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  • 特表-家具製品の電力管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】家具製品の電力管理システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/75 20150101AFI20220608BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220608BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20220608BHJP
   E05F 15/632 20150101ALI20220608BHJP
【FI】
E05F15/75
H02J7/00 303A
H02K7/18 A
E05F15/632
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558499
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 IB2020052843
(87)【国際公開番号】W WO2020194221
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】102019000004545
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516265621
【氏名又は名称】ボルトルッツィ システミ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】イレラ,アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ジロット,アドリアーノ
【テーマコード(参考)】
2E052
5G503
5H607
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052BA01
2E052CA06
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA08
2E052GD07
2E052JA03
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5H607BB02
5H607BB09
5H607CC05
5H607FF21
(57)【要約】
【課題】省エネかつ主要電圧から独立した、電気を動力源とし、より柔軟な機能を有する家具製品のシステムを実現するため、電力管理方法を提案する。
【解決方法】該電力管理方法は、(i)使用者によって移動可能な家具製品の構成要素構成要素(C;30)の変位から電気エネルギーを生成する工程と、(ii)生成された電気エネルギーを、好ましくは、家具製品に搭載された蓄電装置(B)に蓄電する工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力管理方法であって、
(i)使用者によって移動可能な家具製品の構成要素構成要素(C;30)の変位から電気エネルギーを生成する工程と、
(ii)生成された電気エネルギーを、好ましくは、家具製品に搭載された蓄電装置(B)に蓄電する工程と、を含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記構成要素の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで、前記電気エネルギーを得る、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構成要素の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されることで、同時に、稼動中の前記構成要素の動きを制動する、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用者によって、前記構成要素を動かすために付与された機械的作用を変換することで、前記電気エネルギーを得る、ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記構成要素を移動させるため、特に、前記構成要素に接続された回転電動モータまたは電動直線アクチュエータに付与するため、蓄電された前記電気エネルギーを使用する、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
蓄電された前記電気エネルギーによって動力が供給される電動アクチュエータまたはモータの動的挙動は、前記構成要素が所定の進路をとるよう、プログラムされている、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
使用者によって移動可能な構成要素(C)と、
前記構成要素の変位から電気エネルギーを生成する手段、または発電機(M)と、
前記家具製品に搭載された、変換された電気エネルギーを蓄電する蓄電装置(B)と、を備える、ことを特徴とする家具製品。
【請求項8】
前記構成要素の運動エネルギーを前記電気エネルギーに変換する手段、または電力変換器(CONV)をさらに備える
ことを特徴とする、請求項7に記載の家具製品。
【請求項9】
使用者によって、前記構成要素に付与された機械的作用を前記電気エネルギーに変換する手段、または電力変換器をさらに備える、ことを特徴とする、請求項7または8に記載の家具製品。
【請求項10】
使用者のかわりに前記構成要素の移動・制動を行うため、前記構成要素に接続され、蓄電装置から動力を得る回転電動モータまたは電動直線アクチュエータ等の電気部品をさらに備える、ことを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の家具製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具製品(例えば、家庭のインテリア)の電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、家具業界において、例えば、空圧ダンパや油圧ダンパ、戻しばねといった緩衝部材や戻し部材が設けられた、ドア用スライドシステムが知られている。規格化の観点から、これらの部材の大きさは、市場において一般的なドアの重さや寸法に基づいて、算出され、決定されるため、あらゆる状況下において、適正な動作を確実とするものではない。また、機械式ダンパおよび戻し部材の動的反応を後工程で調整することは困難であるため、設計段階から、それぞれの場合に合わせたセッティングが必要とされ、カスタマイズの自由度がほぼないという欠点もある。
【0003】
したがって、機能上、より柔軟性が増せば、より好ましいものとなることは自明である。
【0004】
上述のシステムのなかには、電池からではなく、本線から電力を引いて、電気モータを利用するものがある。電気エネルギーの消費量は、軽視できるものではなく、例えば、本線の供給電圧等が国によって異なるなど、統一規格が存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、先行技術のこうした状況を改善することにある。
【0006】
本発明のさらなる目的は、省エネかつ主要電圧から独立した、電気を動力源とし、より柔軟な機能を有する家具製品のシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、電力管理方法であって、(i)使用者によって移動可能な家具製品の構成要素構成要素の変位から電気エネルギーを生成する工程と、(ii)生成された電気エネルギーを、好ましくは、家具製品に搭載された蓄電装置に蓄電する工程と、を含むことを特徴とする方法が提案される。
【0008】
これにより、一般の電力供給本線を必要とすることなく、また、そうしたものとの互換性を考慮することなく、家具製品で消費する電気エネルギーを、同製品内で生成することができる。
【0009】
該方法の、好ましい変形例において、構成要素の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで、電気エネルギーを得る。構成要素の自由運動時、構成要素は、例えば、発電機として使用される電気モータやダイナモによって、電気エネルギーに変換可能な運動エネルギーを有する。
【0010】
特に、構成要素の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されることで、同時に、稼動中の構成要素の動きを制動することができる。
【0011】
該方法の、好ましい変形例において、使用者によって、構成要素を動かすために付与された機械的作用を変換することで、電気エネルギーを得る。構成要素が手動で動かされる場合、使用者による構成要素への機械的作用を利用して、例えば、発電機として使用される電気モータやダイナモによって、電気エネルギーを生成することができる。
【0012】
該方法の、好ましい変形例において、構成要素を移動させるため、特に、構成要素に接続された回転電動モータまたは直線アクチュエータに付与するため、蓄電された電気エネルギーを使用する。これにより、一般の電力供給本線から電力的に自立して、構成要素を動かすことが出来るという利点が得られる。
【0013】
該方法の、好ましい変形例において、蓄電された電気エネルギーを使用して、構成要素を制動する。特に、構成要素に接続された電動ブレーキに電力を供給する。これにより、従来技術のような機械式システムを使用することなく、電動(例えば、直線)アクチュエータや回転電動モータを介して、構成要素を制動、ダンピングできるという利点が得られる。さらに、アクチュエータまたは電気モータの動的挙動は、よりプログラミングされやすく、機械式システムの構造的制約を受けることが確実になくなる。
【0014】
該方法の、より好ましい変形例において、蓄電された電気エネルギーから電力を供給された、アクチュエータまたは電気モータの動的挙動は、構成要素が所定の進路をとるよう、プログラムされている。例えば、プログラムされた、あるいは、プログラム可能な動的参照(例えば、速度および/または加速度)に応じて、構成要素を移動・制動するのに、蓄電された電気エネルギーを利用することができる。特に、動的参照には、速度および/または加速度ランプ、および/または、起動タイミングが含まれる。
【0015】
該方法の、好ましい変形例において、工程(i)および/または工程(ii)の開始および/または終了を、移動中の構成要素の位置によって決定してもよい。あるいは、構成要素の電動制動や起動/変位における、前述の工程の開始および/または終了を、移動中の構成要素の位置によって決定してもよい。これにより、移動中に、構成要素の動的挙動をプログラムすることができる。
【0016】
該方法の、好ましい変形例において、蓄電された電気エネルギーは、構成要素および/または家具製品の光源、および/または、家具製品に搭載された電動構成要素や電気負荷に供給されるよう、利用される。
【0017】
したがって、さらなる構成要素に対しても、省エネによる利点が発揮される。
【0018】
本発明の別の形態は、家具製品に関し、家具製品は、使用者によって移動可能な構成要素と、構成要素の変位から電気エネルギーを生成する手段、または発電機と、家具製品に搭載された、変換された電気エネルギーを蓄電する蓄電装置と、を備える。
【0019】
好ましい変形例において、家具製品は、構成要素の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する手段、または電力変換器を備える。
【0020】
好ましい変形例において、家具製品は、使用者によって、構成要素に付与された機械的作用を電気エネルギーに変換する手段、または電力変換器を備える。
【0021】
好ましい変形例において、家具製品は、例えば、構成要素を動かすため、構成要素に接続され、蓄電装置から動力を得る、回転電動モータ(例えば、ブラシレスモータ)や電動直線アクチュエータ等の、使用者のかわりとなる電気部品を備える。
【0022】
好ましい変形例において、家具製品は、構成要素に接続され、蓄電装置から電力を供給される電動ブレーキ等の、使用者のかわりとなる電気部品を備える。これにより、構成要素を制動できる。
【0023】
好ましい変形例において、家具製品は、電気エネルギーの蓄電装置への蓄電、および/または、蓄電装置から、使用者のかわりとなる電気部品への電気エネルギーの流れを管理する、プログラム可能なプロセッサを備える。これにより、使用者のかわりとなる電気部品の動作を制御する。
【0024】
好ましい変形例において、プロセッサは、使用者のかわりとなる電気部品を制御するよう、プログラムされる。これにより、構成要素(例えば、速度および/または加速度)に対する動的参照が得られる。特に、動的参照は、使用者のかわりとなる電気部品の、速度および/または加速度ランプ、および/または、起動/停止タイミングを含む。
【0025】
好ましい変形例において、家具製品は、プログラム可能なプロセッサに接続する、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)といった無線通信インターフェイスを備える。プログラム可能なプロセッサは、インターフェイスから、構成要素エネルギーの変位に関するデータや設定コマンドを受信するよう、プログラムされている。
【0026】
好ましい変形例において、家具製品は、移動中の構成要素の位置を検知する位置センサを備えている。センサは、プログラム可能なプロセッサと接続されている。プログラム可能なプロセッサは、センサから位置データを受信し、位置データの機能として、構成要素の運動エネルギーを制御するよう、プログラムされている。
【0027】
例えば、位置センサは、例えば、電気モータやモータの一部に配置された相対エンコーダ(例えば、ホール効果センサ)である。あるいは、位置センサは、マイクロプロセッサをプログラミングすることによって実現される、こうすることにより、センサによって、モータの、一つあるいはそれ以上の位相によって吸収された電流を検知し、得られたデータから、移動中の構成要素の位置を算出する。
【0028】
家具製品の構成要素は、特に限定されず、水平に移動が可能な、および/または、持ち上げることのできる扉体、取り外し可能な引き出しや棚であってもよい。
【0029】
添付の図面を参照し、好ましい実施形態の説明から本発明の利点を明らかにする。添付の図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、家具製品に取り付けられた電動システムのブロック図を示す。
図2図2は、家具製品のモータ式摺動滑走部の立体図を示す。 図中、同じ構成要素、または概念的に類似する構成要素に対し、同じ参照符号を付し、実際の使用時における要素を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、扉体等の一般的な変位可能の構成要素Cを備える、家具製品(図示せず)に設置された電力管理システムMCを、模式的に示す。
【0032】
変位可能な構成要素Cは、エネルギー変換器CONVおよび電気駆動部材Mに接続されている。エネルギー変換器CONVは、構成要素Cの変位を電気エネルギーに変換するよう機能し、電気エネルギーは、その後、蓄電装置Bに蓄電され、駆動部材Mが構成要素Cを動かすよう機能する。
【0033】
矢印は、電力の向き、または信号の向きを示す。
【0034】
マイクロプロセッサUは、エネルギー変換器CONVを制御し、蓄電装置BからモータMへの電力供給フローを制御する電力ステージPW(例えば、インバータ)に接続される。
【0035】
好ましくは、マイクロプロセッサUは、移動中の構成要素Cの位置を検知するセンサSと接続される。これにより、マイクロプロセッサUは、エネルギー変換器CONVを制御して電気エネルギーを蓄電装置Bに送電するべきか、またそれをどのように実行するべきかを容易に判断することができる。
【0036】
したがって、システムの一般的な操作方法は以下のようになる。
【0037】
構成要素Cを手動で変位させる場合、マイクロプロセッサUが介入し、エネルギー変換器CONVを駆動して、こうした変位から電気エネルギーを生成し、生成されたエネルギーを蓄電装置Bに蓄電する。
【0038】
その後、蓄電されたエネルギーは、例えば、構成要素Cを動かすために使われ、この目的において、マイクロプロセッサUは、電力ステージPWを制御して、駆動部材Mを駆動する。
【0039】
好ましくは マイクロプロセッサUは、無線通信ステージWに接続されることで、これを介し、例えば、タイミングや構成要素Cの動的プロファイルといった、システムに対する外部セットアップデータを受信することができる。
【0040】
図2は、システムMCの応用例を示す。
【0041】
家具扉32の滑走部を、符号30で示す。
【0042】
図1の構成要素Cに相当する滑走部30は、レール上を摺動可能となっており、これにより、家具製品のコンパートメントに対して、扉体32を水平方向に前後に(X軸に沿って)動かすことができるようになっている。
【0043】
滑走部30は、ブラケット34を備える。ブラケット34上では、回転板36が回転可能に旋回する。回転板36は、電池に接続された電動モータ、例えば、ブラシレスモータの一部である。
【0044】
滑走部30は、また、電気モータから電池へ、電池から電気モータへの電気の流れを制御する電動部をさらに備える。
【0045】
扉体32が押されると、回転板36がガイド上で回転し、電気エネルギーが生成される。その後、電動部が電気エネルギーを電池に蓄電する。
【0046】
続いて、電動部が、滑走部30のモータが備える電池に作用する。これにより、回転板36が扉体32を摺動させるスラスタとして機能する。
【0047】
また、電気モータが、アクチュエータや発電機として利用できる場合、エネルギー変換器CONVおよび電気駆動部材Mは、一体化されていてもよい。
図1
図2
【国際調査報告】