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特表2022-528736患者における好ましくない抗体を隔離するための化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】患者における好ましくない抗体を隔離するための化合物
(51)【国際特許分類】
   C07K 17/06 20060101AFI20220608BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 38/04 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220608BHJP
【FI】
C07K17/06 ZNA
A61P37/06
A61K38/04
A61K47/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560166
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2020058024
(87)【国際公開番号】W WO2020193486
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】19164784.1
(32)【優先日】2019-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.UNIX
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521438777
【氏名又は名称】アブレヴィア バイオテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スムルツカ、オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンコ、ベッティーナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC07
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA14
4C084BA15
4C084BA16
4C084BA17
4C084BA18
4C084BA41
4C084BA42
4C084NA06
4C084NA07
4C084NA14
4C084ZB08
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA30
4H045BA42
4H045EA20
4H045FA20
(57)【要約】
本発明は、患者における望ましくない抗体(自己免疫疾患と関連したものなど)の隔離のための化合物を提供する。前記化合物は、不活性な生体高分子足場、並びに少なくとも、一般式P(-S-P)(n-1)の第1のペプチドnマー及び一般式P(-S-P)(n-1)の第2のペプチドnマーを含み、Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nは1以上の整数であり、前記ペプチドnマーのそれぞれは前記生体高分子足場に結合している。また、前記化合物を含む医薬組成物、並びに、個体内に存在する1又は複数の抗体を隔離する方法、及び活性薬剤を用いた処置に対する免疫反応を阻害する方法、も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・生体高分子足場、並びに少なくとも
・下記一般式の第1のペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1) 及び
・下記一般式の第2のペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
を含む化合物、ここで
Pはそれぞれ独立に2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nは1以上である整数、好ましくは2以上である整数、より好ましくは3以上である整数、特には4以上である整数であり、
前記ペプチドnマーのそれぞれは、好ましくは各々リンカーを介して、前記生体高分子足場に結合している。
【請求項2】
少なくとも1つのPが環状ペプチドであり、好ましくは全てのPのうち少なくとも10%が環状ペプチドであり、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%が環状ペプチドであり、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%が環状ペプチドであり、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%が環状ペプチドであり、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%が環状ペプチドであり、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも95%が環状ペプチドであり、特には全てのPが環状ペプチドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Pがそれぞれ独立にP又はPであり、
が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、又は
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pである、
請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記ペプチドP及び前記ペプチドPが、同一抗原の2個の異なるエピトープであるか、又は同一エピトープの2個の異なるエピトープ部分である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記生体高分子足場が、アルファ1-グロブリン、アルファ2-グロブリン、及びベータ-グロブリンからなる群より選択され、特には前記生体高分子足場が、ハプトグロビン又はトランスフェリン、特にハプトグロビンである、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が哺乳類において、好ましくは、ヒトにおいて、非ヒト霊長類において、ヒツジにおいて、ブタにおいて、イヌにおいて、又は齧歯類において、非免疫原性である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の化合物と、少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤(excipient)と、を含む医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物がヒトにおいて非免疫原性である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
治療における使用のための、請求項7又は請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
自己免疫疾患を有する、又は自己免疫疾患を発症するリスクを有する個体における、前記自己免疫疾患の予防又は治療における使用のための、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
移植片を有する又は移植適格な個体における、移植片拒絶の予防又は治療における使用のための、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
薬物による治療を受けている若しくは薬物による治療に適格な個体での、又は遺伝子治療を受けている若しくは遺伝子治療に適格な個体での、
抗薬物抗体又は抗遺伝子送達ベクター抗体、特に抗AAV抗体、に基づく有害反応の予防又は治療における、
使用のための、請求項9に記載の医薬組成物、ここで
好ましくは前記薬物がペプチド又はタンパク質、特に酵素、酵素阻害剤、抗体、抗体断片、抗体ミメティック、抗体薬物複合体、ホルモン、成長因子、凝固因子、及びサイトカインからなる群より選択されるペプチド又はタンパク質であり、
好ましくは少なくとも1個のペプチドPの、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの、N末端及び/又はC末端システインが除かれていてもよい全体配列が、前記ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列の配列断片と同一であり、
前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含んでいてもよい。
【請求項13】
個体内に存在する1又は複数の抗体を隔離する方法であって、
請求項7又は請求項8に定義される医薬組成物を得ること、ここで前記組成物は前記個体内で非免疫原性であり、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体は、少なくとも1つのPに対して、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPに対して、特異的である;及び
前記医薬組成物を前記個体に投与すること
を含む方法。
【請求項14】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の化合物を含み、さらにタンパク質又はペプチドなどの活性薬剤を含み、少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤(excipient)を含んでもよい医薬組成物、ここで
前記活性薬剤は2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチド断片を含み、
前記化合物の少なくとも1つのペプチドP、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの配列は、前記ペプチド断片の配列と、少なくとも70%同一、好ましくは少なくとも75%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも85%同一、いっそう好ましくは少なくとも90%同一、よりいっそう好ましくは少なくとも95%同一、特には完全に同一である。
【請求項15】
活性薬剤を用いた処置を必要とする個体内において、前記活性薬剤を用いた処置に対する免疫反応を阻害する方法であって、
請求項14に定義される医薬組成物を得ること、ここで前記医薬組成物の前記化合物は前記個体内で非免疫原性である;及び
前記医薬組成物を前記個体に投与すること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、自己免疫疾患に関与する抗体など、個体内の好ましくない抗体を隔離(sequestration)するための化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、抗体は体液性免疫系の重要な成分であり、細菌、ウイルス、真菌、又は寄生体などの外来生物による感染からの保護を提供する。しかしながら、特定の状況、例えば自己免疫疾患、臓器移植、輸血、又は、生体分子薬若しくは遺伝子送達ベクターの投与などにおいては、抗体は患者自身の身体(又は外来の組織若しくは細胞、又は投与された直後の生体分子薬若しくはベクター)を標的とし、有害な、又は疾患を引き起こす存在となりうる。一部の抗体は画像診断のためのプローブに干渉する場合もある。以下、このような抗体全般を「望ましくない抗体」又は「好ましくない抗体」と称する。
【0003】
わずかな例外を除き、望ましくない抗体の選択的除去は臨床的な実用には至っていない。現時点で、適応症(indications)は極めて限定的である。選択的抗体除去の公知の(しかし広範には確立されていない)技術の1つは、イムノアフェレーシスである。(免疫グロブリンを除去する)イムノアフェレーシスとは対照的に、選択的イムノアフェレーシスは、望ましくない抗体をその抗原結合部位に対する選択的結合によって枯渇させる体外の選択的抗体吸着カートリッジを通して、血漿を濾過することを伴う。選択的イムノアフェレーシスは、例えば、抗A又は抗B抗体をABO不適合移植に先立って血液から除去するために、又は輸血医学における適応症に対して使用されてきた(Teschner et al)。選択的アフェレーシスは、神経免疫学的な適応症(Tetala et al)又は重症筋無力症(Lazaridis et al)などの他の適応症においても実験的に適用されたが、臨床ルーチンにおいては未だ確立されていない。選択的イムノアフェレーシスが消極的にしか適用されない理由の一つは、それが特別な医療を要する、高コストかつ煩雑な治療介入を伴う手段であるという事実である。さらに、従来技術においては、どのようにすれば望ましくない抗体を速やかに、かつ効率的に枯渇させられるか知られていない。
【0004】
アフェレーシスとは無関係に、Morimoto et al.は、ペプチド及びFLAGペプチドなどのペプチド模倣リガンドの免疫グロブリン結合親和性の改善のために一般的に適用できる多価足場(multivalent scaffold)として、デキストランを開示している。国際公開第2011/130324号は、細胞傷害の予防のための化合物に関する。欧州特許出願公開第3059244号は、C-metタンパク質アゴニストに関する。
【0005】
上述のように、アフェレーシスは体外で適用される。一方、好ましくない抗体を体内で枯渇させるためのアプローチが従来技術においていくつか提案されており、それらは大部分が自己抗体を伴う一部の自己免疫疾患又は抗薬物抗体と関連したものである。
【0006】
Lorentz et alは、in situで赤血球に寛容原性ペイロードをチャージし、抗原特異的T細胞の枯渇を促す技術を開示している。これは、モデル抗原に対する望ましくない体液性応答を最終的に減少させると考えられる。同様のアプローチが、Pishesha et al.において提案されている。このアプローチでは、ex vivoでペプチド抗原構築物を赤血球の表面に共有結合するようにロードし、一般的な免疫寛容誘導のための動物モデルに再注入する。
【0007】
国際公開第92/13558号は、安定な非免疫原性ポリマーと免疫原のアナログとの複合体であって、前記免疫原の特異的B細胞結合能を有し、個体に導入された際に前記免疫原に対する体液性アネルギーを誘導する複合体に関する。従って、これらの複合体は、外来又は自己免疫原によって引き起こされる、抗体媒介性の症状を治療するために有用であると開示されている。これと関連して、欧州特許出願公開第0498658号も参照のこと。
【0008】
Taddeo et alは、オボアルブミンモデル抗原と融合した抗CD138抗体誘導体を用いて、前記モデル抗原に対する抗体を発現する抗体産生形質細胞においてin vitroで選択的に受容体架橋及び細胞の自殺を誘導し、それらの細胞を選択的に枯渇させることを開示している。
【0009】
Apitope International NV(ベルギー)は現在、寛容性を誘導する抗原提示細胞からの共刺激分子の低レベルの発現をもたらすことで抗体応答を抑制しうる、可溶性の寛容原性T細胞エピトープペプチドを開発している(例えばJansson et alを参照のこと)。これらの製品は現在、多発性硬化症、グレーブス病、中間部ブドウ膜炎、及び他の自己免疫状態、並びに第VIII因子不寛容などに対する前臨床及び早期臨床評価の段階にある。
【0010】
同様に、Selecta Biosciences,Inc.(米国)は現在、いわゆる合成ワクチン粒子(Synthetic Vaccine Particles;SVPs)による寛容誘導のストラテジーを研究している。SVPラパマイシンは、制御性T細胞の選択的誘導よって望ましくない抗体の産生を阻止することにより、寛容性を誘導すると考えられる(Mazor et alを参照のこと)。
【0011】
Mingozzi et alは、抗体を吸着するが標的細胞に侵入することはできないデコイアデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドを開示している。
【0012】
国際公開第2015/136027号は、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)IgM抗体に結合する最小ヒトナチュラルキラー1(HNK-1)エピトープを提示する糖質リガンド、並びに、抗MAG神経障害の診断及び治療のためのその使用を開示している。国際公開第2017/046172号はさらに、神経系疾患と関連した抗グリカン抗体が結合する神経系のスフィンゴ糖脂質を含んだ糖エピトープを模倣した、糖質リガンド及び部分をそれぞれ開示している。この文献はさらに、抗グリカン抗体と関連した神経系疾患の診断及び治療における、これら糖質リガンド/部分の使用に関する。
【0013】
米国特許出願公開第2004/0258683号は、腎SLEを含む全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するための方法、SLEに罹患した個体における腎フレアのリスクを減少させる方法、及び、このような治療をモニタリングする方法を開示している。腎SLEを含むSLEを治療し、SLEに罹患した個体における腎フレアのリスクを減少させる、開示された方法の1つは、抗二本鎖DNA(dsDNA)抗体濃度を減少させるための薬剤、例えばエピトープ提示キャリア又はエピトープ提示バレンシープラットフォーム分子の形態のdsDNAエピトープの有効量を、前記個体に投与することを伴う。
【0014】
米国特許第5637454号は、自己免疫疾患のアッセイ及び治療に関する。治療のために使用される薬剤は、同定された抗原性の分子模倣配列と相同なペプチドを含みうる。これらのペプチドは、特定の特異性を有する循環抗体の量を減少させるために患者に送達されうると開示されている。
【0015】
米国特許出願公開第2007/0026396号は、寒冷不耐性を引き起こす抗体を標的としたペプチド、及びその使用に関する。開示されたペプチドを使用することにより、望ましくない自己抗体をin vivo又はex vivoで中和することが可能であると教示されている。類似のアプローチが国際公開第1992/014150号又は国際公開第1998/030586号に開示されている。
【0016】
国際公開第2018/102668号は、疾患を引き起こす、又は望ましくない抗体の選択的分解のための融合タンパク質を開示している。この融合タンパク質(「Seldeg」と名付けられた)は、細胞表面受容体又は他の細胞表面分子に中性付近のpHで特異的に結合するターゲティング成分と、直接又は間接に前記ターゲティング成分に融合した抗原成分とを含む。また、標的抗原特異的抗体に特異的に結合するように構成された抗原成分を有するSeldegを患者に投与することによって、その患者から前記標的抗原特異的抗体を枯渇させる方法も開示されている。
【0017】
国際公開第2015/181393号は、ヒマワリトリプシン阻害剤(SFTI)を基盤とする足場及びサイクロチドを基盤とする足場にグラフトされたペプチドに関するものである。これらのペプチドは自己免疫疾患に有効であると開示されている。例えば、前記SFTI足場にグラフトされたシトルリン化フィブリノーゲン配列が関節リウマチにおける自己抗体をブロックし、炎症及び痛みを抑制することが示されている。これらの足場は非免疫原性であると開示されている。
【0018】
Erlandsson et alは、抗イディオタイプ抗体及びそれらの誘導体によってイディオタイプ抗体をin vivoで除去することを開示している。
【0019】
Berlin Cures Holding AG(Germany)は、拡張型心筋症及び他のGPCRー自己抗体関連疾患の治療のための静脈内広範中和DNAアプタマー(intravenous broad spectrum neutralizer DNA aptamer)(例えば国際公開第2016/020377号及び国際公開第2012/000889号を参照のこと)を提案し、高用量のそれが自己抗体の抗原結合領域に競合的に結合することによって自己抗体をブロックすると考えた。一般に、アプタマー類は今までのところ大きな進歩を遂げておらず、未だ臨床開発の予備段階にある。生体安定性及びバイオアベイラビリティ、並びにヌクレアーゼ感受性、毒性、サイズの小ささ、及び腎クリアランスといった制約は未だに大きな課題である。選択的抗体アンタゴニストとしてのそれらの使用に関して特に問題なのは、それらが自然免疫応答を刺激する性質を有することである。
【0020】
国際公開第00/33887号は、抗体、特に疾患関連抗体の循環濃度を減少させるための方法を開示している。これらの方法では、有効量のエピトープ提示キャリアを個体に投与する必要がある。さらに、抗体の循環濃度を減少させるための、エピトープ提示キャリアを用いたex vivo法も開示されている。
【0021】
米国特許第6022544号は、高分子量免疫賦活分子を含まない非免疫原性構築物を哺乳類に投与することにより、前記哺乳類における望ましくない抗体応答を減少させるための方法に関する。前記構築物は、医薬的に許容される非免疫原性キャリアに結合したB細胞膜免疫グロブリン受容体エピトープを少なくとも2コピー含むと開示されている。
【0022】
しかしながら、従来技術で開示されている、好ましくない抗体を体内において枯渇させるためのアプローチは、多くの欠点を有する。特に、臨床的に常用することが承認されているものは皆無である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の目的は、個体内の望ましくない抗体(自己免疫疾患と関連した抗体など)の体内枯渇(又は隔離)のための、特に、前記望ましくない抗体と関連した疾患又は状態の(自己免疫疾患などの)治療又は予防における使用のための、改善された化合物及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、
・生体高分子足場、並びに少なくとも
・下記一般式の第1のペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1) 及び
・下記一般式の第2のペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
を含む化合物を提供する。
【0025】
Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーである。前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nは少なくとも1、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも4、特には少なくとも5の整数である。前記ペプチドnマーのそれぞれは、好ましくは各々リンカーを介して、前記生体高分子足場に結合している。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つのPはPであり、且つ/又は少なくとも1つのPはPである。Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有する、確定済のペプチド(defined peptide)(すなわち、確定済の配列を有するペプチド(peptide of defined sequence))である。Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有する確定済のペプチド(すなわち確定済の配列を有するペプチド)である。
【0027】
本発明はまた、
・生体高分子足場、及び少なくとも
・式P-S-P又はP-S-Pのペプチド二量体である第1のペプチドnマー、
を含み、
が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有する確定済のペプチド(すなわち確定済の配列を有するペプチド)であり、Pが2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有する確定済のペプチド(すなわち確定済の配列を有するペプチド)であり、Sは非ペプチドスペーサーであり、前記第1のペプチドnマーが前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して結合している、
化合物も提供する。
【0028】
この化合物は好ましくは、式P-S-P又はP-S-Pのペプチド二量体である第2のペプチドnマーを含み、前記第2のペプチドnマーは前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して結合している。
【0029】
本発明はまた、化合物、好ましくは、ヒト個体内に存在する抗ヒト筋ニコチン性アセチルコリン受容体(AChR)抗体、抗ヒト筋特異的受容体チロシンキナーゼ抗体、及び/又は抗ヒト低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4抗体の隔離(又は枯渇)のための化合物であって、前記化合物が、生体高分子足場と、7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも2つのペプチドとを含み、これらのペプチドがそれぞれ独立に、UniProtアクセッション番号P02708で識別されるAChRサブユニットアルファ配列(所望により下記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)の、又はUniProtアクセッション番号O15146で識別される筋特異的受容体チロシンキナーゼ配列の、又はUniProtアクセッション番号O75096で識別される低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4配列(所望により下記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記ペプチドが前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合しており、前記生体高分子足場がヒトグロブリン及びヒトアルブミンからなる群より選択される、化合物を提供する。
【0030】
本発明はまた、化合物、好ましくは、ヒト個体内に存在する抗エプスタインバーウイルス核抗原1(EBNA-1)抗体、抗ヒトメラトニン関連受容体(GPR50)抗体、及び/又は抗ヒト1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)抗体の隔離(又は枯渇)のための化合物であって、前記化合物が、生体高分子足場と、7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも2つのペプチドとを含み、これらのペプチドがそれぞれ独立に、UniProtアクセッション番号Q1HVF7若しくはP03211で識別されるEBNA1配列の、又はUniProtアクセッション番号Q13585で識別されるGPR50配列の、又はUniProtアクセッション番号P30556で識別される1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)配列の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記ペプチドが前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合しており、前記生体高分子足場がヒトグロブリンからなる群、好ましくはヒト免疫グロブリン、ヒトハプトグロビン、及びヒトアルブミンからなる群より選択される、化合物を提供する。
【0031】
さらに本発明は、前述の化合物と少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤(excipient)とを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、この医薬組成物は治療、特に本明細書に述べる疾患又は状態のいずれか1つの治療、における使用のためのものである。
【0032】
他の側面において、本発明は、個体内に存在する1又は複数の抗体を隔離する(又は枯渇させる)方法であって、本明細書に定義される医薬組成物を得ること、及び前記医薬組成物を前記個体に投与することを含み、前記組成物が前記個体内で非免疫原性であり、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体が、少なくとも1つのPに対して、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPに対して特異的である、方法を提供する。
【0033】
さらに他の側面において、本発明は、本明細書で定義される化合物を含み、さらに活性薬剤、及び所望により少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤を含む、医薬組成物に関連する。前記活性薬剤は、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチド断片を含む。前記化合物の少なくとも1つのペプチドP、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの配列は、前記ペプチド断片の配列と、少なくとも70%同一、好ましくは少なくとも75%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも85%同一、いっそう好ましくは少なくとも90%同一、よりいっそう好ましくは少なくとも95%同一、特には完全に同一である。好ましくは、この医薬組成物は、前記活性薬剤に対する免疫反応の阻止又は阻害における使用のためのものである。
【0034】
さらに他の側面において、本発明は、活性薬剤を用いた処置を必要とする個体内において、前記活性薬剤を用いた処置に対する免疫反応を阻害する方法であって、前記化合物と前記活性薬剤とを含む前記医薬組成物を得ること、及び前記医薬組成物を前記個体に投与することを含み、前記医薬組成物の前記化合物は前記個体内で非免疫原性である、方法を提供する。
【0035】
さらに他の側面において、本発明は、前記本発明の化合物を提供する方法であって、抗原に対する望ましくない抗体を有する少なくとも1個体を同定する(identifying)工程、ペプチドライブラリーをスクリーニングして前記望ましくない抗体が特異的であるペプチドミモトープを同定する工程、及び前記化合物を提供する工程を含み、前記化合物の少なくとも1つのPが前記ペプチドミモトープの全体配列を含む、方法を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の過程において、驚くべきことに、本発明の化合物が個体内の望ましくない抗体の力価を減少させるのに非常に効果的であることが見いだされた。特に、前記化合物は、in vivoモデルにおいて、選択性、力価減少期間、及び/又は力価減少の程度に関して著しく良好な結果を達成した(実験例を参照のこと)。
【0037】
本発明を次の図面及び実施例によりさらに説明するが、本発明はそれらに限定されない。
【0038】
次の図面及び実施例との関連において、本発明の化合物を「選択的抗体枯渇化合物」(Selective Antibody Depletion Compound:SADC)とも称する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A図1:本発明の化合物は望ましくない抗体の力価を減少させることができる。確定済の抗原(defined antigen)に対するペプチド免疫化によってあらかじめ免疫化したBalb/cマウスに、本発明の化合物のそれぞれを、腹腔内注射により、時点0において適用した。上図はそれぞれ、対応する抗体を検出する標準的なELISAによるOD値(y軸)に対する抗ペプチド力価(0.5×段階希釈;x軸はlog(X)希釈を示す)を示す。下図はそれぞれ、本発明の各化合物の注射前の力価LogIC50(y軸)(すなわち、-48時間及び-24時間における力価)、及び本発明の各化合物の適用後の同力価(すなわち、注射後の+24時間、+48時間、及び+72時間における力価;x軸上に示す)を示す。(図1A)EBNA1(子癇前症に関連)に対する抗体に結合する、生体高分子足場としてアルブミンを有する化合物。前記マウスを、前記EBNA-1モデルエピトープを有するペプチドワクチンであらかじめ免疫化した。
図1B】ヒトAChRタンパク質MIR(重症筋無力症に関連)に由来するペプチドに対する抗体に結合する、生体高分子足場としてアルブミンを有する化合物。前記マウスを、前記AChR MIRモデルエピトープを有するペプチドワクチンであらかじめ免疫化した。
図1C】EBNA1(子癇前症に関連)に対する抗体に結合する、生体高分子足場として免疫グロブリンを有する化合物。前記マウスを、前記EBNA-1モデルエピトープを有するペプチドワクチンであらかじめ免疫化した。
図1D】EBNA1(子癇前症に関連)に対する抗体に結合する、生体高分子足場としてハプトグロビンを有する化合物。前記マウスを、前記EBNA-1モデルエピトープを有するペプチドワクチンであらかじめ免疫化した。
図1E】パネルCに示す実験で使用された、EBNA1に対する抗体に結合する、免疫グロブリンを基盤とする本発明の化合物(immunoglobulin-based compound of the invention)、と同じものを用いた選択性の証明。前記マウスを、無関係のアミノ酸配列であらかじめ免疫化した。力価の減少は起こらず、前記化合物の選択性が示された。
【0040】
図2】本発明の化合物は非免疫原性であり、マウスへの反復注射後に抗体形成を誘導しない。動物C1~C4及び動物C5~C8に対し、2つの異なる本発明の化合物で腹腔内処理を行った。対照動物Cに、ヒトAChRタンパク質MIR由来のKLH-ペプチドをワクチン接種した。BSAを結合したペプチドプローブT3-1、T9-1、及びE005(グラフに示すグレーのバー)のそれぞれを、1:100希釈で標準的なELISAによる抗体価検出のために使用して、前記ワクチン処理対照動物Cと比較したところ、抗体誘導が、本発明の化合物で処理された動物内には存在しないことが示された(y軸、OD450nm)。
【0041】
図3】一価又は二価ペプチドを複数コピー有するSADCを用いて、抗体をin vitroで枯渇させることが可能である。一価又は二価ペプチドを有するSADCは、抗体を吸着することに、従ってそれらを枯渇させることに、極めて適している。「一価」とは、前記生体高分子足場にペプチド単量体が結合していること(すなわち、n=1)を意味し、「二価」とは、前記生体高分子足場にペプチド二量体が結合していること(すなわち、n=2)を意味する。本ケースでは、前記二価ペプチドは「ホモ二価」である。すなわち、前記SADCの前記ペプチドnマーは、E006-スペーサー-E006である。
【0042】
図4】各種SADC生体高分子足場を用いた、マウスにおける迅速かつ選択的な抗体枯渇。処理群(特にSADC-TF)は、既に24時間の時点で、モック処理対照群であるSADC-CTL(無関係のペプチドを含む)と比較して、迅速かつ顕著な抗体減少を示した。アルブミン足場を有するSADCはSADC-ALBであり;免疫グロブリン足場を有するSADCはSADC-IGであり;ハプトグロビン足場を有するSADCはSADC-HPであり;トランスフェリン足場を有するSADCはSADC-TFである。
【0043】
図5】SADCのペプチド部分を介しての、SADC注射24時間後の血漿中SADCの検出。ハプトグロビン足場を基盤とするSADC(SADC-HP及びSADC-CTL)は両方とも、比較的短い血漿中半減期を示した。このことは、SADC-ALB、SADC-IG、又はSADC-TFなどの他の生体高分子足場を有するSADCよりも優れた点である。アルブミン足場を有するSADCはSADC-ALBであり;免疫グロブリン足場を有するSADCはSADC-IGであり;ハプトグロビン足場を有するSADCはSADC-HPであり;トランスフェリン足場を有するSADCはSADC-TFである。
【0044】
図6】SADC注射24時間後の血漿中SADC-IgG複合体の検出。他の生体高分子足場を有するSADCと比べ、ハプトグロビンを基盤とするSADCは、迅速に除去された。アルブミン足場を有するSADCはSADC-ALBであり;免疫グロブリン足場を有するSADCはSADC-IGであり;ハプトグロビン足場を有するSADCはSADC-HPであり;トランスフェリン足場を有するSADCはSADC-TFである。
【0045】
図7】SADC-IgG複合体形成のin vitro分析。SADC-TF及び-ALBの動物は顕著な免疫複合体形成及びC1qへの結合を示した。これは、強いシグナル、及び1000ng/ml SADC-TFの場合の、抗原-抗体の平衡から抗原過剰への推移による急激なシグナルの低下に反映されている。一方、本アッセイで測定した際、SADC-HP又はSADC-IGでのin vitro免疫複合体形成は大幅に効率が低かった。これらの発見は、ハプトグロビン足場が補体系を活性化する傾向が少ないため、他のSADC生体高分子足場よりも有利であるという発見を裏付けるものである。アルブミン足場を有するSADCはSADC-ALBであり;免疫グロブリン足場を有するSADCはSADC-IGであり;ハプトグロビン足場を有するSADCはSADC-HPであり;トランスフェリン足場を有するSADCはSADC-TFである。
【0046】
図8】in vitroでのSADCによるIgG捕捉の測定。SADC-HPは、SADC-TF又はSADC-ALBと比べ、in vitroで大幅に低い抗体結合能を示した。アルブミン足場を有するSADCはSADC-ALBであり;免疫グロブリン足場を有するSADCはSADC-IGであり;ハプトグロビン足場を有するSADCはSADC-HPであり;トランスフェリン足場を有するSADCはSADC-TFである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の詳細な説明は、明示的に除外される場合を除き、本発明の上記側面の全てと関係するものである。
【0048】
(本発明で達成される)望ましくない抗体が体内において枯渇することは、例えば、自己免疫疾患、臓器・細胞移植、若しくは輸血において、又は生物学的治療薬、置換療法薬、若しくはウイルス遺伝子送達ベクター(AAVなど)に対する抗体に対して、さらには画像診断や、抗体処置若しくは能動的ワクチン接種(active vaccination)後の緊急介入においても、有利である。特に自己免疫疾患については、数百の自己免疫状態が、体内に存在する確定済の自己エピトープ又はネオエピトープ(defined self-epitopes or neoepitopes)に結合する自己抗体と関連している。疾患を引き起こす自己抗体の影響を受ける可能性がある臓器又は組織は、事実上限定されないようである。望ましくない抗体を選択的に標的とすることが有益となる適応症の分野の多様性を説明するためのいくつかの例を、表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
例えば、移植医学においては、望ましくないアロ抗体が生ずることがある。アロ抗体は外来組織抗原に対する抗体であり、移植後の移植片拒絶を加速させることに寄与しうる(Garces et al, 2017)。組織、骨髄、及び幹細胞移植の際、外来組織抗原は、主要及びマイナー組織適合抗原に対する抗体を産生するT細胞及びB細胞に認識される。移植片の生着とアロ抗体濃度との間には逆相関があり、それがアロ抗体の病因的役割を裏付けている。また、臓器のABO不適合移植の前後に、望ましくない血液型抗体を枯渇させることが、移植片の生着にとって有益であることが示されている(Rummler et al, 2016)。
【0051】
抗薬物抗体(ADA)は、ときに中和抗体(nAB)とも呼ばれ、望ましくない抗体に分類される。これらは、「外来」と認識されることで抗薬物抗体応答を誘導するエピトープを有する生物学的製剤の登場とともに明らかになった。この免疫応答は、(前記薬物を枯渇させる又はブロックすることによって、又は免疫複合体を形成することによって作用する)中和抗体を誘導しうる。この現象は、前記薬物の「外来」配列の量、前記薬物固有の免疫原性、及び、重要なことには、前記薬物がひとたび血漿中に存在した場合に凝集し、複合体を形成する性質と相関がある(Moussa et al, 2016)。ADAsを誘導する薬物の例としては、抗TNF-アルファ抗体などの一部の抗体、血友病第VIII因子などの置換療法薬、ファブリー病などの酵素補充療法に使用される酵素、難治性痛風の治療のためのウリカーゼ、及び、エリスロポエチン又はインターフェロンなどの他の種類の生物学的治療薬などがあげられる。
【0052】
ADAsの状況と似ているが、遺伝子治療ベクターに対する、既存の又は誘導される、望ましくない抗体が、遺伝子治療の分野で新たな問題となっている(例えばMingozzi & High, 2017を参照のこと)。遺伝子治療は急速に進歩しており、アデノ関連ウイルス(AAV)だけでなく、他のウイルスベクター遺伝子送達ベクターについても、有望な前臨床及び臨床結果を示している。これは特に、血友病などの血液疾患に対して、又は、ゴーシェ病、ポルフィリン症、ヘモクロマトーシス、若しくは酵素欠損を伴ういくつかの他の遺伝病において重要である。AAVベクターの最適化には多くの労力が注ぎ込まれてきたが、このベクターに対する既存の抗体又は新たに誘導される抗体の問題だけでなく、それらのT細胞免疫原性も未解決となっている。B細胞及びT細胞免疫を克服するためのいくつかの方策が提案されており、その例として、AAV処置に対する適格な標的患者の血清学的事前選択、高用量のベクター投与、既存の若しくは新たに誘導されるAAV抗体を事前吸着若しくは枯渇させるキャプシドデコイ、デコイT細胞受容体の同時投与;又は、併用的な免疫抑制(concomitant immunosuppression)などの、より非選択的なアプローチなどが挙げられる。より実際的なアプローチとしては、AAV血清型スイッチング、血漿交換療法、選択的イムノアフェレーシス、又はAAVベクターの局所適用があった。本質的に、免疫学的ストラテジーは免疫抑制又は寛容誘導ということになる。しかし、これらのストラテジーはどれも、既存の中和抗AAV抗体の問題を満足に解決することができなかった(例えばMajowicz et al.を参照のこと)。キャプシドデコイストラテジーの主な不都合な点は、空のキャプシドがインタクトなAAV粒子と同様に標的細胞によって処理され、MHC Iによる抗原提示及びT細胞の刺激を促し、最終的に免疫刺激効果を提供したことであった。
【0053】
近年では2000を超える遺伝子治療のための臨床試験(ほとんどが第I相又は第II相臨床試験)が行われた。単一遺伝子疾患(monogenetic disease)は今もなお、遺伝子に基づく治療の典型的な適応症の重要な部分を構成している。それらには極めて多様な適応症分野が含まれ、原発性免疫不全症、遺伝性神経障害、嚢胞性線維症、眼疾患、異常血色素症、血友病、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症、リポ蛋白リパーゼ欠損症、酵素欠損、及び他にも多数の例が挙げられる。キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)など、遺伝子治療に基づく他の形式のストラテジーは急速に進歩しているが、今なお、スイッチ、自殺遺伝子産物、若しくは他の非自己及び修飾タンパク質成分などの、系の機能的成分に対する、又は、ウイルス遺伝子送達成分、若しくはタンパク質コード配列への制御されない遺伝子挿入によって生ずる新抗原に対する、体液性応答のリスクを伴う。機構として、遺伝子治療は、遺伝子修復ストラテジー、ゲノムエディテング技術、及び安定又は一過性遺伝子発現ストラテジーを含む。上述の通り、有効性を減ずる、ウイルス遺伝子治療ベクターに対する既存の中和抗体を患者が有するという共通の課題が残る。重要なことに、ウイルス遺伝子治療ベクターは、T細胞応答、並びにウイルスタンパク質及びそれらの産物に対する中和抗体を誘導しうる場合が多い。さらには、遺伝子産物自身に対して、又は、治療的ゲノム編集に適用されうる天然の若しくは人工的に修飾されたエンドヌクレアーゼ(プロトタイプCas9など)を含んだCRISPR/Cas9の成分などの、導入されたDNAエディティング機構に対して、抗体応答又はT細胞応答がもたらされうる。従って、遺伝子治療の有効性に影響する中和抗体はウイルス遺伝子治療ベクターの開発の分野において、特にAAV、レンチウイルス、又はレトロウイルスが使用される場合に、大きな課題であり続けている。
【0054】
最後に、能動的免疫化試験(active immunization trials)(すなわち治療的ワクチン接種)又は抗体若しくは抗体様化合物による受動的処置における安全性介入の点から、例えば合併症を引き起こす治療抗体又は抗体様生物学的治療化合物などを緊急状態下で速やかに選択的に抗体除去するための介入薬物が必要とされている。これらの状況では、迅速かつ効果的な選択的抗体低減ストラテジーが特に欠如している。
【0055】
重症筋無力症の筋無力症クリーゼ、置換療法薬の投与前、遺伝子ターゲティングベクターの適用前、治療抗体若しくは任意の抗体様生物学的化合物によって引き起こされる有害事象の場合などにおいて望ましくない抗体を迅速かつ安全に除去しうる十分な治療戦略が欠如していることに対し、本発明は特に適した解決策を提供する。本発明は、任意の種類の望ましくない若しくは有害なポリクローナル又はモノクローナル抗体に対して適合可能な、柔軟で所望によりパーソナライズされた生物学的治療薬のためのプラットフォームである。特に、これらの生物学的治療薬は望ましくない抗体を迅速に除去することができるため、緊急介入に適したものである。
【0056】
本発明で使用される生体高分子足場は、ヒト生体高分子、非ヒト霊長類生体高分子、ヒツジ生体高分子、ブタ生体高分子、イヌ生体高分子、又は齧歯類生体高分子などの哺乳類生体高分子であってよい。特には、前記生体高分子足場は、タンパク質、特に(非修飾の、又はそのアミノ酸配列に関して非修飾の)血漿タンパク質である。好ましくは、前記生体高分子足場は、ヒトタンパク質、非ヒト霊長類タンパク質、ヒツジタンパク質、ブタタンパク質、イヌタンパク質、又は齧歯類タンパク質などの哺乳類タンパク質である。典型的には、前記生体高分子足場は、好ましくは健常な(ヒト)個体の血漿中で循環する非免疫原性及び/又は無毒性のタンパク質であって、例えば骨髄性細胞上又は肝洞様毛細血管内皮細胞上に存在するスカベンジャー受容体によって効率的に除去又はリサイクルされうる(Sorensen et al 2015による総説)。
【0057】
特には、前記生体高分子足場は(好ましくはヒトの)グロブリンであって、好ましくは免疫グロブリン、アルファ1-グロブリン、アルファ2-グロブリン、及びベータ-グロブリン、特に免疫グロブリンG、ハプトグロビン、及びトランスフェリンからなる群より選択される。特にハプトグロビンは実施例5-9に示すように、いくつかの有利な特性、特に、有利な安全プロフィールを有する。
【0058】
前記生体高分子足場は(好ましくはヒトの)アルブミン、ヘモペキシン、アルファ-1-抗トリプシン、C1エステラーゼ阻害因子、ラクトフェリン;又は、グロブリンを含む前述の全てのタンパク質の非免疫原性の(すなわち、処置対象個体において非免疫原性の)断片であってもよい。
【0059】
前記ペプチド(すなわちペプチドnマー)は、好ましくは、前記生体高分子足場に、当該分野で公知の(非免疫原性)リンカー、例えばアミンースルフヒドリルリンカー、二官能性NHS-PEG-マレイミドリンカー、又は当該分野で公知の他のリンカーなどを介して共有結合的に結合(すなわち共有結合)している。あるいは、前記ペプチド(すなわちペプチドnマー)は、例えば、前記タンパク質と前記ペプチドとの間のジスルフィド結合(これも本明細書においては「リンカー」と称する)の形成によって、又は、非共有結合的なアセンブリ技術、自発的なイソペプチド結合形成、若しくは遺伝暗号拡張技術によるバイオオルソゴナルケミストリー(bio-orthogonal chemistry)のための非天然アミノ酸を用いることによって、前記エピトープキャリア足場に結合することができる(Howarth et al 2018及びLim et al 2016による総説)。
【0060】
本発明の化合物は、1つ又はいくつかの異なるペプチド(本明細書に開示されるように異なる形態のペプチドnマーとして存在していてよい)を少なくとも2コピー、好ましくは3~40コピー含んでいてよい。前記化合物は1種類のエピトープペプチド(言い換えると、抗体結合ペプチド又はパラトープ結合ペプチド)を含んでいてもよいが、1つの生体高分子足場分子に結合したエピトープペプチドの多様性としては、例えば8個以下の異なるエピトープペプチドの混合物であってよい。
【0061】
典型的には、本発明化合物中に存在するペプチドは、選択された望ましくない抗体に特異的に結合することから、それらの配列は通常、血液からの望ましくない抗体の枯渇の選択性が保証されるべく特異的結合を提供するように選ばれ、最適化される。この目的において、前記ペプチドのペプチド配列は、典型的には、前記望ましくない抗体のエピトープの全体エピトープ配列又は部分に相当する。本発明で用いられる前記ペプチドは、例えば枯渇させる必要のある前記望ましくない抗体に対する結合親和性を調節することなどを可能にするために、1個、2個、又は4個までのアミノ酸部位を交換することによってさらに最適化してもよい。結合親和性を高めた「ミモトープ」を提供しうる、当該分野で公知のこのような単一又は複数アミノ酸置換ストラテジーは、ファージディスプレイストラテジー又はペプチドマイクロアレイを利用して以前に開発された(例えば、Application Note, ‘T PEPperMAP(登録商標) - Full Substitution Scan of HA and M13 Epitopes’, by PEPperPRINT GmbH,ハイデルベルク,ドイツ などを参照のこと)。言い換えると、本発明で使用される前記ペプチドは、前記望ましくない抗体の天然のエピトープ配列と完全に同一である必要はない。
【0062】
典型的には、本発明の化合物で使用される前記ペプチド(例えば、ペプチドP、P、P、P1、又はP)は、哺乳類タンパク質中に一般的に存在する20種のアミノ酸のうち1又は複数からなっている。さらには、前記ペプチドで使用されるアミノ酸のレパートリーは、タンパク質の抗原性に影響するなどの翻訳後修飾、例えば特に酸化的翻訳後修飾(例えばRyan 2014を参照のこと)又はペプチド骨格に対する修飾(例えばMuller 2018を参照のこと)などの翻訳後修飾による、翻訳後修飾アミノ酸にまで、又は非天然アミノ酸(例えばMeister et al 2018を参照のこと)にまで、拡張されてもよい。これらの修飾は、前記ペプチドにおいて、前記ペプチドと望ましくない抗体の可変領域との間で結合相互作用及び特異性を適合させることなどのためにも使用してもよい。特に、エピトープは(従って、本発明の化合物において使用されるペプチドも)、例えば自己免疫疾患における例としてシトルリンを含んでいてもよい。さらには、前記ペプチド配列に修飾を導入することにより、HLA分子に結合する傾向を減じてもよく、安定性及び物理化学的特徴を改善してもよく、前記望ましくない抗体に対する親和性を増加させてもよい。
【0063】
多くの場合、枯渇対象となる前記望ましくない抗体はオリゴ又はポリクローナル(例えば自己抗体、ADA、又はアロ抗体は典型的にはポリ又はオリゴクローナル)であり、これは、望ましくない(ポリクローナル)抗体が標的分子のより大きなエピトープ領域をカバーすることを意味している。この状況に適合するため、本発明の化合物は、2つ又はいくつかのエピトープペプチド(言い換えると、抗体結合ペプチド又はパラトープ結合ペプチド)の混合物を含んでいてよく、それにより望ましくない抗体のポリクローナル性又はオリゴクローナル性に対する適合を可能にしてもよい。
【0064】
本発明のこのようなポリエピトープ化合物は、効果的に望ましくない抗体を枯渇することができ、また、前記望ましくない抗体のエピトープがより大きなアミノ酸配列の範囲に広がっている際に、モノエピトープ化合物よりも効果的である場合が多い。
【0065】
前記発明化合物に使用するペプチドは、枯渇対象となる前記望ましくない抗体の可変領域に特異的に認識されるように設計することが有利である。本発明で使用するペプチドの配列は、例えば、望ましくない抗体に対してファインエピトープマッピング(fine epitope mapping)技術(すなわち、エピトープウォーク(epitope walks)、ペプチド欠失マッピング、Carter et al 2004及びHansen et al 2013に記載のようなペプチドアレイを用いたアミノ酸置換スキャニング)を適用することによって選択されてもよい。
【0066】
好ましくは、本発明化合物に使用するペプチド(例えば、P又はP又はP)は、UniProtアクセッション番号で識別される次の(自己免疫疾患に関与する)抗原の1つにおけるエピトープ又はエピトープ部分(例えば少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個、さらに好ましくは少なくとも5個、いっそう好ましくは少なくとも6個、特には少なくとも7個、さらになお好ましくは少なくとも8個の、アミノ酸)を含む。
【0067】
P01023, A8K2U0, P49588, Q5JTZ9, O95477, Q8IZY2, P08183, P33527, O15438, Q96IU4, P00519, P42684, Q9BYF1, P22303, Q99798, P68133, P60709, P63261, P12814, O43707, P61158, Q13705, P37023, O75077, Q9UKQ2, Q76LX8, Q6ZMM2, P35611, P07327, P00325, P35348, P25100, P08588, P07550, P25098, P35626, P30566, P43652, P02771, Q5U5Z8, Q15109, P35573, Q9UL18, Q9UKV8, O00468, P01019, P30556, Q09666, P02765, O43918, Q9Y6K8, Q02952, P14550, P15121, O95154, P02768, P00352, P49189, Q9UM73, P09923, P05187, P03971, P49418, P03950, Q9BY76, Q15327, P15144, P04083, P50995, P07355, Q3ZCQ2, P12429, P09525, P08758, P08133, O76027, Q13367, P27695, Q9BZZ5, P02647, P04114, P02749, P05067, P29972, P55087, Q8N726, P05089, Q9UNA1, P52566, Q99819, Q15052, P07306, P04424, P08243, Q9BXN1, P15336, P13637, P05026, P98194, P20648, P51164, P06576, P48047, P54252, Q8WXX7, P01185, P25311, Q9H6S1, P61769, Q13072, O75531, Q99728, P10415, P41182, P11274, O14503, Q93088, O00499, O15392, P35226, P12643, P18075, Q8N8U9, Q13873, P17213, 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Q13501, P10124, P61011, O76094, Q05066, P05455, O43805, P61278, Q13586, Q9P246, P31948, P49842, P16949, Q7Z7C7, Q13033, O75558, P61266, Q13190, Q8IWZ8, Q9Y2Z0, Q8IWU6, P63165, P61956, P17600, P08247, P21579, P37837, Q15633, Q13148, P26639, Q9NYW0, P20226, O60806, P24557, P17987, O60522, O14746, P02787, P05549, Q92734, P10646, P02786, P01266, P01137, P21980, Q08188, P49221, P07204, P40225, P10827, P10828, Q9UPZ6, P31483, P29401, Q9Y490, O60602, Q8TDI7, P17152, P42167, P42166, P01375, O00300, P43489, P19237, P48788, P19429, P13805, P45379, P45378, P09430, Q8NDV7, P11387, Q969P6, P11388, Q13472, O95985, P04637, Q9H3D4, O15350, P60174, P09493, P07202, P12270, P56180, O43280, Q92519, Q96RU7, P19474, O15164, Q9UPN9, Q6AZZ1, P10155, P48995, Q13507, Q7Z4N2, Q7Z2W7, Q9HBA0, Q9BZW7, P01222, P16473, Q9H2G4, Q14166, Q8WZ42, P02766, P07437, O00294, Q15672, Q9P2K2, Q86VQ3, Q6A555, P14679, Q9BZF9, Q13404, Q14139, O95155, P11441, Q9UMX0, P17480, P09936, P15374, Q9Y3C8, P19224, P16662, P07911, Q8TCY9, Q9Y6N9, Q13107, P63027, Q15836, P18206, P55072, P21796, P08670, P04275, O75083, Q14191, P98170, Q13426, P13010, P12956, P67809, Q9Y2T7, O43829, Q13105, Q15915, O95409, Q8N9L1, Q9UDV7, Q9Y3S2, Q9UL40, Q14966, Q9H0M5, Q9Y5V0, Q96C28, Q9H5H4.
【0068】
さらに好ましくは、本発明化合物に使用するペプチド(例えば、P又はP又はP)は、UniProtアクセッション番号で識別される次の組織適合性抗原の1つにおけるエピトープ又はエピトープ部分(例えば少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個、いっそう好ましくは少なくとも5個、よりいっそう好ましくは少なくとも6個、特には少なくとも7個、さらになお好ましくは少なくとも8個の、アミノ酸)を含む。
【0069】
P04233, O15523, O14602, Q30201, P01891, P01892, P04439, P05534, P10314, P10316, P13746, P16188, P16189, P16190, P18462, P30443, P30447, P30450, P30453, P30455, P30456, P30457, P30459, P30512, Q09160, P01889, P03989, P10319, P18463, P18464, P18465, P30460, P30461, P30462, P30464, P30466, P30475, P30479, P30480, P30481, P30483, P30484, P30485, P30486, P30487, P30488, P30490, P30491, P30492, P30493, P30495, P30498, P30685, Q04826, Q29718, Q29836, Q29940, Q31610, Q31612, Q95365, P04222, P10321, P30499, P30501, P30504, P30505, P30508, P30510, Q07000, Q29865, Q29960, Q29963, Q95604, Q9TNN7, P28067, P28068, P06340, P13765, P20036, P04440, P01909, P01906, P01920, P05538, P01903, P01911, P01912, P04229, P13760, P13761, P20039, Q29974, Q30134, Q30167, Q5Y7A7, Q95IE3, Q9GIY3, Q9TQE0, P79483, P13762, Q30154, P13747, P30511, P17693, Q9BY66, Q29983, Q29980, P22090, Q03519, O14607, P08048.
【0070】
他の好ましい例では、本発明化合物に使用するペプチド(例えば、ペプチドP又はP又はP)は、AAV抗原(AAVキャプシドタンパク質など;例えば実施例10を参照のこと)における、特に前記AAVがAAV-8、AAV-9、AAV-6、AAV-2、及びAAV-5のうちの一つであるものにおける、又は、遺伝子送達ベクターのUniProtアクセッション番号で識別される次の抗原:
A9RAI0、B5SUY7、O41855、O56137、O56139、P03135、P04133、P04882、P08362、P10269、P12538、P69353、Q5Y9B2、Q5Y9B4、Q65311、Q6JC40、Q6VGT5、Q8JQF8、Q8JQG0、Q98654、Q9WBP8、Q9YIJ1;
の1つにおける、エピトープ又はエピトープ部分(例えば少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個、さらに好ましくは少なくとも5個、いっそう好ましくは少なくとも6個、特には少なくとも7個、さらになお好ましくは少なくとも8個の、アミノ酸)を含み、好ましくは前記ペプチドはAAV-8キャプシドタンパク質配列LQQQNT(配列番号18)、TTTGQNNNS(配列番号19)、又はGTANTQ(配列番号20)を含む。
【0071】
さらに他の好ましい例では、本発明化合物に使用するペプチド(例えば、ペプチドP又はP又はP)は、AAV抗原(AAVキャプシドタンパク質など;例えば実施例10を参照のこと)における、特に前記AAVがAAV-8、AAV-9、AAV-6、AAV-2、及びAAV-5のうちの一つであるものにおける、又は、遺伝子送達ベクターのUniProtアクセッション番号で識別される次の抗原:
A9RAI0、B5SUY7、O41855、O56137、O56139、P03135、P04133、P04882、P08362、P10269、P12538、P69353、Q5Y9B2、Q5Y9B4、Q65311、Q6JC40、Q6VGT5、Q8JQF8、Q8JQG0、Q98654、Q9WBP8、Q9YIJ1;
の1つにおける、エピトープ又はエピトープ部分(例えば少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個、さらに好ましくは少なくとも5個、いっそう好ましくは少なくとも6個、特には少なくとも7個、さらになお好ましくは少なくとも8個の、アミノ酸)を含み、好ましくは前記ペプチドはAAV-8キャプシドタンパク質配列LQQQNT(配列番号18)、TTTGQNNNS(配列番号19)、又はGTANTQ(配列番号20)を含む。
【0072】
さらに他の好ましい例では、本発明化合物に使用するペプチド(例えば、ペプチドP又はP又はP)は、表2で識別される次の薬物/活性薬剤の抗原の1つにおけるエピトープ又はエピトープ部分(例えば少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個、さらに好ましくは少なくとも5個、いっそう好ましくは少なくとも6個、特には少なくとも7個、さらになお好ましくは少なくとも8個の、アミノ酸)を含む。
【0073】
【表2-1】
【0074】
【表2-2】
【0075】
【表2-3】
【0076】
DrugBank (https://www.drugbank.ca/);
KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (https://www.genome.jp/kegg/)。
【0077】
それぞれのDrugBank及びKEGGデータベースアクセッション番号を下記の表3に示す(DrugBank及びKEGGデータベースのバージョンは2019年3月20日のもの)。
【0078】
【表3-1】
【0079】
【表3-2】
【0080】
【表3-3】
【0081】
【表3-4】
【0082】
本発明を適用できる薬物/活性薬剤(すなわち、本発明の化合物によって枯渇されうる好ましくない抗体を生ずる薬物/活性薬剤)は、 Spiess et al 2015及びRuncie et al 2018にも開示されている。これらはscFv、Fab2、Fab3、Bis-scFv、二価ミニボディ、ジアボディ、トリアボディ、又はテトラボディであってもよい。さらに、このような薬物/活性薬剤はアフィボディ分子(Protein Data Bank:1LP1)、アフィマー(affimer)(Protein Data Bank:1NB5)、アフィチン(affitin)分子(Protein Data Bank:4CJ2)、アンチカリン(anticalin)分子(Protein Data Bank:4GH7)、アトリマー(atrimer)分子(Protein Data Bank:1TN3)、フィノマー(fynomer)(Protein Data Bank:1M27)、アルマジロリピートタンパク質(Protein Data Bank:4DB9)、Kunitzドメインインヒビター(Protein Data Bank:1ZR0)、ノッチン(knottin)分子(Protein Data Bank:2IT7)、又は設計されたアンキリンリピートタンパク質(designed ankyrin repeat protein)(Protein Data Bank:2Q4J)であってもよい;Protein Databank(PDB)のバージョンは2019年3月20日のもの。さらなる適した薬物/活性薬剤が、例えば国際公開第2017/220569号、国際公開第2017/087589号、米国特許第82100547号、及び欧州特許出願公開第1697421号(特にその配列番号1)に開示されている。上記の通り、本発明化合物に使用するペプチド(例えば、ペプチドP又はP又はP)は、上述のソースに開示された薬物/活性薬剤のうちいずれか1つのアミノ酸配列におけるエピトープ又はエピトープ部分(例えば少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個、さらに好ましくは少なくとも5個、いっそう好ましくは少なくとも6個、特には少なくとも7個、さらになお好ましくは少なくとも8個の、アミノ酸)を含んでいてよい。
【0083】
また、本発明化合物に使用するペプチドは、in vivoにおいてT細胞受容体を介した提示及び刺激を防止し、免疫反応を誘導するために、(すなわち、処置対象となる個体、例えばヒトの)いずれのHLAクラスI又はHLAクラスII分子にも結合しないことが極めて好ましい。一般的に、抗原特異的免疫寛容化アプローチとは対照的に、抑制的(又は刺激的)T細胞反応を伴うことは望ましくない。従って、T細胞エピトープ活性を可能な限り回避するため、本発明の化合物のペプチド(例えば、ペプチドP、P、P、P1、又はP)は、次の特徴の1又は複数を満たすことが好ましい。
【0084】
・本発明の化合物に用いられるペプチドがHLAクラスII又はクラスI分子に結合する可能性を減少させるため、前記ペプチド(例えば、ペプチドP、P、P、P1、又はP)は4~8アミノ酸の好ましい長さを有する。ただし、多少の長短があっても許容される。
【0085】
・このようなペプチドがHLAクラスII又はクラスI分子に結合する可能性をさらに減少させるため、候補ペプチド配列を、NetMHCII-2.3などのHLA結合予測アルゴリズムによって試験することが好ましい(Jensen et al 2018による総説)。好ましくは、本発明の化合物に用いられるペプチド(例えば、ペプチドP、P、P、P、又はP)は、(予測される)HLA結合(IC50)が少なくとも500nMである。より好ましくは、HLA結合(IC50)は1000nMよりも高く、特には2000nMよりも高い(例えばPeters et al 2006を参照のこと)。HLAクラスI結合の可能性を減らすため、NetMHCpan 4.0を予測のために適用してもよい(Jurtz et al 2017)。
【0086】
・このようなペプチドがHLAクラスI分子に結合する可能性をさらに減少させるため、NetMHCpan Rankパーセンタイル閾値を、Kosaloglu Yalcin et al 2018 (PMID:30377561)に従い、10%のバックグランドレベルに設定してよい。好ましくは、本発明の化合物に用いられるペプチド(例えば、ペプチドP、P、P、P、又はP)は、従って、NetMHCpanアルゴリズムによる%ランク値が3超であり、好ましくは5超であり、より好ましくは10超である。
【0087】
・このようなペプチドがHLAクラスII分子に結合する可能性をさらに減少させるため、当該分野で一般的に使用されるin vitro HLA結合アッセイを行うことが有益であり、その例としてリフォールディングアッセイ、iTopia、ペプチドレスキューアッセイ(peptide rescuing assay)、又はアレイベースのペプチド結合アッセイが挙げられる。あるいは、又はそれに加え、例えばGfeller et al 2016の総説のようなLC-MSを用いた分析を利用してもよい。
【0088】
前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、本発明で用いられるペプチドを環状化させることが好ましい(実施例4も参照のこと)。従って、好ましい一実施形態においては、少なくとも1個のPは環状ペプチド(circularized peptide)である。好ましくは全てのPのうち少なくとも10%は環状ペプチドであり、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%は環状ペプチドであり、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%は環状ペプチドであり、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%は環状ペプチドであり、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%は環状ペプチドであり、よりいっそうは全てのPのうち少なくとも95%は環状ペプチドであり、特には全てのPは環状ペプチドである。いくつかの一般的な技術がペプチドの環状化に利用できる。Ong et al 2017などを参照のこと。言うまでもなく、本明細書で用いられる「環状ペプチド」とは、例えばOng et al.に開示されるように(そして例えば13アミノ酸よりも長い配列長の環状足場上にグラフトされたものなどではなく)、それ自体が環状化されているペプチドのことと理解されるべきである。このようなペプチドは、本明細書において、シクロペプチドとも称する場合がある。
【0089】
さらに、使用する足場の量と比較して前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、本発明の化合物の一実施形態においては、前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、特には少なくとも4である。通常、製造過程における複雑さを避けるため、前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nは10未満、好ましくは9未満、より好ましくは8未満、さらに好ましくは7未満、いっそう好ましくは6未満、特には5未満である。前記望ましくない抗体の二価結合による、より高い親和性から利益を得るため、前記ペプチドnマーのそれぞれについてnは2であることが極めて好ましい。
【0090】
前記望ましくない抗体の多価結合のため、前記ペプチド二量体又はnマーは、親水性の、構造的に柔軟な、免疫学的に不活性な、無毒性の、臨床的に承認されたスペーサー、例えば(ヘテロ)二官能性及び三官能性ポリエチレングリコール(PEG)スペーサー(NHS-PEG-マレイミドなど)(様々なPEG鎖が入手可能であり、PEGはFDAによる承認済)によって隔てられていることが有利である。PEGリンカーの代わりとしては、免疫学的に不活性で無毒性の合成ポリマー又はグリカンも適している。従って、本発明との関連において、前記スペーサー(例えばスペーサーS)は好ましくはPEG分子又はグリカン分子から選択される。例えば、PEGなどの前記スペーサーをペプチド合成中に導入してよい。このようなスペーサー(PEGスペーサーなど)は、例えば、10,000ダルトンの分子量を有していてよい。明らかに、本発明との関連において、前記ペプチドnマーの前記生体高分子足場へのリンカーを介した共有結合はそれぞれ、例えば、前記リンカーを前記ペプチドnマーのスペーサーに直接(例えば前記ペプチドnマーのペプチドにではなく)結合することによって達成されてもよい。
【0091】
それぞれのペプチドnマーは、好ましくはそれぞれリンカーを介して、前記生体高分子足場に共有結合していることが好ましい。
【0092】
本明細書で用いられる前記リンカーは、例えば、ジスルフィド架橋及びPEG分子から選択されてよい。
【0093】
本発明の化合物のさらに好ましい一実施形態によると、Pはそれぞれ独立にP又はPである。
【0094】
さらには、第1のペプチドnマーにおいてそれぞれのPがPであり、第2のペプチドnマーにおいてそれぞれのPがPであることが好ましい。あるいは、又はそれに加え、P及び/又はPは環状化されている。
【0095】
抗体価を減少させるためには、二価結合が特に適している。従って、好ましい一実施形態においては、
前記第1のペプチドnマーはP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーはP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーはP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーはP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーはP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーはP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーはP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーはP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーはP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーはP-S-Pであるか、又は
前記第1のペプチドnマーはP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーはP-S-Pである。
【0096】
有効性を高めるため、特に自己免疫疾患(これは通常ポリクローナル抗体を原因とする;上記参照)においては、好ましい一実施形態において、前記第1のペプチドnマーは前記第2のペプチドnマーとは異なるものである。同様な理由から、好ましくは、前記ペプチドPは前記ペプチドPとは異なるものであり、好ましくは、前記ペプチドP及び前記ペプチドPは同一抗原の2個の異なるエピトープ、又は同一エピトープの2個の異なるエピトープ部分である。
【0097】
特にポリクローナル抗体をより良好に標的化するため、前記ペプチドP及び前記ペプチドPが同一のアミノ酸配列断片を含み、前記アミノ酸配列断片が少なくとも2アミノ酸、好ましくは少なくとも3アミノ酸、より好ましくは少なくとも4アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも5アミノ酸、いっそう好ましくは少なくとも6アミノ酸、よりいっそう好ましくは少なくとも7アミノ酸、特には少なくとも8アミノ酸、さらになお好ましくは少なくとも9アミノ酸の長さを有することが有利である。
【0098】
さらには、使用する足場の量と比較して前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、前記化合物は、複数の前記第1のペプチドnマー(例えば10個、20個、又は30個まで)及び/又は複数の前記第2のペプチドnマー(例えば10個、20個、又は30個まで)を含む。
【0099】
使用する足場の量と比較して前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、前記化合物は少なくとも
下記一般式の第3ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、であり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第4ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第5ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第6ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第7ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第8ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第9ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第10ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
も含んでいてよい。
【0100】
ペプチドP~Pは、本明細書でペプチドP及びPに対して開示されるものと同一の特徴(例えば配列)を1又は複数有していてよい。
【0101】
上記でも説明した通り、本発明の化合物は哺乳類において、好ましくは、ヒトにおいて、非ヒト霊長類において、ヒツジにおいて、ブタにおいて、イヌにおいて、又は齧歯類において、非免疫原性であることが極めて好ましい。
【0102】
本発明との関連において、非免疫原性化合物は、好ましくは、前記生体高分子足場(それがタンパク質だった場合)及び/又は(ペプチドnマーの)前記ペプチドが、NetMHCII-2.3アルゴリズムによって予測されるHLA-DRB1_0101に対するIC50に関して、100nMよりも高い、好ましくは500nMよりも高い、より好ましくは1000nMよりも高い、特には2000nMよりも高いIC50を有する化合物である。NetMHCII-2.3アルゴリズムはJensen et alに詳細に記載されており、この文献は参照により本明細書に組み入れられたものとする。前記アルゴリズムはhttp://www.cbs.dtu.dk/services/NetMHCII-2.3/において公開されている。より好ましくは、非免疫原性化合物(又は医薬組成物)は、(例えば哺乳類における、好ましくはヒトにおける、非ヒト霊長類における、ヒツジにおける、ブタにおける、イヌにおける、若しくは齧歯類における、又は処置対象となる個体の)いずれのHLA及び/又はMHC分子にもin vivoで結合しない。
【0103】
さらに好ましくは、前記化合物は、個体内、好ましくは前記個体の血流中の、少なくとも1個の抗体の体内隔離(又は体内枯渇)のためのものであり、及び/又は、前記個体内、好ましくは前記個体の血流中の、少なくとも1個の抗体の力価の低減のためのものである。
【0104】
他の好ましい一実施形態においては、少なくとも1個のペプチドP、好ましくは全てのPのうち少なくとも10%、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも95%、特には全てのPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質は本明細書に開示されるUniProtアクセッション番号の1つによって識別され、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を(例えばミモトープ生成などの上述の目的のために)含む。
【0105】
他の好ましい一実施形態においては、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質は本明細書に開示されるUniProtアクセッション番号の1つによって識別され、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を(例えばミモトープ生成などの上述の目的のために)含む。
【0106】
他の好ましい一実施形態においては、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質は本明細書に開示されるUniProtアクセッション番号の1つによって識別され、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を(例えばミモトープ生成などの上述の目的のために)含む。
【0107】
他の好ましい一実施形態においては、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、同一タンパク質の同一又は別の、好ましくは別の、配列断片と同一であり、前記タンパク質は本明細書に列挙されるUniProtアクセッション番号の1つによって識別され、所望により、前記配列断片及び/又は前記の別の配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を(例えばミモトープ生成などの上述の目的のために)含む。
【0108】
重症筋無力症は、軽度の筋力低下から生命に関わる呼吸障害を伴う無力症クリーゼまで、いくつかの広範な臨床症状を引き起こす自己抗体によって媒介される自己免疫神経筋障害である。筋無力症患者の約80%は、シナプス後膜の補体媒介障害(Howard 2018)、直接AChRブロッキング、又は受容体エンドサイトーシスを引き起こす、抗ニコチン性アセチルコリン受容体(AChR)抗体を生ずる。これらの疾患を引き起こす自己抗体は主に、AChR又はMuSKの確定済の免疫原性領域(defined immunogenic regions AChR or MuSK)に対するものである(Ruff 2018)。これらは、機能的によく特徴解析された、疾患を引き起こす自己抗体の代表的な良い例である。一般的な免疫抑制又はB細胞ターゲティングストラテジーは存在してはいるが、疾患を引き起こす抗体のみ(大部分が防御抗体である全ての抗体ではなく)を、(特に筋無力症クリーゼにおいて)迅速に不活性化又は枯渇させるストラテジーが必要とされている。なぜなら、コルチコイド、IVIG、胸腺摘出、又は血漿交換による一般的な免疫抑制処置はいずれも不満足なものだからである。これまで重症筋無力症において、疾患を引き起こす抗体を速やかに、かつ選択的に枯渇又は中和することができる好都合な治療介入は存在していなかった。
【0109】
Rey et al.は、重症筋無力症の末梢血由来のヒト抗アセチルコリン受容体モノクローナル自己抗体を、コンビナトリアルライブラリーを用いて特徴解析することに関する。
【0110】
欧州特許出願公開第2698386号は、重症筋無力症に関与する自己抗体などの自己抗体を特異的に抑制すると主張する融合タンパク質に関する。前記融合タンパク質は、自己抗体の結合部位、及び抗体依存性細胞毒性を示す抗体重鎖定常領域の断片を含む。
【0111】
非選択的B細胞ターゲティング又は免疫療法アプローチは、未だに重傷筋無力症を治療するための確立された治療オプションとはなっていない。また、重傷筋無力症において疾患を引き起こす抗体を標的とした体内及び体外選択的抗体枯渇又はB細胞抑制ストラテジーは、疾患を引き起こす抗体に対する間接的又は直接的なターゲティングアプローチを用いたものが少数提案されているのみである(例えばHomma 2017及びLazaridis 2017を参照のこと)。それに加え、アジュバントAChRワクチンを用いたAChR特異的免疫抑制療法が提案されている(Luo 2015)。しかし、比較的効果的かつ安全で迅速に作用する選択的抗体枯渇療法には、依然として差し迫った必要性がある。
【0112】
従って、概要で述べたように、本発明は、(重症筋無力症の、特に筋無力症クリーゼでの、予防又は治療における使用のための)化合物、好ましくは、ヒト個体内に存在する抗ヒト筋ニコチン性アセチルコリン受容体(AChR)抗体、抗ヒト筋特異的受容体チロシンキナーゼ抗体、及び/又は抗ヒト低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4抗体の隔離(又は枯渇)のための化合物であって、前記化合物が、生体高分子足場と、7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも2つのペプチドとを含み、これらのペプチドがそれぞれ独立に、UniProtアクセッション番号P02708で識別されるAChRサブユニットアルファ配列(所望により下記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)の、又はUniProtアクセッション番号O15146で識別される筋特異的受容体チロシンキナーゼ配列の、又はProtアクセッション番号O75096で識別される低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4配列(所望により下記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記ペプチドが前記生体高分子足場に、好ましくは各々リンカーを介して、共有結合しており、前記生体高分子足場がヒトグロブリン及びヒトアルブミンからなる群より選択される、化合物にも関する。
【0113】
特には、特に、使用する足場の量と比較して前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、前記の少なくとも2つのペプチドはペプチドP及びペプチドPを含み、ペプチドP及びペプチドPはAChRサブユニットアルファの同一の7~13アミノ酸の配列断片(所望により前記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)又は筋特異的受容体チロシンキナーゼ配列の、若しくは低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4の、同一の7~13アミノ酸の配列断片(所望により前記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)を含み、P及びPはペプチド二量体P-S-Pの形態で存在しており、式中、Sは非ペプチドスペーサーであり、前記ペプチド二量体は前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している。
【0114】
好ましくは、AChRサブユニットアルファの前記7~13アミノ酸の配列断片は、UniProtアクセッション番号P02708によって識別されるAChRサブユニットアルファ配列のアミノ酸21~255からなる配列の断片である(所望により前記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)。
【0115】
さらに好ましい一実施形態においては、AChRサブユニットアルファの前記7~13アミノ酸の配列断片は、配列LKWNPDDYGGVKKIHIPSEK(配列番号1)の、好ましくは配列WNPDDYGGVK(配列番号2)又はVKKIHIPSEK(配列番号3)の、断片である(所望により前記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)。
【0116】
さらに好ましい一実施形態においては、前記ペプチドは8~13アミノ酸、好ましくは9~12アミノ酸、より好ましくは10~12アミノ酸の配列長を有し、特には前記ペプチドはN末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列VKKIHIPSEKG(配列番号4)からなり、及び/又は所望により前記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む。
【0117】
さらに好ましい一実施形態によると、前記化合物は少なくとも1つの7~13アミノ酸の配列長のペプチドをさらに含み、前記の少なくとも1つのペプチドは、UniProtアクセッション番号O15146で識別される筋特異的受容体チロシンキナーゼ配列の、又はUniProtアクセッション番号O75096で識別される低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4配列の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記の少なくとも1つのペプチドは、前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している。
【0118】
また、重症筋無力症の(特に筋無力症クリーゼにおける)予防又は治療における使用においても、本発明の化合物の好ましい一実施形態においては、少なくとも1個のPはPであり、少なくとも1個のPはPであり、
は5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
は5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質はUniProtアクセッション番号P02708、O15146、又はO75096で識別され、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含み、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質はUniProtアクセッション番号P02708、O15146、又はO75096で識別され、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む。
【0119】
一部実施形態においては、特にP及び/又はPについて、前記タンパク質の前記配列断片は、UniProtアクセッション番号P02708によって識別されるAChRサブユニットアルファ配列のアミノ酸21~255からなる配列の断片である(所望により前記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)。さらなる一部実施形態においては、特にPa及び/又はPbについて、前記タンパク質の前記配列断片は、配列LKWNPDDYGGVKKIHIPSEK(配列番号1)の、好ましくは配列WNPDDYGGVK(配列番号2)又はVKKIHIPSEK(配列番号3)の、断片である。特に、ペプチドPa及び/又はペプチドPbは、N末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列VKKIHIPSEKG(配列番号4)からなる。
【0120】
さらに、重症筋無力症に関連する前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、好ましい一実施形態においては、前記第1のペプチドnマーはP-S-Pであり、前記第2のペプチドnマーはP-S-Pである。
【0121】
子癇前症は胎盤だけでなく、全身に関わる妊娠病の例である。これは全妊娠のうち3~5%、主に10代と40歳超の妊娠女性に発生し、典型的には妊娠後期において、依然として新生児罹病率及び死亡率の主な原因となっている。高血圧の既往のない女性における高血圧症の発症、高値肝酵素蛋白尿、腎不全、血小板減少(ヘルプ症候群)、及び発作を伴う脳浮腫はこの状態の特徴である。具体的な治療法は知られておらず、子癇前症の正確な原因は複雑なようである。一般に、治療法の選択肢は極めて限られている。
【0122】
子癇前症の病因は、胎盤着床異常、循環因子の放出に併発する胎盤低酸素症、内皮細胞機能の変化、並びに血管新生因子及び炎症性サイトカインの関与を伴う。さらに、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)が子癇前症において重要な役割を果たす。これは、アンギジテンシンIIの1型受容体(AT1-AA)に対する自己抗体が、原因となる病理的機序の一因となるという発見によって裏付けられている(Wallukat 1999)。
【0123】
子癇前症関連自己抗体の特異性のレパートリーは、最近、例えば抗アルファ1-アドレナリン受容体、プロトロンビン、及び抗カルジオリピンにまで、また、より最近になってGRP50にまで拡がった(Elliott 2016)。Elliottと共同研究者らは、抗原擬態(antigenic mimicry)メカニズムを発見した:子癇前症患者は、胎盤組織に発現する胎盤GPR50膜タンパク質と交差反応するエプスタインバーウイルス核抗原1(EBNA-1)内のペプチドエピトープに対する抗体価を示した。EBNA-1抗原に対する抗体は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、及び筋痛性脳炎/慢性疲労症候群などのいくつかの他の自己免疫疾患とも関連している。
【0124】
従って、概要で述べたとおり、本発明はまた、化合物、好ましくは、ヒト個体内に存在する抗エプスタインバーウイルス核抗原1(EBNA-1)抗体、抗ヒトメラトニン関連受容体(GPR50)抗体、及び/又は抗ヒト1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)抗体の隔離(又は枯渇)のための化合物であって、前記化合物が、生体高分子足場と、7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも2つのペプチドとを含み、
これらのペプチドがそれぞれ独立に、UniProtアクセッション番号Q1HVF7若しくはP03211で識別されるEBNA1配列の、又はUniProtアクセッション番号Q13585で識別されるGPR50配列の、又はUniProtアクセッション番号P30556で識別される1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)配列の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記ペプチドが前記生体高分子足場に共有結合しており、
前記生体高分子足場がヒトグロブリンからなる群、好ましくはヒト免疫グロブリン、ヒトハプトグロビン、及びヒトアルブミンからなる群より選択される、
化合物に関する。
【0125】
前記化合物は、ウイルス抗原(EBNA-1など)及び内在性膜受容体タンパク質(GRP50など)と交差反応する望ましくない抗体の濃度を選択的に減少させることができる。
【0126】
特には、特に、使用する足場の量と比較して前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、前記の少なくとも2つのペプチドはペプチドP及びペプチドPを含み、ペプチドP及びペプチドPは前記EBNA1配列、前記GPR50配列、又は前記AT1AR配列の同一の7~13アミノ酸の配列断片を含み、P及びPはペプチド二量体P-S-Pの形態で存在しており、式中、Sは非ペプチドスペーサーであり、前記ペプチド二量体は前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している。
【0127】
好ましくは、前記7~13アミノ酸の配列断片は、配列RPQKRPSCIGCKGTH(配列番号5)又はRPQKRPSCIGCKGAH(配列番号6)、好ましくは配列KRPSCIGCK(配列番号7)の断片である。
【0128】
さらに好ましい実施形態においては、前記7~13アミノ酸の配列断片は、配列MILNSSTEDGIKRIQDDCPKAGRHNYI(配列番号8)、TAMEYRWPFGNYLCK(配列番号9)、AIIHRNVFFIENTNITVCAFHYESQNSTLP(配列番号10)、及びDVLIQLGIIRDCR(配列番号11)のいずれか1つの、より好ましくは配列AFHYESQ(配列番号12)の、断片である。
【0129】
さらに好ましい一実施形態においては、前記ペプチドは8~13アミノ酸、好ましくは9~12アミノ酸、より好ましくは10~12アミノ酸の配列長を有し、特に、前記の少なくとも2つのペプチドのうち少なくとも1つ、好ましくは前記ペプチドのそれぞれは、N末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列GRPQKRPSCIG(配列番号13)からなる。
【0130】
さらに好ましい一実施形態によると、前記化合物は7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも1つのペプチドをさらに含み、前記の少なくとも1つのペプチドはUniProtアクセッション番号P30556で識別される1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)配列の、好ましくは配列MILNSSTEDGIKRIQDDCPKAGRHNYI(配列番号8)、TAMEYRWPFGNYLCK(配列番号9)、AIIHRNVFFIENTNITVCAFHYESQNSTLP(配列番号10)、及びDVLIQLGIIRDCR(配列番号11)のいずれか1つの、より好ましくは配列AFHYESQ(配列番号12)の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記の少なくとも1つのペプチドは、前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している。
【0131】
また、子癇前症の予防又は治療における使用においても、本発明の化合物の好ましい一実施形態において、少なくとも1個のPはPであり、少なくとも1個のPはPであり、
は5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
は5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質はUniProtアクセッション番号Q1HVF7、P03211、Q13585、又はP30556で識別され、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含み、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質はUniProtアクセッション番号Q1HVF7、P03211、Q13585、又はP30556で識別され、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む。
【0132】
一部実施形態においては、特にP及び/又はPについて、前記タンパク質の前記配列断片は、配列RPQKRPSCIGCKGTH(配列番号5)又はRPQKRPSCIGCKGAH(配列番号6)の、好ましくは配列KRPSCIGCK(配列番号7)の、断片である。さらなる一部実施形態においては、特にP及び/又はPについて、前記タンパク質の前記配列断片は、配列MILNSSTEDGIKRIQDDCPKAGRHNYI(配列番号8)、TAMEYRWPFGNYLCK(配列番号9)、AIIHRNVFFIENTNITVCAFHYESQNSTLP(配列番号10)、及びDVLIQLGIIRDCR(配列番号11)のいずれか1つの、より好ましくは配列AFHYESQ(配列番号12)の、断片である。特に、ペプチドP及び/又はペプチドPは、N末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列GRPQKRPSCIG(配列番号13)からなる。
【0133】
さらに、子癇前症に関連する前記望ましくない抗体の力価をより強力に減少させるため、好ましい一実施形態においては、前記第1のペプチドnマーはP-S-Pであり、前記第2のペプチドnマーはP-S-Pである。
【0134】
特に、望ましくない抗薬物抗体の枯渇との関連において、本発明のさらに別の好ましい一実施形態においては、少なくとも1個のP、好ましくは全てのPのうち少なくとも10%、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%、よりいっそう全てのPのうち少なくとも95%、特には全てのPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブのアミノ酸配列の配列断片と同一であり、所望により前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む。
【0135】
特に、同様な関連において、別の好ましい一実施形態においては、ペプチドP及び/又はペプチドPの任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブのアミノ酸配列の配列断片と同一であり、所望により前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む。
【0136】
特に、抗薬物抗体との同様な関連において、他の好ましい一実施形態においては、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、アミノ酸配列の配列断片と同一であり、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、同一アミノ酸配列の同一又は別の、好ましくは別の、配列断片と同一であり、前記アミノ酸配列は、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブのアミノ酸配列であり、所望により前記配列断片及び/又は前記の別の配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む。
【0137】
一側面において、本発明は、前記発明物と、少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0138】
一部実施形態においては、前記組成物は腹腔内、皮下、筋肉内、及び/又は静脈内投与用に調製される。特に、前記組成物は反復投与のためのものである(前記組成物は典型的には非免疫原性であるため)。
【0139】
好ましくは、前記組成物中におけるペプチドP又はP又はPの、生体高分子足場に対してのモル比は、2:1~100:1、好ましくは3:1~90:1、より好ましくは、4:1~80:1、さらに好ましくは5:1~70:1、いっそう好ましくは6:1~60:1、特には7:1~50:1、さらになお好ましくは8:10~40:1である。
【0140】
他の側面においては、本発明の化合物は治療における使用のためのものである。
【0141】
好ましくは、前記化合物は自己免疫疾患を有する、又は自己免疫疾患を発症するリスクを有する個体における、前記自己免疫疾患の予防又は治療における使用のためのものである。これらの自己免疫疾患としては、視神経脊髄炎、血清陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害、自己免疫性脳炎、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、全身性エリテマトーデス認知症、重症筋無力症、特に新生児一過性重症筋無力症、拡張型心筋症、肺高血圧症、シェーグレン症候群、セリアック病、グレーブス病、グッドパスチャー病、子癇前症、ベーチェット病、全身性硬化症、高血圧症、I型糖尿病、II型糖尿病、全身性エリテマトーデス、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)脳炎、抗リン脂質症候群、膜性腎症、原発性胆汁性胆管炎、筋萎縮性側索硬化症、シャーガス病心筋症、免疫性血小板減少性紫斑病、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、及び水疱性全身性エリテマトーデスなどが挙げられる。
【0142】
本発明の化合物は、移植片を有する又は移植適格な個体における、移植片拒絶の予防又は治療にも有用である。
【0143】
他の一実施形態においては、前記化合物は、抗薬物抗体又は抗遺伝子送達ベクター抗体、特に抗AAV抗体、に基づく有害反応の予防又は治療における、前記薬物を用いた治療を受けている若しくは前記薬物を用いた治療に適格な個体での、又は遺伝子治療を受けている若しくは遺伝子治療に適格な個体での、使用のためのものである。
【0144】
好ましくは、前記薬物はペプチド又はタンパク質、特に酵素、酵素阻害剤、抗体、抗体断片、抗体ミメティック、抗体薬物複合体、ホルモン、成長因子、凝固因子、及びサイトカインからなる群より選択されるペプチド又はタンパク質であり、好ましくは少なくとも1個のペプチドPの、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列は、前記ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列の配列断片と同一であり、所望により、前記配列断片は5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む。前記薬物は、例えば、本明細書に開示される薬物のいずれか1つであってよい。
【0145】
一部実施形態においては、前記個体内に存在する1又は複数の抗体は、少なくとも1個のペプチドP、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPに対して特異的であり、前記抗体は好ましくは前記疾患と関連したものである。
【0146】
前記組成物は、前記個体内において非免疫原性であることが極めて好ましい(例えば、前記組成物はアジュバント又はT細胞エピトープなどの、自然又は適応免疫系を刺激するアジュバント又は免疫刺激物質を含まない)。
【0147】
本発明の組成物は、前記個体の体重1kgあたりの化合物として1~1000mg、好ましくは2~500mg、より好ましくは3~250mg、さらに好ましくは4~100mg、特には5~50mgの用量で投与してよく、好ましくは前記組成物は反復して投与される。このような投与は腹腔内、皮下、筋肉内、又は静脈内投与であってよい。
【0148】
一側面において、本発明は、個体内に存在する1又は複数の抗体を隔離する(又は枯渇させる)方法であって、
本明細書に定義される医薬組成物を得ること、及び
前記医薬組成物を前記個体に投与すること(特に、例えば少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも5回、反復投与すること)
を含み、
前記組成物は前記個体内で非免疫原性であり、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体は、少なくとも1つのPに対して、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPに対して特異的である、
方法に関する。
【0149】
本発明との関連において、(処置対象となる)前記個体は非ヒト動物、好ましくは、非ヒト霊長類、ヒツジ、ブタ、イヌ、又は齧歯類、特にマウスであってよい。
【0150】
好ましくは、前記生体高分子足場は前記個体の自己由来であり、好ましくは前記生体高分子足場は自己タンパク質である(すなわち、前記個体がマウスである場合にはマウスアルブミンが使用される)。
【0151】
一部実施形態においては、前記個体は異種タンパク質、好ましくはナノボディなどの異種抗体を投与され、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体は前記異種タンパク質に対して特異的であり、好ましくは、前記異種タンパク質の前記投与は、前記医薬組成物の前記投与の前に、投与と同時に、及び/又は投与に続き、行われる。
【0152】
前記異種タンパク質(特にヒト又はヒト化抗体)は、例えば悪性腫瘍又は癌の治療(特に免疫療法)のためのものであってよい。一部実施形態においては、前記個体は前記悪性腫瘍又は癌を有していてよく、前記抗体などの前記異種タンパク質で処置される、処置対象となる、又は処置に選定される、個体であってよい。
【0153】
好ましくは、前記個体は非ヒト動物であり、前記異種タンパク質はヒト又はヒト化タンパク質、例えば、(モノクローナル抗体などのヒト又はヒト化生物製剤の前臨床試験のためなどの)ヒト又はヒト化抗体である。
【0154】
さらに好ましくは、前記個体は薬物を投与され、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体は前記薬物に特異的であり、好ましくは前記薬物の前記投与は、前記医薬組成物の前記投与の前に、投与と同時に、及び/又は投与に続き、行われる。
【0155】
前記薬物は、本明細書に開示される薬物のいずれかであってよい。
【0156】
一部実施形態においては、前記個体は健常である。
【0157】
他の一側面において、本発明は、本発明の化合物を含み、さらにタンパク質又はペプチドなどの活性薬剤、及び任意に少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤を含み、前記活性薬剤が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチド断片を含み、前記化合物の少なくとも1つのペプチドP、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの配列が、前記ペプチド断片の配列と、少なくとも70%同一、好ましくは少なくとも75%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも85%同一、いっそう好ましくは少なくとも90%同一、よりいっそう好ましくは少なくとも95%同一、特には完全に同一である、医薬組成物に関する。
【0158】
前記活性薬剤は、特に本明細書に開示するような、酵素、好ましくはヒト酵素;抗体、好ましくはヒト若しくはヒト化抗体;ホルモン;成長因子;凝固因子;サイトカイン;又は、遺伝子送達ベクター(AAVなど);であってよい。
【0159】
この組成物は、好ましくは、前記活性薬剤に対する免疫反応、好ましくは抗体媒介免疫反応、の阻害における使用のためのものである。
【0160】
この組成物は、さらに好ましくは前記個体内において非免疫原性である。
【0161】
さらに別の側面において、本発明は、活性薬剤を用いた処置を必要とする個体内において前記活性薬剤を用いた処置に対する免疫反応を阻害する方法であって、上記で定義される医薬組成物を得ること、及び前記医薬組成物を前記個体に投与(好ましくは反復投与)することを含み、前記医薬組成物の前記化合物が前記個体内で非免疫原性である、方法に関する。
【0162】
さらに他の側面において、本発明は、前記本発明の化合物を提供する方法であって、抗原に対する望ましくない抗体を有する少なくとも1個体を同定する工程、ペプチドライブラリーをスクリーニングして前記望ましくない抗体が特異的であるペプチドミモトープを同定する工程、及び前記化合物を提供する工程を含み、前記化合物の少なくとも1つのPは前記ペプチドミモトープの全体配列を含む、方法を提供する。この側面において、前記化合物はミモトープを基盤とする化合物とみなすことができる。ミモトープについては上記で説明されている。実施例4も参照のこと。一般に、ペプチドミモトープのスクリーニング自体は当該分野で公知であり、例えばShanmugam et al.を参照のこと。
【0163】
ミモトープを基盤とする本発明の化合物は、野生型エピトープを用いた化合物と比べ、次の2つの利点を有する。第一に、前記望ましくない抗体は概して、ペプチドライブラリーのスクリーニングで見いだされるミモトープに対してさらに高い親和性を有するため、前記ミモトープを基盤とする化合物は除去効率がより高い。第二に、野生型エピトープ配列がT細胞エピトープ活性を誘導する場合においてさえも、ミモトープは(本明細書で上記した通り)このようなT細胞エピトープ活性を可能な限り回避することを可能にする。
【0164】
好ましくは、前記化合物の全てのPのうち少なくとも10%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、よりいっそう全てのPのうち少なくとも95%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、特には全てのPが前記ペプチドミモトープの全体配列を含む。
【0165】
一部実施形態においては、前記抗原はペプチド又はタンパク質であってよく、前記ペプチド又はタンパク質の配列は前記ペプチドミモトープの全体配列を含まない。言い換えると、前記ペプチドミモトープ及び(前記ペプチド又はタンパク質上に見いだされる)前記野生型エピトープの配列は、少なくとも1個のアミノ酸の違いを有する。
【0166】
特に好ましい一実施形態においては、前記ペプチドライブラリーは環状ペプチド(circular peptides)を含む。それらは典型的には、前記望ましくない抗体に対する、さらに高い親和性を有するためである(実施例4を参照のこと)。前記ペプチドライブラリーは、例えばファージディスプレイライブラリー、ペプチドマイクロアレイライブラリー、又は可溶性ペプチドライブラリーであってよい。
【0167】
さらに好ましい一実施形態においては、前記ペプチドライブラリーの前記スクリーニングは、前記の少なくとも1個体から得られた血清を用いて行われ、前記血清は前記望ましくない抗体を含む。血清を用いたミモトープのスクリーニングを行う方法については、例えばGazarian et al.又はLeung et al.を参照のこと。
【0168】
一部実施形態においては、前記化合物は好ましくは前記の少なくとも1個体において非免疫原性である。
【0169】
さらなる一部実施形態においては、前記の少なくとも1個体は、非ヒト動物、好ましくは、非ヒト霊長類、ヒツジ、ブタ、イヌ、又は齧歯類、特にマウスである。前記の少なくとも1個体はヒトであってもよい。
【0170】
他のさらなる好ましい一実施形態においては、前記生体高分子足場は前記の少なくとも1個体の自己由来であり、好ましくは前記生体高分子足場は自己タンパク質である
【0171】
一部実施形態において、前記の少なくとも1個体は、異種タンパク質、好ましくはナノボディなどの異種抗体、を投与された個体であって、前記抗原は前記異種タンパク質である。
【0172】
他の一実施形態においては、前記の少なくとも1個体は非ヒト動物であり、前記の異種タンパク質はヒト又はヒト化タンパク質、例えば、ヒト又はヒト化抗体の開発過程における抗体である。
【0173】
さらに好ましくは、前記個体は薬物を投与された個体であり、前記薬物は前記抗原である。前記薬物は、例えば本明細書に定義するような、酵素、好ましくはヒト酵素;抗体、好ましくはヒト若しくはヒト化抗体;ホルモン;成長因子;凝固因子;サイトカイン;又は、AAVなどの遺伝子送達ベクター;であってよい。例えば、前記薬物はアルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブであってよい。
【0174】
一部実施形態においては、前記個体は健常であってよい。
【0175】
さらに好ましい一実施形態によると、前記望ましくない抗体は前記の少なくとも1個体の自己抗体であってよい。
【0176】
本発明との関連において、バイオアベイラビリティを改善するため、本発明の化合物は25℃の水における溶解度が少なくとも0.1μg/ml、好ましくは少なくとも1μg/ml、より好ましくは少なくとも10μg/ml、さらに好ましくは少なくとも100μg/ml、特には少なくとも1000μg/mlであることが好ましい。
【0177】
本明細書で使用される「予防すること」又は「予防」という語は、患者又は対象において病態又は状態が生ずることを完全に、ほぼ完全に、又は少なくともある程度(好ましくは大幅に)阻止すること、特に、前記患者、対象、又は個体がこのような病態又は状態になる恐れが大きい場合に、阻止することを意味する。
【0178】
本発明の医薬組成物は、好ましくは(典型的には水)溶液、(典型的には水性)懸濁液、又は(典型的には水性)エマルションとして提供される。本発明の医薬組成物に適した製剤添加剤は、本明細書の読後の当業者には公知であり、例として水(特に注射用水)、生理食塩水、リンガー液、ブドウ糖溶液、緩衝液、ハンクス液、ベシクル形成化合物(脂質など)、固定油、オレイン酸エチル、5%ブドウ糖添加生理食塩水、等張性や化学的安定性を高める物質、緩衝液、及び保存剤が挙げられる。他の適した製剤添加剤としては、前記患者(又は個体)において、前記患者(又は個体)にとって有害な抗体の産生をそれ自体が誘導しない任意の化合物が挙げられる。例として、十分な寛容性のあるタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、及びアミノ酸共重合体が挙げられる。この医薬組成物を(薬物として)(本明細書の読後の)当業者に公知の適した手順により、それを必要とする患者又は個体(すなわち、本明細書で述べる疾患又は状態を有する、又はそれらを発症する恐れがある、患者又は個体)に投してよい。前記医薬組成物の投与の好ましい経路は非経口投与、特に腹腔内、皮下、筋肉内、及び/又は静脈内投与を介したものである。非経口投与には、本発明の医薬組成物は、好ましくは、上記定義の医薬的に許容される製剤添加剤と併せて製剤された、注射可能な単位剤形、例えば溶液(典型的には水溶液)、懸濁液、又はエマルションとして提供される。投与の用量及び方法は、しかし、前記の個々の患者又は処置対象となる個体による。前記医薬組成物は、他の生物学的投与レジメンで公知の、又は所定の個体に対して具体的に見積もられ最適化された、任意の適した用量で投与してよい。例えば、前記活性薬剤は、前記医薬組成物において1mg~10g、好ましくは50mg~2g、特には100mg~1gの量で存在してよい。常用量も前記患者のkg体重に基づき決定してよく、例えば、好ましい用量は0.1mg~100mg/kg体重、特に1~10mg/kg体重(投与セッション(administration session)あたり)である。前記投与は1日1回、一日おきに1回、週1回、又は2週間に1回などで行ってよい。本発明の医薬組成物の投与の好ましい様式は非経口投与であるため、本発明の医薬組成物は好ましくは液体であるか、あるいは、無菌の、脱イオン化された、若しくは蒸留された水、又は無菌の等張リン酸緩衝食塩水(PBS)、などの液体に溶解させることができる状態のものである。好ましくは、1000μg(乾燥重量)のこのような組成物は、0.1~990μg、好ましくは1~900μg、より好ましくは10~200μgの化合物、及び任意に、(好ましくは最終容量で等張緩衝液となるように)1~500μg、好ましくは1~100μg、より好ましくは5~15μgの(緩衝)塩、及び任意に、0.1~999.9μg、好ましくは100~999.9μg、より好ましくは200~999μgの他の製剤添加剤、を含むか、又はそれらからなる。好ましくは、100mg(乾燥重量)のこのような乾燥組成物は、無菌の、脱イオン化された/蒸留された水、又は無菌の等張リン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解され、最終容量として0.1~100ml、好ましくは0.5~20ml、より好ましくは1~10mlとなる。
【0179】
本明細書に記載される活性薬剤及び薬物が塩の形態で(すなわち、前記活性薬剤の医薬的に許容される塩として)投与されてもよいことは、当業者には明白である。従って、本明細書で活性薬剤について言及した場合、いずれもその任意の医薬的に許容される塩の形態も含むものとする。
【0180】
本発明の化合物に使用するペプチドの化学合成のための方法は、当該技術分野で周知である。当然、前記ペプチドを組み換え法を用いて製造することも可能である。前記ペプチドは、細菌類、酵母、若しくは真菌類などの微生物において、哺乳類若しくは昆虫細胞などの真核細胞において、又は、アデノウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、セムリキ森林ウイルス、バキュロウイルス、バテリオファージ、シンドビスウイルス、若しくはセンダイウイルスなどの組み換えウイルスベクターにおいて、製造することができる。前記ペプチドを製造するのに適した細菌としては、E. coli、B.subtilis、又はこのようなペプチドを発現可能な任意の他の細菌が挙げられる。本発明のペプチドを発現させるのに適した酵母細胞としては、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Candida、Pichiapastoris、又はペプチドを発現可能な任意の他の酵母が挙げられる。対応する手段及び方法は当該分野で周知である。また、組み替えによって製造されたペプチドを単離及び精製するための方法も当該分野で周知であり、例としてゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0181】
前記生体高分子足場への結合を容易にするため、システイン残基を前記ペプチドのN及び/又はC末端に加えることが特に有利である。
【0182】
前記ペプチドの単離を容易にするため、融合ポリペプチドを作成してもよく、この場合、前記ペプチドは、アフィニティークロマトグラフィーによる単離を可能にする異種ポリペプチドに翻訳段階で融合(共有結合)される。典型的な異種ポリペプチドは、Hisタグ(例えばHis6; ヒスチジン残基6個)及びGSTタグ(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)などである。前記融合ポリペプチドによって、前記ペプチドの精製を容易にすることのみならず、精製段階での前記ペプチドの分解を防止することも可能である。前記異種ポリペプチドを精製後に除去したい場合、前記融合ポリペプチドは、前記ペプチドと前記異種ポリペプチドとの間の接合部に、切断部位を含んでいてもよい。前記切断部位は、この部位のアミノ酸配列に特異的な酵素(例えばプロテアーゼ)で切断されるアミノ酸配列からなっていてもよい。
【0183】
本発明との関連において、前記ペプチド/ペプチドnマーマーを前記生体高分子足場に(例えば、GMBSや、当然「Bioconjugate Techniques」、Greg T. Hermansonに記載されるそれ以外のものなどの、ヘテロ二官能性化合物を介して)連結するのに使用される、又は前記スペーサーを前記ペプチドに結合するのに使用される、連結/結合化学も、当業者に公知の反応から選択することができる。前記生体高分子足場それ自体は、組み換えにより製造しても、又は天然源から得てもよい。
【0184】
本明細書において、「~に特異的」という語は、「分子Bに特異的な分子A」のように使用される場合、ある個体の身体において、分子Aが他の分子よりも分子Bに対して優先的に結合することを意味する。典型的には、これは、分子A(例えば抗体)の、分子B(例えば、前記抗原、特にその結合エピトープ)に対する解離定数(「親和性」とも呼ばれる)が1000nMよりも低い(すなわち、強い)、好ましくは100nMよりも低い、より好ましくは50nMよりも低い、さらに好ましくは10nMよりも低い、特には5nMよりも低いことを必要とする。
【0185】
本明細書において、「UniProt」とは、ユニバーサルタンパク質リソース(Universal Protein Resource)のことを表す。UniProtはタンパク質配列及び注釈データのための、包括的リソースである。UniProtは、欧州バイオインフォマティクス研究所(EMBL-EBI)、SIBスイスバイオインフォマティックス研究所、及びタンパク質情報リソース(PIR)の間での共同研究である。この3つの研究所全体で100名を超える人々が、データベースキュレーション、ソフトウェア開発、及びサポートなど異なるタスクを介して関わっている。ウェブサイト: http://www.uniprot.org/
【0186】
UniProtデータベースのエントリーは、それらのアクセッション番号(本明細書では、例えば「UniProtアクセッション番号」又は略して「UniProt」と、それに続くアクセッション番号とで表す)で識別され、アクセッション番号は通常、6文字の英数字のコードである(例えば「Q1HVF7」)。特に断りが無い限り、本明細書で用いられるアクセッション番号は、UniProtのProtein Knowledgebase(UniProtKB)におけるエントリーのことを表す。特に断りが無い限り、本明細書で参照される全てのエントリーのUniProtデータベースは、2019年2月13日付け(UniProt/UniProtKB Release 2019_02)のものである。
【0187】
本願との関わりにおいて、UniProtデータベースのエントリーを参照する際、配列バリアント(UniProtにおいて「天然バリアント」と示される)は明示的に含められる。
【0188】
参照ポリペプチド又はタンパク質配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」又は「X%同一」(例えば「70%同一」)とは、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大のパーセント配列同一性を達成し、かつ配列同一性の一部としていずれの保存的置換も考慮しなかった場合の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一の、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当該分野で公知の各種方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、Megalign(DNASTAR)、又は、EMBOSSソフトウェアパッケージの「needle」ペアワイズ配列アラインメントアプリケーションなどの、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較対象配列の全長にわたる最大アラインメント(maximal alignment)を達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含め、配列のアラインメントのための適したパラメータを決定することができる。本明細書の目的においては、しかし、%アミノ酸配列同一性の値は、EMBOSSソフトウェアパッケージ(European Molecular Biology Laboratoryにて公開;Rice et al., EMBOSS: the European Molecular Biology Open Software Suite, Trends Genet. 2000 Jun;16(6):276-7, PMID:10827456)のコンピュータプログラム「needle」の配列アラインメントを使用して計算される。
【0189】
前記needleプログラムは、ウェブサイトhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needleからアクセスでき、又は、http://emboss.sourceforge.net/より、EMBOSSパッケージの一部としてローカルインストールのためにダウンロードできる。前記プログラムはLinuxなど、広く使用されている多くのUNIXオペレーティングシステムで実行できる。
【0190】
2個のタンパク質配列のアラインメントのため、前記needleプログラムは、好ましくは次のパラメータを用いて実行される。
Commandline: needle -auto -stdout -asequence SEQUENCE_FILE_A -bsequence SEQUENCE_FILE_B -datafile EBLOSUM62 -gapopen 10.0 -gapextend 0.5 -endopen 10.0 -endextend 0.5 -aformat3 pair -sprotein1 -sprotein2 (Align_format: pair Report_file: stdout)
【0191】
特定のアミノ酸配列Aの、特定のアミノ酸配列Bへの、Bとの、又はBに対する、%アミノ酸配列同一性(あるいは、特定のアミノ酸配列Bへの、Bとの、又はBに対する、特定の%アミノ酸配列同一性を有する、又は含む、特定のアミノ酸配列A、と表現することもできる)は、次の様に算出される。
割合X/Yの100倍
式中、Xは、配列アラインメントプログラムneedleによって、そのプログラムによるA及びBのアラインメントで同一性マッチ(identical matches)としてスコアリングされるアミノ酸残基の数であり、YはBにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性はBのAに対する%アミノ酸配列同一性と等しくならないことがわかる。「Aの配列がBの全体配列に対してN%超同一である」場合、YはBの配列全長である(すなわち、Bにおけるアミノ酸残基の総数)。特に断りの無い限り、本明細書で用いられる全ての%アミノ酸配列同一性の値は、直前の段落で記載されるように、needleコンピュータプログラムを使用して取得される。
【0192】
本発明はさらに、次の実施形態に関する。
【0193】
実施形態1
・生体高分子足場、並びに少なくとも
・下記一般式の第1のペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1) 及び
・下記一般式の第2のペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
を含み、
Pがそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sが非ペプチドスペーサーであり、
前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nが少なくとも1、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、特には少なくとも4の整数であり、
それぞれのペプチドnマーが、好ましくはそれぞれリンカーを介して、前記生体高分子足場に結合している、
化合物。
【0194】
実施形態2
少なくとも1つのPが環状ペプチドであり、好ましくは全てのPのうち少なくとも10%が環状ペプチドであり、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%が環状ペプチドであり、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%が環状ペプチドであり、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%が環状ペプチドであり、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%が環状ペプチドであり、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも95%が環状ペプチドであり、特には全てのPが環状ペプチドである、実施形態1の化合物。
【0195】
実施形態3
前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nが少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、特には少なくとも4である、実施形態1又は実施形態2の化合物。
【0196】
実施形態4
前記ペプチドnマーのそれぞれについて独立に、nが10未満、好ましくは9未満、より好ましくは8未満、いっそう好ましくは7未満、よりいっそう好ましくは6未満、特には5未満である、実施形態1~実施形態3のいずれか1つの化合物。
【0197】
実施形態5
前記ペプチドnマーのそれぞれについて、nが2である、実施形態1~実施形態4のいずれか1つの化合物。
【0198】
実施形態6
少なくとも1つのPがPであり、及び/又は少なくとも1つのPがPであり、
が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドである、
実施形態1~実施形態5のいずれか1つの化合物。
【0199】
実施形態7
Pがそれぞれ独立に、P又はPである、実施形態1~実施形態6のいずれか1つの化合物。
【0200】
実施形態8
第1のペプチドnマーにおいてそれぞれのPがPであり、第2のペプチドnマーにおいてそれぞれのPがPである、実施形態1~実施形態7のいずれか1つの化合物。
【0201】
実施形態9
前記第1のペプチドnマーがP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、
前記第1のペプチドnマーがP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pであるか、又は
前記第1のペプチドnマーがP-S-P、かつ前記第2のペプチドnマーがP-S-Pである、
実施形態1~実施形態8のいずれか1つの化合物。
【0202】
実施形態10
・生体高分子足場、及び少なくとも
・式P-S-P又はP-S-Pのペプチド二量体である第1のペプチドnマー、
を含み、
が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有すペプチドであり、Pが2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
前記第1のペプチドnマーが前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して結合している、
化合物。
【0203】
実施形態11
式P-S-P又はP-S-Pのペプチド二量体である第2のペプチドnマーをさらに含み、
前記第2のペプチドnマーが前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して結合している、
実施形態10の化合物。
【0204】
実施形態12
前記第1のペプチドnマーが前記第2のペプチドnマーと異なる、実施形態1~実施形態9及び実施形態11のいずれか1つの化合物。
【0205】
実施形態13
前記ペプチドPが前記ペプチドPとは異なり、好ましくは、前記ペプチドP及び前記ペプチドPが同一抗原の2個の異なるエピトープ、又は同一エピトープの2個の異なるエピトープ部分である、実施形態6~実施形態12のいずれか1つの化合物。
【0206】
実施形態14
前記ペプチドP及び前記ペプチドPが同一のアミノ酸配列断片を含み、前記アミノ酸配列断片が少なくとも2アミノ酸、好ましくは少なくとも3アミノ酸、より好ましくは少なくとも4アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも5アミノ酸、いっそう好ましくは少なくとも6アミノ酸、よりいっそう好ましくは少なくとも7アミノ酸、特には少なくとも8アミノ酸、さらになお好ましくは少なくとも9アミノ酸の長さを有する、実施形態6~実施形態13のいずれか1つの化合物。
【0207】
実施形態15
及び/又はPが環状化されている、実施形態6~実施形態14のいずれか1つの化合物。
【0208】
実施形態16
前記化合物が複数の前記第1のペプチドnマー及び/又は複数の前記第2のペプチドnマーを含む、実施形態1~実施形態15のいずれか1つの化合物。
【0209】
実施形態17
前記生体高分子足場がタンパク質、好ましくは、ヒトタンパク質、非ヒト霊長類タンパク質、ヒツジタンパク質、ブタタンパク質、イヌタンパク質、又は齧歯類タンパク質などの哺乳類タンパク質である、実施形態1~実施形態16のいずれか1つの化合物。
【0210】
実施形態18
前記生体高分子足場がグロブリンである、実施形態17の化合物。
【0211】
実施形態19前記生体高分子足場が免疫グロブリン、アルファ1-グロブリン、アルファ2-グロブリン、及びベータ-グロブリンからなる群より選択される、実施形態18の化合物。
【0212】
実施形態20
前記生体高分子足場が免疫グロブリンG、ハプトグロビン、及びトランスフェリンからなる群より選択される、実施形態19の化合物。
【0213】
実施形態21
前記生体高分子足場がハプトグロビンである、実施形態20の化合物。
【0214】
実施形態22
前記生体高分子足場がアルブミンである、実施形態17の化合物。
【0215】
実施形態23
前記化合物が哺乳類において、好ましくは、ヒトにおいて、非ヒト霊長類において、ヒツジにおいて、ブタにおいて、イヌにおいて、又は齧歯類において、非免疫原性である、実施形態1~実施形態22のいずれか1つの化合物。
【0216】
実施形態24
前記化合物が、個体内、好ましくは前記個体の血流中の、少なくとも1個の抗体の体内隔離(又は体内枯渇)のためのものであり、及び/又は、前記個体内、好ましくは前記個体の血流中の、少なくとも1個の抗体の力価の低減のためのものである、実施形態1~実施形態23のいずれか1つの化合物。
【0217】
実施形態25
前記化合物がさらに少なくとも
下記一般式の第3ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第4ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第5ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第6ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第7ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第8ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第9ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
下記一般式の第10ペプチドnマー:
P(-S-P)(n-1)
[Pはそれぞれ独立に、2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、Sは非ペプチドスペーサーであり、
好ましくは、Pはそれぞれ独立にPであり、Pは2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
より好ましくは、Pは環状化されている];
を含む、実施形態1~実施形態24のいずれか1つの化合物。
【0218】
実施形態26
少なくとも1個のペプチドP、好ましくは全てのPのうち少なくとも10%、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも95%、特には全てのPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質が下記のUniProtアクセッション番号:
P01023, A8K2U0, P49588, Q5JTZ9, O95477, Q8IZY2, P08183, P33527, O15438, Q96IU4, P00519, P42684, Q9BYF1, P22303, Q99798, P68133, P60709, P63261, P12814, O43707, P61158, Q13705, P37023, O75077, Q9UKQ2, Q76LX8, Q6ZMM2, P35611, P07327, P00325, P35348, P25100, P08588, P07550, P25098, P35626, P30566, P43652, P02771, Q5U5Z8, Q15109, P35573, Q9UL18, Q9UKV8, O00468, P01019, P30556, Q09666, P02765, O43918, Q9Y6K8, Q02952, P14550, P15121, O95154, P02768, P00352, P49189, Q9UM73, P09923, P05187, P03971, P49418, P03950, Q9BY76, Q15327, P15144, P04083, P50995, P07355, Q3ZCQ2, P12429, P09525, P08758, P08133, O76027, Q13367, P27695, Q9BZZ5, P02647, P04114, P02749, P05067, P29972, P55087, Q8N726, P05089, Q9UNA1, P52566, Q99819, Q15052, P07306, P04424, P08243, Q9BXN1, P15336, P13637, P05026, P98194, P20648, P51164, P06576, P48047, P54252, Q8WXX7, P01185, P25311, Q9H6S1, P61769, Q13072, O75531, Q99728, P10415, P41182, P11274, O14503, Q93088, O00499, O15392, P35226, P12643, P18075, Q8N8U9, Q13873, P17213, 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O00151, Q5T2W1, P16284, P02776, P10720, P35080, P18669, P00558, O95394, P35232, Q99623, Q9BVI0, Q92576, O43175, P11309, O75364, Q9Y446, P04054, Q13018, P16885, Q15149, Q9H7P9, P40967, P29590, Q01453, Q9NR77, P54277, P16233, P54317, Q8ND90, Q9UL42, P00491, Q9H9Y6, O14802, Q99575, P16435, Q15063, Q01851, Q12837, Q15181, P62937, O60437, P35813, P01298, Q9HAZ2, P32119, Q13162, P30041, P13727, Q92954, P17612, P17252, P01236, P04553, P04554, O60678, P04070, Q9UNN8, P54821, Q99811, P07477, P24158, Q9BXM0, O43653, O75475, P20618, P40306, P49721, P28074, P28062, P28065, P61289, Q6PGN9, P26599, Q8WV60, P01270, P06454, Q06124, Q9Y2R2, P08575, Q12913, Q16849, Q92932, Q86Y79, Q9UHX1, P20472, Q9BRP8, P51153, Q9UI14, Q15276, P63244, Q92878, Q06609, P04049, Q15311, Q9UKM9, Q14498, P38159, P10745, Q06330, P53805, O95199, Q9P258, P35243, P46063, P05451, Q8IX06, P57771, P08100, P12271, O60930, O00584, Q9ULK6, Q99942, Q9UBF6, P13489, O75116, Q01973, P15927, Q9Y2J0, Q9UNE2, Q02878, P05388, P05386, P05387, Q9BUL9, P78346, P78345, P62277, P60866, O75676, O43159, Q15404, O00442, Q92541, Q9NQC3, Q9Y265, Q9Y230, P48443, P21817, Q92736, P31151, P04271, P0DJI8, P0DJI9, P10523, P49591, O43290, Q99590, Q8WTV0, Q14108, P13521, P05408, Q14524, Q9BWW7, P34741, Q86SQ7, Q9UDX4, Q13228, P16109, P04279, Q9HC62, P49908, Q9HD40, P01009, P05543, P30740, P29508, P48594, P35237, P05121, P07093, P05155, Q9BYW2, Q7Z333, Q8N474, Q9BWM7, Q99961, O15266, O60902, Q9NYZ4, Q9Y336, Q9H0K1, Q14190, Q13239, Q14493, Q9H0C2, P12235, P05141, Q9H2B4, O43511, P11168, Q8IWU4, O00400, P08195, Q8IWA5, P48751, Q9Y6R1, Q9BRV3, Q92911, P37840, O76070, P08621, P09012, P14678, P09234, P62314, P62316, P62318, P62304, P62306, P62308, P63162, O14512, P00441, P04179, Q9BQB4, O00570, P56693, P35716, O15370, O60248, Q9UN79, O95416, Q9H6I2, P35713, P48431, Q9Y651, P41225, O94993, Q06945, P35711, P35712, Q9BT81, P57073, P48436, P08047, P23497, Q13342, Q9H930, Q15506, Q8N0X2, P00995, P16150, O43791, P10451, Q8TCT8, Q8TCT7, Q8TCT6, Q13813, Q13501, P10124, P61011, O76094, Q05066, P05455, O43805, P61278, Q13586, Q9P246, P31948, P49842, P16949, Q7Z7C7, Q13033, O75558, P61266, Q13190, Q8IWZ8, Q9Y2Z0, Q8IWU6, P63165, P61956, P17600, P08247, P21579, P37837, Q15633, Q13148, P26639, Q9NYW0, P20226, O60806, P24557, P17987, O60522, O14746, P02787, P05549, Q92734, P10646, P02786, P01266, P01137, P21980, Q08188, P49221, P07204, P40225, P10827, P10828, Q9UPZ6, P31483, P29401, Q9Y490, O60602, Q8TDI7, P17152, P42167, P42166, P01375, O00300, P43489, P19237, P48788, P19429, P13805, P45379, P45378, P09430, Q8NDV7, P11387, Q969P6, P11388, Q13472, O95985, P04637, Q9H3D4, O15350, P60174, P09493, P07202, P12270, P56180, O43280, Q92519, Q96RU7, P19474, O15164, Q9UPN9, Q6AZZ1, P10155, P48995, Q13507, Q7Z4N2, Q7Z2W7, Q9HBA0, Q9BZW7, P01222, P16473, Q9H2G4, Q14166, Q8WZ42, P02766, P07437, O00294, Q15672, Q9P2K2, Q86VQ3, Q6A555, P14679, Q9BZF9, Q13404, Q14139, O95155, P11441, Q9UMX0, P17480, P09936, P15374, Q9Y3C8, P19224, P16662, P07911, Q8TCY9, Q9Y6N9, Q13107, P63027, Q15836, P18206, P55072, P21796, P08670, P04275, O75083, Q14191, P98170, Q13426, P13010, P12956, P67809, Q9Y2T7, O43829, Q13105, Q15915, O95409, Q8N9L1, Q9UDV7, Q9Y3S2, Q9UL40, Q14966, Q9H0M5, Q9Y5V0, Q96C28, Q9H5H4,
A9RAI0, B5SUY7, O41855, O56137, O56139, P03135, P04133, P04882, P08362, P10269, P12538, P69353, Q5Y9B2, Q5Y9B4, Q65311, Q6JC40, Q6VGT5, Q8JQF8, Q8JQG0, Q98654, Q9WBP8, Q9YIJ1, Q1HVF7, P03211, Q13585, P04233, O15523, O14602, Q30201, P01891, P01892, P04439, P05534, P10314, P10316, P13746, P16188, P16189, P16190, P18462, P30443, P30447, P30450, P30453, P30455, P30456, P30457, P30459, P30512, Q09160, P01889, P03989, P10319, P18463, P18464, P18465, P30460, P30461, P30462, P30464, P30466, P30475, P30479, P30480, P30481, P30483, P30484, P30485, P30486, P30487, P30488, P30490, P30491, P30492, P30493, P30495, P30498, P30685, Q04826, Q29718, Q29836, Q29940, Q31610, Q31612, Q95365, P04222, P10321, P30499, P30501, P30504, P30505, P30508, P30510, Q07000, Q29865, Q29960, Q29963, Q95604, Q9TNN7, P28067, P28068, P06340, P13765, P20036, P04440, P01909, P01906, P01920, P05538, P01903, P01911, P01912, P04229, P13760, P13761, P20039, Q29974, Q30134, Q30167, Q5Y7A7, Q95IE3, Q9GIY3, Q9TQE0, P79483, P13762, Q30154, P13747, P30511, P17693, Q9BY66, Q29983, Q29980, P22090, Q03519, O14607, P08048
の1つによって識別され、
特に前記配列断片がAAV-8キャプシドタンパク質配列LQQQNT(配列番号18)、TTTGQNNNS(配列番号19)、又はGTANTQ(配列番号20)を含み、又はその配列からなり、
所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態25のいずれか1つの化合物。
【0219】
実施形態27
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質が実施形態26に列挙されるUniProtアクセッション番号の1つによって識別され、
所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態26のいずれか1つの化合物。
【0220】
実施形態28
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質が実施形態26に列挙されるUniProtアクセッション番号の1つによって識別され、
所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態27のいずれか1つの化合物。
【0221】
実施形態29
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、同一タンパク質の同一又は別の、好ましくは別の、配列断片と同一であり、前記タンパク質が実施形態26に列挙されるUniProtアクセッション番号の1つによって識別され、
所望により、前記配列断片及び/又は前記の別の配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態28のいずれか1つの化合物。
【0222】
実施形態30
少なくとも1個のP、好ましくは全てのPのうち少なくとも10%、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも95%、特には全てのPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブのアミノ酸配列の配列断片と同一であり、
所望により前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態29のいずれか1つの化合物。
【0223】
実施形態31
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブのアミノ酸配列の配列断片と同一であり、
所望により前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態30のいずれか1つの化合物。
【0224】
実施形態32
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブのアミノ酸配列の配列断片と同一であり、
所望により前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態31のいずれか1つの化合物。
【0225】
実施形態33
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、アミノ酸配列の配列断片と同一であり、ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、同一アミノ酸配列の同一又は別の、好ましくは別の、配列断片と同一であり、前記アミノ酸配列が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブのアミノ酸配列であり、
所望により前記配列断片及び/又は前記の別の配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態32のいずれか1つの化合物。
【0226】
実施形態34
それぞれのペプチドnマーが、好ましくはそれぞれリンカーを介して、前記生体高分子足場に共有結合している、実施形態1~実施形態33のいずれか1つの化合物。
【0227】
実施形態35
前記リンカーの少なくとも1つがジスルフィド架橋及びPEG分子から選択される、実施形態1~実施形態34のいずれか1つの化合物。
【0228】
実施形態36
前記スペーサーSの少なくとも1つがPEG分子及びグリカンから選択される、実施形態1~実施形態35のいずれか1つの化合物。
【0229】
実施形態37
少なくとも1個のPがPであり、少なくとも1個のPがPであり、
が5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
が5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質がUniProtアクセッション番号P02708、O15146、又はO75096で識別され、所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含み、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質がUniProtアクセッション番号P02708、O15146、又はO75096で識別され、所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態36のいずれか1つの化合物。
【0230】
実施形態38
特にP及び/又はPについて、前記タンパク質の前記配列断片が、UniProtアクセッション番号P02708によって識別されるAChRサブユニットアルファ配列のアミノ酸21~255からなる配列の断片である(所望により前記配列断片が(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)、実施形態14~実施形態37のいずれか1つの化合物。
【0231】
実施形態39
特にP及び/又はPについて、前記タンパク質の前記配列断片が、配列LKWNPDDYGGVKKIHIPSEK(配列番号1)の、好ましくは配列WNPDDYGGVK(配列番号2)又はVKKIHIPSEK(配列番号3)の、断片である、実施形態14~実施形態38のいずれか1つの化合物。
【0232】
実施形態40
ペプチドP及び/又はペプチドPが、N末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列VKKIHIPSEKG(配列番号4)からなる、実施形態6~実施形態39のいずれか1つの化合物。
【0233】
実施形態41
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、前記第2のペプチドnマーがP-S-Pである、実施形態6~実施形態40のいずれか1つの化合物。
【0234】
実施形態42
前記ペプチドP及び前記ペプチドPが同一のアミノ酸配列断片を含み、前記アミノ酸配列断片が少なくとも5アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも6アミノ酸、いっそう好ましくは少なくとも7アミノ酸、特には少なくとも8アミノ酸、さらになお好ましくは少なくとも9アミノ酸の長さを有する、実施形態6~実施形態40のいずれか1つの化合物。
【0235】
実施形態43
少なくとも1個のPがPであり、少なくとも1個のPがPであり、
が5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
が5~13、好ましくは7~13アミノ酸の配列長を有するペプチドであり、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質がUniProtアクセッション番号Q1HVF7、P03211、Q13585、又はP30556で識別され、所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含み、
ペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、タンパク質の配列断片と同一であり、前記タンパク質がUniProtアクセッション番号Q1HVF7、P03211、Q13585、又はP30556で識別され、所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態1~実施形態36のいずれか1つの化合物。
【0236】
実施形態44
特にP及び/又はPについて、前記タンパク質の前記配列断片が、配列RPQKRPSCIGCKGTH(配列番号5)又はRPQKRPSCIGCKGAH(配列番号6)の、好ましくは配列KRPSCIGCK(配列番号7)の、断片である、実施形態14~実施形態36及び実施形態43のいずれか1つの化合物。
【0237】
実施形態45
特にP及び/又はPについて、前記タンパク質の前記配列断片が、配列MILNSSTEDGIKRIQDDCPKAGRHNYI(配列番号8)、TAMEYRWPFGNYLCK(配列番号9)、AIIHRNVFFIENTNITVCAFHYESQNSTLP(配列番号10)、及びDVLIQLGIIRDCR(配列番号11)のいずれか1つの、より好ましくは配列AFHYESQ(配列番号12)の、断片である、実施形態14~実施形態36及び実施形態43~実施形態44のいずれか1つの化合物。
【0238】
実施形態46
ペプチドP及び/又はペプチドPが、N末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列GRPQKRPSCIG(配列番号13)からなる、実施形態6~実施形態36及び実施形態43~実施形態45のいずれか1つの化合物。
【0239】
実施形態47
前記第1のペプチドnマーがP-S-Pであり、前記第2のペプチドnマーがP-S-Pである、実施形態6~実施形態36及び実施形態43~実施形態46のいずれか1つの化合物。
【0240】
実施形態48
前記ペプチドP及び前記ペプチドPが同一のアミノ酸配列断片を含み、前記アミノ酸配列断片が少なくとも5アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも6アミノ酸、いっそう好ましくは少なくとも7アミノ酸、特には少なくとも8アミノ酸、さらになお好ましくは少なくとも9アミノ酸の長さを有する、実施形態6~実施形態36及び実施形態43~実施形態47のいずれか1つの化合物。
【0241】
実施形態49
好ましくは、ヒト個体内に存在する抗ヒト筋ニコチン性アセチルコリン受容体(AChR)抗体、抗ヒト筋特異的受容体チロシンキナーゼ抗体、及び/又は抗ヒト低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4抗体の隔離(又は枯渇)のための化合物であって、前記化合物が、生体高分子足場と、7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも2つのペプチドとを含み、これらのペプチドがそれぞれ独立に、UniProtアクセッション番号P02708で識別されるAChRサブユニットアルファ配列(所望により下記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)の、又はUniProtアクセッション番号O15146で識別される筋特異的受容体チロシンキナーゼ配列(所望により下記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)の、又はUniProtアクセッション番号O75096で識別される低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4配列(所望により下記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記ペプチドが前記生体高分子足場に共有結合しており、前記生体高分子足場がヒトグロブリン及びヒトアルブミンからなる群より選択される、化合物。
【0242】
実施形態50
前記の少なくとも2つのペプチドがペプチドP及びペプチドPを含み、P及びPがAChRサブユニットアルファの同一の7~13アミノ酸の配列断片を含み、P及びPがペプチド二量体P-S-Pの形態で存在しており、式中、Sが非ペプチドスペーサーであり、前記ペプチド二量体が前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している、実施形態49の化合物。
【0243】
実施形態51
AChRサブユニットアルファの前記7~13アミノ酸の配列断片が、UniProtアクセッション番号P02708によって識別されるAChRサブユニットアルファ配列のアミノ酸21~255からなる配列の断片である(所望により前記配列断片は(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む)、実施形態49又は実施形態50の化合物。
【0244】
実施形態52
AChRサブユニットアルファの前記7~13アミノ酸の配列断片が、配列LKWNPDDYGGVKKIHIPSEK(配列番号1)の、好ましくは配列WNPDDYGGVK(配列番号2)又はVKKIHIPSEK(配列番号3)の、断片であり、所望により前記配列断片が(例えばミモトープが形成されるように)5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、実施形態49~実施形態51のいずれか1つの化合物。
【0245】
実施形態53
前記ペプチドが8~13アミノ酸、好ましくは9~12アミノ酸、より好ましくは10~12アミノ酸の配列長を有し、特に、前記ペプチドがN末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列VKKIHIPSEKG(配列番号4)からなる、実施形態49~実施形態52のいずれか1つの化合物。
【0246】
実施形態54
前記化合物が少なくとも1つの7~13アミノ酸の配列長のペプチドをさらに含み、前記の少なくとも1つのペプチドが、UniProtアクセッション番号O15146で識別される筋特異的受容体チロシンキナーゼ配列の、又はUniProtアクセッション番号O75096で識別される低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4配列の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記の少なくとも1つのペプチドが、前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している、実施形態1~実施形態53のいずれか1つの化合物。
【0247】
実施形態55
好ましくは、ヒト個体内に存在する抗エプスタインバーウイルス核抗原1(EBNA-1)抗体、抗ヒトメラトニン関連受容体(GPR50)抗体、及び/又は抗ヒト1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)抗体の隔離(又は枯渇)のための化合物であって、前記化合物が、生体高分子足場と、7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも2つのペプチドとを含み、
これらのペプチドがそれぞれ独立に、UniProtアクセッション番号Q1HVF7若しくはP03211で識別されるEBNA1配列の、又はUniProtアクセッション番号Q13585で識別されるGPR50配列の、又はUniProtアクセッション番号P30556で識別される1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)配列の、7~13アミノ酸の配列断片を含み、前記ペプチドが前記生体高分子足場に共有結合しており、
前記生体高分子足場がヒトグロブリンからなる群、好ましくはヒト免疫グロブリン、ヒトハプトグロビン、及びヒトアルブミンからなる群より選択される、
化合物。
【0248】
実施形態56
前記の少なくとも2つのペプチドがペプチドP及びペプチドPを含み、ペプチドP及びペプチドPが前記EBNA1配列又は前記GPR50配列の同一の7~13アミノ酸の配列断片を含み、P及びPがペプチド二量体P-S-Pの形態で存在しており、式中、Sが非ペプチドスペーサーであり、前記ペプチド二量体が前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している、実施形態55の化合物。
【0249】
実施形態57
前記7~13アミノ酸の配列断片が配列RPQKRPSCIGCKGTH(配列番号5)又はRPQKRPSCIGCKGAH(配列番号6)の、好ましくは配列KRPSCIGCK(配列番号7)の、断片であり;及び/又は前記ペプチドが8~13アミノ酸、好ましくは9~12アミノ酸、より好ましくは10~12アミノ酸の配列長を有し、特に前記の少なくとも2つのペプチドのうちの少なくとも1つ、好ましくは前記ペプチドのそれぞれが、N末端及び/又はC末端システイン残基を任意に有する配列GRPQKRPSCIG(配列番号13)からなる、実施形態55又は実施形態56の化合物。
【0250】
実施形態58
前記7~13アミノ酸の配列断片が、配列MILNSSTEDGIKRIQDDCPKAGRHNYI(配列番号8)、TAMEYRWPFGNYLCK(配列番号9)、AIIHRNVFFIENTNITVCAFHYESQNSTLP(配列番号10)、及びDVLIQLGIIRDCR(配列番号11)のいずれか1つの、より好ましくは配列AFHYESQ(配列番号12)の、断片である、実施形態55~実施形態57のいずれか1つの化合物。
【0251】
実施形態59
前記化合物が7~13アミノ酸の配列長を有する少なくとも1つのペプチドをさらに含み、前記の少なくとも1つのペプチドがUniProtアクセッション番号P30556で識別される1型アンジオテンシンII受容体(AT1AR)配列の、好ましくは配列MILNSSTEDGIKRIQDDCPKAGRHNYI(配列番号8)、TAMEYRWPFGNYLCK(配列番号9)、AIIHRNVFFIENTNITVCAFHYESQNSTLP(配列番号10)、及びDVLIQLGIIRDCR(配列番号11)のいずれか1つの、より好ましくは配列AFHYESQ(配列番号12)の、7~13アミノ酸の配列断片を含み;前記の少なくとも1つのペプチドが、前記生体高分子足場に、好ましくはリンカーを介して、共有結合している、実施形態1~実施形態58のいずれか1つの化合物。
【0252】
実施形態60
それぞれの前記ペプチドがリンカーを介して前記生体高分子足場に共有結合している、実施形態1~実施形態59のいずれか1つの化合物。
【0253】
実施形態61
前記生体高分子足場がヒト免疫グロブリン及びヒトハプトグロビンから選択される、実施形態1~実施形態60のいずれか1つの化合物。
【0254】
実施形態62
前記生体高分子足場がヒトハプトグロビンである、実施形態1~実施形態61のいずれか1つの化合物。
【0255】
実施形態63
前記の少なくとも2つのペプチドのうち少なくとも1つが環状化されている、実施形態49~実施形態62のいずれか1つの化合物。
【0256】
実施形態64
前記化合物がヒトにおいて非免疫原性である、実施形態1~実施形態63のいずれか1つの化合物。
【0257】
実施形態65
実施形態1~実施形態64のいずれか1つの化合物と、少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤と、を含む医薬組成物。
【0258】
実施形態66
前記組成物が腹腔内、皮下、筋肉内、及び/又は静脈内投与用に調製され、前記組成物が反復投与のためのものである、実施形態65の医薬組成物。
【0259】
実施形態67
前記組成物中におけるペプチドPの、生体高分子足場に対してのモル比が、2:1~100:1、好ましくは3:1~90:1、より好ましくは、4:1~80:1、さらに好ましくは5:1~70:1、いっそう好ましくは6:1~60:1、特には7:1~50:1、さらになお好ましくは8:10~40:1である、実施形態1~実施形態66のいずれか1つの医薬組成物。
【0260】
実施形態68
前記組成物中におけるペプチドPの、生体高分子足場に対してのモル比が、2:1~100:1、好ましくは3:1~90:1、より好ましくは、4:1~80:1、さらに好ましくは5:1~70:1、いっそう好ましくは6:1~60:1、特には7:1~50:1、さらになお好ましくは8:10~40:1である、実施形態6~実施形態67のいずれか1つの医薬組成物。
【0261】
実施形態69
前記組成物中におけるペプチドPの、生体高分子足場に対してのモル比が、2:1~100:1、好ましくは3:1~90:1、より好ましくは、4:1~80:1、さらに好ましくは5:1~70:1、いっそう好ましくは6:1~60:1、特には7:1~50:1、さらになお好ましくは8:10~40:1である、実施形態6~実施形態68のいずれか1つの医薬組成物。
【0262】
実施形態70
治療における使用のための、実施形態65~実施形態69のいずれか1つの医薬組成物。
【0263】
実施形態71
自己免疫疾患を有する、又は自己免疫疾患を発症するリスクを有する個体における、前記自己免疫疾患の予防又は治療における使用のための、実施形態70に記載の医薬組成物。
【0264】
実施形態72
前記自己免疫疾患が、視神経脊髄炎、血清陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害、自己免疫性脳炎、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、全身性エリテマトーデス認知症、重症筋無力症、特に新生児一過性重症筋無力症、拡張型心筋症、肺高血圧症、シェーグレン症候群、セリアック病、グレーブス病、グッドパスチャー病、子癇前症、ベーチェット病、全身性硬化症、高血圧症、I型糖尿病、II型糖尿病、全身性エリテマトーデス、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)脳炎、抗リン脂質症候群、膜性腎症、原発性胆汁性胆管炎、筋萎縮性側索硬化症、シャーガス病心筋症、免疫性血小板減少性紫斑病、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、及び水疱性全身性エリテマトーデスからなる群より選択される、実施形態71に記載の医薬組成物。
【0265】
実施形態73
移植片を有する又は移植適格な個体における、移植片拒絶の予防又は治療における使用のための、実施形態70に記載の医薬組成物。
【0266】
実施形態74
抗薬物抗体又は抗遺伝子送達ベクター抗体、例えば抗AAV抗体、に基づく有害反応の予防又は治療における、前記薬物を用いた治療を受けている若しくは前記薬物を用いた治療に適格な個体での、又は遺伝子治療を受けている若しくは遺伝子治療に適格な個体での、使用のための、実施形態70に記載の医薬組成物であって、
好ましくは、前記薬物がペプチド又はタンパク質、特に酵素、酵素阻害剤、抗体、抗体断片、抗体ミメティック、抗体薬物複合体、ホルモン、成長因子、凝固因子、及びサイトカインからなる群より選択されるペプチド又はタンパク質であり、好ましくは少なくとも1個のペプチドPの、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、前記ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列の配列断片と同一であり、所望により、前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
医薬組成物。
【0267】
実施形態75
前記薬物が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブであり、
少なくとも1個のペプチドPの、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの、任意にN末端及び/又はC末端システインを除いた全体配列が、前記薬物のアミノ酸配列の配列断片と同一であり、所望により前記配列断片が5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、特には1個以下のアミノ酸置換を含む、
実施形態74に記載の医薬組成物。
【0268】
実施形態76
前記個体内に存在する1又は複数の抗体が、少なくとも1個のペプチドP、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPに対して特異的であり、前記抗体が好ましくは前記疾患と関連したものである、実施形態70~実施形態75のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0269】
実施形態77
前記組成物が前記個体において非免疫原性である、実施形態70~実施形態76のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0270】
実施形態78
前記組成物が、前記個体の体重1kgあたりの化合物として1~1000mg、好ましくは2~500mg、より好ましくは3~250mg、さらに好ましくは4~100mg、特には5~50mgの用量で投与される、実施形態70~実施形態77のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0271】
実施形態79
前記組成物が腹腔内、皮下、筋肉内、又は静脈内投与される、実施形態70~実施形態78のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0272】
実施形態80
個体内に存在する1又は複数の抗体を隔離(又は枯渇)する方法であって、
実施形態65~実施形態69のいずれか1つに定義される医薬組成物を得ること、及び
前記医薬組成物を前記個体に投与すること
を含み、
前記組成物が前記個体内で非免疫原性であり、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体が、少なくとも1つのPに対して、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPに対して特異的である、
方法。
【0273】
実施形態81
前記個体が、非ヒト動物、好ましくは、非ヒト霊長類、ヒツジ、ブタ、イヌ、又は齧歯類、特にマウスである、実施形態80の方法。
【0274】
実施形態82
前記生体高分子足場が前記個体の自己由来であり、好ましくは前記生体高分子足場が自己タンパク質である、実施形態80又は実施形態81の方法。
【0275】
実施形態83
前記個体が異種タンパク質、好ましくはナノボディなどの異種抗体を投与され、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体が前記異種タンパク質に対して特異的であり、好ましくは、前記異種タンパク質の前記投与は、前記医薬組成物の前記投与の前に、投与と同時に、及び/又は投与に続き、行われる、実施形態80~実施形態82のいずれか1つの方法。
【0276】
実施形態84
前記個体が非ヒト動物であり、前記異種タンパク質がヒト又はヒト化タンパク質である、実施形態80~実施形態83のいずれか1つの方法。
【0277】
実施形態85
前記個体が薬物を投与され、前記個体内に存在する前記1又は複数の抗体が前記薬物に特異的であり、好ましくは前記薬物の前記投与は、前記医薬組成物の前記投与の前に、投与と同時に、及び/又は投与に続き、行われる、実施形態80~実施形態82のいずれか1つの方法。
【0278】
実施形態86
前記薬物が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブである、実施形態85の方法。
【0279】
実施形態87
前記個体が健常である、実施形態80~実施形態86のいずれか1つの方法。
【0280】
実施形態88
前記組成物が腹腔内、皮下、筋肉内、又は静脈内投与される、実施形態80~実施形態87のいずれか1つの方法。
【0281】
実施形態89
実施形態1~実施形態64のいずれか1つの化合物を含み、さらにタンパク質又はペプチドなどの活性薬剤、及び任意に少なくとも1つの医薬的に許容される製剤添加剤を含み、
前記活性薬剤が2~13アミノ酸、好ましくは3~11アミノ酸、より好ましくは4~9アミノ酸、特には特には5~8アミノ酸の配列長を有するペプチド断片を含み、
前記化合物の少なくとも1つのペプチドP、又はペプチドP及び/若しくはペプチドPの配列が、前記ペプチド断片の配列と、少なくとも70%同一、好ましくは少なくとも75%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも85%同一、いっそう好ましくは少なくとも90%同一、よりいっそう好ましくは少なくとも95%同一、特には完全に同一である、
医薬組成物。
【0282】
実施形態90
前記活性薬剤が、酵素、好ましくはヒト酵素;抗体、好ましくはヒト若しくはヒト化抗体;ホルモン;成長因子;凝固因子;サイトカイン;又は、AAVなどの遺伝子送達ベクター;である、実施形態89の医薬組成物。
【0283】
実施形態91
前記活性薬剤が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブである、実施形態89又は実施形態90の医薬組成物。
【0284】
実施形態92
前記組成物が静脈内投与用に調製される、実施形態89~実施形態91のいずれか1つの医薬組成物。
【0285】
実施形態93
前記組成物が水溶液である、実施形態89~実施形態92のいずれか1つの医薬組成物。
【0286】
実施形態94
前記活性薬剤に対する、免疫反応、好ましくは抗体媒介性の免疫反応、の阻害における使用のための、実施形態89~実施形態93のいずれか1つの医薬組成物。
【0287】
実施形態95
前記組成物が前記個体において非免疫原性である、実施形態94に記載の医薬組成物。
【0288】
実施形態96
活性薬剤を用いた処置を必要とする個体内において、前記活性薬剤を用いた処置に対する免疫反応を阻害する方法であって、
実施形態89~実施形態95のいずれか1つに定義される医薬組成物を得ること、及び
前記医薬組成物を前記個体に投与すること、
を含み、
前記医薬組成物の前記化合物が前記個体内で非免疫原性である、
方法。
【0289】
実施形態97
前記個体がヒトである、実施形態96の方法。
【0290】
実施形態98
前記生体高分子足場が前記個体の自己由来であり、好ましくは前記生体高分子足場が自己タンパク質である、実施形態96又は実施形態97の方法。
【0291】
実施形態99
前記組成物が腹腔内、皮下、筋肉内、又は静脈内投与される、実施形態96~実施形態98のいずれか1つの方法。
【0292】
実施形態100
実施形態1~実施形態64のいずれか1つに記載の化合物を提供する方法であって、
抗原に対する望ましくない抗体を有する少なくとも1個体を同定する工程、
ペプチドライブラリーをスクリーニングして前記望ましくない抗体が特異的であるペプチドミモトープを同定する工程、及び、
前記化合物を提供する工程、
を含み、
前記化合物の少なくとも1つのPが前記ペプチドミモトープの全体配列を含む、
方法。
【0293】
実施形態101
前記抗原がペプチド又はタンパク質であり、前記ペプチド又はタンパク質の配列が前記ペプチドミモトープの全体配列を含まない、実施形態100の方法。
【0294】
実施形態102
全てのPのうち少なくとも10%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、より好ましくは全てのPのうち少なくとも25%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、さらに好ましくは全てのPのうち少なくとも50%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、いっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも75%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも90%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、よりいっそう好ましくは全てのPのうち少なくとも95%が前記ペプチドミモトープの全体配列を含み、特には全てのPが前記ペプチドミモトープの全体配列を含む、実施形態100又は実施形態101の方法。
【0295】
実施形態103
前記ペプチドライブラリーが環状ペプチド(circular peptides)を含む、実施形態100~実施形態102のいずれか1つの方法。
【0296】
実施形態104
前記ペプチドライブラリーがファージディスプレイライブラリー、ペプチドマイクロアレイライブラリー、又は可溶性ペプチドライブラリーである、実施形態100~実施形態103のいずれか1つの方法。
【0297】
実施形態105
前記ペプチドライブラリーの前記スクリーニングが、前記の少なくとも1個体から得られた血清を用いて行われ、前記血清が前記望ましくない抗体を含む、実施形態100~実施形態104のいずれか1つの方法。
【0298】
実施形態106
前記化合物が前記の少なくとも1個体において非免疫原性である、実施形態100~実施形態105のいずれか1つの方法。
【0299】
実施形態107
前記の少なくとも1個体が、非ヒト動物、好ましくは、非ヒト霊長類、ヒツジ、ブタ、イヌ、又は齧歯類、特にマウスである、実施形態100~実施形態106のいずれか1つの方法。
【0300】
実施形態108
前記の少なくとも1個体がヒトである、実施形態100~実施形態106のいずれか1つの方法。
【0301】
実施形態109
前記生体高分子足場が前記の少なくとも1個体の自己由来であり、好ましくは前記生体高分子足場が自己タンパク質である、実施形態100~実施形態108のいずれか1つの方法。
【0302】
実施形態110
前記の少なくとも1個体が、異種タンパク質、好ましくはナノボディなどの異種抗体、を投与された個体であって、前記抗原が前記異種タンパク質である、実施形態100~実施形態109のいずれか1つの方法。
【0303】
実施形態111
前記の少なくとも1個体が非ヒト動物であり、前記異種タンパク質がヒト又はヒト化タンパク質である、実施形態100~実施形態110のいずれか1つの方法。
【0304】
実施形態112
前記個体が薬物を投与された個体であり、前記薬物が前記抗原である、実施形態100~実施形態111のいずれか1つの方法。
【0305】
実施形態113
前記薬物が、酵素、好ましくはヒト酵素;抗体、好ましくはヒト若しくはヒト化抗体;ホルモン;成長因子;凝固因子;サイトカイン;又は、AAVなどの遺伝子送達ベクター;である、実施形態112の方法。
【0306】
実施形態114
前記薬物が、アルファ-1-プロテアーゼ阻害剤、アルグルセラーゼ、タリグルセラーゼアルファ、ペガデマーゼ、アガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、セベリパーゼアルファ、セルリポナーゼアルファ、セベリパーゼアルファ、アスフォターゼアルファ、エラペグアデマーゼ、オリプダーゼアルファ、ベルマナーゼアルファ、N(4)-(ベータ-N-アセチルグルコサミニル)-L-アスパラギナーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ヒト抗トロンビンIII、血漿プロテアーゼC1阻害剤、ツロクトコグアルファ、ドロトレコギンアルファ、エミシズマブ、組み換えヒト凝固因子VIIa、組み換えヒト抗血友病因子、ヒト フォンウィルブランド因子、スソクトコグアルファ、組み換えヒト抗血友病因子、抗血友病因子、ヒト組み換え体、オプレルベキン、アルデスロイキン、リロナセプト、アナキンラ、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンガンマ-1b、組み換えインターフェロンアルファ-2b、成長ホルモン(UniProt P01241)、インシュリン(UniProt P01308)、IGF1(UniProt P05019)、PTH(UniProt P01270)、サイロトロピンアルファ、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、ホリトロピン、ルトロピンアルファ、ソマトトロピン、アルビグルチド、メトレレプチン、コリフォリトロピンアルファ、フィルグラスチム、FGF2(UniProt P09038)、NGF(UniProt P01138)、GDNF(UniProt P39905)、BDNF(UniProt P23560)、メカセルミン、パリフェルミン、GCSF(UniProt P09919)、IGF2(UniProt P01344)、ベカプレルミン、パリフェルミン、タソネルミン、アフリベルセプト、リロナセプト、ロミプロスティム、タグラキソフスプ、エフモロクトコグアルファ、エフトレノナコグアルファ、リロナセプト、ベラタセプト、アタシセプト、アルブトレペノナコグアルファ、デュラグルチド、エタネルセプト、アスフォターゼアルファ、ナタリズマブ、リツキシマブ、アダリムマブ、イピリムマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エボロクマブ、イキセキズマブ、オマリズマブ、テプロツムマブ、イダルシズマブ、セツキシマブ、オポルツズマブ・モナトクス(Oportuzumab monatox)、イブリツモマブ・チウキセタン、アブシキシマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、エレヌマブ、エミシズマブ、又はアテゾリズマブである、実施形態112の方法。
【0307】
実施形態115
前記個体が健常である、実施形態100~実施形態114のいずれか1つの方法。
【0308】
実施形態116
前記望ましくない抗体が、前記の少なくとも1個体の自己抗体である、実施形態100~実施形態115のいずれか1つの方法。
【実施例
【0309】
実施例1:本発明の化合物は望ましくない抗体の力価を効果的に減少させる
動物モデル:ヒト適応症における、プロトタイプの望ましくない抗体の、測定可能な力価を有するin vivoモデルを提供するため、確立されたヒト自己抗原又は抗薬物抗体に由来するKLH結合ペプチドワクチンによる標準的な実験ワクチン接種を用いてBALB/cマウスを免疫化した。標準的なペプチドELISAによる力価の評価の後、免疫化動物を対応する試験SADCで処理し、SADC処理による選択的抗体低減の実証を行った。全ての実験は、対応する動物倫理当局によるガイドラインに従って行った。
【0310】
モデル抗原を用いたマウスの免疫化:Janvier(フランス)から供給された雌のBALB/cマウス(8~10週齢)を、12時間明/12時間暗サイクル下で飼育し、餌及び水は自由に与えた。KLHキャリア結合ペプチドワクチンの、隔週の3回の注射による皮下適用により、免疫化を行った。ウイルス抗原(EBNA-1)と、子癇前症に関連することが示されている内在性ヒト受容体抗原、すなわち胎盤GPR50タンパク質(Elliott et al.)との分子擬態の例であるペプチドT3-2(配列番号14:CGRPQKRPSCIGCKG)を用いて、KLH複合体を生成した。本アプローチの一般性を確認するため、自己免疫状態である重症筋無力症に由来する、より大型の抗原ペプチドを用いて、ヒト自己エピトープによるマウスの免疫化を行った。ペプチドT3-2の場合と同様、動物を、前記疾患の発病において重要な役割を果たす(Luo et al.)ヒトAChRタンパク質のMIR(主要免疫原性領域)由来のペプチドT1-1(配列番号15:LKWNPDDYGGVKKIHIPSEKGC)で免疫化した。前記T1-1ペプチドを用いて、ヒトAChR自己抗原の代替部分モデルエピトープ(surrogate partial model epitope)によるマウスの免疫化を行った。ペプチドT8-1(配列番号16:DHTLYTPYHTHPG)を用いて対照マウスを免疫化し、前記系の選択性を証明するための対照力価を提供した。ワクチン複合体の調製のため、KLHキャリア(Sigma)をスルホGMBS(カタログ番号22324 Thermo)で、添付のプロトコルに従って活性化し、N又はC末端システイン化ペプチドT3-2及びT1-1を加え、最後にアルハイドロゲル(Alhydrogel)(登録商標)を加えた。その後、前記動物の側腹部への注射を行った。ワクチンT3-2及びT1-1の用量は、注射あたり100μlの容量中、複合体15μgであり、用量あたりでアルハイドロゲル(Alhydrogel)(登録商標)(InvivoGen VAC-Alu-250)を1%の最終濃度で含んだ。
【0311】
プロトタイプSADCの生成:T3-2及びT1-1で免疫化されたマウスにおける、SADCによる選択的抗体低減活性を試験するため、マウス血清アルブミン(MSA)又はマウス免疫グロブリン(マウス-Ig)を、マウスにおいて免疫反応を何ら誘発しない自己生体高分子足場を提供するための生体高分子足場として用いて、又は、(1回の注射後72時間以内に同種異系反応を誘発しなかった)非自己ヒトハプトグロビンを生体高分子足場として用いて、SADCを調製した。N末端システイン化SADCペプチドE049(配列番号13:GRPQKRPSCIG)及び/又はC末端システイン化SADCペプチドE006(配列番号4:VKKIHIPSEKG)を、スルホGMBS(カタログ番号22324 Thermo)活性化MSA(Sigma;カタログ番号A3559)又はマウスIg(Sigma,I5381)又はヒトハプトグロビン(Sigma H0138)を用い、添付のプロトコルに従って前記足場に連結した。それにより、対応する生体高分子足場のリジンに共有結合した対応するシステイン化ペプチドを有する、MSA、Ig、及びハプトグロビンを基盤とするSADCを提供した。二官能性アミン-スルフヒドリル架橋剤を介した前記システイン化ペプチドの前記リジンへの結合を行ったことに加え、前記の添加されたシステイン化SADCペプチドの一部を前記アルブミン足場タンパク質のシステインのスルフヒドリル基と直接反応させた。これは、前記複合体をDTTで処理し、次いで遊離ペプチドを質量分析を用いて、又は遊離ペプチドを検出する任意の他の分析法を用いて、検出することによって検出することができる。最後に、これらのSADC複合体をPur-A-Lyzer(登録商標)(Sigma)を用いて水に対して透析し、その後凍結乾燥した。前記凍結乾燥材料を動物への注射前にPBSに再懸濁した。
【0312】
SADCのin vivo機能試験:プロトタイプSADC、SADC-E049、及びSADC-E006を、(EBNA-1モデルエピトープを有する)ペプチドワクチンT3-2及び(AChR MIRモデルエピトープを有する)ペプチドワクチンT1-1であらかじめ免疫化したマウスの腹腔内に(i.p.;ヒト及びより大型の動物を対象とする静脈内適用の代わりとして)注射した。適用量は、50μlの容量のPBS中、30μgのSADC複合体であった。腹腔内SADC注射の前(-48時間、-24時間)及び後(+24時間、+48時間、+72時間など)にそれぞれ、キャピラリーマイクロヘマトクリットチューブを用いて、顎下静脈穿刺(submandibular vein puncture)によって採血を行った。ELISA分析(下記参照)を用いたところ、両者プロトタイプSADCが、本動物モデルにおいて、少なくとも72時間にわたり、力価を明らかに低減できるということが分かった。従って、SADCはin vivoで効果的に力価を低減させるのに使用できると結論することができた。
【0313】
力価分析:BSA結合ペプチド(30nM、PBS中に溶解)で室温にて1時間コートし、適した緩衝液を用いて振とうしながらインキュベートした96穴プレート(Nunc Medisorpプレート;Thermofisher、カタログ番号467320)(ブロッキング緩衝液、1% BSA、1xPBS;洗浄緩衝液、1xPBS/0.1% Tween;希釈緩衝液、1xPBS/0.1% BSA/0.1% Tween)、を使用して、標準的な手順に従ってペプチドELISAを行った。血清のインキュベーション(PBS中、1:50から希釈開始;典型的には1:3又は1:2の段階的タイトレーション)後、結合した抗体を、Jackson immunoresearchの西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG(Fc)(115-035-008)を用いて検出した。反応停止後、プレートをTMBを用いて20分間、450nmで測定した。製造者が推薦する手順による4パラメータロジスティック回帰モデル(GraphPad Prism)を用いた曲線のフィッティングにより、読み取られた値からEC50を算出した。天井及びフロア値(ceiling and floor values)に対する制約パラメータ(constraining parameters)を適宜設定し、R>0.98となる曲線フィッティング品質水準(curve fitting quality levels)を提供した。
【0314】
図1Aは、子癇前症における自己抗体及び擬態のモデル(Elliott et al.)としてのEBNA1に対する自己抗体、に結合するプロトタイプのアルブミンを基盤とするSADC候補のin vivoでの選択的血漿低減活性のためのマウスモデルにおける、in vivo実証実験を示す。これらのマウス実験には、外来種由来タンパク質に対するあらゆる反応性を回避するため、マウスアルブミンを使用した。6カ月齢のBalb/cマウスにおいて、標準的なペプチドワクチン接種により、抗体価を誘導した。下図は、SADC注射前の力価LogIC50(y軸)(すなわち、ー48時間及びー24時間における力価)が、SADC適用後の力価LogIC50(すなわち、注射後の+24時間、+48時間、及び+72時間における力価;x軸上に示す)よりも高かったことを示す。
【0315】
別の適応疾患のための、ペプチド性抗体結合部分の他の例を用いた同様な例を、図1Bに示す。重症筋無力症における状況を模倣するため、ヒトAChRタンパク質MIR領域(Luo et al.)に由来する異なるペプチドであらかじめ免疫化したマウスモデルにおける、アルブミンを基盤とするSADCの抗体低減活性である。前記AChR-MIR領域に対して誘導された抗体力価を、重症筋無力症の原因としての役割を果たすことが知られる抗AChR-MIR自己抗体(Vincent et al.による総説)の代替として使用した。SADC適用後、明らかな力価減少が見られた。
【0316】
図1C及び図1Dは、別の生体高分子足場を含んだSADCバリアントの機能性を示す。具体的に、図1Cは免疫グロブリン足場の使用が有効であることを示し、図1DはSADCの構築のためのハプトグロビン足場の使用を示す。両者の例は、共有結合した例示的ペプチドE049を有するSADCによる選択的抗体低減のin vivo実証実験を示す。
【0317】
好ましいのは自己足場タンパク質であるが、前記ハプトグロビンを基盤とするSADCは代替としてヒトハプトグロビンを用いて生成された。抗ヒトハプトグロビン抗体の形成を回避するため、本実験条件では、前記非自己足場ハプトグロビンはマウスあたり1回のみのSADC注射とした。予測された通り、本実験条件下(すなわち1回の適用)では、本代替ハプトグロビンホモログに対して抗体反応性は観察されなかった。
【0318】
図1Eは、SADC系の選択性を示す。ペプチドE049を有する、免疫グロブリンを基盤とするSADC(すなわち図1Cにおけるものと同じ)は、T8-1と名付けた、関連性のない、無関係のアミノ酸配列(配列番号16:DHTLYTPYHTHPG)を有するペプチドワクチンにより誘導されたIg力価を減少させることができない。前記の例は、本系の選択性のためのin vivo実証実験を示す。上図は、標準的なELISAによる、OD値(y軸)に対する抗ペプチドT8-1力価(1:50から開始し、1:102,400までの0.5×段階希釈;x軸はlog(X)希釈を示す)を示す。適用後、T8-1力価はSADC-Ig-E049の投与によって影響されない。下図は、SADC注射前の初期力価LogIC50(y軸)(すなわち、-48時間及び-24時間の力価)が、SADC適用後の力価LogIC50(すなわち、+24時間、+48時間、及び+72時間における力価;x軸上に示す)との比較において、SADC-Ig-E049(矢印)の投与によって影響されないことを示し、それによって前記系の選択性を証明するものである。
【0319】
実施例2:SADCの免疫原性
SADCの免疫原性を除くため、プロトタイプの候補SADCを試験し、それらが反復注射の際に抗体を誘導する傾向を調べた。ペプチドT3-1及びT9-1を本テストに用いた。T3-1は子癇前症動物モデルにおいてアゴニスト自己抗体が形成されるアンジオテンシン受容体のリファレンスエピトープから得られた10アミノ酸のペプチドであり(Zhou et al.)、T9-1はヒトIFNガンマのリファレンス抗薬物抗体エピトープから得られた12アミノ酸のペプチドである(Lin et al.)。これらの対照SADC複合体を、2週間ごとに8回、腹腔内投与により、未処置の非免疫化雌BALB/cマウスに8~10週齢から注射した。
【0320】
動物C1~C4はSADC T3-1で(実施例1に記載のように)腹腔内処理した。動物C5~C8は、ペプチドT9-1を有するSADCで腹腔内処理した。ELISA分析のためのリファレンスシグナルとして、KLHペプチドT1-1(AChR-MIRから得たもの;実施例1で説明)で3回ワクチン接種した対照動物からの血漿を使用した。標準ELISAによって抗体価を検出するためのBSA結合ペプチドプローブT3-1、T9-1、及びE005(配列番号17:GGVKKIHIPSEK)をそれぞれ1:100の希釈で使用し、ワクチン処理対照動物Cと比較してSADC処理動物内に抗体誘導が無いことが示された(図2参照)。三回目のワクチン注射の1週間後(対照動物C)、及び2週間間隔の8回の連続したSADC注射の最後のあと(動物C1~C8)で、それぞれ血漿を顎下採血によって得た。こうして、SADCは非免疫原性であり、マウスへの反復注射後に抗体形成を誘導しないことが示された。
【0321】
実施例3:一価又は二価ペプチドを複数コピー有するSADCを用いて、抗体をin vitroで枯渇させることが可能である
E006-KLH(C末端システインを有するVKKIHIPSEKG(配列番号4)、KLHに結合)をワクチン接種したマウスの血漿を、希釈緩衝液(PBS + 0.1% w/v BSA + 0.1% Tween20)で1:3200に希釈し、2.5μg/ml(250ng/ウェル)のSADC又は陰性対照として5μg/ml(500ng/ウェル)のアルブミンでコートされたマイクロタイタープレートの単一ウェル上で順次(10分間/ウェル)4回インキュベート(100μl、室温)した。
【0322】
SADCでコートされたウェル上に存在する遊離未結合抗体の量をインキュベーション前後に測定するため、50μlの前記希釈血清を前記枯渇前後に採取し、標準的なELISAによってE006-BSAコートしたプレート(10nMペプチド)及びヤギ抗マウスIgG bio(Southern Biotech、1:2000希釈)による検出を用いて定量した。次いで、TMBを基質として用いて、ストレプトアビジン-HRP(Thermo Scientific、1:5000希釈)で前記ビオチン化抗体を検出した。シグナルの生成を0.5M硫酸で停止した。
【0323】
ELISA測定をOD450nm(y軸)で行った。結果として前記抗体は、C末端システインを有するペプチドE006(配列VKKIHIPSEKGC、配列番号4)を含む、コートした一価又は二価SADCのいずれによっても効率的に吸着された(処理前=未枯渇開始材料;一価、二価はSADC表面上に提示されるペプチドに対応;陰性対照はアルブミン;x軸上に示す)。図3参照。(「一価」とは、前記生体高分子足場にペプチド単量体が結合していること(すなわち、n=1)を意味し、「二価」とは、前記生体高分子足場にペプチド二量体が結合していること(すなわち、n=2)を意味する。このケースでは、前記二価ペプチドは「ホモ二価」であった。すなわち、前記SADCの前記ペプチドnマーは、E006-S-E006である。)
【0324】
これは、一価又は二価ペプチドを有するSADCが、抗体を吸着することに、従ってそれらを枯渇させることに、極めて適していることを示す。
【0325】
実施例4:ミモトープを基盤とするSADCの生成
野生型又は修飾ペプチドアミノ酸配列に由来する直鎖状及び環状ペプチド(circular peptides)を用いて、有害であり、疾患を引き起こすかさもなければ望ましくない、特定のエピトープに対する抗体を、選択的に除去するための、特異的SADCを構築することができる。特定のエピトープの場合、エピトープ又はそのバリアントの一部を含んだ、直鎖ペプチド、又はシクロペプチドなどの拘束されたペプチド(constrained peptide)、であって、例えば、抗体への親和性を改善するために1つ又はいくつかのアミノ酸が置換されているかあるいは化学的に修飾されているペプチド(ミモトープ)を用いて、SADCを構築することができる。疾患をもたらす自己抗体に対する最適化された親和性を有するペプチドを同定する目的で、ペプチドスクリーニングを行うことが出来る。構造的又は化学的ペプチド修飾の柔軟性により、免疫原性のリスク、特に前記ペプチドのHLAへの結合のリスク、従って、望ましくない免疫刺激のリスク、を最小限にするための解決策が提供された。
【0326】
そのため、野生型及び修飾された直鎖ペプチド配列及び環状ペプチド配列(linear and circular peptide sequences)が、自己免疫疾患と関連する公知のエピトープから得られた。各種の長さ及び位置のペプチドを、アミノ酸置換によって体系的に並べ替え、PEPperCHIP(登録商標) peptide array Platform (PEPperPRINT GmbH、ドイツ)上で合成した。これにより、これらの配列に由来する60,000個の環状及び直鎖状の野生型及びミモトープペプチドのスクリーニングが可能であった。前記ペプチドアレイを、自己免疫疾患に関与することが知られる自己抗体とともにインキュベートした。従って、この自己抗体を用いて前記60,000個のペプチドをスクリーニングし、ヒットした100個の環状及び100個の直鎖ペプチドを、前記自己抗体へのそれらの相対的な結合強度に基づいて選択した。これら200個のペプチドのうち51個の配列が、前記環状及び直鎖状ペプチドグループ間で同一であった。同定された最良のペプチドは全て、もとの配列に対してアラインメントした際にそれぞれ少なくとも1個のアミノ酸置換を有していたため、ミモトープとみなされる。また、環状ペプチドではより高い結合強度が達成されることが分かった。
【0327】
これらの新たに同定されたペプチドで相対結合値が高いものを優先的に用いて、この特定のエピトープに対する自己抗体を除去することが可能なSADCを生成するか、又は、それらの配列に基づいてさらなるミモトープ及び誘導体を開発する。
【0328】
実施例5:各種SADC生体高分子足場を用いた、マウスにおける迅速かつ選択的な抗体枯渇
望ましくない抗体のモデルであるmAB抗V5(Thermo Scientific)を10μg、雌のBalb/cマウスに腹腔内注射(処理群あたり5個体;9~11週齢)し、次いで、初回の抗体投与の48時間後に50μgのSADC(タグ付けされたV5ペプチドが結合した各種生体高分子足場)の静脈内注射を行った。顎下静脈から24時間間隔で採血した。0時間の時点の血液試料をSADC投与の直前に採取した。
【0329】
SADC投与後、血液を24時間ごとに、120時間の時点まで採取した(x軸)。SADC投与後の血漿抗V5 IgG濃度の減衰及び減少を、標準的なELISA手順を用いた抗V5力価の読み取り値と、コートしたV5ペプチド-BSA(ペプチド配列IPNPLLGLDC、配列番号21)及びヤギ抗マウスIgG bio(Southern Biotech、1:2000希釈)による検出との組み合わせによって、図4に示すように決定した。さらに、SADC濃度(実施例6参照)及び免疫複合体形成(実施例7参照)を分析した。
【0330】
E50[OD450]値を、4パラメータロジスティック曲線フィッティングを用いて決定し、初期濃度(時点0を1に設定)とその後の時点(x軸)との間の相対的シグナル減衰を、EC50値の割合(y軸;シグナル減少倍率EC50)として算出した。全てのSADCペプチドは、血漿試料からのSADC及び免疫複合体を直接検出するためのタグを含んでいた。使用されたペプチド配列は、SADC(アルブミン足場を有するSADCはSADC-ALB、免疫グロブリン足場を有するSADCはSADC-IG、ハプトグロビン足場を有するSADCはSADC-HP、トランスフェリン足場を有するSADCはSADC-TF)ではIPNPLLGLDGGSGDYKDDDDKGK(配列番号22)-(BiotinAca)GCであり、陰性対照SADCとしての無関係なペプチドではVKKIHIPSEKGGSGDYKDDDDKGK(配列番号23)-(BiotinAca)GC(SADC-CTR)である。
【0331】
5個体の前記各種処理群のための前記SADC足場を、黒/灰色シェードで示した(図4の挿入図参照)。
【0332】
処理群(特にSADC-TF)は、既に24時間の時点で、モック処理対照群であるSADC-CTLと比較して、迅速かつ顕著な抗体減少を示した。SADC-CTRは、そのペプチド配列は前記の投与された抗V5抗体によって認識されず、従って抗体低減活性が無いことから、通常の抗体減衰を示すリファレンスとして使用した。SADC-CTRの減衰を傾向線でマークし、処理動物とモック処理動物との抗体濃度の違いを強調する。
【0333】
これらの実験条件下での選択的抗体低減の有効性を決定するため、2元配置分散分析をDunnettの多重比較検定法を用いて行った。SADC投与の48時間後、抗体EC50は、全てのSADC群で、SADC-CTRリファレンス群(傾向線)と比較して高度に有意に減少した(p<0.0001)。SADC投与の120時間後、抗体減少はSADC-ALB及びSADC-TF群で高度に有意であり(両者ともp<0.0001)、SADC-HP群で有意であり(p=0.0292)、SADC-IG群はSADC投与の120時間後にEC50減少傾向を示した(p=0.0722)。注目すべきことに、選択的抗体減少は、SADC投与後の全ての試験した時点において、SADC-ALB及びSADC-TF群で高度に有意であった(p<0.0001)。
【0334】
全てのSADC生体高分子足場が選択的に抗体濃度を減少させることが可能であったと結論される。力価の減少はSADC-ALB及びSADC-TFで最も顕著であり、抗体濃度のリバウンド又はリサイクルは最終時点に向けて検出されなかった。このことは、望ましくない抗体が意図したとおりに分解されることを示唆している。
【0335】
実施例6:SADC注射24時間後の血漿中SADCの検出
Balb/cマウスへの静脈内注射24時間後の、各種SADCバリアントの血漿濃度。実施例5にて既述の動物由来の血漿におけるSADC-ALB、-IG、-HP、及び-TF、並びに陰性対照SADC-CTR(x軸)の、血漿濃度(y軸)の測定を実施した。注射した血漿SADC濃度を標準的なELISAで検出した。その際、SADCは、それらのペプチドのビオチン部分と、ストレプトアビジンをコートしたプレート(Thermo Scientific)との組み合わせによって捕捉された。捕捉されたSADCは、Flagタグの付いたペプチドを検出するマウス抗Flag-HRP抗体(Thermo Scientific、1:2000希釈)によって検出した(実施例7も参照のこと)。
【0336】
50μgのSADCを静脈内注射した後の血液中の理論量が25μg/ml程度であると推定すれば、検出しうるSADCの量は、SADCの注射24時間後に、SADC-ALB又はSADC-IGで799~623ng/mlの範囲内であり、SADC-TFで約5000ng/mlまでの範囲内であった。しかしながら驚くべきことに、そして対照的に、SADC-HP、及び対照であるSADC-CTR(同じくSADC-HPバリアントであるが、この場合では無関係の陰性対照ペプチドE006を有する;先の実施例を参照)は、注射24時間後には循環系から完全に消失しており、もはや検出不能であった。図5を参照のこと。
【0337】
これは、本実施例で試験したハプトグロビン足場を基盤とする両SADC(すなわち、SADC-HP及びSADC-CTR)が、比較的短い血漿中半減期を示すことを証明するものである。SADC-ALB、SADC-IG、又はSADC-TFなどのSADCが、免疫複合体形成のin vivoリスクによって補体依存性の血管及び腎障害における潜在的な役割を果たす可能性があるという点から、それらと比べてハプトグロビン足場を基盤とする両者SADCが優れたものであることが示される。SADC-HPの他の利点は、迅速な治療効果が必要とされる場合の、それらの望ましくない標的抗体に対する血液からの迅速な除去率(clearance rate)である。本結果は、SADC結合抗体が血中に存在するか否かに関わらず、(SADC-HP及びSADC-CTRに代表される)ハプトグロビンを基盤とするSADC足場が、血中から迅速に除去され、それによって望ましくない免疫複合体形成が最小限となるという、迅速で有効性の高い除去性を示すことを証明している。本実施例におけるハプトグロビンを基盤とするSADC-HPなどのSADCは、このように、他のSADC生体高分子足場よりも優れた治療関連の利点を提供する。このことは例えば、SADC-HP又はSADC-CTRの両者が注射24時間後に完全に排除されるのと対照的に、記載の条件下でSADC-TF又はSADC-ALBの両者が注射24時間後に依然として検出可能であることから分かる。
【0338】
実施例7:SADC注射24時間後の血漿中SADC-IgG複合体の検出
10μgの抗V5 IgG(Thermo Scientific)の静脈内注射、及び抗体注射48時間後のSADC-ALB、-HP、-TF、及び-CTR(50μg)の静脈内投与による注入の後、SADCにin vivoで結合したIgGの量を測定するため、SADC注射の24時間後に顎下静脈から血漿を採取し、ストレプトアビジンプレート上でインキュベートして、血漿から、それらのビオチン化SADC-V5ペプチド[IPNPLLGLDGGSGDYKDDDDKGK(配列番号22)(BiotinAca)GC、又はSADC-CTRの場合は陰性対照ペプチドVKKIHIPSEKGGSGDYKDDDDKGK(配列番号23)(BiotinAca)GC]を介して、SADCを捕捉した。前記ストレプトアビジン捕捉SADCに結合したIgGを、ヤギ抗マウスIgG HRP抗体(Jackson Immuno Research、1:2,000希釈)を用いてのELISAで検出し、SADC注射24時間後の血漿中に存在するSADC-抗体複合体の検出を行った。未処理動物由来の陰性対照血清に対して得られたOD450nm値(y軸)を試験群(x軸)のOD450nm値から差し引くことによって、バックグラウンド補正を行った。
【0339】
図6に示すように、SADC-ALB及びSADC-TF注射マウスの場合、顕著な抗V5抗体シグナルが見られた(黒棒は1:25希釈におけるバックグラウンド補正後のOD値であり、5個体のマウスの平均値;標準偏差エラーバー)。一方、SADC-HP又は対照SADC-CTR注射動物由来の血漿においては抗体シグナルが検出できなかった(SADC-CTRは、抗V5抗体のいずれにも認識されない無関係ペプチドbio-FLG-E006[VKKIHIPSEKGGSGDYKDDDDKGK(配列番号23)(BiotinAca)GC]を有する陰性対照である)。これは、SADC静脈内投与24時間後の血漿中にはSADC-HP/IgG複合体が検出可能な量で存在しないことを示している。
【0340】
従って、SADC-HPは、抗V5をあらかじめ注射したマウスにおいて、SADC-ALB又はSADC-TFよりも迅速に除去される。
【0341】
実施例8:SADC-免疫グロブリン複合体形成のin vitro分析
SADC-抗体複合体形成を分析するために、1μg/mlのヒト抗V5抗体(抗V5エピトープタグ[SV5-P-K]、ヒトIgG3、Absolute Antibody)を、0.1%w/vのBSA及び0.1%のTween20を含むPBS中で濃度を増加させたSADC-ALB、-IG、-HP、-TF及び-CTR(x軸上に示す)とともに室温で2時間あらかじめインキュベートし、in vitroで免疫複合体を形成させた。複合体形成後、試料を、あらかじめ10μg/mlのヒトC1q(CompTech)でコートしておいたELISAプレート上で室温にて1時間インキュベートし、in vitroで形成された免疫複合体を捕捉した。次に、複合体を抗ヒトIgG(Fab特異的)-ペルオキシダーゼ(Sigma、1:1000希釈)を用いてのELISAで検出した。OD450nmにおける測定シグナル(y軸)は、in vitroにおける抗体-SADC複合体形成を反映する。
【0342】
図7に示す通り、SADC-TF及び-ALBは顕著な免疫複合体形成及びC1qへの結合を示した。これは、強いシグナル、及びSADC-TFが1000ng/mlである場合の抗原-抗体の平衡から抗原過剰への推移における急激なシグナルの低下に反映されている。一方、本アッセイで測定した際、SADC-HP又はSADC-IGでのin vitro免疫複合体形成は大幅に効率が低かった。
【0343】
前記in vivoデータ(先の実施例)とともに、これらの発見は、ハプトグロビン足場が補体系を活性化する傾向が少ないがために他のSADC生体高分子足場よりも有利であるという発見を裏付けるものである。一方、SADC-TF又はSADC-ALBはより高度に複合体し(show higher complexation)、従って、C1複合体を活性化して古典的補体経路を開始させる一定のリスクを有する(とは言え、一部の状況では許容範囲でありうるリスクである)。
【0344】
実施例9:in vitroにおいてのSADCによるIgG捕捉の測定
先の実施例同様、1μg/mlマウス抗V5抗体(Thermo Scientific)と、量を増加させたSADC(x軸上に示す)との組み合わせを用いて、in vitroで免疫複合体を形成させた。SADC-抗体複合体を、ストレプトアビジンをコートしたELISAプレート上にビオチン化SADC-ペプチドを介して捕捉し(先の実施例を参照)、その後、結合した抗V5の検出を抗マウスIgG-HRP(Jackson Immuno Research、1:2000希釈)を用いて行った。
【0345】
これらのアッセイ条件下では、SADC-HPはSADC-TF又はSADC-ALBと比べて大幅に低い抗体結合能をin vitroにおいて示した(図8A参照)。SADC上のIgG検出に係るEC50算出値は、SADC-TF、-ALB、及び-HPについて、それぞれ7.0ng/ml、27.9ng/ml、及び55.5ng/mlであった(図8Bを参照のこと)。
【0346】
このin vitroでの発見は、SADC-HPがSADC-TF又はSADC-ALBよりも免疫複合体形成能が低いという観察(先の実施例を参照)と矛盾しない。これは、望ましくない抗体の枯渇のための治療上の使用の観点からは、安全面の利点とみなされる。
【0347】
実施例10:望ましくない抗AAV-8抗体を減少させるためのSADC
遺伝子治療を妨げるAAV-8中和抗体を減少させるために、3つのSADCが提供される(使用したエピトープについてはGurda et al.を参照;AAV-8キャプシドタンパク質配列UniProt Q8JQF8、配列バージョン1も参照のこと):
(a)生体高分子足場としてのハプトグロビンと、前記足場に共有結合した、配列LQQQNT(配列番号18)を有する少なくとも2つのペプチドと、を有するSADC-a;
(b)生体高分子足場としてのトランスフェリンと、前記足場に共有結合した、配列TTTGQNNNS(配列番号19)を有する少なくとも2つのペプチドと、を有するSADC-b;及び
(c)生体高分子足場としてのアルブミンと、前記足場に共有結合した、配列GTANTQ(配列番号20)を有する少なくとも2つのペプチドと、を有するSADC-c。
【0348】
これらのSADCを、AAV-8をベクターとして用いる遺伝子治療を受ける個体に投与することにより、前記遺伝子治療の効率を増大させる。
【0349】
非特許文献
【0350】
【0351】
【0352】
【0353】
Tetala, Kishore KR, et al. "Selective depletion of neuropathy-related antibodies from human serum by monolithic affinity columns containing ganglioside mimics." Journal of medicinal chemistry 54.10 (2011): 3500-3505.
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Wallukat, Gerd, et al. "Patients with preeclampsia develop agonistic autoantibodies against the angiotensin AT 1 receptor." The Journal of clinical investigation 103.7 (1999): 945-952.
Zhou, Cissy C., et al. "Angiotensin receptor agonistic autoantibodies induce pre-eclampsia in pregnant mice." Nature medicine 14.8 (2008): 855.
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2022528736000001.app
【国際調査報告】