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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(54)【発明の名称】指紋検出機能付き電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220608BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/041 510
G06T1/00 400G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560996
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 CN2020078688
(87)【国際公開番号】W WO2020233202
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/851,590
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314011851
【氏名又は名称】神盾股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】EGIS TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】王 仲益
(72)【発明者】
【氏名】林 郁軒
【テーマコード(参考)】
5B047
【Fターム(参考)】
5B047AA25
5B047BA03
5B047BB01
5B047BB10
5B047BC01
5B047BC11
(57)【要約】
【目的】タッチ検出の効果を向上させ、且つタッチ素子の配置に必要なレイアウト面積を削減することのできる指紋検出機能付き電子機器を提供する。
【解決手段】指紋検出機能付き電子機器は、指紋検出アレイと、複数の指紋検出信号読み出し線と、複数のタッチ駆動線と、タッチ駆動回路と、読み出し回路とを含む。指紋検出アレイは、行列に並べられた複数の指紋検出ユニットを含む。複数の指紋検出信号読み出し線は、それぞれ指紋検出アレイの一列の指紋検出ユニットに接続される。複数のタッチ駆動線は、それぞれ複数の指紋検出信号読み出し線と交差して配置される。タッチ駆動回路は、複数のタッチ駆動線に接続され、複数のタッチ駆動信号を複数のタッチ駆動線に提供する。読み出し回路は、複数の指紋検出信号読み出し線に接続される。複数のタッチ駆動線が複数のタッチ駆動信号を出力することに反応して、読み出し回路は、複数の指紋検出信号読み出し線が出力した複数の読み出し信号に基づいて、タッチオブジェクトのタッチ位置を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列に並べられた複数の指紋検出ユニットを含む指紋検出アレイと、
それぞれ前記指紋検出アレイにおける一部の前記指紋検出ユニットに接続され、それぞれが、前記指紋検出アレイの一列の前記指紋検出ユニットに接続された複数の指紋検出信号読み出し線と、
それぞれ前記複数の指紋検出信号読み出し線と交差して配置された複数のタッチ駆動線と、
前記複数のタッチ駆動線に接続され、複数のタッチ駆動信号を前記複数のタッチ駆動線に提供するタッチ駆動回路と、
前記複数の指紋検出信号読み出し線に接続された読み出し回路と、
を含み、前記複数のタッチ駆動線が前記複数のタッチ駆動信号を出力することに反応して、前記読み出し回路が、前記複数の指紋検出信号読み出し線が出力した複数の読み出し信号に基づいて、タッチオブジェクトのタッチ位置を決定する電子機器。
【請求項2】
前記タッチ駆動回路が、時分割して順番に前記複数のタッチ駆動信号を前記複数のタッチ駆動線に提供し、且つ前記複数のタッチ駆動信号の波形が互いに同じである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記タッチ駆動回路が、同時に前記複数のタッチ駆動信号を前記複数のタッチ駆動線に提供し、且つ前記複数のタッチ駆動信号の波形が互いに異なる請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記複数のタッチ駆動信号の波形が、互いに直交した請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
各前記複数の指紋検出ユニットが、フォトダイオードまたは指紋検出電極を含む請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記フォトダイオードが、トランジスタの制御端に接続され、前記トランジスタの第1端が、前記複数の指紋検出信号読み出し線のうちの1つに接続された請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数のタッチ駆動線が、前記複数の指紋検出信号読み出し線の上方または下方に交差して配置され、且つ前記複数のタッチ駆動線と前記複数の指紋検出信号読み出し線の間に絶縁層が配置された請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記指紋検出アレイが指紋検出動作の実行をディセーブルにしている間、前記読み出し回路は、前記タッチオブジェクトの前記タッチ位置を判断する請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記複数のタッチ駆動線が、互いに隣接する第1タッチ駆動線と第2タッチ駆動線を含み、前記第1タッチ駆動線と前記第2タッチ駆動線が、少なくとも一行の指紋検出ユニットだけ離れている請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋検出技術に関するものであり、特に、指紋検出機能付き電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチ技術および表示技術の発展に伴い、タッチ表示装置は、ますます使用者に好まれるようになった。使用者は、指やタッチペンで直接操作することができ、直感的な操作で、非常に使いやすい。現在、タッチ表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、または携帯用ノート型パソコン等の様々な電子製品に幅広く応用されている。一方、指紋認証技術も徐々に様々な電子機器や製品に幅広く応用されるようになり、現在、静電容量式、光学式、超音波式等を少なくとも含む様々な指紋認証技術が次々に研究開発され、進歩し続けている。
【0003】
しかしながら、携帯型電子機器のタッチスクリーンが大きくなるにつれ、非表示エリアの下方にある指紋検出素子の空間も徐々に制限されるようになった。このような状況において、使用者により使いやすい使用体験を提供するため、指紋検出素子をタッチスクリーンの下方に設置する方法、即ちアンダーディスプレイ(under display)指紋認証方法が次第に重視されている。電子機器がアンダーディスプレイ指紋認証機能を有する場合、使用者は、タッチ表示エリアにおいてタッチ操作と指紋認証操作を同時に行うことができる。そのため、表示効果に影響を与えない状況で、いかにしてタッチ機能と指紋認証機能に必要な素子を統合し、さらに優れたタッチ効果と指紋認証効果を実現するかが、本分野の技術者の関心が高い課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、タッチ検出の効果を向上させ、且つタッチ素子の配置に必要なレイアウト面積を削減することができる指紋検出機能付き電子機器に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、指紋検出アレイと、複数の指紋検出信号読み出し線と、複数のタッチ駆動線と、タッチ駆動回路と、読み出し回路とを含む電子機器を提供する。指紋検出アレイは、行列に並べられた複数の指紋検出ユニットを含む。複数の指紋検出信号読み出し線は、それぞれ指紋検出アレイの一列の指紋検出ユニットに接続される。複数のタッチ駆動線は、それぞれ複数の指紋検出信号読み出し線と交差して配置される。タッチ駆動回路は、複数のタッチ駆動線に接続され、複数のタッチ駆動信号を複数のタッチ駆動線に提供する。読み出し回路は、複数の指紋検出信号読み出し線に接続される。複数のタッチ駆動線が複数のタッチ駆動信号を出力することに反応して、読み出し回路は、複数の指紋検出信号読み出し線が出力した複数の読み出し信号に基づいて、タッチオブジェクトのタッチ位置を決定する。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明の実施形態において、複数のタッチ駆動線は、それぞれ複数の指紋検出信号読み出し線と交差して配置されるため、タッチ駆動線と指紋検出信号読み出し線の間の静電容量の変化を検出することにより、タッチイベントを検出することができる。これにより、本発明の実施形態は、タッチ素子に必要な配置面積を大幅に削減することができる。また、異なるタッチ駆動信号をタッチ駆動線に同時に提供することにより、本発明の実施形態は、タッチ検出の効果を明らかに向上させることができる。
【0007】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0009】
図1図1は、本発明の1つの実施形態に係る電子機器の概略図である。
図2A図2Aは、本発明の1つの実施形態に係る電子機器の側面概略図である。
図2B図2Bは、本発明の1つの実施形態に係る電子機器の側面概略図である。
図3図3は、本発明の1つの実施形態に係る時分割してタッチ駆動信号を提供した時の概略図である。
図4図4は、本発明の1つの実施形態に係る同時にタッチ駆動信号を提供した時の概略図である。
図5図5は、本発明の1つの実施形態に係る電子機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本発明の例示的実施形態を詳細に参照し、例示的実施形態の実例を図面に示す。可能な限り、同じ素子符号は、図面および記述において、同じ、または類似する部分を示すことに用いる。
【0011】
層、膜、領域、または基板のような素子が別の素子の「上にある」または別の素子に「接続される」と表現されている場合、該素子は、直接別の素子の上にあっても、または別の素子と接続してもよく、あるいは中間素子が存在してもよいことを理解すべきである。反対に、素子が「直接別の素子の上にある」または別の素子に「直接接続される」と表現されている場合、中間素子は存在しない。本文において使用されているように、「接続される」は、物理および/または電気接続を指すことができる。また、「電気接続される」または「結合される」は、2つの素子間にその他の素子が存在してもよい。
【0012】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る電子機器の概略図である。図1を参照すると、指紋検出機能付き電子機器10は、スマートフォン(smart phone)、パネル(panel)、ゲーム機、またはその他のアンダーディスプレイ指紋認証機能を有する電子製品として実施することができるが、本発明はこれに限定されない。本発明の実施形態において、タッチパネルの表示領域は、タッチ領域であり、使用者は、指やその他のタッチオブジェクトで電子機器10の表示領域を触ることによりタッチ操作を行うことができる。また、使用者は、指で電子機器10の表示領域を触ることにより指紋認証操作も行うことができる。
【0013】
電子機器10は、指紋検出アレイ110と、複数の指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nと、複数のタッチ駆動線130_1~130_Mと、タッチ駆動回路140と、読み出し回路150とを含むことができる。また、電子機器10は、さらに、表示パネル(図示せず)を含んでもよく、この表示パネルは、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode, OLED)表示パネル、アクティブマトリクス式有機発光ダイオード(Active Matrix Organic Light Emitting Diode, AMOLED)表示パネル、または液晶表示(Liquid Crystal Display, LCD)表示パネルとして実施することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0014】
指紋検出アレイ110は、行列に並べられた複数の指紋検出ユニット110(1,1)、…、110(M,1)、…、110(1,N)、…、110(M,N)を含む。MおよびNは、設計の要求に応じて決定される任意の整数であってもよい。本発明の実施形態において、電子機器10は、光学式指紋認証技術または静電容量式指紋認証技術を使用することができ、対応して、各指紋検出ユニット110(1,1)~110(M,N)は、フォトダイオードまたは指紋検出電極を含むことができる。例を挙げて説明すると、各指紋検出ユニット110(1,1)~110(M,N)は、光電変換を行うために使用されるフォトダイオードを含み、指から反射した指紋光線に基づいて、指紋検出を行うことができる。つまり、発光表示パネルまたは別の照明素子から指を照明することにより、指紋検出アレイ110は、指から反射し、且つ指紋情報を有する反射光を検出して、指紋画像を生成することができる。あるいは、各指紋検出ユニット110(1,1)~110(M,N)は、指紋検出電極を含み、指紋検出電極の静電容量の変化に基づいて、指紋検出を行ってもよい。つまり、指紋検出電極に対して充放電操作を行うことにより、指紋検出アレイ110は、指紋の凹部と凸部から生じた静電容量の変化を検出して、指紋画像を生成することができる。
【0015】
図1を参照すると、複数の指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nは、それぞれ指紋検出アレイ110の一列(column)の指紋検出ユニットに接続される。例を挙げて説明すると、指紋検出信号読み出し線120_1は、1列目の指紋検出ユニット110(1,1)、110(2,1)、…、110(M,1)に電気接続され、指紋検出信号読み出し線120_2は、2列目の指紋検出ユニット110(1,2)、110(2,2)、…、110(M,2)に電気接続され、以下同様に電気接続される。さらに、読み出し回路150は、複数の指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nに接続され、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nが出力した読み出し信号を受信する。一方、複数のタッチ駆動線130_1~130_Mは、それぞれ複数の指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nと交差して配置される。図1に示すように、タッチ駆動線130_1は、それぞれ指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nと交差して配置され、タッチ駆動線130_2も、それぞれ指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nと交差して配置され、以下同様に配置される。
【0016】
本発明の実施形態において、電子機器10が指紋検出モードで操作された時、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nは、指紋情報に反応することのできる読み出し信号を出力する。電子機器10がタッチ検出モードで操作された時、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nは、タッチ情報に反応することのできる読み出し信号を出力する。これに基づいて、指紋検出アレイ110が指紋検出動作の実行をディセーブルにしている間、読み出し回路150は、タッチオブジェクトのタッチ位置を判断することができる。
【0017】
詳しく説明すると、タッチ駆動回路140は、複数のタッチ駆動線130_1~130_Mに接続される。電子機器10がタッチ検出モードで操作された時、タッチ駆動回路140は、複数のタッチ駆動信号を複数のタッチ駆動線130_1~130_Mに提供することができる。タッチ駆動信号は、正弦波、ノコギリ波、三角波、矩形波、または任意のその他の周期性関数であってもよい。複数のタッチ駆動線130_1~130_Mが複数のタッチ駆動信号を順番に、または同時に出力することに反応して、読み出し回路150は、複数の指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nが出力した複数の読み出し信号に基づいて、タッチオブジェクトのタッチ位置を決定することができる。
【0018】
本発明の実施形態において、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nとタッチ駆動線130_1~130_Mは、それぞれ金属布線である。本実施形態において、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nとタッチ駆動線130_1~130_Mの間の交差部分は、結合節点容量CMを有する。指紋検出アレイ110をディセーブルにし、且つ指が触れていない時、結合節点容量CMは変化しない。しかしながら、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nとタッチ駆動線130_1~130_Mが形成する格子パターンの上方にある上カバーに指が触れた時、指が触れた部分は、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nとタッチ駆動線130_1~130_Mの間の結合節点容量値が変化する。上述した相互容量式(Mutual Capacitance)タッチ検出原理に基づいて、読み出し回路150は、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nが出力した読み出し信号に基づいて、タッチオブジェクトのタッチ位置を判断することができる。
【0019】
また、本実施形態の電子機器10は、例えば、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor, DSP)、アナログデジタル変換器(Analog-to-Digital Converter, ADC)、またはアナログフロントエンド(Analog Front End, AFE)等のその他の必要な回路素子をさらに含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、複数のタッチ駆動線130_1~130_Mは、複数の指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nの上方または下方に交差して配置されてもよく、且つ複数のタッチ駆動線130_1~130_Mと複数の指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nの間に絶縁層が配置される。図2Aおよび図2Bは、本発明の1つの実施形態に係る電子機器の側面概略図である。まず、図2Aを参照すると、図2Aは、タッチ駆動線130_1~130_Mが指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nの上方に設置された時の例を示したものである。第iタッチ駆動線130_iは、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nおよび指紋検出ユニット110(k,1)、110(k,2)、…、110(k,N)の上方(iとkは、M以下の正の整数)に配置され、且つ第iタッチ駆動線130_iは、それぞれ指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nと交差する。反対に、図2Bを参照すると、図2Bは、タッチ駆動線130_1~130_Mが指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nの下方に設置された時の例を示したものである。第iタッチ駆動線130_iは、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nおよび指紋検出ユニット110(k,1)、110(k,2)、…、110(k,N)の下方(iとkは、M以下の正の整数)に配置され、且つ第iタッチ駆動線130_iは、それぞれ指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nと交差する。図2Aおよび図2Bの例において、第iタッチ駆動線130_iと指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nの間の複数の交差部分は、第iタッチ駆動線130_i上のタッチ駆動信号Siに基づいて、対応する結合節点容量CMを有する。
【0021】
言及すべきこととして、本発明の1つの実施形態において、タッチ駆動回路140は、順番に時分割して同じ波形のタッチ駆動信号を各タッチ駆動線130_1~130_Mに提供することができる。あるいは、本発明の別の実施形態において、タッチ駆動回路140は、同時に異なる波形のタッチ駆動信号を各タッチ駆動線130_1~130_Mに提供することができる。以下、実施形態を挙げて説明する。
【0022】
図3は、本発明の1つの実施形態に係る時分割してタッチ駆動信号を提供した時の概略図である。図3を参照すると、タッチ駆動回路140は、時分割して順番にM個のタッチ駆動信号S1~SMを複数のタッチ駆動線130_1~130_Mに提供し、且つ複数のタッチ駆動線130_1~130_Mの波形は、互いに同じである。タッチ駆動信号S1~SMは、それぞれ波形が同じ矩形波信号であるが、複数のタッチ駆動線130_1~130_Mは、異なる時点において順番に矩形波信号を受信する。これにより、タッチ駆動回路140がタッチ駆動信号S1をタッチ駆動線130_1に出力した時、読み出し回路150は、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nが出力した読み出し信号R1~RNに基づいて、タッチイベントがタッチ駆動線130_1と指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nの間のいずれの交差点上に発生したかどうかを判断することができる。続いて、タッチ駆動回路140がタッチ駆動信号S2をタッチ駆動線130_2に出力した時、読み出し回路150は、指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nが出力した読み出し信号R1~RNに基づいて、タッチイベントがタッチ駆動線130_2と指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nの間のいずれの交差点上に発生したかどうかを判断することができる。以下同様に判断する。
【0023】
図4は、本発明の1つの実施形態に係る同時にタッチ駆動信号を提供した時の概略図である。図4を参照すると、タッチ駆動回路140は、同時にM個のタッチ駆動信号S1~SMを複数のタッチ駆動線130_1~130_Mに提供し、且つ複数のタッチ駆動線130_1~130_Mの波形は、互いに異なる。そのため、読み出し回路150内の積分器(図示せず)は、それぞれ複数のタッチ駆動信号S1~SMに基づいて、複数の読み出し信号R1~RNに対して積分操作を行い、各複数の読み出し信号R1~RNの積分結果に基づいて、タッチオブジェクトのタッチ位置を決定することができる。これにより、タッチ駆動回路140がM個のタッチ駆動信号S1~SMを複数のタッチ駆動線130_1~130_Mに同時に出力するため、読み出し回路150の積分時間が延長され、タッチ検出効果をさらに改善することができる。説明すべきこととして、1つの実施形態において、これらのタッチ駆動信号S1~SMの波形は、互いに直交してもよく、これで読み出し回路150は、より簡単な計算操作によってタッチ情報を判断することができる。
【0024】
図5は、本発明の1つの実施形態に係る電子機器の概略図である。図5を参照すると、本実施形態において、各指紋検出ユニット110(1,1)~110(M,N)は、フォトダイオードを含むと仮定する。指紋検出ユニット110(1,1)を例に挙げて説明すると、フォトダイオードPD(1,1)は、トランジスタM1の制御端(すなわち、グリッド)に接続され、トランジスタM1の第1端(すなわち、ドレインおよびソースのうちの1つ)は、各指紋検出信号読み出し線120_1~120_Nのうちの指紋検出信号読み出し線120_1に接続される。トランジスタM1の第2端(すなわち、ドレインおよびソースのうちのもう1つ)は、基準電圧に接続されてもよい。また、電子機器10がタッチ検出モードで操作された時、各指紋検出ユニット110(1,1)~110(M,N)を駆動する駆動信号を接地電圧にして、指紋検出アレイ110をディセーブルにする。一方、電子機器10が指紋検出モードで操作された時、タッチ駆動回路140は、複数のタッチ駆動線130_1~130_Mを接地電圧に接続して、タッチ駆動線130_1~130_M上の信号が指紋認証結果に干渉するのを防ぐことができる。
【0025】
さらに説明すべきこととして、上述した例において、タッチ情報を検出するためのタッチ駆動線の数は、指紋検出ユニットの行(row)の数と同じであるが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、複数のタッチ駆動線は、互いに隣接する第1タッチ駆動線と第2タッチ駆動線を含み、第1タッチ駆動線と第2タッチ駆動線は、少なくとも一行(すなわち、一行または複数行)の指紋検出ユニットだけ離れている。例を挙げて説明すると、指紋検出アレイがM行の指紋検出ユニットを含むと仮定した場合、タッチ駆動線の数は、M、M/2、またはM/3等であってもよく、実際の需要に応じて配置することができる。
【0026】
以上のように、本発明の実施形態は、指紋検出信号読み出し線とタッチ駆動線の間の静電容量の変化に基づいてタッチ検出を行うことができ、タッチ検出電極を配置する必要がないため、回路レイアウト面積を大幅に削減して、コストを下げることができる。また、異なるタッチ駆動信号を同時に出力することにより、直接各指紋検出信号読み出し線が出力した読み出し信号に基づいて、タッチオブジェクトのタッチ位置を判断することができるため、走査読み出しを行う必要がなく、タッチ検出時間を短縮することができる。
【0027】
最後に、言及すべきこととして、上述した実施形態は、単に本発明の技術的手段を説明するためのものであり、本発明の限定として解釈すべきではない。上述した実施形態を参照して本発明の詳細な説明を提供するが、本分野において通常の知識を有する者であれば、上述した各実施形態に記載された技術的手段に対して修正が可能であること、あるいは一部またはすべての技術的特徴に対して同等の置き換えが可能であることが理解されよう。しかしながら、これらの修正または置き換えにより、相応の技術的手段の本質を本発明の各実施形態の技術的手段の範囲から逸脱させてはならない。
【符号の説明】
【0028】
10 電子機器
110 指紋検出アレイ
110(1,1)~110(M,N)、110(k,1)、110(k,2)、110(k,N) 指紋検出ユニット
120_1~120_N 指紋検出信号読み出し線
130_1~130_M、130_i タッチ駆動線
140 タッチ駆動回路
150 読み出し回路
Si、S1~SM タッチ駆動信号
R1~RN 読み出し信号
M1 トランジスタ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】