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特表2022-528858ビデオ編集システム用ユーザインターフェース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】ビデオ編集システム用ユーザインターフェース
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/91 20060101AFI20220609BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20220609BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20220609BHJP
   G11B 27/02 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H04N5/91
G06F3/0484
G06F3/0481
G11B27/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557984
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 AU2020050320
(87)【国際公開番号】W WO2020198792
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】2019901099
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512262569
【氏名又は名称】ブラックマジック デザイン ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Blackmagic Design Pty Ltd
【住所又は居所原語表記】11 Gateway Court, Port Melbourne, Victoria 3207, Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダウリング マシュー
【テーマコード(参考)】
5C053
5D110
5E555
【Fターム(参考)】
5C053FA14
5C053GB06
5C053JA21
5C053LA06
5C053LA11
5D110AA27
5D110AA29
5D110CA05
5D110CA06
5D110CA42
5D110CD04
5D110CD15
5D110CF13
5D110CJ11
5D110CK18
5D110FA02
5E555AA02
5E555AA12
5E555AA29
5E555AA30
5E555AA76
5E555BA01
5E555BA73
5E555BA87
5E555BB01
5E555BC17
5E555BC18
5E555CA02
5E555CA12
5E555CB07
5E555CB40
5E555CB45
5E555CC11
5E555CC13
5E555CC14
5E555CC15
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5E555DB52
5E555DB53
5E555DB57
5E555DC19
5E555DC21
5E555DC72
5E555DD05
5E555DD06
5E555DD07
5E555DD09
5E555EA07
5E555EA08
5E555FA00
(57)【要約】
本発明は、ビデオ編集システムのための、方法、システム、及びソフトウェアプロダクトに関する。該ソフトウェアプロダクトは命令を記憶するコンピュータ可読媒体を含み、該命令がプロセッサによって実行されるとき、第1および第2の離間されたタイムラインを含むビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを表示し;一方のタイムラインとのユーザーインタラクションを検出することに応じて、他方のタイムラインに対し対応するインタラクションを適用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令を記憶するコンピュータ可読媒体を含むソフトウェアプロダクトであって、該命令がプロセッサによって実行されるとき:
第1および第2の離間されたタイムラインを含むビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを表示し;
一方のタイムラインとのユーザーインタラクションを検出することに応じて、他方のタイムラインに対し対応するインタラクションを適用する、ソフトウェアプロダクト。
【請求項2】
第1のタイムラインは、第1のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含み、第2のタイムラインは、第1のスケールとは異なる第2のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含む、請求項1に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項3】
第1および第2のタイムラインは、その上に個々に配置されたエレメントを別々に視覚的に表示する、請求項2に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項4】
より大きいスケールのタイムラインは、その上に配置されたメディアエレメントを概略的に視覚表示する、請求項3に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項5】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが他方のタイムラインに対して第2のプレイヘッドを動かす、請求項1乃至4のいずれかに記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項6】
第2のプレイヘッドは、第1のプレイヘッドが位置合わせされる時間的マーキングの値に一致する距離を移動する、請求項5に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項7】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが第2のプレイヘッドに対して他方のタイムラインを動かす、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項8】
他方のタイムラインはプレイヘッドと同時に動かされる、請求項7に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項9】
前記ユーザーインタラクションがメディアエレメントを一方のタイムラインから他方のタイムラインの時間的位置へ移動させ、適用された対応のインタラクションが該メディアエレメントのコピー又は該メディアエレメントへの参照を一方のタイムラインの対応する時間的位置に配置する、請求項1乃至8のいずれかに記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項10】
第1と第2の離間されたタイムラインを含むグラフィカルユーザインターフェースを表示すること;および
一方のタイムラインとのユーザーインタラクションを検出することに応じて、対応するインタラクションを他方のタイムラインへ適用すること;
を含む、ビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを提供する方法。
【請求項11】
第1のタイムラインは、第1のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含み、第2のタイムラインは、第1のスケールとは異なる第2のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1および第2のタイムラインは、その上に個々に配置されたエレメントを別々に視覚的に表示する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
より大きいスケールのタイムラインは、その上に配置されたメディアエレメントを概略的に視覚表示する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが他方のタイムラインに対して第2のプレイヘッドを動かす、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第2のプレイヘッドは、第1のプレイヘッドが位置合わせされる時間的マーキングの値に一致する距離を移動する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが第2のプレイヘッドに対して他方のタイムラインを動かす、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
他方のタイムラインはプレイヘッドと同時に動かされる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ユーザーインタラクションがメディアエレメントを一方のタイムラインから他方のタイムラインの時間的位置へ移動させ、適用された対応のインタラクションが該メディアエレメントのコピー又は該メディアエレメントへの参照を一方のタイムラインの対応の時間的位置に配置する、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
プロセッサと;
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のソフトウェアプロダクトと;
を含む、ビデオ編集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ビデオ編集ソフトウェアアプリケーションに関する。より具体的には、本発明は、少なくとも好ましい実施形態では、より効率的なワークフロー環境をユーザーに提供するビデオ編集ソフトウェアアプリケーション用のグラフィカルユーザインターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載のいかなる従来技術であってもそれを参照することが、その従来技術が共通の一般的知識の一部を形成することを、どの裁判管轄においても承認又は示唆するものではなく、あるいはその従来技術が当業者によって他の従来技術とともに理解され、他の従来技術と関連すると見なされ、及び/又は他の従来技術と組み合わされると合理的に予測され得ることを承認又は示唆するものではない。
【0003】
映画および/または映像の製作物は、通常、構成エレメントの集合からプロジェクトを組み立てることにより、ビデオ編集システム上で創作される。ビデオ編集システムにより、ビデオクリップ、オーディオビジュアルクリップ、オーディオクリップ、および関連するメタデータを含むこれらの構成エレメントを個別にインポートして編集し、最終の製作物に統合することができる。最新のビデオ編集システム(特に映画やテレビ業界でプロが使用するビデオ編集システム)は、高機能のビデオ編集ソフトウェアアプリケーションを含む。ダビンチリゾルブ(登録商標)として知られている出願人のビデオ編集システムは、プロの現場で広範囲にわたって使用されている最新のビデオ編集システムの一例である。ダビンチリゾルブ(登録商標)の総合機能は、代表的なワークフローの順序に編成された(それぞれが各自のグラフィカルユーザインターフェースを有する)多数の個別のページに分割される。該ダビンチリゾルブ(登録商標)のページは、Media(メディアマネジメント及びクリップ編成用);Edit(ノンリニアビデオ編集);Color(カラーコレクション及びカラーグレーディング用);Sound(デジタルオーディオワークステーション);Delivery(最終レンダリング又は出力用)を含む。
【0004】
他のノンリニアビデオ編集と同様に、ダビンチリゾルブ(登録商標)のEditページのユーザインターフェースは、編集中のプロジェクトのグラフィック表示であるタイムラインを含む。該タイムラインは、通常ユーザインターフェースウィンドウの長さ方向に沿って水平方向に伸びる、線状に間隔をおいた複数のタイムコードマーキングを含む。エレメントをタイムラインの時間的マーキングに対して位置合わせすることで、タイムラインにより、プロジェクトの構成エレメントを、望ましい時間順序に配置することができる。タイムラインに配置が終わると、編集ツールを操作することで、トリミングやスプリッティング、インサーティングやマージング、および所望位置へのクリップの移動などのオペレーションを実行する、構成エレメントの編集が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを提供し、少なくとも好ましい実施形態において、最適なビデオ編集ワークフロー環境をユーザーに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によれば、命令を記憶するコンピュータ可読媒体を含むソフトウェアプロダクトが提供され、該命令がプロセッサによって実行されるとき:
第1と第2の離間されたタイムラインを含むビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを表示し;
一方のタイムラインとのユーザーインタラクションを検出することに応じて、他方のタイムラインに対し対応するインタラクションを適用する。
【0007】
本発明は第1と第2のリンクするタイムラインを含むビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを提供し、タイムラインの一方へ起こされるアクションが自動的に他方のタイムラインへ適用される。これにより、ビデオ編集及び制作を実行するための、よりフレキシブルな、あるいは少なくとも代替のワークフロー環境を提供する。
【0008】
一実施形態によれば、第1タイムラインは第1スケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含み、第2タイムラインは第1スケールとは異なる第2スケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含む。
【0009】
本発明は、一方のタイムラインとの多種多様なユーザーインタラクションを検出して処理できる。例えば、ユーザーインタラクションは一方のタイムラインに対するプレイヘッドの動きであってもよい。この場合には、他方のタイムラインのプレイヘッドは自動的に動かされる。好ましくは、他方のタイムラインのプレイヘッドは、第1タイムライン上のプレイヘッドと同じ時間的マーキングと一致するように動かされる。換言すれば、各タイムラインのプレイヘッドは、その動きの前後両方で同じ時点を指し示す。
【0010】
別の実施形態では、ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが第2のプレイヘッドに対して他方のタイムラインを動かす。この場合、好ましくは、他方のタイムラインはプレイヘッドと同時に動かされる。
【0011】
ユーザーインタラクションは、タイムラインの一方のスケールの変更(即ちズームインまたはズームアウト)にも関与できる。この場合、他方のタイムラインのスケールは自動的に変更できる。通常、他方のタイムラインのスケールは第1タイムラインのスケールの変更に比例して変更され、その結果2つのスケールの比率は維持される。
【0012】
2つのタイムラインのスケールが異なることにより、2つのタイムラインに配置される(ビデオ、オーディオ、オーディオビジュアルクリップなどの)製作物の構成エレメントを異なる方法で描写するうえで有利となり得る。たとえば、より大きいスケール(すなわち同じ直線距離がより長い時間間隔を表す場合)のタイムラインでは、ビデオやオーディオビジュアルクリップを概略的に描写することができ、その一方、他方のタイムラインは、その同じクリップを、クリップを構成するフレームを使って描写することができる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、第1と第2の離間されたタイムラインを含むビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを表示すること;および
一方のタイムラインとのユーザーインタラクションを検出することに応じて対応するインタラクションを他方のタイムラインへ適用すること;
を含む、ビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを提供する方法が提供される。
【0014】
本発明は、さらに、プロセッサと本発明の第1態様に係るソフトウェアプロダクトとを含む、ビデオ編集システムを提供する。
【0015】
文脈からそれ以外の意味を必要とする場合を除き、本明細書に使用する用語である"comprise"、及びその用語の"comprising"、"comprises"、"comprised"等の変化形は、さらなる添加物、コンポーネント、整数又はステップを除外することを意図しない。
【0016】
本発明のさらなる態様、及び先行するパラグラフに記載された態様のさらなる実施形態は、実施例を通して及び添付する図面を参照して提供される以下の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るユーザインターフェースの第1ビューを表す図である。
図2図1に示されたユーザインターフェースの一部の拡大図である。
図3】本発明の実施形態に係るユーザインターフェースの第2ビューを表す図である。
図4図3に示されたユーザインターフェースの一部の拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係るグラフィカルユーザインターフェース機能を実行するために適したイベントループのフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係るグラフィカルユーザインターフェース機能を実行するのに適したハードウェア環境を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ソフトウェアアプリケーションを含むビデオ編集システム用ユーザインターフェース100が図1に示される。該ビデオ編集ソフトウェアアプリケーションは、システムにインポートされメディアビンエリア101に表示されるソースメディアのコンポーネントエレメントからプロジェクトの創作を可能にする。図1には、1個のオーディオトラック102Aと5個のオーディオビジュアルクリップ102B-102F(即ちそれぞれが録音されたオーディオトラックを備えたビデオクリップ)を含む、6個のコンポーネントエレメントが示されている。当業者によって理解されるように、ビデオ編集アプリケーションは、プロジェクト全体に対するのと同様に各個のコンポーネントエレメントに対してもメタデータを記憶し管理する。
【0019】
ユーザインターフェース100は、ダビンチリゾルブ(登録商標)のエディットページ上に表示される、通常のユーザインタフェースエレメントのサブセットのみ表示することで簡素化されている。たとえば、ユーザインターフェース100は、ビデオやオーディオビジュアルクリップを見るための別個のビューアウィンドウをメディアビンエリア101内に含まない。簡素化されたユーザインターフェースは、たとえば、メディアのインポート、編集、トリミング、トランジションやタイトルの追加、自動カラーマッチングやオーディオミキシングを行うために、特定のプロジェクトに必要とされるコアツールを表示する。
【0020】
ユーザインターフェース100は、さらに、選択されたクリップ(この場合クリップ102F)を見るためのビューアウィンドウ110、第1タイムライン120および第1タイムライン120と平行に置かれる第2タイムライン140を含む。この例では、第2タイムライン140は第1タイムライン120の上に置かれるが、他の実施形態では下に配置されてもよい。第1タイムライン120は、ビデオ編集ソフトウェアで使用されるタイムラインであり、具体的には、ソースメディアのインサーション、編集、配置によりプロジェクトを創作するためのタイムラインである。これに関連して、個々のソースメディアエレメント102A-102Fを、メディアビンエリア101またはビューアウィンドウ110から第1タイムライン120に、ドラッグなどによりインサートすることができる。一旦タイムラインに入ると、ソースメディアエレメントを適宜編集したりや配列を行うことが可能になる。本発明によれば、ソースメディアエレメントを第2タイムライン140に適宜インサートすることも可能であり、その際、該ソースメディアエレメントは第1タイムライン120に自動的に出現する。
【0021】
第2タイムライン140はプロジェクト全体のタイムラインを表し、タイムライン120はその一部を拡大して示す。
【0022】
各タイムライン120および140は、ビューアウィンドウ110および第1タイムライン120、第2タイムライン140で再生されているクリップのフレームの現在の時間的位置を示すグラフィックラインである、個々のプレイヘッド145および125を含む。
【0023】
図2でより明確に示すように、第1タイムライン120は均一な長さの領域に分割され、時間、分、秒、フレームのタイムコード単位でマークされる。図2で示されるズームレベル(即ちスケール)では、タイムライン120の各領域は、2秒と8フレームの再生中のクリップを含み、該クリップは1秒あたり24フレームを含む。
【0024】
タイムコードは、領域の距離が第1のタイムライン120の領域の距離よりも短く、かつ再生中のクリップの時間間隔がより長い、第2タイムライン140上で異なるスケールでマークされる。これに関連して、図2に示すように、第2タイムライン140のそれぞれの(より短い)領域は、51秒と8フレームの再生中のクリップを含む。
【0025】
直線の単位長当たりの時間間隔を長く描写することで、第2タイムライン140は、プロジェクト全体をユーザインターフェース100の単一のウィンドウ内に示すように構成されている。これによってプロジェクトの全体構造のより高いレベルの視点を提供する。一方、第1タイムライン120のよりきめの細かいスケールは、特に、個々のクリップの詳細を見てそれに基づく編集を行うのに適している。スケールがそれぞれ異なる2つのタイムライン120及び140を同時に描写することで、全体のプロジェクト構造を現在のエレメントの詳細と対比させることが可能になる。
【0026】
例示された実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース100は、タイムライン120および140のそれぞれに存在するコンポーネントエレメントを異なる方法で描写する。そうすることで、2つのタイムライン120および140が異なるスケールを有するという事実から生じる、特定のメリットをもたらすことができる。より具体的には、上記のように、タイムライン140は、直線距離の単位によって表される時間間隔の長さに関して、タイムライン120よりも大きなスケールを有する。したがって、タイムライン140は、個々のクリップの詳細は二次的に重要としつつ、プロジェクトの全体構造を描写するのにより適している。
【0027】
この表示方法は、実線の長方形状155を使用してタイムライン140に存在するエレメントを概略的に描写することにより、グラフィカルユーザインターフェース100に実現する。他方、それらの同じエレメントは、エレメントを含む個々のフレームの線系列135を使用してタイムライン120に描写される。エレメントは、タイムライン120および140の両方で同じ順序で垂直に積み重ねられる。図示される実施形態では、これは、2つのオーディオトラックの上で積み重ねられた2つのオーディオビジュアルトラックを含む。
【0028】
図1にもどると、グラフィカルユーザインターフェース100は、ユーザーが様々の方法でタイムライン120と140のどちらかとインタラクトすることを可能にする。そのようなインタラクションの1つは、プレイヘッド125の1つを異なる位置へ移動させることであり、それはプレイヘッドを、再生中のクリップにおいて異なる時間的位置へ進めたり巻き戻したりするエフェクトを有する。そのような移動が図3及び図4で示され、それは図1および図2で示された位置から異なる位置へ動かされた後のプレイヘッドのタイムコード位置を示している。(タイムライン140内にある)プレイヘッド125の場合、図3および4に示される位置は、タイムコード単位01:03:25:08と01:04:16:16とで区切られた領域内にある。(タイムライン120内にある)プレイヘッド145の場合、図3および4に示される位置は、タイムコード単位01:03:34:16と01:03:37:00とで区切られた領域内にある。
【0029】
グラフィカルユーザインターフェース100は、タイムライン120および140の一方とのユーザーインタラクションが他方のタイムラインに自動的に適用されるようにプログラムされている。プレイヘッドの移動の場合、一方のプレイヘッドの移動は、その特定のタイムラインに対する他方のプレイヘッドの位置に自動的に反映される。あるタイムラインから別のタイムラインへのユーザーインタラクションのこの自動的な適用は、各タイムライン120および140の異なるスケールと組み合わせて相乗効果を得る。これに関連して、ユーザーは編集ワークフローを最適化するようにタイムラインを容易に操作できる。たとえば、ユーザーは、プレイヘッド125を移動して、プロジェクト全体の異なる位置にすばやくナビゲートするとともに、プレイヘッド145はタイムライン120にある新しい位置の特定のクリップに自動的に移動する。他方、プレイヘッド145を操作することにより、ユーザーはより正確に時間的位置の調整を行うことができ、タイムライン140におけるプレイヘッド125の新しい位置を調べることで、プロジェクト全体の文脈でその結果を直ちに見ることができる。
【0030】
別の実施形態では、ユーザーは、プレイヘッド125を動かしてプロジェクト全体の異なる位置にナビゲートすることができるが、プレイヘッド145は、例えばタイムライン120の中央などの同じ位置に留まる。時間的位置の変化を反映するために、タイムライン120自体が(静止する)プレイヘッド145に対して移動する。タイムライン120の移動は、プレイヘッド125の移動と同時に発生する。これにより、プレイヘッド145は、そのプレイヘッドの移動中および移動が完了するときの両方で、プレイヘッド125と同じ時間値を指すことを保証する。
【0031】
本発明によって容易になるタイムライン120と140のもう1つのインタラクションは、タイムラインのうちの1つのスケールを変更すること(すなわちズームインまたはズームアウトすること)である。このような変更は、(スライダーなどの)適切なグラフィカルユーザーインターフェイスエレメントを操作するか、ビデオ編集システムによって提供またはそこにマッピングされたキーボードショートカットをクリックすることにより行われる。ユーザインターフェースは、一方のタイムラインのスケールの変更が他方のタイムラインに影響を与えないように構成できる。他の実施形態は、2つのスケールの比率が維持されるように、比例した変化を適用するなどして、ズームレベルの変化が他の時間に適用されることを可能にする。
【0032】
本発明に係るユーザインターフェースは、タイムライン内のある場所から別の場所へのクリップの移動に関連するオペレーションのための強化されたワークフローを提供する。たとえば、ユーザーが、編集中のクリップをプレゼンテーションの最後に移動したい場合がある。以前は、このようなオペレーションは、クリップを選択し、タイムラインをズームアウトすることで目的位置を目視可能にして、それから目的位置にクリップをドラッグアンドドロップするか、コピーアンドペーストしていた。本発明によれば、そのようなオペレーションは、タイムライン120でクリップを選択しそれをタイムライン140の目的位置までドラッグすることによって、シンプルに達成される。より大きな「ズームアウト」のスケールを有するので、目的位置はすでにタイムライン140で目視可能となっている。
【0033】
2つのタイムライン120と140は、同じプロジェクトの代替のビューを提供する。したがって、ユーザインターフェース100は、一方タイムラインから他方のタイムラインへのクリップの移動を検出し、クリップの移動元のタイムラインに対して適切なオペレーションを適用するようにプログラムされている。例えば、ユーザーがタイムライン120からタイムライン140の特定の時間的位置にクリップを移動する場合、ユーザインターフェース100は、クリップのコピー(またはクリップへの参照)をタイムライン120の同じ時間的位置に配置する。しかしながら、タイムライン120内のクリップは、より小さなスケールであるため、プレイヘッド145をその時間的位置に移動させるまで、ユーザーが目視できない場合がある。上記のように、このオペレーションは、プレイヘッド145が自動的にタイムライン120内のクリップに移動されるので、プレイヘッド125を目的の時間的位置に移動することによって容易に実行することができる。
【0034】
図5は、本発明のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)機能を実行するのに適したイベントループを示している。プロセスはステップ500で開始し、第1タイムライン120または第2タイムライン130の1つに接続された適切なイベントリスナーが、タイムラインの1つとのユーザーインタラクションを知らせるイベントの通知を基盤GUIフレームワークから受信する。
【0035】
ステップ510で、ビデオ編集ソフトウェアアプリケーションは、イベントを照会し、発生したユーザーインタラクションの特定のタイプを決定する。上記のように、ユーザーインタラクションの例として、タイムラインに関連するプレイヘッドの移動やタイムラインのスケールの変更がある。
【0036】
ステップ520で、ビデオ編集ソフトウェアアプリケーションは、上記に述べた方法を使って、対応するインタラクションを他方のタイムラインに適用する。
【0037】
ステップ530で、タイムラインに接続されたイベントリスナーが処理を終了したかどうかの決定がなされる。終了した場合、イベントループは反復を停止する。他方、イベントループはステップ500に戻り、タイムラインに対して発生する、後続するイベントを待機する。
【0038】
図6は、本発明の実施形態を実施可能なコンピュータシステム1000の一例を示すブロック図を提供する。コンピュータシステム1000は、情報を伝えるためのバス1002または他の通信メカニズムと、バス1002に接続された、情報を処理するためのハードウェアプロセッサ1004とを含む。ハードウェアプロセッサ1004は、例えば、汎用マイクロプロセッサ、グラフィックスプロセッシングユニット、他のタイプのプロセッシングユニット、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0039】
さらに、コンピュータシステム1000は、情報や、プロセッサ1004によって実行される命令を記憶するための、バス1002に接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)や他のダイナミック記憶装置などのメインメモリ1006を含む。メインメモリ1006は、プロセッサ1004によって実行される命令の実行中に一時変数や他の中間情報を記憶するためにも使われる。そのような命令が、プロセッサ1004にアクセス可能な非一時記憶媒体に格納される場合、コンピュータシステム1000を、該命令により指定されたオペレーションを実行するようカスタマイズされた専用マシンにする。
【0040】
コンピュータシステム1000はさらに、バス1002に接続された、静的情報やプロセッサ1004の命令を記憶するためのリードオンリーメモリ(ROM)1008や他のスタティック記憶装置を含む。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶装置1010が提供され、情報や上記のビデオ編集ソフトウェアアプリケーションを含む命令を格納するために、バス1002に接続される。
【0041】
コンピュータシステム1000は、バス1002を介して(LCD、LED、タッチスクリーンディスプレイまたはその他のディスプレイなどの)ディスプレイ1012に接続され、コンピュータユーザに対して、上記で説明され図示されたグラフィカルユーザインターフェースなどの情報を表示する。英数字キーおよびその他のキーを含む入力デバイス1014は、情報およびコマンド選択をプロセッサ1004に伝えるためにバス1002に接続される。別のタイプのユーザー入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ1004に伝え、およびディスプレイ1012上のカーソルの動きを制御するための、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソルコントロール1016である。
【0042】
一実施形態によれば、本明細書に記載の技術は、メインメモリ1006に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1004に対応して、コンピュータシステム1000によって実行される。そのような命令は、リモートデータベースなどの別の記憶媒体からメインメモリ1006に読み込まれてもよい。メインメモリ1006に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ1004は、本明細書に記載のプロセスのステップを実行する。代替の実施形態では、ハードワイヤード回路を、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本明細書で使用される「記憶媒体」という用語は、マシンを特定の方法で動作させるデータおよび/または命令を格納するあらゆる非一時的な記憶媒体を指す。そのような記憶媒体は、不揮発性記憶媒体および/または揮発性記憶媒体を含み得る。不揮発性記憶媒体には、例えば、記憶装置1010などの光学ディスクまたは磁気ディスクが含まれる。揮発性記憶媒体には、メインメモリ1006などのダイナミックメモリが含まれる。記憶媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、またはその他のあらゆる磁気データ記憶媒体、CD-ROM、その他のあらゆる光データ記憶媒体、孔のパターンを備えたあらゆる物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、NVRAM、その他あらゆるメモリチップまたはカートリッジが含まれる。
【0044】
さらに、コンピュータシステム1000は、バス1002に接続された通信インターフェース1018を含む。通信インターフェース1018は、1つの通信ネットワーク1050に接続されたネットワークリンク1020に結合して双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース1018は、デジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、サテライトモデムなどの総合サービスであってもよい。別の例として、通信インターフェース1018は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。ワイヤレスリンクを実装してもよい。そのような実装を行う場合、通信インターフェース1018は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを伝送する電気、電磁気、または光信号を送受信する。
【0045】
本明細書で開示され明らかとなった発明は、テキストや図面に記載され又はそこから明白な、個々の特徴の2つ以上の全ての代替されうる組み合わせに及ぶことが理解されるだろう。これらの異なる組み合わせの全てが本発明の様々の代替されうる態様を構成する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令を記憶するコンピュータ可読媒体を含むソフトウェアプロダクトであって、該命令がプロセッサによって実行されるとき:
第1および第2の離間されたタイムラインを含むビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを表示し;
一方のタイムラインとのユーザーインタラクションを検出することに応じて、他方のタイムラインに対し対応するインタラクションを適用する、ソフトウェアプロダクトであって、
前記タイムラインに入ると、前記プロジェクト内のメディアエレメントを編集し配列を行うことが可能であり、前記タイムラインの各々は、編集中の前記プロジェクトのグラフィック表示を提供し、前記タイムラインの各々は、前記同じプロジェクトの代替のビューを提供する、ソフトウェアプロダクト
【請求項2】
第1のタイムラインは、第1のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含み、第2のタイムラインは、第1のスケールとは異なる第2のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含む、請求項1に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項3】
第1および第2のタイムラインは、その上に個々に配置されたエレメントを別々に視覚的に表示する、請求項2に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項4】
より大きいスケールのタイムラインは、その上に配置されたメディアエレメントを概略的に視覚表示する、請求項3に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項5】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが他方のタイムラインに対して第2のプレイヘッドを動かす、請求項1乃至4のいずれかに記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項6】
第2のプレイヘッドは、第1のプレイヘッドが位置合わせされる時間的マーキングの値に一致する距離を移動する、請求項5に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項7】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが第2のプレイヘッドに対して他方のタイムラインを動かす、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項8】
他方のタイムラインはプレイヘッドと同時に動かされる、請求項7に記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項9】
前記ユーザーインタラクションがメディアエレメントを一方のタイムラインから他方のタイムラインの時間的位置へ移動させ、適用された対応のインタラクションが該メディアエレメントのコピー又は該メディアエレメントへの参照を一方のタイムラインの対応する時間的位置に配置する、請求項1乃至8のいずれかに記載のソフトウェアプロダクト。
【請求項10】
第1と第2の離間されたタイムラインを含むグラフィカルユーザインターフェースを表示すること;および
一方のタイムラインとのユーザーインタラクションを検出することに応じて、対応するインタラクションを他方のタイムラインへ適用すること;
を含む、ビデオ編集システム用のグラフィカルユーザインターフェースを提供する方法であって、
前記タイムラインに入ると、前記プロジェクト内のメディアエレメントを編集し配列を行うことが可能であり、前記タイムラインの各々は、編集中の前記プロジェクトのグラフィック表示を提供し、前記タイムラインの各々は、前記同じプロジェクトの代替のビューを提供する、方法
【請求項11】
第1のタイムラインは、第1のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含み、第2のタイムラインは、第1のスケールとは異なる第2のスケールに従って表示された、線状に間隔をおいた複数の時間的マーキングを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1および第2のタイムラインは、その上に個々に配置されたエレメントを別々に視覚的に表示する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
より大きいスケールのタイムラインは、その上に配置されたメディアエレメントを概略的に視覚表示する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが他方のタイムラインに対して第2のプレイヘッドを動かす、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第2のプレイヘッドは、第1のプレイヘッドが位置合わせされる時間的マーキングの値に一致する距離を移動する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザーインタラクションが一方のタイムラインに対してプレイヘッドを動かし、適用された対応のインタラクションが第2のプレイヘッドに対して他方のタイムラインを動かす、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
他方のタイムラインはプレイヘッドと同時に動かされる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ユーザーインタラクションがメディアエレメントを一方のタイムラインから他方のタイムラインの時間的位置へ移動させ、適用された対応のインタラクションが該メディアエレメントのコピー又は該メディアエレメントへの参照を一方のタイムラインの対応の時間的位置に配置する、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記エレメントをタイムラインに対して位置合わせすることで、前記タイムラインの各々により、前記プロジェクトの前記メディアエレメントを、望ましい時間順序に配置することができる、請求項10乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
プロセッサと;
前記プロセッサに請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法を実行させるソフトウェアプロダクトと;
を含む、ビデオ編集システム。
【国際調査報告】