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特表2022-528803気化装置を製造するための方法、気化装置および吸入器、好ましくは電子たばこ製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】気化装置を製造するための方法、気化装置および吸入器、好ましくは電子たばこ製品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/70 20200101AFI20220608BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20220608BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20220608BHJP
【FI】
A24F40/70
A24F40/46
A24F40/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560960
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2020057257
(87)【国際公開番号】W WO2020212050
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】102019109883.1
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ハウニ・マシイネンバウ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ボーネ・スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ボルン・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】チエウ・ホック・キエム
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC18
4B162AC22
4B162AC27
4B162AD03
4B162AD23
4B162AE02
(57)【要約】
少なくとも1つの電気気化器(60)と、電流を気化器(60)に供給するための少なくとも1つの電気ライン(105a,105b)と、気化器(60)を支持するためのキャリア(4)を有する吸入器(10)用の、好ましくは電子たばこ製品用の気化装置(1)を製造するための方法は、
電気ライン(105a,105b)と気化器(60)の電気的接続を形成するために、気化器(60)とキャリア(4)の間に導電性の接着剤(2)を塗布することを含み、気化器(60)と接着剤(2)の間に共晶接合部を形成するために付加的な加熱ステップが実施される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気気化器(60)と、電流を気化器(60)に供給するための少なくとも1つの電気ライン(105a,105b)と、気化器(60)を支持するためのキャリア(4)を有する吸入器(10)用の、好ましくは電子たばこ製品用の気化装置(1)を製造するための方法において、
電気ライン(105a,105b)と気化器(60)の電気的接続を形成するために、導電性の接着剤(2)が、気化器(60)とキャリア(4)の間に塗布され、気化器(60)と接着剤(2)の間に共晶接合部を形成するために付加的な加熱ステップが実施されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
付加的な加熱ステップが、少なくとも400℃、好ましくは少なくとも550℃、より好ましくは少なくとも700℃の温度で実施されること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
付加的な加熱ステップの前に、接着剤(2)の熱硬化が、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも60分間及び/又は150℃~290℃の範囲の温度で行なわれること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
気化器(60)に供給された液体(50)を気化させるための少なくとも1つの電気気化器(60)と、電流を気化器(60)に供給するための少なくとも1つの電気ライン(105a,105b)と、気化器(60)を保持しかつ電気ライン(105a,105b)が配置されたキャリア(4)を有する吸入器(10)用の、好ましくは電子たばこ製品用の気化装置(1)において、
導電性の接着剤(2)が、気化器(60)とキャリア(4)の間に設けられ、この接着剤が、電気ライン(105a,105b)と気化器(60)の電気的接続を形成し、気化器(60)と接着剤(2)の間に共晶接合部が形成されていること、を特徴とする気化装置(1)。
【請求項5】
接着剤(2)が、金属、特に銀を含むこと、を特徴とする請求項4に記載の気化装置(1)。
【請求項6】
共晶接合部が、50重量%超の、有利には65重量%超の、更により有利には80重量%超の金属を備えること、を特徴とする請求項4又は5に記載の気化装置(1)。
【請求項7】
電気ライン(105a,105b)が、少なくとも部分的に導電性の接着剤(2)によって形成されていること、を特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の気化装置(1)。
【請求項8】
気化器(60)と電気ライン(105a,105b)の間の接触領域(131)内で、例えばアルミニウムをベースとした付加的な金属層(133)が気化器(60)上に形成されていること、を特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の気化装置(1)。
【請求項9】
キャリア(4)が、セラミック材料から形成されていること、を特徴とする請求項4~8のいずれか1項に記載の気化装置(1)。
【請求項10】
請求項4~9のいずれか1項に記載の気化装置(1)を有する吸入器(10)、特に電子たばこ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電気気化器と、電流を気化器に供給するための少なくとも1つの電気ラインと、気化器を支持するためのキャリアを有する吸入器用の、好ましくは電子たばこ製品用の気化装置を製造するための方法に関する。本発明は、気化装置及び吸入器、好ましくは電子たばこ製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子たばこ製品もしくは吸入器は、ウイックコイル技術に基づく。毛細管力により、液体は、液体が電気的に加熱可能なコイルにより加熱され、従って気化されるまで、液体リザーバからウイックに沿って搬送される。ウイックは、液体リザーバと、気化器として使用される加熱コイルとの間の液体伝導式の接続装置として使用される。
【0003】
ウイックコイル技術の欠点は、液体の供給不足が局所的な過加熱を生じさせ、これにより、汚染物質が生じ得ることである。このいわゆる「ドライパフ」を回避することが重要である。加えて、このような気化ユニットは、製造に起因してしばしば漏れが生じるので、液体は、望ましくない方法で、例えば空気供給及び/又は蒸気排出を介して流出することができる。
【0004】
ウイックコイル技術の問題を回避するため、独国特許出願公開第102017111119号明細書に開示された技術が使用する一般的な気化器が使用される。この場合、液体は、ウイック構造の毛細管力により液体リザーバから気化器の入口側に搬送される。気化器は、液体を気化させ、気化した液体は、蒸気及び/又はエアロゾルとして空気流に付加可能である。気化器は、電気エネルギーを供給するため、電気ラインを介してエネルギー蓄積部に電気的に接続可能である。しかしながら、例えば電気ライン及び/又はキャリアへの気化器の電気的及び/又は機械的結合もしくは接触は、引用した従来技術には記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017111119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、気化器の改善された、特に高温度安定性の及びできるだけ低抵抗の接触を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この課題を、独立請求項の特徴によって解決する。
【0008】
本発明によれば、方法は、電気ラインと気化器の電気的接続を形成するために、気化器とキャリアの間に導電性の接着剤を塗布することを含み、気化器と接着剤の間に共晶接合部を形成するために付加的な加熱ステップが実施される。本発明は、気化器とキャリアの間の導電性の接着剤が、キャリアへの気化器の機械的結合を、熱的交番応力下でも支援もしくは提供し、同時に電気ラインとの電気的接続を形成することを認識した。この場合、導電性の接着剤が、気化装置の効果的な製造を可能にする。
【0009】
本発明による付加的な加熱ステップにより、接着剤は、気化器との接触領域で、共晶接合部を形成し、この共晶接合部は、接着及び必要に応じて硬化だけにより形成される結合よりも低い抵抗を有する。気化器と接着剤の間の共晶接合部は、気化器と接着剤を構成する材料が、互いに共晶合金を構成する結合である。共晶接合部の電気抵抗は、その組成を介して適切に設定することができ、これは、電気ラインへの気化器の再現可能な電気的結合を可能にする(ヒータチップボンディング)。本発明による加熱ステップは、特に、接着剤を硬化させるための典型的な加熱ステップに対して付加的であり得る。
【0010】
好ましくは、付加的な加熱ステップは、少なくとも400℃、好ましくは少なくとも550℃、より好ましくは少なくとも700℃の温度で実施され、これにより、共晶接合部が確実に形成され、その共晶点は、気化時に生じる温度を越え、同時に、加熱ステップ時に気化装置の構成要素に損傷を与えないほど十分に低い温度に相当する。シリコン含有気化器と銀含有接着剤を備えた実施例では、付加的な加熱ステップは、少なくとも800℃、例えば訳845℃の温度で実施される。加熱ステップで適用される、共晶接合部を形成するための共晶点に相当する温度は、気化器上に形成される金属層によって影響を受け得る。
【0011】
好ましくは、付加的な加熱ステップの前に、接着剤の熱硬化が、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも60分間及び/又は150℃~290℃の範囲の温度で行なわれ、これにより、共晶接合部を形成する前に、気化器を電気ラインと電気的に接続すること、もしくは、気化器と電気ラインの間の電気的接続を提供すること、ができる。これにより、共晶接合部の形成前に、特に、気化器の位置決めを保証することができる。従って、気化装置の製造時に気化器、キャリア及び/又は電気ラインの間に生じ得る、温度に起因した機械的応力は、最小化することができる。加熱ステップに対して、硬化のために適用すべき温度は、有利な実施形態からもわかるように、接着剤及び/又は気化器の材料に応じて明確に限定可能である。
【0012】
本発明は、気化器に供給された液体を気化させるための少なくとも1つの電気気化器と、電流を気化器に供給するための少なくとも1つの電気ラインと、気化器を保持しかつ電気ラインが配置されたキャリアを有する吸入器用の、好ましくは電子たばこ製品用の気化装置にも関する。
【0013】
本発明によれば、導電性の接着剤が、気化器とキャリアの間に設けられ、この接着剤が、電気ラインと気化器の電気的接続を形成することが提案される。気化器とキャリアの間に設けられた接着剤は、気化器と電気ラインもしくはキャリアの間の温度に起因した機械的応力による問題-これら問題は、気化器、電気ラインもしくはキャリアの基礎となる異なった材料の異なった熱膨張係数に基づいて気化器の動作温度への加熱時及び室温への冷却時に生じ得る-を軽減する。
【0014】
本発明によれば、気化器と接着剤の間に共晶接合部が形成されている。これにより、気化器と電気ラインの間の電気的接続は、低抵抗であるが、接着剤による気化器と電気ラインの間の電気的接触は、共晶接合なしで高抵抗であり得る。共晶接合により、気化器と接着剤の間の高抵抗の接触抵抗を回避することができる。液体の気化時に電子たばこ内に生じる温度と比べ、共晶接合部は、高温度安定性を有するが、それは、共晶点に対応する共晶接合部の温度は、液体の気化温度より高いからである。
【0015】
導電性で費用効果の高い接着剤を提供するため、有利には、接着剤が、金属を含む。この場合、銀は、特に有利である。銀もしくは金属を含有する接着剤は、温度安定性を有し、これが、気化器のための適用に有利であるが、それは、気化器が、動作中液体を気化させるために加熱されるからである。金属、特に銀は、共晶接合部の形成に寄与し、特にプラスチックを含有する接着剤ベースと共に効果的に導電性の接着剤として提供及び適用することができる。
【0016】
好ましくは、共晶接合部が、50重量%超の、有利には65重量%超の、更により有利には80重量%超の金属を備えるが、それは、共晶接合部が、金属比率の増加と共に低抵抗になるからである。共晶接合部は、95重量%超の金属を含むことができ、例えば、銀とシリコンから成る共晶接合部は、約97重量%の銀を含み、これは、約89%の銀の粒子数比率を意味する。
【0017】
キャリアに効果的に電気ラインを備えさせるため、好ましくは、電気ラインが、少なくとも部分的に導電性の接着剤によって形成されている。特に、電気ラインの気化器の側の部分は、導電性の接着剤から形成することができ、特に外部の部品、例えばエネルギー蓄積部に接触するために設けられた気化器とは反対側の部分は、導電性の接着剤とは異なる材料から形成することができる。好ましくは、気化器とは反対側の部分は、金、銅及び/又は他の金属又はその合金から形成すること、及び、電気ラインの接着剤から形成されかつ気化器の側の部分と導電的に接続すること、ができる。キャリア及び/又は特にその表面は、電気ラインを形成するために接着剤を塗布することができるように、事前構造化することができる。
【0018】
有利な実施形態では、気化器と電気ラインの間の接触領域内で、例えばアルミニウムをベースとした付加的な金属層が気化器上に形成されており、これにより、接触領域内で特に効果的に電気ラインと接続することができる電気的接触面を備えた気化器を提供することができる。気化器は、例えば実質的に、表面に金属層を備えた特にドーピングされたシリコンブロックを有することができる。金属層は、共晶接合に寄与することができる、及び/又は、接着剤及び/又は電気ラインとの気化器の電気的及び/又は物質的な接触を簡素化する。金属層の形成は、接触領域内で、特にシリコンを含む気化器上に金属を堆積させることによって行なうことができる。
【0019】
気化器を保持するためのキャリアを熱的に安定に形成するため、及び/又は、必要に応じて気化器とキャリアの間の熱的連結を最小化するため、好ましくは、キャリアが、セラミック材料から形成されている。セラミックのキャリアは、気化器の動作中に生じる例えば300℃までの温度と、気化器のライフサイクル内で例えば約200~100000回生じる熱的負荷変動に対して、化学的及び機械的に安定である。キャリアは、液体及び/又はエアロゾルもしくは蒸気と接触しており、従って、特に、気化中に生じる温度で、食品との使用に適しているか生体適合性である必要があり、これに、セラミック材料が寄与する。キャリアは、少なくとも気化器の領域内をセラミックサブストレートから製造することができる。キャリアの気化器を保持及び/又は接触しない他の部分は、他の金属、例えばプラスチックから成ることができる。
【0020】
本発明を、以下で添付した図に関連づけた好ましい実施形態により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】吸入器の概略図
図2】気化器タンクユニットを経る斜視断面図
図3】気化器の概略斜視図
図4】メタライズ部を備えた気化器の概略斜視図
図5】キャリアの概略斜視図
図6】気化装置の概略斜視図
図7】本発明の別の実施形態のキャリアの概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、吸入器10もしくは電子たばこ製品を概略的に示す。吸入器10は、ハウジング11を有し、このハウジング内に、たばこ製品10の少なくとも1つの空気入口開口231と吸い口端32の空気出口開口24との間の空気通路30もしくは煙突部が設けられている。この場合、吸入器10の吸い口端32は、消費者が吸入のために吸い、これにより吸入器10に負圧を作用させ、空気流34を空気通路30内に発生させる端部を意味する。
【0023】
吸入器10は、有利には、ベース部分16と気化器タンクユニット20から成り、この気化器タンクユニットは、気化器60を備えた気化装置10と液体リザーバ18を有し、特に交換可能なカートリッジの形態で形成することができる。液体リザーバ18は、吸入器10のユーザによって再充填可能とすることができる。空気入口開口231を経て吸い込まれる空気は、空気通路30内で少なくとも1つの気化器60に導かれる。気化器60は、少なくとも1つの液体50が貯蔵された液体リザーバ18と接続されている又は接続可能である。このため、有利には、気化器60の入口側61に多孔質及び/又は毛細管状の液体伝導式のウイック構造19が配置されている。
【0024】
気化器60は、毛細管力によってウイック構造19により液体リザーバ18から気化器60に供給された液体50を気化させ、気化した液体をエアロゾル/蒸気として出口側64で空気流34に付加する。
【0025】
電子たばこ10は、更に、電気エネルギー蓄積部14と電子制御装置15を有する。エネルギー蓄積部14は、通常は、ベース部分16内に配置され、特に、電気化学的使い捨て電池又は再充電可能な電気化学的電池、例えばリチウムイオン電池であり得る。気化器タンクユニット20は、エネルギー蓄積部14と吸い口端32の間に配置されている。電子制御装置15は、少なくとも1つのデジタルデータ処理装置、特にマイクロプロセッサ及び/又はマイクロコントローラを、ベース部分16(図1に示したように)及び/又は気化器タンクユニット20内に有する。
【0026】
ハウジング11内に、有利には、センサ、例えば圧力センサ又は圧力スイッチフロースイッチが配置され、制御装置15は、センサによって出力されたセンサ信号に基づいて、吸入するために消費者がたばこ製品10の吸い口端32を吸うこと確定することができる。この場合、制御装置15は、液体50を液体リザーバ18からエアロゾル/蒸気として空気流34に付加するために気化器60を制御する。
【0027】
少なくとも1つの気化器60は、気化器タンクユニット20の吸い口端32とは反対側の部分内に配置されている。これにより、特にベース部分16との気化器60の効果的な電気的連結及び制御が可能である。空気流34は、有利には、液体リザーバ18を経て軸方向に走る空気通路30を経て空気出口開口24に至る。
【0028】
液体リザーバ18内に貯蔵された配量すべき液体50は、例えば、1,2-プロピレングリコール、グリセリン、水及びこのましくは少なくとも1つのアロマ(フレーバ)及び/又は少なくとも1つの有効成分、特にニコチンの混合物である。しかしながら、提示した液体50の成分は、強制的ではない。特に、アロマ成分及び/又は有効成分、特にニコチンは、省略することができる。
【0029】
図2には、概略的な気化器タンクユニット20を経る斜視断面図が示されている。気化器タンクユニット20は、好ましくは導電性の材料、特に半導体材料、好ましくはシリコンから成るブロック状の、好ましくはモノリシックの加熱体もしくは気化器60を有する。気化器60全体が導電性の材料から成ることは必要ない。例えば、気化器60の表面が導電性に、例えば金属でコーティングされている又は好ましくは適切にドーピングされていることで十分であり得る。この場合、表面全体がコーティングされている必要はなく、例えば、金属の又は好ましくは非金属の又は非金属を積層させた金属の導体ウェブを非導電性もしくは半導電性の基体上に設けることができる。気化器60全体が加熱することも必ずしも必要なく、例えば、出口側64の領域内の気化器60の一部又は加熱層が加熱する場合が十分であり得る。気化器60は、その電気抵抗により電気エネルギーよって加熱され、従って、抵抗ヒータと呼ぶことができる。
【0030】
気化器60は、有利には、気化器60の入口側61を気化器60の出口側64と液体伝導式に接続する複数のマイクロ通路もしくは液体通路62を備えている。
【0031】
液体通路62の平均直径は、好ましくは5μm~200μmの範囲内に、より好ましくは30μm~150μmの範囲内に、更により好ましくは50μm~100μmの範囲内にある。これら寸法に基づいて、有利には、毛細管作用が発生されるので、入口側61で液体通路62に浸入する液体は、液体通路62が液体で満たされるまで、液体通路62を経て上昇する。液体通路62の数は、好ましくは、4~1000の範囲内にある。このようにして、液体通路62への入熱を最適化することができ、安定した高い気化能力と十分に大きい蒸気流出面を実現することができる。
【0032】
液体通路62は、有利にはアレイの形態で配置されている。アレイは、s列及びz行のマトリクスの形態で形成することができ、sは、有利には2~50の範囲内に、より有利には3~30の範囲内に、及び/又は、zは、有利には2~50の範囲内に、より有利には3~30の範囲内に、ある。このようにして、安定して高い気化能力を備えた液体通路62の効果的で簡単に形成可能な配置を実現することができる。
【0033】
気化器タンクユニット20は、気化器60と液体リザーバ18の液体伝導式の接続をするための貫通開口104を備えたキャリア4を有する。キャリア4と気化器60は、気化器60の電気的及び機械的結合を実現する、気化装置1の構成要素である。液体50を気化器60に供給するため、貫通開口104内にウイック構造19が配置されている。
【0034】
気化器60の入口側61は、ウイック構造19を介して液体リザーバ18と液体伝導式に接続されている。ウイック構造19は、毛細管力により液体リザーバ18から気化器60に液体50を受動的に移送するために使用される。ウイック構造19は、気化器60の入口側61に有利には面で接触し、入口側で全ての液体通路62を覆う。気化器60とは反対側で、ウイック構造19は、液体リザーバ18と液体伝導式に接続されている。
【0035】
液体リザーバ18の有利な容積は、0.1ml~5ml、好ましくは0.5ml~3ml、より好ましくは0.7ml~2ml又は1.5mlの範囲内にある。
【0036】
気化器タンクユニット20は、好ましくは、電気ライン105a,105bを介して接触領域131内で気化器60の対向する端部分でこの気化器と接続された、制御装置15によって制御可能な加熱電圧源71と接続されている及び/又は接続可能であるので、加熱電圧源71によって発生された電圧Uhは、気化器60を経る電流の流れを生じさせる。導電性の気化器60のオームの抵抗に基づいて、電流の流れは、気化器60の加熱を生じさせ、従って液体通路62内に含まれる液体の気化を生じさせる。このようにして発生した蒸気/エアロゾルは、液体通路62から出口側64に逃れ、空気流34に混合される。より正確には、消費者の吸引によって惹起された、空気通路30を経る空気流34が検出されると、制御装置15は、加熱電圧源71を制御し、自発的な加熱により、液体通路62内に存在する液体は、蒸気/エアロゾルの形態で液体通路62から押し出される。
【0037】
気化温度は、好ましくは、100℃~400℃、より好ましくは150℃~350℃、更により好ましくは190℃~290℃の範囲内にある。
【0038】
気化器60は、好ましくは1000μm以下、より好ましくは750μm以下、更によろ好ましくは500μm以下の層厚さを備える薄膜装技術によるウエハの部分から製造することができる。気化器60の表面は、有利には親水性であり得る。
【0039】
気化器タンクユニット20は、液体量が、消費者のパフ毎に、好ましくは1μl~20μl、より好ましくは2μl~10μl、更により好ましくは3μl~5μl、典型的には4μlの範囲内で投与されるように設定されている。好ましくは、気化器タンクユニットは、パフ毎の、即ち1s~3sのパフ継続時間毎の液体/蒸気量に関して設定可能である。
【0040】
加熱電圧源71によって発生される気化器60の制御周波数は、一般に、有利には1Hz~50Hzの範囲内、好ましくは30Hz~30kHzの範囲内、更により有利には100Hz~25kHzの範囲内にある。
【0041】
気化器60は、好ましくはMEMS技術に基づいて、特にシリコンから製造され、従って、有利には微小電気機械システムである。
【0042】
図3は、気化器60の概略斜視図を示す。気化器60は、入口側61と出口側64を備える。入口側61と出口側64の間に、複数の液体通路62が延在する。液体通路62は、有利には、気化器60の互いに離間した端部分の間に配置され、これら端部分には、特に気化器60の電気的及び/又は機械的接触のための接触領域131が設けられている。気化器60は、ブロック状もしくは直方体状であり、従って、液体通路62は、立方体状の気化器60の側部の一方に設けられかつ端部分を構成する2つの接触領域131の間に配置されている。接触領域131は、この例では入口側61の端部分に設けられている。これにより、気化器60は、入口側61でキャリア4と結合すること及び/又は電気ライン105a,105bへの電気的接続を形成することができる。しかしながら、他の実施例では、接触領域131は、気化器60の他方の側、特にこの例では入口側61とは反対の出口側64に設けることもできる。接触領域131を入口側61及び/又は出口側64に対して垂直な1つ又は複数の側に設けることも考えられる。
【0043】
図4は、メタライズ部133を備えた機械60の概略斜視図を示す。図4の占め最多実施形態は、図3に示した実施形態を顧慮して説明される。図4に示してない接着剤2に対する結合を改善するため、接触領域131内の導電性を向上させるため及び/又は後からのプロセスステップで形成すべき共晶接合に寄与するため、接触領域131内に、気化器60は金属層133を備える。金属層133は、製造プロセス内で気化器60の表面に堆積させることができる。これにより、機械60と電気ライン105a,105bの間の電気的接続は、低抵抗で、効果的に再現可能に形成可能にすることができる。
【0044】
図5は、キャリア4の概略斜視図を示す。キャリア4上に、電気ライン105a,105bが配置されている。電気ライン105a,105bは、気化器60が組み立てられた状態で接触領域131内で電気ライン105a,105bと接続されているように配置されている。この実施例では、電気ライン105a,105bがキャリア4上に配置されている。しかしながら、他の実施例では、電気ライン105a,105bは、少なくとも部分的にキャリ4の内部に延在することもでき、この場合、電気ライン105a,105bは、気化器60に接触するために設けられた部分内で、キャリア4の表面上に配置されていなければならない。
【0045】
図5に示した例で、両電気ライン105a,105bには接着剤2が塗布されている。電気ライン105a,105bは、この例では、キャリア4の表面に設けられている。従って、接着剤2は、組み立てられた状態(図6参照)で、キャリア4と気化器60の間に配置されている。接着剤2は、機械器60が接着領域131内で接着剤2によって電気ライン105a,105bと接続され得るように、電気ライン105a,105b上に配置されている。接着剤2がキャリア4に塗布される位置の間の間隔は、気化器60の接触領域131の間隔に一致する。
【0046】
この実施例では、電気ライン105a,105bと特にキャリア4の間に貫通開口104が設けられ、この貫通開口は、特に気化器60の入口側61が液体伝導式にウイック構造19によって接触され得ることを可能にする。
【0047】
接着剤は、特に、パナコルエコライト237型の銀充填1成分ポリイミド接着剤であり得る。しかしながら、他のプラスチックを備えた接着剤並びに他の金属を備えた充填剤も考えられる。
【0048】
電気ライン105a,105bは、キャリア4上に形成すること、又は、キャリア4は、キャリア4上に事前構造化された電気ライン105a,105bを既に備えていること、ができる。有利には事前構造化された電気ライン105a,105bは、温度安定性、不活性、ワイヤボンディング可能及び/又ははんだ付け可能であるために、異なった材料又は異なった材料の層の組合せから成ることができる。好ましくは、金から成る電気ライン105a,105bが使用される。
【0049】
特に貫通開口104の領域及び/又は気化器60に接触する又は動作中に気化器60によって加熱されるキャリア4の部分内を、キャリア4は、セラミックサブストレートから製造することができる。
【0050】
図6は、図5に関連付けて説明したキャリア4と、図3又は4に関連付けて説明した気化器60を有する気化装置1の概略斜視図を示す。
【0051】
電気ライン105a,105bは、導電性の接着剤2によって気化器60と導電的に接続されている。
【0052】
付加的な加熱ステップは、気化器60と電気ライン105a,105bの間の電気的接続を低抵抗にするために共晶接合を形成する。
【0053】
模範的に、シリコン含有気化器60と銀含有接着剤2が設けられている。銀とシリコンが、約845℃の温度において共晶点を有し、銀含有量が約89原子%もしくは89粒子数%である状態図を備えること、これが97重量%の銀含有量にほぼ一致することが、当業者には周知である。従って、付加的な加熱ステップは、気化器60と接着剤の間に共晶接合を形成するために、接着剤2を共晶点に対応する温度に加熱しなければならない。
【0054】
図7は、電気ライン105a,105bが部分的に導電性の接着剤2によって形成されている本発明の別の実施形態のキャリア4の概略斜視図を示す。キャリア4が、電気ライン105a,105bを形成するために接着剤4を塗布することができる1つ又は複数の凹部107を備えることによって、キャリア4を事前構造化することができる。凹部107は、接着剤2を充填され、次いで、気化器60接着剤2上に載置することができる。凹部107は、気化器60の保持に寄与する。凹部107内の接着剤2は、電気ライン105a,105bの気化器60に接触する部分を構成し、電気ライン105a,105bの気化器60とは反対側のもしくは気化器60に接触しない部分と導電的に接続されている。電気ライン105a,105bの気化器60に接触しない部分は、例えば外部の部品との気化装置1を電気的に接続するための接触部及び/又はプラグを提供するために(示してない)、特にキャリア4から突出することができる。
【0055】
キャリア4の事前構造化は、他の実施形態では、接着剤2がキャリア4及び又は電気ライン105a,105bとの良好な接続を形成するように、表面処理を含むことができる。この実施形態では、凹部107は不要であり得る。
【符号の説明】
【0056】
1 気化装置
2 接着剤
4 キャリア
10 吸入器
11 ハウジング
14 エネルギー蓄積部
15 制御装置
16 ベース部分
18 液体リザーバ
19 ウイック構造
20 気化器タンクユニット
24 空気出口開口
30 空気通路
32 吸い口端
34 空気流
50 液体
60 気化器
61 入口側
62 液体通路
64 出口側
71 加熱電圧源
104 貫通開口
105a,105b 電気ライン
107 凹部
131 接触領域
133 金属層
231 空気入口開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】