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特表2022-528982難燃特性を備えた軽量サンドイッチ構造体及びその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】難燃特性を備えた軽量サンドイッチ構造体及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20220609BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
B32B5/24 101
B32B27/00 103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560866
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2020028613
(87)【国際公開番号】W WO2020214871
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/835,074
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517318182
【氏名又は名称】サイテック インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】モルターラ, ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ウォロソン, ピート
(72)【発明者】
【氏名】トニオロ, パオロ
(72)【発明者】
【氏名】レンツィ, フィオレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル, アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA16A
4F100AA19A
4F100AA20A
4F100AA31A
4F100AD11A
4F100AG00A
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK41A
4F100AK47A
4F100AK49A
4F100AK51A
4F100AK53A
4F100AK54A
4F100AK54C
4F100AK55A
4F100AK55B
4F100AK55C
4F100AK56A
4F100AK57A
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100CA02A
4F100DG01A
4F100DH02A
4F100DJ01C
4F100EJ192
4F100GB31
4F100JA05A
4F100JA05B
4F100JA05C
4F100JA07C
4F100JA13C
4F100JB16B
4F100JK01
4F100JL03
4F100JL11B
(57)【要約】
少なくとも以下の構成要素:2つの対向する表面を有する熱可塑性発泡コア、発泡コアの対向する表面の少なくとも1つにおける熱可塑性接着フィルム、各接着フィルムにおける1つ以上の複合層を有する、軽量で難燃性の多層複合構造体。複合層は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性樹脂マトリックスに埋め込まれた強化繊維から構成される。接着結合は、熱可塑性発泡コアと隣接する複合層の間に挿入された交互配置する熱可塑性接着フィルムによって実現される。熱可塑性接着フィルムは、発泡コア材料のTよりも少なくとも20℃低いTを有する熱可塑性ポリマー組成物から形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向する表面を有する熱可塑性発泡コアと、
前記熱可塑性発泡コアの前記対向する表面の少なくとも1つにおける熱可塑性接着フィルムと、
前記熱可塑性接着フィルムに接着された第1の複合層と、
を含むサンドイッチ構造体であって、
ここで、
前記第1の複合層は、ポリマー又は樹脂マトリックスに埋め込まれた強化繊維を含み、
前記熱可塑性発泡コアは、加熱速度5℃/分で、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、210℃~240℃のガラス転移温度(T)を有する発泡された熱可塑性材料から形成され、前記形成された熱可塑性材料は、1つ以上のポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)ポリマーを含む発泡性組成物から形成され、
前記熱可塑性接着フィルムは、前記ポリマー組成物の総重量に基づいて、少なくとも80重量%の1つ以上のポリスルホンを含むポリマー組成物から形成され、前記1つ以上のポリスルホンは、5℃/分の加熱速度でDSCによって決定される、前記発泡された熱可塑性材料のTより少なくとも20℃低い、好ましくは180℃~190℃のTを有する、サンドイッチ構造体。
【請求項2】
前記発泡された熱可塑性材料は、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも80重量%のPPSUポリマーを含む発泡性組成物から形成され、前記PPSUポリマーは、以下の式(L)の繰り返し単位(RPPSU)の少なくとも50モル%を含み、前記モル%は前記ポリマーの総モル数に基づき:
【化1】
好ましくは、前記PPSUポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、30,000~90,000g/モル、40,000~80,000g/モル、又は50,000~70,000g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項3】
前記熱可塑性接着フィルムの前記ポリマー組成物における前記ポリスルホン(PSU)は、以下の式(U):
【化2】
の(RPSU)の繰り返し単位の少なくとも50モル%を有し、前記モル%は、前記ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づき、好ましくは、前記PSUは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、30,000~110,000g/モル、好ましくは、40,000~100,000g/モル、又は50,000~90,000g/モルの範囲の重量平均分子重量(M)を有する、請求項1又は2に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項4】
前記第1の複合層は、1つ以上の熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性ポリマーマトリックスに埋め込まれた強化繊維を含み、好ましくは、前記1つ以上の熱可塑性ポリマーは、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテルスルホン)ポリマー、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)ポリマー、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリケトン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及びこれらのコポリマーから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項5】
前記第1の複合層は、1つ以上のエポキシ樹脂と少なくとも1つの硬化剤とを含む硬化性樹脂マトリックスに埋め込まれた強化繊維を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項6】
前記第1の複合層の前記強化繊維は、連続一方向繊維、切断された繊維、織布、又はランダムに配置された繊維の不織布マット又はベールの形態である、請求項1~5のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項7】
前記第1の複合層の前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、高分子繊維、炭化ケイ素、アルミナ、ホウ素、又は石英から形成される繊維、及びこれらの組み合わせからから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項8】
前記第1の複合層にわたる1つ以上の更なる複合層を更に含み、それぞれの更なる複合層は、ポリマー又は樹脂マトリックスに埋め込まれた強化繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項9】
前記熱可塑性発泡コアには、強化繊維、又はその厚さ全体に広がる開口部が一切ない、請求項1~8のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項10】
前記発泡コアは、ASTM D1622によって測定される、45Kg/m~150Kg/mの範囲の密度を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項11】
前記発泡コアは、3mm~30mmの範囲の厚さを有し、前記接着フィルムは、25~250ミクロン(μm)の範囲内の面積重量を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項12】
前記第1の複合層は、200~2000gsm、いくつかの実施形態では、450~600gsmの範囲の面積重量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のサンドイッチ構造体。
【請求項13】
(a)少なくとも以下の構成要素を有する多層組立体を形成する工程:
2つの対向する表面を有する熱可塑性発泡コア、前記熱可塑性発泡コアの前記対向する表面の一方又は両方における熱可塑性接着フィルム、前記/各熱可塑性接着フィルムにおける繊維強化複合材料の1つ以上の層、この場合、前記熱可塑性発泡コアは、少なくとも200℃、好ましくは210℃~240℃のガラス転移温度(T)を有する発泡された熱可塑性材料から形成され、前記/各熱可塑性接着フィルムは、前記発泡された熱可塑性材料のTよりも少なくとも20℃低いTを有する1つ以上のポリスルホン(PSU)を含む熱可塑性ポリマー組成物から形成され、Tは、5℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、
(b)ダブルベルトプレスの2つのエンドレスベルト間で前記多層組立体を通過させる工程、及び
(e)前記ダブルベルトプレスを通過する間、前記サンドイッチ構造体を、1~10分間、200℃~260℃の温度に加熱する工程を含む、サンドイッチ構造体を組み立てるための連続した方法。
【請求項14】
工程(b)は、5バール未満、好ましくは1~2バールの前記エンドレスベルトによって加えられる正圧下で、0.5~5m/分のライン速度で実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)は、0.5~5m/分のライン速度で実行され、前記エンドレスベルト間の距離は、3mm~40mmの範囲であり、前記エンドレスベルトの間の前記距離は、(a)での多層組立体の総厚より短い1mm~10mmである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記発泡された熱可塑性材料は、1つ以上のポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)ポリマーを含む発泡性組成物から形成される、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記発泡された熱可塑性材料は、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも80重量%のPPSUポリマーを含む発泡性組成物から形成され、前記PPSUポリマーは、以下の式(L)の繰り返し単位(RPPSU)の少なくとも50モル%を含み、前記モル%は前記ポリマーの総モル数に基づき:
【化3】
好ましくは、前記PPSUポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、30,000~90,000g/モル、任意選択で40,000~80,000g/モル又は50,000~70,000g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記熱可塑性接着フィルムの前記組成物中の前記PSUは、5℃/分の加熱速度でDSCによって決定される、200℃未満、好ましくは180℃~190℃のTを有する、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記熱可塑性接着フィルムの前記組成物中の前記PSUは、以下の式(U):
【化4】
の繰り返し単位(RPSU)の少なくとも50モル%を有し、前記モル%は、前記ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づき、好ましくは、前記PSUは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、30,000~110,000g/モル、任意選択で、40,000~100,000g/モル、又は50,000~90,000g/モルの範囲の重量平均分子重量(M)を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記繊維強化複合材料は、5℃/分の加熱速度でDSCによって決定される、210℃~240℃の範囲のTを有する非晶性熱可塑性材料を含む、熱可塑性ポリマーマトリックスに埋め込まれた強化繊維を含む、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記繊維強化複合材料は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテルスルホン)ポリマー、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)ポリマー、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリケトン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及びこれらのコポリマーから選択される1つ以上の熱可塑性ポリマーを含む、熱可塑性ポリマーマトリックスに埋め込まれた強化繊維を含む請求項13~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記繊維強化複合材料は、1つ以上のエポキシ樹脂と少なくとも1つの硬化剤とを含む硬化性樹脂マトリックスに埋め込まれた強化繊維を含む、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、高分子繊維、炭化ケイ素、アルミナ、ホウ素、石英から形成される繊維、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記発泡コアは、ASTM D1622によって測定される、45Kg/m~150Kg/mの範囲の密度を有する、請求項13~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記発泡コアは、3mm~30mmの範囲の厚さを有する、請求項13~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記/各接着フィルムは、25~250ミクロン(μm)の範囲内の面積重量を有する、請求項13~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
繊維強化複合材料の前記/各層は、200~2000gsm、いくつかの実施形態では、450~600gsmの範囲の面積重量を有する、請求項13~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記エンドレスベルトは、弾性材料又はステンレス鋼から作製される、請求項13~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、熱可塑性発泡層を有する軽量複合材料、それらの用途、及びこうした構造体を組み立てるための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】熱可塑性発泡コアを備えた例示的なサンドイッチ構造体を示している。
図2】サンドイッチ構造体を製造するためのダブルベルトプレス(double-belt press)システムを備えた例示的な装置を例示している。
図3】暗視野光において100倍の倍率で撮影された対照のサンドイッチパネルの界面の仕上げられた(polished)画像を示し、対照のサンドイッチパネルは、本明細書に開示される実施例1に従って製造された。
図4】暗視野光において100倍の倍率で撮影された別のサンドイッチパネルの界面の仕上げられた画像を示し、別のサンドイッチパネルは、本明細書に開示される実施例2に従って製造された。
【発明を実施するための形態】
【0003】
熱可塑性発泡コアを有する複合サンドイッチ構造体は、客室のドア及び壁のパネルなどの航空機の内部構造体に使用されてきた。このようなサンドイッチ構造体は、構造体の重量を最小限に抑えながら、強度及び剛性を提供する。航空機の内部複合部品は、胴体及び翼などの一次構造体の構造性能を必要としないが、軽量での剛性及び強度、寸法安定性、耐久性のある美観、洗浄溶媒に対する化学的耐性、並びに炎、煙及び毒性(FST)基準及び熱放出率(HRR)基準に関する厳格な難燃性標準を含む、独自の厳しい要件が依然としてある。
【0004】
熱可塑性材料から構成される多層複合構造体の組み立ては、様々な熱可塑性層の良好な結合を保証するために高温及び高圧が必要となるため、困難である。外側スキン層の間に熱可塑性発泡コアを有するサンドイッチ構造体の製造によって提示される1つの課題は、発泡コアを崩壊させるであろう高い固結圧力を使用せずにコアとスキン層の間の良好な結合を得る能力である。
【0005】
ハニカム又は発泡コアを外側スキン層に結合する従来のプロセスでは、サンドイッチパネル組立体全体が加熱ゾーンを通って進められ、これによって、典型的には、加熱されたプレスプラテンによって加えられる圧力下で、パネルが結合温度まで加熱される。熱可塑性コアを使用する場合、結合に必要な温度がコア材料のガラス転移温度(T)を超え、圧力が高すぎると、コアの崩壊又は歪みが発生する。このような崩壊又は歪みは、プレスプラテンから外側スキンを介してコアへの過度の熱伝達の組み合わせによるものであり、従って、発泡コアの温度が熱可塑性コア材料のTを超えて上昇し、プレスプラテンによる加えられた圧力が上昇する。
【0006】
本開示の一態様は、少なくとも以下の構成要素:2つの対向する表面を有する熱可塑性発泡コア、発泡コアの対向する表面の少なくとも1つにおける熱可塑性接着フィルム、各接着フィルムにおける1つ以上の複合層を有する、軽量で難燃性の多層複合構造体に関する。接着結合は、熱可塑性発泡コアと隣接する複合層の間に挿入された交互配置する(interleaving)熱可塑性接着フィルムによって実現される。複合層は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性樹脂マトリックスに埋め込まれた強化繊維から構成される。熱可塑性発泡コアは、加熱速度5℃/分で、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、ガラス転移温度(T)が少なくとも200℃、好ましくは210℃~240℃の発泡された熱可塑性材料から形成され、熱可塑性接着フィルムは、発泡された熱可塑性材料のTよりも少なくとも20℃低いTを有する熱可塑性ポリマー組成物から形成される。
【0007】
好ましい実施形態では、多層複合構造体は、熱可塑性発泡コアがシート形態で2つの外側スキンの間に挿入されているサンドイッチ構造体である。図1は、熱可塑性発泡コア10、交互配置する接着フィルム11A及び11B、外側スキン12A及び12Bを含む例示的なサンドイッチ構造体を示し、この場合、各外側スキンは、複数の複合層又は単一の複合層のラミネート(又は積層)から構成される。スキンの複合層は、互いに同一であり得る又は異なり得る。更に、熱可塑性発泡コアには、カーボン、ガラス、及びポリマー繊維などの任意の強化繊維、又はその厚さ全体に広がる任意の開口部がない。
【0008】
好ましい実施形態では、サンドイッチ構造体の発泡コア及びスキン材料は、サンドイッチ構造体がFAR/JAR/CS23.853「Passenger and crew compartment interiors」及び23.855「Cargo and baggage compartment fire protection」の材料用可燃性要件に準拠するように選択される。
【0009】
熱可塑性発泡コアを複合層に結合するために使用される選択された熱可塑性接着剤は、接着の破壊靭性及び剥離強度の点で優れた結合を提供する。更に、発泡コア材料よりも約20℃低いガラス転移温度を有する接着性熱可塑性フィルムの使用が、高い生産速度を可能にする、連続した低圧ダブルベルトプロセスと適合するサンドイッチ構造体を提供することが発見された。ラミネート中に外部熱源を必要とする従来の方法と比較して、ダブルベルトプロセスは、スキンと熱可塑性発泡コアの間の交互配置する接着層を溶融するためにこのような外部熱源を必要としない。ベルト及びスキン材料を介して下にある接着フィルムに伝達される熱は、スキンの歪み又は発泡コアの崩壊を引き起こすことなく、接着フィルムを溶融するのに十分である。
【0010】
熱可塑性発泡コア
本開示の文脈において、「発泡」という用語は、当業者に一般に知られている意味で使用される。IUPAC,Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the“Gold Book”Compiled by A.D.McNaught and A.Wilkinson.Blackwell Scientific Publications,Oxford 1997,XML on-line corrected version:http://goldbook.iupac.org(2006)created by M.Nic,J.Jirat,B.Kosata;updates compiled by A.Jenkins.ISBN 0-9678550-9-8.doi:10.1351/goldbook)を参照し、「発泡」という用語は、気泡の形態にて、体積でガスの大部分が液体、固体、又はゲルに分散している分散状態を示す。気泡の直径は、通常、1μmより大きいが、気泡間のラメラの厚さは、通常のコロイドの大きさの範囲であることが多い。
【0011】
非限定的な例として、組成物の総体積に基づいて、本開示による発泡された熱可塑性材料の体積の少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%は、ガスで占められ得る。
【0012】
発泡コアは、20~1000kg/m、30~800kg/m、35~500kg/m、40~300kg/m、又は45~200kg/mの密度を有し得る。好ましい実施形態では、発泡コアは、45~150kg/m、より好ましくは45~80kg/mの密度を有する。密度は、ASTM D1622に従って測定することができる。
【0013】
一実施形態によれば、発泡コアは、1000μm未満、500μm未満、300μm未満、又は250μm未満の平均気泡サイズを有する。気泡サイズは、光学又は走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0014】
発泡コアは、3mm~50mmの範囲の厚さ、いくつかの実施形態では、5mm~25mmの範囲の厚さを有し得る。
【0015】
本明細書に開示される多層複合構造体の発泡コアは、ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)、特にポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びこれらのコポリマーから選択される少なくとも1つのポリマーを含む発泡性組成物から形成される。一般に、201℃~290℃の範囲のTを有するPAESポリマーは、本明細書に開示される目的に適する。いくつかの実施形態では、発泡性組成物は、様々な熱可塑性ポリマーの組み合わせを含む。様々なPAESポリマー間のTの違いは、ポリマーの骨格構造体の違いによるものである。
【0016】
本開示の目的のために、「ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)」は、繰り返し単位の少なくとも50モル%が、式(K)の繰り返し単位(RPAES)である任意のポリマーを意味し、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく:
【化1】
(式中、
Rは、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び4級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
hは、各Rについて、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数であり、
Tは、結合、スルホン基[-S(=O)]、及び基-C(R)(R)-(この場合、R及びRは、互いに等しく又は異なり、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び4級アンモニウムから選択される)からなる群から選択される)。
【0017】
Tは、好ましくは、結合、スルホン基又は基-C(R)(R)-(式中、R及びRは好ましくはメチル基である)である。
【0018】
ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)が、発泡コアの材料として特に適している。本開示の目的のために、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)ポリマー(PPSU)は、少なくとも50モル%の式(K)の繰り返し単位(RPPSU)を含む任意のポリマーを意味し、モル%は、ポリマーにおける総モル数に基づく:
【化2】
(式中、
Rは、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び4級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
hは、各Rについて、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数(例えば、1、2、3又は4)である)。
【0019】
一実施形態によれば、Rは、上記の式(K)における各位置において、1つ又は2つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含むC1~C12部位、スルホン酸及びスルホネート基、ホスホン酸及びホスホネート基、アミン並びに4級アンモニウム基からなる群から独立して選択される。
【0020】
一実施形態によれば、hは、それぞれのRについてゼロである。言い換えれば、この実施形態によれば、繰り返し単位(RPPSU)は、式(K’):
【化3】
の単位である。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%の、又は全てのPPSUの繰り返し単位は、式(K)及び/又は式(K’)の繰り返し単位(RPPSU)である。
【0022】
一実施形態によれば、PPSUポリマーは、式(L):
【化4】
(モル%はポリマー中の合計モル数に基づく)の少なくとも50モル%の繰り返し単位(RPPSU)を含む。
【0023】
本開示のPPSUポリマーは、それ故、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。それがコポリマーである場合、それは、ランダム、交互又はブロックコポリマーであり得る。
【0024】
好ましい実施形態によれば、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%、又は全てのPPSUの繰り返し単位は、式(L)の繰り返し単位(RPPSU)である。
【0025】
PPSUがコポリマーである場合、その繰り返し単位は、上記の繰り返し単位(RPPSU)と、以下の式(M)、(N)及び/又は(O):
【化5】
(式中、
Rは、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び4級アンモニウムから独立して選択され、
iは、各Rについて、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数(例えば、1、2、3又は4)である)の単位などの、RPPSUとは異なる繰り返し単位(R*)の混成である。
【0026】
一実施形態によれば、Rは、上記の式(M)~(O)におけるそれぞれの位置において、1つ又は2つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含むC1~C12部位、スルホン酸及びスルホネート基、ホスホン酸及びホスホネート基、アミン並びに4級アンモニウム基からなる群から独立して選択される。
【0027】
一実施形態によれば、式(M)、(N)又は(O)の各Rについてiはゼロであり、繰り返し単位R*は、以下の式(M’)、(N’)及び(O’):
【化6】
から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、40モル%未満、30モル%未満、20モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、1モル%未満の、又は全てのPPSUの繰り返し単位は、式(M)、(N)、(O)、(M’)、(N’)、及び/又は(O’)の繰り返し単位である。
【0029】
一実施形態によれば、PPSUは、上記の繰り返し単位(RPPSU)と、RPPSUとは異なる繰り返し単位(R*)との混成を有するコポリマーであり、この場合、R*は、以下の式(M”)、(N”)、及び(O”):
【化7】
から選択される。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、45モル%未満、40モル%未満、35モル%未満、30モル%未満、20モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、1モル%未満の、又は全てのPPSUの繰り返し単位は、式(M”)、(N”)、及び/又は(O”)の繰り返し単位である。
【0031】
本明細書の目的のためのPPSUは、上記のように、PPSUホモポリマーと少なくとも1つのPPSUコポリマーのブレンドであり得る。
【0032】
本明細書に開示されるPPSUポリマーは、当技術分野で知られている任意の方法によって調製することができる。例として、PPSUポリマーマットは、4,4’-ジヒドロキシ-ビフェニル(ビフェノール)と4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの縮合の結果であり得る。モノマー単位の反応は、脱離基としてのハロゲン化水素の1単位の脱離を伴う求核芳香族置換によって起こる。しかしながら、結果として生じるポリ(ビフェニルエーテルスルホン)の構造体が脱離基の性質に依存しないことに留意されるべきである。
【0033】
欠陥、末端基及びモノマーの不純物は、本開示の(コ)ポリマー(PPSU)中に、有利にはそれの性能に悪影響を及ぼさないように、極めて微量に組み込まれてもよい。
【0034】
本明細書に開示される目的に適したPPSUの例は、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.から市販されているRadel(登録商標)PPSUである。
【0035】
好ましい実施形態では、熱可塑性の発泡されたコアは、210℃~240℃の範囲のTを有する発泡された材料であり、主成分として、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)ポリマー(PPSU)を含む発泡性組成物から形成され、即ち、PPSUは、組成物の総重量に基づいて、50重量%(重量パーセント)を超える量、又は80重量%を超える量で存在する。PPSUの重量平均分子量(Mw)は、30,000~90,000g/モル、例えば、40,000~80,000g/モル又は50,000~70,000g/モルであり得る。
【0036】
PPSU及びPSUを含むPAESの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を用いて、移動相として塩化メチレンを使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(Agilent Technologiesのガードカラムを備えた2×5μ混合Dカラム、流速:1.5mL/分、注入量:20μLの0.2w/v%試料溶液)によって決定されることができる。
【0037】
より正確には、PAESポリマーの重量平均分子量(Mw)は、移動相として塩化メチレンを使用する、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。例えば、次の詳細な方法を使用できる:分離には、Agilent Technologiesのガードカラムを備えた2つの5μ混合Dカラムを使用する。254nmの紫外線検出器を、クロマトグラムを得るために使用する。1.5mL/分の流量及び移動相中の20μLの0.2w/v%溶液の注入量が選択される。校正は、12の狭い分子量のポリスチレン標準(ピーク分子量範囲:371,000~580g/モル)を使用して実行される。
【0038】
上記の熱可塑性ポリマー、例えば、PAESに加えて、発泡コアを形成するための発泡性組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、10重量%までの少なくとも1つの添加剤(AD)を更に含み得る。添加剤は、以下から選択することができる:核剤、化学発泡剤又はそれらの残留物、UV吸収剤、光安定剤等などの安定剤、潤滑剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、及びこれらの混合物。
【0039】
酸化防止剤の例は、ホスフィット、ホスホレート、ヒンダードフェノール又はこれらの混合物である。又、界面活性剤は、気泡の核を形成してそれらを発泡プロセスの気泡成長期中に安定化させるのに役立つように添加してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、発泡性組成物は、1つ以上の核剤を含む。核剤は、気泡形成の場所を提供することにより、発泡構造体を制御するのに役立つ。核剤の例は、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維、ウォラストナイト、タルク、雲母、粘土、炭酸カルシウム、二酸化チタン、チタン酸カリウム、シリカ、ケイ酸塩、カオリン、チョーク、アルミナ、アルミン酸塩、窒化ホウ素及び酸化アルミニウムである。
【0041】
発泡性組成物は、1つ以上の無機顔料を更に含み得る。無機顔料を添加して、波長選択的吸収の結果として反射光又は透過光の色を変えることにより、組成物の選択された外観を得る。無機顔料の例は、二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、リン酸コバルト、チタン酸コバルト、スルホセレニドカドミウム、セレン化カドミウム、フタロシアニン銅、ウルトラマリン、ウルトラマリンバイオレット、亜鉛フェライト、マグネシウムフェライト、及び酸化鉄である。
【0042】
発泡性組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.1~9重量%、0.2~5重量%、又は0.5~2重量%の少なくとも1つの添加剤(AD)を含み得る。一実施形態によれば、発泡性組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.1~9重量%、0.2~5重量%、又は0.5~3重量%の少なくとも1つの核剤を含む。
【0043】
発泡プロセスは、化学発泡プロセスでも物理発泡プロセスでもよい。発泡プロセスが化学発泡プロセスである場合、化学発泡剤、特に化学膨張剤を使用することができる。化学発泡剤は、一般に、発泡条件で熱の影響下で分解又は反応して、発泡ガスを生成する組成物を指す。化学発泡剤をポリマー組成物に添加して、その場で発泡ガスを生成することができる。化学発泡は又、押出デバイスで実現してもよい。
【0044】
熱可塑性接着剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される結合目的の熱可塑性接着フィルムは、例えば、フィルムの総重量に基づいて、200℃未満のTを有する、少なくとも80重量%(重量パーセント)の1つ以上のポリスルホン(PSU)、例えば、少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%のPSUを含むポリマー組成物から形成される。接着フィルムは、25~250ミクロン(μm)の範囲内、例えば、30~220μmの範囲内又は35~200μmの範囲内の厚さを有し得る。
【0045】
好ましいポリスルホン(PSU)は、以下の式(U):
【化8】
(モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく)の繰り返し単位(RPSU)である繰り返し単位の少なくとも50モル%を有する。
【0046】
一実施形態によれば、少なくとも60モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく)、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%の、又は全てのPSUの繰り返し単位は、式(U)の繰り返し単位(RPSU)である。
【0047】
PSUポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。PSUポリマーがコポリマーである場合、それは、ランダム、交互又はブロックコポリマーであり得る。
【0048】
ポリスルホン(PSU)がコポリマーである場合、式(M)、(N)及び/又は(O):
【化9】
の繰り返しなどの、繰り返し単位(RPSU)とは異なり、且つ、繰り返し単位(RPSU)に加えて、繰り返し単位(R)を含むことができる。
【0049】
適切な市販のPSUは、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.のUdel(登録商標)PSUである。
【0050】
好ましい実施形態では、接着フィルムは、PSUポリマー中の80%~100%又は少なくとも90モル%の、又は全ての繰り返し単位が、式(U)の繰り返し単位(RPSU)であり、180℃~190℃、好ましくは約185℃のTを有するPSUポリマーから形成される。
【0051】
PSUの重量平均分子量(M)は、上記のGPCによって決定される、30,000~110,000g/モル、例えば、40,000~100,000g/モル又は50,000~90,000g/モルであり得る。
【0052】
ポリスルホンポリマーは、様々な方法によって作製することができる。例えば、米国特許第4,108,837号明細書及び米国特許第4,175,175号明細書は、ポリアリールエーテル、特にポリアリールエーテルスルホンの調製を記載している。いくつかの1段階及び2段階プロセスが、これらの特許に記載されており、これらの特許は、これらの全体を参照により本明細書に援用される。これらのプロセスにおいて、二価フェノールの二重アルカリ金属塩が、実質的に無水の条件下にてスルホン又はスルホキシド溶媒の存在下でジハロベンゼン化合物と反応させられる。2段階プロセスにおいて、二価フェノールが、先ず、アルカリ金属又はアルカリ金属化合物との反応によってスルホン又はスルホキシド溶媒の存在下で、その場で、アルカリ金属塩誘導体に変換される。PSU製造の場合には、出発モノマーは、ビスフェノールA及び4,4’-ジハロジフェニルスルホン、典型的には4,4’-ジクロロジフェニルスルホンである。ビスフェノールAは、先ず、ビスフェノールAの二ナトリウム塩を生成するために1:2の化学量論モル比で、水酸化ナトリウム、NaOHのような塩基と反応することによって二アルカリ金属塩誘導体に変換される。ビスフェノールAのこの二ナトリウム塩は、次いで、ポリマーを生成するために第2段階で4,4’-ジクロロジフェニルスルホンと反応させられる。塩化ナトリウム塩は、重合の副生成物として生成される。
【0053】
複合層
いくつかの実施形態では、多層複合構造体の複合層は、熱可塑性ポリマーマトリックスに埋め込まれた強化繊維を含む。
【0054】
本開示で使用される場合、「埋め込まれた」という用語は、周囲の塊にしっかりと固定されていることを意味し、「マトリックス」という用語は、例えば、何かが封入された又は埋め込まれたポリマーなどの、材料の塊を意味する。
【0055】
熱可塑性ポリマーマトリックスは、1つ以上の熱可塑性ポリマーを含み、これは、非晶性又は半結晶性であり得る。熱可塑性ポリマーは、全体として、ポリマーマトリックスの大部分の成分を構成する、又はポリマーマトリックスの50重量%超、例えば、80~100重量%が熱可塑性ポリマーから構成される。適切な熱可塑性ポリマーには、以下が含まれるが、これらに限定されない:ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)、特にポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)ポリマー、ポリフタルアミド(PPA)、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及びこれらのコポリマー。
【0056】
一般に、201℃~290℃の範囲のTを有するPAESポリマーは、本明細書に開示される目的に適している。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーマトリックスは、発泡された熱可塑性材料に関して前述される、50重量%超、例えば、80~100重量%のPPSUポリマーを含む。
【0057】
他の実施形態では、複合層は、熱硬化時に硬化する熱硬化性樹脂マトリックスに埋め込まれた強化繊維を含む。好ましくは、熱硬化性樹脂マトリックスは、少なくとも1つのエポキシ樹脂、好ましくは、異なるエポキシ樹脂のブレンド、及び少なくとも1つの硬化剤を含む。エポキシ樹脂と硬化剤を合わせて、熱硬化性樹脂マトリックスの50重量%超、例えば、60重量%~100重量%を構成する。
【0058】
適切なエポキシ樹脂には、芳香族ジアミン、芳香族モノ1級アミン、アミノフェノール、多価フェノール、多価アルコール、ポリカルボン酸のポリグリシジル誘導体が含まれる。適切なエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS及びビスフェノールKなどのビスフェノールのポリグリシジルエーテル、並びにクレゾール及びフェノール系ノボラックのポリグリシジルエーテルが含まれる。
【0059】
具体的な例は、4,4’-ジアミノジフェニルメタンのテトラグリシジル誘導体(TGDDM)、レゾルシノールジグリシジルエーテル、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール、ブロモビスフェノールFジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタンのテトラグリシジル誘導体、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、フェノール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル、o-クレゾールノボラックのポリグリシジルエーテル又はテトラフェニルエタンのテトラグリシジルエーテルである。
【0060】
市販のエポキシ樹脂には、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(例えばHuntsmanのMY9663、MY720、及びMY721)、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソ-プロピルベンゼン(例えばMomentiveのEPON1071)、N,N,N’,N’-テトラクリシジル(tetraclycidyl)-ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン(例えばMomentiveのEPON1072)、p-アミノフェノールのトリグリシジルエーテル(例えばHunstmanのMY0510)、m-アミノフェノールのトリグリシジルエーテル(例えばHunstmanのMY0610)、ビスフェノールA系材料のジグリシジルエーテル、例えば2,2-ビス(4,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン(例えばDowのDER661、又はMomentiveのEPON828、及び好ましくは25℃において粘度8~20Pa・sのノボラック樹脂、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル(例えばDowのDEN431又はDEN438)、ジ-シクロペンタジエン系フェノールノボラック(例えばHuntsmanのTactix556)、ジグリシジル1,2-フタレート(例えばGLY CEL A-100)、ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)のジグリシジル誘導体(例えばHuntsmanのPY306)が含まれる。他の適切なエポキシ樹脂には、3’,4’-エポキシシクロヘキシル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えばHuntsmanのCY179)などの脂環式化合物が含まれる。
【0061】
硬化剤は適切には、公知の硬化剤、例えば、芳香族又は脂肪族アミン、又はグアニジン誘導体から選択される。特定の例は、3,3’-及び4-,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、メチレンジアニリン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、4,4’メチレンビス-(2,6-ジエチル)-アニリン(LonzaのMDEA)、4,4’メチレンビス-(3-クロロ、2,6-ジエチル)-アニリン(LonzaのMCDEA)、4,4’メチレンビス-(2,6-ジイソプロピル)-アニリン(LonzaのM-DIPA)、3,5-ジエチルトルエン-2,4/2,6-ジアミン(LonzaのD-ETDA80)、4,4’メチレンビス-(2-イソプロピル-6-メチル)-アニリン(LonzaのM-MIPA)、4-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(例えばMonuron)、3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(例えばDiuron)及びジシアノジアミド(例えば、Pacific Anchor ChemicalのAMICURE(登録商標)CG1200)である。
【0062】
熱硬化性樹脂マトリックスは、触媒、コモノマー、レオロジー制御剤、粘着付与剤、無機又は有機充填剤、強化剤としての熱可塑性及び/又はエラストマーポリマー、芯鞘ゴム粒子、UV安定剤/添加剤、粘度改質剤/流動制御剤、安定剤、阻害剤、顔料、染料、難燃剤、反応性希釈剤、及び硬化前又は硬化後にマトリックス樹脂の特性を変更するための当業者に周知の他の添加剤などの他の添加剤を更に含み得る。
【0063】
熱硬化性樹脂マトリックスのための適切な強化剤には、これらに限定されないが、ポリアミド、コポリアミド、ポリイミド、アラミド、ポリケトン、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリフェニレンオキシド(PPO)及び変性PPO、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)及びポリプロピレンオキシド、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリル、ポリフェニルスルホン、高性能炭化水素ポリマー、液晶ポリマー、エラストマー及びセグメント化エラストマーの単独又は組合せのどちらかのホモポリマー又はコポリマーが含まれる。
【0064】
強化剤が添加される場合、このような成分は、熱硬化性樹脂マトリックスの総重量に基づいて、20重量%未満の量で存在する。
【0065】
又、熱硬化性樹脂マトリックスは、例として、特定の難燃性特性を付与するための様々な難燃剤及び煙抑制剤を含み得る。このような抑制剤の例は、金属酸化物、アルミナ三水和物(ATH)、ホウ酸亜鉛、例えばFirebrake(登録商標)ZB(U.S.Borax Inc.,Boron,California USAから市販されている)、ポリリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、リン変性エポキシである。存在する場合、上記の添加剤の量は、樹脂マトリックスの総重量に基づいて35重量%までであり得る。
【0066】
複合層の強化繊維は、切断された繊維又は連続繊維、複数のフィラメントから構成されるトウ、連続一方向繊維、ランダムに配光された繊維の不織布マット/ベール、織布又は不織布の形態であり得る。不織布には、ステッチによって所定の位置に保持された一方向繊維を含むノンクリンプ(non-crimped)布地が含まれる。本明細書で使用される「一方向」という用語は、同じ方向に平行に整列することを意味する。
【0067】
強化繊維には、炭素繊維又はグラファイト繊維、ガラス繊維、及び炭化ケイ素、アルミナ、ホウ素、石英、及びセラミックから形成される繊維、並びに例えば、ポリオレフィン、ポリ(ベンゾチアゾール)、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリアリーレート、ポリ(ベンゾオキサゾール)、芳香族ポリアミド、ポリアリールエーテル等などのポリマーから形成される繊維が含まれ、2つ以上のこのような繊維を有する混合物が含まれ得る。いくつかの実施形態では、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、及び商標名KEVLARで販売されている繊維などの芳香族ポリアミド繊維から選択される。
【0068】
各複合層は、複合層の総重量に基づいて、30重量%~60重量%、又は35重量%~50重量%の熱可塑性ポリマー又は熱硬化性樹脂マトリックスを含み得る。各複合層の総面積重量は、200gsm(g/m)~2000gsm、いくつかの好ましい実施形態では、450gsm~600gsmの範囲であり得る。
【0069】
製造方法
本明細書に開示される多層複合構造体の構成要素は、熱及び圧力を加えて結合された構造体を生成することによって組み立てられ固結される。加熱されたプラテン又は加熱されたローラーなど、熱及び圧力を加えるための任意の従来の手段を使用することができる。好ましい実施形態では、多層複合構造体の固結は、構造体をダブルベルトプレスに通すことによって実行される。多層複合構造体がダブルベルトプレスを通過する間のこのような固結は、200℃~260℃の範囲の温度で1~10分間実施することができる。
【0070】
図2は、発泡コア、接着フィルム、及び外側スキンの組立体を固結して統合されたパネルを形成するのに適したダブルベルトプレスを有する連続処理機の例を示している。図2を参照すると、処理機は、上部エンドレスベルト20、下部エンドレスベルト21、加熱ゾーン内の複数の加熱要素22、距離を調整するためのニップロール23、最終形状を調整するためのSロール24、冷却ゾーン内の複数の冷却要素25、冷却ゾーンの下流のエッジトリマー26、任意の断面カッター27、及び任意の積層機構28を含む。エンドレスベルトは、反対方向に回転し、その相互に面する側が互いに押し付けられ、ベルト間を通過する材料(M)に押し付けられる。加熱及び冷却要素は、ベルト間を通過する材料と接触するベルトの部分に隣接して配置されている。このタイプのダブルベルトプレスシステムの利点の1つは、発泡コアサンドイッチ構造体の固結を例えば5バール未満などの低圧で実行できることであり、これにより、発泡コアの歪み又は崩壊を回避できる。エンドレスベルトは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの非粘着性の弾性材料、又は高温に対して耐性である非粘着性のステンレス鋼からなることができる。好ましい例では、非粘着性のステンレス鋼ベルトを備えたダブルベルトプレスを使用して、サンドイッチ表面の仕上げを改善する。
【0071】
好ましい実施形態では、多層複合構造体の製造は、連続等積法で実行され、この方法は、
(a)少なくとも以下の構成要素を有する多層組立体を形成する工程:2つの対向する表面を有する熱可塑性発泡コア、熱可塑性発泡コアの対向する表面の一方又は両方における熱可塑性接着フィルム、各熱可塑性接着フィルムにおける繊維強化複合材料の1つ以上の層、
(b)ダブルベルトプレスの2つのエンドレスベルト間の組立体を0.5~5m/分のライン速度で通過させる工程、この場合、エンドレスベルト間の距離は、ダブルベルトプレスを通過する前の(a)での組立体の組み合わせた厚さより低い3mm~40mm及び1mm~10mmの範囲である、
(c)ダブルベルトプレスを通過する間、サンドイッチ構造体を、1~10分間、200℃~260℃の範囲の温度に加熱する工程を含む。
【0072】
熱可塑性発泡コア、熱可塑性接着フィルム、及び複合層は上記の通りである。
【0073】
多層組立体は、供給ローラーから複合材料の連続シートを巻き戻し、それをコンベヤー上に置くことによって、ダブルベルトプレスへの入り口の直前で組み立てることができる。複合材料の更なるシートは、更なる供給ローラーによって供給され、前に敷設された複合材料のシートに配置され得る。次いで、その上に接着フィルムを有するシート形態の熱可塑性発泡コアが、接着フィルムが複合材料のシートと接触しているように、複合材料のシートに配置される。複合材料の第2の外側スキンを形成するために、更なる供給ローラーから巻き戻された複合材料の1つ以上の上部シートが、発泡コアシートの上部に配置される。このような場合、発泡コアシートは、その上面及び下面のそれぞれに事前に適用された接着フィルムを有する。
【0074】
一実施形態では、連続等積法は、材料の全ての長さ及び幅にわたって厚さを細かく分散して制御するためにローラーカーペットモジュール(Roller Carpet Module)(RCM)を備えている。RCMは、スチールベルトの幅全体にわたって非常に均一な厚さの制御を提供する連続したスチールベルトと接触している、上部と下部の両方にいくつかの小さなロールを含む。別の実施形態では、連続等積法は、材料の全ての長さと幅にわたって高圧抵抗で材料の厚さを制御するために、スチールベルトにより強い圧力を加えることができる上部及び下部カレンダーロールを含むカレンダーモジュール(CAM)を更に備えている。1つの好ましい実施形態では、連続等積法は、発泡体、次いでサンドイッチの厚さをより良好に正確に制御するために、ローラーカーペットモジュール(RCM)を備えた機械によって適用される。
【0075】
別の実施形態では、多層複合構造体の製造は、連続等圧法で実施され、この方法は、
(a)上記のように多層組立体を形成する工程、
(b)5バール未満、例えば1~2バールの正圧の下で、0.5~5m/分のライン速度でダブルベルトプレスの2つのエンドレスベルト間で組立体を通過させる工程、
(c)ダブルベルトプレスを通過する間、組立体を、1~10分間、200℃~260℃の範囲の温度に加熱する工程を含む。
【実施例
【0076】
実施例1
等積プロセスによる強化されていない熱可塑性スキンを備えた制御パネル
厚さ17.5mmのTegracore(登録商標)発泡コア、上部及び下部のスキンとして2つのPPSU R-5100樹脂フィルム層(それぞれ63μmの厚さを有する)、及び各スキンと発泡コアの間の約70gsmのBostik SPA145FR-A Sharnet(登録商標)の接着フィルムを有するサンドイッチパネルを組み立てた。Bostik SPA145FR-A Sharnet(登録商標)は、難燃性ポリエステルウェブ接着剤である。Tegracore(登録商標)は、53Kg/mの密度を有する独立した気泡を備えたPPSU系熱可塑性発泡コアである。
【0077】
組み立てられたパネルは、2つの対向するエンドレスPTFEベルトと12のリニアメーターの加熱プロセスゾーンを有するダブルベルト連続機を通過した。組み立てられたサンドイッチパネルの結合と固結は、加熱ゾーンの温度を220℃に設定し、1m/分のライン速度を使用して実行した。2つの対向するエンドレスベルト間の距離は、11.8mmに等しかった。
【0078】
得られた固結されたサンドイッチパネルの断面は、暗視野光で100倍の倍率で撮影されたスキン/コア界面の仕上げられた画像である、図3に示される。パネルは、発泡コアとPPSU外側スキン層の間に弱い結合ラインを示し、切断操作中に容易に剥離した。
【0079】
固結されたサンドイッチパネルのクーポンは、25mm/分で張力が加えられた、EN2243-3に従う上昇ドラム剥離(Climb Drum Peeling)試験にかけられた。試験結果は、10N/75mm未満の平均剥離強度を示した。
【0080】
実施例2
等積プロセスによる強化されていない熱可塑性スキンを備えたパネル
実施例1と同じく2つのサンドイッチパネルを組み立てたが、発泡コアと2つのPPSUスキン層のそれぞれとの間の接着フィルムとして100μmのPSU樹脂フィルムを使用した。
【0081】
各サンドイッチパネルは、両方の場合で、1m/分のライン速度を使用して、1つの場合は220℃に、第2の場合は250℃に設定された加熱温度で実施例1のダブルベルト連続機を通過した。両方の場合で、2つの対向するエンドレスベルト間の距離は、11.8mmに等しかった。
【0082】
得られた両方の固結されたサンドイッチパネルは、暗視野光下で倍率100倍で撮影されたコア/スキン界面の仕上げられた画像である、図4から分かるように、熱可塑性フィルム接着剤とコアとの間の良好な結合を示した。
【0083】
固結されたサンドイッチパネルのクーポンは、25mm/分の張力で、EN2243-3に従う上昇ドラム剥離試験にかけられた。試験結果は、それぞれ、220℃で製造されたサンドイッチの平均剥離強度が260N/75mm、250℃で製造されたサンドイッチの平均剥離強度が344N/75mmであることを示した。これらの値は、Bostik SPA145FR-A Sharnet(登録商標)ポリエステルを接着フィルムとして使用した実施例1の対照のサンドイッチパネルで得られた剥離強度の値よりも大幅に大きい。
【0084】
実施例3
等圧プロセスによる強化されていない熱可塑性スキンを備えたパネル
実施例2に記載されたものと同様の2つのサンドイッチパネルが組み立てられ、2つの対向するエンドレスステンレス鋼ベルト及び8つのリニアメーターの加熱プロセスゾーンを有するダブルベルト連続機を通過した。ダブルベルト連続機は、8つのリニアメーターの加熱プロセスゾーン全体を通して2バールの絶対圧力を加え、続いて冷却する。
【0085】
第1のパネルは、加熱温度を205℃に設定し、ライン速度1.5m/分を使用して製造された。第2のパネルは、加熱温度を230℃に設定し、ライン速度0.5m/分を使用して製造された。
【0086】
得られた固結されたパネルは、発泡コアとPPSUスキン層の間に良好な結合ラインを示した。
【0087】
固結されたサンドイッチパネルのクーポンは、25mm/分の張力で、EN2243-3に従う上昇ドラム剥離試験にかけられた。試験結果は、205℃及びライン速度1.5m/分で製造されたサンドイッチの平均剥離強度が250N/75mmであり、230℃及びライン速度0.5m/分で製造されたサンドイッチの平均剥離強度が260N/75mmであることを示した。これらの剥離強度の値は、実施例1の対照のサンドイッチパネルで得られた値よりも著しく大きい。
【0088】
実施例4
熱硬化性スキンを備えたパネル
サンドイッチパネルは、Tegracore(登録商標)発泡コア(厚さ12mm)、2つの熱硬化性スキン、及び各熱硬化性スキンと発泡コアの間の100μmのPSU樹脂フィルムを有するように組み立てられた。各側にMTM348FR-7781-38%RCの2つの層を有する各熱硬化性スキン、MTM348FR-7781-38%RCは、Solvayが供給するプリプレグであり、樹脂含有量は38重量%であり、MTM348FR難燃性エポキシ樹脂システムと7781Eガラス布地を含む。
【0089】
組み立てられたサンドイッチパネルは、加熱温度を175℃に設定し、ライン速度0.5m/分を使用して、実施例1のダブルベルト連続機を通過した。前述の温度及び時間は、熱硬化性スキンの完全な硬化をもたらした。
【0090】
得られた硬化されたサンドイッチパネルは、熱硬化性スキンと熱可塑性フィルム接着剤の間の良好な結合ライン、並びに熱可塑性フィルム接着剤と発泡コアの間の良好な結合を示した。
【0091】
固結されたサンドイッチパネルのクーポンは、25mm/分の張力で、EN2243-3に従う上昇ドラム剥離試験にかけられた。試験結果は、314N/75mmの平均剥離強度を示した。
【0092】
実施例5
等積プロセスによるガラス布地で強化された熱可塑性スキンを備えたサンドイッチパネル
サンドイッチパネルは、Tegracore(登録商標)発泡コア(厚さ12mm)、2つの繊維強化熱可塑性スキン、及び各熱可塑性スキンと発泡コアの間の100μmのPSU接着フィルムから組み立てられた。連続シートとして、各熱可塑性スキンは、連続した7781e-ガラス布地を、連続したPPSUポリマーフィルム層にプレスして、布地がポリマー層に埋め込まれるようにすることによって製造された。各熱可塑性スキンのポリマー含有量は、約40重量%である。
【0093】
サンドイッチパネルを固結するために、実施例1に開示されたダブルベルト連続機を使用した。加熱温度は250℃に設定され、ライン速度は1m/分であり、対向するエンドレスベルト間の距離は12.5mmであった。
【0094】
得られた固結されたパネルは、繊維強化熱可塑性スキンと接着フィルムの間の良好な結合ライン、及び接着フィルムと発泡コアの間の良好な結合を示した。
【0095】
固結されたサンドイッチパネルのクーポンは、25mm/分の張力で、EN2243-3に従う上昇ドラム剥離試験にかけられた。試験結果は、408N/75mmの平均剥離強度を示した。
【0096】
実施例6
等積プロセスによるガラス布地で強化された熱可塑性スキンのサンドイッチ
実施例5のものと同様のサンドイッチパネルが組み立てられたが、組み立てられたパネルを、発泡体及びサンドイッチの厚さを材料の全ての長さと幅にわたって制御するためにローラーカーペットモジュール(RCM)を備えた機械に通すことによって固結を行った。250℃の温度を使用して、良好なガラス布地の含浸と、PPSU系スキンの隣接するPSU接着フィルムとの良好な接着を同時に得た。
【0097】
固結されたサンドイッチパネルのクーポンは、25mm/分の張力で、EN2243-3に従う上昇ドラム剥離試験にかけられた。試験結果は、360N/75mmの平均剥離強度を示した。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】