(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】診断及び治療のための新規な放射性標識されたCXCR4を標的とする化合物
(51)【国際特許分類】
C07K 7/56 20060101AFI20220609BHJP
A61K 51/08 20060101ALI20220609BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
C07K7/56
A61K51/08 200
A61K51/08 100
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561643
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 CA2020050521
(87)【国際公開番号】W WO2020210919
(87)【国際公開日】2020-10-22
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520143199
【氏名又は名称】プロビンシャル・ヘルス・サービシーズ・オーソリティ
【氏名又は名称原語表記】PROVINCIAL HEALTH SERVICES AUTHORITY
(71)【出願人】
【識別番号】300066874
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ベナール,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】リン,クオ-シュヤン
(72)【発明者】
【氏名】ルソー,エティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジョンシン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ムニョス,カルロス ウリベ
(72)【発明者】
【氏名】ロサダ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ペラン,ダヴィド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA12
4C084NA14
4C084ZB261
4C085HH03
4C085KB12
4C085KB39
4C085KB82
4C085LL20
4H045AA10
4H045BA31
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA10
(57)【要約】
本出願は、式(I)の化合物に関する。[標的化ペプチド]-N(R
1)-X
1(R
2)L
1-[リンカー]-R
X
n1(I)。標的化ペプチドは、シクロ[L-Phe-L-Tyr-L-Lys(iPr)-D-Arg-L-2-Nal-Gly-D-Glu]-L-Lys(iPr)である。R
1は、Hまたはメチルである。X
1は、任意選択的に置換されたC
1-C
15炭化水素であり、任意選択的にヘテロ原子を含む。R
2は、C(O)OHまたはC(O)NH
2である。L
1は、結合(チオールエーテル、アミド、マレイミド-チオール、トリアゾール)である。リンカーは、生理的pHで正味の負電荷を有し、X
2L
2及び/またはX
2(L
2)
2の1~10個の単位の直鎖または分岐鎖であり、各X
2は、独立して、任意選択的にヘテロ原子を含む、任意選択的に置換されたC
1-C
15炭化水素であり、各L
2は、結合である。リンカーは、任意選択的に、L
2に結合したアルブミンバインダーをさらに含む。各R
Xは、金属キレート剤、トリフルオロボレート(BF
3)を含有する補欠基、またはケイ素-フッ素受容部分を含有する補欠基から選択される、別個のL
2を介して連結された放射性標識基である。本化合物は、CXCR4発現組織のイメージング、またはCXCR4関連疾患もしくは症状(例えばがん)の治療のために有用であり得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、または式Iの塩もしくは溶媒和物であって、
[標的化ペプチド]-N(R
1)-X
1(R
2)L
1-[リンカー]-R
X
n1 (I)
式中、
前記標的化ペプチドが、-N(R
1)-にC末端で結合しているシクロ[L-Phe-L-Tyr-L-Lys(iPr)-D-Arg-L-2-Nal-Gly-D-Glu]-L-Lys(iPr)であり、
R
1が、Hまたはメチルであり、
X
1が、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニルであり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立してオキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうちの1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換され、
R
2が、C(O)OHまたはC(O)NH
2であり、
L
1が、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
であり、
リンカーが、X
2L
2及び/またはX
2(L
2)
2の1~10個の単位の直鎖または分岐鎖であり、
各X
2が、独立して、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニルであり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立してオキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうちの1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換され、
各L
2が、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
であり、
前記リンカーが、少なくとも1つのカルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、またはリン酸を含み、生理的pHで正味の負電荷を有し、
前記リンカーが、任意選択で、前記リンカーのL
2に結合したアルブミンバインダーをさらに含み、前記アルブミンバインダーが、-(CH
2)
n2-CH
3(式中、n2が8~20である)、-(CH
2)
n3-C(O)OH(式中、n3が8~20である)、または、
(式中、n4=1~4であり、R
3が、I、Br、F、Cl、H、OH、OCH
3、NH
2、NO
2、もしくはCH
3である)であり、
n1が、1または2であり、
各R
Xが、前記リンカーの別個のL
2を介して連結された放射性標識基であり、独立して、任意選択的に放射性金属または放射性同位体結合金属との錯体を形成した金属キレート剤、トリフルオロボレート(BF
3)を含有する補欠基、またはケイ素-フッ素受容部分を含有する補欠基から選択される、
前記式Iの化合物、または前記式Iの塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
X
1が、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15アルキレニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X
1が、
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
-N(R
1)-X
1(R
2)L
1-が、Lys、オルニチン、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、Glu、Asp、または2-アミノアジピン酸(2-Aad)から選択される側鎖連結アミノ酸残基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
1が、Hである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R
2が、C(O)OHまたはC(O)NH
2である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
L
1が、-NHC(O)-または-C(O)NH-である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記リンカーが、1~8個の単位のX
2L
2と0~2個の単位のX
2(L
2)
2からなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
各X
2が、独立して、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15アルキレニルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
各X
2が、独立して、-CH-、
(式中、各R
4が独立して、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、またはリン酸である)、または
である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
2つのX
2基の間の各L
2が、独立して、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、または-C(O)N(CH
3)-であり、1つのR
Xを連結する各L
2が、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
である、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記リンカーが、タンパク質原性アミノ酸残基及び/または表1に列挙される非タンパク質原性アミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基の直鎖状または分岐鎖状ペプチドであり、2つのX
2基の間の各L
2が、メチル化または非メチル化であり、1つのR
Xを連結する各L
2が、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
2つのX
2基の間の各L
2が、非メチル化アミドである、請求項11または12に記載の化合物。
【請求項14】
前記リンカーが、Glu、Asp、及び/または2-アミノアジピン酸(2-Aad)のうちの1つまたは組み合わせから選択される、2つまたは3つのアミノ酸を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
前記リンカーが、3つの連続したGlu残基を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記リンカーが、生理的pHで-2~-5の正味負電荷を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
前記リンカーが、前記アルブミンバインダーをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
1つのR
Xを連結する各L
2が、独立して、-NHC(O)-、-C(O)NH-、
である、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
n1が、1である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
n1が、2である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
前記金属キレート剤及び前記BF
3を含有する補欠基の両方を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
各々BF
3を含有する2つの補欠基を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
BF
3を含有する補欠基が、-R
6R
7BF
3であり、式中、R
6が、-(CH
2)
1-5-であり、-R
7BF
3が、表3もしくは4から選択されるか、または
であり、式中、各R
8及び各R
9が、独立して、分岐鎖状または直鎖状のC
1-C
5アルキルである、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
-R
7BF
3が、
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
R
8及びR
9が、各々メチルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記BF
3を含有する補欠基が、
18Fを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
前記金属キレート剤が、前記放射性同位体と錯体を形成している、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
前記金属キレート剤が、ポリアミノカルボキシレートキレート剤である、請求項1~22または27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
前記金属キレート剤が、DOTAまたはDOTA誘導体である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
BL02、BL03、BL04、BL07、BL08、BL09、BL17、BL18、BL19、BL20、BL21、BL22、BL23、BL24、BL25、BL26、BL27、BL28、またはBL29のうちのいずれか1つの構造を有するか、またはその塩もしくは溶媒和物である、請求項1に記載の化合物であって、DOTAが、任意選択的に、放射性同位体と錯体を形成しているか、または、前記BF
3を含有する補欠基が、任意選択的に、
18Fを含む、前記化合物。
【請求項31】
対象におけるCXCR4発現組織のイメージングに使用するための、または炎症症状もしくは疾患のイメージングに使用するための、請求項1~30のいずれか1項に記載の化合物であって、少なくとも1つのR
Xが、イメージング放射性同位体を含むか、またはそれと錯体を形成している、前記化合物。
【請求項32】
対象におけるCXCR4の発現を特徴とする疾患または症状の治療に使用するための、請求項1~30のいずれか1項に記載の化合物であって、少なくとも1つのR
Xが、治療用放射性同位体を含むか、またはそれと錯体を形成している、前記化合物。
【請求項33】
前記疾患または症状が、CXCR4を発現するがんである、請求項32に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的イメージングまたは治療のための放射性標識化合物、特に、CXCR4を標的とする化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
CXCケモカイン受容体4型(CXCR4)は、化学走性及び白血球輸送に関与するGタンパク質共役受容体である。CXCR4は、HIVがT細胞に侵入するための共受容体として同定され、医薬開発のための有力な標的としての地位が確立された(Feng et al.,Science.1996,272:872-7、Bleul et al.,Proc Natl Acad Sci.1997,94:1925-1930)。CXCR4の発現はまた、自己免疫障害、心血管疾患及びがんとも関連しており(Doring et al.,Front Physiol.2014、5:212、Chatterjee et al.,Adv Cancer Res.2014、124:31-82)、例えば、血液がん及び固形がんを含む23のヒトがんにおけるCXCR4の過剰発現が観察されている(Chatterjee et al.、同上)。α-ケモカイン間質細胞由来因子1(SDF-1α)は、CXCR4を介してシグナル伝達し、がん細胞増殖を促進し、転移挙動を強化する(Duda et al.,Clin Cancer Res.2011、17:2074-2080を参照されたい)。元々はHIV治療のために開発された、AMD3100としても知られているプレリキサホル(Plerixafor)は、採取及び自己移植のために造血幹細胞を末梢血中に動員する用途で、FDAの承認を受けた(De Clercq,Biochem Pharmacol.2009,77:1655-1664)。
【0003】
放射性標識されたモノクローナル抗体、サイクラム(cyclam)阻害剤及びペプチドが、核医学においてCXCR4標的化イメージングのためのファーマコフォア(pharmacophores)として使用されてきた(Weiss et al.,Theranostics.2013,3:76-84、Walenkamp et al.,J Nucl Med.2017,58:77S-82S)。今日では、Westerグループにより構築された環状ペンタペプチドである[68Ga]Ga-ペンチキサホル(Pentixafor)(Demmer et al.,ChemMedChem.2011,6:1789-1791、Gourni et al.,J Nucl Med.2011,52:1803-1810)が、医療分野において最も研究されたCXCR4放射性医薬である。[68Ga]Ga-ペンチキサホルは、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、副腎皮質癌、小細胞肺癌または乳癌を有する患者のイメージングのために使用されている(Walenkamp et al.,上記、Vag et al.,EJNMMI Res.2018,8:90)。すなわちヨウ化されたチロシンを有するペンチキサホルの誘導体であるペンチキサテル(Pentixather)は、内部放射線治療のためのコンパニオン診断薬(177Lu-ルテチウムまたは90Y-イットリウムによって放射性標識)である(Schottelius et al.,Theranostics.2017,7:2350-2362、Herrmann et al.,J Nucl Med.2016,57:248-251)。不応性多発性骨髄腫を有する3名の患者に対して[177Lu]Lu/[90Y]Y-ペンチキサテルを特例的に使用した予備的データが報告されている(Herrmann et al.、同上)。[18F]FDGイメージングに基づき、1名の患者が部分奏効し、1名が完全奏効している。3人目の患者は、自己幹細胞移植後の敗血症のため、[18F]FDG再ステージングを受けることができなかった。さらなる研究が待たれるが、[177Lu]Lu/[90Y]Y-ペンチキサテルは、有望な放射線治療薬であると考えられる。
【0004】
LY2510924(シクロ[Phe-Tyr-Lys(iPr)-D-Arg-2-Nal-Gly-D-Glu]-Lys(iPr)-NH2)は、79pMのIC50値でCXCR4へのSDF-1α結合をブロックできる新規な環状ペプチドである(Peng et al.,Mol Cancer Ther.2015,14:480-490を参照されたい)。その著者らは、LY2510924が非ホジキンリンパ腫、腎細胞癌、肺癌、大腸癌及び乳癌異種移植モデルの増殖を阻害できることを実証している。LY2510924は、小細胞肺癌患者に対するカルボプラチン/エトポシド化学療法の治療有効性を改善することには失敗したが(Salgia et al.,Lung Cancer.2017,105:7-13を参照されたい)、それは現在、再発性または不応性急性顆粒球性白血病患者に対する、イダルビシン及びシタラビンとの組み合わせに係るフェーズII試験において評価されている(ClinicalTrials.gov識別番号:NCT02652871)。このレジメンでは、LY2510924ががん細胞を動員して骨髄から血流に入らせ、そこでそれらが化学療法剤の組み合わせによる作用を受けうると予想される。
【0005】
したがって、当該分野では、CXCR4の発現を特徴とするがん及び他の疾患/障害のインビボでの診断及び治療のための、改善されたイメージング剤(例えば、PETイメージング剤)及び放射線治療組成物に対する必要性が満たされていない。
【0006】
前述の情報のいずれも決して、本発明に対する先行技術を構成することも、またそのように解釈されるべきことも、意図するものではない。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、CXCR4を標的とする新規な化合物が開示される。
【0008】
本開示は、式I(以下に示す)を有する化合物か、または式Iの塩もしくは溶媒和物である化合物を提供する。
[標的化ペプチド]-N(R
1)-X
1(R
2)L
1-[リンカー]-R
X
n1(I)
式中、
標的化ペプチドは、-N(R
1)-にC末端で結合しているシクロ[L-Phe-L-Tyr-L-Lys(iPr)-D-Arg-L-2-Nal-Gly-D-Glu]-L-Lys(iPr)であり、
R
1は、Hまたはメチルであり、
X
1は、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニルであり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立して、オキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうちの1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換され、
R
2は、C(O)OHまたはC(O)NH
2であり、
L
1は、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
であり、
リンカーは、X
2L
2及び/またはX
2(L
2)
2の1~10個の単位の直鎖または分岐鎖であり、
各X
2は、独立して、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニルであり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立して、オキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうちの1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換され、
各L
2は、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
であり、
リンカーは、少なくとも1つのカルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、またはリン酸を含み、生理的pHで正味の負電荷を有し、
リンカーは、任意選択で、前記リンカーのL
2に結合したアルブミンバインダーをさらに含み、前記アルブミンバインダーは、-(CH
2)
n2-CH
3(式中、n2が8~20である)、-(CH
2)
n3-C(O)OH(式中、n3が8~20である)、または
(式中、n4=1~4であり、R
3が、I、Br、F、Cl、H、OH、OCH
3、NH
2、NO
2、もしくはCH
3である)であり、
n1は、1または2であり、
各R
Xは、リンカーの別個のL
2を介して連結された放射性標識基であり、独立して、任意選択的に放射性金属または放射性同位体結合金属と錯体を形成した金属キレート剤、トリフルオロボレート(BF
3)を含有する補欠基(prosthetic group)、またはケイ素-フッ素受容部分を含有する補欠基から選択される。
【0009】
本発明のこの概要は、必ずしも本発明のすべての特徴を説明するものではない。
【0010】
本発明のこれらの及び他の特徴は、添付の図面に関する以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】CHO:CXCR4及びCHO:WT細胞における結合した[
68Ga]Ga-BL02の内在化のパーセンテージを示すグラフを示す。
【
図2】Daudi Burkittリンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、注入後、A)1時間及びB)2時間における、[
68Ga]Ga-BL02の最大強度投影PETイメージを示す。C)ブロッキング試験は、トレーサー注入の15分前の、7.5μgのLY2510924の事前注入(i.p.)によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~6を示す。
【
図3】Z138マントル細胞リンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、A)注入後1時間における[
68Ga]Ga-BL02の最大強度投影PETイメージを示す。B)ブロッキング試験は、トレーサー注入の15分前の、7.5μgのLY2510924(i.p.)の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~11を示す。
【
図4】Jeko1マントル細胞リンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、A)注入後1時間における[
68Ga]Ga-BL02の最大強度投影PETイメージを示す。B)ブロッキング試験は、トレーサー注入の15分前の、7.5μgのLY2510924(i.p.)の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~11を示す。
【
図5】GRANTA519マントル細胞リンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、A)注入後1時間における[
68Ga]Ga-BL02の最大強度投影PETイメージを示す。B)ブロッキング試験は、トレーサー注入の15分前の、7.5μgのLY2510924(i.p.)の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~5を示す。
【
図6】PC3前立腺癌異種移植片を有するマウスにおける、A)注入後1時間における[
68Ga]Ga-BL02の最大強度投影PETイメージを示す。B)ブロッキング試験は、トレーサー注入の15分前の、7.5μgのLY2510924(i.p.)の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~1.5を示す。
【
図7】Daudi Burkittリンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、注入後、A)1時間及びB)2時間における、[
18F]F-BL04の最大強度投影PETイメージを示す。C)ブロッキング試験は、トレーサー投与の15分前の、7.5μgのLY2510924の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~5を示す。
【
図8】Daudi Burkittリンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、注入後、A)1時間及びB)2時間における、[
68Ga]Ga-BL06の最大強度投影PETイメージを示す。C)ブロッキング試験は、トレーサー投与の15分前の、7.5μgのLY2510924の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~10を示す。
【
図9】Daudi Burkittリンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、注入後、A)1時間及びB)2時間における、[
18F]F-BL08の最大強度投影PETイメージを示す。C)ブロッキング試験は、トレーサー投与の15分前の、7.5μgのLY2510924の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~9を示す。
【
図10】Daudi Burkittリンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、注入後、A)1時間及びB)2時間における、[
18F]F-BL09の最大強度投影PETイメージを示す。C)ブロッキング試験は、トレーサー投与の15分前の、7.5μgのLY2510924の事前注入によって実施した。スケールバーは、%ID/gの単位で0~9を示す。
【
図11】Daudi Burkittリンパ腫異種移植片を有するマウスにおける、注入後1時間における[
68Ga]Ga-BL17の最大強度投影PETイメージを示す。スケールバーは、%ID/gの単位で0~6を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(including)」及び「含有する(containing)」、ならびにそれらの文法的活用形態は、包括的または開放的であり、追加の、列挙されていない要素及び/または方法ステップを除外するものではない。「本質的に~からなる」という用語は、組成物、使用または方法に関連して本明細書で使用される場合、追加の要素及び/または方法ステップが存在し得ることを示すが、これらの追加が列挙された組成物、方法または使用の機能態様に実質的に影響を及ぼさないことを意味する。「~からなる」という用語は、組成物、使用または方法と関連して本明細書で使用される場合、追加の要素及び/または方法ステップの存在を除外するものである。本明細書ではある特定の要素及び/またはステップを、含む、として記載される組成物、使用または方法は、ある特定の実施形態では、それらの要素及び/またはステップから本質的になるものであってもよく、他の実施形態では、これらの実施形態が具体的に参照されるか否かにかかわらず、それらの要素及び/またはステップからなるものであってもよい。ある特定の要素及び/またはステップを、含む、として本明細書に記載される使用または方法は、ある特定の実施形態では、これらの要素及び/またはステップから本質的になるものであってもよく、他の実施形態では、これらの実施形態が具体的に参照されるか否かにかかわらず、それらの要素及び/またはステップからなるものであってもよい。
【0013】
不定冠詞「a」による要素への言及は、文脈上、要素のうちの1つのみが存在することを明らかに必要とする場合を除き、要素のうちの1つ以上が存在する可能性を排除しない。単数形「a」、「an」、及び「the」には、その内容が明らかに特段示されている場合を除き、その複数の場合が含まれる。「a」または「an」という単語の使用は、本明細書で「comprising(含む)」という用語と一緒に使用される場合、「1つの」を意味し得るが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」、及び「1つまたは1超の」という意味と矛盾するものではない。
【0014】
別段明記しない限り、「ある特定の実施形態」、「様々な実施形態」、「一実施形態」及び同様の用語は、他の実施形態が直接的または間接的に参照されるか否かに関わらず、ならびに特徴または実施形態が方法、製品、使用、組成物、化合物等の文脈において記載されるか否かにかかわらず、それ単独で、または本明細書に記載される任意の他の実施形態または複数の実施形態との組み合わせで、その実施形態について記載される特定の特徴(複数可)を包含する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、「治療的」などの用語は、症状の緩和、疾患の進行の低減、予後の改善、及び再発の低減(例えば、がんの再発の低減)を包含する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「診断剤」という用語は、「イメージング剤」を包含する。したがって、「診断用放射性金属」は、イメージング剤における使用に好適な放射性金属を包含し、また「診断用放射性同位体」は、イメージング剤における使用に好適な放射性同位体を包含する。
【0017】
「対象」という用語は、動物(例えば、哺乳動物または非哺乳動物)を指す。対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類であってもよい。対象は、実験用の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター等)であってもよい。対象は、農業動物(例えば、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ラクダなど)または家畜(例えば、イヌ、ネコなど)であってもよい。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0018】
本明細書に開示される化合物はまた、塩基を含まない形態や、その塩またはその薬学的に許容される塩を包含し得る。別段明記しない限り、特許請求され、本明細書に記載される化合物は、本明細書に明示的に表されているか否かにかかわらず、すべてのラセミ混合物及びすべての個々のエナンチオマー、またはそれらの組み合わせを包含することを意味する。
【0019】
本明細書に開示される化合物は、1つ以上の荷電基を有するものとして示され得、非荷電(例えば、プロトン化)状態のイオン化可能な基を有するものとして示されてもよく、または正式な荷電を指定することなく示されてもよい。当業者によって理解されるように、化合物内のある特定の基(例えば、限定されないが、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、リン酸など)のイオン化状態は、とりわけ、その基のpKa及びその位置におけるpHに依存する。例えば、限定されないが、カルボン酸基(すなわち、COOH)は、通常、そのプロトン化状態が安定化されていない限り、中性pH及びほとんどの生理的pH値では脱プロトン化される(負に荷電する)と理解されるであろう。同様に、スルホン酸基、スルフィン酸基、及びリン酸基は、一般に、中性及び生理的pH値では脱プロトン化される(負に荷電する)。
【0020】
本明細書で使用する場合、「塩」及び「溶媒和物」という用語は、化学分野におけるそれらの通常の意味を有する。したがって、化合物が塩または溶媒和物である場合、適切な対イオンと会合する。塩を調製する方法、または対イオンを交換する方法は、当該技術分野において周知である。一般に、かかる塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論的量の好適な塩基(例えば、限定されないが、Na、Ca、Mg、もしくはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等)と反応させることによって、またはこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論的量の好適な酸と反応させることによって調製できる。かかる反応は、一般に、水中もしくは有機溶媒中、またはそれら2つの混合物中で行われる。対イオンは、例えば、イオン交換クロマトグラフィー等のイオン交換技術によって交換され得る。特定の形態が具体的に示されない限り、すべての双性イオン、塩、溶媒和物、及び対イオンが意図される。
【0021】
ある特定の実施形態では、塩または対イオンは、対象への投与のために薬学的に許容されるものであり得る。より一般的には、本明細書に開示される任意の医薬組成物に関して、好適な賦形剤の非限定的な例としては、任意の好適な緩衝剤、安定化剤、塩、抗酸化剤、錯化剤、張力剤、凍結保護剤、凍結保護剤、懸濁化剤、乳化剤、抗菌剤、防腐剤、キレート剤、結合剤、界面活性剤、湿潤剤、固定油などの非水ビヒクル、または持続的または制御された放出のためのポリマーが挙げられる。例えば、Berge et al.1977.(J.Pharm Sci 66:1-19)、またはRemington-The Science and Practice of Pharmacy,21st edition(Gennaro et al editors.Lippincott Williams&Wilkins Philadelphia)を参照されたく、またこれらの各々は、その全体が参照により組込まれる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「Cy-Cz」であってy及びzが整数(例えば、C1-C15、C1-C5等)であるという表現は、化合物、R基または置換基中の炭素の数を指すか、または、ある数の炭素がヘテロ原子によって置換されたと特定されるときは、炭素原子+ヘテロ原子の数を指す。ヘテロ原子としては、任意の、いくつかの、またはすべての可能なヘテロ原子が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、ヘテロ原子は、N、O、S、P、及びSeから選択される。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子は、N、S、及びOから選択される。別段明記しない限り、かかる実施形態は非限定的である。
【0023】
特に別段明記しない限り、用語「アルキル」は、以下の任意の合理的な組み合わせを包含する。(1)直鎖または分岐鎖、(2)非環状または環状、なお、後者は、多環式(縮合環、複数の非縮合環、またはこれらの組み合わせ)を含み得、及び(3)非置換または置換。「アルキル、アルケニルまたはアルキニル」という表現及び同様の表現を有する文脈において、「アルキル」とは、飽和アルキルであると理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「直鎖」という用語は、当業者に通常理解されるように使用され得、一般に、複数の連続鎖に分裂しない骨格または主鎖を含む化学物質を指す。直鎖状アルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、及びn-ブチルが挙げられる。本明細書で使用される場合、「分岐鎖」という用語は、当業者に通常理解されるように使用され得、一般に、2つ以上の連続した鎖に分岐した骨格または主鎖を含む化学物質を指す。2つ以上の方向で分裂した骨格または主鎖の部分は、直鎖、環状、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。分岐アルキル基の非限定的な例としては、tert-ブチル及びイソプロピルが挙げられる。
【0024】
「アルキレニル」という用語は、アルキル基の二価の類似体を指す。「アルキレニル、アルケニレニルまたはアルキニレニル」という表現、及び同様の表現を有する文脈において、「アルキレニル」は、飽和アルキレニルであると理解されるであろう。
【0025】
本明細書で使用される場合、化学物質を指すときの「飽和」という用語は、当業者に通常理解されるように使用され得、一般に、単結合のみを含み、直鎖基、分岐鎖基、及び/または環状基を含み得る化学物質を指す。飽和C1-C20アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、sec-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、sec-ペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、1,2-ジメチルプロピル、2-エチルプロピル、1-メチル-2-エチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、sec-ヘキシル、t-ヘキシル、n-ヘプチル、i-ヘプチル、sec-ヘプチル、t-ヘプチル、n-オクチル、i-オクチル、sec-オクチル、t-オクチル、n-ノニル、i-ノニル、sec-ノニル、t-ノニル、n-デシル、i-デシル、sec-デシル、t-デシル、シクロプロパニル、シクロブタニル、シクロペンタニル、シクロヘキサニル、シクロヘプタニル、シクロオクタニル、シクロノナニル、シクロデカニルなどが挙げられる。別段明記しない限り、C1-C20アルキレニルはしたがって、限定されないが、上に列挙した飽和アルキル基のすべての二価類似体を包含する。
【0026】
本明細書で使用される場合、化学物質を指す場合、「不飽和」という用語は、当業者に通常理解されるように使用され得、一般に、少なくとも1つの二重または三重結合を含み、直鎖、分岐鎖、及び/または環状基を含み得る化学物質を指す。C2-C20アルケニル基の非限定的な例としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、1-プロペン-2-イル、1-ブテン-1-イル、1-ブテン-2-イル、1-ブテン-3-イル、2-ブテン-1-イル、2-ブテン-2-イル、オクテニル、デセニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノナニル、シクロデカネニルなどが挙げられ得る。別段明記しない限り、C1-C20アルケニルはしたがって、限定されないが、上に列挙したアルケニル基のすべての二価類似体を包含する。C2-C20アルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニル、デシニルなどが挙げられ得る。別段明記しない限り、C1-C20アルキニレニルはしたがって、限定されないが、上に列挙したアルキニル基のすべての二価類似体を包含する。
【0027】
アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレニル、アルキニル等において、1つ以上の炭素が独立してヘテロ原子によって置換されることが明記される場合、当業者であれば、様々なヘテロ原子の様々な組み合わせが使用され得ることを理解するであろう。非芳香族複素環基の非限定的な例としては、アジリジニル、アゼチジニル、ジアゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、フタルイミジル、スクシンイミジル、オキシラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、ジオキサニル、チエタニル、チエピニル、モルホリニル、オキサチオラニルなどが挙げられる。「直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状…アルキル、アルケニル、またはアルキニル」という表現には、とりわけ、アリール基が含まれる。さらに明記しない限り、「アリール」基は、少なくとも1つの芳香環を含む単一の芳香環及び縮合環の両方を包含する。C3-C20アリール基の非限定的な例としては、フェニル(Ph)、ペンタレニル、インデニル、ナフチル及びアズレニルが挙げられる。X3-X20芳香族複素環基の非限定的な例としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、プリニル、カルバゾリル、インダゾリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、フェナントリジニル、フェナジニル、フェナントロリニル、ペリミジニル、フリル、ジベンゾフリル、キサンテニル、ベンゾフリル、チオフェニル、チアントレニル、ベンゾチオフェニル、ホスホリニル、ホスホリニル、チアゾリル、オキサゾリル等が挙げられる。同様に、「直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状…アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニル」という表現には、とりわけ、上記に定義される直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基、またそれらに包含されるすべてのアリール基の、二価の類似体が包含される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、当業者に通常理解されるように使用され、一般に、1つの化学基を別の化学基で置き換えた化合物または化学物質を指す。別段明記されない限り、置換アルキルは、1つ以上の水素原子(複数可)が各々独立して、水素ではない原子で置換されているアルキルである。例えば、クロロメチルは、置換アルキルの非限定的な例であり、より具体的には、置換メチルの例である。アミノエチルは、置換アルキルの別の非限定的な例であり、より具体的には、置換エチルの例である。別段明記されない限り、置換された化合物または基(例えば、アルキル、アルキレニル、アリール等)は、当業者にとって妥当な任意の化学基で置換され得る。例えば、限定されないが、炭素またはヘテロ原子(例えば、N)に結合した水素は、ハロゲン化物(例えば、F、I、Br、Cl)、アミン、アミド、オキソ、ヒドロキシル、チオール(スルフヒドリル)、ホスフェート(またはリン酸)、ホスホネート、スルフェート、SO2H(スルフィン酸)、SO3H(スルホン酸)、アルキル、アリール、ケトン、カルボキシアルデヒド、カルボン酸、カルボキサミド、ニトリル、グアニジノ、モノハロメチル、ジハロメチル、またはトリハロメチルで置換され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、当業者に通常理解されるように使用される。非置換アルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、tert-ブチル、ペンチルなどが挙げられる。「任意選択的に置換された」という表現は、「非置換または置換された」という表現と互換的に使用される。
【0030】
本明細書に提供される構造において、水素は、示されても示されなくてもよい。いくつかの実施形態では、水素(示されているか暗黙的かは問わない)は、プロチウム(すなわち、1H)、重水素(すなわち、2H)、または1H及び2Hの組み合わせであってもよい。1Hを2Hで交換する方法は、当該技術分野で周知である。溶媒交換可能な水素について、1Hと2Hとの交換は、任意の触媒なしで、好適な重水素源の存在下で容易に生じる。酸、塩基、または金属触媒の使用は、温度及び圧力の増加の条件と相まって、交換不可能な水素原子の交換を促進し、一般に、分子内のすべての1Hの2Hへの交換をもたらし得る。
【0031】
本明細書に開示される化合物は、アミノ酸を、例えばペプチド鎖(直鎖もしくは分岐鎖)中の残基として、またはそれ以外の化合物の一部であるアミノ酸として、組込む。アミノ酸は、アミノ基及びカルボン酸基の両方を有し、これらのいずれかまたは両方が共有結合に使用できる。化合物の残りの部分に結合する際に、アミノ基及び/またはカルボン酸基は、アミドまたは他の構造に変換されてもよく、例えば、第1のアミノ酸のカルボン酸基が、第2のアミノ酸のアミノ基に結合したとき、アミド(例えば、ペプチド結合)に変換される。したがって、アミノ酸残基は、式-N(R
a)R
bC(O)-を有し得、式中、R
a及びR
bは、R基である。R
aは、典型的には、水素またはメチルである。ペプチドのアミノ酸残基は、典型的なペプチド(アミド)結合を含み得、また、側鎖官能基と、別のアミノ酸の側鎖または主鎖官能基との間の結合をさらに含み得る。例えば、ペプチド中の1つのアミノ酸残基(例えばAsp、Gluなど)の側鎖カルボキシレートは、ペプチド中の別のアミノ酸残基(例えばDap、Dab、Orn、Lys)のアミンと結合し得る。さらなる詳細を以下に示す。「アミノ酸」という用語は、タンパク質原性アミノ酸及び非タンパク質原性アミノ酸を包含する。非タンパク質原性アミノ酸の非限定的な例として挙げられるものを、表1に示し、D-アミノ酸(以下のアミノ酸のD型を含むがこれに限定されない)、オルニチン(Orn)、3-(1-ナフチル)アラニン(Nal)、3-(2-ナフチル)アラニン(2-Nal)、α-アミノ酪酸、ノルバリン、ノルロイシン(Nle)、ホモノルロイシン、ベータ-(1,2,3-トリアゾール-4-イル)-L-アラニン、1,2,4-トリアゾール-3-アラニン、Phe(4-F)、Phe(4-Cl)、Phe(4-Br)、Phe(4-I)、Phe(4-NH
2)、Phe(4-NO
2)、ホモアルギニン(hArg)、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸酸(Agb)、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸(Agp)、Β-アラニン、4-アミノ酪酸、5-アミノ吉草酸、6-アミノヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、8-アミノオクタン酸、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、2-アミノオクタン酸、2-アミノ-3-(アントラセン-2-イル)プロパン酸、2-アミノ-3-(アントラセン-9-イル)プロパン酸、2-アミノ-3-(ピレン-1-イル)プロパン酸、Trp(5-Br)、Trp(5-OCH
3)、Trp(6-F)、Trp(5-OH)またはTrp(CHO)、2-アミノ酸(2-Aad)、3-アミノアジピン酸(3-Aad)、プロパルギルグリシン(Pra)、ホモプロパルギルグリシン(Hpg)、ベータホモプロパルギルグリシン(Bpg)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、アジドリジン(Lys(N
3))、アジド-オルニチン(Orn(N
3))、2-アミノ-4-アジドブタン酸Dab(N
3)、Dap(N
3)、2-(5’-アジドペンチル)アラニン、2-(6’-アジドヘキシル)アラニン、4-アミノ-1-カルボキシメチル-ピペリジン(Pip)、4-(2-アミノエチル)-1-カルボキシメチル-ピペラジン(Acp)、及びトラネキサム酸を含む。L-アミノ酸またはD-アミノ酸として指定されない場合、アミノ酸は、L-アミノ酸とD-アミノ酸の両方を包含すると理解されるものとする。
【0032】
化学式(例えば、定義L
1、L
2などにおける)の結合の途中または結合の端部に示す波線
記号は、波線の反対側の構造の定義を変更することなく、波線の一方の側のR基を定義することを意図する。R基が2つ以上の側面に結合している場合(例えば、X
1、X
2等のある特定の定義)、波線の外側に示される任意の原子は、R基の方向を明確にすることが意図される。したがって、2つの波線の間の原子のみがR基の定義を構成する。原子が波線の外側に示されていないとき、または、波線がないが複数の側面への結合を有する化学基(例えば、-C(O)NH-等)の場合には、化学基は、その基が関係する式の向きと一致するように、左から右に読まれるべきである(例えば、式-R
a-R
b-R
c-の場合、R
bを-C(O)NH-として定義するときは、-R
a-NHC(O)-R
c-としてではなく、-R
a-C(O)NH-R
c-として式に組込まれる)。
【0033】
様々な態様は、化合物が開示され、該化合物は、式Iを有するか、または式Iの塩もしくは溶媒和物である:
[標的化ペプチド]-N(R
1)-X
1(R
2)L
1-[リンカー]-R
X
n1(I)
式中、
標的化ペプチドは、-N(R
1)-にC末端で結合しているシクロ[L-Phe-L-Tyr-L-Lys(iPr)-D-Arg-L-2-Nal-Gly-D-Glu]-L-Lys(iPr)であり、
R
1は、Hまたはメチルであり、
X
1は、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15炭化水素(アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニル)であり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立して、オキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうち1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換され、
R
2は、C(O)OHまたはC(O)NH
2であり、
L
1は、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
であり、
リンカーは、X
2L
2及び/またはX
2(L
2)
2の1~10個の単位の直鎖または分岐鎖であり、
X
2は、独立して、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C
1-C
15炭化水素(アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニル)であり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立して、オキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうちの1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換され、
各L
2は、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
であり、
リンカーは、少なくとも1つのカルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、またはリン酸を含み、生理的pHで正味の負電荷を有し、
リンカーは、任意選択で、前記リンカーのL
2に結合したアルブミンバインダーをさらに含み、前記アルブミンバインダーは、-(CH
2)
n2-CH
3(式中、n2が8~20である)か、-(CH
2)
n3-C(O)OH(式中、n3が8~20である)か、または、
(式中、n4=1~4であり、R
3が、I、Br、F、Cl、H、OH、OCH
3、NH
2、NO
2、もしくはCH
3である)であり、
n1は、1または2であり、
各R
Xは、リンカーの別個のL
2を介して連結された放射性標識基であり、独立して任意選択的に、放射性金属または放射性同位体結合金属と錯体を形成した金属キレート剤、トリフルオロボレート(BF
3)を含有する補欠基(prosthetic group)、またはケイ素-フッ素受容部分を含有する補欠基から選択される。
【0034】
標的化ペプチドは、式IIの構造を有するか、または式IIの塩もしくは溶媒和物である。
【0035】
いくつかの実施形態では、R1はHである。他の実施形態では、R1はメチルである。
【0036】
X1は、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C1-C15炭化水素(アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニル)であり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立して、オキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうちの1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換される。いくつかの実施形態では、炭化水素は、アルキレニルである。いくつかの実施形態では、炭化水素は、アルケニレニルである。いくつかの実施形態では、炭化水素は、アルキニレニルである。いくつかの実施形態では、炭化水素は、直鎖状である。いくつかの実施形態では、炭化水素は、分岐鎖状である。いくつかの実施形態では、炭化水素は、環状である。この文脈における「環状」という用語には、単環系、多環系、または縮合環系が含まれ、これらの各々は、個別に、芳香族、部分的に芳香族、または非芳香族であり得る。いくつかの実施形態では、炭化水素は、直鎖状及び環状である。いくつかの実施形態では、炭化水素は、分岐鎖状及び環状である。
【0037】
いくつかの実施形態では、X
1は、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状のC
1-C
15アルキレニルである。いくつかの実施形態では、X
1は、直鎖状アルキレニルである。いくつかの実施形態では、X
1は、
である。いくつかの実施形態では、X
1は、
である。いくつかの実施形態では、X
1は、
である。
【0038】
いくつかの実施形態では、-N(R1)-X1(R2)L1-は、側鎖連結アミノ酸残基を形成する。いくつかの実施形態では、側鎖連結アミノ酸残基は、Lys、オルニチン、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、Glu、Asp、または2-アミノアジピン酸(2-Aad)である。いくつかの実施形態では、側鎖連結アミノ酸残基は、L-アミノ酸である。いくつかの実施形態では、側鎖連結アミノ酸残基は、D-アミノ酸である。いくつかの実施形態では、側鎖連結アミノ酸残基は、L-Lysである。いくつかの実施形態では、側鎖連結アミノ酸残基は、D-Lysである。
【0039】
いくつかの実施形態では、R2は、C(O)OHである。他の実施形態では、R2は、C(O)NH2である。
【0040】
L
1は、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
から選択される結合である。いくつかの実施形態では、L
1は、-S-である。いくつかの実施形態では、L
1は、-NHC(O)-である。いくつかの実施形態では、L
1は、-C(O)NH-である。いくつかの実施形態では、L
1は、-N(CH
3)C(O)-である。いくつかの実施形態では、L
1は、-C(O)N(CH
3)-である。いくつかの実施形態では、L
1は、
である。いくつかの実施形態では、L
1は、
である。いくつかの実施形態では、L
1は、
である。いくつかの実施形態では、L
1は、
である。
【0041】
「リンカー」は、1~10個の位のX2L2及び/またはX2(L2)2の直鎖または分岐鎖であり、X2L2及び/またはX2(L2)2の任意の組み合わせまたは構成を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、X2L2単位のみ(例えば、1~10個の単位のX2L2、及び0個の単位のX2(L2)2)からなる。いくつかの実施形態では、リンカーは、3個の単位のX2L2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、2個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、3個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~8個の単位のX2L2及び0~2個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~3個の単位のX2L2及び0個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、3個の単位のX2L2及び0個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、4個の単位のX2L2及び0個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、1個の単位のX2L2、及び1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、2個の単位のX2L2及び1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、3個の単位のX2L2及び1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、4個の単位のX2L2及び1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、5個の単位のX2L2及び1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、6個の単位のX2L2及び1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、7個の単位のX2L2及び1個の単位のX2(L2)2を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~8個の単位のX2L2及び2個の単位のX2(L2)2を有する。
【0042】
各X2は、独立して、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C1-C15炭化水素(アルキレニル、アルケニレニル、またはアルキニレニル)であり、0~6個の炭素が、独立して、N、S、及び/またはOヘテロ原子によって置換され、独立して、オキソ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ハロゲン、グアニジノ、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸のうちの1つまたは組み合わせから選択される0~3個の基で置換される。いくつかの実施形態では、1つ以上の炭化水素は、アルキレニルである。いくつかの実施形態では、1つ以上の炭化水素は、アルケニレニルである。いくつかの実施形態では、1つ以上の炭化水素は、アルキニレニルである。いくつかの実施形態では、1つ以上の炭化水素は、直鎖状及び環状である。いくつかの実施形態では、1つ以上の炭化水素は、分岐鎖状及び環状である。この文脈における「環状」という用語には、単環系、多環系、または縮合環系が含まれ、これらの各々は、個別に、芳香族、部分的に芳香族、または非芳香族であり得る。いくつかの実施形態では、各炭化水素は直鎖状である。
【0043】
いくつかの実施形態では、各X2L2単位中の各X2は独立して、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状C1-C15アルキレニルである。いくつかの実施形態では、各X2L2単位中の各X2は、独立して、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸から独立して選択される0~1個の基で置換される、直鎖状または分岐鎖状のC1-C15アルキレニルである。いくつかの実施形態では、各X2L2単位中の各X2は、独立して、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及び/またはリン酸から独立して選択される0~1個の基で置換される、直鎖状または分岐鎖状のC2-C6アルキレニルである。いくつかの実施形態では、各X2L2単位における各X2は、独立して、0~1個のカルボン酸基で置換された直鎖状または分岐鎖状のC2-C6アルキルである。
【0044】
いくつかの実施形態では、各X2L2単位中の各X2は、独立して、直鎖状、分岐鎖状、及び/または環状のC1-C15アルキレニルである。いくつかの実施形態では、各X2(L2)2単位の各X2は、独立して、直鎖状または分岐鎖状のC1-C15アルキレニルである。いくつかの実施形態では、各X2(L2)2単位の各X2は、独立して、直鎖状または分岐鎖状のC2-C6アルキレニルである。
【0045】
いくつかの実施形態では、各X
2は、独立して:-CH(R)-であって、各Rは、独立して、HまたはC
1-C
3直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであるか、
であって、各R
4は、独立して、水素、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、またはリン酸であるか、または
である。いくつかの実施形態では、各X
2は、独立して、-CH-であるか、
であって、各R
4が、独立して、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、またはリン酸であるか、または
である。いくつかの実施形態では、各X
2は、独立して、-CH-であるか、
であるか、または
である。
【0046】
各L
2は、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
から選択される連結である。いくつかの実施形態では、2つのX
2基の間の各L
2は、独立して、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、または-C(O)N(CH
3)-であり、R
Xを連結する各L
2は、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、
である。いくつかのかかる実施形態では、R
Xを連結する各L
2は、独立して、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
である。いくつかのかかる実施形態では、R
Xを連結する各L
2は、独立して、NHC(O)-、-C(O)NH-、
である。いくつかのかかる実施形態では、2つのX
2基の間の各L
2は、非メチル化アミドである。いくつかのかかる実施形態では、2つのX
2基の間のL
2の1、2、3、4、または5つの出現は、メチル化アミドである。
【0047】
いくつかの実施形態では、リンカー(L
1の-C(O)-を含む場合)は、タンパク質原性アミノ酸残基及び/または非タンパク質性アミノ酸残基(例えば、表1に列挙されるもの)から選択されるアミノ酸残基の直鎖状または分岐鎖状ペプチドに対応し、2つのX
2基の間の各L
2は、メチル化または非メチル化であり、R
Xを連結する各L
2は、独立して、-S-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-N(CH
3)C(O)-、-C(O)N(CH
3)-、
である。いくつかのかかる実施形態では、2つのX
2基の間の各L
2は、非メチル化アミドである。いくつかのかかる実施形態では、2つのX
2基の間のL
2の1、2、3、4、または5つの出現は、メチル化アミドである。
【0048】
リンカー内のアミノ酸残基は、すべてL-アミノ酸、すべてD-アミノ酸、またはL-アミノ酸及びD-アミノ酸の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、リンカー内のアミノ酸は、すべてL-アミノ酸である。いくつかの実施形態では、リンカー内のアミノ酸は、すべてD-アミノ酸である。
【0049】
いくつかの実施形態では、リンカーは、Glu、Asp、及び/または2-アミノアジピン酸(2-Aad)のうちの1つまたは組み合わせから選択されるアミノ酸残基を2~7個含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、Glu、Asp、及び/または2-Aadのうちの1つまたは組み合わせから選択されるアミノ酸残基を2個含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、Glu、Asp、及び/または2-Aadのうちの1つまたは組み合わせから選択されるアミノ酸残基を3個含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、Glu、Asp、及び/または2-Aadのうちの1つまたは組み合わせから選択されるアミノ酸残基を4個含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、Glu、Asp、及び/または2-Aadのうちの1つまたは組み合わせから選択されるアミノ酸残基を5個含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、2個または3個の連続したGlu、Asp、及び/または2-Aad残基を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、3個の連続したGlu残基を含む。いくつかの実施形態では、リンカー(L1の-C(O)-を含む場合)は、3個のGlu/Asp/2-Aad残基の直鎖状ペプチドからなる(化合物BL02、BL08、BL09、BL17、BL20、BL25を参照されたい)。
【0050】
いくつかの実施形態では、リンカーは、生理的pHで-1~-5の正味負電荷を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、生理的pHで-2~-5の正味負電荷を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、生理的pHで-1の正味負電荷を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、生理的pHで-2の正味負電荷を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、生理的pHで-3の正味負電荷を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、生理的pHで-4の正味負電荷を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、生理的pHで-5の正味負電荷を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、リンカーは、BL02、BL03、BL04、BL07、BL08、BL09、BL17、BL18、BL19、BL20、BL21、BL22、BL23、BL24、BL25、BL26、BL27、BL28、またはBL29のいずれか1つのリンカーの構造を有するか、または該リンカーは、前述のリンカーの塩もしくは溶媒和物である。
【0052】
いくつかの実施形態では、化合物は、BL02、BL03、BL04、BL07、BL08、BL09、BL17、BL18、BL19、BL20、BL21、BL22、BL23、BL24、BL25、BL26、BL27、BL28、またはBL29のうちのいずれか1つであるか、またはその塩もしくは溶媒和物である構造を有し、DOTAは、任意選択的に、放射性同位体と錯体を形成しているか、または、BF3を含有する補欠基は、任意選択的に、18Fを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、リンカーはさらに、リンカーのL
2に結合したアルブミンバインダーを含む。いくつかの実施形態では、アルブミンバインダーは、-(CH
2)
n2-CH
3であり、n2は、8~20である。いくつかの実施形態では、n2は、12~18である。いくつかの実施形態では、n2は、14~18である。いくつかの実施形態では、n2は、16である。いくつかの実施形態では、アルブミンバインダーは、-(CH
2)
n3-C(O)OHであり、n3は、8~20である。いくつかの実施形態では、n3は、12~18である。いくつかの実施形態では、n3は、14~18である。いくつかの実施形態では、n3は、16である。いくつかの実施形態では、アルブミンバインダーは、
であり、n4=1~4であり、R
3は、I、Br、F、Cl、H、OH、OCH
3、NH
2、NO
2、またはCH
3である。いくつかの実施形態では、n4は、1である。いくつかの実施形態では、n4は、2である。いくつかの実施形態では、n4は、3である。いくつかの実施形態では、n4は、4である。いくつかの実施形態では、R
3は、H、I、Cl、F、OCH
3、またはCH
3である。いくつかの実施形態では、n4は、3であり、R
3は、H、I、Cl、F、OCH
3、またはCH
3である。いくつかの実施形態では、アルブミンバインダーをリンカーに組込むL
2は、アミドである。
【0054】
いくつかの実施形態では、n1は、1である。他の実施形態では、n1は、2であり、すなわち、化合物は、リンカーに結合した2つの放射性標識基を有する。いくつかの実施形態では、2つの放射性標識基は、異なる。いくつかの実施形態では、2つの放射性標識基は、同じである。
【0055】
いくつかの実施形態では、R
Xは、任意選択的に、放射性金属(例えば、
68Gaまたは
177Lu)と錯体を形成した、または放射性同位体結合金属(例えば、Al
18F)と錯体を形成した、金属キレート剤を含む。キレート剤は、放射性金属または放射性同位体結合金属含有補欠基(例えば、ポリアミノカルボキシレート等)に結合するのに適切な任意の金属キレート剤であってよい。多くの適切なキレート剤が公知であり、例えば、全体を引用により本明細書に組込むPrice及びOrvig,Chem.Soc.Rev.,2014,43,260-290にまとめられている。好適なキレート剤の非限定的な例としては、DOTA及び誘導体、DOTAGA、NOTA、NODAGA、NODASA、CB-DO2A、3p-C-DEPA、TCMC、DO3A、DTPA及びDTPA類似体であって、任意選択で、CHX-A”-DTPA及び1B4M-DTPAから選択されるもの、TETA、NOPO、Me-3,2-HOPO、CB-TE1A1P、CB-TE2P、MM-TE2A、DM-TE2A、サルコファギン及びサルコファギン誘導体であって、任意選択で、SarAr、SarAr-NCS、diamSar、AmBaSar、及びBaBaSarから選択されるもの、TRAP、AAZTA、DATA及びDATA誘導体、H
2-macropaまたはその誘導体、H
2dedpa、H
4octapa、H
4py4pa、H
4Pypa、H
2azapa、H
5decapa、及び他のピコリン酸誘導体、CP256、PCTA、C-NETA、C-NE3TA、HBED、SHBED、BCPA、CP256、YM103、デフェロキサミン(desferrioxamine)及びDFO誘導体、ならびにH
6phospaが挙げられる。好適なキレート剤及びこれらのキレート剤によってキレート化された例示的な放射性同位体(放射性金属)の例示的かつ非限定的な例を表2に示す。別の実施形態では、R
Xは、上記に列記されるものまたは表2に列記されるものから選択されるキレート剤を含むか、または任意の他の好適なキレート剤である。当業者であれば、本明細書に列挙されるキレート剤のいずれも、別のキレート剤で置き換えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、化合物のRXは、ポリアミノカルボキシレートキレート剤である。いくつかのかかる実施形態では、キレート剤は、アミド結合を介して結合される。いくつかの実施形態では、RXは、DOTAまたはその誘導体、TETAまたはその誘導体、SarArまたはその誘導体、NOTAまたはその誘導体、TRAPまたはその誘導体、HBEDまたはその誘導体、2,3-HOPOまたはその誘導体、PCTA(3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]-ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9,-トリ酢酸)またはその誘導体、DFOまたはその誘導体、DTPAまたはその誘導体、OCTAPA(N,N0-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N0-二酢酸)またはH2-MACROPAまたはその誘導体である。いくつかの実施形態では、RXは、DOTAである。いくつかの実施形態では、RXは、放射性同位体Xと錯体を形成したキレート剤部分であり、Xは、64Cu、67Cu、90Y、111In、114mIn、117mSn、153Sm、149Tb、161Tb、177Lu、225Ac、213Bi、224Ra、212Bi、212Pb、227Th、223Ra、47Sc、186Reまたは188Reである。いくつかの実施形態では、Xは、177Luである。いくつかの実施形態では、RXは、放射性同位体Xと錯体を形成したキレート剤部分であり、Xは、64Cu、68Ga、86Y、111In、94mTc、44Sc、89Zr、または99mTcである。いくつかの実施形態では、Xは、68Gaである。
【0057】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、放射性同位体とコンジュゲートされる。コンジュゲートされる放射性同位体は、68Ga、61Cu、64Cu、67Ga、99mTc、111In、44Sc、86Y、89Zr、90Nb、177Lu、117mSn、165Er、90Y、227Th、225Ac、213Bi、212Bi、211As、203Pb、212Pb、47Sc、166Ho、188Re、186Re、149Pm、159Gd、105Rh、109Pd、198Au、199Au、175Yb、142Pr、114mIn等であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、キレート剤は、表2のキレート剤であり、コンジュゲートされる放射性同位体は、キレート剤のバインダーとして表2に示される放射性同位体である。
【0058】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、放射性同位体とコンジュゲートされない。
【0059】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、DOTAまたはその誘導体であって、177Lu、111In、213Bi、68Ga、67Ga、203Pb、212Pb、44Sc、47Sc、90Y、86Y、225Ac、117mSn、153Sm、149Tb、161Tb、165Er、224Ra、212Bi、227Th、223Ra、64Cuまたは67Cuとコンジュゲートされたもの、225AcとコンジュゲートされたH2-MACROPA、227ThとコンジュゲートされたMe-3,2-HOPO、225Ac、227Thまたは177LuとコンジュゲートされたH4py4pa、177LuとコンジュゲートされたH4pypa、68GaとコンジュゲートされたNODAGA、111InとコンジュゲートされたDTPA、または89ZrとコンジュゲートされたDFOである。
【0060】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、TETA、SarAr、NOTA、TRAP、HBED、2,3-HOPO、PCTA、DFO、DTPA、OCTAPA、または別のピコリン酸誘導体である。
【0061】
いくつかの実施形態では、RXは、99mTc、94mTc、186Re、または188Reなどによる放射性標識のためのキレート剤であり、例えば、メルカプトアセチル、ヒドラジノニコチンアミド、ジメルカプトコハク酸、1,2-エチレンジイルビス-L-システインジエチルエステル、メチレンジホスホネート、ヘキサメチルプロピレンアミンオキシム、及びヘキサキス(メトキシイソブチルイソニトリル)等である。いくつかの実施形態では、RXは、キレート剤であり、キレート剤は、メルカプトアセチル、ヒドラジノニコチンアミド、ジメルカプトコハク酸、1,2-エチレンジイルビス-L-システインジエチルエステル、メチレンジホスホネート、ヘキサメチルプロピレンアミンオキシムまたはヘキサキス(メトキシイソブチルイソニトリル)である。これらの実施形態のいくつかにおいて、キレート剤は、放射性同位体によって結合される。いくつかのかかる実施形態では、放射性同位体は、99mTc、94mTc、186Re、または188Reである。
【0062】
いくつかの実施形態では、RXは、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4-ジアセテート(NODA)などの18F-フッ化アルミニウム([18F]AlF)と結合できるキレート剤である。いくつかの実施形態では、キレート剤は、NODAである。いくつかの実施形態では、キレート剤は、[18F]AlFによって結合される。
【0063】
いくつかの実施形態では、RXは、72Asまたは77Asと結合できるキレート剤であり、例えば、トリチオールキレートなどである。いくつかの実施形態では、キレート剤は、トリチオールキレートである。いくつかの実施形態では、キレート剤は、72Asにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、キレート剤は、77Asにコンジュゲートされている。
【0064】
いくつかの実施形態では、R
Xは、
18F/
19Fの交換放射性標識ができる、トリフルオロボレート(BF
3)を含有する補欠基である。かかるR
X基は、唯一のR
X(n1=1)であってもよく、または第2のR
X(n1=2)が追加されていてもよく、第2のR
Xは、第1のR
Xと同一または異なる。補欠基は、R
6R
7BF
3であり得、式中、R
6は、独立して、-(CH
2)
1-5であり、基-R
7BF
3は、独立して、表3(以下)、表4(以下)に列挙されるもののうちの1つまたは組み合わせから選択され得、または、
であって、R
8及びR
9が、独立して、C
1-C
5の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である。表3及び4に関して、-OR、-SR、-NR-、-NHR、または-NR
2基で置換されたピリジン中のRは、C
1-C
5の分岐鎖状または直鎖状アルキルである。いくつかの実施形態では、-R
7BF
3は、表3に列挙されるものから選択される。いくつかの実施形態では、-R
7BF
3は、独立して、表4に列挙されるものの1つまたはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、1つのフッ素が
18Fである。いくつかの実施形態では、3つのフッ素がすべて
19Fである。
【0065】
いくつかの実施形態では、R
7BF
3は、
を形成し得、式中、ピリジン置換-OR、-SR、-NR-、-NHR、または-NR
2中のR(存在する場合)は、分岐鎖状または直鎖状のC
1-C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、分岐鎖状または直鎖状のC
1-C
5飽和アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。いくつかの実施形態では、Rは、エチルである。いくつかの実施形態では、Rは、プロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、n-ブチルである。いくつかの実施形態では、1つのフッ素が
18Fである。いくつかの実施形態では、3つのフッ素がすべて
19Fである。
【0066】
いくつかの実施形態では、R
7BF
3は、
を形成してもよく、式中、ピリジン置換-OR、-SR、-NR-または-NR
2中のR(存在する場合)は、分岐鎖状または直鎖状のC
1-C
5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、分岐鎖状または直鎖状のC
1-C
5飽和アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。いくつかの実施形態では、Rは、エチルである。いくつかの実施形態では、Rは、プロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、n-ブチルである。いくつかの実施形態では、-R
7BF
3は、
である。いくつかの実施形態では、1つのフッ素が
18Fである。いくつかの実施形態では、3つのフッ素がすべて
19Fである。
【0067】
いくつかの実施形態では、-R
7BF
3は、
である。いくつかの実施形態では、R
8は、メチルである。いくつかの実施形態では、R
8は、エチルである。いくつかの実施形態では、R
8は、プロピルである。いくつかの実施形態では、R
8は、イソプロピルである。いくつかの実施形態では、R
8は、ブチルである。いくつかの実施形態では、R
8は、n-ブチルである。いくつかの実施形態では、R
8は、ペンチルである。いくつかの実施形態では、R
9は、メチルである。いくつかの実施形態では、R
9は、エチルである。いくつかの実施形態では、R
9は、プロピルである。いくつかの実施形態では、R
9は、イソプロピルである。いくつかの実施形態では、R
9は、ブチルである。いくつかの実施形態では、R
9は、n-ブチルである。いくつかの実施形態では、R
9は、ペンチルである。いくつかの実施形態では、R
8及びR
9はともにメチルである。いくつかの実施形態では、1つのフッ素が
18Fである。いくつかの実施形態では、3つのフッ素がすべて
19Fである。
【0068】
いくつかの実施形態では、R
Xは、ケイ素-フッ素受容部分を含有する補欠基である。いくつかの実施形態では、ケイ素-フッ素受容部分のフッ素は、
18Fである。ケイ素-フッ素-受容部分を含有する補欠基は、独立して、以下、
または
のうちの1つまたは組み合わせから選択され得、式中、R
11及びR
12は、独立して、直鎖もしくは分岐鎖、環状もしくは非環状の、及び/または、芳香族もしくは非芳香族の、C
1-C
10アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基である。いくつかの実施形態では、R
11及びR
12は、独立して、フェニル、tert-ブチル、sec-プロピル、またはメチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、補欠基は、
である。いくつかの実施形態では、補欠基は、
である。いくつかの実施形態では、補欠基は、
である。いくつかの実施形態では、補欠基は、
である。
【0069】
CXCR4の過剰発現は、脳癌、乳癌、及び前立腺癌を含む23種類以上の悪性腫瘍で観察されている。さらに、白血病、リンパ腫及び骨髄腫は、顕著なCXCR4発現を有する。回顧的研究では、CXCR4発現が前立腺及び黒色腫患者の生存率の低下と相関していることが示されている。さらに、CXCR4発現は、急性及び慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、及び多発性骨髄腫の疾患再発の予後因子である。SDF-1/CXCR4軸は、がん成長を媒介し、転移を強化し、間質細胞及び免疫細胞を動員して悪性成長をサポートし、化学療法抵抗性を付与する。放射性標識CXCR4プローブが、CXCR4を発現する固形及び血液悪性腫瘍の早期診断において使用でき得る。かかるイメージング剤は、悪性腫瘍の診断を確認するために、または疾患が局所的である場合には限局性アブレーション治療をガイドするために使用でき得る。かかるリガンドはまた、CXCR4を過剰発現することが知られている腫瘍の細胞の残存量に関する独立した評価を提供することによって、治療に対する応答をモニターするために使用でき得る。[68Ga]Ga-ペンチキサホルは、がんのイメージングのために、及び内照射療法に対する潜在的なレスポンダーを同定するために、Westerグループによって使用されている。
【0070】
SDF-1/CXCR4軸の調節不全はまた、いくつかの炎症症状を媒介する。関節リウマチ(RA)において、SDF-1/CXCR4シグナル伝達は、活性化されたT細胞の炎症部位への炎症誘発性移行に関与しており、具体的には、RAを有する患者のシノビウムにおいて、CXCR4の発現が増加したT細胞の存在が示されている。RAが患者集団の罹患率及び死亡率に大きく関わるとして、炎症反応を媒介する治療薬を開発するために多くの研究が行われ、特に過去数年間においては、FDAによって新規な生物学的製剤が承認されている。陽電子放出断層撮影用の放射性標識CXCR4プローブは、関節リウマチの診断及び予後を可能にし、また新たな疾患修飾性抗リウマチ薬の治療を臨床試験においてモニターするためにも使用されるであろう。CXCR4発現は、感染性骨疾患、腎移植後の合併症としての尿路感染症、心筋梗塞、及び虚血性脳卒中などの、炎症性成分を有する疾患において、[68Ga]Ga-ペンチキサホルを使用したPETイメージングで検出されている。CXCR4イメージングは、将来、他の炎症性疾患の診断及びモニタリングに重要な役割を果たす可能性を有する。
【0071】
心臓病理の環境では、心臓血管壁の炎症性疾患は、SDF-1/CXCR4軸の調節不全によって部分的に媒介される。アテローム性動脈硬化症の初期段階では、SDF-1/CXCR4軸は、末梢血管損傷の部位に向かって内皮前駆細胞を動員し、それによってプラーク形成を開始するが、アテローム保護効果に対するいくつかの証拠がある。アテローム性プラークは、低酸素症の存在を特徴とし、低酸素症は、CXCR4の発現を上方制御し、細胞輸送に影響を及ぼすことが示されている。最後に、[68Ga]Ga-ペンチキサホルは、アテローム性動脈硬化のウサギモデルにおいて、PETによるアテローム性動脈硬化プラークの可視化を可能にした。同研究では、[68Ga]Ga-ペンチキサホルを用いて、アテローム性動脈硬化の既往を有する患者において、アテローム性硬化プラークを同定した。したがって、CXCR4を標的とするPET診断薬は、アテローム性動脈硬化症を診断し、またそれについての予後情報を取得するための代替的方法としての可能性を有する。
【0072】
ある特定の実施形態では、化合物は、CXCR4発現組織の陽電子放出断層撮影(PET)もしくは単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)のための、または、炎症状態もしくは疾患(例えば、関節リウマチもしくは心血管疾患)をイメージングするための、放射性同位体とコンジュゲートされ、その際、該化合物は、陽電子放出体またはガンマ放出体である放射性同位体とコンジュゲートされる。限定されないが、陽電子またはガンマ線放射性同位体は、68Ga、67Ga、61Cu、64Cu、99mTc、110mIn、111In、44Sc、86Y、89Zr、90Nb、18F、131I、123I、124I、または72Asであり得る。
【0073】
放射性同位体(例えば、X)が診断用の放射性同位体である場合には、イメージングのための放射性標識トレーサーの調製のための、該化合物のある特定の実施形態の使用が開示される。また、対象におけるCXCR4発現組織、または炎症症状もしくは疾患をイメージングする方法が開示され、該方法は、ある特定の実施形態の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物を対象に投与することと、例えば陽電子放出断層撮影(PET)を使用して対象をイメージングすることと、を含む。組織が疾患組織(例えば、CXCR4発現がん)である場合には、対象を治療するためにCXCR4標的治療が選択され得る。したがって、対象におけるCXCR4発現がんのイメージングにおける本発明のある特定の化合物の使用が開示されており、その際、RXは、診断またはイメージング用の放射性同位体を含むか、またはそれと錯体を形成する。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0074】
がんにおけるCXCR4の広範な発現を考慮して、CXCR4標的化治療方法の開発が、これまで顕著に推進されてきた。CXCR4阻害剤は、マウス腫瘍モデルにおいては、腫瘍の治療及び転移の予防の両方において有効性が実証されているものの、臨床試験において有効性が実証されている薬剤は極めて少ない。元々HIV治療のために開発された、AMD3100としても知られているプレリキサホル(Plerixafor)は、これまでにFDA承認を受けた唯一のCXCR4アンタゴニストである。AMD3100は、リンパ腫及び多発性骨髄腫患者に投与されて、造血幹細胞を採取及び自己移植のために末梢血に動員するが、それは直接の治療方法として行われるものではない。CXCR4発現がんの多くは、現在利用可能な標準的な治療に耐性であるため、それらを治療するための満たされていない臨床的ニーズが存在する。
【0075】
CXCR4陽性のがんは、放射線療法に対する感受性が高いと考えられる。この用途では、CXCR4を標的とするペプチドを、放射性同位体で、通常はβ粒子またはα粒子放出体で放射性標識し、病変部に高線量の放射線を局所的に送達する。これらの放射線の放出は通常、DNA損傷を引き起こし、それによって細胞死を誘発する。この治療方法は、腫瘍学において利用されており、ソマトスタチン受容体(神経内分泌腫瘍用)及び前立腺特異的膜抗原(転移性去勢抵抗性前立腺癌用)が2つの例である。外部ビーム放射線療法とは異なり、この全身治療は転移療法においても有効である。治療用放射性同位体としては、177Lu、90Y、225Ac、及び64Cuが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
心臓の病理に関しては、[90Y]Y-または[177Lu]Lu-ペンチキサテルによる内視鏡療法を用いた小規模な回顧的研究では、過去に同定されたアテローム性プラークを有する患者におけるCXCR4発現及び活性の退縮が示された。したがって、放射性核種療法は、アテローム性動脈硬化症などの炎症性疾患に対する新規な治療経路を提示し得る。
【0077】
ある特定の実施形態では、化合物は、治療(例えば、がん治療)に使用される放射性同位体とコンジュゲートされる。これには、165Er、212Bi、211At、166Ho、149Pm、159Gd、105Rh、109Pd、198Au、199Au、175Yb、142Pr、177Lu(βエミッタ、t2/1=6.65d)、111In、213Bi、203Pb、212Pb、47Sc、90Y(βエミッタ、t2/1=2.66d)、117mSn、153Sm、149Tb、161Tb、224Ra、225Ac(αエミッタ、t2/1=9.95日)、227Th、223Ra、77As、131I、64Cu、または67Cuなどの放射性同位体が挙げられる。
【0078】
放射性同位体(例えばX)が治療用の放射性同位体である場合、ある特定の実施形態の化合物(またはその医薬組成物)の、対象におけるCXCR4の発現によって特徴付けられる疾患または病態の治療のための使用が開示される。したがって、対象におけるCXCR4の発現を特徴とする疾患または病態を治療するための薬剤の調製における、化合物の使用が提供される。対象におけるCXCR4の発現を特徴とする疾患または病態を治療する方法も提供され、該方法は、該化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物を対象に投与することを含む。例えば、限定されないが、疾患は、CXCR4発現がん(例えば、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、副腎皮質癌、肺癌、乳癌、腎細胞癌、結腸直腸癌)であり得る。したがって、対象におけるCXCR4発現がんを治療するための本発明の特定の化合物であって、RXが治療用放射性同位体を含むか、またはそれと錯体を形成している該化合物の使用が開示される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0079】
本明細書に示される化合物は、当該技術分野で確立された様々な方法のいずれかによって合成され得るペプチドを組込む。これには、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及び/またはt-ブチルオキシカルボニル(Boc)化学反応を用いる、及び/または他の合成アプローチを用いる、液相ペプチド合成ならびに固相ペプチド合成が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
固相ペプチド合成方法及び技術は、当該技術分野で十分に確立されている。例えば、ペプチドは、対象のアミノ酸残基を1個ずつ順次組込むことによって合成され得る。かかる方法において、ペプチド合成は、典型的には、目的のペプチドのC末端アミノ酸を好適な樹脂に付着させることによって開始される。これに先立ち、アミノ酸の反応性側鎖及びアルファアミノ基は、好適な保護基によって反応から保護され、αカルボキシル基のみが、固体支持体上のアミン基、ヒドロキシル基、またはハロゲン化アルキル基等の官能基と反応できる。C末端アミノ酸の支持体へのカップリング後、アミノ酸の側鎖上の保護基及び/またはαアミノ基が選択的に除去され、目的の次のアミノ酸のカップリングが可能になる。このプロセスは、所望のペプチドが完全に合成されるまで繰り返され、その時点でペプチドを脱保護し、支持体から切断し、精製できる。固相ペプチド合成のための器具の非限定的な例は、Aapptec Endeavor 90ペプチド合成装置である。
【0081】
追加のアミノ酸のカップリングを可能にするために、Fmoc保護基を、例えば、DMF中のピペリジン(20~50%v/v)などの穏やかな塩基性条件下で、固体支持体上のアミノ酸から除去し得る。添加されるアミノ酸もまた、カップリングのために(例えば、αカルボキシレートにおいて)活性化されなければならない。活性化試薬の非限定的な例としては、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホスフェート(TBTU)、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)が挙げられるが、これらに限定されない。ラセミ化は、1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール(HOBt)及び1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール(HOAt)などのトリアゾールを使用することによって最小限に抑える。カップリングは、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA/DIEA)等の好適な塩基の存在下で行い得る。長いペプチドの場合、または所望の場合、ペプチド合成及びライゲーションを使用し得る。
【0082】
典型的なペプチド結合の形成によるペプチドの伸長とは別に、ペプチドは、側鎖官能基(例えば、カルボン酸基またはアミノ基)に結合する様式によって、側鎖対側鎖、または側鎖対骨格アミノもしくはカルボキシレートのいずれかによって、分岐鎖状に伸長し得る。アミノ酸側鎖へのカップリングは、任意の既知の方法によって実施され得、樹脂を介して(on-resin)、または樹脂を用いず(off-resin)に実施され得る。非限定的な例としては、カルボキシル基を含むアミノ酸側鎖(例えば、Asp、D-Asp、Glu、D-Glu、Aad等)と、アミノ基を含むアミノ酸側鎖(例えば、Lys、D-Lys、Orn、D-orn、Dab、D-Dab、Dap、D-Dap等)またはペプチドN末端との間でのアミド形成、アミノ基を含むアミノ酸側鎖(例えば、Lys、D-Lys、Orn、Dab、D-Dab、Dap、D-Dap等)と、カルボキシル基を含むアミノ酸側鎖(例えば、Asp、D-Asp、Glu、D-Glu等)またはペプチドC末端との間でのアミド形成、アジド基を含むアミノ酸側鎖(例えば、Lys(N3)、D-Lys(N3)等)と、アルキン基を含むアミノ酸側鎖(例えば、Pra、D-Pra等)との間でのクリックケミストリーを介した1,2,3-トリアゾールの形成、が挙げられる。適切な官能基上の保護基は、アミド結合形成前に選択的に除去されなければならない一方で、アルキンとアジド基との間でのクリックケミストリーを介した反応による1,2,3-トリアゾールの形成では、選択的な脱保護を必要としない。選択的に除去可能な保護基の非限定的な例としては、2-フェニルイソプロピルエステル(O-2-PhiPr)(例えば、Asp/Glu)、ならびに4-メチルトリチル(Mtt)、アリルオキシカルボニル(alloc)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキセ-1-イリデン)エチル(Dde)、及び1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキセ-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)(例えば、Lys/Orn/Dab/Dap)が挙げられる。O-2-PhiPr及びMtt保護基は、DCM中の2.5%トリフルオロ酢酸(TFA)などの穏やかな酸性条件下で選択的に脱保護できる。Alloc保護基は、DCM中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)及びフェニルシランを使用して、選択的に脱保護できる。Dde及びivDde保護基は、DMF中の2~5%ヒドラジンを使用して選択的に脱保護できる。次いで、Asp/Glu(L型またはD型)及びLys/Orn/Dab/Dap(L型またはD型)の脱保護側鎖を、例えば上記のカップリング反応条件を使用してカップリングできる。
【0083】
ペプチド骨格のアミドは、N-メチル化(すなわち、αアミノメチル化)され得る。これは、ペプチド合成中にFmoc-N-メチル化アミノ酸を直接使用することによって実施し得る。あるいは、Mitsunobu条件下でのN-メチル化を行い得る。まず、NMP中の4-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(Ns-Cl)及び2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)の溶液を使用して、遊離の第一級アミン基を保護する。次いで、トリフェニルホスフィン、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)及びメタノールの存在下でN-メチル化を実施し得る。続いて、NMP中のメルカプトエタノール及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン(DBU)を使用して、N-脱保護を実施し得る。保護されたアミノ酸をN-メチル化αアミノ基にカップリングするために、HATU、HOAt、及びDIEAが使用され得る。
【0084】
チオエーテル(-S-)結合の形成(例えば、L1またはL2について)は、固相または溶液相のいずれかにおいて実施できる。例えば、チオエーテル(-S-)結合の形成は、塩基(N,N-ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下で、適切な溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド等)中のチオール含有化合物(システイン側鎖上のチオール基等)とハロゲン化アルキル(3-(Fmoc-アミノ)プロピルブロミド等)との間のカップリングによって実施できる。反応が溶液相で行われる場合、使用される反応物は、好ましくは等モル比(1対1)であり、所望の生成物は、フラッシュカラムクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製され得る。反応が固相上で行われる場合、すなわち一方の反応物が固相に結合されている場合、他方の反応物は、通常、過剰量(固相に結合された反応物の3当量以上)で使用される。反応後、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、メタノール及びジクロロメタン等の溶媒の組み合わせを用いて固相(樹脂)を順次洗浄することにより、過剰の未反応反応物及び試薬を除去できる。
【0085】
チオール基とマレイミド基との間の結合(例えば、L1またはL2)の形成は、単にハロゲン化アルキルをマレイミド含有化合物で置き換えることによって、チオエーテル(-S-)結合の形成のための上述の条件を使用して実施できる。同様に、この反応は固相または溶液相で行われ得る。反応が溶液相で行われる場合、使用される反応物は、好ましくは等モル比(1対1)であり、所望の生成物は、フラッシュカラムクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製され得る。反応が固相上で行われる場合、すなわち一方の反応物が固相に結合されている場合、他方の反応物は、通常、過剰量(固相に結合された反応物の3当量以上)で使用される。反応後、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、メタノール及びジクロロメタン等の溶媒の組み合わせを用いて固相(樹脂)を順次洗浄することにより、過剰の未反応反応物及び試薬を除去できる。
【0086】
非ペプチド部分(例えば、放射性標識基、アルブミン結合基、及び/またはリンカー)は、ペプチドが固体支持体に結合している間、ペプチドのN末端に結合し得る。これは、非ペプチド部分が活性化カルボキシレート(及び必要に応じて保護された基)を含む場合に容易であり、これによりカップリングを樹脂上で行うことができる。例えば、限定されないが、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)トリス(tert-ブチルエステル)などの二官能性キレート剤が、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下で活性化されて、ペプチドにカップリングし得る。あるいは、非ペプチド部分は、液相または固相のいずれかの条件下で、銅触媒によるクリック反応を介して化合物に組込まれ得る。銅触媒によるクリック反応は、当技術分野で十分に確立されている。例えば、最初に2-アジド酢酸をNHS及びDCCによって活性化し、ペプチドにカップリングする。次いで、アルキン含有非ペプチド部位を、水及びアセトニトリル(ACN)やDMF等中の有機溶媒中、例えばCu2+及びアスコルビン酸ナトリウムの存在下で、アジド含有ペプチドにクリック反応させ得る。非ペプチド部分はまた溶液相にも添加され得、これは日常的に実施される。
【0087】
キレート剤の合成は周知であり、多くのキレート剤が市販されている(例えば、Sigma-Aldrich(商標)/milipore Sigma(商標)等より)。放射性金属のキレート剤へのコンジュゲーションのためのプロトコルもまた周知である(例えば、以下の実施例1を参照されたい)。ケイ素-フッ素-受容部分の合成は、以前に報告された手順(例えば、Bernard-Gauthier et al.Biomed Re Int.2014 2014:454503、Kostikov et al.Nature Protocol 2012 7:1956-1963、Kostikov et al.Bioconjug Chem.2012 18:23:106-114、これらの各々は、その全体が参照により組込まれる)に従い実施できる。放射性同位体置換アリール基の合成または取得も同様に容易である。
【0088】
化合物上のR6R7BF3成分の合成は、以前に報告された手順に従って達成できる(例えば:Liu et al.Angew Chem Int Ed 2014 53:11876-11880、Liu et al.J Nucl Med 2015 55:1499-1505、Liu et al.Nat Protoc 2015 10:1423-1432、Kuo et al.(J Nucl Med 2019 60):1160-1166、これらの各々は、その全体が参照により組込まれる)。一般に、BF3含有モチーフは、リンカー上のBF3-含有アジド(またはアルキニル)基とアルキニル(またはアジド)基との間に1,2,3-トリアゾール環を形成することによって、またはリンカー上のBF3含有カルボキシレートとアミノ基との間にアミド結合を形成することによって、クリックケミストリーを介してリンカーに結合され得る。BF3含有アジド、アルキン、またはカルボキシレートを作製するためには、まず、HCl、DMF、及びKHF2の混合物中でホウ酸エステルをBF3に変換し、それに続いて、ホウ酸エステル含有アジド、アルキン、またはカルボキシレートを調製する。アルキルBF3の場合、ホウ酸エステル含有アジド、アルキン、またはカルボキシレートは、ホウ酸エステル含有ハロゲン化アルキル(例えば、ヨードメチルホウ酸ピナコールエステル)を、アミン含有アジド、アルキン、またはカルボキシレート(例えば、N,N-ジメチルプロパルジアミン)とカップリングすることによって調製できる。アリールBF3の場合、ホウ酸エステルは、ハロゲン化アリール(ヨウ化物または臭化物)及びビス(ピナコラート)ジボロンを使用して、Suzukiカップリングを介して調製できる。
【0089】
BF3含有化合物の18F-19F同位体交換反応による18F-フッ素化は、以前に公開された手順に従って実施できる(Liu et al.Nat Protoc 2015 10:1423-1432、その全体を参照により本明細書に組込む)。一般的には、約100nmolのBF3含有化合物を、15μlのピリダジン-HCl緩衝液(pH=2.0~2.5、1M)、15μlのDMF、及び1μlの7.5mM KHF2水溶液の混合物中に溶解させる。18F-フッ化物溶液(生理食塩水中、60μl)を反応混合物に添加し、得られた溶液を80℃で20分間加熱する。反応の終わりに、所望の生成物を、固相抽出によって、または移動相として水とアセトニトリルの混合物を使用して、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製できる。
【0090】
ペプチドを固体支持体上で完全に合成させたら、TFA、トリイソプロピルシラン(TIS)及び水等の好適な試薬を使用して、所望のペプチドを固体支持体から切断し得る。Boc、ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、トリチル(Trt)、及びtert-ブチル(tBu)などの側鎖保護基を同時に除去(すなわち、脱保護)する。粗製のペプチドは、冷却したエーテルを添加し、続いて遠心分離することにより、溶液から沈殿、回収し得る。ペプチドの精製及び分析は、ペプチドのサイズ、電荷及び極性に基づく高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の標準的な分離技法によって行われ得る。精製されたペプチドの同一性は、質量分析または他の同様のアプローチによって確認され得る。
【0091】
本発明は、特定の化合物の合成及び評価のための以下の実施例においてさらに説明される。
【実施例】
【0092】
実験方法及び手順
化学合成
別段明記しない限り、試薬及び溶媒は、商業的な供給元から購入し、さらに精製せずに使用した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、1)モデル1200クオータナリポンプ、モデル1200UV吸光度検出器及びBioscan NaIシンチレーション検出器を備えたAgilent1260インフィニティシステム、または2)モデル1260II分取バイナリポンプ、モデル1260インフィニティ可変波長検出器(220nmに設定)、及び1290インフィニティII調製用オープンベッドフラクションコレクターを備えたAgilent1260インフィニティII調製用システムで実施した。精製に使用したHPLCカラムは、Phenomenexから購入した分取カラム(Gemini、NX-C18、5μm、110Å、50×30mm)とした。放射線合成に使用したHPLCカラムは、Phenomenex Luna C18セミ分取(semi-preparative)カラム(5μ、250×10mm)とし、品質管理に使用したHPLCカラムは、Phenomenex Luna C18分析カラム(5μ、250×4.6mm)とした。ペプチドの識別は、ESIイオン源を有するAB SCIEX 4000 QTRAP質量分析システム、またはWaters 2695分離モジュール及びWaters-Micromass ZQ質量分析システムを使用して、質量分析によって確認した。Bruker 300 Ultrashield NMRシステムを使用して、1H、19F、11B、及び13CのNMRデータを取得した。
【0093】
別段明記しない限り、アミノ酸のカップリングは、Fmoc-アミノ酸/DIC/Oxymaを4/8/4当量で使用して、90℃で6分間、CEM Liberty Blueマイクロ波ペプチドシンセサイザーを使用して行った。別段明記しない限り、アミノ酸カップリングが完了した後、DMF中の20%ピペリジン溶液を使用して、90℃で1分間、Fmoc基の除去を行った。各脱保護の後、樹脂を3mLのDMFで3回洗浄した。別段明記しない限り、ペプチドを脱保護するのと同時に、TFA/TIS/H2O=92.5/5/2.5のカクテルを使用して樹脂から切断した。
【0094】
【0095】
Fmoc-Rink Amide ProTide樹脂(CEM、0.25mmol、0.58mmol/g)を、DMF中の20%v/vピペリジンで1分間、90℃で2回脱保護した。その後、Fmoc-Lys(ivDde)-OHを樹脂にカップリングした。その後、DMF(0.1w/v)中の1-アセチルイミダゾールを使用して、室温で30分間樹脂をキャップした。Fmoc-Lys(iPr、Boc)-OH、Fmoc-D-Glu(Oall)-OH、Fmoc-Gly-OH(2回結合)、Fmoc-2Nal-OH(2回結合)、Fmoc-D-Arg-OH(各4分間2回結合)、Fmoc-Lys(iPr、Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、及びFmoc-Phe-OH(2回結合)をペプチジル樹脂に順次結合させた。0.1mmolのスケールで、DCM(5mL)中のPd(PPh3)4(25mg)/フェニルシラン(600μL)(35℃で2×5分)を使用して、D-Glu上の-Oアリル保護基を除去した。次いで、Phe上のNα-Fmocを除去し、DMF中のDIC/HOBtを使用して環化を行った(90℃で3×10分)。環化後、DMF中の2%v/vヒドラジンによってivDde保護基を除去した(室温で5×5分)。樹脂(0.025mmol)を、3回にわたりFmoc-Glu(OtBu)-OHと順次カップリングさせた。その後、DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)により末端アミンに、50℃で10分間、2回のカップリングサイクルでカップリングさせた。ペプチドを脱保護し、35℃にて3.5時間で切断し、粗製ペプチド混合物を濃縮し、冷却したジエチルエーテル中で沈殿させた。懸濁液を2500rpmで7分間遠心分離し、上清ジエチルエーテルを廃棄し、固形分を水に希釈し、凍結乾燥させて白色粉末を得た。分取カラムを使用して、最初に、0.1%TFAを有する水中の10~18%アセトニトリルで0~16分間、次いで18~22%アセトニトリルで16~20分間、次いで22~25%アセトニトリルで20~25分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は22.4分であり、ペプチドの収率は9.0%であった。ESI-MS:BL02 C99H147N23O27についての計算値[M+2H]2+ 1046.5508、実測値[M+2H]2+ 1046.2185。
【0096】
Ga-BL02の合成
Ga-BL02の場合、400μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL02(1.89mg、0.90μmol)及びGaCl3(0.8mg、4.5μmol)の溶液を、70℃で15分間インキュベートした。分取カラムを用いて、最初に0.1%TFAを含む水中の10~18%アセトニトリルで0~16分間、次いで18~22%アセトニトリルで16~20分間、次いで22~25%アセトニトリルで20~25分間、流速30mL/分で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Ga-BL02の滞留時間は23.2分であり、ペプチドの収率は80%であった。ESI-MS:Ga-BL02 C99H147GaN23O27についての計算値[M+2H]2+ 1080.0058、実測値[M+2H]2+ 1080.1585。
【0097】
Lu-BL02の合成
Lu-BL02の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL02(1.1mg、0.53μmol)及びLuCl3(0.76mg、2.7μmol)の溶液を、90℃で20分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の13~33%アセトニトリルで20分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Lu-BL02の滞留時間は11.6分であり、ペプチドの収率は42%であった。ESI-MS:Lu-BL02 C99H148LuN23O27についての計算値[M+3H]3+ 755.6780、実測値[M+3H]3+ 755.0988。
【0098】
【0099】
BL02の合成から、0.025mmolスケールでのivDde基の除去後、Fmoc-Lys(ivDde)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、及び4-(p-ヨードフェニル)酪酸を、DMF中、4/8/4当量のFmoc-AA-OH/DIC/Oxymaを用いて、90℃で4分間カップリングした。各カップリング後、Fmoc基をDMF中の20%v/vピペリジンで1分間、90℃で除去し、樹脂を3回洗浄した。次いで、ivDde保護基を、DMF中の3%v/vヒドラジン(室温で5×5分)によって除去した。DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)により、Lys側鎖上のε-アミン基に、50℃で10分間、2回カップリングした。ペプチドを脱保護し、同時に35℃で3時間、92.5/5/2.5=TFA/Tis/H2Oのカクテル溶液で処理することにより、樹脂から切断した。粗製ペプチド混合物を前述のように後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の15~33.75%アセトニトリルで0~25分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は19.98分であり、ペプチドの収率は6.7%であった。ESI-MS:BL03 C105H156IN23O23についての計算値[M+2H]2+ 1117.5406、実測値[M+2H]2+ 1117.6880。
【0100】
Lu-BL03の合成
Lu-BL03の場合、400μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL03(2.77mg、1.23μmol)及びLuCl3(1.74mg、6.17μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~30%アセトニトリルで0~20分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Lu-BL03の滞留時間は19.11分であり、ペプチドの収率は59%であった。ESI-MS:Lu-BL03 C105H155ILuN23O23についての計算値[M+3H]3+ 803.0045、実測値[M+3H]3+ 803.2280。
【0101】
【0102】
BL02の合成から、0.025mmolスケールでのトリグルタミン酸リンカーのカップリングに続いて、Fmoc-Lys(ivDde)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、及び2-アジド酢酸と順次カップリングした。次いで、ivDde保護基を、DMF中の2%v/vヒドラジン(RTで5×5分)によって除去し、Fmoc-Glu(OtBu)-OH及び2-アジド酢酸と順次カップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で4時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~30%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は10.19分であった。画分を回収し、凍結乾燥した。ペプチドの収率は5.2%であった。アジド前駆体(0.825mg、0.37μmol)を3mLのH2O中に溶解させた。5μLの1M CuSO4、5μLの1Mプロパルギル-AMBF3、500μLの0.1M NH4OH溶液、及び6μLの1Mアスコルビン酸ナトリウムを順次添加し、反応混合物が透明になるまで45℃に加熱し、HPLCに基づくと出発物質は消費された。分取カラムを使用して、0.1%ギ酸を含む水中の10~30%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を再度精製した。滞留時間は8.14分であり、ペプチドの収率は65%であった。
【0103】
【0104】
BL02の合成から、0.025mmolスケールでのivDde基の除去後、大環状ペプチドを含有する樹脂を、DMF中の4/8/4当量のFmoc-D-Arg(Pbf)-OH/DIC/Oxymaを用いて、90℃で4分間、各カップリングに対して2回のカップリングサイクルで、3回カップリングした。各2回のカップリングの後、Fmoc基を、DMF中の20%v/vピペリジンで、90℃で1分間除去し、次のカップリングの前に、樹脂を3回洗浄した。その後、DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)により末端アミンに対し、50℃で10分間、2回のカップリングサイクルでカップリングした。ペプチドを脱保護し、同時に40℃で4.5時間、92.5/5/2.5 TFA/TIS/H2Oのカクテル溶液で処理することによって、樹脂から切断し、粗製ペプチド混合物を前述のように後処理した。分取カラムを使用して、最初に、0.1%TFAを含む水中の10~15%アセトニトリルで0~5分間、次いで15%アセトニトリルで5~10分間、次いで15~25%アセトニトリルで10~20分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は18.3分であり、ペプチドの収率は5.0%であった。ESI-MS:BL05 C102H165N32O21についての計算値[M+3H]3+ 725.0948、実測値[M+3H]3+ 725.5924。
【0105】
Ga-BL05の合成
Ga-BL05の場合、300μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL05(1.0mg、0.46μmol)及びGaCl3(0.56mg、3.2μmol)の溶液を80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを用いて、最初に0.1%TFAを含む水中の10~15%アセトニトリルで0~5分間、次いで15%アセトニトリルで5~10分間、次いで15~25%アセトニトリルで10~20分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Ga-BL05の滞留時間は18.7分であり、ペプチドの収率は89%であった。ESI-MS:Ga-BL05 C102H163GaN32O21についての計算値[M+3H]3+ 747.3981、実測値[M+3H]3+ 747.6309。
【0106】
【0107】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、大環状ペプチドを含有する樹脂(0.025mmol)を、DMF中のFmoc-Pip-OH/HATU/DIEAと10分間、50℃で2サイクルカップリングした。DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)で末端アミンに50℃で10分間、2回のカップリングサイクルでカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で4時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の10~25%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は14.0分であり、ペプチドの収率は9.0%であった。ESI-MS:BL06 C91H140N22O19についての計算値[M+2H]2+ 922.5327、実測値[M+2H]2+ 922.8853。
【0108】
Ga-BL06の合成
Ga-BL06の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL06(1.54mg、0.84μmol)及びGaCl3(1.0mg、5.85μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して0.1%TFAを含む水中の10~25%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Ga-BL06の滞留時間は13.6分であり、ペプチドの収率は87%であった。ESI-MS:Ga-BL06 C91H138GaN22O19についての計算値[M+2H]2+ 955.9877、実測値[M+2H]2+ 956.8644。
【0109】
Lu-BL07の合成
Lu-BL07の化学構造を以下に示す。
【0110】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、大環状ペプチドを含有する樹脂(0.025mmol)を、3つのFmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Lys(ivDde)-OH、及びFmoc-Glu(OtBu)-OHとカップリングした。次いで、2-アジド酢酸を、2回のサイクルで、90℃で10分間カップリングした。次いで、ivDde保護基を、DMF中の2%v/vヒドラジン(室温で5×5分)によって除去した。ペプチドを脱保護し、35℃で4時間切断し、粗製ペプチド混合物を前述のように後処理し、HPLCによって精製した。画分を回収し、凍結乾燥し、3mLのH2Oに溶解させた。5μLの1M CuSO4、5μLの1Mプロパルギル-AMBF3、500μLの0.1M NH4OH溶液、及び6μLの1Mアスコルビン酸ナトリウムを順次添加し、反応混合物が透明になるまで45℃に加熱し、HPLCに基づくと出発物質が消費された。反応混合物をHPLCによって精製し、画分を回収して凍結乾燥した。DMF及びDIEA中のキレート剤DOTA NHSエステル(0.93mg、1.22μmol)(0.72μL、4.1μmol)を、ペプチドの末端アミン(0.9mg、0.41μmol)に結合させた。3時間での反応完了をHPLCによって決定した後、反応混合物を水中で希釈し、分取HPLCを介して精製した。反応収率は74%であった。非架橋ペプチド(0.65mg、0.23μL)に、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のLuCl3(0.28mg、1μmol)を添加し、90℃で15分間インキュベートした。分取カラムを用いて、0.1%ギ酸を含む水中の5~25%アセトニトリルで0~20分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は13.9分であり、ペプチド全体の収率は1.4%であった。ESI-MS:Lu-BL07 C118H179BF3LuN30O32についての計算値[M+3H]3+ 923.7579、実測値[M+3H]3+ 923.2525。
【0111】
【0112】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、樹脂(0.025mmol)を3つのFmoc-Glu(OtBu)-OHと順次カップリングした。最終的なFmoc脱保護後、樹脂を次のカップリングの前に3回洗浄した。樹脂をスピンカラムに入れ、脱気及び蒸留した直後のDMF(10mL)を使用して30分間膨張させた。その後、溶液を排出し、DCMですすいだ。0.025mmolスケールで、PepBF3 JL3(下記参照)(32mg、149μmol)をDMF(5mL)中に溶解させ、スピンカラムに移した。HBTU(54.5mg、144μmol)をビーズ溶液に直接添加し、続いてDIPEA(52μL、609μmol)を添加した。混合物を、チューブローテーターを使用して4時間混合した。溶液を排出し、10mLずつでDCM、DMF、及びDCMで各3回すすぎ、真空下で16時間乾燥させた。乾燥したビーズをファルコンチューブに移し、500μLのDCM中に懸濁し、50μLのTIPS、10μLのH2O、及び撹拌棒を添加した。KHF2(200mg)を別個のファルコンチューブに入れた。TFA(1mL)を、皮下注射針及び1mLシリンジを使用して、ファルコンチューブに添加した。次いで、チューブを密封し、すべての固体が完全に溶解することが観察されるまで超音波処理した。完全に溶解させた後、混合物を、ビーズを含有するファルコンチューブに添加した。混合物を、キャップなしで1時間撹拌した。その後、混合物を冷却し、次いで、氷浴中にてH2O(1mL)で希釈し、次いで、塩基性となるまで、過剰のNH4OHをゆっくりと添加した。次いで、ACNを混合物に添加し、溶液を濾過し、低温で濃縮した。得られた混合物を水に希釈し、凍結し、凍結乾燥して、白色粉末を得た。次いで、これをACNで粉砕し、遠心分離した。上清を回収して濃縮し、粗ペプチド混合物を得、これを、分取カラムを使用して、10~20%のアセトニトリルを含む水中の0.1%ギ酸で15分にわたり30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって精製した。滞留時間は9.12分であり、BL08の収率は5.8%であった。ESI-MS:C90H136BF3N20O21 計算値[M+2H]2+ 950.5112、実測950.6130。
【0113】
【0114】
BL08の合成から、Fmoc-Glu(OtBu)-OHの第3のカップリング後のFmoc基の除去後、2-アジド酢酸を90℃で10分間、2サイクルでカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の18~28%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は11.87分であり、ペプチドの収率は11.2%であった。画分を回収し、凍結乾燥し、3mLのH2Oに溶解させた。5μLの1M CuSO4、5μLの1Mプロパルギル-AMBF3、500μLの0.1M NH4OH溶液、及び6μLの1Mアスコルビン酸ナトリウムを順次添加し、反応混合物が透明になるまで45℃に加熱し、HPLCに基づくと出発物質が消費された。分取カラムを使用して、0.1%ギ酸を含む水中の10~20%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を再度精製した。滞留時間は8.73分であり、BL09の収率は47%であった。ESI-MS:C91H135BF3N23O21 計算値[M+2H]+2 977.0119、実測値977.1859。
【0115】
BL17の合成
BL17、BL20、BL25の化学構造を以下に示す。
【0116】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、樹脂(0.025mmol)を3つのFmoc-Aad(OtBu)-OHと順次カップリングした。その後、DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)で末端アミンに室温で18時間カップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の10~30%アセトニトリルで20分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は14.3分であり、ペプチドの収率は7.2%であった。ESI-MS:BL17 C102H155N23O27についての計算値[M+2H]2+ 1067.5743、実測値[M+2H]2+ 1067.4061。
【0117】
Ga-BL17の合成
Ga-BL17について、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL17(2.3mg、1.1μmol)及びGaCl3(0.95mg、5.4μmol)の溶液を、90℃で20分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の10~30%アセトニトリルで20分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Ga-BL17の滞留時間は14.6分であり、ペプチドの収率は86%であった。ESI-MS:Ga-BL17 C102H153GaN23O27についての計算値[M+2H]2+ 1101.0292、実測値[M+2H]2+ 1100.9840。
【0118】
【0119】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、樹脂(0.025mmol)を、Glu(OtBu)、Glu(OtBu)、及びLys(ivDde)と順次カップリングした。その後、DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)で末端アミンに室温で18時間カップリングした。ivDde保護基を、DMF中の2%v/vヒドラジンによって除去した(室温で5×5分)。次いで、Fmoc-Gly-OHをカップリングした。その後、Fmoc基の除去後、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、50℃で10分間、4-(p-ヨードフェニル)酪酸(4当量)をカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は9.1分であり、ペプチドの収率は4.0%であった。ESI-MS:BL18 C112H167N25O27についての計算値[M+3H]3+ 807.3842、実測値[M+3H]2+ 807.1577。
【0120】
Lu-BL18の合成
Lu-BL18の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL18(1.8mg、0.74μmol)及びLuCl3(1.0mg、3.6μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Lu-BL17の滞留時間は9.3分であり、ペプチドの収率は75%であった。
【0121】
【0122】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、樹脂(0.025mmol)を、Glu(OtBu)、Lys(ivDde)、及びGlu(OtBu)と順次カップリングした。その後、DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)で末端アミンに室温で18時間カップリングした。ivDde保護基を、DMF中の2%v/vヒドラジンによって除去した(室温で5×5分)。次いで、Fmoc-Gly-OHをカップリングした。その後、Fmoc基の除去後、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、50℃で10分間、4-(p-ヨードフェニル)酪酸(4当量)をカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は9.1分であり、ペプチドの収率は4.6%であった。ESI-MS:BL19 C112H167N25O27についての計算値[M+3H]3+ 807.3842、実測値[M+3H]3+ 807.3602。
【0123】
Lu-BL19の合成
Lu-BL19の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL19(1.34mg、0.55μmol)及びLuCl3(0.78mg、2.76μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Lu-BL19の滞留時間は9.3分であり、ペプチドの収率は71%であった。ESI-MS:Lu-BL19 C112H165ILuN25O27についての計算値[M+3H]3+ 865.0259、実測値[M+3H]3+ 864.5719。
【0124】
BL20の合成
BL20の化学構造を上に示す。
【0125】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、樹脂(0.025mmol)を3つのFmoc-D-Glu(OtBu)-OHと順次カップリングした。その後、DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)で末端アミンに室温で18時間カップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の11~31%アセトニトリルで20分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は13.3分であり、ペプチドの収率は5.9%であった。ESI-MS:BL20 C99H147N23O27についての計算値[M+2H]2+ 1046.5508、実測値[M+2H]2+ 1045.9112。
【0126】
Ga-BL20の合成
Ga-BL20の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL20(0.94mg、0.45μmol)及びGaCl3(0.46mg、2.6μmol)の溶液を80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して0.1%TFAを含む水中の11~31%アセトニトリルで30分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Ga-BL20の滞留時間は13.4分であり、ペプチドの収率は85%であった。ESI-MS:Ga-BL20 C99H147GaN23O27についての計算値[M+2H]2+ 1080.0058、実測値[M+2H]2+ 1079.3370。
【0127】
【0128】
BL19の合成から、第2のivDde基の除去後、Fmoc-Gly-OH及びFmoc-NH-PEG4-COOHと順次カップリングした。その後、Fmoc基の除去後、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、50℃で10分間、4-(p-ヨードフェニル)酪酸(4当量)をカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は9.5分であり、ペプチドの収率は6.1%であった。
【0129】
Lu-BL21の合成
Lu-BL21の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL21(1.51mg、0.57μmol)及びLuCl3(0.80mg、2.82μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。Lu-BL21の滞留時間は9.9分であり、ペプチドの収率は97%であった。
【0130】
BL22の合成
BL22、BL23、BL26、BL27、BL28、BL29の化学構造を以下に示す。
【0131】
BL19の合成から、Fmoc-Gly-OHのカップリングに続いて、Fmoc基を除去し、4-(p-クロロフェニル)酪酸(4当量)を、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、2サイクルで50℃にて10分間カップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は8.2分であり、ペプチドの収率は8.2%であった。ESI-MS:BL22 C112H166ClN25O27についての計算値[M+2H]2+ 1164.6048、実測値[M+2H]2+ 1164.7199。
【0132】
Ga-BL22の合成
Ga-BL22の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL22(1.41mg、6.0μmol)及びGaCl3(0.53mg、3.0μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は8.4分であり、ペプチドの収率は75%であった。ESI-MS:Ga-BL22 C112H166ClGaN25O27についての計算値[M+3H]3+ 799.3782、実測値[M+3H]3+ 799.0323。
【0133】
BL23の合成
BL23の化学構造は上記の通りである。
【0134】
BL19の合成から、Fmoc-Gly-OHのカップリングに続いて、Fmoc基を除去し、4-(4-メトキシフェニル)酪酸(4当量)を、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、50℃で10分間、2サイクルでカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は7.0分であり、ペプチドの収率は7.9%であった。ESI-MS:BL23 C113H170N25O28についての計算値[M+3H]3+ 775.4221、実測値[M+3H]3+ 775.4712。
【0135】
Ga-BL23の合成
Ga-BL23について、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL23(0.91mg、0.39μmol)及びGaCl3(0.33mg、1.89μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで0~15分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は7.8分であり、ペプチドの収率は98%であった。
【0136】
Lu-BL23の合成
Lu-BL23について、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL23(0.80mg、0.34μmol)及びLuCl3(0.47mg、1.67μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は7.5分であり、ペプチドの収率は84%であった。
【0137】
【0138】
BL19の合成から、第2のivDde基の除去後、Fmoc-Glu(OtBu)-OHをカップリングした。その後、Fmoc基の除去後、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、50℃で10分間、4-(p-ヨードフェニル)酪酸(4当量)をカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は8.9分であり、ペプチドの収率は6.1%であった。
【0139】
Ga-BL24の合成
Ga-BL24の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL24(0.95mg、0.38μmol)及びGaCl3(0.34mg、1.94μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は9.3分であり、ペプチドの収率は86%であった。
【0140】
BL25の合成
BL25の化学構造を上に示す。
【0141】
BL02の合成から、ivDde基の除去後、樹脂(0.025mmol)をアミノ酸/DIC/Oxymaの2/4/2当量を用いて3個のFmoc-D-Asp(OBno)-OHと順次カップリングした。Fmocを、カップリング間の5分間、室温で脱保護した。その後、DMF中のキレート剤DOTAトリ-t-ブチルエステル(4当量)を、HATU/DIEA(4/8当量)で末端アミンに室温で18時間カップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の12~32%アセトニトリルで0~20分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は12.0分であり、ペプチドの収率は5.3%であった。ESI-MS:BL25 C96H143N23O27についての計算値[M+2H]2+ 1025.5273、実測値[M+2H]2+ 1024.9492。
【0142】
Ga-BL25の合成
Ga-BL25の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL25(2.06mg、1.0μmol)及びGaCl3(0.97mg、5.55μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して0.1%TFAを含む水中の12~32%アセトニトリルで0~20分間、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は12.3分であり、ペプチドの収率は76%であった。ESI-MS:Ga-BL25 C96H143GaN23O27について計算され[M+3H]3+ 706.6599、実測値[M+3H]3+ 706.1981。
【0143】
BL26の合成
BL26の化学構造を上に示す。
【0144】
Fmoc-Gly-OHのカップリングであるBL19の合成から、Fmoc基を除去し、HATU及びDIEA(4及び8当量)を用いて1,18-オクタデカン二酸モノ-tert-ブチルエステル(4当量)を50℃にて2サイクルで10分間カップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は13.5分であり、ペプチドの収率は10.5%であった。
【0145】
Ga-BL26の合成
Ga-BL26の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL26(1.43mg、0.57μmol)及びGaCl3(4.8mg、2.75μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の22~44%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は12.5分であり、ペプチドの収率は92%であった。
【0146】
BL27の合成
BL27の化学構造を上に示す。
【0147】
BL19の合成から、Fmoc-Gly-OHのカップリングに続いて、Fmoc基を除去し、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、2サイクルで50℃にて10分間、4-(4-フルオロフェニル)酪酸(4当量)をカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は7.8分であり、ペプチドの収率は9.7%であった。
【0148】
Ga-BL27の合成
Ga-BL27の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL27(0.98mg、0.41μmol)及びGaCl3(0.35mg、2.1μmol)の溶液を、80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は7.6分であり、ペプチドの収率は91%であった。
【0149】
BL28の合成
BL28の化学構造を上に示す。
【0150】
BL19の合成から、Fmoc-Gly-OHのカップリングに続いて、Fmoc基を除去し、4-(4-メチルフェニル)酪酸(4当量)を、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、50℃で10分間、2サイクルでカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は7.9分であり、ペプチドの収率は9.3%であった。
【0151】
Ga-BL28の合成
Ga-BL28の場合、500μLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH4.2)中のBL28(1.1mg、0.46μmol)及びGaCl3(4.0mg、2.3μmol)の溶液を80℃で15分間インキュベートした。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は8.0分であり、ペプチドの収率は72%であった。
【0152】
BL29の合成
BL29の化学構造を上に示す。
【0153】
BL19の合成から、Fmoc-Gly-OHのカップリングに続いて、Fmoc基を除去し、HATU及びDIEA(4及び8当量)を使用して、50℃で10分間、2サイクルで4-フェニル酪酸(4当量)をカップリングした。ペプチドを脱保護し、35℃で3.5時間切断し、前述のように粗製ペプチド混合物を後処理した。分取カラムを使用して、0.1%TFAを含む水中の20~40%アセトニトリルで15分間にわたり、30mL/分の流速で溶出させるHPLCによって、反応混合物を精製した。滞留時間は7.1分であり、ペプチドの収率は7.0%であった。
【0154】
PepBF
3シントンの化学合成
PepBF
3 JL
3の合成
【0155】
4-ジメチルアミノ-酪酸ベンジルエステル(JL1)。丸底フラスコにγ-アミノ酪酸(2g、19.4mmol、1当量)、ホルムアルデヒド(9mL、溶液v/v中37%、121mmol、6当量)、及びギ酸(6mL、溶液中90%、143mmol、7当量)を充填し、80℃で48時間撹拌した。反応をTLC(DCM中の10%MeOH、中間体のR
f=0.45、ブロモクレゾールグリーンで染色)によってモニターした。反応混合物を室温に冷却し、HCl(6mL、4M、24.4mmol、1.25当量)を添加した。反応溶液を回転蒸発により乾燥させ、黄色の固体中間体4-ジメチルアミノ-酪酸を得、そこにベンジルアルコール(10mL、100mmol、5当量)、及び4-トルエンスホン酸一水和物(3.5g、20.9mmol、1.05当量)を添加した。反応物を90℃で2時間還流し、反応溶液を室温に冷却した。トルエン相をH
2O(4×100mL)で抽出し、NaOH(1M)を塩基性になるまでプールした水性相に添加した。次いで、水性相をEtOAc(3×100mL)で抽出した。次いで、EtOAc抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、3.31gの粗製のオレンジ色の油状物を得、次いで、塩基性シリカを使用し、PETエーテル(PE)中でカラムを飽和させ、TLC(DCM中の10%MeOH、中間体のR
f=0.3)によって画分をモニターすることによって、シリカクロマトグラフィー精製した。化合物をシリカに直接ロードし、PEですすぎ、5カラム体積(CV)のPE、1:1=PE:EtOAc、EtOAc、DCM、DCM中の10%MeOHで溶出を行い、良好な収率でJL1を得た(2工程にわたって2.332g、52%)。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ(ppm):7.37(m,5H),5.14(s,2H),2.42(t,2H),2.35(t,2H),2.26(s,6H),1.85(五重項,2H)。
【0156】
(3-ベンジルオキシカルボニル-プロピル)-ジメチル-アンモニウム-メチルトリフルオロボレート(JL2)。4-ジメチルアミノ酪酸ベンジルエステルJL1(2.5g、11.2mmol)をEt
2O(50mL)及びDCM(50mL)中に溶解させた。ヨードメチルボロニルピナコレート(1.92mL、10.64mmol、0.95当量)を、撹拌しながら混合物に滴下して添加し、溶液をそのまま2時間撹拌した後、50℃の浴中に入れ、30時間撹拌した。反応物を冷却し、溶媒を回転蒸発によって除去して、濃いオレンジ色の油状物を得た。油状物をACN(100mL)中に溶解させ、50mLの水で希釈し、AgNO
3(100mL、0.18M、1.5当量)の水溶液、次いでブライン(0.12mL、0.71mmol、1.5当量)と混合し、各々黄色の沈殿物及び白色の沈殿物を生成させた。混合物をセライトで濾過し、回転蒸発によって濃縮した。得られた白色固体をACN(100mL)で粉砕し、30分間超音波処理し、セライトで濾過し、濾液を15mLまで濃縮し、プラスチックボトルに移した。フッ素化するために、KHF
2(14mL、4M、112mmol、10当量)及びHCl(37mL、3M、112mmol、10当量)を溶液に添加した。反応物を1時間フッ素化し、塩基性となるまで濃NH
4OHを添加してクエンチした。混合物を凍結し、凍結乾燥して白色の固体を得、アセトン(3×300mL)で抽出し、プールした抽出物を回転蒸発によって乾燥させて、白色の固体として粗生成物を得、シリカクロマトグラフィーによって精製した。塩基性シリカを使用し、DCM中でカラムを飽和させ、画分をTLC(DCM中の40%ACN、Rf=0.4)によってモニターして、カラム精製を実施した。化合物を、MeOHで溶解させ、シリカ上で乾燥させた。シリカに結合した化合物をカラム内に配置し、勾配溶出を、DCM中の0、5、10、20%ACNを5CV用いて実施し、良好な収率(2ステップで2.7655g、86%)で純粋な化合物JL2を得た。
1H NMR(300MHz,ACN)δ(ppm):7.37(m,5H),5.13(s,2H),3.30(m,2H),3.03(s,6H),2.48(t,2H),2.45(m,2H),2.09(m,2H)。
19F NMR(300MHz,ACN)δ(ppm):-141.02。
11B NMR(300MHz,ACN)δ(ppm):-2.09。
【0157】
(3-カルボキシ-プロピル)-ジメチル-アンモニウム-メチルトリフルオロボレート(JL3)。(3-ベンジルオキシカルボニル-プロピル)-ジメチル-アンモニウム-メチレントリフルオロボレート(JL2)(2.65g、8.7mmol)を丸底フラスコ中に入れ、水分を減圧下及び温水浴中で排出した。アルゴンをフラスコ内に流し、蒸留直後のTHF(100mL)をフラスコ内に添加し、超音波処理して十分溶解させた。パラジウム活性炭(1.4g、10%Pd/C、0.50mmol、0.11当量)を反応容器に添加した。フラスコに蓋をし、H
2(g)下で16時間撹拌した。反応の進行を、TLC(DCM中の40%ACN、Rf=0.4、UV、HBQ、及びBCG染色アクティブ)でモニターした。出発物質が完全に消費された後、混合物をセライトに通して濾過し、活性炭を除去し、メタノール(3×50mL)で洗浄した。溶液を回転蒸発によって乾燥させ、白色固体(1.095g、全体収率60%)を得た。
1H NMR(300MHz,D
2O)δ(ppm):3.21(m,2H),2.97(s,6H),2.42(m,2H),2.39(t,2H),2.08(m,2H)。
19F NMR(300MHz,D
2O)δ(ppm):-140.91。
11B NMR(300MHz,D
2O)δ(ppm):2.08。
13C NMR(300MHz、MeOD)δ(ppm):174.26,65.69,52.37,29.85,18.19。ESI-MS(-):C
7H
15BF
3NO
2算出された正確な質量213.11m/z、実測値[2M-H]
-=425.2m/z。
【0158】
[3-(2-ヒドロキシ-エチルカルバモイル)-プロピル]-ジメチル-アンモニウム-メチレントリフルオロボレート(JL4)。(3-カルボキシ-プロピル)-ジメチル-アンモニウム-メチレントリフルオロボレート(JL3)(50mg、0.23mmol)を丸底フラスコに充填し、DMF(5mL)に溶解させた。3-アミノプロパノール(19.8μL、0.25mmol、1.1当量)を混合物中に添加した後、HBTU(97.9mg、0.25mmol、1.1当量)及びDIPEA(61μL、0.35mmol、1.5当量)を添加し、16時間撹拌させた。反応物をTLC(DCM中の10%MeOH、Rf=0.2、生成物はKMnO4、HBQ染色アクティブ)を使用してモニターした。出発物質が完全に消費された後、反応物を乾燥させ、シリカクロマトグラフィーによって精製した。カラム精製は、塩基性シリカを使用し、DCM中でカラムを飽和させることによって行った。粗混合物をMeOHで溶解し、シリカ上で乾燥させた。シリカに結合した化合物をカラムに入れ、DCM中0、5及び10%のMeOHを5カラム容積で用いて勾配溶出を行い、純粋な化合物JL4(8mg、13%)を得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):3.60(t,2H),3.29(m,4H),3.06(s,6H),2.43(m,2H),2.28(t,2H),2.08(m,2H),1.73(五重項、2H)。19F NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):-141.23。11B NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):2.05。
【0159】
放射線化学的合成
18F標識:担体が添加されていないフッ化物[18F]を、18-MeVプロトン(Advanced Cyclotron Systems Inc)でH2
18Oをボンバードメントし、続いてアニオン交換樹脂カラム(ブラインで予め活性化し、HCO3
-前処理なしでDI水で洗浄した)上にトラッピングすることによって得た。次いで、HCl-ピリダジン緩衝液(pH2.0)を使用してカラムから[18F]フッ化物を溶出させた。非標識のトリフルオロボレート前駆体(100nmol)をDMF(15μL)中に懸濁させた。溶出した[18F]フッ化物(30~100GBq)を、BL08またはBL09の溶液を含有する反応容器に添加した。バイアルを加熱ブロック上で80℃にて20分間加熱し、1mLの水を添加してクエンチした31,32。混合物をセミプレップHPLCによって精製し、非標識の標準物質と12分の1の放射性トレーサーとの同時注入により、分析的HPLCを通じて品質管理を行った。放射線化学的収率(減衰補正)は10%超であり、放射線化学的純度は95%超であった。
【0160】
68Ga標識:[68Ga]GaCl3を、合計4mLの0.1M HClを用いてiThemba Labsジェネレータから溶出させた。溶出した[68Ga]GaCl3溶液を2mLの濃HClに添加した。次いで、この放射性混合物をDGA樹脂カラムに添加し、3mLの5M HClで洗浄した。次いで、カラムを空気で乾燥させ、[68Ga]GaCl3(0.10~0.50GBq)を0.5mLの水で溶出し、0.7mLのHEPES緩衝液(2M、pH5.3)中の非標識前駆体(25μg)の溶液を含有するバイアル中に加えた。反応混合物を、マイクロ波オーブン(Danby;DMW7700WDB)中で出力設定2にて1分間加熱した。混合物をセミ分取HPLCによって精製し、非標識の標準物質と1/12の放射性トレーサーとの同時注入による分析的HPLCを通じて品質管理を行った。放射線化学的収率(減衰補正)は50%超であり、放射線化学的純度は95%超であった。
【0161】
177Lu標識:[177Lu]LuCl3を、ITM Isotopen Technologien Munchen AGから購入した。0.04MのHCl(10~100μL)中の[177Lu]LuCl3(100~1000MBq)を、0.5mLのNaOAc緩衝液(0.1M、pH4.5)中の非標識前駆体(25μg)の溶液に添加した。反応混合物を、100℃で15分間インキュベートした。混合物を、セミ分取HPLCによって精製し、非標識の標準物質と1/12の放射性トレーサーとの同時注入による分析的HPLCを通じて品質管理を行った。放射線化学的収率(減衰補正)は50%超であり、放射線化学的純度は95%超であった。
【0162】
競合結合アッセイ
CXCR4に対する非標識ペプチドの結合親和性を、CHO:CXCR4細胞を使用して競合結合アッセイを使用して決定した。簡潔に述べると、CHO:CXCR4細胞(200,000個の細胞/ウェル)を、前の晩に24ウェルBioCoat(商標)Poly-D-Lysine Multiwell Plate(Corning)中に播種した。翌日、各ウェルを、20mMのHEPES及び2mg/mLのBSA、[125I]SDF-1α(0.01nM、Perkin Elmer)、ならびに競合する非放射性リガンド(10μM~1pM)を補充したRPMI-1640培地(Life Technologies Corporations)と共にインキュベートし、27℃、中程度の振とうで1~1.5時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を氷冷したPBSで2回洗浄し、トリプシン処理し、Perkin Elmer WIZARD 2480ガンマカウンタでカウントした。IC50値は、GraphPad Prism7を使用して、競合データにロジスティック方程式を適合させる非線形回帰分析によって決定した。
【0163】
内在化
アッセイの24~48時間前に、24ウェルポリ-D-リジンプレート(Corning BioCoat(商標)、参照番号354414)中の完全増殖培地中に、2×106細胞/ウェルで播種する。CHOwt細胞及びCHO::CXCR4細胞の両方について、ブロックされていないセット及びブロックされたセットで反応を3回実施する。アッセイの際、増殖培地を400μlの反応培地(RPMI、2mg/mLのBSA、20mMのHEPES)で置き換える。ブロックされたセットの場合、細胞を1μMのLY2510924で、37℃及び5%CO2で1時間プレインキュベートする。ウェル当たり0.8MBqの68Ga-BL02を、ブロックされていないウェルとブロックされていないウェルの両方に添加し、27℃で1時間、軽度の振とうによりインキュベートする。細胞を含まない放射性標識ペプチド3サンプルを標準として用いる。上清を除去し、細胞を氷冷PBSで1回洗浄する。次いで、細胞を、200μLの氷冷0.2M酢酸、0.5M NaCl、pH2.6で洗浄した。洗浄液を合わせ、測定し、ペプチドの膜結合部分を構成するものとした。細胞を氷冷PBSで再び洗浄し、トリプシン処理し、回収し、測定し、ペプチドの内部分画を構成するものとする。Wizardガンマカウンタにおいて、標準、膜結合画分、及び細胞をカウントする。GraphPad Prismを使用して解析を行う。
【0164】
細胞培養
Daudi Bリンパ芽細胞株(ATCC(登録商標)CCL-213)及びPC-3前立腺腺癌(ATCC(登録商標)CRL-1435)を、American Type Culture Collectionから購入し、IMPACT試験(IDEXX BioAnalytics)を使用してげっ歯類病原体及びマイコプラズマ汚染の有無について試験した。CHO:CXCR4細胞株は、David McDermott及びXiaoyuan Chen両博士(アメリカ国立衛生研究所)から寄贈された。GRANTA519、Jeko1及びZ138細胞は、Christian Steidl博士から寄贈された。Daudi、GRANTA519、Jeko1、Z138、PC-3及びCHO:CXCR4細胞を、5%CO2雰囲気中、37℃の加湿インキュベーター中で培養した。
【0165】
Daudi細胞及びGRANTA519細胞を、10%のウシ胎仔血清(Sigma-Aldrich)、100I.U./mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシン(ペニシリン-ストレプトマイシン溶液)を補充したRPMI-1640培地(Life Technologies Corporations)で培養した。Jeko1細胞を、20%ウシ胎児血清(Sigma-Aldrich)、100I.U./mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(ペニシリン-ストレプトマイシン溶液)を補充したRPMI-1640培地(Life Technologies Corporations)で培養した。Z138細胞を、10%のウシ胎仔血清(Sigma-Aldrich)、100I.U./mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシン(ペニシリン-ストレプトマイシン溶液)を補充したIscove修飾ダルベッコ培地(IMDM)で培養した。CHO:CXCR4細胞及びPC-3細胞を、10%のウシ胎仔血清(Sigma-Aldrich)、100I.U./mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシン(ペニシリン-ストレプトマイシン溶液)を補充したF12K培地(Life Technologies Corporations)で培養した。
【0166】
動物モデル
動物実験を、カナダ動物管理評議会によって確立されたガイドラインに準拠し、ブリティッシュコロンビア大学の動物倫理委員会によって承認された研究プロトコルに従って実施した。Daudi、Z138、GRANTA519及びJeko1異種移植片の場合、雄のNOD.Cg-Rag1tm1MomIl2rgtm1WJl/SzJ(NRG)マウスの左脇腹に、5×106細胞(100μL;PBS/マトリゲル=1:1比)で皮下接種し、腫瘍を200~500mm3のサイズに増殖させた。PC-3異種移植片の場合、雄のNOD.Cg-Rag1tm1MomIl2rgtm1WJl/SzJ(NRG)マウスの左脇腹に、5×106個のPC-3細胞(100μL;PBS/マトリゲル=1:1比)で皮下接種し、腫瘍を200~400mm3のサイズに増殖させた。
【0167】
PET/CTイメージング
PET及びCTスキャンを、加熱パッドで体温を維持しながらSiemens Inveon MicroPET/CTで実施した。4~7MBqの各PET放射線トレーサーの静脈内注射のために、腫瘍担持マウスをイソフルラン(2L/分O2中2~2.5%のイソフルラン)で短時間鎮静させた。ブロッキング対照として、放射性トレーサー投与の15分前に、マウスに対し7.5μgのLY2510924を腹腔内(i.p.)注射した。取り込み時間中(50または110分間)動物を自由に徘徊させ、その後、鎮静剤を投与し、スキャンした。減衰補正及び解剖学的局在化のためにCTスキャンを取得し(80kV、500μA、3ベッド位置、34%オーバーラップ、220°連続的回転)、その後、放射性トレーサーの1時間または2時間p.i.で10分間のPET取得を行った。PETデータをリストモードで取得し、3次元のサブセット化による期待値の最大化(3-dimensional ordered-subsets expectation)(2回の反復)、続いてCTベースの減衰補正を伴う高速最優アプリオリアルゴリズム(18回の反復)を使用して再構築した。Inveon Research Workplaceソフトウェア(Siemens Healthineers)を使用してイメージを解析した。
【0168】
体内分布
イソフルラン麻酔(2L/分O2中2~2.5%のイソフルラン)下で、マウスに対し、0.8~3.0MBqの各放射性トレーサーを静脈内注射した。さらなるマウスの群には、ブロッキング対照として、7.5μgのLY2510924を放射性トレーサー注射の15分前にi.p.注射した。イソフルランで麻酔しながら、CO2吸入によりマウスを安楽死させた。組織を採取し、PBS中で洗浄し、乾燥させ、重量を測定し、Hidex AMG自動ガンマカウンタ上で測定した。放射能のカウントを減衰補正し、較正曲線を使用して絶対単位に変換し、組織1グラム当たりの注入線量パーセント(%ID/g)で表した。
【0169】
インビボ安定性
放射性標識ペプチド(10~30MBq)を雄のNRGマウスに静脈内注射した。5分、24時間または120時間の取り込み時間の後、マウスを鎮静/安楽死させ、血液を採取した。血漿を単離し、公知の手順に従い、分析的放射線HPLCにより解析した(Lin et al.,Cancer,Res.2015,75:387-393)。
【0170】
線量測定
177Lu標識類似体の生体分布データから得られた多時点の臓器取り込みを、それらの適切な時点に減衰させ、Python(バージョン3.7)において一指数モデルまたは二指数モデル(R2及び残留の程度に基づいてフィットを選択)にフィットさせた。曲線下面積を使用して滞留時間を算出し、それを、OLINDA/EXMソフトウェア(Hermes Medical Solution;version 2.0)で使用するために、ヒト(NURBSモデル)及びマウス(25g MOBYマウスファントム)のモデル臓器質量で乗じ、それにより平均的なマウスの線量を算出し(Stabin et al.,J Nucl Med.2005,46:1023-1027、Keenan et al.,J Nucl Med.2010,51:471-476)、平均的なヒト男性に外挿した(Segars et al.,J Nucl Med.2001,42:7、Stabin et al.,J Nucl Med.2012,53:1807-13)。
【0171】
結果
表1~23及び
図1~11に示すように、アニオン性リンカーは、内在化(腫瘍における、長い/持続的な保持)を増加させ、及び/またはバックグラウンドクリアランスを促進する。これは、カチオン性リンカー、または中性リンカー(すなわち、リジンアミドコンジュゲーションまたは単純なマレイミドコンジュゲーション)を有する化合物と比較して、イメージング剤及び治療剤に求められる腫瘍対バックグラウンドのコントラストを強化する。これにより、腫瘍対背景のコントラストが強化させ、イメージング剤及び治療剤の改善につながる。アルブミンバインダーは、マウスモデルにおける化合物の循環半減期を延長し、放射性トレーサーの腫瘍への持続的な取り込みを可能にする。表24~33に示すように、Lu-177標識化合物は、腫瘍異種移植片に高い放射線量を送達した一方で、正常組織/臓器には最小限の放射線量を送達し、優れた腫瘍対正常組織/臓器の治療インデックスをもたらした。様々な化合物のインビボで安定性を表34に示す。
表19.選択された時点での、Z138腫瘍担持マウスにおける[
177Lu]Lu-BL02の生体分布データ(%ID/g)。
表20.選択された時点での、GRANTA519腫瘍担持マウスにおける[
177Lu]Lu-BL02の生体分布データ(%ID/g)。
表21.選択された時点でのDaudi腫瘍担持マウスにおける[
177Lu]Lu-BL18の生体分布データ(%ID/g)。
表22.選択された時点でのDaudi腫瘍担持マウスにおける[
177Lu]Lu-BL19の生体分布データ(%ID/g)。
表23.選択された時点でのDaudi腫瘍担持マウスにおける[
177Lu]Lu-BL23の生体分布データ(%ID/g)。
【0172】
本発明は、1つ以上の実施形態に関して記載されている。しかしながら、本明細書で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変形及び修正をし得ることは当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】