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特表2022-529058異常組織を治療するための器械、及びシステム、
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】異常組織を治療するための器械、及びシステム、
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
A61B18/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561898
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020028844
(87)【国際公開番号】W WO2020215007
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/835,846
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】520208421
【氏名又は名称】ギャラリー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グレイマン,セス エス.
(72)【発明者】
【氏名】マーサー,ニコラス エス.
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,ティモシー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトライヒャー,ジョナサン アール.
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ケビン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】マングアール アルベロ,ルイス エル.
(72)【発明者】
【氏名】ニール,ロバート イー.
(72)【発明者】
【氏名】クリムスキー,ウィリアム サンフォード
(72)【発明者】
【氏名】キャステルヴィ,クイム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ01
4C160JJ11
4C160KK03
4C160KK04
4C160MM32
(57)【要約】
機器、システム、及び方法は、標的組織部位へ特殊なパルス電界(PEF)エネルギーを送達させることによって、損傷組織、病変組織、異常組織、閉塞性組織、癌組織又は望ましくない組織(例えば腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位など)を治療するために提供される。エネルギーは、非熱的(すなわち熱アブレーションを引き起こす閾値を下回る)となるように送達される。それゆえ、細胞外マトリックスが存在するとき、細胞外マトリックスは温存され、且つ標的組織は、血管及びリンパ管を含むその構造アーキテクチャを維持する。それゆえ、感受性構造、例えば生体管腔、血管、神経などが温存され、これは、組織の完全性及び機能性を維持するのに重要である。エネルギーは、特に経皮的なアプローチではアクセスできないと以前は考えられていた箇所にある、全身の標的組織に対する極めて良好なアクセスに好都合に設計されたシステム及び機器を使用して送達される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の望ましくない組織細胞の塊を治療するためのシステムであって、
近位端部及び遠位端部を有するシャフトと、前記シャフトの前記遠位端部の近くに配置された少なくとも1つのエネルギー送達本体とを含む、器械であって、前記シャフトの前記遠位端部が、前記患者の前記体内の管腔構造内を進められ、及び前記少なくとも1つのエネルギー送達本体が前記望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるように位置決めされるように構成されている、器械と、
前記少なくとも1つのエネルギー送達本体と電気通信する発生器であって、前記望ましくない組織細胞の塊の少なくとも一部分を破壊するように、前記望ましくない組織細胞の塊へ送達することができる前記非熱的エネルギーの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムを含む、発生器と、
を含む、システム。
【請求項2】
前記望ましくない組織細胞の塊は、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記望ましくない組織細胞の塊の前記少なくとも一部分は、前記管腔構造の壁内に位置する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、前記望ましくない組織細胞の塊の少なくとも一部分を破壊するように、前記望ましくない組織細胞の塊へ送ることができる前記非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、前記管腔構造の開存性は維持するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記望ましくない組織細胞の塊の前記少なくとも一部分は前記管腔構造の壁の外部に位置する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、前記望ましくない組織細胞の塊の少なくとも一部分を破壊するように、前記望ましくない組織細胞の塊へ送ることができる前記非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、前記非熱的エネルギーが通過する前記管腔構造を支持するコラーゲン構造は維持するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記望ましくない組織細胞の塊の前記少なくとも一部分は前記管腔構造の管腔内に位置する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー送達本体は、前記管腔構造内で拡張されるように構成された拡張可能な構造を含んで、前記拡張可能な構造が、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記拡張可能な構造は、バスケット形状の電極を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記エネルギー送達本体は、前記管腔構造の内面に接して位置決めされるように構成されたパドルを含んで、前記パドルが、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのエネルギー送達本体は、前記非熱的エネルギーを、前記管腔構造の壁の外側から深さ3cmまで送達できる、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項12】
前記望ましくない組織細胞の塊の前記少なくとも一部分は前記管腔構造の壁の外部に位置し、及び前記エネルギー送達本体は、前記管腔構造の壁に侵入し及び前記非熱的エネルギーを前記望ましくない組織細胞の塊まで送達するように構成されたプローブを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項13】
前記プローブは、前記シャフトの前記遠位端部から進むことができる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プローブはプローブチップを含み、前記プローブチップは、前記シャフトの前記遠位端部から8cmまで進められることができる、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記シャフトの前記遠位端部は、前記管腔構造の前記壁を越えて20cmまで進められるように構成されている、請求項12~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できる、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも2つのプローブ素子は前記非熱的エネルギーを送達でき、及び前記少なくとも2つのプローブ素子の少なくとも一方は、送達用の前記非熱的エネルギーを受け取るように独立して選択可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも2つのプローブ素子のそれぞれは、前記非熱的エネルギーを異なる量で同時に送達できる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プローブは複数のプローブ素子を含み、各プローブ素子は、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できる、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、前記シャフトから個々に進むことができる、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記プローブは、前記シャフトの前記近位端部から前記シャフトの前記遠位端部まで延在する導電性チューブを含む、請求項12~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記プローブを前記発生器に電気的に接続するように構成されたエネルギープラグをさらに含み、前記エネルギープラグは、前記導電性チューブに係合するように構成された導電線を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記プローブは、前記シャフトの前記遠位端部の近くに配置されたプローブチップと、前記シャフトの前記近位端部から前記プローブチップまで延在する導電線とを含む、請求項12~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記プローブは、プローブチップと、前記プローブチップを越えて延在するように構成された導電性素子とを含み、前記導電性素子は、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのエネルギー送達本体は、前記非熱的エネルギーを、前記患者の前記体外に位置決めされたリターン電極へ伝えて、前記非熱的エネルギーを、それらの間に配置された前記望ましくない組織細胞の塊へ送達するように構成されている、請求項1~24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記非熱的エネルギーは、パケットで送られる一連の二相パルスを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記シャフトの前記遠位端部は、内視鏡を通して進められるように構成されている、請求項1~26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記管腔構造は、血管、食道、胃、膵管、胆管、小腸、大腸、結腸、直腸、膀胱、尿道、尿収集導管、子宮、膣、ファローピウス管、尿管、尿細管、脊柱管、脊髄、気道、鼻腔、口、心腔、心内腔、腎内腔、及び臓器内腔を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記シャフトは、前記望ましくない組織細胞の塊へ流体を送給するように構成された送給ルーメンをさらに含む、請求項1~28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
患者の体内の望ましくない組織細胞の塊を治療するためのシステムであって、
近位端部及び遠位端部を有するシャフトと、前記シャフトの前記遠位端部の近くに配置された少なくとも1つのエネルギー送達本体とを含む、器械であって、前記シャフトの前記遠位端部は、前記体内へ前記塊の近くへと進められて、前記少なくとも1つのエネルギー送達本体が、前記望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるようにするように構成されている、器械と、
前記少なくとも1つのエネルギー送達本体がモノポーラ式に機能するように、前記少なくとも1つのエネルギー送達本体からある距離に位置決めできるリターン電極、及び
前記少なくとも1つのエネルギー送達本体と電気通信する発生器であって、前記望ましくない組織細胞の塊の少なくとも一部分を破壊するように、前記エネルギー送達本体から前記リターン電極まで送ることができる前記非熱的エネルギーの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムを含む、発生器と、
を含む、システム。
【請求項31】
前記望ましくない組織細胞の塊は、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記望ましくない組織細胞の塊の前記少なくとも一部分は管腔構造の壁内に位置する、請求項30又は31に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、前記望ましくない組織細胞の塊の少なくとも一部分を破壊するように、前記望ましくない組織細胞の塊へ送ることができる前記非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、前記管腔構造の開存性は維持するように構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記望ましくない組織細胞の塊の前記少なくとも一部分は管腔構造の壁の近くに位置する、請求項30又は31に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、前記望ましくない組織細胞の塊の少なくとも一部分を破壊するように、前記望ましくない組織細胞の塊へ送ることができる前記非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、前記管腔構造を支持するコラーゲン構造は維持するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記望ましくない組織細胞の塊の前記少なくとも一部分は管腔構造の管腔内に位置する、請求項30又は31に記載のシステム。
【請求項37】
前記エネルギー送達本体は、拡張されるように構成された拡張可能な構造を含んで、前記拡張可能な構造が、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項30~36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記拡張可能な構造は、バスケット形状の電極を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記エネルギー送達本体は、前記望ましくない組織細胞の塊の近くに位置決めされるように構成されたパドルを含んで、前記パドルが、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項30~36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記少なくとも1つのエネルギー送達本体は、前記非熱的エネルギーを、前記少なくとも1つのエネルギー送達本体の外面から半径3cmまで送達できる、請求項30~39のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記エネルギー送達本体は、組織に侵入し及び前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達するように構成されたプローブを含む、請求項30~36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
前記プローブは、前記シャフトの前記遠位端部から進むことができる、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記プローブはプローブチップを含み、前記プローブチップは、前記シャフトの前記遠位端部から8cmまで進められることができる、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記シャフトの前記遠位端部は、組織内へ20cmまで進められるように構成されている、請求項41に記載のシステム。
【請求項45】
前記プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できる、請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
少なくとも2つのプローブ素子は前記非熱的エネルギーを送達でき、及び前記少なくとも2つのプローブ素子の少なくとも一方は、送達用の前記非熱的エネルギーを受け取るように独立して選択可能である、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記少なくとも2つのプローブ素子のそれぞれは、前記非熱的エネルギーを異なる量で同時に送達できる、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記プローブは複数のプローブ素子を含み、各プローブ素子は、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達できる、請求項41に記載のシステム。
【請求項49】
少なくとも1つのプローブ素子は、前記シャフトから個々に進むことができる、請求項41に記載のシステム。
【請求項50】
前記プローブは、前記シャフトの前記近位端部から前記シャフトの前記遠位端部まで延在する導電性チューブを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項51】
前記プローブを前記発生器に電気的に接続するように構成されたエネルギープラグをさらに含み、前記エネルギープラグは、前記導電性チューブに係合するように構成された導電線を含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記プローブは、前記シャフトの前記遠位端部の近くに配置されたプローブチップと、前記シャフトの前記近位端部から前記プローブチップまで延在する導電線とを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項53】
前記プローブは、プローブチップと、前記プローブチップを越えて延在するように構成された導電性素子とを含み、前記導電性素子は、前記望ましくない組織細胞の塊へ前記非熱的エネルギーを送達するように構成されている、請求項41に記載のシステム。
【請求項54】
前記非熱的エネルギーは、パケットで送られる一連の二相パルスを含む、請求項30~53のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項55】
前記シャフトの前記遠位端部は、内視鏡を通して進められるように構成されている、請求項30~54のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項56】
前記シャフトの前記遠位端部は、血管、食道、胃、膵管、胆管、小腸、大腸、結腸、直腸、膀胱、尿道、尿収集導管、子宮、膣、ファローピウス管、尿管、尿細管、脊柱管、脊髄、気道、鼻腔、口、心腔、心内腔、腎内腔、及び臓器内腔を含む管腔構造内へ進められるように構成されている、請求項30~55のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項57】
前記シャフトは、前記望ましくない組織細胞の塊へ流体を送給するように構成された送給ルーメンをさらに含む、請求項30~56のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項58】
シャフトは、前記患者の皮膚を通して経皮的に進められるように構成されている、請求項30~57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項59】
経皮針をさらに含み、及び前記シャフトは、前記経皮針を通して進められるように構成されている、請求項30~57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項60】
患者の体内の管腔構造の近くの標的組織へエネルギーを送達するための器械であって、
近位端部及び遠位端部を有するシャフトであって、前記遠位端部は、前記管腔構造内へ進められるように構成されている、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端部から進むことができるプローブチップを有するプローブであって、前記プローブチップは、前記標的組織近くの前記管腔構造の壁に侵入し及び前記標的組織へエネルギーを送達するように、前記標的組織に挿入するように構成されている、プローブと、
を含む、器械。
【請求項61】
前記プローブチップは、前記シャフトの前記遠位端部から8cmまで進められることができる、請求項60に記載の器械。
【請求項62】
前記シャフトの前記遠位端部は、前記管腔構造の前記壁を通して進められるように構成されている、請求項60又は61に記載の器械。
【請求項63】
前記シャフトの前記遠位端部は、前記管腔構造の前記壁を越えて20cmまで進められるように構成されている、請求項62に記載の器械。
【請求項64】
前記プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、前記標的組織へ前記エネルギーを送達できる、請求項60~63のいずれか1項に記載の器械。
【請求項65】
前記器械は、前記シャフトに沿って配置されたエネルギー送達本体を含む、請求項60~64のいずれか1項に記載の器械。
【請求項66】
前記エネルギー送達本体は、ディスク形状の電極を含む、請求項65に記載の器械。
【請求項67】
前記ディスク形状は、その直径が、前記シャフトの長手方向軸に対して実質的に垂直となるように配置される、請求項66に記載の器械。
【請求項68】
前記プローブチップは、前記ディスク形状の前記電極と実質的に同心である、請求項67に記載の器械。
【請求項69】
器械は、前記エネルギー送達本体が前記プローブチップとは異なるエネルギーを送達するように構成されている、請求項65に記載の器械。
【請求項70】
前記シャフトの前記近位端部の近くに配置されたハンドルをさらに含み、前記ハンドルは、パルス波形発生器と電気的に結合して、前記パルス波形発生器からのエネルギーが前記プローブチップへ送達されるようにするように構成されている、請求項60~69のいずれか1項に記載の器械。
【請求項71】
前記シャフトの前記遠位端部は、経皮針を通過するように構成されている、請求項60に記載の器械。
【請求項72】
前記シャフトは、前記患者の皮膚を通して経皮的に進められるように構成されている、請求項60に記載の器械。
【請求項73】
前記標的組織は、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位を含む、請求項60~72のいずれか1項に記載の器械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年4月18日出願の米国仮特許出願第62/835,846号(「Tissue Treatment From Within Luminal Structures」)の優先権を主張し、且つその利益を主張し、その開示全体を本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002] 異常組織は、損傷組織、病変組織、閉塞性組織、癌組織又は望ましくない組織などの様々な異なる形態を取り得る。場合によっては、異常組織は、良性腫瘍や悪性腫瘍などの腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位である。最も厄介なタイプの異常組織の1つは、癌に関係する。
【0003】
[0003] 癌は、異常細胞の制御できない増殖及び広がりによって特徴づけられる疾患群である。広がりが制御されない場合、死に至り得る。癌の原因は完全には理解されていないが、修正可能である多くのもの(例えば、喫煙及び太り過ぎ)及び修正可能でないもの(例えば、遺伝性の遺伝子変異)を含む、疾病の発生を増加させる多数の因子が知られている。これらのリスク因子は、同時に又は順々に、癌増殖を開始させる及び/又は促す働きをする。2020年には180万人を超える新規の癌患者が診断されると予想され、約606,520人のアメリカ人が2020年に癌で死亡すると予想され、これは、1日当たりに換算すると約1,660人の死者となる。癌は、米国において、心疾患に次いで2番目に多い死因である。
【0004】
[0004] 肺癌、肝臓癌及び膵臓癌が、癌の中でも生存率が最も低いものである。肺癌は、大腸癌、乳癌、及び前立腺癌を合わせたものを上回る、癌の主な死亡原因である。全ステージを合わせたものに対する5年生存率の全体的な変化は、長い期間をかけてわずかに改善されたにすぎない:1970年代(約13%)、2010年代(約17.2%)、2019年(約21.7%)。肝臓癌の発症率は1980年から3倍超となっている一方で、死亡率はこの期間中で2倍超となっている。肝臓癌の患者の生存率にはいくらかの進展があったが、限局ステージで診断された場合でも、5年生存率は低いままである。膵臓癌は、2020年において、2番目に多い癌関連の死亡原因であると予想される。全ステージでの5年生存率は9%であり、40年間にわたって実質的に改善していない。これらの結果は、従来の治療法の進化にもかかわらず持続している。
【0005】
[0005] 多くのタイプの癌が、首尾よく完治されないか、又は後の時点で再発する。再発は、一般に、最初の治療によって癌細胞の全てを首尾よく取り除けず、取り残されたものが増殖したために起こる。場合によっては、癌細胞は、微小転移として公知の検出できない量で、体の他の部分へ広がる。これらの微小転移を体が克服しないと、検出可能なレベルまで増殖して、追加的な治療が必要になる。そして最終的には、多くの患者が癌との戦いに敗れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] それゆえ、全てのタイプの異常組織に対する治療法の改善と一緒に、癌をより首尾よく治療し、且つそれらの再発を減らすか又は防ぐ、治療法の改善が必要とされている。これらの目的の少なくともいくつかは、本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
[0007] 本明細書には、標的組織を治療するための装置、システム及び方法の実施形態が説明されている。同じように、本発明は、以下の番号の項目に関する:
【0008】
[0008] 1. 患者の体内の望ましくない組織細胞の塊を治療するためのシステムであって:
[0009] 近位端部及び遠位端部を有するシャフトと、シャフトの遠位端部の近くに配置された少なくとも1つのエネルギー送達本体とを含む、器械であって、シャフトの遠位端部は、患者の体の管腔構造内を進められ、及び少なくとも1つのエネルギー送達本体が望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるように位置決めされるように構成されている、器械;並びに
[0010] 少なくとも1つのエネルギー送達本体と電気通信する発生器であって、望ましくない組織の塊の少なくとも一部分を破壊するように、望ましくない組織の塊へ送達することができる非熱的エネルギーの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムを含む、発生器
を含む、システム。
【0009】
[0011] 2. 望ましくない組織細胞の塊は、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位を含む、請求項1に記載のシステム。
【0010】
[0012] 3. 望ましくない組織の塊の少なくとも一部分は管腔構造の壁内に位置する、請求項1又は2に記載のシステム。
【0011】
[0013] 4. 少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、望ましくない組織の塊の少なくとも一部分を破壊するように、望ましくない組織の塊へ送達できる非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、管腔構造の開存性は維持するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【0012】
[0014] 5. 望ましくない組織の塊の少なくとも一部分は管腔構造の壁の外部に位置する、請求項1又は2に記載のシステム。
【0013】
[0015] 6. 少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、望ましくない組織の塊の少なくとも一部分を破壊するように、望ましくない組織の塊へ送達できる非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、非熱的エネルギーが通過する管腔構造を支持するコラーゲン構造は維持するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【0014】
[0016] 7. 望ましくない組織の塊の少なくとも一部分は管腔構造の管腔内に位置する、請求項1又は2に記載のシステム。
【0015】
[0017] 8. エネルギー送達本体は、管腔構造内で拡張されるように構成された拡張可能な構造を含んで、拡張可能な構造が、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【0016】
[0018] 9. 拡張可能な構造は、バスケット形状の電極を含む、請求項8に記載のシステム。
【0017】
[0019] 10. エネルギー送達本体は、管腔構造の内面に接して位置決めされるように構成されたパドルを含んで、パドルが、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【0018】
[0020] 11. 少なくとも1つのエネルギー送達本体は、非熱的エネルギーを、管腔構造の壁の外側から深さ3cmまで送達できる、請求項1又は2に記載のシステム。
【0019】
[0021] 12. 望ましくない組織の塊の少なくとも一部分は管腔構造の壁の外部に位置し、及びエネルギー送達本体は、管腔構造の壁に侵入し及び非熱的エネルギーを望ましくない組織細胞の塊まで送達するように構成されたプローブを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【0020】
[0022] 13. プローブは、シャフトの遠位端部から進むことができる、請求項12に記載のシステム。
【0021】
[0023] 14. プローブはプローブチップを含み、プローブチップは、シャフトの遠位端部から8cmまで進められることができる、請求項12又は13に記載のシステム。
【0022】
[0024] 15. シャフトの遠位端部は、管腔構造の壁を越えて20cmまで進められるように構成されている、請求項12~14のいずれか1項に記載のシステム。
【0023】
[0025] 16. プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できる、請求項12に記載のシステム。
【0024】
[0026] 17. 少なくとも2つのプローブ素子は非熱的エネルギーを送達でき、及び少なくとも2つのプローブ素子の少なくとも一方は、送達用の非熱的エネルギーを受け取るように独立して選択可能である、請求項16に記載のシステム。
【0025】
[0027] 18. 少なくとも2つのプローブ素子のそれぞれは、非熱的エネルギーを異なる量で同時に送達できる、請求項17に記載のシステム。
【0026】
[0028] 19. プローブは複数のプローブ素子を含み、各プローブ素子は、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できる、請求項12に記載のシステム。
【0027】
[0029] 20. プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、シャフトから個々に進むことができる、請求項12に記載のシステム。
【0028】
[0030] 21. プローブは、シャフトの近位端部からシャフトの遠位端部まで延在する導電性チューブを含む、請求項12~20のいずれか1項に記載のシステム。
【0029】
[0031] 22. プローブを発生器に電気的に接続するように構成されたエネルギープラグをさらに含み、エネルギープラグは、導電性チューブに係合するように構成された導電線を含む、請求項21に記載のシステム。
【0030】
[0032] 23. プローブは、シャフトの遠位端部の近くに配置されたプローブチップと、シャフトの近位端部からプローブチップまで延在する導電線とを含む、請求項12~20のいずれか1項に記載のシステム。
【0031】
[0033] 24. プローブは、プローブチップと、プローブチップを越えて延在するように構成された導電性素子とを含み、導電性素子は、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【0032】
[0034] 25. 少なくとも1つのエネルギー送達本体は、非熱的エネルギーを、患者の体外に位置決めされたリターン電極へ伝えて、非熱的エネルギーを、それらの間に配置された望ましくない組織細胞の塊へ送達するように構成されている、請求項1~24のいずれか1項に記載のシステム。
【0033】
[0035] 26. 非熱的エネルギーは、パケットで送られる一連の二相パルスを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載のシステム。
【0034】
[0036] 27. シャフトの遠位端部は、内視鏡を通して進められるように構成されている、請求項1~26のいずれか1項に記載のシステム。
【0035】
[0037] 28. 管腔構造は、血管、食道、胃、膵管、胆管、小腸、大腸、結腸、直腸、膀胱、尿道、尿収集導管、子宮、膣、ファローピウス管、尿管、尿細管、脊柱管、脊髄、気道、鼻腔、口、心腔、心内腔、腎内腔、及び臓器内腔を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載のシステム。
【0036】
[0038] 29. シャフトは、望ましくない組織細胞の塊へ流体を送給するように構成された送給ルーメンをさらに含む、請求項1~28のいずれか1項に記載のシステム。
【0037】
[0039] 30. 患者の体内の望ましくない組織細胞の塊を治療するためのシステムであって:
[0040] 近位端部及び遠位端部を有するシャフトと、シャフトの遠位端部の近くに配置されたエネルギー送達本体とを含む、器械であって、シャフトの遠位端部は、体内へ塊の近くへと進められて、少なくとも1つのエネルギー送達本体が、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるようにするように構成されている、器械;
[0041] 少なくとも1つのエネルギー送達本体がモノポーラ式に機能するように、少なくとも1つのエネルギー送達本体からある距離に位置決めできるリターン電極;及び
[0042] 少なくとも1つのエネルギー送達本体と電気通信する発生器であって、望ましくない組織の塊の少なくとも一部分を破壊するように、エネルギー送達本体からリターン電極まで送達できる非熱的エネルギーの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムを含む、発生器
を含む、システム。
【0038】
[0043] 31. 望ましくない組織細胞の塊は、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位を含む、請求項30に記載のシステム。
【0039】
[0044] 32. 望ましくない組織の塊の少なくとも一部分は管腔構造の壁内に位置する、請求項30又は31に記載のシステム。
【0040】
[0045] 33. 少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、望ましくない組織の塊の少なくとも一部分を破壊するように、望ましくない組織の塊へ送達できる非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、管腔構造の開存性は維持するように構成されている、請求項32に記載のシステム。
【0041】
[0046] 34. 望ましくない組織の塊の少なくとも一部分は管腔構造の壁の近くに位置する、請求項30又は31に記載のシステム。
【0042】
[0047] 35. 少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムは、望ましくない組織の塊の少なくとも一部分を破壊するように、望ましくない組織の塊へ送達できる非熱的エネルギーの電気信号を提供するが、管腔構造を支持するコラーゲン構造は維持するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【0043】
[0048] 36. 望ましくない組織の塊の少なくとも一部分は管腔構造の管腔内に位置する、請求項30又は31に記載のシステム。
【0044】
[0049] 37. エネルギー送達本体は、拡張されるように構成された拡張可能な構造を含んで、拡張可能な構造が、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項30~36のいずれか1項に記載のシステム。
【0045】
[0050] 38. 拡張可能な構造は、バスケット形状の電極を含む、請求項37に記載のシステム。
【0046】
[0051] 39. エネルギー送達本体は、望ましくない組織細胞の塊の近くに位置決めされるように構成されたパドルを含み、パドルが、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できるようにする、請求項30~36のいずれか1項に記載のシステム。
【0047】
[0052] 40. 少なくとも1つのエネルギー送達本体は、非熱的エネルギーを、少なくとも1つのエネルギー送達本体の外面から半径3cmまで送達できる、請求項30~39のいずれか1項に記載のシステム。
【0048】
[0053] 41. エネルギー送達本体は、組織に侵入し及び望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達するように構成されたプローブを含む、請求項30~36のいずれか1項に記載のシステム。
【0049】
[0054] 42. プローブは、シャフトの遠位端部から進むことができる、請求項41に記載のシステム。
【0050】
[0055] 43. プローブはプローブチップを含み、プローブチップは、シャフトの遠位端部から8cmまで進められることができる、請求項42に記載のシステム。
【0051】
[0056] 44. シャフトの遠位端部は、組織内へ20cmまで進められるように構成されている、請求項41に記載のシステム。
【0052】
[0057] 45. プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できる、請求項41に記載のシステム。
【0053】
[0058] 46. 少なくとも2つのプローブ素子は非熱的エネルギーを送達でき、及び少なくとも2つのプローブ素子の少なくとも一方は、送達用の非熱的エネルギーを受け取るように独立して選択可能である、請求項45に記載のシステム。
【0054】
[0059] 47. 少なくとも2つのプローブ素子のそれぞれは、非熱的エネルギーを異なる量で同時に送達できる、請求項46に記載のシステム。
【0055】
[0060] 48. プローブは複数のプローブ素子を含み、各プローブ素子は、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達できる、請求項41に記載のシステム。
【0056】
[0061] 49. 少なくとも1つのプローブ素子は、シャフトから個々に進むことができる、請求項41に記載のシステム。
【0057】
[0062] 50. プローブは、シャフトの近位端部からシャフトの遠位端部まで延在する導電性チューブを含む、請求項41に記載のシステム。
【0058】
[0063] 51. プローブを発生器に電気的に接続するように構成されたエネルギープラグをさらに含み、エネルギープラグは、導電性チューブに係合するように構成された導電線を含む、請求項50に記載のシステム。
【0059】
[0064] 52. プローブは、シャフトの遠位端部の近くに配置されたプローブチップと、シャフトの近位端部からプローブチップまで延在する導電線とを含む、請求項41に記載のシステム。
【0060】
[0065] 53. プローブは、プローブチップと、プローブチップを越えて延在するように構成された導電性素子とを含み、導電性素子は、望ましくない組織細胞の塊へ非熱的エネルギーを送達するように構成されている、請求項41に記載のシステム。
【0061】
[0066] 54. 非熱的エネルギーは、パケットで送られる一連の二相パルスを含む、請求項30~53のいずれか1項に記載のシステム。
【0062】
[0067] 55. シャフトの遠位端部は、内視鏡を通して進められるように構成されている、請求項30~54のいずれか1項に記載のシステム。
【0063】
[0068] 56. シャフトの遠位端部は、血管、食道、胃、膵管、胆管、小腸、大腸、結腸、直腸、膀胱、尿道、尿収集導管、子宮、膣、ファローピウス管、尿管、尿細管、脊柱管、脊髄、気道、鼻腔、口、心腔、心内腔、腎内腔、及び臓器内腔を含む管腔構造内へ進められるように構成されている、請求項30~55のいずれか1項に記載のシステム。
【0064】
[0069] 57. シャフトは、望ましくない組織細胞の塊へ流体を送給するように構成された送給ルーメンをさらに含む、請求項30~56のいずれか1項に記載のシステム。
【0065】
[0070] 58. シャフトは、患者の皮膚を通して経皮的に進められるように構成されている、請求項30~57のいずれか1項に記載のシステム。
【0066】
[0071] 59. 経皮針をさらに含み、及びシャフトは、経皮針を通して進められるように構成されている、請求項30~57のいずれか1項に記載のシステム。
【0067】
[0072] 60. 体内の管腔構造の近くの標的組織へエネルギーを送達するための器械であって:
[0073] 近位端部及び遠位端部を有するシャフトであって、遠位端部は、管腔構造内へ進められるように構成されている、シャフト;並びに
[0074] シャフトの遠位端部から進むことができるプローブチップを有するプローブであって、プローブチップは、標的組織近くの管腔構造の壁に侵入し及び標的組織へエネルギーを送達するように、標的組織に挿入するように構成されている、プローブ
を含む、器械。
【0068】
[0075] 61. プローブチップは、シャフトの遠位端部から8cmまで進められることができる、請求項60に記載の器械。
【0069】
[0076] 62. シャフトの遠位端部は、管腔構造の壁を通して進められるように構成されている、請求項60又は61に記載の器械。
【0070】
[0077] 63. シャフトの遠位端部は、管腔構造の壁を越えて20cmまで進められるように構成されている、請求項62に記載の器械。
【0071】
[0078] 64. プローブは複数のプローブ素子を含み、少なくとも1つのプローブ素子は、標的組織へエネルギーを送達できる、請求項60~63のいずれか1項に記載の器械。
【0072】
[0079] 65. 少なくとも2つのプローブ素子は非熱的エネルギーを送達でき、及び少なくとも2つのプローブ素子の少なくとも一方は、送達用のエネルギーを受け取るために独立して選択可能である、請求項64に記載の器械。
【0073】
[0080] 66. 少なくとも2つのプローブ素子のそれぞれは、非熱的エネルギーを異なる量で同時に送達できる、請求項65に記載の器械。
【0074】
[0081] 67. 少なくとも1つのプローブ素子は、シャフトから個々に進むことができる、請求項64に記載の器械。
【0075】
[0082] 68. 少なくとも1つのプローブ素子はエネルギーを受け取ることができ、エネルギーが、エネルギーを送達する少なくとも1つのプローブ素子と、エネルギーを受け取る少なくとも1つのプローブ素子との間でバイポーラ式に送達されるようにする、請求項64に記載の器械。
【0076】
[0083] 69. プローブは複数のプローブ素子を含み、各プローブ素子は、エネルギーを送達できる、請求項60に記載の器械。
【0077】
[0084] 70. 器械は、シャフトに沿って配置されたエネルギー送達本体を含む、請求項60~69のいずれか1項に記載の器械。
【0078】
[0085] 71. エネルギー送達本体は、エネルギーを管腔構造内から標的組織へ送達するように構成されている、請求項70に記載の器械。
【0079】
[0086] 72. エネルギー送達本体は、バスケット形状を有する電極を含む、請求項70に記載の器械。
【0080】
[0087] 73. エネルギー送達本体は、ディスク形状の電極を含む、請求項70に記載の器械。
【0081】
[0088] 74. ディスク形状は、その直径がシャフトの長手方向軸に対して実質的に垂直となるように配置される、請求項73に記載の器械。
【0082】
[0089] 75. プローブチップは、ディスク形状の電極と実質的に同心である、請求項74に記載の器械。
【0083】
[0090] 76. 器械は、エネルギー送達本体がプローブチップとは異なるエネルギーを送達するように構成されている、請求項70に記載の器械。
【0084】
[0091] 77. シャフトの近位端部の近くに配置されたハンドルをさらに含み、ハンドルは、パルス波形発生器と電気的に結合して、パルス波形発生器からのエネルギーがプローブチップへ送達されるようにするように構成されている、請求項60~76のいずれか1項に記載の器械。
【0085】
[0092] 78. プローブは、シャフトの近位端部からシャフトの遠位端部まで延在する導電性構成部品を含み、それにより、エネルギーをハンドルからプローブチップへ伝える、請求項77に記載の器械。
【0086】
[0093] 79. 導電性構成部品はチューブ状シャフトを含む、請求項78に記載の器械。
【0087】
[0094] 80. 導電性構成部品は導電線を含む、請求項78に記載の器械。
【0088】
[0095] 81. ハンドルは、導電性構成部品と接合する接続線を受け入れるように構成されており、エネルギーが接続線を通って導電性構成部品へ伝えられるようにする、請求項77に記載の器械。
【0089】
[0096] 82. シャフトの遠位端部は、経皮針を通過するように構成されている、請求項60に記載の器械。
【0090】
[0097] 83. シャフトは、患者の皮膚を通して経皮的に進められるように構成されている、請求項60に記載の器械。
【0091】
[0098] 84. 標的組織は、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位を含む、請求項60~83のいずれか1項に記載の器械。
【0092】
[0099] 85. 体内の管腔構造の近くの標的組織へエネルギーを送達するためのシステムであって:
[00100] 器械であって、
[00101] 近位端部及び遠位端部を有するシャフトであって、遠位端部が管腔構造内へ進められるように構成されている、シャフト、及び
[00102] シャフトの遠位端部から進むことができるプローブチップを有するプローブであって、プローブチップは、標的組織近くの管腔構造の壁に侵入し且つ標的組織へエネルギーを送達するように標的組織に挿入するように構成されている、プローブ
を含む、器械と;
[00103] 少なくとも1つのエネルギー送達本体と電気通信する発生器であって、標的組織の少なくとも一部分を治療するように、プローブチップから送達できる非熱的エネルギーの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギー送達アルゴリズムを含む、発生器と
を含む、システム。
【0093】
[00104] 86. プローブからある距離で位置決めできるリターン電極をさらに含み、プローブがモノポーラ式に機能するようにする、請求項85に記載のシステム。
【0094】
[00105] 87. 患者の体内の標的組織細胞を治療するための方法であって、標的組織細胞は、体の管腔構造の外部に存在し:
[00106] 器械の遠位端部を体の管腔構造内へ進めることであって、器械は、その遠位端部の近くに配置されたエネルギー送達本体を含むこと;及び
[00107] 非熱的エネルギーをエネルギー送達本体から、管腔構造外に存在する標的組織細胞へ送達することであって、非熱的エネルギーは、標的組織細胞を治療するが、管腔構造の細胞外マトリックスを維持すること
を含む、方法。
【0095】
[00108] 88. 標的組織細胞は、管腔構造の外側から8cmまで離れて存在する、請求項87に記載の方法。
【0096】
[00109] 89. 治療は破壊を含む、請求項87又は88に記載の方法。
【0097】
[00110] 90. 治療は、時期尚早の死まで標的組織細胞の脆弱性を高めることを含む、請求項87又は88に記載の方法。
【0098】
[00111] 91. 治療は、標的組織細胞による作用物質の取り込みを増加させることを含む、請求項87又は88に記載の方法。
【0099】
[00112] 92. 管腔構造内でエネルギー送達本体を拡張させることをさらに含む、請求項87~91のいずれか1項に記載の方法。
【0100】
[00113] 93. エネルギー送達本体は、管腔構造の内面の近くに又はそれに接して存在するように拡張されるように構成されたバスケット形状の電極を含み、バスケット形状の電極は、非熱的エネルギーを送達する、請求項92に記載の方法。
【0101】
[00114] 94. エネルギー送達本体から非熱的エネルギーを送達することは、非熱的エネルギーを、エネルギー送達本体から管腔構造の内周へ周囲に送達することを含む、請求項87に記載の方法。
【0102】
[00115] 95. 追加的な標的組織細胞が管腔構造の壁に存在し、及びエネルギー送達本体から、管腔構造の外部に存在する標的組織細胞へ非熱的エネルギーを送達することは、エネルギー送達本体から、管腔構造の壁内に存在する追加的な標的組織細胞へ非熱的エネルギーを送達することを含む、請求項87に記載の方法。
【0103】
[00116] 96. エネルギー送達本体によって管腔構造の壁に侵入することをさらに含む、請求項87に記載の方法。
【0104】
[00117] 96. エネルギー送達本体の少なくとも一部分が管腔構造の壁を通過して、エネルギー送達本体の少なくとも一部分が管腔構造の外部に存在するようにすることをさらに含む、請求項96に記載の方法。
【0105】
[00118] 98. エネルギー送達本体の少なくとも一部分はプローブチップを含み、及びエネルギー送達本体の少なくとも一部分が管腔構造の壁を通過することは、プローブチップを器械の遠位端部から進めることを含む、請求項97に記載の方法。
【0106】
[00119] 99. エネルギー送達本体の少なくとも一部分が管腔構造の壁を通過することは、複数のプローブ素子を器械の遠位端部から進めることを含む、請求項98に記載の方法。
【0107】
[00120] 100. 複数のプローブ素子を進めることは、複数のプローブ素子のうちの少なくとも1つを器械の遠位端部から個々に進めることを含む、請求項99に記載の方法。
【0108】
[00121] 101. 非熱的エネルギーを送達することは、複数のプローブ素子のうちの少なくとも1つへ非熱的エネルギーを送達することを含む、請求項99に記載の方法。
【0109】
[00122] 102. 器械は、器械の遠位端部の近くに配置された別のエネルギー送達本体を含み、及び器械の遠位端部を管腔構造内へ進めることは、管腔構造内に別のエネルギー送達本体を位置決めすることを含む、請求項87に記載の方法。
【0110】
[00123] 103. 患者に追加的な治療法を実施することを含み、追加的な治療法は、放射線療法、化学療法、免疫療法、標的療法、病巣治療法(focal therapy)、遺伝子治療、プラスミド治療又はこれらのいずれかの組み合わせをさらに含む、請求項87~102のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
[00124] 104. 病巣治療法は、熱アブレーションを引き起こすエネルギー、寒冷療法を引き起こすエネルギー、不可逆電気穿孔を引き起こすエネルギー、又は可逆電気穿孔を引き起こすエネルギーの送達を含む、請求項103に記載の方法。
【0112】
[00125] 105. 追加的な治療法の実施は、標的組織細胞の少なくとも一部の近くの又はそれを含む組織の部分を外科的に除去することを含む、請求項103に記載の方法。
【0113】
[00126] 106. 非熱的エネルギーを送達することは、追加的な治療法の実施前に発生する、請求項103~105のいずれか1項に記載の方法。
【0114】
[00127] 107. 非熱的エネルギーを送達することは、追加的な治療法の実施後に発生する、請求項103~105のいずれか1項に記載の方法。
【0115】
[00128] 108. 非熱的エネルギーを送達することは、追加的な治療法の実施の治療セッション中に発生する、請求項103~105のいずれか1項に記載の方法。
【0116】
[00129] 109. 化学療法を実施することをさらに含み、及び非熱的エネルギーを送達することは、十分な非熱的エネルギーを送達して、化学療法の効果を相乗的に高めることを含む、請求項87~102のいずれか1項に記載の方法。
【0117】
[00130] 110. 放射線療法を実施することをさらに含み、及び非熱的エネルギーを送達することは、十分な非熱的エネルギーを送達して、放射線療法の効果を相乗的に高めることを含む、請求項87~102のいずれか1項に記載の方法。
【0118】
[00131] 111. 非熱的エネルギーを送達することは、患者によってアブスコパル効果を引き起こすように、非熱的エネルギーを送達することを含む、請求項87~110のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
[00132] 112. 患者にリターン電極を位置決めすることをさらに含み、及び非熱的エネルギーを送達することは、リターン電極を利用しながら、モノポーラ式に非熱的エネルギーを送達することを含む、請求項87~111のいずれか1項に記載の方法。
【0120】
[00133] 113. 標的組織細胞は、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位を含む、請求項87~112のいずれか1項に記載の方法。
【0121】
[00134] 114. 内視鏡を通して器械の遠位端部を挿入することをさらに含む、請求項87~113のいずれか1項に記載の方法。
【0122】
[00135] 115. 少なくとも部分的に管腔構造の壁の一部分内に腫瘍がある患者を治療するための方法であって:
[00136] 器械の遠位端部を管腔構造内へ進めることであって、器械は、その遠位端部の近くに配置されたエネルギー送達本体を含むこと;及び
[00137] 非熱的エネルギーが腫瘍の少なくとも一部を破壊するように、エネルギー送達本体から非熱的エネルギーを送達すること
を含む、方法。
【0123】
[00138] 116. 非熱的エネルギーは、腫瘍の少なくとも一部を破壊するが、管腔構造の生理的機能は維持する、請求項115に記載の方法。
【0124】
[00139] 117. 管腔構造は、血管、食道、胃、膵管、胆管、小腸、大腸、結腸、直腸、膀胱、尿道、尿収集導管、子宮、膣、ファローピウス管、尿管、尿細管、脊柱管、脊髄、気道、鼻腔、口、心腔、心内腔、腎内腔、及び臓器内腔を含む、請求項115又は116に記載の方法。
【0125】
[00140] 118. エネルギー送達本体を管腔構造内で拡張させることをさらに含む、請求項115~117のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
[00141] 119. エネルギー送達本体は、管腔構造の内面の近くに又はそれに接して存在するように拡張されるように構成されたバスケット形状の電極を含み、バスケット形状の電極は、非熱的エネルギーを送達する、請求項118に記載の方法。
【0127】
[00142] 120. エネルギー送達本体から非熱的エネルギーを送達することは、非熱的エネルギーを、エネルギー送達本体から管腔構造の内周へ周囲に送達することを含む、請求項118に記載の方法。
【0128】
[00143] 121. エネルギー送達本体によって管腔構造の壁に侵入することをさらに含む、請求項115~117のいずれか1項に記載の方法。
【0129】
[00144] 122. エネルギー送達本体の少なくとも一部分を、管腔構造の壁を通過させて、エネルギー送達本体の少なくとも一部分が管腔構造の外部に存在するようにすることをさらに含む、請求項121に記載の方法。
【0130】
[00145] 123. 器械は、その遠位端部の近くに配置された別のエネルギー送達本体を含み、方法は、別のエネルギー送達本体の少なくとも一部分を、管腔構造の壁を通過させて、別のエネルギー送達本体の少なくとも一部分が管腔構造の外部に存在するようにすることをさらに含む、請求項115~122のいずれか1項に記載の方法。
【0131】
[00146] 124. エネルギー送達本体及び別のエネルギー送達本体はバイポーラ式に機能して、非熱的エネルギーを、それらの間の腫瘍へ送達する、請求項123に記載の方法。
【0132】
[00147] 125. 患者にリターン電極を位置決めすることをさらに含み、及び非熱的エネルギーを送達することは、リターン電極を利用しながら、非熱的エネルギーをモノポーラ式に送達することを含む、請求項115に記載の方法。
【0133】
[00148] 126. 患者に追加的な治療法を実施することをさらに含み、追加的な治療法は、放射線療法、化学療法、免疫療法、標的療法、病巣治療法、遺伝子治療、プラスミド治療、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項115~125のいずれか1項に記載の方法。
【0134】
[00149] 127. 病巣治療法は、熱アブレーションを引き起こすエネルギー、寒冷療法を引き起こすエネルギー、不可逆電気穿孔を引き起こすエネルギー、又は可逆電気穿孔を引き起こすエネルギーの送達を含む、請求項126に記載の方法。
【0135】
[00150] 128. 追加的な治療法の実施は、腫瘍の少なくとも一部の近くの又はそれを含む組織の部分を外科的に除去することを含む、請求項126に記載の方法。
【0136】
[00151] 129. 非熱的エネルギーを送達することは、追加的な治療法の実施前に発生する、請求項115~128のいずれか1項に記載の方法。
【0137】
[00152] 130. 非熱的エネルギーを送達することは、追加的な治療法の実施後に発生する、請求項115~128のいずれか1項に記載の方法。
【0138】
[00153] 131. 非熱的エネルギーを送達することは、追加的な治療法の実施の治療セッション中に発生する、請求項115~128のいずれか1項に記載の方法。
【0139】
[00154] 132. 化学療法を実施することをさらに含み、及び非熱的エネルギーを送達することは、十分な非熱的エネルギーを送達して、化学療法の効果を相乗的に高めることを含む、請求項115~125のいずれか1項に記載の方法。
【0140】
[00155] 133. 非熱的エネルギーを送達することは、患者によってアブスコパル効果を引き起こすように、非熱的エネルギーを送達することを含む、請求項115~132のいずれか1項に記載の方法。
【0141】
[00156] これらの及び他の実施形態は、添付図面に関連して、以下の説明においてさらに詳細に説明される。
【0142】
参照による援用
[00157] 本明細書で述べる全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照することにより援用されるように具体的に及び個々に示されたのと同じ程度で、参照することにより援用される。
【0143】
図面の簡単な説明
[00158] 本発明の新規の特徴が、添付の特許請求の範囲に詳細に説明されている。本発明の特徴及び利点は、説明に役立つ実施形態を説明する以下の詳細な説明を参照することにより、より良く理解され、詳細な説明では、本発明の原理が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
図1】[00159]特殊なPEFエネルギーの送達に使用される例示的な治療システム100の概観図を提供する。
図2A】[00160]エネルギー送達アルゴリズムによって定められた信号の波形の実施形態を示す。
図2B】[00161]パルス間にスイッチ時間がある二相パルスの様々な例を示す。
図2C】[00162]有効電界閾値とパルス長との間の関係を示す。
図2D】[00163]波形が電圧不平衡である、別のエネルギー送達アルゴリズムによって定められた例示的な波形を示す。
図2E】[00164]同等でない電圧を有する波形のさらなる例を示す。
図2F】[00165]同等でないパルス幅を有する波形のさらなる例を示す。
図2G】[00166]単相である、別のエネルギー送達アルゴリズムによって定められた例示的な波形を示す。
図2H】[00167]単相パルスを有する波形のさらなる例を示す。
図2I】[00168]そのような相が不平衡である波形のさらなる例を示す。
図2J】[00169]正電圧及び負電圧の双方が不平衡である波形の例を示す。
図2K】[00170]パルスの形状が方形波ではなく正弦波である別のエネルギー送達アルゴリズムによって定められた例示的な波形を示す。
図3A】[00171]管腔内にエネルギーを送達する治療システムの実施形態を示す。
図3B】[00172]パドル形状を有するエネルギー送達本体を示す。
図4】[00173]エネルギー送達本体が内部に望ましく位置決めされるように、管腔構造の管腔内を進められた器械の実施形態を示す。
図5】[00174]拡張され且つ管腔壁へエネルギーを送達するエネルギー送達本体を示す。
図6】[00175]カテーテルが除去され且つエネルギー送達が完了した後の、管腔構造を示す。
図7】[00176]破線によって示す治療された組織までの病変組織の切除を示す。
図8A】[00177]気管支樹の気道に沿って位置する望ましくない組織の塊の例を示す。
図8B】[00177]気管支樹の気道に沿って位置する望ましくない組織の塊の例を示す。
図8C】[00177]気管支樹の気道に沿って位置する望ましくない組織の塊の例を示す。
図9A】[00178]壁を有する動脈の断面を示す。
図9B】[00179]胃腸の管腔構造、特に壁を有する結腸の断面を示す。
図9C】[00180]壁を有する尿管の断面を示す。
図10】[00181]一方の端部で閉鎖され且つその他方の端部でカテーテルの遠位端部に取り付けられる膨張性部材を含む、エネルギー送達本体の実施形態を示す。
図11】[00181]一方の端部で閉鎖され且つその他方の端部でカテーテルの遠位端部に取り付けられる膨張性部材を含む、エネルギー送達本体の実施形態を示す。
図12】[00182]適合性のある(conformable)エネルギー送達本体が内部に位置決めされている例示的な小腸の断面図である。
図13A】[00183]活性化ポイントで交差する細い電極トレースを有する、適合性のある膨張性部材を示す。
図13B】[00184]電極として機能するコンプライアント編組によって取り囲まれた、適合性のある膨張性部材の実施形態を示す。
図13C】[00185]マルチポーラ式に機能するように配置された活性化ポイントを有する、適合性のある膨張性部材の実施形態を示す。
図14】[00186]病巣治療法を施すように構成されたエネルギー送達カテーテルの使用を示す。
図15】[00187]エネルギー送達本体がステントの形態を有する実施形態を示す。
図16A】[00188]エネルギーを管腔外へ送達する治療システムの実施形態を示す。
図16B】[00188]エネルギーを管腔外へ送達する治療システムの実施形態を示す。
図17A】[00189]エネルギープラグとハンドルとの間の接続の例を示す。
図17B】[00189]エネルギープラグとハンドルとの間の接続の例を示す。
図17C】[00189]エネルギープラグとハンドルとの間の接続の例を示す。
図18A】[00190]管腔外治療の例示的な方法を示す。
図18B】[00190]管腔外治療の例示的な方法を示す。
図18C】[00190]管腔外治療の例示的な方法を示す。
図19】[00191]プローブチップをそれぞれ有する3つのプローブ素子を有するプローブの実施形態を示す。
図20】[00192]シャフトから異なる距離で延在し且つ異なる湾曲を有するプローブ素子を有するプローブの実施形態を示す。
図21】[00193]花又は傘の形のように半径方向外向きであるプローブ素子湾曲を有するプローブの実施形態を示す。
図22】[00194]シャフトから延在する2つのプローブ素子を含むプローブの実施形態を示し、各プローブ素子は、それぞれの絶縁シースによって少なくとも部分的に被覆されており、チップを露出させている。
図23】[00195]複数のワイヤ又はリボンを含んで、バスケットを形成しているプローブの実施形態を示す。
図24】[00196]ディスク形状のバスケットを含むプローブの側面図を提供する。
図25A】[00197]標的組織部位内に位置決めされて、プローブチップを取り囲む第1のアブレーションゾーンを作り出すプローブの実施形態を示す。
図25B】[00198]第1のアブレーションゾーンよりも大きい第2のアブレーションゾーンを形成するディスク形状のバスケットが追加された、図25Aのプローブの実施形態を示す。
図26】[00199]プローブを通過し且つそこから延在する導電性素子を含むエネルギー送達本体を示す。
図27】[00200]エネルギー送達本体によって肺通路へエネルギーパルスを送ることが望ましい期間を強調して、ヒトの心臓のサンプル心電図(ECG)トレースの複数の部分を示すグラフである。
図28】[00201]癌患者のための例示的なケアパスオプションのフロー図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0145】
発明の詳細な説明
[00202] 開示する機器、システム、及び方法の特定の実施形態を、ここで、図面を参照して説明する。この詳細な説明では、いずれかの特定の構成要素、特徴、又はステップが本発明に必須であると意味することを意図しない。
【0146】
I.概要
[00203] 機器、システム、及び方法は、標的組織部位へ特殊なパルス電界(PEF:pulsed electric field)エネルギーを送達することによって、損傷組織、病変組織、異常組織、閉塞性組織、癌組織又は望ましくない組織(例えば腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位など)を治療するために提供される。エネルギーは、非熱的となる(すなわち、熱アブレーションを引き起こす閾値を下回る)ように、送達される。それゆえ、細胞外マトリックスが存在するとき、細胞外マトリックスは温存され、且つ標的組織は、血管及びリンパ管を含むその構造アーキテクチャを維持する。それゆえ、感受性構造、例えば、組織の完全性及び機能性を維持するのに重要である生体管腔、血管、神経などは、温存できる。これは、いくつもの利益をもたらす。初めに、これは、従来の方法では治療不可能であるとみなされることが多い組織を治療できるようにする。感受性構造の近くにある標的組織は、一般に、感受性構造から組織を完全に且つ効果的に外科的に分離することができないため、外科的な方法によっては切除不能である。同じように、多くの従来の非外科的治療法は、その治療法によって、感受性構造を損傷させる可能性があるゆえに、又はそれらの治療法が、感受性構造に近いことから効果的でないとみなされているため、禁忌とされている。さらに、感受性構造の近くの組織を治療する能力はまた、悪性の縁部分が感受性構造の近くに残されないようにする、より包括的な治療を提供する。ひとたび組織が治療されると、構造アーキテクチャが存続していることによってまた、免疫系の成分などの生物元素が自然に流入できるようになるか、又は治療処置を進めるために様々な作用物質を導入できるようになる。これは、後述のセクションでより詳細に説明するように、いくつもの治療効果をもたらす。
【0147】
[00204] エネルギーは、特に、経皮的なアプローチではアクセスできないと以前はみなされていた箇所にある、全身の標的組織への極めて良好なアクセスに好都合に設計されたシステム及び機器を使って送達される。そのようなアクセスは、一般に低侵襲であり、且つ管腔内(endoluminal)アプローチに依存するが、他のアプローチ、例えば経皮的アプローチ、腹腔鏡アプローチ又は開放手術アプローチが、場合によっては、必要であれば使用されてもよいことが認識され得る。図1は、特殊なPEFエネルギーを送達する際に使用するための例示的な治療システム100の概観図を提供する。この実施形態では、システム100は、遠位端部103及び近位端部107を有するシャフト106を含む長尺状の器械102を含む。器械102は、シャフト106の遠位端部103の近くに、破線の円として一般的に示されているエネルギー送達本体108を含む。エネルギー送達本体108は、単一の図面で表すのを妨げる構造差のある様々な形態をとってもよいが、個々の例示的な実施形態は、本明細書で説明され且つ示されることが認識され得る。エネルギー送達本体108は、外部から見えるように、シャフト106の外面に装着され得るか又はそれと一体にされ得る。又は、エネルギー送達本体108は、シャフト106の内部に収納されており、シャフト106から前進させる又はシャフト106自体を後退させることによって、露出され得る。同じように、2つ以上のエネルギー送達本体108が存在してもよく、且つ外部にあっても、内部にあっても又はそれら双方でもよい。いくつかの実施形態では、シャフト106は、押出ポリマーなどのポリマーで構成される。いくつかの実施形態では、シャフト106は、可撓性及び/又は剛性を制御するために、デュロメータが異なる材料の複数の層で構成されることが認識され得る。いくつかの実施形態では、シャフト106は、個々のワイヤ又はワイヤ編組などの様々な要素によって補強される。いずれの場合も、そのようなワイヤは、フラットワイヤ又はラウンドワイヤとし得る。ワイヤ編組は編組パターンを有し、及びいくつかの実施形態では、編組パターンは、所望の可撓性及び/又は剛性に合わせられる。他の実施形態では、シャフト106を補強するワイヤ編組は、デュロメータが異なる材料の複数の層と好都合に組み合わせられて、シャフトの長さ部分に沿って可撓性及び/又は剛性をさらに制御し得る。
【0148】
[00205] いずれの場合も、各エネルギー送達本体108は、PEFエネルギーを送達するための少なくとも1つの電極を含む。一般に、エネルギー送達本体108は、単一の送達電極を含み、且つ器械102の遠位端部103の近くに配置されたエネルギー送達本体108と、患者の皮膚に位置決めされたリターン電極140との間にエネルギーを供給することによって達成されるモノポーラ配置構成で動作する。しかしながら、バイポーラエネルギー送達及び他の配置構成が、代わりに使用されてもよいことが認識される。バイポーラエネルギー送達を使用するとき、器械102は、バイポーラ式に機能するように構成された複数のエネルギー送達本体108を含み得るか、又はバイポーラ式に機能するように構成された複数の電極を有する単一のエネルギー送達本体108を含み得る。器械102は、一般に、近位端部107の近くに配置されたハンドル110を含む。ハンドル110は、器械102を操縦するために使用され、且つ典型的には、エネルギー送達本体108を操作するためのアクチュエータ132を含む。いくつかの実施形態では、エネルギー送達本体108は、閉鎖したすなわち後退した位置(アクセス中)から、開放したすなわち露出した位置(エネルギー送達用)へ移行し、これは、アクチュエータ132によって制御される。それゆえ、アクチュエータ132は、一般に、ノブ、ボタン、レバー、スライド又は他の機構の形態を有する。いくつかの実施形態では、ハンドル110は、器械102を通して送るための液体、作用物質、物質、ツール又は他の機器を導入するためのポート111を含むことが認識され得る。例示的な液体は、数例を挙げると、懸濁液、混合物、化学物質、流体、化学療法薬剤、免疫療法薬剤、ミセル、リポソーム、塞栓物質、ナノ粒子、薬剤溶出粒子、遺伝子、プラスミド、及びタンパク質を含む。
【0149】
[00206] 器械102は、PEFエネルギーを発生させるように構成される発生器104と電気通信している。この実施形態では、発生器104は、ユーザインターフェース150、1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152、プロセッサー154、データ記憶/検索ユニット156(メモリ及び/又はデータベースなど)、及び送達されることになるエネルギーを発生させ且つ蓄積するエネルギー蓄積サブシステム158を含む。いくつかの実施形態では、発生器104にあるユーザインターフェース150は、所望の治療アルゴリズム152を選択するために使用される。他の実施形態では、アルゴリズム152は、1つ以上のセンサーによって得られた情報に基づいて、発生器104によって自動的に選択され、これについては後述のセクションでより詳細に説明する。様々なエネルギー送達アルゴリズムが使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンデンサがエネルギー蓄積/送達のために使用されるが、任意の他の好適なエネルギー蓄積素子が使用されてもよい。さらに、1つ以上の通信ポートが一般に含まれる。
【0150】
[00207] 図1に示すように、器械102の遠位端部103は、一般に、内視鏡10などの送出機器を通って前進可能である。内視鏡10は、一般に、遠位チップ16を有する長尺状の挿入管14に取り付けられた制御本体12を含む。内視鏡10は、ポート18によってそこからアクセス可能な内腔を有し、そこを器械102の遠位端部103が通過する。器械102のシャフト106は、内腔を進むことができ、且つ遠位チップ16から出る。撮像が、内視鏡10によって、光及びエネルギー源に接続された内視鏡コネクタ22を有するライトガイドチューブ20を使用して、達成される。内視鏡の遠位チップ16には、限定されるものではないが、ビデオ、超音波、レーザ走査などを含む可視化技術が取り付けられ得る。これらの可視化技術は、それらの設計と一致する信号を集め、且つその信号を、シャフトの長さ部分を通して有線で、又は無線でのいずれかで、ビデオ処理装置へ送信する。その後、ビデオ処理装置は、ビデオ信号を処理し、且つスクリーンに出力を表示する。内視鏡10は、一般に、それが使用されている解剖学的位置、例えば胃カメラ(胃、食道、及び小腸(十二指腸)を含む上部消化管内視鏡検査)、結腸鏡(大腸)、気管支鏡(肺)、喉頭鏡(喉頭)、膀胱鏡(尿路)、十二指腸鏡(小腸)、腸鏡(消化系)、尿管鏡(尿管)、子宮鏡(頚部、子宮)などに特有であることが認識され得る。他の実施形態では、器械102は、カテーテル、シース、導入装置、針又は他の送達システムによって送達可能であることが認識され得る。
【0151】
[00208] 管腔内アクセスは、体内の様々な管腔内からの標的組織の治療を可能にする。管腔は、体内のチューブ状すなわち中空構造の内部の空間であり、且つ数例を挙げると、通路(passageways)、管(canals)、管(ducts)、及び腔(cavities)を含む。例示的な管腔構造は、数例を挙げると、全身にある血管、食道、胃、小腸、大腸、結腸、膀胱、尿道、尿収集導管、子宮、膣、ファローピウス管、尿管、腎臓、尿細管、脊柱管、脊髄など、並びに肺、心臓及び腎臓などの臓器内にあり且つそれらを含む構造を含む。いくつかの実施形態では、標的組織は、近くの管腔構造を経由してアクセスされる。場合によっては、治療用器械102は、様々な管腔構造、又は管腔系の枝を通って進められ、標的組織位置に到達する。例えば、血管を経由して標的組織部位にアクセスするとき、治療用器械102は、離れた箇所から挿入されて、脈管構造の様々な枝を通して進められ、標的部位に到達し得る。同じように、管腔構造が、自然の開口、例えば鼻、口、尿道又は直腸で始まる場合、自然の開口から入れられてもよく、及び治療用器械102は、管腔系の枝を通して進められ、標的組織位置に到達する。或いは、管腔構造は、切開又は他の方法によって、標的組織の近くに入れられ得る。これは、大きな系の一部ではない管腔構造にアクセスするとき、又は他の方法でアクセスすることが困難であるときの場合とし得る。
【0152】
[00209] ひとたび管腔内で標的組織部位に接近したら、エネルギーが標的組織に様々な方法で送達され得る。1つの配置構成では、エネルギー送達本体108は、体管腔内に位置決めされ、且つエネルギーは、標的組織に、すなわち、管腔壁の少なくとも一部分を通過して体管腔に入って、管腔壁内にある及び/又は少なくとも部分的に管腔壁を取り囲んでいる標的組織へ、又は管腔壁を通過して管腔壁外にあるその近くの標的組織へ、送達される。別の配置構成では、エネルギー送達本体108は、管腔壁を通して進められ、且つ管腔壁外の標的組織内に又はその近くに挿入される。そのような配置構成は、少なくとも2つのエネルギー送達本体108、体管腔内に位置決めされたもの、及び体管腔の壁を貫通して延在するものを含め、組み合わせられてもよいことが認識され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー送達本体108のそれぞれは、モノポーラ式に機能する(例えば少し離れて置かれるリターン電極を用いる)。他の実施形態では、エネルギー送達本体108の少なくとも一部は、バイポーラ式に機能する(例えばリターン電極としてエネルギー送達本体108を用いる)。任意選択的に、2つのエネルギー送達本体108のそれぞれは、管腔壁の反対側に位置決めされ、且つバイポーラ式に機能して、それらの間(例えば管腔壁内)にある組織を治療し得る。管腔自体は治療を通じて温存されるため、これらの実施オプションが可能であり、且つ管腔自体内の、管腔自体上の、管腔自体の近くの組織を治療できる。治療法のそのような実施は、以前はアクセスできない組織、例えば管腔壁に浸潤した、又は少なくとも部分的に体管腔の周りに巻き付いて、外科的に除去するか又は従来の部分治療法で治療するには近くにありすぎる腫瘍や病変組織にアクセスできるようにする。多くの従来の病巣治療法、例えば熱エネルギーによる治療は、熱によるタンパク質の凝固などに起因して、管腔壁の構造を損傷又は破壊する。特に、高周波アブレーションによって引き起こされる腸の傷害は、最も心配な合併症の1つであり、敗血症及び膿瘍形成に起因する死亡率に関連付けられてきた。それゆえ、ほとんどの医師は、腸に隣接する腫瘍での高周波アブレーションを保留する。他の従来の病巣治療法は、特定の体管腔の近くでは効果がない。例えば、寒冷療法は、欠陥がある組織を十分に冷却することに頼るが、これは、脈管構造を通る血液など、体管腔を通る流れ(これは冷却効果を低下させる)によって、損なわれる。そのような管腔内アクセスはまた、皮膚を通して組織及び臓器内へと深部への多数の針状プローブの配置を伴うエネルギーの経皮送達などの他のタイプの治療よりも、侵襲性が低い。体内の自然の開口が利用されるため、潜在的な感染場所の減少と併せて、創傷の治癒が短い。同じように、体内深部の位置は、他の臓器の後ろ側の位置又は大血管の近くの位置などの、他の方法で外部からアクセスするのが困難な位置と一緒に、アクセスできる。様々な解剖学的位置が、本明細書で説明するシステム及び方法によって治療され得ることが認識され得る。例は、管腔構造自体、管腔構造の近くに位置する全身の軟組織、並びに限定されるものではないが、肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓、前立腺、卵巣、リンパ節及びリンパ管の排出導管(lymphatic drainage ducts)、下層の筋系、骨組織、脳、眼、甲状腺などを含む、管腔構造からアクセス可能な実質臓器を含む。様々な組織の位置が経皮的にアクセスされることも認識され得る。
【0153】
[00210] 内視鏡的アプローチはまた、それ自体がモノポーラエネルギー送達に役立つ。上述の通り、モノポーラ送達は、エネルギー送達本体108(器械102の遠位端部の近く)から標的組織まで、及び患者を通って、患者の皮膚に位置決めされたリターンパッド140までの完成した電流回路を電流が通過することを含む。それゆえ、いくつかの実施形態では、器械102は、1つのみのエネルギー送達本体108又は電極を含む。これにより、より細い体管腔内に位置決めできるように、器械102を薄型にできる。これはまた、エネルギー送達本体108を取り囲む組織に深く侵入できるようにする。同じように、そのような機器によって管腔壁に侵入するとき、エネルギー送達本体108を1つのみ使用することによって、1回の治療につき侵入する必要があるのは1回のみとなる。様々な機器の設計又は治療プロトコルに起因して、追加的な侵入が発生し得るが、いくつかの実施形態では、モノポーラ送達設計は、処置の侵襲性を低下させ、機器及び治療の設計を単純にし、且つ標的組織内で上方の治療ゾーンを提供することが認識され得る。
【0154】
[00211] 対照的に、バイポーラ送達は、同一のエネルギー送達本体108上の、異なるエネルギー送達本体108上の、又は他の配置構成によるかのいずれかの2つの電極間の標的組織を通って電流が通過することを含む。ほとんどの従来のエネルギー療法はバイポーラであり、及び一般に経皮的である。そのような治療法は、皮膚に複数回侵入することを含み、不快感を増し、治癒を長引かせ、且つ処置に複雑さを加える。本明細書で説明するシステムは、バイポーラ及び経皮的な配置構成を含む、様々なフォーマットで利用され得るが、機器の特徴は、一般に、全体的な侵襲性を低下させ且つより良好な結果をもたらすように、組み合わせられ得ることが認識され得る。
【0155】
[00212] 本明細書で説明する機器、システム、及び方法は、それら自体で、又は他の治療との組み合わせで、使用され得る。そのような併用治療は、特に癌治療に応用できるとし得る。例えば、本明細書で説明するPEF治療は、数例を挙げると、様々な非外科的治療法、新補助及び補助療法、例えば放射線療法、化学療法、標的療法/免疫療法、病巣治療法、遺伝子治療、プラスミド治療と組み合わせて使用され得る。例示的な病巣治療法は、マイクロ波アブレーション療法、高周波アブレーション療法、低温アブレーション療法、高密度焦点式超音波(HIFU:high intensity focused ultrasound)療法、及び他のパルス電界アブレーション療法を含む。そのような組み合わせは、反応性の改善、及び場合によっては、治療法のいずれか単独のものを上回る相乗的な反応のために、組織を調整し得る。さらに、本明細書で説明するPEF治療は、治療法の性質に起因して、アブスコパル効果を引き起こし得る。
【0156】
II.エネルギーアルゴリズム
[00213] PEFエネルギーは、1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152によって提供される。いくつかの実施形態では、アルゴリズム152は、一連のエネルギーパケットを含む波形を有する信号を定め、各エネルギーパケットは、一連の高電圧パルスを含む。そのような実施形態では、アルゴリズム152は、信号のパラメータ、例えば、数例を挙げると、エネルギー振幅(例えば、電圧)、並びにパケット数、一パケット内でのパルス数、及びパルスシーケンスの基本周波数で構成される、加えられるエネルギーの持続時間を規定する。追加的なパラメータは、二相パルスでの極性間のスイッチ時間、二相サイクル間の無駄時間、及びパケット間の静止時間を含み得、これについては後述のセクションでより詳細に説明する。パケット間には一定静止期間があってもよく、又はパケットは、心周期に同期(gated)されて出力されてもよく、それゆえ、患者の心拍によって変わる。パケット間には、意図的な可変の静止期間アルゴリズムがあっても、又は静止期間が用いられなくてもよい。センサー情報に基づくフィードバックループ、及び自動停止仕様などが含まれてもよい。
【0157】
[00214] 図2Aは、エネルギー送達アルゴリズム152によって定められた信号の波形400の実施形態を示す。ここで、2つのパケット、第1のパケット402及び第2のパケット404が示されており、パケット402、404は静止期間406だけ分離されている。この実施形態では、各パケット402、404は、第1の二相サイクル(第1の正のパルスピーク408及び第1の負のパルスピーク410を含む)及び第2の二相サイクル(第2の正のパルスピーク408’及び第2の負のパルスピーク410’を含む)で構成されている。第1及び第2の二相パルスは、各パルス間の無駄時間412(すなわち休止期)だけ分離される。この実施形態では、二相パルスは対称的であるため、設定電圧416は、正及び負のピークで同じである。ここで、二相の対称的な波はまた方形波であり、正電圧波の大きさ及び時間は、負電圧波の大きさ及び時間とほぼ等しい。バイポーラ形態を使用するとき、負電圧波に直面する壁Wの細胞の部分は、これらの領域において、細胞脱分極を受け、ここでは、通常負電荷を帯びている細胞膜領域が、短期間、正になる。反対に、正電圧波に直面する壁Wの細胞の部分は、過分極を受け、ここでは、細胞膜領域の電位は、極端に負になる。二相パルスの各正相又は逆相において、壁Wの細胞の部分は、反対の効果を受けることが認識され得る。例えば、負電圧に直面する細胞膜の部分は、脱分極を受ける一方で、この部分に対して180°の部分は、過分極を受ける。いくつかの実施形態では、過分極部分は、分散又はリターン電極140に直面する。
【0158】
A.電圧
[00215] 使用され且つ考慮される電圧は、方形波形の最大値(tops)であっても、正弦波形若しくは鋸歯波形のピーク値であっても、又は正弦波形若しくは鋸歯波形のRMS電圧であってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーはモノポーラ式に送達され、及び各高電圧パルス又は設定電圧416は、約500V~10,000V、特に、数例を挙げると、約3500V~4000V、約3500V~5000V、約3500V~6000Vであり、約3000V、3500V、4000V、4500V、5000V、5500V、6000Vを含む、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。組織へ届けられる電圧は、器械102の固有のインピーダンスに起因する、器械102の長さ部分に沿った電気損失を考慮しながら、又は長さ部分に沿った損失を考慮しないで、すなわち、送達された電圧は発生器で又は器械のチップで測定され得るかのいずれかで、発生器104での設定点に基づき得る。
【0159】
[00216] 設定電圧416は、エネルギーがモノポーラ式で送達されるか又はバイポーラ式で送達されるかに依存して、変化し得ることが認識され得る。バイポーラ送達では、より小さく、より指向性の電界に起因して、より低い電圧が使用され得る。治療法で使用するために選択されたバイポーラ電圧は、電極の分離距離に依存する一方で、1つ以上の距離を置いた分散パッド電極を使用するモノポーラ電極形態では、体に置かれるカテーテル電極及び分散電極の正確な配置をあまり考慮しないで、届けられ得る。モノポーラ電極の実施形態では、およそ10cm~100cmの実効分離距離の分散電極に到達するために体を通じて送達されるエネルギーの分散的なふるまいに起因して、より大きな電圧が一般に使用される。反対に、バイポーラ電極形態では、電極の比較的近い、1mm~1cmを含む、およそ0.5mm~10cmにある活性領域が、分離距離から組織へ送達される電気エネルギー濃度及び有効量により大きな影響を及ぼす。例えば、適切な組織の深さ(1.3mm)で所望の臨床効果を引き起こすための、目標とする電圧対距離の比が3000V/cmである場合、分離距離が1mmから1.2mmに変更される場合、これは、300から約360Vへの治療電圧の必然的な上昇、20%の変化を生じる。
【0160】
B.周波数
[00217] 1秒当たりの二相サイクル数は、信号が連続的であるときの周波数であることが認識され得る。いくつかの実施形態では、二相パルスは、望ましくない筋肉刺激、特に心筋刺激を減らすために使用される。他の実施形態では、パルス波形は単相であり、及びはっきりとした固有周波数はない。その代わりに、基本周波数は、周波数を導き出すために、単相パルス長を2倍にすることによって、考慮され得る。いくつかの実施形態では、信号の周波数は、100kHz~1MHz、より詳細には100kHz~1000kHzの範囲内である。いくつかの実施形態では、信号の周波数は、約100~600kHzの範囲内であり、一般に、幾分深い位置にある特定の細胞、例えば粘膜下細胞や平滑筋細胞を治療する又はそれらに影響を及ぼすために、管腔壁に侵入する。いくつかの実施形態では、信号の周波数は、約600kHz~1000kHz又は600kHz~1MHzの範囲内であり、一般に、幾分浅い特定の細胞、例えば上皮細胞又は内皮細胞を治療する又はそれらに影響を及ぼすために、管腔壁に侵入する。いくつかの電圧において、100~250kHzの又はそれを下回る周波数は、望ましくない筋肉刺激を引き起こし得ることが認識され得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、信号の周波数は、400~800kHz又は500~800kHzの範囲内、例えば500kHz、550kHz、600kHz、650kHz、700kHz、750kHz、800kHzである。特に、いくつかの実施形態では、信号の周波数は600kHzである。さらに、心拍同期駆動方式は、一般に、感受性リズム期中の望ましくない心筋刺激を減らすか又は回避するために利用される。さらに高い周波数は、信号アーチファクトを最小限にする成分と一緒に使用され得ることが認識され得る。
【0161】
C.電圧-周波数のバランス
[00218] 送られる波形の周波数は、治療電圧に対して同期して変わり、適切な治療効果を保持し得る。そのような相乗的な変化は、周波数の低下を含み、これは、より弱い効果を引き起こす電圧の低下と併せて、より強い効果を引き起こす。例えば、場合によっては、治療は、800kHzの波形周波数でモノポーラ式に3000Vを使用して実施され得るが、他の場合には、治療は、400kHzの波形周波数で2000Vを使用して実施され得る。
【0162】
[00219] 反対方向で使用されるとき、治療パラメータは、効果を高くしすぎるように操作され得、これは、気道治療のために、軟骨などの望ましくない組織に対する筋収縮の可能性又はリスク効果を高め得る。例えば、周波数が高くされ且つ電圧が低下される、例えば800kHzで2000Vを使用する場合、治療は、十分な臨床的な治療効果を有していない可能性がある。反対に、電圧が3000Vへ上昇され、且つ周波数が400kHzへ低下される場合、副次的な感受性組織に対して望ましくない治療効果限度になる可能性がある。場合によっては、これらの望ましくない組織の過剰治療は、気道虚脱を引き起こすのに十分な気道における軟骨組織の破壊、又は正常な蠕動運動の停止を引き起こすのに十分なGI管における平滑筋の破壊など、患者に対して病的状態又は安全性の懸念を生じ得る。他の場合には、非標的の又は望ましくない組織の過剰治療は、良性の臨床転帰を有し、且つ患者が過剰治療される場合でも、患者の反応又は病的状態に影響を及ぼさない可能性がある。
【0163】
D.パケット
[00220] 上述の通り、アルゴリズム152は、一連のエネルギーパケットを含む波形を有する信号を定め、各エネルギーパケットは一連の高電圧パルスを含む。サイクルカウント420は、各二相パケット内のパルス数の半分である。図2Aを参照して説明すると、第1のパケット402は、2サイクルのサイクルカウント420を有する(すなわち4つの二相パルス)。いくつかの実施形態では、サイクルカウント420は、パケット当たり1~100に設定され、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、サイクルカウント420は、5パルスまで、10パルスまで、25パルスまで、40パルスまで、60パルスまで、80パルスまで、100パルスまで、1,000パルスまで又は2,000パルスまでであり、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0164】
[00221] パケット持続時間は、いくつかある要因の中で特に、サイクルカウントによって決定される。一般に、サイクルカウントが高いほど、パケット持続時間は長くなり、且つ送達されるエネルギー量は大きくなる。いくつかの実施形態では、パケット持続時間は、数例を挙げると、約50~1000マイクロ秒の範囲内にあり、例えば50μs、60μs、70μs、80μs、90μs、100μs、125μs、150μs、175μs、200μs、250μs、100~250μs、150~250μs、200~250μs、500~1000μsである。他の実施形態では、パケット持続時間は、約100~1000マイクロ秒の範囲内にあり、例えば150μs、200μs、250μs、500μs、又は1000μsである。
【0165】
[00222] 治療中に送られるパケット数、又はパケットカウントは、一般に120~280パケットを含み、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0166】
[00223] 例示的なパラメータの組み合わせは以下を含む:
【0167】
【表1】
【0168】
E.静止期間
[00224] いくつかの実施形態では、静止期間406と呼ばれるパケット間の時間は、約0.1秒~約5秒に設定され、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。他の実施形態では、静止期間406は、約0.001秒~約10秒に及び、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、静止期間406は約1秒である。特に、いくつかの実施形態では、信号は心調律と同期されるため、各パケットは、心拍に対して指定期間内で同期して送られ、そのため、静止期間は心拍と一致する。心拍同期駆動方式が用いられる他の実施形態では、後述のセクションで説明するように、静止期間406は、パケット間の静止期間が心拍同期駆動方式による影響を受け得るため、変化し得る。
【0169】
F.スイッチ時間及び無駄時間
[00225] スイッチ時間は、図2B~2Cに示すように、遅延、すなわち二相パルスの正のピークと負のピークとの間に送達されるエネルギーがない期間である。図2Bは、二相パルス(正のピーク408及び負のピーク410を含む)であって、それらの間にスイッチ時間403を有する、二相パルスの様々な例を示す(しかしながら、スイッチ時間403がゼロのときには、現れない)。いくつかの実施形態では、スイッチ時間は、約0~約1マイクロ秒に及び、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。他の実施形態では、スイッチ時間は、1~20マイクロ秒に及び、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。他の実施形態では、スイッチ時間は、約2~約8マイクロ秒に及び、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。図2Cは、有効電界閾値とスイッチ時間との間の関係を示す。
【0170】
[00226] 遅延はまた、二相パルスの各サイクル間に差し挟まれてもよく、「無駄時間」と呼ばれる。無駄時間は、一パケット内であるが、二相パルス間に発生する。これは、パケット間に発生する静止期間とは対照的である。他の実施形態では、無駄時間412は、約0~0.5マイクロ秒、0~10マイクロ秒、2~5マイクロ秒、0~20マイクロ秒、約0~約100マイクロ秒、又は約0~約100ミリ秒の範囲内にあり、それらの間の全ての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、無駄時間412は、0.2~0.3マイクロ秒の範囲内にある。無駄時間はまた、パケット内の、別々の単相のパルス間の期間を規定するために使用され得る。
【0171】
[00227] スイッチ時間及び無駄時間などの遅延は、パケットに導入されて、波形内の二相打ち消しの影響を低下させる。二相打ち消しは、特にスイッチ時間及び無駄時間が短い、例えば10μs未満のときに、二相波形対単相波形に反応して細胞調節の誘発を減少させることを指すために使用される用語である。この現象に関する1つの説明がここに提供されるが、おそらく、二相波形からの調節を少なくする、他の生物学的、物理的、又は電気的特性又は変化であることが認識され得る。細胞が、電界の存在によって誘発される起電力に曝されると、細胞内液及び細胞外液内のイオン及び溶質の動電学的な動きがある。これらの電荷は、細胞及びオルガネラ膜などの誘電体境界に蓄積し、静止膜電位(TMP:transmembrane potential)を変化させる。電界が除去されると、操作されたTMPを発生させた駆動力もなくなり、且つ濃度勾配で動作する通常の生体輸送及びイオン動力学が、溶質の標準的な分布を復元し始める。これにより、膜上で、操作されたTMPの対数減衰を誘発する。しかしながら、電界をなくすのではない場合、電界極性は、逆の極性で保持され、その場合には、誘発された既存のTMPを積極的になくす、新しい起電力が存在し、それに、反対の極性でのTMPの蓄積が続く。最初に操作されたTMPのこの積極的な減少は、細胞に発生し得る下流効果カスケードをかなり制限し、初めの電界曝露からの治療効果を弱める。さらに、逆の極性による後続の電界が、発生された元々のTMP操作をまず「取り消す」必要があり、その後、反対の極性において、それ自体のTMPを蓄積し始める場合;電界の第2の相によって到達する最終的なTMPは、サイクルの各相の同一の持続時間を前提とすると、元々のTMPほどは強くない。これは、波形の各相から発生した治療効果を低下させ、サイクルのいずれかのパルスが単独で達成したであろうものによって発生したものよりも治療効果が低くなる。この現象は二相打ち消しと呼ばれる。多くのサイクルのあるパケットでは、このパターンが、パケットの、全組のサイクルにわたって、及びそのサイクル内での相変化で、繰り返される。これは、治療からの効果を劇的に制限する。細胞のふるまいが、純粋に膜電位操作以外のメカニズムによってパルス電界の結果として調節されるとき、二相打ち消しの効果はあまりはっきりせず、それゆえ、治療結果に対するスイッチ時間及び無駄時間の影響は低下されることが認識され得る。
【0172】
[00228] それゆえ、いくつかの実施形態では、二相打ち消しの影響は、スイッチ時間遅延及び無駄時間を導入することによって、低下される。場合によっては、スイッチ時間及び無駄時間は、双方とも、効果を強めるために、一緒に長くされる。他の場合には、スイッチ時間のみ又は無駄時間のみが、この効果を誘発するために長くされる。
【0173】
[00229] 一般に、適切なタイミングは、5×充電時定数τ後に完了するためのTMPの緩和のためであることが認識され得る。ほとんどの細胞では、時定数は1μsと見積られ得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、スイッチ時間及び無駄時間は双方とも、二相打ち消しをなくすために、少なくとも5μsに設定される。他の実施形態では、二相打ち消しの減少は、極性を逆にする前は、完全な細胞緩和を求めない可能性があり、それゆえ、スイッチ時間及び無駄時間は双方とも0.5μs~2μsに設定される。他の実施形態では、スイッチ時間及び無駄時間は、これらの遅延のさらなる増加が治療効果の上昇及び筋収縮の副次的な増加の点で、再発を減らすだけである可能性があるため、個々のパルス長と同じ長さに設定される。このようにして、より長いスケールのパルス持続時間(>500ns)と、かなりのスイッチ時間及び無駄時間の遅延のある、積み重ねられたパルスサイクルとの組み合わせで、二相打ち消しに起因して起こる治療効果の大幅な低下がなく、二相波形を使用することが可能である。場合によっては、これらのパラメータを合わせることは、筋収縮の同等の比例的増加を伴わずに、より強い治療効果を引き起こすために実施され得る。例えば、スイッチ時間=無駄時間=1.66マイクロ秒(2×パルスとしての持続時間)で、600kHzの波形を使用することは、筋収縮の低下対単相パルス波形を保持するだけでなく、より強い治療効果も保持するために使用され得る。
【0174】
[00230] いくつかの実施形態では、スイッチ時間の持続時間は、遠隔の細胞効果に対する治療効果の程度が治療法の標的に最適にされるように、調整される。いくつかの実施形態では、スイッチ時間の持続時間又は無駄時間の持続時間は最小限にされて、局所的な治療効果を少なくして遠隔の筋細胞収縮を低下させる。他の実施形態では、スイッチ時間の持続時間は延長されて、追加的な遠隔の筋細胞収縮の可能性と共に局所的な治療効果を高める。いくつかの実施形態では、スイッチ時間又は無駄時間の持続時間は延長されて、局所的な治療効果を高め、且つ神経筋麻痺の使用が、結果として生じる筋収縮の増加を制御するために用いられる。いくつかの実施形態では、スイッチ時間の持続時間は10ns~2μsであるが、他の実施形態では、スイッチ時間の持続時間は2μs~20μsである。場合によっては、膜電位操作が、標的治療効果を引き起こすために必要な一次機構ではないように、細胞調節を標的とするとき、スイッチ時間及び無駄時間の遅延は、0.1μs未満へ又は0μsへと最小限にされる。この遅延の排除によって、骨格筋収縮又は心筋活動電位及び収縮などの、末梢の非標的治療効果を最小にする。
【0175】
[00231] 二相波形に対して、治療効果を高めるために、スイッチ時間及び無駄時間の遅延を用いる別の利益は、発生器の需要の減少であり、それにより、休止期の導入が、非対称的/不平衡なパルス波形を必要とすることなく、より強い治療効果を可能にする。この場合、不平衡な波形は、単相であるものか、又は一方の極性の他方の極性に対する不平衡な持続時間若しくは電圧若しくは組み合わせを有するものと説明される。場合によっては、不平衡は、波形の正の部分の積分が、波形の負の部分の積分に等しくないことを意味する。不平衡波形を送ることができる発生器は、それにより潜在的に発生器の複雑さを高めることが考慮される、別の組の設計の検討事項を有する。
【0176】
G.波形
[00232] 図2Aは、一方の方向におけるパルスの電圧及び持続時間(すなわち、正又は負)が、他方の方向におけるパルスの電圧及び持続時間と等しくなるような、対称的なパルスを有する波形400の実施形態を示す。図2Dは、別のエネルギー送達アルゴリズム152によって定められる例示的な波形400を示し、ここでは、波形400は電圧不平衡を有する。ここで、2つのパケット、第1のパケット402及び第2のパケット404が示されており、パケット402、404は、静止期間406だけ分離されている。この実施形態では、各パケット402、404は、第1の二相サイクル(第1の電圧V1を有する第1の正のパルスピーク408、及び第2の電圧V2を有する第1の負のパルスピーク410を含む)と、第2の二相サイクル(第1の電圧V1を有する第2の正のパルスピーク408’、及び第2の電圧V2を有する第2の負のパルスピーク410’を含む)とで構成されている。ここで、第1の電圧V1は第2の電圧V2を上回る。第1及び第2の二相サイクルは、各パルス間で、無駄時間412だけ分離される。それゆえ、一方の方向(すなわち、正又は負)における電圧は、他方の方向における電圧を上回るため、曲線の正の部分の内側の領域は、曲線の負の部分の内側の領域と等しくない。この不平衡波形は、支配的な正又は負の振幅が、同じ電荷を帯びている細胞膜帯電電位のより長い持続時間を生じるため、より明白な治療効果を生じ得る。この実施形態では、第1の正のピーク408は、第1の負のピーク410の設定電圧416’(V2)よりも大きい設定電圧416(V1)を有する。図2Eは、同等でない電圧を有する波形のさらなる例を示す。ここで、4つの異なるタイプのパケットが、簡潔に説明するために単一の図に示されている。第1のパケット402は、電圧は同等でないがパルス幅は等しいパルスで構成され、スイッチ時間及び無駄時間がない。それゆえ、第1のパケット402は、4つの二相パルスで構成され、それぞれ、第1の電圧V1を有する正のピーク408、及び第2の電圧V2を有する負のピーク410を含む)。ここで、第1の電圧V1は第2の電圧V2を上回る。第2のパケット404は、電圧は同等でないが対称的なパルス幅を有するパルスで構成され(第1のパルス402におけるような)、スイッチ時間が無駄時間に等しい。第3のパケット405は、電圧は同等でないが対称的なパルス幅を有するパルスで構成され(第1のパルス402におけるような)、スイッチ時間が無駄時間よりも短い。第4のパケット407は、電圧は同等でないが対称的なパルス幅を有するパルスで構成され(第1のパルス402におけるような)、スイッチ時間が無駄時間よりも長い。いくつかの実施形態では、二相波形の正相及び逆相は、同一ではないが、平衡状態にあり、ここで、一方の方向(すなわち、正又は負)における電圧は、他方の方向における電圧を上回るが、パルスの長さは、正相の曲線の内側の領域が逆相の曲線の内側の領域と等しくなるように計算されることが認識され得る。
【0177】
[00233] いくつかの実施形態では、不平衡は、同等でない持続時間のパルス幅を有するパルスを含む。いくつかの実施形態では、二相波形は不平衡であり、一方の方向における電圧が、他方の方向における電圧と等しくなるようにするが、一方の方向(すなわち、正又は負)における持続時間は、他方の方向における持続時間を上回るようにするため、波形の正の部分の曲線の内側の領域は、波形の負の部分の曲線の内側の領域と等しくない。
【0178】
[00234] 図2Fは、同等でないパルス幅を有する波形のさらなる例を示す。ここで、4つの異なるタイプのパケットが、簡潔に説明するために単一の図に示されている。第1のパケット402は、電圧は等しいがパルス幅は同等でないパルスで構成され、スイッチ時間及び無駄時間はない。それゆえ、第1のパケット402は、第1のパルス幅PW1を有する正のピーク408、及び第2のパルス幅PW2を有する負のピーク410をそれぞれ含む4つの二相パルスで構成される)。ここで、第1のパルス幅PW1は第2のパルス幅PW2を上回る。第2のパケット404は、電圧は等しいがパルス幅は同等でないパルス(第1のパルス402におけるような)で構成され、スイッチ時間は無駄時間と等しい。第3のパケット405は、電圧は等しいがパルス幅は同等でないパルス(第1のパルス402におけるような)で構成され、スイッチ時間は無駄時間よりも短い。第4のパケット407は、電圧は等しいがパルス幅は同等でないパルス(第1のパルス402におけるような)で構成され、スイッチ時間は無駄時間よりも長い。
【0179】
[00235] 図2Gは、別のエネルギー送達アルゴリズム152によって定められた例示的な波形400を示し、波形は単相であり、波形の正の部分のみ又は負の部分のみがある、特例の不平衡である。ここで、2つのパケット、第1のパケット402及び第2のパケット404が示されており、パケット402、404は、静止期間406だけ分離されている。この実施形態では、各パケット402、404は、第1の単相パルス430及び第2の単相パルス432で構成される。第1及び第2の単相パルス430、432は、各パルス間で無駄時間412だけ分離される。この単相波形は、同じ帯電細胞膜電位がより長い持続時間維持されるため、より望ましい治療効果を生じ得る。しかしながら、隣接する筋群は、二相波形と比較して、単相波形によってより刺激される。
【0180】
[00236] 図2Hは、単相パルスを有するさらなる例の波形を示す。ここで、4つの異なるタイプのパケットが、簡潔に説明するために単一の図に示されている。第1のパケット402は、同一の電圧及びパルス幅を有するパルスで構成され、スイッチ時間がなく(パルスが単相でるため)、且つ無駄時間は活動時間と等しい。場合によっては、無駄時間の持続時間は、所与のパルスの活動時間よりも短くてもよい。それゆえ、第1のパケット402は、正のピークをそれぞれ含む3つの単相パルス430で構成される。無駄時間が活動時間と等しい場合には、波形は、無駄時間のない、2×活動時間の繰返し周期を基本周波数が表し、不平衡であるとみなされ得る。第2のパケット404は、等しい電圧及びパルス幅を有する単相パルス430(第1のパケット402におけるような)で構成され、無駄時間がより長い。第3のパケット405は、等しい電圧及びパルス幅を有する単相パルス430で構成され(第1のパケット402におけるような)、及び無駄時間がさらに長い。第4のパケット407は、等しい電圧及びパルス幅を有する単相パルス430で構成され(第1のパケット402におけるような)、無駄時間がさらに長い。
【0181】
[00237] いくつかの実施形態では、不平衡波形は、1つの極性において2つ以上のパルスを送った後で、反対の極性の、同じ個数ではないパルスへ逆になるようにすることによって、達成される。図2Iは、そのような相の不平衡を有する波形のさらなる例を示す。ここで、4つの異なるタイプのパケットが、簡潔に説明するために単一の図に示されている。第1のパケット402は、等しい電圧及びパルス幅を有するが、反対の極性パルスが単相パルスと混合される4つのサイクルで構成される。それゆえ、第1のサイクルは、正のピーク408及び負のピーク410を含む。第2のサイクルは単相であり、後続の負のパルスがない単一の正のパルス430を含む。その後、これが繰り返される。第2のパケット404は、二相サイクルと単相サイクルとの混合(第1のパケット402におけるような)で構成されるが、パルスは同等でない電圧を有する。第3のパケット405は、二相サイクルと単相サイクルとの混合(第1のパケット402におけるような)で構成されるが、パルスは同等でないパルス幅を有する。第4のパケット407は、二相パルスと単相パルスとの混合(第1のパケット402におけるような)で構成されるが、パルスは、同等でない電圧及び同等でないパルス幅を有する。それゆえ、複数の組み合わせ及び変形が可能である。図2Jは、正電圧及び負電圧の双方において不平衡である波形の例を示す。ここで、パケットは、第1の正のパルスピーク408及び第1の負のパルスピーク410を有して示されており、これらの電圧は、第2の正のパルスピーク408’及び第2の負のパルスピーク410’よりも大きい。これらの異なるサイクルが、パケットを通して繰り返す。
【0182】
[00238] 同等でない波形の有用性に関して、達成される不平衡なTMP操作は、二相打ち消しの意味合いを減少させる。完全な不平衡としてのモノポーラ波形に近づく不平衡の程度と、TMP操作の強度との間には相関関係がある。これは、治療効果の程度と筋収縮の程度との間に比例関係を生じる。それゆえ、より不平衡な波形に近づくことによって、純粋な平衡な二相波形から生じるものよりも、二相波形に関して、同じ電圧及び周波数(妥当な場合)で、強い治療効果を可能にする。例えば、あるパケット内で830ns-415ns-830ns-などのパルス長シーケンスで引き起こされる治療効果は、元の相の持続時間の半分であるサイクルの後半を構成するパルスを有する。これは、サイクルの第2の相によるTMP操作の誘発を制限するだけでなく、逆TMPの生成を少なくし、元の長さで、後続のサイクルにおける元の極性からのより強い効果を可能にする。別の例では、波形の「正」の部分は、2500Vとし得、「負」の部分は、1500Vであり(2500-1250-2500-Vなど)、これは、TMP分極に、パルス持続時間不平衡に関して説明されたものと同等の効果を誘発する。これらの場合の双方とも、反対の極性強度の操作は、サイクルの正のパルスに関し、累積的に強くなるTMP操作を生じる。それゆえ、これは、二相打ち消しの効果を低下させ、且つ組織へ送達される総エネルギーの堆積が少なくても、830-830-830ns又は2500-2500-2500Vのプロトコルよりも強い治療効果を生成する。このようにして、TMP操作が治療の作用機序に不可欠であるとき、組織へ送達する総エネルギーはより少ないが、所望の治療効果を引き起こすことが可能である。
【0183】
[00239] さらに詳細には、完全に不平衡な波形は、いずれの反対の極性成分も含まないが、依然として、正相のみにおいて送られるパルスの短時間部分を含み得る。この例は、830nsの正極性、送達されるエネルギーのない830nsの休止期、それに続いて別の830nsの正極性などを含む、パケットである。負のパルスの不在は、「負」の部分に関しこれらのパラメータのいずれかをゼロに設定することと等価であるため、パルス長不平衡であるか又は電圧不平衡であるかを問わず、同じ手法が真である。
【0184】
[00240] しかしながら、適切な治療の実施は、二相波形によって提供される利点、すなわち二相打ち消しから生じる筋収縮の低下が、同じように低下されることを考慮する。それゆえ、適切な治療効果の程度は、容認できる筋収縮の程度と釣り合いを保たれる。例えば、理想的な電圧不平衡は、2500-1000-2500-…V、又は2500-2000-2500-…V;又は830-100-830-…ns、又は830-500-830-…nsとし得る。
【0185】
H.波形形状
[00241] 図2Kは、別のエネルギー送達アルゴリズム152によって定められた例示的な波形400を示し、ここで、パルスは、方形波ではなく正弦波形状である。ここでも、2つのパケット、第1のパケット402及び第2のパケット404が示されており、ここで、パケット402、404は、静止期間406だけ分離されている。この実施形態では、各パケット402、404は、3つの二相パルス440、442、444で構成される。及び、これらのパルス440、442、444は、方形波ではなく、正弦波形状である。正弦波形状の1つの利益は、平衡又は対称的であり、それにより、各相の形状が等しいことである。平衡状態にあることにより、望ましくない筋肉刺激の減少を支援し得る。他の実施形態では、パルスは、減衰形状の波形を有することが認識され得る。
【0186】
[00242] エネルギー送達は、様々な機構、例えば器械102のアクチュエータ132、又は発生器104に動作可能に接続された足踏みスイッチの使用によって、作動され得る。そのような作動は、一般に、単一エネルギー線量を提供する。エネルギー線量は、送られるパケット数、及びパケットの電圧によって定義される。標的組織へ送達される各エネルギー線量は、温度を、標的組織において又はその内部で、熱アブレーション、特に基底膜における間質タンパク質又はより深部の粘膜下細胞外タンパク質マトリックスの熱アブレーション又は変性の閾値未満に維持する。さらに、線量は、治療的処置(treatment procedure)の最中の熱的な高まりをさらに減少させるか又はなくすために、長い時間をかけて調整され得るか又は加減され得る。治療法にとって危険な部位における、タンパク凝固と定義される熱損傷を誘発する代わりに、エネルギー線量は、感受性組織を損傷することなく、癌などの状態の治療を誘発するレベルでエネルギーを提供する。
【0187】
III.管腔内配置及びエネルギー送達
[00243] 上述の通り、1つの配置構成では、エネルギー送達本体108が体管腔内に位置決めされ、且つエネルギーは、管腔壁へ又は管腔壁を通って、管腔内にある、管腔壁内にある、管腔壁を少なくとも部分的に囲む、又は管腔壁外にあるのいずれかの標的組織へ送達される。それゆえ、標的組織は、体管腔内に位置決めされたエネルギー送達本体108から治療できる。
【0188】
[00244] このセクションで説明する治療機器及びシステムは、管腔アクセス、及びすぐ近くの標的組織を治療するために管腔壁の方へ向けての治療エネルギーの送達のために構成されている。治療エネルギーは、一般的に、極めて重要な解剖学的構造、例えば細胞外マトリックス中の組織レベルの構造タンパク質をほとんど又は全く破壊せずに、標的組織の除去を可能にする高電圧パルスによって特徴づけられる。これにより、危険な副作用、数例を挙げると、狭窄、血栓形成又は瘻管形成などを予防し、且つまた、処置後数日内で健康な新しい管腔組織の再生を可能にする。このタイプの治療法を提供するシステムの例は、米国仮特許出願第62/355,164号及び同第62/489,753号の優先権を主張する国際特許出願番号PCT/US2017/039527号(「GENERATOR AND A CATHETER WITH AN ELECTRODE AND A METHOD FOR TREATING A LUNG PASSAGEWAY」)、米国仮特許出願第62/610,430号の優先権を主張する国際特許出願番号PCT/US2018/067501号(「METHODS, APPARATUSES, AND SYSTEMS FOR THE TREATMENT OF DISORDERS」)、並びに2017年12月 26日出願の米国仮特許出願第62/610,430号、及び2018年7月3日出願の米国仮特許出願第62/693,622号の優先権を主張する国際特許出願番号PCT/US2018/067504号(「OPTIMIZATION OF ENERGY DELIVERY FOR VARIOUS APPLICATIONS」)(これら全てを本願明細書に援用する)を含む、同一出願人による特許出願に説明されている肺組織修正システム(例えば、エネルギー送達カテーテルシステム)を含む。
【0189】
[00245] 図3Aは、治療エネルギー送達カテーテル又は器械102の実施形態を示す。この実施形態では、器械102は、長尺状シャフト106を有し、少なくとも1つのエネルギー送達本体108がその遠位端部の近くにあり、及びハンドル110がその近位端部にある。器械102は、治療システム100の一部としての発生器104に接続可能である。発生器104への器械102の接続によって、いくつかある特徴の中で特に、電気エネルギーをエネルギー送達本体108へもたらす。この実施形態では、エネルギー送達本体108は、近位端部束縛部122及び遠位端部束縛部124によって束縛される複数のワイヤ又はリボン120を含み、且つ電極としての機能を果たす螺旋形のバスケットを形成する。代替的な実施形態では、ワイヤ又はリボンは、螺旋形に形成される代わりに、直線である(すなわち、直線形状のバスケットを形成するように構成される)。さらに別の実施形態では、エネルギー送達本体108は、チューブからレーザ切断される。様々な他の設計を使用してもよいことが認識され得る。例えば、図3Bは、パドル形状を有するエネルギー送達本体108を示す。この実施形態では、エネルギー送達本体108は、平らなパッド又はパドルを形成するように配置された複数のワイヤ又はリボン120で構成される。そのようなエネルギー送達本体108は可撓性であり、シャフト106内へと後退される。図3Aに戻ると、この実施形態では、エネルギー送達本体108は、自己拡張型であり、且つ潰れた形態で標的部位へ送出される。この潰れた形態は、例えば、エネルギー送達本体108の上側を覆ってシース126を配置することによって、達成され得る。器械シャフト106(シース126内)は、近位端部束縛部122で終端し、遠位端部束縛部124を本質的に軸方向に束縛されていない状態にし、且つ器械102のシャフト106に対して自由に動けるようにする。エネルギー送達本体108の上側にわたってシース126を進めることによって、遠位端部束縛部124を前方へ動かすことができ、それにより、エネルギー送達本体108を長くして/潰して、束縛する。
【0190】
[00246] この例に示すように、器械102は、その近位端部にハンドル110を含む。いくつかの実施形態では、ハンドル110は、ハンドル取り外しボタン130を押すことなどによって、取り外し自在である。この実施形態では、ハンドル110は、エネルギー送達本体操作ノブ又はアクチュエータ132を含み、アクチュエータ132の動きによって、バスケット形状の電極の拡張又は後退/潰れを引き起こす。この例では、ハンドル110はまた、内視鏡や他のタイプの可視化デバイスとの任意選択的な接続のためのワーキングポートスナップ部134、及び発生器104との接続のためのケーブル差込口136を含む。数例を挙げると、血管造影法(任意選択的にマーカを含む)、コンピュータ断層撮影法、光干渉断層法、超音波、及びダイレクトビデオ可視化(direct video visualization)を含む、様々なタイプの可視化が使用され得ることが認識され得る。
【0191】
[00247] この実施形態では、治療エネルギー送達器械102は、患者Pの皮膚に外部に当てられる分散(リターン)電極140と一緒に、発生器104と接続可能である。それゆえ、この実施形態では、モノポーラエネルギー送達は、器械102の遠位端部の近くに配置されたエネルギー送達本体108とリターン電極140との間にエネルギーを供給することによって、達成される。しかしながら、バイポーラエネルギー送達及び他の配置構成が代わりに使用されてもよいことが認識される。バイポーラエネルギー送達を使用するとき、治療エネルギー送達器械102は、全体的な設計が異なって複数のエネルギー送達本体108を含むようにしてもよいし、又は全体的な設計は同様に見えて、バイポーラ式に機能するように構成される単一のエネルギー送達本体108を含むようにしてもよい。場合によっては、バイポーラエネルギー送達は、モノポーラエネルギー送達と比べると、治療効果を達成するために、より低い電圧の使用を可能にする。バイポーラ形態では、陽極及び陰極は、互いに十分に近くにされて、電極の両極に及び電極の両極間にの双方で治療効果をもたらす。これは、より大きく、より浅い表面領域にわたって治療効果を波及し得るため、モノポーラと比べて、治療効果を達成するためにより低い電圧を必要とする。同じように、侵入深さを浅くするために、このより低い電圧が使用されてもよい。さらに、より低い電圧条件は、心筋細胞の刺激を回避するために、送達される電圧が十分に低い場合の特定の場合に、心拍同期駆動方式の使用を不要にし得る。
【0192】
[00248] この実施形態では、発生器104は、ユーザインターフェース150、1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152、プロセッサー154、データ記憶/検索ユニット156(メモリ及び/又はデータベースなど)、及び送達されるべきエネルギーを発生させ且つ蓄積するエネルギー蓄積サブシステム158を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンデンサが、エネルギー蓄積/送達に使用されるが、任意の他の好適なエネルギー蓄積素子が使用されてもよい。さらに、1つ以上の通信ポートが含まれる。
【0193】
[00249] いくつかの実施形態では、発生器104は、3つのサブシステム:1)高エネルギー蓄積システム、2)高電圧・中周波スイッチング増幅器、及び3)システムコントローラ、ファームウェア、及びユーザインターフェースを含む。システムコントローラは、パルス状エネルギー出力を患者の心調律に同期させることができる心拍同期駆動方式トリガーモニタを含む。発生器は、交流電流(AC)電源から取り込んで、複数の直流(DC)電源装置に給電する。発生器のコントローラは、エネルギー送達が開始される前に、DC電源装置に、高エネルギーコンデンサ蓄積バンクを充電させるようにし得る。治療エネルギー送達の開始時、発生器のコントローラ、高エネルギー蓄積バンク及び二相パルス増幅器は、高電圧の中周波出力を生み出すように同時に動作し得る。
【0194】
[00250] エネルギー送達アルゴリズムを実行するために多数の発生器電気アーキテクチャが用いられ得ることが認識される。特に、いくつかの実施形態では、パルス電界回路を、同じエネルギー蓄積及び高電圧付与システムとは別のエネルギー送達電極へ切り替える高度のスイッチングシステムが使用される。さらに、急変するパルスパラメータ(例えば、電圧、周波数など)又は複数のエネルギー送達電極を用いる、高度のエネルギー送達アルゴリズムにおいて用いられる発生器は、モジュール式エネルギー蓄積及び/又は高電圧システムを利用し、高度にカスタマイズ可能な波形及び地理的なパルス送達パラダイムを容易にし得る。本明細書で上述する電気アーキテクチャは、例にすぎず、パルス電界を送るシステムは、追加的なスイッチング増幅器構成要素を含んでも又は含まなくてもよいことをさらに認識されるべきである。
【0195】
[00251] ユーザインターフェース150は、オペレータが、患者データを入力し、治療アルゴリズム(例えば、エネルギー送達アルゴリズム152)を選択し、エネルギー送達を開始し、記憶/検索ユニット156に記憶された記録を見て、及び/又はその他の点で発生器104と通信できるようにするタッチスクリーン及び/又はより伝統的なボタンを含み得る。ユーザインターフェース150は、患者データを入力するために音声起動型の機構を含み得るか、又は室(suite)内の追加的な設備装置と通信できるようにし得るため、発生器104の制御は、第2の別個のユーザインターフェースによる。
【0196】
[00252] いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース150は、オペレータが定義した入力を受信するように構成されている。オペレータが定義した入力は、エネルギー送達の持続時間、エネルギー送達パルスの1つ以上の他のタイミング状況、電力、及び/又は動作モード、又はそれらの組み合わせを含み得る。例示的な動作モードは、(限定されるものではないが):システム開始及びセルフテスト、オペレータ入力、アルゴリズム選択、治療前システムステータス及びフィードバック、エネルギー送達、エネルギー送達後ディスプレイ若しくはフィードバック、治療データの見直し及び/又はダウンロード、ソフトウェアの更新、又はそれらのいずれかの組み合わせ若しくはサブコンビネーションを含み得る。
【0197】
[00253] いくつかの実施形態では、システム100はまた、心電図(ECG)を取得するための機構、例えば外部心臓モニター170を含む。例示的な心臓モニターは、AccuSync Medical Research Corporationから入手可能である。いくつかの実施形態では、外部心臓モニター170は、発生器104に動作可能に接続される。心臓モニター170は、ECG信号を連続的に取得するために使用され得る。外部電極172が患者Pに用いられて、ECGを取得する。発生器104は、1つ以上の心周期を分析し、且つエネルギーを患者Pに与えても安全である期間の始まりを特定するため、エネルギー送達を心周期と同期させる能力をもたらす。いくつかの実施形態では、この期間は、(ECG QRS群の)R波のミリ秒以内であり、エネルギーパルスがT波で送られる場合に起こり得る不整脈の誘発を回避する。そのような心拍同期駆動方式は、一般に、モノポーラエネルギー送達を使用するときに利用されるが、他のエネルギー送達方法の一部として利用されてもよいことが認識される。
【0198】
[00254] いくつかの実施形態では、プロセッサー154は、いくつかの活動の中でも特に、エネルギー送達アルゴリズムを修正する及び/又は切り替え、エネルギー送達及び任意のセンサーデータを監視し、且つ監視したデータにフィードバックループを介して反応する。いくつかの実施形態では、プロセッサー154は、1つ以上の測定されたシステムパラメータ(例えば、電流)、1つ以上の測定された組織パラメータ(例えば、インピーダンス)、及び/又はそれらの組み合わせに基づいて、フィードバック制御ループを実行するために1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成されている。
【0199】
[00255] データ記憶/検索ユニット156は、実施される治療に関連するようなデータを記憶し、且つ任意選択的に、機器(例えば、ラップトップ又はサムドライブ)を通信ポートに接続することによって、ダウンロードされ得る。いくつかの実施形態では、機器は、情報、例えば、データ記憶/検索ユニット156に記憶され且つプロセッサー154によって実行可能な命令などのダウンロードを指示するために使用されるローカルソフトウェアを有する。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース150は、オペレータが、機器及び/又はシステム、限定されるものではないが、例えばコンピュータ機器、タブレット、携帯機器、サーバ、ワークステーション、クラウド・コンピューティング装置/システムなどへのデータのダウンロードを選択できるようにする。有線及び/又は無線接続性を可能にできる通信ポートが、ちょうど説明されたようにデータのダウンロードだけでなく、専用アルゴリズムのアップロード又はソフトウェアの更新の提供など、データのアップロードも可能にし得る。
【0200】
[00256] データ記憶/検索ユニット156は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、データベース、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能リードオンリーメモリ(EEPROM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリなどとし得る。データ記憶/検索ユニット156は、プロセッサー154に、システム100に関連付けられるモジュール、処理及び/又は機能を実行させる命令を記憶し得る。
【0201】
[00257] いくつかの実施形態では、データ記憶/検索ユニット156は、様々なコンピュータ実現操作を実行するための命令又はコンピュータコードを有する非一時的なコンピュータ可読媒体(非一時的なプロセッサー可読媒体とも呼ばれる)を備える、コンピュータストレージ製品を含む。コンピュータ可読媒体(又はプロセッサー可読媒体)は、一時的に伝搬する信号それ自体を含まないという意味で、非一時的である(例えば、空間又はケーブルなどの伝送媒体で、情報を伝える電磁波を伝搬する)。媒体及びコンピュータコード(コードとも呼ばれる)は、1つ又は複数の特定の目的のために設計及び構築されるものとし得る。非一時的コンピュータ可読媒体の例は、限定されるものではないが:磁気記憶媒体、例えばハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープ;光学式記憶媒体、例えばコンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVDs)、コンパクトディスク-リードオンリーメモリ(CD-ROMs)、及びホログラフィ装置;光磁気記憶媒体、例えば光ディスク;搬送波号処理モジュール;及びプログラムコードを記憶及び実行するように特別に構成されたハードウェア装置、例えばASIC、プログラム可能論理回路(PLDs)、リードオンリーメモリ(ROM)及びランダム-アクセスメモリ(RAM)機器を含む。本明細書で説明する他の実施形態は、例えば、本明細書で説明する命令及び/又はコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0202】
[00258] コンピュータコードの例は、限定されるものではないが、マイクロコード又はマイクロ命令、コンパイラによって作り出されるものなどの機械命令、ウェブサービスを作り出すために使用されるコード、及びインタープリタを使用するコンピュータによって実行されるより高レベルの命令を含むファイルを含む。例えば、実施形態は、命令型プログラミング言語(例えば、C、Fortranなど)、関数型プログラミング言語(Haskell、Erlangなど)、論理型プログラミング言語(例えば、Prolog)、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、Java、C++など)又は他の好適なプログラミング言語及び/又は開発ツールを使用して実行され得る。コンピュータコードの追加的な例は、限定されるものではないが、制御信号、暗号化コード、及び圧縮コードを含む。
【0203】
[00259] いくつかの実施形態では、システム100は、例えば、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークとして実装されるローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、仮想ネットワーク、電気通信ネットワーク、データネットワーク、及び/又はインターネットなどの、任意のタイプのネットワークとし得るネットワークに、通信式に結合され得る。いくつかの実施形態では、いずれの通信も又は全ての通信は、任意の好適な安全通信のタイプ及び/又は方法(例えば、SSL:secure sockets layer)及び/又は暗号化を使用して、安全にされ得る。他の実施形態では、いずれの通信も又は全ての通信は、安全対策が実施されることができない。
【0204】
[00260] 本明細書で説明するように、様々なエネルギー送達アルゴリズム152は、メモリ又はデータ記憶/検索ユニット156に記憶するなど、発生器104にプログラム可能であるか、又は予めプログラムできる。或いは、エネルギー送達アルゴリズムは、プロセッサー154によって実行されるように、データ記憶/検索ユニットに加えられ得る。プロセッサー154は、例えば、汎用プロセッサー、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサー(DSP)などとし得る。プロセッサー154は、アプリケーションプロセス、及び/又はシステム100及び/又はシステム100に関連付けられたネットワークに関連付けられた他のモジュール、プロセス及び/又は機能を実施及び/又は実行するように構成され得る。本明細書では、用語「モジュール」は、例えば、メモリ、プロセッサー、電気トレース、光コネクタ、ソフトウェア(ハードウェアで実行)などを含み得る、任意のアセンブリ及び/又は動作可能に結合された電気部品の組を指す。例えば、プロセッサーで実行されるモジュールは、ハードウェアベースのモジュール(例えば、FPGA、ASIC、DSP)及び/又はそのモジュールと関連する1つ以上の特定の機能を実行できるソフトウェアベースのモジュール(例えば、メモリに記憶される及び/又はプロセッサーで実行されるコンピュータコードのモジュール)の任意の組み合わせとし得る。
【0205】
[00261] これらのアルゴリズム152はそれぞれ、プロセッサー154によって実行され得る。いくつかの実施形態では、器械102は、数例を挙げると、温度、インピーダンス、抵抗、静電容量、導電率、誘電率、及び/又はコンダクタンスを決定するために使用され得る1つ以上のセンサー160を含む。1つ以上のセンサー160は、特に検知されるパラメータに応じて、様々な箇所に配置され得ることが認識され得る。例えば、センサーは、エネルギー送達本体108に沿って、器械の内部に沿って、シャフト106に沿って、器械120から突出する要素に沿ってなどで、置かれ得る。複数のセンサー160は、単一のメトリック値の測定値(例えば平均温度、平均電圧曝露、平均導電率など)をコンパイルするために、同じパラメータを複数の部位で検知する、異なるパラメータを異なる部位で検知する、又は異なる部位でパラメータをサンプリングするために存在し得る。その代わりに又はそれに加えて、1つ以上のセンサー160は、別個の機器に置かれ得る。センサーデータは、プロセッサー154によって治療法を計画し、治療法を監視し及び/又は直接的なフィードバックを提供するために使用され得、これは、その後、エネルギー送達アルゴリズム152を変化させ得る。例えば、インピーダンス測定値は、加えられる初期線量を決定するために使用され得るだけでなく、さらなる治療が必要か否かを決定するためにも使用され得る。
【0206】
[00262] システム100は、温度、様々な電圧若しくはAC周波数でのインピーダンス、治療持続時間若しくはエネルギー送達パルスの他のタイミング状況、治療電力及び/又はシステムステータスなどの入力に反応して、治療に動的に反応して調整する及び/又は終了できる自動治療実施アルゴリズムを含み得ることが認識される。
【0207】
[00263] いくつかの実施形態では、撮像は、市販のシステム、例えば別個の撮像画面と接続される内視鏡を使用して、達成される。撮像モダリティは、器械102に組み込まれ得るか、又は器械102と一緒に若しくは併せて使用され得ることが認識される。撮像モダリティは、任意の好適な機構を使用して、器械102に機械的に、動作的に、及び/又は通信的に結合され得る。
【0208】
[00264] 上述の通り、1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152は、患者に送達するために、発生器104にプログラム可能であるか、又は予めプログラムできる。1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152は、非熱的(例えば熱アブレーションの閾値未満;凝固性熱損傷を誘発する閾値未満)である、送達されるエネルギーを、管腔壁へもたらす電気信号を特定し、炎症を減少させるか又は回避する、及び/又は管腔構造における間質タンパク質の変性を予防する。概して、アルゴリズム152は、予め決められた深さまで組織に影響を及ぼすように及び/又は送達されるエネルギーに対する特定のタイプの細胞応答を標的とするように合わせられる。深さ及び/又は標的の決定は、1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152、器械102の設計(特に1つ以上のエネルギー送達本体108)、及び/又はモノポーラ若しくはバイポーラエネルギー送達の選択によって定められたエネルギー信号のパラメータの影響を受け得ることが認識され得る。一般に、数例を挙げると、0.01cmまで、0.02cmまで、0.01~0.02cm、0.03cmまで、0.03~0.05cm、0.05cmまで、0.08cmまで、0.09cmまで、0.1cmまで、0.2cmまで、0.5cmまで、0.7cmまで、1.0cmまで、1.5cmまで、2.0cmまで、2.5cmまで、3.0cmまで、3.5cmまで、4.0cmまで、4.5cmまで、又は5.0cmまでの深さ。これらの深さは、周囲の病巣標的ではより深くてもよいし、又は管腔及び実質組織を通って全周囲の深さに対して存在してもよい。
【0209】
[00265] 図4~7は、例示的な治療方法を示す。特に、図4は、健康な組織Hと一緒に、異常又は病変組織D、例えば腫瘍を示す。この例では、病変組織Dは、管腔壁W及び内腔Lを有する管腔構造LSを取り囲む。この管腔構造LSは、病変組織Dにアクセスし且つ管腔構造LSの近くの病変組織Dの部分を治療するために使用される。図5は、エネルギー送達本体108が望ましくは内部に位置決めされるように、管腔L内を進められる器械102の実施形態を示す。その後、図5に示すように、壁Wへエネルギーを効率的に送達するために、エネルギー送達本体108が拡張される(例えば、管腔壁Wに接触するように拡張される)。いくつかの実施形態では、解剖学的構造のタイプに応じて、エネルギー送達本体108は、壁W自体に接触しなくてもよく、その代わりに、壁Wに沿って、エネルギーを壁Wへ伝える又は他の方法で移すことができる物質又は他の存在物(entity)、例えば食塩水、血液、粘液などに接触してもよいことが認識され得る。その後、エネルギーは、1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152に従って、管腔Lから半径方向外向きに延在する波形の矢印によって、図5に示すように、送達される。エネルギーは、壁Wを通り、ある距離だけ病変組織D内に侵入し、その境界は、管腔構造LSの周辺の破線200によって示されている。病変組織内への距離は、数例を挙げると、パラメータ値、治療時間及び組織型に基づいて、変わり得ることが認識され得る。本明細書で示すものよりも深い又は浅い治療深さが達成され得ることも認識され得る。
【0210】
[00266] 送達されるエネルギーは、必要に応じて病変組織Dを治療する。癌の場合、癌細胞は、破壊され、なくされ、殺され、除去されるなどするが、非癌性の非細胞成分、例えばコラーゲン、エラスチン、及び基質タンパク質は維持する。これらの非細胞成分は、管腔構造の壁Wの構造を維持し、標準的な細胞再生を可能にし且つ促す。それゆえ、異常又は病変細胞及び組織は十分になくされながらも、管腔構造の完全性及び機械的特性は維持される。場合によっては、エネルギーは、全身性の細胞傷害の蓄積及び回復不能な細胞恒常性の破壊などによって、細胞を直接殺すことが認識され得る。これは、管腔構造の周りに、病変組織のない部位を生じる。その後、残っている病変組織は、外科的に除去されても、又は一般に管腔の近くの組織を安全に治療することができない他の方法によって除去されてもよい。
【0211】
[00267] 図6は、エネルギー送達完了後に、管腔構造LSから器械102が除去された状態を示す。この実施形態では、治療された組織の縁部分又はセグメント(破線200内)は、管腔構造LSを取り囲んでいる。それゆえ、この実施形態では、壁Wは、ある深さ又は距離で壁Wを取り囲む組織と一緒に、エネルギーによって治療されている。周囲の組織への侵入距離は異なり得ることが認識され得る。同じように、いくつかの実施形態では、管腔構造LSの壁Wは、病変組織D内への最小限の侵入で又は侵入せずに、治療される。これは、主な関心事が、腫瘍又は疾患が管腔構造LS内に、壁W内に存在する及び/又は体管腔内から壁Wへ侵入していることであるときに、有益とし得る。しかしながら、管腔構造LSの周りに治療された組織の縁部分を生み出すことは、管腔構造LSに支障をきたすことなく、病変組織Dを安全に切除できるようにするために、望まれることが多い。
【0212】
[00268] 図7は、破線200によって示される、治療された組織まで病変組織Dを切除した状態を示す。その結果、患者は、管腔構造LSを無傷に保ちながら、首尾よく病変組織Dがなくなる。それゆえ、以前は切除不能であった腫瘍及び病変組織は、切除可能になり、以前はそのようなオプションがなかった場合、又はオプションの信頼性が低すぎた及び/又はオプションを実施するには複雑すぎた場合に、治癒目的で治療できるようになる可能性がある。そのような方法が、他の治療目標を達成するために使用されても又は修正されてもよいことが認識され得る。そのような治療が、組織を大部分除去(debulking)して又は大部分除去せずに、組織の機能を回復させるために使用されてもよい。そのような治療が、疼痛を軽減する又はなくすために使用されてもよい。そのような治療は、単独の治療でも、又は例えば残っている組織領域に対処するために、他の治療、例えば手術、他のエネルギーモダリティ、薬理学ベースの治療学及び他のアプローチと組み合わせて使用されてもよい。例えば、そのような治療は、切除又はアブレーション治療、又は薬理学ベースの治療、又は放射線療法による治療より前に、例えば2時間前、1日前、3日前、7日前、14日前、28日前、60日前、90日前又はそれよりも前に、取り組まれ得る。或いは、そのような治療は、切除又はアブレーション治療と同じ処置の最中に、並びに外科的切除及び/又は大部分除去後に、取り組まれ得る。そのような治療は、単一のセッションで起こり得るか又は一連の複数の治療の実施で達成され得ることが認識され得る。
【0213】
[00269] 場合によっては、病変組織Dの部位は、治療法によって生まれたアブレーションゾーンと比べて小さいため、病変組織Dの全部位は、首尾よく治療され得ることが認識され得る。
【0214】
[00270] 場合によっては、エネルギーは、遺伝子、薬物又は他の生理活性化合物のトランスフェクションのために、標的細胞への高分子取り込みを促す。
【0215】
[00271] 治療はまた、これらの効果の組み合わせを利用し得、例えばほとんどの表層細胞を直接殺す一方で、より深部の標的細胞を、治療又はある程度の補助物質(adjuvant material)の取り込みや追加的な治療法からの効果の影響をより受けやすくすることが認識され得る。さらに、治療はまた、これらの効果の組み合わせを利用し得、例えば、より深部の標的細胞を直接殺す一方で、ほとんどの表層細胞を、治療又はある程度の補助物質の取り込みや追加的な治療法からの効果の影響をより受けやすくすることが認識され得る。
【0216】
[00272] それゆえ、治療は、低侵襲で、迅速且つ簡単に実行可能であり、及び電極配置への感受性が比較的低く(例えばモノポーラ配置構成に起因して)、それゆえ、様々な能力レベルの技術者が、高レベルの一貫性並びに功を奏する結果を達成することが可能である。いくつかの実施形態では、モノポーラ配置構成は、使用されるエネルギーの波形特性に起因して、筋肉麻痺の必要なく、可能である。これは、神経筋麻痺があっても又はなくても、運動ニューロンからの筋収縮、及び骨格筋脱分極を許容できるレベルまで軽減し得る。それゆえ、管腔を通して遠く離れたパッドに向けて、モノポーラに向けられた治療の実施を行うことが可能になり、より予測可能且つ望ましい治療ゾーンを生じる。麻痺は、エネルギーのタイプ及び望まれる侵入深さに応じて、任意選択的に使用されてもよいことが認識され得る。
【0217】
[00273] 図8A~8Cは、気管支樹BTの気道に沿って位置する望ましくない組織の塊の例を示す。そのような塊は、数例を挙げると、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、嚢胞、又は病変組織の部位とし得る。この例では、第1の塊M1は、気管支樹BTの左側に示されている。この第1の塊M1は、気道AWに隣接して位置し、且つ気道AWの壁Wへと増殖して、気道の管腔内へ侵入している。図8Aは、気管支樹BT内へと進められ、その遠位端部103が第1の塊M1の近くに位置決めされている器械102を示す。その後、エネルギー送達本体108が器械102のシャフト106から進められる。この実施形態では、エネルギー送達本体108は、バスケット形状の電極を含む。エネルギー送達本体108は、第1の塊M1及び壁Wに接触するように、拡張される。その後、そこへエネルギーがもたらされて、第1の塊M1を治療する。この実施形態では、そのような治療は、モノポーラであり、且つ第1の塊M1の破壊を生じるが、壁Wの細胞外マトリックス、従って構造的完全性を維持する。この例では、第2の塊M2は、気管支樹BTの右側に示されている。この第2の塊M2は、気道AWの壁Wに位置し、複数の部分が体管腔内へ、及び気道AW外へと延在している。図8Bは、器械102が、気管支樹BT内へと進められ、その遠位端部103が、第2の塊M2の近くに位置決めされている状態を示す。その後、エネルギー送達本体108が、器械102のシャフト106から進められる。この実施形態では、エネルギー送達本体108は、バスケット形状を有する電極を含む。しかしながら、この例では、エネルギー送達本体108は拡張しておらず、潰れた形態のままである。エネルギー送達本体108は、第2の塊M2と接触して置かれている。その後、そこへエネルギーがもたらされて、第2の塊M2を治療する。この実施形態では、そのような治療は、モノポーラであり、且つ第2の塊M2の破壊を生じるが、壁Wの細胞外マトリックス、従って構造的完全性を維持する。この例では、第3の塊M3は、気管支樹BTの一番右側に示されている。この第3の塊M3は、2つの気道AW間の分岐部に位置する。図8Cは、器械102が、気管支樹BT内へと進められ、その遠位端部103が第3の塊M3の近くに位置する状態を示す。この実施形態では、2つのエネルギー送達本体108が、器械102のシャフト106から進められる。この実施形態では、エネルギー送達本体108はそれぞれ、バスケット形状を有する電極を含む。エネルギー送達本体108は、分岐部の別個の気道に置かれるため、第3の塊M3がそれらの間に置かれるようにする。その後、そこへエネルギーがもたらされて、第3の塊M3を治療する。そのような治療はモノポーラとし得るか、又は2つのエネルギー送達本体108のそれぞれが、バイポーラ式に第3の塊M3へエネルギーを送達する極の機能を果たし得ることが認識され得る。いずれの場合も、そのような治療は、第3の塊M3の破壊を生じるが、壁Wの細胞外マトリックス、従って構造的完全性を維持する。
【0218】
[00274] 図9A~9Cは、説明のために、例示的な管腔構造の断面を示す。各例では、エネルギーは、断面の層を通って周囲組織へ侵入する波形の矢印として概略的に示される。明瞭にするために、機器は図示されていない。図9Aは、壁Wを有する動脈Aの断面を示す。ここで、壁Wは、内皮細胞EC、内弾性膜IEM、平滑筋細胞SM、外弾性膜EEM及び外膜層(adventitial layer)ALを含む複数の層で構成される。内皮細胞ECは、下層の基底膜すなわち内弾性膜IEMに付着しており、この膜は、主にラミニン、IV型コラーゲン、ニドジェン(nidogen)、パールカン(perlecan)、XV型コラーゲン及びXVIII型コラーゲン、フィブロネクチン、ヘパリン硫酸プロテオグリカンパールカン、及び他の高分子を含む薄いシートのような構造である。基底膜標本から、少なくとも20種の細胞外タンパク質が特定されている。これらのタンパク質のほとんどは、全てでないにしても、組織特定機能を有する。内弾性膜IEMの下部には、層間基質コラーゲン、細線維、プロテオグリカン、糖タンパク質、及び基質によって分離される弾性線維と平滑筋細胞SMとで構成された同心のラメラ単位で数層の収縮性血管平滑筋細胞SMがある。動脈は、例えば、静脈よりも多くのコラーゲン及びエラスチンを有する。大血管の平滑筋細胞SM層の外部には、繊維状I及びIII型コラーゲン、コンドロイチン硫酸及びデルマタン硫酸プロテオグリカン、フィブロネクチン、及び多くの他の細胞外マトリックスタンパク質を含む、外弾性板及び間質マトリックスを越えて延在する外膜層がある。
【0219】
[00275] 治療エネルギーは、これらの層を通過して、細胞を殺すか又は変化させるが、非細胞成分、例えばコラーゲン、エラスチン、及び基質タンパク質は維持する。上述の通り、これらの非細胞成分は、壁Wの構造を維持して、標準的な細胞再生を可能にして促す。それゆえ、管腔構造は維持されるが、異常又は病変細胞及び組織は十分になくされる。
【0220】
[00276] 同様に、図9Bは、胃腸管腔構造、特に壁Wを有する小腸SIの断面を示す。ここで、壁Wは、4層の特殊組織で構成される-管腔から外向きに:粘膜M、粘膜下SBM、筋層ML及び漿膜S(組織が腹腔内の場合)/外膜(組織が腹腔後の場合)-これらの最後の2つの組織のタイプは、それらが属している胃腸管の部分によって、形態及び機能がわずかに異なる。粘膜の最も露出している部分である上皮は、多くの杯細胞がある腺上皮である。杯細胞は粘液を分泌し、粘液は、腸壁に沿った食物の通過を円滑にし、且つ消化酵素から腸壁を保護する。小腸では、絨毛は、粘膜のひだであり、腸の表面積を増大させる。絨毛は、リンパ系に接続された管である乳び管を含み、脂質及び組織液の除去を支援する。微絨毛は、乳び管の上皮に存在し、且つ吸収が行われ得る表面積をさらに増大させる。ポケットのような陥入としての多数の腸腺が、下層組織に存在する。大腸には、絨毛はなく、及び数千個の腺のある平らな表面が観察される。上皮の下層には、固有層があり、これは、筋線維芽細胞、血管、神経、及びいくつかの異なる免疫細胞、及び消化管に沿った継続的な蠕動及びカタスタルシスの動作を支援する平滑筋の層である粘膜筋板を含む。粘膜下層は、粘膜下神経叢(マイスナー神経叢(Meissner’s plexus))を含む神経、血管、及びコラーゲンを備える弾性線維を含み、弾性線維は、伸張して容量を増大させるが、腸の形状は維持する。これを取り囲んでいるのは、筋層であり、これは、縦平滑筋及び輪状平滑筋の双方を含み、同様に、継続的な蠕動、及び消化管に沿ってそこから出る消化物の動きを助ける。2層の筋肉の間に、筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢(Auerbach’s plexus))がある。最後に、疎性結合組織で構成され且つ腸が他の組織とこすれ合うことからのいずれの摩擦損傷も防止するように粘液で被覆されている、漿膜/外膜がある。
【0221】
[00277] ここでも、治療エネルギーは、これらの層を通過して、細胞を殺すか又は変化させるが、非細胞成分は維持する。同じように、これらの非細胞成分は、壁Wの構造を維持して、標準的な細胞再生を可能にして促す。それゆえ、管腔構造は維持されるが、異常又は病変細胞及び組織は十分になくされる。
【0222】
[00278] そして最後に、図9Cは、壁Wを有する尿管Uの断面を示す。尿管は、尿管の伸張に応答できる移行上皮の一種である尿路上皮UMで覆われている。移行上皮は、緩和時には円柱上皮のように、及び膨張時には扁平上皮のように見える。上皮の下には、固有層LPが存在する。固有層は、血管、静脈及びリンパ管がちりばめられた多くの弾性線維のある疎性結合組織で構成されている。尿管は、2つの筋層、内縦走筋、及び外輪状筋又は螺旋状筋によって取り囲まれている。そのような図は、管腔構造が、少なくとも細胞成分及び非細胞構造成分の双方を含めて、構造において共通していることを示す。それゆえ、壁Wへ送達される治療エネルギーは、細胞を殺すか又は変化させるが、非細胞成分を維持することに関して、同様の効果を有する。非細胞成分は、壁Wの構造を維持して、標準的な細胞再生を可能にして促す。それゆえ、管腔構造は維持されるが、異常又は病変細胞及び組織は十分になくされる。
【0223】
[00279] いくつかの実施形態では、器械102は、凸凹した表面、例えば小腸SIの粘膜層M及び尿管Uの尿路上皮UMの治療を支援し得る、可撓性且つ適合性のあるエネルギー送達本体108を有する。いくつかの実施形態では、図10~11に示すように、エネルギー送達本体108は、一方の端部は閉鎖され且つその他方の端部はカテーテル102の遠位端部に取り付けられている膨張性部材1051を含む。それゆえ、これらの実施形態では、膨張性部材1051は、器械102の遠位端部に取り付けられた単一の開放端部を有する、連続した「バルーン」のように見える。図10は、カテーテル102のシャフト106内へ後退された膨張性部材1051を示しており、膨張性部材1051は、裏返しにされている。これにより、シャフト106内での膨張性部材1051のコンパクトな収納を可能にする。展開すると、膨張性部材1051は、シャフト106の遠位側に拡張され、図11に示すように膨張性部材1051を裏返す。
【0224】
[00280] いくつかの実施形態では、膨張性部材1051は、膨張性部材1051の複数の部分を管腔構造、例えば小腸SIのひだ内に延在させるように膨張して、図12に示すような指のような突出部を生み出すように構成されている。図12は、粘膜層Mに沿って凸凹した表面を有する、例示的な小腸SIの断面図である。図10~11の膨張性部材1051は、その内部で膨張されて示されており、膨張性部材1051は、ひだ又は絨毛内への指のような突出部を形成する。
【0225】
[00281] 図13Aに示すようないくつかの実施形態では、膨張性部材1051は、非常に細い電極トレースを含み、これらは活性化ポイント1061で交差して、「斑点のある」外観をもたらす。ここで、膨張性部材1051は、モノポーラ配置構成で使用されるように構成されている。しかしながら、他の実施形態では、膨張性部材1051は、活性化ポイント1061がバイポーラ式に又は外部分散パッドを使用してマルチポーラ式に機能するように配置される。図13Bは、膨張性部材1051が、電極の機能を果たすコンプライアント編組1063によって取り囲まれている実施形態を示す。場合によっては、コンプライアント編組1063は、膨張性部材1051に埋め込まれ、及び他の場合には、コンプライアント編組1063は別個であり、膨張性部材1051は膨張して、コンプライアント編組1063を展開させる。図13Cは、膨張性部材1051が、マルチポーラ式に機能するように配置された活性化ポイント1061を含む実施形態を示す。
【0226】
[00282] いくつかの実施形態では、エネルギーは、液体電極の使用と同時に、例えば、ひだ及び/又は絨毛を含む、凸凹した表面へ送達される。いくつかの実施形態では、液体電極は、既存の管腔構造内の導電性溶液、例えば粘液で構成される。他の実施形態では、液体電極は、管腔構造へ、特に標的部位内へ送給される導電性溶液で構成される。一般に、そのような導電性溶液は、高張食塩水、カルシウム、又は他の成分を含み、且つ上流セグメントへ送給されて、下流のひだの多くに到達する。そのため、治療の実施は、本明細書で上述するようにエネルギー送達本体108を有するカテーテル102、又は導電性溶液を活性化するように構成された単純な電極(例えば鈍端プローブ)を有するカテーテルのいずれかを経由して、行われる。いくつかの実施形態では、その後、導電性溶液は除去され、及び他の実施形態では、導電性溶液は、再吸収されるように取り残される。いくつかの実施形態では、導電性溶液は、高張溶液、等張溶液、又は特殊導電性溶液(例えばカルシウム、銀など)で構成され、これにより、治療効果を組み合わせることが認識され得る。
【0227】
[00283] いくつかの実施形態では、液体電極は、エネルギー送達本体108内に配置される導電性溶液で構成される。例えば、いくつかの実施形態では、エネルギー送達本体108は、バスケット形状を形成する編組ワイヤ電極と、編組ワイヤ電極バスケット内に配置される多孔質拡張可能部材(例えば、レーザドリル穴のあるバルーン)とを含む。拡張可能部材の膨張によって、編組ワイヤ電極バスケットを展開し、且つ導電性溶液が多孔質拡張可能部材からしみ出ることができるようにする。脈管構造内などの、血液が充満した環境では、その周りを循環している血液は、多孔質拡張可能部材からしみ出る導電性溶液と相互作用し、それにより仮想電極を作る。それゆえ、導電性溶液は、電気回路の第2の極を形成し、バイポーラ電極形態を作る。別の実施形態では、第2の極の電極は、カテーテルの遠位チップに加えられて、バイポーラ回路のリターン極の機能を果たす。第2の極の電極は、任意の好適な導電材料、例えば白金金属チップで構成され得る。脈管構造内などの、血液が充満した環境では、その周りを循環している血液は、第2の極の電極と相互作用し、それにより、局部血液を仮想電極に変え、回路を完成する。これらの実施形態は、組織の治療のためにエネルギーの局所的なバイポーラ送達を可能にするが、隣接する構造の完全性に対する影響、及び心拍同期駆動方式の必要性を減らす。
【0228】
[00284] 図14で示すような、いくつかの実施形態では、エネルギー送達カテーテル又は器械102は、2017年12月26日出願の米国仮特許出願第62/610,430号、及び2018年7月3日出願の米国仮特許出願第62/693,622号の優先権を主張する、国際特許出願番号PCT/US2018/067504号(「OPTIMIZATION OF ENERGY DELIVERY FOR VARIOUS APPLICATIONS」)(これら全てを本願明細書に援用する)によるなど、病巣治療法を施せるように構成されている。この実施形態では、器械102は、ここでも、長尺状シャフト106を有し、その遠位端部の近くに少なくとも1つのエネルギー送達本体108、及びその近位端部にハンドル110を備える。この実施形態では、エネルギー送達本体108は、少なくとも1つの電極212が装着されたか又は組み込まれた、膨張性バルーンなどの拡張可能部材210を含む。エネルギー送達本体108は、潰れた形態で標的部位へ送出される。この潰れた形態は、例えば、エネルギー送達本体108の上側にわたってシース126を置くことによって、達成され得、これは、潰れた形態を維持して、円滑な送出を可能にする。展開が望まれるとき、シース126が後退されるか又は器械102が進められて、エネルギー送達本体108を拡張できるようにする。
【0229】
[00285] この実施形態では、電極212は、比較的広い表面領域及び薄い断面を有するパッドの形態を有する。パッド形状は、ワイヤ形状などの他の形状よりも広い表面領域を提供する。電極212は導電線と接続され、導電線は電極212を発生器104と電気的に接続する。この実施形態では、電極本体108は、4つの電極212a、212b、212c、212dを有するが、エネルギー送達本体208は、任意の数の電極212、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個以上を有し得ることが認識される。電極212は、拡張可能部材210に取り付けられたか又は拡張可能部材210に形成された可撓性回路パッド又は他の材料で構成され得る。電極212は、拡張可能部材210の周囲に半径方向に分布され得る、及び/又はそれらは、拡張可能部材210の長さ部分に沿って、長手方向に分布され得る。そのような設計は、展開及び引っ込みの品質を高めること、ユーザの動作を簡単にすること、且つ標準的な導入装置ルーメンとの互換性を促し、並びに不均一な表面にわたってより高い電界の一貫性を達成し得る。
【0230】
[00286] 病巣治療法は、図14に示すように、特に、管腔構造LSの壁Wの局所セグメントの近くにある腫瘍又は病変組織Dを治療するときに有用とし得る。使用中、器械102は、例えばガイドワイヤの上側をわたって、身体通路又は管腔L内へ、管腔Lの長さ部分に沿った病変セグメントまで進められる。例えば、第1の電極212aが励起され、且つ他の電極212b、212c、212dが励起されていないとき、エネルギーの全てが、第1の電気経路(波形の矢印によって示される)に沿って分散電極140へと流れる。これにより、電流に関するいずれかの自然発生する優先権が、第1の電気経路を流れる、誘発された電流によって打ち勝たれる、予測可能な経路を提供する。これは、第1の電気経路が通っている組織部位における治療効果を高め、且つ局所的な病変組織を治療するのに十分である。
【0231】
[00287] いくつかの実施形態では、病巣治療法は、局所的ではなく、管腔構造の周囲管腔の大部分又は全てを取り囲んでいる病変組織を治療するために用いられることが認識され得る。そのような場合には、エネルギーが、様々な電極を予め決められたパターンに及び/又は予め決められたパターンのエネルギーパラメータで励起することによってなど、扇状断面で、円周方向又は長手方向のいずれかに、病変領域全体に送達され得る。いくつかの実施形態では、様々な電極は、患者の皮膚に外部から加えられる分散(リターン)電極140に対して異なる電圧レベルで励起されることも認識され得る。電圧レベルの操作は、電界分布を操作するため、治療部位を形作る。
【0232】
[00288] いくつかの実施形態では、エネルギー送達本体108は、バイポーラ式に機能できる電極対を含むことが認識され得る。そのような実施形態では、電極対は、独立して、又はモノポーラエネルギー送達と同時に、動作し得る。いくつかの実施形態では、マルチポーラ配置構成が使用されてもよいことも認識され得る。そのような実施形態では、マルチポーラ配置構成は、独立して、又はモノポーラエネルギー送達と同時に、動作し得る。
【0233】
[00289] いくつかの実施形態では、エネルギーは、ステント植込み術などの管腔の構造的な治療法と併せて、管腔構造へ送達されることが認識され得る。そのような実施形態では、エネルギー送達本体108は、構造的な治療法に関連した形態を有し得る。例えば、図15に示すようないくつかの実施形態では、エネルギー送達本体108は、ステントの形態を有する。ステントは、一般に、閉塞の治癒又は改善を支援するために、管腔、例えば血管、管、又は導管内に一時的に又は永久に配置されるチューブ状の支持体とみなされる。いくつかの実施形態では、エネルギーは、図15の波形の矢印に示されるように、ステントによって送達される。いくつかの実施形態では、ステントは、治療後、適所に留まり、且つインプラントとして残されることが認識され得る。
【0234】
IV.管腔外配置及びエネルギー送達
[00290] 図16A~16Bは、治療システム100の別の実施形態を示す。ここで、システム100は、少なくとも部分的に体管腔外に位置する標的組織を治療するように構成され、治療は、体管腔からある距離で治療エネルギーを生じさせることから恩恵を受け得る。この実施形態では、システム100は、発生器104と接続可能な長尺状の器械102を含む。上述のシステムの構成要素の多くは、器械102、発生器104及び他の付属品の特定の態様などの、システム100のこの実施形態において用いられることが認識され得る。それゆえ、上記で提供されるそのような説明が、本明細書で下記に説明するシステム100に当てはまる。主な違いは、エネルギー送達本体108に関連する。
【0235】
[00291] ここで、器械102は、遠位端部103、近位端部107、及び少なくとも部分的にそれらを通って延在する少なくとも1つのルーメン105を有するシャフト106を含む。同じように、器械102はまた、少なくとも1つのエネルギー送達本体108を含む。この実施形態では、エネルギー送達本体108は、シャフト106のルーメン105内に配置されるプローブ500の形態を有する。プローブ500は、ルーメン105を通って進むことができ且つシャフト106の遠位端部103から延在できるプローブチップ502を有する(図16Aでは、詳細を示すために拡大されている)。この実施形態では、チップ502は、組織に侵入するように構成された尖った形状を有し、例えば針に似ている。それゆえ、この実施形態では、プローブチップ502は、管腔壁W及び周囲組織に侵入するために利用されるため、体管腔の外部の標的組織に挿入され得る。それゆえ、プローブ500は、管腔内で送出されるように十分な可撓性を有するが、管腔壁W及び標的組織に侵入するのに十分なコラム強さを有する。いくつかの実施形態では、器械102は、プローブチップ502が進められた距離をユーザに示すマーキングを有して、所望の配置を確実にする。
【0236】
いくつかの実施形態では、プローブは、シャフト106の遠位端部103から、約0.5cm未満、0.5cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm又は8cm超、延在する。いくつかの実施形態では、プローブは、シャフト106の遠位端部から1~3cm又は2~3cm延在する。いくつかの実施形態では、プローブは、18ゲージ、19ゲージ、20ゲージ、21ゲージ、22ゲージ、23ゲージ、24ゲージ、又は25ゲージである。いくつかの実施形態では、プローブ500は導電材料で構成されて、電極の機能を果たす。それゆえ、電極は、露出したプローブのサイズを有する。例示的な材料は、ステンレス鋼、ニチノール(nitinol)、コバルトクロム合金、銅、及び金を含む。それゆえ、これらの実施形態では、PEFエネルギーは、プローブ500を通してプローブチップ502へ伝えることが可能である。それゆえ、シャフト106は、絶縁材で構成されるか又は絶縁シースで被覆される。例示的な絶縁材は、ポリイミド、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリエーテルブロックアミドを含む。絶縁材は、シャフト106又はシースの長さ部分に沿って一貫性があっても又は変化してもよい。同じように、いずれの場合も、絶縁材は、一般に、完全な電気絶縁性である。しかしながら、いくつかの実施形態では、絶縁材は、ある程度の漏れ電流が侵入できる。
【0237】
[00292] プローブ500が励起されると、絶縁性シャフト106は、治療エネルギーから周囲組織を保護し、且つエネルギーをプローブチップ502(及びプローブ500のいずれかの露出部分)へ向け、これにより、治療エネルギーを周囲組織へ送達できる。それゆえ、チップ502は、送達電極の機能を果たし、且つそのサイズは、露出したプローブ500の量に基づいて選択され得る。より大きな電極が、より多量のプローブ500を露出させることによって形成され得、且つより小さい電極が、露出を少なくすることによって、形成され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー送達中に、露出したチップ502の長さ(その遠位端から絶縁性シャフトの遠位端縁まで測定された)は、0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.4cm、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、1cm、2cm、3cm、3cm超、8cmまで、0.1cm以下、0.3cm以下、0.5cm以下、1cm以下、0.2~0.3cm、0.1~0.5cm、0.1~1cm、並びにそれらの間の全ての範囲及び部分範囲内である。電極のサイズを変更することに加えて、チップ502は、シャフト106内へ後退することができ、非外傷性の内視鏡的な送達を可能にし、その後、所望通りに、標的組織に到達するように進むことができる。この実施形態では、前進及び引っ込みは、シャフト106の近位端部107に取り付けられたハンドル110にあるアクチュエータ132(例えばノブ、ボタン、レバー、スライド又は他の機構)によって制御される。シャフト106自体は、シャフト106の遠位端部103からプローブを進めて又は進めずに、標的組織の方へ向かって進められ得ることが認識され得る。いくつかの実施形態では、シャフト106の遠位端部は、管腔構造の外面又は患者の体の外面などから、組織内へ20cmまで進められる。
【0238】
[00293] ハンドル110は、特殊なエネルギープラグ510を使用して、発生器104に接続される。エネルギープラグ510は、ハンドル110に接続される第1の端部512と、発生器104に接続する第2の端部514とを有する。第1の端部512とハンドル110との接続は、図16Bにおいて、詳細のために拡大されている。この実施形態では、第1の端部512は、アダプタ516を有し、そこから接続線518が延在している。接続線518は、ハンドル110内のプローブ500の近位端部内へ挿入可能である。これにより、エネルギーを発生器104から接続線518を通ってプローブ500へ移送できる。それゆえ、プローブ500は、その長さ部分を通して電流を流すことができるが、絶縁シャフト106が存在するために、露出したチップ502のみが、エネルギーを組織へ送達する。
【0239】
[00294] 図17A~17Cは、エネルギープラグ510とハンドル110との間の接続の例を示す。上述の通り、この実施形態では、エネルギープラグ510の第1の端部512は、アダプタ516を有し、そこから接続線518が延在している。接続線518は導電性であり、且つ一般に、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、又はニチノールで構成される。それゆえ、発生器104からのエネルギーは、発生器104から、プラグ510を通って及び接続線518へ伝えることができる。この実施形態では、アダプタ516はハンドル110と接合可能であるため、接続線518はハンドル110に挿入される。図17A~17Bに示すように、ハンドル110は、接続線518が挿入可能である空洞530を有する。空洞530は、接続線518をプローブ500の近位端部内へ案内し、そこで、プローブ500は、少なくともその近位端部の近くでは中空形態を有して、接続線518を受け入れるようにする。接続線518がプローブ500内へ進められると、アダプタ516はハンドル110と係合する。この実施形態では、アダプタ516はネジ山532を有して、図17Cに示すようにハンドル110を係合状態に保持する。この実施形態では、接続線518は、少なくとも1つの曲がり部又はキンク534を含む。それゆえ、接続線518がプローブ500内で同軸方向に位置決めされると、キンク534は、同軸の軸から離れるように接続線を引いて、プローブ500と接触させる。エネルギーを接続線518からプローブ500へ伝えることができるようにするのは、この接触である。
【0240】
[00295] 図18A~18Cは、例示的な治療方法を示す。図18Aは、管腔構造LSの近くの、異常又は病変組織D、例えば腫瘍を示す。この例では、病変組織Dは、管腔構造LSの近くにあるが、管腔壁Wからは、ある距離で離間している。この管腔構造LSは、病変組織Dにアクセスし且つ管腔構造LSの近くの病変組織Dを管腔外で治療するために使用される。この実施形態では、内視鏡10の長尺状の挿入管14が、管腔構造LS内へ進められ、及びその遠位チップ16が、管腔壁Wの方へ操舵され、その管腔壁を越えると病変組織Dがある。ひとたび所望通り位置決めされたら、治療用器械150は、挿入管14内のルーメンを通して進められて、シャフト106の遠位端部103が、図18Bに示すように、内視鏡10のチップ16を越えて延在するようにする。この実施形態では、プローブチップ502は、壁Wに侵入するのを支援し、且つシャフト106は、プローブチップ502が病変組織D内に所望通りに位置決めされるまで、壁Wを横切って進められる。図18Cを参照すると、この実施形態では、プローブチップ502は、その後、シャフト106から進められて、所望のサイズの送達電極を作り上げるようにする。その後、エネルギーは、1つ以上のエネルギー送達アルゴリズム152に従って、図18Cにプローブチップ502から半径方向外向きに延在する波形の矢印によって示すように、プローブ500を通して病変組織Dへ送達される。病変組織内への距離は、パラメータ値、数例を挙げると、治療時間及び組織型に基づいて、変わり得ることが認識され得る。本明細書で説明するよりも深い又は浅い治療深さが達成され得ることも認識され得る。
【0241】
[00296] 送達されるエネルギーは、必要に応じて病変組織Dを治療する。癌の場合、癌細胞は、破壊され、なくされ、殺され、除去されるなどするが、非癌性の非細胞成分、例えばコラーゲン、エラスチン、及び基質タンパク質は維持される。これらの非細胞成分は、組織の構造を維持し、標準的な細胞再生を可能にして促す。同じように、近くの管腔構造LSの壁Wに到達するいずれのエネルギーも、管腔構造LSの完全性及び機械的特性を保持する。場合によっては、エネルギーは、全身性の細胞傷害の蓄積及び回復不能な細胞恒常性の破壊などによって、病変組織D内の細胞を直接殺すことが認識され得る。その後、残っているいずれの病変組織も、外科的に除去されても、又は一般に管腔構造の近くの組織を安全に治療することができない他の方法によって除去されてもよい。
【0242】
A.代替的なプローブ設計
[00297] プローブ500は、様々な形態及び構造を有し得ることが認識され得る。いくつかの実施形態では、プローブ500は、チューブ状形状を有するなど、中空である。そのような実施形態では、プローブ500は、ハイポチューブ又は金属チューブから形成され得る。そのようなチューブは、標的治療部位への一貫性があり且つ信頼性の高い操縦性を保証するために、所望の押す能力及びトルク能力、キンク性能、圧縮抵抗及び可撓性に対して最適にされ得る。同じように、そのようなチューブは、生産能力を最適にするために、カスタム仕様に設計された移行部、例えばレーザ切断及び削り出し(skive)特徴を、任意選択的なコーティングと共に、含み得る。いくつかの実施形態では、チューブは、プローブチップ502を形成するために、複数の刃先のある鋭い先端を有する。他の実施形態では、チューブは、鈍端の非外傷性チップを有する。いくつかの実施形態では、プローブ500は、棒形状を有するなど、中実である。これらのプローブはまた、最適にされ、且つハイポチューブと同様にカスタマイズされ得る。いくつかの実施形態では、中実プローブ500は、プローブチップ502を形成するために、対称的又は非対称的に切断された鋭い先端を有する。他の実施形態では、中実プローブ502は、鈍端の非外傷性チップを有する。
【0243】
[00298] プローブ500は、流体又は作用物質を送給するためのルーメンを含み得ることが認識され得る。そのようなルーメンは、プローブの内部にあっても又は外部にあってもよい。同じように、流体又は作用物質は、その内部にあるルーメン、又はシャフト106に沿って位置するポートなどを通して、シャフト106から直接送給され得る。
【0244】
[00299] いくつかの実施形態では、プローブ500は、複数のプローブ素子で構成され、各プローブ素子は、上述するように、個々のプローブ500と同様の特徴及び機能性を有する。それゆえ、いくつかの実施形態では、プローブ素子は、別個のプローブとみなされ得るが、簡潔にするために、プローブ素子は、器械102の同じシャフト106を通過させられるため、単一のプローブ500を構成するプローブ素子であると説明される。図19は、3つのプローブ素子500a、500b、500cを有する実施形態を示し、それぞれ、それぞれのプローブチップ502a、502b、502cを有する。プローブ素子500a、500b、500cは、シャフト106から、中心軸550から様々な方向に、例えば軸550に沿って、及び軸550から半径方向に離れるように反対方向へ湾曲して、延在する。これにより、病変組織Dの部位全体の様々な箇所にチップ502a、502b、502cを位置決めできるようにする。それゆえ、より大きなアブレーションゾーンが生み出され得る。これは、病変組織Dの部位がより大きいときに、複数の標的を治療するときに、又は標的が不正確な位置情報を有するときに、望まれ得る。プローブ素子500a、500b、500cは、独立して又は同時に展開され得ることが認識され得る。同じように、チップ502a、502b、502cは、独立して又は同時に励起され得る。チップ502a、502b、502cによって送達されるエネルギーは、同じエネルギー送達アルゴリズム152又は異なるエネルギー送達アルゴリズム152によってもたらされ得るため、同じ又は異なるエネルギーを送達する。プローブ素子500a、500b、500cは、複数の対のプローブ素子間で、モノポーラ式に又はバイポーラ式に機能し得る。同じように、プローブ素子500a、500b、500cは、モノポーラ式とバイポーラ式を組み合わせて機能し得ることが認識され得る。
【0245】
[00300] 1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個以上を含め、任意の数のプローブ素子が存在し得ることが認識され得る。同じように、プローブ素子は、シャフト106から同じ又は異なる距離で延在させられ得、及び同じ又は異なる湾曲を有し得る。図20では、3つのプローブ素子500a、500b、500cは、シャフト106から異なる距離で延在して示され、1つのプローブ素子500aは、最短距離で延在させられ、別のプローブ素子500bは、最長距離で延在させられ、及びさらに別のプローブ素子500cは、それらの間で延在させられる。これらのプローブ素子500a、500b、500cはまた、中心軸550から半径方向外向きに延在して、異なる湾曲を有するとして示される。ここで、1つのプローブ素子500aは、最大の湾曲を有し、別のプローブ素子500bには湾曲がなく、及びさらに別のプローブ素子500cは、それらの間の湾曲を有する。別の実施形態では、プローブ素子は、全く湾曲がなく、且つシャフト106から線形に出る。一般に、プローブ素子は、予め曲げられて、シャフト106からのプローブチップの前進によって、プローブ素子が、その予め曲げられた形状を取ることができるようにする。それゆえ、いくつかの実施形態では、様々な湾曲は、シャフト106から異なる量でプローブチップを進めることによって、利用され得る。
【0246】
[00301] いくつかの実施形態では、プローブ素子は、図21に示すように、花又は傘の形に半径方向外向きに曲がる。ここで、複数のプローブ素子500a、500b、500c、500d、500e、500fは、中心軸550から花の形に半径方向外向きに延在し、且つその周りで曲がるため、それらそれぞれのチップが、最終的には、近位方向に向けられる。いくつかの実施形態では、素子500a、500b、500c、500d、500e、500fは、等長であり、且つ等間隔であり、対称的な配置構成を形成する。他の実施形態では、素子500a、500b、500c、500d、500e、500fは、異なる長さを有して及び/又は異なる間隔を有して、無数の配置構成を形成する。
【0247】
[00302] エネルギーを伝えることができるプローブチップ502のサイズは、少なくとも部分的にプローブの上側にわたって延在する絶縁シース552を使用して、さらに調整され得ることが認識され得る。上述の通り、プローブチップ502の活動的な部分のサイズは、シャフト106からのその延長部に基づいて、調整され得る。しかしながら、これは、特に複数のプローブ素子が存在するときに、個々のプローブ素子の複数の部分を覆う絶縁シース552を使用して、さらに改良され得る。図22は、シャフト106から延在する2つのプローブ素子500a、500bを含むプローブの実施形態を示す。ここで、各プローブ素子500a、500bは、それぞれの絶縁シース552a、552bによって少なくとも部分的に覆われており、チップ502a、502bを露出させている。いくつかの実施形態では、シース552a、552bは個別に進むことができるため、各プローブチップ502a、502bのサイズは、個々に選択可能である。これは、チップ502a、502bが、異なる量のエネルギー送達を望む標的組織の異なる部分に展開されるとき、有益とし得る。これはまた、シャフト106の中心軸からある角度距離にある箇所へエネルギーを集中させて送達するときに、有益とし得る。同時に、プローブ素子の数、プローブ素子の形状及び長さ、プローブ素子の配置構成、並びにプローブチップ上の送達部位のサイズを変更させる能力によって、形成される多種多様な損傷部の形状、サイズ及び度合いを考慮できるようにする。
【0248】
[00303] 本明細書で説明するプローブ素子のいずれかは、本明細書で説明するプローブのいずれかと同じ構造及び特徴を有し得ることが認識され得る。例えば、プローブ素子は、同じ材料から構成され、同じ機能性を有し、且つ鋭い又は非外傷性チップを有し得る。同じように、プローブ素子のいずれかは、独立して又は同時に展開され得、且つ独立して又は同時に励起され得ることが認識され得る。送達されるエネルギーは、同じエネルギー送達アルゴリズム152又は異なるエネルギー送達アルゴリズム152によって提供されるため、同じ又は異なるエネルギーを送達する。プローブ素子のいずれかは、複数の対のプローブ素子間でモノポーラ式に又はバイポーラ式に機能し得る。同じように、プローブ素子は、モノポーラ式とバイポーラ式との組み合わせで機能してもよいことが認識され得る。
【0249】
[00304] 上述の通り、これらの管腔外送達実施形態の多くでは、エネルギー送達本体108は、シャフト106のルーメン105内に配置されるプローブ500の形態を有する。いくつかの実施形態では、プローブ500は、図23に示すように、複数のワイヤ又はリボン120を含み、且つ電極としての機能を果たすバスケット555を形成する。或いは、バスケット555はチューブからレーザ切断され得ることが認識され得る。様々な他の設計が使用されてもよいことが認識され得る。一般に、バスケット555は、潰れた形態で標的部位へ送出されてから、使用するために拡張される。そのような拡張は、バスケット555を、数例を挙げると長円形、卵形若しくは楕円形、丸い形状、又はディスク形状に形成し得る。いくつかの実施形態では、バスケット555は、図24(側面図)に示すように、ディスク形状に形成するように構成されている。この実施形態では、プローブ500は、ディスク形状のバスケット555及び尖ったプローブチップ502の双方を含み、プローブチップ502は、ディスク形状のバスケット555と同心である。そのような配置構成は、より大きな損傷部を作るのを支援し得る。例えば、図25Aは、標的組織部位A内に位置決めされたプローブチップ502の実施形態を示す。プローブチップ502から伝えられたエネルギーは、チップ502を取り囲む第1のアブレーションゾーンZ1を生み出す。この例では、第1のアブレーションゾーンZ1は、標的組織部位Aよりも小さい。しかしながら、ディスク形状のバスケット555に加えて、図25Bに示すように、エネルギーは、第1のアブレーションゾーンZ1よりも大きい第2のアブレーションゾーンZ2を形成するバスケット555からも送達される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のアブレーションゾーンZ1、Z2は重なり合うため、第1のアブレーションゾーンZ1は、第2のアブレーションゾーンZ2内に完全に存在する。これにより、第1のアブレーションゾーンZ1内では、2つのアブレーションの相加効果をもたらす。他の実施形態では、ディスク形状のバスケット555は、バスケット555の中心領域を絶縁又はマスキングすることなどによって、エネルギーのみを又は主にその外周又はリムから送達する。そのような実施形態では、第1のアブレーションゾーンZ1及び第2のアブレーションゾーンZ2は、実質的に重なり合わない。バスケット555及びプローブチップ502によってもたらされるエネルギーが同じであるとき、この配置構成は、第1のアブレーションゾーンZ1の、第2のアブレーションゾーンZ1のサイズへのさらなる拡張を可能にし得る(すなわち一貫性のある損傷部を形成する)。バスケット555及びプローブチップ502によってもたらされるエネルギーが異なるとき、これは、異なるタイプの損傷部が第1のアブレーションゾーンZ1及び第2のアブレーションゾーンZ2に形成できるようにし得る。
【0250】
[00305] いくつかの実施形態では、プローブ500は、標的組織を間に位置決めできるように離間されている2つ以上のバスケット555を含み得ることが認識され得る。そのような場合には、エネルギーは、2つ以上のバスケット555からモノポーラ式に、又はバイポーラ式に送達され、その場合、2つのバスケットは、反対の極性を有していて、エネルギーを、それらの間で移送させるようにし、それらの間にある組織を治療することができる。
【0251】
[00306] いくつかの実施形態では、プローブ500は、シャフト106に対して固定されることが認識され得る。同じように、いくつかの実施形態では、プローブ500は、シャフト106の長さ部分を通してずっとは延在しない。例えば、いくつかの実施形態では、プローブ500は短縮されて、シャフト106の遠位端部103の近くに存在し、ここでは、プローブチップ502がシャフト106から延在している。そのような実施形態では、エネルギーは、導電線又はシャフト106を通って短縮プローブ500へと延在する他の装置によって、短縮プローブ500へ伝えられる。場合によっては、これは、シャフト106が物理的特性を変化させる、例えば可撓性を高めることができるようにする。
【0252】
[00307] いくつかの実施形態では、エネルギー送達本体108は、図26に示すように、導電性素子560、例えばプローブ500を通過し且つそこから延在するワイヤ又はフィラメントを含むことが認識され得る。この実施形態では、プローブ500は、導電性ではなく、且つ単に、チップ502を提供して、組織への侵入及び導電性素子560の送達を支援する。導電性素子560は、プローブチップ502を越えて進ませられるのに好適な強度を有して、標的組織に挿入されるようにすることが認識され得る。エネルギーは、発生器104から導電性素子560へ送達され、導電性素子はエネルギーを組織へ送達する。いくつかの実施形態では、導電性素子560の長さは、プローブチップから0.5cm、0.5cm、1cm、2cm、3cm、1~3cm、2~3cm又は3cm超である。いくつかの実施形態では、導電性素子560の直径は、0.010インチ、0.011インチ、0.012インチ、0.013インチ、0.014インチ、0.015インチである。そのような導電性素子560の使用は、特定の組織箇所に、より集中したエネルギーの送達が望まれるとき、有益とし得る。
【0253】
[00308] いくつかの実施形態では、器械102はプローブ500を含まず、及び1つ以上の電極本体108は、シャフト106に装着されるか又は一体化されることが認識され得る。そのような実施形態では、1つ以上の電極本体108は、帯状電極、バスケット電極、又は任意の他の好適な形状の電極の形態を有し得る。そのような実施形態では、シャフト106は、標的組織へ進められ、且つエネルギーは、1つ以上の電極本体108から送達される。
【0254】
V.器械の操作及び可視化
[00309] 本明細書で上述するように、器械102は、一般に、従来の方法によって管腔構造を操舵される内視鏡10又は他の送出機器を通して送達される。これは、体管腔内への1つ以上のエネルギー送達本体108の位置決め(管腔内配置)又は体管腔外への1つ以上のエネルギー送達本体108の位置決め(管腔外配置)という結果となり得る。いずれの場合も、器械102のシャフト106は、内視鏡又は送出機器からその所望の位置へ進められる。そのような位置決めは、手動で、ハンドル110の手動操作によって(例えば片手又は両手で)、達成され得、及び/又は位置決めは、様々な機構、例えば電気機械式サーボベースの制御部(例えばロボット工学)によって制御又は支援され、ハンドル110又はユーザインターフェース150によって作動され得る。
【0255】
[00310] いくつかの実施形態では、シャフト106の遠位端部103は、1つ以上の平面内で操舵され得る。これは、内視鏡又は送出機器から出るときの、シャフト106の中心長手方向軸に対する左右の動き、上下の動き又は角度的な動きを含む。いくつかの実施形態では、シャフト106の遠位端部103は、内視鏡又は送出機器に対して回転できる。上述の通り、そのような操舵は、手動で、又はハンドル110及び/又はユーザインターフェース150のいずれかによる電気機械式制御によって、達成され得る。同じように、プローブ及び/又はプローブ素子を有する実施形態では、プローブ/プローブ素子は、互いに対して及び/又はシャフト106に対して、独立して又は同時にのいずれかで、同様に、進められ得るか、操舵され得るか、操作され得るか、又は位置決めされ得る。
【0256】
[00311] シャフト106の操舵及び位置決めは、様々な設計特徴によって支援され得る。例えば、いくつかの実施形態では、シャフト106の可撓性は、その長さ部分に沿った一連の設計上の切り込みによって高められる。そのような切り込みは、可撓性に変化をもたらすため、例えば、シャフト106の遠位端部103に沿って可撓性を高くするように、長さ部分に沿って変わり得る。同じように、プローブ500自体は、追加的な操舵能力又は可撓性を授けるために、その長さ部分に沿って機械加工されたノッチを有するなど、可撓性が高められ得る。これは、特に、中実プローブ500を使用する場合とし得る。
【0257】
[00312] 一般に、器械102は、限定されるものではないが、内視鏡からの白色光可視化、内視鏡若しくは外部超音波システムからの超音波可視化、X線透視検査、円すいビームコンピュータ断層撮影、又は任意の他のX線可視化システムを含む、1つ以上の可視化システムを使用して配置する最中、体内で可視化される。いくつかの実施形態では、器械102は、電磁場におけるトラッキングをもたらす集積又は埋め込み電磁(EM)センサーを有する。他の実施形態では、器械102は、ファイバーブラッググレーティング(Fiber-Bragg Grating)センサーなどの、シャフト形状の変化を測定する集積又は埋め込み検知システムを有する。他の実施形態では、器械102及び/又はアプリケータ108は、エコー源性コーティングでコーティングされ、それにより、超音波場での可視化を高めることができる。他の実施形態では、器械102は、表面処理又は加工されており、それにより、超音波場での可視化を高めることができる。さらに他の実施形態では、器械102は、その表面に刻み込まれた1つ以上のデザインを有し、それにより、超音波場での可視化を高めることができる。さらに他の実施形態では、器械102は、統合超音波によって改良される。例えば、いくつかの実施形態では、シャフト106は、例えばシャフト106の周囲に位置決めされたアレイにある、1つ以上の圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT:Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducers)、容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT:Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers)又はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)ベースの超音波トランスデューサを含む。さらに他の実施形態では、器械102は、少なくとも部分的に、放射線不透過性であり、X線、X線透視検査、円すいビームコンピュータ断層撮影(CBCT:cone beam computed tomography)、及び/又は磁気共鳴画像法(MRI)下で見える金属で構成される。他の実施形態では、シャフトは、部分的に、タングステン粉末又はペーストなどの蛍光可視材料で構成される。他の実施形態では、可視化を高めるために、これらのセンサー、コーティング、表面加工、刻み込み又は材料の組み合わせ。
【0258】
VI.検知
[00313] いくつかの実施形態では、1つ以上のシステム又は組織パラメータを測定するために、1つ以上のセンサーがシステム100内に含まれる。例示的なセンサーは、温度センサー、インピーダンスセンサー、抵抗センサー、表面コンダクタンスセンサー、膜電位センサー、静電容量センサー、及び/又は力/圧力センサー、又はこれらの組み合わせを含む。それゆえ、センサーによって測定されたパラメータは、数例を挙げると、インピーダンス、膜電位又は静電容量、及び/又は温度を含み得る。センサーは、特に、(a)基線測定の獲得、(b)エネルギーの送達中のパラメータの測定、及び/又は(c)エネルギー送達に続くパラメータの測定に使用され得る。
【0259】
[00314] センサー情報は、非限定的な例として、エネルギー送達本体108の適切な展開を決定し、治療アルゴリズム152を駆動し、及び/又は安全上の理由からエネルギー送達を停止するために、システム100へのフィードバックとして使用され得る。センサーはまた、適切な治療が達成された時点を検知するために使用され得る。発生器104内のアルゴリズム152はまた、検知したデータを使用して、自動的に治療アルゴリズム152を調整し得、標的組織治療が達成されるようにする。換言すると、1つ以上のパラメータ及び/又は治療アルゴリズムの内容(aspect)は、センサーデータに基づいて反復して修正され得る。例えば、いくつかの実施形態では、電力及び/又はエネルギー持続時間は、センサーデータに基づいて増減され得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、システム100は、任意選択的にリアルタイムの情報を提供し得る1つ以上のセンサーを含み、リアルタイムの情報は、治療セッション中に治療を修正するために使用され得る。いくつかの実施形態では、電極を有する又は電極として機能するエネルギー送達本体108は、センサーとして使用されてもよいことが認識され得る。これらは、いくつかのプローブ500及びプローブ素子を含む。
【0260】
[00315] いくつかの実施形態では、器械102は、器械102の位置決め中に、ユーザに力フィードバックを提供する1つ以上のセンサーを含む。例示的なセンサーは、ファイバーブラッググレーティング(FBG)に基づく力センサーを含む。FBGは、一般に長さが数ミリメートルの微細構造であり、単一モードファイバーの芯に写真刻印し得る。FBGは、センサーとして機能するために、独自の特性を有している。例えば、ファイバーが伸張されるか又は圧縮されるとき、FBGは、歪みを測定する。これは、光ファイバーの変形が微細構造及びブラッグ(Bragg)波長の周期を変えるために、起こる。そのような力センサーは、1次元、2次元又は3次元で力を測定するように構築され得る。他のタイプの力センサーが使用されてもよいことが認識され得る。そのような力センサーは、送達している間の、シャフト106及び/又はプローブ500の湾曲を検知するために使用されてもよい。又はそのような力センサーは、様々な力フィードバックをもたらして、1つ以上のエネルギー送達本体108を配置している最中に器械を進める又は向け直すのを支援するために使用されてもよい。
【0261】
[00316] いくつかの実施形態では、システム100は、組織インピーダンスを測定するために1つ以上のセンサーを含む。いくつかの実施形態では、そのような組織インピーダンス情報は、治療前、治療中、及び治療後の、組織治療部位の適切なマッピングを生成するために使用される。他の実施形態では、そのような組織インピーダンス情報は、治療中に、発生器104に、フィードバックとして提供される。それゆえ、フィードバック情報に基づいて、エネルギー送達アルゴリズム152は修正されるか又は異なるアルゴリズム152が選択されて、送達されるエネルギーを変化させ得る。他の実施形態では、アラートがユーザに提供される。いずれの場合も、これは、組織インピーダンスが、任意選択的に予め決められた期間、予め決められた閾値をまたぐと、トリガされ得る。
【0262】
[00317] いくつかの実施形態では、インピーダンス測定は、エネルギーの印加前、印加中又は印加後に行われて、どのエネルギー送達アルゴリズム152を加えるか及び/又は追加的なエネルギーを標的箇所に加える必要性を定義し得る。いくつかの実施形態では、治療前のインピーダンス測定値は、様々な信号パラメータの設定を決定するために使用され得る。他の実施形態では、センサーは、エネルギー送達アルゴリズムを調整すべきかどうかを決定するために使用され得る。
【0263】
[00318] いくつかの実施形態では、インピーダンス測定は、以下の通り実施される。ひとたび肺通路内の標的部位に位置決めされたら、短い持続時間、低電圧信号が、発生器(例えば、発生器104)によってエネルギー送達本体108へ送られる。発生器104が受信した、測定された電流フィードバックに基づいて、発生器104は、設定電圧及び実際の電流を使用して計算を行って、インピーダンスを計算する。計算されたインピーダンスは、測定されたインピーダンスに容認できるとみなされているインピーダンス値と比較される。その後、エネルギー送達アルゴリズム152は、測定されたインピーダンスに基づいて、修正されるか又は合わせられる。調整され得るパラメータは、限定されるものではないが、電圧、周波数、静止期間、サイクルカウント、無駄時間、パケットカウント又はパケット数、又はそれらの組み合わせを含む。それゆえ、フィードバック制御ループは、測定された1つ以上のシステム又は組織パラメータに基づいて、エネルギー送達のパラメータを修正するように構成され得る。
【0264】
[00319] いくつかの実施形態では、1つ以上のインピーダンスセンサーは、組織の電気特性を監視するために使用される。インピーダンス値は、組織の状態のインジケータとみなされ得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、異なる周波数で測定されて、インピーダンススペクトルを提供する。このスペクトルは、インピーダンスの周波数依存成分又は無効成分を特徴づける。組織は、抵抗成分及び無効成分の双方を有する;これらは、複素インピーダンスの成分である。リアクタンスは、組織の静電容量及びインダクタンスを含む、インピーダンスの周波数依存成分である。組織の状態の変化は、インピーダンス全体の変化並びに複素インピーダンスの抵抗成分及び無効成分の変化を生じ得る。複素インピーダンスの測定は、2つの電極間の低電圧検知信号の伝導を含む。信号は、限定されないが、正弦波を含み得る。複素インピーダンスの変化は、抵抗又はリアクタンスの変化を含め、治療された組織の状態に反映され、それゆえ、治療が組織に影響を及ぼしている、組織に影響を及ぼしていないこと、及び/又は治療が完了し得ることのインジケータとして使用され得る。インピーダンス値はまた、センサーと気道組織との間の接触条件に応じて、変化し得る。このようにして、センサーはまた、電極と組織との間の接触の状態を決定するために使用され得る。
【0265】
[00320] 場合によっては、発生器104は、ユーザに、標的箇所における追加的なエネルギー送達が必要ないことを指示する。任意選択的に、発生器104は、特定のメッセージを表示する及び/又は特定の音を発して、オペレータに、どのエネルギー送達アルゴリズム154が選択されたか、又はその治療は、その標的箇所で完了したかについて、警告する。それゆえ、発生器104は、特定の測定されたインピーダンスに対して適切なアルゴリズムを自動的に選択するか、又は治療が完了したと判断される場合には、エネルギー信号の送りを遮断するように構成され得る。さらに、インピーダンス又は他のセンサーは、安全性の懸念に起因して治療が自動的に停止されるべきかどうかを決定するために使用され得る。
【0266】
[00321] いくつかの実施形態では、システム100は、温度を測定するために1つ以上のセンサーを含む。例示的なセンサーは、ファイバーブラッググレーティング(FBG)に基づく温度センサーを含む。温度に対する感受性は、ファイバーブラッググレーティングに固有である。この場合、ブラッグ波長変化の最大の要因は、熱光学効果によって誘発されるシリカ屈折率の変動である。微細構造の周期を変えてしまう熱膨張からも、より少ないが寄与がある。他のタイプの温度センサーが使用されてもよいことが認識され得る。いくつかの実施形態では、潜在的な熱損傷は、1つ以上の温度センサー及び使用中のエネルギーの内容、例えば波形パラメータからのフィードバックに基づいて、計算され得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、システム100は、そのような潜在的な熱損傷を計算するソフトウェアを含み、及びそのような情報は、治療中、発生器104にフィードバックとして提供される。それゆえ、送達されるエネルギーを変化させるために、フィードバック情報に基づいて、エネルギー送達アルゴリズム152が修正され得るか、又は異なるアルゴリズム152が選択され得る。他の実施形態では、アラートがユーザに提供される。他の実施形態では、治療部位に空間的に近い局所灌流が、患者の核心温度(システム100又は他の機構の温度センサーによって測定される)と組み合わせて、治療部位の温度を測定する1つ以上の温度センサーからのフィードバックに基づいて、計算され得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、システム100は、治療部位におけるそのような局所灌流を計算するソフトウェアを含み、且つそのような情報は、治療中、フィードバックとして発生器104へ提供される。それゆえ、送達されるエネルギーを変化させるために、フィードバック情報に基づいて、エネルギー送達アルゴリズム152が修正され得るか、又は異なるアルゴリズム152が選択され得る。
【0267】
[00322] いくつかの実施形態では、1つ以上の温度センサーは、組織と接触するように、1つ以上のエネルギー送達本体108の表面に沿って配置され、且つ予め定義された安全閾値を上回って、組織が加熱されないようにすることを保証する。それゆえ、1つ以上の温度センサーは、治療中、組織の温度を監視するために使用され得る。一実施形態では、予め規定された基準を満たす温度変化、例えば閾値(例えば、40℃、45℃、50℃、60℃、65℃)を上回る値への温度上昇は、測定された温度を下げるか又は温度を事前設定閾値未満に下げるように努力して、エネルギー送達パラメータの変化(例えばアルゴリズムの修正)を生じ得る。調整は、限定されないが、静止期間又は無駄時間を長くすること、又はパケットカウントを少なくすることを含み得る。そのような調整は、パラメータの百分率として、又は他の方法によって、予め定義された段階的なアプローチで生じる。
【0268】
[00323] 他の実施形態では、1つ以上の温度センサーは、組織の温度及び/又は電極を監視し、及び予め定義された閾値温度を超える場合(例えば、65℃)、発生器104はアルゴリズムを変更して、自動的にエネルギー送達を中止する。例えば、安全閾値が65℃に設定され、且つ発生器104が、1つ以上の温度センサーから温度安全閾値を超えているというフィードバックを受信する場合、治療は、自動的に停止され得る。
【0269】
[00324] いくつかの実施形態では、システム100は、pHを測定するために1つ以上のセンサーを含む。いくつかの実施形態では、そのようなpH情報は、治療前、治療中、及び治療後などの、標的治療部位の微環境に関する情報を提供するために使用される。治療中に利用されるとき、pH情報はフィードバックとして発生器104へ提供され得るため、フィードバック情報に基づいて、エネルギー送達アルゴリズム152が修正され得る又は異なるアルゴリズム152が選択され得るようにする。他の実施形態では、アラートがユーザに提供される。それゆえ、送達されるエネルギーはリアルタイムで変更され得る。いずれの場合も、これは、任意選択的に予め決められた期間、その情報が予め決められた閾値をまたぐとき、トリガされ得る。
【0270】
[00325] センサーは、システム100の至る所の様々な箇所に位置し得ることが認識され得る。例えば、1つ以上のセンサーは、器械102のシャフト106に取り付けられ得るか又は埋め込まれ得る。それに加えて又はその代わりに、1つ以上のセンサーは、プローブ500又は様々なプローブ素子に取り付けられ得るか又は埋め込まれ得る。同じように、他の付属品が利用される場合、1つ以上のセンサーが、付属品に位置して、システム100と通信してもよい。
【0271】
VII.代替的な送達アプローチ
[00326] 上述の通り、ほとんどの実施形態では、アクセスは低侵襲であり、且つ管腔内アプローチに頼る。しかしながら、場合によっては、他のアプローチ、例えば経皮、腹腔鏡又は開放手術アプローチが使用されてもよいことが認識され得る。
【0272】
[00327] いくつかの実施形態では、経皮的にアクセスするとき、器械102のシャフト106は、皮膚層に下層組織内まで侵入する送出機器を通過させられる。いくつかの実施形態では、送出機器は、皮膚に挿入され且つ標的組織へ向かって方向づけられる針を含む。その後、シャフト106は、針を通して進められる。いくつかの実施形態では、プローブチップ502は、組織への侵入を支援するような形状、例えば尖った形状にされる。それゆえ、シャフト106は、組織を通って、その内部の所望の箇所まで進められ得る。ひとたび望み通り位置決めされたら、エネルギーは、プローブチップ502を通して送達されて、標的組織を治療する。プローブチップ502はまた、シャフト106から組織内へと進められ得る及び/又は導電性素子560は組織内へと進められ得、エネルギーは導電性素子560から送達されることが認識され得る。
【0273】
[00328] 他の実施形態では、経皮的にアクセスするとき、器械102のシャフト106は硬質であるため、送出機器を使用せずに、皮膚層に侵入できる。そのような実施形態では、プローブチップ502は、一般に、組織に侵入するのを支援するような形状、例えば尖った形状にされる。それゆえ、シャフト106自体は、組織内へ、その内部の所望の箇所まで進められる。ひとたび望み通り位置決めされたら、エネルギーは、プローブチップ502を通して送達されて、標的組織を治療する。プローブチップ502はまた、シャフト106から組織内へと進められ得る及び/又は導電性素子560が組織内へと進められ得、エネルギーは導電性素子560から送達されることが認識され得る。
【0274】
[00329] 腹腔鏡アプローチでは、器械102のシャフト106は、小さな切開部を通して挿入された腹腔鏡を通過させられる。これらの小さな切開部は、開放手術と比べて、痛みを少なくし、出血を減らし、且つ回復時間を短くする。いくつかの実施形態では、プローブチップ502は、組織に侵入するのを支援するような形状、例えば尖った形状にされる。それゆえ、シャフト106は、組織を通って、その内部の所望の箇所まで進められ得る。ひとたび望み通り位置決めされたら、エネルギーは、プローブチップ502を通して送達されて、標的組織を治療する。
【0275】
[00330] 開放手術アプローチでは、器械102のシャフト106はまた、送出機器を通過させられるか、又は器械102は、組織に直接侵入し得る。いずれの場合も、ひとたび望み通り位置決めされたら、エネルギーは、プローブチップ502を通して送達されて、標的組織を治療する。
【0276】
VIII.心拍同期駆動方式
[00331] いくつかの実施形態では、エネルギー信号は、患者の心周期と同期されて、心律動異常の誘発を予防する。それゆえ、患者の心周期は、一般に、心電図(ECG)を使用して監視される。図27を参照して説明すると、典型的なECGトレース600は、心房脱分極を表すP波602と、心室脱分極及び心房再分極を表すQRS群604と、心室再分極を表すT波606との繰り返しの周期を含む。心臓にごく近い気道内へエネルギーを安全に送達するために、心律動異常のリスクを低下させるように、エネルギー送達と患者の心周期との同期が用いられる。高電圧エネルギーは、送達されるエネルギーが心筋細胞膜浸透性を高めて、イオン輸送を可能し、それが心律動異常、特に心室細動を誘発しるため、心筋内での早すぎる活動電位をトリガし得る。心律動異常を回避するために、電気エネルギーは、心筋の「受攻期」外であるように、気道へ送達される。一心周期(心拍)内で、心室筋の受攻期は、ECG上で、T波606全体で示される。一般に、心室心筋層に関し、受攻期は、T波606の中相及び最終相と一致する。しかしながら、心室のごく近くに高エネルギーパルスが送られる場合、受攻期は、心拍よりも数ミリ秒早く起こり得る。それゆえ、T波全体が、心室の受攻期内にあるとみなされ得る。
【0277】
[00332] 心周期の残りの部分は、P波602及びQRS群604であり、それらは双方とも、心房又は心室筋が高電圧エネルギー刺激に不応性の期間を含む。高電圧エネルギーパルスが筋肉の不応期中に送られる場合、催不整脈性電位は最小限にされ得る。第1の心周期のSTセグメント608(心室脱分極と再分極との間の間隔)、及びTQ間隔610(第1の心周期の最後と第2の心周期の中間点とを含む間隔)は、心筋脱分極状態(不応期)に起因して、心律動異常を誘発せずに、高電圧エネルギーが送達され得る期間である。図27は、エネルギーが安全に加えられ得る心周期の例示的な部分を示す、斜線のつけられた四角を含む。
【0278】
[00333] いくつかの実施形態では、心電図170を取得するための構成要素は、発生器104の一部として一体的に形成されることが認識され得る。心臓モニターが、5誘導ECGまでの取得に限定される場合、システムに追加的なリードを組み込むことが有益とし得る。これは、さらに、心拍同期パルスを受信するために通信ポート167を使用する必要性を無くす。むしろ、プロセッサー154は、R波を直接検出し、且つQRS群全体の完全性を評価するように構成され得る。
【0279】
IX.撮像
[00334] 有用とし得る撮像に関連する方法は:(a)病変標的組織を検出すること、(b)治療すべき部位を特定すること、(c)エネルギー送達がどの程度効果的だったかを決定するために、治療される部位を評価すること、(d)部位が見逃されなかったか又は治療が不十分でなかったかを決定するために、標的部位を評価すること、(e)標的治療深さを測定するために、処置前又は処置中の画像を使用し、且つその深さを使用して、特定のエネルギー送達アルゴリズムを選択し、その深さに組織効果を達成すること、(f)処置前又は処置中の画像を使用し、標的細胞型又は細胞状界面を特定し、且つその箇所又は深さを使用して、特定のエネルギー送達アルゴリズムを選択し、その標的細胞型又は細胞状界面に組織効果を達成すること、及び/又は(g)処置前、処置中、又は処置後の画像を使用して、炎症組織が存在してもしなくても、病原体の有無を特定することを含む。
【0280】
[00335] いくつかの実施形態では、共焦点レーザ内視鏡(CLE:confocal laser endomicroscopy)、光干渉断層法(OCT:optical coherence tomography)、超音波、静的若しくは動的なCT撮像、X線、磁気共鳴画像法(MRI)、及び/又は他の撮像モダリティが、別個の装置/システムとして、又は器械102若しくは別個の機器のいずれかに組み込むことによって治療システム100に組み込まれる/統合される(機能的に及び/又は構造的に)のいずれかで、使用され得る。撮像モダリティ(又は複数のモダリティ)は、標的組織の様々なセクションの位置を突き止める及び/又はそこにアクセスするために使用され得る。いくつかの実施形態では、治療の標的深さは、標的深さを治療するのに十分な治療アルゴリズム152を選択するために、測定及び使用され得る。その後、少なくとも1つのエネルギー送達本体が標的組織部位に展開され得、及びエネルギーが送達されて、標的組織に影響を及ぼす。撮像モダリティ(又は複数のモダリティ)は、治療前、治療中、治療と治療の間、及び/又は治療後に使用されて、治療が実施された若しくはされなかった場所、又はエネルギーが気道壁に適切に影響を及ぼしたかどうかを決定し得る。部位が見逃されたこと又は部位が適切に影響を及ぼされなかったことが決定される場合、適切な治療が達成されるまで、エネルギー送達が繰り返され、それに、撮像モダリティ(又は複数のモダリティ)が続く。さらに、撮像情報は、特定の細胞型及び/又は所望の深さの治療法が施されたかを決定するために、用いられ得る。これは、多種多様な患者の解剖学的構造を治療するために、エネルギー送達アルゴリズムのカスタマイズを可能にし得る。
【0281】
[00336] いくつかの実施形態では、体管腔を経由するアクセスは、体内に挿入される1つ以上の器具によって可視化される。同じように、いくつかの実施形態では、様々な撮像モダリティ(例えば、CLE、OCT)のうちの1つ以上が、直接可視化と一緒に、又は直接可視化の代わりのいずれかで、使用される。例として、気管支鏡が、口を経由して送出されて、直接可視化及び器械102の送出を可能にし得る一方で、代替的な撮像モダリティが、気管支鏡の別のワーキングチャネルを経由して、鼻を経由して、又は口を経由して気管支鏡に隣接して、実施され得る。いくつかの実施形態では、撮像モダリティ(例えば、直接可視化、CLE、及び/又はOCT)は、適切な機構と一緒に器械102に組み込まれ得、撮像モダリティを、システム発生器104又は市販のコンソールのいずれかと接続する。
【0282】
X.治療
[00337] 上述の通り、本明細書で説明する機器、システム、及び方法は、特殊なパルス電界(PEF)エネルギーを標的組織部位へ送ることによって、損傷組織、病変組織、異常組織、閉塞性組織、癌組織又は望ましくない組織を治療するために提供される。そのような治療法は、そのままで使用されてもよく、望まれていない細胞が、破壊され、なくされ、殺され、除去されるなどするが、非細胞成分、例えばコラーゲン、エラスチン、及び基質タンパク質を維持する。これらの非細胞成分は、組織の構造を維持し、標準的な細胞再生を可能にして促す。それゆえ、組織及び任意の近くの管腔構造の完全性及び機械的特性は維持されるが、異常又は病変細胞及び組織は十分になくされる。そのような場合には、治療法は、一回の治療で課題を解決しても、又は追跡治療を含んでもよい。
【0283】
[00338] しかしながら、場合によっては、医学的な課題は様々な治療オプションを含み、その治療は、本明細書で説明するシステム100が他の治療と組み合わせて用いられることによって、施される。これは、特に、癌を治療するときの場合とし得る。図28は、癌患者に対する例示的なケアパスオプションのフロー図を提供する。癌は、一般に、関連する症状、又は癌が特定される、関係のない検査のいずれかによって、発見される(ステップ700)。ひとたび発見されたら、癌の種類及びそのステージに関する診断が行われる(ステップ702)。ステージは、癌の程度、例えばどの程度腫瘍が大きいか、及び広がっているかどうかを指す。癌がTNMシステムによって説明されるとき、各文字の後に数字が提供され、癌についてより詳細に提示する-例えば、T1N0MX又はT3N1M0。以下の表は、文字及び数字の意味を説明している:
【0284】
【表2】
【0285】
[00339] 診断及び病期分類は、患者に対する最良の治療オプションを計画するために使用される。一般に、癌患者には、治療の2つの主要経路、外科的治療(フロー図の左枝)及び非外科的治療(フロー図の右枝)がある。
【0286】
[00340] 手術(ステップ800)は、治療オプションとして単独で利用され得る。しかしながら、新補助療法(ステップ704)及び/又は補助療法(ステップ802)と併せて一次治療として提供されることが多い。新補助療法は、一次治療の前に実施され、腫瘍のサイズを小さくするか又は広がった癌細胞を殺すのを助け得る。補助療法は、一次治療後に実施され、残っている癌細胞を破壊する。新補助療法及び補助療法は、全てではないが、多くの癌患者に有効である。患者の癌の種類及びステージは、患者が追加的な治療の候補者であるかどうかを指示することが多い。例えば、手術によって、癌が多数のリンパ節に見られると決定される場合、癌細胞が残され得るリスクは増加し、補助療法が助けとなり得る。また、いくつかの癌は、再発のリスクが高い特異的突然変異から生じるため、補助療法は、再発リスクが低い癌の患者よりも、これらの癌に患者に有効である。場合によっては、新補助療法は、補助療法よりも役に立ち得る。例えば、新補助療法が手術前に行われる場合、医師は、腫瘍が実際に縮小しているかどうかを見るために、反応を評価できる。そのため、治療は、それに応じて調整でき、これは、より少ない治療となり得ることを意味する。新補助療法はまた、治療に対する患者の反応を決定するためのツールの機能を果たし得る。腫瘍が手術前に新補助療法に反応する場合、患者は、十中八九、健康が回復し得ることが分かっている。何度も、新補助療法及び補助療法が処方され得る。
【0287】
[00341] 図28は、様々な異なるタイプの新補助療法:放射線療法(ステップ706)、化学療法(ステップ708)、標的療法/免疫療法(ステップ710)、及び病巣治療法(ステップ720)を示す。例示的な病巣治療法は、本明細書で説明するものなどの、マイクロ波アブレーション、高周波アブレーション、低温アブレーション、高密度焦点式超音波(HIFU)、及びパルス電界アブレーションを含む。
【0288】
[00342] RT、RTx、XRT、又はSBRT(CyberKnifeとしても公知)と省略されることが多い放射線療法又は放射線療法(ステップ706)は、通常、線形加速器によって送られる電離放射線を使用する治療法である。放射線療法は、一般に、細胞増殖を制御するその能力のために、癌性腫瘍に行われる。電離放射線は、癌組織のDNAを損傷させ、細胞死に至らせることによって、機能する。正常組織(腫瘍を治療するために放射線が通過する必要がある皮膚又は臓器など)を救うために、成形放射線ビームが、いくつかの曝露角度から狙いをつけて、腫瘍で交わるようにし、そこで周囲の健康な組織よりも遥かに大きな吸収線量をもたらす。
【0289】
[00343] 放射線療法は、細胞を殺すためにDNAを損傷させることに頼るため、細胞はすぐには死滅しないことが認識され得る。時間をかけて、損傷が細胞死を引き起こして、瘢痕組織を残す。場合によっては、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションは、放射線療法と併せて使用されて、結果を改善する。例えば、場合によっては、標的組織は、放射線療法前、放射線療法中及び/又は放射線療法後に、本明細書で説明するシステム100によって提供されるPEFエネルギーによって治療される。そのような治療は、細胞恒常性を破壊し、これは、アポトーシスのような効果を開始し得、これは、永久的な細胞死、又は放射線療法によってより効果的に損傷させるために、細胞のプライミングを引き起こす。細胞死は放射線療法で遅延されるため、放射線療法後にPEFエネルギーを加えることはまた、細胞死亡率を高め得る。それゆえ、そのような併用治療は、より効果的な治療及びより良好な結果に至り得る。
【0290】
[00344] 化学療法(ステップ708)は、一般に、血流に導入される全身療法であるため、原理上、体内のどの解剖学的位置の癌にも対処できる。伝統的な化学療法剤は、細胞分裂を妨げることによる細胞毒性であるが、癌細胞は、これらの作用物質に対するそれらの感受性のばらつきが大きい。大体において、化学療法は、細胞を損傷させる又は細胞にストレスを加える方法と考えられ得、そのため、アポトーシスが開始される場合には、細胞死を引き起こし得る。化学療法の副作用の多くは、迅速に分裂し、それゆえ有糸分裂阻害剤に敏感である正常細胞、特に骨髄、消化管及び毛包内の細胞を損傷させることに端を発し得る。化学療法はまた、腫瘍組織に局所的に投与され得る。
【0291】
[00345] 場合によっては、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションは、化学療法と併せて使用されて、結果を改善する。例えば、場合によっては、標的組織は、化学療法前、化学療法中及び/又は化学療法後に、本明細書で説明するシステム100によって提供されるPEFエネルギーによって治療される。そのような治療は、細胞恒常性を破壊し、アポトーシスのような効果を開始して、永久的な細胞死、又は化学療法によってより効果的に損傷させるために、細胞のプライミングを引き起こし得る。そのようなプライミングは、PEF治療と化学療法との間の相乗効果をもたらして、いずれかの治療単独を上回る結果に至る。それゆえ、そのような併用治療は、より効果的な治療、及び反応の著しい改善を引き起こし得る。
【0292】
[00346] 標的療法/免疫療法(ステップ710)は、標的癌治療法のタイプである。標的療法は、癌の増殖、進行、及び広がりに関わる特定の分子又は分子標的によって妨害することによって、癌の増殖及び広がりを阻止する薬物又は他の物質である。標的療法は、標準的な化学療法とはいくつかの方法で異なる。例えば、標的療法は、癌に関わる特定の分子標的に作用するが、ほとんどの標準的な化学療法は、全ての急速に分裂する正常細胞及び癌細胞に作用する。標的療法は、それらの標的と相互作用するように意図的に選択されるか、又は設計されるが、多くの標準的な化学療法は、それらが細胞を殺すために、特定された。標的療法は、細胞増殖抑制性であることが多い(すなわち腫瘍細胞増殖を阻止する)が、標準的な化学療法薬剤は、細胞毒性である(すなわち腫瘍細胞を殺す)。標的療法は、疾患を予防、診断、及び治療するために、ヒトの遺伝子及びタンパク質についての情報を使用する薬物療法の形態であるプレシジョン・メディシンの要である。
【0293】
[00347] 免疫療法は、生物学的療法のタイプである。生物学的療法は、癌を治療するために生物から作製された物質を使用する治療である。癌を治療するために、いくつかのタイプの免疫療法が使用される。一例は、免疫チェックポイント阻害剤である。チェックポイントは、免疫系の正常な部分であり、且つ免疫反応が強くなりすぎないようにする。それゆえ、それらを阻止する又は阻害することによって、これらの薬物は、癌により強く免疫細胞が反応できるようにする。T細胞移入療法では、免疫細胞は、腫瘍から採取される。癌に対して最も活性の高いものが、癌細胞をより良好に攻撃するように選択又は修正され、大量に増殖され、且つ患者に静脈内で戻される。この治療は、癌と戦うT細胞の天然の能力を強化する。この治療では、免疫細胞は、若い腫瘍から採取される。別の免疫療法では、癌細胞上の特定の標的に結合されるモノクローナル抗体が設計される。いくつかのモノクローナル抗体は、癌細胞をマークするため、免疫系によってよりよく見つけられて破壊される。モノクローナル抗体は、治療抗体とも呼ばれる。さらに、癌に対する体の免疫反応を高める免疫系調節薬が開発されている。これらの作用物質のいくつかは、免疫系の特定の部分に影響を及ぼすが、他のものは、より一般的な方法で、免疫系に影響を及ぼす。
【0294】
[00348] 場合によっては、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションは、標的療法及び免疫療法と併せて使用されて、結果を改善する。例えば、場合によっては、標的組織は、これらの治療法の前又は最中に、本明細書で説明するシステム100によって提供されるPEFエネルギーによって治療される。PEFエネルギーが細胞死を引き起こすとき、細胞膜は破裂され、且つ内部の細胞成分が放出される。これにより、DNA及び他の細胞成分を露出させて、免疫系、標的療法及び免疫療法によってより簡単に特定されるようにする。それゆえ、そのような併用治療は、より効果的な治療及びより良好な結果を引き起こし得る。
【0295】
[00349] 病巣治療法(ステップ712)はまた、新補助療法として使用されてきている。病巣治療法は、主に、細胞を殺すためのエネルギーの局所的な送達に頼っている。上述の通り、例示的な病巣治療法は、本明細書で説明するものなどの、高周波アブレーション(RFA:radiofrequency ablation)、マイクロ波アブレーション(MWA:microwave ablation)、高密度焦点式超音波(HIFU)、低温アブレーション、及びパルス電界アブレーションを含む。MWA、RFA及びHIFUは、熱エネルギーに頼る従来の治療法である。RFA及びMWAは、皮膚を通して腫瘍内へ、例えば肺癌を治療するために胸部内へ針を置くために、画像ガイダンスを使用する治療である。RFAでは、高周波電流が電極を通過し、小さな加熱領域を生み出す。MWAでは、マイクロ波が針から生み出されて、小さな加熱領域を生み出す。HIFUは、画像診断に使用されるものと同様であるが、遥かに高いエネルギーの超音波トランスデューサを使用する。トランスデューサは、音波を集中させて、体内の単一の点に熱を発生させ、且つ標的組織を破壊する。組織は、たった20秒で150°Fまで上昇する。このプロセスは、標的組織が破壊されるまで、必要な回数だけ繰り返される。HIFUはまた、非熱的に動作され得る。
【0296】
[00350] いずれの場合にも、熱は、癌細胞を破壊することを意図している。熱エネルギーは、凝固壊死によって、細胞だけでなく、コラーゲン支持構造も破壊することが分かっている。それゆえ、熱エネルギーは、感受性のある又は重要な構造、例えば体管腔の近くでは使用できない。同じように、熱エネルギーは、繰り返されるその範囲、有効性及び能力が限定されている。例えば、ひとたび組織が熱アブレーションされたら、組織は壊死させられており、侵入することが困難であるため、組織を重ね合わせる又は再治療することは困難である又は望まれない。以上のような理由から、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションが、アクセスできない又は熱的治療には禁忌である組織部位を治療するために、及び/又はこれらの従来の治療法の有効性を高めるために、RFA、MWA及びHIFU治療法と併せて使用されてもよい。それゆえ、場合によっては、組織は、これらの従来の熱療法前、その最中又はその後に、本明細書で説明するシステム100によって提供されるPEFエネルギーによって治療される。
【0297】
[00351] 他の病巣治療法は、癌細胞を殺すために熱に頼らない。例えば、低温アブレーションは、癌細胞を殺すために、極めて低い温度を利用する。低温アブレーションの最中、細い針(凍結探針)が皮膚を通して、癌性腫瘍まで直接挿入される。気体が、凍結探針内へポンプで送られて、組織を凍結させる。その後、組織は、解けることができる。凍結及び解凍プロセスは、同じ治療セッション中に数回繰り返される。このプロセスで形成された細胞内及び/又は細胞外の氷晶は、細胞を破裂させる。熱エネルギーのように、寒冷療法には限界がある。初めに、損傷部のサイズは制限され、且つ治療時間が長くなる。さらに、治療法は、それを施すことができる箇所に制限される。例えば、リンパ節などのいくつかの箇所には、現在の技術では到達できない。同じように、管腔構造は温存されるが、寒冷療法は、多くの管腔構造の近くで使用するのには、冷却プロセスへ干渉して治療法の効果をなくすことに起因して、好適ではない。以上のような理由から、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションが、アクセスできない又は治療が禁忌である組織部位を治療するために、及び/又はこれらの従来の治療法の有効性を高めるために、寒冷療法と併せて使用されてもよい。
【0298】
[00352] 同じように、非熱的エネルギーは、加熱以外の機構によって腫瘍を治療するために使用されてきた。特に、不可逆電気穿孔法(IRE:irreversible electroporation)が、癌性腫瘍の治療に使用されてきた。経皮IREは、エネルギーを腫瘍細胞へ送達するために、皮膚を通して挿入されたプローブを用いるNanoKnife(登録商標)と呼ばれるシステムによって実施される。この技術は、非熱的エネルギーを使用して、細胞膜に永久的なナノ細孔を生み出す。十分な数の高電圧パルスを送った後、電界内の細胞が不可逆的に損傷されて、死滅する。他のそのような治療法のように、経皮IREには限界がある。他の場合のように、治療法は、施され得る箇所が制限される。いくつかの箇所は、経皮的なアプローチでは到達できないか、又はNanoKnife(登録商標)による治療に好適である。それゆえ、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションが、アクセスできないか又はそのような治療には禁忌である組織部位を治療するために、及び/又はこれらの治療法の有効性を高めるために、他の非熱的治療と併せて使用されてもよい。
【0299】
[00353] 本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションが、非補助療法として単独で使用されてもよいことが認識され得る。そのようなPEFアブレーションは、十分な組織破壊及び細胞死を引き起こして、癌を治療し、且つ患者を治し得る。さらに、標的組織へのそのようなPEFエネルギーの堆積から生じる高抗原性腫瘍細胞成分の存在に起因する免疫系プライミングが、アブスコパル効果を誘発し得る。アブスコパル効果は、治療していない部位での癌の縮小を生じる一部位における局所治療の使用に関する理論である。これは、特に、転移癌を治療するときに有益である。PEFエネルギーが細胞死を引き起こすとき、細胞膜は、破裂され、且つ内部の細胞成分が放出される。これにより、DNA及び他の細胞成分を露出させて、免疫系によってより簡単に特定されるようになる。これらの成分は、同様に特定を支援するリンパ系へ運ばれる。それゆえ、治療は、いくつかの点ではワクチンの機能を果たし、全身免疫反応を発生させる。
【0300】
[00354] 同じように、新補助療法のいずれかが、3つ以上の治療法の組み合わせを含め、任意の組み合わせで使用されてもよいことが認識され得る。
【0301】
[00355] 再度図28を参照して説明すると、ひとたび新補助療法が施されたら、外科的ケアパス上の手術(ステップ800)が提供される。一部の患者は、診断及び病期分類(ステップ702)後すぐに手術を受け(ステップ800)、新補助療法は全くスキップすることが認識され得る。手術後、一部の患者は治ったとみなされ得、且つサーベイランスを受けて(ステップ804)、癌の再発のサインに関して患者を監視する。他の患者は、補助療法を受け(ステップ802)、残っている癌細胞を全て破壊する。補助療法は、新補助療法に関して本明細書で上述した治療のいずれか、例えば放射線療法、化学療法、標的療法/免疫療法を、単独で、又は本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションと組み合わせてのいずれかで、含み得る。同じように、補助療法は、病巣治療法に関して本明細書で上述した治療のいずれか、例えば高周波アブレーション(RFA)、マイクロ波アブレーション(MWA)、高密度焦点式超音波(HIFU)、低温アブレーション、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーション及び他のパルス電界アブレーション、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。補助療法のいずれかが、3つ以上の治療法の組み合わせを含め、任意の組み合わせで使用されてもよいことが認識され得る。補助療法後、患者はサーベイランスを受け(ステップ804)、癌の再発のサインに関して患者を監視する。一部の患者は再発せず、治ったとみなされる(ステップ806)。
【0302】
[00356] 残念ながら、一部の患者は癌が再発する(ステップ808)。一般に、これらの患者は、非外科的治療法オプションで治療される。図28を参照して説明すると、非外科的治療法(ステップ720)は、手術が適さない若しくは禁忌である患者に、又は癌が再発した患者に、第1選択の治療法として提案される。フロー図に示されているように、非外科的治療法は、新補助療法に関して本明細書で上述した治療のいずれか、例えば放射線療法(ステップ726)、化学療法(ステップ728)、標的療法/免疫療法(ステップ730)を、単独で、又は本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーションと組み合わせてのいずれかで、含み得る。同じように、非外科的治療法は、病巣治療法(ステップ732)に関して本明細書で上述した治療のいずれか、例えば高周波アブレーション(RFA)、マイクロ波アブレーション(MWA)、高密度焦点式超音波(HIFU)、低温アブレーション、本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーション及び他のパルス電界アブレーション、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。非外科的治療法のいずれかが、3つ以上の治療法の組み合わせを含め、任意の組み合わせで使用されてもよいことが認識され得る。そのような治療法後、患者は、一般に、維持処置を受けて(ステップ740)、癌を寄せ付けないようにする。
【0303】
[00357] これらの患者の一部は、再発も又は進行もなく、最終的に治ったとみなされる(ステップ806)。再発した患者は、追加的な非外科的治療法を受け得る。他の患者は、癌が他の治療に反応しなかった後に行われる治療である、サルベージ治療法が行われる(ステップ810)。そして、最終的に、一部の患者は、癌に負ける(ステップ812)。
【0304】
[00358] 本明細書で説明するシステム100によって提供されるパルス電界アブレーション治療は、単独で、又は任意選択的に他の治療法と組み合わせてのいずれかで、治療法の中期的な成功を越える付加的な利益を提供することが認識され得る。例えば、場合によっては、システム100によって提供されるPEFアブレーション治療は、アブスコパル効果を誘発する。アブスコパル効果は、治療していない部位での癌の縮小を生じる一部位における局所治療の使用に関する理論である。これは、特に、転移癌を治療するときに有益である。PEFエネルギーが細胞死を引き起こすとき、細胞膜は破裂され、且つ内部の細胞成分が放出される。これにより、DNA及び他の細胞成分を露出させて、免疫系によってより簡単に特定されるようになる。これらの成分は、同様に特定を支援するリンパ系へ運ばれる。それゆえ、治療は、いくつかの点ではワクチンの機能を果たし、全身免疫反応を発生させる。これは、さらに、標的療法及び免疫療法を用いるときに、強調され得る。
【0305】
I.調整
[00359] 他の治療に対する調整として、システム100によって提供されるPEFアブレーション治療が使用されてもよいが、標的組織細胞は、その代わりに、システム100によって提供されるPEFアブレーション治療前に調整され得ることが認識され得る。
【0306】
[00360] いくつかの実施形態では、治療の標的にされる細胞は、エネルギー信号の送りに反応した細胞のふるまいを修正するために、調整される。そのような調整は、エネルギー信号の送りの前、その最中、又はその後に起こり得る。いくつかの実施形態では、エネルギー送達前の調整は、事前調整とみなされ、及びエネルギー送達後の調整は、事後調整とみなされる。そのような差別化は、調整処置が細胞にどの程度影響を及ぼすかにではなく、単に、タイミングに基づいている。他の実施形態では、事前調整は、エネルギー送達中に細胞に何が起こるか、例えばどの程度細胞がエネルギーを取り込むかに影響を及ぼすことに関し、及び事後調整は、エネルギー送達後に細胞に何が起こるか、例えばエネルギーを受け取った後、細胞のふるまいにどのように影響を及ぼすかに関する。そのような差別化は、場合によっては、調整はエネルギー送達前に発生するが、エネルギー送達に続く細胞反応にのみ影響を及ぼすため、タイミングとはあまり関連しないとし得る。それゆえ、「調整」は、別段の注釈がない限り、これらの状況のそれぞれに行われるとみなされ得ることが認識され得る。
【0307】
[00361] 一般に、調整は、調整溶液を送ることによって達成される。管腔内療法の場合、調整溶液は、管腔構造を経由して送給され得る。その代わりに又はそれに加えて、調整溶液は、管腔内から又は他のアプローチのいずれかで、標的部位内へと調整溶液を直接、流体注入することによって、送給され得る。いくつかの実施形態では、調整溶液は、パルス状エネルギー送達が分配される方法に影響を及ぼすなどのように、標的細胞の電気特性を選択的に変える。他の実施形態では、調整溶液は、標的細胞の活性化に影響を与える。例えば、肺では、そのような調整溶液は、基底細胞の線毛細胞への分化を促し及び/又は杯細胞及び粘膜下腺細胞をダウンレギュレートし得る。他の実施形態では、調整溶液は、パルス状エネルギー送達の結果として標的細胞が死ぬ可能性を高める。さらに他の実施形態では、調整溶液は、パルス電界に対する非標的細胞の反応を変化させる。代替的な実施形態では、調整は、組織の非溶液ベースの曝露によって実施される。これは、放射線療法、放射線治療、陽子線療法などを含む。いくつかの実施形態では、調整は、細胞インフラストラクチャーの酵素成分及びエネルギー生産成分に影響を与える。
【0308】
[00362] 調整溶液は、数例を挙げると、様々な作用物質、例えば薬物、遺伝物質、生物活性化合物、及び抗菌剤で構成され得る。調整溶液が、パルス状エネルギー送達の結果として標的細胞が死ぬ可能性を高める実施形態では、調整溶液は、数例を挙げると、化学療法薬(例えばシスプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ブレオマイシン、カルボプラチンなど)、カルシウム、抗生物質、又は毒素を含み得る。調整溶液が、パルス電界に対する非標的細胞からの反応を変化させる実施形態では、調整溶液は、サイトカイン(例えば、インターロイキンなどの免疫増強薬)、遺伝子、VEGF(例えば、部位内へ血管の成長をより促すために)及び/又は細胞分化因子(例えば、杯細胞から線毛細胞への変換を促す分子)を含み得る。
【0309】
[00363] いくつかの実施形態では、調整溶液は、細胞、例えば幹細胞、自家移植片細胞、同種移植片細胞又は他の細胞型を含む。これらの実施形態では、細胞が、パルス電界に対する組織反応を変化させるために、使用されてもよい。他の実施形態では、細胞が、患部に健康な又は望ましい細胞を再び生息させるために使用されてもよい。例えば、ひとたび標的細胞が、実施されたパルス状エネルギー治療によって弱められるか又は殺されると、調整溶液からの細胞は、脱細胞化細胞外マトリックスなどの空地へ移る。いくつかの実施形態では、その部位は洗い流されて、穏やかな洗浄剤、界面活性剤又は他の溶液などによって、死滅細胞が除去され、その後、新しい細胞を含有する調整溶液を送る。他の実施形態では、機械的な刺激、例えば吸引、デブリドマン、又は超音波ハイドロダイセクションが、死滅細胞を物理的に除去するために使用され、その後、新しい細胞を含有する調整溶液を送る。
【0310】
[00364] いくつかの実施形態では、行われる調整は、標的免疫反応を呼び覚まし得る。免疫反応は、治療効果の結果を変化させるいくつかの要因につながり得る。これは、腫瘍などのいくつかの標的組織、又は感染に関連する細菌やウイルスに関連する特定のマーカを使用して、全身性免疫アップレギュレーションを高めることにつながり得る。局所的に(locally、regionally)、又は全身に起こり得る全般的な異常細胞、細菌、又は体内に存在する他の感染性微生物を検出するための免疫系機能性に広く影響を及ぼす先天免疫のアップレギュレーションにもつながり得る。
【0311】
[00365] いくつかの実施形態では、調整溶液は、標的細胞が反応する程度を変化させるために、温められるか又は冷やされる。一般的に、温められた溶液は、治療効果を高めるのを促し(例えば細胞死に対する感受性を高める)、冷やされた溶液は、治療効果の程度を低下させるか、又は可逆的に設計されたプロトコルに曝露した後の細胞生存を高める。いくつかの実施形態では、遺伝子及び/又は薬物で構成された、冷やされた調整溶液は、エネルギー送達治療で生き残るために細胞を予め調整するために使用され、治療で生き残る細胞数を増加させる。いくつかの実施形態では、温められた/冷やされた調整溶液の効果は、溶液中の他の作用物質に起因する一般的効果と組み合わせられる(例えば温められたカルシウム溶液、冷やされた遺伝子含有溶液)。他の実施形態では、温められた/冷やされた調整溶液は、温度変化以外の効果をもたらさない。そのような実施形態では、調整溶液は、一般に、等張食塩水、リン酸緩衝溶液又は他の良性の溶液で構成される。
【0312】
[00366] そのような加熱又は冷却は、その代わりに、調整溶液の送給を伴わない他の方法によって達成され得ることが認識され得る。例えば、標的組織は、温められた/冷却された機器と組織を接触させることによって、パルス電界を発するカテーテルを意図的に温める/冷却することによって、穏やかな寒冷療法を実施することによって、又は穏やかな無線周波数若しくはマイクロ波エネルギーを送ることによって、加熱又は冷却され得る。上述した通り、これは、組織に対する致死率若しくは浸透効果を高めるのを促し得るか、又は処置で生き残ることができるようにし、且つ治療法の結果として、細胞に標的とされたような所望の変化を出させるようにする、細胞に対して保護的な側面を提供し得る。
【0313】
[00367] いくつかの実施形態では、調整溶液は、例えば静脈注射、摂取又は他の全身的な方法によって、全身に送られる。他の実施形態では、調整溶液は、送出機器又は器械102自体を通して、標的細胞の部位に局所的に送られる。
【0314】
[00368] 本明細書では、用語「約」及び/又は「ほぼ」は、数値及び/又は数値範囲と併せて使用されるとき、一般的に、列挙した数値及び/又は数値範囲に近い数値及び/又は数値範囲のものを指す。場合によっては、用語「約」及び「ほぼ」は、列挙した値の±10%以内を意味し得る。例えば、場合によっては、「約100[単位]」は、100±10%以内を意味し得る(例えば、90~110)。用語「約」及び「ほぼ」は、区別しないで使用され得る。
【0315】
[00369] 本発明の好ましい実施形態を、本明細書で図示及び説明したが、当業者には、そのような実施形態は、例としてのみ提供されていることが明らかである。多数の変形、変更、及び置き換えが、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者には思いつくであろう。本明細書で説明する本発明の実施形態の様々な代替例が、本発明の実施において用いられ得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義すること、並びにこれらの特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にある方法及び構造は、それによって網羅されることを意図とする。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16A-16B】
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28
【国際調査報告】