(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】光音響ガスセンサデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20220608BHJP
G01N 29/02 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G01N29/24
G01N29/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560978
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2020060697
(87)【国際公開番号】W WO2020212481
(87)【国際公開日】2020-10-22
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509225328
【氏名又は名称】ゼンジリオン・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ウーリンガー、トーマス
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA01
2G047BC15
2G047CA04
2G047GD02
(57)【要約】
ガス中の成分の存在又は濃度を示す値を決定するための光音響ガスセンサデバイスを提案する。光音響ガスセンサデバイスは、基板(1)と、基板(1)の第1の側(11)に配置された測定セル本体(2)とを備える。基板(1)及び測定セル本体(2)は、測定容積(3)を囲む測定セルを規定する。測定セルは、ガスが測定容積(3)に入るためのアパーチャ(4)を備える。デバイスは、電磁放射(8)を放出するための電磁放射源(7)と、成分による電磁放射(8)の吸収に応答して、成分によって生成される音波(9)を測定するためのマイクロフォン(6)とをさらに備える。電磁放射源(7)及びマイクロフォン(6)は、基板(1)の第1の側(11)上及び前定容積(3)中に配置される。マイクロフォン(6)は、基板(1)に面する底部ポート(61)を有し、測定容積(3)は、底部ポート(61)に連通結合されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中の成分の存在又は濃度を示す値を決定するための光音響ガスセンサデバイスであって、
-基板(1)と、
-前記基板(1)の第1の側(11)に配置された測定セル本体(2)と、ここで、前記基板(1)及び前記測定セル本体(2)は、測定容積(3)を囲む測定セルを規定し、前記測定セルは、ガスが前記測定容積(3)に入るためのアパーチャ(4)を備え、
-電磁放射(8)を放出するための電磁放射源(7)と、
-前記成分による電磁放射(8)の吸収に応答して、前記成分によって生成される音波(9)を測定するためのマイクロフォン(6)とを備え、
前記電磁放射源(7)及び前記マイクロフォン(6)は、前記基板(1)の前記第1の側(11)上であって前記測定容積(3)中に配置され、
前記マイクロフォン(6)は、前記基板(1)に面する底部ポート(61)を有し、
前記測定容積(3)は、前記底部ポート(61)に連通結合されている、光音響ガスセンサデバイス。
【請求項2】
前記測定セルの寸法は、2×2×2cm
3よりも小さく、好ましくは1×1×1cm
3よりも小さい、請求項1に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項3】
前記測定セルの内面は、70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有し、
特に、前記測定セル本体(2)は、金属薄板又はプラスチックで作成される、請求項1又は2に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項4】
前記測定セル本体(2)の内面及び/又は前記基板(1)の一部が、70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有する反射コーティング(21)でコーティングされており、
特に、前記反射コーティング(21)は金属から作成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項5】
70%未満の反射率を有する前記測定セルの内面に対する70%超の反射率を有する前記測定セルの内面の比は、20超、好ましくは50超、より好ましくは100超である、請求項1から4のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項6】
前記測定容積(3)に面する前記マイクロフォン(6)の上面(64)は、反射性材料で作られているか、又は前記反射コーティング(21)でコーティングされている、請求項4に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項7】
前記測定容積(3)と前記マイクロフォン(6)の前記底部ポート(61)との間の開口部(63)は、10μmを超える、好ましくは50μmを超える、好ましくは10μmと100μmとの間である、より好ましくは50μmと100μmとの間である、前記基板(1)の前記第1の側(11)に垂直な寸法を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項8】
前記測定容積(3)と前記マイクロフォン(6)の前記底部ポート(61)との間の開口部(63)は、前記マイクロフォン(6)と前記基板(1)との間のはんだ(62)又はスペーサによって横方向に規定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項9】
-前記電磁放射源(7)を制御するように構成されたコントローラ(14)をさらに備え、
前記コントローラ(14)は、変調周波数で変調するために前記電磁放射(8)の強度を制御するように構成され、
前記変調周波数は、1Hzと100kHzとの間、好ましくは10Hzと200Hzとの間、より好ましくは20Hzと60Hzとの間であり、
特に、前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
特に、前記赤外線源のヒータ(73)、レーザ又はLEDのうちの1つは、前記変調周波数で切り替えられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項10】
前記コントローラ(14)は、前記マイクロフォン(6)から測定信号を受信し、前記測定信号に応じて、特に前記測定信号の振幅に応じて、前記成分の存在又は濃度を示す値を決定するように構成され、
特に、前記測定信号は、変調周波数のあたりで帯域通過フィルタリングされる、請求項9に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項11】
-前記アパーチャ(4)をカバーするガス透過性膜(5)をさらに備え、
前記ガス透過性膜(5)は、前記測定容積(3)と前記測定セルの周囲との間のガス交換のために透過性であり、
特に、前記ガス透過性膜(5)は、以下の材料:焼結金属、セラミック、プラスチックのうちの1つ以上で作成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項12】
前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
前記赤外線源(7)は、
-帯域外の赤外放射を除去する波長選択帯域通過フィルタ(74)によってカバーされる広帯域源、
-メタ表面共振器を備える狭帯域源、のうちの1つである、請求項1から11のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項13】
-前記基板(1)上に配置されるか又は前記基板(1)に組み込まれる、温度、湿度、圧力、ガス中の1つ以上の異なる成分、のうちの1つ以上を感知するための第2のセンサ(13)をさらに備え、
特に、前記第2のセンサ(13)は、測定セルの内部に位置付けられる、請求項1から12のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項14】
前記コントローラ(14)は、前記第2のセンサ(13)の測定値に応じて、前記成分の存在又は濃度を示す前記値を補償するように構成され、
特に、前記コントローラ(14)は、前記基板(1)上に配置されるか、又は前記基板(1)に一体化される、請求項9に従属する請求項13に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項15】
前記電磁放射源(7)及び前記マイクロフォン(6)は、表面実装によって前記基板(1)の前記第1の側(11)上に配置され、
好ましくは、全ての電子コンポーネントは、表面実装によって前記基板(1)の前記第1の側(11)上に配置される一方、前記第1の側(11)の反対側の前記基板(1)の第2の側(12)は、前記光音響ガスセンサデバイスに電気的に接続するための接点のみを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項16】
前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
赤外放射(8)の帯域は、4.3μmの波長を中心とし、
特に、前記帯域は、0.5μm未満の半値全幅を有する、CO
2センサとして使用するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年4月17日出願の欧州特許出願第19169966.9号の優先権を主張し、その開示は、参照によってその全体がここに組み込まれている。
【0002】
本発明は、ガス中の成分、特にCO2の存在又は濃度を示す値を決定するように構成された光音響ガスセンサデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光音響ガスセンサは、例えば赤外放射がガス中の関心のある成分(例えばCO2)の分子によって吸収され、それによって分子が励起状態に移行するという物理的効果に依存する。その後、例えば分子の衝突による励起状態の非放射性崩壊により熱が発生し、これは圧力の上昇につながる。吸収される赤外放射を変調周波数で変調することを通して、圧力は変調周波数で変化する。このような圧力変動は、圧力変換器によって測定することができる。成分の濃度は、圧力変動の大きさに比例する。
【0004】
従来の光音響ガスセンサは、成分の分子による赤外放射の十分な吸収に必要とされる長い光路長によりサイズが大きい。さらに、従来の光音響ガスセンサは、測定セル、赤外線源及び圧力変換器の複雑な3次元アセンブリを必要とする。
【0005】
したがって、本発明の目的は、小型で組立が簡単であり、同時にガス中の成分の存在又は濃度を示す正確な値を提供する光音響ガスセンサデバイスを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
この目的は、以下の本発明による光音響ガスセンサデバイスによって達成される。
ガス中の成分の存在又は濃度を示す値を決定するための光音響ガスセンサデバイスは、基板と、基板の第1の側に配置された測定セル本体とを備える。基板及び測定セル本体は、測定容積を囲む測定セルを規定する。測定セルは、ガスが測定セルに入るためのアパーチャを備える。一実施形態では、アパーチャは、測定容積と測定セルの周囲との間のガス交換を可能にする。本デバイスは、電磁放射を放出するための電磁放射源と、成分による電磁放射の吸収に応答して、成分によって生成される音波を測定するためのマイクロフォンとをさらに備える。電磁放射源及びマイクロフォンは、基板の第1の側上及び測定容積中に配置される。マイクロフォンは、基板に面する底部ポートを有し、測定容積は、底部ポートに連通結合されている。
【0007】
好ましい実施形態では、使用される電磁放射は赤外放射である。これは、電磁放射源が赤外放射を放出するための赤外放射源であることを意味する。赤外放射は、好ましくは700nmと1mmとの間の範囲の波長を有する放射として定義される。この実施形態では、マイクロフォンは、成分による赤外放射の吸収に応答して、成分によって生成される音波を測定するように構成される。別の実施形態では、電磁放射源は、100nmと700nmとの間の範囲内の波長の放射を放出するための源である。
【0008】
電磁放射源は、一実施形態ではヒータであってもよく、別の実施形態ではレーザであってもよく、さらなる実施形態ではLEDであってもよい。ヒータは広帯域放射源とみなすこともでき、レーザ及びLEDは狭帯域放射源とみなすことができる。
【0009】
光音響ガスセンサデバイスは、光音響効果に依存する:関心のあるガス成分、例えばCO2の分子は、電磁放射、この例では赤外放射を吸収し、例えばガス成分の分子間の衝突による、及び/又はガス成分の分子と異なる分子との衝突による非放射性崩壊に起因する熱の発生をもたらし、これは次に圧力の上昇をもたらす。変調周波数で電磁放射の強度を変調することによって、圧力の変調を達成することができる。そのような圧力変調又は圧力変動、すなわち音波は、圧力変換器、すなわちマイクロフォンによって測定することができる。次いで、成分の存在又は濃度を示す値、すなわち成分の濃度は、圧力変動に依存して、特に圧力変動の大きさに依存して決定されてもよい。なぜなら、大きさは、成分によって吸収される電磁放射の量に比例し、したがって、全ての他の要因、例えば測定容積内の平均光路長が等しいままである場合、ガス中の成分の濃度に比例すると仮定されてもよいからである。
【0010】
したがって、電磁放射源によって放出される電磁放射の大部分は、実際には成分によって吸収され、好ましくは関心のある成分によってのみ選択的に吸収され、ガスの他の成分によってもデバイスのコンポーネントによっても吸収されないことが好ましい。さらに、圧力変換器、すなわちマイクロフォンは、関心のある成分における光音響効果によって引き起こされる変調周波数における圧力変動、すなわち音波を測定するが、他の音、例えば周囲からの音は測定しないことが好ましい。これらの利点は、上述のガスセンサデバイスによって達成される。
【0011】
好ましくは、電磁源によって放出される電磁放射は、関心のあるガス成分の吸収ピークに一致する帯域でのみ放出される。帯域は、電磁スペクトルの部分範囲と考えられ、好ましくは吸収ピークの周りに対称的であり、最大/最小帯域限界は吸収ピーク値の+/-15%である。好ましくは、電磁源によって放出される電磁放射は、赤外放射を含むか、又は赤外放射である。赤外放射の帯域は、関心のあるガス成分の吸収ピークに一致するように選ばれることが有利である。一実施形態では、光音響ガスセンサデバイスはCO2センサとして使用される。そのケースでは、赤外放射の帯域は、4.3μmの波長を中心とする。好ましくは、帯域は0.5μm未満の半値全幅を有し、これは狭帯域として理解されてもよい。
【0012】
一実施形態では、基板は、例えばFR4から作成されるプリント回路基板(PCB)、又はより機械的安定性をもたらすセラミック材料である。少なくともマイクロフォン、電磁放射源、及び好ましくは測定セル本体は、基板の共通の側、すなわち第1の側に据え付けられる。好ましくは、全ての電子コンポーネントは基板の第1の側に据え付けられる。少なくともマイクロフォン、電磁放射源、及び好ましくは測定セル本体は、基板の第1の側に表面実装される。好ましくは、全ての電子コンポーネントは、光音響ガスセンサデバイスがSMD(表面実装デバイス)であるように、基板の第1の側面上に表面実装される。好ましくは、基板の第2の側、すなわち第1の側の反対側は、光音響ガスセンサデバイスをキャリアに電気的に接続するための接点のみを含む。一実施形態において、接点は、SMDアセンブリ及び/又はリフローはんだ付けのために配置されたランドグリッドアレイ(LGA)パッドを含む。これは、顧客による他のコンポーネントとのデバイスの組立を容易にする。接点の他の選択肢は、DFN、QFN、又はキャスタレイトされた穴を含んでもよい。
【0013】
一実施形態では、測定セル本体は、例えば深絞りによって金属薄板から作成される。金属薄板は、薄い厚さであっても機械的に安定であり、さらなるコーティングがなくても電磁放射に対して高い反射率を示すという利点を有する。それにもかかわらず、測定セル本体は、異なる実施形態において、例えば射出成形によってプラスチックから作成されてもよい。好ましくは、測定セル本体及び基板は、例えば接着又ははんだ付けによって気密に接続される。有利には、測定セルは音響的に密である。
【0014】
有利には、測定セルの内面は、70%を超える、好ましくは帯域内の、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有する。一実施形態では、測定セル本体の内面及び/又は基板の一部は、70%を超える、好ましくは帯域内の、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有する反射コーティングでコーティングされる。そのようなコーティングは、金属、例えば金、アルミニウム、ニッケル、銅のうちの1つから作成される。金は、PCBの形成の間に導体の表面に腐食防止として適用されるので、基板、例えばPCBをめっきするのに特に好都合である。
【0015】
一実施形態では、70%未満の反射率を有する測定セルの内面に対する70%超の反射率を有する測定セルの内面の比は、20超、好ましくは50超、より好ましくは100超である。好ましくは、測定容積に面するマイクロフォンの上面は、反射材料で作成されるか、又は反射コーティングでコーティングされる。マイクロフォンのこのようなコーティングは、底部ポートマイクロフォンの使用によって容易にされる。好ましくは、電磁放射源の一部も反射コーティングでコーティングされるか、又は反射材料から作成される。したがって、上述したような高反射面の高い比率が達成される。
【0016】
これらの手段は全て、測定容積内の電磁放射のより長い平均光路長に寄与する。このようにして、測定容積内の平均光路長は、>1cm、好ましくは>3cm、より好ましくは>5cmに増加されてもよい。これにより、測定セルを小さくすることが容易になり、特に、線形光路長を有する従来の光音響ガスセンサよりも小さくすることが容易になる。
【0017】
一実施形態では、測定セルの寸法は、2×2×2cm3より小さく、好ましくは1×1×1cm3より小さい。光音響ガスセンサデバイス全体は、例えば1×1×0.7cm3のサイズを有することができる。測定セルのサイズが小さいにもかかわらず、平均光路長は、多くの従来の光音響ガス検出器及び/又は従来のNDIRセンサにおいて同等であるか、又はさらに大きい。
【0018】
さらに、測定セルの内面の高い反射率は、固形物において、例えば測定セル本体の測定セル本体の表面上で生じる光音響効果によって生成される圧力信号のオフセットを低減する。
【0019】
本発明のさらなる利点は以下の通りである:本デバイスは、従来のガスセンサよりも機械的不安定性を受けにくく、非常に安定して構築することができる。関心のある成分の濃度の値は、光音響効果の基礎となる測定原理によりオフセットフリーであり、したがって、正確な測定のために1つのデバイスのみが必要とされる。
【0020】
一実施形態では、ガス透過性膜がアパーチャをカバーする。膜は、測定容積と測定セルの周囲との間のガス交換のために透過性である。ガス透過性膜は、特に、以下の材料:焼結金属、セラミック、ポリマーのうちの1つ以上で作成されてもよい。膜は、有利には、測定容積と測定セルの周囲との間の分離要素としても作用する。したがって、それは、好ましくは、周囲からの圧力変動、例えば音波が測定容積内に伝播するときに減衰され、測定容積内の圧力変動が内部に大部分保たれるように、膜を通るガス分子の移動を減衰させる。
【0021】
異なる実施形態では、電磁放射源は、以下のうちの1つである:帯域外の電磁放射を除去する波長選択帯域通過フィルタによってカバーされる広帯域源、又は例えばLEDを含むメタ表面共振器を備える狭帯域源。広帯域源は、赤外線スペクトル全体にわたって、又は例えば0.8μmと10μmとの間などの広いスペクトルの放射を放出するものとして定義される。そのような広帯域源は、ヒータを有する従来の赤外線エミッタであってもよい。広帯域源は、好ましくは、帯域通過フィルタ、例えば誘電体フィルタ、メタマテリアルフィルタ、又はCMOS吸収層によってカバーされ、その結果、帯域の赤外放射みが測定容積内に放出される。
【0022】
異なる実施形態では、マイクロフォンは、上述したような一般的な圧力変換器であってもよく、又は特に変調周波数付近の特定の範囲の周波数のみに敏感なマイクロフォンであってもよい。マイクロフォンは、従来、基板中の穴に面する配置で適用される、底部ポートマイクロフォンである。しかしながら、本発明によれば、底部ポートマイクロフォンは基板に直接面しており、基板中のいかなる穴にも面していない。一方では、これは、測定容積とマイクロフォンの底部ポートとが連通結合されるように、マイクロフォンと基板との間に開口部、例えば側方開口部を必要とする。これは、測定容積中の圧力変化がマイクロフォンの底部ポート中で検出可能であり、したがってマイクロフォンによって検出できることを含むことが好ましい。開口部については後述する。一方、底部ポートマイクロフォンの使用は、マイクロフォンの上面のコーティング又は例えば金属製のマイクロフォンの反射パッケージの使用を容易にし、上述のように測定容積内の平均光路長を増加させるために、より良好な反射カバレッジに寄与する。
【0023】
一実施形態では、デバイスは、電磁放射源を制御するように構成されたコントローラ、例えばASICをさらに備える。コントローラは、基板上に配置されるか、又は基板中に統合されてもよい。コントローラは、変調周波数で変調するために電磁放射の強度を制御するように構成される。変調周波数は、1Hzと100kHzとの間、好ましくは10Hzと200Hzとの間、より好ましくは20Hzと60Hzとの間、例えば40Hzであり、特に電磁放射源のヒータは、適用可能な場合、変調周波数で切り替えられる。
【0024】
<100Hzの低い変調周波数は、大きな光音響信号を生成するのに有利である。また、底部ポートマイクロフォンは、上部ポートマイクロフォンよりも低い周波数に対してより良好な応答を示すことが知られている。なぜなら、底部ポートマイクロフォンは、より大きな背面容積を有し、マイクロフォンの膜の減衰がより少ないことを意味するからである。さらに、底部ポートマイクロフォンは一般に、良好な信号対雑音比を有する。
【0025】
好ましくは、コントローラは、マイクロフォンから測定信号を受信し、好ましくは線形化及び/又は補償などの信号処理を含む、測定信号に依存する成分の存在又は濃度を示す値を決定するようにさらに構成される。特に、この値は、測定信号の振幅、例えば音波のケースのラウドネスに依存して決定される。測定信号は、変調周波数付近で帯域通過フィルタリングされることが好ましい。これは、他の周波数を有する音波が考慮されないので、決定のロバスト性を高める。
【0026】
一実施形態では、測定容積とマイクロフォンの底部ポートとの間の開口部は、10μmを超える、好ましくは50μmを超える、好ましくは10μmと100μmとの間の、好ましくは50μmと100μmとの間の基板の第1の側に垂直な寸法を有する。好ましくは、測定容積とマイクロフォンの底部ポートとの間のそのような開口部は、マイクロフォンと基板との間のはんだ又はスペーサによって横方向に規定される。したがって、開口部は、例えば、半円の形態ではんだ付けすることによって、基板上にマイクロフォンを据え付けることから生じてもよく、一方、別の方法で完成したマイクロフォンポートはんだ付けリングの側面ははんだ付けされないままであり、これは次いで、開口部を規定する。はんだ付けされていない側は、マイクロフォンの底部側及び基板の第1の側にはんだストップワニス及び金属接点の適切な構造を適用することによって達成されてもよい。このようにして、開口部は、1×2mm2程度の典型的な横方向寸法と、上記で必要とされる垂直方向寸法、すなわち高さとを有する。異なる実施形態では、開口部はまた、マイクロフォンのケーシング中の側方開口部であってもよい。
【0027】
このような側方開口部はいくつかの利点を有する。第1に、それは、電磁放射源からの電磁放射がそのロケーションに起因して開口部に直接入ることを防止することができ、その結果、マイクロフォンの材料における光音響効果、したがって音の発生が低減される。第二に、そのような開口部は、音響ローパスフィルタとして作用することができる。測定信号を劣化させる可能性がある高い周波数は減衰されることが好ましく、一方、例えば10Hzと200Hzとの間の変調周波数の範囲中の低い周波数は減衰されない。第三に、上述したように、測定容積に面するマイクロフォンの上面、好ましくは他の面は、反射コーティングでコーティングされてもよく、又は有益に使用することができる何らかの方法で存在する反射材料を含んでもよい。
【0028】
一実施形態では、デバイスは、温度及び/又は湿度及び/又は圧力及び/又はガス中の異なる成分のうちの1つ以上を感知するための第2のセンサをさらに備える。したがって、第2のセンサは、圧力センサ、気圧センサ、別のマイクロフォン、例えば金属酸化物タイプ又は電気化学タイプの別のガスセンサのうちの1つ以上として具現化することができる。第2のセンサは、基板上に配置されてもよいし、基板に一体化されてもよい。好ましくは、第2のセンサは測定セルの内部に位置付けられている。第2のセンサの存在下で、コントローラは、第2のセンサの測定値に応じて成分の存在又は濃度を示す値を補償するように構成されることが好ましい。したがって、成分の測定に対する周囲条件の影響を低減又は排除することができる。そのような補償は、結果として得られる濃度値をより正確かつ信頼できるものにし、言い換えれば、ガスセンサデバイスは、様々な環境条件において適用されてもよい。
【0029】
光検出器の他の有利な実施形態は、以下の説明と同様に、従属請求項に列挙される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の実施形態、態様及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
詳細な説明は、添付の図面を参照する。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による光音響ガスセンサ光音響ガスセンサデバイスの上面及び下面からの斜視図a)及びb)、ならびに開切断図c)である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による光音響ガスセンサデバイスの概略切断図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による光音響ガスセンサデバイスの概略切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
同じ要素は、全ての図面にわたって同じ参照番号によって参照される。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による光音響ガスセンサデバイスの上下からの斜視図を示す。このデバイスは、基板1、例えばプリント回路基板(PCB)と、測定セル本体2とを備え、これらは共に測定容積3を囲む測定セルを形成する。測定セルは、測定容積3とデバイスの周囲との間のガス交換を可能にするアパーチャ4を有する。
図1において、アパーチャ4は測定セル本体2中に配置されている。アパーチャ4は、好ましくは、ガス交換を可能にするためにガス透過性である膜5によってカバーされ、その結果、ガス中の関心のある成分の濃度は、周囲と同様である。
【0033】
基板1は、第1の側11及び第2の側12を有する。第1の側11には、測定セル本体2が配置されており、また以下に説明するさらなるパーツも配置されている。第2の面12上には、顧客によるSMD組立及びリフローはんだ付けのためにランドグリッドアレイ(LGA)パッド16が配置されている。DFN、QFN又はキャスタレイトされた穴のような他の接点も可能である。
【0034】
基板1の第1の側11上に配置されたさらなるパーツは、マイクロフォン6と、この例では赤外線源7である電磁放射源とを備え、これらは両方とも測定セルの内部に位置付けられている。マイクロフォン6は、MEMSマイクロフォン又は任意の圧力変換器であってもよい。圧力変換器の感度は、必ずしも音響周波数帯域に限定されないが、100kHzまでの周波数を測定するように構成されることができる。赤外線源7は、光学帯域通過フィルタを有する赤外線エミッタであってもよい。マイクロフォン6及び赤外線源7のさらなる詳細及び代替例については、
図2及び
図3に関連して後述する。
【0035】
さらなるコンポーネントはまた、基板1の第1の側11上に配置された第2のセンサ13を備えてもよい。
図1では、第2のセンサ13は測定セルの外側に位置付けられているが、異なる実施形態では、しかしながら、測定セルの内側に位置付けられてもよい。そのような第2のセンサ13は、有利には、温度センサ、湿度センサ、統合された温度/湿度センサ、圧力センサ、特に気圧センサ、別のマイクロフォン、例えば金属酸化物タイプ又は電気化学タイプの別のガスセンサのうちの1つ以上である。温度及び/又は湿度の測定値を通じて、ガス濃度値は、例えば温度及び/又は湿度の影響について補償されてもよい。第2のセンサの存在下で、コントローラ14は、好ましくは、第2のセンサによって測定された変数の影響について、したがって第2のセンサの測定値に依存して、成分の存在又は濃度を示す値を補償するように構成される。したがって、成分の測定に対する周囲条件の影響を低減又は排除することができる。
【0036】
コントローラ14は、例えばASICであってもよい。コントローラ14は、測定セルの外側に位置付けられることが好ましい。コントローラ14は、例えば変調周波数で赤外放射に強度変調を課すことによって、赤外線源7を制御するように構成される。変調周波数は、可聴スペクトル内、例えば20Hzと20kHzとの間であってもよく、又は100kHzまでであってもよく、又は5Hzまで低くてもよい。コントローラ14は、例えば、測定値をガス成分の濃度値にリンクする予め定義された又はリセット可能な較正機能を使用することによって、マイクロフォン6から測定値を受信すると共にこれらの測定値からガス成分濃度の値を決定するようにさらに構成される。ガス成分濃度の値は、デジタルインターフェース、例えばI2Cインターフェースを介して出力することができる。ガス成分濃度の値を決定するとき、コントローラ14はまた、利用可能な場合、第2のセンサ13の測定値、例えば温度及び/又は湿度値を考慮に入れ、上述のように補償を実行してもよい。関連するガス成分としてのCO2については、0と10'000ppmとの間、又は0と40'000ppmとの間、又は0と60'000ppmとの間の範囲の測定値のCO2が可能である。
【0037】
基板1の第1の側11上に、好ましくは測定セルの外側に配置されるさらなるコンポーネントは、必要に応じて、受動コンポーネント又は補助電子機器15、例えばコンデンサ及び抵抗器であってもよい。
【0038】
例えば、
図1に示されるような、提案される光音響ガスセンサデバイスは、例えば、1×1×0.7cm
3の全体サイズを有するように、小さい形状ファクターで構築されてもよい。したがって、それは著しく小さくなり、従来の光音響又はNDIRベースのガスセンサよりも製造が安価である。
【0039】
図2及び
図3は、本発明の実施形態による光音響ガスセンサデバイスの概略切断図を示す。
図2は、測定セルのみの詳細図を与える一方で、
図3は、上述したような測定セルの外側のコンポーネントを含むデバイス全体を示す。
【0040】
赤外線源7は、例えば、光学帯域通過フィルタでカバーされる赤外線スペクトル全体にわたって放射を放出する広帯域赤外線エミッタであってもよい。光学帯域通過フィルタは、関心のあるガス成分に応じて設定された帯域の放射のみを通過させる。CO2の検出のために、帯域は、例えば4.3μmを中心とし、測定値が実際にCO2に対して選択的であるように、0.5μm以下、例えば0.2μm又は0.1μmの典型的な帯域幅を有する。
【0041】
赤外線源7は、帯域の赤外放射8を放出し、赤外放射8の強度は上述のように変調される。赤外放射8は、関心のあるガス成分の分子によって選択的に吸収される。吸収される放射8の比は、測定容積3内の赤外放射8の平均光路長を増大させることによって増大させることができる。これは、以下の選択肢のうちの1つ以上によって達成される。測定セル本体2の材料は、金属薄板などの反射性であるように選ばれる。代替的又は追加的に、測定セルの内面は反射コーティング21でコーティングされる。そのような反射コーティングは、金、アルミニウム、ニッケル、銅などの金属から作成することができる。反射コーティング21は、測定セル本体2の内面に配置されるだけでなく、以下のうちの1つ以上:基板1の第1の側11の一部、マイクロフォン6の上面64(
図2参照)のようなマイクロフォン6の一部、赤外線源7の一部、に配置されてもよい。このようにして、測定セル内の全体的な反射率が増加し、これは、成分の濃度のより正確な測定正確な測定につながる。平均光路長の増加は、特に従来の光音響ガスセンサにおける線形光路とは対照的に、
図2及び
図3において赤外放射8の多重反射によって示される。
【0042】
図2及び
図3のマイクロフォン6は、底部ポートマイクロフォンであり、その底部ポート61が基板1に面するように配置され、はんだ接合部62を介して据え付けられる。
図2は、音響開口部63及び底部ポート61を介してマイクロフォン6に入る圧力変動、すなわち音9をさらに示す。音響開口部63は、基板1とマイクロフォン6との間に位置付けられ、開口部の高さは、はんだ接合部62の厚さによって規定され、例えば10μmから100μmの範囲である。音9は後に開口部63を介してマイクロフォン6に入るので、マイクロフォン6の上面64は、上述したように反射コーティングでコーティングされてもよい。また、開口部63は、音9に対するローパスフィルタとして作用し、デバイスの周囲から生じる音のような、ガス成分の濃度の測定を劣化させる可能性がある高周波音を除去する。さらに、底部ポートマイクロフォンは、マイクロフォンの膜の背後の大きな背面容積65により、一般に、低周波数音に好ましい周波数応答を有する。
【0043】
本発明の実施形態が上記に示され、説明されているが、本発明は、それに限定されないが、別の方法で、以下の特許請求の範囲の範囲内で様々に具現化され、実施されてもよいことを理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中の成分の存在又は濃度を示す値を決定するための光音響ガスセンサデバイスであって、
-基板(1)と、
-前記基板(1)の第1の側(11)に配置された測定セル本体(2)と、ここで、前記基板(1)及び前記測定セル本体(2)は、測定容積(3)を囲む測定セルを規定し、前記測定セルは、ガスが前記測定容積(3)に入るためのアパーチャ(4)を備え、
-電磁放射(8)を放出するための電磁放射源(7)と、
-前記成分による電磁放射(8)の吸収に応答して、前記成分によって生成される音波(9)を測定するためのマイクロフォン(6)とを備え、
前記電磁放射源(7)及び前記マイクロフォン(6)は、前記基板(1)の前記第1の側(11)上であって前記測定容積(3)中に配置され、
前記マイクロフォン(6)は、前記基板(1)に面する底部ポート(61)を有し、
前記測定容積(3)は、前記底部ポート(61)に連通結合されている、光音響ガスセンサデバイス。
【請求項2】
前記測定セルの寸法は、2×2×2cm
3よりも小さく、好ましくは1×1×1cm
3よりも小さい、請求項1に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項3】
前記測定セルの内面は、70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有する、請求項1又は2に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項4】
前記測定セル本体(2)の内面及び/又は前記基板(1)の一部が、70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有する反射コーティング(21)でコーティングされて
いる、請求項1から3のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項5】
前記反射コーティング(21)は金属から作成されている、請求項4に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項6】
70%未満の反射率を有する前記測定セルの内面に対する70%超の反射率を有する前記測定セルの内面の比は、20超、好ましくは50超、より好ましくは100超である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項7】
前記測定容積(3)に面する前記マイクロフォン(6)の上面(64)は、反射性材料で作られているか、又は前記反射コーティング(21)でコーティングされている、請求項4に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項8】
前記測定容積(3)と前記マイクロフォン(6)の前記底部ポート(61)との間の開口部(63)は、10μmを超える、好ましくは50μmを超える、好ましくは10μmと100μmとの間である、より好ましくは50μmと100μmとの間である、前記基板(1)の前記第1の側(11)に垂直な寸法を有する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項9】
前記測定容積(3)と前記マイクロフォン(6)の前記底部ポート(61)との間の開口部(63)は、前記マイクロフォン(6)と前記基板(1)との間のはんだ(62)又はスペーサによって横方向に規定される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項10】
-前記電磁放射源(7)を制御するように構成されたコントローラ(14)をさらに備え、
前記コントローラ(14)は、変調周波数で変調するために前記電磁放射(8)の強度を制御するように構成され、
前記変調周波数は、1Hzと100kHzとの間、好ましくは10Hzと200Hzとの間、より好ましくは20Hzと60Hzとの間で
ある、請求項1から
9のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項11】
前記コントローラ(14)は、前記マイクロフォン(6)から測定信号を受信し、前記測定信号に応じて
、前記成分の存在又は濃度を示す値を決定するように構成さ
れる、請求項
10に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項12】
前記コントローラ(14)は、前記測定信号の振幅に応じて、前記成分の存在又は濃度を示す値を決定するように構成される、請求項11に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項13】
-前記アパーチャ(4)をカバーするガス透過性膜(5)をさらに備え、
前記ガス透過性膜(5)は、前記測定容積(3)と前記測定セルの周囲との間のガス交換のために透過性であり、
前記ガス透過性膜(5)は、以下の材料:焼結金属、セラミック、プラスチックのうちの1つ以上で作成される、請求項1から1
2のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項14】
前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
前記赤外線源(7)は、
-帯域外の赤外放射を除去する波長選択帯域通過フィルタ(74)によってカバーされる広帯域源、
-メタ表面共振器を備える狭帯域源、
のうちの1つであ
り、
前記赤外線源のヒータ(73)は前記変調周波数で切り替えられる、請求項
10に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項15】
-前記基板(1)上に配置されるか又は前記基板(1)に組み込まれ
、前記測定セルの内部に位置付けられる、温度、湿度、圧力、ガス中の1つ以上の異なる成分、のうちの1つ以上を感知するための第2のセンサ(13)をさらに備える、請求項1から1
4のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項16】
前記基板(1)上に配置されるか又は前記基板(1)に組み込まれる、温度、湿度、圧力、ガス中の1つ以上の異なる成分、のうちの1つ以上を感知するための第2のセンサ(13)をさらに備え、
前記コントローラ(14)は、前記第2のセンサ(13)の測定値に応じて、前記成分の存在又は濃度を示す前記値を補償するように構成される、
請求項10に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項17】
前記電磁放射源(7)及び前記マイクロフォン(6)は、表面実装によって前記基板(1)の前記第1の側(11)上に配置さ
れる、請求項1から1
6のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項18】
全ての電子コンポーネントは、表面実装によって前記基板(1)の前記第1の側(11)上に配置される一方、前記第1の側(11)の反対側の前記基板(1)の第2の側(12)は、前記光音響ガスセンサデバイスに電気的に接続するための接点のみを含む、請求項17に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項19】
前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
赤外放射(8)の帯域は、4.3μmの波長を中心とす
る、CO
2センサとして使用するための、請求項1から1
8のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【請求項20】
前記帯域は、0.5μm未満の半値全幅を有する、請求項19に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
本発明の実施形態が上記に示され、説明されているが、本発明は、それに限定されないが、別の方法で、以下の特許請求の範囲の範囲内で様々に具現化され、実施されてもよいことを理解すべきである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] ガス中の成分の存在又は濃度を示す値を決定するための光音響ガスセンサデバイスであって、
-基板(1)と、
-前記基板(1)の第1の側(11)に配置された測定セル本体(2)と、ここで、前記基板(1)及び前記測定セル本体(2)は、測定容積(3)を囲む測定セルを規定し、前記測定セルは、ガスが前記測定容積(3)に入るためのアパーチャ(4)を備え、
-電磁放射(8)を放出するための電磁放射源(7)と、
-前記成分による電磁放射(8)の吸収に応答して、前記成分によって生成される音波(9)を測定するためのマイクロフォン(6)とを備え、
前記電磁放射源(7)及び前記マイクロフォン(6)は、前記基板(1)の前記第1の側(11)上であって前記測定容積(3)中に配置され、
前記マイクロフォン(6)は、前記基板(1)に面する底部ポート(61)を有し、
前記測定容積(3)は、前記底部ポート(61)に連通結合されている、光音響ガスセンサデバイス。
[2] 前記測定セルの寸法は、2×2×2cm
3
よりも小さく、好ましくは1×1×1cm
3
よりも小さい、[1]に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[3] 前記測定セルの内面は、70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有し、
特に、前記測定セル本体(2)は、金属薄板又はプラスチックで作成される、[1]又は[2]に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[4] 前記測定セル本体(2)の内面及び/又は前記基板(1)の一部が、70%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える反射率を有する反射コーティング(21)でコーティングされており、
特に、前記反射コーティング(21)は金属から作成されている、[1]から[3]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[5] 70%未満の反射率を有する前記測定セルの内面に対する70%超の反射率を有する前記測定セルの内面の比は、20超、好ましくは50超、より好ましくは100超である、[1]から[4]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[6] 前記測定容積(3)に面する前記マイクロフォン(6)の上面(64)は、反射性材料で作られているか、又は前記反射コーティング(21)でコーティングされている、[4]に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[7] 前記測定容積(3)と前記マイクロフォン(6)の前記底部ポート(61)との間の開口部(63)は、10μmを超える、好ましくは50μmを超える、好ましくは10μmと100μmとの間である、より好ましくは50μmと100μmとの間である、前記基板(1)の前記第1の側(11)に垂直な寸法を有する、[1]から[6]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[8] 前記測定容積(3)と前記マイクロフォン(6)の前記底部ポート(61)との間の開口部(63)は、前記マイクロフォン(6)と前記基板(1)との間のはんだ(62)又はスペーサによって横方向に規定される、[1]から[7]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[9] -前記電磁放射源(7)を制御するように構成されたコントローラ(14)をさらに備え、
前記コントローラ(14)は、変調周波数で変調するために前記電磁放射(8)の強度を制御するように構成され、
前記変調周波数は、1Hzと100kHzとの間、好ましくは10Hzと200Hzとの間、より好ましくは20Hzと60Hzとの間であり、
特に、前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
特に、前記赤外線源のヒータ(73)、レーザ又はLEDのうちの1つは、前記変調周波数で切り替えられる、[1]から[8]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[10] 前記コントローラ(14)は、前記マイクロフォン(6)から測定信号を受信し、前記測定信号に応じて、特に前記測定信号の振幅に応じて、前記成分の存在又は濃度を示す値を決定するように構成され、
特に、前記測定信号は、変調周波数のあたりで帯域通過フィルタリングされる、[9]に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[11] -前記アパーチャ(4)をカバーするガス透過性膜(5)をさらに備え、
前記ガス透過性膜(5)は、前記測定容積(3)と前記測定セルの周囲との間のガス交換のために透過性であり、
特に、前記ガス透過性膜(5)は、以下の材料:焼結金属、セラミック、プラスチックのうちの1つ以上で作成される、[1]から[10]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[12] 前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
前記赤外線源(7)は、
-帯域外の赤外放射を除去する波長選択帯域通過フィルタ(74)によってカバーされる広帯域源、
-メタ表面共振器を備える狭帯域源、のうちの1つである、[1]から[11]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[13] -前記基板(1)上に配置されるか又は前記基板(1)に組み込まれる、温度、湿度、圧力、ガス中の1つ以上の異なる成分、のうちの1つ以上を感知するための第2のセンサ(13)をさらに備え、
特に、前記第2のセンサ(13)は、測定セルの内部に位置付けられる、[1]から[12]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[14] 前記コントローラ(14)は、前記第2のセンサ(13)の測定値に応じて、前記成分の存在又は濃度を示す前記値を補償するように構成され、
特に、前記コントローラ(14)は、前記基板(1)上に配置されるか、又は前記基板(1)に一体化される、[9]に従属する[13]に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[15] 前記電磁放射源(7)及び前記マイクロフォン(6)は、表面実装によって前記基板(1)の前記第1の側(11)上に配置され、
好ましくは、全ての電子コンポーネントは、表面実装によって前記基板(1)の前記第1の側(11)上に配置される一方、前記第1の側(11)の反対側の前記基板(1)の第2の側(12)は、前記光音響ガスセンサデバイスに電気的に接続するための接点のみを含む、[1]から[14]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
[16] 前記電磁放射源(7)は赤外線源であり、
赤外放射(8)の帯域は、4.3μmの波長を中心とし、
特に、前記帯域は、0.5μm未満の半値全幅を有する、CO
2
センサとして使用するための、[1]から[15]のいずれか一項に記載の光音響ガスセンサデバイス。
【国際調査報告】