明図である。
【
図10】ヘアスタイリング装置における一方のアームを概略的に示す縦断面図である。
【
図11】ヘアトリートメント部の代替的な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図12a】ヘアスタイリング装置の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ヘアスタイリング装置10は、
図1a,1bに示すように、第1のアーム12、第2のアーム14及び中央本体16を含み、これらは、ヒンジ18により一端で互いにピボット結合されている。ヘアスタイリング装置10は、アームのヒンジ端に向かうハンドル部20と、アームの遠位端に向かうヘアトリートメント部22とを備える。ヘアトリートメント部22は、少なくとも1つのアームの対向面上に壁24,26を備える。壁24,26は、少なくとも1つの開口部を有し、その開口部は、方向性のある層流を生成する空気出口である。ヘアスタイリング装置における中央本体16の上面には、使用者インターフェース28が設けられている。
【0038】
少なくとも1つの開口から排出される高速の加熱空気流を達成するために、装置は、高圧空気流を生成する1つ又は複数のモータと、空気流を加熱するための1つ又は複数のヒータとを必要とする。
【0039】
図2は、中央本体16内に配置されたモータ30と、各アームのヘアトリートメント部内に配置されたヒータ32.34とを有する好適な装置構成を示す概略図である。第1及び第2のアーム12,14は、それぞれ、第1及び第2の導管36,38を介して中央本体に接続されている。モータ30によって生成される高圧気流は、それぞれ第1及び第2の導管36,38を通過して第1及び第2のプレナム40,42に流入する。
第1及び第2プレナム40,42は、それぞれ第1及び第2のアームl2、14内に収められる。空気流は、それぞれのアーム12,14の開口を介してプレナムから排出される前に、プレナムのヒータ32,34を通過する。
【0040】
図3aは、閉鎖位置にある第1及び第2のアーム12,14を通る該絡的な横断面図であり、これらアーム間の毛髪乾燥キャビティ44を示している。乾燥キャビティ44は、ヘアトリートメント部22の長さの大部分に亘って延在する。矢印は、第1及び第2のプレナム40,42から対称的に配置された開口46,48を通って乾燥キャビティ44に流入する空気流を示す。乾燥キャビティ44は、流入する高圧空気流のための膨張室として機能する。膨張した空気流は、排気ポート50を介して乾燥キャビティから排出される。
【0041】
装置のy軸に沿って測定される乾燥キャビティの幅は、毛房が移動するために利用可能な体積を決定するパラメータである。毛房の移動きは髪の毛を分離することにより、空気流に曝される髪の表面積を増加させ、その結果、毛房を乾燥させるための時間を短縮する。
【0042】
乾燥キャビティの下端における排気ポート50は、水滴の出口としても機能する。
【0043】
z軸に沿って測定される乾燥キャビティ44の高さは、排気ポート50における空気流の温度を決定する際の因子である。乾燥キャビティ44の高さを増加させると、開口部46,48と排気ポート50との間の温度差を増加させることができる。すなわち、入口開口部における空気流温度及び乾燥キャビティの寸法のパラメータを変更すればり、排気ポートにおける空気流温度を制御することができる。具体的に、排気口を通過した空気流温度は、使用者が肌で快適に感じられる値であるべきである。
【0044】
図3bは、開口部46,48の代替的な非対称形態を示す概略図である。そのような開口部の非対称配置は、対称的な開口部配置と比較して、乾燥キャビティ44内における空気流パターンをより乱流化させるものである。利点として、乾燥キャビティ内における空気流の乱流度が高いと、濡れた毛房を乾燥させるために必要とされる時間が短縮される。
【0045】
開口部のプロファイルは、空気流の出口角度及び速度を決定するものである。
図4aに概略的に示すように、空気出口46は、アームの上部に向けて配置され、空気流を概ね下向きに向けるように機能する。空気出口46は、プレナム40からのチャネル52を含み、これは乾燥キャビティ44側の開口部54で終端する。チャネル52は、乾燥キャビティ壁56と上側プレナム壁58との間に形成される。好適には、チャネル52は、開口部54から直接延在する距離pに亘って一定の幅を有する。言い換えれば、チャネル52は平行な側面を有する。
【0046】
好適な実施形態において、開口部54の幅wは、約1~3mmであり、ヘアトリートメント部22全体に亘って、アーム12に沿って長手方向に延在する。より好適には、開口部54の幅wは、約1.5~2.5mmである。更に好適には、開口部54の幅wは、約2mmである。
【0047】
z軸に対する層流の出口角度θは、装置が毛房をどれだけ効果的に乾燥させ、スタイリングするかを決定する上で重要な因子である。
図4bに示すように、適切な出口角度θには、30°,60°及び45°が含まれる。乾燥キャビティ壁56の末端58は、空気流がプレナム40から流出してチャネル52に流入する際に、空気流を効率的に回転させるため、滑らかで丸みを帯びた構成とする。具体的には、乾燥キャビティ壁の末端58の半径は、主に、気流出口角度θを決定する。
【0048】
空気出口46は、ヘアトリートメント部22の長さの大部分にわたって延びるスロットである。
図5aに示すように、一連のベーン60がチャネル52内の空気出口46に沿って間隔を置いて配置されている。各ベーン60は、それぞれ
図5bのi及びiiに示すように、開口部54において乾燥キャビティ44に直接配置され、又はチャネル52内に引っ込んだ位置に配置される。各ベーン60は、スロットに対して垂直に配置することができる。その場合にベーン60は、層流を同様の垂直方向に向けることになる。代替的に、ベーン60は、層流の方向を制御するように角度を付けることもできる。例えば、ベーン、ひいては空気流を転向させると、ヘアトリートメント部の中点は、毛房をヘアトリートメント部22の中央部分に囲い込むように機能させることができる。
【0049】
図6aに示すように、開口部は、スロットの長さに沿う各位置で速度が一定の層流を生成する矩形スロット62で構成することができる。
図6bは、楕円形の開口64を示しており、これは、より広い中央部分で比較的低速であり、より狭い開口端に向かって増加する速度を有する層流を生成するように機能するものである。利点として、そのようなスロット形状は、ヘアトリートメント部の中央部分に向けて毛房を囲い込むように機能することができる。
図6cは、逆の配置を示している。すなわち、スロット66は、中央部分に比較的狭い出口を有し、開口端で中央部分が拡がることにより、中央部分で比較的高速であると共に開口端に向けて減速する層流を生成するように機能する。そのような配置は、湿った毛房を毛髪トリートメント部に沿ってより均一に分布させるように機能するものである。
【0050】
ヘアスタイリング装置における第1のアーム12及び第2のアーム14は、それぞれ、第1のヘアクランプ68及び第2のヘアクランプ70を備える。
図7aに示されるように、第1のヘアクランプ68は開口部52に平行に第1のアーム12に沿って、そしてヘアトリートメント部22の長さの大部分に沿って延在する。
図7bは、U字型のヘアクランプシャーシ74に支持されるヘアクランプヘッド72と、それらの間のバイアス手段76とを備えるヘアクランプ70を概略的に示している。バイアス手段76は、ヘアクランプシャーシ74内の溝に配置される一連の個別のシリコーンプラグを備えることができる。ヘアクランプ70は、アーム14のシェル78の上端に隣接している。
【0051】
使用中、第1及び第2の細長いヘアクランプ68,70は、
図7cに示すように、ヘアスタイリング装置のアーム12,14の間の適正位置に毛房80を保持する。その利胆として、毛房80は、ヘアクランプヘッドによりしっかりと保持されが、毛髪を損傷させることのある力が作用することはない。使用者がヘアスタイリング装置のハンドル部分に比較的高い圧縮力を作用させたとしても、バイアス手段は、毛房80に伝達される圧縮力を軽減する機能を有する。
【0052】
ヘアクランプ68、70の直下にある毛房80の部分は、乾燥キャビティ44内に拘束されており、乾燥キャビティ44の容積内での移動自由度が制限される。ヘアクランプは、毛房から水滴を優しく絞り出す機能もある。このようにして毛髪から除去された過剰な水は、乾燥キャビティを通って落下し、装置から排出される。更に、ヘアクランプは、湿って凝集した毛房を、より効率的に乾燥及びスタイリング可能とする、より広い層状形態に拡げる機能を有する。
【0053】
ヘアクランプヘッド72は、アルミニウム等の金属で形成されており、滑らかな毛髪接触面にコーティングが施されている。水分及び/又は温度のセンサは、ヘアクランプに統合させることができ、ヘアクランプに直接隣接させることもできる。
【0054】
第1及び第2のヘアクランプ68、70は、概ね乾燥キャビティの長さに亘って延在する同一寸法を有する。その寸法には、80mm~180mmの範囲の長さが含まれる。第1及び第2のヘアクランプは、高さを5mm~15mmの範囲とすることができる。
【0055】
前述したように、中央本体内のモータにより生成される高圧空気流は、第1及び第2のプレナム40,42に向けられる。第1のプレナム及び第2のプレナム40,42は、形状が概ね対称であり、体積が同一である。第1及び第2のプレナム40,42は、それぞれ、第1及び第2のアームのシェルに対して可動とし、又は固定することができる。
図8a及び8bにおいて、各プレナム40、42を、それぞれ、第1及び第2のアーム12,14のシェル77、78に対して弾性的に可動に保持するための2つの代替的な方法を示す。1つまたは複数のバイアス手段、すなわちコイルばね82(
図8a)又はシリコンビーズ84(
図8b)又は板ばね等が、プレナム40,42の外面と、隣接するそれぞれのシェル77,78の内面との間に配置される。そのようなバイアス手段は、プレナム表面、シェル表面、又はその両者に取り付けることができる。この実施形態において、ヘアクランプヘッドはプレナム対して一体とすることができる。
【0056】
代替的な実施形態において、ヘアクランプヘッド71及びキャビティ壁56は、
図8cに示すように、シェル77に対して弾性的に可動となるように、独立して保持される。その利点として、このように統合された配置は、ヘアスタイリング装置の内部構造を単純化し、装置の重量を軽減することができる。
【0057】
さらに別の代替案において、プレナム40,42は、それぞれのアーム12,14のシェル77,78に対して固定されており、ヘアクランプ68,70は、
図8dに示すように、それぞれのアームのシェルに対してバネ固定される。
【0058】
シェルは、液晶ポリマー(LCP)材料又は強化ナイロンで構成することができる。代替的に、シェルは、プラスチック材料で鋳ぐるみ成形された剛性金属層から構成することができる。
【0059】
毛房80は、ヘアスタイリング装置10におけるアーム12,14の間、及びヘアトリートメント部22の所定の領域内に囲い込むのが有利である。なぜなら、これは、すべての髪の毛が開口部46,48の近傍に確実に保持されるからである。均一に処理され、毛髪の「飛散」量が減少する。囲い込み手段のいくつかの実施形態を、
図9a~9dに開示し、平面図に示す。
図9aは、ヘアトリートメント部22の遠位端にある第1のアーム12の内面からの第1の突起86と、ヘアトリートメント部22のヒンジ端に向けて突出する第2のアーム14の内面からの第2の突起88を示す。ヘアトリートメント部内における毛房80を効果的に拘束するため、第1及び第2の突起86,88の高さは同一とする必要がある。突起の高さは、3mm~20mmの範囲内、好適には8mm~15mmの範囲内とすることができる。
【0060】
図9bに示す更なる囲い込み手段は、第1のアーム12上の第1の湾曲したヘアクランプ90と、第2のアーム14上の第2の湾曲したヘアクランプ92とを含む。第1及び第2のアームが閉鎖位置にあるとき、第1及び第2のヘアクランプヘッド90、92は互いに概ね楕円形を形成する。あるいは、第1のヘアクランプ94及び第2のヘアクランプ96は、
図9cに概略的に示すように、変形可能な弾性材料から構成される。好適には、弾性材料は、ヘアトリートメント部の中央に向けて変形抵抗が低下する。その結果、毛髪は、ヘアトリートメント部の中央で抵抗が最低となる領域に向かって押されることとなる。
【0061】
図9dは、ヘアトリートメント部22の少なくとも上面に配置された一対のシャッター98,100を備えるバネ付きシャッターの配置を概略的に示す。各シャッター98,100は、ヘアクランプ配置に近接して配置される湾曲したエッジ部を備える。各シャッター98,100は、アームシェル77,78の内側または外側のいずれかにおいて、ヘアスタイリング装置10のアーム12,14に対して(1つまたは複数のばね102により)弾性的に取り付けられている。各シャッター98,100は、伸長位置に向けてバイアスされ、したがって、ヘアトリートメント部22の上面側から見たときにヘアクランプ68,70を実質的に覆う。一対のシャッター98、100に力が加えられていないとき、一対のシャッター間における楕円形状の空間は最小化される。使用中、当初はアーム12,14が開放位置にあり、シャッター98,100が伸長位置にあり、毛房80がヘアトリートメント部22に導入される。次に、アーム12,14が閉鎖位置に動かされ、毛房80がシャッター98,100と接触してこれらを収縮位置に向けて押圧する。毛房80が一対のシャッターを押圧すると、一対のシャッター98,100間における楕円形状の空間が増加する。各シャッターの湾曲したエッジ部のため、毛房はヘアトリートメント部22の中央に向けて囲い込まれる。利点として、そのような囲い込み手段は、ヘアトリートメント部の外部に落下する個々の毛束を最小限に抑える。
【0062】
ヘアスタイリング装置10の上面及び下面には、一対のシャッター98、100を配置することができる。代替的に、一対のシャッターをヘアスタイリング装置10の上面のみに配置することもできる。更なる代替案として、単一のシャッターをヘアスタイリング装置10の上面に配置することができる。開示された構成の何れにおいても、シャッターは、直線状のエッジ部又は凹状に湾曲したエッジ部、あるいは直線状エッジ部及び湾曲エッジ部の組み合わせを有することができる。
【0063】
ヘアトリートメント部22に沿って均一な乾燥及びスタイリング効果を達成するために、空気出口46、48を出る空気流は、その長さに沿って一定の速度を有する必要がある。したがって、プレナム40、42の横断面積を、空気入口から遠位端に向けて、ヘアトリートメント部22の長さに沿ってサイズ減少させる。そのような断面積の漸進的な減少は、(モータからの距離が増加する結果として)空気圧の漸進的な減少を補償する。
図10に示すように、プレナム40の断面積を遠位端に向けてサイズ減少させるにつれて、アームにはキャビティ104が形成される。キャビティ104は、ヒータからアームの外面への熱伝達を低減することにより、使用者の快適性を向上させる冷却壁キャビティとして機能させることができる。
【0064】
更に、キャビティ104は、ヘアスタイリング装置の音響体積を低減するために利用することができる。キャビティにおける1つ又は複数の表面にフェルト等の材料層を貼付すれば、ヘアトリートメント部22を通過する高圧気流により生成される音響エネルギの一部を吸収する機能が得られる。代替的に、キャビティ104は、音響フェルト等の絶縁材料で充満させることができる。
【0065】
本発明の範囲内において様々な代替案が可能であることは、当業者にとって明白である。
図4aにおける寸法pは、平行な側面を有するチャネルの一部を示している。代替的な実施形態において、開口部のチャネルは、部分pにおいて先細りのプロファイルを有することができる。その場合、同様な初期間隔で配置される平行側面を有するチャネルと比較して、出口の気流速度が増加することになる。
【0066】
図5aに示す一連のベーンは、開口に沿って一定の間隔で配置し、又は所定の不規則間隔で配置することができる。そのような不規則間隔は、必要な空気流パターンを達成するか、あるいは、例えば、ねじり力又は大きな熱エネルギが作用する領域で、強化された構造的支持を提供することができる。
【0067】
図7aに関して、バイアス手段は、代替的に、プレナムの外面とシェルの内面との間に取り付けられる板ばねで構成することができる。板ばねは、シェルと一体的に形成することができる。代替的に、バイアス手段は、プレナムの外面又はシェルの内面上に配置される複数の別個のゴム突起で構成することもできる。
【0068】
代替的に、ヘアクランプヘッドは、
図8a及び8bに示すように、プレナムの構造に対して一体とすることができる。そのような配置は、プレナム40,42が可動であり、それぞれのアームシェル77,78に対してバイアスがかけられている場合に特に適している。このようにして、ヘアクランプヘッド72の表面は毛髪接触面のままであるが、関連するバイアス手段がばねシャーシ74の代わりにプレナムに取り付けられている。
【0069】
図11は、プレナム40,42から毛髪乾燥キャビティに向けての空気出口の代替的な配置を概略的に示している。具体的に、各プレナム40,42は、互いに平行に配置されたスロット開口部106,108の形態とした複数の空気出口を有することができる。代替的な実施形態において、空気出口は、1列又は複数列の個別の開口部を備えることができる。このような個別の開口部は、任意の適切な形状とすることができるが、横断面における開口部プロファイルは下向きに角度が付けられた出口チャネルを有する必要がある(
図4aを参照)。各配置において、空気出口は対称的又は非対称的とすることができる。非対称配置は、キャビティ44内における空気の乱流を増加させ、湿った毛房を空気流に対する接触を促進することができる。しかしながら、各プレナムから排出される空気流の速度を最大化するためには、各プレナムからの単一の空気出口が好適である。
【0070】
図12a~12dは、ヘアスタイリング装置10に必要とされる空気流を達成するのに適したモータ及びヒータの様々な配置を示している。そのような構成は、
図12aに示すように、各アーム12,14における空気出口と流体接続されて中央本体16内に直列に配置される単一のモータ30及び単一のヒータ33を含む。
図12bにおいて、中央本体16及び第2のアーム14は、単一の構造体に統合されている。モータ30が中央本体16内に配置され、中央本体は、第1及び第2のアーム12,14の両者に対して流体接続されている。しかしながら、第2のアーム14のみがヒータ34を備えている。
【0071】
図12cに示す代替的な構成において、中央本体16及び第2のアーム14は、単一の構造体に統合されている。モータ30は中央本体16内に配置され、中央本体は第2のアーム14のみに流体接続されている。 第2のアームのみが、空気流を加熱するためのヒータ34を備える。第1のアームは、ヘアクランプヘッドを含み、毛房を機械的に固定するように機能する。更に、第1のアーム12は、乾燥キャビティ壁を含み、したがって、乾燥キャビティ44を形成するように機能する。
【0072】
更に別の実施形態において、第1及び第2のアーム12,14は、それぞれハンドル部20内にモータ30,31を備え、ヘアトリートメント部22内にヒータ32,34を備える。また、第1及び第2のアーム12,14は、それぞれヘアトリートメント部22に出口開口を備える。
図12dに示すように、この配置では中央本体は不要である。
【0073】
さらに別の代替的な実施形態において、第1のアーム及び第2のアームは、互いに平行な位置に固定することができ、乾燥キャビティは、ヘアトリートメント部内のアームの間に形成される。ヘアクランプ装置は、第1及び第2のアームに対して可動とした2つの細長いヘアクランプヘッドを有する。各ヘアクランプヘッドは格納位置にあり、隣接する乾燥キャビティ壁とほぼ整列している。さらに、各ヘアクランプヘッドは、他のヘアクランプヘッドに近接する伸長位置を有する。使用時には、毛房がアームの間に挿入され、乾燥キャビティを通過する。ヘアクランプヘッドを収縮位置から伸長位置に移動することにより、それらの間の毛房を穏やかにクランプする。伸長位置において、ヘアクランプヘッドは、使用者が装置を毛房の下方に引き下げる際に毛房を、ヘアクランプヘッドを通って移動可能と弾性的で柔軟な移動を行う。ヘアクランプは、自動又は手動のアクチュエータを介して、収縮位置と伸長位置の間で移動させることができる。
【0074】
本発明は、上記の詳細な説明に限定されるものではない。変形例は、当業者にとって明らかである。
【国際調査報告】