(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】GDP-フコースの調製のための酵素法
(51)【国際特許分類】
C12P 19/32 20060101AFI20220609BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20220609BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20220609BHJP
C12N 9/02 20060101ALN20220609BHJP
C12N 9/00 20060101ALN20220609BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20220609BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20220609BHJP
C12N 15/52 20060101ALN20220609BHJP
C12N 11/14 20060101ALN20220609BHJP
【FI】
C12P19/32 Z ZNA
C12N9/12
C12N9/10
C12N9/02
C12N9/00
C12N15/53
C12N15/54
C12N15/52 Z
C12N11/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558743
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020059182
(87)【国際公開番号】W WO2020201315
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501497655
【氏名又は名称】マックス プランク ゲゼルシャフト ツゥアー フェデルゥン デル ヴィッセンシャフテン エー フォー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マホウア レザ
(72)【発明者】
【氏名】レクサー トーマス エフ.テー.
【テーマコード(参考)】
4B033
4B050
4B064
【Fターム(参考)】
4B033NA23
4B033NA25
4B033NA37
4B033NB22
4B033ND02
4B033ND04
4B033NG09
4B033NH09
4B050CC02
4B050DD02
4B050FF01
4B050GG10
4B050KK11
4B050LL05
4B064AF22
4B064CA01
4B064CB30
4B064CC15
4B064CD12
4B064DA01
4B064DA10
(57)【要約】
本発明は、単一の反応混合物において低コストの基質であるグアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからGDP-フコースを生成するための酵素触媒工程に関する。前記工程は、(半)連続的に、またはバッチ様式で操作されることができる。さらに、前記工程は、例えば、母乳オリゴ糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質または糖ペプチドなどのグリカンを含むフコシル化分子および生体分子を生成するために適合させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法であって、次のステップ:
【化1】
A)
(i)次の式
【化2】
によって表されるグアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒を含む溶液を提供すること、および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること、
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記溶液は、
グアノシンおよびL-フコース、および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの酵素セット、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液は、
グアノシンおよびD-マンノース、および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼ、およびGDP-L-フコースシンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ、およびGDP-L-フコースシンターゼのいずれかを含む酵素セット、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酵素セットは、ピロホスファターゼをさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記酵素セットのうちの少なくとも1つの酵素は、固体支持体に固定化される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記酵素セットは、固体支持体に共固定化される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの酵素は、細胞溶解物から固体支持体に固定化される、または前記酵素セットは、細胞溶解物から固体支持体に共固定化される、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップA)において提供される前記溶液中のグアノシンおよびL-フコースの濃度、またはグアノシンおよびD-マンノースの濃度は、0.2mM~5,000mMの範囲である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースは、単一の反応混合物において生成される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記共溶媒の量は、ステップA)において提供される前記溶液の総体積に基づいて0.01vol%~30vol%である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記共溶媒は、ジメチルスルホキシドである、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、次のステップ
フコシルトランスフェラーゼの存在下および受容体の非存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースからL-フコースを生成すること、または
グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを80~100℃の範囲の温度で加熱することによりL-フコースを生成すること
をさらに含む、請求項1および請求項3から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること
のステップをさらに含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコース、および糖、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースと、前記糖、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子における利用可能なヒドロキシル基との間で、O-グリコシド結合を形成することにより、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたは小分子を生成すること
のステップをさらに含む、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリホスフェートキナーゼは、2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2、またはポリホスフェートキナーゼ3である、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記酵素セットは、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか1つをさらに含む、請求項1および請求項3から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記酵素セットは、グアニレートキナーゼをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記グルコキナーゼは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記ホスホマンノムターゼは、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼは、SEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼは、SEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記GDP-L-フコースシンターゼは、SEQ ID NO:6に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記L-フコキナーゼは、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記グアノシンキナーゼは、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記ホスフェートキナーゼは、SEQ ID NO:9に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%およびSEQ ID NO:14に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%のいずれかを含み、前記ピロホスファターゼは、SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記グアニレートキナーゼは、SEQ ID NO:11に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記グルタメートデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:12に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:13に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、前記グルコースデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:15に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、および前記フコシルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:16に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含む、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、単一の反応混合物において低コストの基質であるグアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからGDP-フコースを生成するための酵素触媒工程に関する。前記工程は、連続的でも、またはフェッドバッチ様式で、半連続的に操作されることができる。さらに、前記工程は、例えば、母乳オリゴ糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質または糖ペプチドなどのグリカンを含むフコシル化分子および生体分子を生成するために適合させることができる。
【0002】
[発明の背景]
グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコース(GDP-フコースまたはGDP-Fuc)は、多くの生物工学的応用および食品技術の重要な基質である。グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコース(GDP-フコースまたはGDP-Fuc)は、自己免疫疾患を治療するために使用される抗炎症抗体のコアフコシル化のための基質である。さらに、GDP-フコースは、炭水化物ワクチンの生産、および個別化医療の成長分野において、すなわち薬物送達のためのグリコナノ材料の調製に必要である。乳幼児の食物(母乳)において、糖の大部分がフコシル化オリゴサッカリドであるので、乳幼児のために合成的に生産された乳製品にフコシル化糖を含むことが高く求められている。
【0003】
しかしながら、GDP-フコースの高い需要にもかかわらず(1年当たりトンのオーダー)、研究者でさえ、GDP-フコースの入手可能性は非常に限られている。今まで、低エンドトキシンGDP-フコースの価格は1グラムあたり3,000ユーロを超える。GDP-フコースの高い価格のため、基礎および応用研究活動が妨げられるだけでなく、工業的応用も妨げられる。
【0004】
GDP-フコースを合成するためのバイオプロセス工学戦略は、インビボ(in vivo)工程およびインビトロ(in vitro)工程に分類されることができ、微生物は、代謝の一部として細胞内または細胞外のいずれかでGDP-フコースを生成するために代謝的に操作される。しかしながら、低収量、高レベルの不必要な副産物、細胞株の設計のために必要な時間、および複雑なスケールアップは欠点である。特に乳幼児食の規制面を考慮すると、遺伝子組み換え生物(GMO)の適用は、承認工程を大幅に遅らせることができる。
【0005】
GDP-フコースは、生体触媒的(酵素的)工程を使用することによってインビトロ(in vitro)で生成することもできる(APMIS 2006,114,539-548を参照)。例えば、二機能性酵素L-フコースピロホスホリラーゼ(FKP)を使用してL-フコースおよびグアノシントリホスフェートからのGDP-フコースの酵素的合成は、Zhao et al.によって報告される。(Nat Protoc.20105(4):636-646)。Wittmann et al.(J.Org.Chem.1997,62,2144-2147)は、ホスホアミダイト化学を使用して、フコース-1-ホスフェートおよびグアノシン5’-モノホスホモルホリデートからのGDP-フコースの合成を記述する。Tonetti et al.(J.Biol.Chem.1996,271(44),27274-27279)は、ホモ二量体のNADP(H)-結合タンパク質FXについて、ホモ二量体のNADP(H)-結合タンパク質FXは、複合エピメラーゼおよびNADPH依存性還元酵素活性を明らかに触媒し、したがってGDP-4-ケト-6-D-デオキシマンノースをGDP-L-フコースへ変換することを報告する。Sullivan et al.(J.Biol.Chem.1998,273(14),8193-8202)は、組み換えヒトGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびFXタンパク質を使用してGDP-マンノースからのGDP-フコースのインビトロ(in vitro)調製を説明する。Lau et alは、GDP-D-マンノースからのGDP-L-フコースの生合成について報告し、合成に関与する酵素GDP-フコースシンターゼを調査した。酵素は、GDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノースをGDP-L-フコースに変換する(J.Am.Chem.Soc.2008,130,17593-17602)。Rexer et al.は、大腸菌で発現されたグルコキナーゼ(Glk)、ホスホマンノムターゼ(ManB)、マンノース-1-ホスフェート-グアニリルトランスフェラーゼ(ManC)、無機ピロホスファターゼ(PmPpA)、および1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-Ppk2)の多酵素カスケードによってマンノースからのGDP-マンノースのワンポット合成を報告する。(Biotechnology and Bioengineering 2018,115,192-205)。低コストおよび容易に入手できる基質から出発して、費用効率の高い方法でGDP-フコースを生産する方法が長い間必要とされている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、GDP-フコースを調製するための費用効率の高い、効率的な方法を提供することである。
本発明の目的は、独立請求項の教示によって解決される。本発明のさらに有利な特徴、態様および詳細は、本出願の従属請求項、明細書、図、および例から明らかである。
【0007】
[発明の説明]
生化学において、ヌクレオチド糖は、単糖の活性型としてよく知られており、グリコシル化反応において、ヌクレオチド糖はグリコシル供与体として作用することが知られている。グリコシルトランスフェラーゼ(GTF)は、活性化されたヌクレオチド糖から求核性グリコシル受容体分子へのサッカリド部分の転移を触媒する酵素である。したがって、生化学において、グリコシル化反応はグリコシルトランスフェラーゼによって触媒される。
【0008】
グリコシル供与体として作用するために、それぞれの単糖は、例えばヌクレオチド糖、特にウリジンジホスフェート、グアノシンジホスフェートまたはシトシンジホスフェートなどに由来するヌクレオチドジホスホ糖の形態のように、非常にエネルギーの高い形態で存在することが不可欠である。よく知られているヌクレオチド糖の例は、UDP-グルコース、UDP-ガラクトース、UDP-GlcNAc、UDP-GalNac、UDP-キシロース、UDP-グルクロン酸、GDP-マンノースおよびGDP-フコースである。単純な単糖の活性化ヌクレオチド糖への変換は、ヌクレオシドトリホスフェート(NTP)とグリコシル一リンモノホスフェートとの酵素触媒反応によって達成されることができることはよく知られており、ここで、グリコシルモノホスフェートは、アノマー炭素にホスフェート基を含む。
【0009】
ヌクレオシドジホスホ(NDP)-単糖を得るために、使用される単糖は、グリコシルモノホスフェート誘導体に変換される必要がある。一般に、前記反応は、所望の単糖1-ホスフェートを得るために、ホスホトランスフェラーゼ、および更に必要な場合にホスホムターゼのような特異的酵素を適用することによって達成されることができる。ホスホトランスフェラーゼは、リン酸化反応を触媒するEC番号2.7に分類される酵素である。ホスホトランスフェラーゼは、それらの受容体分子に従ってさらに分類される。例えば、EC 2.7.1に基づくホスホトランスフェラーゼは、受容体としてアルコール基を有するホスホトランスフェラーゼである。ホスホムターゼは、イソメラーゼ、すなわちホスフェート基の内部転移を触媒することができる酵素である。ホスホムターゼは、ホスホトランスフェラーゼを介した基質のリン酸化の場合に必要とされ、D-マンノースまたはD-グルコースの場合に、例えばそれぞれマンノース-6-ホスフェートまたはグルコース-6-ホスフェートになるように、単糖6-ホスフェートをもたらす。それぞれのホスホムターゼは、その後、ホスフェート基の内部移動を触媒し、その結果、マンノース-6-ホスフェートの、それぞれ、マンノース-1-ホスフェート、またはグルコース-6-ホスフェートへの変換をもたらす。
【0010】
キナーゼは、ホスホトランスフェラーゼファミリーの一部を形成する酵素である。キナーゼは、高エネルギーのホスフェート供与分子から特定の基質へのホスフェート基の転移を触媒する酵素である。この工程は、リン酸化として知られており、ここで、基質はホスフェート基を獲得し、高エネルギーのアデノシントリホスフェート(ATP)分子はホスフェート基を供与する。このエステル交換は、リン酸化された基質およびADPを生成する。したがって、単糖1-ホスフェートを得るためにフコキナーゼまたはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼのような適切なキナーゼを適用して、L-フコースからのフコース-1-ホスフェート、またはD-マンノースからのマンノース-1-ホスフェートをそれぞれ得ることも可能である。
【0011】
ヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用すると、ヌクレオシドトリホスフェート(NTP)および単糖1-ホスフェートを、それぞれヌクレオシドジホスフェート(NDP)-単糖に変換することができる。ヌクレオチジルトランスフェラーゼは、リン含有基のトランスフェラーゼ酵素であり、EC番号2.7.7に分類される。種々の天然に存在するヌクレオチドについて、ヌクレオチド特異的ヌクレオチジルトランスフェラーゼは当技術分野で知られており、例えば、ウリジルトランスフェラーゼはウリジル基を転移し、アデニルトランスフェラーゼはアデニリル基を転移し、グアニリルトランスフェラーゼはグアニリル基を転移し、シチジルトランスフェラーゼはシチジル基を転移し、チミジリルトランスフェラーゼはチミジリル基を転移する。したがって、ヌクレオチジルトランスフェラーゼは、単糖1-ホスフェートとヌクレオシドトリホスフェートとの反応、例えば、GDP-フコースを得るためにフコース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェート(GTP)との反応、またはGDP-マンノースを得るためにマンノース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェート(GTP)との反応、を触媒するのに適している。GDP-フコースおよびGDP-マンノースの場合、グアニリルトランスフェラーゼは、グアノシントリホスフェート(GTP)との反応を触媒するのに適している。
【0012】
天然に存在するGDP-単糖に関連するグアノシンジホスフェート(GDP)-単糖は、GDP-マンノースおよびGDP-フコースである。GDP-単糖を得るための上述の一般的な反応スキームを、グアノシントリホスフェート、並びにGDP-マンノースの場合、マンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)、およびGDP-フコースの場合、フコース-1-ホスフェート(Fuc-1-P)を用いて、所望のGDP-マンノースまたはGDP-フコースをそれぞれ得るための反応を触媒する特異的なグアニリルトランスフェラーゼと共に行うことができる。
【0013】
しかしながら、ヌクレオシドジホスフェート(NDP)-単糖を得るための酵素触媒反応スキームの1つの欠点は、出発材料、特にそれぞれのヌクレオシドトリホスフェートが非常に高価であるので、NDP-単糖、特にGDP-フコースまたはGDP-マンノースの合成経路は、コストの大きい合成をもたらすという事実に基づく。GDP-フコースについて既に上述されたように、GDP-フコースまたはGDP-マンノースのようなヌクレオシドジホスフェート単糖を調製するために費用効果が高く効率的な方法を当技術分野において提供する必要があり、特に低コストで容易に入手できる出発材料からGDP-フコースを調製するために費用効果が高く効率的な方法を提供する必要がある。
【0014】
GDP-単糖に関して、GDP-フコースおよびGDP-マンノースは哺乳類において天然に存在する活性化されたGDP-糖に関連する。したがって、グアノシンは適切なヌクレオチドとして特定されており、L-フコースおよびD-マンノースはGDP-フコースの調製のために適した単糖として特定されている。酵素触媒反応に関して、少なくとも適切な酵素を提供しなければならないことは明らかであるべきである。したがって、本発明者らは、グアノシン、および例えば、L-フコースまたはD-マンノースなどの容易に入手可能な単糖を、酵素的ワンポットカスケード反応におけるGDP-フコースの生成のための適切な出発物質として特定している。
【0015】
グアノシンおよびL-フコース、またはグアノシンおよびD-マンノースから出発してGDP-フコースの生体触媒的生成工程は、これまで確立されていなかった。
【0016】
GDP-フコースを調製するための費用効果が高く効率的な方法を提供するために、グアノシンおよびL-フコースは、
図1に示されるように、酵素的カスケード反応でGDP-フコースを生成するための適切な出発物質として特定され、
図1は、(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェート(ATP;触媒量)からのフコース-1-ホスフェート(Fuc-1-P)の形成、(b)グアノシンおよびポリホスフェートからのグアノシントリホスフェート(GTP)の形成、および(c)フコース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェート(GTP)とを反応させてGDP-フコースにする反応、からなる。GDP-フコースは、L-フコースおよびグアノシンから、グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、適切な緩衝液中で生成され得ると想定された(
図2)。
【0017】
さらに、グアノシンおよびD-マンノースは、
図3に示されるように、酵素的カスケード反応でGDP-フコースを生成するための適切な出発物質として特定され、
図3は、(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェート(ATP)からのマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)の形成、(b)グアノシンおよびポリホスフェートからのグアノシントリホスフェート(GTP)の形成、および(c)マンノース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェート(GTP)とを反応させてGDP-マンノースにする反応、および(d)GDP-マンノースのGDP-フコースへの変換、からなる。GDP-フコースは、D-マンノースおよびグアノシンから、グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、並びにグルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース、4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、のいずれかの存在下で、適切な緩衝液中で、生成され得ると想定された。
【0018】
しかしながら、L-フコースおよびグアノシンから、またはD-マンノースおよびグアノシンから、酵素的カスケード反応においてGDP-フコースを生成する試みは成功せず、GDP-フコースの形成は観察されなかった(実施例3)。
【0019】
驚くべきことに、本発明者らは、ジメチルスルホキシドなどの共溶媒中でグアノシンを可溶化することにより、グアノシンとおよびL-フコースからのGDP-フコースへのほぼ完全な変換が、すでに3時間後に達成されることを見出したた(実施例2)。さらに、共溶媒は、GDP-フコースの調製に使用される酵素の活性に影響を与えなかった。力価は、共溶媒を使用することによって達成される基質の溶解度を超える。さらに、本発明者らは、ジメチルスルホキシドなどの共溶媒中にグアノシンを可溶化することにより、グアノシンおよびD-マンノースからGDP-フコースへのほぼ完全な変換が達成されることを明らかにしている。さらに、共溶媒は、グアノシンおよびD-マンノースからのGDP-フコースの調製において使用される酵素の活性に影響を与えなかった。
【0020】
例えば、本発明の方法は、本明細書に記述されているように、高価なグアノシントリホスフェート出発材料を避けることができ、より単純なヌクレオシドグアノシンに置き換えることができ、そのことはGDP-フコースを調製するために費用効果が高く効率的な方法をもたらすので、LフコースおよびグアノシントリホスフェートからのGDP-フコースの酵素的合成について当技術分野で知られている上述の方法よりも有益である。
【0021】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
【0022】
【0023】
【化2】
によって表されるグアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒を含む、
溶液を提供すること;および
【0024】
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0025】
本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
【0026】
【0027】
【化4】
によって表されるグアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、およびD-マンノースの場合、NADPHを含む、
溶液を提供すること;および
【0028】
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
【0030】
【0031】
【化6】
によって表されるグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む、
溶液を提供すること;および
【0032】
(a)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびグルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0033】
好ましい実施形態において、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
【0034】
【0035】
【化8】
によって表されるグアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒を含む、
溶液を提供すること;および
【0036】
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0037】
代替的に表現すると、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒を含む、
溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0038】
代替的に表現すると、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
次のグアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素を提供すること;
B)酵素、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0039】
さらに、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
次のグアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素を提供すること;
B)酵素、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、グアノシンのグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースへの変換は、3時間後に少なくとも78%である。
【0040】
本発明に係るグアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを調製するステップB)は
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェート(Fuc-1-P)を形成すること、
(b)グアノシン、アデノシントリホスフェート、およびポリホスフェートから、グアノシンキナーゼおよびポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースにすること、
を含む。
【0041】
明らかに、ステップ(a)およびステップ(b)は、同時にまたは連続して実行され得る。さらに、それらの順序を(b) →(a)→(c)に戻してもよい。
【0042】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェートを形成すること、
(b)グアノシン、アデノシントリホスフェート、およびポリホスフェートから、グアノシンキナーゼおよびポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェートを形成すること;および
(c)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースにすること、
によって酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0043】
より具体的には、本発明に係るグアノシンおよびフコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを調製するステップB)は、
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェート(Fuc-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2)グアノシンモノホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースにすること、
を含む。
【0044】
明らかに、ステップ(a)は、ステップ(b1)または(b2)の前に、同時に、後に実行され得る。したがって、ステップの順序を(b1) →(b2)→(a)→(c)に戻してもよい。
【0045】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェートを形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェートを形成すること;
(b2)グアノシンモノホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェートを形成すること;および
(c)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースにすること、
によって酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0046】
さらにより具体的には、本発明に係るグアノシンおよびフコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを調製するステップB)は、
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェート(Fuc-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること;
(b2’’)グアノシンジホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースにすること、
を含む。
【0047】
明らかに、ステップ(a)は、ステップ(b1)、(b2’)および(b2’’)の前に、同時に、後に実行され得る。したがって、ステップの順序を(b1) →(b2’)→(b2’’)→(a)→(c)に戻してもよい。
【0048】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェートを形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェートを形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェートを形成すること;
(b2’’)グアノシンジホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェートを形成すること;および
(c)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースにすること、
によって、酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0049】
本発明に係るグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-α-D-マンノースを調製するステップB)は、
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b)グアノシン、アデノシントリホスフェート、およびポリホスフェートから、グアノシンキナーゼおよびポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
を含む。
【0050】
本発明に係るグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを調製するステップB)は、
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b)グアノシン、アデノシントリホスフェート、およびポリホスフェートから、グアノシンキナーゼおよびポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
を含む。
【0051】
明らかに、ステップ(a)およびステップ(b)は、同時に、または連続的に実行され得る。さらに、ステップの順序を(b) →(a)→(c)に戻してもよい。
【0052】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼおよび(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリル-トランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか
、を含む酵素セットを提供すること、
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b)グアノシン、アデノシントリホスフェート、およびポリホスフェートから、グアノシンキナーゼおよびポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
によって、酵素のセット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0053】
より具体的には、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを調製する本発明に係るステップB)は、
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること
(c)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
を含む。
【0054】
明らかに、ステップ(a)は、ステップ(b1)または(b2)の前に、同時に、または後に実行され得る。したがって、ステップの順序を(b1) →(b2) →(a)→(c)に戻してもよい。
【0055】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼおよび(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリル-トランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか
、を含む酵素セットを提供すること、
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
によって、酵素のセット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0056】
更により具体的には、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを調製する本発明に係るステップB)は、
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
を含む。
【0057】
明らかに、ステップ(a)は、ステップ(b1)、(b2’)、および(b2’’)の前に、同時に、または後に実行され得る。したがって、ステップの順序を(b1) →(b2’) →(b2’’)→(a)→(c)に戻してもよい。
【0058】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼおよび(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリル-トランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること、
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
によって、酵素のセット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0059】
GDP-フコースを生成するための本発明の方法は、従来技術に記述された方法に比べて以下の重要な利点を有する:
・出発材料に関する大幅なコスト削減、すなわち、高価なGDPまたはGTPは必要ない、
・方法は継続的な方法で行われることができるので、年間1トン規模のGDP-フコースを潜在的に提供できる、
・無細胞工程により、有害なGMO態様(調節、標識)を回避する、
・無細胞抽出物を直接使用でき、生体触媒精製の費用がない、
・酵素は、低コストで市販されており、すぐに使用できる固体支持体に固定化されることができる、
・グアノシンに関してほぼ定量的な収率を得る、
・高い拡張性は、本発明の方法を産業用適用ために有用にする。
【0060】
グアノシンを可溶化するための少量の共溶媒の添加により、本発明者は、高い変換率でグアノシンからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースへの多酵素カスケード反応を確立することができた。好ましくは、共溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、アセトンおよびジメチルスルホキシド、を含む群から選択される有機溶媒である。好ましくは、共溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒である。好ましくは、共溶媒は酵素活性を阻害しない。より好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0061】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼおよびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること、
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下で、グアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、グアノシンを可溶化するための共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0062】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノース;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;
を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼおよび(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリル-トランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること、
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下で、グアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、グアノシンを可溶化するための共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0063】
[発明の詳細な説明]
定義
本明細書で使用される用語「ポリホスフェート」は、6個以上のホスフェート(PO4)四面体の角(corner)共有によって生成された様々なP-O-P結合を含む任意の塩に関し、長鎖の形成につながる。用語「ポリPn」は同義語として使用され、ここで、nは、ホスフェート残基の数の平均鎖長を表し、例えば、ポリP25は、約25個のホスフェート残基を有するポリホスフェートに関し、およびポリP14は、約14個のホスフェート残基を有するポリホスフェートに関する。
【0064】
本明細書で使用される用語「グアノシンキナーゼ」または「イノシンキナーゼ」は、グアノシンキナーゼ活性を有するポリペプチドに関し、すなわち、グアノシンキナーゼは、アデノシントリホスフェートの存在下で、グアノシンのグアノシン5’-モノホスフェートへの反応を触媒する。グアノシンキナーゼは、ECクラス2.7.1.73に属する。
【0065】
本明細書で使用される用語「ポリホスフェートキナーゼ」は、ポリホスフェートキナーゼ活性を有するポリペプチドに関し、すなわち、ポリホスフェートキナーゼは、次の反応を触媒する:
【0066】
【0067】
ここで、Nは、例えばグアノシン、アデノシン、ウリジンなどのヌクレオチドであり、NMPはヌクレオシドモノホスフェートであり、NDPはヌクレオシドジホスフェートであり、NTPはヌクレオシドトリホスフェートである。
【0068】
グアノシンの場合、ポリホスフェートキナーゼは次の反応を触媒する:
【0069】
【0070】
ポリホスフェートキナーゼはECクラス2.7.4.1に属する。本明細書に記述される本発明の方法において使用されるポリホスフェートキナーゼ酵素の代表物は、ポリホスフェートキナーゼ1(PPK1)、ポリホスフェートキナーゼ2(PPK2)、2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、およびグアニレートキナーゼ(ECクラス2.7.4.8)を含むが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書で使用される用語「L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ」は、L-フコキナーゼ活性、およびL-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ活性を有する二官能性ポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するポリペプチドに関する:
【0072】
【0073】
L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼは、ECクラス2.7.1.52および2.7.7.30に属する。
一方はL-フコキナーゼ活性を有し、および他方は、L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ活性を有する、2つの別々の官能性ポリペプチドも、本発明の方法に適し得るということが明らかになるべきである。
【0074】
本明細書に使用される用語「ピロホスファターゼ」は、ピロホスファターゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するポリペプチドに関する:
【0075】
【0076】
ここで、PPiはピロホスフェートに関し、Piはホスフェートに関する。
ピロホスファターゼは、ECクラス3.6.1.1に属する。
本明細書に使用される用語「グルコキナーゼ」は、キナーゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するキナーゼに関する:
【0077】
【0078】
グルコキナーゼはECクラス2.7.1.1に属する。
本明細書に使用される用語「ホスホマンノムターゼ」は、ホスホマンノムターゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するホスホマンノムターゼに関する:
【0079】
【0080】
ホスホマンノムターゼは、ECクラス5.4.2.8に属する。
本明細書に使用される用語「N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ」は、キナーゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するポリペプチドに関する:
【0081】
【0082】
N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼは、ECクラス2.7.1.162に属する。
本明細書に使用される用語「マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ」は、D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するポリペプチドに関する:
【0083】
【0084】
マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼは、ECクラス2.7.7.13に属する。
本明細書で使用される用語「GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ」は、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するポリペプチドに関する:
【0085】
【0086】
GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼは、ECクラス4.2.1.47に属する。
本明細書に使用される用語「GDP-L-フコースシンターゼ」は、GDP-L-フコースシンターゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、次の反応を触媒するポリペプチドに関する:
【0087】
【0088】
GDP-L-フコースシンターゼは、ECクラス1.1.1.271に属し、次の同義語および略語GDP-4-ケト-6-デオキシマンノース-3,5-エピメラーゼ-4-レダクターゼ(WCAG)、GDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノースエピメラーゼ-レダクターゼ、GDP-4-ケト-6-デオキシ-D-マンノースエピメラーゼ/レダクターゼ、GDPFucシンターゼ、GER、GFS、GMER、グアノシンジホスホフコースシンテターゼ、を有する。
【0089】
本明細書で使用される用語「共溶媒」は、水へのグアノシンの溶解度を増加または増強する有機化合物または有機化合物の混合物、特に有機溶媒または異なる溶媒の混合物に関する。当業者は、適切な共溶媒がグアノシンについて高い溶解性を有する溶媒であることを容易に想像することができ、適切な共溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、アセトン、またはジメチルスルホキシドを含む。好ましくは、共溶媒は、例えばジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒である。特に好ましい共溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0090】
本明細書で使用される「サッカリド」は、モノサッカリド、ジサッカリド、トリサッカリド、テトラサッカリド、ペンタサッカリド、ヘキササッカリド、ヘプタサッカリド、オクタサッカリド...、オリゴサッカリド、グリカンおよびポリサッカリドに関するが、これらに限定されない。サッカリドは、好ましくは:D-アラビノース、D-リキソース、D-リボース、D-キシロース、L-アラビノース、L-リキソース、L-リボース、L-キシロース、D-リブロース、D-キシルロース、L-リブロース、L-キシルロース、D-デオキシリボース、L-デオキシリボース、D-エリトロース、D-スレオース、L-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース、D-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース、D-アロース、D-アルトロース、D-グルコース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-ガラクトース、D-タロース、D-プシコース、D-フルクトース、D-ソルボース、D-タガトース、6-デオキシ-L-アルトロース、6-デオキシ-D-タロース、D-フコース、L-フコース、D-ラムノース、L-ラムノース、D-キノボース、オリボース、チベロス、アスカリロース、アベクオース、パラトース、デジトキソース、コリトース、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D-マンノサミン、D-アロサミン、l-アルトロサミン、D-グロサミン、L-イドサミン、D-タロサミン、N-アセチル-d-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、N-アセチル-D-マンノサミン、N-アセチル-D-アロサミン、N-アセチル-L-アルトロサミン、N-アセチル-D-グルサミン、N-アセチル-L-イドサミン、N-アセチル-D-タロサミン、N-アセチル-D-フコサミン、N-アセチル-L-フコサミン、N-アセチル-L-ラムノサミン、N-アセチル-D-キノボサミン、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、D-マンヌロン酸、D-アルロン酸、L-アルトルロン酸、D-グルロン酸、L-グルロン酸、L-イズロン酸、D-タルロン酸、ノイラミン酸、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコリルノイラミン酸、アピオース、バシロサミン、テベトース、アコフリオース、シマロース、ムラミン酸、N-アセチルムラミン酸、N-グリコリルノイラ酸、3-デオキシ-リキソ-ヘプツロサル酸、ケトデオキシオクトン酸、およびケトデオキシノノン酸から選択される単糖単位を含む。好ましくは、単糖単位は:
α-D-リボピラノース、α-D-アラビノピラノース、α-D-キシロピラノース、α-D-リキソピラノース、α-D-アロピラノース、α-D-アルトロピラノース、α-D-グルコピラノース、α-D-マンピラノース、α-D-グルコピラノース、α-D-イドピラノース、α-D-ガラクトピラノース、α-D-タロピラノース、α-D-プシコピラノース、α-D-フルクトピラノース、α-D-ソルボピラノース、α-D-タガトピラノース、α-D-リボフラノース、α-D-アラビノフラノース、α-D-キシロフラノース、α-D-リキソフラノース、α-D-アロフラノース、α-D-アルトロフラノース、α-D-グルコフラノース、α-D-マンノフラノース、α-D-グロフラノース、α-D-イドフラノース、α-D-ガラクトフラノース、α-D-タロフラノース、α-D-プシコフラノース、α-D-フルクトフラノース、α-D-ソルボフラノース、α-D-タガトフラノース、α-D-キシルロフラノース、α-D-リブロフラノース、α-D-スレオフラノース、α-D-ラムノピラノース、α-D-エリスロフラノース、α-D-グルコサミン、α-D-グルコピラヌロン酸、β-D-リボピラノース、β-D-アラビノピラノース、β-D-キシロピラノース、β-D-リキソピラノース、β-D-アロピラノース、β-D-アルトロピラノース、β-D-グルコピラノース、β-D-マンピラノース、β-D-グルコピラノース、β-D-イドピラノース、β-D-ガラクトピラノース、β-D-タロピラノース、β-D-プシコピラノース、β-D-フルクトピラノース、β-D-ソルボピラノース、β-D-タガトピラノース、β-D-リボフラノース、β-D-アラビフラノース、β-D-キシロフラノース、β-D-リキソフラノース、β-D-ラムノピラノース、β-D-アロフラノース、β-D-アルトロフラノース、β-D-グルコフラノース、β-D-マンノフラノース、β-D-グロフラノース、β-D-イドフラノース、β-D-ガラクトフラノース、β-D-タロフラノース、β-D-プシコフラノース、β-D-フルクトフラノース、β-D-ソルボフラノース、β-D-タガトフラノース、β-D-キシルロフラノース、β-D-リブロフラノース、β-D-スレオフラノース、β-D-エリスロフラノース、β-D-グルコサミン、β-D-グルコピラヌロン酸、α-L-リボピラノース、α-L-アラビノピラノース、α-L-キシロピラノース、α-L-リキソピラノース、α-L-アロピラノース、α-L-アルトロピラノース、α-L-グルコピラノース、α-L-マンピラノース、α-L-グルコピラノース、α-L-イドピラノース、α-L-ガラクトピラノース、α-L-タロピラノース、α-L-プシコピラノース、α-L-フルクトピラノース、α-L-ソルボピラノース、α-L-タガトピラノース、α-L-ラムノピラノース、α-L-リボフラノース、α-L-アラビノフラノース、α-L-キシロフラノース、α-L-リキソフラノース、α-L-アロフラノース、α-L-アルトロフラノース、α-L-グルコフラノース、α-L-マンノフラノース、α-L-グロフラノース、α-L-イドフラノース、α-L-ガラクトフラノース、α-L-タロフラノース、α-L-プシコフラノース、α-L-フルクトフラノース、α-L-ソルボフラノース、α-L-タガトフラノース、α-L-キシルロフラノース、α-L-リブロフラノース、α-L-スレオフラノース、α-L-エリスロフラノース、α-L-グルコサミン、α-L-グルコピラヌロン酸、β-L-リボピラノース、β-L-アラビノピラノース、β-L-キシロピラノース、β-L-リキソピラノース、β-L-アロピラノース、β-L-アルトロピラノース、β-L-グルコピラノース、β-L-マンピラノース、β-L-グルコピラノース、β-L-イドピラノース、β-L-ガラクトピラノース、β-L-タロピラノース、β-L-プシコピラノース、β-L-フルクトピラノース、β-L-ソルボピラノース、β-L-タガトピラノース、β-L-リボフラノース、β-L-アラビノフラノース、β-L-キシロフラノース、β-L-リキソフラノース、β-L-アロフラノース、β-L-アルトロフラノース、β-L-グルコフラノース、β-L-マンノフラノース、β-L-グロフラノース、β-L-イドフラノース、β-L-ガラクトフラノース、β-L-タロフラノース、β-L-プシコフラノース、β-L-フルクトフラノース、β-L-ソルボフラノース、β-L-タガトフラノース、β-L-キシルロフラノース、β-L-リブロフラノース、β-L-スレオフラノース、β-L-エリスロフラノース、β-L-グルコサミン、β-L-グルコピラヌロン酸、およびβ-L-ラムノピラノース、を含む、またはからなるα-およびβ-D/L-炭水化物の群に属する。
【0091】
サッカリドは更に、アミド、カーボネート、カルバメート、カルボニル、チオカルボニル、カルボキシ、チオカルボキシ、エステル、チオエステル、エーテル、エポキシ、ヒドロキシアルキル、アルキレニル、フェニレン、アルケニル、イミノ、イミド、イソ尿素、チオカルバメート、チオ尿素および/または尿素部分を有するように任意に修飾される。
【0092】
本明細書で使用される用語「糖ペプチド」は、ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合された炭水化物部分を含むペプチドに関する。炭水化物部分は、側鎖を形成し、およびセリンまたはスレオニン残基のヒドロキシ基に結合したO-グリコシド、またはアスパラギン残基のアミド窒素に結合したN-グリコシドのいずれかである。
【0093】
本明細書で使用される用語「糖タンパク質」は、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合された炭水化物部分を含むポリペプチドに関する。炭水化物部分は側鎖を形成し、セリンまたはスレオニン残基のヒドロキシ基に結合したO-グリコシド、またはアスパラギン残基のアミド窒素に結合したN-グリコシドのいずれかである。
【0094】
本明細書で使用される用語「タンパク質」は、非グリコシル化タンパク質およびグリコシル化タンパク質を含み、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合された炭水化物部分を含む、または欠くポリペプチドに関する。
【0095】
本明細書で使用される用語「ペプチド」は、非グリコシル化ペプチドおよびグリコシル化ペプチドを含み、ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合された炭水化物部分を含む、または欠くペプチドに関する。
【0096】
補酵素再生
GDP-L-フコースシンターゼは、GDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-α-D-マンノースからのGDP-フコースの形成において補酵素NADPHを消費する。したがって、本明細書に記述の本発明の方法において、明確に述べられていないが、GDP-フコースは、補酵素NADPHの存在下でグアノシンおよびD-マンノースから生成される。
【0097】
補酵素NADPHおよび補酵素NADP+は、非常に高価であるので、補酵素NADPHおよび補酵素NADP+を、触媒量で保ち、費用効率の高い工程を開発するために、システムにおいて再生すると有利である。
【0098】
NADPHの再生に使用できる酵素は:
ホスファイトデヒドロゲナーゼEC番号1.20.1.1:
【0099】
【化19】
グルコースデヒドロゲナーゼEC番号1.1.1.47または1.1.1.118:
【0100】
【化20】
グリセロールデヒドロゲナーゼEC番号1.1.1.72:
【0101】
【化21】
グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ(G6PDH)EC番号1.1.1.49:
【0102】
【化22】
グルタメートデヒドロゲナーゼ(GLDH)EC番号1.4.1.4:
【0103】
【0104】
したがって、好ましい実施形態において、酵素セットは、NADPH再生に使用できる上記の酵素の1つ、すなわち、ホスファイトデヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスファイトデヒドロゲナーゼまたはグルタメートデヒドロゲナーゼをさらに含む。より好ましくは、酵素セットは、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼおよびグルタメートデヒドロゲナーゼから選択される酵素をさらに含む。
【0105】
したがって、本発明は、グアノシン、およびL-フコースまたはD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含む、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、およびD-マンノースの場合NADPHを含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれかを含み;およびホスファイトデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒のセットの存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、および共溶媒のセットの存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0106】
好ましい実施形態において、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれかを含む酵素セット;およびホスファイトデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼから選択される酵素、を提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0107】
特に好ましい実施形態において、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、L-グルタメートおよびグアノシンを可溶化するための共溶媒を含む、
溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グルタメートデヒドロゲナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、L-グルタメートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0108】
特に好ましい実施形態において、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、D-グルコースおよびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、D-グルコースおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0109】
本明細書で使用される用語「固体支持体」は、酵素または他の試薬が直接的に、または固定基を有するリンカーを介して結合されてもよく、または固定化されてもよく、過剰な試薬、可溶性反応生成物、副生成物、または溶媒から酵素を容易に分離することを可能にする(洗浄、濾過、遠心分離などによって)不溶性の官能基化された材料に関する。固体支持体は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミドなどの有機重合体、並びにそれらの共重合体およびグラフトから構成されることができる。固体支持体は、例えば、ガラス、シリカ、制御された細孔ガラス(CPG)、逆相シリカ、または金もしくは白金などの金属などの無機物であることもできる。固体支持体は、磁性粒子からなることもできる。酵素固定化のための適切な支持材料の概要については、Zdarta et al.Catalysts 2018,8,92,およびDatta et al.Biotech 2013 3:1-9を参照する。
【0110】
固体支持体の形態は、ビーズ、モノリス、球体、粒子、粒子床、繊維マット、顆粒、ゲル、膜、中空繊維膜、混合マトリックス膜または面の形態であることができる。面は、平面、実質的に平面、または非平面であることができる。固体支持体は、多孔性または非多孔性であることができ、膨潤または非膨潤特性を有することができる。固体支持体を、ウェル、窪み、または他の容器(container)、容器(vessel)、特徴、または位置の形で構成することができる。
【0111】
驚くべきことに、本発明者は、グアノシンをジメチルスルホキシドなどの共溶媒に可溶化することにより、グアノシンのGDP-フコースへのほぼ完全な変換が、すでに3時間後に達成されることを明らかにしている(実施例2)。さらに、共溶媒は、GDP-フコースの調製において使用される酵素の活性に影響を与えなかった。共溶媒として、水または緩衝液におけるグアノシンの溶解度を増加または増強する任意の化合物が適している。
【0112】
好ましくは、共溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、アセトンおよびジメチルスルホキシドを含む群から選択される有機溶媒である。好ましくは、共溶媒は、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒である。より好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシドである。したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含む、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、グアノシンを可溶化するための共溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、アセトンおよびジメチルスルホキシドを含む群から選択される。
【0113】
好ましくは、共溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、アセトンおよびジメチルスルホキシドを含む群から選択される有機溶媒である。より好ましくは、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、グアノシンを可溶化するための共溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、アセトンおよびジメチルスルホキシドを含む群から選択される。
【0114】
好ましくは、グアノシンを可溶化するための共溶媒の量は、グアノシンの可溶化を可能にするためにできるだけ低く維持される。したがって、好ましくは、共溶媒の量は、本明細書に記載の本発明の方法のステップA)において提供される溶液にグアノシンを完全に可溶化するのに十分である。あるいは、共溶媒の量は、本明細書に記述される本発明の方法のステップA)において提供される溶液に少なくとも半分の量のグアノシンを可溶化するのに十分である。
【0115】
さらに、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%の間である。より好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.05vol%から25vol%の間である。さらにより好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.1vol%から15vol%の間である。より好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.1vol%から10vol%の間である。最も好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、1vol%から5vol%の間である。
【0116】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、グアノシンを可溶化するための共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、1vol%から5vol%の間である。
【0117】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、グアノシンを可溶化するための共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、1vol%から5vol%の間である。
【0118】
一実施形態において、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドであり、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、1vol%から5vol%の間である。
【0119】
一実施形態において、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドであり、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、1vol%から5vol%の間である。
【0120】
溶解度が増加すると、より高濃度の反応混合物を実現できるので、工程コストを減少させる。したがって、ステップA)において提供される溶液中のグアノシンおよびL-フコースの濃度は、好ましくは、0.01mMから100,000mMの範囲である。より好ましくは、グアノシンおよびL-フコースの濃度は、好ましくは、0.05mMから50,000mMの範囲である。より好ましくは、グアノシンおよびL-フコースの濃度は、好ましくは、0.1mMから10,000mMの範囲である。より好ましくは、グアノシンおよびL-フコースの濃度は、好ましくは、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0121】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、ステップA)において提供される溶液中のグアノシンおよびL-フコースの濃度は、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0122】
溶解度が増加すると、より高濃度の反応混合物を実現できるので、工程コストを減少させる。したがって、ステップA)において提供される溶液中のグアノシンおよびD-マンノースの濃度は、好ましくは、0.01mMから100,000mMの範囲である。より好ましくは、グアノシンおよびD-マンノースの濃度は、好ましくは、0.05mMから50,000mMの範囲である。より好ましくは、グアノシンおよびD-マンノースの濃度は、好ましくは、0.1mMから10,000mMの範囲である。より好ましくは、グアノシンおよびD-マンノースの濃度は、好ましくは、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0123】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、ステップA)において提供される溶液中のグアノシンおよびD-マンノースの濃度は、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0124】
好ましくは、酵素セット中の酵素の濃度は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.0001mg/mLから100mg/mLの間である。
【0125】
フコース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェートとを反応させてGDP-フコースにする反応における副生成物、およびマンノース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェートとを反応させてGDP-マンノースにする反応における副生成物として、ピロホスフェート(PPi)が形成される。ピロホスフェートは水溶液中で不安定であるが、無機ホスフェート(Pi)にゆっくり加水分解する。高濃度のピロホスフェートは、GDP-フコース形成に関与するL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼおよびマンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ酵素の活性も低下させ得る。酵素ピロホスファターゼは、ピロホスフェートのホスフェートへの加水分解を触媒することができ、それにより、不可逆的なGDP-フコース/GDP-マンノース形成を効果的に行う。したがって、本発明の好ましい実施形態において、酵素セットは、ピロホスファターゼをさらに含む。
【0126】
グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0127】
本発明は、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、およびピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0128】
言い換えると、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する本発明の方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、およびピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェートを形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェートを形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェートを形成すること;
(b2’’)グアノシンジホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェートを形成すること、
(c’)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースおよびピロホスフェートにすること、
(c’’)ピロホスファターゼの存在下でピロホスフェートをホスフェートに変換すること、
によって、酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0129】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、およびピロホスファターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼおよびピロホスファターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(c’’)ピロホスファターゼの存在下でピロホスフェートをホスフェートに変換すること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
によって、酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0130】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する本発明の方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0131】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する本発明の方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、およびピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0132】
好ましくは、本明細書に記述の本発明の方法において使用されるピロホスファターゼは、無機ピロホスファターゼである。好ましくは、ピロホスファターゼは、パスツレラ マルトシダ(Pasteurella multocide)(PmPpA)由来の無機ピロホスファターゼである。
【0133】
ポリホスフェートは、水性媒体に最初に溶解された金属イオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Fe2+/3+など)と安定した水溶性の複合体を形成することができる。この効果は金属イオン封鎖と呼ばれ、結合した金属イオンが反応、特に酵素反応に関与するのを防ぐ。したがって、隔離された金属イオン、特にMg2+およびMn2+は、本明細書に記述の本発明の方法に関与する酵素の補因子として作用することができない。特定の金属イオンを隔離する特定のポリホスフェートの能力は、ポリホスフェートの鎖長の増加とともに減少するので、長鎖ポリホスフェートが本発明において好ましい。より好ましくは、少なくとも14個のホスフェート残基を有するポリホスフェートである。最も好ましくは、少なくとも25個のホスフェート残基を有するポリホスフェートである。
【0134】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートである。
【0135】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートである。
【0136】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートであり、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0137】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み;
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、および任意にピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートであり、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0138】
好ましくは、酵素は、他の基質と共に単一の反応混合物中に存在する。混合物は、均一(溶液)または不均一であり得る 酵素は、固体支持体に固定化されていてもよく、または固定化されていなくてもよい。したがって、グアノシン5'-ジホスホ-β-L-フコースは、本発明の方法の更なる態様に従って、単一の反応混合物中で生成される。
【0139】
したがって、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒を含み;および
(iii)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれかを含む酵素セット、を含む混合物を提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0140】
したがって、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、並びにD-マンノースの場合、NADPHを含み;および
(iii)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれかを含む酵素セット、を含む混合物を提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0141】
したがって、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、
(iii)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、を含む混合物を提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0142】
さらに、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;および
(iii)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、を含む溶液を提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0143】
言い換えると、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;および
(iii)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む少なくとも3つの酵素、を含む混合物を提供すること;
B)少なくとも3つの酵素、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0144】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;および
(iii)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、任意にピロホスファターゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼのいずれか、を含む酵素セット、を含む溶液を提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0145】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒;および
(iii)グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、任意にピロホスファターゼを含む酵素セット、を含む溶液を提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0146】
グアノシンおよびD-マンノースからGDP-フコースを合成するにはNADPHを必要とする。高価なNADPHがカスケードにおいて再利用される場合、カスケードは特に経済的である。さらに、NADP+からNADPHを継続的に再利用することにより、反応平衡をGDP-フコースへ動かすことができる。
【0147】
次の酵素のいずれかを、NADP+からNADPHの再利用のために適用することができる:ホスファイトデヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(GlcDH)、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(G6PDH)、およびグルタメートデヒドロゲナーゼ(GLDH)。
【0148】
したがって、好ましい実施形態において、酵素セットは、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれかをさらに含む。
【0149】
本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼから選択される酵素;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼから選択される酵素のいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒、好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシドの存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0150】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること;および
(f)グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれかによって触媒されて、NADP+からNADPHを再生すること
によって、
酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒、好ましくは、ジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0151】
好ましくは、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒、好ましくは、共溶媒は、ジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0152】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること;
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(c’’)ピロホスファターゼの存在下でピロホスフェートをホスフェートに変換すること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること;および
(f)グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれかによって触媒されて、NADP+からNADPHを再生すること
によって、
酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒、好ましくは、ジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0153】
グアノシンおよびD-マンノースからのGDP-フコースを合成することにおいて、GDPはグアニレートキナーゼ(GMK)によってGMPからインサイチュ(in situ)で生成されてもよい。
【0154】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、のいずれかを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒、好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含む。
【0155】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、のいずれかを含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること;
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、グアニレートキナーゼ(GMK)によって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
によって、
酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよび共溶媒、好ましくは、ジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0156】
好ましくは、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、のいずれかを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒、好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0157】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよびグアノシンを可溶化するための共溶媒を含む
溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、のいずれかを含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること;
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、グアニレートキナーゼ(GMK)によって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(c’’)ピロホスファターゼの存在下でピロホスフェートをホスフェートに変換すること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
によって、
酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよび共溶媒、好ましくは、ジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含む。
【0158】
好ましくは、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;
を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒、好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0159】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか、
を含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること;
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、グアニレートキナーゼ(GMK)によって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること;
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること;および
(f)グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれかによって触媒されて、NADP+からNADPHを再生すること
によって、
酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒、好ましくは、ジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0160】
さらに好ましくは、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか、
を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒、好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0161】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グアニレートキナーゼ(GMK)、および
(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;または
(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、ピロホスファターゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれか;
を含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること、
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること;
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェート、およびポリホスフェートから、グアニレートキナーゼ(GMK)によって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること、
(b2’’)グアノシンジホスフェート、およびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること、
(c’’)ピロホスファターゼの存在下でピロホスフェートをホスフェートに変換すること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること;および
(f)グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ、およびグルタメートデヒドロゲナーゼのいずれかによって触媒されて、NADP+からNADPHを再生すること
によって、
酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒、好ましくは、ジメチルスルホキシド、の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含む。
【0162】
本明細書に記述のグアノシンおよびD-マンノースからGDP-フコースを生成するための本発明の方法における副産物NADP+の再利用のために、より少量のNADPHが、ステップA)において提供される溶液において必要とされる。したがって、一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は、0.01~0.5、より好ましくは0.02~0.5、より好ましくは0.03~0.4、より好ましくは0.03~0.3、および最も好ましくは0.05~0.2である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は0.05である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は0.1である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は0.2である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は0.5である。
【0163】
GDP-フコースを生成するための本発明の方法は、固定化された酵素のセットを用いて実施することもできる。酵素は、その後、例えば、固体支持体が酵素の活性、基質特異性、立体選択性、および/または他の特性を保持するように固体支持体に固定化される。適切な固体支持体は、例えば、ビーズ、モノリス、球体、粒子、粒子床、繊維マット、顆粒、ゲル、膜、中空繊維膜、混合マトリックス膜、面または他の固相材料である。一実施形態において、各酵素、すなわち、グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、および任意にピロホスファターゼは、固体支持体上に固定化される。更なる実施形態において、各酵素、すなわち、グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼ、GDP-L-フコースシンターゼ、任意にピロホスファターゼ、任意にグアニレートキナーゼ、並びに任意にグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼおよびグルメートデヒドロゲナーゼから選択される酵素は、固体支持体上に固定化される。更なる実施形態において、各酵素、すなわち、グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ、GDP-L-フコースシンターゼ、任意にピロホスファターゼ、任意にグアニレートキナーゼ、並びにグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼおよびグルタメートデヒドロゲナーゼから選択される酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0164】
一実施形態において、酵素セットのうちのいくつかの酵素のみが、固体支持体上に固定化される。更なる実施形態において、グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼまたはポリホスフェートキナーゼの組み合わせ、例えば、1Dおよび2D-ppk2およびppk3など、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、および任意にピロホスファターゼ、を含む酵素のセットから選択される一つの酵素のみが、固体支持体上に固定化される。さらに他の実施形態において、グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、および任意にピロホスファターゼを含む酵素セットから選択される少なくとも1つの酵素は、固体支持体上に固定化される。好ましくは、ポリホスフェートキナーゼは、固体支持体上に固定化される。好ましくは、グアノシンキナーゼは、固体支持体上に固定化される。好ましくは、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼは、固体支持体上に固定化される。好ましくは、ピロホスファターゼは、固体支持体上に固定化される。
【0165】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に結合、または固定化される。
【0166】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に結合、または固定化される。
【0167】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPHおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に結合、または固定化される。
【0168】
さらに、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、ピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に結合、または固定化される。
【0169】
さらに、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、およびピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に固定化される。
【0170】
さらに、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、ピロホスファターゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に固定化される。
【0171】
本発明は更に、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットの少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0172】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットの少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0173】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびグルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、酵素セットの少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0174】
好ましくは、本明細書に記述される本発明の方法において使用される酵素は、固体支持体上に共固定化される。限られた空間内に連続的に作用する酵素の固定化は、基質の拡散時間の劇的な減少のため、変換の触媒効率を向上させる。さらに、基質のインサイチュ(in-situ)形成は、動的な増強につながる高い局所濃度を生成し、実質的なコスト削減に相当する可能性がある。共固定化は、通常、固体支持体上に固定化する前に酵素を混合することによって達成される。
【0175】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に共固定化される。
【0176】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に共固定化される。
【0177】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、並びにグルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、酵素セットは、固体支持体上に共固定化される。
【0178】
本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に共固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含む。
【0179】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含む。
【0180】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、並びにグルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含む。
【0181】
本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に共固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0182】
したがって、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0183】
したがって、本発明は、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法にも関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、並びにグルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0184】
本発明は更に、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に共固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、固体支持体は、ビーズ、モノリス、球体、粒子、粒子床、繊維マット、顆粒、ゲル、膜、中空繊維膜、混合マトリックス膜、または面の形態を有する。
【0185】
当該実施形態において、固定化酵素は、グアノシンおよびL-フコースからのグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースの生成を促進することができ、反応が完了した後、固定化酵素は容易に保持され(例えば、ビーズを保持することによってビーズ上で酵素は固定化される)、その後、後続の実行において再使用または再利用される。当該固定化された生体触媒工程は、更なる効率性およびコスト削減を可能にする。さらに、本発明の方法を、ステップA)の供給溶液を、固体支持体上に固定化された酵素セットを含む反応器に通すことによって、連続的に行うことができる。
【0186】
したがって、一実施形態において、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む供給溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に固定化された酵素セットを提供すること、ここで固定化された酵素セットを含む固体支持体は、化学反応器に位置しており;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、固定化された酵素セットを含む固体支持体を有する反応器を介して、ステップA)からの供給溶液を連続的に通すことによって、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含む。
【0187】
さらに、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む供給溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に共固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること、ここで、共固定化された酵素セットを含む固体支持体は、化学反応器に位置しており;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、共固定化された酵素セットを含む固体支持体を有する化学反応器を介して、ステップA)からの供給溶液を連続的に通すことによって、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
を含み、
ここで、共溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0188】
したがって、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む供給溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること、ここで、共固定化された酵素セットを含む固体支持体は、化学反応器に位置しており、
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、共固定化された酵素セットを含む固体支持体を持っている化学反応器を介して、ステップA)からの供給溶液を連続的に通すことによって、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0189】
したがって、グアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL D-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む供給溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、並びに(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること、ここで、共固定化された酵素セットを含む固体支持体は、化学反応器に位置しており、
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、および共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、共固定化された酵素セットを含む固体支持体を有する化学反応器を介して、ステップA)からの供給溶液を連続的に通すことによって、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0190】
酵素固定化の方法は、当該技術分野でよく知られている。酵素は、例えば、吸着、共有結合、イオン結合、金属結合、架橋または結晶化など、非共有結合的にまたは共有結合的に結合されることができる。酵素を固体支持体(例えば、樹脂、膜、ビーズ、ガラスなど)に共役および固定化するための様々な方法は、当該技術分野でよく知られており、例えば、Yi et al.,Process Biochemistry 2007,42,895;Martin et al.,Applied Microbiology and Biotechnology 2007,76,843;Koszelewski et al.,Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic,2010,63,39;Truppo et al.,Org.Process Res.Dev.,2011,15,1033;Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Second Edition,Academic Press(2008);Mateo et al.,Biotechnology Progress,2002,18,629;およびBioconjugation Protocols:Strategies and Methods,In Methods in Molecular Biology,C.M.Niemeyer ed.,Humana Press(2004)、などに記述される。
【0191】
本明細書に記述される本発明の方法において使用される酵素は、大腸菌(E.coli)などの細菌からの組換え方法によって調製されることができる。細胞溶解から得られた酵素含有溶液は、通常、遠心分離され、濾過されて細胞残屑を除去し、固体支持体上に酵素を固定化するために直接使用されることができる。したがって、更なる精製ステップまたは単離ステップは必要なく、粗細胞溶解物を、酵素が酵素活性、基質特異性、立体選択性および/または他の特性を保持するように酵素を固体支持体に固定化するために使用することができる。
【0192】
したがって、本発明は更に、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、細胞溶解物からの酵素セットは、固体支持体上に固定化される。
【0193】
さらに、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、細胞溶解物からの酵素セットは、固体支持体上に固定化される。
【0194】
さらに、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、任意にピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に共固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、細胞溶解物からの酵素セットは、固体支持体上に共固定化される。
【0195】
さらに、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、任意にピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に共固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、ここで、細胞溶解物からの酵素セットは、固体支持体上に共固定化され、および共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0196】
さらに、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、任意にピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、細胞溶解物からの酵素セットのうち少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に共固定化される。
【0197】
本発明の方法において使用される酵素を固定化するのに有用な固体支持体は、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、エチレンジアミン官能基を有するポリメタクリレート、エポキシ官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/アミノC6スペーサー官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/三級アミン官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/四級アミン官能基を有するポリスチレン、カチオン性/スルホン官能基を有するポリスチレン、カルボン酸エステル官能基を有するポリアクリル酸、フェニル官能基を有するポリスチレン、オクタデシル官能基を有するポリメタクリレート、スチレン/メチル官能基を有するポリスチレン、Ni-NTA官能基を有する磁性シリカ粒子、または磁鉄鉱コアとNi-NTA官能基を有するデキストラン殻とを有する磁性ナノ粒子、を含むビーズまたは樹脂を含むが、これらに限定されない。本発明の方法において使用される酵素を固定化するのに有用な例示的な固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403/M、EC-HFA、EC-EA/MおよびEC-HA;イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV1、IB-COV2、IB-COV3、IB-ANI1、IB-ANI2、IB-ANI3、IB-ANI4、IB-CAT1、IB-ADS1、IB-ADS2、IB-ADS3、およびIB-ADS4;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))および磁性粒子(マイクロモッド社(micromod GmbH):ナノ-マグ(Nano-mag)、サイキャスター(Sicastar)-6およびサイキャスター(Sicastar)-1.5、を含むが、これらに限定されない。
【0198】
好ましくは、固体支持体は:セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403/M、EC-EA/MおよびEC-HA;イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV1、IB-COV2、IB-COV3、IB-ANI1、IB-CAT1、IB-ADS1、IB-ADS2、IB-ADS3、およびIB-ADS4;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))および磁性粒子(マイクロモッド社(micromod GmbH):ナノ-マグ(Nano-mag)、サイキャスター(Sicastar)-6およびサイキャスター(Sicastar)-1.5、から選択される樹脂またはビーズからなる。
【0199】
したがって、本発明は更に、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、固体支持体は:セパビーズ:EC-EP、EP403/M、EC-EA/MおよびEC-HA;イムモビーズ(immobeads):IB-COV1、IB-COV2、IB-COV3、IB-ANI1、IB-CAT1、IB-ADS1、IB-ADS2、IB-ADS3、およびIB-ADS4;ユーパージット(Eupergit)および磁性粒子:ナノ-マグ(Nano-mag)、サイキャスター(Sicastar)-6およびサイキャスター(Sicastar)-1.5、から選択される樹脂またはビーズからなる。
【0200】
更に、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に更に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、固体支持体は:セパビーズ:EC-EP、EP403/M、EC-EA/MおよびEC-HA;イムモビーズ(immobeads):IB-COV1、IB-COV2、IB-COV3、IB-ANI1、IB-CAT1、IB-ADS1、IB-ADS2、IB-ADS3、およびIB-ADS4;ユーパージット(Eupergit)および磁性粒子:ナノ-マグ(Nano-mag)、サイキャスター(Sicastar)-6およびサイキャスター(Sicastar)-1.5、から選択される樹脂またはビーズから成り;および
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0201】
更に、本発明は、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に更に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む固体支持体上に固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む固体支持体上に固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、を含み、
ここで、固体支持体は、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、エチレンジアミン官能基を有するポリメタクリレート、エポキシ官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/アミノC6スペーサー官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/三級アミン官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/四級アミン官能基を有するポリスチレン、カチオン性/スルホン官能基を有するポリスチレン、カルボン酸エステル官能基を有するポリアクリル酸、フェニル官能基を有するポリスチレン、オクタデシル官能基を有するポリメタクリレート、スチレン/メチル官能基を有するポリスチレン、Ni-NTA官能基を有する磁性シリカ粒子、または磁鉄鉱コアとNi-NTA官能基を有するデキストラン殻とを有する磁性ナノ粒子、を含むビーズまたは樹脂からなる。
【0202】
本発明の更なる実施形態において、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、付加的なステップC):
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること
を含む。
【0203】
本発明の更なる実施形態において、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、付加的なステップC):
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること
を含む。
【0204】
したがって、本発明は更に、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含む。
【0205】
したがって、本発明は更に、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法に関し、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含む。
【0206】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか;およびピロホスファターゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含む。
【0207】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ;およびピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含む。
【0208】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、任意にピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含み、
ここで、酵素セットのうちの少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0209】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか;および任意にピロホスファターゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含む。
【0210】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ;および任意にピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含む。
【0211】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、任意にピロホスファターゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む共固定化された酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む共固定化された酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含み、
ここで、細胞溶解物からの酵素セットは、固体支持体上に共固定化される。
【0212】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、またはグアノシンおよびD-マンノースからグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか;およびピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0213】
好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシドであり、ジメチルスルホキシドの量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。
【0214】
好ましくは、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートである。
好ましくは、ステップA)において提供される溶液のグアノシンおよびL-フコースの濃度、またはグアノシンおよびD-マンノースの濃度は、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0215】
好ましくは、グアノシンおよびL-フコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成する方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ;および任意にピロホスファターゼを含む酵素セット提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること、
を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0216】
好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシドであり、ジメチルスルホキシドの量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。
【0217】
好ましくは、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートである。
好ましくは、ステップA)において提供される溶液のグアノシンおよびL-フコースの濃度は、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0218】
フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、およびフコシル化小分子、例えば、ステビアなど。
【0219】
本発明の更なる態様において、本明細書に記載の本発明の方法は、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、例えば、ステビアなど、を生成するために有用である。
【0220】
したがって、本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、
を含む。
【0221】
したがって、本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含む。
【0222】
したがって、本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびマンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含む。
【0223】
本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含む。
【0224】
本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含む。
【0225】
本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびマンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含む。
【0226】
フコシルトランスフェラーゼは、GDP-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との反応を触媒することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、および副産物としてのグアノシンジホスフェート(GDP)を形成する。ステップB)、特にステップ(b2’)で形成された中間生成物であるGDPは、その後、再使用または再利用されることができる。
【0227】
したがって、本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)L-フコースおよびアデノシントリホスフェートから、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてフコース-1-ホスフェートを形成すること、
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェートを形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェートを形成すること
(b2’’)グアノシンジホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェートを形成すること;および
(c)L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、フコース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-フコースにすること;
によって、酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること;および
E)グアノシントリホスフェートを形成するためにインサイチュ(in-situ)形成されたグアノシンジホスフェートを再利用すること、
を含む。
【0228】
したがって、本発明の一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、およびピロホスファターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)
(a)D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること
または
D-マンノースおよびアデノシントリホスフェートから、グルコキナーゼによって触媒されてマンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)を形成すること、およびマンノース-6-ホスフェートから、ホスホマンノムターゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)を形成すること
(b1)グアノシン、およびアデノシントリホスフェートから、グアノシンキナーゼによって触媒されてグアノシンモノホスフェート(GMP)を形成すること;
(b2’)グアノシンモノホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシンジホスフェート(GDP)を形成すること
(b2’’)グアノシンジホスフェートおよびポリホスフェートから、ポリホスフェートキナーゼによって触媒されてグアノシントリホスフェート(GTP)を形成すること;および
(c’)D-マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼの存在下で、マンノース-1-ホスフェートをグアノシントリホスフェートと反応させてGDP-マンノースにすること
(c’’)ピロホスファターゼの存在下でピロホスフェートをホスフェートに変換すること、
(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されてGDP-マンノースからGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースを形成すること;および
(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されてGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからGDP-フコースを形成すること、
によって、酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること;および
E)グアノシントリホスフェートを形成するためにインサイチュ(in-situ)形成されたグアノシンジホスフェートを再利用すること、
を含む。
【0229】
本明細書に記述の本発明のフコシル化法における副産物グアノシンジホスフェートの再利用のために、より少量のグアノシンがステップA)において提供される溶液で必要とされる。したがって、一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.01~0.5、より好ましくは0.02~0.5、より好ましくは0.03~0.4、より好ましくは0.03~0.3、および最も好ましくは0.05~0.2である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.05である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.1である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.2である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.5である。
【0230】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、
F)フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を単離すること、を含む。
【0231】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること;および
F)フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を単離すること、を含む。
【0232】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0233】
好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシドであり、ジメチルスルホキシドの量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。
【0234】
好ましくは、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートである。
好ましくは、ステップA)において提供される溶液のグアノシンおよびL-フコースの濃度、またはグアノシンおよびD-マンノースの濃度は、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0235】
好ましくは、酵素セット中の酵素の濃度は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.0001mg/mLから100mg/mLの間である。
【0236】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること
、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0237】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびマンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含み、
ここで、共溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0238】
好ましくは、共溶媒の量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。好ましくは、共溶媒はジメチルスルホキシドであり、ジメチルスルホキシドの量は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.01vol%から30vol%である。
【0239】
好ましくは、ポリホスフェートは、少なくとも25個のホスフェート残基を有する長鎖ポリホスフェートである。
好ましくは、ステップA)において提供される溶液のグアノシンおよびL-フコースの濃度は、0.2mMから5,000mMの範囲である。
【0240】
好ましくは、酵素セット中の酵素の濃度は、ステップA)において提供される溶液の総体積に基づいて、0.0001mg/mLから100mg/mLの間である。
【0241】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか;およびピロホスファターゼを含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
C)グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを単離すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含む。
【0242】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、およびピロホスファターゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること
、を含む。
【0243】
好ましくは、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること、を含み、
ここで、酵素セットのうちの少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0244】
一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子、を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、および任意にピロホスファターゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子、を生成すること
、を含み、
ここで、酵素セットのうちの少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0245】
一実施形態において、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチドまたはフコシル化小分子を生成するため方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、並びにグルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースおよびサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子から、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとサッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、ペプチドまたは小分子の利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化サッカリド、フコシル化糖ペプチド、フコシル化糖タンパク質、フコシル化タンパク質、フコシル化ペプチド、またはフコシル化小分子を生成すること、を含み、
ここで、酵素セットのうちの少なくとも一つの酵素は、固体支持体上に固定化される。
【0246】
一実施形態において、フコシル化ミルクサッカリドは、本明細書に記述の本発明の方法によって生成される。したがって、一実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、およびL-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびフコースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること;および
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびミルクサッカリドから、グアノシン5’-ジホスホ-β-l-フコースとミルクサッカリドの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化ミルクサッカリドを生成すること、を含む。
【0247】
一実施形態において、フコシル化ミルクサッカリドは、本明細書に記述の本発明の方法によって生成される。したがって、一実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびミルクサッカリドから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとミルクサッカリドの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、フコシル化ミルクサッカリドを生成すること、を含む。
【0248】
好ましくは、フコシル化ミルクサッカリドは、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、ラクト-N-フコペンタオースI、ラクト-N-フコペンタオースIII、ラクト-N-ジフコヘキサオースIおよびラクト-N-ジフコヘキサオースIIを含む群から選択される(
図6参照)。
【0249】
好ましい実施形態では、2’-フコシルラクトースは、本明細書に記載の本発明の方法によって生成される(
図10)。したがって、一実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、2’-フコシルラクトースを生成すること、を含む。
【0250】
好ましい実施形態において、2’-フコシルラクトースは、本明細書に記述の本発明の方法によって生成される。したがって、一実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)1型ガラクトシド-アルファ-(1,2)-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、2’-フコシルラクトースを生成すること、を含む。
【0251】
好ましい実施形態において、2’-フコシルラクトースを生成するための方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)1型ガラクトシド-アルファ-(1,2)-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、2’-フコシルラクトースを生成すること;および
E)グアノシントリホスフェートを形成するためにインサイチュ(in-situ)形成されたグアノシンジホスフェートを再利用すること、を含む。
【0252】
好ましい実施形態において、3-フコシルラクトースは、本明細書に記述の本発明の方法によって生成される(
図18および
図19)。したがって、一実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、3-フコシルラクトースを生成すること、を含む。
【0253】
好ましい実施形態において、3-フコシルラクトースは、本明細書に記述の本発明の方法によって生成される。したがって、一実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)3/4-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、3-フコシルラクトースを生成すること、を含む。
【0254】
好ましい実施形態において、3-フコシルラクトースは、本明細書に記述の本発明の方法によって生成される。したがって、一実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)3/4-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、3-フコシルラクトースを生成すること、を含む。
【0255】
好ましい実施形態において、3-フコシルラクトースを生成するための方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびL-フコースを含み、またはグアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、およびL-フコースの場合、L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼを含む酵素セット、またはD-マンノースの場合、(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、もしくは(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびL-フコースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)3/4-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、3-フコシルラクトースを生成すること;および
E)グアノシントリホスフェートを形成するためにインサイチュ(in-situ)形成されたグアノシンジホスフェートを再利用すること、を含む。
【0256】
本明細書に記載の本発明のフコシル化法における副産物グアノシンジホスフェートの再利用のために、より少量のグアノシンがステップA)において提供される溶液で必要とされる。したがって、一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.01~0.5、より好ましくは0.02~0.5、より好ましくは0.03~0.4、より好ましくは0.03~0.3、および最も好ましくは0.05~0.2である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.05である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.1である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.2である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.5である。
【0257】
好ましい実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、L-グルタメート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グルタメートデヒドロゲナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)3/4-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、3-フコシルラクトースを生成すること、
E)グアノシントリホスフェートを形成するためにインサイチュ(in-situ)形成されたグアノシンジホスフェートを再利用すること、
F)グルタメートデヒドロゲナーゼによって触媒されてインサイチュ(in-situ)形成されたNADP+からNADPHを再生成すること、を含む。
【0258】
好ましい実施形態において、本発明の方法は次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、D-グルコース、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、NADPH、D-グルコースおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、または酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)3/4-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースおよびラクトースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースとラクトースの利用可能なヒドロキシル基との間のO-グリコシド結合を形成することによって、3-フコシルラクトースを生成すること、
E)グアノシントリホスフェートを形成するためにインサイチュ(in-situ)形成されたグアノシンジホスフェートを再利用すること、
F)グルタメートデヒドロゲナーゼによって触媒されてインサイチュ(in-situ)形成されたNADP+からNADPHを再生成すること、を含む。
【0259】
本明細書に記述のグアノシンおよびD-マンノースからGDP-フコースを生成するための本発明の方法における副産物NADP+の再利用のために、より少量のNADPHがステップA)において提供される溶液で必要とされる。したがって、一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は、0.01~0.5、より好ましくは0.02~0.5、より好ましくは0.03~0.4、より好ましくは0.03~0.3、および最も好ましくは0.05~0.2である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は、0.05である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は、0.1である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は、0.2である。一実施形態において、NADPHのD-マンノースに対するモル比は、0.5である。
【0260】
L-フコースの生産
L-フコースは(非常に大きな規模において)高価な糖と見なすことができるため、D-マンノースからのL-フコースの合成は、本発明の方法でさらに提供される。第一のGDP-フコースは、本明細書に記述されているように、D-マンノースおよびグアノシンから生成される。トランスフェラーゼは可逆的に機能することができるため、その後、任意の受容体を添加せずにフコシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.344またはEC2.4.1.69)またはフコシダーゼ(EC3.2.1.51)を添加することによって、GDP-フコースは加水分解されてフコースになるであろう。反応スキームを
図9に示す。したがって、L-フコースを、例えば、D-マンノースおよびグアノシンなどの低コストの基質から生成することができる。
【0261】
あるいは、L-フコースは、実施例10に記述されるように、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを、80℃から100℃の範囲の温度で加熱することによって単に生成される。好ましくは、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを、この温度で0.5~3時間、好ましくは0.5~2時間、より好ましくは0.5~1.5時間、最も好ましくは1時間加熱する。
【0262】
したがって、一実施形態において、L-フコースは、グアノシンおよびD-マンノースから出発して本明細書に記述されるような本発明の方法によって生成される。したがって、一実施形態において、本発明の方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)フコシルトランスフェラーゼの存在下で、および受容体の非存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースから、L-フコースを生成すること;またはグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを、80℃から100℃の範囲の温度で加熱することによって、L-フコースを生成すること、を含む。
【0263】
したがって、一実施形態において、L-フコースは、グアノシンおよびD-マンノースから出発して本明細書に記述されるような本発明の方法によって生成される。したがって、一実施形態において、本発明の方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)1型ガラクトシド-アルファ-(1,2)-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、および受容体の非存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースから、L-フコースを生成すること;またはグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを、80℃から100℃の範囲の温度で加熱することによって、L-フコースを生成すること、を含む。
【0264】
したがって、一実施形態において、本発明の方法は、次のステップ:
A)
(i)グアノシンおよびD-マンノースを含み
(ii)ポリホスフェート、アデノシントリホスフェート、およびグアノシンを可溶化するための共溶媒、を含む溶液を提供すること;および
グアノシンキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ、および(a)グルコキナーゼ、ホスホマンノムターゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコース-シンターゼ、または(b)N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ、マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼおよびGDP-L-フコースシンターゼのいずれか、を含む酵素セットを提供すること;
B)酵素セット、ポリホスフェート、アデノシントリホスフェートおよび共溶媒の存在下でグアノシンおよびD-マンノースから、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを生成すること、
D)1型ガラクトシド-アルファ-(1,2)-フコシルトランスフェラーゼの存在下で、および受容体の非存在下で、グアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースから、L-フコースを生成すること、またはグアノシン5’-ジホスホ-β-L-フコースを、80℃から100℃の範囲の温度で加熱することによって、L-フコースを生成すること、および
E)グアノシントリホスフェートを形成するためにインサイチュ(in-situ)形成されたグアノシンジホスフェートを再利用すること、を含む。
【0265】
本明細書に記述の本発明のフコシル化方法における副産物グアノシンジホスフェートの再利用のために、より少量のグアノシンがステップA)において提供される溶液で必要とされる。したがって、一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.01~0.5、より好ましくは0.02~0.5、より好ましくは0.03~0.4、より好ましくは0.03~0.3、および最も好ましくは0.05~0.2である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.05である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.1である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.2である。一実施形態において、グアノシンのL-フコースに対するモル比、またはグアノシンのD-マンノースに対するモル比は、0.5である。
【0266】
本明細書で使用される用語「受容体」は、フコシルトランスフェラーゼによってフコシル化されることができる、すなわち、本明細書に記述されるようにフコシルトランスフェラーゼによって触媒される反応において基質として作用する、サッカリド、ペプチドまたはタンパク質を含む任意の分子または高分子に関する。したがって、受容体は、水性媒体中でフコシルトランスフェラーゼによるGDP-フコースの加水分解を防ぐ。特に、受容体は求核性であるグリコシル受容体である。好ましくは、グルコシル受容体は、GDP-フコースのフコシル部分と共有グリコシド結合を形成することができる、酸素-、炭素-、窒素-、または硫黄-に基づく求核基を有する。
【0267】
上述の本発明の方法のいずれかにおいて、好ましくは、グルコキナーゼは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、ホスホマンノムターゼは、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼは、SEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、マンノース-1-ホスフェートグアニルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼは、SEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、GDP-L-フコースシンターゼは、SEQ ID NO:6に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、L-フコキナーゼは、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、グアノシンキナーゼは、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、ポリホスフェートキナーゼは、SEQ ID NO:9(2D-PPK2)およびSEQ ID NO:14(PPK3)に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%のいずれかを含み、ピロホスファターゼは、SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、グアニレートキナーゼ(GMK)は、SEQ ID NO:11に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、グルタメートデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:12に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:13に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、グルコースデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:15に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、フコシルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:16(3/4FT)に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含む。
【0268】
更に好ましくは、上述の本発明の方法のいずれかにおいて、グルコキナーゼは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、ホスホマンノムターゼは、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼは、SEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、マンノース-1-ホスフェートグアニルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼは、SEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、GDP-L-フコースシンターゼは、SEQ ID NO:6に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、L-フコキナーゼは、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、グアノシンキナーゼは、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、ポリホスフェートキナーゼは、SEQ ID NO:9(2D-PPK2)およびSEQ ID NO:14(PPK3)に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%のいずれかを含み、ピロホスファターゼは、SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、グアニレートキナーゼ(GMK)は、SEQ ID NO:11に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、グルタメートデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:12に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:13に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、グルコースデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:15に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、フコシルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:16(3/4FT)に記載のアミノ酸配列の少なくとも90%を含む。
【0269】
より好ましくは、上述の本発明の方法のいずれかにおいて、グルコキナーゼは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、ホスホマンノムターゼは、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼは、SEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、マンノース-1-ホスフェートグアニルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼは、SEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、GDP-L-フコースシンターゼは、SEQ ID NO:6に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、L-フコキナーゼは、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、グアノシンキナーゼは、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、ポリホスフェートキナーゼは、SEQ ID NO:9(2D-PPK2)およびSEQ ID NO:14(PPK3)に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%のいずれかを含み、ピロホスファターゼは、SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、グアニレートキナーゼ(GMK)は、SEQ ID NO:11に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、グルタメートデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:12に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:13に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、グルコースデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:15に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、フコシルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:16(3/4FT)に記載のアミノ酸配列の少なくとも95%を含む。
【0270】
更により好ましくは、上述の本発明の方法のいずれかにおいて、グルコキナーゼは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、ホスホマンノムターゼは、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼは、SEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、マンノース-1-ホスフェートグアニルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼは、SEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、GDP-L-フコースシンターゼは、SEQ ID NO:6に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、L-フコキナーゼは、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、グアノシンキナーゼは、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、ポリホスフェートキナーゼは、SEQ ID NO:9(2D-PPK2)およびSEQ ID NO:14(PPK3)に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%のいずれかを含み、ピロホスファターゼは、SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、グアニレートキナーゼ(GMK)は、SEQ ID NO:11に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、グルタメートデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:12に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:13に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、グルコースデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:15に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、フコシルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:16(3/4FT)に記載のアミノ酸配列の少なくとも98%を含む。
【0271】
最も好ましくは、上述の本発明の方法のいずれかにおいて、グルコキナーゼは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列を含み、ホスホマンノムターゼは、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列を含み、N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼは、SEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列を含み、マンノース-1-ホスフェートグアニルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸配列を含み、GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼは、SEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列を含み、GDP-L-フコースシンターゼは、SEQ ID NO:6に記載のアミノ酸配列を含み、L-フコキナーゼは、SEQ ID NO:7に記載のアミノ酸配列を含み、グアノシンキナーゼは、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列を含み、ポリホスフェートキナーゼは、SEQ ID NO:9(2D-PPK2)およびSEQ ID NO:14(PPK3)に記載のアミノ酸配列のいずれかを含み、ピロホスファターゼは、SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列を含み、グアニレートキナーゼ(GMK)は、SEQ ID NO:11に記載のアミノ酸配列を含み、グルタメートデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:12に記載のアミノ酸配列を含み、グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:13に記載のアミノ酸配列を含み、グルコースデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:15に記載のアミノ酸配列を含み、フコシルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:16(3/4FT)に記載のアミノ酸配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0272】
【
図1】GDP-フコースを生成するための本発明の方法の反応経路を示し、(a)L-フコースおよびATPからのフコース-1-ホスフェート(Fuc-1-P)の形成、(b)グアノシンおよびポリホスフェートからのグアノシントリホスフェート(GTP)の形成、および(c)フコース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェートとを反応させてGDP-フコースにすること、からなる。
【
図2】GDP-フコースを生成するための本発明の方法の例示的な反応スキームを示し、(a)フコキナーゼ(9)によって触媒されるL-フコースおよびATPからのフコース-1-ホスフェート(Fuc-1-P)の形成、(b)グアノシンキナーゼ/イノシンキナーゼ(7)およびポリホスフェートキナーゼ(8)によって触媒されるグアノシンおよびポリホスフェートからのグアノシントリホスフェート(GTP)の形成、および(c)フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ(9)によって触媒されて、フコース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェートとを反応させてGDP-フコースにすること、からなる。
【
図3】GDP-フコースを生成するための本発明の方法の例示的な反応スキームを示し、(a)グルコキナーゼ(1)およびホスホマンノムターゼ(2)、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ(3)のいずれかによって触媒されるD-マンノースおよびATPからのマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)の形成、(b)グアノシンキナーゼ/イノシンキナーゼ(7)およびポリホスフェートキナーゼ(8)によって触媒されるグアノシンおよびポリホスフェートからのグアノシントリホスフェート(GTP)の形成、および(c)マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ(4)によって触媒されてマンノース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェートとを反応させてGDP-マンノースにすること、および(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼ(5)によって触媒されるGDP-マンノースからのGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースの形成、および(e)GDP-L-フコースシンターゼ(6)によって触媒されるGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからのGDP-フコースの形成、からなる。
【
図4A】本発明の方法によって調製された様々な時点でのGDP-フコースの濃度を示す(実施例3を参照)。
【
図4B】固定化酵素を使用して本発明の方法によって調製された様々な時点でのGDP-フコースの濃度を示す(実施例5を参照)。
【
図5A】t=0での出発材料のクロマトグラムを示す。
【
図5B】48時間後の反応混合物のクロマトグラムを示す。
【
図6】例示的なフコシル化ミルクサッカリドを示す。
【
図7】4℃で24時間インキュベーション後の、固体支持体上に結合された酵素の量を示す(実施例4を参照)。
【
図8】固定化酵素と24時間30℃で反応させた後に形成されたGDP-フコースの量を示す(実施例4を参照)。
【
図9】グアノシンおよびD-マンノースからL-フコースを生成するための本発明の方法の例示的な反応スキームを示し、(a)グルコキナーゼ(1)およびホスホマンノムターゼ(2)、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ(3)のいずれかによって触媒されるD-マンノースおよびATPからのマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)の形成、(b)グアノシンキナーゼ/イノシンキナーゼ(7)およびポリホスフェートキナーゼ(8)によって触媒されるグアノシンおよびポリホスフェートからのグアノシントリホスフェート(GTP)の形成、および(c)マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェートとを反応させてGDP-マンノースにすること、および(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されるGDP-マンノースからのGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースの形成、および(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されるGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからのGDP-フコースの形成、および受容体分子の非存在下で1型ガラクトシド-アルファ-(1,2)-フコシルトランスフェラーゼによって触媒されるGDP-L-フコースからのL-フコースの形成、からなる。
【
図10】グアノシンおよびD-マンノースから2’-フコシルラクトースを生成するための本発明の方法の例示的な反応スキームを示し、(a)グルコキナーゼ(1)およびホスホマンノムターゼ(2)、またはN-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ(3)のいずれかによって触媒されるD-マンノースおよびATPからのマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)の形成、(b)グアノシンキナーゼ/イノシンキナーゼ(7)およびポリホスフェートキナーゼ(8)によって触媒されるグアノシンおよびポリホスフェートからのグアノシントリホスフェート(GTP)の形成、および(c)マンノース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼによって触媒されてマンノース-1-ホスフェートとグアノシントリホスフェートとを反応させてGDP-マンノースにすること、および(d)GDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼによって触媒されるGDP-マンノースからのGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースの形成、および(e)GDP-L-フコースシンターゼによって触媒されるGDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-アルファ-D-マンノースおよびNADPHからのGDP-フコースの形成、および1型ガラクトシドアルファ-(1,2)―フコシルトランスフェラーゼによって触媒されるGDP-L-フコースおよびラクトースからの2’-フコシルラクトースの形成、からなる。
【
図11A】(A1)実施例6-A1において行われたGDP-マンノースからGDP-フコースへの反応カスケード、および(A2)実施例6-A2において行われたグルコースおよびG6PDHの存在下でのGDP-マンノースからGDP-フコースへの反応カスケードを示す。反応は、NADPH再利用がGDP-フコースの側に向かって多酵素反応平衡を促進することができることを実証するために行われた。
【
図11B】(A3)実施例6-A3において行われたグルタメートおよびGLDHの存在下でのマンノースおよびGTPからGDP-フコースへの反応カスケード、を示す。反応は、NADPH再利用がGDP-フコースの側に向かって多酵素反応平衡を促進することができることを実証するために行われた。
【
図12】一晩インキュベーション後の反応A1、A2、およびA3における反応アリコートのクロマトグラムを示す。クロマトグラム(A1)は、反応平衡がGDP-マンノースの側に向かっていることを示す。NADPH再利用が実行されると、反応平衡はGDP-フコースに向かって促進されることができる(A2およびA3を参照)。
【
図13】実施例7において行われたマンノースおよびグアノシンからGDP-フコースへの反応カスケードからの反応カスケードを示す。
【
図14】イオンクロマトグラフィーによって測定された実施例7の反応における反応時間的経過を示す。
【
図15】実施例8において行われたマンノースおよびグアノシンからGDP-フコースへの反応カスケードを示す。
【
図16】イオンクロマトグラフィーによって測定された実施例8の反応における反応時間的経過を示す。
【
図17】実施例9において行われたマンノースおよびグアノシンから3-フコシルラクトースへの反応カスケードを示す。
【
図18】マンノースおよびグアノシンからの3-フコシルラクトースの合成を示す。48時間の反応時間後に採取した反応アリコート(黒)、および3-フコシルラクトース標準試料の反応クロマトグラムを示す。ピークを、アンペロメトリー検出によって検出した。
【
図19】グアノシンおよびフコースからの3-フコシルラクトースの合成を示す(実施例9の反応D2)。48時間の反応時間後に採取された反応アリコートのクロマトグラム。ピークを電流測定検出によって検出した。
【
図20】D-マンノースからのL-フコースの生成を示す。実施例8における試料の反応物を95℃で1時間加熱した(実施例10を参照)。加熱された試料のアリコートを採取し、電流測定検出を伴うイオンクロマトグラフィーによって測定し(黒)、フコース標準(Fuc)に対して比較された。
【発明を実施するための形態】
【0273】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。実施例に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能するために発明者によって発見された技術を表し、したがって、当該実施のための好ましい様式を構成すると見なされることができることを当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、多くの変更を特定の実施形態において行うことができ、それらは開示され、本発明の精神および範囲から逸脱することなく依然として同様の、または類似の結果を得ることを理解すべきである。
【0274】
本発明の様々な態様における更なる修正および代替的な実施形態は、この明細書を考慮して当業者には明らかになるであろう。したがって、この明細書は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的としている。本明細書に示され、および記述される本発明の形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることが理解されるべきである。要素および材料は、本明細書に例示および記述されているものに代替されてもよく、部分および工程を逆にしてもよく、本発明の特定の特徴を独立して利用してもよく、全ては、本発明のこの明細書の利益を有した後、当業者に明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲に記載されているように、変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記述される要素で行われてもよい。
【0275】
[実施例]
略語および頭字語
ADP アデノシン5’-ジホスフェート
ATP アデノシン5’-トリホスフェート
Fuc L-フコース
GSK グアノシンキナーゼ
GDP グアノシン5’-ジホスフェート
GDH グルコースデヒドロゲナーゼ;グルコース-1-デヒドロゲナーゼ
GLDH グルタメートデヒドロゲナーゼ
G6PDH グルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ
GMD GDP-D-マンノース-4,6-デヒドラターゼ
GMK グアニレートキナーゼ
GMP グアノシン5’-モノホスフェート
GLK グルコキナーゼ
GTP グアノシン5’-トリホスフェート
GUO グアノシン
Lac D-ラクトース
Man D-マンノース
ManB ホスホマンノムターゼ
ManC マンノース-1-ホスフェートグアニルトランスフェラーゼ
NADP ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート
NADPH 還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート
NAHK N-アセチルヘキソサミン-1-キナーゼ
ポリP ポリホスフェート
PPi ピロホスフェート
Pi ホスフェート
PPK2 ポリホスフェートキナーゼ2
PPK3 ポリホスフェートキナーゼ3
2D-PPK2 2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2
FKP L-フコキナーゼ/L-フコース-1-ホスフェートグアニリルトランスフェラーゼ
PmPpA パスツレラ ムルトシダ(Pasteurella multocida)無機ピロホスファターゼ(PPA)
WCAG GDP-4-ケト-6-デオキシマンノース-3,5-エピメラーゼ-4-レダクターゼ
3/4FT α-1-3/4-フコシルトランスフェラーゼ
化学物質および試薬
特に明記しない限り、全ての化学物質および試薬は、シグマ-アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)から得られ、入手可能な最高の純度であった。固体支持体を、レジンディオン社(Resindion)、キラルビジョン社(ChiralVision)、ローム社(Rohm GmbH&Co.KG)、およびマイクロモッド社(micromod GmbH)から得た。
【0276】
実施例1:酵素の調製
酵素GSK、PPK2、FKP、およびPmPpAをコードする遺伝子を、表1に記載される標準的な発現ベクターにクローン化した。発現ベクターを、大腸菌(E.coli)BL21ゴールド(DE3)に形質転換した。
【0277】
【0278】
形質転換体は、50μg/mlのカナマイシンを添加した500mlの容量のLB培地(溶原性ブロス)でバッフルを備えた1L振とうフラスコで培養された。培養物を、37℃でOD600=0.8まで培養した。発現を、培養物に最終濃度0.5mMを有するIPTGを添加することによって誘導した。発現時間は20℃で12~18時間後に終了した。バイオマスを、6,000×gで10分間遠心分離することにより、培地から分離した。各酵素の発現の成功を、標準的な操作手順(Laemmli,Nature 1970,227,680-685)に従ってSDS-PAGEによって分析した。湿潤バイオマスを、-20℃で保存した。
【0279】
精製のために、一般的に、30mlの平衡緩衝液を、3gの凍結バイオマスに加えた。平衡緩衝液は、pH7.5でcOmplete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル:100mM HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、10mM MgCl2、5mM MnSO4、300mM NaCl、および5vol%グリセロールを含む。撹拌下、4℃で解凍した後、細胞を、氷上で中間冷却しながら、1,000バールの高圧ホモジナイザー(エマルジフレックス(Emulsiflex) C5、アベスティン社(Avestin Inc.),オタワ,カナダ)に4回通過させることによって破壊した。遠心分離(45分,20,000×g)後、上清を、アマルシャム バイオサインスズ社(Amersham Biosciences)(ウプサラ,スウェーデン)のNi2+セファロース(Sepharose)(商標)高性能クロマトグラフィー材料を含む平衡化固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラム(10mlCV)に適用した。結合していないタンパク質を、平衡化緩衝液を使用して洗い流した。固定化されたタンパク質を、溶出バッファーを使用して1ml画分に溶出した。最後に、酵素溶液を、メルク ミリポア社(Merck Millipore)(ダルムシュタット,ドイツ)の50kDaカットオフを有する遠心フィルターユニットアミコン(登録商標)ウルトラ-15によって濃縮した。酵素の損失は、限外濾過中に観察されなかった。酵素を、-20℃で50%グリセロール中に保存した。タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用してブラッドフォード分析によって測定した(Bradford,Analytical Biochemistry 1976,72(1),248-254)。
【0280】
実施例2:GDP-フコースの均一な調製
精製された酵素(表1)を、グアノシン、L-フコース、ATP、ポリホスフェート、およびHEPES緩衝液と共に混合し、表2に記載されている濃度にした。実験は低結合タンパク質バイアルで実施した。グアノシンは、混合物に添加する前に、6vol%のジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化した。反応を、サーモミキサーで、30℃で実施した。
【0281】
【0282】
ほぼ3時間後、基質(グアノシン)のGDP-フコースへの90%の変換が得られた(
図4Aを参照)。他の最終生成物は検出されなかった(48時間後の反応混合物のクロマトグラムを示す
図5Bを参照)。
【0283】
実施例3:GDP-フコースの失敗した合成
GDP-フコースの合成を、実施例2に記述されたように行ったが、DMSOを添加しなかった。反応を、サーモミキサーで、30℃で実施し、得られた反応混合物は濁ったままであった。3時間後、基質(グアノシン)のGDP-フコースへの変換は観察されなかった。
【0284】
この実施例は、2つの酵素経路の単なる組み合わせがGDP-フコースを提供しないことを示す。
実施例4:固体支持体への酵素の固定化
酵素の複数回の使用を可能にするために、酵素を固体支持体上に固定化した。
【0285】
高圧均質化によって実施例1で得られた細胞溶解物を遠心分離し、濾過し、細胞残屑を除去した。樹脂:セパビーズ(レジンディオン社(Resindion))、EC-EP、EP403/M、EC-HFA、EC-EA/MおよびEC-HA;イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV1、IB-COV2、IB-COV3、IB-ANI1、IB-ANI2、IB-ANI3、IB-ANI4、IB-CAT1、IB-ADS1、IB-ADS2、IB-ADS3、およびIB-ADS4、ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))および磁性粒子(マイクロモッド社(micromod GmbH)、ナノ-マグ(Nano-mag)、サイキャスター(Sicastar)-6およびサイキャスター(Sicastar)-1.5を、酵素と共に4℃で24時間インキュベーションした。
【0286】
タンパク質分析を、BCA分析によって行った。総結合タンパク質の結果を
図7に示す。
固定化後、酵素を負荷された樹脂を、実施例1に記述されるように緩衝液を用いて洗浄した。樹脂を、表3に示される反応物の溶液と共に、30℃で24時間インキュベーションした。
【0287】
【0288】
図8に示されるように、GDP-フコースの形成を、全ての負荷された樹脂で観察した。
実施例5:磁性粒子上でのGDP-フコースの不均一な調製
この限りでは、135mLのFKP、45mLのPmPpA、90mLのGSKおよび90mLの2D-PPK2の発酵ブロス(実施例1を参照)を合わせ、10mMイミダゾールを含む25mLの緩衝液(実施例1に記述される)中に溶解し、0.5 mLの酵素混合物を得て、酵素混合物を、12.5mgのサイキャスター(Sicastar)-6磁性樹脂と共にインキュベーションした。10℃で1時間インキュベーションした後、樹脂を、緩衝液を用いて洗浄し、バイアル内で0.25mLの試薬溶液と共に混合した(表4参照)。混合物を、30℃で48時間インキュベーションした。
【0289】
【0290】
48時間後、基質(グアノシン)からGDP-フコースへのほぼ定量的な変換(98%)を得た(
図4Bを参照)。
実施例6:NADPHの再利用
ワンポット反応を実施し(表5の反応A1の反応条件を参照)、GDP-マンノースからGDP-フコースへのGDP-マンノース4,6-デヒドラターゼ(GMD,E.C.4.2.1.47)およびGDP-L-フコースシンターゼ(wcaG,E.C.1.1.1.271)触媒反応の平衡は、GDP-マンノースの側にあることを示した(
図11-A1および
図12-A1を参照)。この実験において、最初に、酵素を表5に記述される量までバイアルに調剤した。緩衝液、補因子、GDP-Man、NADPHを、この順序で、表5に記述される濃度まで添加した。反応を、1.5mLエッペンドルフバイアルで、37℃および550rpmで、エッペンドルフサーモミキサーコンフォートで実行した。アリコートを、様々な時点で採取し、および90℃で3分間加熱することによってクエンチし、イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。平衡はGDP-Man側にあると見ることが可能である(
図12-A1を参照)。
【0291】
反応の平衡をGDP-Fucに向けて推進するために、他の反応への結合を(NADP
+が常に除去される方法で)設計する必要がある。反応A2において、酵素Glk、PPK3、およびグルコース-6-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ(メルク社(Merck)から購入-10165875001)(G6PDH,E.C:1.1.1.49)を、NAPDHを再利用するために使用し、GDP-フコースの収量を増加させた。この実験において、最初に、酵素を表6に記述される量までバイアルに調剤した。酵素の添加後、緩衝液、補因子、GDP-Man、NADPH、グルコース、ATP、およびポリホスフェートを、この順序で、表6に記述される濃度まで添加した。反応を、1.5mLエッペンドルフバイアルで、37℃および550rpmで、エッペンドルフサーモミキサーコンフォートで実行した。アリコートを、様々な時点で採取し、および90℃で3分間加熱することによってクエンチし、その後、イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。再利用のために、安価な基質のグルコースおよびポリホスフェートを基質として使用する(
図11-A2および
図12-A2を参照)。
【0292】
他の実験を、NADPHの再生、およびGDP-Fucへの平衡の変更のために、Man、ATP、GTP、およびポリホスフェート、並びにL-グルタメートから、GDP-Fucを生成するために行った。この実験において、最初に、酵素を表7に記述される量までバイアルに調剤した。酵素の添加後、緩衝液、補因子、Man、GTP、ATP、およびL-グルタメート、並びにポリホスフェートを、この順序で、表7に記述される濃度まで添加した。反応を、1.5mLエッペンドルフバイアルで、37℃および550rpmで、エッペンドルフサーモミキサーコンフォートで実行した。アリコートを、様々な時点で採取し、および90℃で3分間加熱することによってクエンチし、その後、イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。反応A3(表7の反応A3の反応条件を参照)において、グルタメートデヒドロゲナーゼ(メルク社(Merck)から購入-10197734001)(GLDH,E.C.1.4.1.4)を、L-グルタメートおよび水からNADPHを再利用するために使用した。(
図11-A3および
図12-A3を参照)。
【0293】
【0294】
【0295】
【0296】
実施例7:Glkを使用したD-マンノースからのGDP-フコースの合成
ワンポット酵素反応を、
図13に示されるカスケードを介してマンノースからのGDP-フコース合成を立証するために実施した。この実験において、最初に、酵素を表8に記述される量までバイアルに調剤した。酵素の添加後、緩衝液、補因子、マンノース、ATP、L-グルタメート、NADPH、グアノシン(DMSOを含むストックから)およびポリホスフェートを、この順序で、表8に記述される濃度まで添加した。反応を、1.5mLエッペンドルフバイアルで、37℃および550rpmで、エッペンドルフサーモミキサーコンフォートで実行した。アリコートを、様々な時点で採取し、および90℃で3分間加熱することによってクエンチし、その後、イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。実施例7における反応の反応時間的経過を、
図14に示されるイオン交換クロマトグラフィーによって測定する。
【0297】
【0298】
実施例8:NahKを使用したD-マンノースからのGDP-フコースの合成
ワンポット酵素反応を、
図15に示されるカスケードを介してマンノースからのGDP-フコース合成を実証するために実施した。この実験において、最初に、酵素を表9に記述される量までバイアルに調剤した。酵素の添加後、緩衝液、補因子、マンノース、ATP、L-グルタメート、NADPH、グアノシン(ストックはDMSOで調製された)およびポリホスフェートを、この順序で、表9に記述される濃度まで添加した。反応を、1.5mLエッペンドルフバイアルで、37℃および550rpmで、エッペンドルフサーモミキサーコンフォートで実行した。アリコートを、様々な時点で採取し、および90℃で3分間加熱することによってクエンチし、その後、イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。実施例8における反応の反応時間的経過を、
図16に示されるイオン交換クロマトグラフィーによって測定する。
【0299】
【0300】
実施例9:3-フコシルラクトースの合成
GDP-フコース生成のためのカスケードは、分子または生体分子、例えば、母乳オリゴサッカリドおよび治療的タンパク質をフコシル化するために、フコシルトランスフェラーゼと結合することができる。結合は、ワンポット反応で実行される(
図17参照)。反応を実施し、ここでGDP-フコースカスケードは、D-マンノースから出発して3-フコシルラクトースを生成するために、3/4-フコシルトランスフェラーゼと結合した(反応D1;
図18参照)。この実験において、最初に、酵素を表10に記述される量までバイアルに調剤した。酵素の添加後、緩衝液、補因子、マンノース、ATP、L-グルタメート、NADPH、ラクトース、グアノシン(ストックはDMSOで調製された)およびポリホスフェートを、この順序で、表10に記述される濃度まで添加した。反応を、1.5mLエッペンドルフバイアルで、37℃および550rpmで、エッペンドルフサーモミキサーコンフォートで行った。アリコートを採取し、および90℃で3分間加熱することによってクエンチし、その後、イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。他の実験を、3-フコシルラクトセインを生成するために行い、ここでGDP-Fucはグアノシン、L-フコースから生成された(反応D2;
図19を参照)。この実験において、最初に、酵素を表11に記述される量まで添加した。酵素の添加後、緩衝液、補因子、L-フコース、ATP、ラクトース、グアノシン(ストックはDMSOで調製された)およびポリホスフェートを、この順序で、表11に記述される濃度まで添加した。反応を、1.5mLエッペンドルフバイアルで、37℃および550rpmで、エッペンドルフサーモミキサーコンフォートで行った。アリコートを採取し、および90℃で3分間加熱することによってクエンチし、その後、イオン交換クロマトグラフィーによって測定した。
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
実施例10:D-マンノースからのL-フコースの生成
実施例7および実施例8に記述されるカスケードを、D-マンノースおよびグアノシンからL-フコースを生成するために使用することができる。実施例8の反応物を95℃で1時間加熱した。加熱後に採取されたアリコートを、イオンクロマトグラフィーによって測定した(
図20参照)。
【0305】
次の表の配列を含む配列リストを、本出願に添付する:
【0306】
【配列表】
【国際調査報告】