(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ニンニク抽出物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20220608BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20220608BHJP
C11B 1/10 20060101ALI20220608BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20220608BHJP
A61K 36/8962 20060101ALI20220608BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220608BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20220608BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20220608BHJP
【FI】
A61K8/9794
C11B9/00 V
C11B1/10
A23L19/00 Z
A61K36/8962
A61P17/00
A61P43/00 107
A61K35/74 Z
A23L5/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557117
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2019081418
(87)【国際公開番号】W WO2020199176
(87)【国際公開日】2020-10-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521405425
【氏名又は名称】陳偉宏
【氏名又は名称原語表記】Wei Hung CHEN
【住所又は居所原語表記】No. 866, Chong li Rd., Zuoying Dist., Kaohsiung City 813, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】陳偉宏
【テーマコード(参考)】
4B016
4B035
4C083
4C087
4C088
4H059
【Fターム(参考)】
4B016LC07
4B016LG09
4B016LK18
4B016LP02
4B016LP13
4B035LG37
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4C083AA031
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4H059BC44
4H059CA05
4H059CA18
4H059CA72
4H059EA06
4H059EA25
(57)【要約】
【課題】本願はニンニク抽出物の製造方法に関し、膜除去ステップ、滅菌ステップ、水切りステップ、発酵ステップ、第1濾過ステップ及び抽出ステップを含む。
【解決手段】該膜除去ステップにおいて、複数のニンニクを膜除去する。該滅菌ステップにおいて、オゾン水を利用して該複数のニンニクを滅菌する。該水切りステップにおいて、該複数のニンニクを水切りする。該発酵ステップにおいて、該複数のニンニクを発酵させることにより、ニンニク発酵物を取得する。該第1濾過ステップにおいて、該ニンニク発酵物を濾過することにより、ニンニク発酵液を取得する。該抽出ステップにおいて、該ニンニク発酵液を抽出することにより、ニンニク抽出物を取得する。本願は常温でオゾン水を使用して膜除去されたニンニクを洗浄し、かつ滅菌し、ニンニクの発酵製造を安定させることができ、ニンニクにおける有効成分を流失させにくい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のニンニクを膜除去する膜除去ステップ、
オゾン水を利用して該複数のニンニクを滅菌する滅菌ステップ、
該複数のニンニクを水切りする水切りステップ、
該複数のニンニクを発酵させることにより、ニンニク発酵物を取得する発酵ステップ、
該ニンニク発酵物を濾過することにより、ニンニク発酵液を取得する第1濾過ステップ、及び
該ニンニク発酵液を抽出することにより、ニンニク抽出物を取得する抽出ステップ、を含むことを特徴とするニンニク抽出物の製造方法。
【請求項2】
該滅菌ステップにおいて、該オゾン水の濃度は0.3ppm~0.7ppmであり、かつ複数のニンニクを該オゾン水に5分間~15分間浸漬することを特徴とする請求項1に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項3】
該発酵ステップにおいて、アセトバクター属酢酸菌、水及び糖を利用して、該複数のニンニクを発酵させることを特徴とする請求項1に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項4】
該発酵ステップにおいて、該複数のニンニク、該糖質、該水及び該アセトバクター属酢酸菌の重量比率は180:30:280:0.1であることを特徴とする請求項3に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項5】
該発酵ステップにおいて、まず好気性発酵を行い、次に無酸素発酵を行うことを特徴とする請求項4に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項6】
該第1濾過ステップにおいて、まず粗濾過網で濾過し、次に細濾過網で濾過することを特徴とする請求項1に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項7】
該抽出ステップにおいて、蒸留を利用して該ニンニク発酵液を抽出し、抽出温度が80℃~120℃であることを特徴とする請求項1に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項8】
該抽出ステップの後の第2濾過ステップをさらに含み、該ニンニク抽出物を濾過することを特徴とする請求項1に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項9】
該抽出ステップの後の除臭ステップをさらに含み、、活性炭を使用して該ニンニク抽出物を濾過することを特徴とする請求項1に記載のニンニク抽出物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法により製造され、かつ皮膚表層に塗られることに適用されることを特徴とするニンニク抽出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は製造方法に関し、特にニンニク抽出物の製造方法、及び該製造方法で製造されたニンニク抽出物を指す。
【背景技術】
【0002】
ニンニク(学名Allium sativum)は、蒜とも呼ばれる。地下鱗茎は味が辛く、刺激臭がし、大蒜とも呼ばれ、調味料として使用することができ、薬用にすることもできる。ニンニクの葉はチンスァン又はスァンミャオと呼ばれ、花の茎は茎ニンニクと呼ばれ、いずれも野菜として食用することができる。ニンニクは五辛の一つ(五辛とは、五つの辛味ある野菜のこと。具体的には、韮、葱、蒜、薤、薑のことを指す)である。市販されているいくつかのニンニクの発酵生成物は、食品として用いられる。
【0003】
第105129170号の台湾特許出願を参照すると、それは美体保健材料組成物の製造方法に関し、菌を利用してニンニクを発酵させて、発酵後のニンニク発酵物を抽出することにより、ニンニク抽出物を取得する。該ニンニク抽出物は人スキンケア用であり、一般的な健康食品に添加することができる。
【0004】
既知の技術において、ニンニクを直接発酵させ、取得されたニンニク発酵生成物が滅菌されないため、ニンニク発酵の品質が安定せず、製品の抗炎症及び保健の効果が大幅に低下する。
【0005】
それ以外に、ニンニクを発酵させた後、そのニンニク発酵物に多くの固体成分、すなわち固体ニンニクを含有する。その固体成分は抽出過程において容器内に焦げ物質及び焦げ臭が生成しやすく、ニンニク抽出物に欠陥を生成することを引き起こし、かつ製品の標準に合致することができない。
【0006】
上記の説明から分かるように、既知の技術はニンニク抽出物の製造方法を開示したが、実際に使用すると、依然として、以下の欠点を有する。
一、発酵品質を把握できないこと
ニンニクが膜除去する過程において他の細菌が付着しやすく、ニンニクに付着した細菌がニンニクの発酵過程に影響を与え、ニンニク発酵の品質を把握できないことを引き起こす。
二、焦げ臭を生成すること
ニンニク発酵物を蒸留抽出する時に、ニンニク発酵物における固体成分が焦げて炭化しやすく、ニンニク抽出物が焦げ臭を出すことを引き起こす。
三、強いニンニク臭
複数のニンニクを発酵させた後に大量のアリシンを生成し、アリシンはニンニク臭を生成し、ある人はニンニク臭に抵抗してニンニク発酵液を使用して製造された製品を拒否する。
【0007】
したがって、ニンニクの発酵をどのように安定させ、さらにニンニク抽出物の臭をどのように安定させるかは、当業者が早急に努力する必要がある目標である。
【発明の概要】
【0008】
これに鑑みて、本願の目的はニンニク抽出物及びその製造方法を提供することである。
【0009】
上記目的を達成するために、本願はニンニク抽出物の製造方法を提供し、
複数のニンニクの膜を除去する膜除去ステップ、
オゾン水を利用して該複数のニンニクを滅菌する滅菌ステップ、
該複数のニンニクを水切りする水切りステップ、
該複数のニンニクを発酵させることにより、ニンニク発酵物を取得する発酵ステップ、
該ニンニク発酵物を濾過することにより、ニンニク発酵液を取得する第1濾過ステップ、及び
該ニンニク発酵液を抽出することにより、ニンニク抽出物を取得する抽出ステップ、を含む。
【0010】
本願の別の技術的手段は、上記該滅菌ステップにおいて、該オゾン水の濃度が0.3ppm~0.7ppmであることである。
【0011】
本願の別の技術的手段は、上記該滅菌ステップにおいて、複数のニンニクを該オゾン水に5分間~15分間浸漬することである。
【0012】
本願の別の技術的手段は、上記該発酵ステップにおいて、アセトバクター属酢酸菌、水及び糖を利用して、該複数のニンニクを発酵させることである。
【0013】
本願の別の技術的手段は、上記該発酵ステップにおいて、該複数のニンニク、該糖、該水及び該アセトバクター属酢酸菌の重量比率が180:30:280:0.1であることである。
【0014】
本願の別の技術的手段は、上記該発酵ステップにおいて、まず好気性発酵を行い、次に無酸素発酵を行うことである。
【0015】
本願の別の技術的手段は、上記該濾過ステップにおいて、まず粗濾過網を用いて濾過し、次に細濾過網を用いて濾過することである。
【0016】
本願の別の技術的手段は、上記該抽出ステップにおいて、蒸留を利用して該ニンニク発酵液を抽出し、抽出温度が80℃~120℃であることである。
【0017】
本願の別の技術的手段は、上記ニンニク抽出物及びその製造方法が、該抽出ステップの後の第2濾過ステップをさらに含み、該ニンニク抽出物を濾過することである。
【0018】
本願の別の技術的手段は、上記ニンニク抽出物及びその製造方法が、該抽出ステップ後の除臭ステップをさらに含み、活性炭を用いて該ニンニク抽出物を濾過することである。
【0019】
本願の他の目的はニンニク抽出物を提供することであり、前記ニンニク抽出物は上記ニンニク抽出物の製造方法により製造され、かつ皮膚表層に塗ることに適用される。
【0020】
本願の有益な効果は、常温でオゾン水を使用して膜除去されたニンニクを洗浄し、滅菌し、ニンニクの発酵製造を安定させることができ、ニンニクにおける有効成分を流失させにくいことである。濾過を利用する方法はニンニク発酵物における固体成分を分離し、蒸留抽出時に焦げが発生し、かつ焦げ臭が発生することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】フローチャートであり、本願のニンニク抽出物及びその製造方法の第1好ましい実施例を説明する。
【
図2】フローチャートであり、本願のニンニク抽出物及びその製造方法の第2好ましい実施例を説明する。
【
図3】フローチャートであり、本願のニンニク抽出物及びその製造方法の第3好ましい実施例を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願に関する関連出願特許の特色及び技術的内容は、以下に図面を参照する三つの好ましい実施例の詳細な説明において、明らかに示すことができる。詳細な説明を行う前に注意すべきことは、類似する部品が同じ番号で示されることである。
【0023】
図1を参照すると、本願のニンニク抽出物の製造方法の第1好ましい実施例であり、該ニンニク抽出物の製造方法は膜除去ステップ901、滅菌ステップ902、水切りステップ903、発酵ステップ904、第1濾過ステップ905及び抽出ステップ906を含む。
【0024】
まず、該膜除去ステップ901を実行し、複数のニンニクを膜除去し、ニンニクの外表面に一層の薄膜があり、ニンニク膜除去機を利用して大量のニンニクを膜除去することができ、該複数のニンニクの品種は「大片黒」であり、実際に実施する時、他の種類のニンニクを選択することができ、これに限定されるべきではない。好ましくは、市販のニンニク膜除去機を利用して該複数のニンニクを膜除去することができ、実際に実施する時、他の方法で該複数のニンニクの薄膜を除去することができ、これに限定されるべきではない。
【0025】
次に、該滅菌ステップ902を実行し、オゾン水を利用して該複数のニンニクを滅菌し、該オゾン水の濃度が0.3ppm~0.7ppmであり、複数のニンニクを該オゾン水に5分間~15分間浸漬する。オゾン(O3)による反応の活性は酸素(O2)より強く、オゾンは水に溶解して該オゾン水を形成することができ、生物細胞に対して殺傷力を有するため、該オゾン水は殺菌の効果を有する。
【0026】
該滅菌ステップ902において、膜除去されたニンニクをオゾン水に浸漬し、ニンニクの表面に付着した細菌を除去することができる。好ましくは、複数のニンニクを0.5ppmのオゾン水に浸漬し、浸漬時間は10分間である。実際に実施する時、プロセス条件に応じてオゾン水の濃度、及びオゾン水を浸漬する時間を調整することができ、これに限定されるべきではない。
【0027】
次に、該水切ステップ903を実行し、オゾン水で滅菌された該複数のニンニクを水切し、好ましくは、陰干しの方式で、又は微風で吹いて乾燥させる方式で、常温でニンニクの表面のオゾン水を排除して、残留したオゾン水が後続の発酵プロセスに影響を与えることを回避し、オゾン水におけるオゾンも水切過程で空気中に消散する。
【0028】
次に、該発酵ステップ904を実行し、乾燥した該複数のニンニクを発酵させることにより、ニンニク発酵物を取得する。ここで、アセトバクター属酢酸菌、水及び糖を利用して、該複数のニンニクを発酵させ、ここで、該酢酸アンモニウムビ菌の菌株番号はBCRC14145であり、一般的な市販手段から購入することができる。本願に使用されたアセトバクター属酢酸菌は一般的な市販手段から取得することができ、既知の菌種であり、誰でも取得することができるため、該アセトバクター属酢酸菌に対して生体物質寄託が行われていない。
【0029】
該複数のニンニク、該糖、該水及び該アセトバクター属酢酸菌の重量比率は順に180:30:280:0.1である。例えば、発酵容器内に180キログラムのニンニク、30キログラムの糖、280キログラムの水、及び100グラムのアセトバクター属酢酸菌を添加する。
【0030】
該発酵ステップ904において、まず好気性発酵を行い、次に無酸素発酵を行う。例えば、該複数のニンニクの発酵の総時間は16週間であり、第0週から第4週まで発酵容器をカバーせず、ニンニク発酵物を通気させ、かつ該複数のニンニク発酵物を撹拌することにより、好気性発酵を行う。第五週から第16週まで発酵筒を密封し、ニンニク発酵物が外部空気と接触することを回避し、無酸素発酵を行う。
【0031】
該発酵ステップ904において、発酵筒内のニンニク発酵物の糖度、ペーパー値及び匂いが変化し、該発酵ステップ904の後期に、該複数のニンニクが発酵筒の筒底に沈む。
【0032】
次に、該第1濾過ステップ905を実行し、該ニンニク発酵物を濾過することにより、ニンニク発酵液を取得する。ここで、まず粗濾過網で濾過し、次に細濾過網で濾過する。該粗濾過網の孔径は1mm~5mmであり、該細濾過網の孔径は0.1mm~0.5mmであり、実際に実施する時、他の孔径のフィルタエレメントを選択し、又は該ニンニク発酵物は他の濾過方法を使用することができ、該ニンニク発酵物の固体と液体を分離し、例えば、遠心分離機を使用して固液を分離し、かつ液体成分を取って該ニンニク発酵液となるが、これに限定されるべきではない。
【0033】
最後に、該抽出ステップ906を実行し、該ニンニク発酵液を抽出することにより、ニンニク抽出物を取得し、ここで、蒸留法を利用して該ニンニク発酵液を蒸留抽出し、抽出温度が80℃~120℃であり、好ましくは、蒸留抽出の温度が90℃であり、蒸留して得られた液体が該ニンニク抽出物である。該第1濾過ステップにおいて該ニンニク発酵物における固体成分が除去されたため、蒸留時に焦げ物及び焦げ臭を生成しない。蒸留抽出過程において、開始後の10分間と終了前の10分間に取得された抽出液を廃棄し、該ニンニク抽出物の品質を安定させるために用いられ、実際に実施する時、抽出状況に応じて、該ニンニク抽出物を取得する時間を決定することができ、これに限定されるべきではない。
【0034】
取得された該ニンニク抽出物を皮膚表層に直接的に塗り、かつ皮膚に滅菌及びスキンケアの効果を提供することができる。好ましくは、該ニンニク抽出物に添加物を添加することにより、人の皮膚のための保健製品を形成することができる。該添加物は水、アロエ、コラーゲン、L-アスコルビン酸、ヒアルロン酸、ペプチド、レシチン、トラネキサム酸、γ-PGA(ポリグルタミン酸)、gea(天然ブドウ種子抗酸化剤)、PC(レシチン-ホスファチジルコリン)、レスベラトロール、グルタミン酸発酵物GABA、D-リボース等のうちの一つ、及び上記の組み合わせから選択される。上記保健材料に賦形剤を添加してもよく、該賦形剤はラクトース、デンプン、シリカ、微結晶セルロース、セルロースグリコレート、タルクパウダー、ステアリン酸マグネシウム、及びこれらの組み合わせから選択される。上記保健材料に潤滑剤を添加してもよく、該潤滑剤はグリセリン、植物油、鉱物油、精油、及びこれらの組み合わせから選択される。上記保健材料の形態はゲル、液剤、乳剤、油剤、粉剤、軟膏又は硬化剤であってもよい。皮膚を保健可能な他の材料を添加して人体皮膚の保健製品を形成する技術的手段は、既に既知の技術であり、かつ市販の製品に広く応用されるため、ここでは詳述しない。
【0035】
ニンニクはアリシン成分を有し、アリシンは抗菌、抗ウイルス、免疫力の向上、コレステロールの低下、抗凝血などの作用を有し、同時にニンニクの辛味道の主な供給源である。新鮮で破壊されていないニンニクのアリシンの含有量が少なく、これはアリシンがニンニクの細胞壁中のアリナーゼ分解細胞質中のアリインに由来するためであり、ニンニクの細胞壁が完全な状態で、この二種類の物質が大量に接触することができず、ニンニクの細胞構造を破壊した後に、この二種類の物質が接触した後に大量のアリシンを生成する。
【0036】
本願はアセトバクター属酢酸菌を利用してニンニクを発酵させ、発酵過程において、アセトバクター属酢酸菌はニンニクのアリナーゼとアリインとの接触を促進し、さらに大量のアリシンを形成し、かつアリシンはアホエンに変換される。これらのアリシン、アホエンはいずれも発酵容器に保存されて流失せず、さらに蒸留抽出の技術によりアリシン、アホエンを抽出する。ここで、アリシンは強い抗菌及び抗炎症作用を有し、適切な体外用剤に調製し、かつ人体の皮膚に投与し、悩みとなる様々な皮膚問題を解決することができる。
【0037】
例えば、該ニンニク抽出物は化粧水とすることができ、該化粧水成分は10%~50%のニンニク抽出物、0.1%~2%のレシチン、0.5%~5%の油脂、10%~65%のアロエ液及び20%の水を含む。上記割合は、重量割合である。実際に実施する時、製品の用途で材料の配合比率を行うべきであり、これに限定されるべきではない。
【0038】
注意すべきことは、該ニンニク抽出物が大量のアリシン成分を有し、それ自体が殺菌効果を有し、パッケージして保存することができ、腐敗しないことである。該ニンニク抽出物中のアリシン成分も抗炎症効果を有し、傷口の炎症程度を低減し、傷口の迅速な癒合を補助することができる。
【0039】
図2に示すとおり、本願のニンニク抽出物及びその製造方法の第2好ましい実施例であり、該第2好ましい実施例は該第1好ましい実施例とほぼ同じであり、同じ点はここで詳述せず、異なる点はニンニク抽出物の製造方法が該抽出ステップ906の後の第2濾過ステップ907をさらに含み、該ニンニク抽出物を濾過することである。
【0040】
該第2濾過ステップ907の目的は抽出過程で生成されたいくつかの汚染物、例えば、いくつかの空気中の粉塵、又は蒸留筒における汚れなどの固体汚染物を濾過することであり、それらは該ニンニク抽出物に落ちると、液体の視覚的外観に影響を与え、該第2濾過ステップは保護手段であり、該ニンニク抽出物における固体成分を分離し、さらに該ニンニク抽出物の透明度を向上させ、製品の使用安心度を向上させることができる。実際に実施する時、環境が十分に清潔であり、該ニンニク抽出物が粉塵に汚染されない限り、該第2濾過ステップを使用しなくてもよく、該第2好ましい実施例の例に限定されるべきではない。
【0041】
図3に示すとおり、本願のニンニク抽出物及びその製造方法の第3好ましい実施例であり、該第3好ましい実施例は該第1好ましい実施例とほぼ同じであり、同じ点はここで詳述せず、異なる点はニンニク抽出物の製造方法が、該抽出ステップ906の後の除臭ステップ908をさらに含み、活性炭を用いて該ニンニク抽出物を濾過することである。
【0042】
該ニンニク抽出物はアリシンを含有し、ニンニク臭がし、活性炭を有するフィルタエレメントを使用して該ニンニク抽出物を濾過し、該ニンニク抽出物から鼻をつくニンニク臭を除去することができる。活性炭は該ニンニク抽出物のニンニク臭を吸着することにより、該ニンニク抽出物のニンニク臭を明らかに低下させるか又は消失させ、消費者が該ニンニク抽出物を使用して製造された製品への意欲をさらに向上させる。実際に実施する時、該消臭ステップ908を実行しなくてもよく、これに限定されるべきではない。
【0043】
上記説明から分かるように、本願のニンニク抽出物及びその製造方法は、以下の効果を有する。
一、焦げ臭が発生しないこと
本願は該抽出ステップ906の前に該第1濾過ステップ905を実行し、スクリーン又はフィルタエレメントを利用して該ニンニク発酵物を濾過することにより、該ニンニク発酵物における固体成分を除去し、該抽出ステップ906で該ニンニク発酵物中の固体を焦げて焦げ臭を生成し、さらに該ニンニク抽出物の品質に影響を与えることを効果的に回避することができる。
二、発酵品質の安定
本願は該発酵ステップにおいて904において各成分を定量し、該ニンニクの発酵時間を固定し、かつまず好気性発酵を実行して無酸素発酵を実行し、ニンニクの発酵品質を効果的に安定させることができる。さらに該滅菌ステップ902においてオゾン水を用いてニンニクの表面に付着した細菌を除去し、複数のニンニクの発酵作業をより安定的に制御することができる。
三、ニンニク臭の調整
該消臭ステップ908において、活性炭フィルタエレメントを利用して該ニンニク抽出物のニンニク臭を調整し、消費者が強いニンニク臭のため該ニンニク抽出物を使用して製造された製品を拒否することを回避することができる。
【0044】
以上をまとめると、本願は常温でオゾン水を使用してニンニクを滅菌し、ニンニクにおける有効成分を流失しにくく、かつ濾過の方式で発酵されたニンニク発酵物における固体成分を濾過し、抽出過程で焦げた臭を生成することを回避し、最後に活性炭フィルタエレメントを適切に利用して該ニンニク抽出物を濾過することにより、発酵臭及びニンニク臭を低減する。したがって、本願の目的を確実に達成することができる。
【0045】
前記のように、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願の実施範囲を限定するものではなく、すなわち本願の特許出願の保護範囲及び本願の説明内容に基づいて行われた簡単な均等変化及び修飾は、いずれも依然として本願の特許の範囲内に属する。
【国際調査報告】