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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(54)【発明の名称】血管をスキャンする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220609BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61B1/00 511
A61B1/00 526
A61B1/01 513
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575990
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2020007244
(87)【国際公開番号】W WO2021085782
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0134617
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521553818
【氏名又は名称】ドッター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム フンギル
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ソギ
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジョング
(72)【発明者】
【氏名】リ ジヨン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161BB08
4C161FF36
4C161NN01
4C161PP09
4C161QQ04
(57)【要約】
本開示の複数の一実施例に基づく、血管をスキャン方法する方法が開示される。上記方法は、蛍光物質を塗布するための第1カテーテルを血管に挿入する段階;上記第1カテーテルを用いて、上記血管内の目標地点に上記蛍光物質を塗布する段階;上記第1カテーテルを上記血管から取り除いてから上記血管をスキャンするための第2カテーテルを上記血管に挿入する段階;及び上記第2カテーテルが上記血管に挿入された後、上記第2カテーテルを用いて、上記血管の微細構造情報や生化学的情報を取得する段階を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光物質を塗布するための第1カテーテルを血管に挿入する段階;
前記第1カテーテルを用いて、前記血管内の目標地点に前記蛍光物質を塗布する段階;
前記第1カテーテルを前記血管から取り除いてから、前記血管をスキャンするための第2カテーテルを前記血管に挿入する段階;及び
前記第2カテーテルが前記血管に挿入された後、前記第2カテーテルを用いて、前記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1カテーテルは、
遠位末端部に、前記蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーン(balloon)を備える、
血管をスキャンする方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1カテーテルを用いて、前記血管内の目標地点に前記蛍光物質を塗布する段階は、
前記目標地点の血管内壁に前記バルーンが接触して前記蛍光物質が前記目標地点の前記血管内壁に塗布されるように、前記第1カテーテルの前記バルーンを膨張させる段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1カテーテルは:
バルーン(balloon);
前記バルーンを遠位末端部に備え、前記バルーンが膨張できるように前記バルーンに流体を送る流体移送管;及び
横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔を備え、前記少なくとも1つの微細孔から前記蛍光物質が吐出されるよう、前記蛍光物質を前記少なくとも1つの微細孔に送る蛍光物質移送管;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1カテーテルを用いて、前記血管内の目標地点に前記蛍光物質を塗布する段階は、
前記血管内の前記目標地点に対応する前記血管の一領域を閉塞するために前記バルーンを膨張させる段階;及び
前記バルーンが膨張した場合、前記少なくとも1つの微細孔を介して前記蛍光物質移送管の外へ前記蛍光物質を吐出する段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記第2カテーテルが前記血管に挿入された後;前記第2カテーテルを用いて、前記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する段階は、
前記第2カテーテルを用いて前記目標地点の近赤外線蛍光映像とともに光干渉断層撮影映像を取得する段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項7】
血管内の目標地点に蛍光物質を塗布するための第1カテーテル;
前記蛍光物質が塗布された前記血管内の前記目標地点をスキャンするための第2カテーテル;
前記第1カテーテル又は前記第2カテーテルを回転及び移動させる駆動部;及び
前記第2カテーテルがスキャンしたスキャンデータに基づき、前記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得するデータ分析部;
を含む、
血管スキャン装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1カテーテルは、
遠位末端部に、前記蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーン(balloon)を備える、
血管スキャン装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1カテーテルの近位末端部と結合し、前記目標地点の血管内壁に前記バルーンが接触し、前記蛍光物質が、前記目標地点の前記血管内壁に塗布されるよう、前記バルーンを膨張させるための流体を前記バルーンに注入する圧力調節部;
をさらに含む、
血管スキャン装置。
【請求項10】
請求項7において、
前記第1カテーテルは:
バルーン(balloon);
前記バルーンを遠位末端部に備え、前記バルーンが膨張できるように前記バルーンに流体を送る流体移送管;及び
横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔を備え、前記少なくとも1つの微細孔から前記蛍光物質が吐出されるよう、前記蛍光物質を前記少なくとも1つの微細孔に送る蛍光物質移送管;
を含む、
血管スキャン装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第1カテーテルの近位末端部と結合し、前記血管内の前記目標地点に対応する前記血管の一領域を閉塞するために前記バルーンを膨張させるための流体を前記バルーンに注入する圧力調節部;及び
前記蛍光物質移送管の近位部分に備えられ前記蛍光物質が注入される蛍光物質注入口;
を含む、
血管スキャン装置。
【請求項12】
請求項7において、
前記微細構造情報は、
光干渉断層撮影映像を含み、
前記生化学的な情報は、
近赤外線蛍光映像を含む、
血管スキャン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血管をスキャンする方法及び装置に関し、さらに詳しくは、血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
心血管疾患の診断に利用される血管映像カテーテルに係る従来の技術としては、血管内超音波、血管内近赤外線映像技術、血管内光干渉断層撮影機が常用化されており、臨床的に活用されている。
【0003】
血管内超音波とは、カテーテルの形態をなした機器であり、血管内に挿入され、血管の断層映像を取得する技術である。この技術は、現在も医療機関において最も活用されている血管内イメージング技術である。超音波技術を利用するため、解像度が100μm程度と低く、コントラストも低い上に、映像取得速度が約30秒と遅い。
【0004】
また、血管内近赤外線映像技術は、常用化されている技術であり、近赤外線を利用して分光法により血管内壁における脂質の存在有無を把握する技術である。この技術は、最近、血管内超音波と組み合わせて1つのカテーテルとしても開発されている。
【0005】
近赤外線映像技術は、光を利用する方法であるため、血管内の血液の有無によって信号の感度がばらつくという問題点があり、分解能が低く、映像取得速度も血管内超音波と同時に取得するため、取得速度が落ちる。
【0006】
一方、血管内光干渉断層撮影技術は、血管内超音波と同様にカテーテルの形態をなした器具を血管に挿入し、光を血管に送り込み、戻ってくる光を分析して血管の断層映像を取得する技術である。
【0007】
初期に開発された血管内光干渉断層撮影機は、速度が血管内超音波ほど速くないため、広く普及されなかったが、最近開発されている第2世の代血管内光干渉断層撮影技術は、速度が10倍以上向上し、数秒以内に血管内映像を撮影できる。
【0008】
血管内光干渉断層撮影機も光を利用するため、血液の影響を最小化するために食塩水と血管造影剤を混合した溶液をフラッシング(Flushing)しながら映像を取得する。血管内超音波と比べ、分解能が10倍ほど(~10μm)向上されているため、血管内の微細な変化も観察できるというメリットがある。
【0009】
一方、最近は血管の異常をより正確に診断するために、従来の技術を組み合わせたり、従来の技術に蛍光映像技術を取り入れた多機能イメージング技術が研究室レベルで開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2016-0027441号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、前述の背景技術に鑑みて案出されたものであり、血管をスキャンする方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
本開示における技術的課題は、前述の技術的課題に限らず、当業者は以下の記載内容に基づき、前述の技術的課題以外の課題についても明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述のような課題を解決するための本開示の複数の実施例に基づき、血管をスキャンする方法が開示される。上記方法は:蛍光物質を塗布するための第1カテーテルを血管に挿入する段階;上記第1カテーテルを用いて、上記血管内の目標地点に上記蛍光物質を塗布する段階;上記第1カテーテルを上記血管から取り除いてから、上記血管をスキャンするための第2カテーテルを上記血管に挿入する段階;及び上記第2カテーテルが上記血管に挿入された後、上記第2カテーテルを利用して、上記血管の微細構造情報や生化学的情報を取得する段階;を含むことができる。
【0014】
また、上記第1カテーテルは、遠位末端部に、上記蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーン(balloon)を備えることができる。
【0015】
また、上記第1カテーテルを用いて、上記血管内の目標地点に上記蛍光物質を塗布する段階は、上記目標地点の血管内壁に上記バルーンが接触して上記蛍光物質が上記目標地点の上記血管内壁に塗布されるように上記第1カテーテルの上記バルーンを膨張させる段階;を含むことができる。
【0016】
また、上記第1カテーテルは;バルーン(balloon);上記バルーンを遠位末端部に備え、上記バルーンが膨張できるように上記バルーンに流体を送る流体移送管;及び横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔を備え、上記少なくとも1つの微細孔から上記蛍光物質が吐出されるように、上記蛍光物質を上記少なくとも1つの微細孔に送る蛍光物質が移送管を含むことができる。
【0017】
また、上記第1カテーテルを用いて、上記血管内の目標地点に上記蛍光物質を塗布する段階は、上記血管内の上記目標地点に対応する上記血管の一領域を閉塞するために上記バルーンを膨張させる段階;及び上記バルーンが膨張した場合、上記少なくとも1つの微細孔を介して上記蛍光物質移送管の外部へ上記蛍光物質を吐出する段階を含むことができる。
【0018】
また、上記第2カテーテルが上記血管に挿入された後、上記第2カテーテルを用いて、上記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する段階は、上記第2カテーテルを用いて上記目標地点の近赤外線蛍光映像と共に光干渉断層撮影映像を取得する段階を含むことができる。
【0019】
前述のような課題を解決するための本開示の複数の実施例に基づき、血管をスキャンする装置が開示される。上記装置は、血管内の目標地点に蛍光物質を塗布するための第1カテーテル;上記蛍光物質が塗布された上記血管内の上記目標地点をスキャンするための第2カテーテル;上記第1カテーテル又は上記第2カテーテルを回転及び移動させる駆動部;及び上記第2カテーテルがスキャンしたスキャンデータに基づき、上記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得するデータ分析部を含むことができる。
【0020】
また、上記第1カテーテルは、遠位末端部に、上記蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーン(balloon)を備えることができる。
【0021】
また、上記装置は、上記第1カテーテルの近位末端部と結合し、上記目標地点の血管内壁に上記バルーンが接触し、上記蛍光物質が、上記目標地点の上記血管内壁に塗布されるよう、上記バルーンを膨張させるための流体を上記バルーンに注入する圧力調節部をさらに含むことができる。
【0022】
また、上記第1カテーテルは、バルーン(balloon);上記バルーンを遠位末端部に備え、上記バルーンが膨張できるように上記バルーンに流体を送る流体移送管;及び横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔を備え、上記少なくとも1つの微細孔から上記蛍光物質が吐出されるように、上記蛍光物質を上記少なくとも1つの微細孔に送る蛍光物質移送管を含むことができる。
【0023】
また、上記装置は、上記第1カテーテルの近位末端部と結合し、上記血管内の上記目標地点に対応する上記血管の一領域を閉塞するために上記バルーンを膨張させるための流体を上記バルーンに注入する圧力調節部;及び上記蛍光物質移送管の近位部分に備えられ、上記蛍光物質が注入される蛍光物質注入口を含むことができる。
【0024】
また、上記微細構造情報は、光干渉断層撮影映像を含み、上記生化学的情報は、近赤外線蛍光映像を含むことができる。
【0025】
本開示により得られる技術的解決手段は、前述の解決手段に限られず、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者は、以下の記載内容から、上記以外の解決手段についても明確に理解できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示は、血管の映像取得時間及び血管の異常診断時間が短縮できる血管スキャン方法及び装置を提供できる。
【0027】
本開示により得られる効果は、前述の効果に限られず、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者は、以下の記載内容に基づき、前述の効果以外の効果についても明確に理解できる。
【0028】
次に、図面を参照して多様な実施例について説明する。以下の図面の記載において、類似の図面番号は類似の構成要素を示すために使われる。以下の実施例において、説明のために、多数の特定の細部事項が1つ以上の様相の総合的な理解を助けるために提供される。しかし、(複数の)要素に関する細部事項がなくても実施され得ることは明確である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本開示の複数の実施例における血管スキャン装置を示すブロック構成図である。
図2図2は、本開示の複数の実施例において血管をスキャンする方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、本開示の複数の実施例における第1カテーテルを説明するための図面である。
図4図4は、本開示の複数の実施例において、第1カテーテルが血管内の目標地点に蛍光物質を塗布する方法の一例を説明するための図面である。
図5図5は、本開示の他の複数の実施例における第1カテーテルを説明するための図面である。
図6図6は、図5に図示された第1カテーテルのA-A’断面図を図示した図面である。
図7図7は、本開示の他の複数の実施例における第1カテーテルを説明するための図面である。
図8図8は、図7に図示された第1カテーテルのB-B’断面図を図示した図面である。
図9図9は、本開示の他の複数の実施例において、第1カテーテルが血管内の目標地点に蛍光物質を塗布する方法の一例を説明するための図面である。
図10図10は、本開示における第1カテーテルを説明するための図面である。
図11図11は、本開示の複数の実施例において、第2カテーテルが血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する方法の一例を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して、多様な実施例及び/又は様相を開示する。下記の説明においては、説明のために、1つ以上の様相に対する全般的な理解を助けるために多数の具体的な細部事項が開示される。しかし、このような(複数の)様相は、このような具体的な細部事項がなくても実行され得るということも、また本開示の技術分野における通常の知識を持つ者は認知することができる。以下に記載及び添付された図面は、1つ以上の様相の特定の例示的様相について詳述するものである。しかし、これらの様相は例示的なものであり、多様な様相の原理に基づく多様な方法のうち一部が利用されることができ、ここに述べられる説明は、そのような様相及びそれらの均等物をすべて含むという意図を持っている。具体的に、本明細書において用いられる「実施例」、「例」、「様相」、「例示」等は、ここに述べられる任意の様相又は設計が、他の様相又は設計より優れていたり、利点があると解釈されない場合がある。
【0031】
以下において、図面の符号と関係なく同一又は類似の構成様相に対しては同一の参照番号を付し、それに係る重複する説明は省略する。さらに、本明細書に開示されている実施例を説明する際、それに係る公知の技術に関する具体的な説明が本明細書に開示されている実施例の要旨を不明確にする可能性があると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。さらに、添付の図面は、本明細書に開示されている実施例に対する理解を容易にするためのものに過ぎず、添付の図面によって本明細書に開示されている技術的思想が制限されるわけではない。
【0032】
本明細書において使用されている用語は、実施例を説明するためのものであり、本開示を制限する意図を持つものではない。本明細書において、単数形の文言は、特に説明がない限り、複数形も含むものとする。本明細書において述語や修飾語として使われる「含む・含める」(comprises又は、comprising)という用語は、文中で同用語の対象として言及される構成要素以外に1つ以上の他の構成要素が存在することや追加されることを排除しないものとする。
【0033】
「第1」、「第2」等の表現が、多様なエレメントや構成要素について述べるために使われているが、これらのエレメントや構成要素がこれらの用語によって制限されるわけではない。これらの用語は、単にある1つのエレメントや構成要素を他のエレメントや構成要素と区別するために使われているだけである。従って、以下に記載される第1のエレメントや構成要素は、本開示の技術的思想の中で第2のエレメントや構成要素にもなり得る。
【0034】
別段の定義がない限り、本明細書において使われているすべての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者にとって共通して理解できる意味として使われていると解釈できる。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、別段の定義がない限り、理想的に又は過度に厳格に解釈されないものとする。
【0035】
また、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、内包的な「又は」を意味する意図で使われる。つまり、特に特定されておらず、文脈上明確ではない場合、「XはA又はBを利用する」は、自然な内包的置換の1つを意味するものとする。つまり、XがAを利用したり;XがBを利用したり;又はXがA及びBの両方を利用する場合、「XはA又はBを利用する」は、これらのいずれにも当てはまるとすることができる。また、本明細書における「及び/又は」という用語は、取り挙げられた複数の関連アイテムのうち、1つ以上のアイテムの可能なすべての組み合わせを指し、含むものと理解されるべきである。
【0036】
また、本明細書において用いられる用語「情報」と「データ」は、しばしば相互置き換えできるように使うことができる。
【0037】
ある構成要素が他の構成要素に「つながって」いたり「連結されて」いたり、「接続して」いると記載された場合は、当該他の構成要素に直接つながっていたり、連結されていたり又は接続していることもあり得るが、その間に他の構成要素が介在することもあり得ると解釈されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接つながって」いたり、「直接連結されていたり」、「直接接続して」いると記述されている場合は、その間に他の構成要素が存在しないと理解すべきである。
【0038】
以下の説明で用いられる構成要素に係る接尾語の「モジュール」及び「部」は、明細書作成を容易にするためだけの目的で付されたり、混用されたりするものであって、これらの接尾語自体がそれぞれ異なる特定の意味や役割を持つわけではない。
【0039】
構成要素(elements)又は階層が、他の構成要素又は階層に対し「の上(on)」又は「上(on)」と記されるのは、他の構成要素又は階層の直上だけを指すのではなく、その間に他の階層又は他の構成要素が介在している場合をも含む。一方、構成要素に対し「直上(directly on)」又は「すぐ上」と記されるのは、間に他の構成要素又は階層が介在していないことを意味する。
【0040】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」等は、図面に示されているように一つの構成要素又は他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使われることができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向と併せて使用する場合、又は、動作時における各素子のそれぞれ異なる方向を含む用語として理解すべきである。
【0041】
例えば、図面に示されている構成要素を逆にした場合、他の構成要素に対し「下(below)」又は「下(beneath)」と記述されている構成要素が、他の構成要素の「上(above)」に置かれることになる場合がある。従って、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を両方含むことができる。構成要素は、他の方向に配向されることもでき、それによって空間的に相対的な用語は、配向によって解釈されることができる。
【0042】
本開示の目的及び効果、そしてそれらを達成するための技術的構成は、添付の図面とともに詳しく後述する実施例を参照すると明確になるだろう。本開示を説明するに当たり、公知の機能又は構成に関する具体的な説明が、本開示の要旨を不明確にする可能性があると判断される場合は、その詳しい説明を省略する。そして後述の用語は、本開示における機能を考慮して定義された用語であり、これは検査者や運用者の意図又は慣例等によって変わることがあり得る。
【0043】
しかし、本開示は、以下に開示される実施例によって限定されるものではなく、それぞれ異なる多様な形で具現化されることが可能である。ただし、本実施例は本開示を完全なものにし、本開示が属する技術分野における通常の知識を持つ者に開示の範囲を完全に理解させるために提供されるものであり、本開示は、請求の範囲によって定義される。従ってその定義は、本明細書全般において記載されている内容に基づき決められるべきである。
【0044】
本開示内容の請求範囲における段階(方法)に係る権利範囲は、各段階に記載された機能及び特徴により発生するものであって、各段階における順番の前後関係が明示されていない限り、請求範囲における各段階の記載の順番に影響を受けることはない。例えば、A段階及びB段階を含む段階として記載された請求範囲において、A段階がB段階より先に記載されていても、A段階がB段階より先に行われなければならないと、権利範囲が制限されることはない。
【0045】
図1は、本開示の複数の実施例における血管スキャン装置を示すブロック構成図である。
【0046】
図1によると、血管スキャン装置(100)は、第1カテーテル(110)、第2カテーテル(120)、駆動部(130)、データ分析部(140)及び圧力調節部(150)を含むことができる。ただし、図1に示す構成要素は、血管スキャン装置(100)を実装するに当たり、必須のものではなく、本明細書における血管スキャン装置(100)に含まれる要素は、上述の構成要素より多い場合もあれば、少ない場合もある。
【0047】
以下、本開示の複数に実施例に係る第1カテーテル(110)を説明する。
【0048】
本開示の複数の実施例において、第1カテーテル(110)は、遠位末端部(distal end)に、蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーン(balloon)を備えることができる。また、第1カテーテル(110)は、バルーンが膨張できるように流体を送る流体移送管を含むことができる。
【0049】
ここで、バルーンは、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管と連通する内部空間を持ち、第1カテーテル(110)の遠位末端部に備えられ膨張及び収縮可能な風船の形に形成されることが可能である。
【0050】
本開示において、第1カテーテル(110)に備えられたバルーンを膨張させるための流体は、空気及び生理食塩水のように生体器官内に流入しても人体に無害な物質になり得る。ただし、これに限定されるわけではない。
【0051】
一方、蛍光物質を塗布するための第1カテーテル(110)は血管に挿入されることができる。そして、第1カテーテル(110)に備えられたバルーンは、血管内の目標地点で膨張することができる。この場合、上記バルーンは、血管内の目標地点の血管内壁と接触することができる。この場合、血管内の目標地点の血管内壁にはバルーンにコーティングされていた蛍光物質が塗布されることが可能である。
【0052】
本開示において、蛍光物質は、画像診断や画像検査を行う際、特定の組織や血管が見えやすくなるように投与される薬物を意味する。
【0053】
具体的に、蛍光物質は、血管内の目標地点を造影し構造や病変を観察するために、血管内の目標地点に塗布されることが可能である。つまり、蛍光物質は、造影剤、蛍光染料(fluorescent dye)または、発蛍光団(fluorophore)を意味することが可能である。
【0054】
例えば、本開示の内容における蛍光物質は、インドシアニングリーン(ICG, Indocyanine green)になり得る。ただし、これに限定されるわけではなく、血管内の病変を診断するための特定の細胞を染色するあらゆる物質が蛍光物質になり得る。一方、最近、動脈硬化の診断のために活性化大食細胞を選択的に染色する蛍光物質であるCDg16(Compound Designation green 16)が発見された。
【0055】
一般的に、血管の異常を診断するための近赤外線蛍光映像は、血管内の目標地点に蛍光物質(または、造影剤)を塗布し終わってから取得できる。従来の技術によると、血管に蛍光物質を注射等で注入した後、蛍光物質が血管内の目標地点に塗布されるまで数十分(20分乃至40分)間待つ必要がある。
【0056】
一方、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点の血管内壁に蛍光物質が直接接触する方式で蛍光物質を塗布するため、血管内の目標地点に蛍光物質を即時塗布することができる。
【0057】
従って、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点に蛍光物質を塗布するために待つ時間を短縮できる。
【0058】
上述の本開示の第1実施例に係る第1カテーテル(110)に係る説明は、図3及び図4を参照してより詳しく後述する。
【0059】
以下、本開示の他の複数に実施例に係る第1カテーテル(110)を説明する。
【0060】
本開示における他の複数の実施例によると、第1カテーテル(110)は、遠位末端部にバルーンを備えることができる。また、第1カテーテル(110)は、バルーンが膨張できるように流体を送る流体移送管を含むことができる。また、第1カテーテル(110)は、蛍光物質を送る蛍光物質移送管を含むことができる。
【0061】
第1カテーテル(110)に含まれた蛍光物質移送管は、蛍光物質移送管の近位部分(proximal)に備えられ、蛍光物質が注入される蛍光物質注入口を含むことができる。また、蛍光物質移送管は、遠位部分に備えられた少なくとも1つの微細孔を含むことができる。そして、蛍光物質は、上記少なくとも1つの微細孔から蛍光物質移送管の外へ吐出されることができる。
【0062】
一方、蛍光物質を塗布するための第1カテーテル(110)は血管に挿入されることができる。そして、血管内の目標地点に対応する血管の一領域を閉塞するために第1カテーテル(110)に含まれたバルーンは、膨張することができる。つまり、膨張したバルーンは、血管内の目標地点の片方を閉塞し、血管内の目標地点に血液が流れないようにすることができる。
【0063】
血管内の目標地点に対応する血管の一領域を閉鎖するために第1カテーテル(110)に含まれたバルーンが膨張した場合、蛍光物質が少なくとも1つの微細孔を介して蛍光物質移送管の外へ吐出されることができる。この場合、一領域が閉塞された血管内の目標地点には、微細孔から吐出された蛍光物質が塗布されることが可能である。
【0064】
上述のように、血管の異常を診断するための近赤外線蛍光映像は、血管内の目標地点に蛍光物質(または、造影剤)を塗布し終わってから取得できる。
【0065】
従来の技術によると、血管に蛍光物質を注射等で注入した後、蛍光物質が血管内の目標地点に塗布されるまで数十分(20分乃至40分)間待つ必要がある。ここで、蛍光物質を塗布するのに時間が数十分かかる理由の1つは、蛍光物質が血管に流れる血液と混ざり、蛍光物質の濃度が落ちるためである。
【0066】
一方、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点の血管の一領域を閉塞してから蛍光物質を吐出する方式で蛍光物質を塗布するため、蛍光物質が血液と混ざり蛍光物質の濃度が落ちるという問題を解決することができる。
【0067】
さらに、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点で蛍光物質を塗布するため、血管内で蛍光物質が移動する時間を必要としない。
【0068】
つまり、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、蛍光物質の濃度を維持しつつ、血管内の目標地点やそれに隣接した位置で蛍光物質を吐出(塗布)するため、蛍光物質を塗布するために待つ時間を短縮できる。
【0069】
上述の本開示の第2実施例に係る第1カテーテル(110)に係る説明は、図5乃至図10を参照してより詳しく後述する。
【0070】
以下、本開示の他の複数の実施例に係る第1カテーテル(110)を説明する。
【0071】
本開示のさらに他の複数の実施例によると、第1カテーテル(110)は複数のバルーンを備えることができる。また、第1カテーテル(110)は、上記複数のバルーンが膨張できるように流体を送る流体移送管を含むことができる。ここで流体移送管は、圧力調節部(150)と繋がっており圧力調節部(150)が吐出する流体を圧力調節部(150)から複数のバルーンの各々に送ることができる。ただし、これに限定されず、圧力調節部(150)は、流体移送管を介して複数のバルーンの各々に送られた流体を吸い込むこともできる。
【0072】
具体的に、第1カテーテル(110)は、遠位末端部に第1バルーンを備えることができる。そして、第1カテーテル(110)は、遠位末端部から所定距離離れた位置に配置される第2バルーンを備えることができる。つまり、第1カテーテル(110)に含まれた第1バルーンと第2バルーンの各々とは、所定の距離だけ離れて配置されることができる。
【0073】
そして、第1カテーテル(110)は、蛍光物質を送る蛍光物質移送管を含むことができる。
【0074】
第1カテーテル(110)に含まれた蛍光物質移送管は、蛍光物質移送管の近位部分に備えられ、蛍光物質が注入される蛍光物質注入口を含むことができる。また、蛍光物質移送管は、遠位部分に備えられた少なくとも1つの微細孔を含むことができる。
【0075】
具体的に、蛍光物質移送管は、横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔を備えることができる。そして、蛍光物質は、上記少なくとも1つの微細孔から蛍光物質移送管の外へ吐出されることができる。
【0076】
蛍光物質が吐出される複数の微細孔は、第1バルーン及び第2バルーンの間に位置することが可能である。具体的に、複数の微細孔は、第1バルーン及び第2バルーンの間に位置する蛍光物質移送管に含まれることが可能である。
【0077】
一方、蛍光物質を塗布するための第1カテーテル(110)は血管に挿入されることができる。そして、血管内の目標地点に対応する血管の一領域を閉塞するために第1カテーテル(110)に含まれた第1バルーン及び第2バルーンの各々は、膨張することができる。つまり、膨張した第1バルーン及び第2バルーンの各々は、血管内の目標地点の両方を閉塞し、血管内の目標地点に血液が流れないようにすることができる。
【0078】
血管内の目標地点に対応する血管の一領域を閉鎖するために第1カテーテル(110)に含まれた第1バルーン及び第2バルーンの各々が膨張した場合、蛍光物質が少なくとも1つの微細孔を介して蛍光物質移送管の外へ吐出されることができる。この場合、両領域が閉塞された血管内の目標地点には、微細孔から吐出された蛍光物質が塗布されることが可能である。
【0079】
上述のように、血管の異常を診断するための近赤外線蛍光映像は、血管内の目標地点に蛍光物質(または、造影剤)を塗布し終わってから取得できる。
【0080】
従来の技術によると、血管に蛍光物質を注射等で注入した後、蛍光物質が血管内の目標地点に塗布されるまで数十分(20分乃至40分)待つ必要がある。ここで、蛍光物質を塗布するのに時間が数十分かかる理由の1つは、蛍光物質が血管に流れる血液と混ざり、蛍光物質の濃度が落ちるためである。
【0081】
一方、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点の血管の両領域を閉塞してから蛍光物質を吐出する方式で蛍光物質を塗布するため、蛍光物質が血液と混ざり蛍光物質の濃度が落ちるという問題を解決することができる。
【0082】
さらに、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点で蛍光物質を塗布するため、血管内で蛍光物質が移動する時間を必要としない。
【0083】
つまり、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、蛍光物質の濃度を維持しつつ、血管内の目標地点やそれに隣接した位置で蛍光物質を吐出(塗布)するため、蛍光物質を塗布するために待つ時間を短縮できる。
【0084】
一方、蛍光物質は、一部の被検者に副作用をもたらす可能性がある。また、蛍光物質に対して副作用に繋がる反応(例えば、アレルギー反応)を起こしやすい体質の被検者の血管に蛍光物質が注入された場合、血管全体に蛍光物質が広がり、被検者の健康を脅かす副作用を起こす恐れがある。
【0085】
一方、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点の両領域を閉塞してから局所的に蛍光物質を塗布するため、被検者の健康を脅かす副作用が起こることを防ぐことができる。
【0086】
本開示の複数の実施例によると、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管と蛍光物質移送管とは平行に並んで備えられることができる。
【0087】
本開示の他の複数の実施例によると、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管は、蛍光物質移送管の中に備えられることができる。具体的に、蛍光物質移送管は、流体移送管を覆い、複数の微細孔を外周面に備えることができる。
【0088】
上述の第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管及び蛍光物質移送管が備えられる形態は、図6および図8を参照して、詳しく後述する。
【0089】
本開示の複数の実施例によると、血管をスキャンするための第2カテーテル(120)は、第1カテーテル(110)を血管から取り除いてから、上記血管に挿入されることができる。そして、第2カテーテル(120)は、遠位末端部にスキャンデータを取得するためのスキャン部を含むことができる。
【0090】
具体的に、第2カテーテル(120)は、蛍光物質が塗布された血管内の目標地点をスキャンすることができる。より具体的には、第2カテーテル(120)のスキャン部は、血管内の目標地点のスキャンデータを取得できる。ここで、スキャンデータは、近赤外線蛍光映像及び光干渉断層撮影映像を取得するためのデータ(例えば、光信号に係るデータ)を含むことができる。
【0091】
ここで、スキャンデータを取得する第2カテーテル(120)は、OCT/NIRF(Optical Coherence Tomography/Near-Infrared Fluorescence)カテーテルになり得る。
【0092】
一方、データ分析部(140)は、第2カテーテル(120)を用いて取得した光信号を利用して血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得できる。
【0093】
血管の微細構造情報は、血管の外観に係る情報を意味することが可能である。血管の微細構造情報は、光干渉断層撮影映像を含むことが可能である。
【0094】
血管の生化学的情報は、蛍光物質に対し反応(具体的に、蛍光物質と結合)する特定の細胞(例えば、大食細胞(macrophage))に係る情報に基づき、血管の異常を診断するための情報を意味することが可能である。つまり、血管の生化学的情報は、蛍光物質に反応する特定の細胞に係る情報に基づき、血管の異常を診断するための情報を意味することが可能である。
【0095】
例えば、蛍光物質に反応する大食細胞(macrophage)は、体内において免疫を担当する。具体的に、大食細胞は、体内に侵入した物質を感知すると活性化され、抗原を作り出す。つまり、検査者は、蛍光物質に反応する大食細胞を観察することで、血管の異常有無を診断できる。
【0096】
一方、血管の生化学的情報は、近赤外線蛍光映像を含むことが可能である。
【0097】
さらに、第2カテーテル(120)は、血管内の目標地点の近赤外線蛍光映像及び血管内超音波映像を生成するためのスキャンデータを取得できる。ここで、第2カテーテル(120)は、IVUS/NIRF(IntraVascular UltraSound/Near-Infrared Fluorescence)カテーテルになり得る。この場合、血管の微細構造情報は、血管内超音波映像を含むことが可能である。
【0098】
ただし、これに限定されず、第2カテーテル(120)は、近赤外線蛍光映像、光干渉断層撮影映像及び血管内超音波映像の各々を生成するためのスキャンデータを取得することもできる。この場合、データ分析部(140)は、スキャンデータを利用して血管の微細構造情報及び生化学的情報、つまり、近赤外線蛍光映像、光干渉断層撮影映像及び血管内超音波映像を取得することができる。
【0099】
本開示の複数の実施例によると、駆動部(130)は、カテーテル(第1カテーテル(110)及び第2カテーテル(120)の各々)を360度回転させる回転ステージ(Rotary Stage)、回転ステージとカテーテルを繋ぐ連結手段およびカテーテルをワンステップずつ動かす一軸線型モーター駆動ステージ(1D Motorized Stage)を含むことが可能である。
【0100】
駆動部(130)は、第1カテーテル(110)及び第2カテーテル(120)の各々と繋がることが可能である。具体的に、駆動部(130)は、血管に第1カテーテルが挿入されるとき、第1カテーテル(110)の近位末端部と繋がることが可能である。つまり、第1カテーテル(110)の遠位末端部にはバルーンが備えられ、第1カテーテル(110)の近位末端部は駆動部(130)と繋がることが可能である。
【0101】
一方、駆動部(130)は、血管に第2カテーテルが挿入されるとき、第2カテーテル(120)の近位末端部と繋がることが可能である。つまり、第2カテーテル(120)の遠位末端部には、スキャンデータを取得するスキャン部が備えられ、第2カテーテル(120)の近位末端部は駆動部(130)と繋がることが可能である。
【0102】
そして、駆動部(130)は、第1カテーテル(110)及び第2カテーテル(120)の各々を血管内において回転及び移動させることが可能である。具体的に、駆動部(130)は、第1カテーテル(110)および第2カテーテル(120)の各々を血管内において回転及び移動させることで、第1カテーテル(110)及び第2カテーテル(120)の各々の遠位末端部が血管内の目標地点に到達するようにすることができる。
【0103】
図2は、本開示の複数の実施例において血管をスキャンする方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0104】
図2によると、被検者の血管に蛍光物質を塗布するための第1カテーテル(110)は、血管に挿入されることができる(S110)。ここで、被検者の血管に塗布される蛍光物質は、被検者の血管をスキャン(具体的に、近赤外線蛍光映像を取得)するために塗布される物質になり得る。
【0105】
段階(S110)以後、第1カテーテル(110)は、被検者の血管内の目標地点に蛍光物質を塗布することができる(S120)。つまり、検査者は、第1カテーテル(110)を利用して、被検者の血管内の目標地点に蛍光物質を塗布することができる。
【0106】
本開示の複数の実施例によると、遠位末端部に蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーンが備えられた第1カテーテル(110)は、被検者の血管内の目標地点に蛍光物質を塗布することができる。
【0107】
具体的に、第1カテーテル(110)に備えられたバルーンは、上記第1カテーテル(110)の遠位末端部が被検者の血管内の目標地点に到達したとき膨張することができる。
【0108】
より具体的に、圧力調節部(150)は、第1カテーテル(110)に備えられたバルーンが、被検者の血管内の目標地点に到達したとき、流体を吐出し上記バルーンを膨張させることができる。ここで、圧力調節部(150)から吐出された流体は、流体移送管を介して圧力調節部(150)からバルーンまで送り込まれることが可能である。従って、バルーンは、被検者の血管内の目標地点で膨張することができる。
【0109】
この場合、血管内の目標地点の血管内壁は、膨張したバルーンと接触することが可能である。つまり、蛍光物質でコーティングされたバルーンと、被検者の血管内の目標地点の血管の内壁とが接触することで、上記蛍光物質が血管内の目標地点に塗布されることが可能である。
【0110】
従って、検査者は、被検者の血管内の目標地点の血管内壁に蛍光物質が直接接触する方式で蛍光物質を塗布するため、蛍光物質を目標地点に素早く塗布することができる。
【0111】
本開示の他の複数の実施例によると、遠位末端部に膨張可能なバルーンが備えられ、蛍光物質を塗布するための蛍光物質移送管を含む第1カテーテル(110)は、被検者の血管内の目標地点に蛍光物質を塗布することができる。
【0112】
具体的に、第1カテーテル(110)に備えられたバルーンは、上記第1カテーテル(110)の遠位末端部が被検者の血管内の目標地点に到達したとき膨張することができる。
【0113】
より具体的に、圧力調節部(150)は、第1カテーテル(110)に備えられたバルーンが、被検者の血管内の目標地点に到達したとき、流体を吐出し上記バルーンを膨張させることができる。ここで、圧力調節部(150)から吐出された流体は、流体移送管を介して圧力調節部(150)からバルーンまで送り込まれることが可能である。従って、バルーンは、被検者の血管内の目標地点で膨張することができる。
【0114】
この場合、被検者の血管内の目標地点に対応する血管の一領域が閉塞されることが可能である。
【0115】
そして、被検者の血管内の目標地点に対応する血管の一領域が閉塞された後、蛍光物質移送管の近位部分に備えられた蛍光物質注入口に蛍光物質が注入されることが可能である。つまり、検査者は、被検者の血管内の目標地点に対応する血管の一領域が閉塞された後、蛍光物質移送管の近位部分に備えられた蛍光物質注入口に蛍光物質を注入することが可能である。
【0116】
この場合、蛍光物質移送管は、蛍光物質注入口に注入された蛍光物質を遠位部分の横方向の第1領域に備えられた少なくとも1つの微細孔まで送り込むことができる。また、蛍光物質移送管は、少なくとも1つの微細孔を介して、蛍光物質を蛍光物質移送管の外へ吐出することができる。
【0117】
従って、検査者は、被検者の血管内の目標地点の血管の一領域を閉塞した後、蛍光物質を吐出する方式で蛍光物質を塗布するため、蛍光物質が血液と混ざり、蛍光物質の塗布に時間がかかることを防ぐことができる。
【0118】
本開示の他の複数の実施例によると、膨張可能な複数のバルーンが備えられ、蛍光物質を塗布するための蛍光物質移送管を含む第1カテーテル(110)は、被検者の血管内の目標地点に蛍光物質を塗布することができる。ここで、複数のバルーンは、第1バルーン及び第2バルーンを含むことが可能である。具体的に、複数のバルーンは、第1カテーテル(110)の遠位末端部に備えられた第1バルーンと第1カテーテル(110)の遠位末端部から所定の距離だけ離れた位置に配置された第2バルーンを含むことができる。
【0119】
一方、第1カテーテル(110)に備えられた第1バルーン及び第2バルーンの各々は、第1カテーテル(110)の遠位末端部が被検者の血管内の目標地点に対応する領域に到達したとき膨張することができる。
【0120】
具体的に、圧力調節部(150)は、第1カテーテル(110)に備えられた第1バルーン及び第2バルーンの間に被検者の血管内の目標地点に対応する領域が位置するとき、流体を吐出し上記第1バルーン及び第2バルーンを膨張させることができる。ここで、圧力調節部(150)から吐出された流体は、流体移送管を介して圧力調節部(150)から第1バルーン及び第2バルーンまで送り込まれることが可能である。
【0121】
この場合、被検者の血管内の目標地点に対応する血管の両領域が閉塞されることが可能である。
【0122】
そして、被検者の血管内の目標地点に対応する血管の両領域が閉塞された後、蛍光物質移送管の近位部分に備えられた蛍光物質注入口に蛍光物質が注入されることが可能である。つまり、検査者は、被検者の血管内の目標地点に対応する血管の両領域が閉塞された後、蛍光物質移送管の近位部分に備えられた蛍光物質注入口に蛍光物質を注入することが可能である。
【0123】
この場合、蛍光物質移送管は、蛍光物質注入口に注入された蛍光物質を、第1バルーン及び第2バルーンの間に位置し且つ横方向の第1領域に備えられた少なくとも1つの微細孔まで送り込むことができる。また、蛍光物質移送管は、少なくとも1つの微細孔を介して、蛍光物質を蛍光物質移送管の外へ吐出することができる。
【0124】
従って、検査者は、被検者の血管内の目標地点の血管の両領域を閉塞した後、蛍光物質を吐出する方式で蛍光物質を塗布するため、蛍光物質が血液と混ざり、蛍光物質の塗布に時間がかかることを防ぐことができる。
【0125】
一方、被検者の血管内の目標地点に対する蛍光物質の塗布が完了してから第1カテーテル(110)は、被検者の血管から取り除かれる(抜かれる)ことが可能である。つまり、検査者は、血管内の目標地点に対する蛍光物質の塗布が完了してから第1カテーテル(110)を被検者の血管から取り除く(抜く)ことができる。
【0126】
第1カテーテル(110)が血管から取り除かれた後、血管をスキャンするための第2カテーテル(120)は、第1カテーテル(110)が取り除かれた血管に挿入されることができる(S130)。つまり、検査者は、第1カテーテル(110)を取り除いてから血管をスキャンするための第2カテーテル(120)を血管に挿入することができる。
【0127】
段階(S130)以後、第2カテーテル(120)を介して血管の微細構造情報及び生化学的情報が取得されることが可能である(S140)。つまり、検査者は、第2カテーテル(120)を利用して血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得することができる。
【0128】
具体的に、第2カテーテル(120)は、血管内の目標地点のスキャンデータを取得できる。ここで、スキャンデータは、光干渉断層撮影映像及び近赤外線蛍光映像に係る光信号を意味することが可能である。ただし、これに限定されるわけではない。
【0129】
図1の説明において詳述したように、血管の微細構造情報は、光干渉断層撮影映像を含むことが可能である。つまり、血管の微細構造情報は、血管の外観に係る情報を意味することが可能である。
【0130】
そして、血管の生化学的情報は、近赤外線蛍光映像を含むことが可能である。つまり、血管の生化学的情報は、蛍光物質に対し反応(具体的に、蛍光物質と結合)する特定の細胞(例えば、大食細胞)に係る情報に基づき、血管の異常を診断するための情報を意味することが可能である。
【0131】
従って、検査者は、被検者の血管の外観に係る微細構造情報及び血管の異常の有無に係る生化学的情報を通じて被検者の血管内の状態を正確に診断できる。
【0132】
前述の図2における段階は、必要に応じて順序が変わる場合があり、少なくとも1つ以上の段階が省略されたり、追加されたりすることが可能である。また、前述の段階は、本開示における実施例に過ぎず、本開示の権利範囲がこれらにより特定されることはない。
【0133】
図3は、本開示の複数の実施例における第1カテーテルを説明するための図面である。
【0134】
図3によると、第1カテーテル(110)は、バルーン(111)、流体移送管(112)及び外皮(114)を含むことができる。
【0135】
図3に示すように、バルーン(111)は第1カテーテル(110)の遠位末端部に備えられることができる。また、バルーン(111)は、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管(112)に連通する内部空間を持つことが可能である。また、バルーン(111)は、膨張及び収縮可能な風船の形に形成され得る。
【0136】
そして、バルーン(111)は、外部面(つまり、被検者の血管の内壁に触れる面)が蛍光物質でコーティングされることが可能である。具体的に、バルーン(111)を覆う外皮(114)の一領域が蛍光物質でコーティングされることが可能である。
【0137】
一方、バルーン(111)は、被検者の血管(10)内の目標地点(11)で膨張した場合、バルーン(111)の外面(つまり、バルーン(111)を覆う外皮(114)の一領域)が被検者の血管(10)内の目標地点(11)と接触することが可能である。
【0138】
従って、外面が蛍光物質でコーティングされたバルーン(111)は、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に蛍光物質を塗布することができる。
【0139】
本開示の複数の実施例において、第1カテーテル(110)は、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に蛍光物質が接触する方式で塗布するため、蛍光物質が塗布される時間を短縮できる。
【0140】
さらに、第1カテーテル(110)は、蛍光物質を血管(10)内の目標地点(11)に即時塗布することで、第2カテーテル(120)が光干渉断層撮影映像とともに近赤外線蛍光映像を迅速に取得できるようにすることが可能である。
【0141】
一方、流体移送管(112)は、上述の通り、バルーン(111)と連通することができる。また、流体移送管(112)は、圧力調節部(150)と繋がっており、圧力調節部(150)が吐出する流体(20)を圧力調節部(150)からバルーン(111)に送り込むことができる。つまり、流体移送管(112)の遠位末端部(distal end)にはバルーンが繋がり、流体移送管(112)の近位末端部(proximal end)には圧力調節部(150)が繋がることが可能である。ここで、流体(20)は、空気や生理食塩水のように生体器官内に流入されても人体に無害な物質になり得る。ただし、これに限定されるわけではない。
【0142】
一方、上述の第1カテーテル(110)において、被検者の血管(10)に挿入される領域は、外皮(114)に覆われることが可能である。具体的に、外皮(114)は、第1カテーテル(110)のバルーン(111)及び流体移送管(112)を覆う形に形成されることが可能である。
【0143】
従って、外皮(114)は、バルーン(111)及び流体移送管(112)の各々と被検者の血管(10)とが接触しないようにすることができる。つまり、外皮(114)は、血管内挿入器具(ここではバルーン(111)及び流体移送管(112))による感染を予防できる。
【0144】
図4は、本開示の複数の実施例において、第1カテーテルが血管内の目標地点に蛍光物質を塗布する方法の一例を説明するための図面である。図4に係る説明において、図1乃至図3の説明において詳述した内容と重複する内容は説明を省略し、本開示の理解を容易にするために必要な図面について簡略に説明する。
【0145】
図4の(a)によると、被検者の血管(10)に挿入された第1カテーテル(110)は、遠位末端部にバルーン(111)を備えることができる。ここで、バルーン(111)は、蛍光物質でコーティングされた状態になり得る。
【0146】
具体的に、第1カテーテル(110)のバルーン(111)は、図示のように、膨張していない状態(つまり、収縮状態)で被検者の血管(10)に挿入されることができる。つまり、図4の(a)に図示されたバルーン(111)は、流体移送管(112)を介して流体の供給を受ける前の状態になり得る。
【0147】
図4の(b)によると、被検者の血管(10)内の目標地点(11)で第1カテーテル(110)のバルーン(111)が膨張することが可能である。この場合、バルーン(111)にコーティングされた蛍光物質が、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に塗布されることができる。
【0148】
つまり、本開示の他の複数の実施例において、第1カテーテル(110)は、被検者の血管(10)内の目標地点(11)の血管内壁に蛍光物質が直接接触する方式で蛍光物質を塗布するため、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に蛍光物質を即時塗布することができる。
【0149】
従って、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に蛍光物質を塗布するために待つ時間を短縮できる。
【0150】
図5は、本開示の他の複数の実施例における第1カテーテルを説明するための図面である。図6は、図5に図示された第1カテーテルのA-A’断面図を図示した図面である。
【0151】
図5によると、第1カテーテル(110)は、バルーン(111)、流体移送管(112)、少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)及び外皮(114)を含むことができる。
【0152】
図5に示すように、第1カテーテル(110)は、遠位末端部にバルーン(111)を備えることができる。ここで、バルーン(111)は、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管(112)に連通する内部空間を持つことが可能である。また、バルーン(111)は、膨張及び収縮可能な風船の形に形成され得る。
【0153】
一方、流体移送管(112)は、圧力調節部(150)と繋がっており、圧力調節部(150)が吐出する流体(20)を圧力調節部(150)からバルーン(111)に送り込むことができる。ただし、これに限定されず、圧力調節部(150)は、流体移送管(112)を介してバルーン(111)に送られた流体(20)を吸い込むこともできる。つまり、流体移送管(112)の遠位末端部にはバルーン(111)が繋がり、流体移送管(112)の近位末端部には圧力調節部(150)が繋がることが可能である。
【0154】
第1カテーテル(110)に含まれた少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)は、少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)の近位部分に備えられ、蛍光物質(30)が注入される蛍光物質注入口を含むことができる。また、少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)は、遠位部分に備えられた少なくとも1つの微細孔(113-1)を含むことができる。
【0155】
具体的に、少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)は、横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔(113-1)を備えることができる。そして、蛍光物質(30)は、上記少なくとも1つの微細孔(113-1)を介して少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)の外へ吐出されることが可能である。
【0156】
より具体的に、少なくとも1つの微細孔(113-1)は、外皮と連通する管を介して少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)の外へ蛍光物質(30)を吐出することが可能である。つまり、蛍光物質は、少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)、少なくとも1つの微細孔(113-1)及び外皮と連通する管を介して第1カテーテル(110)の外へ吐出され、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に塗布されることが可能である。
【0157】
本開示の複数の実施例によると、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管(112)と少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)とは、平行に並んで備えられることができる。
【0158】
図6によると、第1カテーテル(110)の外皮(114)の内部領域に、流体移送管(112)及び少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)が位置することが可能である。
【0159】
図示のように、流体移送管(112)は、流体(20)が移動できる内部空間を含むことができる。そして、少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)は、蛍光物質(30)が移動できる内部空間を含むことができる。
【0160】
一方、流体移送管(112)と少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)の各々とは、第1カテーテル(110)の外皮(114)の内部領域において隣接した位置に平行に並んで備えられることが可能である。つまり、図6に示すように、流体移送管(112)及び少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)は、一側面が接触し合う形態で備えられることが可能である。
【0161】
例えば、流体移送管(112)及び少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)は、一断面から見たとき、2本の管(tube)の一側面が繋がった、「8」のような形状を持つことが可能である。
【0162】
ただし、図6を参照しながら説明した流体移送管(112)及び少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)の各々が備えられる位置は、本開示の理解を容易にするために取り挙げた複数の実施例に過ぎず、これにより特定されるわけではない。
【0163】
再び、図5を参照すると、上述の第1カテーテル(110)において、被検者の血管(10)に挿入される領域は、外皮(114)に覆われることが可能である。具体的に、外皮(114)は、第1カテーテル(110)のバルーン(111)、流体移送管(112)及び少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)を覆う形に形成されることが可能である。
【0164】
従って、外皮(114)は、バルーン(111)、流体移送管(112)及び少なくとも1つの蛍光物質移送管(113)の各々と被検者の血管(10)が接触しないようにすることができる。つまり、外皮(114)は、血管内挿入器具(ここではバルーン(111)及び流体移送管(112)及び少なくとも1つの蛍光物質移送管(113))による感染を予防できる。
【0165】
図7は、本開示の他の複数の実施例における第1カテーテルを説明するための図面である。図8は、図7に図示された第1カテーテルのB-B’断面図を図示した図面である。
【0166】
図7によると、第1カテーテル(110)は、バルーン(111)、流体移送管(112)、蛍光物質移送管(113)及び外皮(114)を含むことができる。
【0167】
図7に示すように、第1カテーテル(110)は、遠位末端部にバルーン(111)を備えることができる。ここで、バルーン(111)は、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管(112)に連通する内部空間を持つことが可能である。また、バルーン(111)は、膨張及び収縮可能な風船の形に形成され得る。
【0168】
一方、流体移送管(112)は、圧力調節部(150)と繋がっており、圧力調節部(150)が吐出する流体(20)を圧力調節部(150)からバルーン(111)に送り込むことができる。ただし、これに限定されず、圧力調節部(150)は、流体移送管(112)を介してバルーン(111)に送られた流体(20)を吸い込むこともできる。つまり、流体移送管(112)の遠位末端部にはバルーン(111)が繋がり、流体移送管(112)の近位末端部には圧力調節部(150)が繋がることが可能である。
【0169】
第1カテーテル(110)に含まれた蛍光物質移送管(113)は、蛍光物質移送管(113)の近位部分に備えられ、蛍光物質(30)が注入される蛍光物質注入口を含むことができる。また、蛍光物質移送管(113)は、遠位部分に備えられた少なくとも1つの微細孔(113-1)を含むことができる。
【0170】
具体的に、蛍光物質移送管(113)は、横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔(113-1)を備えることができる。そして、蛍光物質(30)は、上記少なくとも1つの微細孔(113-1)を介して蛍光物質移送管(113)の外へ吐出されることが可能である。
【0171】
より具体的に、少なくとも1つの微細孔(113-1)は、外皮と連通する管を介して蛍光物質移送管(113)の外へ蛍光物質(30)を吐出することが可能である。つまり、蛍光物質は、蛍光物質移送管(113)、少なくとも1つの微細孔(113-1)及び外皮と連通する管を介して第1カテーテル(110)の外へ吐出され、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に塗布されることが可能である。
【0172】
本開示の複数の実施例によると、第1カテーテル(110)に含まれた流体移送管(112)は、蛍光物質移送管(113)の中に備えられることができる。具体的に、蛍光物質移送管(113)は、流体移送管(112)を覆い、複数の微細孔(113-1)を外周面に備えることができる。
【0173】
図8によると、第1カテーテル(110)の外皮(114)の内部領域に、流体移送管(112)及び蛍光物質移送管(113)が位置することができる。
【0174】
図示のように、流体移送管(112)は、流体(20)が移動できる内部空間を含むことができる。そして、蛍光物質移送管(113)は、蛍光物質(30)が移動できる内部空間を含むことができる。
【0175】
一方、流体移送管(112)は、蛍光物質移送管(113)の内部空間を貫通する形に備えられることが可能である。つまり、図8に示すように、流体移送管(112)は、蛍光物質移送管(113)の内部空間の一領域に備えられることが可能である。
【0176】
従って、流体(20)は、蛍光物質移送管(113)の内部空間の一領域に備えられた流体移送管(112)の内部空間を介して送られることが可能である。そして、蛍光物質(30)は、蛍光物質移送管(113)の内部空間において流体移送管(112)が備えられた一領域とは異なる別の領域を介して送られることが可能である。
【0177】
ただし、図8を参照しながら説明した流体移送管(112)及び蛍光物質移送管(113)の各々が備えられる位置は、本開示の理解を助けるための複数の実施例に過ぎず、これにより特定されるわけではない。
【0178】
再び、図7を参照すると、上述の第1カテーテル(110)において、被検者の血管(10)に挿入される領域は、外皮(114)に覆われることが可能である。具体的に、外皮(114)は、第1カテーテル(110)のバルーン(111)、流体移送管(112)及び蛍光物質移送管(113)を覆う形に形成されることが可能である。
【0179】
従って、外皮(114)は、バルーン(111)、流体移送管(112)及び蛍光物質移送管(113)の各々と被検者の血管(10)が接触しないようにすることができる。つまり、外皮(114)は、血管内挿入器具(ここではバルーン(111)、流体移送管(112)及び蛍光物質移送管(113))による感染を予防できる。
【0180】
図9は、本開示の他の複数の実施例において、第1カテーテルが血管内の目標地点に蛍光物質を塗布する方法の一例を説明するための図面である。図9に係る説明において、図5乃至図8の説明において詳述した内容と重複する内容は説明を省略し、本開示の理解を容易にするために必要な図面を簡略に説明する。
【0181】
以下、図9の説明において、利便性を図るため、図5及び図6を参照しながら説明した第1カテーテル(110)に係る図面を用いて説明する。ただし、図9の内容はこれに限定されず、図7及び図8を参照して説明した第1カテーテル(110)にも以下に説明する実施例が同様に適用されることが可能である。
【0182】
図9の(a)によると、被検者の血管(10)に挿入された第1カテーテル(110)は、遠位末端部にバルーン(111)を備えることができる。
【0183】
具体的に、第1カテーテル(110)のバルーン(111)は、図示のように、膨張していない状態(つまり、収縮状態)で被検者の血管(10)に挿入されることができる。つまり、図9の(a)に図示されたバルーン(111)は、流体移送管(112)を介して流体の供給を受ける前の状態になり得る。
【0184】
図9の(b)によると、被検者の血管(10)内の目標地点(11)で第1カテーテル(110)のバルーン(111)が膨張することが可能である。この場合、バルーン(111)によって被検者の血管(10)内の目標地点(11)の一領域が閉塞されることが可能である。つまり、膨張したバルーン(111)は、被検者の血管(10)内の目標地点(11)の片方を閉塞し、血管(10)内の目標地点(11)に血液が流れないようにすることができる。
【0185】
図9の(c)を参照すると、血管(10)内の目標地点(11)に対応する血管の一領域を閉塞するために第1カテーテル(110)に含まれたバルーン(111)が膨張した場合、少なくとも1つの微細孔(113-1)を介して蛍光物質移送管の外へ蛍光物質(30)が吐出されることが可能である。この場合、一領域が閉塞された血管(10)内の目標地点(11)には、微細孔(113-1)から吐出された蛍光物質(30)が塗布されることが可能である。
【0186】
つまり、本開示の他の複数の実施例において、第1カテーテル(110)は、血管内の目標地点の血管の一領域を閉塞してから蛍光物質を吐出する方式で蛍光物質を塗布するため、蛍光物質が血液と混ざり蛍光物質の塗布に時間がかかることを防ぐことができる。さらに、第1カテーテル(110)は、蛍光物質を塗布する時間を最小化することで、第2カテーテル(120)が光干渉断層撮影映像とともに近赤外線蛍光映像を迅速に取得できるようにすることが可能である。
【0187】
従って、本開示の複数の実施例における第1カテーテル(110)は、被検者の血管(10)内の目標地点(11)に蛍光物質を塗布するために待つ時間を短縮できる。
【0188】
図10は、本開示における第1カテーテルを説明するための図面である。
【0189】
本開示の複数の実施例において、上述のように、第1カテーテル(110)は、バルーンが膨張した後、蛍光物質移送管の少なくとも1つの微細孔を介して血管内の目標地点に蛍光物質を塗布することができる。
【0190】
図10によると、第1カテーテル(110)は、遠位末端部に位置するバルーン領域にバルーンを備えることができる。バルーン領域については、既に図3乃至図9を参照しながら説明しているため、具体的な説明は省略する。
【0191】
そして、第1カテーテル(110)は、近位部分に蛍光物質注入口(115)、コネクター(116)及びラッチ(117)を備えることが可能である。
【0192】
蛍光物質注入口(115)には、第1カテーテル(110)のバルーンが膨張した後、蛍光物質が注入されることが可能である。つまり、検査者は、第1カテーテル(110)のバルーンを膨張させ、蛍光物質注入口(115)に蛍光物質を注入できる。
【0193】
この場合、蛍光物質は、蛍光物質の移送管の少なくとも1つの微細孔を介し、被検者の血管内の目標地点に塗布されることが可能である。
【0194】
具体的に、蛍光物質注入口(115)は、蛍光物質移送管の近位末端部と繋がることが可能である。つまり、蛍光物質は、蛍光物質注入口(115)に注入され、蛍光物質移送管を通り、蛍光物質移送管の遠位部分に備えられた少なくとも1つの微細孔を介し血管内の目標地点に塗布されることが可能である。
【0195】
一方、コネクター(116)は、第1カテーテル(110)を血管スキャン装置(100)に繋げることが可能である。
【0196】
具体的に、第1カテーテル(110)は、コネクター(116)を介し、駆動部(130)が提供する運動能力の供給を受け、血管内において回転及び移動することが可能である。また、第1カテーテル(110)は、コネクター(116)を介して血管スキャン装置(100)の圧力調節部(150)からバルーンを膨張させるための流体の供給を受けることができる。
【0197】
ただし、これに限定されず、第1カテーテル(110)は、コネクター(116)を介して、駆動するために必要な多様な運動能力、制御信号及び特定物質等の供給を血管スキャン装置(100)から受けることも可能である。
【0198】
一方、第1カテーテル(110)の近位部分に備えられたラッチ(117)は、血管スキャン装置(100)に繋がっている第1カテーテル(110)の連結を解除するために利用されることが可能である。つまり、検査者は、血管スキャン装置(100)に繋がっている第1カテーテル(110)の連結を解除する際、第1カテーテル(110)の近位部分に備えられたラッチ(117)を引っ張ったり、押したりして上記第1カテーテル(110)の連結を解除することができる。
【0199】
図11は、本開示の複数の実施例において、第2カテーテルが血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する方法の一例を説明するための図面である。
【0200】
本開示の複数の実施例において、第2カテーテル(120)は、血管内の目標地点のスキャンデータを取得できる。ここで、スキャンデータは、光干渉断層撮影映像及び血管内超音波映像のうち少なくとも1つを取得するための光信号を含むことも可能である。
【0201】
具体的に、図11によると、第2カテーテル(120)は、血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得するために血管スキャン装置(100)と繋がることが可能である。より具体的に、第2カテーテル(120)は、血管スキャン装置(100)のデータ分析部(140)及びOCT装置(160)と繋がることが可能である。
【0202】
OCT装置(160)は、光干渉断層撮影映像を取得するための第1光源を利用して第1光を第2カテーテル(120)に伝達することができる。この場合、第2カテーテル(120)は、血管内の目標地点に上記第1光を照射できる。
【0203】
さらに、OCT装置(160)は、近赤外線蛍光映像を取得するための第2光源を利用して第2光を第2カテーテル(120)に伝達することができる。この場合、第2カテーテル(120)は、血管内の目標地点に上記第2光を照射できる。
【0204】
一方、第2カテーテル(120)は、第1及び第2光の照射により血管内の目標地点から反射される光信号を取得できる。そして、第2カテーテル(120)は、血管内の目標地点から反射された光をデータ分析部(140)に伝達することができる。この場合、データ分析部(140)は、血管内の目標地点から反射された光を利用して、光干渉断層撮影映像及び近赤外線蛍光映像を取得できる。ここで、第2カテーテル(120)は、OCT/NIRF(Optical Coherence Tomography/Near-Infrared Fluorescence)カテーテルになり得る。
【0205】
従って、検査者は、被検者の血管の外観に係る微細構造情報及び血管の異常の有無に係る生化学的情報を通じて被検者の血管内の状態を正確に診断できる。
【0206】
ここに示された実施例に関する説明は、任意の本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が、本開示を利用したり、または実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者には明確に理解できるものであり、ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。従って、本開示はここに示す実施例によって限定されるものではなく、ここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
【0207】
上記のように発明の実施のための最良の形態に係る内容を記述した。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本開示は、血管をスキャンする方法及び装置に係り、具体的には、血管の微細構造情報や生化学的情報を取得する方法及び装置に関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔を有し、前記少なくとも1つの微細孔から蛍光物質が吐出されるように前記蛍光物質を前記少なくとも1つの微細孔に送る蛍光物質移送管を備える、蛍光物質を塗布するための第1カテーテルを血管に挿入する段階;
前記第1カテーテルを用いて、前記血管内の目標地点に前記蛍光物質を塗布する段階;
前記第1カテーテルを前記血管から取り除いてから、前記血管をスキャンするための第2カテーテルを前記血管に挿入する段階;及び
前記第2カテーテルが前記血管に挿入された後、前記第2カテーテルを用いて、前記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1カテーテルは、
遠位末端部に、前記蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーン(balloon)を備える、
血管をスキャンする方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1カテーテルを用いて、前記血管内の目標地点に前記蛍光物質を塗布する段階は、
前記目標地点の血管内壁に前記バルーンが接触して前記蛍光物質が前記目標地点の前記血管内壁に塗布されるように、前記第1カテーテルの前記バルーンを膨張させる段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1カテーテルは:
バルーン(balloon);及び
前記バルーンを遠位末端部に備え、前記バルーンが膨張できるように前記バルーンに流体を送る流体移送管
をさらに含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1カテーテルを用いて、前記血管内の目標地点に前記蛍光物質を塗布する段階は、
前記血管内の前記目標地点に対応する前記血管の一領域を閉塞するために前記バルーンを膨張させる段階;及び
前記バルーンが膨張した場合、前記少なくとも1つの微細孔を介して前記蛍光物質移送管の外へ前記蛍光物質を吐出する段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記第2カテーテルが前記血管に挿入された後;前記第2カテーテルを用いて、前記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得する段階は、
前記第2カテーテルを用いて前記目標地点の近赤外線蛍光映像とともに光干渉断層撮影映像を取得する段階;
を含む、
血管をスキャンする方法。
【請求項7】
血管内の目標地点に蛍光物質を塗布するための第1カテーテルであって、横方向の第1領域に少なくとも1つの微細孔を有し、前記少なくとも1つの微細孔から前記蛍光物質が吐出されるように前記蛍光物質を前記少なくとも1つの微細孔に送る蛍光物質移送管を備える第1カテーテル
前記蛍光物質が塗布された前記血管内の前記目標地点をスキャンするための第2カテーテル;
前記第1カテーテル又は前記第2カテーテルを回転及び移動させる駆動部;及び
前記第2カテーテルがスキャンしたスキャンデータに基づき、前記血管の微細構造情報及び生化学的情報を取得するデータ分析部;
を含む、
血管スキャン装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1カテーテルは、
遠位末端部に、前記蛍光物質でコーティングされた膨張可能なバルーン(balloon)を備える、
血管スキャン装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1カテーテルの近位末端部と結合し、前記目標地点の血管内壁に前記バルーンが接触し、前記蛍光物質が、前記目標地点の前記血管内壁に塗布されるよう、前記バルーンを膨張させるための流体を前記バルーンに注入する圧力調節部;
をさらに含む、
血管スキャン装置。
【請求項10】
請求項7において、
前記第1カテーテルは:
バルーン(balloon);及び
前記バルーンを遠位末端部に備え、前記バルーンが膨張できるように前記バルーンに流体を送る流体移送管
をさらに含む、
血管スキャン装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第1カテーテルの近位末端部と結合し、前記血管内の前記目標地点に対応する前記血管の一領域を閉塞するために前記バルーンを膨張させるための流体を前記バルーンに注入する圧力調節部;及び
前記蛍光物質移送管の近位部分に備えられ前記蛍光物質が注入される蛍光物質注入口;
を含む、
血管スキャン装置。
【請求項12】
請求項7において、
前記微細構造情報は、
光干渉断層撮影映像を含み、
前記生化学的な情報は、
近赤外線蛍光映像を含む、
血管スキャン装置。
【国際調査報告】