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特表2022-529082部分的に阻止された椎弓根スクリュー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】部分的に阻止された椎弓根スクリュー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575498
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020066605
(87)【国際公開番号】W WO2020254310
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116368.4
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ヴェンツェル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL57
(57)【要約】
本発明は、受容スリーブ(6)及びスクリュー頭部(1)を備える椎弓根スクリューであって、スクリュー頭部(1)は、受容スリーブ(6)内に旋回可能に、挿入可能であるか、挿入される遠位の旋回セクション(3)と、受容スリーブ(6)内の固定位置に、挿入可能であるか、挿入される近位の保持セクション(4)と、を備えており、旋回セクション(3)及び保持セクション(4)は、スクリューの長手方向軸(L)に対して横方向に延在する旋回軸(S)の周りを互いに対して旋回されることが可能であるような方式で、少なくとも1つの好ましくは弾性変形可能な及び/又は塑性変形可能なウェブ(11)を介して、互いに一体的に接続されており、特にワンピースで製造されている、椎弓根スクリューに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容スリーブ(6)及びスクリュー頭部(1)を備える椎弓根スクリューであって、
前記スクリュー頭部(1)は、前記受容スリーブ(6)内に、旋回可能に挿入可能であるか、挿入される、好ましくは球形の遠位の旋回セクション(3)と、前記受容スリーブ(6)内の固定位置に、挿入可能であるか、挿入される、前記スクリュー頭部(1)の近位の保持セクション(4)と、を備えており、
前記旋回セクション(3)及び前記保持セクション(4)は、前記スクリューの長手方向の軸(L)に対して横方向に延在する旋回軸(S)の周りを互いに対して旋回可能であるような方式で、少なくとも1つの好ましくは弾性変形可能な及び/又は塑性変形可能なウェブ(11)を介して、互いに一体的に接続されており、特にワンピースで製造されている、椎弓根スクリュー。
【請求項2】
前記少なくとも1つのウェブ(11)は、前記旋回セクション(3)又は前記保持セクション(4)において窪んでいる2つのスロット又はウェッジ(10)間に配置される材料セクションである、請求項1に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項3】
前記少なくとも1つのウェブ(11)の端部は、前記少なくとも1つのウェブ(11)が前記保持セクション(4)又は前記旋回セクション(3)に一体的に接続されているところにおいて、旋回継手(20)として機能する、請求項1又は2に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項4】
前記スロット又はウェッジ(10)のフランク(12)は、前記旋回セクション(3)及び前記保持セクション(4)の旋回を制限するためのストッパとして機能する、請求項2又は3に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項5】
前記スロット又はウェッジ(10)は、少なくとも±22°、好ましくは少なくとも±30°の旋回角を可能にしている、請求項2~4のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項6】
前記旋回セクション(3)及び前記保持セクション(4)を分離する前記スロット又はウェッジ(10)及び/或いは2つの間隙(9)は、分離プロセスにより、好ましくはワイヤーカットにより、機械加工されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項7】
前記少なくとも1つのウェブ(11)は、真っ直ぐに延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の前記椎弓根スクリュー。
【請求項8】
前記少なくとも1つのウェブ(11)は、波形である、請求項1~6のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項9】
前記旋回セクション(3)が、側方円筒表面(8)を近位に有しているとともに、前記近位の保持セクション(4)が、対応する側方内側円筒表面(13)を遠位に有しており、
又は、前記旋回セクション(3)が、側方内側円筒表面を近位に有しているとともに、前記近位の保持セクション(4)が、対応する側方円筒表面を遠位に有しており、
前記側方円筒表面(8)及び前記対応する側方内側円筒表面(13)、又は、前記側方内側円筒表面及び前記対応する側方円筒表面は、各々の旋回位置において、それに応じて少なくとも部分的に重複している、請求項1~8のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項10】
前記旋回継手(20)として機能する前記ウェブ(11)の前記端部は、前記側方円筒表面(8)の長手方向軸上に配置されている、請求項9に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項11】
前記旋回セクション(3)は、前記受容スリーブ(6)の内側表面上で前記旋回軸(S)の方向に支持されるために、前記スクリューの前記長手方向(L)に延在する円筒を少なくとも部分的に形成するような方式で、側方且つ近位に広くされている、請求項1~10のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項12】
前記受容スリーブ(6)には、窪みが設けられており、前記窪みは、前記椎弓根スクリューが前記受容スリーブ(6)内において可動であるように、実質的に矩形の空間(18)を好ましくは形成している、請求項1~11のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項13】
旋回はそれぞれ、頭尾方向においては可能にされ、内外側方向においては好ましくは阻止される、請求項1~12のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多軸タイプであって、スクリューシャフトと、それに一体的に接続されるとともに受容スリーブ(チューリップ)内において回転可能に及び/又は旋回可能に支持又は受容されるスクリュー頭部と、を有する、部分的に阻止された椎弓根スクリュー(短縮して、スクリュー)に関する。
【背景技術】
【0002】
椎弓根スクリュー、特に多軸タイプのものは、いくつかの椎骨の位置を互いに対して固定するために、脊柱に対する外科的処置において使用される。これらのスクリューの各々は、椎骨の椎弓根にねじ込まれ、スクリュー頭部又はスクリュー頭部に結合されたチューリップ内に挿入された接続ロッドを介して接続される。用途に依存して、チューリップとスクリューシャフトとの間の相対運動に関して自由度が異なるスクリューが使用される。例えば、変形した脊柱の減捻用には、チューリップとスクリューシャフトとの間の旋回運動が、内外側方向において(即ち、脊柱又はそれに纏わる人体を基準として側方方向において、或いは横断面内において)は阻止されるものの、頭尾方向において(即ち、脊柱を基準として長手方向又は高さ方向において、或いは矢状面内において)は外科手術中の位置決めのために許容される、スクリューが提供される。このことは、スクリュー頭部を非円形にすること、例えば側方平坦部を設けることによって達成される。また、スクリュー頭部に圧力を軸方向に印加するためにチューリップ内に挿入されて、スクリューとチューリップとの間の相対位置を固定するためのインレイ又はインサートが、スクリュー頭部の平坦部に接触する、対応する側方内側表面を備えて設計される。
【0003】
このような椎弓根スクリューは、特別な器具又は器具セットを使用して埋め込まれ、この器具又は器具セットは通常、複数個の異なる椎弓根スクリュー用に標準化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術、例えばUS2010/0305621A1及びUS9138261B2から、多軸椎弓根スクリューが公知であり、各ケースにおいて、この多軸椎弓根スクリューの受容本体に挿入されたその丸い頭部は、頭部に対して近位に配置されたブッシュ(チューリップ内に軸方向に挿入するためのインレイ/インサート)が、2つの耳形状の軸方向突起を有するように、2つの対向する側において少なくとも部分的に平坦化されており、これらの突起は、平坦な内側表面を形成しており、頭部の平坦化された側面上にこれらの内側表面が存在する状態で案内され、これらの平坦な内側表面に平行な面内においてのみ、ブッシュに対するスクリューシャフト及び頭部の旋回を許容する。椎弓根スクリューの頭部の一部は、平坦化された側面を越えて径方向に突出して、受容本体上におけるスクリュー頭部のスクリュー直径に沿った付加的な支持をもたらし得る。しかしながら、このことは、達成可能な旋回角を制限し、案内表面を減少させる。さらに、フランジが僅かに弾性変形可能である。そのため、大きな側方の力が満足に支持されない虞がある。
【0005】
US8048133B2は、多軸椎弓根スクリューを開示しており、この多軸椎弓根スクリューの丸い頭部は、スクリュー直径に沿って延在する円筒を形成するために、スクリュー直径に沿って対向する2つの側において機械加工されており、この円筒は、圧力要素(インレイ/インサート)の対応する表面に近位に接触し、この表面と共に、一種の滑り軸受を形成しており、この滑り軸受は、円筒の軸周りの回転を可能にするとともに他の軸周りの回転/旋回運動を阻止する。しかしながら、この、他の軸周りの回転又は旋回の阻止は、大きな側方の力において安定性が不十分である可能性があり、接続の急速な摩耗又は劣化を招く。
【0006】
さらなる文献であるUS5989254Aは、球形の頭部を備えた多軸椎弓根スクリューを示しており、この頭部においては、円筒形のサドル表面、又は、長手方向に湾曲したサドル形状のスロット底面を備えた横スロットが、接続ロッドを受容するように窪んでおり、この接続ロッドを介していくつかの椎弓根スクリューを接続することができる。チューリップが椎弓根スクリューのスクリュー頭部の上方に置かれるとともに接続ロッドがチューリップ内に横方向に挿入される場合、スクリュー頭部が、チューリップ内でスクリュー直径に沿って伸びる軸周りにおいて旋回されると、サドル表面が回って接続ロッドから外れる。横方向の力は、接続ロッドの外側表面とサドル表面のための窪みの側面を介して、即ち、相対的に短い線接触を介して、主に伝達される。この構造は、大きな横方向の力に対して十分に安定性を有さないことが予想される。
【0007】
要約すると、公知の解決策は、有している多軸椎弓根スクリューの個々の部品が多すぎ、及び/又は、継手を包含しており、したがって、製造及び組み付けを行うには複雑である。特に、チューリップ内においてスクリュー頭部に近位に挿入されたインサート、挿入ピース又は保持ピースの内部の幾何学的形態は、往々にして複雑である。これにより、とりわけ製造コストが増大する。これらのスクリューの埋め込みは、別個の器具のセットも必要とすることがあり得、この別個の器具のセットは、量が少ない故に、それに纏わる製造コストをさらに増大させる。
【0008】
本発明は、先行技術の不利益を減少又は回避する目的に基づく。特に、簡素かつ安定性を有する椎弓根スクリューであって、スクリュー直径に沿った1つの(単一の)方向においては受容スリーブ又はチューリップ内で旋回可能であるとともに、別のスクリュー直径に沿った方向においては定位置に固定されているスクリュー頭部を備える椎弓根スクリューが提供され得る。さらに、本椎弓根スクリューを用いると、特に、このスクリューを固定するための、好ましくは複数回にわたって緩めたり締めたりすることが可能であるべき、同じシステムの器具及びセットスクリューが使用可能になるはずである。換言すると、「通例の」(同じシステムの)多軸椎弓根スクリューの基本的な機能及び外部の幾何学的形態は、保持され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基本的な目的は、請求項1の特徴を有する椎弓根スクリューによって成し遂げられる。有利なさらなる展開は、従属請求項の主題であり、より詳細に後に説明する。
【0010】
本発明の基本的な着想は、本質的に、概して球形のスクリュー頭部を、その軸方向に近位の頂点において、好ましくはV字形状に分割すること、又は、好ましくはV字形状の間隙を備えて形成することと、それ自体は先行技術から公知のインレイ(チューリップ内においてスクリュー頭部に軸方向の圧力をかけ、よって、頭部及びチューリップを互いに/互いに対して押し付ける)を、好ましくは一体的な様式で、好ましくはプレート形状のウェブ(プレート/ばね舌片)を介して、ウェブを、スクリューの軸方向においてはインレイに、間隙底面においてはスクリュー頭部に、(一体的に)固定することによって、椎弓根スクリューに接続することである。この方式では、ウェブが間隙内で前後に弾力的に揺動し得る(ここでは、この間隙のフランクが、端部止め表面として働く)ので、インレイを、スクリュー頭部の周囲に沿って(振子状に)運動させることができる。
【0011】
換言すると、この目的は、受容スリーブ又はチューリップとスクリュー頭部とを備える多軸椎弓根スクリューであって、スクリュー頭部は、受容スリーブ/チューリップ内に旋回可能に(又は回転可能に)挿入されているか、挿入可能である遠位旋回セクション(椎弓根スクリューのボール頭部)と、受容スリーブ/チューリップ内の固定位置に挿入されているか、挿入可能である近位保持セクション(インレイ)と、を備えている、多軸椎弓根スクリューにより成し遂げられる。これらの2つのセクションは、スクリューの長手方向軸に対して横(即ちスクリュー直径に沿った)方向に延在する旋回軸の周りを互いに対して旋回可能であるような方式で、少なくとも1つのウェブ/プレート/舌片を介して、互いに一体的に接続されており、特にワンピースで製造されている。好ましくは、ウェブは、旋回セクション及び保持セクションの旋回を可能にするために、弾性変形可能及び/又は塑性変形可能であってもよい。
【0012】
換言すると、本発明に従った椎弓根スクリューにおいて、保持セクション(インレイ)及び旋回セクション(スクリュー頭部)は、一体的に製造され(又は、溶接/はんだ付け/接着剤による接着により接合され)ており、旋回可能性が接続セクション又はウェブにより確保されており、この接続セクション又はウェブは、妥当な量の力で、且つ、脊柱外科手術における使用のために十分に大きな面積で、変形/屈曲されるために、少なくとも断面において十分に狭くなっている。
【0013】
このような椎弓根スクリューのための好ましい材料として、チタン合金が提供される。これにより、椎弓根スクリューの個々の部品及びアセンブリの生産及びコミッショニングの両方が簡素化される。結果的に、製造コストを減少させることができる。
【0014】
ウェブは、様々な箇所において保持セクション(インレイ/インサート)及び旋回セクション(スクリュー頭部)に接続されてもよく、様々な形状、例えば、真っ直ぐな形状、ループ形状、又はS字形状を有していてもよい。ウェブは、形状及び配置に依存して異なる特性を有していてもよく、例えば、一様に屈曲可能であってもよいし、或る特定の勾配に従って屈曲可能であってもよいし、少なくとも1つの画定された箇所においてのみ屈曲可能であってもよい。同様に、保持セクション(インレイ)は、受容スリーブ/チューリップ内における捩れ又は滑りを防止するために、異なる形状を有していてもよく、保持セクション(インレイ)は、該当する場合には、受容スリーブ/チューリップ内に接続ロッド/横ロッド及びセットスクリューをねじ込むことによってのみ、スクリューの長手方向に固定される。好ましくは、保持セクション(インレイ)の外側幾何学的形態は、同じシステムの標準的な椎弓根スクリューのインサート/インレイの外側幾何学的形態に対応する。受容スリーブ/チューリップと旋回セクション(スクリュー頭部)との間の旋回可能性を確保するために、スクリュー頭部及び/又は受容スリーブのいずれかは、その接触エリアにおいて、凹状に及び凸状に丸くされていてもよい。
【0015】
少なくとも1つのウェブが、旋回セクション(スクリュー頭部)又は保持セクション(インレイ/インサート)において窪んでいる2つのスロット又はウェッジ(即ち、スロット形状の又はウェッジ形状の窪み)間に配置された材料セクションである場合、有利である。これにより、2つの構成要素の一様な旋回が確保される。
【0016】
少なくとも1つのウェブが保持セクション(インレイ/インサート)又は旋回セクション(スクリュー頭部)に一体的に接続されているところにおいて、少なくとも1つのウェブの1つの端部が、旋回継手又は屈曲継手として機能する場合、有用であることが分かっている。該当する場合、ウェブは、例えば、旋回を生じるために屈曲/傾斜させることが意図される箇所において、狭窄又は縮小された断面を有していてもよく、この狭窄又は縮小された断面が、所定の屈曲点をもたらす。このことが可能である理由は、特に、この方式で形成された継手(フィルムヒンジ)が、椎弓根スクリューの埋め込み時にセットスクリューを使用して設置位置に固定されるためであり、この時点まで無傷で保たれ且つ可動でありさえすればよいためである。そのため、永久荷重によるウェブの破損が懸念され得ない。スロット又はウェッジが上記のように旋回セクション(スクリュー頭部)内又は保持セクション(インレイ/インサート)内に設けられる場合、この旋回継手は、好ましくは、これらのスロットの底部(スロット底面)又はウェッジの底部に位置付けられたウェブの端部に設けられる。
【0017】
スロット又はウェッジのフランクが、旋回セクション及び保持セクションの旋回を制限するためのストッパとして機能する場合、好都合である。このことは有利にも、保持セクション(インレイ/インサート)及び旋回セクション(スクリュー頭部)の旋回を制限し、旋回継手がスロット又はウェッジ間に形成されている場合に、旋回継手を特に保全する。さらに、これにより、手術中に受容スリーブ/チューリップを、画定された止め位置に置くことが可能になる。スロット又はウェッジは、少なくとも±22°、好ましくは少なくとも±30°の旋回角を可能にすべきである。このことは、ウェッジ又はスロットが対称性である場合に、スクリューの長手方向軸とフランクにより形成されたストッパとの間の角度の各々が、少なくとも22°、好ましくは少なくとも30°であることを意味する。これにより、椎弓根スクリューの必要な運動性が確保される。
【0018】
好ましくは、旋回セクション(スクリュー頭部)及び保持セクション(インレイ/インサート)を分離するスロット又はウェッジ及び/或いは2つの間隙は、分離プロセスにより、好ましくはワイヤーカットにより、製作又は機械加工されている。換言すると、形状は、それを分割することなく、ウェッジを機械加工することによって変更され、この機械加工は、標準的な椎弓根スクリューのインサートの機能を担う保持セクション(インレイ/インサート)を、残りのウェブを変形させながら運動させることができるような方式で行われる。そのため、椎弓根スクリュー頭部は、コストを過度に増大させることなく、ワンピースで容易に製造され得る。さらには、特に、スロットの両側の表面が、付加的な仕上げ加工を行わなくても(十分に)正確に共に嵌合するため、高い精度が達成される。
【0019】
本発明の好ましい一実施形態によると、少なくとも1つのウェブは、真っ直ぐに延在する。このケースにおいて、少なくとも1つのウェブは相対的に堅く、よって、それに応じて大きな側方荷重の支持を支援することができ、それにより、旋回軸に対して横方向の軸の周りの旋回の防止を支援する。さらに、少なくとも1つのウェブは特に簡素であり、よって、安価に製造される。代替的に、少なくとも1つのウェブは、波形であってもよい。これにより、保持セクションの(及び受容スリーブの)運動中におけるウェブの運動性の改善又はより容易な変形の観点から、利益がもたらされ得る。
【0020】
好ましくは、旋回セクション(スクリュー頭部)は、側方円筒表面を近位に有しているとともに、保持セクション(インレイ/インサート)は、対応する側方内側円筒表面を遠位に有している。代替的に、旋回セクション(スクリュー頭部)は、側方内側円筒表面を近位に有しているとともに、保持セクション(インレイ/インサート)は、対応する側方円筒表面を遠位に有している。この相補的な形状は、特にスロットの挿入によって達成され、保持セクション(インレイ/インサート)及び旋回セクション(スクリュー頭部)の互いに対する旋回/回転運動を可能にする。特に、旋回継手として機能するウェブの端部が、側方円筒表面の長手方向軸上に配置されて、この回転/旋回を確保することがもたらされる。スロットの幅及び印加される荷重(特に波形のウェブを用いた場合)に依存して、これらの2つの表面は、接触して、案内の幾何学的形態として機能することが可能である。しかしながら、スロットは原理的に、これらの2つの表面が明瞭に離間されるように十分に大きくされていてもよく、その理由は、本発明に従った椎弓根スクリューにおいて、案内の幾何学的形態を省くことが基本的に可能であるためである。両方のケースにおいて、保持セクション(インレイ/インサート)及び旋回セクション(スクリュー頭部)は、側方円筒表面及び側方内側円筒表面が互いの旋回位置において少なくとも部分的に重複するような方式で設計される。この方式では、必要な場合、(特に設置状態において)案内又は支持機能を確保することができる。さらに、このことは、異物等が導入されてスクリュー頭部の運動性を可能性として阻止し得ないように、ウェッジ又はスロットを常に遮蔽する。
【0021】
さらに、旋回セクション(スクリュー頭部)が、受容スリーブ/チューリップの内側表面上で旋回軸の方向に支持されるために、スクリューの長手方向に延在する(主)円筒を少なくとも部分的に形成するような方式で、側方且つ近位に広くされている場合、有利であることが分かっている。特に安定性を有するこの設計により、旋回軸に対して横方向の軸の周りの旋回を阻止するために、500Nまでの大きな側方荷重の支持が可能になる。好ましくは、この円筒形の(クランプ)表面及び少なくとも1つのウェブの両方が、側面荷重を支持する。このケースでは、(好ましくは標準的な椎弓根スクリューの基部又は「本体」に対応する)受容スリーブ/チューリップに窪みが設けられており、この窪みが、椎弓根スクリューが受容スリーブ/チューリップ内において可動であるように、実質的に矩形又は正方形の空間を好ましくは形成していることが有用である。特に、旋回セクションの円筒部分(主円筒)がいずれの旋回位置においても入る空間があるような方式で、窪みが形成されることが必要である。
【0022】
好ましくは、上記の椎弓根スクリューは、頭尾方向における旋回を可能にし、好ましくは、内外側方向における旋回を阻止する。特に、少なくとも500Nの側方荷重下におけるスクリュー頭部の頭尾運動が防止されるべきである。これらの方向上の詳述は、手術中における椎弓根スクリューの意図された設置状況を指している。即ち、椎弓根スクリューが脊柱内に挿入されると、スクリューシャフト及び受容スリーブは、頭尾方向において、即ち矢状面内においては、互いに対して可動であるべきであり、内外側方向において、即ち横断面内においては、定位置に固定されるべきである。
【0023】
椎弓根スクリューを埋め込むためのツール受けを形成するために、保持セクション(インレイ/インサート)を経由して旋回セクション(スクリュー頭部)内へ伸びる通路が設けられる場合もまた、好都合である。該当する場合、ウェブはそれにより、より狭いウェブが通路の両側に残るように分割される。
【0024】
好ましい実施形態を参照して、以降に本発明を説明する。しかしながら、これらは単に例示の目的のためであり、本発明の保護の範囲を制限することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の第1の実施形態に従った椎弓根スクリューの頭部を示す。
図2】本開示の第1又は第2の実施形態に従った受容スリーブの長手方向断面及び断面図を示す。
図3】第1の実施形態に従った椎弓根スクリューの動作原理を例示する。
図4】本開示の第2の実施形態に従った椎弓根スクリューの頭部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明に従った椎弓根スクリューの第1の実施形態のスクリュー頭部1を示す。ここでは、スクリュー頭部1と一体的に又はワンピースで形成されるとともにスクリュー頭部1から遠位に延在するスクリューシャフト2が、大まかな外形図でのみ示されている。
【0027】
スクリュー頭部1は、2つの部分で形成されており、遠位旋回セクション3(スクリューシャフト2の近位端における椎弓根スクリューの実際のスクリュー頭部又はボール頭部に相当)と、近位保持セクション4(チューリップ内側のインサート/インレイに相当)を有している。旋回セクション3は、スクリューシャフト2に接続される少なくともその遠位端5(好ましくは少なくともその遠位半体)において、丸く、好ましくは球形である。完全に組み付けられた状態において、この丸い端は、受容スリーブ又はチューリップ6(図2に図示)に受容され、スクリュー頭部1が受容スリーブ6内に回転可能に装着されることを可能にする。スクリュー頭部1の近位端7(好ましくは、ほぼ近位半体)は、いわゆる「シュタインメッツの立体(Steinmets-Korper)」を少なくとも部分的に形成している。即ち、近位端7は、2つの交差する円筒、即ち、遠位端5から近位方向に(スクリューの長手方向に)延在する主円筒と、旋回軸Sの方向に延在して、旋回セクション3と保持セクション4との間の旋回運動を案内するための側方円筒表面又は案内表面8を提供する副円筒によって形成されている。副円筒、特に案内表面8は、当初は分割されていないスクリュー頭部1に、直径に沿って対向する2つの間隙9を、例えばワイヤーカットにより導入することによって製造される。
【0028】
加えて、副円筒の近位側方表面から、対称性のくさび形状の2つの窪み(ウェッジ)10が、例えば、ワイヤーカットにより間隙9と共に、スクリュー頭部1の中央に形成されている。これらのウェッジ10は、それぞれの場合において、間隙9のうちの一方に接続されるように近位方向に開放しており、ウェッジ10が旋回軸Sに向けて、特に丸いスクリュー頭部1の中心に向けて収束し、且つ、ウェブ11又はこの例では2つのウェブ11が、2つのウェッジ10間に残るような方式で、遠位方向に延在する。つまり、各ウェブ11は、くさび形状の窪み又はウェッジ10が、ウェブ11のいずれの側においてもスクリュー頭部1において窪んでいるように、旋回軸Sから真っ直ぐにスクリューの近位長手方向Lに延在しており、ウェッジ10は、好ましくは近位端7を完全に通過して、遠位端5内へ延在する。各ウェブ11に対向するウェッジ10のフランク12は、旋回運動を制限するためのストッパを表す。少なくとも±22°、好ましくは少なくとも又は最大で±30°の旋回を可能にするために、ウェッジ10は、それに応じて、少なくとも±22°、好ましくは少なくとも又は最大で±30°の角度を有している。この例では、直径に沿って対向する2つのウェブ11が設けられているが、その理由は、例示された椎弓根スクリューにおいて、2つのウェブ11を互いから分離する、例えば、骨セメントを注入するため及び/又はスクリュー埋め込み用のスクリュー器具を受容するための中央通路が設けられるためであることに留意されるべきである。しかしながら、代替的に、単一の連続的なウェブ11のみを設けてもよい。
【0029】
ウェブ11は、近位端において、保持セクション4に一体的に接続されている。ウェブ11の両側には、円筒の内側側方表面のような形状の受容表面(側方内側円筒表面)13が、保持セクション4の遠位端において、旋回セクション3の案内表面8に対向する間隙9に沿って形成されている。受容表面の輪郭は、間隙9が一定幅を有するような方式で、案内表面8の輪郭を辿っている。このことは、案内表面8及び受容表面13が、旋回セクション3及び保持セクション4を互いから分離するために、当初は分割されていないスクリュー頭部1内に間隙9を導入することによって制作されることを意味する。そのため、保持セクション4は、主円筒をスクリューの長手方向Lに継続させるために、その遠位側において少なくとも部分的に円筒形である。好ましくは、間隙9は、案内表面8及び受容表面13が、該当する場合には滑り軸受の様式で相互作用することができるように、できるだけ狭くなっている。
【0030】
保持セクション4は、円筒形の遠位側に対して近位に、スクリュー直径に沿って対向する2つの突出部14を形成しており、これらの突出部14は、本質的に、旋回軸Sに対して横方向に延在する円筒の一部であり、引き続き近位方向に延在する。これらの突出部14は、受容スリーブ6の対応する台座15内の固定位置に受容及び保持されるように設けられる(図2参照)。さらに、保持セクション4は、突出部14に沿ってU字形状に開放されて、複数の椎弓根スクリューの接続用のロッドを受容するための標準化されたサドル表面16を提供する。よって、本発明に従った椎弓根スクリューは、このようなロッドのようなシステムに纏わる器具又は付属品と共に使用することができる。同じことが、受容スリーブ6、より明確には、その外側輪郭と、ロッドをクランプするためのセットスクリュー用にそこに埋設されるねじ山との設計にも当てはまる。ロッドが通常、患者の脊柱に対して本質的に平行に伸びているので、ウェブ11に対する突出部14の配置は、椎弓根スクリューが埋め込まれる時における旋回運動の方向を決定することに、さらに留意されるべきである。この例では、ロッドは旋回軸Sに対して横方向に伸びており、このような理由で、椎弓根スクリューの頭部1及びシャフト2の旋回運動が、患者の矢状面内においては可能にされるとともに、横断面内における旋回運動が、ウェブ11により、及び、引き続き説明する、スクリュー頭部1と受容スリーブ6との相互作用により、阻止される。
【0031】
図2の左に示す受容スリーブ6の長手方向断面においては、既に説明した台座15及びサドル表面16に加え、やはり明瞭に認められることとして、受容スリーブ6の内径は、その遠位端において、円錐形の受容表面17を介して狭くなっている。この受容表面17は、スクリュー頭部1の丸い遠位端5を旋回可能に又は回転可能に装着又は受容するために機能する。図2の右に示す受容スリーブ6の断面においては、受容スリーブ内に形成される実質的に正方形の空間18も示されており、空間18は、受容表面17に対して直ぐ近位に受容スリーブ6内に導入されており、その側壁19は、受容表面17に対して実質的に接線方向に延在する。これらの側壁19は、旋回軸Sに対して横方向の旋回運動を阻止するために、旋回セクション3の近位端7の主円筒に嵌合/当接するとともにこの主円筒を支えるように、適合される。
【0032】
図3は、本発明に従った椎弓根スクリューの動作原理を例示する働きをする。右のスクリュー頭部1の例示は、本質的に、図1の例示に対応しており、ここでは、旋回セクション3及び保持セクション4が、互いに対して制限されていない(即ち、保持セクション4の長手方向軸が、スクリューの長手方向Lに対応している)。また認められることとして、案内表面8及び受容表面13が、スクリューの長手方向において重複している。図3の左において、スクリュー頭部1は、旋回セクション3及び保持セクション4の最大の旋回状態で示されている。案内表面8及び受容表面13は、この最大の旋回状態においてさえも、スクリューの長手方向において互いに重複するほど十分に遠くまで延在し、よって、全旋回運動にわたり、案内をもたらす。この状態において、ウェブ11は、その遠位端において捻じれ、即ち、少なくとも弾性的に変形し、場合によっては塑性的にも変形もする。よって、少なくとも1つのウェブ11の遠位端は、一種の旋回継手20として作用し、旋回継手20の周りにおいて、各ウェブ11は、旋回軸Sの周りで傾斜する。さらに、ウェブ11は、最大の旋回状態において、ウェッジ10のうちの一方のウェッジのフランク12に接触しており、それにより、最大の旋回角又は最大の傾斜角を制限する。このウェッジ10は、ウェブ11の変形によって結果的に閉鎖され、対向するウェッジ10は、ほぼ2倍の幅となる。
【0033】
図4は、本開示のさらなる一実施形態に従ったスクリュー頭部1の表示である。この実施形態は、第1の実施形態と実質的に同じであり、したがって、2つの実施形態間の差異のみについて以下に解説し、ここでは、同じ参照符号が、互いに対応する特徴について使用される。ここに示される第2の実施形態に従った椎弓根スクリューは、第1の実施形態の真っ直ぐなウェブ11とは対照的に、波形を付けたウェブ11を有している。波形を付けたウェブ11は、より容易に変形可能であり、このことは、保持セクション4とウェブ11とを介した受容スリーブ6の配向に必要とされるユーザ側の力が少なくなることを意味する。そのため、スクリューシャフト2を介して組織に伝達される力が少なくなり、外科手術中の取り扱いが簡素化される。その一方で、ウェブ11は、旋回軸Sに対して横方向の変形に対しても、より容易に変形可能であり、このような理由で、横荷重が、第1の実施形態と比較して、旋回セクション3の近位端7の主円筒を介してより多く吸収されなければならない。
【符号の説明】
【0034】
1 スクリュー頭部
2 スクリューシャフト
3 旋回セクション
4 保持セクション
5 旋回セクションの遠位端
6 受容スリーブ
7 旋回セクションの近位端
8 案内表面/側方円筒表面
9 間隙
10 ウェッジ(くさび形状の窪み)
11 ウェブ
12 フランク
13 受容表面/側方内側円筒表面
14 突出部
15 台座
16 サドル表面
17 円錐形の受容表面
18 空間
19 側壁
20 旋回継手
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容スリーブ及びスクリュー頭部を備える椎弓根スクリューであって、
前記スクリュー頭部は、前記受容スリーブ内に、旋回可能に挿入可能であるか、挿入される、遠位の旋回セクションと、前記受容スリーブ内の固定位置に、挿入可能であるか、挿入される、前記スクリュー頭部の近位の保持セクションと、を備えており、
前記旋回セクション及び前記保持セクションは、前記スクリューの長手方向の軸に対して横方向に延在する旋回軸の周りを互いに対して旋回可能であるような方式で、少なくとも1つのウブを介して、互いに一体的に接続されており
前記少なくとも1つのウェブは、前記旋回セクション又は前記保持セクションにおいて窪んでいる2つのスロット又はウェッジ間に配置される材料セクションである、椎弓根スクリュー。
【請求項2】
前記少なくとも1つのウェブの端部は、前記少なくとも1つのウェブが前記保持セクション又は前記旋回セクションに一体的に接続されているところにおいて、旋回継手として機能する、請求項1に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項3】
前記スロット又はウェッジのフランクは、前記旋回セクション及び前記保持セクションの旋回を制限するためのストッパとして機能する、請求項又はに記載の椎弓根スクリュー。
【請求項4】
前記スロット又はウェッジは、少なくとも±22°の旋回角を可能にしている、請求項のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項5】
前記旋回セクション及び前記保持セクションを分離する前記スロット又はウェッジ及び/或いは2つの間隙は、分離プロセスにより機械加工されている、請求項のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項6】
前記少なくとも1つのウェブは、真っ直ぐに延在する、請求項1~のいずれか一項に記載の前記椎弓根スクリュー。
【請求項7】
前記少なくとも1つのウェブは、波形である、請求項1~のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項8】
前記旋回セクションが、側方円筒表面を近位に有しているとともに、前記近位の保持セクションが、対応する側方内側円筒表面を遠位に有しており、
又は、前記旋回セクションが、側方内側円筒表面を近位に有しているとともに、前記近位の保持セクションが、対応する側方円筒表面を遠位に有しており、
前記側方円筒表面及び前記対応する側方内側円筒表面、又は、前記側方内側円筒表面及び前記対応する側方円筒表面は、各々の旋回位置において、それに応じて少なくとも部分的に重複している、請求項1~のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項9】
前記旋回継手として機能する前記ウェブの前記端部は、前記側方円筒表面の長手方向軸上に配置されている、請求項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項10】
前記旋回セクションは、前記受容スリーブの内側表面上で前記旋回軸の方向に支持されるために、前記スクリューの前記長手方向に延在する円筒を少なくとも部分的に形成するような方式で、側方且つ近位に広くされている、請求項1~のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項11】
前記椎弓根スクリューが前記受容スリーブ(6)内において可動であるように、前記受容スリーブには、窪みが設けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項12】
旋回はそれぞれ、頭尾方向においては可能にされ、内外側方向においては好ましくは阻止される、請求項1~11のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項13】
回は、内外側方向に阻止される、請求項12に記載の椎弓根スクリュー。
【請求項14】
前記旋回セクションは及び前記保持セクションは、ワンピースで製造されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
開示は、先行技術の不利益を減少又は回避する目的に基づく。特に、簡素かつ安定性を有する椎弓根スクリューであって、スクリュー直径に沿った1つの(単一の)方向においては受容スリーブ又はチューリップ内で旋回可能であるとともに、別のスクリュー直径に沿った方向においては定位置に固定されているスクリュー頭部を備える椎弓根スクリューが提供され得る。さらに、本椎弓根スクリューを用いると、特に、このスクリューを固定するための、好ましくは複数回にわたって緩めたり締めたりすることが可能であるべき、同じシステムの器具及びセットスクリューが使用可能になるはずである。換言すると、「通例の」(同じシステムの)多軸椎弓根スクリューの基本的な機能及び外部形態は、保持され得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
開示の基本的な目的は、請求項1の特徴を有する椎弓根スクリューによって成し遂げられる。有利なさらなる展開は、従属請求項の主題であり、より詳細に後に説明する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
開示の基本的な着想は、本質的に、概して球形のスクリュー頭部を、その軸方向に近位の頂点において、好ましくはV字形状に分割すること、又は、好ましくはV字形状の間隙を備えて形成することと、それ自体は先行技術から公知のインレイ(チューリップ内においてスクリュー頭部に軸方向の圧力をかけ、よって、頭部及びチューリップを互いに/互いに対して押し付ける)を、好ましくは一体的な様式で、好ましくはプレート形状のウェブ(プレート/ばね舌片)を介して、ウェブを、スクリューの軸方向においてはインレイに、間隙底面においてはスクリュー頭部に、(一体的に)固定することによって、椎弓根スクリューに接続することである。この方式では、ウェブが間隙内で前後に弾力的に揺動し得る(ここでは、この間隙のフランクが、端部止め表面として働く)ので、インレイを、スクリュー頭部の周囲に沿って(振子状に)運動させることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
換言すると、本開示に従った椎弓根スクリューにおいて、保持セクション(インレイ)及び旋回セクション(スクリュー頭部)は、一体的に製造され(又は、溶接/はんだ付け/接着剤による接着により接合され)ており、旋回可能性が接続セクション又はウェブにより確保されており、この接続セクション又はウェブは、妥当な量の力で、且つ、脊柱外科手術における使用のために十分に大きな面積で、変形/屈曲されるために、少なくとも断面において十分に狭くなっている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
開示の好ましい一実施形態によると、少なくとも1つのウェブは、真っ直ぐに延在する。このケースにおいて、少なくとも1つのウェブは相対的に堅く、よって、それに応じて大きな側方荷重の支持を支援することができ、それにより、旋回軸に対して横方向の軸の周りの旋回の防止を支援する。さらに、少なくとも1つのウェブは特に簡素であり、よって、安価に製造される。代替的に、少なくとも1つのウェブは、波形であってもよい。これにより、保持セクションの(及び受容スリーブの)運動中におけるウェブの運動性の改善又はより容易な変形の観点から、利益がもたらされ得る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
好ましくは、旋回セクション(スクリュー頭部)は、側方円筒表面を近位に有しているとともに、保持セクション(インレイ/インサート)は、対応する側方内側円筒表面を遠位に有している。代替的に、旋回セクション(スクリュー頭部)は、側方内側円筒表面を近位に有しているとともに、保持セクション(インレイ/インサート)は、対応する側方円筒表面を遠位に有している。この相補的な形状は、特にスロットの挿入によって達成され、保持セクション(インレイ/インサート)及び旋回セクション(スクリュー頭部)の互いに対する旋回/回転運動を可能にする。特に、旋回継手として機能するウェブの端部が、側方円筒表面の長手方向軸上に配置されて、この回転/旋回を確保することがもたらされる。スロットの幅及び印加される荷重(特に波形のウェブを用いた場合)に依存して、これらの2つの表面は、接触して、案内の幾何学的形態として機能することが可能である。しかしながら、スロットは原理的に、これらの2つの表面が明瞭に離間されるように十分に大きくされていてもよく、その理由は、本開示に従った椎弓根スクリューにおいて、案内の幾何学的形態を省くことが基本的に可能であるためである。両方のケースにおいて、保持セクション(インレイ/インサート)及び旋回セクション(スクリュー頭部)は、側方円筒表面及び側方内側円筒表面が互いの旋回位置において少なくとも部分的に重複するような方式で設計される。この方式では、必要な場合、(特に設置状態において)案内又は支持機能を確保することができる。さらに、このことは、異物等が導入されてスクリュー頭部の運動性を可能性として阻止し得ないように、ウェッジ又はスロットを常に遮蔽する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
好ましい実施形態を参照して、以降に本開示を説明する。しかしながら、これらは単に例示の目的のためであり、本開示の保護の範囲を制限することは意図されていない。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図1は、本開示に従った椎弓根スクリューの第1の実施形態のスクリュー頭部1を示す。ここでは、スクリュー頭部1と一体的に又はワンピースで形成されるとともにスクリュー頭部1から遠位に延在するスクリューシャフト2が、大まかな外形図でのみ示されている。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
保持セクション4は、円筒形の遠位側に対して近位に、スクリュー直径に沿って対向する2つの突出部14を形成しており、これらの突出部14は、本質的に、旋回軸Sに対して横方向に延在する円筒の一部であり、引き続き近位方向に延在する。これらの突出部14は、受容スリーブ6の対応する台座15内の固定位置に受容及び保持されるように設けられる(図2参照)。さらに、保持セクション4は、突出部14に沿ってU字形状に開放されて、複数の椎弓根スクリューの接続用のロッドを受容するための標準化されたサドル表面16を提供する。よって、本開示に従った椎弓根スクリューは、このようなロッドのようなシステムに纏わる器具又は付属品と共に使用することができる。同じことが、受容スリーブ6、より明確には、その外側輪郭と、ロッドをクランプするためのセットスクリュー用にそこに埋設されるねじ山との設計にも当てはまる。ロッドが通常、患者の脊柱に対して本質的に平行に伸びているので、ウェブ11に対する突出部14の配置は、椎弓根スクリューが埋め込まれる時における旋回運動の方向を決定することに、さらに留意されるべきである。この例では、ロッドは旋回軸Sに対して横方向に伸びており、このような理由で、椎弓根スクリューの頭部1及びシャフト2の旋回運動が、患者の矢状面内においては可能にされるとともに、横断面内における旋回運動が、ウェブ11により、及び、引き続き説明する、スクリュー頭部1と受容スリーブ6との相互作用により、阻止される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図3は、本開示に従った椎弓根スクリューの動作原理を例示する働きをする。右のスクリュー頭部1の例示は、本質的に、図1の例示に対応しており、ここでは、旋回セクション3及び保持セクション4が、互いに対して制限されていない(即ち、保持セクション4の長手方向軸が、スクリューの長手方向Lに対応している)。また認められることとして、案内表面8及び受容表面13が、スクリューの長手方向において重複している。図3の左において、スクリュー頭部1は、旋回セクション3及び保持セクション4の最大の旋回状態で示されている。案内表面8及び受容表面13は、この最大の旋回状態においてさえも、スクリューの長手方向において互いに重複するほど十分に遠くまで延在し、よって、全旋回運動にわたり、案内をもたらす。この状態において、ウェブ11は、その遠位端において捻じれ、即ち、少なくとも弾性的に変形し、場合によっては塑性的にも変形もする。よって、少なくとも1つのウェブ11の遠位端は、一種の旋回継手20として作用し、旋回継手20の周りにおいて、各ウェブ11は、旋回軸Sの周りで傾斜する。さらに、ウェブ11は、最大の旋回状態において、ウェッジ10のうちの一方のウェッジのフランク12に接触しており、それにより、最大の旋回角又は最大の傾斜角を制限する。このウェッジ10は、ウェブ11の変形によって結果的に閉鎖され、対向するウェッジ10は、ほぼ2倍の幅となる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図4は、本開示のさらなる一実施形態に従ったスクリュー頭部1の表示である。この実施形態は、第1の実施形態と実質的に同じであり、したがって、2つの実施形態間の差異のみについて以下に解説し、ここでは、同じ参照符号が、互いに対応する特徴について使用される。ここに示される第2の実施形態に従った椎弓根スクリューは、第1の実施形態の真っ直ぐなウェブ11とは対照的に、波形を付けたウェブ11を有している。波形を付けたウェブ11は、より容易に変形可能であり、このことは、保持セクション4とウェブ11とを介した受容スリーブ6の配向に必要とされるユーザ側の力が少なくなることを意味する。そのため、スクリューシャフト2を介して組織に伝達される力が少なくなり、外科手術中の取り扱いが簡素化される。その一方で、ウェブ11は、旋回軸Sに対して横方向の変形に対しても、より容易に変形可能であり、このような理由で、横荷重が、第1の実施形態と比較して、旋回セクション3の近位端7の主円筒を介してより多く吸収されなければならない。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
受容スリーブ(6)及びスクリュー頭部(1)を備える椎弓根スクリューであって、
前記スクリュー頭部(1)は、前記受容スリーブ(6)内に、旋回可能に挿入可能であるか、挿入される、好ましくは球形の遠位の旋回セクション(3)と、前記受容スリーブ(6)内の固定位置に、挿入可能であるか、挿入される、前記スクリュー頭部(1)の近位の保持セクション(4)と、を備えており、
前記旋回セクション(3)及び前記保持セクション(4)は、前記スクリューの長手方向の軸(L)に対して横方向に延在する旋回軸(S)の周りを互いに対して旋回可能であるような方式で、少なくとも1つの好ましくは弾性変形可能な及び/又は塑性変形可能なウェブ(11)を介して、互いに一体的に接続されており、特にワンピースで製造されている、椎弓根スクリュー。
(項目2)
前記少なくとも1つのウェブ(11)は、前記旋回セクション(3)又は前記保持セクション(4)において窪んでいる2つのスロット又はウェッジ(10)間に配置される材料セクションである、項目1に記載の椎弓根スクリュー。
(項目3)
前記少なくとも1つのウェブ(11)の端部は、前記少なくとも1つのウェブ(11)が前記保持セクション(4)又は前記旋回セクション(3)に一体的に接続されているところにおいて、旋回継手(20)として機能する、項目1又は2に記載の椎弓根スクリュー。
(項目4)
前記スロット又はウェッジ(10)のフランク(12)は、前記旋回セクション(3)及び前記保持セクション(4)の旋回を制限するためのストッパとして機能する、項目2又は3に記載の椎弓根スクリュー。
(項目5)
前記スロット又はウェッジ(10)は、少なくとも±22°、好ましくは少なくとも±30°の旋回角を可能にしている、項目2~4のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
(項目6)
前記旋回セクション(3)及び前記保持セクション(4)を分離する前記スロット又はウェッジ(10)及び/或いは2つの間隙(9)は、分離プロセスにより、好ましくはワイヤーカットにより、機械加工されている、項目2~5のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
(項目7)
前記少なくとも1つのウェブ(11)は、真っ直ぐに延在する、項目1~6のいずれか一項に記載の前記椎弓根スクリュー。
(項目8)
前記少なくとも1つのウェブ(11)は、波形である、項目1~6のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
(項目9)
前記旋回セクション(3)が、側方円筒表面(8)を近位に有しているとともに、前記近位の保持セクション(4)が、対応する側方内側円筒表面(13)を遠位に有しており、
又は、前記旋回セクション(3)が、側方内側円筒表面を近位に有しているとともに、前記近位の保持セクション(4)が、対応する側方円筒表面を遠位に有しており、
前記側方円筒表面(8)及び前記対応する側方内側円筒表面(13)、又は、前記側方内側円筒表面及び前記対応する側方円筒表面は、各々の旋回位置において、それに応じて少なくとも部分的に重複している、項目1~8のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
(項目10)
前記旋回継手(20)として機能する前記ウェブ(11)の前記端部は、前記側方円筒表面(8)の長手方向軸上に配置されている、項目9に記載の椎弓根スクリュー。
(項目11)
前記旋回セクション(3)は、前記受容スリーブ(6)の内側表面上で前記旋回軸(S)の方向に支持されるために、前記スクリューの前記長手方向(L)に延在する円筒を少なくとも部分的に形成するような方式で、側方且つ近位に広くされている、項目1~10のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
(項目12)
前記受容スリーブ(6)には、窪みが設けられており、前記窪みは、前記椎弓根スクリューが前記受容スリーブ(6)内において可動であるように、実質的に矩形の空間(18)を好ましくは形成している、項目1~11のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
(項目13)
旋回はそれぞれ、頭尾方向においては可能にされ、内外側方向においては好ましくは阻止される、項目1~12のいずれか一項に記載の椎弓根スクリュー。
【国際調査報告】