(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】軸受寿命を判定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01M 13/04 20190101AFI20220609BHJP
G01M 17/08 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
G01M13/04
G01M17/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557989
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2019104309
(87)【国際公開番号】W WO2020199497
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】201910257598.5
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516183897
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲機車車▼輌股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.88 Jinhongdong Road, Chengyang District, Qingdao, Shandong, 266111, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ホウ ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ドン シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユエジュン
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AC00
2G024BA12
2G024BA21
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA11
2G024CA12
2G024CA13
2G024DA05
2G024DA09
2G024DA12
2G024FA01
(57)【要約】
本発明の実施例は軸受寿命を判定する方法及び装置を開示している。各作業状況で、複数の異なる動作期間でのモータ出力トルクの負荷スペクトルを含み、目的作業状況に対して、各動作期間に対応するモータ出力トルクを利用して、軸受の現在振動負荷、噛合い負荷を結合して、当該目的作業状況での当量平均負荷を計算することで、前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定する。このように、各作業状況にある異なる動作期間のモータ出力トルクを導入するため、取得した当量平均負荷は、ホイールレールのランダムな不規則性などによる振動負荷を考慮しただけではなく、モータから伝達された可変トルク負荷という特徴も体現し、これによって、計算した軸受寿命がより正確になり、当該伝動システムの運転状況をよりよく判定でき、伝動システムの運転の確実性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受寿命を判定する方法であって、
軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得するステップであって、前記目的作業状況の負荷スペクトルは、複数の異なる動作期間での負荷スペクトルを含むステップと、
前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するステップと、
前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するステップは、
前記目的作業状況の負荷スペクトルでの各動作期間に対して、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び当該動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、当該動作期間での当量動的負荷を計算するステップと、
前記目的作業状況にある各動作期間での前記当量動的負荷、動作期間及び当該動作期間でのモータ回転速度に基づき、前記目的作業状況での前記当量平均負荷を計算するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目的作業状況は、空車乗車左側通行作業状況、空車乗車右側通行作業状況、定員乗車左側通行作業状況、定員乗車右側通行作業状況、定員オーバー乗車左側通行作業状況及び定員オーバー乗車右側通行作業状況のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、
空車乗車であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、及び前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間を取得するステップと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第1右側通行寿命及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1軸受寿命を計算するステップと、
定員乗車であれば、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間を取得するステップと、
前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第2右側通行寿命及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2軸受寿命を計算するステップと、
定員オーバー乗車であれば、前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するステップと、
前記第3左側通行寿命、前記第3左側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3軸受寿命を計算するステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、
左側通行であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間を取得するステップと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第3左側通行寿命及び前記第3左側通行期間に基づき、前記左側通行の第4軸受寿命を計算するステップと、
右側通行であれば、前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間、前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するステップと、
前記第1右側通行寿命、前記第1右側通行期間、前記第2右側通行寿命、前記第2右側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記右側通行の第5軸受寿命を計算するステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
さらに、
前記空車乗車に対応する前記第1左側通行期間及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1総期間を計算し、前記定員乗車に対応する前記第2左側通行期間及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2総期間を計算し、前記定員オーバー乗車に対応する前記第3左側通行期間及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3総期間を計算するステップと、
前記第1総期間、前記第2総期間、前記第3総期間、前記第1軸受寿命、前記第2軸受寿命及び前記第3軸受寿命に基づき、前記軸受の全作業状況寿命を判定するステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
軸受寿命を判定する装置であって、
軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得するための第1取得ユニットであって、前記目的作業状況の負荷スペクトルは、複数の異なる動作期間での負荷スペクトルを含む第1取得ユニットと、
前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するための第1計算ユニットと、
前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定するための第1判定ユニットと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
前記第1計算ユニットは、
前記目的作業状況の負荷スペクトルでの各動作期間に対して、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び当該動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、当該動作期間での当量動的負荷を計算するための第1計算サブユニットと、
前記目的作業状況にある各動作期間での前記当量動的負荷、動作期間及び当該動作期間でのモータ回転速度に基づき、前記目的作業状況での前記当量平均負荷を計算するための第2計算サブユニットと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記目的作業状況は、空車乗車左側通行作業状況、空車乗車右側通行作業状況、定員乗車左側通行作業状況、定員乗車右側通行作業状況、定員オーバー乗車左側通行作業状況及び定員オーバー乗車右側通行作業状況のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
さらに、
空車乗車であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、及び前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間を取得するための第2取得ユニットと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第1右側通行寿命及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1軸受寿命を計算するための第2計算ユニットと、
定員乗車であれば、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間を取得するための第3取得ユニットと、
前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第2右側通行寿命及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2軸受寿命を計算するための第3計算ユニットと、
定員オーバー乗車であれば、前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するための第4取得ユニットと、
前記第3左側通行寿命、前記第3左側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3軸受寿命を計算するための第4計算ユニットと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
さらに、
左側通行であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間を取得するための第5取得ユニットと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第3左側通行寿命及び前記第3左側通行期間に基づき、前記左側通行の第4軸受寿命を計算するための第5計算ユニットと、
右側通行であれば、前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間、前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するための第6取得ユニットと、
前記第1右側通行寿命、前記第1右側通行期間、前記第2右側通行寿命、前記第2右側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記右側通行の第5軸受寿命を計算するための第6計算ユニットと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
さらに、
前記空車乗車に対応する前記第1左側通行期間及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1総期間を計算し、前記定員乗車に対応する前記第2左側通行期間及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2総期間を計算し、前記定員オーバー乗車に対応する前記第3左側通行期間及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3総期間を計算するための第7計算ユニットと、
前記第1総期間、前記第2総期間、前記第3総期間、前記第1軸受寿命、前記第2軸受寿命及び前記第3軸受寿命に基づき、前記軸受の全作業状況寿命を判定するための第2判定ユニットと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2019年4月1日にて中国国家知的財産局に提出され、出願番号が201910257598.5であり、発明名称が「軸受寿命を判定する方法及び装置」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【0002】
本発明は軸受の技術分野に関わり、特に、軸受寿命を判定する方法及び装置に関わる。
【背景技術】
【0003】
軸受は機械機器における伝動システムの重要な部材として、主に機械式回転体を支持し、機械式回転体の運動過程での摩擦係数を低減させ、当該機械式回転体の回転精度を保証する。伝動システム全体、さらに機械機器全体(例えば、鉄道輸送列車)にとって、軸受の寿命の長さは、伝動システム全体と機械機器との使用効率、及び運転の確実性につながるため、軸受の寿命を正確に判定できると、伝動システムと機械機器との使用状況を効果的に評価できる。ここで、軸受寿命は、軸受の内輪、外輪または転動体で、最初に疲労進展が出現する際の累積運転時間を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、伝動システムの軸受について、現在、その寿命の計算は粗末であり、計算した寿命値と軸受の実際寿命とは、一定のずれがあり、当該軸受を含む伝動システムの運転状況に対する判断はあまり正確ではない。ある特殊な伝動システム、例えば、ボギーギアボックスの軸受に対して、モータから伝達された可変トルク負荷だけではなく、ホイールレールのランダムな不規則性などによる振動負荷も受けなければならないという特殊な役割特点のため、ボギーギアボックスにおける軸受の寿命を正確に計算することは、非常に困難である。
【0005】
前記技術問題を解決するために、本発明は、作業状況が複雑であるいくつかの特殊な伝動システムにおける軸受に対しても、当該軸受の寿命を正確に判定でき、当該伝動システムの運転状況をよりよく判定でき、伝動システムの運転の確実性を向上させるための軸受寿命を判定する方法及び装置を提供する。
【0006】
本発明は、鉄道交通のほとんど全ての電気伝動牽引列車(例えば、高速列車(EMU)、都市間鉄道、市電)のボギーギアボックスの軸受の疲労寿命の正確な計算に適用されるとともに、牽引モータの軸受の寿命計算にも適用され、高速列車のホイールセット軸ボックスの軸受の寿命計算に対しても、大きい適用性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様によれば、軸受寿命を判定する方法を提供し、
軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得するステップであって、前記目的作業状況の負荷スペクトルは、複数の異なる動作期間での負荷スペクトルを含むステップと、
前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するステップと、
前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定するステップと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するステップは、
前記目的作業状況の負荷スペクトルでの各動作期間に対して、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び当該動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、当該動作期間での当量動的負荷を計算するステップと、
前記目的作業状況にある各動作期間での前記当量動的負荷、動作期間及び当該動作期間でのモータ回転速度に基づき、前記目的作業状況での前記当量平均負荷を計算するステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、前記目的作業状況は、空車乗車左側通行作業状況、空車乗車右側通行作業状況、定員乗車左側通行作業状況、定員乗車右側通行作業状況、定員オーバー乗車左側通行作業状況及び定員オーバー乗車右側通行作業状況のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
好ましくは、当該方法はさらに、
空車乗車であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、及び前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間を取得するステップと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第1右側通行寿命及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1軸受寿命を計算するステップと、
定員乗車であれば、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間を取得するステップと、
前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第2右側通行寿命及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2軸受寿命を計算するステップと、
定員オーバー乗車であれば、前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するステップと、
前記第3左側通行寿命、前記第3左側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3軸受寿命を計算するステップと、を含む。
【0011】
好ましくは、当該方法はさらに、
左側通行であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間を取得するステップと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第3左側通行寿命及び前記第3左側通行期間に基づき、前記左側通行の第4軸受寿命を計算するステップと、
右側通行であれば、前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間、前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するステップと、
前記第1右側通行寿命、前記第1右側通行期間、前記第2右側通行寿命、前記第2右側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記右側通行の第5軸受寿命を計算するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、当該方法はさらに、
前記空車乗車に対応する前記第1左側通行期間及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1総期間を計算し、前記定員乗車に対応する前記第2左側通行期間及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2総期間を計算し、前記定員オーバー乗車に対応する前記第3左側通行期間及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3総期間を計算するステップと、
前記第1総期間、前記第2総期間、前記第3総期間、前記第1軸受寿命、前記第2軸受寿命及び前記第3軸受寿命に基づき、前記軸受の全作業状況寿命を判定するステップと、を含む。
【0013】
第2態様によれば、軸受寿命を判定する装置を提供し、
軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得するための第1取得ユニットであって、前記目的作業状況の負荷スペクトルは、複数の異なる動作期間での負荷スペクトルを含む第1取得ユニットと、
前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するための第1計算ユニットと、
前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定するための第1判定ユニットと、を含む。
【0014】
好ましくは、前記第1計算ユニットは、
前記目的作業状況の負荷スペクトルでの各動作期間に対して、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び当該動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、当該動作期間での当量動的負荷を計算するための第1計算サブユニットと、
前記目的作業状況にある各動作期間での前記当量動的負荷、動作期間及び当該動作期間でのモータ回転速度に基づき、前記目的作業状況での前記当量平均負荷を計算するための第2計算サブユニットと、を含む。
【0015】
好ましくは、前記目的作業状況は、空車乗車左側通行作業状況、空車乗車右側通行作業状況、定員乗車左側通行作業状況、定員乗車右側通行作業状況、定員オーバー乗車左側通行作業状況及び定員オーバー乗車右側通行作業状況のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
好ましくは、当該装置はさらに、
空車乗車であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、及び前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間を取得するための第2取得ユニットと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第1右側通行寿命及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1軸受寿命を計算するための第2計算ユニットと、
定員乗車であれば、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間を取得するための第3取得ユニットと、
前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第2右側通行寿命及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2軸受寿命を計算するための第3計算ユニットと、
定員オーバー乗車であれば、前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するための第4取得ユニットと、
前記第3左側通行寿命、前記第3左側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3軸受寿命を計算するための第4計算ユニットと、を含む。
【0017】
好ましくは、当該装置はさらに、
左側通行であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間を取得するための第5取得ユニットと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第3左側通行寿命及び前記第3左側通行期間に基づき、前記左側通行の第4軸受寿命を計算するための第5計算ユニットと、
右側通行であれば、前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間、前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するための第6取得ユニットと、
前記第1右側通行寿命、前記第1右側通行期間、前記第2右側通行寿命、前記第2右側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記右側通行の第5軸受寿命を計算するための第6計算ユニットと、を含む。
【0018】
好ましくは、当該装置はさらに、
前記空車乗車に対応する前記第1左側通行期間及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1総期間を計算し、前記定員乗車に対応する前記第2左側通行期間及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2総期間を計算し、前記定員オーバー乗車に対応する前記第3左側通行期間及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3総期間を計算するための第7計算ユニットと、
前記第1総期間、前記第2総期間、前記第3総期間、前記第1軸受寿命、前記第2軸受寿命及び前記第3軸受寿命に基づき、前記軸受の全作業状況寿命を判定するための第2判定ユニットと、を含む。
【0019】
本発明の実施例において、各作業状況で、複数の異なる動作期間でのモータ出力トルクの負荷スペクトルを含み、目的作業状況に対して、各動作期間に対応するモータ出力トルクを利用して、軸受の現在振動負荷、噛合い負荷を結合して、当該目的作業状況での当量平均負荷を計算することで、前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定する。このように、各作業状況にある異なる動作期間のモータ出力トルクを導入するため、取得した当量平均負荷は、ホイールレールのランダムな不規則性などによる振動負荷を考慮しただけではなく、モータから伝達された可変トルク負荷という特徴も体現し、これによって、計算した軸受寿命がより正確になり、当該伝動システムの運転状況をよりよく判定でき、伝動システムの運転の確実性を向上させる。
本発明の実施例の技術案をより明らかに説明するために、以下は実施例の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載の図面は本発明に記載のいくつかの実施例のみであり、当業者にとって、これらの図面に基づき、他の図面を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例の軸受寿命を判定する方法のフロー模式図である。
【
図2】本発明の実施例のステップ102の例示のフロー模式図である。
【
図3】本発明の実施例の軸受寿命を判定する装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
現在、鉄道交通工具は列車、地鉄、路面電車などを含み、人の外出を便利にする。ボギーは鉄道交通工具の重要な結果の1つとして、そのアッパーギアボックスにおける軸受の寿命は、伝動システム全体、さらに鉄道交通工具全体の使用効率及び運用の確実性を直接的に决定する。一般的に、軸受の寿命は、軸受の内輪、外輪または転動体で最初に疲労進展が出現する際の累積運転時間を指す。理解できるように、軸受寿命と受ける当量動的負荷との間は、一般的に指数関係を呈して、そうすれば、軸受寿命を正確に計算するために、軸受が受けた当量動的負荷をできるだけ正確に計算しなければならない。
【0022】
ただし、発明者の研究から分かるように、ボギーのギアボックスは、その特殊な作業状況、即ち、モータから伝達された可変トルク負荷だけではなく、さらにホイールレールのランダムな不規則性などによる振動負荷を受けるため、ギアボックスの軸受が受けた当量動的負荷を正確に計算することは困難である。いくつかの実現形態において、各種作業状況に対して、いずれも一定のモータ出力トルク値により、ギアボックスの軸受が受けた当量動的負荷を計算しており、このように、異なる作業状況でのモータ出力トルクの差を考慮していないため、計算した軸受の当量動的負荷はあまり正確ではなく、計算した軸受寿命も正確ではない。
【0023】
これに基づき、本発明の実施例において、列車牽引サプライヤーが施工設計を行う場合、列車が実際駅間距離に従って運転する際の牽引、制動、グリッド電圧変動、机械部品の伝動効率、左右側通行などの要因を総合に考慮して牽引システムのパフォーマンスに対してシミュレーション計算を行って、牽引モータの「トルク-時間-回転速度」負荷スペクトルを計算し、列車牽引サプライヤーが提供した当該牽引モータの「トルク-時間-回転速度」負荷スペクトルを利用して、軸受が不安定な変動応力を受ける際の疲労損傷累積理論を結合することで、軸受寿命を正確に計算できる。具体的な計算方式は、軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得するステップであって、前記目的作業状況の負荷スペクトルは、複数の異なる動作期間での負荷スペクトルを含むステップと、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するステップと、前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定するステップと、を含む。
【0024】
このように、本発明の実施例の、判定した軸受寿命について、各作業状況にある異なる動作期間のモータ出力トルクを導入するため、取得した当量平均負荷は、ホイールレールのランダムな不規則性などによる振動負荷を考慮しただけではなく、モータから伝達された可変トルク負荷という特徴も体現し、これによって、計算した軸受寿命がより正確になり、当該伝動システムの運転状況をよりよく判定でき、伝動システムの運転の確実性を向上させる。
【0025】
以下は図面を結合して、実施例を介して、本発明の実施例における、軸受寿命を判定する方法の具体的な実現形態を詳しく説明する。
【0026】
図1は本発明の実施例が提供する軸受寿命を判定する方法のフロー模式図を示す。
図1を参照し、本発明の実施例は具体的に以下のステップを含み、
ステップ101:軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得し、当該目的作業状況の負荷スペクトルは、複数の異なる動作期間での負荷スペクトルを含む。
【0027】
理解できるように、列車の目的作業状況は、空車乗車左側通行作業状況、空車乗車右側通行作業状況、定員乗車左側通行作業状況、定員乗車右側通行作業状況、定員オーバー乗車左側通行作業状況及び定員オーバー乗車右側通行作業状況のうちの少なくとも1つを含む
【0028】
列車牽引サプライヤーは各種の作業状況に対して、それぞれ対応する牽引モータの「トルク-時間-回転速度」負荷スペクトルを提供し、例えば、具体的な牽引モータの負荷スペクトルの形態は以下のテーブル1に示され、
テーブル1の各行は、当該作業状況での1つの動作期間に対応する関連パラメータであり、具体的に、当該作業状況の当該動作期間での車速、ロック動力(Loco effort)、各モータのロック動力(Loco effort per motor)、モータ回転速度及びモータ出力トルクを含む。
【0029】
具体的に実現する場合、テーブル1に示す負荷スペクトルにより、目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得する。
【0030】
理解できるように、軸受の現在振動負荷に対して、軸受の現在振動加速度を実測し、当該軸受の品質、重心及び現在振動加速度に基づき、軸受の現在振動負荷を計算して取得する。ここで、軸受の現在振動負荷について、国際電気標準会議会により作成されたIEC61373:「鉄道応用-機関車機器-衝撃および振動試験」標準を参照すればよい。
【0031】
理解できるように、噛合い負荷に対して、ギアボックスの設計に基づき判定され、具体的に、トルク、伝動比及び他の幾何学的パラメータに基づき、ギアボックスにおけるギアペアの噛合い負荷を共同に計算する。
【0032】
ステップ101に従って、軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得して、後続、目的作業状況での当量平均負荷及び軸受の寿命を正確に判定することに対して、データ基礎を提供する。
テーブル1 ある作業状況での、牽引モータの「トルク-時間-回転速度」負荷スペクトル
【0033】
ステップ102:前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算する。
【0034】
理解できるように、当量動的負荷は、軸受が径方向と軸方向との複合負荷を同時に受ける場合、実際負荷を、判定した基本定格動的負荷の負荷条件と一致する当量動的負荷に変換することを指す。つまり、当量動的負荷により計算された軸受寿命は、同じ判断標準を有し、同じ条件で比較することができる。
【0035】
具体的に実現する場合、ステップ102の実現について、具体的に
図2に示される実現形態を参照すればよく、以下のステップを含み、
ステップ201:前記目的作業状況の負荷スペクトルでの各動作期間に対して、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び当該動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、当該動作期間での当量動的負荷を計算する。
【0036】
理解できるように、目的作業状況の負荷スペクトルでの各動作期間、振動負荷、前記噛合い負荷及び当該動作期間での前記モータ出力トルクに対して、所定の計算式に従って、当該動作期間での当量動的負荷を計算する。例えば、テーブル1の対応する各行に対して、いずれも振動負荷、前記噛合い負荷及び当該行におけるモータ出力トルクに基づき、当該行に対応する当量動的負荷を計算する。
【0037】
具体的に実現する場合、当該作業状況で、N(Nは正の整数である)個の動作期間の負荷スペクトルを提供すれば、このN個の動作期間に対して、各動作期間に対応するモータ出力トルクに基づき、対応するN個の当量動的負荷Fi(i=1、2、…、N)を計算する。
【0038】
「前記振動負荷、前記噛合い負荷及び前記モータ出力トルクに基づき、当量動的負荷を計算する」という計算式について、当業者が理論及び経験の蓄積に基づき、予め配置してもよく、合理の当量動的負荷を計算できるものであれば、いずれも当該計算式としてもよく、本実施例は具体的に限定していない。
【0039】
ステップ202:前記目的作業状況にある各動作期間での前記当量動的負荷、動作期間及び当該動作期間でのモータ回転速度に基づき、前記目的作業状況での前記当量平均負荷を計算する。
【0040】
理解できるように、同一の目的作業状況について、当該目的作業状況にある各動作期間に対応する現在動的負荷Fiに対して、当該目的作業状況での当量平均負荷Fmを計算する。
【0041】
例示として、ステップ202は具体的に以下の式(1)に基づき、目的作業状況での当量平均負荷を計算し、
uiは第i個の動作期間に対応する動作期間であり、単位は秒であり、Fiは第i個の動作期間で、ステップ201により計算された当量動的負荷であり、単位はニュートンであり、niは当該第i個の動作期間でのモータ回転速度であり、単位は回転/分であり、
は軸受の寿命指数で、定数であり、Fmは目的作業状況での当量平均負荷である。
【0042】
理解できるように、当量平均負荷の計算は、牽引モータの「トルク-時間-回転速度」負荷スペクトルにおける各動作期間での具体的なデータ、例えば、モータ出力トルク、動作期間及びモータ回転速度を導入し、疲労蓄積理論を利用することで、計算した当量平均負荷は軸受の状況をより正確に体現でき、これにより、後続、軸受の寿命を正確に判定することに対して、データ基礎を提供する。
【0043】
ステップ103:前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定する。
【0044】
具体的に実現する場合、以下の式(2)を利用して軸受寿命を計算し、
Cは軸受の定格負荷で、定数であり、
は軸受寿命指数で、定数であり、Fmは目的作業状況での当量平均負荷であり、L
10mは当該目的作業状況での軸受寿命である。
【0045】
このように、本発明の実施例において、各作業状況で、複数の異なる動作期間でのモータ出力トルクの負荷スペクトルを含み、目的作業状況に対して、各動作期間に対応するモータ出力トルクを利用して、軸受の現在振動負荷、噛合い負荷を結合して、当該目的作業状況での当量平均負荷を計算することで、前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定する。このように、各作業状況にある異なる動作期間のモータ出力トルクを導入するため、取得した当量平均負荷は、ホイールレールのランダムな不規則性などによる振動負荷を考慮しただけではなく、モータから伝達された可変トルク負荷という特徴も体現し、これによって、計算した軸受寿命がより正確になり、当該伝動システムの運転状況をよりよく判定でき、伝動システムの運転の確実性を向上させる。
【0046】
また、異なる目的作業状況に対して、いずれも前記実現形態を利用して、対応する軸受寿命を正確に計算できる。以下は、異なる目的作業状況、目的作業状況の組み合わせ、及び全作業状況で、軸受寿命を判定する方式に対して、それぞれ紹介する。
【0047】
場合1:
列車空車乗車の場合に対して、空車乗車場合に対応する第1軸受寿命を計算する方式は、具体的に以下のステップを含み、
S11:前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、及び前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間を取得する。
S12:前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第1右側通行寿命及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1軸受寿命を計算する。
【0048】
例示として、空車乗車左側通行作業状況を目的作業状況とし、
図1に対応する実施例に基づき、軸受寿命を計算でき、第1左側通行寿命として記載し、同じように、空車乗車右側通行作業状況を目的作業状況とし、
図1に対応する実施例に基づき、軸受寿命を計算でき、第1右側通行寿命として記載する。そして、各目的作業状況に対応する牽引モータの「トルク-時間-回転速度」負荷スペクトルに基づき、空車乗車左側通行作業状況に対応する負荷スペクトルの最大動作期間を確認し、第1左側通行期間として判定し、同じように、空車乗車右側通行作業状況に対応する負荷スペクトルの最大動作期間を確認し、第1右側通行期間として判定する。次は、所定の計算式を利用して、当該空車乗車(空車乗車左側通行及び空車乗車右側通行を含む)作業状況での第1軸受寿命を計算し、例えば、以下の式(3)に基づき、第1軸受寿命を計算し、
aは第1左側通行期間であり、bは第1右側通行期間であり、L
10maは第1左側通行寿命であり、L
10mbは第1右側通行寿命であり、
は空車乗車での第1軸受寿命である。
【0049】
場合2:
列車定員乗車の場合に対して、定員乗車場合に対応する第2軸受寿命を計算する方式は具体的に以下のステップを含み、
S21:前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間を取得する。
S22:前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第2右側通行寿命及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2軸受寿命を計算する。
【0050】
関する記載について、空車乗車場合に対する紹介を参照すればよい。
【0051】
例えば、以下の式(4)に基づき、第2軸受寿命を計算し、
cは第2左側通行期間であり、dは第2右側通行期間であり、L
10mcは第2左側通行寿命であり、L
10mdは第2右側通行寿命であり、
は定員乗車での第2軸受寿命である。
【0052】
場合3:
列車定員オーバー乗車の場合に対して、定員オーバー乗車場合に対応する第3軸受寿命を計算する方式は具体的に以下のステップを含み、
S31:前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得する。
S32:前記第3左側通行寿命、前記第3左側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3軸受寿命を計算する。
【0053】
関する記載について、空車乗車場合に対する紹介を参照すればよい。
【0054】
例えば、以下の式(5)に基づき、第3軸受寿命を計算し、
eは第3左側通行期間であり、fは第3右側通行期間であり、L
10meは第3左側通行寿命であり、L
10mfは第3右側通行寿命であり、
は定員乗車における第3軸受寿命である。
【0055】
ここで、前記L
10ma、L
10mb、L
10mc、L
10md、L
10me及びL
10mfはいずれも前記
図1に対応する実施例に基づき、対応する作業状況を目的作業状況として、計算することで得られたものである。
【0056】
場合4:
列車左側通行の場合に対して、左側通行場合に対応する第4軸受寿命を計算する方式は、具体的に以下のステップを含み、
S41:前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間を取得する。
S42:前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第3左側通行寿命及び前記第3左側通行期間に基づき、前記左側通行の第4軸受寿命を計算する。
【0057】
例示として、空車乗車左側通行作業状況を目的作業状況とし、
図1に対応する実施例に基づき、軸受寿命を計算でき、第1左側通行寿命として記載し、同じように、定員乗車左側通行作業状況を目的作業状況とし、
図1に対応する実施例に基づき、軸受寿命を計算でき、第2左側通行寿命として記載し、定員オーバー乗車左側通行作業状況を目的作業状況として、
図1に対応する実施例に基づき、軸受寿命を計算でき、第3左側通行寿命として記載する。そして、各目的作業状況に対応する牽引モータの「トルク-時間-回転速度」負荷スペクトルに基づき、空車乗車左側通行作業状況に対応する負荷スペクトルの最大動作期間を確認し、第1左側通行期間として判定し、同じように、定員乗車左側通行作業状況に対応する負荷スペクトルの最大動作期間を確認し、第2左側通行期間として判定し、定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する負荷スペクトルの最大動作期間を確認し、第3左側通行期間として判定する。次は、所定の計算式を利用して、当該空車乗車(空車乗車左側通行及び空車乗車右側通行を含む)作業状況での第1軸受寿命を計算し、例えば、以下の式(6)に基づき、第4軸受寿命を計算し、
aは第1左側通行期間であり、cは第2左側通行期間であり、eは第3左側通行期間であり、L
10maは第1左側通行寿命であり、L
10mcは第2左側通行寿命であり、L
10meは第3左側通行寿命であり、
は左側通行における第4軸受寿命である。
【0058】
場合5:
列車右側通行の場合に対して、右側通行場合に対応する第5軸受寿命を計算する方式は具体的に以下のステップを含み、
S51:前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間、前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得する。
S52:前記第1右側通行寿命、前記第1右側通行期間、前記第2右側通行寿命、前記第2右側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記右側通行の第5軸受寿命を計算する。
【0059】
関する記載について、空車乗車場合に対する紹介を参照すればよい。
【0060】
例えば、以下の式(7)に基づき、第5軸受寿命を計算し、
bは第1右側通行期間であり、dは第2右側通行期間であり、fは第3右側通行期間であり、L
10mbは第1右側通行寿命であり、L
10mdは第2右側通行寿命であり、L
10mfは第3右側通行寿命であり、
は右側通行での第5軸受寿命である。
【0061】
場合6:
列車の全作業状況に対して、全作業状況での軸受の全作業状況寿命を計算し、具体的に、以下の2つの実現形態を含む。実現形態1は具体的に以下のステップを含み、
S611:前記空車乗車に対応する前記第1左側通行期間及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1総期間を計算し、前記定員乗車に対応する前記第2左側通行期間及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2総期間を計算し、前記定員オーバー乗車に対応する前記第3左側通行期間及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3総期間を計算する。
S612:前記第1総期間、前記第2総期間、前記第3総期間、前記第1軸受寿命、前記第2軸受寿命及び前記第3軸受寿命に基づき、前記軸受の全作業状況寿命を判定する。
【0062】
例えば、以下の式(8)に基づき、全作業状況軸受寿命を計算し、
oは第1左側通行期間aと第1右側通行期間bとの和(即ち、第1総期間)であり、pは第2左側通行期間cと第2右側通行期間dとの和(即ち、第2総期間)であり、qは第3左側通行期間eと第3右側通行期間fとの和(即ち、第3総期間)であり、L
10は全作業状況軸受寿命である。
【0063】
実現形態2は具体的に、以下のステップを含み、
S621:前記左側通行に対応する前記第1左側通行期間、前記第2左側通行期間及び前記第3左側通行期間に基づき、前記左側通行の第4総期間を計算し、前記右側通行に対応する前記第1右側通行期間、前記第2右側通行期間及び前記第3右側通行期間に基づき、前記右側通行の第5総期間を計算する。
S622:前記第4総期間、前記第5総期間、前記第1軸受寿命、前記第4軸受寿命及び前記第5軸受寿命に基づき、前記軸受の全作業状況寿命を判定する。
【0064】
例えば、以下の式(9)に基づき、全作業状況軸受寿命を計算し、
Hは第1左側通行期間aと、第2左側通行期間cと、第3左側通行期間eとの和(即ち、第4総期間)であり、kは第1右側通行期間bと、第2右側通行期間dと第3右側通行期間fとの和(即ち、第5総期間)であり、L10mbは第1右側通行寿命であり、L
10は全作業状況軸受寿命である。
【0065】
ここで、同一の列車での同一のボギーギアボックスにおける軸受に対して、前記S611~S612により計算された全作業状況軸受寿命は、前記S621~S622により計算された全作業状況軸受寿命と一致する。
【0066】
このように、各作業状況にある異なる動作期間のモータ出力トルクを導入するため、取得した当量平均負荷は、ホイールレールのランダムな不規則性などによる振動負荷を考慮しただけではなく、モータから伝達された可変トルク負荷という特徴も体現し、これによって、計算した軸受寿命がより正確になり、当該伝動システムの運転状況をよりよく判定でき、伝動システムの運転の確実性を向上させる。
【0067】
また、本発明の実施例はさらに軸受寿命を判定する装置を提供し、
図3に示される軸受寿命を判定する装置の構成模式図を参照し、当該装置は、
軸受の現在振動負荷、噛合い負荷、及び目的作業状況の負荷スペクトルにおける各動作期間に対応するモータ出力トルクを取得するための第1取得ユニット301であって、前記目的作業状況の負荷スペクトルは、複数の異なる動作期間での負荷スペクトルを含む第1取得ユニット301と、
前記振動負荷、前記噛合い負荷及び各前記動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、前記目的作業状況での当量平均負荷を計算するための第1計算ユニット302と、
前記当量平均負荷に基づき、前記軸受の寿命を判定するための第1判定ユニット303と、を含む。
【0068】
好ましくは、前記第1計算ユニット302は、
前記目的作業状況の負荷スペクトルでの各動作期間に対して、前記振動負荷、前記噛合い負荷及び当該動作期間での前記モータ出力トルクに基づき、当該動作期間での当量動的負荷を計算するための第1計算サブユニットと、
前記目的作業状況にある各動作期間での前記当量動的負荷、動作期間及び当該動作期間でのモータ回転速度に基づき、前記目的作業状況での前記当量平均負荷を計算するための第2計算サブユニットと、を含む。
【0069】
好ましくは、前記目的作業状況は、空車乗車左側通行作業状況、空車乗車右側通行作業状況、定員乗車左側通行作業状況、定員乗車右側通行作業状況、定員オーバー乗車左側通行作業状況及び定員オーバー乗車右側通行作業状況のうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
好ましくは、当該装置はさらに、
空車乗車であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、及び前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間を取得するための第2取得ユニットと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第1右側通行寿命及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1軸受寿命を計算するための第2計算ユニットと、
定員乗車であれば、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間を取得するための第3取得ユニットと、
前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第2右側通行寿命及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2軸受寿命を計算するための第3計算ユニットと、
定員オーバー乗車であれば、前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するための第4取得ユニットと、
前記第3左側通行寿命、前記第3左側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3軸受寿命を計算するための第4計算ユニットと、を含む。
【0071】
好ましくは、当該装置はさらに、
左側通行であれば、前記空車乗車左側通行作業状況に対応する第1左側通行寿命と第1左側通行期間、前記定員乗車左側通行作業状況に対応する第2左側通行寿命と第2左側通行期間、及び前記定員オーバー乗車左側通行作業状況に対応する第3左側通行寿命と第3左側通行期間を取得するための第5取得ユニットと、
前記第1左側通行寿命、前記第1左側通行期間、前記第2左側通行寿命、前記第2左側通行期間、前記第3左側通行寿命及び前記第3左側通行期間に基づき、前記左側通行の第4軸受寿命を計算するための第5計算ユニットと、
右側通行であれば、前記空車乗車右側通行作業状況に対応する第1右側通行寿命と第1右側通行期間、前記定員乗車右側通行作業状況に対応する第2右側通行寿命と第2右側通行期間、及び前記定員オーバー乗車右側通行作業状況に対応する第3右側通行寿命と第3右側通行期間を取得するための第6取得ユニットと、
前記第1右側通行寿命、前記第1右側通行期間、前記第2右側通行寿命、前記第2右側通行期間、前記第3右側通行寿命及び前記第3右側通行期間に基づき、前記右側通行の第5軸受寿命を計算するための第6計算ユニットと、を含む。
【0072】
好ましくは、当該装置はさらに、
前記空車乗車に対応する前記第1左側通行期間及び前記第1右側通行期間に基づき、前記空車乗車の第1総期間を計算し、前記定員乗車に対応する前記第2左側通行期間及び前記第2右側通行期間に基づき、前記定員乗車の第2総期間を計算し、前記定員オーバー乗車に対応する前記第3左側通行期間及び前記第3右側通行期間に基づき、前記定員オーバー乗車の第3総期間を計算するための第7計算ユニットと、
前記第1総期間、前記第2総期間、前記第3総期間、前記第1軸受寿命、前記第2軸受寿命及び前記第3軸受寿命に基づき、前記軸受の全作業状況寿命を判定するための第2判定ユニットと、を含む。
【0073】
ここで、前記記載は、軸受寿命を判定する装置の関する記載であり、具体的な実現形態及び達する効果について、前記軸受寿命を判定する方法の実施例の記載を参照すればよく、ここで、贅言していない。
【0074】
本発明の実施例に言及された「第1左側通行期間」、「第1左側通行寿命」などの名称における「第1」は順序での一番目を代表していなく、ただ名称の識別のためのものである。当該規則は同じように、「第2」などにも適用される。
【0075】
上記の実施形態の記載から分かるように、当業者であれば、前記実施形態の方法のステップの全てまたは一部は、ソフトウェアにハードウェアプラットフォームを結合して実施することができることを明白に理解することができる。このような理解に基づき、本発明の技術案は、ソフトウェア製品の形態で体現することができ、当該コンピュータソフトウェア製品は読取り専用メモリ(英語:read-only memory、ROM)/RAM、磁気ディスク、光学ディスクなどの記憶媒体に記憶することができ、コンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはルータのようなネットワーク通信機器であってもよい)に本発明の各実施例または実施例のいくつかの部分に記載の方法を実行させるためのいくつかの命令を含む。
【0076】
本明細書における各実施例に対して、いずれも漸進の方式で記載し、各実施例の間の同様または類似の部分について、互いに参照すればよく、各実施例はいずれも他の実施例との相違点を主に説明する。特に、装置の実施例にとって、方法の実施例に近いから、記載は簡単であり、関するところについて、方法の実施例の説明を参照すればよい。以上に記載の装置の実施例はただ模式的なものであり、個別部材として説明されたモジュールは、物理的に離間されてもよいし、そうではなくてもよく、モジュールとして表示された部品は物理モジュールであってもよいし、そうではなくてもよく、即ち、1つの箇所に位置してもよいし、複数のネットワークユニットに分布されてもよい。実際必要に基づき、そのうち一部または全てのモジュールを選択して、本実施例の技術案の目的を実現してもよい。当業者は進歩性に値する労働をしない場合でも、理解且つ実施できる。
【国際調査報告】