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特表2022-528887バイシクルトキシンコンジュゲートおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】バイシクルトキシンコンジュゲートおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/12 20060101AFI20220609BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220609BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220609BHJP
【FI】
A61K38/12
A61K45/00
A61K47/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558958
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 GB2020050874
(87)【国際公開番号】W WO2020201753
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/827,899
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,954
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/893,835
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519226757
【氏名又は名称】バイスクルテクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベネット, ギャビン
(72)【発明者】
【氏名】ラーデンランタ, ジョハナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA26
4C084BA31
4C084CA53
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC752
(57)【要約】
本発明は、癌などの罹患組織におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置するための、バイシクルトキシンコンジュゲート、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物、およびその使用に関する。バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528およびBCY10188、ならびにその薬学的に許容され得る塩および医薬組成物は、EphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状、例えば、癌の処置に有効であることが見出された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法であって、前記患者にバイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与して、BT5528および/またはMMAEの全身曝露を約2時間またはそれ未満で提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BT5528の全身曝露が、血漿中のBT5528の前記濃度が血漿中のBT5528の最大濃度の約2%またはそれを超える時間までに測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記BT5528の全身曝露が、血漿中のBT5528の前記濃度が約15pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記MMAEの全身曝露が、血漿中のMMAEの前記濃度が血漿中のMMAEの最大濃度の約10%またはそれを超える時間までに測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記MMAEの全身曝露が、血漿中のMMAEの前記濃度が約2pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される、請求項2または5に記載の方法。
【請求項7】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与して、約50pmol/グラムまたはそれを超える腫瘍MMAE濃度を提供する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与して、約24時間以内に腫瘍において有糸分裂停止を誘導する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
腫瘍における有糸分裂停止が、腫瘍に約15%またはそれを超えるpHH3+核が存在する場合に誘導される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与して、投与後4日目までに測定可能な腫瘍の退縮を誘導する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、約0.3mg/m~約9mg/mの各用量で患者に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、静脈内ボーラス注入によって患者に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、静脈内注入によって患者に投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記静脈内注入が約1時間の注入である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、皮下注入によって患者に投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記皮下注入が約24時間の注入である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、連続する2回の投与の間に少なくとも48時間おいて2回またはそれを超えて患者に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、連続する2回の投与の間に少なくとも1週間おいて2回またはそれを超えて患者に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
本明細書に示されるBT5528であるバイシクルトキシンコンジュゲート、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項21】
本明細書に示されるBCY10188であるバイシクルトキシンコンジュゲート、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項22】
バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項23】
患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法であって、前記患者にバイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項24】
バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、約0.3mg/m~約9mg/mの各用量で患者に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物が、静脈内ボーラス注入によって患者に投与される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
1またはそれを超える他の治療薬を投与することを含む、請求項1~18および23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
EphA2の過剰発現を特徴とする前記疾患、障害、または症状が癌である、1~18および23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記癌が、前立腺癌、肺癌(例えば非小細胞肺癌(NSCLC)など)、乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌など)、胃癌、卵巣癌、食道癌、多発性骨髄腫、膵臓癌、および線維肉腫から選択される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲート(Bicycle toxin conjugate)、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物に関する。本発明はまた、罹患組織におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置するための、バイシクルトキシンコンジュゲート、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の使用も提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
環式ペプチドは、タンパク質標的に高い親和性および標的特異性で結合することができ、それ故、治療薬の開発のための魅力的な分子クラスである。実際に、いくつかの環式ペプチドは、例えば、抗菌性ペプチドであるバンコマイシン、免疫抑制薬であるシクロスポリン、または抗がん薬であるオクトレオチドとしてクリニックでの使用がすでに成功している(Driggers et al.(2008),Nat Rev Drug Discov 7(7),608-24)。良好な結合特性は、ペプチドと標的との間に形成される相互作用表面が比較的大きいことおよび環状構造の低減された構造的柔軟性に起因する。典型的には、マクロサイクルは、例えば、環式ペプチドCXCR4アンタゴニストCVX15(400Å;Wu et al.(2007),Science 330,1066-71)、インテグリンαVb3に結合するArg-Gly-Aspモチーフを有する環式ペプチド(355Å)(Xiong et al.(2002),Science 296(5565),151-5)、またはウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベーターに結合する環式ペプチド阻害剤ウパイン-1(603Å;Zhao et al.(2007),J Struct Biol 160(1),1-10)のように、数百平方オングストロームの表面に結合する。
【0003】
その環状の立体配置に起因して、ペプチドマクロサイクルは、直鎖ペプチドより柔軟性が低く、それにより標的への結合の際にエントロピーの喪失が小さいので、結合親和性がより高い。また、低減された柔軟性により標的特異的な高次構造が固定され、直鎖ペプチドと比較して結合特異性が増加する。この効果の例として、その環が開環したときに他のMMPよりも選択性が喪失したマトリックスメタロプロテイナーゼ8(MMP-8)の強力かつ選択性のある阻害剤が挙げられる(Cherney et al.(1998),J Med Chem 41(11),1749-51)。大環状化によって達成される好ましい結合特性は、例えば、バンコマイシン、ナイシン、およびアクチノマイシンのような1つを超えるペプチド環を有する多環式ペプチドでさらに一層明白である。
異なる研究チームによって以前にシステイン残基を有するポリペプチドが合成分子構造に係留されている(Kemp and McNamara(1985),J.Org.Chem;Timmerman et al.(2005),ChemBioChem)。Meloen and co-workersは、タンパク質表面の構造を模倣する目的で合成足場上に複数のペプチドループを迅速かつ定量的に環化するためにトリス(ブロモメチル)ベンゼンおよび関連分子を使用していた(Timmerman et al.(2005),ChemBioChem)。システイン含有ポリペプチドを例えばTATA(1,1’,1”-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン、Heinis et al. Angew Chem, Int Ed. 2014; 53:1602-1606)のような分子足場に連結することによって生成される候補薬物化合物の生成方法。
目的の標的に対する二環式ペプチドの大きなライブラリーを生成してスクリーニングするためのファージディスプレイベースの組み合わせアプローチが開発されている(Heinis et al.(2009),Nat Chem Biol 5(7),502-7およびWO2009/098450)。簡潔に述べれば、3つのシステイン残基および6つの無作為なアミノ酸から構成される2つの領域を含む直鎖ペプチド(Cys-(Xaa)-Cys-(Xaa)-Cys)(配列番号2)のコンビナトリアルライブラリーを、ファージ上にディスプレイし、システイン側鎖の小分子足場への共有結合性の連結によって環化した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/077062号
【特許文献2】国際公開第2006/078161号
【特許文献3】国際公開第2009/098450号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Driggers et al.(2008),Nat Rev Drug Discov 7(7),608-24
【非特許文献2】Wu et al.(2007),Science 330,1066-71
【非特許文献3】Xiong et al.(2002),Science 296(5565),151-5
【非特許文献4】Zhao et al.(2007),J Struct Biol 160(1),1-10
【非特許文献5】Cherney et al.(1998),J Med Chem 41(11),1749-51
【非特許文献6】Kemp and McNamara(1985),J.Org.Chem
【非特許文献7】Timmerman et al.(2005),ChemBioChem
【非特許文献8】Heinis et al. Angew Chem, Int Ed. 2014; 53:1602-1606
【非特許文献9】Heinis et al.(2009),Nat Chem Biol 5(7),502-7
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528およびBCY10188、ならびにその薬学的に許容され得る塩および医薬組成物は、EphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状、例えば、癌の処置に有効であることが見出された。
【0007】
一態様では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を提供する。
【0008】
一態様では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を提供する。
【0009】
一態様では、本発明は、患者にBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
一態様では、本発明は、患者にBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1-1】図1は、PC-3異種移植片を有する雌BALB/cヌードマウスにBT5528およびBCY10188を投与した後の体重変化および腫瘍体積トレースを示す。データポイントは、群平均体重および腫瘍体積を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
図1-2】図1は、PC-3異種移植片を有する雌BALB/cヌードマウスにBT5528およびBCY10188を投与した後の体重変化および腫瘍体積トレースを示す。データポイントは、群平均体重および腫瘍体積を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
図2-1】図2は、PC-3異種移植片を有する雄Balb/cヌードマウスにBT5528、EphA2-ADCまたはドセタキセルを投与した後の体重変化および腫瘍体積トレースを示す。データポイントは、群平均体重を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
図2-2】図2は、PC-3異種移植片を有する雄Balb/cヌードマウスにBT5528、EphA2-ADCまたはドセタキセルを投与した後の体重変化および腫瘍体積トレースを示す。データポイントは、群平均体重を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
図3-1】図3は、PC-3異種移植片を有する雄Balb/cヌードマウスに非結合BTCまたはドセタキセルを投与した後の体重変化および腫瘍体積トレースを示す。データポイントは、群平均体重を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
図3-2】図3は、PC-3異種移植片を有する雄Balb/cヌードマウスに非結合BTCまたはドセタキセルを投与した後の体重変化および腫瘍体積トレースを示す。データポイントは、群平均体重を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
図4図4は、BT5528の単一用量後の(A)腫瘍MMAE、血漿MMAE、および血漿BT5528の濃度;および(B)腫瘍pHH3を示す。
図5図5は、(A)PDX Panc033異種移植片;および(B)PDX Panc163異種移植片での処置後の腫瘍体積トレースを示す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
図6-1】図6は、ビヒクルおよびBT5528処置後の転移性PC3異種移植モデルにおける、(A)総骨信号;(B)帯域幅の変化(%);(C)生存率を示す。
図6-2】図6は、ビヒクルおよびBT5528処置後の転移性PC3異種移植モデルにおける、(A)総骨信号;(B)帯域幅の変化(%);(C)生存率を示す。
図7-1】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図7-2】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図7-3】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図7-4】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図7-5】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図7-6】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図7-7】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図7-8】図7は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した(A)CTG-0160;(B)CTG-0170;(C)CTG-0178;(D)CTG-0192;(E)CTG-0363;(F)CTG-0808;(G)CTG-0838;(H)CTG-0848;(I)CTG-1212;(J)CTG-1502;(K)CTG-1535;(L)CTG-2011;(M)CTG-2393;(N)CTG-2539;および(O)CTG-2540のモデルの腫瘍体積を示す。
図8図8は、3mg/kgのBT5528を週1回投与した15匹の低継代Champions TumorGraft(登録商標)モデルにおける腫瘍増殖の抑制を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある種の実施形態の詳細な説明
1.本発明のある種の実施形態の一般的な説明:
本発明の化合物は、EphA2を過剰発現する疾患、障害、および症状を予防および処置する際に多くの利点を有することが見出された。BT5528は全身曝露が短く、腫瘍組織へのMMAEの蓄積と腫瘍細胞の有糸分裂停止(投与後24~48時間)を引き起こし、投与後4日目までに測定可能な腫瘍退縮をもたらすことが見出されている。
【0012】
例えば、BT5528の単一用量は、腫瘍内で高いMMAE濃度を生成し、2から48時間超安定しており、血漿中のBT5528とMMAEの両方の一時的な曝露をもたらすことが示されている。また、BT5528の単一用量は、腫瘍において有糸分裂停止を誘導することも示されている。これは、24時間以内のpHH3 IHCで測定可能である。また、BT5528は、例えば、静脈内ボーラス(QWx2およびQWx4)、1時間の静脈内注入(QWx2)、または皮下に埋め込まれた浸透圧ポンプからの24時間の送達(QWx2)など、幅広い投与パラダイムで同等の有効性を示すことも見出されている。また、BT5528は、断続的な投薬、例えば2週に1回の投薬で効果的であることも見出されている。
【0013】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、BT5528の活性は、MMAEの標的化された内在化とバイスタンダー効果の組合せである可能性がある。膜透過性の低いペイロードであるMMAFの標的に媒介される内在化は、BT5528と比較して次善の抗腫瘍活性をもたらすことが見出された。例えば、1mpkのBT5528は強力な腫瘍退縮(TGI 111%)をもたらし、1mpkのBCY10188は腫瘍の増殖を遅らせる(TGI 80%)。インビボでのEphA2-MMAE BTC(BT5528)活性の一部は、ペイロードの標的依存性内在化が原因である可能性がある。EphA2-MMAF BTC(BCY10188)は、腫瘍細胞に活発に内在化される。バイスタンダー効果(すなわち、プロテアーゼが豊富な腫瘍微小環境でのペイロードの放出および腫瘍細胞への拡散)は、BT5528の最大の抗腫瘍活性に必要である。
【0014】
一部の実施形態では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0015】
一部の実施形態では、本発明は、患者にバイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
【0016】
一部の実施形態では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0017】
一部の実施形態では、本発明は、患者にバイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
【0018】
2.化合物および定義
用語「BT5528」は、本明細書で使用する場合、以下に示す構造を有するバイシクルトキシンコンジュゲートであり、分子足場は、1,1’,1’’-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(TATA)であり、ペプチドリガンドは、次のアミノ酸配列を含む:
(β-Ala)-Sar10-A(HArg)D-C(HyP)LVNPLCiiLHP(D-Asp)W(HArg)Ciii(配列番号1)
ここで、Sarはサルコシン、HArgはホモアルギニン、HyPはヒドロキシプロリンである。
【化1】
【0019】
用語「BCY10188」は、本明細書で使用する場合、上記に示す構造を有するバイシクルトキシンコンジュゲートであり、分子足場は、1,1’,1’’-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン(TATA)であり、ペプチドリガンドは、次のアミノ酸配列を含む:
(β-Ala)-Sar10-A(HArg)D-C(HyP)LVNPLCiiLHP(D-Asp)W(HArg)Ciii(配列番号1)
ここで、Sarはサルコシン、HArgはホモアルギニン、HyPはヒドロキシプロリンである。BCY10188とBT5528は、BCY10188のトキシン部分がMMAFであるのに対し、BT5528のトキシン部分がMMAEであるという点でのみ異なる。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「モノメチルアウリスタチンE」または「MMAE」とは、以下の構造:
【化2】
の化合物を指す。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「モノメチルアウリスタチンF」または「MMAF」とは、以下の構造:
【化3】
の化合物を指す。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」は、妥当な医療的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合う塩を意味する。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらが、参照により本明細書に組み込まれている、J.Pharmaceutical Sciences、1977年、66巻、1~19頁に薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものを含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸と共に、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と共に、またはイオン交換などの当技術分野において使用されている他の方法を使用することにより形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。
【0023】
適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1~4アルキル)塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらに、薬学的に許容される塩には、適切な場合、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム陽イオン、四級アンモニウム陽イオン、およびアミン陽イオンが含まれる。塩形態は本発明の範囲内であり、ペプチドリガンドへの言及は、前記リガンドの塩形態を含むことが理解されよう。
【0024】
本発明の塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、Pharmaceutical Salts:Properties、Selection、and Use、P.Heinrich Stahl(Editor)、Camille G.Wermuth(Editor)、ISBN:3-90639-026-8、ハードカバー、388頁、2002年8月、に記載されている方法などの従来の化学的方法によって合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水中または有機溶媒中、あるいは2つの混合物中の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができる。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、所与の値または範囲の10%以内の意味を有するものとする。一部の実施形態では、用語「約」とは、所与の値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%以内を指す。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「mg/kg」とは、薬物を服用している対象の体重1キログラムあたりの薬物のミリグラムを指す。FDAガイダンスに記載されているように、動物におけるmg/kgの用量は、対応するmg/mのヒト等価用量(HED)に変換することができる。例えば、マウスとHEDの用量の変換を以下に示す:
【表1】
【0027】
特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、該構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー異性体および幾何(または立体構造)異性体)、例えば、各不斉中心に関してRおよびS立体配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE立体構造異性体を含むことがやはり意図される。したがって、本化合物の単一立体化学異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオマー異性体および幾何(または立体構造)異性体混合物が、本発明の範囲内にある。特に明記しない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体が、本発明の範囲内にある。さらに、特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない化合物も含まれることがやはり意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを含む、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。このような化合物は、例えば、分析用手段として、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本発明による治療剤として有用である。
【0028】
3.例示的な実施形態の説明
一部の実施形態では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0029】
一部の実施形態では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0030】
一部の実施形態では、本発明は、患者にバイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
【0031】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与して、BT5528および/またはMMAEの全身曝露を約4時間またはそれ未満で提供する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与して、BT5528および/またはMMAEの全身曝露を約0.5~4、または0.5~3、または0.5~2、または1~3、または1~2時間で提供する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与して、BT5528および/またはMMAEの全身曝露を約3.5、または3.0、または2.5、または2.0、または1.5、または1.0、または0.5時間で提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるBT5528および/またはMMAEの全身曝露は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与量レベルでの投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるようなBT5528および/またはMMAEの全身曝露は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与間隔での投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるBT5528および/またはMMAEの全身曝露は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される経路を介する投与によって達成される。
【0032】
一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が、血漿中のBT5528の最大濃度の約20%またはそれを超える、または約18%またはそれを超える、または約16%またはそれを超える、または約14%またはそれを超える、または約12%またはそれを超える、または約10%またはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が、血漿中のBT5528の最大濃度の約15%またはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が、血漿中のBT5528の最大濃度の約8%またはそれを超える、または約6%またはそれを超える、または約4%またはそれを超える、または約2%またはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が、血漿中のBT5528の最大濃度の約5%またはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が約10pmol/グラムまたはそれを超える、または約12pmol/グラムまたはそれを超える、または約14pmol/グラムまたはそれを超える、または約16pmol/グラムまたはそれを超える、または約18pmol/グラムまたはそれを超える、または約20pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が約15pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が、約22pmol/グラムまたはそれを超える、または約24pmol/グラムまたはそれを超える、または約26pmol/グラムまたはそれを超える、または約28pmol/グラムまたはそれを超える、または約30pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が、約32pmol/グラムまたはそれを超える、または約34pmol/グラムまたはそれを超える、または約36pmol/グラムまたはそれを超える、または約38pmol/グラムまたはそれを超える、または約40pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、BT5528の全身曝露は、血漿中のBT5528の濃度が約40~50pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。
【0033】
一部の実施形態では、MMAEの全身曝露は、血漿中のMMAEの濃度が、血漿中のMMAEの最大濃度の約20%またはそれを超える、または約18%またはそれを超える、または約16%またはそれを超える、または約14%またはそれを超える、または約12%またはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、MMAEの全身曝露は、血漿中のMMAEの濃度が、血漿中のMMAEの最大濃度の約10%またはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、MMAEの全身曝露は、血漿中のMMAEの濃度が、血漿中のMMAEの最大濃度の約8%またはそれを超える、または約6%またはそれを超える、または約4%またはそれを超える、または約2%またはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、MMAEの全身曝露は、血漿中のMMAEの濃度が、約1pmol/グラムまたはそれを超える、または約1.2pmol/グラムまたはそれを超える、または約1.4pmol/グラムまたはそれを超える、または約1.6pmol/グラムまたはそれを超える、または約1.8pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、MMAEの全身曝露は、血漿中のMMAEの濃度が約2pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、MMAEの全身曝露は、血漿中のMMAEの濃度が、約2.2pmol/グラムまたはそれを超える、または約2.4pmol/グラムまたはそれを超える、または約2.6pmol/グラムまたはそれを超える、または約2.8pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。一部の実施形態では、MMAEの全身曝露は、血漿中のMMAEの濃度が約3pmol/グラムまたはそれを超える時間までに測定される。
【0034】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約20pmol/グラムまたはそれを超える、または約22pmol/グラムまたはそれを超える、または約24pmol/グラムまたはそれを超える、または約26pmol/グラムまたはそれを超える、または約28pmol/グラムまたはそれを超える腫瘍MMAE濃度を提供する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約30pmol/グラムまたはそれを超える、または約32pmol/グラムまたはそれを超える、または約34pmol/グラムまたはそれを超える、または約36pmol/グラムまたはそれを超える、または約38pmol/グラムまたはそれを超える腫瘍MMAE濃度を提供する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約40pmol/グラムまたはそれを超える、または約42pmol/グラムまたはそれを超える、または約44pmol/グラムまたはそれを超える、または約46pmol/グラムまたはそれを超える、または約48pmol/グラムまたはそれを超える腫瘍MMAE濃度を提供する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約50pmol/グラムまたはそれを超える腫瘍MMAE濃度を提供する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約55pmol/グラムまたはそれを超える、または約60pmol/グラムまたはそれを超える腫瘍MMAE濃度を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載される腫瘍MMAE濃度は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与量レベルでの投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載される腫瘍MMAE濃度は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与間隔での投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載される腫瘍MMAE濃度は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される経路を介する投与によって達成される。
【0035】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約12~48時間以内に腫瘍において有糸分裂停止を誘導する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約12~18時間、または約18~24時間、または約24~30時間、または約30~36時間、または約36~42時間、または約42~48時間以内に腫瘍において有糸分裂停止を誘導する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、約16、18、20、22、24、26、28、30、または32時間以内に腫瘍において有糸分裂停止を誘導する。一部の実施形態では、本明細書に記載される腫瘍における有糸分裂停止の誘導は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与量レベルでの投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載される腫瘍における有糸分裂停止の誘導は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与間隔での投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載される腫瘍における有糸分裂停止の誘導は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される経路を介する投与によって達成される。
【0036】
一部の実施形態では、腫瘍における有糸分裂停止は、腫瘍に約4%またはそれを超える、または約6%またはそれを超える、または約8%またはそれを超える、または約10%またはそれを超えるpHH3+核が存在する場合に誘発される。一部の実施形態では、腫瘍における有糸分裂停止は、腫瘍に約12%またはそれを超える、または約14%またはそれを超える、または約16%またはそれを超える、または約18%またはそれを超える、または約20%またはそれを超えるpHH3+核が存在する場合に誘導される。一部の実施形態では、腫瘍における有糸分裂停止は、腫瘍に約15%またはそれを超えるpHH3+核が存在する場合に誘導される。
【0037】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、投与後7日目までに測定可能な腫瘍の退縮を誘発する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、投与後6日目までに測定可能な腫瘍の退縮を誘発する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、投与後5日目までに測定可能な腫瘍の退縮を誘発する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、投与後4日目までに測定可能な腫瘍の退縮を誘発する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、投与後3日目までに測定可能な腫瘍の退縮を誘発する。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、患者に投与されて、投与後2日目までに測定可能な腫瘍の退縮を誘発する。一部の実施形態では、本明細書に記載される測定可能な腫瘍の退縮の誘発は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与量レベルでの投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載される測定可能な腫瘍の退縮の誘発は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される投与間隔での投与によって達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載される測定可能な腫瘍の退縮の誘発は、BT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の、本明細書に記載される経路を介する投与によって達成される。
【0038】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.1mg/kg~約3mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.11mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.33mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.5mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約1.0mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約3mg/kgの各用量で患者に投与される。
【0039】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.3mg/m~約9mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.33mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.99mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約1.5mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約3.0mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約9mg/mの各用量で患者に投与される。
【0040】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、静脈内ボーラス注入によって患者に投与される。
【0041】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、静脈内注入によって患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、5~10分の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、10~20分の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、20~40分の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、約45、または50、または55分の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、約1時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、1~1.5時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、1.5~2時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、2~3時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物静脈内注入は、3時間を超える注入である。
【0042】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、皮下注入によって患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、約1~5時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、約5~10時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、約10~15時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、約15~20時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、約20、または21、または22、または24時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、約24時間の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、1~1.5日の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、1.5~2日の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、2~5日の注入である。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物の皮下注入は、5日を超える注入である。
【0043】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、連続する2回の投与の間に少なくとも24時間おいて2回またはそれを超えて患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、連続する2回の投与の間に24~48時間おいて2回またはそれを超えて患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、連続する2回の投与の間に約3、または4、または5、または6日おいて2回またはそれを超えて患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、連続する2回の投与の間に約1週間おいて、2回またはそれを超えて患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、連続する2回の投与の間に約1.5または2週間おいて2回またはそれを超えて患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、連続する2回の投与の間に約3週間おいて2回またはそれを超えて患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、連続する2回の投与の間に約4週間おいて2回またはそれを超えて患者に投与される。
【0044】
一部の実施形態では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0045】
一部の実施形態では、本発明は、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0046】
一部の実施形態では、本発明は、患者にバイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
【0047】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.05~15mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.1~10mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.2~5mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.3~3mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.5~3mg/kgの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.5、または1.0、または1.5、または2.0、または2.5、または3.0mg/kgの各用量で患者に投与される。
【0048】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.15~45mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.3~30mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.6~15mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約0.9~9mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約1.5~9mg/mの各用量で患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、約1.5、または3.0、または4.5、または6.0、または7.5、または9.0mg/mの各用量で患者に投与される。
【0049】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、静脈内ボーラス注入によって患者に投与される。
【0050】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、静脈内静脈内注入によって患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、BT5528について本明細書に記載されるように、静脈内注入によって患者に投与される。
【0051】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT10118、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、皮下注入によって患者に投与される。一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、BT5528について本明細書に記載されるように、皮下注入によって患者に投与される。
【0052】
一部の実施形態では、バイシクルトキシンコンジュゲートBT10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物は、BT5528について本明細書に記載されるように、連続する2回の投与の間に間隔をおいて2回またはそれを超えて患者に投与される。
【0053】
一部の実施形態では、EphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状は、癌である。一部の実施形態では、癌は本明細書に記載されるものから選択される。一部の実施形態では、癌は膵臓癌である。一部の実施形態では、癌は本明細書に記載される転移性癌である。一部の実施形態では、癌は本明細書に記載される薬剤耐性癌である。一部の実施形態では、癌は前立腺癌である。一部の実施形態では、癌は転移性前立腺癌である。
【0054】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される1またはそれを超える他の治療薬と組み合わせて、バイシクルトキシンコンジュゲートBT5528もしくはBCY10188、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその医薬組成物を患者に投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
【0055】
4.使用、製剤化、および投与:
薬学的に許容される組成物
一部の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物(BT5528またはBCY10188)またはその薬学的に許容される誘導体、および薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む組成物を提供する。
【0056】
用語「患者」とは、本明細書で使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
【0057】
用語「薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクル」とは、共に製剤化される、本化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルを指す。本発明の組成物中で使用することができる、薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルには、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとする物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0058】
「薬学的に許容される誘導体」は、レシピエントに投与すると、本発明の化合物、または阻害活性代謝産物またはその残留物を直接または間接的のどちらか一方で、供給することが可能な、本発明の化合物の非毒性塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体のいずれかを意味する。
【0059】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸により、経鼻により、頬により、経膣により、または埋め込まれたレザーバーを介して投与することができる。用語「非経口的」には、本明細書で使用する場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内への注射または注入技法が含まれる。好ましくは、本組成物は、経口的に、腹腔内にまたは静脈内に投与される。本発明の組成物の滅菌注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液剤とすることができる。これらの懸濁液剤は、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、当技術分野で公知の技法に従い、製剤化することができる。滅菌注射調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液剤として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射用滅菌溶液剤または懸濁液剤とすることもできる。使用することができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に使用される。
【0060】
この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いてよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、とりわけポリオキシエチル化型のオリーブ油またはヒマシ油などの、天然の薬学的に許容される油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油性溶液または懸濁液剤はまた、エマルション剤および懸濁液剤を含む、薬学的に許容される剤形の製剤化に一般に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤などの、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造において一般に使用される、Tween(登録商標)、Span(登録商標)および他の乳化剤、または生体利用率の向上剤などの、他の一般に使用される界面活性剤もまた、製剤化の目的で使用することができる。
【0061】
本発明の薬学的に許容される組成物は、以下に限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液剤または溶液剤を含めた、任意の経口的に許容される剤形で、経口により投与することができる。経口使用向けの錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、通常、加えられる。カプセル剤形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁液剤が経口使用に必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と一緒にされる。所望の場合、ある種の甘味剤、着香剤または着色剤も添加されてもよい。
【0062】
代替的に、本発明の薬学的に許容される組成物は、直腸投与向けの坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、薬剤を、室温では固体であるが、直腸温度では液体となり、したがって、直腸で溶融して薬物を放出する、好適な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。このような物質には、カカオ脂、ビーワックスおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0063】
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、とりわけ、処置の標的が、眼、皮膚または腸管下部の疾患を含めた、局所施用により容易に接近可能な領域または器官を含む場合、局所的に投与することもできる。好適な局所製剤は、これらの領域または器官の各々向けに容易に調製される。
【0064】
腸管下部向けの局所施用は、直腸の坐剤製剤(上を参照されたい)または好適な浣腸製剤で行うことができる。局所経皮パッチ剤もまた、使用されてもよい。
【0065】
局所施用の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、1つまたは複数の担体中に懸濁または溶解された活性構成成分を含有する好適な軟膏剤で製剤化されてもよい。本発明の化合物の局所投与向け担体には、以下に限定されないが、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が含まれる。代替的に、提供される薬学的に許容される組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解した活性構成成分を含有する、好適なローション剤またはクリーム剤で製剤化され得る。好適な担体には、以下に限定されないが、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれる。
【0066】
眼用途の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中のマイクロ化懸濁液剤として、または好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤を含むかまたは含まない、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液剤として製剤化されてもよい。代替的に、眼用途の場合、薬学的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏剤中で製剤化されてもよい。
【0067】
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、経鼻用エアゾールまたは吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技法に準拠して調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存剤、生体利用率を向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の慣用的な可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液剤として調製されてもよい。
【0068】
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容される組成物は、経口投与向けに製剤化される。このような製剤は、食物と共に、または食物なしに投与されてもよい。一部の実施形態では、本発明の薬学的に許容される組成物は、食物なしに投与される。他の実施形態では、本発明の薬学的に許容される組成物は、食物と一緒に投与される。
【0069】
単一剤形の組成物を生成するために担体物質と一緒にされ得る、本発明の化合物の量は、処置される宿主、投与の特定の様式に応じて様々となろう。好ましくは、提供される組成物は、0.01~100mg/kg体重/日の間となる阻害剤の投与量が、これらの組成物を服用する患者に投与され得るよう製剤化されるべきである。
【0070】
任意の特定の患者のための具体的な投与量および処置レジメンは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組合せ、ならびに処置を行う医師の判断および処置を受ける特定の疾患の重症度を含めた、様々な因子に依存することもやはり理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物に依存するであろう。
【0071】
化合物および薬学的に許容され得る組成物の使用
一部の実施形態によれば、本発明は、患者に本発明の化合物(BT5528またはBCY10188)、またはその薬学的に許容され得る誘導体、またはその医薬組成物を投与することを含む、患者におけるEphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状を予防または処置する方法を提供する。
【0072】
一部の実施形態では、EphA2の過剰発現を特徴とする疾患、障害、または症状は、癌である。
【0073】

癌には、一実施形態では、限定されないが、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、重鎖病、ならびに肉腫および癌腫などの固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、多形性膠芽腫(GBM、神経膠芽腫としても公知)、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起細胞腫、シュワン細胞腫、神経線維肉腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫)が含まれる。
【0074】
一部の実施形態では、癌は、神経膠腫、星状細胞腫、多形性膠芽腫(GBM、神経膠芽腫としても公知)、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣(細胞)腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起細胞腫、シュワン細胞腫、神経線維肉腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、または網膜芽細胞腫である。
【0075】
一部の実施形態では、癌は、聴神経腫瘍、星状細胞腫(例えば、グレードI-毛様細胞性星状細胞腫、グレードII-低悪性度星状細胞腫、グレードIII-退形成性星状細胞腫、またはグレードIV-神経膠芽腫(GBM))、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹膠腫、上衣腫、混合膠腫、視神経膠腫、上衣下腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起細胞腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性(PNET)腫瘍、またはシュワン細胞腫である。一部の実施形態では、癌は、脳幹膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、若年性毛様細胞性星状細胞腫(JPA)、髄芽細胞腫、視神経膠腫、松果体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、またはラブドイド腫瘍など、成人よりも子供に一般に多く見られる種類の癌である。一部の実施形態では、患者は成人である。一部の実施形態では、患者は子供または小児科の患者である。
【0076】
もう一つの実施形態では、癌には、限定されないが、中皮腫、肝胆道(hepatobilliary)(肝および胆道)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸、および十二指腸)、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性もしくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管細胞癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または前述の癌の1またはそれを超える組合せが含まれる。
【0077】
一部の実施形態では、癌は、肝細胞癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、または卵管癌;乳頭状漿液性嚢胞腺癌または子宮乳頭状漿液性癌(UPSC);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;胆管肝癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;組織非形成性甲状腺癌;副腎皮質腺腫;膵臓癌;膵管癌または膵臓腺癌;胃腸/胃(GIST)癌;リンパ腫;頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺癌;神経膠腫、または脳癌;神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンストレームマクログロブリン血症;または髄芽細胞腫から選択される。
【0078】
一部の実施形態では、癌は、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵管癌、乳頭状漿液性嚢胞腺癌、子宮乳頭状漿液性癌腫(UPSC)、胆管肝癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、組織非形成性甲状腺癌、副腎皮質腺腫、膵臓癌、膵管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または髄芽細胞腫から選択される。
【0079】
一部の実施形態では、癌は、肉腫、癌腫、またはリンパ腫などの固形腫瘍である。固形腫瘍は、一般に、一般に嚢胞または液状領域を含まない異常な組織の塊を含む。一部の実施形態では、癌は、肉腫、癌腫、またはリンパ腫などの固形腫瘍である。固形腫瘍は、一般に、一般に嚢胞または液状領域を含まない異常な組織の塊を含む。一部の実施形態では、癌は、腎細胞癌、または腎臓癌;肝細胞癌(HCC)または肝芽腫、または肝癌;メラノーマ;乳癌;結腸直腸癌腫、または結腸直腸癌;結腸癌;直腸癌;肛門癌;非小細胞肺癌(NSCLC)または小細胞肺癌(SCLC)などの肺癌;卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣癌腫、または卵管癌;乳頭状漿液性嚢胞腺癌または子宮乳頭状漿液性癌腫(UPSC);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;胆管肝癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;組織非形成性甲状腺癌;副腎皮質癌;膵臓癌;膵管癌または膵臓腺癌;胃腸/胃(GIST)癌;リンパ腫;頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺癌;神経膠腫、または脳癌;神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンストレームマクログロブリン血症;または髄芽細胞腫から選択される。
【0080】
一部の実施形態では、癌は、腎細胞癌、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸直腸癌腫、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣癌腫、卵管癌、乳頭状漿液性嚢胞腺癌、子宮乳頭状漿液性癌腫(UPSC)、胆管肝癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、組織非形成性甲状腺癌、副腎皮質癌、膵臓癌、膵管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、脳癌、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または髄芽細胞腫から選択される。
【0081】
一部の実施形態では、癌は、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣癌腫、卵管癌、乳頭状漿液性嚢胞腺癌、子宮乳頭状漿液性癌腫(UPSC)、胆管肝癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、組織非形成性甲状腺癌、副腎皮質癌、膵臓癌、膵管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または髄芽細胞腫から選択される。
【0082】
一部の実施形態では、癌は、肝細胞癌(HCC)である。一部の実施形態では、癌は、肝芽腫である。一部の実施形態では、癌は、結腸癌である。一部の実施形態では、癌は、直腸癌である。一部の実施形態では、癌は、卵巣癌、または卵巣癌腫である。一部の実施形態では、癌は、卵巣上皮癌である。一部の実施形態では、癌は、卵管癌である。一部の実施形態では、癌は、乳頭状漿液性嚢胞腺癌である。一部の実施形態では、癌は、子宮乳頭状漿液性癌腫(UPSC)である。一部の実施形態では、癌は、胆管肝癌である。一部の実施形態では、癌は、軟部組織および骨滑膜肉腫である。一部の実施形態では、癌は、横紋筋肉腫である。一部の実施形態では、癌は、骨肉腫である。一部の実施形態では、癌は、組織非形成性甲状腺癌である。一部の実施形態では、癌は、副腎皮質癌である。一部の実施形態では、癌は、膵臓癌、または膵管癌である。一部の実施形態では、癌は、膵臓腺癌である。一部の実施形態では、癌は、神経膠腫である。一部の実施形態では、癌は、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)である。一部の実施形態では、癌は、神経線維腫症1型関連MPNSTである。一部の実施形態では、癌は、ワルデンストレームマクログロブリン血症である。一部の実施形態では、癌は、髄芽細胞腫である。
【0083】
一部の実施形態では、癌はウイルス関連癌であり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連固形腫瘍、ヒトパピローマウイルス(HPV)-16陽性の不治性固形腫瘍、および成人T細胞白血病(ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)によって引き起こされ、白血病細胞におけるHTLV-Iのクローン組込みを特徴とするCD4+T細胞白血病の非常に攻撃的な型である(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02631746参照));ならびに胃癌、上咽頭癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、頭頸部の扁平上皮癌、およびメルケル細胞癌のウイルス関連腫瘍が含まれる。(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02488759;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT0240886;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02426892も参照)
【0084】
一部の実施形態では、癌は、メラノーマ癌である。一部の実施形態では、癌は、乳癌である。一部の実施形態では、癌は、肺癌である。一部の実施形態では、癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。一部の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0085】
一部の実施形態では、癌は、腫瘍のさらなる増殖を停止することによって処置される。一部の実施形態では、癌は、腫瘍のサイズ(例えば、体積または質量)を、処置前の腫瘍のサイズに対して少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%または99%減少させることによって処置される。一部の実施形態では、癌は、患者の腫瘍の量を、処置前の腫瘍の量に対して少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%または99%減少させることによって処置される。
【0086】
本発明の方法による化合物および組成物は、がんを処置する、またはその重症度を軽減するのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与することができる。必要な正確な量は、対象の人種、年齢および全身状態、疾患もしくは状態の重症度、具体的な薬剤、その投与形式などに応じて、対象ごとに様々となろう。本発明の化合物は、投与を容易にするため、および投与量を均質とするために、投与量単位形態で好ましくは製剤化される。「投与量単位形態」という表現は、本明細書で使用する場合、処置される患者にとって適切な、物理的に個別の薬剤の単位を指す。しかし、本発明の化合物および組成物の1日あたりの合計使用量は、妥当な医療的判断の範囲内で、主治医により決定されることが理解されよう。任意の特定の患者または生物に対する具体的に有効な用量レベルは、処置される障害および障害の重症度、使用される具体的な化合物の活性、使用される具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間、投与経路、および使用される具体的な化合物の排出速度、処置の期間、使用される具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物を含めた様々な因子、ならびに医療分野において周知の同様の因子に依存する。用語「患者」とは、本明細書で使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
【0087】
本発明の薬学的に許容される組成物は、処置されている疾患または障害の重症度に応じて、経口的に、直腸により、非経口的に、嚢内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤またはドロップ剤によるなど)、口腔により(bucally)、経口噴霧剤または点鼻薬などとして、ヒトおよび他の動物に投与することができる。ある種の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るため、1日あたり、1回または複数回で、1日あたり約0.01mg/対象の体重のkg~約50mg/対象の体重のkg、および好ましくは約1mg/kg~約25mg/対象の体重のkgの投与量レベルで、経口的または非経口的に投与することができる。
【0088】
経口投与向けの液状剤形には、以下に限定されないが、薬学的に許容されるエマルション剤、マイクロエマルション剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液状剤形は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの他の溶媒、可溶化剤ならびに乳化剤などの、当技術分野において一般に使用される不活性な希釈剤を含有することができる。不活性な希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、着香剤および芳香剤などのアジュバントを含むことができる。
【0089】
公知技術に従い、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、注射調製物、例えば注射可能な水性または油性の滅菌懸濁液剤を製剤化することができる。滅菌注射調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液剤として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射用滅菌溶液剤、懸濁液剤またはエマルション剤とすることもできる。使用することができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液,U.S.P.および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発油が、溶媒または懸濁媒体として、従来、使用される。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。
【0090】
注射可能な製剤は、使用前に、例えば、細菌保持フィルターでろ過することにより、または滅菌水もしくは他の注射可能な滅菌媒体中に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態の殺菌剤を配合することにより、滅菌され得る。
【0091】
本発明の化合物の作用を延長するために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を減速させることが望ましいことが多い。これは、水への溶解度が乏しい、結晶性物質またはアモルファス性物質の液体懸濁液の使用により行うことができる。次に、化合物の吸収速度は、この溶出速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶形態に依存することがある。代替として、非経口的に投与される化合物形態の吸収遅延は、油性ビヒクル中に化合物を溶解または懸濁することにより行われる。ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に、本化合物のマイクロ封入マトリックス(microencapsule matrice)を形成させることにより、注射可能なデポ剤形態が作製される。化合物とポリマーとの比、および使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。注射可能なデポ製剤もまた、身体組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルション中に本化合物を捕捉することにより調製される。
【0092】
直腸または膣投与向けの組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが、身体温度では液体であり、したがって、直腸または膣腔において融解し、活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスなどの、好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製することができる坐剤である。
【0093】
経口投与向けの固形剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。このような固形剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1腫の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、ならびに/あるいはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの剤形はまた、緩衝化剤を含んでもよい。
【0094】
同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として使用されてもよい。錠剤、ドラジェ剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティング剤、および医薬調合分野において周知の他のコーティング剤などのコーティング剤およびシェルを用いて調製することができる。それらは、乳白剤を場合により含んでもよく、これらは、腸管のある部分において、場合により遅延させて、活性成分(単数または複数)を単独で、または優先的に放出するような組成物とすることもできる。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコール(polethylene glycol)などの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として使用されてもよい。
【0095】
活性化合物はまた、上記のような1種または複数の賦形剤とのマイクロ封入形態にあることもできる。錠剤、ドラジェ剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティング剤、放出制御用コーティング剤、および医薬調合分野において周知の他のコーティング剤などのコーティング剤およびシェルを用いて調製することができる。このような固形剤形では、活性化合物はスクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性な希釈剤と混合されてもよい。このような剤形はまた、通常実務のように、不活性な希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびマイクロクリスタリンセルロースなどの錠剤化用滑沢剤および他の錠剤化助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの剤形はまた、緩衝化剤を含んでもよい。それらは、乳白剤を場合により含んでもよく、これらは、腸管のある部分において、場合により遅延させて、活性成分(単数または複数)を単独で、または優先的に放出するような組成物とすることもできる。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。
【0096】
本発明の化合物の局所または経皮投与向け剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、溶液剤、噴霧剤、吸入薬またはパッチ剤が含まれる。活性構成成分は、滅菌条件下において、必要となることがある、薬学的に許容される担体および任意の必要な保存剤または緩衝化剤と混合される。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤も、本発明の範囲内にあることがやはり企図されている。さらに、本発明は、身体への化合物の制御送達の提供という追加の利点を有する、経皮パッチ剤の使用を企図する。このような剤形は、適切な媒体中に本化合物を溶解または分注することにより作製することができる。吸収促進剤はまた、本化合物が皮膚を通過する流動を増大させるために使用することもできる。速度は、速度制御膜を設けることによるか、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に本化合物を分散させることによるかのどちらか一方によって、制御することができる。
【0097】
5. 1またはそれを超える他の治療薬との同時投与
処置される具体的な状態または疾患に応じて、その状態を処置するために通常投与される追加の治療剤も、本発明の組成物中に存在してもよい。本明細書で使用する場合、具体的な疾患または状態を処置するために通常投与される追加の治療剤は、「処置される疾患または状態に適切」なものとして公知である。
【0098】
一部の実施形態では、本発明は、有効量の本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容され得る塩を処置を必要とする患者に投与すること、および有効量の本明細書に記載される治療薬などの1またはそれを超える追加の治療薬を同時にまたは順次に同時投与することを含む、開示される疾患または症状を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、この方法には、1つの追加の治療薬を同時投与することが含まれる。一部の実施形態では、この方法には、2つの追加の治療薬を同時投与することが含まれる。一部の実施形態では、開示される化合物と1つまたは複数の追加の治療薬の組合せは、相乗的に作用する。
【0099】
本発明の化合物はまた、公知の治療過程、例えば、ホルモンまたは放射線照射の投与と組み合わせて使用されてもよい。ある種の実施形態では、提供される化合物は、とりわけ、放射線治療に対する感受性の乏しい腫瘍を処置するため、放射線増感剤として使用される。
【0100】
本発明の化合物は、単独で、または1もしくはそれを超える他の治療用化合物と組み合わせて投与することができ、可能な併用療法としては、固定した組合せ物の形態をとる、または本発明の化合物と1もしくはそれを超える他の治療用化合物を時間差を設けて、もしくは互いに独立に投与する、または固定した組合せ物と1もしくはそれを超える他の治療用化合物との併用投与とすることができる。本発明の化合物は、その他またはさらに、とりわけ、化学療法、放射線治療、免疫療法、光線療法、外科的介入またはこれらを組み合わせたものを組み合わせて腫瘍治療のために投与することができる。長期治療は、上記の通り、他の処置戦略の文脈では、アジュバント療法と同様に等しく可能である。他の可能な処置は、例えば、リスクのある患者において、腫瘍退縮の後、または化学的予防治療の後でさえも、患者の状態を維持するための治療である。
【0101】
1またはそれを超える他の治療薬は、複数の投与計画の一部として、本発明の化合物または組成物とは別に投与することができる。代替的に、1またはそれを超える他の治療薬は、単一の組成物中で本発明の化合物と一緒に混合され得る、単一の剤形の一部であってよい。複数回の投与計画(regime)として投与される場合、1またはそれを超える他の治療薬と本発明の化合物または組成物は、同時に、順次にまたは互いに一定期間内に、例えば互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18、20、21、22、23、または24時間以内に投与されてよい。一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬と本発明の化合物または組成物は、24時間以上の間隔を空ける複数回の投与計画として投与される。
【0102】
本明細書で使用する場合、用語「組合せ」、「組み合わされた」、および関連する用語は、本発明による治療薬の同時または順次投与を指す。例えば、本発明の化合物は、1またはそれを超える他の治療薬とともに、別々の単位剤形で同時にまたは順次に、あるいは単一の単位剤形で一緒に投与されてよい。したがって、本発明は、本発明の化合物、1またはそれを超える他の治療薬、および薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0103】
本発明の化合物および1またはそれを超える他の治療薬(上記のように追加の治療薬を含む組成物中)を担体材料と組み合わせて単一剤形を生成することができる量は、処置される宿主および特定の投与様式に応じて変化することになる。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の化合物の0.01~100mg/kg体重/日の投与量を投与することができるように製剤化されるべきである。
【0104】
1またはそれを超える他の治療薬を含む組成物では、1またはそれを超える他の治療薬と本発明の化合物は、相乗的に作用することがある。そのため、そのような組成物中の1またはそれを超える他の治療薬の量は、その治療薬のみを利用する単剤治療で必要とされる量よりも少ないことがある。そのような組成物では、0.01~1,000μg/kg体重/日の投与量の1またはそれを超える他の治療薬が投与され得る。
【0105】
本発明の組成物中に存在する1またはそれを超える他の治療薬の量は、その治療薬を唯一の活性薬剤として含む組成物中で通常投与される量以下でありうる。好ましくは、個々に開示される組成物中の1またはそれを超える他の治療薬の量は、その薬剤を唯一の治療活性剤として含む組成物に通常存在する量の約50%~100%の範囲になる。一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、その薬剤に通常投与される量の約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の投与量で投与される。本明細書で使用する場合、語句「通常投与される」とは、FDAが承認した治療薬が、FDAラベル挿入物ごとに投薬に承認される(approvided)量を意味する。
【0106】
本発明の化合物、またはその医薬組成物はまた、装具、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルなどの埋め込み型医療機器をコーティングするための組成物に組み込むことができる。例えば、血管ステントは、再狭窄(損傷後の血管壁が再び狭くなること)を克服するために使用されてきた。しかし、ステントまたは他の埋め込み型の装置を使用している患者は、血餅形成または血小板活性化のリスクがある。これらの望ましくない効果は、キナーゼ阻害剤を含む薬学的に許容され得る組成物で装置をプレコーティングすることによって防止または軽減することができる。本発明の化合物でコーティングされた埋め込み型の装置は、本発明の別の実施形態である。
【0107】
例示的な他の治療薬
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。一部の実施形態では、PARP阻害剤は、オラパリブ(Lynparza(登録商標)、AstraZeneca);ルカパリブ(Rubraca(登録商標)、Clovis Oncology);ニラパリブ(Zejula(登録商標)、Tesaro);タラゾパリブ(MDV3800/BMN 673/LT00673、Medivation/Pfizer/Biomarin);ベリパリブ(ABT-888、AbbVie);およびBGB-290(BeiGene、Inc.)から選択される。
【0108】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である。一部の実施形態では、HDAC阻害剤は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標)、Merck);ロミデプシン(Istodax(登録商標)、Celgene);パノビノスタット(Farydak(登録商標)、Novartis);ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);エンチノスタット(SNDX-275、Syndax Pharmaceuticals)(NCT00866333);およびチダミド(Epidaza(登録商標)、HBI-8000、Chipscreen Biosciences、China)から選択される。
【0109】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、CDK4/CDK6阻害剤などのCDK阻害剤である。一部の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ(Ibrance(登録商標)、Pfizer);リボシクリブ(Kisqali(登録商標)、Novartis);アベマシクリブ(Ly2835219、Eli Lilly);およびtrilaciclib(G1T28、G1 Therapeutics)から選択される。
【0110】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤である。一部の実施形態では、PI3K阻害剤は、イデラリシブ(Zydelig(登録商標)、Gilead)、アルペリシブ(BYL719、Novartis)、タセリシブ(GDC-0032、Genentech/Roche);ピクチリシブ(GDC-0941、Genentech/Roche);コパンリシブ(BAY806946、Bayer);デュベリシブ(旧IPI-145、Infinity Pharmaceuticals);PQR309(Piqur Therapeutics、Switzerland);およびTGR1202(旧RP5230、TG Therapeutics)から選択される。
【0111】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、白金ベースの治療薬で、プラチンとも呼ばれている。プラチンはDNAの架橋を引き起こし、その結果、主に癌細胞などの急速に複製する細胞でDNA修復および/またはDNA合成を阻害する。一部の実施形態では、白金ベースの治療薬は、シスプラチン(Platinol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);カルボプラチン(Paraplatin(登録商標)、Bristol-Myers Squibb;また、Teva;Pfizer);オキサリプラチン(Eloxitin(登録商標)Sanofi-Aventis);ネダプラチン(Aqupla(登録商標)、Shionogi)、picoplatin(Poniard Pharmaceuticals);およびサトラプラチン(JM-216、Agennix)から選択される。
【0112】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、細胞分裂に不可欠である微小管の破壊を引き起こすタキサン化合物である。一部の実施形態では、タキサン化合物は、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、ドセタキセル(Taxotere(登録商標)、Sanofi-Aventis;Docefrez(登録商標)、Sun Pharmaceutical)、アルブミン-boundパクリタキセル(Abraxane(登録商標);Abraxis/Celgene)、カバジタキセル(Jevtana(登録商標)、Sanofi-Aventis)、およびSID530(SK Chemicals、Co.)(NCT00931008)から選択される。
【0113】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、ヌクレオシド阻害剤であるか、または、正常なDNA合成、タンパク質合成、細胞複製を妨害するか、さもなければ急速に増殖する細胞を阻害する治療薬である。
【0114】
一部の実施形態では、ヌクレオシド阻害剤は、トラベクテジン(グアニジンアルキル化剤、Yondelis(登録商標)、Janssen Oncology)、メクロレタミン(アルキル化剤、Valchlor(登録商標)、Aktelion Pharmaceuticals);ビンクリスチン(Oncovin(登録商標)、Eli Lilly;Vincasar(登録商標)、Teva Pharmaceuticals;Marqibo(登録商標)、Talon Therapeutics);テモゾロミド(アルキル化剤である5-(3-メチルトリアゼン-1-イル)-イミダゾール-4-カルボキサミド(MTIC)になるプロドラッグ、Temodar(登録商標)、Merck);シタラビン注射剤(ara-C、代謝拮抗性シチジン類似体、Pfizer);ロムスチン(アルキル化剤、CeeNU(登録商標)、Bristol-Myers Squibb;Gleostine(登録商標)、NextSource Biotechnology);アザシチジン(シチジンのピリミジンヌクレオシド類似体、Vidaza(登録商標)、Celgene);オマセタキシン・メペサクシネート(セファロタキシンエステル)(タンパク質合成阻害剤、Synribo(登録商標);Teva Pharmaceuticals);アスパラギナーゼErwinia chrysanthemi(アスパラギンの枯渇のための酵素、Elspar(登録商標)、Lundbeck;Erwinaze(登録商標)、EUSA Pharma);エリブリンメシル酸塩(微小管阻害剤、チュブリンベースの有糸分裂阻害剤、Halaven(登録商標)、Eisai);カバジタキセル(微小管阻害剤、チュブリンベースの有糸分裂阻害剤、Jevtana(登録商標)、Sanofi-Aventis);カパセトリン(capacetrine)(チミジル酸シンターゼ阻害剤、Xeloda(登録商標)、Genentech);ベンダムスチン(二官能性メクロレタミン誘導体、鎖間DNA架橋を形成すると考えられている、Treanda(登録商標)、Cephalon/Teva);イクサベピロン(エポチロンBの半合成類似体、微小管阻害剤、チュブリンベースの有糸分裂阻害剤、Ixempra(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ネララビン(デオキシグアノシン類似体のプロドラッグ、ヌクレオシド代謝阻害剤、Arranon(登録商標)、Novartis);クロラファビン(clorafabine)(リボヌクレオチド レダクターゼ阻害剤のプロドラッグ、デオキシシチジン競合阻害剤、Clolar(登録商標)、Sanofi-Aventis);およびトリフルリジンおよびチピラシル(チミジンベースのヌクレオシド類似体およびチミジンホスホリラーゼ阻害剤、Lonsurf(登録商標)、Taiho Oncology)から選択される。
【0115】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、キナーゼ阻害剤またはVEGF-Rアンタゴニストである。本発明において有用な、承認されたVEGF阻害剤およびキナーゼ阻害剤には、抗VEGFモノクローナル抗体であるベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech/Roche);抗VEGFR-2抗体であるラムシルマブ(Cyramza(登録商標)、Eli Lilly)、およびVEGF Trapとしても公知のziv-アフリベルセプト(Zaltrap(登録商標);Regeneron/Sanofi)が含まれる。VEGFR阻害剤、例えばレゴラフェニブ(Stivarga(登録商標)、Bayer);バンデタニブ(Caprelsa(登録商標)、AstraZeneca);アキシチニブ(Inlyta(登録商標)、Pfizer);およびレンバチニブ(Lenvima(登録商標)、Eisai)など;Raf阻害剤、例えばソラフェニブ(Nexavar(登録商標)、Bayer AGおよびOnyx);ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標)、Novartis);およびベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標)、Genentech/Roche)など;MEK阻害剤、例えばコビメタニブ(cobimetanib)(Cotellic(登録商標)、Exelexis/Genentech/Roche);トラメチニブ(Mekinist(登録商標)、Novartis)など;Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えばイマチニブ(Gleevec(登録商標)、Novartis);ニロチニブ(Tasigna(登録商標)、Novartis);ダサチニブ(Sprycel(登録商標)、BristolMyersSquibb);ボスチニブ(Bosulif(登録商標)、Pfizer);およびポナチニブ(Inclusig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals)など;Her2およびEGFR阻害剤、例えばゲフィチニブ(Iressa(登録商標)、AstraZeneca);エルロチニブ(Tarceeva(登録商標)、Genentech/Roche/Astellas);ラパチニブ(Tykerb(登録商標)、Novartis);アファチニブ(Gilotrif(登録商標)、Boehringer Ingelheim);オシメルチニブ(targeting activated EGFR、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca);およびブリガチニブ(Alunbrig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals)など;c-MetおよびVEGFR2阻害剤、例えばカボザンチニブ(cabozanitib)(Cometriq(登録商標)、Exelexis)など;ならびに多種キナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ(Sutent(登録商標)、Pfizer);パゾパニブ(Votrient(登録商標)、Novartis)など;ALK阻害剤、例えばクリゾチニブ(Xalkori(登録商標)、Pfizer);セリチニブ(Zykadia(登録商標)、Novartis);およびアレクチニブ(Alecenza(登録商標)、Genentech/Roche)など;ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤、例えばイブルチニブ(Imbruvica(登録商標)、Pharmacyclics/Janssen)など;およびFlt3受容体阻害剤、例えばミドスタウリン(Rydapt(登録商標)、Novartis)など。
【0116】
開発中であり、本発明で使用することができる他のキナーゼ阻害剤およびVEGF-Rアンタゴニストには、チボザニブ(Aveo Pharmaecuticals);バタラニブ(Bayer/Novartis);ルシタニブ(Clovis Oncology);ドビチニブ(TKI258、Novartis);チアウアニブ(Chiauanib)(Chipscreen Biosciences);CEP-11981(Cephalon);リニファニブ(Abbott Laboratories);ネラチニブ(HKI-272、Puma Biotechnology);ラドチニブ(Supect(登録商標)、IY5511、Il-Yang Pharmaceuticals、S.Korea);ルキソリチニブ(Jakafi(登録商標)、Incyte Corporation);PTC299(PTC Therapeutics);CP-547,632(Pfizer);フォレチニブ(Exelexis、GlaxoSmithKline);キザルチニブ(Daiichi Sankyo)およびモテサニブ(Amgen/Takeda)が含まれる。
【0117】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、細胞増殖、血管形成およびグルコース取り込みを阻害するmTOR阻害剤である。一部の実施形態では、mTOR阻害剤は、エベロリムス(Afinitor(登録商標)、Novartis);テムシロリムス(Torisel(登録商標)、Pfizer);およびシロリムス(Rapamune(登録商標)、Pfizer)である。
【0118】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、プロテアソーム阻害剤である。本発明において有用な承認されたプロテアソーム阻害剤には、ボルテゾミブ(プロテアソーム阻害剤)(Velcade(登録商標)、Takeda);カルフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標)、Amgen);およびイキサゾミブ(Ninlaro(登録商標)、Takeda)が含まれる。
【0119】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、成長因子アンタゴニスト、例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、または上皮成長因子(EGF)またはその受容体(EGFR)のアンタゴニストである。本発明で使用することができる承認されたPDGFアンタゴニストには、オララツマブ(Lartruvo(登録商標);Eli Lilly)が含まれる。本発明で使用することができる承認されたEGFRアンタゴニストには、セツキシマブ(エルビタックス(登録商標)、Eli Lilly);ネシツムマブ(Portrazza(登録商標)、Eli Lilly)、パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標)、Amgen);およびオシメルチニブ(活性化EGFRを標的化、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca)が含まれる。
【0120】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、アロマターゼ阻害剤である。一部の実施形態では、アロマターゼ阻害剤は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標)、Pfizer);アナスタゾール(Arimidex(登録商標)、AstraZeneca)およびレトロゾール(Femara(登録商標)、Novartis)から選択される。
【0121】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、ヘッジホッグ経路のアンタゴニストである。本発明で使用することができる承認されたヘッジホッグ経路阻害剤には、両方とも基底細胞癌の処置用のソニデギブ(Odomzo(登録商標)、Sun Pharmaceuticals);およびビスモデギブ(Erivedge(登録商標)、Genentech)が含まれる。
【0122】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、葉酸阻害剤である。本発明で有用な承認された葉酸阻害剤には、ペメトレキセド(Alimta(登録商標)、Eli Lilly)が含まれる。
【0123】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、CCケモカイン受容体4(CCR4)阻害剤である。本発明において有用であり得る研究されているCCR4阻害剤には、モガムリズマブ(ポテリゲオ(登録商標)、協和発酵キリン、日本)が含まれる。
【0124】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤である。本発明で使用することができる研究中のIDH阻害剤には、AG120(Celgene;NCT02677922);AG221(Celgene、NCT02677922;NCT02577406);BAY1436032(Bayer、NCT02746081);IDH305(Novartis、NCT02987010)が含まれる。
【0125】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、アルギナーゼ阻害剤である。本発明で使用することができる研究中のアルギナーゼ阻害剤には、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群(NCT02732184)および固形腫瘍(NCT02561234)について第1相臨床試験で研究されているAEB1102(ペグ化組換えアルギナーゼ、Aeglea Biotherapeutics);およびCB-1158(Calithera Biosciences)が含まれる。
【0126】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、グルタミナーゼ阻害剤である。本発明で使用することができる研究中のグルタミナーゼ阻害剤には、CB-839(Calithera Biosciences)が含まれる。
【0127】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、腫瘍抗原、つまり、腫瘍細胞の細胞表面に発現するタンパク質に結合する抗体である。本発明で使用することができる腫瘍抗原に結合する承認された抗体には、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)、Genentech/BiogenIdec);オファツムマブ(抗CD20、Arzerra(登録商標)、GlaxoSmithKline);オビヌツズマブ(抗CD20、Gazyva(登録商標)、Genentech)、イブリツモマブ(抗CD20およびイットリウム90、Zevalin(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);ダラツムマブ(抗CD38、Darzalex(登録商標)、Janssen Biotech)、ジヌツキシマブ(抗糖脂質性のGD2、Unituxin(登録商標)、United Therapeutics);トラスツズマブ(抗HER2、Herceptin(登録商標)、Genentech);アドトラスツズマブエムタンシン(抗HER2、エムタンシンに融合、Kadcyla(登録商標)、Genentech);およびペルツズマブ(抗HER2、Perjeta(登録商標)、Genentech);およびブレンツキシマブベドチン(抗CD30薬物コンジュゲート、Adcetris(登録商標)、Seattle Genetics)が含まれる。
【0128】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、トポイソメラーゼ阻害剤である。本発明で有用な承認されたトポイソメラーゼ阻害剤には、イリノテカン(Onivyde(登録商標)、Merrimack Pharmaceuticals);トポテカン(Hycamtin(登録商標)、GlaxoSmithKline)が含まれる。本発明で使用することができる研究中のトポイソメラーゼ阻害剤には、ピクサントロン(Pixuvri(登録商標)、CTI Biopharma)が含まれる。
【0129】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、抗アポトーシスタンパク質、例えばBCL-2などの阻害剤である。本発明で使用することができる承認された抗アポトーシス剤には、ベネトクラクス(Venclexta(登録商標)、AbbVie/Genentech);およびブリナツモマブ(Blincyto(登録商標)、Amgen)が含まれる。臨床試験を受けていて、本発明で使用することができる、アポトーシスタンパク質を標的化する他の治療薬には、BCL-2阻害剤であるナビトクラクス(ABT-263、Abbott)(NCT02079740)が含まれる。
【0130】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、アンドロゲン受容体阻害剤である。本発明で有用な承認されたアンドロゲン受容体阻害剤には、エンザルタミド(Xtandi(登録商標)、Astellas/Medivation)が含まれる;アンドロゲン合成の承認された阻害剤には、アビラテロン(Zytiga(登録商標)、Centocor/Ortho)が含まれる;ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体の承認されたアンタゴニスト(デガレリクス(degaralix)、Firmagon(登録商標)、Ferring Pharmaceuticals)が含まれる。
【0131】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、エストロゲンの合成または活性を妨げる選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。本発明で有用な承認された葉酸阻害剤には、ラロキシフェン(Evista(登録商標)、Eli Lilly)が含まれる。
【0132】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、骨吸収の阻害剤である。骨吸収を阻害する承認された治療薬は、デノスマブ(Xgeva(登録商標)、Amgen)である。RANKLに結合するこの抗体は、骨転移を伴う固形腫瘍の骨病変を媒介する破骨細胞、その前駆細胞、破骨細胞様巨細胞の表面に存在するRANKLの受容体RANKとの結合を阻害する。他の骨吸収を阻害する承認された治療薬には、ゾレドロン酸(Zometa(登録商標)、Novartis)などのビスホスホン酸塩が含まれる。
【0133】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、2つの主要なp53サプレッサータンパク質、MDMXとMDM2の相互作用の阻害剤である。本発明で使用することができる研究中のp53抑制タンパク質の阻害剤には、MDMXと、MDM2とp53との相互作用に等効力で結合し、破壊するステープルペプチドであるALRN-6924(Aileron)が含まれる。ALRN-6924は現在、AML、進行性骨髄異形成症候群(MDS)および末梢T細胞リンパ腫(PTCL)の処置について臨床試験で評価されている(NCT02909972;NCT02264613)。
【0134】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、トランスフォーミング成長因子-β(TGF-βまたはTGFβ)の阻害剤である。本発明で使用することができる研究中のTGF-βタンパク質の阻害剤には、乳癌、肺癌、肝細胞癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌および腎癌をはじめとする様々な癌の処置について臨床で試験されている抗TGF-β抗体であるNIS793(Novartis)が含まれる(NCT02947165)。一部の実施形態では、TGF-βタンパク質の阻害剤は、フレソリムマブ(GC1008;Sanofi-Genzyme)であり、メラノーマ(NCT00923169);腎細胞癌(NCT00356460);および非小細胞肺癌(NCT02581787)について研究されている。さらに、一部の実施形態では、追加の治療薬は、Connollyら(2012)Int’l J.Biological Sciences 8:964-978に記載されているようなTGF-βトラップである。固形腫瘍の処置について現在臨床試験中の1つの治療化合物は、二重特異性抗PD-L1/TGFβトラップ化合物であるM7824(Merck KgaA-旧MSB0011459X)(NCT02699515);および(NCT02517398)である。M7824は、TGFβ「トラップ」として機能するヒトTGF-β受容体IIの細胞外ドメインに融合したPD-L1に対する完全ヒトIgG1抗体で構成されている。
【0135】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、細胞傷害性MMAEに連結された抗糖タンパク質NMB(gpNMB)抗体(CR011)であるグレムバツムマブベドチン-モノメチルアウリスタチンE(MMAE)(Celldex)から選択される。gpNMBは、癌細胞の転移能に関連する、複数の腫瘍型で過剰発現するタンパク質である。
【0136】
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、抗増殖性化合物である。このような抗増殖性化合物には、以下に限定されないが、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン薬;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化過程を誘発する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物抗代謝拮抗物質;白金化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的とする/低下させる化合物、およびさらには抗血管新生化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン薬;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物学的応答調節剤;抗増殖抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発がんアイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性疾患の処置に使用される化合物;Flt-3を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物;Hsp90阻害剤(17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010(Conforma Therapeuticsから)など);テモゾロミド(Temodal(登録商標));キネシンスピンドルタンパク質阻害剤(GlaxoSmithKlineからのSB715992もしくはSB743921、またはCombinatoRxからのペンタミジン/クロルプロマジンなど);MEK阻害剤(Array BioPharmaからのARRY142886、AstraZenecaからのAZd244、PfizerからのPD181461およびロイコボリンなど)が含まれる。
【0137】
用語「アロマターゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、エストロゲン産生、例えば基質であるアンドロステンジオンおよびテストステロンの、それぞれ、エストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物に関する。この用語には、以下に限定されないが、ステロイド、とりわけアタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタン、ならびに特に非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールが含まれる。エキセメスタンは、商標名Aromasin(商標)で上市されている。フォルメスタンは、商標名Lentaron(商標)で上市されている。ファドロゾールは、商標名Afema(商標)で上市されている。アナストロゾールは、商標名Arimidex(商標)で上市されている。レトロゾールは、商標名Femara(商標)またはFemar(商標)で上市されている。アミノグルテチミドは、商標名Orimeten(商標)で上市されている。アロマターゼ阻害剤である化学治療剤を含む本発明の組合せは、乳房腫瘍などのホルモン受容体陽性腫瘍の処置に特に有用である。
【0138】
用語「抗エストロゲン」とは、本明細書で使用する場合、エストロゲン受容体レベルでエストロゲンの作用を拮抗する化合物に関する。この用語には、以下に限定されないが、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェン塩酸塩が含まれる。タモキシフェンは、商標名Nolvadex(商標)で上市されている。ラロキシフェン塩酸塩は、商標名Evista(商標)で上市されている。フルベストラントは、商標名Faslodex(商標)で投与することができる。抗エストロゲンである化学治療剤を含む本発明の組合せは、乳房腫瘍などのエストロゲン受容体陽性腫瘍の処置に特に有用である。
【0139】
用語「抗アンドロゲン」は、本明細書で使用する場合、アンドロゲンホルモンの生物学的作用を阻害することが可能な任意の物質に関し、以下に限定されないが、ビカルタミド(Casodex(商標))を含む。用語「ゴナドレリンアゴニスト」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、アバレリックス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリンが含まれる。ゴセレリンは、商標名Zoladex(商標)で投与することができる。
【0140】
用語「トポイソメラーゼI阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシン(camptothecian)およびそのアナログである9-ニトロカンプトテシン、およびマクロ分子である、カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148が含まれる。イリノテカンは、例えば、商標Camptosar(商標)で、例えば上市されている形態で、投与することができる。トポテカンは、商標名Hycamptin(商標)で上市されている。
【0141】
用語「トポイソメラーゼII阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、ドキソルビシン(Caelyx(商標)などのリポソーム製剤を含む)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシンなどのアントラサイクリン、アントラキノンであるミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシンであるエトポシドおよびテニポシドが含まれる。エトポシドは、商標名Etopophos(商標)で上市されている。テニポシドは、商標名VM26-Bristolで上市されている。ドキソルビシンは、商標名Acriblastin(商標)またはAdriamycin(商標)で上市されている。エピルビシンは、商標名Farmorubicin(商標)で上市されている。イダルビシンは、商標名Zavedos(商標)で上市されている。ミトキサントロンは、商標名Novantronで上市されている。
【0142】
用語「微小管活性剤」は、以下に限定されないが、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン;ビンブラスチンまたはビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチンまたはビンクリスチン硫酸塩およびビノレルビンなどのビンカアルカロイド;ディスコデルモライド;コルヒチンおよびエポチロンおよびそれらの誘導体を含めた、微小管安定化化合物、微小管脱安定化化合物および微小管(microtublin)重合阻害剤に関する。パクリタキセルは、商標名Taxol(商標)で上市されている。ドセタキセルは、商標名Taxotere(商標)で上市されている。ビンブラスチン硫酸塩は、商標名Vinblastin R.P(商標)で上市されている。ビンクリスチン硫酸塩は、商標名Farmistin(商標)で上市されている。
【0143】
用語「アルキル化剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファランまたはニトロソ尿素(BCNUまたはGliadel)が含まれる。シクロホスファミドは、商標名Cyclostin(商標)で上市されている。イホスファミドは、商標名Holoxan(商標)で上市されている。
【0144】
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「HDAC阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物に関する。これには、以下に限定されないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)が含まれる。
【0145】
用語「抗新生物抗代謝拮抗物質」には、以下に限定されないが、5-フルオロウラシルまたは5-FU、カペシタビン、ゲムシタビン、DNA脱メチル化化合物(5-アザシチジンおよびデシタビンなど)、メトトレキセートおよびエダトレキセートおよび葉酸アンタゴニスト(ペメトレキセドなど)が含まれる。カペシタビンは、商標名Xeloda(商標)で上市されている。ゲムシタビンは、商標名Gemzar(商標)で上市されている。
【0146】
用語「プラチン化合物」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナムおよびオキサリプラチンが含まれる。カルボプラチンは、例えば、商標名Carboplat(商標)で、例えば上市されている形態で投与することができる。オキサリプラチンは、例えば、商標名Eloxatin(商標)で、例えば上市されている形態で、投与することができる。
【0147】
用語「タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性;またはタンパク質もしくは脂質ホスファターゼ活性を標的とする/低下させる化合物;あるいはさらには抗血管新生化合物」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、a)血小板由来成長因子受容体(PDGFR)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけイマチニブ、SU101、SU6668およびGFB-111などのN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体などのPDGF受容体を阻害する化合物などの、PDGFRを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、b)線維芽成長因子受容体(FGFR)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、c)インスリン様成長因子受容体I(IGF-IR)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけIGF-I受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはIGF-I受容体もしくはその成長因子の細胞外ドメインを標的とする抗体などの、IGF-IRを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、d)Trk受容体チロシンキナーゼファミリーを標的とする、それらの活性を低下させるまたは阻害する化合物、あるいはエフリンB4阻害剤、e)AxI受容体チロシンキナーゼファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、f)Ret受容体チロシンキナーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、g)イマチニブなどのKit/SCFR受容体チロシンキナーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、h)c-Kit受容体チロシンキナーゼファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけイマチニブなどのc-Kit受容体を阻害する化合物などの、PDGFRファミリーの一部である、C-kit受容体チロシンキナーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、i)イマチニブまたはニロチニブ(AMN107)などのN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体;PD180970;AG957;NSC680410;ParkeDavisからのPD173955;またはダサチニブ(BMS-354825)などの、c-Ablファミリーメンバーおよびその遺伝子融合産物を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物などの、c-Ablファミリーのメンバー、その遺伝子融合産物(例えばBCR-Ablキナーゼ)および変異体を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、j)セリン/トレオニンキナ-ゼのタンパク質キナーゼC(PKC)およびRafファミリー、MEK、SRC、JAK/pan-JAK、FAK、PDK1、PKB/Akt、Ras/MAPK、PI3K、SYK、TYK2、BTKおよびTECファミリーのメンバー、ならびに/またはミドスタウリンなどのスタウロスポリン誘導体を含む、サイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーを標的とする、それらの活性を低下させるまたは阻害する化合物(さらなる化合物の例には、UCN-01、サフィンゴール、BAY43-9006、ブリオスタチン1、ペリフォシン(Perifosine);ルルモフォシン(llmofosine);RO318220およびRO320432;GO6976;lsis3521;LY333531/LY379196;イソキノリン化合物;FTI;PD184352またはQAN697(P13K阻害剤)またはAT7519(CDK阻害剤)が含まれる)、k)メシル酸イマチニブ(Gleevec(商標))またはチルホスチン(tyrphostin)(チルホスチンA23/RG-50810;AG99;チルホスチンAG213;チルホスチンAG1748;チルホスチンAG490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)鏡像異性体;チルホスチンAG555;AG494;チルホスチンAG556、AG957など)およびアダホスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC680410、アダホスチン)を含めた、タンパク質-チロシンキナーゼ阻害剤を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物などの、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、l)上皮成長因子受容体ファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけ、EGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4などのEGF受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーを阻害する、またはEGFもしくはEGF関連リガンドに結合する化合物、タンパク質あるいは抗体、CP358774、ZD1839、ZM105180;トラスツズマブ(Herceptin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、Iressa、タルセバ、OSI-774、Cl-1033、EKB-569、GW-2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3および7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体などの受容体チロシンキナーゼ(ホモ二量体またはヘテロ二量体としてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)およびその変異体の上皮成長因子ファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、m)c-Metを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけc-Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはc-Metの細胞外ドメインを標的とするもしくはHGFに結合する抗体などの、c-Met受容体を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、n)以下に限定されないが、PRT-062070、SB-1578、バリシチニブ、パクリチニブ、モメロチニブ、VX-509、AZD-1480、TG-101348、トファシチニブおよびルキソリチニブを含めた、1種または複数のJAKファミリーメンバー(JAK1/JAK2/JAK3/TYK2および/またはpan-JAK)を標的とする、そのキナーゼ活性を低下させるまたは阻害する化合物、o)以下に限定されないが、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765およびイデラリシブを含めた、PI3キナーゼ(PI3K)を標的とする、そのキナーゼ活性を低下させるまたは阻害する化合物、ならびにq)以下に限定されないが、シクロパミン、ビスモデギブ、イトラコナゾール、エリスモデギブおよびIPI-926(サリデギブ)を含む、ヘッジホッグタンパク質(Hh)またはスムーズンド受容体(SMO)経路のシグナル伝達作用を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物などのタンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリンおよび/またはトレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤が含まれる。
【0148】
用語「PI3K阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、PI3Kα、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3K-C2α、PI3K-C2β、PI3K-C2γ、Vps34、p110-α、p110-β、p110-γ、p110-δ、p85-α、p85-β、p55-γ、p150、p101およびp87を含む、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼファミリーにおける1種または複数の酵素に対する阻害活性を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。本発明において有用なPI3K阻害剤の例には、以下に限定されないが、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765およびイデラリシブが含まれる。
【0149】
用語「Bcl-2阻害剤」には、本明細書において使用する場合、以下に限定されないが、B細胞リンパ腫2タンパク質(Bcl-2)に対する阻害活性を有する化合物が含まれ、それには、限定されないが、ABT-199、ABT-731、ABT-737、アポゴシポール、Ascentaの汎Bcl-2阻害剤、クルクミン(およびその類似体)、二重Bcl-2/Bcl-xL阻害剤(Infinity Pharmaceuticals/Novartis Pharmaceuticals)、Genasense(G3139)、HA14~1(およびその類似体;WO2008118802号)、ナビトクラクス(およびその類似体、US7390799参照)、NH-1(Shenayng Pharmaceutical University)、オバトクラクス(およびその類似体、WO2004106328号参照)、S-001(Gloria Pharmaceuticals)、TWシリーズの化合物(Univ.of Michigan)、およびベネトクラクスが含まれる。一部の実施形態では、Bcl-2阻害剤は小分子治療薬である。一部の実施形態では、Bcl-2阻害剤はペプチド模倣物である。
【0150】
用語「BTK阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、AVL-292およびイブルチニブを含めた、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害活性を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0151】
用語「SYK阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、PRT-062070、R-343、R-333、Excellair、PRT-062607およびフォスタマチニブを含めた、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)に対する阻害活性を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
BTK阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2008039218およびWO2011090760に見出すことができる。
【0153】
SYK阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2003063794、WO2005007623およびWO2006078846に見出すことができる。
【0154】
PI3K阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2004019973、WO2004089925、WO2007016176、US8138347、WO2002088112、WO2007084786、WO2007129161、WO2006122806、WO2005113554およびWO2007044729に見出すことができる。
【0155】
JAK阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2009114512、WO2008109943、WO2007053452、WO2000142246およびWO2007070514に見出すことができる。
【0156】
さらなる抗血管新生化合物には、例えばタンパク質または脂質キナーゼ阻害に無関係な、その活性に対して別の機構を有する化合物、例えば、サリドマイド(Thalomid(商標))およびTNP-470が含まれる。
【0157】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに有用なプロテアソーム阻害剤の例には、以下に限定されないが、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX-0912、CEP-18770およびMLN9708が含まれる。
【0158】
タンパク質または脂質ホスファターゼを標的とする、それらの活性を低下させるまたは阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2AまたはCDC25の阻害剤(オカダ酸またはその誘導体など)である。
【0159】
細胞分化過程を誘発する化合物には、以下に限定されないが、レチノイン酸、α-、γ-もしくはδ-トコフェロールまたはα-、γ-もしくはδ-トコトリエノールが含まれる。
【0160】
シクロオキシゲナーゼ阻害剤という用語には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、Cox-2阻害剤、5-アルキル置換2-アリールアミノフェニル酢酸および誘導体(セレコキシブ(Celebrex(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、エトリコキシブ、バルデコキシブなど)、または5-アルキル-2-アリールアミノフェニル酢酸(5-メチル-2-(2’-クロロ-6’-フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブなど)が含まれる。
【0161】
用語「ビスホスホネート」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、エトリドン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸が含まれる。エトリドン酸は、商標名Didronel(商標)で上市されている。クロドロン酸は、商標名Bonefos(商標)で上市されている。チルドロン酸は、商標名Skelid(商標)で上市されている。パミドロン酸は、商標名Aredia(商標)で上市されている。アレンドロン酸は、商標名Fosamax(商標)で上市されている。イバンドロン酸は、商標名Bondranat(商標)で上市されている。リセドロン酸は、商標名Actonel(商標)で上市されている。ゾレドロン酸は、商標名Zometa(商標)で上市されている。用語「mTOR阻害剤」は、シロリムス(Rapamune(登録商標))、エベロリムス(Certican(商標))、CCI-779およびABT578などの、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)を阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物に関する。
【0162】
用語「ヘパラナーゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、ヘパリン硫酸分解を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物を指す。この用語には、以下に限定されないが、PI-88が含まれる。用語「生物学的応答調節剤」とは、本明細書で使用する場合、リンホカインまたはインターフェロンを指す。
【0163】
H-Ras、K-RasまたはN-Rasなどの、用語「Ras発がんアイソフォームの阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、Rasを標的とする、その腫瘍活性を低下させるまたは阻害する化合物、例えば、L-744832、DK8G557またはR115777(Zarnestra(商標))などの「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」を指す。用語「テロメラーゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、テロメラーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物を指す。テロメラーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物は、とりわけテロメスタチンなどのテロメラーゼ受容体を阻害する化合物である。
【0164】
用語「メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、メチオニンアミノペプチダーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物を指す。メチオニンアミノペプチダーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物には、以下に限定されないが、ベンガミドまたはその誘導体が含まれる。
【0165】
用語「プロテアソーム阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、プロテアソームを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物を指す。プロテアソームを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物には、以下に限定されないが、ボルテゾミブ(Velcade(商標))およびMLN341が含まれる。
【0166】
用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤」または(「MMP」阻害剤)には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、コラーゲンペプチド模倣阻害剤および非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、例えばヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤であるバチマスタットおよびその経口的に生体利用可能なアナログであるマリマスタット(BB-2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC683551)、BMS-279251、BAY12-9566、TAA211、MMI270BまたはAAJ996が含まれる。
【0167】
用語「血液悪性疾患の処置において使用される化合物」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、FMS様チロシンキナーゼ型受容体(Flt-3R)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物である、FMS様チロシンキナーゼ阻害剤;インターフェロン、1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(1-β-D-arabinofuransylcytosine)(ara-c)およびビスルファン;および未分化リンパ腫キナーゼを標的とする、低下させるまたは阻害する化合物であるALK阻害剤が含まれる。
【0168】
FMS様チロシンキナーゼ型受容体(Flt-3R)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518などの、Flt-3R受容体キナーゼファミリーのメンバーを阻害する化合物、タンパク質または抗体である。
【0169】
用語「HSP90阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、HSP90の内在性ATPアーゼ活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物;ユビキチンプロテアソーム経路により、HSP90クライアントタンパク質を分解する、標的とする、低下させるまたは阻害する化合物が含まれる。HSP90の内在性ATPアーゼ活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、17-アリルアミノ,17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体、他のゲルダナマイシン関連化合物などのHSP90のATPアーゼ活性を阻害する化合物、タンパク質または抗体;ラジシコールおよびHDAC阻害剤である。
【0170】
用語「抗増殖性抗体」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、トラスツズマブ-DM1、エルビタックス、ベバシズマブ(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体が含まれる。抗体とは、これらが所望の生物活性を示す限り、無傷モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種の無傷抗体から形成された多重特異的抗体、および抗体断片を意味する。
【0171】
急性骨髄性白血病(AML)の処置の場合、本発明の化合物は、標準白血病治療法と組み合わせて、とりわけAMLの処置に使用される治療法と組み合わせて使用することができる。特に、本発明の化合物は、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに/またはダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボ白金およびPKC412などの、AMLの処置に有用な他の薬物と組み合わせて投与することができる。
【0172】
他の抗白血病性化合物には、例えば、ピリミジンアナログであるAra-Cが含まれ、これは、デオキシシチジンの2’-アルファ-ヒドロキシリボース(アラビノシド)誘導体である。同様に、ヒポキサンチン、6-メルカプトプリン(6-MP)およびリン酸フルダラビンのプリンアナログも含まれる。酪酸ナトリウムおよびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)などの、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物は、ヒストンデアセチラーゼとして公知の酵素の活性を阻害する。具体的なHDAC阻害剤には、MS275、SAHA、FK228(以前のFR901228)、トリコスタチンA、ならびにN-ヒドロキシ-3-[4-[[[2-(2-メチル-1H-インドール-3-イル)-エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロパンアミドまたはその薬学的に許容される塩およびN-ヒドロキシ-3-[4-[(2-ヒドロキシエチル){2-(1H-インドール-3-イル)エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペンアミドまたはその薬学的に許容される塩、とりわけ乳酸塩を含めるがこれらに限定されない、US6,552,065に開示されている化合物が含まれる。ソマトスタチン受容体アンタゴニストとは、本明細書で使用する場合、オクトレオチドおよびSOM230などの、ソマトスタチン受容体を標的とする、処理するまたは阻害する化合物を指す。腫瘍細胞に損傷を与える手法とは、電離放射線などの手法を指す。上記およびこれ以降に言及されている用語「電離放射線」は、電磁光線(X線およびガンマ線など)または粒子(アルファ粒子およびベータ粒子など)のどちらか一方として発生する電離放射線を意味する。電離放射線は、以下に限定されないが、放射線療法で供給され、当技術分野において公知である。Hellman、Principles of Radiation Therapy、Cancer、Principles and Practice of Oncology、Devitaら(編)、第4版、1巻、248~275頁(1993年)を参照されたい。
【0173】
同様に、EDG結合剤およびリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤が含まれる。用語「EDG結合剤」とは、本明細書で使用する場合、FTY720などのリンパ球の再循環をモジュレートする免疫抑制薬のクラスを指す。用語「リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤」とは、以下に限定されないが、フルダラビンおよび/またはシトシンアラビノシド(ara-C)、6-チオグアニン、5-フルオロウラシル、クラドリビン、6-メルカプトプリン(とりわけ、ALLに対してはara-Cアゴニストと組み合わせて)、ならびに/あるいはペントスタチンを含めた、ピリミジンまたはプリンヌクレオシドアナログを指す。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は、とりわけヒドロキシ尿素または2-ヒドロキシ-1H-イソインドール-1,3-ジオン誘導体である。
【0174】
同様に、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンまたはその薬学的に許容される塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンコハク酸塩などのVEGFの化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体;Angiostatin(商標);Endostatin(商標);アントラニル酸アミド;ZD4190;Zd474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;またはrhuMAbおよびRHUFabなどの抗VEGF抗体もしくは抗VEGF受容体抗体、MacugonなどのVEGFアプタマー;FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgGI抗体、Angiozyme(RPI4610)およびベバシズマブ(Avastin(商標))が、特に含まれる。
【0175】
光線力学療法とは、本明細書で使用する場合、がんを処置または予防するために、感光性化合物として公知のある種の化学品を使用する治療法を指す。光線力学療法の例には、Visudyne(商標)およびポルフィマーナトリウムなどの化合物を用いる処置が含まれる。
【0176】
血管新生抑制性ステロイドとは、本明細書で使用する場合、例えば、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-α-エピヒドロコチゾール、コルテキソロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロンおよびデキサタサゾンなどの、血管新生を遮断または阻害する化合物を指す。
【0177】
コルチコステロイドを含有するインプラントは、フルオシノロンおよびデキサタサゾンなどの化合物を指す。
【0178】
他の化学治療用化合物には、以下に限定されないが、植物アルカロイド、ホルモン化合物およびアンタゴニスト;生物学的応答調節剤、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン;アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;shRNAまたはsiRNA;あるいは様々な化合物、または他のもしくは未知の作用機序を有する化合物が含まれる。
【0179】
コード番号、一般名または商標名により特定される活性化合物の構造は、標準抄録「The Merck Index」の実版から、またはデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)から採用することができる。
【0180】
例示的な腫瘍免疫療法剤
一部の実施形態では、1またはそれを超える他の治療薬は、腫瘍免疫療法剤である。本明細書で使用する場合、用語「腫瘍免疫療法剤」とは、対象において免疫応答を増強、刺激、および/または上方制御するために有効な薬剤を指す。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤を本発明の化合物とともに投与することにより、癌の処置において相乗効果が得られる。
【0181】
腫瘍免疫療法剤は、小分子薬、抗体、または生物学的もしくは小分子の薬剤であり得る。生物学的腫瘍免疫療法剤の例としては、以下に限定されないが、癌ワクチン、抗体、およびサイトカインが挙げられる。一部の実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。一実施形態では、モノクローナル抗体は、ヒト化またはヒトである。
【0182】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、(i)刺激性(共刺激性を含む)受容体のアゴニスト、または(ii)T細胞上の抑制性(共抑制性を含む)シグナルのアンタゴニストであり、どちらも抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす。
【0183】
特定の刺激性および抑制性分子は、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバーである。共刺激または共抑制受容体に結合する膜結合リガンドの1つの重要なファミリーは、B7ファミリーであり、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)を含む。)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、およびB7-H6がそれに含まれる。共刺激または共抑制受容体に結合する膜結合リガンドのもう1つのファミリーは、同族のTNF受容体ファミリーメンバーに結合する分子のTNFファミリーであり、それには、CD40およびCD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4ー1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRが含まれる。
【0184】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、T細胞の活性化を抑制するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、および他の免疫抑制性サイトカイン)、または、免疫応答を刺激するために、T細胞の活性化を刺激するサイトカインである。
【0185】
一部の実施形態では、本発明の化合物と腫瘍免疫療法剤の組合せは、T細胞応答を刺激することができる。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、(i)T細胞の活性化を抑制するタンパク質のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)例えばCTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、ガレクチン 9、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、およびTIM-4など;または(ii)T細胞の活性化を刺激するタンパク質のアンタゴニスト、例えばB7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3およびCD28Hなどである。
【0186】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、NK細胞上の抑制性受容体のアンタゴニストまたはNK細胞上の活性化受容体のアゴニストである。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、リリルマブなどKIRのアンタゴニストである。
【0187】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、マクロファージまたは単球を抑制または枯渇させる薬剤であり、それには、限定されないが、RG7155(WO11/70024号、WO11/107553号、WO11/131407号、WO13/87699号、WO13/119716号、WO13/132044号)またはFPA-008(WO11/140249号;WO13169264号;WO14/036357号)を含むCSF-1Rアンタゴニスト抗体などのCSF-1Rアンタゴニストが含まれる。
【0188】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、陽性の共刺激受容体を連結するアゴニスト剤、抑制性受容体を通じてシグナル伝達を弱める遮断剤、アンタゴニスト、抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増加させる1またはそれを超える薬剤、腫瘍微小環境内の異なる免疫抑制経路を克服する薬剤(例えば、抑制性受容体の関与(例えば、PD-L1/PD-1相互作用)を遮断する、Tregを枯渇または抑制する(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ)を使用するかまたはエクスビボでの抗CD25ビーズの枯渇による)、IDOなどの代謝酵素を抑制する、またはT細胞のエネルギーまたは消耗を逆転防止する薬剤)および腫瘍部位で自然免疫の活性化および/または炎症を引き起こす薬剤から選択される。
【0189】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、CTLA-4アンタゴニストである。一部の実施形態では、CTLA-4アンタゴニストは、アンタゴニストCTLA-4抗体である。一部の実施形態では、アンタゴニストCTLA-4抗体は、ヤーボイ(イピリムマブ)またはトレメリムマブである。
【0190】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、PD-1アンタゴニストである。一部の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、注入によって投与される。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を抑制する抗体またはその抗原結合部分である。一部の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、アンタゴニストPD-1抗体である。一部の実施形態では、アンタゴニストPD-1抗体は、オプジーボ(ニボルマブ)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514;WO2012/145493号)である。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、ピディリズマブ(CT-011)であり得る。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、AMP-224と呼ばれる、IgG1のFc部分に融合したPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインから構成される組換えタンパク質である。
【0191】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、PD-L1アンタゴニストである。一部の実施形態では、PD-L1アンタゴニストは、アンタゴニストPD-L1抗体である。一部の実施形態では、PD-L1抗体は、MPDL3280A(RG7446;WO2010/077634号)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874号)、およびMSB0010718C(WO2013/79174号)である。
【0192】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、LAG-3アンタゴニストである。一部の実施形態では、LAG-3アンタゴニストは、アンタゴニストLAG-3抗体である。一部の実施形態では、LAG3抗体は、BMS-986016(WO10/19570号、WO14/08218号)、またはIMP-731またはIMP-321(WO08/132601号、WO009/44273号)である。
【0193】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、CD137(4-1BB)アゴニストである。一部の実施形態では、CD137(4-1BB)アゴニストは、アゴニストCD137抗体である。一部の実施形態では、CD137抗体は、ウレルマブまたはPF-05082566(WO12/32433号)である。
【0194】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、GITRアゴニストである。一部の実施形態では、GITRアゴニストは、アゴニストGITR抗体である。一部の実施形態では、GITR抗体は、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(WO006/105021号、WO009/009116号)、またはMK-4166(WO11/028683号)である。
【0195】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、インドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)アンタゴニストである。一部の実施形態では、IDOアンタゴニストは、エパカドスタット(INCB024360、Incyte);インドキシモド(NLG-8189、NewLink Genetics Corporation);カプマニチブ(capmanitib)(INC280、Novartis);GDC-0919(Genentech/Roche);PF-06840003(Pfizer);BMS:F001287(Bristol-Myers Squibb);Phy906/KD108(Phytoceutica);キヌレニンを分解する酵素(Kynase、Kyn Therapeutics);およびNLG-919(WO09/73620号、WO009/1156652号、WO11/56652号、WO12/142237号)から選択される。
【0196】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、OX40アゴニストである。一部の実施形態では、OX40アゴニストは、アゴニストOX40抗体である。一部の実施形態では、OX40抗体は、MEDI-6383またはMEDI-6469である。
【0197】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、OX40Lアンタゴニストである。一部の実施形態では、OX40Lアンタゴニストは、アンタゴニストOX40抗体である。一部の実施形態では、OX40Lアンタゴニストは、RG-7888(WO06/029879号)である。
【0198】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、CD40アゴニストである。一部の実施形態では、CD40アゴニストは、アゴニストCD40抗体である。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、CD40アンタゴニストである。一部の実施形態では、CD40アンタゴニストは、アンタゴニストCD40抗体である。一部の実施形態では、CD40抗体は、ルカツムマブまたはダセツズマブである。
【0199】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、CD27アゴニストである。一部の実施形態では、CD27アゴニストは、アゴニストCD27抗体である。一部の実施形態では、CD27抗体は、バリルマブである。
【0200】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、MGA271(B7H3に対する)(WO11/109400号)である。
【0201】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトックス、アポリズマブ、アテゾリマブ、アベルマブ、ブリナツモマブ、BMS-936559、カツマキソマブ、デュルバルマブ、エパカドスタット、エプラツズマブ、インドキシモドイノツズマブオゾガマイシン、インテルムマブ、イピリムマブ、イサツキシマブ、ランブロリズマブ、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ(olatatumab)、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ、サマリズマブ、またはトレメリムマブである。
【0202】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、免疫刺激剤である。例えば、PD-1およびPD-L1阻害軸をブロックする抗体は、活性化された腫瘍反応性T細胞を解き放つことができ、慣習的に免疫療法に感受性がないと考えられていた、いくつかの腫瘍種を含む、ますます多くの腫瘍組織において長持ちする抗腫瘍応答を誘発することが臨床試験で示されている。例えば、Okazaki,T.ら(2013)Nat.Immunol.14,1212-1218;Zouら(2016)Sci.Transl.Med.8.を参照されたい。抗PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ(登録商標)、Bristol-Myers Squibb、ONO-4538、MDX1106およびBMS-936558としても公知)は、以前の抗血管新生治療中または治療後に疾患の進行を経験したRCC患者の全生存期間を改善する可能性を示している。
【0203】
一部の実施形態では、免疫調節治療薬は、腫瘍細胞のアポトーシスを特異的に誘発する。本発明で使用することができる、承認された免疫調節治療薬には、ポマリドミド(Pomalyst(登録商標)、Celgene);レナリドミド(Revlimid(登録商標)、Celgene);インゲノールメブテート(Picato(登録商標)、LEO Pharma)が含まれる。
【0204】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、癌ワクチンである。一部の実施形態では、癌ワクチンは、無症候性または症状の少ない転移性去勢抵抗性(ホルモン不応性)前立腺癌の処置に承認されているシプロイセルT(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals);およびメラノーマの切除不能な皮膚、皮下および結節の病変の処置に承認された遺伝子組換え腫瘍溶解性ウイルス治療薬であるタリモジーン・ラハーパレプベック(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT-VECとして公知)から選択される。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、肝細胞癌(NCT02562755)およびメラノーマ(NCT00429312)に対して、GM-CSFを発現するように操作されたチミジンキナーゼ-(TK-)欠損ワクシニアウイルスであるペクサスチモジーン・デバシレプベック(pexastimogene devacirepvec)(PexaVec/JX-594、SillaJen/旧Jennerex Biotherapeutics);結腸直腸癌(NCT01622543);前立腺癌(NCT01619813);頭頸部の扁平上皮癌(NCT01166542);膵臓腺癌(NCT00998322);および非小細胞肺癌(NSCLC)(NCT00861627)を含む多数の癌において、RAS活性化されていない細胞では複製しない、呼吸器腸管オーファンウイルス(レオウイルス)の変異体であるペラレオレプ(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech);卵巣癌(NCT02028117);結腸直腸癌、膀胱癌、頭頸部の扁平上皮癌および唾液腺癌などの転移性または進行性上皮性腫瘍(NCT02636036)において、全長CD80およびT細胞受容体CD3タンパク質に特異的なおよび抗体フラグメントを発現するように操作されたアデノウイルスである、エナデノツシレブ(NG-348、PsiOxus、以前はColoAd1として公知);メラノーマ(NCT03003676);および腹膜疾患、結腸直腸癌または卵巣癌(NCT02963831)において、GM-CSFを発現するように操作されたアデノウイルスである、ONCOS-102(Targovax/旧Oncos);β-ガラクトシダーゼ(β-gal)/β-グルクロニダーゼまたはβ-gal/ヒトヨウ化ナトリウムシンポーター(hNIS)をそれぞれ発現するように操作され、腹膜癌(NCT01443260);卵管癌、卵巣癌(NCT02759588)で研究されたワクシニアウイルスである、GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH);または、膀胱癌でGM-CSFを発現するように操作されたアデノウイルスである、CG0070(Cold Genesys)(NCT02365818)などの腫瘍溶解性ウイルス治療薬から選択される。
【0205】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、プロドラッグである5-フルオロシトシンを細胞傷害性薬物である5-フルオロウラシルに変換できるシトシンデアミナーゼを発現するように操作されたTK-およびワクシニア成長因子欠損ワクシニアウイルスである、JX-929(SillaJen/旧Jennerex Biotherapeutics);処置が困難なRAS突然変異を標的とするペプチドベースの免疫療法剤である、TG01およびTG02(Targovax/formerly Oncos);および、操作されたアデノウイルスであり、Ad5/3-E2F-デルタ24-hTNFα-IRES-hIL20と命名された、TILT-123(TILT Biotherapeutics);および、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)の糖タンパク質(GP)を発現するように操作された水疱性口内炎ウイルス(VSV)であり、抗原特異的CD8T細胞応答を生じるように設計された抗原を発現するようにさらに操作され得る、VSV-GP(ViraTherapeutics)から選択される。
【0206】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、キメラ抗原受容体、すなわちCARを発現するように操作されたT細胞である。このようなキメラ抗原受容体を発現するように操作されたT細胞は、CAR-T細胞と呼ばれる。
【0207】
天然リガンドに由来し得る結合ドメイン、T細胞受容体(TCR)の機能的末端であるエンドドメイン、例えば、Tリンパ球で活性化シグナルを生成することができるTCRのCD3-ゼータシグナル伝達ドメインなどに融合した、細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv)からなるCARが構築されている。抗原に結合すると、そのようなCARはエフェクター細胞内の内因性シグナル伝達経路にリンクし、TCR複合体によって開始されるものと同様の活性化シグナルを生成する。
【0208】
例えば、一部の実施形態では、CAR-T細胞は、米国特許第8,906,682号(6月;参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)に記載されるものの1つであり、T細胞抗原受容体複合体ゼータ鎖(例えばCD3ゼータなど)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合した、抗原結合ドメイン(例えばCD19に結合するドメインなど)を有する細胞外ドメインを含むように操作されたCAR-T細胞が開示されている。T細胞で発現すると、CARは、抗原結合特異性に基づいて抗原認識をリダイレクトできる。CD19の場合、抗原は悪性B細胞に発現している。現在、200を超える臨床試験がCAR-Tを用いて幅広い適応症において進行中である。[https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=chimeric+antigen+receptors&pg=1]。
【0209】
一部の実施形態では、免疫刺激剤は、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体γ(RORγt)の活性化剤である。RORγtは、CD4+(Th17)およびCD8+(Tc17)T細胞の17型エフェクターサブセットの分化および維持、ならびにNK細胞などのIL-17を発現する自然免疫細胞亜集団の分化に重要な役割を果たす転写因子である。一部の実施形態では、RORγtの活性化剤は、LYC-55716(Lycera)であり、現在、固形腫瘍の処置について臨床試験で評価中である(NCT02929862)。
【0210】
一部の実施形態では、免疫刺激剤は、Toll様受容体(TLR)のアゴニストまたは活性化剤である。TLRの好適な活性化剤としては、SD-101(Dynavax)などのTLR9のアゴニストまたは活性化剤が挙げられる。SD-101は、B細胞、濾胞およびその他のリンパ腫について研究されている免疫刺激性CpGである(NCT02254772)。本発明で使用することができるTLR8のアゴニストまたは活性化剤には、頭頸部の扁平上皮癌(NCT02124850)および卵巣癌(NCT02431559)について研究されているモトリモド(VTX-2337、VentiRx Pharmaceuticals)が含まれる。
【0211】
本発明で使用することができるその他の腫瘍免疫療法剤には、抗CD137モノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb);抗CD27モノクローナル抗体であるバルリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics);抗OX40モノクローナル抗体であるBMS-986178(Bristol-Myers Squibb);抗KIRモノクローナル抗体であるリリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma、Bristol-Myers Squibb);抗NKG2Aモノクローナル抗体であるモナリズマブ(IPH2201、Innate Pharma、AstraZeneca);抗MMP9抗体であるアンデカリキシマブ(GS-5745、Gilead Sciences);抗GITRモノクローナル抗体であるMK-4166(Merck&Co.)が含まれる。
【0212】
一部の実施形態では、免疫刺激剤は、エロツズマブ、ミファムルチド、Toll様受容体のアゴニストまたは活性化剤、およびRORγtの活性化剤から選択される。
【0213】
一部の実施形態では、免疫賦活治療薬は、組換えヒトインターロイキン15(rhIL-15)である。rhIL-15は、メラノーマおよび腎細胞癌(NCT01021059およびNCT01369888)および白血病(NCT02689453)の治療薬として臨床で試験されている。一部の実施形態では、免疫刺激剤は、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)である。一部の実施形態では、IL-15ベースの免疫療法薬は、可溶性IL-15結合タンパク質IL-15受容体アルファ鎖と複合体を形成した内因性IL-15の合成形態で構成される融合複合体である(IL15:sIL-15RA)、ヘテロ二量体IL-15(hetIL-15、Novartis/Admune)であり、メラノーマ、腎細胞癌、非小細胞肺癌および頭頸部の扁平上皮癌について第1相臨床試験で試験されている(NCT02452268)。一部の実施形態では、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)は、NM-IL-12(Neumedicines、Inc.)、NCT02544724、またはNCT02542124である。
【0214】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、Jerry L.Adamsら、’’Big opportunities for small molecules in immuno-oncology,’’Cancer Therapy 2015,Vol.14,pages 603-622に記載されているものから選択され、その内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、Jerry L.Adamsらの表1に記載の例から選択される。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、Jerry L.Adamsらの表2に列挙されているものから選択された免疫腫瘍標的を標的とする小分子である。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、Jerry L.Adamsらの表2に列挙されているものから選択された小分子剤である。
【0215】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、Peter L.Toogood,’’Small molecule immuno-oncology therapeutic agents,’’Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 2018,Vol.28,pages 319-329に記載される小分子腫瘍免疫療法剤から選択され、その内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤はPeter L.Toogoodに記載される経路を標的とする薬剤である。
【0216】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、Sandra L.Rossら、’’Bispecific T cell engager(BiTE(登録商標))antibody constructs can mediate bystander tumor cell killing’’,PLoS ONE 12(8):e0183390に記載されるものから選択され、その内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態(embodimens)では、腫瘍免疫療法剤は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物である。一部の実施形態(embodimens)では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、CD19/CD3二重特異性抗体構築物である。一部の実施形態(embodimens)では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、EGFR/CD3二重特異性抗体構築物である。一部の実施形態(embodimens)では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化する。一部の実施形態(embodimens)では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化し、サイトカインを放出して、バイスタンダー細胞上の細胞間接着分子1(ICAM-1)およびFASのアップレギュレーションを誘導する。一部の実施形態(embodimens)では、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化し、バイスタンダー細胞溶解の誘導をもたらす。一部の実施形態では、バイスタンダー細胞は、固形腫瘍にある。一部の実施形態では、溶解されるバイスタンダー細胞は、BiTE(登録商標)に活性化されたT細胞の近くにある。一部の実施形態では、バイスタンダー細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)陰性癌細胞を含む。一部の実施形態では、バイスタンダー細胞は、EGFR陰性癌細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、PD-L1/PD1軸および/またはCTLA4を遮断する抗体である。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、エクスビボで増殖した腫瘍浸潤T細胞である。一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、T細胞を腫瘍関連表面抗原(TAA)と直接接続する二重特異性抗体構築物またはキメラ抗原受容体(CAR)である。
例示的な免疫チェックポイント阻害剤
【0217】
一部の実施形態では、腫瘍免疫療法剤は、本明細書に記載される免疫チェックポイント阻害剤である。
【0218】
用語「チェックポイント阻害剤」とは、本明細書において使用する場合、癌細胞が患者の免疫系を回避することを防ぐのに有用な薬剤に関する。抗腫瘍免疫が破壊される主なメカニズムの1つは、「T細胞疲弊」として知られている。これは、抑制性受容体のアップレギュレーションにつながる抗原への慢性的な曝露に起因する。これらの抑制性受容体は、制御されていない免疫反応を防ぐための免疫チェックポイントとして機能する。
【0219】
PD-1および細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)などの共抑制性受容体、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA;CD272)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン-3(Tim-3)、リンパ球活性化遺伝子-3(Lag-3;CD223)などは、しばしばチェックポイントレギュレーターと呼ばれる。それらは分子の「ゲートキーパー」として機能し、細胞外の情報によって細胞周期の進行および他の細胞内シグナル伝達プロセスを進めるかどうかを決定させる。
【0220】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1に対する抗体である。PD-1は、プログラム細胞死1受容体(PD-1)に結合して、受容体が阻害リガンドPDL-1に結合するのを妨げ、したがって宿主の抗腫瘍免疫応答を抑制する腫瘍の能力を無効にする。
【0221】
一態様では、チェックポイント阻害剤は、生物学的治療薬または小分子である。もう一つの態様では、チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質またはそれらの組合せである。さらなる態様では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDLl、PDL2、PDl、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーリガンドまたはそれらの組合せから選択されるチェックポイントタンパク質を抑制する。追加の態様では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDLl、PDL2、PDl、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーリガンドまたはそれらの組合せから選択されるチェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用する。一態様では、チェックポイント阻害剤は、免疫刺激剤、T細胞成長因子、インターロイキン、抗体、ワクチンまたはそれらの組合せである。さらなる態様では、インターロイキンは、IL-7またはIL-15である。特定の態様では、インターロイキンは、グリコシル化されたIL-7である。追加の態様では、ワクチンは、樹状細胞(DC)ワクチンである。
【0222】
チェックポイント阻害剤には、統計的に有意な方法で免疫系の阻害経路を遮断または阻害する任意の薬剤が含まれる。そのような阻害剤には、小分子阻害剤が含まれていてもよいし、あるいは、免疫チェックポイント受容体に結合してこれを遮断または抑制する抗体、またはその抗原結合フラグメント、あるいは免疫チェックポイント受容体リガンドに結合してこれを遮断または抑制する抗体が含まれていてもよい。遮断または抑制の標的となり得る例示的なチェックポイント分子としては、以下に限定されないが、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、LAG3、TIM3、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、すべてのNK、γδ、およびメモリーCD8(αβ)T細胞で発現する)、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN-15049、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aR、および様々なB-7ファミリーリガンドが挙げられる。B7ファミリーリガンドには、以下に限定されないが、B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6およびB7-H7が含まれる。チェックポイント阻害剤には、1またはそれを超えるCTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160およびCGEN-15049に結合して活性を遮断または抑制する抗体、またはその抗原結合フラグメント、他の結合タンパク質、生物学的治療薬、または小分子が含まれる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断剤)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)、およびイピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。チェックポイントタンパク質リガンドには、限定されないが、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD28、CD86およびTIM-3が含まれる。
【0223】
ある種の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、およびCTLA-4アンタゴニストから選択される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(登録商標))、イピリムマブ(ヤーボイ(登録商標))、およびペムブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))からなる群から選択される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(抗PD-1抗体、オプジーボ(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体、キイトルーダ(登録商標)、Merck);イピリムマブ(抗CTLA-4抗体、ヤーボイ(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);デュルバルマブ(抗PD-L1抗体、イミフィンジ(登録商標)、AstraZeneca);およびアテゾリズマブ(抗PD-L1抗体、テセントリク(登録商標)、Genentech)から選択される。
【0224】
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ランブロリズマブ(MK-3475)、ニボルマブ(BMS-936558)、ピディリズマブ(CT-011)、AMP-224、MDX-1105、MEDI4736、MPDL3280A、BMS-936559、イピリムマブ、リルルマブ、IPH2101、ペムブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))、およびトレメリムマブからなる群から選択される。
【0225】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、基底細胞癌(NCT03132636);NSCLC(NCT03088540);皮膚扁平上皮癌(NCT02760498);リンパ腫(NCT02651662);およびメラノーマ(NCT03002376)の患者で試験された抗PD-1抗体であるREGN2810(Regeneron);びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および多発性骨髄腫についての臨床試験においてPD-1に結合する抗体である、CT-011としても公知のピディリズマブ(CureTech);非小細胞肺癌、メルケル細胞癌、中皮腫、固形腫瘍、腎癌、卵巣癌、膀胱癌、頭頸部癌、および胃癌についての臨床試験における完全ヒトIgG1抗PD-L1抗体である、アベルマブ(バベンチオ(登録商標)、Pfizer/Merck KGaA)、MSB0010718Cとしても公知);または非小細胞肺癌、メラノーマ、トリプルネガティブ乳癌および進行性または転移性固形腫瘍についての臨床試験においてPD-1に結合する阻害抗体である、PDR001(Novartis)である。トレメリムマブ(CP-675,206;Astrazeneca)は、CTLA-4に対する完全ヒトモノクローナル抗体であり、中皮腫、結腸直腸癌、腎臓癌、乳癌、肺癌および非小細胞肺癌、膵管腺癌、膵臓癌、胚細胞癌、頭頸部の扁平上皮癌、肝細胞癌、前立腺癌、子宮内膜癌、肝臓の転移性癌、肝癌、大細胞型B細胞リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、転移性組織非形成性甲状腺癌、尿路上皮癌、卵管癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、軟部組織肉腫、およびメラノーマをはじめとする多くの適応症について臨床試験で研究されている。AGEN-1884(Agenus)は、進行性固形腫瘍の第1相臨床試験(NCT02694822)で研究されている抗CTLA4抗体である。
【0226】
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、T細胞免疫グロブリンムチン含有タンパク質-3(TIM-3)の阻害剤である。本発明で使用することができるTIM-3阻害剤には、TSR-022、LY3321367およびMBG453が含まれる。TSR-022(Tesaro)は、固形腫瘍で研究されている抗TIM-3抗体である(NCT02817633)。LY3321367(Eli Lilly)は、固形腫瘍で研究されている抗TIM-3抗体である(NCT03099109)。MBG453(Novartis)は、進行性悪性腫瘍で研究されている抗TIM-3抗体である(NCT02608268)。
【0227】
チェックポイント阻害剤は、特定のT細胞およびNK細胞上の免疫受容体である、IgドメインおよびITIMドメインをもつT細胞免疫受容体、すなわちTIGITの阻害剤である。本発明で使用することができるTIGIT阻害剤には、BMS-986207(Bristol-Myers Squibb)、抗TIGITモノクローナル抗体(NCT02913313);OMP-313M32(Oncomed);および抗TIGITモノクローナル抗体(NCT03119428)が含まれる。
【0228】
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)の阻害剤である。本発明で使用することができるLAG-3阻害剤には、BMS-986016およびREGN3767およびIMP321が含まれる。抗LAG-3抗体であるBMS-986016(Bristol-Myers Squibb)は、膠芽腫および神経膠肉腫で研究されている(NCT02658981)。REGN3767(Regeneron)も、抗LAG-3抗体であり、悪性腫瘍で研究されている(NCT03005782)。IMP321(Immutep S.A.)は、メラノーマ(NCT02676869);腺癌(NCT02614833);および転移性乳癌(NCT00349934)で研究されているLAG-3-Ig融合タンパク質である。
【0229】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、OX40アゴニストが含まれる。臨床試験で研究されているOX40アゴニストには、転移性腎臓癌(NCT03092856)および進行性癌および新生物(NCT02554812;NCT05082566)でのアゴニスト抗OX40抗体であるPF-04518600/PF-8600(Pfizer);第1相癌試験(NCT02528357)でのアゴニスト抗OX40抗体であるGSK3174998(Merck);進行性固形腫瘍(NCT02318394およびNCT02705482)でのアゴニスト抗OX40抗体であるMEDI0562(Medimmune/AstraZeneca);結腸直腸癌(NCT02559024)、乳癌(NCT01862900)、頭頸部癌(NCT02274155)および転移性前立腺癌(NCT01303705)の患者でのアゴニスト抗OX40抗体である、MEDI6469(Medimmune/AstraZeneca);および進行癌(NCT02737475)でのアゴニスト抗OX40抗体であるBMS-986178(Bristol-Myers Squibb)が含まれる。
【0230】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、CD137(4-1BBとも呼ばれる)アゴニストが含まれる。臨床試験で研究されているCD137アゴニストには、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(NCT02951156)および進行性癌および新生物(NCT02554812およびNCT05082566)でのアゴニスト抗CD137抗体であるウトミルマブ(PF-05082566、Pfizer);メラノーマおよび皮膚癌(NCT02652455)および神経膠芽腫および膠肉腫(NCT02658981)でのアゴニスト抗CD137抗体であるウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb)が含まれる。
【0231】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、CD27アゴニストが含まれる。臨床試験で研究されているCD27アゴニストには、頭頸部扁平上皮癌、卵巣癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、および神経膠芽腫(NCT02335918);リンパ腫(NCT01460134);および神経膠腫および星状細胞腫(NCT02924038)でのアゴニスト抗CD27抗体であるバルリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics)が含まれる。
【0232】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、グルココルチコイド誘発腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストが含まれる。臨床試験で研究されているGITRアゴニストには、悪性メラノーマおよび他の悪性固形腫瘍(NCT01239134およびNCT02628574)でのアゴニストの抗GITR抗体であるTRX518(Leap Therapeutics);固形腫瘍およびリンパ腫(NCT02740270)でのアゴニストの抗GITR抗体であるGWN323(Novartis);進行性癌(NCT02697591およびNCT03126110)でのアゴニストの抗GITR抗体であるINCAGN01876(Incyte/Agenus);固形腫瘍(NCT02132754)でのアゴニストの抗GITR抗体であるMK-4166(Merck)、および進行性固形腫瘍(NCT02583165)でのヒトIgG1 Fcドメインをもつアゴニストの六量体GITR-リガンド分子であるMEDI1873(Medimmune/AstraZeneca)が含まれる。
【0233】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、誘導性T細胞共刺激分子(CD278としても公知ICOS)アゴニストが含まれる。臨床試験で研究されているICOSアゴニストには、リンパ腫(NCT02520791)でのアゴニスト抗ICOS抗体であるMEDI-570(Medimmune);第1相試験(NCT02723955)でのアゴニスト抗ICOS抗体であるGSK3359609(Merck);第1相試験(NCT02904226)でのアゴニスト抗ICOS抗体であるJTX-2011(Jounce Therapeutics)が含まれる。
【0234】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、キラーIgG様受容体(KIR)阻害剤が含まれる。臨床試験で研究されているKIR阻害剤には、白血病(NCT01687387、NCT02399917、NCT02481297、NCT02599649)、多発性骨髄腫(NCT02252263)、およびリンパ腫(NCT01592370)での抗KIR抗体であるリリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb);骨髄腫(NCT01222286およびNCT01217203)でのIPH2101(1~7F9、Innate Pharma);および、リンパ腫(NCT02593045)での長い細胞質側末端(KIR3DL2)の3つのドメインに結合する抗KIR抗体であるIPH4102(Innate Pharma)が含まれる。
【0235】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、CD47とシグナル調節タンパク質α(SIRPa)の相互作用のCD47阻害剤が含まれる。臨床試験で研究されているCD47/SIRPa阻害剤には、第1相試験(NCT03013218)で、CD47に結合し、CD47/SIRPaに媒介されるシグナル伝達を妨げる(SIRPa)のアンタゴニスト性変異体である、ALX-148(Alexo Therapeutics);可溶性組換え融合タンパク質SIRPaのN末端のCD47結合ドメインをヒトIgG1のFcドメインと連結することにより作製され、ヒトCD47に結合して「食べてはいけない」というシグナルをマクロファージに送ることを阻止することによって作用する、第1相の臨床試験(NCT02890368およびNCT02663518)中である、TTI-621(SIRPa-Fc、Trillium Therapeutics);白血病(NCT02641002)での抗CD47抗体であるCC-90002(Celgene);および結腸直腸腫瘍および固形腫瘍(NCT02953782)、急性骨髄性白血病(NCT02678338)およびリンパ腫(NCT02953509)でのHu5F9-G4(Forty Seven、Inc.)が含まれる。
【0236】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、CD73阻害剤が含まれる。臨床試験で研究されているCD73阻害剤には、固形腫瘍(NCT02503774)での抗CD73抗体であるMEDI9447(Medimmune);および固形腫瘍(NCT02754141)での抗CD73抗体であるBMS-986179(Bristol-Myers Squibb)が含まれる。
【0237】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、インターフェロン遺伝子タンパク質の刺激因子(STING、膜貫通タンパク質173、またはTMEM173としても公知)のアゴニストが含まれる。臨床試験で研究されているSTINGのアゴニストには、リンパ腫(NCT03010176)でのアゴニスト合成環状ジヌクレオチドであるMK-1454(Merck);および第1相試験(NCT02675439およびNCT03172936)でのアゴニスト合成環状ジヌクレオチドであるADU-S100(MIW815、Aduro Biotech/Novartis)が含まれる。
【0238】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、CSF1R阻害剤が含まれる。臨床試験で研究されているCSF1R阻害剤には、結腸直腸癌、膵臓癌、転移性および進行性癌(NCT02777710)およびメラノーマ、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮癌、消化管間質腫瘍(GIST)および卵巣癌(NCT02452424)でのCSF1R小分子阻害剤であるペキシダルチニブ(PLX3397、Plexxikon);および膵臓癌(NCT03153410)、メラノーマ(NCT03101254)、および固形腫瘍(NCT02718911)での抗CSF-1R抗体であるIMC-CS4(LY3022855、Lilly);および進行性固形腫瘍(NCT02829723)でのCSF1Rの経口投与可能な阻害剤であるBLZ945(4-[2((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イルオキシル]-ピリジン-2-カルボン酸メチルアミド、Novartis)が含まれる。
【0239】
本発明で使用することができるチェックポイント阻害剤には、NKG2A受容体阻害剤が含まれる。臨床試験で研究されているNKG2A受容体阻害剤には、頭頸部新生物(NCT02643550)および慢性リンパ性白血病(NCT02557516)での抗NKG2A抗体であるモナリズマブ(IPH2201、Innate Pharma)が含まれる。
【0240】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、またはピディリズマブから選択される。
【実施例
【0241】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、それに対する制限であると解釈されるべきではない。特に記載がない限り、すべてのアミノ酸は、L-構成で使用された。
【表2】
【0242】
実施例1:BT5528およびBCY10188の合成
バイシクルペプチド1の調製
【化4】
ペプチドを固相合成によって合成した。Rink Amide MBHA樹脂を使用した。Rink Amide MBHA(0.4~0.45mmol/g)およびFmoc-Cys(Trt)-OH(3.0当量)を含有する混合物にDMFを添加し、次にDIC(3当量)およびHOAt(3当量)を添加し、1時間混合した。デブロッキングにはDMF中20%のピペリジンを使用した。その後の各アミノ酸を、活性化剤試薬であるDMF中のDIC(3.0当量)およびHOAT(3.0当量)を使用して3当量とカップリングさせた。反応を、ニンヒドリン呈色反応またはテトラクロル(tetrachlor)呈色反応によってモニターした。合成の完了後、ペプチド樹脂をDMF×3、MeOH×3で洗浄し、次にNバブリング下で一晩乾燥させた。次に、ペプチド樹脂を92.5%TFA/2.5%TIS/2.5%EDT/2.5%HOで3時間処理した。ペプチドを冷イソプロピルエーテルで沈殿させ、遠心分離した(3000rpmで3分間)。ペレットをイソプロピルエーテルで2回洗浄し、粗ペプチドを真空下で2時間乾燥させ、次に凍結乾燥した。凍結乾燥粉末をACN/HO(50:50)に溶解し、ACN中の100mM TATAの溶液を添加し、続いてHO中の重炭酸アンモニウム(1M)を添加し、溶液を1時間混合した。環化が完了すると、反応を1Mシステイン塩酸塩水溶液(TATAに対して10当量)でクエンチした後、混合して1時間放置した。溶液を凍結乾燥して粗生成物を得た。粗ペプチドを分取HPLCにより精製し、凍結乾燥して、アミノ酸配列:(β-Ala)-Sar10-(配列番号1)-CONHを有するバイシクルペプチド1を得た。
【0243】
8.0gの樹脂を使用して、2.1gのバイシクルペプチド1(純度99.2%;収率16.3%)を白色固体として生成した。
【表3】
【0244】
MMAE-PABC-Cit-Val-グルタラート-NHSの調製
【化5】
化合物2の調製
【化6】
ペプチドを固相合成によって合成した。50gのCTC樹脂(sub:1.0mmol/g)を使用した。CTC樹脂(50mmol、50g、1.0mmol/g)およびFmoc-Cit-OH(19.8g、50mmol、1.0当量)を含有する混合物に、DCM(400mL)を添加し、次にDIEA(6.00当量)を添加して、3時間混合した。次に、MeOH(50mL)を添加して、キャッピングのために30分間混合した。デブロッキングにはDMF中20%のピペリジンを使用した。Boc-Val-OH(32.5g、150mmol、3当量)を、DMF(400mL)中のHBTU(2.85当量)およびDIPEA(6.0当量)を使用して3当量とカップリングさせた。反応を、ニンヒドリン呈色反応試験によってモニターした。合成の完了後、ペプチド樹脂をDMF×3、MeOH×3で洗浄し、次にNバブリング下で一晩乾燥させた。その後、ペプチド樹脂を20%HFIP/DCMで30分間2回処理した。溶液をロータリーエバポレーターで除去して、粗製物を得た。粗ペプチドをACN/H2Oに溶解し、次に2回凍結乾燥してペプチド生成物(組成物17.3g)を得た。
【表4】
【0245】
化合物3の調製
【化7】
化合物2(4.00g、10.68mmol、1.00当量)のDCM(40.00mL)およびMeOH(20.00mL)中の溶液を室温で撹拌し、次に(4-アミノフェニル)メタノール(1.58g、12.82mmol、1.20当量)およびEEDQ(5.28g、21.37mmol、2.00当量)を添加し、混合物を暗所で9時間撹拌した。TLC(ジクロロメタン/メタノール=5/1、Rf=0.56)は、1つの新しいスポットが形成されたことを示した。反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);120g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、80mL/分で0~20%MeOH/DCMの溶離液)により精製した。化合物3(3.00g、6.26mmol、収率58.57%)を白色固体として得た。
【表5】
【0246】
化合物4の調製
【化8】
化合物3(3.00g、6.26mmol、1.00当量)の無水THF(35.00mL)および無水DCM(15.00mL)中の溶液に、(4-ニトロフェニル)クロロホルメート(6.31g、31.30mmol、5.00当量)およびピリジン(2.48g、31.30mmol、2.53mL、5.00当量)を添加し、混合物を25℃で5時間撹拌した。TLC(ジクロロメタン/メタノール=10/1、Rf=0.55)は、新しいスポットが形成されたことを示した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して残渣を得た。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);120g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、80mL/分で0~10%DCM/MeOHの溶離液)により精製した。化合物4(2.00g、3.10mmol、収率49.56%)を白色固体として得た。
【表6】
【0247】
化合物5の調製
【化9】
化合物4(278.43mg、387.80μmol、1.00当量)およびDIEA(501.19mg、3.88mmol、677.29μL、10.00当量)のDMF(5.00mL)中の混合物を、窒素下で10分間撹拌した。MMAE(250.00mg、387.80μmol、1.00当量)およびHOBt(52.40mg、387.80μmol、1.00当量)を添加し、混合物を窒素下で0℃で20分間撹拌し、30℃でさらに18時間撹拌した。LC-MSは、目的の質量をもつ1つの主なピークが検出されたことを示した。得られた混合物を、フラッシュC18ゲルクロマトグラフィーにより精製して(ISCO(登録商標);130g SepaFlash(登録商標)C18フラッシュカラム、75mL/分で0~50%MeCN/HOの溶離液)を得た。化合物5(190.00mg、155.29μmol、収率40.04%)を白色固体として得た。
【表7】
【0248】
化合物6の調製
【化10】
DCM(2.70mL)中の化合物5(170.00mg、138.94μmol、1.00当量)の溶液に、2,2,2-トリフルオロ酢酸(413.32mg、3.62mmol、268.39μL、26.09当量)を添加し、混合物を25℃で1時間撹拌した。LC-MSは、化合物5が完全に消費されたことを示した。混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去して残渣を得た。残渣をTHF(10.00mL)に溶解し、KCO(192.03mg、1.39mmol、10.00当量)を添加し、混合物を室温でさらに3時間撹拌した。LC-MSは、目的の質量をもつ1つの主なピークが検出されたことを示した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、残渣を得た。得られた残渣をフラッシュC18ゲルクロマトグラフィーにより精製して(ISCO(登録商標);130g SepaFlash(登録商標)C18フラッシュカラム、75mL/分で0~50%MeCN/HOの溶離液)を得た。化合物6(110.00mg、97.92μmol、収率70.48%)を白色固体として得た。
【表8】
【0249】
化合物7の調製
【化11】
DMA(5mL)中の化合物6(110.00mg、97.92μmol、1.00当量)の溶液に、DIEA(25.31mg、195.83μmol、34.20μL、2.00当量)およびテトラヒドロピラン-2,6-ジオン(22.34mg、195.83μmol、2.00当量)。混合物を室温で18時間撹拌した。LC-MSは、化合物6が完全に消費され、目的の質量をもつ1つの主なピークが検出されたことを示した。反応混合物を、フラッシュC18ゲルクロマトグラフィーにより精製した(ISCO(登録商標);130g SepaFlash(登録商標)C18フラッシュカラム、75mL/分で0~50%MeCN/HOの溶離液)。化合物7(100.00mg、80.81μmol、収率82.53%)を白色固体として得た。
【表9】
【0250】
化合物8(MMAE-PABC-Cit-Val-グルタラート-NHS)の調製
【化12】
DMA(4.5mL)およびDCM(1.5mL)中の化合物7(100.00mg、80.81μmol、1.00当量)の溶液に、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(27.90mg、242.42μmol、3.00当量)をN下で添加し、混合物を0℃で30分間撹拌した。EDCI(46.47mg、242.43μmol、3.00当量)を混合物に添加し、混合物を25℃でさらに16時間撹拌した。LC-MSは、化合物7が完全に消費され、目的の質量をもつ1つの主なピークが検出されたことを示した。反応混合物を、フラッシュC18ゲルクロマトグラフィーにより精製した(ISCO(登録商標);130g SepaFlash(登録商標)C18フラッシュカラム、75mL/分で0~50%MeCN/HOの溶離液)。化合物8(90.00mg、60.69μmol、収率75.11%)を白色固体として得た。
【表10】
【0251】
BT5528の調製
DMA中のバイシクルペプチド1(1.0~1.3当量)の溶液に、DIEA(3当量)および化合物8(1当量)を添加した。混合物を25℃で18時間撹拌した。反応はLC-MSでモニターし、終了すると、分取HPLCで直接精製した。
【化13】
【0252】
バイシクルペプチド1(71.5mg、22.48μmol)をバイシクル試薬として使用した。BT5528(40.9mg、9.05μmol、収率40.27%、純度97.42%)を白色固体として得た。
【表11】
【0253】
BCY10188も同様に、バイシクルペプチド1を対応するMMAF中間体MMAF-PABC-Cit-Val-グルタラート-NHSとカップリングさせることにより合成することができる。
【0254】
実施例2:BALB/cヌードマウスのPC-3異種移植片の処置におけるBT5528およびBCY10188のインビボ有効性試験
1.試験目的
この研究の目的は、BALB/cヌードマウスのPC-3異種移植モデルの処置におけるBT5528およびBCY10188のインビボ抗腫瘍効果を評価することであった。
2.実験デザイン
【表12】
3.材料
3.1.動物および飼育条件
3.1.1.動物
種:ハツカネズミ
系統:BALB/cヌード
年齢:6~8週
性別:雌
体重:18~22g
動物の数:マウス60匹+予備
【0255】
3.1.2.飼育条件
マウスは、恒温恒湿の個別換気ケージで飼育し、各ケージには5匹の動物を入れた。
● 温度:20~26℃。
● 湿度40~70%。
【0256】
ケージ:ポリカーボネート製。サイズは300mm×180mm×150mm。寝床の材料はトウモロコシの穂軸であり、週に2回交換される。
【0257】
食餌:試験期間全体を通して、動物に照射滅菌された乾燥顆粒食品を自由に摂取させた。
【0258】
水:動物に無菌の飲料水を自由に摂取させた。
【0259】
ケージの識別:各ケージの識別ラベルには以下の情報を含めた:動物の数、性別、系統、入手した日付、処置、試験番号、群番号および処置の開始日。
【0260】
動物の識別:動物にイヤーコーディングでマークを付けた。
3.2.試験物質および陽性対照物質
製品の識別:BT5528
物理的性質:凍結乾燥粉末
分子量:4402.17
純度:98.5%
包装および保存条件:-80℃で保存
製品の識別:BCY10188
物理的性質:凍結乾燥粉末
分子量:4416.15
純度:98.39%
包装および保存条件:-80℃で保存
【0261】
4.実験方法および手順
4.1 細胞培養
指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。
【0262】
4.2.腫瘍接種
各マウスの右側腹部に、腫瘍を発生させるために0.2mlのPBS中のPC-3腫瘍細胞(10×10^6)を皮下接種した。平均腫瘍体積が464mmに達すると、60匹の動物を無作為化した。各群の試験物質の投与および動物数を実験デザイン表に示した。
4.3.試験物質製剤の調製
【表13】
【0263】
4.4.知見
試験における動物の取り扱い、世話および処置に関連するすべての手順は、ガイドラインに従って実施した。日常的なモニタリングの時点で、動物を、例えば可動性、食物および水の消費量(目視のみによる)、体重増加/減少、眼/毛髪の艶の消失などの正常な行動への腫瘍の増殖および処置の影響、ならびにプロトコールに記載されている他の異常な影響について調べた。死亡および観察された臨床徴候は、各サブセット内の動物の数に基づいて記録した。
4.5.静脈内注入およびアルゼットポンプの持続放出
4.5.1 静脈内注入
1)0.1mg/mLの溶液(50mM酢酸塩10%スクロース、pH5緩衝液を含む)を手術前に調製した。
2)投与溶液を充填したシリンジをシリンジポンプ機に固定し、次に、シリンジと接続したパイプに針を固定した。
3)注入量(10ml/kg、体重に基づいて計算)、注入時間(この試験では1時間)、および注入速度をポンプに設定した後、クイックランニングを実行してシステム全体の動作状態を確認した。
4)マウスを居心地よく固定した後、オペレーターが注射針を尾静脈に注射し、マウスの尾と針を堅く安定して固定した(1時間未満の麻酔は必要ない)
5)その後、注入を開始し、オペレーターが投与条件を最後までモニターし続けた。
4.5.2 アルゼットポンプの準備および埋め込み
1)0.130mg/mLの溶液(50mM酢酸塩10%スクロース、pH5緩衝液を含む)を手術前に調製した。
2)ポンプを投与溶液で完全に満たした(約200μl、アルゼットポンプ2001Dのハンドブックを参照)。
3)群12の動物を80mg/kgのペントバルビタールナトリウムで麻酔し、ポンプをマウスの左側の皮膚の下に埋め込んだ。
4)26時間後、動物をペントバルビタールナトリウムで麻酔し、ポンプを取り出した。(最初の1~3時間は注入速度が安定しないため、すべての溶液が確実に排出されるように、24時間ではなく26時間でポンプを取り出した)。
【0264】
4.6.腫瘍の測定およびエンドポイント
主要なエンドポイントは、腫瘍の増殖を遅らせることができ得るか、またはマウスを治癒させることができ得るかどうかを調べることであった。腫瘍体積を週に3回、ノギスを使用して2次元で測定し、式:V=0.5a×b(aとbはそれぞれ腫瘍の長径と短径である)を使用して体積をmmで表した。次に、腫瘍サイズをT/C値の計算に使用した。T/C値(単位:パーセント)は、抗腫瘍効果の指標である。TおよびCは、それぞれ、特定の日の処置群と対照群の平均体積である。
【0265】
次式を用いて各群のTGIを計算した。TGI(%)=[1-(T-T)/(V-V)]×100。Tは、特定の日の処置群の平均腫瘍体積であり、Tは、処置開始日の処置群の平均腫瘍体積であり、Vは、Tと同じ日のビヒクル対照群の平均腫瘍体積であり、Vは、処置開始日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。
【0266】
4.7.統計解析
平均値および平均値の標準誤差(SEM)を含む要約統計量は、各時点での各群の腫瘍体積に対して与えられる。
【0267】
群間の腫瘍体積の差の統計解析を、最終投与後の最良の治療時点で得られたデータで実施した。
【0268】
一元配置分散分析を実施して群間の腫瘍体積を比較し、有意なF統計(処置分散と誤差分散の比)を得ると、Games-Howell検定で群間比較を実行した。すべてのデータは、GraphPad Prism5.0を使用して分析した。P<0.05を統計的に有意とした。
【0269】
5.結果
5.1.体重変化および腫瘍増殖曲線
体重および腫瘍増殖を図1に示す。
【0270】
5.2.腫瘍体積トレース
PC-3異種移植片を有する雌BALB/cヌードマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を表2-1に示す。
【表2-1-1】
【表2-1-2】
【表2-1-3】
【0271】
5.3.腫瘍増殖抑制分析
PC-3異種移植モデルにおけるBT5528およびBCY10188の腫瘍増殖抑制率を、処置開始後17日目の腫瘍体積測定に基づいて計算した。
【表2-2-1】
【表2-2-2】
【0272】
6.結果の要約および考察
この試験では、PC-3異種移植モデルにおけるBT5528およびBCY10188の治療効果を評価した。さまざまな時点のすべての処置群で測定された腫瘍体積を図1と表2-1および2-2に示す。
【0273】
ビヒクル処置マウスの平均腫瘍サイズは、17日目に2019mmに達した。BT5528の3mg/kg qw4週(TV=205mm、TGI=116.7%、p<0.001)、1mg/kg qw4週(TV=282mm、TGI=111.0%、p<0.001)および0.33mg/kg qw4週(TV=482mm、TGI=98.8%、p<0.001)は、有意な抗腫瘍活性を生じた。BT5528の0.11mg/kg qw4週(TV=1780mm、TGI=15.3%、p>0.05)は明白な抗腫瘍活性を示さなかった。
【0274】
BCY10188の3mg/kg qw4週(TV=883mm、TGI=73.0%、p<0.001)、1mg/kg qw4週(TV=772mm、TGI=80.1%、p<0.001)および0.33mg/kg qw4週(TV=1235mm、TGI=50.4%、p<0.01)は、有意な抗腫瘍活性を生じた。BCY10188の0.11mg/kg qw4週(TV=2044mm、TGI=-1.6%、p>0.05)は抗腫瘍活性を示さなかった。
【0275】
BT5528の1mg/kgを、静脈内ボーラス(TV=214mm、TGI=116.0%、p<0.001)、静脈内注入(TV=209mm、TGI=116.4%、p<0.001)または皮下アルゼットポンプ(TV=223mm、TGI=115.5%、p<0.001)によって投与すると、同等の抗腫瘍活性を示した。これらの群の腫瘍は、処置を中止してから2週間後に明らかな再発を示した。
【0276】
この試験では、PC-3腫瘍増殖に誘発された悪液質に関連する体重減少を逆転させるために、動物に栄養サポート(ヒマワリの種)を供給した。
【0277】
実施例3:Balb/cヌードマウスのPC-3異種移植片の処置における試験物質のインビボ有効性試験
1.試験目的
この研究の目的は、Balb/cヌードマウスのPC-3異種移植片の処置における試験物質のインビボ抗腫瘍効果を評価することである。
2.実験デザイン
【表14】
3.材料
3.1.動物および飼育条件
3.1.1.動物
種:ハツカネズミ
系統:Balb/cヌード
年齢:6~8週
性別:雄
体重:18~22g
動物の数:マウス52匹+予備
3.1.2.飼育条件
【0278】
マウスは、恒温恒湿の個別換気ケージで飼育し、各ケージには4匹の動物を入れた。
● 温度:20~26℃。
● 湿度40~70%。
【0279】
ケージ:ポリカーボネート製。サイズは300mm×180mm×150mm。寝床の材料はトウモロコシの穂軸であり、週に2回交換される。
【0280】
食餌:試験期間全体を通して、動物に照射滅菌された乾燥顆粒食品を自由に摂取させた。
【0281】
水:動物に無菌の飲料水を自由に摂取させた。
【0282】
ケージの識別:各ケージの識別ラベルには以下の情報を含めた:動物の数、性別、系統、入手した日付、処置、試験番号、群番号および処置の開始日。
【0283】
動物の識別:動物にイヤーコーディングでマークを付けた。
3.2.試験物質および陽性対照物質
製品の識別:BT5528
物理的性質:凍結乾燥粉末
分子量:4402.17
純度:98.6%
製品の識別:非結合BTC(陰性対照として)
物理的性質:凍結乾燥粉末
分子量:4173.85
純度:97.7%
4.実験方法および手順
4.1.細胞培養
【0284】
腫瘍細胞は、空気中5%CO2の雰囲気中、37℃で10%熱不活化ウシ胎児血清を補充したF-12K培地で維持した。腫瘍細胞は日常的に週に2回継代培養した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。
4.2.腫瘍接種
【0285】
各マウスの右側腹部に、腫瘍を発生させるために0.2mlのPBS中のPC-3腫瘍細胞(10×10)を皮下接種した。平均腫瘍体積が454mmに達すると、52匹の動物を無作為化した。各群の試験物質の投与および動物数を実験デザイン表に示した。
4.3.試験物質製剤の調製
【表15】
【0286】
4.4.知見
試験における動物の取り扱い、世話および処置に関連するすべての手順は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)のガイダンスに従ったガイドラインに従って実施した。日常的なモニタリングの時点で、動物を、例えば可動性、食物および水の消費量(目視のみによる)、体重増加/減少、眼/毛髪の艶の消失などの正常な行動への腫瘍の増殖および処置の影響、ならびにプロトコールに記載されている他の異常な影響について毎日調べた。死亡および観察された臨床徴候は、各サブセット内の動物の数に基づいて記録した。
4.5.腫瘍の測定およびエンドポイント
【0287】
主要なエンドポイントは、腫瘍の増殖を遅らせることができ得るか、またはマウスを治癒させることができ得るかどうかを調べることであった。腫瘍体積を週に3回、ノギスを使用して2次元で測定し、式:V=0.5a×b(aとbはそれぞれ腫瘍の長径と短径である)を使用して体積をmmで表した。次に、腫瘍サイズをT/C値の計算に使用した。T/C値(単位:パーセント)は、抗腫瘍効果の指標である。TおよびCは、それぞれ、特定の日の処置群と対照群の平均体積である。
【0288】
次式を用いて各群のTGIを計算した。TGI(%)=[1-(T-T)/(V-V)]×100。Tは、特定の日の処置群の平均腫瘍体積であり、Tは、処置開始日の処置群の平均腫瘍体積であり、Vは、Tと同じ日のビヒクル対照群の平均腫瘍体積であり、Vは、処置開始日のビヒクル群の平均腫瘍体積である。
【0289】
4.6.統計解析
平均値および平均値の標準誤差(SEM)を含む要約統計量を、各時点での各群の腫瘍体積に対して与えた。
【0290】
群間の腫瘍体積の差の統計解析を、最終投与後の最良の治療時点で得られたデータで実施した。
【0291】
一元配置分散分析を実施して群間の腫瘍体積を比較し、有意なF統計(処置分散と誤差分散の比)を得ると、Games-Howell検定で群間比較を実行した。すべてのデータは、GraphPad 5.0を使用して分析した。P<0.05を統計的に有意とした。
【0292】
5.結果
5.1.体重変化および腫瘍増殖曲線
体重および腫瘍増殖曲線を図2および3に示す。
【0293】
5.2.腫瘍体積トレース
PC-3異種移植片を有する雄Balb/cヌードマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を表3-1に示す。
【表3-1-1】
【表3-1-2】
【0294】
5.3.腫瘍増殖抑制分析
PC-3異種移植モデルにおける試験物質の腫瘍増殖抑制率を、処置開始後20日目の腫瘍体積測定に基づいて計算した。
【表3-2-1】
【表3-2-2】
【0295】
6.結果の要約および考察
この試験では、PC-3異種移植モデルにおける試験物質の治療効果を評価した。さまざまな時点のすべての処置群で測定された体重と腫瘍体積を図2および3と表3-1および3-2に示す。
【0296】
ビヒクル処置マウスの平均腫瘍サイズは、20日目に2364mmに達した。BT5528の0.167mg/kg、qw(TV=1188mm、TGI=61.4%、p<0.001)、0.5mg/kg、q2w(TV=530mm、TGI=96.0%、p<0.001)、0.5mg/kg、qw(TV=234mm、TGI=111.4%、p<0.001)および1.5mg/kg、qw(TV=131mm、TGI=117.2%、p<0.001)は、20日目に用量または用量頻度に依存して有意な抗腫瘍活性を生じた。BT5528 1.5mg/kg、q2w(TV=128mm、TGI=117.0%、p<0.001)は、BT5528 1.5mg/kg qwと同等の抗腫瘍活性を生じた。これらの中で、BT5528、0.5mg/kg qwまたはBT5528、0.5mg/kg q2wで処置したマウスは、処置を中止した後に明らかな腫瘍の再発を示したが、52日目からBT5528、1.5mg/kg qwでさらに処置すると腫瘍の退縮に効果を示した。BT5528、1.5mg/kg q2wで処置したマウスも、処置を中止した後に腫瘍の再発を示したが、さらなる投与も完全な腫瘍の退縮に効果を示さなかった。BT5528、1.5 mpk qwで処置したマウスは、48日目まで腫瘍の再発を示さなかった。
【0297】
非結合BTCの0.5mg/kg、qw(TV=1013mm、TGI=70.7%、p<0.001)および1.5mg/kg、qw(TV=171mm、TGI=115.0%、p<0.001)は、20日目に用量に依存して有意な抗腫瘍活性を生じた。非結合BTCの0.167mg/kg、qw(TV=2038mm、TGI=16.9%、p>0.05)は抗腫瘍活性を示さなかった。処置を中止した後、非結合BTC、1.5mg/kg qwで処置したマウスは、38日目から明らかな腫瘍の再発を示した。
【0298】
EphA2-ADCの0.33mg/kg、qw(TV=1637mm、TGI=38.1%、p<0.001)、1mg/kg、qw(TV=981mm、TGI=72.2%、p<0.001)および3mg/kg、qw(TV=184mm、TGI=114.0%、p<0.001)は、20日目に用量に依存して有意な抗腫瘍活性を生じた。EphA2-ADC、3mg/kg qwで処置したマウスは、59日目まで腫瘍の再発を示さなかった。
【0299】
ドセタキセルの15mg/kg、qw(TV=419mm、TGI=101.8%、p<0.001)は、有意な抗腫瘍活性を生じたが、動物の体重が大幅に減少した。処置を中止した後、マウスは明らかな腫瘍の再発を示した。42日目からのBT5528、1.5mg/kg qwによる処置は、これらのマウスの腫瘍の退縮に効果を示した。
【0300】
実施例4.Balb/cヌードマウスのPC-3 CDXモデルの処置における試験薬のインビボPK/PD試験
1.試験目的
この研究の目的は、Balb/cヌードマウスのPC-3 CDXモデルの処置における試験薬のインビボPK/PDを評価することである。
2.実験デザイン
【表16】
3.材料
3.1.動物および飼育条件
3.1.1.動物
種:ハツカネズミ
系統:Balb/cヌード
年齢:6~8週
性別:雄
体重:19~22g
動物の数:153匹+予備
【0301】
3.1.2.飼育条件
マウスは、恒温恒湿の個別換気ケージで飼育し、各ケージには3匹の動物を入れた。
● 温度:20~26℃。
● 湿度40~70%。
【0302】
ケージ:ポリカーボネート製。サイズは300mm×180mm×150mm。寝床の材料はトウモロコシの穂軸であり、週に2回交換される。
【0303】
食餌:試験期間全体を通して、動物に照射滅菌された乾燥顆粒食品を自由に摂取させた。
【0304】
水:動物に無菌の飲料水を自由に摂取させた。
【0305】
ケージの識別:各ケージの識別ラベルには以下の情報を含めた:動物の数、性別、系統、入手した日付、処置、試験番号、群番号および処置の開始日。
【0306】
動物の識別:動物にイヤーコーディングでマークを付けた。
3.2.試験物質
製品の識別:BT5528
物理的性質:凍結乾燥粉末
分子量:4402.17、純度=98.60%
包装および保存条件:-80℃で保存
製品の識別:非結合BTC(陰性対照として)
物理的性質:凍結乾燥粉末
分子量:4173.85、純度=96.10%
包装および保存条件:-80℃で保存
製品の識別:EphA2-ADC
物理的性質:4.24mg/mL溶液
包装および保存条件:-80℃で保存
【0307】
4.実験方法および手順
4.1.細胞培養
PC-3腫瘍細胞は、空気中5%COの雰囲気中、37℃で10%熱不活化ウシ胎児血清を補充した培地でインビトロで維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処置によって日常的に週に2回継代培養した。指数増殖期に増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。
【0308】
4.2.腫瘍接種
各マウスの右側腹部に、腫瘍を発生させるために0.2mLのPBS中のPC-3腫瘍細胞(10×10)を皮下接種した。PK/PD試験のために、平均腫瘍体積が約440mmに達すると、動物を無作為化して投与した。各群の試験物質の投与および時点を実験デザイン表に示した。
4.3.試験物質製剤の調製
【表17】
【0309】
4.4.知見
試験における動物の取り扱い、世話および処置に関連するすべての手順は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)のガイダンスに従ったガイドラインに従って実施した。日常的なモニタリングの時点で、動物を、例えば可動性、食物および水の消費量(目視のみによる)、体重増加/減少(体重は毎日測定した)、眼/毛髪の艶の消失などの正常な行動への腫瘍の増殖および処置の影響、ならびにプロトコールに記載されている他の異常な影響について毎日調べた。死亡および観察された臨床徴候は、各サブセット内の動物の数に基づいて記録した。
【0310】
4.5.試料の収集
マウスは、腫瘍体積に基づいて無作為にグループ化され、実験デザイン通りに投与された。血漿、血清、筋肉および腫瘍を、投与後1時間、2時間、8時間、24時間、48時間、72時間および96時間に収集した。
【0311】
1つのマウスコホートの3つの腫瘍が1つのFFPEブロックに埋め込まれた。
5.アッセイ方法
5.1.CC3用のVentana Discoveryプロトコール:
5μmのFFPE組織切片をVentana XTに搭載する;
脱パラフィンを選択する;
EDTAベースのCC1 Standard熱抗原賦活化(retravel)を選択する;
オプション1(タンパク質ブロッカー、Invitrogenカタログ番号1890588)を選択し、32分間インキュベートする;
CC3抗体(CST カタログ番号9661)1:200希釈液を適用し、37℃で60分間インキュベートする。
1滴の[OMap 抗Rb HRP](Multimer HRP、カタログ番号760-4311)を塗布し、16分間インキュベートする;
ChromMap DAB(カタログ番号760-159)を、多量体HRPインキュベーション後に適用する。
ヘマトキシリンで8分間対比染色する;
BLUING試薬を1滴塗布し、4分間インキュベートする;
希釈した洗剤ですすいでLCSを除去し、水道水で数回洗浄する;
上昇系列のアルコールで脱水し、キシレンで3回透徹する;
取り付け、カバーガラスで覆う
5.2.pHH3用のVentana Discoveryプロトコール:
5μmのFFPE組織切片をVentana XTに搭載する;
脱パラフィンを選択する;
EDTAベースのCC1 Standard熱抗原賦活化(retravel)を選択する;
オプション1(タンパク質ブロッカー、Invitrogenカタログ番号1890588)を選択し、32分間インキュベートする;
HH3抗体(CSTカタログ番号9701)1:200希釈液を適用し、37℃で60分間インキュベートする。
1滴の[OMap 抗Rb HRP](Multimer HRP、カタログ番号760-4311)を塗布し、16分間インキュベートする;
ChromMap DAB(カタログ番号760-159)を、多量体HRPインキュベーション後に適用する。
ヘマトキシリンで8分間対比染色する;
BLUING試薬を1滴塗布し、4分間インキュベートする;
希釈した洗剤ですすいでLCSを除去し、水道水で数回洗浄する;
上昇系列のアルコールで脱水し、キシレンで3回透徹する;
取り付け、カバーガラスで覆う
5.3.血漿、腫瘍および筋肉におけるMMAEのLC-MS定量
用語の略語および定義の一覧
【表18】
基準材料
試験化合物および内部標準
【表19】
【0312】
プロテアーゼ阻害剤溶液
2つのプロテアーゼ阻害剤製品を使用した:Complete(商標)mini EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテルタブレットおよびAEBSF(200mM、100mgを水(2086μL)に溶解することにより調製)。AEBSF溶液は、使用しない場合は-20℃で保存した。血漿の希釈のために、12個のComplete(商標)錠剤を50/50メタノール/水(12mL)に溶解し、200mM AEBSF(12μL)を添加することにより、溶液(阻害剤溶液A)を調製した。組織の希釈および均質化のために、70個のComplete(商標)錠剤を50/50メタノール/水(700mL)に溶解し、200mM AEBSF(700μL)を添加することにより、溶液(阻害剤溶液B)を調製した。両方の溶液は4℃で保存し、使用時には氷上で保持した。
コントロールマトリックスとブランクマトリックスの調製
【0313】
コントロールマウスマトリックス(腫瘍および筋肉)は、中国の上海にあるWuxi社から試験試料と一緒に受け取った(試験YEA/007)。追加の血漿は、英国のCharles River社から供給された。すべてのコントロールマトリックスは、-80℃で保存した。
【0314】
コントロールマトリックスを冷却阻害剤溶液で希釈して、ブランクマトリックスを作成した。血漿を阻害剤溶液Aで1:1(v/v)に希釈し、腫瘍および筋肉を阻害剤溶液Bで1:9(w/v)に希釈した。
【0315】
血漿を除くすべてのマトリックスを、ドライアイスまたは液体窒素を満たしたcryolysを使用して、PrecellysEvolution組織ホモジナイザーでホモジナイズした。金属MK28ビーズ(n=4)を、2mL強化チューブ内の希釈組織に添加し、混合物を8500rpmで20秒間ホモジナイズした後、温度を維持するために休止期間を設けた。このプロセスを4サイクルにわたって繰り返した。得られたコントロールマトリックスは、標準、QC、およびブランクの調製、およびサンプルの希釈に使用した。
ストック溶液
【0316】
MMAEおよびD8-MMAEのストック溶液は、それぞれ、DMSO中で(純度に応じて)1mMおよび1.5mMに作成した。
【0317】
内部標準希釈溶液
内部標準希釈溶液は、血漿および組織の分析用に、50/50メタノール/水でそれぞれ100および10pmol/mLに調製した。
【0318】
定量的アッセイ方法
試験試料の調製
ブランクマトリックスの調製について説明したように、試験試料を希釈した。血漿試料は氷上で解凍し、冷却した阻害剤溶液で希釈するための正確な量を採取した。準備した重量を使用して、冷却した阻害剤溶液を組織試料に添加した。ブランクマトリックスの調製に使用したものと同じ方法に従って組織試料をホモジナイズした。
【0319】
標準物質および品質管理
標準物質およびQCを準備するために、MMAE原液をブランクマトリックスに直接希釈した。各マトリックスについて、QCは低(S2)、中(S7)、および高(S8)レベルで準備した。希釈QCは、WS1を関連するブランクマトリックスで10倍に希釈することによって調製した。
血漿試料分析用の標準物質およびQCの準備
【表20】
組織試料分析用の標準物質およびQCの準備
【表21】
【0320】
試料の抽出
試料、標準品、QCおよびブランクを氷上の96ウェルプレートに移した(10μLの希釈血漿、30μLの組織ホモジネート)。希釈QCは、5μLのWS1を45μLのブランクマトリックスに希釈することによって調製した。試料分析中には、6つの試料を選択して再び希釈を行い(純粋な試料と比較することでマトリックスの効果を確認するため)、同じ方法で調製した。混合した後、試料をプレートに移した(10μLの希釈血漿、30μLの組織ホモジネート)。内部標準希釈溶液を、ダブルブランクを除くすべての試料に添加した(10μL)。冷メタノールをすべてのウェルに加え(血漿には300μL、他のすべてのマトリックスには200μL)、プレートをプレートシェーカーで混合した後、遠心分離した(1780g、4℃で10分間)。すべての標準物質、QC、試料、およびブランクを、50/50メタノール/水を含有する新しい96ウェルプレートに希釈した。血漿分析には、100μLを400μLで希釈し;組織分析には、100μLを100μLで希釈した。プレートを短時間混合し、LC-MS/MSに注入できるように密封した。
【0321】
LC-MS/MS条件
API5000質量分析計(Sciex)、1290ポンプ(Agilent)、およびHTS Palオートサンプラー(CTC analytics)で構成されるLC-MS/MSシステムに試料を注入した。
MRMパラメータ
【表22】
MS条件
【表23】
LCパラメータ
【表24】
LC勾配:
【表25】
【0322】
6.結果
6.1.BT5528によるMMAEの腫瘍への送達
BT5528の単一用量後の腫瘍MMAE、血漿MMAE、および血漿BT5528の濃度を図4(A)に示す。BT5528の単一用量は、腫瘍内で高いMMAE濃度を生成し、2時間から48時間以上安定しており、血漿中のBT5528とMMAEの両方の一時的な曝露をもたらすことが示されている。
6.2.BT5528による腫瘍における有糸分裂停止の誘導
【0323】
BT5528の単一用量後の腫瘍pHH3を図4(B)に示す。BT5528の単一用量は、腫瘍において有糸分裂停止を誘導することも示されている。これは、24時間以内のpHH3 IHCで測定可能である。
実施例5.PDXモデルの膵管腺癌(PDAC)の処置における試験物質のインビボ有効性試験
【0324】
BT5528およびビヒクルを上記実施例に記載されるように調製し、PDXモデルの膵管腺癌(PDAC)の処置で試験した。PDXモデルは、固形腫瘍患者の異種コホートにおける腫瘍治療に対する患者の応答を効果的に捉え、PDXと患者の応答の間には80~100%の相関関係がある(Izumchenkoら、2017)。
【0325】
膵管腺癌患者由来の異種移植腫瘍(PDAC PDX;Panc033およびPanc163)をソース腫瘍からNSGマウスの脇腹に皮下移植した。腫瘍を有する動物を、ビヒクルまたは3mg/kgのBT5528の週1回の静脈内投与を受けるように無作為化した。腫瘍サイズはノギスで測定することによってモニターした。BT5528処置は、4週間の処置期間にわたって、腫瘍増殖速度の低下から腫瘍体積の減少まで、有意な抗腫瘍活性を示した。処置後の腫瘍体積のトレースを図5に示す。
【0326】
実施例6.雄ヌードマウスの心臓内に移植された確立されたPC-3M-Luc-C6ヒト前立腺癌に対するBT5528の有効性評価
この試験の目的は、雄ヌードマウスの心臓内に移植された確立されたPC-3M-luc-C6ヒト前立腺癌に対するバイシクルトキシンコンジュゲートBT5528の有効性および全体的な影響を評価することであり、処置計画は、異なる病期(14日目および21日目)に開始した。応答は、生物発光イメージング(BLI)を使用して、従来の生存エンドポイントと組み合わせて、14、21、28、35、および42日目にモニターされた。
【0327】
すべての処置は、耐容性が良好であり、疾患の進行に関連して体重が減少したが、治療に関連した死亡はなかった。群3のマウスは、群1および2よりも1週間遅れて処置が開始され(試験デザインによる)、そのことが寿命の測定に影響を及ぼした。
【0328】
14日目に開始したBT5528による処置により、寿命増加(ILS)が177.3%となり、腫瘍増殖が35.1日以上遅延し、26日目のT/Cが1%となり、部分退縮の発生率が60%となった。群2のマウス2は、78日目の試験終了時に顕著な剖検所見がなかった。
【0329】
21日目に開始したBT5528による処置は、寿命増加(ILS)が145.5%、腫瘍増殖の遅延が35.1日以上、26日目のT/Cが3.4%となり、ほぼ同じレベルの活性をもたらした。しかし、1週間後に処置を開始すると、部分的退縮の発生率が40%減少した。
【0330】
1.材料
1.1.試験薬およびビヒクル
ビヒクル:50mM酢酸塩、10%スクロース:
● 保存:-80℃
● 製剤pH:5
● 投与量:0.01mL/g
【0331】
BT5528:
● 製剤pH:5.4
● 高用量製剤:0.15mg/mL
● ビヒクル:50mM酢酸塩、10%スクロース
● 保存:4℃
● 投与量:0.01mL/g
【0332】
1.2.動物
この実験で実行されたすべての手順は、米国国立衛生研究所(NIH)の適用法、規制、およびガイドラインを遵守して実行された。
● 種:マウス
● 系統:Envigoヌードマウス(Hsd:無胸腺ヌード-Foxn1nu
● 移植時年齢:5~6週齢
● 性別:雄
● 最小体重(D14):24.9g
● 平均体重(D14):28.4g(群平均の範囲、27.7~28.8g)
【0333】
マウスは、Biobubbleクリーンルーム内でトウモロコシの穂軸の寝床を備えたInnovive使い捨て換気装置付きケージに入れられ、各ケージには3匹の動物が入れられた。
● 温度:70±2°F。
● 湿度30~70%。
● 食餌:Teklad2918.15げっ歯動物用飼料。
● 水:自由摂取。
● 順化:3日
● 動物の識別:動物にイヤーパンチでマークを付けた。
1.3.細胞の準備/移植
【表26】
【0334】
1.4.心臓内移植
動物をケタミン(100mg/kg)/キシラジン(6mg/kg)カクテルのIP注射で麻酔した。動物が非反応性であった場合(足指ピンチ試験で判定)、100μlの細胞懸濁液(3.0E+06細胞)を1mlのシリンジに引き込み、27×1/2インチのゲージの針を取り付けた。注射前にシリンジのプランジャー側に小さな気泡が作られる。次に、針を胸骨の左側約3mmの第2肋間腔の中心からゆっくりと挿入し、明赤色の酸素を含んだ血液の針ハブへの連続的な脈動が観察されるまで中央に向けて刺した。次に、100μlの細胞懸濁液を5秒間かけてゆっくりと注入した。動物ごとに新しい針とシリンジを使用した。
【0335】
動物にホタルD-ルシフェリン(150mg/kg)を体重(0.2ml/20g)に応じたIP投与により注射した。心臓内注射の成功は、注射直後のCCDチップの大きなビニング(高感度)を使用した1分間の生物発光スキャンによって検証した。鼻から尾の付け根までの全身からのシグナルを有するマウスは注射に成功したと見なされ、一方、シグナルが胸部のみに局在するか、または鼻先まで十分に広がっていないマウスは、直ちに試験からトリアージされた。
【0336】
マウスは、手順全体を通して温水ブランケットの上で維持された。注射に成功したマウスを麻酔から回復させ、完全に目覚めて歩くことができるようになるまでモニターした。
【0337】
2.処置
すべてのマウスを、体重とBLIから得られた腫瘍量の推定値に基づいて試験群に分類した。
【表27】
3.サンプリング
【表28】
4.イメージング
【表29】
【0338】
0日目のBLIイメージングは、注射が成功したかどうかを判断するために細胞注射の直後に行われた。7日目のBLIイメージングは、疾患の進行を評価するために、試験登録前のすべての動物に対して行われた。群1の動物の最後のイメージングの時点は35日目で、41日目にはすべて死亡した。
5.インビボ生物発光イメージング(BLI)
【0339】
生物発光とは、ルシフェラーゼ酵素とその基質との酵素反応によって生成される光を指す。ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞株の生物発光イメージング(BLI)により、部位に局在する腫瘍量の非侵襲的測定が可能になる。D-ルシフェリンの全身注射後の腫瘍から放出される光の量は、生存可能な腫瘍量と相関すると予想されている。
【0340】
D-ルシフェリン(ロット番号0000307215)は、プロメガから白色粉末として入手し、露光を最小限に抑えるために蓋付きの箱に入れて-80℃で保存した。生理食塩水をD-ルシフェリン粉末に加えて、透明な黄色の溶液を生成した。15mg/mlの溶液をインビボイメージング用に調製した。D-ルシフェリンは、各生物発光イメージングセッションの直前に調製され、使用中は湿った氷上で光から保護して保管した。
【0341】
BLIは、IVIS S5 Luminaシステム(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて実施した。動物は、1~2%のイソフルランガス麻酔下で一度に5匹ずつ撮影した。各マウスに150mg/kg(15mg/ml)のD-ルシフェリンを腹腔内注射し、注射の10分後に腹臥位で、次に仰臥位で撮影した。CCDチップの大きなビニングを使用し、露光時間を調整し(10秒~2分)、1画像あたり少なくとも数百カウントを得てCCDチップの飽和を回避した。BLI画像は、移植後0、7、14、21、28、35、42、49、56、63日目に収集した。
【0342】
画像は、Living Image 4.7.1(PerkinElmer、MA)ソフトウェアを使用して分析した。それぞれの固有の組織信号に手作業で丸を付け、解剖学的部位に基づいて、腹臥位と仰臥位の両方の画像に下顎骨または後肢のラベルを付けた。手足の場合、信号はマウスの右側のものか左側からのものかも指定した。
【0343】
信号の流束(光子/秒)を固有の転移信号ごとに計算し、群間の分析を容易にするためにすべてのROIにエクスポートした。
6.薬理学とイメージングのエンドポイント
【表30】
【0344】
試験は78日目に終わった。すべてのBLIエンドポイントの計算は、総骨値から導き出された。この試験のBLIバックグラウンド信号は1.20E+05p/sで測定された。BLI信号が病気を分類するBLI信号レベルの半分を下回った場合、動物は部分的退縮と見なされた。同様に、BLI信号がバックグラウンドレベルを下回った場合は完全退縮(CR)と見なされ、イメージングの最終日(63日目)にBLI信号がバックグラウンドレベルを下回り、剖検時に疾患の証拠がない場合は、無腫瘍生存例と見なされた。
【0345】
7.結果
処置初日(G1およびG2への処置)の実験のすべての群の平均推定腫瘍量は7.53E+06p/sであり、実験のすべての群はよく一致していた(群平均値の範囲、7.29E+06~7.68E+06p/s)。治療の開始時、すべての動物の体重は少なくとも24.9gであった。最初の処置時の群平均体重もよく一致していた(群平均の範囲、27.7~28.8g)。この試験のBLIバックグラウンド信号は、この試験では1.20E+05p/sで測定された。腫瘍増殖遅延による有効性の評価のために、9.00E+07p/sの腫瘍量が選択された。対照群では、評価サイズまでの時間の中央値は27.9日であり、腫瘍体積の倍加時間の中央値は3.3日であった。対照動物は、おそらく疾患の進行が原因で、処置計画中に平均17.1%の体重減少を経験した。対照群の寿命の中央値は22日であった。対照群では自発的な退縮はなかった。この試験の移植に使用された細胞の3つのチオグリコール酸培養物のうちの3つが、総細菌汚染について陰性であった。
【0346】
この情報はすべて歴史的な基準と一致しており、実験は技術的に満足のいくものであり、データは評価に適していると判断された。
【0347】
BT5528は転移性疾患に対する活性、つまり骨病変における腫瘍細胞負荷の減少を示す。ビヒクルおよびBT5528処置後のマウスの総骨信号、BW変化(%)、および生存率を図6(A)~(C)に示す。以下のことが判明した:
● PC3転移性病変は、BT5528からのペイロード放出に必要な酵素活性を有し、顕著な抗腫瘍活性をもたらす;
● D14の処置開始とD21の処置開始との間の骨の総細胞負荷(細胞あたりの光子/秒のインビトロデータから逆算)は約16倍も異なるが、BT5528は両方の設定で活性である。
● 週4回のBT5528処置サイクルにより、骨腫瘍細胞負荷は大幅に減少し、マウスの生存期間が延長された。
● 試験終了時(D78)に1匹のマウスには観察可能な(肉眼で見える)疾患がなかった。
【0348】
8.用語の定義
0日目-腫瘍が移植された日。
【0349】
動物が、対照群の最小の致死腫瘍の半分未満の腫瘍量で、最後の処置中または最後の処置後2週間以内に死亡していることが判明した場合、または瀕死の状態で安楽死させられた場合、および動物が感染症、機械的投与による外傷、またはその他の明らかな病的状態の原因のエビデンスを剖検時に示さなかった場合に限り、動物は治療関連死を経験したと推定される。他の原因(サンプリング、偶発的な外傷など)のために同じ期間に安楽死させた動物は、この計算から除外される。この指定は、薬物誘発毒性を経験した可能性のある動物を特定するのに役立つことを意図しているが、因果関係を直接意味するものではない。(群毒性パラメータ)
【0350】
処置に関連する体重の変化-これは群平均体重から算出される群のエンドポイントである。特定の状況では、次のように異なる方法で計算される。
● 群平均体重が(処置初日から最終処置後2週間までのいずれかの時点で)2%以上減少した場合、処置中に体重が最終的に回復して正味の体重増加になったとしても、最大の体重減少が報告される。リバウンドして正味の増加となる特別な場合では、その回復は結果の項に完全に記載されている。
● 群の平均体重がいずれの時点でも2%を超えて減少しない場合、体重の変化は、処置初日の体重と処置終了後2週間の日付との差として報告される。
● 処置期間は群によって変動し得るため、(特に)体重増加を直接比較することは、そのことを説明する必要がある。
● 一般に腫瘍の進行によって体重減少が誘発されるモデルで体重の減少が起こる場合は、複数の要因が体重の変化に影響を及ぼしている。試験薬が体重減少に寄与したかを評価するために、正味の処置に関連する体重減少を用いてよい。これは、試験で観察された有効性の程度に応じて、2つの異なる方法で行われる。
○ 有効性が明らかでない場合、正味の体重減少は、この試験の毎日の処置群の平均体重減少から対照群の平均体重減少を差し引くことによって計算される。
○ 有効性が観察された場合、対照群と処置群の間で腫瘍量が大きく異なることがあり得る。このような場合には、正味の体重減少は、腫瘍量で正規化することによって算出される。これは、対照群の利用可能なすべての体重データを用いて、対照群の平均腫瘍量と対照群の平均体重減少のプロットを構築することによって行う。(通常、腫瘍量と体重減少の対数/線形プロットを使用することが最も簡単である。)任意の試験日の処置群の正味の体重減少は、対照群の参照プロットで処置群の平均腫瘍量を調べ、腫瘍量に起因する暗黙の/予測される体重減少を読み取ることによって推定される。次に、この値を処置群の平均体重減少から差し引いて、その日の処置群の正味の体重減少を算出する。次に、算出された正味の体重減少を使用して、薬剤に対する耐性を推定する。
【0351】
T/C中央値-群のエンドポイントである。これは処置のそれぞれの日について次のように計算される:
【数1】
【0352】
評価サイズになるまでの時間(TES)-TESは、個々のマウスのエンドポイントであり、腫瘍移植からの日数で表される。これは、腫瘍量が特定の値に達するまでにかかる時間であり、腫瘍量を評価する任意の方法(ノギス測定、BLI、解剖学的イメージングなど)から計算することができる。これは、選択した腫瘍量を囲む2つの最も近いデータポイント間の対数線形補間によって計算される。
【数2】
式中、
ES=TES-評価サイズに達した日
-最初にESより大きい測定値に達した日
-ESに達する前の最後の測定日
-D日目の腫瘍体積
-Dの腫瘍体積
ES-評価サイズ
【0353】
腫瘍倍加時間(Td)-Tdは個人およびグループのパラメータであり、通常は群の中央値Tdとして表される。これは日数で測定される。Tdは、あらゆる種類の体積データ(ノギス測定、BLI信号など)から計算することができる。QC目的では、これは腫瘍増殖曲線の指数部分で計算される。誘導期およびゴンペルツの進行段階(Gompertzian advanced stage)中のデータポイントは含まれない。典型的な腫瘍量の限界は100~1000mm3であるが、実際の選択はデータに基づく。Tdは、次のように、腫瘍量対日数の対数/線形プロットの最小二乗ベストフィットから各マウスについて計算される。
Td=log2/勾配
まれに、Td中央値が有効性の潜在的な指標として使用されることがある。したがって、Td中央値は、治療への反応期間を反映すると考えられる特定の日数範囲にわたる、すべての群の中央値として計算される。
【0354】
腫瘍増殖遅延(TGD、またはT-C)-TGDは、群のエンドポイントである。腫瘍増殖遅延は日単位で表され、群のマウスが指定された腫瘍量に到達するのにかかる時間(評価サイズまでの時間、TES)の中央値から計算される。これは次のように計算することができる:
TGD=処置されたTESの中央値-対照TESの中央値
【0355】
腫瘍退縮
● 完全退縮(CR)-腫瘍量が宣言されたバックグラウンドBLI信号レベル未満まで減少した場合、動物は完全退縮と見なされる。
● 部分退縮-動物の腫瘍量が最初の処置時の腫瘍量の半分未満まで減少した場合、その動物は部分退縮と見なされる。ノギスを用いる研究では、PRは少なくとも2回の連続する測定値で、維持される必要がある。(BLIを用いる研究では、測定値のダイナミックレンジと、一般に長いイメージング間隔のために、必要な確認は免除される。)PRはCRを除いて表にされているため、CRを達成した動物はPRとしてもカウントされない。(個別有効性パラメータ)
【0356】
無腫瘍生存例(TFS)-TFSは、(1)試験の終了まで生存し、(2)試験の終了時に確実に測定可能な疾患の証拠がない動物である。試験中のある時点で腫瘍がないが、その後、試験の終了前にサンプリングまたは他の目的のために安楽死させられたマウスは、TFSとは見なされない。それらは%TFSの計算から除外される。TFSの状態は、「治癒」を意味するものではない。
【0357】
寿命の中央値-寿命は個々のマウスのエンドポイントである。これは、各動物の試験の最初の処置日(腫瘍移植の日ではない)から測定される。これは、疾患または処置に関連する原因で死亡したかまたは安楽死させられたすべての動物の死亡日を記録する。サンプリングまたは疾患もしくは治療と無関係の他の原因のために安楽死させた動物は、この計算から除外される。群の寿命の中央値を用いて、%寿命の増加(%ILS)が計算される。IACUCで義務付けられている最大腫瘍量のために動物を安楽死させる場合は、この変数の代わりに進行までの時間(TP)が使用される。
【0358】
%寿命の増加(ILS)-%ILSは、群のエンドポイントである。これは次のように計算される
【数3】
【0359】
実施例7.Champions PDX Indication Screenにおける免疫不全マウスのヒト非小細胞肺癌の低継代Champions TumoRGraft(登録商標)モデルでのインビボ評価
略語の一覧
【表31】
要約
この試験は、15の低継代Champions TumorGraft(登録商標)モデルにおける単剤療法としてのBT5528のインビボ抗腫瘍活性を評価するために行われた。
【0360】
マウスの左脇腹に、様々なモデルの1つ由来の腫瘍断片を皮下移植した。腫瘍が平均150~300mmに成長した後、マウスにビヒクルまたは3mg/kgのBT5528をIV投与Q7Dx4(n=2)することによって処置した。腫瘍増殖への影響は、腫瘍増殖抑制率(%TGI)と、完全奏功例(CR)、部分奏功例(PR)、および無腫瘍生存例(TFS)の数を測定することによって評価した。耐容性は、体重減少、致死性、および処置に関連する有害な副作用の臨床徴候によって評価した。腫瘍体積および体重は週2回測定した。
【0361】
15人のNSCLC患者由来の腫瘍異種移植片のパネルにおいて、3mpkのBT5528で週1回処置すると、さまざまな範囲の抗腫瘍活性が得られる(図8)。特に、15のうち10のモデルが50%またはそれを超える腫瘍増殖抑制を示している。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。モデルCTG-0170で1匹の動物が死亡していることが見出されたことを除いて、すべてのモデルですべての処置が許容された。
1.目的
【0362】
この試験の目的は、免疫不全マウスのヒト非小細胞肺癌を代表する15種類の低継代Champions TumorGraft(登録商標)モデルCTG-0160、CTG-0170、CTG-0178、CTG-0192、CTG-0363、CTG-0808、CTG-0838、CTG-0848、CTG-1212、CTG-1502、CTG-1535、CTG-2011、CTG-2393、CTG-2539およびCTG-2540における単剤療法としてのBT5528のインビボ抗腫瘍活性を判定することであった。
2.材料および方法
2.1 腫瘍モデル
【表32】
2.2 試験物質および対照物質
【0363】
BT5528 0.3mg/kgの投与溶液を事前に製剤化した。これらの投与溶液は、暗所で-80℃で保存した。投与日ごとに、各試験薬の凍結したアリコートを解凍し、2~8℃で保存し、投与に使用した。
【0364】
ビヒクルである25mMヒスチジンおよび10%スクロース、pH7は、暗所で-80℃で保存した。投与日ごとに、凍結アリコートを解凍し、投与に使用した。
【0365】
すべての試験薬およびビヒクルは、-80℃で保存した場合、製剤日から1年間安定しており、この試験の期間中は十分に安定していた。
2.3 実験動物
【0366】
この試験で使用した動物を以下に記載する:
【表33】
2.4 動物の飼育および福祉
【0367】
5~8週齢の雌免疫不全マウスを、個別のHEPA換気装置付きケージ(Innocage(登録商標)IVC、Innovive USA)内の照射済みのトウモロコシ穂軸の寝床(Teklad 7902、CS)および100%バージンクラフトネスティングシート(virgin kraft nesting sheets)(Innorichment(商標))の上で、68~74°F(20~23℃)および湿度30~70%で14~10時間の明暗サイクルで飼育した。動物は、水(逆浸透、2ppm Cl2)および照射済み試験げっ歯動物用飼料(Teklad 2919;タンパク質19%、脂肪9%、繊維4%)を自由に摂取した。0日目と比較して10%以上の体重減少を示す動物には、DietGel(商標)(ClearHO(登録商標)、メイン州ウェストブルック)を自由に与えた。
【0368】
すべての実験手順は、施設内動物管理使用委員会(IACUC)のガイドラインに従って実施された。
【0369】
2.5 実験デザイン
ストックマウスに、Champions TumorGraft(登録商標)モデルCTG-0160、CTG-0170、CTG-0178、CTG-0192、CTG-0363、CTG-0808、CTG-0838、CTG-0848、CTG-1212、CTG-1502、CTG-1535、CTG-2011、CTG-2393、CTG-2539またはCTG-2540の腫瘍細胞を移植した。腫瘍が1000~1500mmに達した後、腫瘍を回収し、腫瘍断片(約5×5×5mm)を雌の試験マウスの左側腹にSC移植した。それぞれの動物に特定の継代ロットを移植し、記録した。デジタルノギスを使用して腫瘍増殖を週2回モニターし、式(0.52×[長さ×幅])を使用して腫瘍体積(TV)を計算した。TVの平均体積が150~300mmに達すると、動物を腫瘍サイズで照合し、ビヒクル群と処置群(n=2/群)に割り当て、0日目に投与を開始した。0日目に投与を開始した後、デジタルスケールを使用して動物の体重を週に2回測定し、TVを週に2回と、試験の最終日にも測定した。試験は、ビヒクル対照の平均腫瘍体積が1500mmに達した時点、または60日目までのいずれか早い方で終了した。試験デザインは表2にまとめられている。
【表7-1】
【0370】
2.6 試料の収集
採血:試験の終了時(ほとんどのモデルでは28日目である最終投与の7日後)に、心臓穿刺(イソフルラン誘発麻酔下)によって各群のすべての動物から可能な限り多くの血液を採取し、KEDTA含有チューブに移し、穏やかに反転させて8~10回混合した。血液試料は湿った氷上で保持し、実際的な範囲ですぐに3500rpm、2~4℃で10分間遠心分離した。得られた血漿を収集し、独自にラベル付けされた透明なポリプロピレンチューブに移し、出荷まで-80℃で保存した。
【0371】
腫瘍の収集:試験の終了時(ほとんどのモデルでは28日目である最終投与の7日後)に、各群のすべての動物から腫瘍を収集し、二分した:半分を瞬間冷凍し、ドライアイスの上に置き、出荷まで-80℃で保存した;残りの半分を中性緩衝ホルマリンで18~24時間固定し、70%エタノールに移して室温で1~3日間おき、パラフィン包埋するために送った。250mm未満の腫瘍は、単一の瞬間冷凍試料として処理された。
【0372】
2.7 一般的な毒性
0日目から毎日動物を観察し、デジタルスケールを使用して週に2回体重を測定した。個々のグラム重量および平均グラム重量、0日目と比較した平均重量変化率(%vD)を含むデータを各群について記録し、試験の終了時に%vDをプロットした。0日目と比較して、20%を超える正味の体重減少を7日間にわたって示したか、または30%を超える正味の体重減少を示した動物は、瀕死と見なし、安楽死させた。20%を超える平均%vDおよび/または10%を超える死亡率をもたらした処置は、最大許容投与量を超えていると見なされた。各処置群の最大平均%vD(体重最下点)を、研究の完了時に報告した。
【0373】
2.8 抗腫瘍有効性
腫瘍増殖の抑制は、TGI率(100%×[1-(処置群の最終MTV-初期MTV)/(対照群の最終MTV-初期MTV)])を算出することによって決定された。処置は0日目に開始された。
【0374】
有効性を評価するために使用した追加のエンドポイントは、完全奏功例(CR)、部分奏功例(PR)、および無腫瘍生存例(TFS)の数であった。PRは、TFSと同様に、CRを除くと見なされた。
【表39】
【0375】
2.9 統計解析
抗腫瘍効果の統計解析は、一元配置分散分析とそれに続くダネットの多重比較検定(GraphPad Prismバージョン8.2.0)を用いて実施した。有意なp値=<0.05。
【0376】
3.補正およびデビエーション
この試験では、1つの補正と1つのデビエーションがあった。
【0377】
補正1:試験終了時(最終投与後7日)のすべての動物からの採血。血液は心臓穿刺によって収集され、KEDTAを含有するチューブに入れられ、3500rpm、2~4℃で10分間遠心分離される。血漿試料を収集し、出荷まで-80℃で保存した。
【0378】
デビエーション1:補正1で要求されたCTG-2539の群1、3、および4の血漿試料は収集されなかった。CTG-2539のプロトコールに従って、これらの群の腫瘍試料のみが収集された。
4.結果および考察
4.1 非小細胞肺癌モデルCTG-0160での有効性試験
【0379】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、8.0日であった(図7A)。
【0380】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。ビヒクル対照群は、21日目に平均腫瘍体積が1500mmを上回ってエンドポイントに達し、試験から除外された。試験は28日目に終わった。そのため、21日目の腫瘍体積を抗腫瘍活性の分析に使用した。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Aに示す。
【0381】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=400±187mm、TGI=87%、調整済みp=0.1021)、21日目にビヒクル対照(MTV=1504±514mm)と比較して腫瘍体積が減少した(表7-2および図7A)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
表7-2NSCLCモデルCTG-0160の抗腫瘍活性
【表7-2】
【0382】
ビヒクル対照および処置群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.2 非小細胞肺癌モデルCTG-0170での有効性試験
【0383】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、4.5日であった(図7B)。
【0384】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。ビヒクル対照群は、14日目に平均腫瘍体積が1500mmを上回ってエンドポイントに達し、試験から除外された。試験は28日目に終わった。しかし、BT5528群の1匹の動物が14日目に死亡していることが発見された。そのため、すべての動物を含めるために、11日目の腫瘍体積を抗腫瘍活性の分析に使用した。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Bに示す。
【0385】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=268±15mm、TGI=94%、調整済みp=0.1283)、11日目にビヒクル対照(MTV=1430±414mm)と比較して腫瘍体積が減少した(表7-3および図7B)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-3】
【0386】
ビヒクル対照および処置群には、平均体重の減少はなかった。BT5528の1匹の動物は、14日目に死亡していることが発見されたが、事前の体重減少は24.8%であり、臨床所見は痩せていた。死因は不明であった。同じ群の他の動物は体重減少がなく、BT5528によく許容した。
4.3 非小細胞肺癌モデルCTG-0178での有効性試験
【0387】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、11.7日であった(図7C)。
【0388】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は28日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Cに示す。
【0389】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=1145±271mm、TGI=16%、調整済みp=0.8566)、28日目にビヒクル対照(MTV=1369±352mm)と比較して腫瘍体積が減少した(表7-4および図7C)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-4】
【0390】
ビヒクル対照およびBT5528群は、18日目にわずかな平均体重の減少があった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.4 非小細胞肺癌モデルCTG-0192での有効性試験
【0391】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、15.8日であった(図7D)。
【0392】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は34日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Dに示す。
【0393】
3mg/kg Q7Dx5のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=740±386mm、TGI=36%、調整済みp=0.7921)、34日目にビヒクル対照(MTV=1020±259mm)と比較して腫瘍体積が減少した(表7-5および図7D)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-5】
【0394】
BBT5528群は、平均体重がわずかに減少し、7日目に最大で2.3%減少した。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.5 非小細胞肺癌モデルCTG-0363での有効性試験
【0395】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、9.6日であった(図7E)。
【0396】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は28日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Eに示す。
【0397】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=1609±18mm、TGI=26%、調整済みp=0.2618)、28日目のビヒクル対照(MTV=2170±53mm)と比較して28日目に腫瘍体積が減少した(表7-6)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-6】
【0398】
BT5528群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.6 非小細胞肺癌モデルCTG-0808での有効性試験
【0399】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、5.0日であった(図7F)。
【0400】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。ビヒクル対照は、14日目にエンドポイントに到達し、試験は28日目に終了した。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Fに示す。
【0401】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=541±4mm、TGI=76%、調整済みp=0.0877)、14日目のビヒクル対照(MTV=1616±501mm)と比較して14日目に腫瘍体積が減少した(表7-7)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-7】
【0402】
ビヒクル対照および処置群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.7 非小細胞肺癌モデルCTG-0838での有効性試験
【0403】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、13.3日であった(図7G)。
【0404】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は27日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Gに示す。
【0405】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=269±128mm、TGI=97%、調整済みp=0.0153)、27日目のビヒクル対照(MTV=1049±142mm)と比較して27日目に腫瘍体積が減少した(表7-8)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-8】
【0406】
ビヒクル対照およびBT5528群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.8 非小細胞肺癌モデルCTG-0848での有効性試験
【0407】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、14.1日であった(図7H)。
【0408】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は27日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Hに示す。
【0409】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で処置(n=2)すると(MTV=512±113mm、TGI=56%、調整済みp=0.1967)、27日目にビヒクル対照と比較して腫瘍体積が減少した(表7-9および図7H)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-9】
【0410】
どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.9 非小細胞肺癌モデルCTG-1212での有効性試験
【0411】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、13.5日であった(図7I)。
【0412】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は27日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Iに示す。
【0413】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=128±53mm、TGI=112%、調整済みp=0.0020)、27日目のビヒクル対照(MTV=802±24mm)と比較して27日目に腫瘍体積が減少した(表7-10)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-10】
【0414】
ビヒクル対照およびBT5528群は、わずかな平均体重の減少があった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
【0415】
4.10 非小細胞肺癌モデルCTG-1502での有効性試験
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、5.6日であった(図7J)。
【0416】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。ビヒクル対照は、17日目にエンドポイントに到達し、試験は28日目に終了した。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Jに示す。
【0417】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=976±229mm、TGI=48%、調整済みp=0.0484)、17日目のビヒクル対照(MTV=1679±51mm)と比較して17日目に腫瘍体積が減少した(表7-11)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-11】
【0418】
ビヒクル対照および処置群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
【0419】
4.11 非小細胞肺癌モデルCTG-1535での有効性試験
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、21.6日であった(図7K)。
【0420】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は35日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Kに示す。
【0421】
3mg/kg Q7Dx5のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=307±91mm、TGI=85%、調整済みp=0.2136)、35日目のビヒクル対照(MTV=736±181mm)と比較して35日目に腫瘍体積が減少した(表7-12)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-12】
【0422】
ビヒクル対照および処置群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
【0423】
4.12 非小細胞肺癌モデルCTG-2011での有効性試験
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、6.5日であった(図7L)。
【0424】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。ビヒクル対照は、18日目にエンドポイントに到達し、試験は28日目に終了した。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Lに示す。
【0425】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=826±48mm、TGI=57%、調整済みp=0.0852)、18日目のビヒクル対照(MTV=1655±155mm)と比較して18日目に腫瘍体積が減少した(表7-13)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-13】
【0426】
ビヒクル対照および処置群には、平均体重の減少はなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.13 非小細胞肺癌モデルCTG-2393での有効性試験
【0427】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、14.3日であった(図7M)。
【0428】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は28日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Mに示す。
【0429】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=158±25mm、TGI=107%、調整済みp=0.0185)、28日目のビヒクル対照(MTV=831±182mm)と比較して28日目に腫瘍体積が減少した(表7-14)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-14】
【0430】
どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
4.14 非小細胞肺癌モデルCTG-2539での有効性試験
【0431】
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、8.3日であった(図7N)。
【0432】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。ビヒクル対照は、21日目にエンドポイントに到達し、BT5528群は18日目にエンドポイントに到達した 試験は25日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Nに示す。
【0433】
3mg/kg Q7Dx3のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=2029±594mm、TGI=-51%、調整済みp=0.7171)、18日目のビヒクル対照(MTV=1433±448mm)と比較して18日目に腫瘍体積が減少した(表7-15)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【0434】
ビヒクル対照および処置群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
【表7-15】
【0435】
4.15 非小細胞肺癌モデルCTG-2540での有効性試験
ビヒクル対照の腫瘍における倍加時間は、9.0日であった(図7O)。
【0436】
動物は、表7-1のスケジュールに従って投与された。試験は28日目に終わった。試験期間中の平均腫瘍体積を図7Oに示す。
【0437】
3mg/kg Q7Dx4のBT5528で静脈内処置(n=2)すると(MTV=692±156mm、TGI=75%、調整済みp=0.0324)、28日目のビヒクル対照(MTV=2065±289mm)と比較して28日目に腫瘍体積が減少した(表7-16)。どの群にもPR、CRまたはTFSは存在しなかった。
【表7-16】
【0438】
ビヒクル対照およびBT5528群には、平均体重の減少はなかった。どの群にも死亡または瀕死の動物はいなかった。この試験では、すべての処置が許容された。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図7-6】
図7-7】
図7-8】
図8
【配列表】
2022528887000001.app
【国際調査報告】