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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】中性子捕捉療法システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A61N5/10 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559125
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2020079653
(87)【国際公開番号】W WO2020211581
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】201910308039.2
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910308298.5
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910623203.9
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417207
【氏名又は名称】中硼(厦▲門▼)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Therapy System Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2060 Wengjiao West Road, Haicang District Xiamen, Fujian Provance, 361026 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲韋▼霖
(72)【発明者】
【氏名】江涛
(72)【発明者】
【氏名】▲やん▼▲発▼智
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC05
(57)【要約】
中性子捕捉療法システムは、ビーム整形体の材料自体の変形及び損傷を防止し、中性子源のフラックス及び品質を向上させることができる。本発明に係る中性子捕捉療法システム(100)は、加速器(11)及びターゲット(T)を含む中性子生成装置(10)と、ビーム整形体(20)とを含み、加速器(11)が加速して生成した荷電粒子線(P)は、ターゲット(T)と作用して中性子を生成し、中性子が中性子ビーム(N)を形成し、中性子ビーム(N)が1本の主軸(X)を限定し、ビーム整形体(20)は、支持部(21)及び支持部(21)内に充填された本体部(23)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速器及びターゲットを含む中性子生成装置と、ビーム整形体とを含み、前記加速器が加速して生成した荷電粒子線が、前記ターゲットと作用して中性子を生成し、前記中性子が中性子ビームを形成し、前記中性子ビームが1本の主軸を限定する中性子捕捉療法システムであって、
前記ビーム整形体は、支持部及び前記支持部内に充填された本体部を含み、前記本体部は、減速体、反射体及び放射シールド体を含み、前記減速体は、前記ターゲットが生成した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は、前記減速体を囲み、かつ前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に導いて熱外中性子ビーム強度を向上させ、前記放射シールド体は、非照射領域の正常組織への線量を減らすために、しみ出る中性子及び光子を遮断することを特徴とする、中性子捕捉療法システム。
【請求項2】
前記支持部は、前記主軸を囲んで周方向に閉じた外壁を含み、前記外壁で囲まれて収容部が形成され、前記本体部は、前記収容部内に設置され、前記収容部は、少なくとも1つの収容ユニットを含み、各前記収容ユニットは、前記減速体、反射体及び放射シールド体のうちの少なくとも1つを収容することを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項3】
前記支持部は、前記中性子ビームの方向に沿ってそれぞれ前記外壁の両側に設置され、前記外壁に接続された第1、第2の側板と、前記中性子ビームの方向に沿って前記第1、第2の側板の間に設置された少なくとも1つの横板と、前記主軸を囲んで周方向に閉じ、前記第1、第2の側板の間、又は前記横板と第1の側板との間、又は前記横板と第2の側板との間、又は前記横板と横板との間に延在する少なくとも1つの内壁と、をさらに含み、前記第1の側板には、前記加速器の輸送管が貫通する孔が設置され、前記第2の側板には、ビーム出口を形成する孔が設置され、前記外壁、内壁、横板及び第1、第2の側板の間に複数の前記収容ユニットが形成され、前記放射シールド体は、中性子シールド体及び光子シールド体を含み、少なくとも1つの前記収容ユニットは、前記減速体及び反射体、又は前記中性子シールド体及び反射体を同時に収容することを特徴とする、請求項2に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項4】
前記中性子シールド体の材料はPEであり、前記反射体の材料は鉛であり、前記反射体は、光子シールド体としても機能し、前記収容ユニット内に同時に収容された反射体と中性子シールド体は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記収容ユニット内の反射体と中性子シールド体の境界面は、前記中性子ビームの方向に垂直であることを特徴とする、請求項3に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項5】
前記支持部は、前記収容ユニットを周方向に複数のサブ領域に分ける径方向仕切り板をさらに含み、前記径方向仕切り板は、前記第1の側板の間、又は前記横板と第2の側板の間、又は前記横板と第1/第2の側板の間、又は前記横板と横板の間に設置され、かつ前記外壁から前記内壁まで延在するか又は2つの前記内壁の間に延在することを特徴とする、請求項3に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項6】
前記減速体は、基本部分及び前記基本部分を囲む補完部分を含み、前記支持部は、前記主軸を囲む壁を含み、前記基本部分と補完部分は、材料が異なり、かつ前記壁によって仕切られることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項7】
請求項6に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体であって、
前記壁は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記中性子ビームの方向を囲んで周方向に閉じた第1の壁、第2の壁と、前記第1の壁と第2の壁を接続する横板とを含み、前記横板は、前記中性子ビームの方向に垂直に延在し、前記第1の壁は、前記加速器の輸送管を取り付けるためのものであり、前記第2の壁は、前記減速体の基本部分の収容キャビティを形成し、前記基本部分の材料は、DO、Al、AlF、MgF、CaF、LiF、LiCO又はAlのうちの少なくとも1種を含み、前記基本部分は、Li-6を含み、熱中性子吸収体としても機能することを特徴とする、中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【請求項8】
前記基本部分は、前記中性子ビームの方向に基本的に垂直な第1、第2の端面を含み、前記第1、第2の端面は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記第1の端面には、前記輸送管及びターゲットを収容する中心孔が設置され、前記第1の壁から前記主軸までの径方向距離は、前記第2の壁から前記主軸までの径方向距離より小さいことを特徴とする、請求項7に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【請求項9】
前記第2の端面に隣接してシールド板が設置され、前記シールド板は鉛板であり、前記シールド板の前記中性子ビームの方向の厚さは5cm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【請求項10】
請求項6に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体であって、
前記補完部分は、隣接する第1、第2の補完ユニットを含み、前記基本部分、第1、第2の補完ユニットの材料がいずれも異なり、前記基本部分は柱状であり、前記第1及び第2の補完ユニットは、全体として少なくとも1つの錐状を含む形状に設置されることを特徴とする、中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【請求項11】
前記第1の補完ユニットは、2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置され、前記第1の補完ユニットは、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置された第1の錐体部及び第2の錐体部を含み、前記第1の錐体部の外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に大きくなる傾向があり、前記第2の錐体部は、前記第1の錐体部の外輪郭の径方向寸法の最大箇所で前記第1の錐体部に接続され、前記第2の錐体部の外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向があり、前記第2の補完ユニットは、前記第2の錐体部の外輪郭の径方向寸法の最小箇所で前記第2の錐体部に隣接し、前記第2の補完ユニットの外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向があることを特徴とする、請求項10に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【請求項12】
前記第1、第2の補完ユニットの、前記主軸が位置する平面に沿う横断面輪郭は、不規則な四角形又は多角形であり、前記第1の補完ユニットは、前記第1の錐体部で前記反射体に接触する第1の側面を有し、前記第2の錐体部で前記反射体に接触する第2の側面と前記第2の補完ユニットに接触する第3の側面を有し、前記第1及び第2の錐体部で前記壁に接触する第4の側面を共通に有し、前記第2の補完ユニットは、前記第1の補完ユニットに接触する第5の側面と、前記反射体に接触する第6の側面と、前記壁に接触する第7の側面とを有し、前記第3の側面と第5の側面は隣接し、かつ前記第1、第2の補完ユニットの境界面として機能し、前記境界面は、前記中性子ビームの方向に垂直であることを特徴とする、請求項11に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【請求項13】
前記支持部は、支持フレームを含み、前記支持フレームは、ブランクを加熱装置により加熱した後に鍛造装置により柱体に鍛造加工し、前記柱体を粗加工し熱処理した後に機械加工装置により加工成形したものであることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項14】
請求項13に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体であって、
前記支持フレームは、少なくとも1つの収容ユニットを形成し、前記収容ユニットは、少なくとも一部の前記減速体を収容する第1の収容ユニットを含み、前記第1の収容ユニットは、径方向に前記支持フレームの中心に位置し、前記粗加工は、前記柱体の、前記第1の収容ユニットに対応する領域を穿孔することであることを特徴とする、中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【請求項15】
前記収容ユニットは、前記減速体、反射体及び放射シールド体のうちの少なくとも1つを収容する第2の収容ユニットを含み、前記支持フレームは、前記主軸を囲んで周方向に閉じた外壁及び少なくとも1つの内壁を含み、前記外壁と内壁又は内壁と内壁との間に前記第2の収容ユニットが形成され、前記粗加工は、前記柱体の、前記第2の収容ユニットに対応する領域に対する予備加工をさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の中性子捕捉療法システムに適用されるビーム整形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システムに関し、特に中性子捕捉療法システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビーム等の放射線療法は、すでにがん治療の主な手段の一つとなった。しかし、従来の光子又は電子療法は、放射線そのものの物理的条件の制限で腫瘍細胞を殺すとともに、ビーム経路上の数多くの正常組織に損傷を与える。また、腫瘍細胞により放射線に対する感受性の度合いが異なっており、従来の放射線療法では、放射線耐性の高い悪性腫瘍(例、多形神経膠芽腫(glioblastoma multiforme)、黒色腫(melanoma))に対する治療効果が良くない。
【0003】
腫瘍の周囲の正常組織の放射線損傷を軽減するすために、化学療法(chemotherapy)における標的療法が、放射線療法に用いられている。また、放射線耐性の高い腫瘍細胞に対し、現在では生物学的効果比(relative biological effectiveness、RBE)の高い放射線源が積極的に開発されている(例えば、陽子線治療、重粒子治療、中性子捕捉療法等)。このうち、中性子捕捉療法は、上記の2つの構想を結びつけたものである。例えば、ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素含有薬物が腫瘍細胞に特異的に集まり、高精度な中性子ビームの制御と合わせることで、従来の放射線と比べて、より良いがん治療オプションを提供する。
【0004】
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy,BNCT)はホウ素(10B)含有薬物が熱中性子に対し大きい捕獲断面積を持つ特性を利用し、10B(n,α)Li中性子捕捉と核分裂反応によりHeとLiという2種の重荷電粒子を生成する。図1図2は、それぞれホウ素中性子捕捉の反応概略図と10B(n,α)Li中性子捕捉の原子原子核反応式を示す。2種の重荷電粒子は平均エネルギーが2.33MeVであり、高い線エネルギー付与(Linear Energy Transfer,LET)と短い射程という特徴を持つ。α粒子の線エネルギー付与と射程はそれぞれ150keV/μm、8μmであり、Li重荷粒子の場合それぞれ175keV/μm、5μmである。2種の粒子の合計射程が細胞のサイズに近いので、生体への放射線損害を細胞レベルに抑えられる。それで、ホウ素含有薬物を選択的に腫瘍細胞に集め、適切な中性子源と合わせることで、正常組織に多くの損害を与えない状態で腫瘍細胞を部分的に殺せる。
【0005】
ホウ素中性子捕捉療法の効果は腫瘍細胞のある箇所でのホウ素含有薬物の濃度と熱中性子数によって決まるので、2次元放射線癌治療(binary cancer therapy)とも呼ばれる。このことから見れば、ホウ素含有薬物の開発の他に、中性子源の放射フラックスと品質の向上も、ホウ素中性子捕捉療法にとって非常に重要である。
【0006】
したがって、上記課題を解決するために、新規な技術手段を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
中性子源のフラックス及び品質を向上させるために、本発明の一態様に係る中性子捕捉療法システムは、加速器及びターゲットを含む中性子生成装置と、ビーム整形体とを含み、前記加速器が加速して生成した荷電粒子線は、前記ターゲットと作用して中性子を生成し、前記中性子が中性子ビームを形成し、前記中性子ビームが1本の主軸を限定し、前記ビーム整形体は、支持部及び前記支持部内に充填された本体部を含み、前記本体部は、減速体、反射体及び放射シールド体を含み、前記減速体は、前記ターゲットが生成した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は、前記減速体を囲み、かつ前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に導いて熱外中性子ビーム強度を向上させ、前記放射シールド体は、非照射領域の正常組織への線量を減らすために、しみ出る中性子及び光子を遮断する。支持部を設置することにより、本体部の材料自体の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができる。
【0008】
さらに、前記支持部は、前記主軸を囲んで周方向に閉じた外壁を含み、前記外壁で囲まれて収容部が形成され、前記本体部は、前記収容部内に設置され、前記収容部は、少なくとも1つの収容ユニットを含み、各前記収容ユニットは、前記減速体、反射体及び放射シールド体のうちの少なくとも1つを収容する。
【0009】
またさらに、前記支持部は、前記中性子ビームの方向に沿ってそれぞれ前記外壁の両側に設置され、前記外壁に接続された第1、第2の側板と、前記中性子ビームの方向に沿って前記第1、第2の側板の間に設置された少なくとも1つの横板と、前記主軸を囲んで周方向に閉じ、前記第1、第2の側板の間、又は前記横板と第1/第2の側板との間、又は前記横板と横板との間に延在する少なくとも1つの内壁とをさらに含み、前記第1の側板には、前記加速器の輸送管が貫通する孔が設置され、前記第2の側板には、ビーム出口を形成する孔が設置され、前記外壁、内壁、横板及び第1、第2の側板の間に複数の収容ユニットが形成され、前記放射シールド体は、中性子シールド体及び光子シールド体を含み、少なくとも1つの前記収容ユニットは、前記減速体/中性子シールド体及び反射体を同時に収容する。
【0010】
好ましくは、前記内壁は、第1、第2の内壁を含み、前記横板は、第1の横板を含み、前記第1の内壁は、前記第1の側板と前記第1の横板との間に延在し、前記輸送管を取り付けるためのものであり、前記第2の内壁は、前記第1の横板から前記中性子ビームの方向に沿って延在し、前記減速体の少なくとも一部を収容する。
【0011】
さらに、前記減速体は、基本部分と補完部分を含み、前記収容ユニットは、隣接する第1の収容ユニット及び第2の収容ユニットを含み、前記基本部分は、前記第1の収容ユニット内に収容され、前記基本部分の前記第1の側板に向かう端には、前記輸送管及びターゲットを収容する中心孔が設置され、前記補完部分及び前記反射体の少なくとも一部は、前記第2の収容ユニット内に収容され、前記第1の収容ユニットは、前記第2の内壁で囲まれて形成され、前記第1の内壁から前記主軸までの径方向距離は、前記第2の内壁から前記主軸までの径方向距離より小さい。減速体の基本部分がターゲットを囲むことにより、ターゲットが生成した中性子は、各方向にいずれも効果的に減速され、中性子のフラックス及びビーム品質をさらに向上させることができる。
【0012】
またさらに、前記基本部分の材料は、Li-6を含むフッ化マグネシウムであり、前記基本部分は、熱中性子吸収体としても機能し、前記補完部分は、第1、第2の補完ユニットを含み、前記第1の補完ユニットの材料がアルミニウム合金であり、前記第2の補完ユニットの材料がテフロン(登録商標)であり、前記反射体の材料が鉛であり、前記反射体は、光子シールド体としても機能し、前記第1、第2の補完ユニットは、全体として2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置され、かつ前記第2の収容ユニット内の前記反射体を2つの部分に分け、前記第1、第2の補完ユニットは、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記第1、第2の補完ユニットの境界面は、前記中性子ビームの方向に垂直である。アルミニウム合金ブロックとテフロン(登録商標)ブロックは、それぞれ減速体の第1、第2の補完ユニットとして、減速体の製造コストを低減することができ、また、ビーム品質に大きな影響を与えず、第1、第2の補完部分ユニットは、全体として2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置され、より高いビーム品質及び治療効果を取得することができる。テフロン(登録商標)は、より高い高速中性子吸収効果も有し、ビーム中の高速中性子含有量を低減することができる。
【0013】
またさらに、前記第1の収容ユニット内のフッ化マグネシウムブロックと前記位置決めリング/ストッパリングとの間には、鉛板シールド板がさらに設置され、前記基本部分とシールド板は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記位置決めリングとストッパリングは、活性化反応によって生成された活性化核種の固有の半減期が非常に短い材料で製造され、前記シールド板の材料は鉛であり、前記鉛板シールド板の前記中性子ビームの方向の厚さは5cm以下であり、減速体を通過する中性子を反射せず、また、鉛は、減速体から放出されたガンマ線を吸収することができる。前記外壁、少なくとも1つの前記内壁及び少なくとも1つの前記横板は、メインフレームを一体的に形成し、前記メインフレーム、第1、第2の側板の材料が中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期は、7日間未満であり、前記メインフレーム、第1、第2の側板の材料は、アルミニウム合金、チタン合金、鉛アンチモン合金、アルミダイキャスト、コバルトを含まない鋼材、炭素繊維、PEEK又は高分子重合体である。前記メインフレームの材料がアルミニウム合金を選択する場合、優れた機械的特性を有し、かつ中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短く、前記第1、第2の側板の材料が鉛アンチモン合金を選択する場合、鉛が放射をさらに遮断する作用を果たすことができ、また鉛アンチモン合金の強度が高い。
【0014】
好ましくは、前記収容ユニットは、第3の収容ユニットを含み、前記中性子シールド体の少なくとも一部と前記反射体の少なくとも一部は、前記第3の収容ユニット内に収容され、前記中性子シールド体の材料がPEであり、前記反射体の材料が鉛であり、前記反射体は、光子シールド体としても機能し、前記第3の収容ユニット内の反射体と中性子シールド体は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記第3の収容ユニット内の反射体と中性子シールド体の境界面は、前記中性子ビームの方向に垂直である。
【0015】
好ましくは、前記支持部は、前記収容ユニットを周方向に複数のサブ領域に分ける径方向仕切り板をさらに含み、前記径方向仕切り板は、前記第1、第2の側板の間、又は前記横板と第1/第2の側板の間、又は前記横板と横板の間に設置され、かつ前記外壁から前記内壁まで延在するか又は2つの前記内壁の間に延在する。
【0016】
本発明の別の態様に係る中性子捕捉療法システムのビーム整形体によれば、前記中性子捕捉療法システムは、中性子生成装置を含み、前記中性子生成装置が生成した中性子は、中性子ビームを形成し、前記ビーム整形体は、前記中性子ビームのビーム品質を調整することができ、かつ支持部及び前記支持部内に充填された本体部を含み、前記支持部は、少なくとも1つの収容ユニットを形成し、各前記収容ユニットは、前記本体部の少なくとも一部を収容する。支持部を設置することにより、本体部の材料自体の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができる。
【0017】
本発明の第3の態様に係る中性子捕捉療法システムのビーム整形体によれば、前記中性子捕捉療法システムは、加速器及びターゲットを含む中性子生成装置を含み、前記加速器が加速して生成した荷電粒子線は、前記ターゲットと作用して中性子を生成し、前記中性子が中性子ビームを形成し、前記中性子ビームが1本の主軸を限定し、前記ビーム整形体は、減速体、反射体及び放射シールド体を含み、前記減速体は、前記中性子生成装置が生成した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は、前記減速体を囲み、かつ前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に導いて熱外中性子ビーム強度を向上させ、前記放射シールド体は、非照射領域の正常組織への線量を減らすために、しみ出る中性子及び光子を遮断し、前記減速体は、基本部分及び前記基本部分を囲む補完部分を含み、前記ビーム整形体は、前記ビーム整形体を支持するための支持部をさらに含み、前記支持部は、前記主軸を囲む壁を含み、前記基本部分と補完部分は、材料が異なり、かつ前記壁によって仕切られる。支持部を設置することにより、ビーム整形体の本体部の材料の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができ、補完部分は、入手しやすい材料を選択し、減速体の製造コストを低減することができるとともに、一定の中性子減速作用を有し、ビーム品質に大きな影響を与えない。
【0018】
好ましくは、前記壁は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記中性子ビームの方向を囲んで周方向に閉じた第1の壁、第2の壁と、前記第1の壁と第2の壁を接続する横板とを含み、前記横板は、前記中性子ビームの方向に垂直に延在し、前記第1の壁は、前記加速器の輸送管を取り付けるためのものであり、前記第2の壁は、前記減速体の基本部分の収容キャビティを形成し、前記基本部分の材料は、DO、Al、AlF、MgF、CaF、LiF、LiCO又はAlのうちの少なくとも1種を含み、高速中性子との作用断面が大きく、熱外中性子との作用断面が小さく、優れた減速作用を有し、前記基本部分は、Li-6を含み、熱中性子吸収体としても機能する。
【0019】
さらに、前記基本部分は、前記中性子ビームの方向に基本的に垂直な第1、第2の端面を含み、前記第1、第2の端面は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記第1の端面には、前記輸送管及びターゲットを収容する中心孔が設置され、前記第1の壁から前記主軸までの径方向距離は、前記第2の壁から前記主軸までの径方向距離より小さく、減速体の基本部分がターゲットを囲むことにより、ターゲットが生成した中性子は、各方向にいずれも効果的に減速され、中性子のフラックス及びビーム品質をさらに向上させることができる。前記第2の端面に隣接してシールド板が設置され、前記シールド板は鉛板であり、鉛が減速体から放出されたガンマ線を吸収することができ、前記シールド板の前記中性子ビームの方向の厚さが5cm以下であり、減速体を通過する中性子を反射しない。
【0020】
さらに好ましくは、前記支持部は、前記補完部分を、前記主軸を囲んで周方向に少なくとも2つのサブモジュールに分ける径方向仕切り板をさらに含み、前記径方向仕切り板が位置する平面は、延在して前記主軸を通過し、前記少なくとも2つのサブモジュールは、前記径方向仕切り板によって仕切られる。
【0021】
さらに好ましくは、前記補完部分は、隣接する第1、第2の補完ユニットを含み、前記基本部分、第1、第2の補完ユニットの材料がいずれも異なり、前記基本部分は柱状であり、前記第1及び第2の補完ユニットは、全体として少なくとも1つの錐状を含む形状に設置され、より高いビーム品質及び治療効果を取得することができる。
【0022】
さらに、前記第1の補完ユニットの材料は、Zn、Mg、Al、Pb、Ti、La、Zr、Bi、Si、Cのうちの少なくとも1種を含み、前記第2の補完ユニットの材料は、テフロン(登録商標)又は黒鉛である。前記第1、第2の補完ユニットは、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記第1、第2の補完ユニットは、全体として2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置される。減速体の第1の補完部分は、入手しやすい材料を選択し、減速体の製造コストを低減することができるとともに、一定の中性子減速作用を有し、ビーム品質に大きな影響を与えず、第2の補完部分は、第1の補完部分の高速中性子吸収効果より高い材料を選択し、ビーム中の高速中性子含有量を低減することができる。
【0023】
さらに、前記第1の補完ユニットは、2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置され、前記第1の補完ユニットは、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置された第1の錐体部及び第2の錐体部を含み、前記第1の錐体部の外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に大きくなる傾向があり、前記第2の錐体部は、前記第1の錐体部の外輪郭の径方向寸法の最大箇所で前記第1の錐体部に接続され、前記第2の錐体部の外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向があり、前記第2の補完ユニットは、前記第2の錐体部の外輪郭の径方向寸法の最小箇所で前記第2の錐体部に隣接し、前記第2の補完ユニットの外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向がある。
【0024】
またさらに、前記第1、第2の補完ユニットの、前記主軸が位置する平面に沿う横断面輪郭は、不規則な四角形又は多角形であり、前記第1の補完ユニットは、前記第1の錐体部で前記反射体に接触する第1の側面を有し、前記第2の錐体部で前記反射体に接触する第2の側面と前記第2の補完ユニットに接触する第3の側面を有し、前記第1及び第2の錐体部で前記壁に接触する第4の側面を共通に有し、前記第2の補完ユニットは、前記第1の補完ユニットに接触する第5の側面と、前記反射体に接触する第6の側面と、前記壁に接触する第7の側面とを有し、前記第3の側面と第5の側面は隣接し、かつ前記第1、第2の補完ユニットの境界面として機能し、前記境界面は、前記中性子ビームの方向に垂直である。
【0025】
本発明の第4の態様に係る中性子捕捉療法システムのビーム整形体によれば、前記中性子捕捉療法システムは、中性子生成装置を含み、前記中性子生成装置が生成した中性子は、中性子ビームを形成し、前記中性子ビームが1本の主軸を限定し、前記ビーム整形体は、前記中性子ビームのビーム品質を調整することができ、かつ支持部及び前記支持部内に充填された本体部を含み、前記支持部は、支持フレームを含み、前記支持フレームは、ブランクを加熱装置により加熱した後に鍛造装置により柱体に鍛造加工し、前記柱体を粗加工し熱処理した後に機械加工装置により加工成形したものである。支持部を設置することにより、本体部の材料自体の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができ、支持フレームが採用する鍛造工程及び加熱回数が少なく、組織が均一であり、鍛造品の性能が高く、また原材料を節約し、鍛造前にブランクを加熱処理することにより、変形抵抗を低減し、可塑性を向上させることができ、鍛造後の柱体を粗加工することにより、熱処理後の支持フレームの材料全体の性能を保証することができる。
【0026】
さらに、前記支持フレームの材料はアルミニウム合金であり、前記アルミニウム合金中のCu元素の質量百分率≦7%であり、支持フレームが中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短いという要件を満たすことができ、前記支持フレームの引張強度≧150MPaであり、降伏強度≧100MPaであり、支持フレームのビーム整形体の本体部に対する支持を満たすことができる。前記アルミニウム合金は、変形アルミニウム合金であり、前記鍛造装置は、据え込み装置及び絞り抜け装置を含む自由鍛造装置である。自由鍛造は、塑性成形方法によりアルミニウム合金の組織、性能を変更するとともに、原材料をさらに節約することができる。
【0027】
さらに、前記加熱装置は、放射式抵抗加熱炉であり、炉内に空気を循環させることにより、温度を正確かつ均一に保持することができ、炉温偏差が±10℃であり、最高鍛造開始温度が520℃であり、鍛造終了温度が450℃であり、許容限界温度が530℃である。加熱時間は、強化相の溶解及び均一化組織の取得に基づいて決定することができ、このような状態で高い可塑性を有し、アルミニウム合金鍛造性能を向上させることができる。
【0028】
さらに、前記本体部は、減速体、反射体及び放射シールド体を含み、前記減速体は、前記中性子生成装置が生成した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は、前記減速体を囲み、かつ前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に導いて熱外中性子ビーム強度を向上させ、前記放射シールド体は、非照射領域の正常組織への線量を減らすために、しみ出る中性子及び光子を遮断し、前記支持フレームは、少なくとも1つの収容ユニットを形成し、各前記収容ユニットは、前記本体部の少なくとも一部を収容する。
【0029】
またさらに、前記収容ユニットは、少なくとも一部の前記減速体を収容する第1の収容ユニットを含み、前記第1の収容ユニットは、径方向に前記支持フレームの中心に位置し、前記粗加工は、前記柱体の、前記第1の収容ユニットに対応する領域を穿孔することである。柱体を直接的に熱処理すると、柱体中心の材料の性能を保証しにくいため、粗加工により鍛造した柱体の中心位置(即ち、柱体の、第1の収容ユニットに対応する領域)を穿孔し、その後に深熱処理を行い、このように、熱処理後の支持フレームの中心位置に近い箇所(メインフレームの、第1の収容ユニットを形成する部分)及び全体の材料性能を保証することができ、また、第1の収容ユニットは、減速体を収容し、この時に減速体への支持を保証し、減速体の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができる。
【0030】
またさらに、前記収容ユニットは、前記減速体、反射体及び放射シールド体のうちの少なくとも1つを収容する第2の収容ユニットを含み、前記支持フレームは、前記主軸を囲んで周方向に閉じた外壁及び少なくとも1つの内壁を含み、前記外壁と内壁又は内壁と内壁との間に前記第2の収容ユニットが形成され、前記粗加工は、前記柱体の、前記第2の収容ユニットに対応する領域に対する予備加工をさらに含む。理解できるように、粗加工後に熱処理を行う場合、壁厚が薄く、変形が発生しやすいなどを防止するために、柱体の、第2の収容ユニットに対応する領域に粗加工を行わなくてもよい。
【0031】
さらに、前記熱処理は、溶体化処理及び時効処理を含み、溶体化処理後のアルミニウムを一定の温度に一定の時間保持し、過飽和固溶体が分解して、合金の強度及び硬度が大幅に向上する。
【0032】
本発明の第5の態様に係るビーム整形体の支持フレームの加工方法は、
支持フレームの材料要求に合致するブランクに対して一定の温度及び時間の加熱を行う加熱工程と、
加熱されたブランクを柱体に鍛造加工する鍛造工程と、
鍛造した柱体の中心位置を穿孔する粗加工工程と、
粗加工後に得られた鍛造体を熱処理する熱処理工程と、
熱処理後の鍛造体を機械加工して、最終的に必要な形状及び寸法の支持フレームを得る機械加工工程とを含む。
【0033】
支持フレームを設置することにより、本体部の材料自体の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができ、支持フレームが採用する鍛造工程及び加熱回数が少なく、組織が均一であり、鍛造品の性能が高く、また原材料を節約し、鍛造前にブランクを加熱処理することにより、変形抵抗を低減し、可塑性を向上させることができ、鍛造した柱体の中心位置を穿孔し、その後に深熱処理を行うことにより、熱処理後の支持フレームの中心位置に近い箇所及び全体の材料性能を保証することができる。
【0034】
さらに、前記加熱工程の前に、前記ブランクを検出して、支持フレームの材料要件に合致させ、前記鍛造工程の前に、ブランクを処理して、鍛造装置の加工要件を満たさせ、前記鍛造は、自由鍛造であり、据え込み及び絞り抜けを含み、鍛造品の温度が規定温度以上である条件で上記2種類の方法を繰り返して行い、プロセスに従って静的鍛造を行うことにより、組織内部の精密な結晶粒を取得し、鍛造装置は、ブランクを鍛造する精度を有し、前記熱処理は、溶体化処理及び時効処理を含み、溶体化処理後のアルミニウムを一定の温度に一定の時間保持し、過飽和固溶体が分解して、合金の強度及び硬度が大幅に向上する。前記熱処理後に、寸法検出、元素検出、機械的特性検出、及び超音波探傷のような非破壊検査を含む物理化学的検出及び検査を行う。
【0035】
本発明に係る中性子捕捉療法システムは、ビーム整形体の材料自体の変形及び損傷を防止し、中性子源のフラックス及び品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ホウ素中性子捕捉の反応概略図である。
図210B(n,α)Li中性子捕捉の原子核反応式である。
図3】本発明の実施例における中性子捕捉療法システムの概略図である。
図4】本発明の実施例における中性子捕捉療法システムのビーム整形体の概略図である。
図5図4中の支持部の概略図である。
図6図4中の減速体の概略分解図である。
図7図5中のメインフレームの、中性子ビームNの方向から見た概略図である。
図8図5中のメインフレームの、中性子ビームNの方向とは逆の方向から見た概略図である。
図9図5中のメインフレーム加工過程の実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例をさらに詳細に説明することにより、当業者は明細書の文字を参照して実施することができる。
【0038】
図3に示すように、本実施例における中性子捕捉療法システムは、好ましくはホウ素中性子捕捉療法システム100であり、中性子生成装置10、ビーム整形体20、コリメータ30及び治療台40を含む。中性子生成装置10は、加速器11とターゲットTを含み、加速器11は、荷電粒子(例えば陽子、デューテリウム核など)に対して加速し、陽子線のような荷電粒子線Pを生成し、荷電粒子線Pは、ターゲットTに照射し、ターゲットTと作用して中性子を生成し、中性子は、中性子ビームNを形成し、中性子ビームNは、1本の主軸Xを限定し、ターゲットTは、好ましくは金属ターゲットである。図示及び以下に記載の中性子ビームNの方向は、実際の中性子移動方向を表すものではなく、中性子ビームN全体の移動傾向の方向を表すものである。必要な中性子の収率とエネルギー、供給可能な加速荷電粒子のエネルギーと電流の大きさ、金属ターゲットの物理化学的特性に応じて、適切な核反応を選択し、常に議論される核反応はLi(p、n)BeおよびBe(p、n)Bであり、この両方はいずれも吸熱反応である。この2つの核反応のエネルギー閾値はそれぞれ1.881MeVおよび2.055MeVであり、ホウ素中性子捕獲治療の理想的な中性子源はkeVエネルギーレベルの熱外中性子であるため、理論的には閾値をわずかに上回るエネルギーを持つ陽子を用いて金属リチウムターゲットを衝撃し、比較的低いエネルギーの中性子を発生することができ、あまりにも減速処理することなく臨床的に使用することができるが、リチウム金属(Li)および卑金属(Be)という2つのターゲットと閾値エネルギーの陽子との作用断面が高くなく、十分に大きな中性子束を発生するために、一般に比較的高いエネルギーの陽子で核反応を開始させる。理想的なターゲットは、高い中性子収率を有し、発生した中性子エネルギー分布は熱外中性子エネルギー領域に近く(以下に詳述する)、あまり強い放射線の発生はなく、安全かつ安価で操作しやすく、かつ高温耐性などの特性を有するが、実際にはすべての要件を満たす核反応を見つけることは不可能である。当業者には周知のように、ターゲットTは、Li、Be以外の金属材料、例えばTaまたはW、およびそれらの合金で製造することができる。加速器11は、線形加速器、回転加速器、同期加速器、同期回転加速器であってもよい。
【0039】
ホウ素中性子捕捉療法の中性子源は生成したのはすべて混合放射線場である。即ち、ビームは低エネルギーから高エネルギーまでの中性子、光子を含む。深部腫瘍のホウ素中性子捕捉療法について、熱外中性子を除くその他の放射線の含有量が多ければ多いほど、正常組織での非選択的線量沈着の割合も大きくなるので、これらの不必要な線量を引き起こす放射線をできる限り低減する必要がある。エアにおけるビームの品質要素の他、中性子による人体における線量分布をさらに理解するために、本発明の実施形態は人工器官の人間の頭部組織で線量を算出し、そして人工器官におけるビームの品質要素を中性子ビーム設計の参考とする。後文でそれを詳細に説明する。
【0040】
国際原子力機関(IAEA)は臨床ホウ素中性子捕捉療法に用いられる中性子源について、エアにおけるビームの品質要素に関する5提案を出した。この5提案は異なる中性子の長所と短所を比較するために利用する他、中性子生成経路の選定及びビーム整形アセンブリの設計をする時の参考として利用できる。この5提案は次の通りである。
【0041】
熱外中性子束Epithermal neutron flux>1×10 n/cm
高速中性子汚染Fast neutron contamination<2×10-13 Gy-cm/n
光子汚染Photon contamination<2×10-13 Gy-cm/n
熱中性子束と熱外中性子束との比thermal to epithermal neutron flux ratio<0.05
中性子流とフラックスとの比epithermal neutron current to flux ratio>0.7
【0042】
注:熱外中性子エネルギー領域は0.5eV~40keVであり、熱中性子エネルギー領域は0.5eVより小さく、高速中性子エネルギー領域は40keVより大きい。
【0043】
1、熱外中性子束:
中性子束と腫瘍におけるホウ素含有薬物の濃度で臨床治療の時間が決まる。腫瘍におけるホウ素含有薬物の濃度が十分に高ければ、中性子束への要求を緩められる。それに反して、腫瘍におけるホウ素含有薬物の濃度が低ければ、高フラックスの熱外中性子で腫瘍に十分な線量を与える必要がある。IAEAは熱外中性子束について平方センチメートル当たり1秒の熱外中性子は10個より多いと求める。既存のホウ素含有薬物にとって、このフラックスでの中性子ビームで大体治療時間を1時間以内に抑えられる。短い治療時間で位置決めと快適さの改善、それから腫瘍におけるホウ素含有薬物の限られた滞留時間の効果的利用に貢献できる。
【0044】
2、高速中性子汚染:
高速中性子は正常組織への不必要な線量を引き起こすので、汚染と見らされる。この線量と中性子エネルギーが正の相関関係があるので、中性子ビームの設計においてできる限り高速中性子の含有量を減らす必要がある。高速中性子汚染は、単位熱外中性子束に伴う高速中性子の線量と定義される。IAEAは高速中性子汚染が2×10-13 Gy-cm/nより小さいと勧める。
【0045】
3、光子汚染(γ線汚染):
γ線は強い透過性の放射線に属し、非選択的にビーム経路にあるすべての組織での線量沈着を引き起こすので、γ線の含有量を減らすことも中性子ビームの設計の必要条件である。γ線汚染は、単位熱外中性子束に伴うγ線の線量と定義される。IAEAはγ線汚染が2×10-13 Gy-cm/nより小さいと勧める。
【0046】
4、熱中性子束と熱外中性子束との比:
熱中性子の減衰速度が速く、透過性も弱く、人体に入ったら大部分のエネルギーが皮膚組織に沈着するので、黒色腫などの皮膚腫瘍の場合ホウ素中性子捕捉療法の中性子源として熱中性子を使用する以外、脳腫瘍などの深部腫瘍の場合熱中性子の含有量を減らす必要がある。IAEAは熱中性子束と熱外中性子束との比が0.05より小さいと勧める。
【0047】
5、中性子流とフラックスとの比:
中性子流とフラックスとの比はビームの方向性を示す。その比が大きければ大きいほど、ビームの前向性が強くなる。強い前向性を持つ中性子ビームで中性子の発散による周りの正常組織への線量を減らせる他、治療可能デプスと位置決め姿勢の柔軟性を向上させることができる。IAEAは中性子流とフラックスとの比が0.7より大きいと勧める。
【0048】
人工器官で組織内の線量分布を取得し、そして正常組織及び腫瘍の線量-デプス曲線により、人工器官におけるビーム品質要素を導き出す。以下の3つのパラメータは異なる中性子ビーム療法の治療効果の比較に利用されることができる。
【0049】
1、効果的治療デプス:
腫瘍線量は最大正常組織線量と等しいデプスである。このデプスの後ろに、腫瘍細胞が受けた線量は最大正常組織線量より小さいので、ホウ素中性子捕捉上の優位性がなくなる。このパラメータは中性子ビームの透過性を示し、効果的治療デプスが大きければ大きいほど、治療可能な腫瘍のデプスが深くなり、その単位はcmである。
【0050】
2、効果的治療デプスの線量率:
即ち、効果的治療デプスにおける腫瘍線量率であり、最大正常組織線量率と等しい。正常組織で受け取る総線量は与えられ得る腫瘍総線量に影響する要因であるので、このパラメータで治療時間が決まる。効果的治療デプスの線量率が大きければ大きいほど、腫瘍に一定の線量を与える必要な照射時間が短くなり、その単位はcGy/mA-minである。
【0051】
3、効果的治療線量比:
脳表面から効果的治療デプスまで、腫瘍と正常組織が受け取る平均線量の比は効果的治療線量比と呼ばれる。平均線量は線量-デプス曲線の積分により算出できる。効果的治療線量比が大きければ大きいほど、当該中性子ビームの治療効果がよくなる。
【0052】
ビーム整形アセンブリの設計における比較根拠として、IAEAによるエアにおけるビームの品質要素という5提案、及び上記の3つのパラメータの他に、本発明の実施形態は中性子ビーム線量のパフォーマンスの優劣を評価するための以下のパラメータを利用する。
【0053】
1、照射時間≦30min(加速器で使用する陽子流は10mA)
2、30.0RBE-Gy治療可能なデプス≧7cm
3、最大腫瘍線量≧60.0RBE-Gy
4、最大正常脳組織線量≦12.5RBE-Gy
5、最大皮膚線量≦11.0RBE-Gy
【0054】
注:RBE(Relative Biological Effectiveness)は生物学的効果比であり、光子と中性子による生物学的効果が異なるので、等価線量を算出するために、上記の線量に異なる組織の生物学的効果比を掛ける。
【0055】
中性子生成装置10が生成した中性子ビームNは、順次ビーム整形体20とコリメータ30を経過して治療台40上の患者200に照射する。ビーム整形体20は、中性子生成装置10が生成した中性子ビームNのビーム品質を調整することができ、コリメータ30は、中性子ビームNを集め、中性子ビームNに治療過程中に高い標的性を備えさせる。ビーム整形体20は、支持部21(図1に示されず、以下に詳細に説明する)及び支持部21内に充填された本体部23をさらに含み、支持部21は、少なくとも1つの収容ユニットC1~C4を形成し、各収容ユニットは、本体部23の少なくとも一部を収容する。支持部を設置することにより、本体部の材料自体の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができる。本体部23は、減速体231、反射体232及び放射シールド体233を含み、中性子生成装置10が生成した中性子は、エネルギースペクトルが広いため、治療ニーズを満たす熱外中性子の以外、他の種類の中性子及び光子の含有量を可能な限り減らして操作者又は患者に傷害を引き起こすことを避け、それで、中性子生成装置10から出た中性子は、減速体231を通して高速中性子エネルギーを熱外中性子エネルギー領域に調整する必要があり、減速体231は、高速中性子との作用断面が大きく、熱外中性子との作用断面が小さい材料で製造され、例えば、DO、Al、AlF、MgF、CaF、LiF、LiCO又はAlのうちの少なくとも1種を含み、反射体232は、減速体231を囲み、かつ減速体231を通過して周辺へ拡散した中性子を中性子ビームNに反射して中性子の利用率を向上させ、反射体232は、中性子反射能力が高い材料で製造され、例えば、Pb又はNiのうちの少なくとも1種を含み、放射シールド体233は、非照射領域の正常組織への線量を減らすために、しみ出る中性子と光子を遮断し、放射シールド体233の材料は、光子シールド材料と中性子シールド材料のうちの少なくとも1種、例えば、光子シールド材料の鉛(Pb)と中性子シールド材料のポリエチレン(PE)を含む。理解できるように、本体部は、さらにその他の構造であってもよく、治療に必要な熱外中性子ビームを取得すればよい。ターゲットTは、加速器11とビーム整形体20との間に設置され、加速器11は、荷電粒子線Pを輸送する輸送管111を有し、本実施例において、輸送管111が荷電粒子線Pの方向に沿ってビーム整形体20に伸び込み、かつ順次減速体231及び反射体232を貫通し、ターゲットTが減速体231内に設置され、輸送管111の端部に位置することにより、高い中性子ビーム品質を得る。本実施例において、輸送管111と減速体231及び反射体232との間に第1、第2の冷却管D1、D2が設置され、第1、第2の冷却管D1、D2の一端がそれぞれターゲットTの冷却入口(図示せず)と冷却出口(図示せず)に接続され、他端が外部冷却源(図示せず)に接続される。理解できるように、第1、第2の冷却管は、さらに他の形態でビーム整形体内に設置されてもよく、ターゲットがビーム整形体の外に配置される場合、さらに省略されてもよい。
【0056】
図4及び図5に示すとおり、支持部21は、主軸Xを囲んで周方向に閉じた外壁211と、中性子ビームNの方向に沿ってそれぞれ外壁211の両側に設置され、外壁211に接続された第1、第2の側板221、222とを含み、第1の側板221には、輸送管111が貫通する孔2211が設置され、第2の側板222には、ビーム出口を形成する孔2221が設置され、外壁211と第1、第2の側板221、222との間に収容部Cが形成され、本体部23は、収容部C内に設置される。収容部Cは、少なくとも1つの収容ユニットC1~C4(以下に詳述する)を含み、各収容ユニットC1~C4は、減速体231、反射体232及び放射シールド体233のうちの少なくとも1つを収容し、少なくとも1つの収容ユニットC1~C4は、減速体、反射体及び放射シールド体のうちの少なくとも2つを同時に収容するか又は少なくとも2種類の異なる材料を同時に収容する。理解できるように、第1、第2の側板が設置されなくてもよく、外壁で囲まれて収容部が形成される。
【0057】
支持部21は、主軸Xを囲んで周方向に閉じ、第1、第2の側板221、222の間に延在する少なくとも1つの内壁をさらに含み、本実施例において、径方向に内向きにそれぞれ第1、第2の内壁212、213が設置され、径方向は、主軸Xに垂直な方向として定義される。支持部21は、中性子ビームNの方向に沿って第1、第2の側板221、222の間に設置された第1の横板223と、主軸Xを囲んで周方向に閉じ、第1の横板223と第1の側板221との間に延在する第3の内壁214と、主軸Xを囲んで周方向に閉じ、第1の横板223から第2の側板222まで延在する第4の内壁215とをさらに含む。第3の内壁214は、径方向に第2の内壁213より主軸Xに近く、第4の内壁215は、径方向に第2の内壁213と第3の内壁214との間に位置し、第1の横板223は、第3の内壁214と第4の内壁215との間に延在する。第3の内壁214の内面は、第1の側板221上の孔2211の側壁と面一になり、第3の内壁214は、輸送管111、第1、第2の冷却管D1、D2などの取付部を形成する。中性子ビームNの方向に沿って第4の内壁215と第2の側板222との間に第4の内壁215に隣接して第2の横板224が設置され、第2の横板224は、第2の内壁213から径方向に内向きに延在し、第2の横板224には、中性子ビームNが通過する孔2241が設置され、孔2241の内壁は、第4の内壁215の内側より主軸Xに近い。理解できるように、第2の横板が設置されなくてもよく、第1の横板は外壁又は他の内壁まで延在してもよく、外壁と内壁との間、内壁と内壁との間に複数の横板が設置されてもよい。
【0058】
本実施例において、ビーム整形体全体は、円筒形であり、外壁、内壁の主軸Xに垂直な方向での横断面は、いずれも主軸Xを囲む円環であり、かつ主軸Xに平行に延在し、側板、横板は、いずれも主軸Xに垂直に延在する平板であり、理解できるように、他の設置形態であってもよく、例えば、延在方向が主軸と傾斜し、外壁の主軸に垂直な方向での外輪郭は、方形、矩形又は多角形であってもよく、輸送し、取り付けやすい。外壁211、第1の内壁212、第1の側板221及び第2の側板222の間に第1の収容ユニットC1が形成され、第1の内壁212、第2の内壁213、第1の側板221及び第2の側板222の間に第2の収容ユニットC2が形成され、第2の内壁213、第3の内壁214、第4の内壁215、第1の側板221、第1の横板223及び第2の横板224の間に第3の収容ユニットC3が形成される。
【0059】
本実施例において、第1の収容ユニットC1内には、対応する形状のPEブロック241が設置され、第2の収容ユニットC2内には、中性子ビームNの方向に沿って鉛ブロック242とPEブロック241が順次設置され、鉛ブロックとPEブロックの体積比が10以下であり、鉛ブロックとPEブロックの境界面が中性子ビームNの方向に垂直であり、理解できるように、他の比率又は他の分布であってもよい。本実施例において、放射シールド体233は、中性子シールド体及び光子シールド体を含み、PEブロック241が中性子シールド体として機能し、鉛ブロック242が同時に反射体232及び光子シールド体として機能する。
【0060】
本実施例において、第3の収容ユニットC3内に鉛ブロック242、アルミニウム合金ブロック243、テフロン(登録商標)ブロック244及びPEブロック241が設置され、アルミニウム合金ブロック243及びテフロン(登録商標)ブロック244は、全体として少なくとも1つの錐状を含む形状に設置され、PEブロック241は、第2の横板224に隣接して設置され、鉛ブロック242は、残りの領域に充填され、アルミニウム合金ブロック243及びテフロン(登録商標)ブロック244は、全体として第3の収容ユニットC3内の鉛ブロック242を2つの部分に分ける。アルミニウム合金ブロック243とテフロン(登録商標)ブロック244は、それぞれ減速体231の第1、第2の補完部分として、減速体の製造コストを低減することができ、また、ビーム品質に大きな影響を与えず、第1、第2の補完部分は、全体として少なくとも1つの錐状を含む形状に設置され、より高いビーム品質及び治療効果を取得することができる。テフロン(登録商標)ブロック244は、より高い高速中性子吸収効果も有し、ビーム中の高速中性子含有量を低減することができる。鉛ブロック242は、同時に反射体232及び光子シールド体として機能する。PEブロック241は、中性子シールド体として機能し、理解できるように、PEブロックが設置されなくてもよい。
【0061】
図6に示すとおり、本実施例において、中性子ビームNの方向に沿ってアルミニウム合金ブロック243及びテフロン(登録商標)ブロック244が順次設置され、アルミニウム合金ブロック243及びテフロン(登録商標)ブロック244は、全体として2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置され、アルミニウム合金ブロック243自体も2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置され、アルミニウム合金ブロック243は、中性子ビームNの方向に沿って順次設置された第1の錐体部2431及び第2の錐体部2432を含み、第1の錐体部2431の外輪郭の径方向寸法は、中性子ビームNの方向に沿って全体的に徐々に大きくなる傾向があり、第2の錐体部2432が、第1の錐体部2431の外輪郭の径方向寸法の最大箇所で第1の錐体部2431に接続され、第2の錐体部2432の外輪郭の径方向寸法は、中性子ビームNの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向がある。テフロン(登録商標)ブロック244は、第2の錐体部2432の外輪郭の径方向寸法の最小箇所で第2の錐体部2432に隣接し、テフロン(登録商標)ブロック244の外輪郭の径方向寸法は、中性子ビームNの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向があり、かつ外輪郭の径方向寸法の最小箇所でPEブロック241に接触する。アルミニウム合金ブロック243及びテフロン(登録商標)ブロック244の、主軸Xが位置する平面に沿った横断面輪郭は、不規則な四角形又は多角形である。アルミニウム合金ブロック243は、第1の錐体部2431で鉛ブロック242に接触する第1の側面A1を有し、第2の錐体部2432で鉛ブロック242に接触する第2の側面A2とテフロン(登録商標)ブロック244に接触する第3の側面A3を有し、第1及び第2の錐体部で第3の内壁214、第4の内壁215及び第1の横板223に接触する第4の側面A4を共通に有し、本実施例において、第4の側面A4は段差面である。テフロン(登録商標)ブロック244は、アルミニウム合金ブロック243に接触する第5の側面A5と、鉛ブロック242に接触する第6の側面A6と、第4の内壁215に接触する第7の側面A7と、PEブロック241に接触する第8の側面A8とを有する。第3の側面A3と第5の側面A5は隣接し、かつアルミニウム合金ブロック243とテフロン(登録商標)ブロック244の境界面として機能し、本実施例において、該境界面は、中性子ビームNの方向に垂直である。本実施例におけるアルミニウム合金ブロック243とテフロン(登録商標)ブロック244の体積比は5~20であり、理解できるように、治療に必要な中性子ビームによって、例えば異なる照射深度に応じて、他の比率を採用してもよく、他の分布を有してもよい。
【0062】
中性子ビームNの方向に第1の横板223から第2の横板224までの、第4の内壁215で囲まれた領域には、第4の収容ユニットC4が形成され、第4の収容ユニットC4と第3の収容ユニットC3は、径方向に隣接する。本実施例において、第4の収容ユニットC4内には、減速体231の基本部分としてのフッ化マグネシウムブロック245が設置され、フッ化マグネシウムブロック245は、Li-6を含み、熱中性子吸収体としても機能することができることにより、第3の収容ユニットC3内に設置された減速体の第1、第2の補完部分は、第4の収容ユニットC4内に設置された減速体の基本部分を囲む。フッ化マグネシウムブロック245全体は柱状であり、中性子ビームNの方向に基本的に垂直な第1、第2の端面A9、A10を含み、第1、第2の端面A9、A10は、中性子ビームの方向に沿って順次設置され、第1の端面A9は、第1の側板221に向かい、かつ中心孔2451が設置され、中心孔2451は、輸送管111、第1、第2の冷却管D1、D2及びターゲットTなどを収容する円柱孔であり、中心孔の側壁2451aは、第3の内壁の内面と面一になり、第3の内壁214から主軸Xまでの径方向距離L1が第4の内壁215から主軸Xまでの径方向距離L2より小さいことにより、減速体231の基本部分がターゲットTを囲み、ターゲットTが生成した中性子が、各方向にいずれも効果的に減速され、中性子のフラックス及びビーム品質をさらに向上させることができる。フッ化マグネシウムブロック245と第2の横板224との間に鉛板246が設置され、鉛板246は、光子シールド体として機能し、鉛が減速体から放出されたガンマ線を吸収することができ、また鉛板246の中性子ビームNの方向の厚さが5cm以下であり、減速体を通過する中性子を反射せず、理解できるように、他の設置形態であってもよく、例えば、フッ化マグネシウムブロック245がLi-6を含まず、フッ化マグネシウムブロック245と第2の横板224との間にLi-6で構成された別個の熱中性子吸収体が設置され、鉛板も省略されてもよい。
【0063】
理解できるように、本実施例における中性子シールド体としてのPEは、他の中性子シールド材料に置換されてもよく、光子シールド体としての鉛は、他の光子シールド材料に置換されてもよく、反射体としての鉛は、中性子反射能力が高い他の材料に置換されてもよく、減速体の基本部分としてのフッ化マグネシウムは、高速中性子との作用断面が大きく、熱外中性子との作用断面が小さい他の材料に置換されてもよく、熱中性子吸収体としてのLi-6は、熱中性子との作用断面が大きい他の材料に置換されてもよく、減速体の第1の補完部分としてのアルミニウム合金は、Zn、Mg、Al、Pb、Ti、La、Zr、Bi、Si、Cのうちの少なくとも1種を含む材料に置換されてもよく、入手しやすい材料を選択すると、減速体の製造コストを低減することができるとともに、一定の中性子減速作用を有し、ビーム品質に大きな影響を与えない。減速体の第2の補完部分としてのテフロン(登録商標)は、黒鉛などに置換されてもよく、第2の補完部分は、第1の補完部分の高速中性子吸収効果より高い材料を選択することにより、ビーム中の高速中性子含有量を低減することができる。理解できるように、減速体の第1、第2の補完部分及び基本部分のうちの少なくとも2つは、同じ材料を採用することもできる。
【0064】
図7及び図8に示すとおり、支持部21に径方向仕切り板210がさらに設置され、径方向仕切り板210が位置する平面は、延在して主軸Xを通過し、各収容ユニットC1~C3を周方向に少なくとも2つのサブ領域に分けることにより、各収容ユニットC1~C3内に設置されたPEブロック、鉛ブロック、アルミニウム合金ブロック、黒鉛ブロックを周方向に少なくとも2つのサブモジュールに均一に分ける。本実施例において、第1の径方向仕切り板2101は、第1の側板221と第2の側板との間に設置され、外壁211から第2の内壁213まで延在し、第2の径方向仕切り板2102は、第1の側板221と第2の横板224との間に設置され、第2の内壁213から第3の内壁214又は第4の内壁215まで延在する。本実施例において、第1の径方向仕切り板が8つあり、第2の径方向仕切り板が4つあり、いずれも周方向に沿って均一に分布し、第1、第2の径方向仕切り板はいずれも平板であり、各第2の径方向仕切り板と第1の径方向仕切り板のうちの4つは面一になり、理解できるように、径方向仕切り板は、他の数量又は他の配布形態であってもよく、径方向仕切り板が設置されなくてもよい。
【0065】
本実施例において、径方向仕切り板210、外壁211、第1の横板223及び第1、第2、第3、第4の内壁212~215は一体であり、メインフレーム21aとして、材料がアルミニウム合金であり、優れた機械的特性を有し、かつ中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短い。鋳造プロセスを採用することができ、支持体と型枠が一体成形し、型枠が木型又はアルミニウム型を選択し、砂中子が赤砂又は樹脂砂を選択することができ、具体的なプロセスが業界で一般的な方法を選択する。鋳造には抜き勾配を付けるため、設計及びビーム品質の要件に応じて、機械加工においてそれを全て除去する必要がある。該構造形式及び鋳造プロセスにより、フレーム構造は、一体性が高く、剛性が大きく、耐荷力が高いという利点を有する。機械加工のための刃物の制限と直角辺の応力集中を考慮して、全ての隅は、丸面取りされている。板材を巻いて溶接してもよく、まずアルミニウム合金柱体を鍛造し、次に該柱体を機械加工して成形してもよい。
【0066】
図9に示すように、メインフレーム加工過程の1つの実施例であり、該実施例において、メインフレーム21aは、6061アルミニウム合金を採用し、メインフレーム材料の化学成分及び機械的特性の要件を満たすことができる。メインフレームが中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短いという要件を満たすために、アルミニウム合金の組成元素の種類及び各元素の質量比率を制御すべきであり、例えばCu元素の質量百分率≦7%である。関連する計算及び積み重ねた経験に基づいて、本実施例において、化学成分がCu≦1.0%、Mn≦1.5%、Zn≦1.0%(質量百分率)を満たすメインフレーム材料を選択し、6061アルミニウム合金の化学成分表を表1に示し、比較から分かるように、6061アルミニウム合金は、メインフレーム21aの材料に必要な化学成分を満たすことができる。
【0067】
【表1】
【0068】
メインフレーム21aのビーム整形体の本体部23に対する支持を満たすために、メインフレームの機械的特性は、要件を満たす必要があり、CAEシミュレーション計算及び経験に基づいて調整し、本実施例において、引張強度≧150MPa、降伏強度≧100MPaのアルミニウム合金メインフレームを選択する。
【0069】
6061アルミニウム合金が変形アルミニウム合金であるため、本実施例は、自由鍛造方法を採用し、塑性成形方法によりアルミニウム合金の組織、性能を変更するとともに、原材料を節約することができる。自由鍛造工程において、鍛造品の品質は、変形過程で得られた金属組織、特に鍛造品の変形の均一性に大きく依存する。変形が不均一であれば、金属の可塑性が低下し、また不均一な再結晶により、不均一な組織が得られ、鍛造品の性能が低くなるからであり、均一な変形組織及び最適な機械的特性を得るために、工程が少ないほどよくなり、加熱回数が少ないほどよくなる。本実施例の加工過程は以下のとおりである。
【0070】
1.ブランクの準備:アルミニウム工場などの製造業者は、アルミニウム鉱石をアルミニウムインゴットに加工し、かつブランクに鋳造し、国家標準6061に合致するアルミニウム合金成分となるように調製し、ブランクを検出し、例えば、合金記号、溶鉱炉、ロット番号、仕様、均質化焼鈍、低倍率検査及び酸化膜検査などの面の資料及び実験結果が付されている。
【0071】
2.打ち抜き:剪断、鋸引き、ガス切断などの方法により、検出された、要件に合致するブランクを加工し、例えば、端面切断を行い、かつバリ、油汚れ及び鋸屑などをタイムリーに除去し、鍛造装置の加工要件を満たす。
【0072】
3.加熱:鍛造前にブランクを加熱処理することにより、変形抵抗を低減し、可塑性を向上させる。例えば、輻射式抵抗加熱炉を採用し、炉内に空気を循環させることにより、温度を正確かつ均一に保持し、炉温偏差を±10℃の範囲内に制御することができ、本実施例において、最高鍛造開始温度が520℃であり、鍛造終了温度が450℃であり、許容限界温度が530℃である。理解できるように、他の加熱装置を採用してもよい。加熱保温時間の決定は、合金の熱伝導性、ブランクの仕様、加熱装置の伝熱方式などの要因を十分に考慮する必要があり、本実施例において、加熱時間は、強化相の溶解及び均一化組織の取得に基づいて決定し、このような状態で高い可塑性を有し、アルミニウム合金鍛造性能を向上させることができる。理解できるように、打ち抜きステップ2の前にブランクを加熱処理してもよく、この時にブランクを加熱する前に、例えば、加熱炉に入る前に、炉内の空気を汚染することを回避するために、油汚れ、砕屑及び他の汚れを除去する必要がある。
【0073】
4.鍛造:6061アルミニウム合金の材料は多結晶体であり、結晶粒の間に粒界が存在し、結晶粒の内部にさらに亜結晶粒及び相界が存在するため、材料の可塑性を利用し、外力の作用によりそれを塑性変形させ、所望の形状(例えば、柱体)、寸法及び一定の組織性能の鍛造品を取得することができる。鍛造変形により金属ブランクの鋳造組織を除去し、可塑性及び機械的特性を大幅に向上させる。本実施例において、自由鍛造方法、例えば据え込み及び絞り抜けを採用し、鍛造品の温度が規定温度以上である条件で上記2種類の方法を繰り返して行い、プロセスに従って静的鍛造を行うことにより、組織内部の精密な結晶粒を取得し、鍛造装置は、ブランクを鍛造する精度を有する。
【0074】
5.粗加工及び熱処理:最終的に使用要件を満たす機械的特性を得るために、さらに熱処理により金属材料の組織及び性能を変更し、金属の内部品質を変更する必要がある。本実施例は、鍛造ステップ4により得られたものが柱体であり、柱体を直接的に熱処理すると、柱体中心の材料の性能を保証しにくい。したがって、粗加工により鍛造した柱体の中心位置(即ち、柱体の、第4の収容ユニットC4に対応する領域)を穿孔し、その後に深熱処理を行い、このように、熱処理後のメインフレームの中心位置に近い箇所(メインフレームの、第4の収容ユニットC4を形成する部分)及び全体の材料性能を保証することができ、また、第4の収容ユニットC4は、減速体の基本部分を収容し、この時に減速体への支持を保証し、減速体の変形及び損傷のターゲット交換及びビーム品質への影響を防止することができる。理解できるように、粗加工は、メインフレームの外壁211と内壁212~215との間の中空領域(即ち、柱体の、第1、第2、第3の収容ユニットC1、C2、C3に対応する領域)に対する予備加工、例えば、鍛造した柱体の該領域での実体部分に対するドリル、フライス加工切断をさらに含み、本実施例において、該領域に対する粗加工が行われておらず、粗加工後に熱処理を行う場合、壁厚が薄く、変形が発生しやすいなどを防止する。プロセスは、中心領域及び他の領域の材料性能を保証することができる限り、粗加工を行わなくてもよく、後続の更なる機械加工のために、粗加工において残量を残すべきである。
【0075】
本実施例において採用した熱処理プロセスはT6(溶体化+時効)である。溶体化処理は、合金を析出硬化させる先行工程であり、溶体化するときに形成された固溶体を迅速に冷却して準安定な過飽和固溶体を取得し、自然時効及び人工時効の条件を作り出し、強度及び硬度を顕著に向上させる。溶体化処理後にさらに時効処理を行う必要があり、溶体化処理後のアルミニウムを一定の温度に一定の時間保持し、過飽和固溶体が分解して、合金の強度及び硬度が大幅に向上することができ、室温に保持してもよく、加熱してもよい。時効処理は、熱処理の最後の工程であり、アルミニウム合金の最終的な機械的特性を向上させ、かつ決定することができる。加熱温度及び保温時間は、実際の状況に応じて選択することができる。理解できるように、使用に必要な機械的特性を満たすことができる限り、他の熱処理プロセスを採用してもよい。
【0076】
6.物理化学的検出及び検査:熱処理終了後に、寸法検出、元素検出、機械的特性検出、及び超音波探傷のような非破壊検査などを含む物理化学的検出及び検査を行う必要がある。熱処理担当者が熱処理後に検出してもよく、機械加工(後述する)担当者が機械加工前に検査してもよい。機械的特性の検出は、熱処理後のワークピースの関連領域に一部の材料を切断して検出することであってよく、本実施例において、粗加工時に中心位置を穿孔して取り外した部分を同時に熱処理し、該部分の検出結果は、主軸Xに近い内壁214、215の性能を近似して表し、外壁211と内壁212~215との間の領域に対して、熱処理した鍛造柱体の該領域の材料を切断することにより検出する。理解できるように、外壁211と内壁212~215との間の中空領域に粗加工を行った場合、該領域の粗加工により切断された部分を熱処理すると同時に検出して得られた結果も同様に該領域の性能を近似して表すことができ、領域の選択は、図面にマークすることができる。上記領域をサンプリングして機械的実験を行って、降伏強度及び引張強度を得る。非破壊検査は、超音波探傷を採用し、全面検査又は区画検査であってもよく、本実施例において、中心に近い内壁に対して超音波探傷検査を行う。
【0077】
7.機械加工:検出・検査して、熱処理後の鍛造体が要件に合致すると、機械加工を行って最終的に必要な形状及び寸法のメインフレームを取得し、理解できるように、機械加工は、ドリル、フライス加工、切削などの従来の機械加工手段を含むことができ、本実施例は、大型門型プラノミラーを用いてフライス加工し、プログラミングソフトウェアと組み合わせて自動加工を行う。
【0078】
メインフレーム21aと第2の横板224は、ボルトで接続され、第4の内壁215の第2の側板222に向かう端面には、第1のねじ孔が均一に機械加工され、第2の横板224の第1のねじ孔に対応する位置には、第1の貫通孔が均一に機械加工され、ボルトは、第1の貫通孔を貫通して第1のねじ孔に接続される。ボルトの組立を考慮して、第1の貫通孔の孔径が第1のねじ孔の孔径より僅かに大きく、第1のねじ孔及び第1の貫通孔の数量が接続強度を満たせばよい。第1、第2の側板221、222及び第2の横板224は、鉛アンチモン合金材料であり、鉛が放射をさらに遮断する作用を果たすことができ、また鉛アンチモン合金の強度が高い。第1、第2の側板221、222の外輪郭は、外壁211の外輪郭と一致する。第1、第2の側板221、222及び第2の横板224は、いずれもメインフレームにボルトで接続され、メインフレーム21aの内壁の第1、第2の側板及び第2の横板に向かう端面には、それぞれ第2のねじ孔が均一に機械加工され、第1、第2の側板221、222及び第2の横板224の第2のねじ孔に対応する位置には、第2の貫通孔が均一に機械加工され、ボルトの組立を考慮して、第2の貫通孔の孔径が第2のねじ孔の孔径より僅かに大きく、第2のねじ孔、第2の貫通孔の数量が接続強度を満たせばよい。
【0079】
理解できるように、本実施例におけるメインフレーム、側板、端板(第2の横板)の材料が一定の強度を有し、かつ中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短く(例えば、7日間より小さい)、また、メインフレームの材料性能がビーム整形体に対する支持を満たすことができればよく、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、鉛アンチモン合金、コバルトを含まない鋼材、炭素繊維、PEEK、高分子重合体などを採用し、側板、端板(第2の横板)及びメインフレームの間に他の取り外し可能な接続又は取り外し不可能な接続を採用することができ、取り外し可能な接続を採用するとき、本体部の各部分を容易に交換する。本実施例におけるビーム整形体の支持部及び支持部内に充填された本体部は、さらに他の構造形態を有してもよい。
【0080】
施工時に、まずメインフレーム21aをビーム整形体の支持部の予め設置された取付孔内に入れ、ボルトなどでメインフレーム21aの外壁211とビーム整形体の支持部を接続する。次に本体部の充填と第1、第2の側板及び第2の横板の取付を行い、PE、アルミニウム合金、黒鉛の密度が小さいため、対応する領域を全体的に充填することができ、鉛が重いため、中性子ビームNの方向に沿って1枚ずつ人工的に充填してもよく、機械により全体的に充填してもよく、フッ化マグネシウムを全体的に充填してもよく、1枚ずつ充填してもよい。ビーム整形体の取付終了後、輸送管、ターゲット、コリメータなどの他の部材を取り付け、コリメータ30がビーム出口の後部に設置され、コリメータ30から出た熱外中性子ビームは患者200に照射し、浅層正常組織を経過した後に熱中性子に減速されて腫瘤細胞Mに到着する。本実施例において、コリメータは、ボルトなどによりメインフレーム21aに固定され、第2の内壁213の第2の側板に向かう端面には、第3のねじ孔が予め設置され、第2の側板222の第3のねじ孔に対応する位置には、第3の貫通孔が均一に機械加工され、ボルトの組立を考慮して、第3の貫通孔の孔径が第3のねじ孔の孔径より僅かに大きく、第3のねじ孔、第3の貫通孔の数量が接続強度を満たせばよい。理解できるように、コリメータ30は、さらに他の接続形態により固定されてよく、コリメータ30は、省略されるか又は他の構造で置換されてもよく、中性子ビームは、ビーム出口から出て患者200に直接照射する。本実施例において、患者200とビーム出口との間にまた放射シールド装置50が設けられ、ビーム出口から出たビームが患者の正常組織への放射を遮断し、放射シールド装置50を設置しなくてもよいと理解されたい。
【0081】
本発明の実施例に記載されている「柱体」または「柱状」は、図面に示されている方向に沿って片側から向こう側までその外輪郭の全体的な流れがほとんど変わらない構造である。外輪郭にある1つの輪郭線は線分であってよい。例えば、円柱状の対応する輪郭線。それとも大きな曲率を有する線分に近い円弧であってもよい。例えば、大きな曲率を有する球体状の対応する輪郭線。外輪郭の表面全体はなめらかであってよく、それともなめらかでないであってもよい。例えば、円柱状または大きな曲率を有する球体状の表面に凹凸部がある。
【0082】
本発明の実施例に記載されている「錐体」または「錐状」は、図面に示されている方向に沿って片側から向こう側までその外輪郭の全体的な流れが段々と小さくなる構造である。外輪郭にある1つの輪郭線は線分であってよい。例えば、円錐状の対応する輪郭線。それとも円弧であってもよい。例えば、球体状の対応する輪郭線。外輪郭の表面全体はなめらかであってよく、それともなめらかでないであってもよい。例えば、円錐状または球体状の表面に凹凸部がある。
【0083】
以上に本発明の例示的な具体的な実施形態について説明して、当業者が本発明を理解することを容易にするが、明らかに、本発明は具体的な実施形態の範囲に限定されず、当業者にとって、様々な変化が添付の特許請求の範囲で限定かつ決定される本発明の精神及び範囲内にあれば、これらの変化が明らかであるため、いずれも本発明の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速器及びターゲットを含む中性子生成装置と、ビーム整形体とを含み、前記加速器が加速して生成した荷電粒子線が、前記ターゲットと作用して中性子を生成し、前記中性子が中性子ビームを形成し、前記中性子ビームが1本の主軸を限定する中性子捕捉療法システムであって、
前記ビーム整形体は、支持部及び前記支持部内に充填された本体部を含み、前記本体部は、減速体、反射体及び放射シールド体を含み、前記減速体は、前記ターゲットが生成した中性子を熱外中性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は、前記減速体を囲み、かつ前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に導いて熱外中性子ビーム強度を向上させ、前記放射シールド体は、非照射領域の正常組織への線量を減らすために、しみ出る中性子及び光子を遮断することを特徴とする、中性子捕捉療法システム。
【請求項2】
前記支持部は、前記主軸を囲んで周方向に閉じた外壁を含み、前記外壁で囲まれて収容部が形成され、前記本体部は、前記収容部内に設置され、前記収容部は、少なくとも1つの収容ユニットを含み、各前記収容ユニットは、前記減速体、反射体及び放射シールド体のうちの少なくとも1つを収容することを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項3】
前記支持部は、前記中性子ビームの方向に沿ってそれぞれ前記外壁の両側に設置され、前記外壁に接続された第1、第2の側板と、前記中性子ビームの方向に沿って前記第1、第2の側板の間に設置された少なくとも1つの横板と、前記主軸を囲んで周方向に閉じ、前記第1、第2の側板の間、又は前記横板と第1の側板との間、又は前記横板と第2の側板との間、又は前記横板と横板との間に延在する少なくとも1つの内壁と、をさらに含み、前記第1の側板には、前記加速器の輸送管が貫通する孔が設置され、前記第2の側板には、ビーム出口を形成する孔が設置され、前記外壁、内壁、横板及び第1、第2の側板の間に複数の前記収容ユニットが形成され、前記放射シールド体は、中性子シールド体及び光子シールド体を含み、少なくとも1つの前記収容ユニットは、前記減速体及び反射体、又は前記中性子シールド体及び反射体を同時に収容することを特徴とする、請求項2に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項4】
前記中性子シールド体の材料はPEであり、前記反射体の材料は鉛であり、前記反射体は、光子シールド体としても機能し、前記収容ユニット内に同時に収容された反射体と中性子シールド体は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記収容ユニット内の反射体と中性子シールド体の境界面は、前記中性子ビームの方向に垂直であることを特徴とする、請求項3に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項5】
前記支持部は、前記収容ユニットを周方向に複数のサブ領域に分ける径方向仕切り板をさらに含み、前記径方向仕切り板は、前記第1の側板の間、又は前記横板と第2の側板の間、又は前記横板と第1/第2の側板の間、又は前記横板と横板の間に設置され、かつ前記外壁から前記内壁まで延在するか又は2つの前記内壁の間に延在することを特徴とする、請求項3に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項6】
前記減速体は、基本部分及び前記基本部分を囲む補完部分を含み、前記支持部は、前記主軸を囲む壁を含み、前記基本部分と補完部分は、材料が異なり、かつ前記壁によって仕切られることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項7】
前記壁は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記中性子ビームの方向を囲んで周方向に閉じた第1の壁、第2の壁と、前記第1の壁と第2の壁を接続する横板とを含み、前記横板は、前記中性子ビームの方向に垂直に延在し、前記第1の壁は、前記加速器の輸送管を取り付けるためのものであり、前記第2の壁は、前記減速体の基本部分の収容キャビティを形成し、前記基本部分の材料は、DO、Al、AlF、MgF、CaF、LiF、LiCO又はAlのうちの少なくとも1種を含み、前記基本部分は、Li-6を含み、熱中性子吸収体としても機能することを特徴とする、請求項6に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項8】
前記基本部分は、前記中性子ビームの方向に基本的に垂直な第1、第2の端面を含み、前記第1、第2の端面は、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置され、前記第1の端面には、前記輸送管及びターゲットを収容する中心孔が設置され、前記第1の壁から前記主軸までの径方向距離は、前記第2の壁から前記主軸までの径方向距離より小さいことを特徴とする、請求項7に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項9】
前記第2の端面に隣接してシールド板が設置され、前記シールド板は鉛板であり、前記シールド板の前記中性子ビームの方向の厚さは5cm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の中性子捕捉療法システ
【請求項10】
前記補完部分は、隣接する第1、第2の補完ユニットを含み、前記基本部分、第1、第2の補完ユニットの材料がいずれも異なり、前記基本部分は柱状であり、前記第1及び第2の補完ユニットは、全体として少なくとも1つの錐状を含む形状に設置されることを特徴とする、請求項6に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項11】
前記第1の補完ユニットは、2つの方向が逆になって互いに隣接する錐状に設置され、前記第1の補完ユニットは、前記中性子ビームの方向に沿って順次設置された第1の錐体部及び第2の錐体部を含み、前記第1の錐体部の外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に大きくなる傾向があり、前記第2の錐体部は、前記第1の錐体部の外輪郭の径方向寸法の最大箇所で前記第1の錐体部に接続され、前記第2の錐体部の外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向があり、前記第2の補完ユニットは、前記第2の錐体部の外輪郭の径方向寸法の最小箇所で前記第2の錐体部に隣接し、前記第2の補完ユニットの外輪郭の径方向寸法は、前記中性子ビームの方向に沿って全体的に徐々に小さくなる傾向があることを特徴とする、請求項10に記載の中性子捕捉療法システ
【請求項12】
前記第1、第2の補完ユニットの、前記主軸が位置する平面に沿う横断面輪郭は、不規則な四角形又は多角形であり、前記第1の補完ユニットは、前記第1の錐体部で前記反射体に接触する第1の側面を有し、前記第2の錐体部で前記反射体に接触する第2の側面と前記第2の補完ユニットに接触する第3の側面を有し、前記第1及び第2の錐体部で前記壁に接触する第4の側面を共通に有し、前記第2の補完ユニットは、前記第1の補完ユニットに接触する第5の側面と、前記反射体に接触する第6の側面と、前記壁に接触する第7の側面とを有し、前記第3の側面と第5の側面は隣接し、かつ前記第1、第2の補完ユニットの境界面として機能し、前記境界面は、前記中性子ビームの方向に垂直であることを特徴とする、請求項11に記載の中性子捕捉療法システ
【請求項13】
前記支持部は、支持フレームを含み、前記支持フレームは、ブランクを加熱装置により加熱した後に鍛造装置により柱体に鍛造加工し、前記柱体を粗加工し熱処理した後に機械加工装置により加工成形したものであることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項14】
前記支持フレームは、少なくとも1つの収容ユニットを形成し、前記収容ユニットは、少なくとも一部の前記減速体を収容する第1の収容ユニットを含み、前記第1の収容ユニットは、径方向に前記支持フレームの中心に位置し、前記粗加工は、前記柱体の、前記第1の収容ユニットに対応する領域を穿孔することであることを特徴とする、請求項13に記載の中性子捕捉療法システ
【請求項15】
前記収容ユニットは、前記減速体、反射体及び放射シールド体のうちの少なくとも1つを収容する第2の収容ユニットを含み、前記支持フレームは、前記主軸を囲んで周方向に閉じた外壁及び少なくとも1つの内壁を含み、前記外壁と内壁又は内壁と内壁との間に前記第2の収容ユニットが形成され、前記粗加工は、前記柱体の、前記第2の収容ユニットに対応する領域に対する予備加工をさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の中性子捕捉療法システ
【国際調査報告】