(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】壁沈下施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 29/045 20060101AFI20220608BHJP
E02D 29/05 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
E02D29/045
E02D29/05 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560236
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 CN2019000067
(87)【国際公開番号】W WO2020198897
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】201910274122.2
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521439925
【氏名又は名称】▲問▼ 延煦
【氏名又は名称原語表記】WEN YANXU
【住所又は居所原語表記】No.204,Building 1,Dongfang Longhuwan,No.588,Longmian Ave,Jiangning District,Nanjing,Jiangsu 211112,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲問▼ 延煦
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147AB01
2D147AB04
2D147AB06
(57)【要約】
壁沈下施工方法であって、壁体を制御によって沈下させ、土木建築地下工事技術分野に属し、壁体(2)に対応する溝体の両側にまず抗土圧構造(1)を形成し、次に地面にある高さの壁体を製作し、壁体(2)の底部の両側にジャッキ(4)及び支持杭体(6)を取り付けることにより、支持杭体(6)下の岩と土を補強することができ、壁体(2)がジャッキ(4)及び支持杭体(6)により支持され、壁体の底部が吊り下げられて、一定の高さを有する掘削作業空間を形成し、該空間内で水中掘削機を遠隔操作して溝体内の岩や土を1層ずつ掘り出し、壁体(2)と溝体の両側の抗土圧構造(1)との間にローラ付きの弾性支持ロッド(7)が挟まれ、岩や土の圧力を伝達してバランスをとり、壁体が沈下する際の摩擦抵抗力を制御可能にし、壁体がジャッキの制御によってある高さ沈下し、地面にある高さを築き続けることを特徴とする。該施工方法は基礎坑の支保工に使用されるとき、地下室の外壁及び空間における鋼支持材を所定の位置に同時に沈下することができ、安全で経済的な基礎坑支保工システムが形成され、該施工方法は法面擁壁及び地下浸透防止壁の築造にも使用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に建てられた壁体を制御によって地上から地下に沈下して地下壁とする壁沈下施工方法であって、
壁体(2)に対応する溝体の両側に抗土圧構造(1)を形成するステップ(a)と、
ジャッキ(4)で壁体(2)を支持して壁の底部を吊り下げるステップ(b)と、
水中掘削機を遠隔操作して壁底で溝体内の岩や土を1層ずつ掘り出すステップ(c)と、
壁体(2)と溝体の両側の抗土圧構造(1)との間にローラ付きの弾性支持ロッド(7)を挟むステップ(d)と、
ジャッキで壁体(2)の沈下を制御するステップ(e)と、
壁体の基礎を施工するステップ(f)と、
ローラ付きの弾性支持ロッド(7)を回収する必要がある場合の支持材取替施工を行うステップ(g)と、
余分な溝を埋め戻すステップ(h)と、を含むことを特徴とする壁沈下施工方法。
【請求項2】
前記壁体(2)は底板(3)を有することを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)は、溝を掘削して案内壁を形成し、地面に壁体の底板(3)及びある高さの壁体(2)を製作するステップと、土台の近傍の壁体(2)に片持ち反力部材(8)を取り付け又は現場打ちするステップと、支持杭(6)を取り付け、支持杭の頂部に片持ち反力部材(8)を取り付け又は現場打ちするステップと、ジャッキ(4)及び(5)を取り付けて、壁の底部を吊り下げ、壁底掘削作業空間を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項4】
土台部支持杭(6)の底部の岩と土に対して部分的な補強(9)を行うことを特徴とする請求項3に記載の壁沈下施工方法。
【請求項5】
前記ステップ(c)において、ある支持杭(6)まで掘削するとき、ジャッキ(5)によりまず該杭を持ち上げ、1層の該杭の底部の岩や土を掘削した後、該杭をおろすことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項6】
地面から壁底の掘削面までの測量竿により標高の伝達を実現し、掘削標高を制御することを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項7】
前記ステップ(d)において、コンロッドで同一断面の各弾性支持ロッドを接続することを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項8】
前記ステップ(e)は、岩と土が層別に掘り出された場合、ジャッキ(4)が支持杭(6)を安定して沈降させるまで押し付けるステップと、各ジャッキが協調して動作して、壁体を制御して全体的且つ均一にセグメント化して沈下させるステップと、壁体がジャッキの制御によってある高さ沈下し、地面にある高さを築き続けるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項9】
前記ステップ(f)は、壁体が所定の位置に沈下した後、ジャッキ(4)及び(5)で壁体の標高を調整し、壁体と抗土圧構造との間に挟まれる弾性支持材(7)で壁体の平面位置を調整するステップと、残土を片付けて掘削機を回収するステップと、壁体の底部を埋め戻して基礎の施工を完了するステップと、土台でのジャッキ(4)及び(5)並びに測定制御装置を取り外して回収するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項10】
前記ステップ(g)は、各支持材取替位置での溝壁及び壁形状曲線を測定するステップと、曲線の凹凸に基づいて、スペーサ(12)をプレキャスト支持矢板(10)に貼り付けるステップと、2枚のプレキャスト支持矢板(10)を溝内に個別に入れた後、それぞれ溝壁及び壁に貼り付け、次に鋼板(11)で2枚の矢板を接続してトラス支持材を形成するステップと、すべての支持材を取り替えた後、ローラ付きの弾性支持ロッド(7)を引き上げるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土木建築地下工事技術分野に属し、地下壁施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
まず地面に壁を建て、次に壁体に対応する溝体の岩と土を掘り出して、壁を地面から地下に沈下させることは、壁沈下法と称されてもよい。従来のオープンケーソン工法は坑内を取り囲んでいる岩と土をすべて掘り出す工法である。現在、壁沈下の方法及び装置を提供する特許は複数ある。中国特許公報(CN1120104A)には、水射ジェットで壁体の先端を洗い流して泥水を形成し、ジェットポンプで泥水を吸い上げ、壁体は先端の土壌体が掘り出されるのでそれ自身の重さで沈下し、薄膜及び壁体の周りのウォーターリングにより摩擦を低減して土壁の崩壊を防止する地下壁施工方法が開示される。中国特許公報(CN101338567B)には、全体的に回転噴射する沈下法で地下構造の外壁を施工する回転噴射オープンケーソン工法とセミ逆打ち工法とを組み合わせて地下建築物を施工する施工方法が開示される。中国特許公報(CN105926635B)には、反転回収が可能な2組の撹拌ヘッドを提供し、地面に壁体の空洞内から土台に貫通して、土台の岩と土を泥に撹拌して、壁体を沈下させる縦方向四角形プレハブ施工装置、組立体及び施工方法が開示される。中国特許公報(CN106759463A)においては、壁体の底部にレールが設置され、レールには岩や土を掘削するチェーンカッターが取り付けられ、施工時にチェーンカッターを起動して壁底の岩や土を掘削し、地面に持ち去って、壁体を沈下させる。
【0003】
壁体を沈下させる難点は、壁体を制御によって沈下させ、即ち壁体沈下の位置が設計された所定の位置であり、且つ沈下過程の周辺の岩と土への影響が制御可能であることにある。上記技術では、壁体沈下に対する制御能力はまだ十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、壁体を制御によって沈下させて、設計における壁体位置及び周辺への影響の要件を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は溝付け施工前に形成された両側の抗土圧構造及び壁体支持材(反力部材、ジャッキ、支持杭、支持杭の下で補強された岩と土を含む)で掘削機に必要な操作空間を提供し、溝体の規則的な掘り出しを実現し、地層への適応性が高く、壁体を制御によって沈下させるために基本的な保証を提供し、抗土圧構造と壁体との間に挟まれる弾性支持材(ローラ付き)及び壁底のジャッキで壁体の沈下を制御し、壁体の標高が制御可能であり、抗土圧構造と壁体との間に挟まれる弾性支持材(ローラ及びジャッキ付き)で壁体の平面座標を制御可能にし、溝体の規則的な掘り出し、溝体の両側の抗土圧構造及び弾性支持材、壁体の沈下は水中でも施工できるため、壁体沈下の周辺への影響を制御可能にする。
【0006】
本発明の施工方法のステップは以下の通りである。
【0007】
1.溝体を掘削する前の準備作業
1)壁体に対応する溝体内の岩と土の物理的及び力学的特徴を探査して、壁底の掘削機の選択に根拠を提供し、土台部の支持杭の長さ、端部の寸法及び間隔の設定に根拠を提供し、土台部の支持杭の底部の岩と土の部分的な補強の処置の選択及び設計に根拠を提供し、ジャッキのストロークの決定に根拠を提供し、
2)壁体に対応する溝体の両側の岩と土の物理的及び力学的特徴を探査し、抗土圧構造と壁体の抗土圧構造との間のローラ付きの支持材の設計にパラメータを提供し、
3)壁体に対応する溝体の両側(排土口を含む)に抗土圧構造を形成し、土台部の支持杭の底部の岩と土に対して部分的な補強を行い、溝を掘削して案内壁を形成し、
4)地面に壁体の底板及びある高さの壁体を製作し、土台の近傍の壁体に片持ち反力部材を対称的に間隔を置いて取り付け又は現場打ちし、支持杭の頂部にも片持ち反力部材を対称的に取り付け又は現場打ちし、壁体自身の重さは反力部材からジャッキを介して支持杭に伝達されてから溝体の掘削されていない岩と土に伝達され、そうすることで、両側の抗土圧構造及び支持杭の保護下で、壁体の底部と掘削されていない岩と土との間には一定の高さを有する作業空間を形成する。
【0008】
2.壁体を制御によって沈下施工する
1)作業空間内で水中遠隔操作掘削機を取り付け、壁体の走向に沿って溝体内の岩と土を層別に掘削して、排土口に輸送し、クレーンバケットで排土し、ある支持杭まで掘削するとき、まずジャッキで該杭を持ち上げ、1層の該杭底の岩や土を掘削した後、該杭をおろすことができる。該杭を持ち上げるとき、該杭により壁体自身の重さを受け、壁自体から隣接する支持杭体に伝達し、
2)両側の抗土圧構造が破壊されることを防止するために、単層の掘削厚さを制御する必要があり、地面から壁底の掘削面までの測量竿(垂直度が制御可能である)により標高の伝達を実現することができ、更に掘削標高を制御し、
3)岩と土が層別に掘り出されるにつれて、ジャッキが各支持杭を安定して沈降させるまで押し付け、
4)各ジャッキが協調して動作し、壁体を制御して全体的且つ均一にセグメント化して沈下させ、
5)壁体と溝体の両側の抗土圧構造との間にローラ付きの弾性支持材を挟み、岩や土の圧力を伝達してバランスをとるとともに、壁体が沈下する際の摩擦抵抗力を制御可能にするように確保し、
6)壁体がジャッキの制御によってある高さ沈下し、地面にある高さを築き続ける。必要な場合には、地面に壁体の防水を施すことができる。
【0009】
3.壁体の基礎を施工する
1)壁体が所定の位置に沈下した後、ジャッキで壁体の標高を調整し、壁体と抗土圧構造との間に挟まれる支持材で壁体の平面位置を調整する。残土を片付け、掘削機を取り外して回収する(水がある場合、マニピュレータ付きの有人潜水艇又は水中ロボットにより完了することができる)。壁体の底部を埋め戻して基礎の施工を完了し、
2)土台でのジャッキ(水がある場合、マニピュレータ付きの水中ロボットにより完了することができる)及び測定制御装置を取り外して回収する。
【0010】
4.支持材取替施工
1)各支持材取替位置での溝壁及び壁形状曲線を測定し、曲線の凹凸に基づいて、スペーサをプレキャスト支持矢板に貼り付け、
2)2枚のプレキャスト支持矢板を溝内に個別に入れた後、それぞれ溝壁及び壁に貼り付け、次に鋼板で2枚の矢板を接続してトラス支持材を形成し(水がない場合に溶接が可能であり、水がある場合にボルトで接続でき、鋼板上のボルト孔の位置は実測された溝壁及び壁の対応点の距離に基づいて、スペーサの厚さ、圧縮係数及び矢板の埋込ボルト孔の位置と組み合わせて取得したものである)、
3)すべての支持材を取り替えた後、ローラ付きの弾性支持ロッドを引き上げる。
【0011】
5.余分な溝を埋め戻す。
【0012】
ステップ3~ステップ5については、実際の工事ニーズに応じて選択されてもよく、例えば、ローラ付きの弾性支持ロッドを回収する必要がない場合、支持材取替をキャンセルしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
該施工方法は基礎坑の支保工に使用されるとき、
1)地下室の外壁(永久構造物)及び鋼支持材(取り外し可能な一時的な構造)を地面で接続した後、制御によって所定の位置に同時に沈下し、次に基礎坑の大面積の掘削を行い、これにより、不十分な支持による基礎坑の安全事故を防止し、安全で経済的な基礎坑支保工システムを形成することができ、
2)地下室の外壁及び防水はいずれも地上で行われ、作業空間が十分であり、容易に施工でき、品質が確保され、
3)鋼支持壁の位置が柔軟であり、支保工システムの建築スキーム及び地質への適応性がより高い、という利点を有する。
【0014】
該施工方法は法面擁壁に使用されるとき、
1)パイリングに比べて、壁体の整合性が高く、双方向の受力を形成することができ、
2)パイリングに比べて、壁後を砂石で埋め戻すことができ、水圧力の減少に寄与し、
3)従来の法尻掘削後に擁壁を築造することに比べて、法面に擁壁を築造してから掘削し、安全に寄与する、という利点を有する。
【0015】
該施工方法は浸透防止壁に使用されるとき、
1)壁体の整合性が地下連続壁よりも高く、浸透防止機能が高い、という利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】抗土圧構造、ジャッキ、支持杭及びローラ付きの支持材の施工組立体の立面模式図である。
【
図2】抗土圧構造、ジャッキ、支持杭及びローラ付きの支持材の施工組立体の側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び具体的な実施例を参照しながら本発明を説明する。
【0018】
1.溝体を掘削する前の準備作業
壁体に対応する溝体内の岩と土の物理的及び力学的特徴を探査して、壁底の掘削機の選択に根拠を提供する。掘削土層が粘性土層を主とする場合、壁底にレールビームを埋め込むことが好ましく、壁底の掘削機が懸架方式でレールビームを走行することが好ましく、機械的質量が壁から隣接する支持杭6に伝達され、それ自身の重さがより軽い装置を選択し、掘削土層が砂質土又は岩石を主とする場合、トラック掘削機を用いることが考慮されてもよく、掘削機自身の重さは掘削されていない岩と土により受けられる。掘削機を選択した後、その必要な作業空間の高さが決定されるとともに、壁体2の重量、掘削機の重量、弾性支持ロッド7自身の重さを考慮することによって土台の支持杭6が受ける必要のある荷重を決定することができる。探査して取得した岩や土の物理的及び力学的パラメータに基づいて、支持杭6の底部の岩と土が支持力の要件を満たすことができるかどうかを推定してチェックする。そうでない場合、支持杭の底部に対して部分的な補強9を行う必要があり、用いる処置には、一軸セメントコンクリート撹拌杭、無筋コンクリート杭を含んでもよく、様々な動作状況において単杭の支持力が要件を満たすように確保し、ジャッキのストロークは掘削誤差を考慮する必要があり、壁体に対応する溝体の両側の岩と土の物理的及び力学的特徴を探査して、抗土圧構造及び壁体と抗土圧構造との間のローラ付きの弾性支持ロッド7の設計にパラメータを提供し、抗土圧構造1は通常のセメントコンクリート撹拌杭壁、鋼矢板、鋼管杭、形鋼杭、地下連続壁(無筋コンクリート)及び様々な掘削孔により形成される無筋コンクリート杭を選択してもよく、法面擁壁に使用されるとき、壁の後に排水する必要がある場合、挿し抜き可能な鋼杭を使用することが好ましく、水圧力が壁の後に集まることを回避し、鋼杭が沈下しにくい場合、穿孔して補助することができ、土台の作業空間及びローラ付きの支持材7と支持材取替の条件下で、抗土圧構造1自体の支持力はいずれも要件を満たす必要がある。本工法において、壁底の掘削は水がある場合に行われてもよく、従って、抗土圧構造は止水を求めない。壁体に対応する溝体の両側に抗土圧構造1(排土口を含む)を形成し、排土口は壁底の岩と土の輸送に使用されるだけでなく、壁底の掘削機の補修及び回収に通路を提供する。工事にタワークレーンを用いる必要がある場合、排土口にタワークレーンを取り付けてもよい。従って、排土口の位置及びサイズは予め計画する必要があり、排土口に内部支持材がないため、円形にすることが好ましく、その抗土圧構造も適切に補強することが好ましい。壁体の走向に沿って溝を掘削し、案内壁を施工し、案内壁の目的は抗土圧構造と組み合わせて壁体が沈下する際の位置決めを確保するとともに、測量竿の取付にベースを提供することである。地面に壁体の底板3及びある高さの壁体を製作し、現場打ち及びプレキャストが可能であり、底板に穴を開ける必要があり、該穴は支持杭を貫通するのに用いられ、壁体が所定の位置に沈下した後に他の部材に接続する必要がある場合、壁体に対応する箇所に埋込部材を予め埋設する必要がある。底板3はローラ付きの弾性支持ロッド7自身の重さを伝達することに用いられてもよく、ジャッキ5の反力としても機能し、また、壁の基礎を埋め戻した後の基礎の受力を改善することができる。土台の近傍に片持ち反力部材8を対称的に間隔を置いて取り付け又は現場打ちし、支持杭の頂部にも片持ち反力部材8を対称的に取り付け又は現場打ちし、壁体自身の重さは反力部材8からジャッキ4を介して支持杭6に伝達されてから溝体の掘削されていない岩と土又は支持杭下での補強された岩と土9に伝達される。そうすると、両側の抗土圧構造1及び支持杭6の保護下で、壁体の底部には壁底の掘削機の作業高さを満たす作業空間が形成される。
【0019】
2.壁体を制御によって沈下施工する
作業空間内で水中掘削機を遠隔操作して、壁体の走向に沿って溝体内の岩と土を層別に掘削して、排土口に輸送し、クレーンバケットにより排土する。掘削機は電力を動力として用い、且つ水中作業のニーズを満たすように水中監視装置を取り付けることができる。遠隔操作による水中掘削作業は屋外作業より難度が高いため、その掘削効率が低く、速度が遅く、且つ装置が故障して補修する必要がある場合、装置を排土口から地面に引き上げて補修する必要がある場合が多く、補修周期が長い。壁体2の製作に必要な工程もより多く、長い時間がかかり、このため、遅い掘削速度の進度への不利な影響を軽減するように、壁体2の製作及び壁底掘削の進度を統一的に計画することが考慮されてもよい。両側の抗土圧構造が破壊されることを防止するために、単層の掘削厚さを制御する必要があり、地面から壁底の掘削面までの測量竿(垂直度が制御可能である)により標高の伝達を実現することができ、更に掘削標高を制御する。ある支持杭6まで掘削するとき、ジャッキ5により該杭を持ち上げ、該杭底の岩や土を掘削して表面をならした後、杭をおろすことができる。該杭を持ち上げるとき、該杭が受ける壁体自身の重さは壁自体から隣接する支持杭体に伝達させることができる。掘削された岩や土の含水量がより高い場合、電気浸透法又は真空予圧プラスプラスチック排水板により含水量を低減してから輸送することができる。岩と土が層別に掘り出されるにつれて、ジャッキ4が支持杭6を安定して沈降させるまで押し付けた後、各ジャッキ4及び5はネットワークに接続されてコンピュータにより統括的に協調して動作し、壁体2を制御して全体的且つ均一に沈下させる。壁体と溝体の両側の抗土圧構造との間にローラ付きの弾性支持材7が挟まれ、岩や土の圧力を伝達してバランスをとるとともに、壁体2が沈下する際の摩擦抵抗力を制御可能にするように確保する。抗土圧構造1は弾性ビームプレートと見なされてもよいが、各弾性支持ロッド7は弾性支持点と見なされてもよく、弾性支持ロッド7の剛性は周辺変形制御の要件を満たす必要がある。支持ロッド7の弾性はスプリング又はジャッキにより実現されてもよい。壁体2が沈下するにつれて、弾性支持ロッド7の数が増加し続け、1つの断面上の各弾性支持ロッド7はロッド部材により接続されて1つのロッド部材群を形成することができ、ロッド部材群自身の重さは壁の底板3から支持杭6に伝達される。ローラは抗土圧構造1及び壁体2に直接接触し、壁体2の表面に防水が施される場合、防水が破壊されることを防止するために、ローラはタイヤ型を用いる必要がある。弾性支持ロッド7がジャッキを含む場合、壁体2の平面位置を制御することができる。壁体2がジャッキ4の制御によってある高さ沈下し、地面にある高さを築き続ける。必要な場合には、地面に壁体2の防水を施すことができる。壁体2及び防水の製作はいずれも地面で行われ、施工空間が十分であり、効率及び品質がいずれも地下施工より向上する。鋼支持材を沈下させる必要がある場合、鋼支持ロッド部材を壁体状に接続して地下室の外壁に接続した後、セグメント化して沈下することもできる。地下室の外壁及び内部鋼支持材はすべて基礎坑内の土壌体を大規模に掘削する前に所定の位置に到達し、空間支保工システムを構成し、それにより、余掘り及び支持材が直ちに所定の位置に到達しないことにより引き起こされた安全上の問題を回避することができ、鋼支持壁の位置が柔軟であり、支保工システムの建築スキーム及び地質への適応性がより高い。
【0020】
3.壁体の基礎を施工する
壁体2が所定の位置に沈下した後、土台部のジャッキ4及び5で壁体2の標高を調整し、壁体と抗土圧構造との間に挟まれる支持材7(ジャッキを含む)で壁体2の平面位置を調整する。残土を片付け、掘削機を回収する(水がある場合、マニピュレータ付きの有人潜水艇又は水中ロボットにより連携して完了することができる)。壁体の底部を埋め戻して基礎の施工を完了する。土台でのジャッキ4及び5(水がある場合、マニピュレータ付きの水中ロボットにより完了することができる)並びに測定制御装置を取り外して回収する。
【0021】
4.支持材取替(ローラ付きの支持材を回収する必要がある場合)
各支持材取替位置での溝壁及び壁形状曲線を測定し、曲線の凹凸に基づいて、スペーサ12をプレキャスト支持矢板10に貼り付け、2枚のプレキャスト支持矢板10を溝内に個別に入れた後、それぞれ溝壁及び壁に貼り付け、次に鋼板11で2枚の矢板10を接続してトラス支持材を形成し(水がない場合に溶接が可能であり、水がある場合にボルトで接続でき、鋼板11上のボルト孔の位置は実測された溝壁及び壁の対応点の距離に基づいて、スペーサ12の厚さ、圧縮係数及び矢板10の埋込ボルト孔の位置と組み合わせて取得したものである)、すべての支持材を取り替えた後、ローラ付きの弾性支持ロッド7を引き上げる。
【0022】
5.余分な溝を埋め戻す
防水カーテンを必要とする場合には、余分な溝により形成される1つの連続した空間体を利用して防水材料を埋め戻し、防水カーテンを形成するとともに余分な溝も埋め戻すことが考慮されてもよく、手動で砂石を埋め戻す必要がある場合には、設計段階において埋め戻し側の幅を十分にしておく必要があり、即ち壁体の両側の余分な溝の幅が異なってもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 抗土圧構造
2 壁体
3 壁体の底板
4 ジャッキ(押し付ける)
5 ジャッキ(突き上げる)
6 支持杭
7 ローラ付きの弾性支持ロッド
8 片持ち反力部材
9 支持杭下で補強された岩と土
10 矢板
11 鋼板
12 スペーサ
【手続補正書】
【提出日】2021-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
該施工方法は基礎坑の支保工に使用されるとき、
1)地下室の外壁(永久構造物)及び鋼支持材(取り外し可能な一時的な構造)を地面で接続した後、制御によって所定の位置に同時に沈下し、次に基礎坑の大面積の掘削を行い、これにより、不十分な支持による基礎坑の安全事故を防止し、安全で経済的な基礎坑支保工システムを形成することができ、周辺環境の変形への要件がより高い場合、地下室外壁の外側の弾性支持ロッド(ジャッキを含む)により対応の抗土圧構造を突き押すことができ、荷重は地下室外壁から鋼支持壁に伝達され、力受けシステムが安定して確実であり、変形が効果的且つ能動的に制御され、
2)地下室の外壁及び防水はいずれも地上で行われ、作業空間が十分であり、容易に施工でき、品質が確保され、
3)鋼支持壁の位置が柔軟であり、支保工システムの建築スキーム及び地質への適応性がより高く、基礎坑の法面の岩体に貫通性に不都合な構造面が存在すれば、構造面の厚さがより小さい場合、通常の穿孔・コア採取の実地調査により発見されにくく、設計・施工に困難をもたらす。これに対して、外側抗土圧構造に接触する弾性支持ロッドにおけるジャッキの増加圧力又はスプリングの変位変化によってその位置を決定することができ、これは不都合な構造面の影響の制御に基礎を築き、外側の安定しない岩と土の圧力を弾性支持ロッド(ジャッキを含む)によって内側の岩と土に伝達することができ、貫通性に不都合な構造面の影響が経済的且つ合理的に直ちに制御される、という利点を有する。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁沈下施工方法であって、
壁
体に対応する溝体の両側に抗土圧構
造を形成するステップ(a)と、
第一ジャッキ(4)で壁
体を支持して壁の底部を吊り下げるステップ(b)と、
水中掘削機を遠隔操作して壁底で溝体内の岩や土を1層ずつ掘り出すステップ(c)と、
壁
体と溝体の両側の抗土圧構
造との間にローラ付きの弾性支持ロッ
ドを挟むステップ(d)と、
ジャッキで壁
体の沈下を制御するステップ(e)と、
壁体の基礎を施工するステップ(f)と、
ローラ付きの弾性支持ロッ
ドを回収する必要がある場合の支持材取替施工を行うステップ(g)と、
余分な溝を埋め戻すステップ(h)と、を含むことを特徴とする壁沈下施工方法。
【請求項2】
前記壁
体は底
板を有
し、前記壁体の底部にレールビームを有し、鋼支持ロッド部材を壁状に接続して地下室の外壁に接続した後、セグメント化して沈下し、基礎坑を大規模に掘削する前に所定の位置に到達し、前記溝体の側方に排土口及び対応する抗土圧構造が設けられ、前記抗土圧構造は無筋コンクリート杭、無筋コンクリート地下連続壁、鋼板杭及びセメント撹拌杭のうちの1つであり、前記ローラ付きの弾性支持ロッドはスプリング及びジャッキのうちの1つを有し、壁体の製作及び壁底掘削の進度を統括的に協調し、地面から壁底の掘削面までの測量竿により標高の伝達を実現し、単層の掘削厚さを制御し、余分な溝により形成される連続空間を利用して防水材料を埋め戻し、防水カーテンを形成するとともに余分な溝も埋め戻すことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)は、溝を掘削して案内壁を形成し、地面に壁体の底
板及びある高さの壁
体を製作するステップと、土台の近傍の壁
体に片持ち反力部
材を取り付け又は現場打ちするステップと、支持
杭を取り付け、支持杭の頂部に片持ち反力部
材を取り付け又は現場打ちするステップと、
前記第一ジャッキ(4)及び
第二ジャッキ(5)を取り付け
、支持杭上の第1ジャッキ(4)により掘削された溝底で壁体を支持して、壁の底部を吊り下げ、壁底掘削作業空間を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項4】
土台部支持
杭の底部の岩と土に対して部分的な補
強を行
い、補強処置は一軸セメント撹拌杭及び無筋コンクリート杭のうちの1つであり、前記支持杭は壁体の底部の両側に対称的に配置され、前記支持杭は掘削された溝底に位置し、壁体自身の重さは壁体上の反力部材から第1ジャッキ(4)を介して支持杭に伝達されてから溝体の掘削されていない岩と土又は支持杭下での補強された岩と土に伝達されることを特徴とする請求項3に記載の壁沈下施工方法。
【請求項5】
前記ステップ(c)において、ある支持
杭まで掘削するとき、
第二ジャッキ(5)によりまず該杭を持ち上げ、1層の該杭の底部の岩や土を掘削した後、該杭をおろすことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項6】
前記支持杭を持ち上げるとき、該杭が受ける壁体自身の重さは壁自体から隣接する支持杭に伝達されることを特徴とする請求項
5に記載の壁沈下施工方法。
【請求項7】
前記ステップ(d)において、
弾性支持ロッドは両端にいずれもローラが配置され、一端が抗土圧構造に接触し、他端が壁体に接触し、ローラ付きの弾性支持ロッドは掘削された溝体内で壁の底板の頂面から上向きに壁体の両側に対称的に配置され、ローラ付きの弾性支持ロッドは岩や土の圧力を伝達してバランスにするとともに、壁体が沈下する際の摩擦抵抗力を制御し、コンロッドで同一断面の各弾性支持ロッドを接続
して1つのロッド部材群を形成し、ロッド部材群自身の重さは壁の底板から支持杭に伝達されることを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項8】
前記ステップ(e)は、岩と土が層別に掘り出された場合、
前記第一ジャッキ(4)が支持
杭を安定して沈降させるまで押し付けるステップと、各ジャッキが協調して動作して、壁体を制御して全体的且つ均一にセグメント化して沈下させるステップと、壁体がジャッキの制御によってある高さ沈下し、地面にある高さを築き続けるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項9】
前記ステップ(f)は、壁体が所定の位置に沈下した後、
前記第一ジャッキ(4)及び
第二ジャッキ(5)で壁体の標高を調整し、壁体と抗土圧構造との間に挟まれる弾性支持
材で壁体の平面位置を調整するステップと、残土を片付けて掘削機を回収するステップと、壁体の底部を埋め戻して基礎の施工を完了するステップと、土台での
前記第一ジャッキ(4)及び
第二ジャッキ(5)並びに測定制御装置を取り外して回収するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【請求項10】
前記ステップ(g)は、各支持材取替位置での溝壁及び壁形状曲線を測定するステップと、曲線の凹凸に基づいて、スペー
サをプレキャスト支持矢
板に貼り付けるステップと、2枚のプレキャスト支持矢
板を溝内に個別に入れた後、それぞれ溝壁及び壁に貼り付け、次に鋼
板で2枚の矢板を接続してトラス支持材を形成するステップと、すべての支持材を取り替えた後、ローラ付きの弾性支持ロッ
ドを引き上げるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の壁沈下施工方法。
【国際調査報告】