(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】流体燃料を貯蔵及び供給するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F17C 9/00 20060101AFI20220609BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20220609BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220609BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20220609BHJP
B60L 58/34 20190101ALI20220609BHJP
【FI】
F17C9/00 A
F17C13/00 302Z
H01M8/04 J
B60L50/70
B60L58/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556723
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 FR2020050520
(87)【国際公開番号】W WO2020188194
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ベサドゥン、エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラヴァイス、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】サングラン、パトリック
【テーマコード(参考)】
3E172
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB15
3E172BA04
3E172BB03
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD03
3E172CA11
3E172DA02
3E172DA04
3E172DA06
3E172EA03
3E172EA12
3E172EA22
3E172EA35
3E172EA45
3E172EA49
3E172EA50
3E172EB03
3E172EB08
3E172EB18
3E172GA11
3E172JA09
3E172KA03
3E172KA11
3E172KA22
5H125AA01
5H125AC07
5H125BD12
5H125CD09
5H125EE34
5H125FF09
5H125FF27
5H125FF30
5H127AB04
5H127BA02
5H127BA22
5H127EE13
(57)【要約】
【解決手段】 流体燃料を貯蔵及び供給するための装置(1)であって、気相と平衡状態の液化燃料ガス、特に水素のリザーバ(2、3)と、リザーバ(2、3)を充填するための回路(4)と、リザーバから流体を流出させるための少なくとも1つの回路(6、7)と、リザーバ(2、3)内の圧力を調整するための少なくとも1つの回路(8、9)とを含み、充填回路(4)、流出回路(6、7)及び圧力調整回路(8、9)は、リザーバ(2、3)とは別個のハウジング(10)内に配置された弁(13、14、15、18、21、34)の組を含み、ハウジング(10)は、切り離し可能な機械的結合システム(11)を介してリザーバ(2、3)に取り外し可能に接続され、流出回路(6、7)、圧力調整回路(8、9)及び充填回路(4)は、リザーバ(2、3)とハウジング(10)との間の接合部に位置し、且つリザーバに対するハウジング(10)の切り離し中、リザーバ(2、3)内及びハウジング(10)内に位置する回路(4、6、7、8、9)の部分間の分離を可能にするように構成された切り離し可能な流体コネクタ(12)の組を含む、装置(1)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体燃料を貯蔵及び供給するための装置(1)を含む車両であって、前記装置(1)は、気相と平衡状態の液化燃料ガス、特に水素のリザーバ(2、3)、前記リザーバ(2、3)を充填するための回路(4)、前記リザーバから流体を流出させるための少なくとも1つの回路(6、7)、前記リザーバ(2、3)内の圧力を調整するための少なくとも1つの回路(8、9)を含み、前記充填回路(4)、流出回路(6、7)及び圧力調整回路(8、9)は、前記リザーバ(2、3)とは別個のハウジング(10)内に配置された弁(13、14、15、18、21、34)の組を含み、前記ハウジング(10)は、切り離し可能な機械的結合システム(11)を介して前記リザーバ(2、3)に取り外し可能に接続され、前記流出回路(6、7)、前記圧力調整回路(8、9)及び前記充填回路(4)は、前記リザーバ(2、3)と前記ハウジング(10)との間の接合部に位置し、且つ前記リザーバ(2、3)に対する前記ハウジング(10)の切り離し中、前記リザーバ(2、3)内及び前記ハウジング(10)内に位置する回路(4、6、7、8、9)の部分間の分離を可能にするように構成された切り離し可能な流体コネクタ(12)の組を含む、車両。
【請求項2】
前記リザーバ(2、3)に接続された位置では、前記ハウジング(10)は、中性雰囲気、すなわちヘリウムなどの不活性ガスを主に含む雰囲気で満たされた閉鎖容積を画定することを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記リザーバ(2、3)に接続された位置では、前記ハウジング(10)は、真空の、すなわち10
-9mbar~10
-1mbarの範囲の圧力の封止された閉鎖容積を画定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記ハウジング(10)内に配置された前記弁(13、14、15、18、21、34)の組は、オールオアナッシング型弁を含むか又はそれで構成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記ハウジング(10)内に配置された前記弁(13、14、15、18、21、34)の組は、電気制御型弁を含むか又はそれで構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両。
【請求項6】
前記リザーバ(2、3)の前記充填回路は、前記ハウジング(10)の壁に出ている上流端部と、前記リザーバ(2)の壁、特に前記リザーバ(2、3)の下方端部に出ている下流端部とを備える液体充填管(4)を含み、前記液体充填管(4)は、前記ハウジング(10)内に位置する少なくとも1つの弁(34)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
前記リザーバから流体を流出させるための前記回路(6、7)は、前記リザーバ(2)の壁、特に前記リザーバ(2、3)の下方端部に出ている第1の上流端部(16)と、前記ハウジング(10)の壁に出ている下流端部とを備える流出管(6)を含み、前記流出管は、直列に配置された少なくとも1つの弁(13、14、15)及び加熱用熱交換器(12)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
前記リザーバから流体を流出させるための前記回路(6、7)は、前記リザーバ(2、3)の上方端部において前記リザーバ(2)の壁に出ている第2の上流端部(17)を含み、前記第2の上流端部(17)は、少なくとも1つの弁(18)及び前記加熱用熱交換器(12)を介して前記下流端部に接続されることを特徴とする、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記リザーバ(2、3)内の前記圧力を調整するための前記回路は、前記リザーバ(2)の壁、特に前記リザーバ(2、3)の下方端部に出ている上流端部(19)と、前記リザーバ(2)の壁の別個の点、特に前記リザーバ(2、3)の上方端部に出ている下流端部(20)とを含む加圧管(8)を含み、前記加圧管は、直列に配置された少なくとも1つの弁(21)及び加熱用熱交換器(22)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両。
【請求項10】
前記リザーバ(2、3)内の前記圧力を調整するための前記回路は、前記リザーバ(2、3)内に貯蔵された前記燃料と熱交換するための、前記リザーバ(2、3)内に収納された加熱用交換器(28)を含み、前記交換器(28)は、管(9)を介して、前記リザーバから流出され、且つ流出された後に加熱される高温流体、特に燃料を送給されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両。
【請求項11】
前記リザーバ(2、3)内の前記圧力を測定するためのセンサー(23)、前記ハウジング(10)内の前記流体の圧力を測定するためのセンサー(25)のうちの少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つのセンサーは、前記ハウジング(10)内に位置することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の車両。
【請求項12】
前記弁(13、14、15、18、21、34)の組に接続された電子データ記憶及び処理構成部品(26)を含み、前記電子データ記憶及び処理構成部品(26)は、前記弁の開放及び閉鎖を制御するように構成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の車両。
【請求項13】
加圧ガス、特にヘリウムを収容する封止コンテナー(33)、前記コンテナーを開放するための構成部品(36)及び前記コンテナー(33)を前記リザーバ(2、3)の前記貯蔵容積に接続する放出管(35)並びに前記リザーバ(2、3)から前記流体を放出するための少なくとも1つの弁又はフラップを備える放出管(37)を含む迅速ドレナージシステムを含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の車両。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の車両の貯蔵及び供給装置(1)から消費者(27)に燃料を提供するための方法であって、前記リザーバ(2、3)内の前記圧力が第1の決定された閾値よりも高いとき、前記燃料は、前記リザーバ(2、3)の前記気相からガス形態で流出され、及び前記リザーバ(2、3)内の前記圧力が第2の決定された閾値よりも低いとき、前記燃料は、前記リザーバ(2、3)の前記気相から液体形態で流出される、方法。
【請求項15】
前記リザーバ(2、3)内の前記圧力は、前記リザーバ(2)の液相から液体形態で燃料を引き出し、前記引き出された液体燃料を加熱し、その後、それを前記リザーバ(2、3)に再導入することによって上昇される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リザーバ(2、3)内の前記圧力は、前記リザーバ(2、3)内に位置するヒータ(28)を介して上昇される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒータ(28)は、前記リザーバから流出され、且つ加熱される燃料を送給される熱交換器であって、前記リザーバ(2、3)内の前記燃料と熱を交換するように設定される熱交換器である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体燃料を貯蔵及び供給するための装置並びに燃料を供給するための方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、流体燃料を貯蔵及び供給するための装置であって、気相と平衡状態の液化燃料ガス、特に水素のリザーバ、リザーバを充填するための回路、リザーバから流体を流出させるための少なくとも1つの回路、リザーバ内の圧力を調整するための少なくとも1つの回路を含み、充填回路、流出回路及び圧力調整回路は、リザーバとは別個のハウジング内に配置された弁の組を含む、装置に関する。
【背景技術】
【0003】
車両の駆動力を発生させるための燃料電池及び/又は電気機器に給電するための電気エネルギーを使用する車両のいくつかの応用では、車両は、液化水素リザーバを有する。搭載した液体水素リザーバ及びその関連の流体回路の存在は、安全対策を求めるが、液化水素を流出させることができるようにし、複数の充填作業を可能にし、且つ車両を長期間にわたって動かさないことなく保守を行うことを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、これらの制約の全て又はいくつかに対処できるようにし、且つ対処することを可能にする装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これを達成するために、本発明による、同様に上述の前段で提供された包括的定義による装置は、基本的には、ハウジングが、切り離し可能な機械的結合システムを介してリザーバに取り外し可能に接続され、流出回路、圧力調整回路及び充填回路が、リザーバとハウジングとの間の接合部に位置し、且つリザーバに対するハウジングの切り離し中、リザーバ内及びハウジング内に位置する回路の部分間の分離を可能にするように構成された切り離し可能な流体コネクタの組を含むことを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ以上を含み得る:
- リザーバに接続された位置では、ハウジングは、中性雰囲気、すなわちヘリウムなどの不活性ガスを主に含む雰囲気で満たされた閉鎖容積を画定し;
- リザーバに接続された位置では、ハウジングは、真空の、すなわち10-9mbar~10-1mbarの範囲の圧力の封止された閉鎖容積を画定し;
- ハウジング内に配置された弁の組は、オールオアナッシング型弁を含むか又はそれで構成され;
- ハウジング内に配置された弁の組は、電気制御型弁を含むか又はそれで構成され;
- リザーバの充填回路は、ハウジングの壁に出ている上流端部と、リザーバの壁、特にリザーバの下方端部に出ている下流端部とを備える液体充填管を含み、前記液体充填管は、ハウジング内に位置する少なくとも1つの弁を含み;
- リザーバから流体を流出させるための回路は、リザーバの壁、特にリザーバの下方端部に出ている第1の上流端部と、ハウジングの壁に出ている下流端部とを備える流出管を含み、前記流出管は、直列に配置された少なくとも1つの弁及び加熱用熱交換器を含み;
- リザーバから流体を流出させるための回路は、リザーバの上方端部においてリザーバの壁に出ている第2の上流端部を含み、前記第2の上流端部は、少なくとも1つの弁及び加熱用熱交換器を介して下流端部に接続され;
- リザーバ内の圧力を調整するための回路は、リザーバの壁、特にリザーバの下方端部に出ている上流端部と、リザーバの壁の別個の点、特にリザーバの上方端部に出ている下流端部とを含む加圧管を含み、前記加圧管は、直列に配置された少なくとも1つの弁及び加熱用熱交換器を含み;
- リザーバ内の圧力を調整するための回路は、リザーバ内に貯蔵された燃料と熱交換するための、リザーバ内に収納された加熱用交換器を含み、交換器は、管を介して、リザーバから流出され、且つ流出された後に加熱される高温流体、特に燃料を送給され;
- 装置は、リザーバ内の圧力を測定するためのセンサー、ハウジング内の流体の圧力を測定するためのセンサーのうちの少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つのセンサーは、ハウジング内に位置し;
- 装置は、弁の組に接続された電子データ記憶及び処理構成部品を含み、電子データ記憶及び処理構成部品は、弁の開放及び閉鎖を制御するように構成され;
- リザーバ内の圧力は、リザーバ内に位置するヒータを介して上昇され;
- ヒータは、リザーバから流出され、且つ加熱される燃料を送給される熱交換器であって、リザーバ内の燃料と熱を交換するように設定される熱交換器であり;
- 装置は、加圧ガス、特にヘリウムを収容する封止コンテナー、コンテナーを開放するための構成部品及びコンテナーをリザーバの貯蔵容積に接続する放出管並びにリザーバから流体を放出するための少なくとも1つの弁又はフラップを備える放出管を含む迅速ドレナージシステムを含む。
【0007】
本発明は、上述又は下記の特徴のいずれか1つによる装置を含む車両にも関する。
【0008】
本発明は、上述又は下記の特徴のいずれか1つによる貯蔵及び供給装置から消費者に燃料を提供するための方法であって、リザーバ内の圧力が第1の決定された閾値よりも高いとき、燃料は、リザーバの気相からガス形態で流出され、及びリザーバ内の圧力が第2の決定された閾値よりも低いとき、燃料は、リザーバの気相から液体形態で流出される、方法にも関する。
【0009】
他の考えられる際立った特徴によれば、
- リザーバ内の圧力は、リザーバの液相から液体形態で燃料を引き出し、この引き出された液体燃料を加熱してから、リザーバに再導入することによって上昇される;
- リザーバ内の圧力は、リザーバ内に位置するヒータを介して上昇され;
- ヒータは、リザーバから流出され、且つ加熱される燃料を送給される熱交換器であって、リザーバ内の燃料と熱を交換するように設定される熱交換器である。
【0010】
本発明は、特許請求の範囲内の上述又は下記の特徴のいずれかの組み合わせを含むいずれかの代替的な装置又は方法にも関し得る。
【0011】
さらなる際立った特徴及び利点は、図面を参照して、以下の説明を読むことで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、燃料を貯蔵及び供給するための装置の構造及び動作の第1の例を示す部分側断面概略図を示す。
【
図2】
図2は、燃料を貯蔵及び供給するための装置の構造及び動作の第2の例を示す部分側断面概略図を示す。
【
図3】
図3は、機器ハウジングが接続位置にある状態の、車両に組み込まれた、燃料を貯蔵及び供給するための装置の概略図を示す。
【
図4】
図4は、機器ハウジングが分離位置にある状態の、車両に組み込まれた、燃料を貯蔵及び供給するための装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[
図1]に示す、流体燃料を貯蔵及び供給するための装置1は、気相と平衡状態の液化燃料ガスのリザーバ2、3を含み、液化燃料は、特に水素(H2)であり得る。
【0014】
好ましくは、リザーバは、二重エンクロージャの極低温型リザーバであり、すなわち極低温流体を収容する内側エンクロージャ又はリザーバ2と、外側エンクロージャ又はリザーバ2とを含む。内側エンクロージャ2及び外側エンクロージャ3は、離間しており、且つ一緒に断熱空間、特に真空空間を画定する(10-9mbar~10-1mbarの範囲の圧力であり、且つ断熱材(例えば、「MLI」多層断熱を含む)。
【0015】
一般に、壁2、3間の真空は、10-3mbar~10-5mbarの範囲であり得るが、例えば非真空断熱発泡体などの他の断熱材で10-9mbarの超高真空までの圧力範囲を考えることができる。
【0016】
装置1は、リザーバ2、3を充填するための回路4、リザーバ2から流体を流出させるための回路6、7及びリザーバ2内の圧力を調整するための回路8、9を含む。
【0017】
充填回路4、流出回路6、7及び圧力調整回路8、9は、リザーバ2、3とは別個のハウジング10内に配置された弁13、14、15、18、21、34の組を含み、すなわち、弁の組は、リザーバの外壁3とは別個のハウジング10内にある。
【0018】
このハウジング10は、切り離し可能な機械的結合システム11を介してリザーバ2、3に機械的及び流体的に取り外し可能に接続される([
図1]及び[
図2]を参照されたい)。
【0019】
換言すると、流出回路6、7、圧力調整回路8、9及び充填回路4は、例えば、リザーバ2、3とハウジング10との間の接合部に位置し、且つリザーバ2、3に対するハウジング10の切り離し中、リザーバ2、3内及びハウジング10内にそれぞれ位置する回路4、6、7、8、9の部分間の分離を可能にするように構成された切り離し可能な流体コネクタ12の組を含む。
【0020】
ハウジング10は、装置の機器、特に流量制御構成部品(弁)、流体加熱構成部品(交換器など)、計測器(センサー)、安全フラップの全て又はいくつかを含み得る。
【0021】
これにより、ハウジング10の物理的な分離を可能にし、従って機器のための取り外し可能な交換可能な区画室又はケースを形成する。これにより、保守のためにハウジング10を取り外すことができるようにし、且つこの間に車両29の別のハウジング10と交換できるようにして動けなくなることを防止する。これにより、特にリザーバ2、3を事前に排出する必要なく、ハウジング10を取り外すことができるようにする。
【0022】
好ましくは、ハウジング10は、閉鎖容積を画定し、これは、流体的にリザーバの内部容積、特にそれが接続されるリザーバ2、3の容積とは独立している。
【0023】
換言すると、リザーバ2、3に接続された位置では、ハウジング10の内部容積は、リザーバの内部容積(特に壁間空間)に接続されておらず、複数のガス雰囲気は、独立しており、且つ異なり得る(組成、及び/又は圧力、及び/又は温度に関して)。
【0024】
当然ながら、変形形態として、ハウジング10がリザーバに接続されると、ハウジング10の内部容積は、ハウジングが接続されるリザーバの内部容積(均質な気体容積を形成する)に接続され得る。
【0025】
有利には、少なくともリザーバ2、3に接続された位置では、ハウジング10は、中性雰囲気、すなわち主にヘリウムなどの不活性ガスを含む雰囲気で満たされた閉鎖容積を画定する。より一般的には、雰囲気は、リザーバに貯蔵されている液体の温度のガス混合物を含み得るか又はそれで構成され得る。
【0026】
変形形態として又は組み合わせて、リザーバ2、3に接続された位置では、ハウジング10は、真空の、すなわち10-1mbar~10-9mbarの範囲の圧力の封止された閉鎖容積を画定する。この真空は、例えば、空気で構成された雰囲気から得ることができる。
【0027】
従って、回路の主要機器は、限定されたハウジングに収納され、且ついかなる破損又は発生し得る漏れもリザーバを危険にさらさない。これらの漏れは、特に安全フラップ30を介して収集され得、安全フラップは、過剰圧力を外部に、特に収集管31の方に向かって放出する。
【0028】
機器を別個のハウジング10内に配置することにより、機器の各アイテムのためのいかなる保護(二重壁)も不要とすることが可能になる。機器は、外部の攻撃に対して保護される。さらに、このアーキテクチャーは、この機器に従事するオペレータを最も冷たい部分(リザーバなど)に近づけないようにする。
【0029】
好ましくは、ハウジング10に配置された弁13、14、15、18、21、34の全て又はいくつかは、オールオアナッシング型弁である。当然ながら、1つ以上の弁は、流量及び/又は圧力調整弁であり得る(特に漸進的に開放する)。
【0030】
これは、単純且つ信頼性の高い構造を提供する。
【0031】
さらに、同様に好ましくは、ハウジング10に配置された弁13、14、15、18、21、34の全て又はいくつかは、電気制御型弁である。さらに、これらの弁は、制御され、且つ信号を特に電子データ記憶及び処理構成部品26に送信する(無線及び/又は有線接続)(それらの開状態又は閉状態を表す[
図1]及び[
図2]を参照されたい)。この電子データ記憶及び処理構成部品26は、マイクロプロセッサー、コンピュータ又はいずれかの均等な装置を含み得、且つ特に弁の開放又は閉鎖を制御するように構成され得る。好ましくは、装置の電気/電子構成部品は、ハウジング10の外部に配置される。
【0032】
図示の通り、リザーバ2を充填するための回路は、ハウジング10の壁に出ている上流端部(可撓性ホースの端部にあるピストル又はノズルなどの充填構成部品と係合することを意図された充填コネクタ40)を備える液体充填管4を含み得る。充填管4は、リザーバの内壁2の下方端部に出ている下流端部を含む。この液体充填管4は、ハウジング10内に位置する少なくとも1つの弁34を含む。
【0033】
リザーバから流体を流出させるための回路6、7は、リザーバの内壁2の下方端部に出ている第1の上流端部16と、ハウジング10の壁に出ている下流端部(例えば、流体燃料をユーザ27、例えば燃料電池などに送る管に接続されることを意図された流出コネクタ46)とを備える流出管6を含み得る。流出管6は、直列に配置された少なくとも1つの弁13、14、15及び流体を加熱するための熱交換器12(気化器)を含み得る。図示の通り、流出管6は、特に直列に配置された第1の弁13、加熱用熱交換器12及び2つの他の直列の弁14、15を含み得る。これにより、液体を流出させることができるようにし、この液体は、気化されて燃料ガスを下流にもたらす。
【0034】
リザーバから流体を流出させるための回路6、7は、好ましくは、リザーバ2、3の上方端部に出ている第2の上流端部17を含む。この第2の上流端部17は、加熱用熱交換器12の上流の流出回路の下流端部に接続され得る(例えば、弁18を介して)。
【0035】
リザーバ2、3内の圧力を調整するための回路は、その一部に関して、リザーバの内壁2の下方端部に出ている上流端部19と、リザーバ2の壁の別個の点、特にリザーバ2の上方端部に出ている下流端部20とを含む加圧管8を含み得る。この加圧管は、直列に配置された少なくとも1つの弁21及び加熱用熱交換器22を含み得る。これにより、液体燃料を引き出し、加熱(気化)し、且つリザーバに再導入することが可能になり、その内部の圧力を高めるようにする。この加圧交換器22は、流出回路の交換器12とは別個の交換器であり得る。変形形態として、これら2つの交換器12、22を一緒に結合又は共有することができる。
【0036】
装置1は、1つ以上のセンサー、特にリザーバ内の圧力を測定する(例えば、内壁2の内部に接続された管17内の圧力を測定する)ためのセンサー23、ハウジング10内の流体の圧力を測定するためのセンサー25、圧力を測定するためのセンサー24のうちの少なくとも1つを含み得る。これらセンサーの全て又はいくつかは、ハウジング10内に配置され得るが、リザーバ2、3の容積に接続され、それらの圧力が測定される。これらセンサーからの信号は、電子データ処理及び記憶構成部品26に送信され得る。この構成部品26は、下記で説明するように、特にこれらの信号に応じて弁26を制御し得る。
【0037】
従って、電子データ処理及び記憶構成部品26は、燃料を流出させ、且つユーザ構成部品27に送給するように、且つ/又は特に燃料が流出されないとき若しくはリザーバが満たされているときにリザーバ内の圧力を制御(調整)するように構成(プログラム)され得る。
【0038】
例えば、電子記憶構成部品26は、リザーバ2、3に存在する圧力に応じて、リザーバ2の液体部分(下方)又は気体部分(上方)にある燃料を流出させるように構成され得る。
【0039】
従って、リザーバ2内で測定された圧力24が、例えば、3~5バールの範囲の第1の決定された閾値(リザーバのタイプ及び用途に応じて)を上回るとき、弁は、リザーバの気相からガス形態で燃料を流出させるように制御される(流出回路の第2の上流端部17を介して、弁18が開いており、弁13が閉じた状態で)。これにより、リザーバ2内のガスの気化を減少させることができる(「ボイルオフ」)。
【0040】
しかしながら、リザーバ2、3内の圧力が第2の決定された閾値(これは、上述の第1の閾値と等しいことができる)よりも低いとき、燃料は、リザーバの気相から液体形態で流出される(弁13が開いており、弁18が閉じた状態で)。
【0041】
電子記憶構成部品26は、必要に応じてリザーバを加圧するようにも構成され得る。
【0042】
圧力のこの上昇は、液体燃料を引き出し(弁21が開いた状態)、交換器22内において加熱し、且つこの加熱された流体をリザーバ2に再導入する(端部20を介して)ことによって実施され得る。圧力のこの上昇は、燃料消費とは無関係である。このプロセスは、有利には、迅速であり且つ柔軟性がある。
【0043】
代わりに又は組み合わせて、圧力は、リザーバ内での電気加熱を介して上昇され得る。この電気ヒータは、任意選択的に燃料電池によって再充電可能であるバッテリーを介して給電され得、このバッテリーには、リザーバ2、3に由来する水素が送給される(特に気化ガス)。
【0044】
[
図2]の変形形態に示す通り、圧力は、気化交換器12の出口において、バイパス32を介して流出回路から燃料を引き出すことによっても上昇され得る。その後、この加熱された流体は、リザーバ2内に位置する交換器28(例えば、液相に浸漬されている)内で循環し、リザーバ2内の内容物にカロリーを加えるようにする。その後、この流体は、交換器12の下流にある流出回路の流体と混合され得る。この圧力上昇は、流出回路を介して流体を流出させるときに使用され得る。
【0045】
特に[
図2]に示すように、装置は、上流端部(ハウジング10に出ているコネクタ)と、リザーバ2の上方部分に出ている端部とを接続する管を含み得、気相で充填できるようにする。
【0046】
装置は、いずれかの車両:自動車、ボート、航空機に組み込まれ得る。
【0047】
装置は、以下の特徴を含み得る(上述の特徴とは無関係の又はそれに加えた代替的な特徴)。不具合の場合の安全性を保証するために、装置は、リザーバの内容物を迅速に排出するためのシステムを含み得る。[
図3]及び[
図4]に概略的に示すように、この迅速なドレナージシステムは、例えば、加圧ガス(例えば、不活性ガス、ヘリウム)を収容する封止コンテナー33を含み得、この封止コンテナーは、開放構成部品36(せん断ディスク又は電気及び/若しくは火工アクチュエータ)に接続され、それによりリザーバの内容物を加圧ガス流体によって例えばベント管路に排出できる。この加圧ガスコンテナー33は、装置1によって又は装置1を組み込む車両によって収納され得、且つ放出管35を介してリザーバ2の内部容積に接続され得る。別個の放出管37が設けられて(少なくとも1つの弁又はフラップ38が取り付けられている)、内容物を外側に放出し得る(管は、上方又は下方部分においてリザーバの内部に接続され、且つ放出又は回復ゾーンに出ている)。
【0048】
この放出管は、妥当な場合、液体流出管に接続され得る。
【0049】
コンテナー33又はその代わりに貯蔵部は、水素を含み得、これは、排出用以外で必要に応じて追加的な燃料貯蔵部を形成し得る。
【0050】
リザーバの外壁3の全て又はいくつかは、リザーバを収納する車両の構造の一部を形成し得る。例えば、外壁3は、車両の壁及び/又はワンピース部分に接続され、車両の機械的強度を保証する。
【0051】
リザーバ2内の気化ガス(「ボイルオフ」ガス)は、例えば、流出コネクタ46に接続される好適な管を介して、例えば充填ステーションの外部バッファーリザーバにおいて回復され得る。
【0052】
例えば、この回復されたガスは、車両の少なくとも1つの燃料電池を介して又は別個のエンティティを介してバッテリーを充電するために使用され得る。回復されたガスも燃焼され得る(触媒バーナ又はフレア)。
【0053】
電気を消費せずに(又は電気消費を少なくして)リザーバを加圧するために、リザーバ2、3内の圧力及び温度を上昇させるために必要なエネルギーを数分で追加できることは、有益であり得る。これは、充填用貨物自動車又は貯蔵装置1を含む車両に接続された充填ステーションによって供給され得る。この加圧は、装置1又は前記装置を支える車両に組み込まれた封止された加圧ガス貯蔵部によっても実施され得る。この貯蔵部は、1つ以上の弁を備える放出管を介してリザーバ2、3に接続され得る。
【0054】
有利には、リザーバ2、3は、車両から取り出され得る、すなわち交換可能であり得る(空のリザーバ2、3は、満タンのリザーバ2、3と交換される)。これにより、作業を守り、特に燃料を空のリザーバに移すことにより、充填に関する制約を少なくする。これは、リザーバ2、3と、それに接続された回路との間の迅速な接続/切断インターフェースを介して得ることができる。
【0055】
従って、装置は、単純且つ安価な構造であるが、複雑さ、嵩、質量及び保守の制約を従来技術と比べて減少できる。
【国際調査報告】