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特表2022-528665VFA心臓治療のための送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】VFA心臓治療のための送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/372 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A61N1/372
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557892
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 US2020019200
(87)【国際公開番号】W WO2020205081
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】16/371,612
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】アスルソン,アンドレア・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,ジョーンピーン
(72)【発明者】
【氏名】クレプファー,ルース・エヌ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB12
4C053BB23
4C053CC03
4C053KK02
(57)【要約】
植込み型医療機器送達システムは、第1の管腔を規定する第1の部分と第2の管腔を規定する第2の部分とを有する細長い本体を含む送達カテーテルを含む。角度は、それぞれ第1および第2の部分によって規定される第1の軸と第2の軸との間で定義される。第2の軸は、第1の軸がCS内を指しているときに、患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す。第1の部分または細長い要素は、CS内に延びて、送達カテーテルをCSの方向に固定することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型医療機器送達システムであって、
患者の心臓の冠状静脈洞(CS)内に固定可能な細長い要素と、
第1の管腔を規定する第1の部分および第2の管腔を規定する第2の部分を有する細長い本体を備える送達カテーテルと、を備え、
前記第1の部分の第1の遠位端領域内の前記第1の管腔が、第1の軸に沿って延びており、前記第2の部分の第2の遠位端領域内の前記第2の管腔が、前記第1の軸と角度を形成する第2の軸に沿って延びており、前記第2の軸が、前記固定可能な細長い要素が前記第1の管腔を通って前記CS内に前進するときに、前記患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す、植込み型医療機器送達システム。
【請求項2】
前記送達カテーテルが、前記細長い要素が前記第1の管腔を通って前記CS内に前進し、前記第2の軸が前記LV頂点を指すときに、前記第2の管腔を通って前進する植込み型医療機器が、前記患者の心臓のKoch領域の三角形内の植込み部位に向けられるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記植込み型医療機器をさらに備え、前記植込み型医療機器が、前記患者の心臓の右心房(RA)または前記LVに心臓治療を提供するか、または電気的活動を検知するための少なくとも1つの電極を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記植込み型医療機器が、リード付き植込み型医療機器を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記角度が、固定角度である、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記細長い要素が、ガイドワイヤまたはカテーテルを備える、請求項1~5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記細長い要素が、固定可能なバルーンおよび固定可能な側らせんの一方または両方を備える、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記細長い要素が、1つ以上の電極を備える、請求項1~7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
1つ以上の電極が、心房活性化をマッピングするために、前記第2の部分の前記第2の遠位端領域に結合されている、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の遠位端領域が、前記細長い本体の近位領域および前記細長い要素の一方または両方よりも柔軟である、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の遠位端領域が、前記第1の軸に関連して前記第1の遠位端領域に対して遠位である、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記角度が、最大で90度である、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植込み型医療機器、システム、および方法に関する。特に、本開示は、シングルチャンバーまたはマルチチャンバーペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバーペーシング)、房室同期ペーシング、非同期ペーシング、トリガーペーシング、心臓再同期ペーシング、または頻脈関連治療を含む、心臓治療のための植込み型医療機器の送達、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓伝導系には、洞房(SA)結節、房室(AV)結節、ヒス束、脚、およびプルキンエ線維が含まれる。心拍は、心臓の自然な「ペースメーカー」として説明されてもよいSA結節において開始される。SA結節から生じる電気インパルスにより、心房心筋が収縮する。信号は、心室が収縮し始める前に心房が収縮を停止させるように伝導を先天的に遅らせるAV結節を介して心室に伝導され、それによって適切なAV同期を提供する。電気インパルスは、AV結節から、ヒス束、脚、およびプルキンエ線維を介して心室心筋へ伝導される。
【0003】
AV結節の伝導不良またはSA結節機能の低下などの伝導系異常のある患者は、ペースメーカーなどの植込み型医療機器(IMD)を受け入れ、より正常な心調律とAV同期を回復することがある。心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、または心臓再同期治療(CRT)機器など、いくつかのタイプのIMDは、心臓内または心臓に隣接して配置されている1つ以上の植込み型の心内膜、心外膜、または冠状静脈リードにおける電極を介して、患者の心臓に治療用電気刺激を提供する。治療用電気刺激は、ペーシング、電気的除細動、または除細動のためのパルスまたはショックの形で心臓へ送達されてもよい。場合によっては、IMDは、心臓の内因性脱分極を検知し、その検知に基づいて心臓への治療刺激の提供を制御してもよい。
【0004】
心臓への治療用電気刺激の送達は、患者において発生することがある心室同期不全などの心臓状態に対処するのに有用である可能性がある。心室同期不全は、心臓の心室間の同期の欠如、または収縮のタイミングの違いとして説明されてもよい。収縮のタイミングの大きな違いは、心臓の効率を低下させる可能性がある。IMDによって心臓に送達されるCRTは、心臓の心室の電気機械的活動を再同期させることによって心拍出量を高めることがある。CRTは、右心房、右心室、および左心室にペーシングを提供できるため、「トリプルチャンバーペーシング」と呼ばれることがある。
【0005】
心不整脈は、例えばICDから、心臓ペーシングに加えて心臓を電気的除細動または除細動するための電気ショック治療を送達することによって治療されてもよく、ICDは、患者の心拍を検知し、頻脈または細動の発現を検出するために不整脈検出スキームに従って拍を分類してもよい。検出される不整脈は、心室性頻脈(VT)、高速心室性頻脈(FVT)、心室細動(VF)、心房性頻脈(AT)、および心房細動(AT)を含んでもよい。多くの単形性の速いリズムを実質的に終了させるために、抗頻脈ペーシング(ATP)の無痛治療が心室頻脈(VT)を治療するために使用され得る。ATPは無痛であるが、ATPはすべてのタイプのVTに効果的な治療を送達しないことがある。例えば、ATPは、形態が変化する多形性VTにはそれほど効果的ではないことがある。多形性VTおよび心室細動(VF)はより致命的である可能性があり、ショックによる迅速な治療が必要になることがある。
【0006】
デュアルチャンバー医療機器が利用可能であり、デュアルチャンバー医療機器は、右心房に配置されてもよい経静脈心房リード搬送電極と、右心房を介して右心室に配置されてもよい経静脈心室リード搬送電極とを含む。このようなデュアルチャンバー医療機器は、概して、皮下ポケットに植え込まれ、経静脈リードは皮下ポケットにトンネリングされる。さらに、そのようなデュアルチャンバー医療機器は、心房電気信号および心室電気信号を検知し、正常な心調律とAV同期とを促進するために必要に応じて心房ペーシングおよび心室ペーシングの両方を提供することができる。いくつかのデュアルチャンバー医療機器は、心房性不整脈および心室性不整脈の両方を治療することができる。
【0007】
一部の患者において、シングルチャンバー機器は、患者のニーズに適切に対処し得る。しかしながら、シングルチャンバーの検知および治療のみが可能なシングルチャンバー機器は、すべての患者、例えば、いくつか形式のAV同期不全または頻脈を伴う患者の心臓伝導性疾患または異常に完全に対処できないことがある。場合によってはICD機能に加えて、より正常な心調律を回復するために、デュアルチャンバー検知および/またはペーシング機能が使用されてもよい。
【発明の概要】
【0008】
本開示の技法は、概して、植込み型医療機器を案内する、またはKoch領域の三角形内の正しい位置に、かつ物理的基準としてCSを使用してLVにペーシングを送達する方向に導く、送達カテーテルに関する。
【0009】
一態様では、本開示は、患者の心臓の冠状静脈洞(CS)に固定可能な細長い要素を含む植込み型医療機器送達システムを提供する。本システムはまた、第1の管腔を規定する第1の部分と第2の管腔を規定する第2の部分とを有する細長い本体を備えた送達カテーテルを含む。第1の部分の第1の遠位端領域の第1の管腔は、第1の軸に沿って延び、第2の部分の第2の遠位端領域の第2の管腔は、第1の軸と角度を形成する第2の軸に沿って延びる。第2の軸は、固定可能な細長い要素が第1の管腔を通ってCS内に前進するとき、患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す。
【0010】
別の態様では、本開示は、第1の管腔および外部チャネルを規定する細長い体を有する、患者の心臓の冠状静脈洞(CS)内に前進可能な第1の部分を含む送達カテーテルを提供する。第1の部分がCS内に前進されるとき、患者の心臓のCS口に隣接する第1の部分の領域が第1の軸に沿って延びる。機器は、第2の管腔を規定する細長い本体を有し、第1の部分の長さに沿って第2の部分をスライド可能に案内するために第1の部分の外部チャネル内に受け入れられるように構成された横方向に延びる突起を有する第2の部分を含む。第2の部分の遠位端領域は、突起が第1の軸と固定角度を形成してチャネルに係合するときに第2の軸に沿って延び、その結果、第1の部分がCS内に前進されるときに第2の軸が患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は、デュアル管腔カテーテルの第1の部分の第1の遠位端領域を患者の心臓の冠状静脈洞(CS)に向かって前進させることを含む、植込み型医療機器を送達する方法を提供する。第1の部分は、第1の管腔を規定し、第1の遠位端領域は、第1の軸に沿って延びる。本方法は、デュアル管腔カテーテルの第2の部分の第2の遠位端領域を、患者の心臓のKoch領域の三角形に向けることを含む。第2の部分は、第2の管腔を規定し、第2の遠位端領域は、第1の軸と角度を形成する第2の軸に沿って延び、その結果、第1の遠位端領域がCSに向かって完全に前進したときに、第2の軸が患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す。
【0012】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本開示に記載される技法の他の特徴、目的、および利点は、本明細書および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】断面図で示された患者の心臓に植込み型医療機器を植込むための送達システムと、患者の心臓の外側に配置された別個の医療機器とを含む心臓治療システムの例の概念図である。
図2図1の送達システムで送達され得る心臓内医療機器および患者の心臓の解剖学的構造の例の概念図である。
図3図1の送達システムで送達され得る心臓内医療機器の別の例の斜視図である。
図4】左心室の標準的な17のセグメントビューにおける患者の心臓のマップの概念図であり、例えば、図1図3の例示的なシステムで使用するための様々な電極植込み位置を示している。
図5A図1の送達システムの一例の概念図である。
図5B図1の送達システムの一例の概念図である。
図5C図1の送達システムの一例の概念図である。
図6図1の送達システムの別の例の概念図である。
図7図1の送達システムを使用する方法の一例のフローチャートである。
図8図7の方法を実施、または実行する一例のフローチャートである。
図9図7の方法を実施、または実行する別の例のフローチャートである。
図10図7の方法を実施、または実行するさらに別の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、シングルまたはマルチチャンバーペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバーペーシング)、房室同期ペーシング、非同期ペーシング、トリガーペーシング、心臓再同期ペーシング、または頻脈関連治療を含む、心房からの心室(VfA)心臓治療のための植込み型医療機器の送達、システム、および方法に関する。本明細書では、ペースメーカーまたはICDなどの植込み型医療機器(IMDs)について言及しているが、その方法およびプロセスは、患者の心臓に関する任意の医療機器、システム、または方法とともに使用することができる。様々な他の用途が、本開示の利益を有する当業者に明らかになるであろう。
【0015】
LV心内膜組織を刺激するために正しい方向に向けるために、正しいインプラント位置および方向に、VfA機器またはリードを配置するための手順は、難しい場合がある。このようなVfA機器の配置については、少なくとも2つの要素を考慮する必要がある。第1に、送達カテーテルのカテーテル先端をCS口と三尖弁輪との間のKochの三角形に案内することで、これは、ロケールが不安定なためにカテーテルの配置を保持するのが難しい滑らかな場所である。第2に、カテーテルが所定の位置に配置されたら、ペーシングのために電極をLV組織に配置するために、機器を組織の正しい平面に向ける必要がある。
【0016】
本開示は、標的植込み領域に安定性を生じさせ、VfA心臓治療を提供するために組織に正しい角度も提供し得るデュアル管腔または双管腔カテーテルとして説明され得る送達カテーテルを提供する。特に、送達カテーテルの例は、植込み型医療機器を案内し得、またはKoch領域の三角形内の正しい位置に、かつ物理的基準としてCSを使用してLVにペーシングを送達する方向に導くことができる。例えば、送達カテーテルの一部分またはその部分を通ってCS内に延びる細長い要素は、CSの向きに基づいて送達カテーテルを固定することができる。一実施形態では、送達カテーテルの1つの管腔を使用して、CS内に細長い部材を追跡または案内することができ、送達カテーテルの別の管腔は、遠位端領域の近くで屈曲して、それによって送達される機器を正しい方向における組織内に角度付けることができる。管腔は、並んで配置されていると説明することができる。
【0017】
ここで、本開示に説明されている1つ以上の態様を示す図面を参照する。しかしながら、図面に示されていない他の態様は、本開示の範囲内にあることが理解されよう。図で使用されている同様の番号は、同様の構成要素、ステップなどを指す。しかしながら、所与の図における要素を参照するために参照文字を使用することは、同じ参照文字でラベル付けされた別の図における要素を制限することを意図していないことが理解されよう。加えて、異なる図における要素を参照するために異なる参照文字を使用することは、異なる参照要素が同じまたは類似することができないことを示すことを意図していない。
【0018】
本開示は、リードレスおよびリード付きの植込み型医療機器について説明しているが、最初に図1を参照すると、シングルチャンバーまたはデュアルチャンバー治療用に構成され、患者の心臓8に植え込まれ得る植込み型医療リードとしても説明され得るリード付き医療機器104を含む心臓治療システム2の概念図を示す。いくつかの実施形態では、機器104は、シングルチャンバーペーシング用に構成されてもよく、例えば、シングルチャンバーペーシングとマルチチャンバーペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバーペーシング)との間で切り替わってもよい。
【0019】
機器104は、標的植込み領域4における患者の心臓8の右心房(RA)に植え込まれて示されている。機器104は、標的植込み領域4内における心房心内膜に対して機器の遠位端を固定する1つ以上の固定部材(図2の固定部材20など)を含んでもよい。標的植込み領域4は、ヒス束5と冠状静脈洞3との間に位置してもよく、三尖弁6に隣接してもよい。機器104は、心房からの心室(VfA)機器として説明されてもよく、一般的に右心房に配置されながら、一方または両方の心室(例えば、状況に応じて、右心室、左心室、または両心室)を検知するか、または心室に治療を提供してもよい。特に、機器104は、組織貫通電極を含んでもよく、それは、右心房のKoch三角領域から右心房心内膜および中心線維体を通って、患者の心臓の左心室心筋の高基底および/または中隔領域に植え込まれてもよい。
【0020】
所望の向きでの標的植込み領域4内の正確な位置への機器104の効果的な送達は、困難な場合がある。送達カテーテル100は、標的植込み領域4への機器104の送達を容易にするために、CSへの安定した固定を提供し得る。安定した固定は、送達カテーテル100を通って延びる細長い要素102の使用によって促進され得る。いくつかの実施形態では、送達カテーテル100は、デュアル管腔カテーテルとして説明することができる。デュアル管腔カテーテルは、第1の管腔を規定する第1の部分101と、第2の管腔を規定する第2の部分103とを含み得、これらは、単一の材料片から一体的に形成されてもよく、または別個に形成されてもよい。第1の部分101は、CS内に延びることができ、または第1の部分の第1の管腔は、固定のために、細長い要素102をCS内に送達するために使用され得る。第2の管腔を使用して、植込み型医療機器104、またはリードを、植込みのためにKochの三角形に送達することができる。デュアル管腔カテーテルは、例えば、少なくともそれらの遠位端領域において、第1の管腔と第2の管腔との間に固定または偏向可能な角度を提供するように事前成形または構成されていると説明することができる。CS内に延びた細長い要素102を使用して第1の管腔が冠状静脈洞の向きに整列されるとき、第2の管腔は、RAのKoch領域の三角形からRA心内膜および中心線維体を通って、LV心筋の高基底および/または中隔領域内に、機器104の組織貫通電極を植込む角度でKoch領域の三角形に向けられ、整列され得る。送達カテーテル100は、機器104の送達後に取り除かれ得る。
【0021】
機器104は、心室の心内膜または心外膜の表面を完全に貫通することなく、機器104の遠位端領域から、心房心筋および中心線維体を通って、心室心筋14内に、または心室中隔に沿って延びる真っ直ぐなシャフトを有する1つ以上のダーツ電極12を含み得る。言い換えれば、1つ以上のダーツ電極12は、心室壁を通って血液容量に突き抜けることはできない。1つ以上のダーツ電極12は各々、心室信号を検知し、心室パルスを送達するために(例えば、左心室の収縮を開始するために左心室を脱分極するために)心室心筋内に1つ以上の電極要素を配置するために、シャフトの遠位端領域に1つ以上の電極要素を運ぶことができる。いくつかの例では、シャフトの遠位端領域における電極要素は、ペーシングおよび検知のための双極電極対において使用するために提供された陰極電極を含み得る。1つ以上のダーツ電極12の1つ以上の電極を心室心筋に配置することを可能にするために、植込み領域4が図1に示されているが、本明細書で開示される態様を有する機器は、マルチチャンバーペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバーペーシング)、マルチチャンバー検知を有するシングルチャンバーペーシング、シングルチャンバーペーシングおよび/または検知、または必要に応じて他の臨床治療および用途のために、他の位置に植え込まれてもよいことが認識される。
【0022】
心臓治療システム2は、別個の医療機器50(図1の概略的に示されている)を含んでもよく、この別個の医療機器50は、患者の心臓8の外側(例えば、皮下)に配置されてもよく、かつ心臓治療を送達するために患者の心臓8に動作可能に結合されてもよい。一例では、別個の医療機器50は、血管外ICDであってもよい。いくつかの実施形態では、血管外ICDは、除細動電極を有する除細動リードを含んでもよい。治療ベクトルは、除細動リードにおける除細動電極と、ICDのハウジング電極との間に存在してもよい。さらに、ICDの1つ以上の電極は、患者の心臓8に関する電気信号を検知するために使用されてもよい。ICDは、1つ以上の除細動または電気的除細動ショックを含むショック治療を送達するように構成されてもよい。例えば、不整脈が検知された場合、ICDは電気リード線を介してパルスを送信し、心臓にショックを与え、正常なリズムを回復してもよい。いくつかの例では、ICDは、心臓内にリード線を配置したり、心臓に直接電線を取り付けたりすることなく、ショック治療を提供してもよい(皮下ICD)。本明細書に記載のシステム2とともに使用され得る血管外皮下ICDの例は、2016年3月8日に発行された米国特許第9,278,229号(Reinkeら)において説明され得る。
【0023】
機器104および別個の医療機器50は、協力して、患者の心臓8に心臓治療を提供してもよい。例えば、機器104および別個の医療機器50は、頻脈を検出し、頻脈を監視し、および/または頻脈関連治療を提供するために使用されてもよい。例えば、機器104は、別個の医療機器50と無線で通信して、別個の医療機器50を使用してショック治療をトリガしてもよい。本明細書で使用される場合、「無線で」は、機器104と別個の医療機器50とを接続する金属導体を使用しない動作可能な結合または接続を指す。一例では、無線通信は、患者の組織を通って伝導し、別個の医療機器50によって検出可能である、機器104によって提供される特有の、信号を送る、またはトリガする電気パルスを使用することができる。別の例では、無線通信は、機器104の通信インターフェース(例えば、アンテナ)を使用して電磁放射を提供してもよく、この電磁放射は、患者の組織を通って伝播し、例えば、別個の医療機器50の別個の通信インターフェース(例えば、アンテナ)を使用して検出可能である。
【0024】
図2は、リードレス植込み型医療機器106、または心臓内医療機器、および患者の心臓8の解剖学的構造の概念図である。機器106に関して説明された特徴のうちの1つ以上は、リード付きIMD104(図1)などのリード付きIMDで使用することもできる。本明細書で使用される場合、「心臓内」は、例えば、心臓治療を提供するために、患者の心臓内に完全に植え込まれるように構成された機器を指す。
【0025】
心臓内機器10は、ハウジング30を含んでもよい。ハウジング30は、検知回路、治療送達回路、制御回路、メモリ、遠隔測定回路、他の任意選択のセンサ、および電源などの、機器106の内部構成要素が存在する密閉された内部空洞を規定し得る。ハウジング30は、チタンまたはチタン合金、ステンレス鋼、MP35N(非磁性ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金)、白金合金、または他の生体適合性金属または金属合金を含む導電性材料から形成されてもよい。他の例では、ハウジング30は、セラミック、ガラス、サファイア、シリコーン、ポリウレタン、エポキシ、アセチルコポリマープラスチック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、または他の生体適合性ポリマーを含む非導電性材料から形成されてもよい。
【0026】
機器106は、リードレス植込み型医療機器として説明されてもよい。本明細書で使用される場合、「リードレス」は、患者の心臓8から延びるリードがない機器を指す。言い換えれば、リードレス機器は、患者の心臓の外側から患者の心臓の内側に延びていないリードを有してもよい。いくつかのリードレス機器は、静脈を通じて導入されてもよいが、一旦植え込まれると、機器は、いかなる経静脈リードも有さない、または含まないことがあり、いかなる経静脈リードも使用せずに心臓治療を提供するように構成されてもよい。特に、リードレスVfA機器は、機器のハウジングが心房に配置されるとき、心室の電極に動作可能に接続するためにリードを使用しない。リードレス電極は、電極とハウジングとの間にリードを使用せずに、医療機器のハウジングに結合されてもよい。
【0027】
ハウジング30は、カテーテルの送達を容易にするために、遠位端領域32と近位端領域34との間に概して円筒形に延びていると説明されてもよい。他の実施形態では、ハウジング30は、本明細書に記載の機能性および有用性を実施するために、角柱状または任意の他の形状であってもよい。ハウジング30は、機器106の植込み中に送達ツールと係合するために、例えば、近位端34に送達ツールインターフェース部材26を含み得る。例えば、送達ツールインターフェース部材26は、機器106が送達カテーテル100(図1)を使用して標的植込み領域4に向かって前進する間に使用され得る。
【0028】
ハウジング30の全部または一部は、心臓治療中、例えば、検知および/またはペーシングにおいて電極として機能してもよい。示される例では、ハウジングベース電極24は、ハウジング30の近位部分を取り囲むように示されている。ハウジング30が、チタン合金または上記の他の例などの導電性材料を含む(例えば、それから形成される)場合、ハウジング30の部分は、パリレン、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ、または他の生体適合性ポリマーのコーティングなどの非導電性材料によって電気的に絶縁され得、導電性材料の1つ以上の別個の面積を、近位ハウジングベース電極24を規定するために露出させたままにする。ハウジング30が、セラミック、ガラスまたはポリマー材料などの非導電性材料を含む(例えば、それから形成される)場合、チタン、プラチナ、ステンレス鋼、またはそれらの合金などの導電性コーティングまたは層を、ハウジング30の1つ以上の別個の面積に適用して、近位ハウジングベース電極24を形成し得る。他の例では、近位ハウジングベース電極24は、ハウジング30に取り付けられるかまたは組み立てられるリング電極などの構成要素であってもよい。近位ハウジングベース電極24は、例えば、導電性ハウジング30を介して、またはハウジング30が非導電性材料を含む場合は導電体を介して、機器106の内部回路に電気的に結合され得る。
【0029】
示した例では、ハウジングベース電極24は、ハウジング遠位端領域32よりもハウジング近位端領域34の近くに配置されており、したがって、近位ハウジングベース電極24と説明され得る。しかしながら、他の例では、ハウジングベース電極24は、ハウジング30に沿った他の位置、例えば、図2に示される位置よりも比較的遠位に配置されてもよい。
【0030】
遠位端領域32において、機器106は、遠位固定および電極アセンブリ36を含んでもよく、これは、等しいまたは等しくない長さの1つ以上のダーツ電極12に加えて、1つ以上の固定部材20を含み得る。図示の機器106は、ハウジング遠位端領域32から遠位方向に延びるシャフト40を含み得、かつシャフト40の自由な遠位端領域またはその近くの先端電極要素42などの1つ以上の電極要素を含み得る、単一のダーツ電極12を含む。先端電極要素42は、鋭利な先端または鋭利なもしくは斜めに切った縁を有する針状の先端を使用せずに、組織層内へおよび組織層を通って貫通するための、比較的狭い先端直径(例えば、約1ミリメートル(mm)未満)を有する円錐形または半球形の遠位先端を有し得る。
【0031】
ダーツ電極12のシャフト40は、通常は真っ直ぐな部材であってもよく、剛性であってもよい。他の実施形態では、シャフト40は、比較的硬いが、それでも横方向に制限された柔軟性(例えば、弾性または半剛性)を所有すると説明され得る。さらに、シャフト40は、心臓の動きに合わせていくらかの横方向のたわみを可能にするために非剛性であってもよい。しかしながら、弛緩状態では、何らかの外力を受けていないとき、シャフト40は、図示のように真っ直ぐな位置を維持して、少なくともシャフト40の長さまたは高さ47だけハウジング遠位端領域32から離間して先端電極要素42を保持し得る。ダーツ電極12は、先端電極要素42を所望の組織層、例えば、心室心筋内に配置するために1つ以上の組織層を突き抜けるように構成され得る。このようにして、シャフト40の長さまたは高さ47は、予想されるペーシング部位の深さに対応し得、シャフトは、植込み領域4に押し付けられたときに横方向または半径方向への曲げに抵抗するために、その長手方向軸に沿って比較的高い圧縮強度を有し得る。第2のダーツ電極12が使用される場合、その長さまたは高さは、予想されるペーシング部位の深さに等しくなくてもよく、ペーシングエネルギーの組織への送達のために無関係な電極として作用するように構成されてもよい。長手方向の軸方向の力は、例えば、ダーツ電極12を標的植込み領域4内の組織内に前進させるためにハウジング30の近位端34に長手方向の「押す」力を加えることによって、先端電極要素42に対して加えられてもよい。シャフト40は、長手方向に非圧縮性であり得る。さらに、シャフト40は、例えば、組織運動を伴う、一時的な屈曲を可能にするために、横方向または半径方向の力を受けたときに、横方向または半径方向に弾性的に変形可能であり得るが、横方向の力が減少するとき、通常の真っ直ぐな位置に戻り得る。シャフト40がいかなる外力にもさらされていない場合、またはその長手方向の中心軸に沿った力のみにさらされている場合、シャフト40は、示したように真っ直ぐな線形位置を保持してもよい。
【0032】
1つ以上の固定部材20は、通常は湾曲した位置を有する1つ以上の「タイン」として説明することができる。タインは、送達ツール内の遠位に延ばされた位置に保持されてもよい。タインの遠位先端は、限られた深さまで心臓組織を貫通してもよく、その後、送達ツールから解放されると、(図示した)通常の湾曲位置へ再び近位方向に弾性的に湾曲する。さらに、固定部材20は、例えば、2017年6月13日に発行された米国特許第9,675,579号(Grubacら)、および2015年9月1日に発行された米国特許第9,119,959号(Rysら)に記載された1つ以上の態様を含んでもよい。
【0033】
いくつかの例では、遠位固定および電極アセンブリ36は、遠位ハウジングベース電極22を含む。マルチチャンバーペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバーペーシング)および検知のためのペースメーカーとして機器106を使用する場合、先端電極要素42は、リターン陽極電極として働く近位ハウジングベース電極24と対になる陰極電極として使用されてもよい。代替的に、遠位ハウジングベース電極22は、心室信号を検知して、心室ペーシングパルスを送達するために、先端電極要素42と対になったリターン陽極電極として働いてもよい。他の例では、遠位ハウジングベース電極22は、心房信号を検知して、標的植込み領域4における心房心筋にペーシングパルスを送達するための、陰極電極であってもよい。遠位ハウジングベース電極22が、心房陰極電極として働く場合、近位ハウジングベース電極24は、心室ペーシングおよび検知のために先端電極要素42と対になったリターン陽極として、および心房ペーシングおよび検知のために遠位ハウジングベース電極22と対になったリターン陽極として働いてもよい。
【0034】
この図に示されているように、いくつかのペーシング用途における標的植込み領域4は、概してAV結節15およびヒス束5よりも下側の心房心内膜18に沿っている。ダーツ電極42は、心室心内膜の表面17を貫通することなく、標的植込み領域4における心房心内膜18を通り、中心線維体16を通って、心室心筋14内へ貫通するためのシャフト40の長さまたは高さ47を規定し得る。ダーツ電極12の長さまたは高さ47が、標的植込み領域4内へ完全に進められると、先端電極要素42は、心室心筋14内に静止するか、または配置され得、遠位ハウジングベース電極22は、心房心内膜18と密接に接触するか、または近接して配置され得る。ダーツ電極12は、様々な例において、約3mm~約8mmの先端電極要素42およびシャフト40の合計の長さまたは高さ47を有してもよい。シャフト40の直径は、約2mm未満であってもよく、約1mm以下、または約0.6mm以下であってもよい。
【0035】
機器106は、ハウジング30内に動き検出器11を含み得る。動き検出器11は、心房の機械的活動(例えば、心房収縮)および/または心室の機械的活動(例えば、心室収縮)などの機械的活動を監視するために使用され得る。いくつかの実施形態では、動き検出器11は、右心房の機械的活動を検出するために使用され得る。動き検出器11の非限定的な例は、加速度計を含む。いくつかの実施形態では、動き検出器11によって検出された機械的活動は、機器106の1つ以上の電極によって検出された電気的活動を補足または置き換えるために使用され得る。例えば、動き検出器11は、近位ハウジングベース電極24に加えて、またはその代わりとして使用されてもよい。
【0036】
動き検出器11はまた、心拍反応の検出のために、または心拍反応IMDを提供するために使用されてもよい。心拍反応に関する様々な技術は、1992年10月13日に発行された、「Optimization for rate responsive-cardiac pacemaker」と題する米国特許第5,154,170号(Bennettら)、および1996年10月8日に発行された、「Method and apparatus for rate-responsive cardiac pacing」と題する米国特許第5,562,111号(Yerichら)に記載されていることがある。
【0037】
図3は、シングルまたはマルチチャンバーの心臓治療(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバー心臓治療)のために構成され得る、リードレス植込み型医療機器110、または心臓内医療機器の別の例の三次元斜視図である。機器110に関して説明された特徴のうちの1つ以上は、リード付きIMD104(図1)などのリード付きIMDで使用することもできる。
【0038】
機器110は、ハウジング遠位端領域132からハウジング近位端領域134まで延びる、円筒状の外側側壁として示された外側側壁135を有する、または規定する、ハウジング130を含んでもよい。ハウジング130は、心房および心室の心臓電気信号の検知および心房および心室のペーシングを含む、シングルまたはマルチチャンバー心臓治療を実施するように構成された電子回路を封入していてもよい。提供ツールインターフェース部材126は、ハウジング近位端領域134に示されている。
【0039】
遠位固定および電極アセンブリ136は、ハウジング遠位端領域132に結合されてもよい。遠位固定および電極アセンブリ136は、ハウジング遠位端領域132に結合された電気的に絶縁性の遠位部材172を含んでもよい。組織貫通電極112は、ハウジング遠位端領域132から延びており、複数の非組織貫通電極122は、絶縁性遠位部材172に直接結合されてもよい。組織貫通電極アセンブリ112は、ハウジング遠位端領域132から長手方向に延びており、ハウジング130の長手方向中心軸131と同軸であってもよい。
【0040】
組織貫通遠位電極112は、電気的に絶縁されたシャフト140および先端電極要素142を含み得る。いくつかの例では、組織貫通遠位電極112はまた、固定部材としても機能し、らせんシャフト140および遠位陰極先端電極要素142を含み得る。らせんシャフト140は、シャフト遠位端領域143からシャフト近位端領域141まで延びていてもよく、シャフト近位端領域141は、絶縁性遠位部材172に直接結合されてもよい。らせんシャフト140は、シャフト長さに沿った心臓組織の検知または刺激を回避するために、電気絶縁材料、例えば、パリレンまたは本明細書に列挙された他の例でコーティングされてもよい。先端電極要素142は、シャフト遠位端領域143にあり、先端電極要素142が心室組織内へ前進させられるとき、リターン陽極としての近位ハウジングベース電極124を使用して、心室ペーシングパルスを送達しかつ心室電気信号を検知するための陰極電極として働いてもよい。近位ハウジングベース電極124は、ハウジング130に外接したリング電極であってもよく、長手方向側壁135の非絶縁部分によって規定されてもよい。電極として働かないハウジング130の他の部分は、図2に関連して上述したように電気絶縁材料でコーティングされてもよい。
【0041】
LV心筋内へ貫通する2つ以上の(例えば、任意のタイプの)組織貫通電極を使用することは、局所的なペーシング捕捉のために使用されてもよく、心房組織の捕捉に影響を与える心室ペーシングスパイクを軽減してもよい。いくつかの実施形態では、複数の組織貫通電極は、2つ以上のダーツ型電極(例えば、図1図2の電極12)およびらせん型電極(例えば、電極112)を含み得る。複数の組織貫通電極の非限定的な例には、2つのダーツ電極、それを通って(例えば、中心を通って)延びるダーツ電極を備えたらせん電極、または二重に絡み合ったらせんが挙げられる。複数の組織貫通電極は、双極または多極ペーシングのために使用されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、LV心筋内へ貫通する(例えば、任意のタイプの)1つ以上の組織貫通電極は、多極組織貫通電極であってもよい。多極組織貫通電極は、1つ以上の電気的に活性でかつ電気的に別個の要素を含んでもよく、これらの要素は、1つ以上の組織貫通電極からの双極または多極ペーシングを可能にしてもよい。
【0043】
複数の非組織貫通電極122は、絶縁性遠位部材172の周辺(例えば、組織貫通電極1120に対して周辺)に沿って提供されてもよい。絶縁性遠位部材172は、機器110の遠位に面した表面138と、ハウジングの長手方向側壁135に隣接する機器110に外接する円周面139とを規定してもよい。非組織貫通電極122は、チタン、白金、イリジウム、またはそれらの合金などの導電性材料から形成されてもよい。図示の実施形態では、6つの非組織貫通電極122が、絶縁性遠位部材172の外周に沿って等距離で放射状に離間している。しかしながら、2つ以上の非組織貫通電極122が、いくつかの実施形態では提供され得る。
【0044】
非組織貫通電極122は、非組織貫通電極122と嵌合するようなサイズおよび形状の絶縁部材172内のそれぞれの凹部174内にそれぞれ保持された別個の構成要素であってもよい。他の例では、非組織貫通電極122はそれぞれ、絶縁性遠位部材172内または絶縁性遠位部材172上に取り付けられた一体型部材の絶縁されていない露出部分であってもよい。電極として機能しない一体型部材の介在部分は、絶縁性遠位部材172によって絶縁されてもよいか、または周囲環境にさらされる場合、電気絶縁コーティング、例えば、パリレン、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ、または他の絶縁コーティングによってコーティングされてもよい。
【0045】
組織貫通電極112が心臓組織内へ前進させられるとき、少なくとも1つの非組織貫通電極122は、パルスを送達するためにおよび/または患者の心臓によって生成された心臓の電気信号を検知するために、心臓組織表面に当接して、密接して、または動作的に近接して配置されてもよい。例えば、1つ以上の非組織貫通電極122は、組織貫通電極112が、心房組織内に、そして中心線維体を通って、遠位先端電極要素142が心室組織、例えば、心室心筋および/または心室伝導系の一部、と直接接触して配置されるまで前進するとき、心房内でのペーシングおよび検知のために、右心房心内膜組織と接触して配置されてもよい。
【0046】
非組織貫通電極122は、心房ペーシングパルスを送達するための、およびリターン陽極としての近位ハウジングベース電極124と組み合わせて心房電気信号(例えば、P波)を検知するための、陰極電極として集合的に機能するために、ハウジング130によって囲まれた治療送達回路および検知回路に結合され得る。検知回路に含まれたスイッチング回路は、非組織貫通電極のうちの1つ以上を心房検知チャネルに結合するために制御回路の制御下で作動させられてもよい。遠位の非組織貫通電極122は、互いに電気的に絶縁され得、それにより、電極122の各個々の1つは、単独でまたは心房陰極電極としての電極122のうちの2つ以上と組み合わせて働くために、治療送達回路に含まれるスイッチング回路によって個別に選択されてもよい。治療送達回路に含まれたスイッチング回路は、非組織貫通電極122のうちの1つ以上を心房ペーシング回路に結合するために制御回路の制御下で作動させられてもよい。非組織貫通電極122のうちの2つ以上が、マルチポイント心房陰極電極として動作するように一度に選択されてもよい。
【0047】
心房ペーシングおよび/または心房検知のために選択された特定の非組織貫通電極122は、心房捕捉閾値試験、電極インピーダンス、心臓電気信号におけるP波信号強度、または他の要因に基づいて選択されてもよい。例えば、低いペーシング捕捉閾値振幅と比較的高い電極インピーダンスとの最適な組み合わせを提供する陰極電極として機能する単一の非組織貫通電極または2つ以上の個々の非組織貫通電極122の任意の組み合わせが、電源から最小限の電流ドレインを使用して確実な心房ペーシングを達成するために選択されてもよい。
【0048】
場合によっては、組織貫通電極112がハウジング130を植込み部位に固定するとき、遠位に面した表面138は、心房心内膜表面に均一に接触してもよい。その場合、すべての電極122が、心房陰極を形成するために一緒に選択されてもよい。代替的に、遠位に面した表面138に沿って依然として均等に分散させられたより高い電気インピーダンスを有するマルチポイント心房陰極を形成するために、1つおきの電極122が一緒に選択されてもよい。代替的に、ペーシングされる心房組織に対する電極122の相対位置により最も低いペーシング捕捉閾値を達成する所望の部位においてペーシングを提供するために、絶縁性遠位部材172の片側に沿った1つ以上の電極122のサブセットが選択されてもよい。
【0049】
他の例では、遠位に面した表面138は、組織貫通電極112が心臓組織に入る位置および向きに応じて、隣接する心内膜表面に対して所定の角度に向けられてもよい。この状況では、非組織貫通電極122のうちの1つ以上が、他の非組織貫通電極122よりも、隣接する心内膜組織とより密接して配置されてもよく、他の非組織貫通電極は心内膜表面から離れて角度付けられてもよい。絶縁性遠位部材172の周囲に沿って複数の非組織貫通電極を提供することによって、心臓表面、例えば右心房心内膜表面に対する組織貫通電極112およびハウジング遠位端領域132の角度は、実質的に平行であることが要求されなくてもよい。解剖学的および位置的違いにより、遠位に面する表面138を心内膜表面に対して角度を付ける、または斜めにさせてもよいが、絶縁性遠位部材172の周囲に沿って分布する複数の非組織貫通電極122は、少なくとも複数の電極122のサブセットを使用して、許容可能なペーシング閾値および信頼できる心臓イベント検知を促進するために、1つ以上の電極122と隣接する心臓組織との間の「良好な」接触の可能性を高め得る。絶縁性遠位部材172の全周に沿って円周方向に接触または固定することは要求されなくてもよい。
【0050】
非組織貫通電極122は各々、遠位に面した表面138に沿って延びる第1の部分122aと、円周面139に沿って延びる第2の部分122bとを含むように示されている。第1の部分122aおよび第2の部分122bは連続的な露出面であってもよく、これにより、活性電極表面が、遠位に面した表面138と円周面139とを接続している絶縁性遠位部材172の周縁176を包囲している。非組織貫通電極122は、遠位に面した表面138に沿った1つ以上の電極、円周面139に沿った1つ以上の電極、各々が遠位に面した表面138および円周面139の両方に沿って延びた1つ以上の電極、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。各非組織貫通電極122の各々の露出面は、それぞれの遠位に面した表面138および/または円周面と同一平面であってもよい。他の例では、各非組織貫通電極122の各々は、絶縁性遠位部材172から突出した隆起した表面を有してもよい。しかしながら、電極122の任意の隆起した表面は、滑らかなまたは丸みを帯びた、非組織貫通表面を規定してもよい。
【0051】
遠位固定および電極アセンブリ136は、ハウジング130の遠位端領域を封止することができ、電極122が取り付けられる基礎を提供してもよい。電極122は、ハウジングベース電極と呼ばれてもよい。電極122は、ハウジング130から延びたらせんシャフト140の遠位先端にある遠位先端電極142のように、アクティブな電極部分をハウジング130から延長させるシャフトまたは他の延長部によって支持されていなくてもよい。絶縁性遠位部材の遠位に面した表面および/または円周面に結合された本明細書に提示された非組織貫通電極の他の例は、遠位ハウジングベースリング電極22(図2)、すなわちアセンブリ36の周囲に周方向に延びる遠位ハウジングベースリング電極(図2)、ボタン電極、他のハウジングベース電極、および他の周方向リング電極を含む。遠位の絶縁部材に直接結合された、中央の組織貫通電極の周囲にある任意の非組織貫通電極は、隣接する心臓組織にペーシングパルスを送達するための陰極電極として、個別に、集合的に、または任意の組み合わせで機能するように提供されてもよい。遠位リング電極22および/または周方向リング電極などのリング電極が提供される場合、リング電極の一部は、絶縁性遠位部材の遠位に面した面および/または周面に沿って複数の分布させられた非組織貫通電極を提供するために、コーティングによって電気的に絶縁させられてもよい。
【0052】
非組織貫通電極122および上記の他の例は、遠位固定および電極アセンブリ136に沿って提供された組織貫通電極よりも信頼性が高くかつ有効な心房ペーシングおよび検知を提供することが期待される。心房壁は、心室壁と比較して比較的薄い。組織貫通心房陰極電極は、心房組織内へ深く延びすぎることがあり、これは、心室組織の不意の持続したまたは断続的な捕捉につながる。組織貫通心房陰極電極は、心室組織に物理的に近接している組織貫通心房陰極電極を介して受信される心臓電気信号においてより大きな信号強度を有する心室信号により、心房信号の検知の妨害につながることがある。組織貫通電極112は、機器110の植込み位置を安定させ、非組織貫通電極122が心房において確実にペーシングし、検知しながら、先端電極要素142が心室組織において検知およびペーシングする合理的な確実性を提供するために、心室組織内に確実に固定され得る。機器110が、標的植込み領域4、例えば、図1に示したように心室中隔に植え込まれるとき、非組織貫通電極122が右心房においてペーシングおよび検知を提供しながら、先端電極要素142は、左心室のペーシングために左心室組織に到達し得る。組織貫通電極112の長さは、左心室組織に到達するために、遠位に面した表面138から約4~約8mmの範囲であってもよい。場合によっては、機器110は、双心房(右心房および左心房)捕捉を達成するために標的植込み領域4において非組織貫通電極122を介して心房ペーシング回路からの心房ペーシングパルスを送達することによって、および双心室(右心室および左心室)捕捉を達成するために標的植込み領域4から心室組織内へ前進させられた先端電極要素142を介して心室ペーシング回路からの心室ペーシングパルスを送達することによって、4つのチャンバーペーシングを達成してもよい。
【0053】
本明細書に記載のコントローラ、回路、加速度計、またはセンサなどの1つ以上の構成要素は、中央処理ユニット(CPU)、コンピュータ、論理アレイ、または医療機器に出入りするデータを指示することができる他の機器などのプロセッサを含み得る。コントローラは、メモリ、処理、および通信ハードウェアを有する1つ以上のコンピューティング機器または処理回路を含み得る。コントローラは、コントローラの様々な構成要素を一緒に、またはコントローラに動作可能に結合された他の構成要素と結合するために使用される回路を含み得る。コントローラの機能は、ハードウェアによって、および/または非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータ命令として行われ得る。
【0054】
コントローラのプロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または同等のディスクリートまたは集積論理回路のうちのいずれか1つ以上を含んでもよい。いくつかの例では、プロセッサは、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のDSP、1つ以上のASIC、および/または1つ以上のFPGA、ならびに他のディスクリートまたは集積論理回路の任意の組み合わせなどの複数の構成要素を含んでもよい。本明細書におけるコントローラまたはプロセッサに帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして具体化されてもよい。本明細書ではプロセッサベースのシステムとして説明されているが、代替のコントローラは、リレーやタイマーなどの他の構成要素を利用して、単独で、またはマイクロプロセッサベースのシステムと組み合わせて、所望の結果を達成することができる。
【0055】
1つ以上の実施形態では、例示的なシステム、方法、および他の機能は、1つ以上のプロセッサおよび/またはメモリを含み得るコンピューティング装置を使用する1つ以上のコンピュータプログラムを使用して実装され得る。本明細書に記載のプログラムコードおよび/または論理を入力データ/情報に適用して、本明細書に記載の機能を実施し、所望の出力データ/情報を生成してもよい。出力データ/情報は、本明細書に記載されているように、または既知の方法で適用されるように、1つ以上の他の機器および/または方法への入力として適用され得る。上記を考慮して、本明細書に記載のコントローラ機能は、当業者に知られている任意の様態で実装され得ることが容易に明らかであろう。
【0056】
図4は、患者の心臓の二次元(2D)心室マップ60(例えば、上から下を見た図)であり、標準的な17のセグメントビューにおける左心室62、および右心室64を示している。マップ60は、人間の心臓の異なる領域に対応する複数の領域68を含む。図示のように、領域68は、数字で1~17とラベル付けされている(例えば、これは、人間の心臓の標準的な17セグメントモデルに対応する、人間の心臓の左心室の17のセグメントに対応する、など)。マップ60の領域68は、基底前部領域1、基底前中隔領域2、基底下中隔領域3、基底下領域4、基底下外側領域5、基底前外側領域6、中央前部領域7、中央前中隔領域8、中央下中隔領域9、中央下領域10、中央下外側領域11、中央前外側領域12、頂端前部領域13、頂端中隔領域14、頂端下領域15、頂端外側領域16、および頂端領域17を含んでもよい。右心室64の下中隔および前中隔領域、ならびに右脚(RBB)および左脚(LBB)も示されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の組織貫通電極のいずれかが、患者の心臓の左心室心筋の基底領域および/または中隔領域に埋め込まれてもよい。特に、組織貫通電極は、右心房のKoch三角領域から、右心房心内膜および中心線維体を通って植え込まれてもよい。
【0058】
埋め込まれると、組織貫通電極は、左心室心筋の基底領域および/または中隔領域などの、標的埋め込み領域4(図1)に位置決めされてもよい。マップ60を参照すると、基底領域は、基底前部領域1、基底前中隔領域2、基底下中隔領域3、基底下領域4、中央前部領域7、中央前中隔領域8、中央下中隔領域9および中央下領域10のうちの1つ以上を含む。マップ60を参照すると、中隔領域は、基底前中隔領域2、基底前中隔領域3、中央前中隔領域8、中央下中隔領域9、および頂端中隔領域14のうちの1つ以上を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、組織貫通電極は、植え込まれたときに左心室心筋の基底中隔領域に配置されてもよい。基底中隔領域は、基底前中隔領域2、基底下中隔領域3、中央前中隔領域8、および中央下中隔領域9のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、組織貫通電極は、植え込まれたときに、左心室心筋の高い下側/後側基底中隔領域に配置されてもよい。左心室心筋の高い下側/後側基底中隔領域は、基底下中隔領域3および中央下中隔領域9のうちの少なくとも1つの一部を含み得る。例えば、高い下部/後部基底中隔領域は、一般に破線の境界として示した領域66を含んでもよい。示されるように、破線の境界は、高い下側/後側基底中隔領域が位置する場所の近似を表しており、特定の用途に応じていくらか異なる形状またはサイズを取ることがある。特定の理論に拘束されることなく、心室内同期ペーシングおよび/または活性化は、心内膜下プルキンエ線維と心室心筋との間の機能的電気的結合による高中隔心室心筋の刺激から生じる可能性がある。
【0061】
図5A図5Cは、細長い要素102とともに使用することができる送達カテーテル100(図1)の実装の一例の様々な図を示す。図5Aは、細長い要素102とともに使用することができる送達カテーテル200を示す側面図である。図5Bは、送達カテーテル200を示す俯瞰図である。図5Cは、図5Bに示される線C-Cに沿った断面図である。
【0062】
細長い要素102は、CSに挿入するための任意の好適な機器であり得る。例えば、細長い要素102は、ガイドワイヤまたはカテーテルであり得る。いくつかの実施形態では、細長い要素102は操縦可能であり得る。
【0063】
さらに、細長い要素102は、CS内に固定可能であり得る。CSに固定可能であるということは、細長い要素102が、任意の期間、CS内に細長い要素を保持するための任意の好適な機構を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、細長い要素102は、細長い要素をCSに挿入した後、CS内での安定した固定を容易にするための固定可能なバルーンまたは固定可能な側らせんを含み得、これは、機器を標的植込み領域4(図1)に送達するための信頼できる基準を提供し得る。細長い要素102は、物理的基準としての細長い要素の使用を容易にするために、CS内に任意の好適な距離で挿入することができる。細長い要素102は、CS内に留まり得、または機器を標的植込み領域4に植え込んだ後に取り除かれ得る。
【0064】
細長い要素102は、CSへの物理的基準を提供することに加えて、他の機能を提供し得る。いくつかの実施形態では、細長い要素102は、CS内に残り、心臓治療システム2(図1)の一部として使用され得る。例えば、細長い要素102は、心臓治療を容易にするために1つ以上の電極を含み得る。いくつかの実施形態では、細長い要素102は、検知またはペーシングに使用される電気生理学(EP)カテーテルなどの治療カテーテルであると説明することができる。例えば、EPカテーテルは、心臓内の電気的パターンを評価し、次に切除するために使用され得る。
【0065】
送達カテーテル200は、第1の部分202および第2の部分204を含む細長い本体を含み、これらは、単一の材料片から一体的に形成され得るか、または別個に形成され、一緒に結合され得る。第1の部分202および第2の部分204は、近位領域210からそれぞれの第1の遠位端領域206およびそれぞれの第2の遠位端領域208まで延びることができる。図示のように、近位領域210は、送達カテーテル200の近位端領域、または送達カテーテル200の近位端領域ではない中間領域を表し得る。送達カテーテル200は、本開示の技法を容易にするために任意の好適な長さであり得る。第1の部分202および第2の部分204は各々、互いに長手方向に隣接して、または並んで延びることができる。
【0066】
各部分は、管腔を規定することができる。第1の部分202によって規定される第1の管腔212は、近位領域210から第1の遠位端領域206まで延びることができる。第2の部分204によって規定される第2の管腔214は、近位領域210から第2の遠位端領域208まで延びることができる。
【0067】
第1の遠位端領域206内の第1の管腔212は、第1の軸216に沿って延びるものとして説明することができる。第2の遠位端領域208内の第2の管腔214は、第2の軸218に沿って延びるものとして説明することができる。第1の軸216および第2の軸218は、第1の軸がCS内を指すときに第2の軸が患者の心臓のLV頂点を指すように角度220を形成または規定する。例えば、第2の軸は、細長い要素102が少なくとも部分的に第1の軸216に沿って第1の管腔212を通って前進し、CS内に挿入され、任意選択で固定されるとき、LV頂点に向けることができる。細長い要素102が第1の管腔212を通ってCS内に前進し、第2の軸218がLV頂点を指すとき、第2の管腔214を通って前進する機器は、Koch領域の三角形の植込み部位に向けられ得る。
【0068】
任意の好適な角度220を使用することができる。角度220は、特定の患者の生理学に依存し得る。いくつかの実施形態では、角度220は、少なくとも約30、40、50、60、または70度でさえあり得る。いくつかの実施形態では、角度220は、最大で約110、100、90、80、または70度でさえあり得る。例えば、角度200は、約50度から約90度の範囲であり得る。本明細書で使用される場合、「最大で」は「以下」と交換可能に使用され得、「少なくとも」は「以上」と交換可能に使用され得る。
【0069】
1つ以上の実施形態において、患者の心臓のCS口に垂直な第1のベクトルと、CS口からLV頂点までの第2のベクトルとの間に異なる角度を規定することができ、これは、少なくとも約30、40、50、70、または70度でさえあり得、または最大で約110、100、90、80、または70度でさえあり得る。
【0070】
図示の実施形態では、第2の部分204の近位領域210は、第1の軸216と整列され、第2の遠位端領域208は、第2の軸218と整列されている。第2の部分204の湾曲領域222は、第2の遠位端領域208と近位領域210との間に規定され得る。湾曲領域222は、近位領域210と遠位端領域との間の移行部を提供し、これは、いくつかの実施形態では図示されるよりも緩やかであってもよい。第1の部分202は、近位領域210から第1の遠位端領域206まで、第1の軸216に沿って比較的直線的に延びることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、第2の遠位端領域208はまた湾曲していてもよい。第2の遠位端領域208の位置合わせは、遠位端領域の最も遠位のセグメント、または特に、遠位端領域の第2の管腔214を通って延びる医療機器の向きによって規定され得る。
【0072】
角度220は、固定または偏向可能(例えば、弾性)として説明することができる。角度220が偏向可能である場合、任意の好適な機構を使用して、角度を制御、規定、または変更することができる。例えば、いくつかの実施形態では、プルワイヤを使用して、偏向可能な角度220を規定し得る。一般に、送達カテーテル200は、機器を患者の心臓に送達するために任意の好適な可撓性または半可撓性の材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、角度220は、送達カテーテル200の一部またはすべてを形成するために使用される材料が、送達中に標的植込み領域4から離れて偏向するのを防ぐために十分に堅いとき、固定角度として規定され得る。第2の遠位端領域208または第2の部分204の湾曲領域222は、近位領域210などの第2の部分の残りの部分、または第1の部分202と同じまたは異なる材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の遠位端領域208または湾曲領域222は、近位領域210または第1の部分202よりも硬い材料(例えば、より高いショアジュロメータ硬さを有する)で形成されてもよい。例えば、第2の遠位端領域208または湾曲領域222は、約55Dの材料で形成され得、近位領域210または第1の部分202は、約35Dまたは40Dの材料で形成され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、第2の部分204は、形状保持を容易にするために第2の管腔214を規定するための編組構造を含み得る。他の実施形態では、第2の部分204は、形状保持を容易にするために第1の部分202よりも厚い壁の厚さを使用することができる。
【0074】
任意の好適な技法を使用して、送達カテーテル200を形成することができる。いくつかの実施形態では、送達カテーテル200は、単一の押し出し加工でできていてもよい。他の実施形態では、送達カテーテル200は、三次元(3D)機械印刷を使用して作製されてもよい。エラストマーなどの任意の好適な材料を使用して、送達カテーテル200を形成することができる。送達カテーテル200を形成するために使用することができる材料の非限定的な例には、1つ以上のポリエーテルブロックアミド(PEBAXなど)、ポリウレタン、またはナイロンが挙げられる。
【0075】
第2の部分204の角度の付いたまたは湾曲した領域は、送達カテーテル200を患者の心臓に案内しながら真っ直ぐにすることができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤを介して追跡する拡張器を、第2の管腔214内に、湾曲領域222内に、および第2の遠位端領域208に挿入して、第2の部分204を真っ直ぐにすることができる。第2の遠位端領域208が患者の心臓に到達すると、拡張器およびガイドワイヤを引っ込めて取り除いて、第2の部分204が形を取り、第1の部分202と角度220を形成できるようにすることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の遠位端領域206は、CS内に延びることができる(例えば、単に細長い要素102をCS内に案内するのとは対照的に)。図示の実施形態では、第1の部分202は、第1の軸216に沿って第1の遠位端領域206が第2の遠位端領域208よりも遠位であるように、第2の部分204よりも遠位に延び、これは、CS内の挿入および固定を容易にし得る。第1の部分202は、CS内の挿入および固定を容易にするために、第2の部分204を超えて任意の好適な量延びることができる。例えば、第1の部分202は、第2の部分204を超えて少なくとも1インチ延びてもよく、または最大で2インチ延びてもよい。
【0077】
他の実施形態では、第1の遠位端領域206は、CSに向かって延びることができるが、CS内に延びることはできない。一実施形態では、第1の遠位端領域206は、第2の遠位端領域208または湾曲領域222よりも遠位に延びることはできない。
【0078】
送達カテーテル200は、受動的または能動的機器であり得る。図示の実施形態では、送達カテーテル200は、1つ以上の電極224を含む能動的機器として説明され得る。電極224は、第2の部分204の第2の遠位端領域208に結合され得、機器を標的植込み領域4に植込む前に心房活性化をマッピングするために使用され得る。1つ以上の電極224は、近位領域210を通って延びる導体(図示せず)を使用して、送達カテーテル200の近位端に電気的に結合され得る。図示の実施形態では、4つの電極224が、第2の管腔214の端部にある開口部226の周りの第2の部分204の遠位面に沿って配置されている。電極224は、機器が第2の管腔214から開口部226を通って植え込まれる前に、心房活性化をマッピングするために、RAのKoch領域の三角形に対して配置され得る。
【0079】
第1の管腔212および第2の管腔214は、様々なタイプの機器を収容するために同じまたは異なるサイズであり得る。図5Cに示されるように、第1の管腔212は、第1の幅232を規定し得、第2の管腔214は、第2の幅234を規定し得る。いくつかの実施形態では、第1の幅232および第2の幅234の一方または両方は、それぞれ、第1の直径および第2の直径として説明され得る。図5Cに図示されるように、いくつかの実施形態では、第2の幅234は、第1の幅232よりも大きくてもよい。例えば、第1の幅232は、ガイドワイヤを収容するようにサイズ設定され得(例えば、0.038インチのガイドワイヤを収容するための内径)、第2の幅234は、ペーシングリードを収容するようにサイズ設定され得る(例えば、7フレンチリードを収容するための内径)。他の実施形態では、第1の幅232および第2の幅234は、例えば、カテーテルおよび同様のサイズのリードをそれぞれの管腔に挿入するように構成された場合、同じまたは同様であり得る(例えば、図6を参照)。
【0080】
図6は、インターロッキングアセンブリを含む送達カテーテル100(図1)の実装の別の例の断面図を示す。送達カテーテル300は、送達カテーテル300が、第1の部分302で規定された外部チャネル342と、チャネル内に受け入れられるように構成された第2の部分304から横方向に延びる突起344とを含むインターロッキングアセンブリを含み得ることを除いて、多くの点で送達カテーテル200(図5A図5C)に類似し得る。チャネル342は、第1の部分302の長さに沿って第2の部分304をスライド可能に案内することができる。インターロッキングアセンブリは、第1の部分302および第2の部分304が互いに対して平行移動可能であることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、第1の部分302は、第2の部分304とは独立して挿入され得る。他の実施形態では、チャネル342は、第2の部分304で規定され得、突起344は、第1の部分302から横方向に延びることができる。
【0081】
送達カテーテルに関して本明細書で使用される場合、「横方向」という用語は、第1の部分302によって規定される第1の軸または第2の部分304によって規定される第2の軸のような、長手方向軸から離れる方向を指し得る。いくつかの実施形態では、横方向は、長手方向軸に直交する方向であり得る。
【0082】
チャネル342および相補的突起344は、案内を容易にするために、それぞれ、任意の好適な深さおよび相補的高さを有し得る。いくつかの実施形態では、深さまたは高さは、少なくとも約0.5、1、1.5、または2mmでさえあり得る。いくつかの実施形態では、深さまたは高さは、最大で約3、2.5、2、1.5、または1mmでさえあり得る。例えば、深さまたは高さは、約1mmから約2mmの範囲であり得る。
【0083】
チャネル342は、第1の部分302に沿って任意の好適な長さに延びることができる。いくつかの実施形態では、チャネル342は、第1の部分302の全長に沿って延びる。いくつかの実施形態では、チャネル342は、第1の部分302の遠位端の手前で停止する遠位端を含み得る。
【0084】
突起344は、第2の部分304に沿って任意の好適な長さに延びることができる。いくつかの実施形態では、突起344は、第2の部分304の細長い本体上の1つ以上の別個の位置に配置される。例えば、各突起344は、第2の部分304の長さに沿って最大で約1、2、3、またはさらには4センチメートル(cm)でさえある長さを有し得る。一実施形態では、突起344は、1つの別個の位置にのみ配置される。他の実施形態では、突起344は、第2の部分304のより長い長さに沿って延びる。例えば、突起344は、第2の部分304の全長まで、少なくとも約1、2、3、またはさらには4cmの長さを有し得る。突起344は、連続的または離散的に延びることができる。
【0085】
突起344は、第2の部分304に沿った任意の好適な位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、個別の突起344が、遠位端領域、湾曲領域、近位領域、非湾曲領域、またはこれらの領域のいずれかの間に配置される場合がある。
【0086】
図7は、本開示の送達カテーテルを使用する方法400の一例を示すフロー図である。方法400は、送達カテーテルまたはデュアル管腔カテーテルの第1の遠位端領域をCSに向かって前進させることを含み得る、402。いくつかの実施形態では、第1の遠位端領域をCS内に挿入し得る。方法400はまた、送達カテーテルの第2の遠位端領域をKoch領域の三角形に向けることを含み得る、404。送達カテーテルを向けることは、例えば、第1の遠位端領域がCSに向かって完全に前進したときに、第2の部分の端部がLV頂点に向けられるまで、第2の部分を第1の部分の周りで回転させるためにトルクをかけることを伴い得る。送達カテーテルに関して本明細書で使用される場合、「トルクをかける」という用語は、回転力またはトルクを送達カテーテルに加えることを指す。方法400はまた、送達カテーテルを通ってKoch領域の三角形内に医療機器を植込むことを含み得る、406。いくつかの実施形態では、植込み型医療機器は、第2の遠位端領域を通って延びる送達カテーテルの第2の管腔を通って前進することができる。植込み型医療機器は、Kochの三角形内の植込み部位、または標的植込み領域に固定することができる。
【0087】
一般に、送達カテーテルは、送達カテーテルの第1の遠位端領域を通って延びる第1の管腔を使用して、ガイドワイヤまたは別のカテーテルなどの細長い要素を介してCSに向かって前進され得る。
【0088】
図8は、細長い要素のためのガイドワイヤと、第1の管腔および第2の管腔を有する一体的に形成された送達カテーテルとを使用する方法410の一例を示すフロー図である。方法410は、カニューレ挿入カテーテルをCS内に前進させることを含み得る、412。特に、カニューレ挿入カテーテルは、ガイドワイヤを介して鎖骨下静脈内に挿入され、上大静脈(SVC)を横断してRAに入り、次いで、CSにカニューレ挿入するために使用され得る。ガイドワイヤは、カニューレ挿入カテーテルを通ってCS内に前進され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、CSに固定され得る。例えば、ガイドワイヤは、約1、2、3、4、5、または6cmさえも超えてCS内に、さらには大心臓静脈(GCV)内にさえも前進して、ガイドワイヤをCS内に固定することができる。方法410は、カニューレ挿入カテーテルを取り除き、ガイドワイヤを所定位置に残すことを含むことができる、414。
【0090】
方法410はまた、送達カテーテルの第1の管腔を使用して、CSに向けてガイドワイヤを介して送達カテーテルまたはデュアル管腔カテーテルを前進させることを含み得る、416。送達カテーテルは、送達カテーテルがそれ以上の前進を妨げるまで、ガイドワイヤに沿って追跡され得る。例えば、第2の管腔を形成する部分は、CS口によってさらなる前進を妨げられる可能性がある。
【0091】
方法410は、送達カテーテルの第2の管腔を、患者の心臓のKoch領域の三角形に向けることを含み得る、418。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、固定または偏向可能な曲線を有し得る第2の管腔を規定する送達カテーテルの第2の部分が、Koch領域の三角形内の標的植込み位置の組織と接触するように、トルクをかけられる。
【0092】
方法410はまた、第2の管腔を通ってKoch領域の三角形内に機器を植込むことを含み得る、420。第2の管腔は、機器を植込み位置からLV頂点に向けることができ、これは、VfA心臓治療のための機器を植込むことを容易にし得る。所定位置に配置されると、機器は植込み位置に固定され得る。方法410は、送達カテーテルを取り除くことを含み得る、422。例えば、送達カテーテルは、スリットを入れて引っ込めることができる。
【0093】
図9は、細長い要素のための治療カテーテル(例えば、EPカテーテル)と、第1の管腔および第2の管腔を規定する一体的に形成された送達カテーテルとを使用する方法430の別の例を示すフロー図である。方法430は、治療カテーテルをCS内に前進させることを含み得る、432。特に、治療カテーテルは、ガイドワイヤを介して鎖骨下静脈に挿入され、SVCを横断してRAに入り、次いで、CSにカニューレを挿入するために使用され得る。治療カテーテルは、CSに固定され得る。例えば、治療カテーテルは、数センチメートルを超えてCS内に、さらには大心臓静脈(GCV)内にさえも前進して、治療カテーテルをCS内に固定することができる。ガイドワイヤはまた、同様の様態で治療カテーテルを通ってCS内に前進され得る。
【0094】
方法430はまた、送達カテーテルの第1の管腔を使用して、治療カテーテルを介してCSに向かって送達カテーテルまたはデュアル管腔カテーテルを前進させることを含み得る、416。送達カテーテルは、送達カテーテルがそれ以上の前進を妨げるまで、治療カテーテルに沿って追跡され得る。例えば、第2の管腔を形成する部分は、CS口によってさらなる前進を妨げられる可能性がある。
【0095】
方法430は、送達カテーテルの第2の管腔を、患者の心臓のKoch領域の三角形に向けることを含み得る、436。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、固定または偏向可能な曲線を有し得る第2の管腔を規定する送達カテーテルの第2の部分が、Koch領域の三角形内の標的植込み位置の組織と接触するようにトルクをかけられる。
【0096】
方法430はまた、第2の管腔を通ってKoch領域の三角形内に機器を植え込むことを含み得る、438。第2の管腔は、機器を植込み位置からLV頂点に向けることができ、これは、VfA心臓治療のための機器を植込むことを容易にし得る。所定位置に配置されると、機器は植込み位置に固定され得る。方法430は、送達カテーテルを取り除くことを含み得る、440。例えば、送達カテーテルは、スリットを入れて引っ込めることができる。治療カテーテルは、残っているか、取り除かれ得る。ガイドワイヤはまた、例えば、送達カテーテルが取り除かれるときに取り除かれてもよい。
【0097】
図10は、細長い要素のためのガイドワイヤと、平行移動可能な第1および第2の部分を備えた分離可能に形成された送達カテーテルとを使用する方法450の別の例を示すフロー図である。方法450は、ガイドワイヤを介して送達カテーテルの第1の部分を前進させることを含み得る、452。特に、第1の管腔を規定する第1の部分は、ガイドワイヤを介して鎖骨下静脈に挿入され、SVCを横断してRAに入り、次いで、CSにカニューレを挿入するために使用され得る。ガイドワイヤは、第1の管腔を通ってCS内に前進され得る。
【0098】
方法450は、チャネルおよび相補的突起などのインターロッキングアセンブリを使用して、第1および第2の部分を平行移動可能に結合することを含み得る、454。特に、第2の部分の突起は、第1の部分のチャネル内に挿入され得る。
【0099】
方法450は、第1の部分を介してCSに向かって第2の管腔を規定する第2の部分を前進させることを含み得る、456。第2の部分の突起は、第2の部分がそれ以上の前進を妨げるまで、第1の部分のチャネルに沿って追跡され得る。例えば、第2の管腔を形成する第2の部分は、CS口によってさらなる前進を妨げられる可能性がある。
【0100】
方法450は、第2の部分の第2の管腔を、患者の心臓のKoch領域の三角形に向けることを含み得る、458。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、固定または偏向可能な曲線を有し得る送達カテーテルの第2の部分が、Koch領域の三角形内の標的植込み位置の組織と接触するようにトルクをかけられる。
【0101】
方法450はまた、第2の管腔を通ってKoch領域の三角形内に機器を植込むことを含み得る、460。第2の管腔は、機器を植込み位置からLV頂点に向けることができ、これは、VfA心臓治療のための機器を植込むことを容易にし得る。所定位置に配置されると、機器は植込み位置に固定され得る。方法450は、送達カテーテルを取り除くことを含み得る、462。例えば、送達カテーテルは、スリットを入れて引っ込めることができる。
【0102】
例示的な実施形態
本開示は、限定はされないが、開示の様々な態様の理解は、以下に提供される特定の例示的な実施形態の考察を通じて得られるであろう。例示的な実施形態の様々な修正、ならびに本開示の追加の実施形態が、本明細書で明らかになるであろう。
【0103】
例示的な実施形態A1では、植込み型医療機器送達システムは、患者の心臓の冠状静脈洞(CS)内に固定可能な細長い要素を含む。本システムはまた、第1の管腔を規定する第1の部分と第2の管腔を規定する第2の部分とを有する細長い本体を備えた送達カテーテルを含む。第1の部分の第1の遠位端領域の第1の管腔は、第1の軸に沿って延び、第2の部分の第2の遠位端領域の第2の管腔は、第1の軸と角度を形成する第2の軸に沿って延びる。第2の軸は、固定可能な細長い要素が第1の管腔を通ってCS内に前進するとき、患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す。
【0104】
例示的な実施形態A2では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、細長い要素が第1の管腔を通ってCS内に前進し、第2の軸がLV頂点を指すとき、第2の管腔を通って前進する植込み型医療機器が患者の心臓のKoch領域の三角形内の植込み部位に向けられるように構成された送達カテーテルをさらに含む。
【0105】
例示的な実施形態A3では、例示的な実施形態A2のシステムは、植込み型医療機器をさらに含む。植込み型医療機器は、患者の心臓の右心房(RA)またはLVに心臓治療を提供するか、または電気的活動を検知するための少なくとも1つの電極を含む。
【0106】
例示的な実施形態A4では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、リード付き植込み型医療機器である植込み型医療機器をさらに含む。
【0107】
例示的な実施形態A5では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、固定角度である角度をさらに含む。
【0108】
例示的な実施形態A6では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、ガイドワイヤまたはカテーテルである細長い要素をさらに含む。
【0109】
例示的な実施形態A7では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、固定可能なバルーンおよび固定可能な側らせんの一方または両方を有する細長い要素をさらに含む。
【0110】
例示的な実施形態A8では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、1つ以上の電極を有する細長い要素をさらに含む。
【0111】
例示的な実施形態A9では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、心房活性化をマッピングするために、第2の部分の第2の遠位端領域に結合された1つ以上の電極をさらに含む。
【0112】
例示的な実施形態A10において、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、細長い本体の近位領域および細長い要素の一方または両方よりも柔軟である第2の遠位端領域をさらに含む。
【0113】
例示的な実施形態A11では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、第1の軸に関連して第1の遠位端領域に対して遠位である第2の遠位端領域をさらに含む。
【0114】
例示的な実施形態A12では、任意のAの例示的な実施形態のシステムは、最大で90度である角度をさらに含む。
【0115】
例示的な実施形態B1では、送達カテーテルは、第1の管腔および外部チャネルを規定する細長い本体を有する、患者の心臓の冠状静脈洞(CS)内に前進可能な第1の部分を含む。第1の部分がCS内に前進されるとき、患者の心臓のCS口に隣接する第1の部分の領域が第1の軸に沿って延びる。機器は、第2の管腔を規定する細長い本体を有し、第1の部分の長さに沿って第2の部分をスライド可能に案内するために第1の部分の外部チャネル内に受け入れられるように構成された横方向に延びる突起を有する第2の部分を含む。第2の部分の遠位端領域は、突起が第1の軸と固定角度を形成してチャネルに係合するときに第2の軸に沿って延び、その結果、第1の部分がCS内に前進されるときに第2の軸が患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す。
【0116】
例示的な実施形態B2では、任意のBの例示的な実施形態のシステムは、第1の部分がCS内に前進し、第2の軸がLV頂点を指すとき、患者の心臓のコッホ領域の三角形内の植込み部位に向けられている第2の管腔を通って前進する植込み型医療機器をさらに含む。
【0117】
例示的な実施形態B3では、例示的な実施形態B2のシステムは、植込み型医療機器をさらに含む。植込み型医療機器は、患者の心臓の右心房(RA)またはLVに心臓治療を提供するか、または電気的活動を検知するための少なくとも1つの電極を含む。
【0118】
例示的な実施形態B4では、任意のBの例示的な実施形態のシステムは、第2の部分の細長い本体上の別個の位置に配置されている突起をさらに含む。
【0119】
例示的な実施形態B5では、任意のBの例示的な実施形態のシステムは、心房活性化をマッピングするために、第2の部分の遠位端領域に結合されている1つ以上の電極をさらに含む。
【0120】
例示的な実施形態C1では、植込み型医療機器を送達する方法は、デュアル管腔カテーテルの第1の部分の第1の遠位端領域を患者の心臓の冠状静脈洞(CS)に向かって前進させることを含む。第1の部分は、第1の管腔を規定し、第1の遠位端領域は、第1の軸に沿って延びる。本方法は、デュアル管腔カテーテルの第2の部分の第2の遠位端領域を、患者の心臓のKoch領域の三角形に向けることを含む。第2の部分は、第2の管腔を規定し、第2の遠位端領域は、第1の軸と角度を形成する第2の軸に沿って延び、その結果、第1の遠位端領域がCSに向かって完全に前進したときに、第2の軸が患者の心臓の左心室(LV)頂点を指す。
【0121】
例示的な実施形態C2では、任意のCの例示的な実施形態の方法は、第2の軸をLV頂点に向けるためにデュアル管腔カテーテルを回転させることと、デュアル管腔カテーテルの第2の管腔を通って植込み型医療機器を前進させることと、植込み型医療機器を、患者の心臓のKoch領域の三角形内の植込み部位に固定することと、さらに含む。
【0122】
例示的な実施形態C3では、任意のCの例示的な実施形態の方法は、細長い要素を患者の心臓の冠状静脈洞(CS)内に前進させることをさらに含む。細長い要素がCS内に前進されるとき、CS口に隣接する細長い要素の一部が第1の軸に沿って延びる。本方法は、第1の管腔を使用して細長い要素を介してデュアル管腔カテーテルを前進させて、第1の遠位端領域をCSに向けて案内することを含む。
【0123】
例示的な実施形態C4において、例示的な実施形態C3の方法は、ガイドワイヤを有する細長い要素をさらに含み、本方法は、カニューレ挿入カテーテルを患者の心臓のCS内に前進させることと、ガイドワイヤをカニューレ挿入カテーテルを通ってCS内に前進させることと、カニューレ挿入カテーテル取り除くことと、をさらに含む。
【0124】
例示的な実施形態C5では、任意のCの例示的な実施形態の方法は、外部チャネルを規定する第1の部分と、外部チャネル内に受け入れられるように構成された横方向に延びる突起を有する第2の部分とをさらに含む。本方法は、外部チャネルと係合する突起を使用して第1の部分によって案内される第2の部分を前進させることと、第2の軸がLV頂点を指すように第2の部分を向けることと、植込み型医療機器をデュアル管腔カテーテルの第2の管腔を通って前進させることと、植込み型医療機器を、患者の心臓のKoch領域の三角形内の植込み部位に固定することと、含む。
【0125】
このように、VFA心臓治療のための送達システムの様々な実施形態が開示されている。本開示の技法は、CSを物理的基準として使用して、標的植込み領域に、特にLVにペーシングを送達するためにKoch領域の三角形内に植込むために適切な位置および向きで植込み型医療機器を安定化させる、送達カテーテルを提供する。
【0126】
本明細書で開示される様々な態様は、説明および添付の図面に具体的に提示される組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わせることができることを理解されたい。本明細書に記載のプロセスまたは方法のいずれかの特定の行為または事象は、実施例に応じて異なる順序で行われてもよく、追加、併合、または完全に省略されてもよい(例えば、すべての記載された行為または事象は、本技法を実行するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。さらに、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュールまたはユニットによって行われるものとして説明されているが、本開示の技法は、例えば、医療デバイスに関連するユニットまたはモジュールの組み合わせによって行われ得ることを理解されたい。
【0127】
1つ以上の実施例では、説明される技法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されることができる。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されることができる。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることができ、かつコンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0128】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行されることができる。したがって、本明細書に使用される「プロセッサ」という用語は、上記の構造のいずれか、または説明された技法の実装に好適な任意の他の物理的構造を指すことができる。また、技法は、1つ以上の回路または論理要素で完全に実装されてもよい。
【0129】
本開示に直接矛盾するあらゆる態様を除いて、参考文献および刊行物は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に引用される。
【0130】
本明細書において使用されるすべての科学的および技術的用語は、別段の定めがないかぎり、当技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書において提供される定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。
【0131】
別段の定めがないかぎり、明細書および特許請求の範囲において使用された特徴のサイズ、量、および物理的特性を表すすべての数値は、「正確に」または「約」という用語のいずれかによって修正されると理解されてもよい。したがって、逆の定めがないかぎり、前述の明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本明細書に開示された教示を利用して当業者によって得られることが求められる所望の特性に応じて、または実験誤差の典型的な範囲内で変化することができる近似である。
【0132】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に含まれるすべての数値(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5)およびその範囲内の任意の範囲を含む。本明細書において、用語「最大(at most)」または「以下(no greater than)」の数(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含み、用語「少なくとも(at least)」または「以上(no less than)」の数(例えば、5以上)は、その数(例えば、5)を含む。
【0133】
「近位」、「遠位」、「側方」、および「端部」などの、向きに関連した用語は、構成要素の相対位置を説明するために使用され、企図された実施形態の向きを制限することを意味するものではない。
【0134】
「結合された」または「接続された」という用語は、直接に(互いに直接接触して)または間接的に(2つの要素の間にそれらの2つの要素を取り付ける1つ以上の要素を有して)互いに取り付けられた要素をいう。いずれの用語も、「動作的に」かつ「動作可能に」よって修正されてもよく、これらは、その結合または接続が、機能性を達成するために構成要素が相互作用することを可能にするように構成されていることを説明するために互換的に使用されてもよい。
【0135】
本明細書で使用される場合、「構成されている」という用語は、本開示の内容が明確に別段の指示しない限り、「適合されている」または「構造化されている」という用語と互換的に使用されてもよい。
【0136】
単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0137】
「または」という用語は、一般に、その包括的な意味で使用され、例えば、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を意味する。
【0138】
「および/または」という用語は、列挙された要素の1つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの少なくとも2つの組み合わせを意味する。
【0139】
後続のリスト「の少なくとも1つ」、「の少なくとも1つを含む」、および「の1つ以上」という表現は、リスト内の項目のいずれか1つ、およびリスト内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを意味する。
【0140】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、それらの制限のない意味で使用されており、一般的に、「含むが、これらに限定されない」を意味する。「から基本的になる」、「からなる」などは、「含む」などに含まれることが理解されよう。
【0141】
「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、または「いくつかの実施形態」などへの言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構成、組成物、または特性が、開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、全体を通して様々な場所でのそのような表現の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構成、組成物、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
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図9
図10
【国際調査報告】