(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/65 20060101AFI20220609BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20220609BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20220609BHJP
【FI】
G01N21/65
G02B21/06
G02B7/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560308
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2019120051
(87)【国際公開番号】W WO2020192153
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】201910236685.2
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521440275
【氏名又は名称】威朋(蘇州)医療器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】WEIPENG(SUZHOU)MEDICAL DEVICES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Unit 207, Building B2, Biobay, No.218 Xinghu Street,Suzhou Industrial Park, Suzhou, Jiangsu 215123 China
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】夏 炎
(72)【発明者】
【氏名】楊 彬
(72)【発明者】
【氏名】李 鋭
【テーマコード(参考)】
2G043
2H044
2H052
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043EA03
2G043FA02
2G043HA01
2G043HA02
2G043HA09
2G043JA03
2G043KA09
2G043LA03
2H044DA01
2H044DB01
2H044DC02
2H052AA07
2H052AC04
2H052AC14
2H052AC15
2H052AC34
2H052AD09
2H052AD16
2H052AF14
2H052AF25
(57)【要約】
コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置であって、レーザ光源(21)、2次元ガルバノミラーアセンブリ(22)、第1フィルタ(23)、対物レンズ(24)、変位テーブル(25)、収集器(26)、及びデータ処理アセンブリを含む。レーザ光源(21)によって生成される第1レーザビームと第2レーザビームとは、共線的に出力され、入射する2次元ガルバノミラーアセンブリ(22)により該レーザビームの光路が調整され、2次元ガルバノミラーアセンブリから出て、第1フィルタ(23)、対物レンズ(24)を順に通過し、対物レンズ(24)により、変位テーブル(25)に集光され、変位テーブル(25)から生成された信号光は、対物レンズ(24)を通過し、収集器(26)は信号光に基づいて生成する初期データをデータ処理アセンブリに出力することで、レーザから出力される単一波長レーザビームの分光及び波長調整の必要性をなくす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置であって、
レーザ光源、2次元ガルバノミラーアセンブリ、第1フィルタ、対物レンズ、変位テーブル、収集器、及びデータ処理アセンブリを含み、
前記レーザ光源は第1レーザビーム及び第2レーザビームを生成するために用いられ、
前記第1レーザビームと前記第2レーザビームとは共線的に出力され、
前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記2次元ガルバノミラーアセンブリに入射し、前記2次元ガルバノミラーアセンブリにより前記第1レーザビーム及び前記第2レーザビームの光路が調整され、
前記2次元ガルバノミラーアセンブリから出た前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記第1フィルタ、前記対物レンズを順に通過し、
前記対物レンズにより、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記変位テーブルに集光され、
前記変位テーブルから生成された信号光は、前記対物レンズを通過し、前記第1フィルタにより前記収集器に反射され、前記収集器は、前記信号光に基づいて初期データを生成し、前記初期データを前記データ処理アセンブリに出力する
ことを特徴とするコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項2】
オートフォーカス機構をさらに含み、前記オートフォーカス機構はフォーカス検出ユニット、第2フィルタ及び移動アセンブリを含み、
前記第2フィルタは前記第1フィルタ、前記対物レンズにそれぞれ対応して設置され、
前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは、前記第1フィルタを通過した後、前記第2フィルタによって前記対物レンズに反射され、
前記信号光は、前記対物レンズを通過した後、前記第2フィルタによって前記第1フィルタに反射され、
前記フォーカス検出ユニットは第3レーザビームを生成し、
前記第3レーザビームは前記第2フィルタを透過し、
前記第3レーザビームは、前記対物レンズによって前記変位テーブルにフォーカシングされ、前記変位テーブルで反射光を生成し、
前記反射光は、前記第3レーザビームの元の経路に沿って前記フォーカス検出ユニットに戻り、
前記フォーカス検出ユニットは前記反射光を検出し、
前記対物レンズは前記移動アセンブリに取り付けられ、
前記移動アセンブリは前記フォーカス検出ユニットの検出結果に基づいて対物レンズを移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項3】
マニュアルフォーカスアセンブリを更に含み、前記マニュアルフォーカスアセンブリは指示光源、第1凸レンズ、及びCCDカメラを含み、
前記指示光源は、前記変位テーブルの一側に設置され、
前記指示光源は、参照光を生成し、前記参照光は、前記対物レンズ及び前記第2フィルタを通過し、
前記第1凸レンズは、前記参照光を前記CCDカメラにフォーカシングする
ことを特徴とする請求項2に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項4】
主ハウジングをさらに含み、
主ハウジングには、前記レーザ光源、前記2次元ガルバノミラーアセンブリ、前記第1フィルタ、前記対物レンズ、前記変位ステージ、前記収集器、前記オートフォーカス機構、および前記マニュアルフォーカスアセンブリが取り付けられる
ことを特徴とする請求項3に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項5】
前記オートフォーカス機構は第1ミラーをさらに含み、前記第1ミラーは、前記第2フィルタ、前記フォーカス検出ユニットにそれぞれ対応して設置され、前記第3レーザビームおよび前記反射光は、前記第1ミラーで反射される
ことを特徴とする請求項2に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項6】
前記第1ミラーには、金または銀がメッキされている
ことを特徴とする請求項5に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項7】
前記第1フィルタと前記収集器との間に配置される狭帯域フィルタをさらに含み、
前記信号光は、前記狭帯域フィルタを透過して前記収集器に入射し、
前記狭帯域フィルタは、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームを吸収しまたは反射させる
ことを特徴とする請求項1に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項8】
前記2次元ガルバノミラーアセンブリと前記第1フィルタとの間に位置する4Fシステムをさらに含む
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項9】
調整アセンブリをさらに含み、
前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは、前記レーザ光源から出射された後、前記調整アセンブリによって前記2次元ガルバノミラーアセンブリに反射される
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【請求項10】
前記調整アセンブリは第2反射ミラーおよび第3反射ミラーを含み、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記第2反射ミラーおよび前記第3反射ミラーを順に通過して前記2次元ガルバノミラーアセンブリに反射される
ことを特徴とする請求項9に記載のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学顕微鏡結像技術に関し、特に、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡結像システムは、高い空間分解能を備えるため、材料学および生物医学の分野で広く応用されている。近年、分子内部の振動特性に基づくコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡(Coherent Anti-Stokes Raman Scattering Microscope,CARS Microscopeと略称)は、蛍光プローブを用いる必要がなく、感度が高いなどの利点から、分子研究の有力なツールとなりつつある。
図4を参照し、CARS過程は、3次の非線形光学効果に基づく4波混合の非線形光学過程である。一般的には、ポンプ光(ω
P)およびストークス光(ω
S)として、中心周波数の異なる2つのフェムト秒/ピコ秒レーザパルスで被測定試料の分子の結合共鳴を励起し、両光の周波数差(ω
vid)が被測定試料の中の分子の固有振動数と一致すると、分子の固有振動数が共鳴により増強され、その後、検出光(ω
PR)の作用で反ストークス信号(ω
CARS)が生成される。従来のコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像システムは、近赤外チタンサファイヤパルスレーザをレーザ光源として採用し、サイズが大きく、光路が複雑で、該技術の商業開発及び応用に不利である。
【発明の概要】
【0003】
これに基づき、コンパクトなコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置を提供する必要がある。
【0004】
コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置であって、レーザ光源、2次元ガルバノミラーアセンブリ、第1フィルタ、対物レンズ、変位テーブル、収集器、及びデータ処理アセンブリを含み、前記レーザ光源は第1レーザビーム及び第2レーザビームを生成するために用いられ、前記第1レーザビームと前記第2レーザビームとは共線的に出力され、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記2次元ガルバノミラーアセンブリに入射し、前記2次元ガルバノミラーアセンブリにより前記第1レーザビーム及び前記第2レーザビームの光路が調整され、前記2次元ガルバノミラーアセンブリから出た前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記第1フィルタ、前記対物レンズを順に通過し、前記対物レンズにより、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記変位テーブルに集光され、前記変位テーブルから生成された信号光は、前記対物レンズを通過し、前記第1フィルタにより前記収集器に反射され、前記収集器は、前記信号光に基づいて初期データを生成し、前記初期データを前記データ処理アセンブリに出力することを特徴とする。
【0005】
上記コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置では、レーザ光源によって第1レーザビーム、第2レーザビームを生成し、第1レーザビームと第2レーザビームとは共線的に出力され、且つ第1レーザビームをポンプ光とし、第2レーザビームをストークス光とし、これにより、レーザと対物レンズとの間の光路構造が簡略化され、レーザから出力される単一波長レーザビームの分光及び波長調整の必要性はなくなり、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置のコンパクト性を容易に向上させ、体積が低減し、商業開発に有利である。
【0006】
一つの実施例において、オートフォーカス機構をさらに含み、前記オートフォーカス機構はフォーカス検出ユニット、第2フィルタ及び移動アセンブリを含み、前記第2フィルタは前記第1フィルタ、前記対物レンズにそれぞれ対応して設置され、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは、前記第1フィルタを通過した後、前記第2フィルタによって前記対物レンズに反射され、前記信号光は、前記対物レンズを通過した後、前記第2フィルタによって前記第1フィルタに反射され、前記フォーカス検出ユニットは第3レーザビームを生成し、前記第3レーザビームは前記第2フィルタを透過し、前記第3レーザビームは、前記対物レンズによって前記変位テーブルにフォーカシングされ、前記変位テーブルで反射光を生成し、前記反射光は、前記第3レーザビームの元の経路に沿って前記フォーカス検出ユニットに戻り、前記フォーカス検出ユニットは前記反射光を検出し、前記対物レンズは前記移動アセンブリに取り付けられ、前記移動アセンブリは前記フォーカス検出ユニットの検出結果に基づいて対物レンズを移動させる。
【0007】
一つの実施例において、マニュアルフォーカスアセンブリを更に含み、前記マニュアルフォーカスアセンブリは指示光源、第1凸レンズ、及びCCDカメラを含み、前記指示光源は、前記変位テーブルの一側に設置され、前記指示光源は、参照光を生成し、前記参照光は、前記対物レンズ及び前記第2フィルタを通過し、前記第1凸レンズは、前記参照光を前記CCDカメラにフォーカシングする。
【0008】
一つの実施例において、主ハウジングをさらに含み、主ハウジングには、前記レーザ光源、前記2次元ガルバノミラーアセンブリ、前記第1フィルタ、前記対物レンズ、前記変位ステージ、前記収集器、前記オートフォーカス機構、および前記マニュアルフォーカスアセンブリが取り付けられる。
【0009】
一つの実施例において、前記オートフォーカス機構は第1ミラーをさらに含み、前記第1ミラーは、前記第2フィルタ、前記フォーカス検出ユニットにそれぞれ対応して設置され、前記第3レーザビームおよび前記反射光は、前記第1ミラーで反射される。
【0010】
一つの実施例において、前記第1ミラーには、金または銀がメッキされている。
【0011】
一つの実施例において、前記第1フィルタと前記収集器との間に配置される狭帯域フィルタをさらに含み、前記信号光は、前記狭帯域フィルタを透過して前記収集器に入射し、前記狭帯域フィルタは、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームを吸収しまたは反射させる。
【0012】
一つの実施例において、前記2次元ガルバノミラーアセンブリと前記第1フィルタとの間に位置する4Fシステムをさらに含む。
【0013】
一つの実施例において、調整アセンブリをさらに含み、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは、前記レーザ光源から出射された後、前記調整アセンブリによって前記2次元ガルバノミラーアセンブリに反射される。
【0014】
一つの実施例において、前記調整アセンブリは第2反射ミラーおよび第3反射ミラーを含み、前記第1レーザビーム、前記第2レーザビームは前記第2反射ミラーおよび前記第3反射ミラーを順に通過して前記2次元ガルバノミラーアセンブリに反射される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係るコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置の構造図である。
【
図2】
図1に示すコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置にオートフォーカス機構を加えた後の構造図である。
【
図3】
図2に示すコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置にマニュアルフォーカスアセンブリを加えた後の構造図である。
【
図4】コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の理解を容易にするために、以下は本発明をより完全に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施例に限定されない。むしろ、これらの実施例は、本開示の理解をより完全にするために提供される。
【0017】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本願の技術分野に属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、ただ具体的な実施例を説明するためのものであって、本願を限定することを意図するものではない。
【0018】
図1を参照し、本発明の一実施形態に係るコヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡画像形成装置100は、サンプル800の顕微鏡画像情報を取得するために用いられる。該コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100は、レーザ光源21、2次元ガルバノミラーアセンブリ22、第1フィルタ23、対物レンズ24、変位テーブル25、収集器26、及びデータ処理アセンブリを含む。レーザ光源21は第1レーザビーム及び第2レーザビームを生成するためのものである。第1レーザビームと第2レーザビームとは共線的に出力される。第1レーザビームをポンプ光とし、第2レーザビームをストークス光としている。第1レーザビーム、第2レーザビームは2次元ガルバノミラーアセンブリ22に入射し、2次元ガルバノミラーアセンブリ22により第1レーザビーム及び第2レーザビームの光路が調整される。2次元ガルバノミラーアセンブリ22から出た第1レーザビーム、第2レーザビームは第1フィルタ23、対物レンズ24を順に通過する。第1レーザビーム、第2レーザビームは第1フィルタ23を透過する。対物レンズ24により、第1レーザビーム、第2レーザビームは変位テーブル25に集光される。第1レーザビーム、第2レーザビームの作用により、変位テーブル25の上のサンプル800から信号光が生成され、信号光は、対物レンズ24を通過した後、第1フィルタ23により収集器26に反射され、収集器26は、信号光に基づいて初期データを生成し、初期データをデータ処理アセンブリに出力する。
【0019】
レーザ光源21によって第1レーザビーム、第2レーザビームを生成し、第1レーザビームと第2レーザビームとは共線的に出力され、且つ第1レーザビームをポンプ光とし、第2レーザビームをストークス光とし、これにより、レーザと対物レンズ24との間の光路構造が簡略化され、レーザから出力される単一波長レーザビームの分光及び波長調整の必要性はなくなり、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100のコンパクト性を容易に向上させ、体積が低減し、商業開発に有利である。
【0020】
図2を参照し、1つの実施形態において、対物レンズ24により、第1レーザビーム、第2レーザビームを変位テーブル25上のサンプル800に正確にフォーカシングするために、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100は、オートフォーカス機構をさらに含み、オートフォーカス機構はフォーカス検出ユニット32、第2フィルタ31、および移動アセンブリを含む。第2フィルタ31は第1フィルタ23、対物レンズ24にそれぞれ対応して設置される。第1レーザビーム、第2レーザビームは第1フィルタ23を通過した後、第2フィルタ31によって対物レンズ24に反射される。信号光は対物レンズ24を通過した後、第2フィルタ31によって第1フィルタ23に反射される。フォーカス検出ユニット32は第3レーザビームを生成する。第3レーザビームは第2フィルタ31を透過し、かつ第2フィルタ31を透過した後、第1レーザビーム、第2レーザビームとそれぞれ平行または共線となる。第3レーザビームは対物レンズ24によって変位テーブル25にフォーカシングされ、変位テーブル25で反射光を生成する。反射光は、第3レーザビームの元の経路に沿って、フォーカス検出ユニット32に戻る。フォーカス検出ユニット32は反射光を検出する。対物レンズ24は、移動アセンブリに取り付けられている。移動アセンブリは、フォーカス検出ユニット32の検出結果に基づいて対物レンズ24を移動させることで、対物レンズ24と変位テーブル25との距離を調整する。
【0021】
具体的には、反射光は第3レーザビームがサンプル800の表面で反射されることにより形成されるものである。対物レンズ24に対する調整によって、第3レーザビームのサンプル800における良好なフォーカス効果を達成し、それと同時に、第3レーザビームが第2フィルタ31を透過した後第1レーザビーム、第2レーザビームとそれぞれ平行または共線となるため、対物レンズ24の調整が完了した後、第1レーザビーム、第2レーザビームについても、サンプル800における良好なフォーカス効果を達成することができる。好ましくは、フォーカス検出ユニット32は反射光の光強度または画像鮮明度などに応じて検出結果を生成することができる。第2フィルタ31を、第1フィルタ23、対物レンズ24とそれぞれ対応して設置し、且つレーザ光源21が第1レーザビーム、第2レーザビームを発する前にオートフォーカス機構で対物レンズ24の位置を調整することにより、オートフォーカスと反ストークス信号光の共存を実現し、データ収集時間を短縮し、大面積のサンプル800の検出に有利で、しかも使用過程が簡潔で時間を節約し、操作者の使用に便利である。さらに、対物レンズ24は、遠隔プログラミング制御が可能である。
【0022】
一つの実施形態において、オートフォーカス機構のレイアウトを合理的にし、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100のコンパクト性を高めるために、オートフォーカス機構は第1ミラー33をさらに含み、第1ミラー33は、第2フィルタ31、フォーカス検出ユニット32にそれぞれ対応して設置され、第3レーザビームおよび反射光が第1ミラー33で反射される。これにより、フォーカス検出ユニット32の位置を調整して、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100全体のコンパクト性を高めることができる。具体的には、第1凸レンズ42、第3フィルタ44は、フォーカス検出ユニット32と第1ミラー33との間にあり、対物レンズ24を通過した参照光は、第1ミラー33によって第1凸レンズ42に反射される。
【0023】
一つの実施形態において、第1ミラー33は、第3レーザビーム、反射光または参照光に対する第1ミラー33の反射効果を高めるために、金または銀がメッキされている。第1ミラー33は、第1ミラー33の反射能力をさらに高めるために、特殊な誘電体膜でメッキされている。
【0024】
一つの実施形態において、収集器26の受信精度を向上させるために、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100は、第1フィルタ23と収集器26との間に配置される狭帯域フィルタ261をさらに含む。信号光は狭帯域フィルタ261を透過して収集器26に入射する。狭帯域フィルタ261は、第1レーザビーム、第2レーザビームを吸収しまたは反射させることにより、第1レーザビーム、第2レーザビームが収集器26のサンプリングに影響を与えることを回避し、出力される初期データの品質を向上させる。具体的には、信号光の高い透過率、及びポンプ光とストークス光の低い透過率を実現するように、狭帯域フィルタ261に誘電体膜がメッキされている。本実施形態では、狭帯域フィルタ261のODは、6と8の間である。
【0025】
一つの実施形態において、レーザ光源21の出力スポットを対物レンズ24とマッチングさせるために、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100は、2次元ガルバノミラーアセンブリ22と第1フィルタ23との間に位置する4Fシステム60をさらに含む。レーザ光源21の出力スポットの大きさが対物レンズ24の口径にマッチングするように、4Fシステム60によってレーザ光源21の出力スポットを拡大し、これにより、対物レンズ24によってフォーカシングされたスポットサイズは適切になり、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100の顕微効果は向上する。4Fシステム60は、第1レーザビーム、第2レーザビームのビーム拡大および対物レンズ24への投影を実現するために、少なくとも2つの凸レンズを含む。本実施形態では、4Fシステム60は、第2凸レンズ61および第3凸レンズ62を含み、第2凸レンズ61の焦点距離は、第3凸レンズ62の焦点距離よりも小さく、第2凸レンズ61と第3凸レンズ62との間の距離は、両者の焦点距離の合計であるべきである。
【0026】
一つの実施形態において、第1レーザビーム、第2レーザビームを2次元ガルバノミラーアセンブリ22に正確に入射させるために、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100は、調整アセンブリ70をさらに含む。第1レーザビーム、第2レーザビームは、レーザ光源21から出射された後、調整アセンブリ70によって2次元ガルバノミラーアセンブリ22に反射される。
【0027】
一つの実施形態において、第1レーザビーム、第2レーザビームが所定の角度で2次元ガルバノミラーアセンブリ22に入射させるように、調整アセンブリ70は第2反射ミラー71および第3反射ミラー72を含み、第1レーザビーム、第2レーザビームは第2反射ミラー71および第3反射ミラー72を順に通過して2次元ガルバノミラーアセンブリ22に反射される。コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100の組み立て過程において、レーザ光源21を固定した後、第2反射ミラー71の角度を調整することによって、第3反射ミラー72における第1レーザビームおよび第2レーザビームの反射点を調整することができ、第3反射ミラー72の角度を調整することによって、第1レーザビームおよび第2レーザビームの2次元ガルバノミラーアセンブリ22に入射する角度を調整することができる。具体的には、第1レーザビーム、第2レーザビームに対する反射率を高めるために、第2反射ミラー71、第3反射ミラー72の表面に誘電体膜がメッキされている。
【0028】
図3を参照し、一つの実施形態において、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100は、必要がある場合マニュアルでフォーカス調整を行えるように、マニュアルフォーカスアセンブリを更に含み。マニュアルフォーカスアセンブリは、指示光源41、第1凸レンズ42、及びCCDカメラ43を含む。指示光源41は、変位テーブル25の一側に設置される。指示光源41は、参照光を生成し、参照光は、対物レンズ24及び第2フィルタ31を通過する。第1凸レンズ42は、参照光をCCDカメラ43にフォーカシングする。マニュアルでフォーカス調整を行う場合、CCDカメラ43は、参照光に基づいて変位テーブル25におけるサンプル800の画像を取得し、調整者は、サンプル800の画像の鮮明度に基づいて、マニュアルフォーカス調整が正確であるか否かを特定する。具体的には、指示光源41は白色LEDデバイスである。第1凸レンズ42の焦点距離及び取り付け位置は、CCDカメラ43の感知ユニットのサイズにマッチングする。具体的には、CCDカメラ43の感知ユニットのサイズ及び分解能は、対物レンズ24の分解能に対応して設置される。
【0029】
さらに、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100のコンパクト性を向上させるために、マニュアルフォーカスアセンブリは第3フィルタ44を更に含む。第1凸レンズ42と第3フィルタ44は第3レーザビームの光路上に配置され、第3フィルタ44はフォーカス検出ユニット32と第1凸レンズ42との間に位置する。第3レーザビーム、反射光はそれぞれ第3フィルタ44を透過する。参照光は、第1凸レンズ42によってフォーカシングされた後、第3フィルタ44により反射されて、CCDカメラ43に入射し、これにより、第3レーザビームと、反射光と、参照光との光路は重なっている。
【0030】
一つの実施形態において、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置100は主ハウジングをさらに含む。主ハウジングには、レーザ光源21、2次元ガルバノミラーアセンブリ22、第1フィルタ23、対物レンズ24、変位テーブル25、収集器26、データ処理アセンブリ、オートフォーカス機構、およびマニュアルフォーカスアセンブリが取り付けられる。これにより、重要なアセンブリまたは機構が効果的に保護されている。
【0031】
具体的には、風冷降温を採用してコンパクト性を高めるために、レーザ光源21は、フェムト秒パルスファイバレーザまたはピコ秒パルスファイバレーザであり、一つの実施形態において、レーザ光源21としては、ドイツのRefined Laser社のDual Colorレーザを採用する。第1レーザビームと第2レーザビームは時間的および空間的に同期して出力される。本実施形態では、第1レーザビームは、検出光としても使用される。
【0032】
一つの実施形態において、レーザ光源21は、ポンプ光として800nmの第1レーザ光を出力し、ストークス光として1040nmの第2レーザ光を出力し、得られた信号光の波長は652nmであり、本実施形態により、C-H化学結合を含む物質に対する検出結像を実現することができる。
【0033】
一つの実施形態において、レーザ光源21は、ポンプ光として波長可変の780~900nmの第1レーザビームを出力し、ストークス光として1040nmの第2レーザビームを出力することができ、本実施形態により、C-H及びC-D化学結合を含む物質に対する検出結像を実現することができる。
【0034】
一つの実施形態において、レーザ光源21は、ストークス光として波長可変の930~1030nmの第2レーザビームを出力し、ポンプ光として780nmの第1レーザビームを出力することができ、本実施形態により、C-HおよびC-D化学結合を含む物質に対する検出結像を実現することができる。本実施形態では、第1フィルタ23、第3フィルタ44は長波長フィルタであり、第1フィルタ23は、長波長の高い透過率、短波長の反射を実現するように表面に誘電体膜がメッキされ、これにより、ポンプ光とストークス光が通過し、反ストークス信号光が反射されることを保証している。第2フィルタ31は短波長フィルタであり、第2フィルタ31は、第1レーザビーム、第2レーザビーム、および信号光の反射を実現するとともに第3レーザビーム、反射光、および参照光の通過を実現するように、表面に誘電体膜がメッキされている。第3レーザビームの波長分布は、第2フィルタ31、第3フィルタ44と合わせている。
【0035】
サンプル800は変位テーブル25の上に置かれている。変位テーブル25の移動によって、サンプル800が2次元ガルバノミラーアセンブリ22の走査範囲内に移動されることが可能であり、変位テーブル25は、サンプル800の大きさ及び実際の応用ニーズに応じて走査範囲を調整することができる。さらに、変位テーブル25を遠隔プログラミング制御することができる。2次元ガルバノミラーアセンブリ22は、レーザ光源21のスポットサイズより大きい鏡面サイズを有し、そしてサンプル800の走査範囲に応じて走査角度を調整可能であるべきである。2次元ガルバノミラーアセンブリ22は、第1レーザビーム、第2レーザビームがサンプル800の表面の走査範囲内の異なる部位へ透過できるように、第1レーザビーム、第2レーザビームの光路を調整する。2次元走査アセンブリによって調整が行われた度に、収集器26はサンプル800の異なる部位に対応する初期データを生成する。
【0036】
具体的には、収集器26は光電子増倍管であり、かつ過飽和シャットダウン機能、マッチング起動、及び遠隔起動機能を備える。データ処理アセンブリは、収集器26により収集された初期データを完全な画像情報に統合し、本実施形態では、データ処理アセンブリはコンピュータである。
【0037】
本実施例において、レーザ光源によって第1レーザビーム、第2レーザビームを生成し、第1レーザビームと第2レーザビームとは共線的に出力され、且つ第1レーザビームをポンプ光として、第2レーザビームをストークス光とし、これにより、レーザと対物レンズとの間の光路構造が簡略化され、レーザから出力される単一波長レーザビームの分光及び波長調整の必要性はなくなり、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡結像装置のコンパクト性を容易に向上させ、体積が低減し、商業開発に有利である。
【0038】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載された範囲内であると考えられるべきである。
【0039】
上述した実施例はただ本発明のいくつかの実施形態を説明し、その説明は具体的で詳しいが、本発明の特許範囲に対する限定として理解すべきではない。当業者にとって、本発明の構想から逸脱しない前提でいくつかの変形や改善が可能であり、これらはいずれも本発明の保護範囲に属す。したがって、本発明の特許請求の範囲は、添付の請求項に準ずるものとする。
【国際調査報告】