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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】振動ダンパ及び/又はアブソーバ
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
F16F15/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557538
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 GB2020050812
(87)【国際公開番号】W WO2020201722
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】1904372.8
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501224224
【氏名又は名称】ウォルターズ,クリストファー ポーレット メルモス
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウォルターズ、 クリストファー ポーレット メルモス
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA06
3J048AC01
3J048BE12
3J048CB21
3J048CB22
3J048EA01
3J048EA07
3J048EA37
(57)【要約】
線形振動ダンパ及び/又はアブソーバが、軸受領域(18)と摩擦接触領域(20)とを有するセンターシャフト(12)と、中心軸(X)に沿ったセンターシャフト(12)に対する軸方向移動のために軸受領域(18)に正確な配置のための小さな半径方向クリアランスで取り付けられたフィンガーアセンブリ(22)を含むハウジング(2)とを含み、フィンガーアセンブリ(22)はそれぞれ、それぞれの本体部(26)から軸方向に延びかつ接触面(40)を有する弾性フィンガー(38)を含み、接触面(40)は、センターシャフト(12)の接触領域の摩擦面(20)に弾性的に係合し、すなわち、フィンガー(40)の弾性により押されてセンターシャフト(12)の接触領域の摩擦面(20)と接触し、それによりセンターシャフト(12)とハウジング(2)との間の相対的な直線移動が摩擦面(20)と接触面(40)との間の摩擦接触により対抗される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動ダンパ及び/又はアブソーバであって、軸受領域と摩擦接触領域とを有する第1の部材と、軸に沿った前記第1の部材に対する軸方向移動のために前記軸受領域に取り付けられた本体を含む第2の部材とを含み、前記第2の部材は、前記本体から軸方向に延びかつ前記第1の部材の接触領域に弾性的に係合する摩擦面を有する弾性部材を含み、それにより前記第1の部材と前記第2の部材との相対的な直線移動が、前記摩擦面と前記接触領域との摩擦接触によって対抗される、振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記中心軸に対して軸方向に前記本体から突出する、請求項1に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記本体から同一方向に軸方向に延びかつ前記軸の反対側で前記接触領域に接触する、対向して配置された1対の弾性部材のうちの1つである、請求項2に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項4】
前記対向して配置された1対の弾性部材は、前記接触領域に接触する対向して配置された2対の弾性フィンガーのうちの1対であり、前記2対は、前記軸を中心に互いに90°オフセットされている、請求項3に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項5】
前記弾性部材又は各弾性部材は、前記本体から第1の方向に軸方向に延びる第1の弾性フィンガーを構成し、前記接触領域は、前記軸受領域の一方の側に軸方向に配置された第1の接触領域を構成し、前記本体は、前記第1の弾性部材又は各第1の弾性部材と位置合わせされかつ前記本体から前記第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に延びかつ前記軸受領域の他方の側に軸方向に配置された前記第1の部材の第2の接触領域に接触する少なくとも1つの第2の弾性部材を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項6】
前記部材又は各部材は、前記接触領域のそれぞれの摩擦面でそれぞれの接触領域に接触する、請求項1から5のいずれか一項に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項7】
前記接触領域は正方形の断面を有し、前記摩擦面は前記正方形の辺を構成する、請求項4に従属する請求項6に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項8】
前記摩擦面又は各摩擦面は前記軸に平行に延びている、請求項6又は7に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項9】
前記摩擦面の少なくとも一部又は前記摩擦面の少なくとも1つが前記軸に対して傾斜している、請求項6又は7に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項10】
前記第1の部材の軸受領域は、複数の軸受領域のうちの1つであり、前記摩擦接触領域は、複数の摩擦接触領域のうちの1つであり、前記本体は、それぞれの軸受領域で前記第1の部材に支持された複数の類似の本体のうちの1つであり、前記本体の弾性部材は、前記摩擦接触領域のそれぞれに接触する、請求項1から9のいずれか一項に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項11】
前記第2の部材は前記本体又は各本体を収容するハウジングを含み、前記本体又は各本体は前記ハウジングに固定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項12】
前記ハウジングは潤滑剤を含み、前記ハウジングは前記第1の部材に対して密閉されている、請求項11に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項13】
前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、前記ダンパ及び/又はアブソーバを2つの部品の間で接続するためのそれぞれの連結要素を備えている、請求項11又は12に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項14】
前記弾性部材又は各弾性部材は、前記接触面で各部材により加えられる残留弾性荷重が存在するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の振動ダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項15】
前記ダンパ及び/又はアブソーバは、線形振動ダンパ及び/又はアブソーバである、請求項1から14のいずれか一項に記載のダンパ及び/又はアブソーバ。
【請求項16】
支持構造体と、前記支持構造体に取り付けられた機構とを含む設備であって、請求項1から15のいずれか一項に記載の1つ以上のダンパ及び/又はアブソーバが前記支持構造体と前記機構との間に接続されている設備。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の1つ以上のダンパ及び/又はアブソーバを含む航空機。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか一項に記載の1つ以上のダンパ及び/又はアブソーバを含むヘリコプター。
【請求項19】
回転システムを支持するか又は回転システムによって支持される胴体を含むヘリコプターの構造体の振動を低減するための装置であって、前記構造体の部分が励振周波数で相対運動可能であり、前記装置は、前記構造体の相対的に移動可能な部分の間に接続されるように適合された、請求項1から15のいずれか一項に記載の複数のダンパ及び/又はアブソーバを含む装置。
【請求項20】
前記回転システムは前記主支持回転翼である、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記構造体の別の部分に対して運動可能な前記構造体の一部分が、前記回転システムのエンジン、トランスミッション、及び支持構造体のうちの1つ又は2つ以上のアセンブリを含む、請求項18又は19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動ダンパ及び/又はアブソーバに関するものであり、特に、限定的ではないが、振動機構から振動機構の支持構造体への振動の伝達を最小限に抑えるための線形振動ダンパ及び/又はアブソーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ある部品から別の部品への振動の伝達を最小限に抑えるために、油圧ダンパ及び/又はアブソーバを使用することが知られている。油圧ダンパ/アブソーバの減衰/吸収応答は非線形であり、温度、負荷、及び減衰する振動の周波数及び振幅に大きく影響される。したがって、条件の範囲及び実際に経験する複数の振動入力(周波数及び振幅)に対処するためのこのようなダンパ/アブソーバの設計は複雑である。また、セーフティクリティカルな用途では、作動液の損失は壊滅的な結果をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、振動ダンパ及び/又はアブソーバであって、軸受領域と摩擦接触領域とを有する第1の部材と、軸に沿った第1の部材に対する軸方向移動のために軸受領域に取り付けられた本体を含む第2の部材とを含み、第2の部材は、本体から突出しかつ第1の部材の摩擦接触領域に弾性的に係合する接触面を有する弾性部材を含み、それにより第1の部材と第2の部材との相対的な軸方向移動が接触面と摩擦接触領域との摩擦接触によって対抗される振動ダンパ及び/又はアブソーバが提供される。
【0004】
弾性部材は、軸に対して軸方向に本体から突出することができる。接触面は、弾性部材の自由端に又は自由端の近くに設けることができる。
【0005】
弾性部材は、本体から同一方向に軸方向に延びかつ軸の反対側で摩擦接触領域に接触する対向して配置された1対の弾性部材のうちの1つであることができる。したがって、対向して配置された弾性部材によって加えられた力は、弾性部材によって第1の部材に加えられた正味の横方向の力を排除するように互いに釣り合う。
【0006】
対向して配置された1対の弾性部材は、接触領域に接触する対向して配置された2対の弾性部材のうちの1対であることができ、2対の弾性部材は、軸を中心に互いに90°オフセットされている。このような実施形態では、弾性部材と接触領域との間の摩擦接触を増加させることができる。軸の周りに規則的に分布する、対向して配置された2対以上の部材が存在し得る。軸の周りには奇数又は偶数の第2の部材が配置され得る。
【0007】
弾性部材又は各弾性部材は、第1の方向に本体から軸方向に延びる第1の弾性部材を構成することができ、その場合、接触領域は、軸受領域の一方の側に軸方向に配置された第1の接触領域を構成し、本体は、弾性部材又は各弾性部材と位置合わせされ、第1の方向と反対の第2の方向に本体から軸方向に延び、軸受領域の他方の側に軸方向に配置された第1の部材の第2の接触領域と接触する少なくとも1つの第2の弾性部材を備えている。
【0008】
部材又は各部材は、接触領域のそれぞれの摩擦面でそれぞれの接触領域に接触することができる。本体が軸受領域の片側又は両側に2対の弾性部材を備えている場合、各2対の弾性部材のための接触領域は(軸方向から見た場合)正方形の断面を有し、摩擦面は正方形の側面を構成する。断面は非正方形であるが、それでも長方形であり得る。断面は別の多角形形状であってもよい。
【0009】
摩擦面又は各摩擦面は、概ね中心軸であり得る軸に平行に延びることができる。したがって、それぞれの摩擦面に作用する弾性部材によって摩擦面に加えられる圧力は、部材の移動にわたって一定又は実質的に一定のままである。その結果、移動に対する摩擦抵抗も一定又は実質的に一定のままである。
【0010】
代替的に、摩擦面の少なくとも一部又は複数の摩擦面の少なくとも1つが軸に対して傾斜していることができる。したがって、摩擦面に加えられる圧力、すなわち、移動に対する抵抗(線形速度)及び移動に対する摩擦抵抗、その結果として減衰/吸収効果は、弾性部材が摩擦面に対して移動するにつれて変化する。傾斜の勾配は、一定であることができ、又は摩擦面が本体に向かって延びるにつれて増加することができる。
【0011】
長い耐用年数を得るために、弾性部材の摩擦面及び接触面を硬化させ、高度に研磨し、ハードコートすることが望ましい。
【0012】
第1の部材の軸受領域は、複数の軸受領域のうちの1つであることができ、摩擦接触領域は、複数の摩擦接触領域のうちの1つであることができ、その場合、本体は、それぞれの軸受領域で第1の部材に支持された複数の類似の本体のうちの1つであることができ、本体の弾性部材は、摩擦接触領域のそれぞれに接触する。このような実施形態により、軸に対するダンパ及び/又はアブソーバの半径方向の幅を大きくすることなく、減衰/吸収効果を高めることができる。
【0013】
第2の部材は本体又は各本体を収容するハウジングを含むことができ、本体又は各本体はハウジングに固定される。
【0014】
ハウジングは潤滑剤を含むことができ、ハウジングは第1の部材に対して密閉される。
【0015】
第1の部材及び第2の部材はそれぞれ、ダンパ及び/又はアブソーバを2つの部品の間で接続するためのそれぞれの連結要素を備えていることができる。
【0016】
本発明はまた、支持構造体と、支持構造体に取り付けられた機構とを含む設備であって、上記で定義されたダンパ及び/又はアブソーバが支持構造体と機構との間に接続されている設備を提供する。
【0017】
本発明のより良い理解のために、また本発明がどのように実施され得るかをより明確に示すために、添付の図面を例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】線形ダンパ及び/又はアブソーバの側面図である。
図2図1のダンパ及び/又はアブソーバの縦断面図である。
図3】ハウジングを省略した図2のダンパ及び/又はアブソーバの図である。
図4】ダンパ及び/又はアブソーバのサブアセンブリの断面図である。
図5図4のサブアセンブリの部品の代替的な図である。
図6図4のサブアセンブリの部品の代替的な図である。
図7】サブアセンブリを示す。
図8】ダンパ及び/又はアブソーバの一部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図3は、様々な用途を有するが、例えば、振動を発生させるか又は振動を受ける機構と支持構造体(図示せず)との間の振動の伝達を最小限に抑えるために使用され得る、線形ダンパ及び/又はアブソーバを示す。これらの振動が支持構造体に伝達されることは、それらが潜在的に損傷を与える応力を発生させる可能性があるため望ましくない。
【0020】
図1から図3に示すダンパ及び/又はアブソーバは、エンドキャップ6を一端に有する管状ケーシング4を含むハウジング2を含み、エンドキャップ6から、調節可能なボールジョイント結合部10で終端するロッド8を延ばしている。
【0021】
中心軸Xを有するセンターシャフト12が、ハウジング2内に配置され、一端がエンドキャップ6で、他端がケーシング4に固定されたノーズピース14で支持されている。センターシャフト12は、ノーズピース14を通って突出し、第2の調節可能なボールジョイント結合部16を備えている。ハウジング2の内部が潤滑油を保持することができる密閉された筐体を構成するように、ノーズピース14とセンターシャフト12との間及びケーシング4とエンドキャップ6との間にはシール(図示せず)が設けられる。
【0022】
センターシャフト12は、中心軸Xを中心とし、いずれの場合にも摩擦面48を備えた摩擦接触領域20の間に配置された3つの円筒形軸受領域18を含む(図8参照)。摩擦面48は実質的に平坦である。
【0023】
フィンガーアセンブリ22が、テーパねじ24によってケーシング4の内面に固定される。ケーシング4の剛性を高めるために、テーパねじ24の領域でケーシング4に補強リブ25が設けられる。
【0024】
フィンガーアセンブリ22の1つは、図4及び図7にさらに詳細に示されている。各フィンガーアセンブリ22は、図5及び図6に示すように、4つの四分円要素26を含む。四分円要素26は、共に組み立てられてフィンガーアセンブリ22を形成し、四分円要素26は、穴28内に配置されたダウエルによって互いに位置付けられ、ねじ穴32に嵌め込まれたボルト30によって互いに固定される。四分円要素26はまた、テーパねじ24を受け入れるためのねじ穴34を備えている。
【0025】
図5及び図6に示すように、各四分円要素26は本体部を含み、本体部36から反対方向に弾性部材又はフィンガー38を突出させている。各フィンガー38は、本体部36から外側に向かって先細りになり、中心軸Xに関して内側に向けられた接触面40で終端している。言い換えれば、接触面40は、弾性フィンガー38の自由端又は自由端の近くに設けられている。各フィンガー38は、中心軸Xに対して接線方向に測定された一定の幅wと、中心軸Xに対して半径方向に測定され、本体部36から離れる方向に減少する奥行きdとを有する矩形断面を有する。接触面40は、中心軸22の接線方向に延びるより大きい寸法と軸方向に延びるより短い寸法とを有する薄い長方形の形状である。
【0026】
各四分円要素26の本体部36は、互いに90°である1対の当接面39を含む。当接面39は、それらの半径方向内側端部で、軸受領域18の外形に相補的な内側弧状面42によって相互に接続されている。それらの半径方向外側端部で、当接面は、ケーシング4の内側面に相補的な外側弧状面44によって相互に接続されている。各四分円要素26は軸方向端面46を有し、軸方向端面46からフィンガー38が突出する。
【0027】
四分円要素26は、センターシャフト12のそれぞれの軸受領域18の周りに共に組み立てられて、それぞれのフィンガーアセンブリ22を形成する。これは、穴28にダウエルピンを配置し、次に、隣接する四分円要素26の当接面39を互いに接触させることによって、ダウエルピンによって位置付けられた四分円要素26を互いに嵌め合わせることによって行われる。次いで、四分円要素26は、ねじ穴32に挿入されたボルト30によって互いに固定される。ボルト30は、中心軸Xに対して直角に、すなわち接線平面内に延び、それぞれの当接面39の概ね中央に配置される。得られたアセンブリは、センターシャフト12を省略して図4及び図7に示されており、内側弧状面42は共に、センターシャフト12のそれぞれの軸受領域18が配置された円筒穴を形成することが理解されるであろう。組み立てられた本体部36の軸方向面46から突出するフィンガー38は、フィンガー38の接触面40によって画定される正方形の開口部を形成するように配置される。
【0028】
図2図3及び図8に示すように、フィンガー38は、軸受領域18を越えて突出し、摩擦面48上に延びる。フィンガー38は、フィンガーアセンブリ22がセンターシャフト12に取り付けられたときに応力を受けるように構成される。その結果、接触面40でフィンガー38によって摩擦面48に加えられる残留弾性半径方向荷重が存在する。ダンパ及び/又はアブソーバ全体として伸張又は収縮に抵抗する総力は、例えば、5000Nを超える可能性がある。
【0029】
必要に応じて、フィンガーアセンブリ22をセンターシャフト12上に組み立てた後、外側弧状面44から形成されたフィンガーアセンブリの外側面は、ケーシング4に適切に収まるように正確な直径に研削することができる。
【0030】
センターシャフト12の摩擦接触領域20は正方形の断面を有し、その結果、摩擦面48は正方形として配置される。図8を参照すると、本体部26の左側に突出するフィンガー38は第1のフィンガーと見なすことができ、軸受領域18の左側に配置された接触領域20は第1の接触領域と見なすことができ、一方、本体部26の右側に突出するフィンガー38は第2のフィンガーと見なすことができ、軸受領域18の右側に配置された接触領域20は第2の接触領域と見なすことができる。図8には、第1のフィンガー38の1つの対のみが示されており、この対のフィンガー38は、互いに向かい合って配置され、第1の接触領域20の正方形プロファイルの反対側の摩擦面48に係合する。さらに2つの四分円26(図8には図示せず)が存在し、図8に示されている第1のフィンガー38に対して90°オフセットされた第2対の第1のフィンガー38を提供する。フィンガーアセンブリ22は、本体部36を通る横断面に関してほぼ対称であり、したがって、本体部26の右側の第2のフィンガーは、それぞれの第1のフィンガー38と位置合わせされ、第1のフィンガー38とは反対方向にそれぞれの本体部36から延びている。第2のフィンガー38は、第1のフィンガー38について上述したのと同様に、第2の摩擦接触領域20の摩擦面48に接触する。この配置の結果は、それぞれの摩擦接触領域が互いに対して90°に向けられた2対のフィンガー38の間で把持されるように、各フィンガー38によって加えられる荷重がそれぞれの摩擦接触領域20の反対側のフィンガーによって対抗されることである。その結果、フィンガー38によってセンターシャフト12に加えられる正味の半径方向力はない。また、各フィンガーアセンブリ26は、各本体部36から突出する第1及び第2の反対側に延びるフィンガー38を有するので、フィンガーアセンブリ26がスライドすることができる軸受領域18のそれぞれの側に配置された第1及び第2の摩擦接触領域20にそれらの接触面40を通して作用する合計8つのフィンガー38が存在する。
【0031】
さらに、センターシャフト12は、それぞれがフィンガーアセンブリ26を保持する3つの軸受領域18を有するので、それぞれの摩擦面48に係合するフィンガー接触面40の総数は24である。当然ながら、理解されるように、ハウジング2に対するセンターシャフトの軸方向移動に抵抗する必要な摩擦力を提供するために、共通のセンターシャフト12に3つより多いか又は少ないフィンガーアセンブリ26を設けることができる。
【0032】
フィンガーアセンブリ22のすべてが軸受領域18でセンターシャフト12に取り付けられると、センターシャフト12及びフィンガーアセンブリ22を含むアセンブリがケーシング4に挿入される。次いでエンドキャップ6とノーズピース14がケーシング4に取り付けられ、次いで、使用中にフィンガー38の接触面40及び摩擦面48が潤滑油に連続的に浸されるように、ハウジング2はフィラープラグ50を通して少なくとも部分的に潤滑油で満たされる。摩擦面48と接触面40との間に圧力下で潤滑剤を供給する必要はない。
【0033】
センターシャフト12は、ノーズピース14に設けられた硬化された軸受領域54に係合する滑り軸受径部52が一端に設けられている。ノーズピース14及び四分円要素26内の軸方向排液孔56が、ダンパ及び/又はアブソーバのすべての内部領域への潤滑剤の流れを可能にする。
【0034】
正確な位置決めを可能にするために、軸受領域18の表面と内側弧状面42によって形成される円筒穴との間には小さな半径方向クリアランスがある。このクリアランスは、ケーシング4とセンターシャフト12との間のわずかな半径方向のずれに対応することができ、また軸受領域18とフィンガーアセンブリ22との間に流体潤滑を提供するための潤滑剤の通路を提供する。
【0035】
使用のために、ダンパ及び/又はアブソーバは、2つの機械部品、例えば振動を受ける機構と支持構造体との間に、調節可能なボールジョイント10、16を用いて取り付けられる。2つの部品の間のあらゆる移動、特に部品の一方の振動に起因する移動は、ダンパ及び/又はアブソーバによって減衰/吸収される。これは、センターシャフト12の摩擦面48とフィンガーアセンブリ22のフィンガー38の接触面40との間の摩擦接触によって達成される。接触面40の全面が摩擦面48と接触する。予想される振動の振幅及び周波数がわかると、フィンガー38の外形は、ダンパ及び/又はアブソーバ全体としての減衰/吸収特性が2つの機械部品を互いに分離し、一方から他方への振動の伝達を最小限に抑えるのに十分であるように定めることができる。
【0036】
ダンパ及び/又はアブソーバの端部10、16の間の比較的低い軸方向の力では、接触面40と摩擦面48との間のクーロン摩擦は、センターシャフト22とハウジング2との間のいかなる相対移動も防止し、その結果ダンパ及び/又はアブソーバは剛性の支柱として機能することが理解されるであろう。しかしながら、軸方向の力が接触領域と弾性フィンガー38によって加えられる半径方向の力によって決まる閾値を超えると、接触面40と摩擦面48との間に軸方向の滑り運動が生じる。この動きは表面間のクーロン摩擦によって対抗される。対抗する摩擦力は、相対的な軸方向移動の速度にかかわらず実質的に一定である。これにより、軸方向位置の限度内のすべてのポイントで軸方向にほぼ一定の減衰/吸収H力が提供される。この限度は、ハウジング2内のセンターシャフト12の最大移動量を定めるものであり、止め具(図示せず)によって定めることができる。ダンパ及び/又はアブソーバの部品、特にフィンガー38の外形は、振動を改善するように設計することができ、複数の周波数が存在する場合に、減衰するべき振動入力の好適な調節可能なダンパ及び/又はアブソーバ特性(振幅及び周波数)でそれを行う能力を有する。
【0037】
特定の実施形態では、センターシャフト12の摩擦面48及びフィンガー38の接触面40は、例えば内燃機関のカム面の処理で知られている技術を用いて、硬化、研磨、及びハードコートされる。
【0038】
上記の説明では、フィンガーアセンブリ22は、個々の四分円要素26から組み立てられるものとして説明されている。これは、フィンガーアセンブリ22の多くの構造オプションの1つであり、フィンガーアセンブリ22をセンターシャフト12に取り付けるための他の構成を採用できることが理解されるであろう。また、軸受領域18及び内側弧状面42によって形成される穴は、円筒形として示されているが、これは必須ではない。フィンガーアセンブリは、センターシャフト12上で軸方向にのみ移動するが、回転しない。その結果、軸受面18及び42は非円形であることができ、特にセンターシャフト12の軸受領域18は摩擦面48の続きであることができる。その結果、四分円要素26は、内側弧状面42の代わりに平坦な軸受面を有することになる。軸受領域18及び弧状面42の外形にかかわらず、これらは、摩擦面48及び接触面40と同じ方法で硬化、研磨、ハードコートすることができる。
【0039】
軸受領域が摩擦接触領域20と同じ外形及び寸法を有するいくつかの実施形態では、フィンガーアセンブリ22は、センターシャフト12とは別に組み立てられ、その後、一方の端部、例えばエンドキャップ6で支持された端部からセンターシャフト12に押し込まれ得る。その端部は、フィンガー38を摩擦面48/軸受領域18上に広げるための先細りの導入部を有することができる。
【0040】
図9を参照すると、主支持回転翼111を含む回転システムと、トルク平衡回転翼114を保持する後方に延びるテール部113を有するヘリコプター胴体112とを含むヘリコプター構造体が全体として100で示されている。胴体112は、主支持回転翼111に駆動を伝達して回転翼111を軸Aの周りで駆動するエンジン及びギアボックス115を保持する。ギアボックス115は、複数の弾性ストラットアセンブリ117によって胴体112に取り付けられ、弾性ストラットアセンブリ117のそれぞれは、本発明によるダンパ及び/又はアブソーバ、例えば、図1から図8に示すもの又は図1から図8に示すものと類似の形態のものを含む。本実施形態では、4つの弾性ストラットアセンブリ117があり、概ねギアボックス115の各コーナーに1つ、前方に2つ、後方に2つ配置されている。
【0041】
胴体112及びギアボックス115は、振動励起周波数に実質的に対応する周波数で相対運動可能なヘリコプター構造体の部分を含み、弾性ストラットアセンブリは、胴体から見た力を減衰させるために、回転システムが回転するときに必然的に発生する振動を減衰させるように構成される。
【0042】
本発明は、そのヘリコプターでの使用に関して上述したが、本発明のダンパ及び/又はアブソーバは、例えば(決して限定するものではないが)、
a)第1の振動体がエンジンであり、第2の振動体が船又は船舶の船体である船又は船舶、
b)第1の振動体がプロペラ、ギアボックス及びエンジンであり、第2の振動体が航空機の機体である航空機、
c)第1の振動体がタービン又は発電機などの内燃機関又は回転翼であり、第2の本体が発生源取り付け構造体である発電システム、及び
d)内燃機関又は他の往復又は回転機械が第1の本体に振動を誘発し、接続された第2の本体へのこれらの振動の伝達を低減することが望まれる他のシステム
などの他の振動システムに適用できることを理解されたい。
【0043】
前述の説明又は以下の請求項又は添付の図面に開示され、それらの特定の形態で又は開示された機能を実行するための手段に関して又は必要に応じて開示された結果を達成するための方法もしくはプロセスに関して表現された特徴は、別々に又はそのような特徴の任意の組合せで、本発明をその多様な形態で実現するために利用することができる。
【0044】
本発明の特定の例示的実施形態を説明してきたが、添付の特許請求の範囲は、これらの実施形態のみに限定されることを意図していない。特許請求の範囲は、文字どおり、意図的に、及び/又は等価物を包含するように解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】