(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】X線コーンビームコンピュータ断層撮影におけるX線投影ジオメトリを較正する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220609BHJP
A61B 6/14 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61B6/03 350L
A61B6/14 300
A61B6/03 360Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540229
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2020060825
(87)【国際公開番号】W WO2020212557
(87)【国際公開日】2020-10-22
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】マウア、スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブントラック、シュテファン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093CA13
4C093DA04
4C093FC25
4C093FD05
4C093FE14
4C093FF09
4C093FF18
4C093FF28
4C093GA01
(57)【要約】
本発明は、X線コーンビームコンピュータ断層撮影におけるX線投影ジオメトリ較正の方法に関し、検出器及び検出器に向けてX線を投影するX線源をオブジェクト(3)の周りで相対的に回転させることにより生成された、オブジェクト(3)の少なくとも一部の2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)を取得する少なくとも1つのステップ(S1)を備える方法において、トレーニングされた人工知能アルゴリズムを使用することによって、オブジェクト(3)の少なくとも1つの特徴(3a)を、2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)において検出する少なくとも1つのステップ(S4)と、検出に基づいて、X線投影のジオメトリを規定する較正情報を作成する少なくとも1つのステップ(S5)とを更に備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線コーンビームコンピュータ断層撮影におけるX線投影ジオメトリ較正の方法であって、
検出器及び前記検出器に向けてX線を投影するX線源をオブジェクト(3)の周りで相対的に回転させることにより生成された、前記オブジェクト(3)の少なくとも一部の2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)を取得する少なくとも1つのステップ(S1)を備える方法において、
トレーニングされた人工知能アルゴリズムを使用することによって、前記オブジェクト(3)の少なくとも1つの特徴(3a)を、前記2次元X線画像(1)又は前記サイノグラム(2)において検出する少なくとも1つのステップ(S4)と、
前記検出に基づいて、前記X線投影のジオメトリを規定する較正情報を作成する少なくとも1つのステップ(S5)と、
を更に備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記検出ステップ(S4)において、前記トレーニングされた人工知能アルゴリズムが、前記2次元X線画像(1)における前記オブジェクト(3)の前記特徴(3a)の2D位置及び/又は2D形状(3b)を表す2Dマスク、又は前記サイノグラム(2)における前記オブジェクト(3)の前記特徴(3a)の3D位置及び/又は3D形状を表す3Dマスクを生成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの取得ステップ(S1)において、前記オブジェクト(3)が較正体であり、作成された前記較正情報が、X線ユニット固有の較正情報に対応することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの取得ステップ(S1)において、前記オブジェクト(3)が患者であり、対応する前記特徴(3a)が、前記患者の身体又は前記患者の頭部の解剖学的部分又は補綴部分を備え、作成された前記較正情報が、患者固有の較正情報に対応することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記解剖学的部分が、歯又は骨の少なくとも一部を備え、及び/又は前記補綴部分が、インプラントの少なくとも一部を備えることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、
最近作成されたX線ユニット固有の較正情報及び/又は最近作成された患者固有の較正情報を記憶するステップ(S6a)、又は、
以前に記憶されたX線ユニット固有の較正情報及び/又は以前に記憶された患者固有の較正情報を、それぞれ、最近作成されたX線ユニット固有の較正情報及び/又は最近作成された患者固有の較正情報で更新するステップ(S6b)、
を更に備えることを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
患者の身体の少なくとも一部の前記2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)と、前記X線ユニット固有の較正情報とに基づいて、3次元断層画像を再構成するステップ(S7)を更に備えることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の身体の少なくとも一部の前記2次元X線画像(1)又は前記サイノグラム(2)と、対応する前記患者固有の較正情報とに基づいて、3次元断層画像を再構成するステップ(S7)を更に備えることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記検出ステップ(S4)の前に、前記2次元X線画像(1)又は前記サイノグラム(2)を前処理するステップ(S2)を更に備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記検出ステップ(S4)において検出されるべき1つ又は複数の特徴(3a)を選択するステップ(S3)を更に備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前処理ステップ(S2)が、フィルタリングプロセス、コントラスト強調プロセス、エッジ強調プロセス、及びノイズ抑制プロセスのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
データ対を使用することによって前記人工知能アルゴリズムをトレーニングするステップを更に備え、各データ対が、2次元X線画像(1’)と、関連する前記2次元X線画像(1)における特徴(3a’)の2D位置及び/又は2D形状(3b’)を表す関連する2Dマスクとを含むか、又は各データ対が、サイノグラム(2)と、前記サイノグラム(2)における特徴(3a’)の3D位置及び/又は3D形状(3b’)を表す関連する3Dマスクとを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
X線コーンビームコンピュータ断層撮影システムであって、
X線源及び検出器をオブジェクト(3)の周りで相対的に回転させることにより前記オブジェクト(3)の少なくとも一部の2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)を捕捉するように適応された捕捉手段を備えるX線ユニットを備えるX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムにおいて、
画像処理手段を備える断層撮影再構成ユニットを更に備え、前記断層撮影再構成ユニットが、
トレーニングされた人工知能アルゴリズムを使用することによって、前記オブジェクト(3)の少なくとも1つの特徴(3a)を、前記2次元X線画像(1)又は前記サイノグラム(2)において検出することと、
前記検出に基づいて、前記X線投影のジオメトリを規定する較正情報を作成することと、
を行うように適応されていることを特徴とする、X線コーンビームコンピュータ断層撮影システム。
【請求項14】
コンピュータベースのX線ボリュームトモグラフィシステムに、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させるためのコードを備えるコンピュータ可読プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータ可読プログラムを記憶したコンピュータ可読記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線ボリュームトモグラフィ(VT:volume tomography)に関し、具体的には、X線歯科ボリュームトモグラフィ(DVT)に関する。本発明は、より具体的には、X線ボリュームトモグラフィにおけるX線投影ジオメトリを較正する方法に関する。本発明は、より具体的には、X線ボリュームトモグラフィにおけるモーションアーチファクト低減に関する。本発明は、より具体的には、X線コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コーンビームコンピュータ断層撮影のためのシステムでは、センサ及び検出器が患者の周り、特に患者の頭部の周りを相対的に回転して、複数の投影画像、すなわち2次元(2D)X線画像を生成する。これらの2DX線画像から3次元(3D)断層画像を計算するためには、各2DX線画像の投影ジオメトリを知っている必要がある。X線CBCTシステムの投影ジオメトリの較正は、通常、工場で行われるか、又はX線CBCTシステムを医院に設置した後に行われる。この目的のために、較正体を用いて2DX線画像が生成される。較正体は、2DX線画像において検出及び識別し易い既定の形状及び1つ又は複数の特徴を有する。更に、特徴の相対的な位置は一般に知られている。いわゆる整合性条件(consistency conditions)を2DX線画像に適用することによって、2DX線画像の投影ジオメトリを導出することができる。文献“Auto-calibration by locally consistent contours for dental CBCT, S. Maur et al 2018 Phys. Med. Boil. 63 215018 を参照する。投影ジオメトリは、X線CBCTシステムの較正情報の基礎を形成する。照射された患者に対するX線CBCTシステムにおける動き及び/又は変形などの機械的変化が、較正情報を無効にする可能性がある。例えば、2DX線画像の捕捉中に患者が相対的に移動すると、結果としてX線CBCTシステムの較正情報が不正確になる。3D断層画像の正確な再構成の場合、投影ジオメトリは、較正体など部屋の固定点に対してではなく、患者に対して関連している。患者が捕捉中に動いた場合、想定したX線投影ジオメトリは、捕捉された2DX線画像と一致しない。これは、3D断層画像の再構成におけるデータ不整合につながる。したがって、これにより更に、ぼやけた構造及び/又はダブルエッジなどの3D断層画像におけるモーションアーチファクトが発生する。したがって、先行技術では、2DX線画像のための較正情報を作成するために自動較正方法が想定されてきた。しかしながら、これらは依然として研究開発の主題である。そのような自動較正の方法では、患者の任意の部分を較正のための特徴として使用し得、例えば、患者の解剖学的部分を使用する可能性がある。しかしながら、これらの特徴の形状、位置、及び密度は一般に知られていないので、2DX線画像におけるそれらの正確な検出は困難である。特徴検出は、多くの重なり合う解剖学的部分、及び低いX線量での低いコントラスト並びに高い画像ノイズにより複雑になる。したがって、個々の投影画像の情報内容では、通常、正確な特徴検出には十分でない。精度を高めるために、事前知識が特徴検出に組み込まれ得る。例えば、事前知識は、解剖学的部分の形状、位置、及び密度に関連し得る。事前知識は更に、患者又はX線CBCTシステムの移動についての仮定に関し得る。しかしながら、そのような事前知識の完全なモデリング及びそれの特徴検出アルゴリズムへの統合は些細なことではなく、また高い精度及び完全性を達成することは困難である。これにより、2DX線画像における特徴を検出するための画像処理が非常に遅くなり、誤差が生じやすくなり、したがって、較正情報の精度及び自動較正プロセスの速度が悪影響を受ける。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、先行技術の上述の欠点を克服し、X線コーンビームコンピュータ断層撮影における投影ジオメトリ較正の方法を提供することである。
【0004】
この目的は、請求項1に記載のX線投影ジオメトリ較正方法及び請求項13に記載のX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムによって達成された。従属請求項の主題は、更なる展開形態に関する。
【0005】
本発明は、X線コーンビームコンピュータ断層撮影におけるX線投影ジオメトリ較正の方法を提供する。本方法は、検出器及び検出器に向けてX線を投影するX線源をオブジェクトの周りで相対的に回転させることにより生成された、オブジェクトの少なくとも一部の2次元X線画像又はサイノグラムを取得する少なくとも1つのステップと、トレーニングされた人工知能アルゴリズムを使用することによって、オブジェクトの特徴を、2次元X線画像又はサイノグラムの少なくとも1つにおいて検出する少なくとも1つのステップと、検出に基づいて、X線投影のジオメトリを規定する較正情報を作成する少なくとも1つのステップとを備える。
【0006】
本発明の主な有利な効果は、X線投影ジオメトリを較正するために、2DX線画像又はサイノグラムにおける特徴検出にトレーニングされた人工知能アルゴリズムを適用することである。人工知能アルゴリズムは、解剖学的部分の2D/3D位置、形状、更に密度、及びデータの整合性条件、並びに患者及びX線CBCTシステムの典型的な動きの影響についての暗黙的知識を学習する。この学習により、人工知能アルゴリズムは、古典的な画像処理よりも正確かつはるかに高速になる。これにより、3D断層画像におけるモーションアーチファクトをより効果的に低減することができ、鮮鋭な3D断層画像を取得することができる。
【0007】
本発明によれば、2DX線画像又はサイノグラムにおけるオブジェクトの特徴は、トレーニングされた人工知能アルゴリズムによって生成される2D又は3Dマスクを介して検出され得る。2D又は3Dマスクは、特徴の位置/形状、特に輪郭又はシルエットを表す。2D及び3Dマスクはバイナリマスクであり得る。代替的に、確率マスク又は信頼マスク(confidence masks)が使用されてもよい。
【0008】
本発明によれば、作成された較正情報は、X線ユニット固有の較正情報又は患者固有の較正情報であり得る。X線ユニット固有の較正情報は、ダミーなどの較正体に照射することによって作成することができる。患者固有の較正情報は、患者に照射することによって作成することができる。検出されるべき患者の特徴は、解剖学的部分又は補綴部分に対応し得る。解剖学的部分は、歯又は骨であり得る。また、補綴部分は、インプラント、クラウン、又は充填材などであり得る。
【0009】
本発明によれば、X線CBCTシステムのためのX線ユニット固有の較正情報は、該システムが製造されたときに工場で作成され、その後、X線CBCTシステムに一時的又は恒久的に記憶され得る。代替的に、X線ユニット固有の較正情報は、設置中に、及び任意選択的に設置のあと所定の間隔をあけて作成され、同様にX線CBCTシステムに記憶されてもよい。X線ユニット固有の較正情報はまた、アーチファクトがコンピュータ断層撮影において観察されたときに作成され、記憶されてもよい。X線CBCTシステムのための患者固有の較正情報は、患者ごとに別々に作成され、その後、それぞれの患者のボリューム断層画像を再構成するときに使用するために記憶され得る。
【0010】
本発明によれば、異なる患者の様々な患者固有の較正情報が作成され、記憶され、X線ユニット固有の較正情報と比較されて、不一致を分析し、X線ユニット固有の較正の正確さ又は患者の動きの挙動に関する結論を引き出し得る。不正確なX線ユニット固有の較正情報は、分析に基づいて自動的に調整され得る。代替的に、新しい較正情報の作成を開始するために、使用者に、X線ユニット固有の較正情報における欠陥について、制御ディスプレイ上又は再構成された3D断層画像のディスプレイ上に欠陥情報を表示することにより通知してもよい。代替的に、スピーカを介して使用者に通知してもよい。代替的に、使用者に、患者の動きの挙動について、好ましくはそのような動きが過度であり、モーションアーチファクトを満足に低減できないときに、同様に通知してもよい。
【0011】
本発明によれば、以前に記憶されたX線ユニット固有の較正情報は、最近作成されたX線ユニット固有の較正情報で更新され得る。同様に、以前に記憶された患者固有の較正情報は、同じ患者に対応する最近作成された患者固有の較正情報で更新され得る。
【0012】
本発明によれば、患者の身体の少なくとも一部の3次元断層画像は、X線ユニット固有の較正情報又は代替的には対応する患者固有の較正情報を使用して再構成され得る。
【0013】
本発明によれば、2次元X線画像又はサイノグラムは、任意選択的に、検出ステップの前に、トレーニングされた人工知能アルゴリズム又は古典的アルゴリズムに基づく画像処理により前処理され得る。画像処理アルゴリズムは、フィルタリングプロセス、コントラスト強調プロセス、エッジ強調プロセス、及びノイズ抑制プロセスを少なくとも含み得る。
【0014】
本発明によれば、検出されるべき1つ又は複数の又は更にはすべての特徴を、自動的に選択することができるか、又は代替的には、ディスプレイ上で使用者が手動で選択してもよい。
【0015】
本発明によれば、特徴を検出するための人工知能アルゴリズムは、好ましくはデータ対を使用することによってトレーニングされる。各データ対は、2次元X線画像と、関連する2次元X線画像における特徴の2D位置及び/又は形状を表す関連する2Dマスクとを含む。代替的に、各データ対は、サイノグラムと、サイノグラムにおける特徴の3D位置及び/又は形状を表す関連する3Dマスクとを含む。これらのデータ対は、研究室で実際の較正体のロボット運動により生成され得る。代替的に、これらのデータ対は、様々な患者から取得さてもよい。代替的に、データ対は、シミュレーションにより仮想的に生成されてもよい。
【0016】
本発明はまた、X線ボリュームトモグラフィシステム、好ましくはX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムを提供する。X線コーンビームコンピュータ断層撮影システムは、検出器及び検出器に向けてX線を投影するためのX線源を、オブジェクトの周りで相対的に回転させることにより、オブジェクトの少なくとも一部の2次元X線画像又はサイノグラムを生成するための生成手段を有するX線ユニットを備える。オブジェクトは、ダミーなどの較正体、又は患者、好ましくは患者の頭部、より好ましくは患者の顎であり得る。X線ボリュームトモグラフィシステムは更に、本発明のX線投影ジオメトリ較正方法のステップを実行するように適応された画像処理手段を有する断層撮影再構成ユニットを備える。
【0017】
本発明はまた、コンピュータベースのX線ボリュームトモグラフィシステムに、本発明の方法ステップを実行させるためのコードを備えるコンピュータ可読プログラムを提供する。コンピュータ可読プログラムは、X線ボリュームトモグラフィシステムと共に、又はコンピュータ可読記憶装置上に提供され得る。
【0018】
下記の説明において、例示的な実施形態を使用し、以下の図面を参照することによって、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明によるX線コーンビームコンピュータ断層撮影におけるX線投影ジオメトリ較正の方法のステップを示すフローチャートである。
【
図2】本発明によるX線ユニットを介して生成された2次元X線画像である。
【
図3】本発明によるX線ユニットを介して生成された2次元X線画像の、
図2の線A-Aに沿ったサイノグラムの断面図である。
【0020】
図面に示される参照番号は、以下に列挙する要素を指し、例示的な実施形態の下記の説明において参照される。
1.2DX線画像
2.サイノグラム
3.オブジェクト(例えば、患者又は較正体)
3a.特徴(例えば解剖学的/補綴部分)
3b.位置/形状
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態によるX線コーンビームコンピュータ断層撮影のためのX線投影ジオメトリ較正方法のステップ(S1~S7)を示す。
【0022】
第1のステップ(S1)では、オブジェクト(3)の少なくとも一部の複数の2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)が、本発明のX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムから取得される。オブジェクト(3)は、患者又はダミーなどの較正体であり得る。3次元X線画像(1)及びサイノグラム(2)は、検出器及び検出器に向けてX線を投影するX線源を、オブジェクト(3)の周りで相対的に回転させることによりX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムによって生成される。
【0023】
任意選択の第2のステップ(S2)では、2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)が前処理される。前処理ステップ(S2)は、フィルタリングプロセス、コントラスト強調プロセス、エッジ強調プロセス、及びノイズ抑制プロセスのうちの少なくとも1つを備える。
【0024】
別の任意選択の第3のステップ(S3)では、オブジェクト(3)の1つ又は複数の特徴(3a)が、最初に取得された又は前処理された2DX線画像(1)又はサイノグラム(2)において選択される。選択は、ディスプレイ上で手動で行うことができる。代替的に、選択は自動的に行われる。
【0025】
第4のステップ(S4)では、オブジェクト(3)の少なくとも1つの特徴(3a)、任意選択的に、選択された特徴(3a)が、トレーニングされた人工知能アルゴリズムを使用することによって、2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)において、又は任意選択的に、前処理された2次元X線画像(1)又は前処理されたサイノグラム(2)において検出される。任意選択的に、第4のステップ(S4)で特徴(3a)を検出するために、トレーニングされた人工知能アルゴリズムに追加情報を入力してもよい。追加情報は、特徴(3a)の2D/3D位置、形状、及び相対的動きについての初期推定を含み得る。追加情報は、ステップ(S3)の少なくとも1つの選択された特徴(3a)の検出を向上させるための情報を含み得る。特徴(3a)は、同時に又は1つずつ検出され得る。選択ステップ(S3)の後に、更なる前処理ステップを任意選択的に行うことができる。それによって、例えば、前処理が、選択された特徴(3a)の空間又は画像特性に適応されて、特徴検出を最適化することができる。検出されるべき特徴(3a)は、患者の、特に患者の頭部の、より具体的には患者の顎の解剖学的部分又は補綴部分に対応し得る。解剖学的部分は、歯又は骨などであり得る。補綴部分はインプラントなどであり得る。
図2に示すように、トレーニングされた人工知能アルゴリズムは、2次元X線画像(1)におけるオブジェクト(3)の特徴(3a)、すなわち患者の顎にある歯の、2D位置及び/又は2D形状(3b)を表す2Dマスクを生成する。
図3は、投影指標「100」での
図2の2次元X線画像(1)を含む、
図2の線A-Aに沿ったサイノグラム(2)の断面図である。投影指標及び座標は、断層撮影の詳細に依存して変わり得る。投影指標は、サイノグラム(2)における複数の2次元X線画像(1)を示す。
図3に示すように、トレーニングされた人工知能アルゴリズムは、代替的に、サイノグラム(2)におけるオブジェクト(3)の特徴(3a)、すなわち患者の顎にある歯の、3D位置及び/又は3D形状(3b)を表す3Dマスクを生成してもよい。以下の説明において、プライム符号を有する参照符号は、人工知能アルゴリズムをトレーニングするために使用される要素を示す。人工知能アルゴリズムは、データ対を使用してトレーニングされる。各データ対は、2次元X線画像(1’)と、関連する2次元X線画像(1)における特徴(3a’)の位置及び/又は形状(3b’)を表す関連する2Dマスクとを含む。代替的に、各データ対は、サイノグラム(2’)と、サイノグラム(2)における特徴(3a’)の位置及び/又は形状(3b’)を表す関連する3Dマスクとを含む。
【0026】
第5のステップ(S5)では、検出に基づいて、較正情報が作成される。較正情報は、X線投影のジオメトリを規定する。照射されたオブジェクト(3)が較正体であるとき、作成された較正情報は、X線ユニット固有の較正情報に対応する。照射されたオブジェクト(3)が患者であるとき、作成された較正情報は、患者固有の較正情報に対応する。
【0027】
第6のステップの任意選択の最初の段階(S6a)では、最近作成されたX線ユニット固有の較正情報及び患者固有の較正情報が、X線コーンビームコンピュータ断層撮影システムに一時的又は恒久的に記憶される。異なる患者に関する様々な患者固有の較正情報が作成され、記憶され得る。第6のステップの任意選択の後続の段階(S6b)では、以前に記憶されたX線ユニット固有の較正情報及び以前に記憶された患者固有の較正情報が、それぞれ、同じ患者の最近作成されたX線ユニット固有の較正情報及び最近作成された患者固有の較正情報で更新される。
【0028】
第7のステップ(S7)では、患者の身体の少なくとも一部の2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)と、X線ユニット固有の較正情報とに基づいて、3次元断層画像が再構成される。代替的に、3次元断層画像は、患者の身体の少なくとも一部の2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)と、対応する患者固有の較正情報とに基づいて再構成されてもよい。
【0029】
本発明のX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムは、X線ユニット及び断層撮影再構成ユニットを有する。X線ユニットは、X線源及び検出器をオブジェクト(3)の周りで相対的に回転させることによりオブジェクト(3)の少なくとも一部の2次元X線画像(1)又はサイノグラム(2)を捕捉するように適応された捕捉手段を有する。断層撮影再構成ユニットは、X線投影ジオメトリ較正方法のステップを実行するように適応された画像処理手段を有する。
【0030】
本方法は、コンピュータベースのX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムに上述の方法ステップ(S1~S7)を実行させるためのコードを有するコンピュータ可読プログラムの形態で提供され得る。コンピュータ可読プログラムは、コンピュータベースのX線コーンビームコンピュータ断層撮影システムのコンピュータ可読記憶装置に記憶され得る。
【国際調査報告】