(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】取り外し可能な部分を備えるステアリング可能な器具
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20220609BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61B1/005 524
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559840
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 NL2020050238
(87)【国際公開番号】W WO2020218920
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517197509
【氏名又は名称】フォーティメディックス・アセッツ・ザ・セカンド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FORTIMEDIX ASSETS II B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ティッセン、マテウス・ヘンドリック・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】フェルベーク、マルセル・アントニウス・エリサベート
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA02
4C161AA24
4C161DD02
4C161HH32
4C161HH47
(57)【要約】
長尺器具に接続するためのステアリングデバイスは、ステアリングプレート及びロッキングプレートが共に動くように長尺器具のステアリングプレートを固定することができる結合部を有するロッキングプレートと、ロッキングプレートを動かすためのステアリングユニットとを備える。長尺器具は、器具シャフトに沿って延在し、器具シャフトの近位端においてステアリングプレートに固定された複数の長尺要素を備え、ステアリングプレートは、器具シャフトに固定された支持部材の周りに移動可能に接続される。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具シャフトに沿って延在し、前記器具シャフトの近位端においてステアリングプレートに固定された複数の長尺要素を備える長尺器具に接続するためのステアリングデバイスであって、前記ステアリングプレートは、前記器具シャフトに固定された支持部材の周りに移動可能に接続され、前記ステアリングデバイスは、
・前記ステアリングプレート及びロッキングプレートが共に動くように前記ステアリングプレートを固定することができる結合部を有する前記ロッキングプレートと、
・ 前記ロッキングプレートを動かすためのステアリングユニットと
を備える、ステアリングデバイス。
【請求項2】
前記ロッキングプレートは、前記ステアリングプレートからの1つ以上の突出部を受け入れるための1つ以上の開口部を有する第1のプレートと、前記1つ以上の開口部中に前記1つ以上の突出部を固定することができる第2のプレートとを備える、請求項1に記載のステアリングデバイス。
【請求項3】
前記第2のプレートは、前記1つ以上の突出部の前記1つ以上の開口部に入る又はそれから出る動きを可能にするための開位置から、前記ステアリングプレートが前記ロッキングプレートに固定され、前記1つ以上の突出部が前記1つ以上の開口部から動くことができないロック位置まで回転する、請求項2に記載のステアリングデバイス。
【請求項4】
前記ステアリングユニットは、空間中での前記ステアリングプレートの動きを可能にするために、1つ以上の軸を中心として接続された1つ以上のフレームを備える、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項5】
前記ロッキングプレートは、前記ロッキングプレートが前記ステアリングユニットに対して回転することができるように前記ステアリングユニットに接続する、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項6】
前記ロッキングプレートは、円周玉軸受を用いて前記ステアリングユニットに接続する、請求項5に記載のステアリングデバイス。
【請求項7】
前記ステアリングデバイスは、ロボットユニットを備える、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項8】
前記長尺要素は、前記長尺器具の遠位端を動かすために前記長尺器具を通って延在する可撓性ケーブル又はワイヤである、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のステアリングデバイス。
【請求項9】
ステアリングデバイスに接続するための長尺器具であって、前記長尺器具は、
遠位端と近位端とを有する長尺シャフトと、
前記長尺シャフトの前記近位端に位置するステアリングプレートと、ここで、前記ステアリングプレートは、前記長尺シャフトの周りに接続された中央支持部材の周りに移動可能に配置され、前記ステアリングプレートは、前記ステアリングプレートの動きを制御するために前記ステアリングプレートをステアリングデバイスに結合するための結合部を備えるものであり、
前記長尺シャフトに沿って延在し、前記近位端において前記ステアリングプレートに固定された複数の長尺要素と
を備える、長尺器具。
【請求項10】
前記複数の長尺要素は、前記ステアリングプレートの周りに円周方向に固定される、請求項9に記載の長尺器具。
【請求項11】
前記結合部は、前記ステアリングデバイスのロッキングプレートに開放可能に接続するための1つ以上の要素を備える、請求項9又は10に記載の長尺器具。
【請求項12】
前記1つ以上の要素は、前記ステアリングデバイスの前記ロッキングプレートに開放可能に固定することができる1つ以上の延長部を備える、請求項11に記載の長尺器具。
【請求項13】
前記中央支持部材は、ボール形状の要素を備え、前記ステアリングプレートは、前記ステアリングプレートが前記ボール形状の要素の周りを回転することができるように前記ボール形状の要素に接続される、請求項9~12のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項14】
前記複数の長尺要素は、前記ステアリングプレート中の複数の開口部を通って延在し、各長尺要素は、前記長尺要素を前記ステアリングプレートに固定するために前記近位端において留め具を備える、請求項9~13のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項15】
前記複数の長尺要素は、複数の可撓性ワイヤ又はケーブルを備える、請求項9~14のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項16】
前記複数の可撓性ワイヤ又はケーブルは、前記長尺シャフトに沿った位置と前記ステアリングプレートに沿った位置との間で張力を掛けられる、請求項9~15のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項17】
ステアリングユニットに結合することができるステアリング可能な器具を製造する方法であって、前記方法は、
長尺シャフトとステアリング可能な部分とを有する器具を形成することと、
近位端において前記長尺シャフトの周りにステアリングプレートを移動可能に接続することと、ここで、前記ステアリングプレートは、前記ステアリングプレートの動きを制御するために前記ステアリングプレートをステアリングデバイスに結合するための結合部を備えるものであり、
複数の長尺器具を前記ステアリング可能な部分及び前記ステアリングプレートに接続することと
を備える、方法。
【請求項18】
近位端において前記長尺シャフトの周りにステアリングプレートを移動可能に接続するステップは、前記長尺シャフトに固定されたボール形状の支持部材の周りにステアリングプレートを移動可能に接続することを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の長尺要素を前記ステアリング可能な部分及び前記ステアリングプレートに接続するステップは、
複数の長尺要素を複数の指部を備える支持部に接続することと、ここで、前記複数の長尺要素の各々は、前記複数の指部のうちの1つに接続するものであり、
前記複数の長尺要素を前記支持部で前記ステアリング可能な部分及び前記ステアリングプレートに接続することと
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ステアリングデバイスに接続するための長尺器具であって、前記長尺器具は、
遠位端と近位端とを有する長尺シャフトと、
前記長尺シャフトの近位端における支持部と、ここで、前記支持部は、基部と、長手方向軸から円周方向に外向きに延在する複数の指部とを備えるものであり、
前記長尺シャフトに沿って延在し、前記近位端において前記支持部に固定された複数の長尺要素と
を備える、長尺器具。
【請求項21】
前記基部は、前記シャフトの周りに接続する、請求項20に記載の長尺器具。
【請求項22】
前記基部は、長尺外管を備え、前記指部は、前記長尺外管を複数の長手方向セクションに切ることによって形成される、請求項20に記載の長尺器具。
【請求項23】
前記切れ目は、前記長尺外管が前記長尺器具の近位端から前記長尺器具の前記遠位端に曲げ力を少なくとも部分的に伝達することができるように前記長尺外管を通って延在する、請求項22に記載の長尺器具。
【請求項24】
前記指部の各々は、長尺要素が固定されるカラー及び/又は開口部を備える、請求項20~23のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項25】
前記カラーは、前記長尺要素を固定し、張力を掛ける、請求項24に記載の長尺器具。
【請求項26】
前記支持部の前記複数の指部は、前記指部が前記長尺器具の長手方向軸に対して実質的に平行に延在する収納位置から、前記指部が前記長手方向軸から外向きに延在する使用位置に動くことができる、請求押20~25のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項27】
前記複数の指部は、静止しているときに前記使用位置に対して外向きに付勢される、請求項26に記載の長尺器具。
【請求項28】
前記支持部及び/又は前記長尺器具は、ステアリングデバイスに結合するための結合部を備える、請求項20~27のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項29】
前記複数の長尺要素は、複数の可撓性ワイヤ又はケーブルを備える、請求項20~28のうちのいずれか一項に記載の長尺器具。
【請求項30】
前記複数の可撓性ワイヤ又はケーブルは、前記長尺シャフトに沿った位置と前記支持部に沿った位置との間で張力を掛けられる、請求項29に記載の長尺器具。
【請求項31】
前記可撓性ワイヤ又はケーブルと前記支持部との間の接続は、前記長尺器具の使用のために破断されるように構成された機械的又は接合された接続を備える、請求項30に記載の長尺器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、手術などにおける侵襲性及び非侵襲性タイプの用途のためのステアリング可能な器具に関する。そのような器具は、例えば、胃鏡検査、結腸鏡検査、内視鏡検査、腹腔鏡検査、及び他の医療用途の分野において使用することができる。しかしながら、本発明によるステアリング可能な器具は、非医療用途にも使用することができる。後者の例は、手が届きにくい場所での機械的及び/又は電子的ハードウェアの検査及び/又は修理を含む。
【背景技術】
【0002】
[0002]標的領域を露出させるために大きい切開を必要とする外科的介入を、最小侵襲性外科的介入に変換すること、即ち、標的領域へのアクセスを確立するために自然開口部又は小さい切開のみを必要とすることは、周知であり、進行中のプロセスである。最小侵襲性外科的介入を行う際に、医師などの手術者は、ヒト又は動物の身体のアクセスポートを介してその身体内に侵襲性器具を導入及び誘導するように構成されたアクセスデバイスを必要とする。ヒト又は動物の患者に対する瘢痕組織形成及び疼痛を低減するために、アクセスポートは、好ましくは、皮膚及び下層組織における単一の小さい切開によって提供される。その点において、身体の自然開口部を使用する可能性は更に良好であろう。アクセスデバイスは、好ましくは、手術者が、侵襲性器具が提供する1つ以上の自由度を制御することを可能にする。このようにして、手術者は、人間工学的且つ正確な形で、ヒト又は動物の体内の標的領域において必要とされる動作を実行することができる。
【0003】
[0003]胃鏡検査、結腸鏡検査、内視鏡検査、腹腔鏡検査、等の分野におけるステアリング可能な外科用侵襲性器具は、当該技術分野において周知である。侵襲性器具は、そのナビゲーション及びステアリング能力を増強するステアリング可能な管形状のデバイスを備えることができる。そのようなステアリング可能な管形状のデバイスは、近位端部分と、少なくとも1つの偏向可能ゾーンを含む遠位端部分と、剛性又は可撓性の中間部分又はシャフトとを備え得、ステアリング可能な管形状のデバイスは、その近位端において、管形状のデバイスの中心軸に対して遠位偏向可能ゾーンを偏向させるように適合されたステアリング構成を更に備える。
【0004】
[0004]既知の器具の大部分は製造が複雑であり、結果として高価な器具となる。多くの場合、器具の遠位端は、ヒンジピン、コイル、又は可撓性プラスチック押出成形品との別個のリンクから構成される可撓性ゾーンを備える。ステアリングケーブルは、これらのリンクを通る穴を通して、及び/又は誘導アイ又はフックを通して誘導されるべきである。
【0005】
[0005]多くの先行技術のデバイスでは、ステアリング構成は、制御部材として、例えば1mm未満の直径を有する従来のステアリングケーブルを備え、ステアリングケーブルは、管形状のデバイスの遠位端部分における関連する偏向可能ゾーンと近位端部分におけるステアリング構成との間に配置される。代替として、本明細書に示すか又は記載する任意の実施形態では、制御部材は、例えば、管要素におけるレーザ切断によって形成される長尺要素の1つ以上のセットによって実装され得る。上述のステアリング可能な管の設計及び製作並びにそのステアリング構成に関する更なる詳細は、例えば、WO2009/112060A1、WO2009/127236A1、WO2017/213491A1、及びWO2018/067004に記載されている。そのような器具は、長さが例えば1メートルを超える必要がない内視鏡手術において有利に使用することができる。他の実施形態では、より具体的には、1メートルを超える、例えば1~2メートルの器具を作製することができる。それらは、管要素を切ることによって、及び/又はケーブル若しくはワイヤによって形成される長尺要素を使用して構成することができる。
【0006】
[0006]場合によっては、ケーブルを収容するための一体化されたチャネルと共にプラスチック押出成形管を使用することができる。これにより、器具の構造が単純になる。しかしながら、ほとんどのプラスチックはかなり弱い。非常に長い器具、例えば1メートルよりも長い器具の場合、器具の遠位端においてツールを操作するように構成されたステアリングケーブル及び作動ケーブルの両方のケーブルに加えられる大きい力に起因して問題が生じ得る。問題は、望ましくない切断、プラスチック管内のスリップスティック効果、及び多くの場合、ケーブル上の高すぎる摩擦であり得、ステアリングケーブルによるステアリングを困難にし、管理を困難にする。その上、多くのプラスチックの機械的特性は、器具全体の回転を妨げるいくつかの湾曲部を通して誘導されたかもしれない場合に使用中に器具を回転させることが可能であるべきであるために必要とされる十分に高いねじり剛性を保証するには貧弱すぎることがある。プラスチック管の別の欠点は、器具の遠位端においてツールを操作するための作動ケーブルを設けられている場合、作動ケーブル内の力が、押出成形プラスチック管内で許容される最大の長手方向の力を超える程度まで増大する可能性があることであり得る。もしそうであれば、許容可能な力でツールを操作することは不可能であろう。その上、プラスチック管が湾曲した配置にあり、大きい力が作動ケーブルに加えられる場合、ステアリングケーブルのためのチャネルは、特に屈曲/偏向部分において変形され得、そのため、ステアリングケーブルはクランプされ、チャネル内でもはや自由に動くことができず、このことから、遠位偏向可能ゾーンのステアリングの適切な動作を妨げる。
【0007】
[0007]1.5メートル長(又はそれより長い)の器具が適用され得る結腸鏡検査など、より長い器具が必要とされる医療用途では、ステアリング性、可撓性、剛性、及び精度に関する要件が著しく増大する。エンドエフェクタ作動下でもステアリング性、長手方向の剛性、ねじり剛性、耐久性、及び遠位端における機械的に作動されるツールの適用性に関して、先行技術のデバイスよりも良好な性能を有するそのような器具を開発することが所望される。
【0008】
[0008]医療用途では、患者に外科的処置を行うために使用された後の器具の汚染は、望ましくない術後合併症をもたらす問題となる可能性がある。汚染は、血液、他の体液、組織、等に起因し得る。汚染の結果として、器具は、器具が使用される次の患者の健康を脅かす可能性がある細菌、ウイルス、又は他の生物学的若しくは化学的物質を含み得る。
【0009】
[0009]この汚染を回避する1つの方法は、各使用前に器具の徹底的な洗浄及び滅菌を行うことを必要とする。多くの場合、洗浄プロセスは、全ての汚染を取り除くことが可能ではなく、及び/又は非常に高価である。従って、そのような器具で治療される患者に悪影響を及ぼすリスクが依然として存在する。汚染のリスクを防止するために、一度だけ使用され、一人の患者を治療した後に捨てられる使い捨て器具を使用することが好ましい。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明の第1の態様によると、長尺器具に接続するためのステアリングデバイスは、ステアリングプレート及びロッキングプレートが共に動くように長尺器具のステアリングプレートを固定することができる結合部を有するロッキングプレートと、ロッキングプレートを動かすためのステアリングユニットとを備える。長尺器具は、器具シャフトに沿って延在し、器具シャフトの近位端においてステアリングプレートに固定された複数の長尺要素を備え、ステアリングプレートは、器具シャフトに固定された支持部材の周りに移動可能に接続される。
【0011】
[0011]そのようなステアリングデバイスは、医療又は他の手術のための器具の容易な結合及び分離を可能にすることができる。長尺器具は、ステアリング目的で長尺要素を使用することができ、ステアリングユニットによって制御される任意の数の方向への遠位端における屈曲及び動きを可能にする。長尺要素が固定されるステアリングプレートを有することによって、長尺要素は、適切なステアリングのために張力を掛けられた状態で保持され、ステアリングプレートは、容易な接続及び切り離しを可能にする。これは、非技術者であっても、必要とされるときに器具をステアリングユニットに迅速、確実且つ容易に結合することを可能にする。この単純な接続により、器具は使い捨て可能であり得、その一方で、より複雑なステアリングデバイス及びステアリングユニットの部分は再使用可能である。
【0012】
[0012]実施形態によると、ロッキングプレートは、ステアリングプレートからの1つ以上の突出部を受け入れるための1つ以上の開口部を有する第1のプレートと、1つ以上の開口部中に1つ以上の突出部を固定することができる第2のプレートとを備える。オプションとして、第2のプレートは、1つ以上の突出部の1つ以上の開口部に入る又はそれから出る動きを可能にするための開位置から、ステアリングプレートがロッキングプレートに固定され、1つ以上の突出部が1つ以上の開口部から動くことができないロック位置まで回転する。そのような接続は、ステアリングデバイスへの器具の迅速、確実且つ容易な結合及び分離を可能にする。開口部及び突出部の結合を示し、議論するが、例えば、スナップ、クランプ、磁石、等を使用する、多くの他の種類の迅速且つ確実な結合を使用することができる。
【0013】
[0013]実施形態によると、ステアリングユニットは、空間中でのステアリングプレートの動きを可能にするために、1つ以上の軸を中心として接続された1つ以上のフレームを備える。ステアリングプレートの任意の動きを可能にすることによって、器具の動きを、より精密に制御することができる。
【0014】
[0014]実施形態によると、ロッキングプレートは、ロッキングプレートがステアリングユニットに対して回転することができるようにステアリングユニットに接続する。オプションとして、ロッキングプレートは、円周玉軸受を用いてステアリングユニットに接続する。そのような接続は、器具の回転及び遠位端における屈曲の動きを可能にすることができる。
【0015】
[0015]実施形態によると、長尺要素は、長尺器具の遠位端を動かすために長尺器具を通って延在する可撓性ケーブル又はワイヤである。他の実施形態では、長尺要素は、剛性ケーブル又はワイヤであり得、それによって、器具の動きを非常に精密に制御するために、ステアリングデバイスによる押し出す及び引っ張る動きを可能にする。
【0016】
[0016]本発明の更なる態様によると、ステアリングデバイスに接続するための長尺器具は、遠位端と近位端とを有する長尺シャフトと、シャフトの近位端に位置するステアリングプレートと、ステアリングプレートは、シャフトの周りに接続された中央支持部材の周りに移動可能に配置され、ステアリングプレートは、ステアリングプレートの動きを制御するためにステアリングプレートをステアリングデバイスに結合するための結合部を備える、シャフトに沿って延在して、近位端においてステアリングプレートに固定された複数の長尺要素とを備える。
【0017】
[0017]そのような器具は、様々な医療手術において使用することができ、長尺要素及びステアリングプレートは、手術中における任意の数の方向への器具の屈曲及び制御された動きを可能にする。ステアリングプレートは、屈曲又は動きの程度及び方向の精密な制御を可能にし、様々な手動又はロボットステアリングデバイスに容易且つ迅速に接続する(及びそれから切り離す)ことができる。器具は、単純な結合で使用する準備ができており、次いで、単純な分離後に廃棄することができ、新しい器具と共に再使用するために、最も複雑な(且つ高価な)部分、例えばステアリング、ハンドル、ロボット部分を残す。いくつかの実施形態では、ステアリングデバイスから器具を取り除くことは、廃棄の代わりに再使用のためのより容易な除染を可能にすることができる。
【0018】
[0018]実施形態によると、複数の長尺要素は、ステアリングプレートの周りに円周方向に固定される。これは、器具の遠位端、又は長尺要素が接続される器具シャフトの任意の部分の(長尺要素の数及び配置に応じて)任意の数の方向への屈曲を可能にする。
【0019】
[0019]実施形態によると、結合部は、ステアリングデバイスのロッキングプレートに開放可能に接続するための1つ以上の要素を備える。オプションとして、1つ以上の要素は、ステアリングデバイスのロッキングプレートに開放可能に固定することができる1つ以上の延長部を備える。結合部はまた、異なる形態、例えば、開口部を有するステアリングプレート及び延長部を有するロッキングプレート、スナップ、クランプ、等を用いる結合部であり得るが、器具をステアリングデバイスに固定し、所望のときに分離するために迅速且つ容易に使用することができる確実な結合部を提供しなければならない。
【0020】
[0020]実施形態によると、中央支持部材は、ボール形状の要素を備え、ステアリングプレートは、ステアリングプレートがボール形状の要素の周りを回転することができるようにボール形状の要素に接続される。そのようなボール形状の要素は、長尺ステアリング要素のよじれ又はもつれを引き起こす可能性があるあらゆる動きを防止しながら、器具シャフトに対してステアリングプレートが必要とする動きを可能にすることができる。
【0021】
[0021]実施形態によると、複数の長尺要素は、ステアリングプレート中の複数の開口部を通って延在し、各長尺要素は、長尺要素をステアリングプレートに固定するために近位端において留め具を備える。オプションとして、複数の長尺要素は、複数の可撓性ワイヤ又はケーブルを備える。更にオプションとして、複数の可撓性ワイヤ又はケーブルは、長尺シャフトに沿った位置とステアリングプレートに沿った位置との間で張力を掛けられる。そのような構成は、精密なステアリング制御に必要とされる程度に長尺要素が張力を掛けられたままでいることを保証することができる。これは、可撓性ケーブル又はワイヤを使用するときに特に重要である。接続及び張力付与は、器具が製造されているときに行うことができ、そのため、手術のために器具を使用する前に、ステアリングユニットへの単純な結合のみが行われる必要がある。更なる実施形態では、結合部は、長尺要素に張力を掛けるか、又は適切な張力付与を保証するように設計することができる。
【0022】
[0022]本発明の更なる態様によると、ステアリングユニットに結合することができるステアリング可能な器具を製造する方法は、長尺シャフトとステアリング可能な部分とを有する器具を形成することと、近位端において長尺シャフトの周りにステアリングプレートを移動可能に接続することと、ステアリングプレートは、ステアリングプレートの動きを制御するためにステアリングプレートをステアリングデバイスに結合するための結合部を備える、複数の長尺器具をステアリング可能な部分及びステアリングプレートに接続することとを備える。そのような方法は、ステアリングデバイスに迅速且つ容易に接続又はそれから切り離して手術を行うことができるステアリング可能な器具を製造することができる。
【0023】
[0023]実施形態によると、複数の長尺要素をステアリング可能な部分及びステアリングプレートに接続するステップは、複数の長尺要素を複数の指部を備える支持部に接続することと、複数の長尺要素の各々は、複数の指部のうちの1つに接続する、 複数の長尺要素を支持部でステアリング可能な部分及びステアリングプレートに接続することと を備える。支持部を複数の指部と共に使用することにより、長尺要素が支持され、ステアリングデバイスに容易に接続するための適切な位置にあることを保証することができる。そのような構成は、ステアリングプレートが、使い捨て器具の一部ではなく、再使用可能なステアリングデバイスの一部であることを可能にすることができ、器具の使い捨て部分のためのより少ない廃棄物及びコストをもたらす。
【0024】
[0024]本発明の更なる態様によると、ステアリングデバイスに接続するための長尺器具は、遠位端と近位端とを有する長尺シャフトと、長尺シャフトの近位端における支持部と、支持部は、基部と、長手方向軸から円周方向に外向きに延在する複数の指部とを備える、長尺シャフトに沿って延在し、近位端において支持部に固定された複数の長尺要素とを備える。そのような支持部は、器具の長尺要素が、容易な結合及び分離のためにステアリングデバイスに接続するために適切に位置付けられることを保証する。支持部はまた、器具の適切な収納のために長尺要素が張力を掛けられた状態で保持されることを保証することができ、そして使用中に器具の遠位端の動きを制御するために要素が意図されるように作動することを保証することができる。支持部は、構成に応じて、金属、プラスチック、又は材料の組み合わせから形成することができる。
【0025】
[0025]実施形態によると、基部は、シャフトの周りに接続する。これは、緊密な結合、溶接、接合、接着剤、ねじ、ねじ山、ばね要素、又はシャフトに対して基部を固定するであろう任意の他の手段によるものであり得る。基部は、器具の近位端近くの短い距離だけ延在し得るか、又はいくつかの実施形態では、基部は、シャフトの全長又は実質的に全長にわたって遠位端まで延在し得る。基部は、長尺要素を適切に位置付け及び固定するために指部が延在する安定した支持体を保証する。
【0026】
[0026]実施形態によると、基部は、長尺管を備え、指部は、長尺管を複数の長手方向セクションに切ることによって形成される。オプションとして、切れ目は、器具の近位端から長尺器具の遠位端に曲げ力を少なくとも部分的に伝達するように長尺管全体にわたって延在することができ、それによって、器具の遠位端をステアリングするのを助ける。長尺管は、外管であり得るか、又は1つ以上の更なる管及び/又は保護層によって囲むことができる。指部を形成するために切られる長尺管の使用は、支持部を形成し、基部と指部とが分離しないことを保証する単純な方法を提供する。加えて、ステアリングのために使用される管から指部を形成することは、長尺要素が、追加の半径又は部分を器具に追加することなく、容易な結合のために構成されることを保証することができる。
【0027】
[0027]実施形態によると、指部の各々は、長尺要素が固定されるカラー及び/又は開口部を備える。カラーは、例えば、長尺要素及び/又は長尺要素の接続部材を受け入れて固定するためのチャネルを有する指の半径方向内側に接続された本体であり得る。開口部は、長尺要素及び/又は長尺要素の接続部材を受け入れて固定することができる指部内の任意の形状の開口部(例えば穴、鍵穴)であり得る。このことから、長尺要素は、適切な構成のために指部に固定されて、ステアリングデバイスに容易に結合し、それらが使用前又は使用中に結合解除されないことを保証する。長尺要素は、器具の使用中に長手方向に動くことが可能となるように結合される。いくつかの実施形態では、長尺要素は、カラー又は開口部への接続によって張力を掛けられ得る。これは、長尺要素が適切に位置付けられ、必要とされるときに使用の準備ができていることを更に保証することができる。張力付与は、摩擦接続によるか、又は接合若しくは機械的な取り付け若しくは接続によるものであり得る。接合又は機械的な取り付けによるものである場合、この取り付けは、ステアリングデバイスへの接続及び/又は使用の際に破断するように構成することができ、このことから、適切なステアリングのための長尺要素の長手方向動きを容易にする。
【0028】
[0028]実施形態によると、支持部の複数の指部は、指部が長尺器具の長手方向軸の近くに延在する収納位置から、指部が長手方向軸から外向きに延在する使用位置に動くことができる。そのような構成は、使用構成への容易な動きを可能にしながら、輸送及び収納のためのより小さい覆いを可能にすることができる。指部を長手方向軸のより近くに動かす能力はまた、全体的により小さい体積に起因して、より少ない梱包材料の使用を可能にすることができる。
【0029】
[0029]実施形態によると、指部は、静止しているときに使用位置に対して外向きに付勢することができ、梱包又は他の材料が取り除かれるとすぐに支持部及び器具が結合する準備ができていることを保証する。
【0030】
[0030]実施形態によると、支持部及び/又は長尺器具は、ステアリングデバイスに結合するための結合部を備える。これは、シャフト及び/又は長尺要素内にあることができ、例えば、長尺要素の端部及び/又は指部の一部分上の結合部分は、ステアリングデバイスの部分に固定することができる。いくつかの実施形態では、長尺要素及び/又は指部は、ステアリングプレートに接続し、シャフトも、ステアリングデバイスに接続する。ステアリングデバイスは、次いで、シャフトに対して長手方向に長尺要素を動かすことができ、それによって、器具の遠位端の動きを制御する。
【0031】
[0031]実施形態によると、長尺要素は、可撓性ワイヤ又はケーブルである。支持部は、個々のワイヤ又はケーブルの可撓性にもかかわらず、ステアリングデバイスとの容易且つ適切な結合のためにワイヤ又はケーブルが位置付けられることを保証することができるので、可撓性ワイヤ又はケーブルと共に特に有用である。オプションとして、支持部は、ワイヤ又はケーブルに張力を掛けることさえでき、遠位端、又はワイヤ若しくはケーブルが固定される器具の一部の制御のためにワイヤ又はケーブルが適切な力を伝達することを保証するのに役立つ。
【0032】
[0032]本発明の更なる特徴及び利点は、非限定的且つ非排他的な実施形態による本発明の説明から明らかになるであろう。これらの実施形態は、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の他の代替形態及び等価の実施形態を想到し、実施することができることを理解するであろう。その上、異なる実施形態の別個の特徴は、たとえ明示的に図面に示されていなくても、又は本明細書で説明されていなくても、そのような組み合わせが物理的に不可能でない限り、組み合わせることができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの技術的等価物によってのみ限定される。
【0033】
[0033]本発明は、添付の図面を参照して以下でより詳細に議論され、図面では、同様の又は同じ参照符号は、同様の、同じ、又は対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】[0034]本発明の実施形態によるステアリングデバイスを有する器具を示す。
【
図1B】[0035]
図1Aのステアリングデバイスを有する器具を示し、器具は、ステアリングデバイスから切り離されている。
【
図2A】[0036]器具の端部及びステアリングデバイスのロッキングプレートの斜視図を示す。
【
図2B】[0037]
図2Aの器具の端部及びロッキングプレートの斜視図を示し、器具は、ロッキングプレートから分離している。
【
図3A】[0038]ステアリングデバイスに接続された器具の端部の実施形態の斜視図を示す。
【
図3B】[0039]接続され、遠位端の偏向を伴うステアリングデバイスを有する器具一式を示す。
【
図4】[0040]ステアリングプレートへの接続のために拡張されている剛性の長尺要素の斜視図を示す。
【
図5】[0041]ステアリングプレートの異なる実施形態に接続する剛性の長尺要素を示す。
【
図6】ステアリングプレートの異なる実施形態に接続する剛性の長尺要素を示す。
【
図7】ステアリングプレートの異なる実施形態に接続する剛性の長尺要素を示す。
【
図8A】[0042]ステアリングデバイスのためのロッキング機構の様々な実施形態に接続し、ロックされている剛性の長尺要素を示す。
【
図8B】ステアリングデバイスのためのロッキング機構の様々な実施形態に接続し、ロックされている剛性の長尺要素を示す。
【
図9A】ステアリングデバイスのためのロッキング機構の様々な実施形態に接続し、ロックされている剛性の長尺要素を示す。
【
図9B】ステアリングデバイスのためのロッキング機構の様々な実施形態に接続し、ロックされている剛性の長尺要素を示す。
【
図9C】ステアリングデバイスのためのロッキング機構の様々な実施形態に接続し、ロックされている剛性の長尺要素を示す。
【
図10A】[0043]器具がステアリングデバイスに結合されているステアリングデバイスの実施形態を示す。
【
図10B】器具がステアリングデバイスに結合されているステアリングデバイスの実施形態を示す。
【
図11】[0045]器具の端部に接続された支持部の実施形態の斜視図を示す。
【
図12】[0046]器具の端部に接続された支持部の第2の実施形態の斜視図を示す。
【
図13】[0047]支持部の第3の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[0048]同様の要素を示すために、異なる図において同様の参照番号が使用されるであろう。
【0036】
[0049]
図1Aは、本発明の実施形態によるステアリングデバイス102を有する器具100の非限定的な実施形態を示す。
図1Bは、ステアリングデバイス102から切り離された器具100を示す。
図2Aは、共に固定された器具100の端部及びステアリングデバイス102のロッキングプレート116の拡大斜視図を示し、
図2Bは、分離された器具100の端部及びロッキングプレート116の斜視図を示す。
【0037】
[0050]器具100は、医療又は他の手術において使用するための任意のステアリング可能な器具を表すように概略的に示されている。適切な器具構成は、2018年10月16日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「Steerable instrument comprising a tube element」と題されたNL2021823に見出すことができる。器具100は、長尺シャフト106と、中心軸109を中心として配置された複数の長尺要素108とを備える。示される長尺要素108は、可撓性ケーブル又はワイヤであり、器具シャフト106に沿って延在し、器具の近位端においてステアリングプレート110に接続し、器具の遠位端において遠位偏向可能セクション(図示せず)に接続する。代替として、そのような長尺要素は、例えばWO2009/112060A1、WO2009/127236A1、WO2017/213491A1、及びWO2018/067004に詳細に説明されているように、管要素内の長手方向ストリップ形状の要素によって実装され、円筒管内で所定のパターンをレーザ切断することから生じる長手方向スロットによって分離され得るか、又は剛性ケーブル若しくはワイヤにより得る。
【0038】
[0051]ステアリング可能な器具は、器具の遠位端をステアリングするため及び/又は器具の遠位端において配置されたツールを操作するために、手動で操作される場合に近位端において配置されるハンドルを含むことができる(
図10A~10Dを参照)。そのようなツールは、例えば、カメラ、手動マニピュレータ、例えば一対の鋏、エネルギー源、例えば電気、超音波、又は光エネルギー源を使用するマニピュレータであり得る。器具は、遠位端に適用されるツールのタイプに関して制限を有しない。ハンドル又はロボットステアリングユニット及び/又は接続のタイプは、遠位端において適用されるツールのタイプ、意図される使用、及び他の器具又は動作要件に応じて選択されるであろう。
【0039】
[0052]器具100のステアリングプレート110は、この実施形態ではボール形状として示す支持部材111に移動可能に接続するが、異なる実施形態では異なる形状にすることができる。いくつかの実施形態では、ステアリングプレート110は、異なるように(例えばチャネル又はロッキングプレートに直接)接続され得、及び/又は支持部材111を含まないことがある。支持部材111は、シャフト106の近位端においてシャフト106の周りに堅く接続される。ステアリングプレート110は、支持部材111の周りで偏向することができる(しかし回転はしない)。これは、例えば、それぞれ支持部材111及びステアリングプレート110におけるピン及び凹部を用いて行うことができる。そのような動きは、ステアリングプレート110がステアリング動作のために動くことを可能にするが、ステアリング能力の損失及び器具100の遠位端の偏向の制御の低下をもたらす可能性がある長尺要素108の巻き取りをもたらす可能性がある完全な回転を防止する。
【0040】
[0053]各長尺要素108は、ステアリングプレート110における開口部112を通って接続し、様々な異なる方法のうちの1つ、例えば、圧着、要素の端部を屈曲させること、開口部よりも大きいボール又は他のデバイスを要素の端部に取り付けること、等でステアリングプレート110に固定する。長尺要素108は、ステアリングプレート110の異なる部分に、典型的にはステアリングプレート110の周りに円周方向に接続する。長尺要素108のステアリングプレート110への接続は開いた状態で図示されているが、使用する器具では、要素108及び場合によってはステアリングプレート110は、例えばスリーブによって覆われている可能性が高いであろう。長尺要素108のステアリングプレート110への固定は、典型的には製造時に行われ、そのため、器具100は、ステアリングデバイス102への単純な結合によって使用の準備ができた場所に出荷することができる。異なる器具は、所望の偏向能力に応じて異なる数の長尺要素108を含むことができる。
【0041】
[0054]ステアリングプレート110には、器具100をステアリングデバイス102のロッキングプレート116に接続するための3つの軸方向に延在する突出部114が接続されている。異なる実施形態は、より多い又はより少ない接続点を有することができ、及び/又はステアリングプレート110を有する器具100をステアリングデバイス102に接続するための異なる解放可能な結合構成を含むことができる。
【0042】
[0055]ステアリングデバイス102は、開口部120を有する第1のプレート118を有するロッキングプレート116と、固定スロット123を有する第2のプレート122とを含み(
図2Aを参照)、例えばバヨネット継手を形成する。第1のプレート118は、第2のプレート122が、固定スロット123のより広い部分が開口部120と位置合わせされる開位置から、固定スロットの狭い部分が開口部120と位置合わせされる閉位置(
図2Aを参照)にあり得るように、第2のプレート122に回転可能に接続される。閉位置では、突出部114は、開口部120に固定され、ステアリングプレート110は、それによって、ロッキングプレート116に固定されてロッキングプレート116と共に動く。
【0043】
[0056]ロッキングプレート116は、ステアリングユニット102に接続される。ステアリングユニット102及び接続の単純なバージョンが、
図1A~1Bに図示され、ロッキングプレート116は、ヒンジ軸126を中心としてアクチュエータ124に接続される。他の実施形態は、空間内でのステアリングプレート110(及びロッキングプレート116)の任意の動きを可能にするために、別のヒンジ軸を有する別のフレームを含むことができる(例えば
図3A~3Bを参照)。ステアリングユニット102は、手動で、又はロボットを通して、又はその2つの組み合わせを通して制御することができる。
【0044】
[0057]
図1A及び2Aに図示するように、器具100は、突出部114を開口部120内に固定することによってロッキングプレート116に接続するステアリングプレート110を通してステアリングデバイス102に接続する。第2のプレート122は、突出部がスロット123によって固定され、開口部120を通って戻ることができないように回転される。
【0045】
[0058]器具100は、次いで、ロッキングプレート116を動かすためにアクチュエータ124を使用してステアリングデバイスによって制御することができる。ステアリングプレート110がロッキングプレート116に固定されると、ステアリングプレート110は、ロッキングプレート116の動きに伴って支持部材111の周りを動き、いくつかの要素108に張力を生じさせ、他の要素108に弛緩を生じさせる。これは、(
図3Bに示すように)要素108も接続される器具100の遠位端において器具シャフト106の軸109からの角度偏向を引き起こすであろう。要素108は、いくつかの実施形態では、器具100のシャフト106に沿った点(まさに遠位端ではない)において接続することができ、要素108が接続される器具シャフト106の一部に屈曲又は偏向を引き起こす。適切な数の長尺要素108を使用し、器具100の全長に沿った適切な位置においてそれらを接続することによって、任意の数の偏向又は屈曲ゾーンを含むことができる。加えて、角度偏向の量は、近位端から遠位端まで低減することができ、近位端における要素を、遠位端におけるよりも長手方向軸を中心としたより大きい半径方向距離の点において接続することができる。これは、近位端におけるより大きい動きが遠位端におけるより小さい偏向に変換することをもたらして、遠位端におけるツールの精密且つ正確な動きを保証する。器具は、いくつかの実施形態では、近位端からの動きが遠位端において増幅された反対の形で構成することができる。
【0046】
[0059]手術又は処置が完了すると、器具100をステアリングデバイス102から容易且つ迅速に切り離すことができる。これは、第2のプレート122を開位置まで回転させ、器具100を動かし、それによってステアリングプレート110及び突出部114をステアリングユニット102から軸方向に遠ざけて開口部120から出すことによって行われる。器具100は次いで破棄することができ、ステアリングデバイス102は、更なる手術のために、新しい清潔な器具100と共に使用するために利用可能である。いくつかの実施形態では、器具100は、再使用の準備のための洗浄及び衛生化のために送ることができる。そのような実施形態では、洗浄を必要とする部分を切り離す能力は、適切な洗浄及び滅菌を行うことができることを保証するのに役立ち得る。例えば、切り離された器具は、衛生化チャンバ内に配置することができるのに対して、切り離されなかった器具は、サイズ及び/又は他の敏感な部分に起因しないことがある。
【0047】
[0060]背景技術で議論したように、再使用された過去の器具は、安全な再使用のために広範な洗浄及び除染作業を経る必要があった。これは、必ずしも全ての汚染物質を除去しない時間の掛かるプロセスであった。いくつかのステアリング可能な器具は、洗浄を試みる時間、コスト、及びリスクを回避するために使い捨てであったが、毎回手術後に器具一式を廃棄することは、非常にコストが掛かる。迅速、容易且つ確実な形で器具100に結合し、器具100から分離することができるステアリングデバイス102を使用することによって、汚染を受ける器具の一部のみを廃棄する(又はいくつかの状況では洗浄及び滅菌する)ことができ、他の部分は、広範な除染プロセスを必要とせずに安全に再使用することができる。そのような器具のステアリング部分は複雑で比較的高価な部分であり得るので、ステアリング部分から器具の露出部分を分離することが可能であり、露出部分のみを廃棄することは、大きい経済的利益であり、より少ない廃棄物をもたらす。ステアリングプレート110とステアリングデバイス102のロッキングプレート116との間の迅速且つ単純な結合を使用することは、使用場所において、非訓練者又は非技術者による、再使用可能なステアリングデバイス102への使い捨て器具100の迅速な結合及び分離を可能にする。
【0048】
[0061]
図3Aは、ロボット制御装置129の概略図を含む、ステアリングデバイス102に接続された器具100の端部の第2の実施形態の斜視図を示し、
図3Bは、接続され、遠位端の偏向を伴うステアリングデバイス102を有する器具一式100を示す。器具100は、
図1A~2Bにあるようにステアリングデバイス102に結合され、ステアリングプレート110は、ステアリングデバイス102のロッキングプレートに結合される(
図3A~3Bには図示せず)。
【0049】
[0062]ステアリングデバイス102は、内側フレーム130がヒンジ軸134を中心として外側フレーム131内で回転することができるように、軸134において外側フレーム131に接続された内側フレーム130を含む。軸134を中心とした回転は、アクチュエータ124によって制御される。外側フレーム131は、ヒンジ軸132においてステアリングデバイス102に接続される(そのような接続は、
図3A、3Bに図示せず)。軸132を中心とした回転もアクチュエータ124によって制御される。2つのヒンジ軸132及び134を中心としたそのような懸架は、空間内の任意の角度位置におけるステアリングプレート110の動きを可能にする。ステアリングプレート110はまた、玉軸受懸架を用いて内側フレーム130に円周方向に結合され、そのため、ステアリングプレート110及び従って器具100は、内側フレーム130内で回転することができる。この回転懸架は、ステアリングプレート110と内側フレーム130との間の回転軸受であり得るが、異なる実施形態では他の形で行うことができる。回転は、ステアリングプレート110(従って回転要素108)及び器具シャフト106を含む器具の全てを回転させる。一般に、シャフト106(又は器具100の別の管)は、器具が所望の偏向位置に留まることを保証するように構成され、従って、回転が長手方向軸に沿ったものであり、偏向された先端の軌道回転をもたらさないことを保証する。これは、ケーブル108が回転の動きからよじれないことを保証し、先端は、その空間的な向きを維持しながら回転することができる。
【0050】
[0063]
図3Bは、器具100の遠位端に偏向を引き起こすステアリングプレート110の偏向の例を示す。アクチュエータ124は、ある特定の方向に偏向されるように内側フレーム130を動かす。これは、いくつかのワイヤに張力を、他のワイヤに弛緩を生じさせ、それによって、遠位端に偏向を引き起こす。異なる偏向に対して、ステアリング機構102は、軸132を中心としてフレーム131の回転を引き起こすことができる。器具100はまた、ステアリングプレート110を内側フレーム130に対して回転させることによって、この屈曲位置において回転することができる。この回転は、器具100に沿ったシャフト、内管及び/又は外管の回転を通して遠位端に伝達される。器具100の遠位端(可能なツールを有する)が次いで回転される。いくつかの実施形態は、ステアリングユニット102に図示する同じ動きに対して遠位端の反対の偏向を引き起こすように、遠位端において異なるように接続された(例えば180°回転された)ワイヤを含むことができる。
図1A~1Bに関連して上記で議論したように、偏向の動きを増大又は減少させることができる。
【0051】
[0064]
図3A~3Bに見られるように、ステアリングプレート110の任意の3次元平面内の動き及び回転の動き、従って器具100の任意の屈曲又は回転を可能にするために、ステアリングデバイス102を通した懸架及び制御は複雑になる可能性がある。器具の長尺要素108が固定されるステアリングプレート110を使用し、ロッキングプレート116への迅速であるが単純且つ確実な結合を提供することによって、使い捨て器具100を可能にしながらステアリングデバイス102を再使用することができる。これは、より複雑なステアリングデバイス102を可能にし、特にロボット用途に有用である。
【0052】
[0065]
図1A~3Bは、器具のステアリングのために長尺要素108について可撓性ワイヤ又はケーブルを使用する器具を示す。そのような器具は、長尺要素108のステアリングプレート110への接続を必要とし、ステアリングプレート110は、シャフト106(支持部材111を通して)又は近位端における別の固定接続に接続して、長尺要素108が張力を掛けられた状態で保持されることを保証して、ステアリングデバイス102に接続されたときに適切なステアリングの動きを可能にする。そのような張力付与は、製造時に行うことができ、及び/又はステアリングデバイス102への結合のために使用される結合部を通して部分的に行うことができる(例えば
図10A~10D参照)。ステアリングプレート110を動かすステアリングデバイス102の動きは、器具の動き、特に遠位先端における屈曲をもたらす。次いで、フレーム130、131は、
図3Aに示すように位置合わせされ、長尺要素108は、静止位置にあり、器具は、一般に、その長手方向軸(又は器具が構成される任意の静止位置)に沿って直線的に延在する。ステアリングデバイス102がフレームのうちの1つの動きを引き起こすと、例えば、軸132を中心として屈曲すると、軸132の一方の側の長尺要素は張力を掛けられた状態で引っ張られ、反対側の長尺要素は弛緩位置に動く。これは、張力を掛けられた長尺要素が器具100の遠位頂部をその方向に引っ張り、弛緩された要素が屈曲の動きを可能にするので、3D空間内での遠位先端の屈曲をもたらす。当然ながら、より複雑な屈曲及び/又は回転の動きを、特にロボットステアリングデバイス129が精密な動きを制御するために使用されるときに、フレーム及び回転軸の使用を通して実行することができる。
【0053】
[0066]
図4~10Dは、長手方向に剛性を有するケーブル、ワイヤ、又は他の長尺要素を使用することができる代替の実施形態を示す(図は、概略図としてのみ長尺ストリップを示す)。そのような剛性ケーブル又はワイヤ108を使用する器具は、器具100の遠位先端の精密な偏向のために、要素108がステアリングプレート110によって押し込まれるか又は引っ張られることができるという点で、追加の偏向能力を有するであろう。加えて、剛性ケーブル又はワイヤの長手方向剛性は、剛性の長尺要素がステアリングプレート110に張力を掛けられる必要がないため、ステアリングプレート110がシャフト106に接続する必要性を排除することができる。従って、それらは、以下の実施形態に示すように、ステアリング/ロッキングプレートに直接接続することができる。
【0054】
[0067]
図4は、(
図1A~3に見られるような使い捨て器具の一部の代わりに)ステアリングユニットの一部であるステアリングプレートに接続するための拡張する剛性の長尺要素408の例を示す。長尺要素408は、円錐形状のデバイス402によって器具の中心軸409から外向きに延在するように配置され、円錐形状のデバイス402は、長尺要素408が円錐形状のデバイス402の外面によって拡張されるようにシャフト406を取り囲むように配置される。
【0055】
[0068]任意の他の適切なデバイス又は方法を、長尺要素が器具の中心軸から外向きに延在するように、近位端において長尺要素を適切に配置するために使用することができることが理解されるべきである。
【0056】
[0069]
図5は、器具が接続されている一実施形態によるステアリングデバイス500を示す。
【0057】
[0070]ステアリングデバイス500は、支持部材502及びステアリング部材504を備える。支持部材502は、第1のチャネル508によって横断されるボール形状の要素を備え、第1のチャネル508は、円形状を有し、ステアリングデバイス500の近位端510からステアリングデバイス500の遠位端512まで延在する。第1のチャネル508は、ステアリングデバイス500の近位端においてボール形状の要素506から延在し、それによって、ボール形状の要素から外向きに延在する中空管514を画定する。
【0058】
[0071]ステアリング部材504は、ステアリングプレート516と、ステアリングプレート516の中心に位置する第2のチャネル518とを備え、第2のチャネル518は、円形状を備える。支持部材502は、ステアリング部材504がボール形状の要素506の周りを動くことができ(ただし、
図1A~2Bに関連して説明したように、中心軸530を中心として回転しない)、且つ第1のチャネル508の中心軸520が第2のチャネル518の中心軸530と一致するように、第2のチャネル内に配置される。
【0059】
[0072]ステアリングプレート516は、ステアリングプレート516の円周から内向きに延在する複数の溝532を備え、溝532は、U字形状を有するが、異なる実施形態ではいくつかの異なる形状を取ることができる。
【0060】
[0073]ステアリングデバイス500は、以下の方法で器具に取り付けられるように構成される。各長尺要素408は、溝532内に嵌合して溝532内に固定することができる接続部509を含む。この場合、T字形状の接続部は、溝内に入るためのより狭い部分と、接続されると長尺要素の長手方向の動きが許容されないことを保証するための端部におけるより広い部分とによって形成される。器具の内側シャフト406は、器具の中心軸409が第1のチャネル508の中心軸520と一致するように、且つ長尺要素408の接続部509が溝532と位置合わせするように、ステアリングデバイス500の遠位端に位置する支持部材502の第1のチャネル508の側面に導入される。長尺要素408の接続部509が、次いで、溝532内に押し込まれ、そのため、
図6に示すように、T字形状の上側のより広い部分がステアリングプレートの近位側に固定される。
【0061】
[0074]いったん長尺要素408がステアリングプレート516に固定されると、支持要素506の周りのステアリングプレート516の動きは、長尺要素408を押し込むか又は引っ張り、それによって遠位偏向を引き起こす(
図3Bに見られるように)。
【0062】
[0075]
図7は、
図5のステアリングデバイス500の代替の実施形態を示し、ステアリングプレート516は、円周溝の代わりに複数の開口部702を備える。器具をステアリングデバイス700に取り付ける方法は、
図5を参照して説明したものと同様であるが、この実施形態では、長尺要素の接続部509は、ステアリングプレート516の受け入れ部分内に「カチッと入る」ように開口部に押し付けられる。この実施形態に見られるように、接続部は、ステアリングプレート516内の相補的な形状の受け入れ部分内にカチッと入り、それは、特徴的捕捉部(ここでは、T字形状の接続部509のより広い「頂部」)を固定位置に誘導するための傾斜部及び中央開口部を有する。
【0063】
[0076]
図8A及び8Bは、ロッキングプレート804の形態のロッキング機構を更に備える
図6の実施形態を示す。
図8A及び8Bに示すロッキング機構802は、開位置(
図8Aに図示)と閉位置(
図8Bに図示)との間で移動可能である。
【0064】
[0077]
図8Aに見られるように、ステアリングデバイス500及び器具は、
図5を参照して説明したように、長尺要素408が溝532内に配置されるように互いに結合される。
図8Aは、長尺要素408をステアリング部材504に固定するためのロッキング機構802を示し、ロッキング機構802は、長尺要素408を溝532に挿入するか又はそこから取り除くことができるように開位置にある。ロッキング機構802は、支持部材502の管514が開口部を通過することができるように、中央に開口部を有する円形状を有するロッキングプレート804を備える。ロッキングプレート804は、長尺要素408が溝532に挿入されるか又はそこから取り除かれる開位置から、長尺要素が開口部内に固定されるロック位置まで軸方向に移動可能であり、例えば、ロッキングプレート804は、中心軸806に沿ってステアリングデバイス500に向かって又はそれから離れるように動くことができ、及び/又は回転する形で動くことができる。
【0065】
[0078]
図8Bは、ロッキングプレートを器具に向かって軸方向に動かすことによって、ロッキング機構が
図8Aに示す開位置から
図8Bのロック位置に動かされた
図8Aの実施形態を示す。この動きは、ロッキングプレート804がステアリングプレート516及び/又は長尺要素408の接続部509にカチッと当たり、それによって長尺要素408が溝532又は開口部702から取り除かれるのを防止するまでである。ロッキング機構及び/又はプレート804は、長尺要素408がステアリングプレート516に固定されることを保証するためにステアリングプレート516に迅速且つ確実に結合することができる限り、いくつかの異なる形状であり得、及び/又はいくつかの異なる形で接続することができる。接続はまた、操作が完了したときに迅速且つ容易に分離することができるようなものでなければならない。
【0066】
[0079]
図9A、9B、及び9Cは、
図8のロッキング機構の代替の構造を示す。
図9A、9B、及び9Cに示すロッキング機構1000は、ロッキングプレート1002を備える。ロッキングプレート1002は、ロッキングプレート1002をステアリングプレート516に対して回転可能に据え付けることができるように配置された開口部を備える。ロッキングプレート1002は、ロッキングプレートの外周の周りに延在する複数の突出要素1004を備える。突出要素1004の各々は、チャネル1010を形成するフック形状の側面1006と、傾斜側面1008とを備える。
【0067】
[0080]
図9Aは、長尺要素408をステアリングプレート516の溝532から取り除くことができるように、各長尺要素408が突出要素1004のフック形状の側面1006と隣接する突出要素1004の傾斜側面1008との間に位置する位置にあるロッキング機構1000を示す。
【0068】
[0081]ロッキングプレート1002は、
図9Aに示す開位置から
図9Bに示すロック位置まで時計回りに回転するように構成される。
図9Aに示すロッキングプレート1002は、長尺要素がフック形状の側面によって画定されるチャネル1010の内側にあるまで、突出要素1004の各々のフック形状の側面が対応する長尺要素408に向かって動くように回転され、それによって、長尺要素408がチャネル1010内に固定される
図9Bに示すロック位置に達する。
【0069】
[0082]
図9Cは、ロック位置から長尺要素408が溝から取り除かれた取り外し位置まで反時計回りに回転された後の
図9Bに示すロッキングデバイスを示す。ロッキングプレート1002を反時計回りに回転させることによって、突出要素1004の各々の傾斜側面1008は、対応する長尺要素408に向かって動き、そのため、長尺要素は、傾斜側面1008上を摺動し、傾斜側面1008によってその対応する溝532から押し出され、それによって、長尺要素408が溝532から外れる
図9Cに示す取り外し位置に達する。
【0070】
[0083]
図10A~10Dは、器具1100、ステアリングデバイス1101、及びロッキング機構1103を備える別の実施形態を示す。
図10A及び10Bは、共に結合された器具及びステアリングデバイスを示し、ロッキング機構は、
図10Aでは開位置にあり、
図10Bでは閉位置にある。
図10C及び10Dは、共に結合されている器具1100及びステアリングデバイスの断面図を示す。
【0071】
[0084]
図10A~10Dは、
図1A~1Cの器具のような器具1100を示し、長尺要素1102の接続部1104は、他の実施形態に示す異なる形状の代わりに円形状を有する。
【0072】
[0085]
図10A~10Dに示すロッキング機構1103は、
図9A~9Cに示すロッキングプレート1002と同様に動作するロッキング部分を有する半球形状を備える。ロッキング機構1103は、長尺要素1102の接続部1104を受け入れるためのスロットを含む。長尺要素1102は、受け入れ溝1108に通じる円錐セクション1106の曲率に従うことによって所定位置に滑り込ませることができる。
図10Cに見られるように、円錐セクション1106は、開位置にあるときにロッキング機構1103により近づくように動かされる。これは、溝1108へのより容易な挿入(及び長尺要素を取り除くこと)を可能にする。長尺要素1102が溝内に配置されると、ロッキング機構1103が回転して長尺要素を溝内の所定位置に固定する。これは、
図10A及び10Dに示す。ロック位置へのそのような回転の動きはまた、円錐セクション1106をロッキング機構1103に対して軸方向に延在させる(
図10Dを参照)。これは、長尺要素1102の適切な張力付与を保証して、器具の適切な屈曲及び偏向を保証する。器具は、ロッキング機構1103を回転させて円錐部分1106をステアリングデバイス1101により近づけ、長尺要素1102を溝1108から押し出し、それ続いて器具をステアリングデバイス1101から軸方向に引き離す同様のステップに従って容易に取り除くことができる。
図11Bに見られるように、ロッキング機構1103が開位置まで回転されると、長尺要素1102は、ステアリングデバイスからの器具の容易な取り外しのために溝1108から押し出される。回転は、例えば、把持部分1110の使用を通して手動で行うか、又は自動化することができる。
【0073】
[0086]
図11~13は、長尺要素のステアリング機構(
図4~10Dのうちのいずれかに図示するステアリング機構接続と同様の)への接続を可能にするために使用することができる支持部及び支持構成の実施形態を示す。示す各支持部は、金属又はプラスチック材料から作製することができ、いくつかの実施形態(例えば
図13)では、器具100自体の一部として形成することができる。
【0074】
[0087]
図11は、基部1122と、基部1122に堅く接続され、器具及び支持部1120に沿って延びる中央長手方向軸409から外向きに延在する指部1124とを有する支持部1120を示す。基部1122は、器具100のシャフト106の外側の周りに固定され、そのため、基部1122及び従って支持部1120は、器具シャフト106に対して長手方向に動く又はシフトすることができない。基部1122は、緊密な結合、溶接、接合、接着剤、ねじ、ねじ山、ばね要素、又は基部1122をシャフト106に対して固定するであろう任意の他の手段によって固定することができる。
【0075】
[0088]各アーム1124は、長尺要素1102が固定されるカラー部分1126を含む。
図11に示す実施形態では、各カラー部分は、長手方向要素1102の周りに固定された円筒を含み、要素1102を正しい半径方向位置/向きで且つ張力を掛けられた状態で保持する。要素1102は、ステアリングを容易にするためにカラー部分1126に対して長手方向に動くことが可能である。各要素1102は、各要素1102の端部において球体又は他の機械的特徴(例えば円筒、フック、穴)の形態の接続部509を有する。球体及び/又は支持部全体は、前の図に関連して説明及び示すように、ステアリングデバイス(ステアリングプレートを含み得る)への接続を容易にすることができる。長手方向の張力は、長尺要素1102間の摩擦力と支持部1120への接続とによって維持することができる。他の実施形態では、接合又は機械的取り付け又は接続を使用して、長尺要素1102の長手方向の張力を維持することができる。取り付けは、ステアリングデバイスに結合した後に破断するように構成することができる。これは、ステアリングの作動、又はステアリングデバイス内の接続を破断するステアリングデバイス内の機構のうちのいずれかに起因する可能性がある。例えば、要素1102のカラー部分1126への接続において少量の接着剤を挿入することができる。これは、ステアリングデバイスの一部が接着接続を破断するであろう及び/又はステアリングデバイスへの接続からの張力付与が接着接続を破断するであろう場所に物理的に位置することができる。
【0076】
[0089]
図12は、器具の端部に接続された支持部1220の第2の実施形態の斜視図を示す。支持部1220は、支持部1120と同様であり、同様の形で長尺要素1102に接続するが、基部1222は、器具100のシャフト106の一部として形成される。
【0077】
[0090]
図12に示す器具は、シャフト106に沿って延在し、その少なくとも一部を形成する1つ以上の円筒管から形成される。シャフト106を形成する1つ以上の管は、典型的には、ステアリングデバイスに接続する近位端部分(図示)から遠位端(
図3Bを参照)まで延在する。遠位端は、典型的には、ある種の器具(例えば鋏、グリッパ)を有するが、器具を有する必要はない。
【0078】
[0091]支持部1220は、近位端において指部1224に分割される外管1222から形成される。指部1224は、ある特定の長さ、例えば5~100mm、好ましくは10~50mm、より好ましくは15~30mmにわたって、近位端から円周の周りの様々な点において長手方向に管1222を切ることによって形成することができる。指部1224は、次いで、長尺要素1102を張力を掛けられたままにし、ステアリングプレート及び/又はステアリングデバイス(
図12に図示せず)に接続するための定位置に保つために、示すように外向きに位置付ける又は屈曲することができる。この屈曲は、
図4に示すようなデバイス又は他のデバイス若しくは方法を用いて行うことができる。切断は、例えばレーザ切断によって行うことができる。
【0079】
[0092]
図13は、長手方向に切られて指部1324を形成する長手方向の外管1322から同様に形成された支持部1320の第3の実施形態の斜視図を示す。指部1324は、長尺要素1102を接続することができる開口部1326を含む。可撓性ケーブルの形態の長尺要素1102は、指部1324に対してケーブルを固定するフック接続を通して開口部1326に接続する。他の適切な接続は、別の要素を通した接続、レーザ溶接、ろう付け及び/又は接合を含むことができる。この実施形態では、指部1324は、次いで、ステアリングプレート及び/又はステアリングデバイスに接続することができる接続部1328を含む。管1322の長手方向の切れ目は、器具の一部のみ又は全長にわたって延在し得、いくつかの実施形態では、ステアリング又は曲げ力を近位端から遠位端に伝達するために使用することができる。
【0080】
[0093]
図11~13に示す支持部の指部は、示す構成で作製することができ、器具が梱包されると、指部は、長手方向軸に実質的に平行なより小さい半径に折り畳まれるか又は屈曲される。開梱され、ステアリングデバイスに結合する準備ができているとき、指部は、手動で展開することができるか、又は結合のための位置に単に跳ね返るように構成することができる(即ち、それらは、静止しているときに
図11~13に示す位置にあるように張力を掛けられる)。指部を収納位置から使用位置に動かす能力は、全体的により小さい体積に起因して、収納及び/又は輸送のためにより少ない空間並びにより少ない梱包材料を必要とすることを可能にする。指部を有する支持部の使用は、容易な結合のために器具の長尺要素1102を支持して張力を掛け、次いで、ステアリングデバイスと共に使用するための容易な方法を提供する。支持部の使用は、従って、器具の使い捨て部分がステアリングプレートを含む必要性を排除することができる。
【0081】
[0094]要約すると、ステアリングデバイスに容易に接続及びそれから切り離すことができる器具を有することは、より経済的である効果的な器具を可能にする。器具を迅速且つ容易に接続又は切り離す能力は、使い捨て器具の使用を可能にし、その一方で、より複雑且つ高価な部分は再使用が可能である。確実であるが単純な結合は、非技術者であっても、操作のためにデバイス一式を準備することができるか、又は操作が完了したときに切り離すことができることを保証する。ステアリングデバイスに結合するためのステアリングプレートの使用は、可撓性ワイヤ又はケーブルを有する長尺器具でさえも使用の準備ができており、ステアリングデバイスに結合されたときに精密な制御で動くことを保証する。
【0082】
[0095]本明細書に記載する例及び実施形態は、本発明を限定するのではなく、例示する役割を果たす。異なる実施形態からの要素は、そのような組み合わせに互換性がない場合を除き、図に示さない実施形態を形成するように組み合わせることができる。当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を設計することが可能であろう。特許請求の範囲において括弧内に配置された参照符号は、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。特許請求の範囲又は説明において別個のエンティティとして説明する項目は、説明する項目の特徴を組み合わせる単一の項目又は複数のハードウェア項目として実装され得る。
【0083】
[0096]ロボット(robotics)という用語は、ステアリングデバイスの可能な実施形態を説明するために使用されている。この用語は、一般に、一連の動作を自律的又は半自律的に実行することが可能なプログラマブルマシンを指すために使用され、1つ以上のコンピュータ、プロセッサ、メモリ、制御ユニット、等を含むがこれらに限定されないいくつかの構成要素を含むことができる。一連の動作は、屈曲、回転、等を含む、器具のための動きを含むことができ、ロボットの使用は、いくつかの場合、手動制御が一般に達成することができるよりも精密な動きを可能にすることができる。
【0084】
[0097]本発明は、添付の特許請求の範囲及びその技術的等価物によってのみ限定されることが理解されるべきである。本文書及びその特許請求の範囲では、「備える(to comprise)」という動詞及びその活用形は、具体的に言及されていない項目を排除することなく、その語に続く項目が含まれることを意味するように、それらの非限定的な意味で使用される。加えて、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、その要素が1つ及び1つしか存在しないことを文脈が明確に要求しない限り、その要素が1つよりも多く存在する可能性を排除しない。不定冠詞「a」又は「an」は、このことから、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【国際調査報告】