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特表2022-528718ポリホルムアルデヒド複合材料及びその製造方法とポリホルムアルデヒドにおける消光剤としてのSEBSの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ポリホルムアルデヒド複合材料及びその製造方法とポリホルムアルデヒドにおける消光剤としてのSEBSの使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 59/00 20060101AFI20220608BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20220608BHJP
   C08K 3/20 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
C08L59/00
C08L53/02
C08K3/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559835
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020080613
(87)【国際公開番号】W WO2020207235
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】201910289253.8
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520070792
【氏名又は名称】金発科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KINGFA SCI. & TECH. CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.33 Kefeng Road, Science City, Hi-Tech Industrial Development Zone, Guangzhou, Guangdong 510663, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】曹 紹強
(72)【発明者】
【氏名】葉 南▲ビャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 険波
(72)【発明者】
【氏名】陳 鋒
(72)【発明者】
【氏名】付 学俊
(72)【発明者】
【氏名】禹 権
(72)【発明者】
【氏名】丁 超
(72)【発明者】
【氏名】彭 忠泉
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BP012
4J002CB001
4J002DE076
4J002DE146
4J002EE009
4J002EF057
4J002EG037
4J002EG047
4J002EH047
4J002EH048
4J002EJ028
4J002EJ038
4J002EJ048
4J002EN029
4J002EU179
4J002EW048
4J002EW049
4J002EW068
4J002EW069
4J002FD049
4J002FD058
4J002FD078
4J002FD177
4J002FD206
4J002GT00
(57)【要約】
本発明は、ポリホルムアルデヒド複合材料を開示し、重量部で、ポリホルムアルデヒド70-95部、SEBS5-20部の成分を含み、ここで、SEBSは酸修飾又はアミン修飾されている。SEBSは、酸又はアミン修飾の使用及びポリスチレンセグメントの存在により、空間立体効果のため、ポリホルムアルデヒドとの適合性が低減し、POM分子鎖の規則的配列の能力を低減させ、製品又はテンプレートを射出成型する時、材料自体の非適合性が材料の表面にマイクロ粗化効果を形成し、入射光がマイクロ粗化表面に到達する時、光の反射方向が変化して乱反射が現れ、低光沢材料を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリホルムアルデヒド複合材料であって、重量部で、以下の成分
ポリホルムアルデヒド70-95部、
SEBS5-20部、
を含み、ここで、SEBSは酸修飾又はアミン修飾されている、ことを特徴とするポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項2】
前記酸修飾SEBSはカルボン酸官能基を含み、前記アミン修飾SEBSはアミノを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項3】
前記SEBSの酸値は、5-15(mg CHONa/g)である、ことを特徴とする請求項2に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項4】
前記酸修飾は、臭化又はアセチル化を採用する方法であり、ベンゼン環のパラ位に一つの臭素又はアセチルを結合し、その後に酸で酸化又はアセチル酸化を行ってカルボン酸官能基を得て;前記アミン修飾の方法は、SEBSにおけるベンゼン環のパラ位にニトロを導入し、さらに還元反応によってニトロをアミノに転換し;好ましくは、SEBSはアミン修飾されている、ことを特徴とする請求項1に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項5】
まずGMAでSEBSをグラフトし、さらにGMA分岐で酸修飾を行う、ことを特徴とする請求項4に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項6】
前記SEBSの重量平均分子量は30000-100000であり、そのうちスチレンセグメントが総セグメント分子量の10-40%を占める、ことを特徴とする請求項1-3のいずれか1項に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項7】
前記ポリホルムアルデヒドは、ホモ重合ポリホルムアルデヒド又は共重合ポリホルムアルデヒドのうちの少なくとも一つであり、前記ポリホルムアルデヒドのメルトインデックスは、2~28g/10min(190℃/2.16KG)である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項8】
重量部で0.5-1.2部のホルムアルデヒド吸收剤をさらに含み、前記ホルムアルデヒド吸收剤は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムのうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項9】
重量部で0.1-10部の助剤をさらに含み、前記助剤は、抗酸化剤、潤滑剤、熱安定剤、UV吸収性添加剤のうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載のポリホルムアルデヒド複合材料。
【請求項10】
ポリホルムアルデヒド、SEBS、助剤を高速混合機に加えて均一に混合し、さらにスクリュー押出、造粒によってポリホルムアルデヒド複合材料を得るステップを含み、ここで、スクリューの温度範囲は120-200℃であり、回転数は250-500回転/分である、ことを特徴とする前記ポリホルムアルデヒド複合材料の製造方法。
【請求項11】
重量部で、ポリホルムアルデヒド70-95部、SEBS5-20部の成分を含み、そのうち、SEBSは、酸修飾又はアミン修飾されている、ことを特徴とするポリホルムアルデヒドにおける消光剤としてのSEBSの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料の技術分野に関し、特に、ポリホルムアルデヒド複合材料及びその製造方法とポリホルムアルデヒドにおける消光剤としてのSEBSの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリホルムアルデヒド(POM)は、ホルムアルデヒドホモ重合体又はホルムアルデヒド共重合体に分けられる。そのうち、1955年前後にアメリカのデュポン社は、ホルムアルデヒドの重合からホルムアルデヒドのホモ重合体を得た。ポリホルムアルデヒドは、結晶しやすく、結晶度は、70%以上である。ホモポリホルムアルデヒドの溶融温度は、180℃前後である。それは、ポリアミド後の、もう一つの総合的な性能に優れたエンジニアリングプラスチックであり、強度、モジュラス、耐摩耗性、靭性、耐疲労性と耐クリープ性などの高い力学的特性を有し、また優れた電気絶縁性、耐溶剤性と加工可能性を有し、5つの汎用エンジニアリングプラスチックの一つである。アセタール重合体すなわちポリホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドの重合によって形成されるものであり、それは、常にポリオキシメチレン(POM)と呼ばれる。ホルムアルデヒドから重合体を製造することは、1920年代初めに研究されたが、l959年にデュポンがDelrin(デリン)を開発した前に、まだ熱安定材料が作られていない。ホモ重合体は、非常に純粋なホルムアルデヒドでアニオン重合により製造される。共重合ホルムアルデヒドは、アメリカのセラニース(Celanese)によって1962年に初めて開発され商品化されたものであり、商品名が「Celcon」である。主にトリポリホルムアルデヒドとジオキソランを採用し、触媒(現在では主に使用される触媒は、BF及びそのエチルエーテル/ブチルエーテル/エステル類の錯体であり、この触媒の反応レートが適正で、反応後に生成物と分離しやすい)と分子量調節剤(ジメトキシメタンMEAL)との共同作用下で重合して得られる重合体である。共重合ホルムアルデヒドは、ホモポリホルムアルデヒドに対して、分子鎖にC-C鎖を導入するため、ポリホルムアルデヒドの分解において、C-C鎖に分解反応する時、ホルムアルデヒドの連鎖分解を停止することにより、材料の熱安定性を向上させ、加工に有利である。
【0003】
SEBSは、ポリスチレンを末端セグメントとして、ポリブタジエンの水素化によって得られるエチレン-ブテン共重合体を中間エラストマー性ブロックとする線状トリブロック共重合体である。SEBSは、主に各種の熱可塑性樹脂に強化剤として使用されており、それを修飾して使用されている。中国特許201210572164.2は、ABS/POMアロイを開示し、それは、SEBSグラフト無水マレイン酸を加えて相溶化剤とするが、SEBSの他の側面の修飾(例えば酸修飾又はアミン修飾)を深く探求しておらず、ポリホルムアルデヒド表面の光沢度を低減させる。中国特許201611151834.8は、エチレン酢酸ビニル共重合体で強化された複合修飾SEBSシース材料(compound modified SEBS sheath material)を開示し、それは、大量のステアリン酸を使用してSEBSを膨潤させる。SEBSがステアリン酸に十分に膨潤した後、油性SEBSが得られ、エチレン醋酸エチレン共重合体と石灰石等の成分の系中での凝集効果を減少させる。SEBSを修飾することによってPOMに低光沢度をもたらす効果は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許201210572164.2号明細書
【特許文献2】中国特許201611151834.8号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低光沢度の利点を有するポリホルムアルデヒド複合材料及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、ポリホルムアルデヒドにおける消光剤としてのSEBSの使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の技術案によって実現される。
【0008】
ポリホルムアルデヒド複合材料であって、重量部で、以下の成分
ポリホルムアルデヒド70-95部、
SEBS5-20部、
を含み、ここで、SEBSは酸就職又はアミン修飾されている。
【0009】
SEBS酸修飾の方法は、臭化又はアセチル化を採用する方法であり、ベンゼン環のパラ位に一つの臭素又はアセチルを結合し、その後に酸で酸化を行い又はアセチル基を酸化してカルボン酸官能基を得る。
【0010】
アミン修飾の方法は、SEBSにおけるベンゼン環のパラ位にニトロ基を導入し、さらに還元反応によってニトロ基をアミノ基に転換する。
【0011】
好ましくは、SEBSは、アミン修飾されたものである。酸修飾SEBSと比較して、アミン修飾SEBSの消光効果がより高い。
【0012】
具体的には、SEBS酸修飾の方法は以下のとおりである:SEBS5gをクロロホルム溶液50mlに溶解し、次に溶液中に無水FeCl 0.2gを加え、撹拌条件下で臭素溶液2mlをゆっくりと滴下し、溶液を暗黒条件下に室温で1日間撹拌し、過剰のエタノールで重合体を沈澱し、次に溶液を濾過し、順にアセトンと水で洗浄し、次に100℃で乾燥して臭化SEBSを得る;臭化SEBS4gをジフェニルエーテル15mlに溶解し、次いで亜リン酸ジエチル16ml、Pd(dbac)CHCl 0.08gとトリエチルアミン1.2mlの混合物を溶液に添加し、その後に155℃の窒素条件下で2日間還流する;エタノール/水溶液(体積比90/10)で重合体を沈澱し、濾過乾燥して酸修飾SEBSを得る。
【0013】
Pd(dbac)は、遷移金属パラジウム触媒であり、他の触媒に置換してもよい。
【0014】
具体的には、SEBSアミン修飾の方法は以下のとおりである:SEBS5gをクロロホルム溶液50mlに溶解し、撹拌条件下で、硝酸60mlと濃硫酸40mlの混合液を溶液にゆっくりと滴下し、熱が完全に発散した後、70℃で1時間撹拌し、次に20%(w/w)のNaOH溶液で余分な酸を中和し、トリクロロメタン層をエタノールに注入し、重合体を沈澱し、濾過乾燥し、ニトロ化SEBSを得る;ニトロ化SEBS4gをTHF30mlに溶解し、塩化スズ60gをHCl60mlに溶解し、60℃で撹拌して還元混合物を製造する;還元混合物を前の溶液に加え、85℃で3時間還流し、その後に10%(w/w)のNaOHで中和し、エタノールで重合体を沈澱し、濾過乾燥してアミノ化SEBSを得る。
【0015】
SEBSの酸修飾、アミン修飾の方法の全体的な考えは上記の通りであるが、上記試薬、用量、反応条件等は、実際の状況に応じて調整されてもよい。
【0016】
まずGMAでSEBSをグラフトし、さらにGMA分岐に対して酸修飾を行うことであってもよい。
【0017】
本発明は、SEBSにおけるポリスチレンセグメントのポリホルムアルデヒドに対する立体障害効果を利用し、適合性が低く、さらに酸又はアミンを用いてSEBSを修飾し、さらにSEBSとポリホルムアルデヒドとの適合性を低減させ、ポリホルムアルデヒド分子鎖の規則的配列の能力を低減させる。製品又はテンプレートを射出成型する時、材料自体の非適合性が材料の表面にマイクロ粗化効果を形成する。入射光がマイクロ粗化表面に到達すると、光の反射方向が変化して乱反射が現れ、低光沢のポリホルムアルデヒド複合材料を得る。
【0018】
前記SEBSの酸値は、5-15(mg CHONa/g)である。一般的には、SEBSは、酸又はアミンで修飾された後だけ、一定の酸値を有する。
【0019】
SEBSの酸値テストの方法は、酸塩基滴定法を採用し、0.1mol/LのCHONa溶液を採用して修飾された後のSEBSに対して滴定を行い、滴定終点によってSEBSの酸値を計算する。一定の量のSEBSを取り、クロロホルム50mlに加え、完全に溶解した後、ブロモフェノールブルー指示薬を加え、均一に振った後、CHONa溶液で滴定を行い、溶液が黄から青に変化した後に滴定を停止し、酸値を計算する。「mg CHONa/g」は、1gの試料を中和するために必要とするナトリウムメトキシドのミリグラム数を表す。
【0020】
本発明の酸又はアミンSEBSの重量平均分子量は、30000-100000である。
【0021】
好ましくは、前記SEBSのスチレンセグメントの含有量は、10-40%である。スチレンセグメントの存在は、立体障害効果のため、POMとの適合性が低減することにより、光沢度を効果的に低減させる。試験の過程で、スチレンセグメントの含有量が高すぎる場合、適合性が低く、消光性能が向上するが、ポリホルムアルデヒド複合材料の他の性能が低すぎることが判明した。スチレンセグメントの含有量が低すぎると、消光作用が大きく低下する。実験の中で、スチレンセグメントの含有量が約43%である場合、スチレンセグメントの含有量が約37%である試験例と比べて、衝撃強度が15%低下し、応用が制限されてしまい、スチレンセグメントの含有量が約8%である場合、消光性能は、スチレンセグメントの含有量が約37%である試験例の35%に過ぎないことが判明した。
【0022】
前記ポリホルムアルデヒドは、ホモ重合ポリホルムアルデヒド又は共重合ポリホルムアルデヒドのうちの少なくとも一つであり、前記ポリホルムアルデヒドのメルトインデックスは、2~28g/10min(190℃/2.16KG)である。
【0023】
重量部で、0.5-1.2部のホルムアルデヒド吸收剤をさらに含み、前記ホルムアルデヒド吸收剤は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムのうちの少なくとも一つから選択される。
【0024】
ポリホルムアルデヒドは、使用、溶融押出、プレス、射出成型プロセスにおいて有害なホルムアルデヒドガスを分解する可能性があり、状況に応じてホルムアルデヒド吸收剤を加える。
【0025】
重量部で、0.1-10部の助剤をさらに含み、前記助剤は、抗酸化剤、潤滑剤、熱安定剤、UV吸収性添加剤のうちの少なくとも一つから選択される。
【0026】
前記潤滑剤は、ステアリン酸塩類潤滑剤、脂肪酸類潤滑剤、ステアリン酸エステル類潤滑剤のうちの少なくとも一つから選択され、前記ステアリン酸塩類潤滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛のうちの少なくとも一つから選択され、前記脂肪酸類潤滑剤は、脂肪酸、脂肪酸誘導体、脂肪酸エステルのうちの少なくとも一つから選択され、前記ステアリン酸エステル類潤滑剤は、ペンタエリスリトールステアリン酸エステルのうちの少なくとも一つから選択され、好ましくは、前記潤滑剤は、脂肪酸類潤滑剤、ステアリン酸エステル類潤滑剤のうちの少なくとも一つから選択される。
【0027】
抗酸化剤は、主抗酸化剤又は安定剤(例えばヒンダードフェノール及び/又はsec-アリールアミン)と任意の補助抗酸化剤(例えばリン酸エステル及び/又はチオエステル)を含む。好適な抗酸化剤は、例えば有機リン酸エステル、例えば亜リン酸トリス(ノニルフェニル)エステル、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)エステル、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等、アルキル化の一価フェノール又は多価フェノール、多価フェノールとジエンとのアルキル化反応生成物、例えばテトラ[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ水素化ケイ皮酸エステル)]メタン等、p-クレゾール又はジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、アルキル化ヒドロキノン、ヒドロキシ化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、ベンジル化合物、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価アルコール又は多価アルコールのエステル、β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロピオン酸と一価アルコール又は多価アルコールのエステル、スルファニル又はチオアリール化合物のエステル、例えばジステアリルチオプロピオン酸エステル、ジラウリルチオプロピオン酸エステル、ビス(トリデシル)チオプロピオン酸エステル、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、ペンタエリスリトール-テトラ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオン酸エステル等、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸のアミド等、又は少なくとも一つの前述抗酸化剤を含む組み合わせを含む。
【0028】
好適な熱安定剤は、例えば有機亜リン酸エステル、例えば亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(2,6-ジメチルフェニル)エステル、亜リン酸トリス(混合されるモノとジノニルフェニル)エステル等、ホスホネート、例えばジメチルフェノールホスホネート等、リン酸エステル、例えばリン酸トリメチル等、又は少なくとも一つの前述熱安定剤を含む組み合わせを含む。
【0029】
光安定剤及び/又は紫外光(UV)吸収性添加剤を添加することができる。好適な光安定剤は、例えばベンゾトリアゾール類、例えば2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール及び2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン等を含み、トリアジン類の紫外光吸收剤、又は少なくとも一つの前述光安定剤を含む組み合わせも含む。
【0030】
好適なUV吸収性添加剤は、例えばヒドロキシベンゾフェノン類、ヒドロキシベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾトリアジン類、シアノアクリレート類、オキサリルジフェニルアミン類、ベンゾオキサジンケトン類、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(CYASORM 5411)、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORM 531)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール(1164)、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(CYASORM UV-3638)、1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL 3030)、例えば酸化チタン、セリア及び酸化亜鉛、全てのこれらの粒度が100nmよりも小さいナノメータ寸法の無機材料、又は類似体、又は少なくとも一つの前述UV吸収剤を含む組み合わせを含む。
【0031】
上記ポリホルムアルデヒド複合材料の製造方法は、ポリホルムアルデヒド、SEBS、助剤、ホルムアルデヒド吸收剤を高速混合機に加えて均一に混合し、さらにスクリュー押出、造粒によってポリホルムアルデヒド複合材料を得るステップを含み、ここで、スクリューの温度範囲は120-200℃であり、回転数は250-500回転/分である。
【0032】
ポリホルムアルデヒドにおける消光剤としてのSEBSの使用は、重量部で、ポリホルムアルデヒド70-95部、SEBS5-20部の成分を含み、ここで、SEBSは、酸修飾又はアミン修飾されている。
【発明の効果】
【0033】
従来の技術と比べて、本発明は、以下のような有益な効果を有する。
本発明は、ポリホルムアルデヒドに酸修飾又はアミン修飾のSEBSを加えることによって、酸値は5-15(mg CHONa/g)であり、ポリホルムアルデヒドの光沢度を低減させることができる。具体的には、系中に酸修飾又はアミン修飾のSEBSを加え、この種のSEBSとポリホルムアルデヒド樹脂マトリックスとの適合性が低くなり、ポリホルムアルデヒド分子鎖の規則的配列の能力を低減させる。製品又はテンプレートを射出成型する時、材料自体の非適合性により材料の表面にマイクロ粗化効果が形成される。入射光がマイクロ粗化表面に到達すると、光の反射方向が変化して乱反射が現れ、低光沢のポリホルムアルデヒド複合材料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、具体的な実施形態によって本発明についてさらに説明する。以下の実施例は、本発明の思想をより体現できる実施形態であるが、本発明の実施形態は、下記実施形態に制限されるものではない。
【0035】
実施例と比較例の実験に使用される原料は、以下の原料であるが、以下の原料に限られない。
ポリホルムアルデヒド:竜宇POM MC90、共重合POM、メルトインデックス:9g/10min(190℃/2.16KG);
SEBS-A:酸修飾されたSEBS原料は、科騰G1650であり、明細書における酸修飾方法を応用して自ら修飾し、酸値は10.2mgCHONa/gであり、重量平均分子量は約70000であり、スチレンセグメントの含有量は約30%である;
SEBS-B:アミン修飾されたSEBS原料は、科騰G1652であり、明細書におけるアミン修飾方法を応用して自ら修飾し、酸値は5.1mgCHONa/gであり、重量平均分子量は約50000であり、スチレンセグメントの含有量は約30%である;
SEBS-C:一般的なSEBS、SEBS3151、酸修飾とアミン修飾がなく、分子量は約40000であり、スチレンセグメントの含有量は約32%である;
SEBS-D:S902、GMAグラフト率は3%であり、酸修飾とアミン修飾がない;
SEBS-E:酸修飾されたGMAグラフトSEBS、明細書における酸修飾方法を応用して自ら修飾し、酸値は9.7mgCHONa/gであり、重量平均分子量は約65000であり、スチレンセグメントの含有量は約27%である;
酸化マグネシウム:KYOWAMAG150;
抗酸化剤:ヒンダードフェノール類抗酸化剤IRGANOX245/ヒンダードフェノール類抗酸化剤RIANOX1098。
【0036】
実施例と比較例のポリホルムアルデヒド複合材料の製造方法は、ポリホルムアルデヒド、SEBS、ホルムアルデヒド吸收剤、助剤を高速混合機に加えて均一に混合し、さらにスクリュー押出、造粒によってポリホルムアルデヒド複合材料を得るステップを含み、ここで、スクリューの温度は120/160/170/180/180/180/180/180/180/190℃であり、回転数は300回転/分である。
【0037】
各性能のテスト方法は、以下の通りである。
(1)光沢度:光沢度は、光電光沢計によってテストされ、100mm*100mm*2.0mmの角板を10枚ずつ射出成型し、光電光沢計(60°角)を採用して10枚の角板の光沢度をテストし、平均値を取った。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1-4と比較例3から分かるように、酸修飾SEBSの添加量が増加すると、ポリホルムアルデヒド複合材料の表面の光沢度がそれに伴って低減する。
【0040】
実施例3/5、比較例1/2/3から分かるように、一般的なSEBSは、ポリホルムアルデヒド複合材料の表面の光沢度を効果的に低減させることができない。
【0041】
実施例3と実施例5から分かるように、アミン修飾SEBSの消光効果が比較的に高い。
【国際調査報告】