(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】長期安定な生存糞便微生物叢組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/74 20150101AFI20220609BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20220609BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220609BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20220609BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220609BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20220609BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220609BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220609BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61K35/74 A
A61K35/741
A61P1/04
A61P1/14
A61K9/48
A61K47/04
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561644
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2020060370
(87)【国際公開番号】W WO2020212297
(87)【国際公開日】2020-10-22
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519178423
【氏名又は名称】インスティトゥート ディンベスティガシオンス ビオメディケス アウグスト ピ イ スニェール - イディバプス
(71)【出願人】
【識別番号】521451787
【氏名又は名称】フンダシオ・クリニック・ペル・ア・ラ・レセルカ・ビオメディカ
(71)【出願人】
【識別番号】513295630
【氏名又は名称】ホスピタル クリニック デ バルセロナ
(71)【出願人】
【識別番号】315018842
【氏名又は名称】ウニベルシタット、デ、バルセロナ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITAT DE BARCELONA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホセップ・エメ・スニェ・ネグレ
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・ソリアーノ・ビラドミウ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・アイラ・ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】クサバ・フェヘール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD28
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE32
4C076FF63
4C076GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC30
4C087BC55
4C087MA05
4C087MA37
4C087MA52
4C087NA03
4C087ZA68
4C087ZA69
(57)【要約】
本発明は、薬学的有効量の生きている微生物及び1種又は複数の薬学的に許容される吸水性賦形剤を含む固体経口医薬組成物であって、欧州薬局方9.4、2.5.12.節に従って決定される、組成物の合計質量に対して0.5から30%の含水量を有する組成物を提供する。本発明は、その調製方法並びに治療におけるその使用も提供する。本発明の生存細胞ベースの組成物は温和な条件下で安定である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的有効量の生きている微生物及び1種又は複数の薬学的に許容される吸水性賦形剤を含む固体経口医薬組成物であって、欧州薬局方9.4、2.5.12.節に従って決定される、組成物の合計質量に対して0.5から30%の含水量を有する組成物。
【請求項2】
単一カプセルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
生きている微生物が糞便微生物叢である、先行する請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
吸水性賦形剤が、セルロース系賦形剤又は薬学的に許容されるそれらの塩;カオリナイト;タルク;パリゴルスカイト;海泡石;及びスメクタイトから選択される、先行する請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
吸水性賦形剤が、セルロースエーテル誘導体、セルロースエステル誘導体、又はそれらの組合せである、先行する請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
吸水性賦形剤がMCCである、先行する請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
含水量が組成物の合計質量に対して5から30%に含まれる、先行する請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1種又は複数の追加の薬学的に許容される賦形剤を含む、先行する請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
凍結保護物質;又は代替的に、
潤滑剤;又は代替的に、
凍結保護物質及び潤滑剤
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
糞便微生物叢、セルロースエーテル誘導体、ステアリン酸塩、及び凍結保護物質;又は代替的に、
糞便微生物叢、セルロースエーテル誘導体、ステアリン酸塩、及びグリセリン;又は代替的に、
糞便微生物叢、セルロースエーテル誘導体、ステアリン酸マグネシウム、及びグリセリン;又は代替的に、
糞便微生物叢、MCC、ステアリン酸塩、及びグリセリン;又は代替的に、
糞便微生物叢、MCC、ステアリン酸マグネシウム、及びグリセリン
を含む、先行する請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
生きている微生物を1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の経口医薬組成物を調製する方法。
【請求項12】
体積の単位で表される生きている微生物の量に対して、質量で過剰の吸水性賦形剤を混合する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
30:1から70:1に含まれる吸水性剤:潤滑剤の質量比で潤滑剤を添加する工程を更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
治療で使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物中の生きている微生物を安定化するための吸水性賦形剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年4月15日出願の欧州特許出願EP19382287.1の利益を主張する。
【0002】
本発明は、安定な生存糞便微生物叢を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
糞便微生物叢移植(FMT)は、健常な個体から病んだレシピエントへの糞便材料含有微生物の移動である。
【0004】
伝統的に、上部胃腸(GI)管への移植は、経鼻胃、経鼻十二指腸、経鼻空腸挿管により、又は食道胃十二指腸内視鏡若しくはプッシュ式小腸内視鏡により達成される。下部GI管への送達は、通常、結腸内視鏡、S状結腸鏡、又は浣腸により達成される。これらの技法の全てが、短所に悩まされる。例えば、上部GI管投与には、呼吸に関係する合併症(特に経鼻胃送達)のリスクがあり、侵襲的であり、レシピエントにとって不快である。結腸内視鏡及びS状結腸鏡等の下部GI管送達技法も、侵襲的であり、不快であり、多大なコスト及びリスクを伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】水:半微量定量、「欧州薬局方9.4」、2.5.12節:2018年、5107頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、微生物群落のレシピエントへの送達(例えば、糞便物体移植又は糞便微生物叢移植)のための安全な、有効な及びより侵襲的でない様式についての必要性が依然存在する。
【0008】
微生物群落のカプセル化された経口剤形を開発するために2通りの手法が追求されてきた: (a)水性大便溶液の瞬間凍結、及び(b)凍結乾燥。
【0009】
第1の手法は、グリセリン及び生理食塩水緩衝液中の大便の水溶液の瞬間凍結を含む。該水溶液は微生物株の生存能力を保存するが、大便の水性特性が水溶性カプセルを速やかに分解するので、高度に不安定なカプセルを生ずる。これらのカプセルの物理的不安定性は、大量生産を複雑にして、カプセルが投与中に破裂し得るので、臨床的災害を創り出す。そのような不安定性は、カプセルが、それらの使用、それらが解凍されるべき瞬間まで、-70/-80℃で貯蔵されなければならないことを要求する。そのような不安定性は、「非常に複雑な」デバイスの必要性と一緒になって特別の医学的監督下にある病院環境への糞便微生物叢療法(FMT)の適用を制約する。したがって、処置される対象は、カプセルを凍結及び解凍するために適当な全て手段がある病院へ行かなければならない。しかしながら、このことは、処置のコンプライアンスを欠いて、患者の不遵守をもたらし得る。
【0010】
大便の水性成分を低下させるために、数通りの試みが実施された。凍結乾燥等の技法による微生物群落の脱水は、主要な経路の1つである。しかしながら、脱水プロセスは物理的に手がかり、微生物の生存能力を著しく低下させる。それに加えて、時には、微生物群落の脱水が、適当な安定性を達成するために十分でなく、その目標で、特別のコンテナが開発されなければならない。1例として、KR20080059605は、カプセルと接触する環境湿度を低下させる特別の設計を有するコンテナ中における凍結乾燥された細菌の梱包を開示している。この韓国特許文書は、とりわけ、凍結乾燥された細菌について賦形剤添加(実施例6)又は賦形剤無添加(実施例5)の安定性のデータを提供する。実施例6は、凍結乾燥された細菌を微結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウムと一緒に含むカプセルについてデータを提供する。賦形剤無添加のカプセルが、特定のコンテナ内で、カプセルが賦形剤とともに剤形化された場合よりも安定であったことが注目される。
【0011】
これまでになされた努力にもかかわらず、生存細菌の細胞に基づいた安定な自宅でやるFMTの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、カプセルがレシピエントの家庭にある従来の冷凍庫中で貯蔵され得ることを意味する、-65℃又は-80℃よりむしろ約4℃で貯蔵されるために十分安定な生存微生物叢カプセルを開発した。
【0013】
下に示すように、本発明者らは、糞便微生物叢ペレット(グリセリン中の大便の水溶液から得られた)と微結晶セルロース(今後「MCC」とも称される)及び潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム)との混合物を最初に調製した。カプセルがその混合物で調製されたときに、欧州薬局方9.4、2.5.12.節に従って、組成物の合計質量に対して約30%の含湿量を有することが見出された(下のTable 1(表1)を参照されたい)。
【0014】
驚くべきことに、本発明者らは、約30%までの含水量を有する環境で生存微生物叢を含む前記カプセルが、4℃(冷蔵庫温度と等しい温度)で3カ月の間そのような高い含湿量でさえ安定であったことを見出した。これに関して、Table 1(表1)は、吸水性賦形剤の含有が、カプセル化された生存微生物叢に、凍結乾燥された微生物叢で達成されたものと同じオーダーの安定性を付与することを示す。それ故、吸水性賦形剤の含有は、凍結乾燥技法(それは細菌生存能力について、より「攻撃的」である)に対して有効な代替法である。
【0015】
これは、先行技術に照らして予測不可能なことである。上で論じたように、現況技術は、安定なカプセル化された糞便微生物叢を得るための2つの選択肢を教示している:温度を約-80℃に低下させて、その結果凍結された糞便微生物叢を得る;又は糞便微生物叢を凍結乾燥することにより含水量を可能な限り低下させる。更に最近の出版物は、凍結乾燥された細菌のカプセル化及び生じた凍結乾燥された細菌の、コンテナ内の含湿量を更に大きく減少させる特別のコンテナ中への梱包を開示している(韓国特許KR20080059605等)。それ故、本明細書において提供される本発明、即ち、より温和な温度での安定な生存糞便微生物叢(それは凍結乾燥と比較すると高い含湿量を必要とする)は、現況技術を考慮すれば驚異的である。
【0016】
カプセルの安定性は、細菌の生存能力に関するだけでなく、カプセルの形態にも関した。下で示したように、糞便微生物叢及び吸水性賦形剤(MCC)を含んで剤形化されたカプセルが4℃で3カ月間貯蔵されたときに、長さ、幅又は匂いに関して変化は見出されなかった。
【0017】
それ故、本発明の組成物は、全くFMTの分野における大きな進歩を意味しており、その理由は、処置がレシピエントにより家庭で行われ、医学的クリニックへの輸送を回避できるからである。それに加えて、本発明の組成物は、患者に便宜上の改善を提供することにより処置のコンプライアンスを改善することができ、それ故、向上した患者の厳守を導くので、有利である。
【0018】
したがって、第1の態様において、本発明は、薬学的有効量の生きている微生物及び1種又は複数の薬学的に許容される吸水性賦形剤を含む固体経口医薬組成物を提供し、混合物は、欧州薬局方9.4、2.5.12.節により決定される、組成物の合計質量に対して0.5から30%の含水量を有する。
【0019】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様で定義された経口医薬組成物を調製する方法を提供し、該方法は、生きている微生物を1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程を含む。
【0020】
先行技術と比較した本発明の利点は、本発明の組成物を得るための方法が、生存可能な細菌の損失のリスクを最小化する温和な条件下で(室温及び湿度)2ないし3工程しか要しないことである。
【0021】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2の態様で定義された方法により得ることができる経口医薬組成物を提供する。
【0022】
第4の態様において、本発明は、治療で使用するための、本発明の第1の又は第3の態様で定義された経口医薬組成物を提供する。
【0023】
カプセル化された生きている微生物の安定化における吸水性賦形剤の能力が報告されることは初めてである。事実、韓国特許KR20080059605により提供されるデータから、当業者は、該先行技術の実施例5及び実施例6で提供されるデータが比較されたときに、吸水性賦形剤が微生物叢の安定性に不利に影響することを予想したであろう。
【0024】
理論にとらわれることなく、本発明者らは、上記の驚くべき効果は、吸水性賦形剤(下で例示するようにMCC等)が、糞便微生物叢のペレット中に存在する水と相互作用して、水の部分等が「自由」なままであり、小量が「構造化された水]として吸収され、後者が分子スポンジの形成を生じさせるという事実に基づくと考える。このように、固体医薬組成物は、約30%までの含有率の水を含むが(それはカプセルの調製で使用された出発時の糞便微生物叢ペレットの含水量に対応するであろう)、その水の大部分は形成された1種の「スポンジ」(吸収性賦形剤により取り込まれて物理的に形成された)内であろう。そのような「スポンジ」は、水の貯蔵所又は保護バリアとして作用することができて:カプセル内の生存微生物叢は、特定の環境条件下で、カプセル中で利用可能な水を徐々に使用することができる。それ故、吸水性賦形剤は、混合物中の含水量のおかげで安定化効果を発揮することができる。
【0025】
上記のことが、韓国特許20080059605では、同じ吸水性賦形剤(MCC)が、なぜそのような安定化効果を提供することができないかを説明するであろう:賦形剤は微生物を安定化することができず、その理由は、(a)細菌が凍結乾燥されているため(即ち、有意の量の水を含まない)、及び(b)環境の含湿量がコンテナの特定の設計に基づいて低いために、それが十分な水を吸収することができないからである。
【0026】
したがって、第5の態様において、本発明は、固体経口医薬組成物中の生きている微生物を安定化するための吸水性賦形剤の使用を提供する。
【0027】
最終的に、本発明は、細菌叢異常と関連する疾患の処置における使用のための、本発明の第1の又は第3の態様で定義された固体経口組成物を更に提供する。或いは、この態様は、細菌叢異常と関連する疾患の処置のための医薬の製造における本発明の第1の又は第3の態様で定義された固体経口組成物の使用として定式化され得る。或いは、この態様は、細菌叢異常と関連する疾患を処置又は予防する方法として定式化され得、該方法は、本発明の第1の又は第3の態様で定義された組成物の治療有効量を、それらを必要とする対象に投与する工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において使用する全ての用語は、本出願において、特に断らない限り、当技術分野において知られたそれらの通常の意味で理解されるべきである。本出願で使用されるある用語のための他の更なる特定の定義は、下で説明され、さもなければ明示的に述べられた定義がより広い定義を提供しない限り、明細書及び請求項を通じて一様に適用されることが意図される。それに加えて、本発明の目的のために、与えられる任意の範囲は、その範囲の上限及び下限の両方の点を含む。温度、時間、質量等の与えられた範囲は、特に断りのない限り、約とみなされるべきである。
【0029】
上で提供されたように、第1の態様において、本発明は、生きている微生物及び1種又は複数の吸水性賦形剤を含む経口固体医薬組成物に言及する。
【0030】
本明細書において使用する「治療有効量」という表現は、投与されたときに対処される疾患の症状の1つ若しくは複数の発生を予防するか、又はある程度軽減するために十分な生きている微生物の量を指す。本発明に従って投与される生きている微生物の特定の投与量は、言うまでもなく、投与される化合物、投与の経路、処置される特定の状態、及び同様な考慮を含む、症例を取り巻く特定の情況によって決定されるであろう。
【0031】
「医薬組成物」という表現は、ヒト及び非ヒトにおいて有益な効果を有するこれらの組成物を指す。
【0032】
本発明の第1の態様の一実施形態において、任意選択で、下で提供される任意の実施形態との組合せで、生きている微物は、プロバイオティック微生物又は糞便微生物叢である。別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、生きている微生物は糞便微生物叢である。
【0033】
この関係で、用語「微生物叢」は、(持続可能で又は一過性で)動物対象、典型的にはヒト等の哺乳類の中又は上で生ずる、真核細胞、古細菌、細菌、菌類、例えば酵母、及びウイルス(細菌のウイルス即ち、ファージを含む)を含む微生物の群落を指す。糞便微生物叢は、未知の、しかし多数のタイプの微生物を含む。
【0034】
本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は1種の吸水性賦形剤を含む。
【0035】
本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、吸水性賦形剤は、セルロース系賦形剤又は薬学的に許容されるそれらの塩;カオリナイト;タルク;パリゴルスカイト;海泡石;コロイド状二酸化ケイ素;及びスメクタイト(それらのなかで、モンモリロナイト、サポナイト、及びヘクトライトが最も広く使用される種である)から選択される。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、吸水性賦形剤は、セルロース系賦形剤である。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、吸水性賦形剤は、セルロースエーテル誘導体(アルキル(例えば、C1~10アルキル)エーテル、ヒドロキシアルキル(例えば、HO-(C1~10)アルキル)エーテル、若しくはカルボキシルアルキル(例えば、OH(O)C-(C1~10)アルキル-エーテル、又は薬学的に許容されるそれらの塩等)、セルロースエステル(セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)誘導体等)、又はそれらの混合物(即ち、1種若しくは複数のエーテル誘導体と1種若しくは複数のエーテル誘導体、1種若しくは複数のエーテル誘導体と1種若しくは複数のエステル誘導体、又は1種若しくは複数のエステル誘導体と1種若しくは複数のエステル誘導体)である。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、セルロース系賦形剤は:メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶セルロース(MCC)から選択される。一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、吸水性賦形剤は、エーテルセルロース誘導体である。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、吸水
性賦形剤はMCCである。本発明の第1の態様の組成物の別の実施形態において、任意選択で、上で提供された任意の実施形態との組合せで、それは糞便微生物叢及びMCCを含む。
【0036】
本明細書において使用する用語「薬学的に許容される塩」は、深い医学的判断の範囲内で、ヒト及び下等動物の組織と接触して、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等なしで使用するために適当な、及び妥当な利益/リスク比で釣り合うこれらの塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。薬学的に許容される、無毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸、若しくは酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸等の有機酸とで形成されるか又はイオン交換等の当技術分野で使用される他の方法を使用することによるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトネート、グリセロホスフェート、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオネート、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオ酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。適当な塩基から誘導される塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアンモニウムを含む。代表的アルカリ又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。更なる薬学的に許容される塩は、適当な場合には、無毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、並びにハロゲン化物、ヒドロキシド、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成されるアミンカチオンを含む。
【0037】
本発明の医薬組成物は、30%までの含水量によって特徴づけられる。本発明の第1の態様の一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、含水量は、組成物の合計質量に対して1から30%、5から30%又は9から30%である。或いは、本発明の第1の態様の医薬組成物は、組成物の合計質量に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30%の含水量を有する。
【0038】
本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、固体経口医薬組成物は、組成物の合計質量に対して1から30%、5から30%又は9から30%の含水量を含み、吸水性賦形剤は、セルロース系賦形剤又は薬学的に許容されるそれらの塩;カオリナイト;タルク;パリゴルスカイト;海泡石;コロイド状二酸化ケイ素;及びスメクタイト(それらのなかで、モンモリロナイト、サポナイト、及びヘクトライトが最も広く使用される種である)から選択される。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、固体経口医薬組成物は、組成物の合計質量に対して1から30%、5から30%又は9から30%の含水量を含み、吸水性賦形剤はセルロース系賦形剤である。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、固体経口医薬組成物は、組成物の合計質量に対して1から30%、5から30%又は9から30%の含水量を含み、吸水性賦形剤は、セルロースエーテル誘導体(アルキル(例えばC1~10アルキル)エーテル、ヒドロキシアルキル(例えば、HO-(C1~10)アルキル)エーテル、若しくはカルボキシルアルキル(例えば、OH(O)C-(C1~10)アルキル-エーテル、又は薬学的に許容されるそれらの塩等)、セルロースエステル(セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)誘導体等)、又はそれらの混合物(即ち、1種若しくは複数のエーテル誘導体と1種若しくは複数のエーテル誘導体、1種若しくは複数のエーテル誘導体と1種若しくは複数のエステル誘導体、又は1種若しくは複数のエステル誘導体と1種若しくは複数のエステル誘導体)である。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、固体経口医薬組成物は、組成物の合計質量に対して1から30%、5から30%又は9から30%の含水量を含み、セルロース系賦形剤は:メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶セルロース(MCC)から選択される。一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、固体経口医薬組成物は、組成物の合計質量に対して1から30%、5から30%又は9から30%の含水量を含み、吸水性賦形剤は、エーテルセルロース誘導体である。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、吸水性賦形剤はMCCである。本発明の第1の態様の組成物の別の実施形態において、任意選択で、上で提供された任意の実施形態との組合せで、固体経口医薬組成物は、組成物の合計質量に対して1から30%、5から30%又は9から30%の含水量を含み、糞便微生物叢及びMCCを更に含む。
【0039】
含水量は、欧州薬局方9.4、2.5.12.節、「水:半微量定量]、5107頁に従って決定され、それは、適当な無水媒体中において十分な緩衝能力を有する塩基の存在下における水と二酸化イオウ及びヨウ素との反応に基づく。測定は、滴定容器と2本の同一の白金電極からなる装置で行われる。
【0040】
本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は、1種又は複数の追加の薬学的に又は獣医学的に許容される賦形剤を含む。
【0041】
「薬学的に又は獣医学的に許容される賦形剤又は担体」という表現は、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。各成分は、医薬組成物の他の成分と適合性であるという意味で、薬学的に許容されなければならない。それは、ヒト及び非ヒト動物の組織又は器官と接触して過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性又は他の問題若しくは合併症がなく使用するために適当であり、また、妥当な利益/リスク比で釣り合っていなければならない。適当な薬学的に許容される賦形剤の例は、潤滑剤、凍結保護物質等である。任意の従来の賦形剤媒体は、任意の望ましくない生物学的効果を生ずるか又はそうでなくても該医薬組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用すること等により、物質又はその誘導体と非適合性でない限り、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0042】
本発明の第1の態様の組成物の一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、それは、凍結保護物質、潤滑剤、及びそれらの組合せから選択される1種又は複数の薬学的に許容される賦形剤を更に含む。
【0043】
該組成物は、少なくとも1種の凍結保護物質を含むことができる。使用することができる凍結保護物質の例は、グリセリン、炭水化物、水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、リボフラビン、L-システイン、及びそれらの薬学的に許容される塩又は組合せである。本発明の第1の態様の組成物の一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は、凍結保護物質を含む。本発明の第1の態様の組成物の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物はグリセリンを含む。
【0044】
本発明の第1の態様の組成物の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、それは、凍結保護物質及び潤滑剤を含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は、グリセリン及び潤滑剤を更に含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は、凍結保護物質及びステアリン酸塩を更に含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は、グリセリン及びステアリン酸塩を更に含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は、グリセリン及びステアリン酸マグネシウムを更に含む。
【0045】
本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は:糞便微生物叢、セルロース誘導体、ステアリン酸塩、及び凍結保護物質を含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は:糞便微生物叢、セルロースエーテル誘導体、ステアリン酸塩、及びグリセリンを含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は:糞便微生物叢、MCC、ステアリン酸塩、及びグリセリンを含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は:糞便微生物叢、MCC、ステアリン酸塩、及びグリセリンを含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は:糞便微生物叢、セルロースエーテル誘導体、ステアリン酸マグネシウム、及びグリセリンを含む。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は:糞便微生物叢、MCC、ステアリン酸マグネシウム、及びグリセリンを含む。
【0046】
本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、経口固体医薬組成物は、カプセル、即ち、硬質カプセル又は軟質カプセル等の単一カプセルである。本発明において、「単一カプセル」という表現は、経口医薬組成物が微生物叢及び吸着剤を含む唯一のカプセルからなることを意味する。それ故、この実施形態(即ち、「単一カプセル」)は、微生物叢及び吸着剤を含むカプセルが別のカプセル内にある可能性を包含しない。本発明の第1の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、固体経口医薬組成物は、微生物叢及び吸着剤で作製された単一カプセルからなる。
【0047】
本明細書において使用する用語「カプセル」は、ヒト又は動物に経口投与することを意図される従来の硬質カプセルを指す。本発明のカプセルは、構造的に硬質カプセルの従来定義からはずれない。本明細書で「カプセル」が言及される場合、他のように指示されていない限り、それは、外部若しくは内部カプセル又は内部カプセルを含む外部カプセルを指す。一般的に、用語「カプセル」は、空の及び満たされたカプセルの両方を指すが、それに対して「シェル」は、空のカプセルを特定して指す。
【0048】
当業者には知られているように、通常のカプセル又は長いカプセルとして提供される市販のカプセルは、長いカプセルについては数及び添え字elによって命名される。
【0049】
更なる利点は、本発明のカプセルの製造が、生存可能な細菌の著しい損失を導き得る乾燥を必要としないで:混合物をカプセル中に(当業者にとって任意の日常的技法により)充填するだけであることである。
【0050】
本発明の第1の態様の一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は腸溶性カプセルである。用語「腸溶性カプセル」とは、腸溶性の性質を有するそのようなカプセルを意味する。「腸溶性の性質」とは、カプセルがアルカリ性の腸分泌物に可溶であるか又はそれによって崩壊され得るが、胃の酸分泌では溶液に実質的に不溶又は耐性であることを意味する。本発明により提供される混合物を充填する市販の腸溶性カプセルもある。
【0051】
本発明の第1の態様の下で提供される全ての実施形態は、第2の、第3の、第4の及び第5の態様の実施形態でもある。
【0052】
本発明は、第2の態様で、本発明の第1の態様の組成物を調製する方法を提供する。
【0053】
一実施形態において、該方法は、室温及び室内相対湿度の条件で実施される。
【0054】
用語「室温」は、加熱又は冷却されない、15から25℃の温度を指す。
【0055】
用語「室内相対湿度の条件」とは、方法が、空気の相対湿度で実施されることを意味する。一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、相対湿度は50から80%である。一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、相対湿度は60%±5%である。
【0056】
本発明の第2の態様の一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は、体積の単位で表される生きている微生物の量に対して質量で過剰の賦形剤を混合する工程を含む。本発明の組成物が2種以上の吸水性賦形剤を含む場合、「質量で過剰の賦形剤」という表現は、吸水性賦形剤の合計量が、生きている微生物の体積に対して過剰にあることを意味する。
【0057】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、体積の単位で表される生きている微生物の量と質量の単位で表される吸水性賦形剤の量との間の比は、0.1:1から0.99:1、好ましくは0.70:1から0.95:1に含まれる。本発明の組成物が2種以上の吸水性賦形剤を含む場合、「吸水性賦形剤の量」という表現は、これらの賦形剤の合計量を指す。
【0058】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、組成物は、潤滑剤を含み、吸水性剤と潤滑剤との間の質量比は、30:1から70:1、好ましくは40:1から60:1、より好ましくは50:1に含まれる。
【0059】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、生きている微生物は糞便微生物叢抽出物である。
【0060】
糞便微生物叢抽出物は: (a)適当なドナーから得られた糞便材料を提供する工程;及び(b)糞便材料を、細菌、古細菌、菌類、及びウイルスの均質化された組成物が、糞便材料から生成されるような条件下で、少なくとも1つの処理工程にかける工程を含む方法によって調製することができる。
【0061】
糞便材料は、例えば、試料を生成した後直ちに酸素が低下した生理食塩水溶液でそれを覆い、嫌気性チャンバーを使用するか、例えばAr、N2又はCO2でフラッシュするかのいずれかで、嫌気性環境中で処理の大部分を行うことにより、酸素から保護されるべきである。
【0062】
本発明の第2の態様の一実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、糞便及び生理食塩水が均質化されて、濾過されて遠心分離される。上清を捨てて、ペレットを、凍結保護物質としてのグリセリンと混合して糞便微生物叢抽出物を提供する。
【0063】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は:
(a)糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程
を含む。
【0064】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットを凍結保護物質と混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程
を含む。
【0065】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)凍結保護物質を添加する工程、及び(a.4.)遠心分離する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程
を含む。
【0066】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水と凍結保護物質(グリセリン等)で均質化する工程であって、溶液の合計体積に対して凍結保護物質の体積%は、5~15%又は5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15%(v/v)である、工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)凍結保護物質を、溶液の合計体積に対して体積%で、10から50%、10から40%、15から35%又は15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34若しくは35%(v/v)添加する工程、及び(a.4)遠心分離する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;並びに(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程
を含む。
【0067】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水と凍結保護物質(グリセリン等)で均質化する工程であって、溶液の合計体積に対する凍結保護物質の体積%は10%(v/v)である、工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)凍結保護物質を、溶液の合計体積に対して体積%で、20%(v/v)添加する工程、及び(a.4)遠心分離する工程により糞便微生物叢抽出物を得る工程;並びに(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程
を含む。
【0068】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットをグリセリンと混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種の吸水性賦形剤と混合する工程
を含む。
【0069】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は、カプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程;
(c)1種又は複数の更なる薬学的に許容される賦形剤を添加する工程;及び
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0070】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法は、カプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットを凍結保護物質と混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種の吸水性賦形剤と混合する工程;
(c)1種又は複数の薬学的に許容される賦形剤を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0071】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は;
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットを凍結保護物質と混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程;
(c)潤滑剤を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0072】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットを凍結保護物質と混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義されたセルロース系賦形剤と混合する工程;
(c)1種又は複数の更なる薬学的に又は獣医学的に許容される賦形剤を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0073】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットを凍結保護物質と混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で定義されたセルロース誘導体と混合する工程;
(c)潤滑剤を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0074】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットを凍結保護物質と混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物をMCCと混合する工程;
(c)ステアリン酸塩を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0075】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)遠心分離する工程、及び(a.4)ペレットを凍結保護物質と混合する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物をMCCと混合する工程であって、MCCの量は、質量の単位で表され、体積の単位で表される糞便微生物叢抽出物の量に対して、過剰に添加される、工程;
(c)ステアリン酸塩を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0076】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水で均質化する工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)凍結保護物質を添加する工程、(a.4.)遠心分離する工程、及び(a.5.)抽出する工程により糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程;
(c)潤滑剤等の1種又は複数の更なる薬学的に許容される賦形剤を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0077】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水と凍結保護物質(グリセリン等)で均質化する工程であって、溶液の合計体積に対する凍結保護物質の体積%は、5~15%又は5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15%(v/v)である、工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)凍結保護物質を、溶液の合計体積に対して体積%で、10から50%、10から40%、15から35%又は15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34若しくは35%(v/v)添加する工程、(a.4)遠心分離する工程、及び(a.5.)抽出物を単離する工程により糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程;
(c)潤滑剤等の1種又は複数の更なる薬学的に許容される賦形剤を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0078】
本発明の第2の態様の別の実施形態において、任意選択で、上で又は下で提供された任意の実施形態との組合せで、該方法はカプセルを得るために実施され、該方法は:
(a)(a.1)糞便を生理食塩水と凍結保護物質(グリセリン等)で均質化する工程であって、溶液の合計体積に対する凍結保護物質の体積%は10%(v/v)である、工程、(a.2)溶液を濾過する工程、(a.3)凍結保護物質を、溶液の合計体積に対して体積%で、20%(v/v)添加する工程、及び(a.4)遠心分離する工程、及び(a.5.)抽出物を単離する工程により、糞便微生物叢抽出物を得る工程;
(b)糞便微生物叢抽出物を上で提供された任意の実施形態で定義された1種又は複数の吸水性賦形剤と混合する工程;
(c)潤滑剤等の1種又は複数の更なる薬学的に許容される賦形剤を添加する工程;並びに
(d)生じた混合物をカプセル化する工程
を含む。
【0079】
本発明の固体組成物は、ヒトレシピエント等の任意の対象の胃腸管に、有効量の微生物を含む組成物を対象に経口投与することにより、住まわせるために有用である。疾患、障害又は状態の重症度及び現在の状態に依存して、レシピエントは、患者と考えられてもよく、用語「それらを必要とする対象」は、両方を含む。特に断りのない限り、全て3通りの用語は、1個又は複数の本発明のカプセルを摂取するヒト又は動物を指し示すことが意味される。
【0080】
本明細書において使用する用語「対象」は、家畜及び他の農業動物(ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ及びニワトリ等)、興行動物(競走馬等)、仲間の動物(ネコ及びイヌ等)、実験室の試験動物並びにヒトを含むが、これらに限定されない任意の哺乳類を指す。典型的には、対象はヒトである。
【0081】
組成物を含むカプセルは、細菌叢異常(身体表面又は内部における微生物の平衡失調又は不適応)と関連する疾患の症状を処置する、予防する、遅延させる又は低下させることができる。より特定して、本発明のカプセルは、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)、サルモネラ種(Salmonella spp.)、腸管病原性大腸菌(enteropathogenic E coli)、多剤耐性細菌、例えば、クレブシエラ(Klebsiella)、及び大腸菌(E. coli)、カルバペネム耐性腸内細菌科(Enterobacteriaceae)(CRE)、拡張されたスペクトルのベータ-ラクタム耐性腸球菌(Enterococci)(ESBL)、並びにバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)により引き起こされる感染を予防又は処置するために有用であり得る。
【0082】
幾つかの実施形態において、対象は、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病、大腸炎(例えば、潰瘍性大腸炎又は顕微鏡的大腸炎)、若しくは回腸嚢炎を有するか;又は過敏性腸症候群もしくは機能性消化不良を有する。幾つかの実施形態において、対象は、肝疾患、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝性脳障害、第一級硬化性胆管炎(PSC)、自己免疫肝炎、又は薬物誘発肝傷害を有する。幾つかの実施形態において、対象は、セリアック病又は好酸球性食道炎等の自己免疫疾患を有する。幾つかの実施形態において、対象は、結直腸癌/ポリープ、食道癌又はバレット食道等のGIの過剰増殖疾患又は悪性腫瘍を有する。幾つかの実施形態において、対象は、代謝性症候群、1型若しくは2型糖尿病、肥満、栄養失調又は低栄養等の代謝性疾患、或いは心臓血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)を有する。他の実施形態では、対象は、リウマチ学的疾患、例えば、炎症性関節炎(関節リウマチ又はRA、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、IBDスポンディロウアースロパシィ)、線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は自己免疫及び結合組織障害(例えば、全身性エリテマトーデス、強皮症、及びシェーグレン症候群)を有する。幾つかの実施形態において、対象は、血管炎(例えば、多発性筋痛リウマチ性/巨細胞動脈炎又は結節性多発動脈炎)を有する。幾つかの実施形態において、対象は、精神医学的障害、例えば、気分障害(例えば、うつ病又は双極性障害)、不安障害(例えば、一般的不安障害、心的外傷後ストレス障害)、又は発育上の障害(例えば、自閉症スペクトル障害、注意欠陥活動亢進障害)を有する。幾つかの実施形態において、対象は、結腸ポリープ、嚢胞、憩室疾患、便秘、腸閉塞、吸収不良症候群、粘膜の潰瘍化、及び下痢のうち1種又は複数を有する。本発明のカプセルで処置され得る疾患又は障害の他の例は、アトピー性皮膚炎、鼻炎及び上部気道感染(URTI)である。
【0083】
慢性疾患又は障害を有する対象者の体内微生物叢は、そのヒト自身の固有の異常な体内微生物叢に逆戻りする傾向があるので、持続する臨床的治癒を確実にするためには、微生物群落の繰り返される投与が必要とされ得る。したがって、微生物を含む本発明の組成物が、維持用量として送達され得る。微生物の投与量、投与の頻度、投与間隔及び長さを含む維持投薬レジメンは、対象の疾患及び生態に依存して変化してもよい。
【0084】
例えば、慢性の医学的疾患の治療は、導入療法のために約5から約50カプセルの投与量、例えば、1回の投与当たり約5から約40カプセルを必要とし得る。例えば、組成物は、1回の投与当たり約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、又は約50カプセルの投与量で投与されることもある。対象は1回又は複数回処置されることもある。維持治療のために、カプセルが、毎日、又は週に2から5回、又は月に1から10回投与されることもある。維持治療は数週間から数カ月続行されることもある。例えば、維持治療は約2から約6週間(例えば、約1カ月)続行されることもあり、又は約2から約6カ月間(例えば、約2から4カ月)若しくは更にそれより長く続行されることもある。「投与」とは1日のコースで摂取されるカプセルを指す。
【0085】
明細書の記載及び請求項を通して「を含む(comprise)」という語及びその語の変形は、他の技術的特徴、添加剤、成分、又は工程を排除することは意図しない。更に、「を含む(comprise)」という語は、「からなる(consisting of)」の場合を包含する。本発明の追加の目的、利点及び特徴は、記載を吟味すれば当業者に明らかになるであろう、又は本発明の実施により学ぶこともできる。以下の実施例は、例示のために提供されるもので、それらは本発明を限定することは意図されない。更に、本発明は、本明細書に記載される特定の及び好ましい実施形態の全ての可能な組合せを包含する。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
新鮮な冷蔵された糞便のプール(300g)を、0.9%NaCl 1:10を加えたストマッカー袋に移した。それを、ストマッカー400循環装置(Seward Ltd.社、サセックス、英国)中に1分間230rpmで導入してスラリーを得た。混合物を容量が50mlのラベル付きのプラスチックチューブに移して、10%の純粋のグリセリン(99%)を添加した後、-80℃で凍結した。
【0087】
処理を続けるために、試料を終夜4℃で解凍して、20%のグリセリン(99%)を添加した。次に、混合物を400Gで20分間4℃で遠心分離して(Heraeus Megafuge 16R遠心分離機、Thermo Fisher Scientific Inc.社、マサチューセッツ州、米国)、試料の屑を除去した。上清を、可能な残骸を排除するために従来の篩いで予め濾過されて高抵抗チューブに移し、全体積を10000gで30分間4℃で遠心分離して(Sorvall Evolution RC遠心分離機、Thermo Fisher Scientific Inc.社、マサチューセッツ州、米国)、微生物ペレットを得た。上清をデカンテーションにより除去して、如何なる残存する上清も避けて、ペレットをスパチュラで回収した。
【0088】
凍結乾燥(比較の目的)及び吸着実験(本発明)のためにペレットを2つの部分に分離して、各部分で3つの同一のアリコートでそれぞれ50g相当の糞便を含有する3連の実験を行った。
【0089】
A.本発明によるカプセルの調製
9.3mLのアリコートを10gの微結晶セルロース(Vivapur(登録商標)-101)と混合し、このようにして吸着物を得た。吸着物の生成は、アリコートがその外見を液体の感じから「鋸屑タイプ」の感じに変化させるので認識することができる。カプセル化を助ける目的で、200mgのステアリン酸マグネシウムを吸着物に更に添加した。
【0090】
吸着物が得られたらカプセル化の前に、生成物を終夜冷蔵庫中で4℃に保った。生成物はシリカゲルの斑点で取り囲まれて混合物の周囲の冷蔵庫の湿度を低下させ/排除した。
【0091】
最終的に、このようにして得られた吸着物を、半自動カプセル化装置 FagronLAB(商標)FG(Fagron Iberica社、バルセロナ、スペイン)でカプセル化して、サイズn°00の酸耐性カプセルにした。
【0092】
B.微生物叢が凍結乾燥されたカプセルの調製(比較の目的)
凍結乾燥手順は、Telstar LIOLAB3を使用して、メーカーの使用説明書に従って実施した。
【0093】
このようにして得られた凍結乾燥物は、半自動カプセル化装置 FagronLAB(商標)FG(Fagron Iberica社、バルセロナ、スペイン)でカプセル化して、サイズn°00の酸耐性カプセルにした。
【0094】
C.細菌の生存能力の分析
初期プールから、各反復実験からのペレット及びカプセルの細菌の量及び生存能力を、0、1及び3カ月の時点で試料を4℃に保った後、フローサイトメトリーのためのLIVE/DEAD(商標)Baclight(商標)Bacterial Viability and Countingキット(Thermo Fisher Scientific Inc.社、マサチューセッツ州、米国)及び5%ヒツジ血液が添加されたColumbia Agar(Becton Dickinson GmbH社、ドイツ)における定量的細菌の培養を使用して分析した。使用された細胞計算器はBD FACSCantoII(BD Biosciences社、カリフォルニア州、米国)であり、ソフトウェアはBD FACSDiva 8.0であり、メーカーの説明書に従って使用した。Syto9:ヨウ化プロピジウムの比を、最終の体積250μlの試料で0.1μlを使用して1:1で最適化した。分析されるべき試料の最適希釈は1:10000であることが見出された。
【0095】
フローサイトメトリー分析のために、カプセル及び非カプセル化された吸着物及び凍結乾燥物の試験アリコートを、上で説明したように0.9%のNaCl溶液で1:10000に希釈して、ボルテックスで均質液体を得るまで激しく撹拌した。0.9%のNaCl中の希釈を実施して10-4(1:10000)の細菌の希釈を達成した。その希釈では、1:1比率でSYTO9とヨウ化プロピジウム(250マイクロリットルの最終の体積で、0.1μlのSyto9及び0.1μlのヨウ化プロピジウム)、及び10μlのミクロスフェア(1/2に希釈された)がキットに含まれた。結果が得られたら、生存細菌の濃度をプロトコルの方程式に従って決定した。
【0096】
【0097】
D.安定性及び形態学的分析
可能な形態学的変化並びに上で説明したように調製されて、4℃でシリカゲルの添加又は無添加で保たれた両方の混合物の凍結乾燥物及び本発明のカプセルの湿度を、Karl-Fischer方法(Metrohm 899電量計)を使用して、薬局方9.4.、2.5.12.節に従って決定した。湿度は、3個のカプセルで、Hydranal-クーロマットAGを反応性物として使用して、各条件について個別に試験した。各カプセルの含有率から、100mgをアリコートとして取って、撹拌パラメーター速度=10で分析した。
【0098】
結果
50gの糞便を表す各アリコートから凍結乾燥物の3個のカプセルが得られたが、それに対して吸着物カプセルでは、14と17個の間のカプセルが得られた。研究の3カ月の間に、任意のカプセルにおける形態学的変化(カプセルの長さ又は幅に関して)も臭気もないことが確認された。
【0099】
【0100】
見てわかるように、本発明のカプセルは、4℃で3カ月後に安定であった。含水量の特徴づけが実施されたときに、本発明のカプセルは非常に高い含水量(下のTable 2(表2)を参照されたい)を含むことが見出された。そのように高い含有率は細胞の生存能力に対して不利に影響するはずである(事実、当業者は顕著な指数関数的細胞増殖を予想したであろう)。
【0101】
それに反して、細菌の集団は、吸水性賦形剤の含有のおかげで、試験の開始時と実質的に同じに維持された。
【0102】
本発明者らは、ステアリン酸マグネシウムの添加を省いた以外は同じ工程を繰り返した。吸水性賦形剤により、同じ「保護効果」が微生物叢に提供されることも結論された。
【0103】
【0104】
(実施例2)
材料/方法
4℃で6カ月までの生存細菌の濃度及び微生物組成物を経時的に分析するために、2名の異なるボランティアから、50gの糞便から2つの試料(M1、及びM2と命名した)が得られた。
【0105】
各試料を、以前に記載したプロトコルに従って別々に処理して、吸着物カプセルが得られた:
(a)Vivapur-101(即ち、微結晶セルロース)だけを吸着剤として添加する工程による(試料M1V及びM2V);及び
(b)上で開示されたように、Vivapur-101をステアリン酸マグネシウムと組み合わせて添加する工程による(試料M1VS及びM2VS)。
【0106】
アリコートの体積(「mL」で表される)と吸着剤及びステアリン酸マグネシウムの量(「g」で表される)との間の比は、上の実施例1で示されたものと実質的に同じであった。
【0107】
元の試料から、処理及び遠心分離後に(ペレット)賦形剤の2通りの組合せで吸着物が得られたら(M1V、M2V、M1VS、及びM2VS)、フローサイトメトリーによる細菌の濃度及び16S配列決定によるゲノムの分析が試験された。
【0108】
フローサイトメトリーのためには、LIVE/DEAD BACLIGHT STAINING AND COUNTINGキット(ThermoFisher社)を使用して、ゲノムの分析のためには、DNAを、PureLinkTM Microbiome DNA Purificationキット(Invitrogen社)を使用して抽出して、16S rRNAからV3~V4領域の情報を、KAPA HiFi HotSartポリメラーゼ(Roche社)を使用するMiseqプラットホーム(Illumina社)を用いて、配列決定した。得られた配列決定データを用いて、分類学的組成を決定し、微生物組成物に関して生成物安定性を確認するために、試料のアルファ多様性も計算した。
【0109】
アルファ多様性とは、各試料における種の豊富さ及び多様性を指す。この決定のために、Faith多様性指数又は系統発生論の多様性(PD)が、qiime2プラットホーム(www.qiime2)を使用するクラドグラムにおけるそれらの間の系統発生論の距離を含む、試料で検出された異なる種の数として計算される。多様性分析は、生成物の製造及び貯蔵中に細菌の多様性の損失があったかどうかを観察するために有用であった。
【0110】
統計分析は、R 3.6.2.バージョンを使用した結果間の差を検定するために、対応のあるt検定でp<0.05が統計的に有意であるとみなして実施して、グラフは、GraphPad Prism 8.02を用いて得られた。
【0111】
結果
細菌の濃度分析
【0112】
【0113】
結果は、MV群では、t=0(p=0.125)及びt=6(p=0.029)でカプセル間に有意の差はないことを示した。
【0114】
これらの結果は、細菌の生存能力に対して4℃で6カ月まで驚異的な安定化効果を提供する主要な原因は糞便微生物叢と混合された吸着剤であることの確証となる。
【0115】
ゲノムの分析
本発明のカプセルが経時的に維持される多数の生存可能な細胞を含むことが確認されたら、次の工程は、ドナー試料からの元の細菌の多様性も維持されたかどうかを確認することであった。このことも、より長期に細菌の多様性が維持されるほど、より大きい効力があり得るため関連性がある。
【0116】
【0117】
これらの結果から、カプセルが吸着剤を用いて剤形化された場合(M1V)には、元の試料と6カ月におけるカプセルとの間に有意の差はなかったと結論することができる(p=0.922)。そのことは、吸着剤の含有が、元の微生物叢の完全な多様性を守って実質的に維持するために適当な環境を提供することを意味する。
【0118】
Table 4(表4)は、本発明によるカプセル中における更なる賦形剤の含有は、吸着剤により提供される挙動を変化させず、元の試料と6カ月におけるカプセル(M1VS及びM2VS)との間で有意の差は検出されなかったことも示す。これは、吸着剤により提供される強い有益な安定化効果を示し、その理由は、カプセルの最適化された製造のために他の賦形剤を組み込んでさえ、そのような安定化効果は不利に影響されず、出発時の微生物叢の試料の元の多様性が実質的に保持されるからである。
【0119】
【国際調査報告】