(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(54)【発明の名称】平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/30 20120101AFI20220610BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20220610BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20220610BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20220610BHJP
B24B 53/00 20060101ALI20220610BHJP
B24B 37/34 20120101ALI20220610BHJP
【FI】
B24B37/30 Z
B24B49/12
B24B53/12 Z
B24B53/017 A
B24B53/00 A
B24B37/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529467
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2020085342
(87)【国際公開番号】W WO2021184480
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】202010202480.5
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】周 平
(72)【発明者】
【氏名】耿 志超
(72)【発明者】
【氏名】▲イエン▼ 英
(72)【発明者】
【氏名】王 林
(72)【発明者】
【氏名】王 凱
(72)【発明者】
【氏名】郭 東明
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C158
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB93
3C047AA09
3C047AA15
3C047AA34
3C047BB15
3C047EE11
3C158AA07
3C158CB03
(57)【要約】
平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置及び方法に関し、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置は、制御システムと、ベース(1)と、昇降板(6)と、研磨モジュールと、測定モジュールとを備え、研磨モジュールと測定モジュールはいずれもベース(1)に位置し、昇降板(6)は研磨モジュールと測定モジュールとの間に位置し、研磨モジュールは、スイングアーム機構と、研磨パッド表面ドレッサ機構(7)と、研磨パッド表面形状測定装置と、環型研磨工具皿機構(8)とを備え、測定モジュールは、表面形状自動測定装置と、ロボットアーム機構(4)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムと、ベース(1)と、昇降板(6)と、研磨モジュールと、測定モジュールと、を備え、
前記制御システムは、ロボットアームの位置姿勢、スイングアーム(31)の揺動、ガイドレールのスライダの移動、レーザー変位センサー(21)の起動、昇降板(6)の昇降、ダイアモンドドレッサ(74)に接続されたモータ(71)の起動、環型研磨装置の作動を制御するために用いられ、前記制御システムの制御盤は、装置全体の側面に位置し、
研磨モジュールと測定モジュールはいずれもベース(1)に位置し、昇降板(6)は研磨モジュールと測定モジュールとの間に位置し、
前記研磨モジュールは、スイングアーム機構(3)と、研磨パッド表面ドレッサ機構(7)と、研磨パッド表面形状測定装置(2)と、環型研磨工具皿機構(8)と、を備え、
前記スイングアーム機構(3)は、ステッピングモータ(33)と、ベース(1)に取り付けられるカラム(32)と、一端がカラム(32)にヒンジ結合され、他端が環型研磨工具皿機構(8)の上方に張り出すスイングアーム(31)とを備え、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構(7)は、スイングアーム(31)の後側に固定される円筒軸(73)と、リニア軸受(72)と、リニア軸受(72)を介して円筒軸(73)に取り付けられるモータ(71)と、モータの回転軸(71)に取り付けられるとともに研磨パッド(81)の上方に位置するダイヤモンドドレッサ(74)とを備え、
前記研磨パッド表面形状測定装置(2)は、スイングアーム(31)の前側に固定されるリニアガイドレール(22)と、スライダを介してリニアガイドレール(22)に摺動接続され、スライダの下方に固定されるレーザー変位センサー(21)と、を備え、
環型研磨工具皿機構(8)は、研磨パッド(81)と、固定ボルト(82)と、従動輪(83)と、シフトフォーク(84)と、駆動輪モータ(85)と、固定フレーム(86)と、駆動輪(87)と、回転テーブル(89)とを備え、前記回転テーブル(89)が固定ボルト(82)を介して環型研磨装置の主軸に取り付けられ、前記研磨パッド(81)が回転テーブル(89)に貼り付けられ、前記固定フレーム(86)はネジでベース(1)に取り付けられ、前記駆動輪モータ(85)が固定フレーム(86)の側壁に取り付けられ、前記シフトフォーク(84)が固定フレーム(86)の側壁に取り付けられるとともに駆動輪モータ(85)の下方に位置し、前記従動輪(83)及び前記駆動輪(87)は、それぞれシフトフォーク(84)の両端に取り付けられるとともに研磨パッド(81)の上方に張り出し、
前記測定モジュールは、測定ステーション(51)、乾燥ステーション(52)及び洗浄ステーション(53)を有する平面部品の表面形状自動測定装置(5)と、ロボットアーム(4)と、を備え、
前記洗浄ステーション(53)、乾燥ステーション(52)及び測定ステーション(51)は、左から右へ順次にベース(1)に取り付けられ、前記ロボットアーム機構(4)の台座が装置全体の側壁に固定されるとともに乾燥ステーション(52)の上方に位置し、
前記ステッピングモータ(33)は、制御システムでカラム(32)に沿うスイングアーム(31)の回転角及び速度を制御し、
レーザー変位センサ(21)の測定軌跡が研磨パッド(81)の中心位置を通過するまで前記研磨パッド表面形状測定装置(2)をスイングアーム(31)で動かし、レーザー変位センサ(21)の位置姿勢及び研磨パッド(81)からの高さを測定データ収集要件を満たすように調整し、レーザー変位センサ(21)をリニアガイドレール(22)に沿って移動するすなわち、研磨パッド(81)の径方向に沿って移動するように制御し、研磨パッド(81)の径方向の表面形状を取得し、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構(7)は、リニア軸受(72)を介してスイングアーム(31)に接続され、研磨パッド(81)をドレッシングしている過程において、ダイヤモンドドレッサ(74)が、その自重及びモータ(71)の重量に依存して、研磨パッド(81)の表面との定圧接触を維持し、スイングアーム(31)の揺動速度を制御することにより、研磨パッド(81)の径方向上の異なる位置におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を制御して研磨パッド(81)に対する決定性ドレッシングを実現する、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置。
【請求項2】
前記洗浄ステーション(53)は脱イオン水噴霧装置と汚水蓄積容器とを備え、前記乾燥ステーション(52)は平面部品(88)のクランプ位置決め装置を備えたパレットラックと強力な送風機とを備え、前記測定ステーション(51)は平面度測定器を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置。
【請求項3】
平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置で研磨を行い、
研磨パッド(81)及び平面部品(88)の元の表面形状を測定するステップAと、平坦化研磨パッドを用いる時の平面部品の材料除去率分布関数を得るステップBと、平面部品(88)の表面形状を迅速に収束させる研磨パッド(81)の好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決めるステップCと、研磨パッド(81)をドレッシングするステップDと、平面部品(88)を研磨するステップEと、平面部品(88)の表面形状を測定するステップFと、を備え、
ステップAでは、スイングアーム(31)を、研磨パッド(81)の径方向に沿ってレーザー変位センサー(21)の測定ヘッドを移動させる位置に調整し、リニアガイドレール(22)に沿ってレーザー変位センサー(21)を移動させることにより、研磨パッド(81)の元の表面形状を採集し、ロボットアーム機構(4)で平面部品(88)を測定ステーション(51)に搬送し、平面部品(88)の元の表面形状を取得し、
ステップBでは、ガイドレールとレーザー変位センサー(21)を起動してガイドレールのスライダによりレーザー変位センサー(21)を研磨パッド(81)に沿って径方向に移動させ、研磨パッド(81)の元の表面形状を測定し、スイングアームと、ダイヤモンドドレッサ(74)に接続されたモータ(71)とを起動して、ダイヤモンドドレッサ(74)に研磨パッド(81)の径方向に沿って均一速度で研磨パッド(81)をドレッシングさせ、そして、研磨パッド(81)の表面形状データを再測定し、下記の式(1)のように、ドレッシング前後の研磨パッド(81)の表面形状の差及びドレッシング時間により研磨パッド(81)のドレッシング除去率分布関数を取得し、
【数1】
ただし、MRR
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)のドレッシング除去率を示し、u
0
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)の元の表面形状を示し、u
1
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)のドレッシング済の表面形状を示し、t
pは研磨パッド(81)のドレッシング時間を示し、nは研磨パッド(81)の径方向の離散点の数を示し、前記表面形状は、研磨パッド(81)の表面における全ての離散点の高さデータであり、
元の研磨パッド(81)の表面形状及び水平面について差分処理を行い研磨パッド(81)表面の除去量分布関数を確定し、ドレッシングしている過程において、ドレッシング圧力が一定に維持され、研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知であり、研磨パッド(81)の各径方向におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を確定し、研磨パッド(81)を平坦化した後でその平坦化研磨パッドにおいて平面部品(88)を研磨し、下記の式(2)のように、平面部品の研磨前後の表面形状の差により平面部品の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を取得し、
【数2】
ただし、MRR
c(r,θ)は平面部品の材料除去率分布関数を表し、u
c(r,θ)は研磨前の平面部品(88)の表面形状を示し、u’
c(r,θ)は研磨後の平面部品(88)の表面形状を示し、rは平面部品(88)におけるある点から平面部品(88)の中心までの距離を表し、θは平面部品(88)の中心を座標原点とする座標系下での平面部品(88)におけるある点の角度を表し、t
cは研磨時間を示し、
ステップCでは、平面部品(88)及び平坦化研磨パッドの表面形状と、平面部品(88)の平坦化研磨パッドで研磨する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品(88)の表面形状を迅速に収束させる研磨パッドの好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決め、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるステップC1と、研磨パッドの好ましい表面形状を取得するステップC2と、研磨パッド(81)のドレッシングパラメータを決めるステップC3と、研磨時間を予測するステップC4とを具体的に含み、
ステップC1では、平面部品の材料除去率分布関数は、下記の式(3)のプリンストン方程式を満たし、
【数3】
ただし、K(r,θ)はプリンストン係数を表し、P(r,θ)は研磨作業中の接触圧力を示し、V(r,θ)は研磨パッド(81)に対する平面部品(88)の回転速度を示し、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるために、プリンストン方程式(3)を式(4)に変換し、
【数4】
研磨パッド(81)を平坦化するときの平面部品(88)の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を式(2)により算出し、
研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータに基づいて、下記の式(5)のように、運動学的分析により各位置における平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度V(r,θ)を取得し、
【数5】
ただし、v
x(r,θ)は平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度の平面部品(88)のx軸における速度成分を表し、v
y(r,θ)は平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度の平面部品(88)のy軸における速度成分を表し、ω
pは研磨パッド(81)の公転速度を示し、ω
cは研磨パッド(81)の自転速度を示し、
下記の式(6)のように、弾性基礎の仮定に基づいて、接触圧力分布関数モデルを算出し、
【数6】
ただし、Kは剛性係数を表し、δは侵入深さを表し、u(r,θ)は弾性層の厚さを表し、vはポアソン比を表し、Eは弾性率を表し、Lは研磨パッド(81)の厚さを表し、up(r,θ)は研磨作業範囲内の研磨パッド(81)の周方向に均質化された表面形状を表し、Fは正圧、即ち平面部品(88)及び釣り合い重りの重量を表し、Aは平面部品(88)の離散点に代表される領域の面積を表し、
弾性基礎の仮定に基づいて、平面部品(88)の表面形状及び研磨パッドの表面形状が既知である場合、機械分析により各点における研磨圧力P(r,θ)を取得し、
以上により、MRR
c(r,θ)、V(r,θ)及びP(r,θ)が既に取得されたので、式(4)により平面部品(88)のプリンストン係数K(r,θ)を求め、
ステップC2では、研磨過程中においてプリンストン係数が変わらないという仮定と弾性基礎の仮定とに基づいて、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状に対して正規化及び鏡面対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して全アパーチャの決定性研磨に必要な研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、
前記した研磨パッドの好ましい表面形状を得る方法は、
下記の式(7)のように、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状に対して正規化及び鏡面対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、
【数7】
即ち、
【数8】
研磨過程中においてプリンストン係数K(r,θ)が変わらないという仮定に基づいて、研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータが変わらないとV(r,θ)が不変になるという事実を考慮して、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して平面部品の表面の好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を取得し、
弾性基礎の仮定に基づいて、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状が既知である場合、研磨パッド(81)のいずれの表面形状に対応する接触圧力も求め、好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を最適化目標とし、全アパーチャの決定性研磨に必要な研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、且つ平面部品(88)の表面における好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)を求めることであり、
ステップC3では、
研磨パッドの好ましい表面形状と平坦化研磨パッドの表面形状がそれぞれ既に測定され、ドレッシング中のドレッシング圧力が一定に維持され、ステップBにより研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知である上で、下記の式(8)のように、研磨パッド(81)の径方向位置におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を決め、
【数9】
ただし、T
piは研磨パッド(81)のi番目の離散点におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を示し、u
piはi番目の離散点における平坦化研磨パッドの表面形状を示し、u’
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)の好ましい表面形状を示し、
ステップC4では、下記の式(9)のように好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)を取得し、
【数10】
ステップBに得られた平面部品(88)の表面形状の好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去分布関数MRR’
c(r,θ)と併せて研磨中の平面部品(88)の表面形状の進化を導き出し、平面部品(88)の表面形状の最大高低値であるPV値が最小になる時の対応する研磨時間を予測研磨時間として選択し、
ステップDでは、
研磨パッド表面ドレッサ機構(7)を制御して研磨パッドの表面形状を算出された研磨パッド(81)の好ましい表面形状にドレッシングし、
ステップEでは、
ステップBで平坦化研磨パッドを用いて平面部品の材料除去率分布関数を測定するときと同じプロセスパラメータで平面部品(88)を研磨し、前記プロセスパラメータは、平面部品(88)及び研磨パッド(81)のそれぞれの回転速度、研磨液組成、研磨液供給位置、研磨液流速、研磨荷重を含み、
ステップFでは、
ロボットアーム機構(4)は、研磨済の平面部品(88)を洗浄ステーション(53)に搬送し、平面部品(88)の表面における研磨液及び他の不純物を20~26℃の脱イオン水で洗浄し、そして平面部品(88)を乾燥ステーション(52)内のクランプ位置決め装置に搬送し、20~26℃の室温風を出力する強力な送風機で平面部品(88)に対して快速乾燥処理を行い、平面部品(88)の表面がきれいになった後、測定ステーション(51)に搬送し、平面部品(88)の表面形状を測定し、研磨結果が要件を満たしているかどうかを判断し、要件を満たしていない場合、ステップAに戻し、要件を満たす高精度の平面部品(88)を得るまで繰り返す、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨の技術分野、特に平面部品の全アパーチャの決定性研磨に適するスイングアーム式研磨装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学システムは、航空宇宙や国防軍事や宇宙探査や天文光学観測などで幅広く適用されている。紫外線光学や強光光学や短波長光学や遠赤外線光学などのエンジニアリング光学分野では、平面部品が一般には、透過素子や反射素子や回折素子などの結像素子又は他の機能素子として使用されている。光学技術の継続的な発展と応用に伴い、光学部品の製造技術に対する要求は高まり続けている。光学部品に求められる精度要件は高まりつつある一方で、光学システムの需要が増えるとともに、光学部品の需要量も日々増えているため、光学部品に対する加工効率の向上は、光学技術の発展のために強く求められることになっている。
【0003】
光学部品の高精度かつ高品質な表面処理を実現するために、従来の平面光学部品の加工は、研削や研磨やポリウレタン研磨やピッチ研磨や局部整形などのプロセスを含む。ポリウレタン研磨は、研削損傷を効果的に除去できるが、加工過程中のエッジ効果が著しくなり、エッジロールオフが発生しやすくなる。ポリウレタン研磨パッドの偏摩耗によって凸面状にもなりやすいため、高表面精度がはかれにくくなる。ピッチ定盤による環型研磨は、現在最も流行している全アパーチャの高精度表面加工方法であり、高表面精度を得ることができる。しかし、ピッチ定盤による環型研磨は、材料除去率が低く、且つピッチ定盤の表面形状のドレッシングが作業者の経験に大きく依存して不確実性が高いため、加工効率が低く、大量の光学部品を安定的に且つ効率よく加工することは難しい。このため、全アパーチャ材料除去率に関する正確な分析と研磨パッドの表面形状に対する精密な制御により、平面部品の表面形状を迅速に収束させて大量の光学部品を安定的に且つ効率よく加工する全アパーチャの決定性研磨装置及び方法が求められている。
【0004】
現在、多くの学者は、全アパーチャの決定性研磨の加工方法と装置などについて研究を行っている。加工方法の分野では、工具皿を平坦化して平面部品の表面における凹凸箇所に圧力差を形成させ、さらに材料除去率のばらつきを生じさせ、工具皿の表面形状を平面部品の表面に徐々にコピーすることにより、高精度表面加工を実現することができる(非特許文献1)。また、ドレッシング軸の傾斜角度を調整して、研磨パッドの表面形状を平面部品の表面形状とほぼ逆の形状にドレッシングし、平面部品の凹凸箇所における接触圧力差を大きくすることで研磨効率を高めることもできる(非特許文献2)。特許文献である「平面部品の全体的な整形の装置及び方法」(特許文献1)には、研磨パッドを、平面部品の表面形状に応じて特定溝付きパターンを有する研磨パッドにドレッシングし、さらに、材料除去率分布関数と平面部品の表面形状とが正規化された鏡像対称関係になるように平面部品の表面の材料除去率分布関数を制御することで、平面部品の決定性加工を実現する。
【0005】
平面部品の高精度平面加工を実現し、工具皿の平面度を確保し、加工された平面部品にそれをコピーするためには、研磨作業の前に研磨パッドを平坦化する必要がある。特許文献である「精密親ねじ駆動式の環状気体静圧ガイドレール」(特許文献2)には、精密親ねじ駆動式の環状気体静圧ガイドレールを用いることにより、気体静圧ガイドレールがより小さいガス膜ギャップやより高い剛性と精度を備えることを確保する。ただし、その装置に備え付けられた気体静圧ガイドレールにはコストがかかる。
【0006】
平面部品の決定性加工を実現する、すなわち平面部品の表面の材料除去率分布関数を決定性制御するために、スロッタ装置を用いて研磨パッドに溝を切ることにより実現することができる。特許文献である「平面部品の全体的な整形の装置及び方法」(特許文献1)には、従来の研削機械又は研磨機械において研磨パッドの表面平坦化機構と表面溝旋削機構を増設することにより、高平面度及び溝構造を有する研磨パッドを作り出す。ただし、毎回の操作前に研磨パッドに新たに溝を切る必要があるため、研磨パッドに多大なロスが生じる。
【0007】
研磨パッドの表面ドレッシングを実現し、研磨中の材料除去率の安定性を確保するために、特許文献である「研磨パッドのドレッサ及びその製造方法、研磨パッドのドレッサ及びその研磨システム」(特許文献3)には、ドレッサの基体研磨面の表面粗さを増加し、且つ規則的な形状と多面体構造を備える研磨粒子を選択する。特許文献である「Closed-loop Control for effeCtive pad Conditioning」(特許文献4)には、閉ループ制御により研磨パッドに対するドレッサの作用力を自動的に調整する。ただし、上記の研磨パッドのドレッサは単一の機能を有し、操作中に生成されたグレーズ層の除去のみを実現する。
【0008】
以上により、全アパーチャの研磨加工方法と装置に関する現在の研究には、依然として以下の課題がある。
(1)平面部品の具体的な表面形状について十分に考慮せず、工具皿を平坦化するだけで、研磨中に平面部品の表面形状の収束速度が遅くなる。
(2)研磨パッドの平坦化装置は静圧装置を用いているため、装置のコストが高くなる。
(3)研磨パッドに溝を切ることで全アパーチャの決定性研磨を行うと、研磨パッドの利用率が低くなり、処理コストが高くなる。
(4)一部の装置は研磨パッドのドレッシングにおいて、グレーズ層の除去のみを実現するが、研磨パッドの全体的な表面形状への制御力を欠いている。
(5)従来の研磨装置は、加工・測定の一体化設計を実現せず、平面部品の自動化量産力の不足をもたらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許出願公開第108381331号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第106736612号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第104209863号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0318060号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Zhang,C.,Zhao,H.,Gu,Y.,Ban,X.,&Jiang,C.2017.Design of an ultra-preCision CNC ChemiCal meChaniCal polishing maChine and its implementation.Optifab 2017,104482Q.
【非特許文献2】謝瑞清、李亜国、王健、陳賢華、黄浩、許喬.2010年.研磨パッドの特性の光学加工におけるワークの表面形状への影響についての分析.光電工学、37.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術における上記の課題を解決するために、本発明は、表面部品の表面形状の収束が速く、設備コストが低く、高加工効率が高く、研磨パッドの表面形状を決定性ドレッシング可能であり、自動化レベルが高い平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の基本的な考え方は、次の通りである。従来の環型研磨装置にベースが増設され、カラムを介してスイングアーム機構がベースに取り付けられ、スイングアーム機構のスイングアームの一側に定圧を維持するダイヤモンドドレッサが設けられ、スイングアームの他側にリニアガイドレールが取り付けられるとともにレーザー変位センサが設けられている。スイングアームを、研磨工具皿の径方向に沿ってレーザー変位センサの測定ヘッドを移動させる位置に調整し、リニアガイドレールに沿ってレーザー変位センサが移動することにより、研磨パッドの元の表面形状を採集する。研磨パッドの表面形状の測定データに基づき、研磨パッド表面ドレッサ機構により、各位置におけるドレッシング時間を調整して研磨パッドを平坦化し、且つ平面部品を研磨する。研磨前後の平面部品の表面形状の差によって材料除去率分布関数を取得し、平面部品及び平坦化研磨パッドの表面形状と、平面部品の平坦化研磨パッドで研磨する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品の表面形状を迅速に収束できる研磨パッドの好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決める。研磨パッド表面ドレッサ機構によって研磨パッドの表面形状を算出された研磨パッドの好ましい表面形状にドレッシングし、平面部品をその研磨パッドで研磨する。研磨済の平面部品をロボットアーム機構で平面部品の表面形状自動測定装置に搬送し、洗浄や乾燥を行った後、測定ステーションにおいて測定し、研磨結果が要件を満たしているかどうかを判断する。要件を満たしていない場合、要件を満たす高精度の平面部品を得るまで上記の完全なプロセスを繰り返す。
【0013】
本発明に係る態様は以下のとおりである。
本発明の一態様は、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置であって、制御システムと、ベースと、昇降板と、研磨モジュールと、測定モジュールとを備え、
前記制御システムは、ロボットアームの位置姿勢、スイングアームの揺動、ガイドレールのスライダの移動、レーザー変位センサの起動、昇降板の昇降、ダイヤモンドドレッサに接続されたモータの起動、環型研磨装置の作動の制御に用いられ、前記制御システムの制御盤が、装置全体の側面に位置し、
前記研磨モジュールと前記測定モジュールはいずれもベースに位置し、前記昇降板は研磨モジュールと測定モジュールとの間に位置し、
前記研磨モジュールは、スイングアーム機構と、研磨パッド表面ドレッサ機構と、研磨パッド表面形状測定装置と、環型研磨工具皿機構とを備え、
前記スイングアーム機構は、ステッピングモータと、ベースに取り付けられるカラムと、一端がカラムにヒンジ結合され、他端が環型研磨工具皿機構の上方に張り出すスイングアームとを備え、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構は、スイングアームの後側に固定される円筒軸と、リニア軸受と、リニア軸受を介して円筒軸に取り付けられるモータと、モータの回転軸に取り付けられるとともに研磨パッドの上方に位置するダイヤモンドドレッサと、を備え、
前記研磨パッド表面形状測定装置は、スイングアームの前側に固定されるリニアガイドレールと、スライダを介してリニアガイドレールに摺動接続され、スライダの下方に固定されるレーザー変位センサと、を備え、
環型研磨工具皿機構は、研磨パッドと、固定ボルトと、従動輪と、シフトフォークと、駆動輪モータと、固定フレームと、駆動輪と、回転テーブルとを備え、前記回転テーブルが固定ボルトを介して環型研磨装置の主軸に取り付けられ、前記研磨パッドが回転テーブルに貼り付けられ、前記固定フレームはネジでベースに取り付けられ、前記駆動輪モータが固定フレームの側壁に取り付けられ、前記シフトフォークが固定フレームの側壁に取り付けられるとともに駆動輪モータの下方に位置し、前記従動輪及び駆動輪が、それぞれシフトフォークの両端に取り付けられるとともに研磨パッドの上方に張り出し、
前記測定モジュールは、測定ステーション、乾燥ステーション及び洗浄ステーションを有する平面部品の表面形状自動測定装置と、ロボットアーム機構と、を備え、
前記洗浄ステーション、乾燥ステーション及び測定ステーションは、左から右へ順次にベースに取り付けられ、前記ロボットアーム機構の台座が装置全体の側壁に固定されるとともに乾燥ステーションの上方に位置し、
前記ステッピングモータは、制御システムでカラムに沿うスイングアームの回転角及び速度を制御し、
レーザー変位センサの測定軌跡が研磨パッドの中心位置に通過するまで前記研磨パッド表面形状測定装置をスイングアームで動かし、レーザー変位センサの位置姿勢及び研磨パッドからの高さを測定データ収集要件を満たすように調整し、レーザー変位センサをリニアガイドレールに沿って移動するすなわち研磨パッドの径方向に沿って移動するように制御し、研磨パッドの径方向の表面形状を取得し、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構は、リニア軸受を介してスイングアームに接続され、研磨パッドをドレッシングしている過程において、ダイヤモンドドレッサが、その自重及びモータの重量により、研磨パッドの表面との定圧接触を維持し、スイングアームの揺動速度を制御することにより、研磨パッドの径方向上の異なる位置におけるダイヤモンドドレッサの滞留時間を制御して研磨パッドに対する決定性ドレッシングを実現する。
【0014】
さらに、前記洗浄ステーションは脱イオン水噴霧装置と汚水蓄積容器とを備え、前記乾燥ステーションは平面部品のクランプ位置決め装置を備えたパレットラックと強力な送風機とを備え、前記測定ステーションは平面度測定器を備える。
【0015】
本発明の他の形態は、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨方法であって、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置で研磨を行い、
研磨パッド及び平面部品の元の表面形状を測定するステップAと、平坦化研磨パッドを用いる時の平面部品の材料除去率分布関数を得るステップBと、平面部品の表面形状を迅速に収束させる研磨パッドの好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決めるステップCと、研磨パッドをドレッシングするステップDと、平面部品を研磨するステップEと、平面部品の表面形状を測定するステップFと、を備え、
ステップAでは、スイングアームを、研磨パッドの径方向に沿ってレーザー変位センサの測定ヘッドを移動させる位置に調整し、リニアガイドレールに沿ってレーザー変位センサを移動させることにより、研磨パッドの元の表面形状を採集し、ロボットアーム機構で平面部品を測定ステーションに搬送し、平面部品の元の表面形状を取得し、
ステップBでは、ガイドレールとレーザー変位センサを起動してガイドレールのスライダによりレーザー変位センサを研磨パッドに沿って径方向に移動させ、研磨パッドの元の表面形状を測定し、スイングアームと、ダイヤモンドドレッサに接続されたモータとを起動して、ダイヤモンドドレッサに研磨パッドの径方向に沿って均一速度で研磨パッドをドレッシングさせ、そして、研磨パッドの表面形状データを再測定し、下記の式(1)のように、ドレッシング前後の研磨パッドの表面形状の差及びドレッシング時間により研磨パッドのドレッシング除去率分布関数を取得し、
【数1】
ただし、MRR
piはi番目の離散点における研磨パッドのドレッシング除去率を示し、u
0
piはi番目の離散点における研磨パッドの元の表面形状を示し、u
1
piはi番目の離散点における研磨パッドのドレッシング済の表面形状を示し、t
pは研磨パッドのドレッシング時間を示し、nは研磨パッドの径方向の離散点の数を示し、前記表面形状は、研磨パッドの表面における全ての離散点の高さデータであり、
元の研磨パッドの表面形状及び水平面について差分処理を行い、研磨パッド表面の除去量分布関数を確定し、ドレッシングしている過程において、ドレッシング圧力が一定に維持され、研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知であり、研磨パッドの各径方向におけるダイヤモンドドレッサの滞留時間を確定し、研磨パッドを平坦化した後でその平坦化研磨パッドにおいて平面部品を研磨し、下記の式(2)のように、研磨前後の平面部品の表面形状の差により平面部品の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を取得し、
【数2】
ただし、MRR
c(r,θ)は平面部品の材料除去率分布関数を表し、u
c(r,θ)は研磨前の平面部品の表面形状を示し、u’
c(r,θ)は研磨後の平面部品の表面形状を示し、rは平面部品におけるある点から平面部品の中心までの距離を表し、θは平面部品の中心を座標原点とする座標系下での平面部品におけるある点の角度を表し、t
cは研磨時間を示し、
ステップCでは、平面部品及び平坦化研磨パッドの表面形状と、平面部品の平坦化研磨パッドで研磨する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品の表面形状を迅速に収束させる研磨パッドの好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決め、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるステップC1と、研磨パッドの好ましい表面形状を取得するステップC2と、研磨パッドのドレッシングパラメータを決めるステップC3と、研磨時間を予測するステップC4と、を具体的に含み、
ステップC1では、平面部品の材料除去率分布関数は、下記の式(3)のプリンストン方程式を満たし、
【数3】
ただし、K(r,θ)はプリンストン係数を表し、P(r,θ)は研磨作業中の接触圧力を示し、V(r,θ)は研磨パッドに対する平面部品の回転速度を示し、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるために、プリンストン方程式(3)を式(4)に変換し、
【数4】
研磨パッドを平坦化するときの平面部品の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を式(2)により算出し、
研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータに基づいて、下記の式(5)のように運動学的分析により各位置における平面部品と研磨パッドとのの相対運動速度V(r,θ)を取得し、
【数5】
ただし、v
x(r,θ)は平面部品と研磨パッドとの相対運動速度の平面部品のx軸における速度成分を表し、v
y(r,θ)は平面部品と研磨パッドとの相対運動速度の平面部品のy軸における速度成分を表し、ω
pは研磨パッドの公転速度を示し、ω
cは研磨パッドの自転速度を示し、
下記の式(6)のように、弾性基礎の仮定に基づいて、接触圧力分布関数モデルを算出し、
【数6】
ただし、Kは剛性係数を表し、δは侵入深さを表し、u(r,θ)は弾性層の厚さを表し、vはポアソン比を表し、Eは弾性率を表し、Lは研磨パッドの厚さを表し、u
p(r,θ)は研磨作業範囲内の研磨パッドの周方向に均質化された表面形状を表し、Fは正圧、即ち平面部品及び釣り合い重りの重量を表し、Aは平面部品の離散点に代表される領域の面積を表し、
弾性基礎の仮定に基づいて、平面部品の表面形状及び研磨パッドの表面形状が既知である場合、機械分析により各点における研磨圧力P(r,θ)を取得し、
以上により、MRR
c(r,θ)、V(r,θ)及びP(r,θ)が既に取得されたので、式(4)により平面部品のプリンストン係数K(r,θ)を求め、
ステップC2では、研磨過程中においてプリンストン係数が変わらないという仮定と弾性基礎の仮定とに基づいて、ステップBで得られた平面部品の表面形状に対して正規化及び鏡像対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して全アパーチャの決定性研磨に必要な研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、
前記した研磨パッドの好ましい表面形状を得る方法は、
下記の式(7)のように、ステップBで得られた平面部品の表面形状に対して正規化及び鏡面対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、
【数7】
即ち、
【数8】
研磨工程においてプリンストン係数K(r,θ)が変わらないという仮定に基づいて、研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータが変わらないとV(r,θ)が不変になるという事実を考慮して、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して平面部品の表面の好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を取得し、
弾性基礎の仮定に基づいて、ステップBで得られた平面部品の表面形状が既知である場合、研磨パッドのいずれの表面形状に対応する接触圧力も求め、好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を最適化目標とし、全アパーチャの決定性研磨に必要な相応する研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、且つ平面部品の表面における好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)を求めることであり、
ステップC3では、
研磨パッドの好ましい表面形状と平坦化研磨パッドの表面形状がそれぞれ既に測定され、ドレッシング中のドレッシング圧力が一定に維持され、ステップBにより研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知である上で、下記の式(8)のように、研磨パッドの径方向位置におけるダイヤモンドドレッサの滞留時間を決め、
【数9】
ただし、T
piは研磨パッドのi番目の離散点におけるダイヤモンドドレッサの滞留時間を示し、u
piはi番目の離散点における平坦化研磨パッドの表面形状を示し、u’
piはi番目の離散点における研磨パッドの好ましい表面形状を示し、
ステップC4では、下記の式(9)のように好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)を取得し、
【数10】
ステップBに得られた平面部品の表面形状の好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去分布関数MRR’
c(r,θ)と併せて研磨中の平面部品の表面形状の進化を導き出し、平面部品の表面形状の最大高低値であるPV値が最小になる時の対応する研磨時間を予測研磨時間として選択し、
ステップDでは、
研磨パッド表面ドレッサ機構を制御して研磨パッドの表面形状を算出された研磨パッドの好ましい表面形状にドレッシングし、
ステップEでは、
ステップBで平坦化研磨パッドを用いて平面部品の材料除去率分布関数を測定するときと同じプロセスパラメータで平面部品を研磨し、前記プロセスパラメータは、平面部品及び研磨パッドのそれぞれの回転速度、研磨液組成、研磨液供給位置、研磨液流速、研磨荷重を含み、
ステップFでは、
ロボットアーム機構は、研磨済の平面部品を洗浄ステーションに搬送し、平面部品の表面における研磨液及び他の不純物を20~26℃の脱イオン水で洗浄し、そして平面部品を乾燥ステーション内のクランプ位置決め装置に搬送し、20~26℃の室温風を出力する強力な送風機で平面部品に対して快速乾燥処理を行い、平面部品の表面がきれいになった後、測定ステーションに搬送し、平面部品の表面形状を測定し、研磨結果が要件を満たしているかどうかを判断し、要件を満たしていない場合、ステップAに戻り、要件を満たす高精度の平面部品を得るまで操作を繰り返す。
【0016】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0017】
1、本発明は、平面部品の具体的な表面形状を十分に考えているため、平面部品の材料除去率分布関数と平面部品の表面形状とが正規化された鏡像対称関係になるように平面部品の表面の材料除去率分布関数を制御することで、平面部品の決定性加工が図れ、研磨中に平面部品の表面形状が効率よく収束することが確保されている。
【0018】
2、本発明は、研磨パッドにおけるダイヤモンドドレッサの滞留時間を制御することにより研磨パッドの表面形状をドレッシングするため、低コストの操作方法で高精度の研磨過程を実行し、設備費用の削減が図れる。
【0019】
3、本発明は、ドレッシング過程中に研磨パッドが破壊されないため、研磨パッドの使用回数が増加し、この消耗品の耐用年数が長くなり、全アパーチャの決定性研磨のコストの削減が図れている。
【0020】
4、本発明に係る研磨パッド表面ドレッサ機構は研磨パッドの表面形状をドレッシングするとともに表面のグレーズ層を除去することができるため、この一石二鳥の機能設計は装置構造の簡素化と低コストとを促進させる。
【0021】
5、本発明は、ロボットアーム機構で平面部品を掴み取るので処理・測定の一体化を確保し、自動化の強化、量産化の実現、生産率の改善、収量の向上が図れる高度の研磨操作には重要な意義を有し、光学部品の自動化量産力の向上が図れている。
【0022】
6、本発明の昇降板は、研磨モジュールと測定モジュールとの間に位置している。研磨作業中、研磨モジュールの研磨液が測定モジュールに影響を与えないように、昇降板を上げる。測定作業中、ロボットアーム機構が妨害を受けないように、昇降板を下げる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明における装置の概略構造図である。
【
図3】
図3は、研磨パッド表面ドレッサ機構の概略図である。
【
図4】
図4は、環型研磨工具皿機構の概略図である。
【
図5】
図5は、研磨パッドに対する平面部品の相対速度の原理図である。
【
図6】
図6は、全アパーチャの決定性研磨加工のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面及び特定の実施例を参照しながら、本発明について説明する。
【0025】
本発明は、主に平面部品88の加工に着目し、材料除去率に関する正確な分析と研磨パッドの表面形状に対する正確な制御で平面部品88の表面形状を迅速に収束させて、大量の平面部品88を安定的に且つ効率よく加工することができる。本発明においては、従来の環型研磨装置にベース1が増設され、カラム32を介してスイングアーム機構3がベース1に取り付けられ、スイングアーム機構3のスイングアーム31の一側に定圧を維持可能なダイヤモンドドレッサ74が設けられ、スイングアーム31の他側にリニアガイドレール22が取り付けられるとともにレーザー変位センサ21が設けられている。ロボットアーム4の位置姿勢、スイングアーム31の揺動、ガイドレール22の移動、レーザー変位センサ21の起動、昇降板6の昇降、ダイヤモンドドレッサ74に接続されたモータの起動、環型研磨装置の作動は、制御システムで制御され、前記制御システムは産業用制御コンピュータとPLC制御技術を採用する。スイングアーム31を、研磨パッド81の径方向に沿ってレーザー変位センサ21の測定ヘッドを移動させうる位置に調整し、リニアガイドレール22に沿ってレーザー変位センサ21が移動することにより、研磨パッド81の元の表面形状を採集する。研磨パッド81の表面形状の測定データに基づき、研磨パッド表面ドレッサ機構7により、各位置におけるドレッシング時間を調整して研磨パッド81を平坦化し、平面部品88を研磨する。研磨前後の平面部品88の表面形状の差により材料除去率分布関数を取得して、平面部品88及び平坦化研磨パッド81の表面形状と、平面部品88の平坦化研磨パッド81で研磨する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品88の表面形状を迅速に収束できる研磨パッド81の好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決める。研磨パッド表面ドレッサ機構7によって研磨パッド81の表面形状を算出された研磨パッド81の好ましい表面形状にドレッシングし、平面部品88を研磨パッド81で研磨する。研磨済の平面部品88をロボットアーム機構4で平面部品の表面形状自動測定装置5に搬送し、洗浄や乾燥を行った後、測定ステーション51において測定し、研磨結果が要件を満たしているかどうかを判断する。要件を満たしていない場合、要件を満たす高精度の平面部品88を得るまで上記の完全なプロセスを繰り返す。
【0026】
図1~2は、本発明の全アパーチャの決定性研磨装置の概略図を示す。その装置は、ベース1と、ベース1の中心に位置する環型研磨工具皿機構8(詳細は
図4を参照)と、ベース1に取り付けられたカラム32と、カラム32にヒンジ結合されるとともに環型研磨工具皿機構8の上方に位置するスイングアーム31と、スイングアーム31の揺動を制御するためのステッピングモータ33と、スイングアーム31の前側に固定されたリニアガイドレール22と、リニアガイドレール22に摺動接続されたレーザー変位センサ21と、スイングアーム31の後側に固定された研磨パッド表面ドレッサ機構7(詳細は
図3を参照)と、ベース1における研磨モジュールと測定モジュールとの境界線に位置する昇降板6と、左から右へ順次にベース1に取り付けられた洗浄ステーション53、測定ステーション51及び乾燥ステーション52と、装置全体の側壁に固定されるとともに乾燥ステーション52の上方に位置するロボットアーム機構4とを備える。
【0027】
ドレッシング作業が必要な場合は、カラム32の頂部に位置するステッピングモータ33及びモータ71を起動し、スイングアーム31の揺動速度を制御することで、各位置における研磨パッド表面ドレッサ機構7のダイヤモンドドレッサ74のドレッシング時間を調整し、研磨パッド81を好ましい表面形状にドレッシングする。
【0028】
研磨パッド81の表面形状を測定する必要がある場合、レーザー変位センサ21の測定軌跡が研磨パッド81の中心位置を通過するまで研磨パッド表面形状測定装置2をスイングアーム31で動かし、レーザー変位センサ21の位置姿勢及び研磨パッド81からの高さを測定データ収集要件を満たすように調整し、レーザー変位センサ21をリニアガイドレール22に沿って移動する、すなわち、研磨パッド81の径方向に沿って移動するように制御し、研磨パッド81の径方向の表面形状を取得する。
【0029】
平面部品88の表面形状を測定する必要がある場合、昇降板6を下げ、ロボットアーム機構4によって研磨済の平面部品88を洗浄ステーション53に搬送し、洗浄を行い、研磨液及び他の不純物が洗い流された後、乾燥ステーション52に搬送し、乾燥処理を行い、平面部品88の表面が洗浄された後、測定ステーション51に搬送し、平面部品88の表面形状の測定を行う。
【0030】
図3は、研磨パッド表面ドレッサ機構7の概略図である。その装置は、円筒軸73と、円筒軸73にスライディングフィットされているリニア軸受72と、リニア軸受72の側面に取り付けられたモータ71と、カップリングを介してモータ71の回転軸に取り付けられたダイヤモンドドレッサ74とを備える。
【0031】
ドレッシング作業が必要な場合、先ず、ダイヤモンドドレッサ74を研磨パッド81に接触させ、リニア軸受72と円筒軸73との直接のスライディングフィットによりダイヤモンドドレッサ74と研磨パッド81との間に一定の接触圧力を維持する。モータ71を起動してダイヤモンドドレッサ74を回転させ、それにより研磨パッド81のドレッシングを実現する。
【0032】
図4は、環型研磨工具皿機構8の概略図である。その装置は、固定ボルト82で環型研磨装置の主軸に取り付けられた回転テーブル89と、回転テーブル89に貼り付けられた研磨パッド81と、ベースに取り付けられた固定フレーム86と、固定フレーム86の側壁に取り付けられた駆動輪モータ85と、固定フレーム86の側壁に取り付けられるとともに駆動輪モータ85の下方に位置するシフトフォーク84と、それぞれシフトフォーク84の両端に取り付けられるとともに研磨パッド81の上方に張り出す駆動輪87及び駆動輪83と、駆動輪87及び駆動輪83に密着される研磨対象の平面部品88と、を備える。
【0033】
研磨作業が必要な場合、駆動輪モータ85を起動して駆動輪83を回転させ、平面部品88が駆動輪83に従って回転する。平面部品88の上方に釣り合い重りを置いて、平面部品88の表面形状を迅速に収束させることができるように、加工中に平面部品88を研磨パッド81と定圧接触させる。
【0034】
図5は、研磨パッドに対する平面部品の相対速度の原理図である。ステップC1中の式(5)は、この図を参照することができる。
【0035】
図6は、全アパーチャの決定性研磨加工のフローチャートであり、主に下記のステップを含む。
【0036】
ステップ1:研磨パッド81及び平面部品88の元の表面形状を測定して研磨パッド81を平坦化し、且つ平面部品88を加工する。加工前後の平面部品88の表面形状の差により材料除去率分布関数を取得し、平面部品88及び平坦化研磨パッド81の表面形状と、平面部品88の平坦化研磨パッド81で加工する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品88の表面形状を迅速に収束できる研磨パッド81の好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決める。研磨パッド81を好ましい表面形状にドレッシングして平面部品88を研磨する。
【0037】
ステップ2:平面部品88が加工精度要件を満たしているかどうかを測定して判断し、要件を満たしている場合、加工を停止する。
【0038】
ステップ3:要件を満たしていない場合、ステップ1を繰り返す。
【0039】
本発明の実施例によれば、加工対象の平面部品88の直径はΦ200mmであり、研磨パッド81の直径はΦ610mmである。
【0040】
図2に示されるように、本発明の実施例の具体的なステップは以下のとおりである。
【0041】
ステップ1:研磨パッド81を直径Φ610mmの回転テーブル89に貼り付け、回転テーブル89を環型研磨装置の主軸に取り付ける。
【0042】
ステップ2:研磨パッド81の元の表面形状を研磨パッド表面形状測定装置2で採集し、その表面形状の測定データに基づいてダイヤモンドドレッサ74のドレッシング時間を調整して研磨パッド81を平坦化し、且つ平面部品88を加工する。加工前後の平面部品88の表面形状の差により材料除去率分布関数を取得して、平面部品88及び平坦化研磨パッド81の表面形状と、平面部品88の平坦化研磨パッド81で加工する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品88の表面形状を迅速に収束できる研磨パッド81の好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決める。
【0043】
ステップ3:ダイヤモンドドレッサ74を研磨パッド81に接触させ、リニア軸受72と円筒軸73との直接的な摺動組合せによりダイヤモンドドレッサ74と研磨パッド81との間における一定の接触圧力を維持する。モータ71を起動してダイヤモンドドレッサ74を回転させる。ステッピングモータ33を起動して、スイングアーム31の揺動速度を制御し、各位置におけるダイヤモンドドレッサ74のドレッシング時間を調整することにより、研磨パッド81を好ましい表面形状にドレッシングする。
【0044】
ステップ4:得られた好ましい研磨パッド81で平面部88を研磨する。研磨作業が完了した後、昇降板6を下げ、ロボットアーム機構4により研磨済の平面部品88を洗浄ステーション53に搬送し、洗浄を行い、研磨液及び他の不純物が洗い流された後、乾燥ステーション52に搬送し、乾燥処理を行い、平面部品88の表面が洗浄された後、測定ステーション51に搬送し、平面部品88の表面形状を測定し、且つ加工結果が要件を満たしているかどうかを判断し、要件を満たしていない場合は、要件を満たす高精度の平面部品88の表面を得るまで上記の完全な工程を繰り返す。
【0045】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明によって開示された技術的範囲内の同等の概念又は変更は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0046】
[付記]
[付記1]
制御システムと、ベース(1)と、昇降板(6)と、研磨モジュールと、測定モジュールと、を備え、
前記制御システムは、ロボットアームの位置姿勢、スイングアーム(31)の揺動、ガイドレールのスライダの移動、レーザー変位センサー(21)の起動、昇降板(6)の昇降、ダイアモンドドレッサ(74)に接続されたモータ(71)の起動、環型研磨装置の作動を制御するために用いられ、前記制御システムの制御盤は、装置全体の側面に位置し、
研磨モジュールと測定モジュールはいずれもベース(1)に位置し、昇降板(6)は研磨モジュールと測定モジュールとの間に位置し、
前記研磨モジュールは、スイングアーム機構(3)と、研磨パッド表面ドレッサ機構(7)と、研磨パッド表面形状測定装置(2)と、環型研磨工具皿機構(8)と、を備え、
前記スイングアーム機構(3)は、ステッピングモータ(33)と、ベース(1)に取り付けられるカラム(32)と、一端がカラム(32)にヒンジ結合され、他端が環型研磨工具皿機構(8)の上方に張り出すスイングアーム(31)とを備え、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構(7)は、スイングアーム(31)の後側に固定される円筒軸(73)と、リニア軸受(72)と、リニア軸受(72)を介して円筒軸(73)に取り付けられるモータ(71)と、モータの回転軸(71)に取り付けられるとともに研磨パッド(81)の上方に位置するダイヤモンドドレッサ(74)とを備え、
前記研磨パッド表面形状測定装置(2)は、スイングアーム(31)の前側に固定されるリニアガイドレール(22)と、スライダを介してリニアガイドレール(22)に摺動接続され、スライダの下方に固定されるレーザー変位センサー(21)と、を備え、
環型研磨工具皿機構(8)は、研磨パッド(81)と、固定ボルト(82)と、従動輪(83)と、シフトフォーク(84)と、駆動輪モータ(85)と、固定フレーム(86)と、駆動輪(87)と、回転テーブル(89)とを備え、前記回転テーブル(89)が固定ボルト(82)を介して環型研磨装置の主軸に取り付けられ、前記研磨パッド(81)が回転テーブル(89)に貼り付けられ、前記固定フレーム(86)はネジでベース(1)に取り付けられ、前記駆動輪モータ(85)が固定フレーム(86)の側壁に取り付けられ、前記シフトフォーク(84)が固定フレーム(86)の側壁に取り付けられるとともに駆動輪モータ(85)の下方に位置し、前記従動輪(83)及び前記駆動輪(87)は、それぞれシフトフォーク(84)の両端に取り付けられるとともに研磨パッド(81)の上方に張り出し、
前記測定モジュールは、測定ステーション(51)、乾燥ステーション(52)及び洗浄ステーション(53)を有する平面部品の表面形状自動測定装置(5)と、ロボットアーム(4)と、を備え、
前記洗浄ステーション(53)、乾燥ステーション(52)及び測定ステーション(51)は、左から右へ順次にベース(1)に取り付けられ、前記ロボットアーム機構(4)の台座が装置全体の側壁に固定されるとともに乾燥ステーション(52)の上方に位置し、
前記ステッピングモータ(33)は、制御システムでカラム(32)に沿うスイングアーム(31)の回転角及び速度を制御し、
レーザー変位センサ(21)の測定軌跡が研磨パッド(81)の中心位置を通過するまで前記研磨パッド表面形状測定装置(2)をスイングアーム(31)で動かし、レーザー変位センサ(21)の位置姿勢及び研磨パッド(81)からの高さを測定データ収集要件を満たすように調整し、レーザー変位センサ(21)をリニアガイドレール(22)に沿って移動するすなわち、研磨パッド(81)の径方向に沿って移動するように制御し、研磨パッド(81)の径方向の表面形状を取得し、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構(7)は、リニア軸受(72)を介してスイングアーム(31)に接続され、研磨パッド(81)をドレッシングしている過程において、ダイヤモンドドレッサ(74)が、その自重及びモータ(71)の重量に依存して、研磨パッド(81)の表面との定圧接触を維持し、スイングアーム(31)の揺動速度を制御することにより、研磨パッド(81)の径方向上の異なる位置におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を制御して研磨パッド(81)に対する決定性ドレッシングを実現する、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置。
【0047】
[付記2]
前記洗浄ステーション(53)は脱イオン水噴霧装置と汚水蓄積容器とを備え、前記乾燥ステーション(52)は平面部品(88)のクランプ位置決め装置を備えたパレットラックと強力な送風機とを備え、前記測定ステーション(51)は平面度測定器を備える、ことを特徴とする付記1に記載の平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置。
【0048】
[付記3]
平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置で研磨を行い、
研磨パッド(81)及び平面部品(88)の元の表面形状を測定するステップAと、平坦化研磨パッドを用いる時の平面部品の材料除去率分布関数を得るステップBと、平面部品(88)の表面形状を迅速に収束させる研磨パッド(81)の好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決めるステップCと、研磨パッド(81)をドレッシングするステップDと、平面部品(88)を研磨するステップEと、平面部品(88)の表面形状を測定するステップFと、を備え、
ステップAでは、スイングアーム(31)を、研磨パッド(81)の径方向に沿ってレーザー変位センサー(21)の測定ヘッドを移動させる位置に調整し、リニアガイドレール(22)に沿ってレーザー変位センサー(21)を移動させることにより、研磨パッド(81)の元の表面形状を採集し、ロボットアーム機構(4)で平面部品(88)を測定ステーション(51)に搬送し、平面部品(88)の元の表面形状を取得し、
ステップBでは、ガイドレールとレーザー変位センサー(21)を起動してガイドレールのスライダによりレーザー変位センサー(21)を研磨パッド(81)に沿って径方向に移動させ、研磨パッド(81)の元の表面形状を測定し、スイングアームと、ダイヤモンドドレッサ(74)に接続されたモータ(71)とを起動して、ダイヤモンドドレッサ(74)に研磨パッド(81)の径方向に沿って均一速度で研磨パッド(81)をドレッシングさせ、そして、研磨パッド(81)の表面形状データを再測定し、下記の式(1)のように、ドレッシング前後の研磨パッド(81)の表面形状の差及びドレッシング時間により研磨パッド(81)のドレッシング除去率分布関数を取得し、
【数11】
ただし、MRR
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)のドレッシング除去率を示し、u
0
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)の元の表面形状を示し、u
1
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)のドレッシング済の表面形状を示し、t
pは研磨パッド(81)のドレッシング時間を示し、nは研磨パッド(81)の径方向の離散点の数を示し、前記表面形状は、研磨パッド(81)の表面における全ての離散点の高さデータであり、
元の研磨パッド(81)の表面形状及び水平面について差分処理を行い研磨パッド(81)表面の除去量分布関数を確定し、ドレッシングしている過程において、ドレッシング圧力が一定に維持され、研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知であり、研磨パッド(81)の各径方向におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を確定し、研磨パッド(81)を平坦化した後でその平坦化研磨パッドにおいて平面部品(88)を研磨し、下記の式(2)のように、平面部品の研磨前後の表面形状の差により平面部品の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を取得し、
【数12】
ただし、MRR
c(r,θ)は平面部品の材料除去率分布関数を表し、u
c(r,θ)は研磨前の平面部品(88)の表面形状を示し、u’
c(r,θ)は研磨後の平面部品(88)の表面形状を示し、rは平面部品(88)におけるある点から平面部品(88)の中心までの距離を表し、θは平面部品(88)の中心を座標原点とする座標系下での平面部品(88)におけるある点の角度を表し、t
cは研磨時間を示し、
ステップCでは、平面部品(88)及び平坦化研磨パッドの表面形状と、平面部品(88)の平坦化研磨パッドで研磨する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品(88)の表面形状を迅速に収束させる研磨パッドの好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決め、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるステップC1と、研磨パッドの好ましい表面形状を取得するステップC2と、研磨パッド(81)のドレッシングパラメータを決めるステップC3と、研磨時間を予測するステップC4とを具体的に含み、
ステップC1では、平面部品の材料除去率分布関数は、下記の式(3)のプリンストン方程式を満たし、
【数13】
ただし、K(r,θ)はプリンストン係数を表し、P(r,θ)は研磨作業中の接触圧力を示し、V(r,θ)は研磨パッド(81)に対する平面部品(88)の回転速度を示し、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるために、プリンストン方程式(3)を式(4)に変換し、
【数14】
研磨パッド(81)を平坦化するときの平面部品(88)の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を式(2)により算出し、
研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータに基づいて、下記の式(5)のように、運動学的分析により各位置における平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度V(r,θ)を取得し、
【数15】
ただし、v
x(r,θ)は平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度の平面部品(88)のx軸における速度成分を表し、v
y(r,θ)は平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度の平面部品(88)のy軸における速度成分を表し、ω
pは研磨パッド(81)の公転速度を示し、ω
cは研磨パッド(81)の自転速度を示し、
下記の式(6)のように、弾性基礎の仮定に基づいて、接触圧力分布関数モデルを算出し、
【数16】
ただし、Kは剛性係数を表し、δは侵入深さを表し、u(r,θ)は弾性層の厚さを表し、vはポアソン比を表し、Eは弾性率を表し、Lは研磨パッド(81)の厚さを表し、up(r,θ)は研磨作業範囲内の研磨パッド(81)の周方向に均質化された表面形状を表し、Fは正圧、即ち平面部品(88)及び釣り合い重りの重量を表し、Aは平面部品(88)の離散点に代表される領域の面積を表し、
弾性基礎の仮定に基づいて、平面部品(88)の表面形状及び研磨パッドの表面形状が既知である場合、機械分析により各点における研磨圧力P(r,θ)を取得し、
以上により、MRR
c(r,θ)、V(r,θ)及びP(r,θ)が既に取得されたので、式(4)により平面部品(88)のプリンストン係数K(r,θ)を求め、
ステップC2では、研磨過程中においてプリンストン係数が変わらないという仮定と弾性基礎の仮定とに基づいて、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状に対して正規化及び鏡面対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して全アパーチャの決定性研磨に必要な研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、
前記した研磨パッドの好ましい表面形状を得る方法は、
下記の式(7)のように、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状に対して正規化及び鏡面対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、
【数17】
即ち、
【数18】
研磨過程中においてプリンストン係数K(r,θ)が変わらないという仮定に基づいて、研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータが変わらないとV(r,θ)が不変になるという事実を考慮して、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して平面部品の表面の好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を取得し、
弾性基礎の仮定に基づいて、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状が既知である場合、研磨パッド(81)のいずれの表面形状に対応する接触圧力も求め、好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を最適化目標とし、全アパーチャの決定性研磨に必要な研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、且つ平面部品(88)の表面における好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)を求めることであり、
ステップC3では、
研磨パッドの好ましい表面形状と平坦化研磨パッドの表面形状がそれぞれ既に測定され、ドレッシング中のドレッシング圧力が一定に維持され、ステップBにより研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知である上で、下記の式(8)のように、研磨パッド(81)の径方向位置におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を決め、
【数19】
ただし、T
piは研磨パッド(81)のi番目の離散点におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を示し、u
piはi番目の離散点における平坦化研磨パッドの表面形状を示し、u’
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)の好ましい表面形状を示し、
ステップC4では、下記の式(9)のように好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)を取得し、
【数20】
ステップBに得られた平面部品(88)の表面形状の好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去分布関数MRR’
c(r,θ)と併せて研磨中の平面部品(88)の表面形状の進化を導き出し、平面部品(88)の表面形状の最大高低値であるPV値が最小になる時の対応する研磨時間を予測研磨時間として選択し、
ステップDでは、
研磨パッド表面ドレッサ機構(7)を制御して研磨パッドの表面形状を算出された研磨パッド(81)の好ましい表面形状にドレッシングし、
ステップEでは、
ステップBで平坦化研磨パッドを用いて平面部品の材料除去率分布関数を測定するときと同じプロセスパラメータで平面部品(88)を研磨し、前記プロセスパラメータは、平面部品(88)及び研磨パッド(81)のそれぞれの回転速度、研磨液組成、研磨液供給位置、研磨液流速、研磨荷重を含み、
ステップFでは、
ロボットアーム機構(4)は、研磨済の平面部品(88)を洗浄ステーション(53)に搬送し、平面部品(88)の表面における研磨液及び他の不純物を20~26℃の脱イオン水で洗浄し、そして平面部品(88)を乾燥ステーション(52)内のクランプ位置決め装置に搬送し、20~26℃の室温風を出力する強力な送風機で平面部品(88)に対して快速乾燥処理を行い、平面部品(88)の表面がきれいになった後、測定ステーション(51)に搬送し、平面部品(88)の表面形状を測定し、研磨結果が要件を満たしているかどうかを判断し、要件を満たしていない場合、ステップAに戻し、要件を満たす高精度の平面部品(88)を得るまで繰り返す、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨方法。
【符号の説明】
【0049】
1、ベース、
2、研磨パッド表面形状測定装置
3、スイングアーム機構
4、ロボットアーム機構
5、平面部品の表面形状自動測定装置
6、昇降板
7、研磨パッド表面ドレッサ機構
8、環型研磨工具皿機構
21、レーザー変位センサ
22、リニアガイドレール
31、スイングアーム
32、カラム
33、ステッピングモータ
51、測定ステーション
52、乾燥ステーション
53、洗浄ステーション
71、モータ
72、リニア軸受
73、円筒軸
74、ダイヤモンドドレッサ
81、研磨パッド
82、固定ボルト
83、従動輪
84、シフトフォーク
85、駆動輪モータ
86、固定フレーム
87、駆動輪
88、平面部品
89、回転テーブル
【手続補正書】
【提出日】2021-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムと、ベース(1)と、昇降板(6)と、研磨モジュールと、測定モジュールと、を備え、
前記制御システムは、ロボットアームの位置姿勢、スイングアーム(31)の揺動、ガイドレールのスライダの移動、レーザー変位センサー(21)の起動、昇降板(6)の昇降、ダイアモンドドレッサ(74)に接続されたモータ(71)の起動、環型研磨装置の作動を制御するために用いられ、前記制御システムの制御盤は、装置全体の側面に位置し、
研磨モジュールと測定モジュールはいずれもベース(1)に位置し、昇降板(6)は研磨モジュールと測定モジュールとの間に位置し、
前記研磨モジュールは、スイングアーム機構(3)と、研磨パッド表面ドレッサ機構(7)と、研磨パッド表面形状測定装置(2)と、環型研磨工具皿機構(8)と、を備え、
前記スイングアーム機構(3)は、ステッピングモータ(33)と、ベース(1)に取り付けられるカラム(32)と、一端がカラム(32)にヒンジ結合され、他端が環型研磨工具皿機構(8)の上方に張り出すスイングアーム(31)とを備え、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構(7)は、スイングアーム(31)の後側に固定される円筒軸(73)と、リニア軸受(72)と、リニア軸受(72)を介して円筒軸(73)に取り付けられるモータ(71)と、モータの回転軸(71)に取り付けられるとともに研磨パッド(81)の上方に位置するダイヤモンドドレッサ(74)とを備え、
前記研磨パッド表面形状測定装置(2)は、スイングアーム(31)の前側に固定されるリニアガイドレール(22)と、スライダを介してリニアガイドレール(22)に摺動接続され、スライダの下方に固定されるレーザー変位センサー(21)と、を備え、
環型研磨工具皿機構(8)は、研磨パッド(81)と、固定ボルト(82)と、従動輪(83)と、シフトフォーク(84)と、駆動輪モータ(85)と、固定フレーム(86)と、駆動輪(87)と、回転テーブル(89)とを備え、前記回転テーブル(89)が固定ボルト(82)を介して環型研磨装置の主軸に取り付けられ、前記研磨パッド(81)が回転テーブル(89)に貼り付けられ、前記固定フレーム(86)はネジでベース(1)に取り付けられ、前記駆動輪モータ(85)が固定フレーム(86)の側壁に取り付けられ、前記シフトフォーク(84)が固定フレーム(86)の側壁に取り付けられるとともに駆動輪モータ(85)の下方に位置し、前記従動輪(83)及び前記駆動輪(87)は、それぞれシフトフォーク(84)の両端に取り付けられるとともに研磨パッド(81)の上方に張り出し、
前記測定モジュールは、測定ステーション(51)、乾燥ステーション(52)及び洗浄ステーション(53)を有する平面部品の表面形状自動測定装置(5)と、ロボットアーム
機構(4)と、を備え、
前記洗浄ステーション(53)、乾燥ステーション(52)及び測定ステーション(51)は、左から右へ順次にベース(1)に取り付けられ、前記ロボットアーム機構(4)の台座が装置全体の側壁に固定されるとともに乾燥ステーション(52)の上方に位置し、
前記ステッピングモータ(33)は、制御システムでカラム(32)に沿うスイングアーム(31)の回転角及び速度を制御し、
レーザー変位センサ(21)の測定軌跡が研磨パッド(81)の中心位置を通過するまで前記研磨パッド表面形状測定装置(2)をスイングアーム(31)で動かし、レーザー変位センサ(21)の位置姿勢及び研磨パッド(81)からの高さを測定データ収集要件を満たすように調整し、レーザー変位センサ(21)をリニアガイドレール(22)に沿って移動するすなわち、研磨パッド(81)の径方向に沿って移動するように制御し、研磨パッド(81)の径方向の表面形状を取得し、
前記研磨パッド表面ドレッサ機構(7)は、リニア軸受(72)を介してスイングアーム(31)に接続され、研磨パッド(81)をドレッシングしている過程において、ダイヤモンドドレッサ(74)が、その自重及びモータ(71)の重量に依存して、研磨パッド(81)の表面との定圧接触を維持し、スイングアーム(31)の揺動速度を制御することにより、研磨パッド(81)の径方向上の異なる位置におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を制御して研磨パッド(81)に対する決定性ドレッシングを実現する、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置。
【請求項2】
前記洗浄ステーション(53)は脱イオン水噴霧装置と汚水蓄積容器とを備え、前記乾燥ステーション(52)は平面部品(88)のクランプ位置決め装置を備えたパレットラックと強力な送風機とを備え、前記測定ステーション(51)は平面度測定器を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨装置で研磨を行い、
研磨パッド(81)及び平面部品(88)の元の表面形状を測定するステップAと、平坦化研磨パッドを用いる時の平面部品の材料除去率分布関数を得るステップBと、平面部品(88)の表面形状を迅速に収束させる研磨パッド(81)の好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決めるステップCと、研磨パッド(81)をドレッシングするステップDと、平面部品(88)を研磨するステップEと、平面部品(88)の表面形状を測定するステップFと、を備え、
ステップAでは、スイングアーム(31)を、研磨パッド(81)の径方向に沿ってレーザー変位センサー(21)の測定ヘッドを移動させる位置に調整し、リニアガイドレール(22)に沿ってレーザー変位センサー(21)を移動させることにより、研磨パッド(81)の元の表面形状を採集し、ロボットアーム機構(4)で平面部品(88)を測定ステーション(51)に搬送し、平面部品(88)の元の表面形状を取得し、
ステップBでは、ガイドレールとレーザー変位センサー(21)を起動してガイドレールのスライダによりレーザー変位センサー(21)を研磨パッド(81)に沿って径方向に移動させ、研磨パッド(81)の元の表面形状を測定し、スイングアームと、ダイヤモンドドレッサ(74)に接続されたモータ(71)とを起動して、ダイヤモンドドレッサ(74)に研磨パッド(81)の径方向に沿って均一速度で研磨パッド(81)をドレッシングさせ、そして、研磨パッド(81)の表面形状データを再測定し、下記の式(1)のように、ドレッシング前後の研磨パッド(81)の表面形状の差及びドレッシング時間により研磨パッド(81)のドレッシング除去率分布関数を取得し、
【数1】
ただし、MRR
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)のドレッシング除去率を示し、u
0
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)の元の表面形状を示し、u
1
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)のドレッシング済の表面形状を示し、t
pは研磨パッド(81)のドレッシング時間を示し、nは研磨パッド(81)の径方向の離散点の数を示し、前記表面形状は、研磨パッド(81)の表面における全ての離散点の高さデータであり、
元の研磨パッド(81)の表面形状及び水平面について差分処理を行い研磨パッド(81)表面の除去量分布関数を確定し、ドレッシングしている過程において、ドレッシング圧力が一定に維持され、研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知であり、研磨パッド(81)の各径方向におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を確定し、研磨パッド(81)を平坦化した後でその平坦化研磨パッドにおいて平面部品(88)を研磨し、下記の式(2)のように、平面部品の研磨前後の表面形状の差により平面部品の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を取得し、
【数2】
ただし、MRR
c(r,θ)は平面部品の材料除去率分布関数を表し、u
c(r,θ)は研磨前の平面部品(88)の表面形状を示し、u’
c(r,θ)は研磨後の平面部品(88)の表面形状を示し、rは平面部品(88)におけるある点から平面部品(88)の中心までの距離を表し、θは平面部品(88)の中心を座標原点とする座標系下での平面部品(88)におけるある点の角度を表し、t
cは研磨時間を示し、
ステップCでは、平面部品(88)及び平坦化研磨パッドの表面形状と、平面部品(88)の平坦化研磨パッドで研磨する時の除去率分布関数とに基づいて、研磨パッドの表面形状設計法で平面部品(88)の表面形状を迅速に収束させる研磨パッドの好ましい表面形状及びそのドレッシングパラメータを決め、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるステップC1と、研磨パッドの好ましい表面形状を取得するステップC2と、研磨パッド(81)のドレッシングパラメータを決めるステップC3と、研磨時間を予測するステップC4とを具体的に含み、
ステップC1では、平面部品の材料除去率分布関数は、下記の式(3)のプリンストン方程式を満たし、
【数3】
ただし、K(r,θ)はプリンストン係数を表し、P(r,θ)は研磨作業中の接触圧力を示し、V(r,θ)は研磨パッド(81)に対する平面部品(88)の回転速度を示し、
プリンストン係数K(r,θ)を求めるために、プリンストン方程式(3)を式(4)に変換し、
【数4】
研磨パッド(81)を平坦化するときの平面部品(88)の材料除去率分布関数MRR
c(r,θ)を式(2)により算出し、
研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータに基づいて、下記の式(5)のように、運動学的分析により各位置における平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度V(r,θ)を取得し、
【数5】
ただし、v
x(r,θ)は平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度の平面部品(88)のx軸における速度成分を表し、v
y(r,θ)は平面部品(88)と研磨パッド(81)との相対運動速度の平面部品(88)のy軸における速度成分を表し、ω
pは研磨パッド(81)の公転速度を示し、ω
cは研磨パッド(81)の自転速度を示し、
下記の式(6)のように、弾性基礎の仮定に基づいて、接触圧力分布関数モデルを算出し、
【数6】
ただし、Kは剛性係数を表し、δは侵入深さを表し、u(r,θ)は弾性層の厚さを表し、vはポアソン比を表し、Eは弾性率を表し、Lは研磨パッド(81)の厚さを表し、up(r,θ)は研磨作業範囲内の研磨パッド(81)の周方向に均質化された表面形状を表し、Fは正圧、即ち平面部品(88)及び釣り合い重りの重量を表し、Aは平面部品(88)の離散点に代表される領域の面積を表し、
弾性基礎の仮定に基づいて、平面部品(88)の表面形状及び研磨パッドの表面形状が既知である場合、機械分析により各点における研磨圧力P(r,θ)を取得し、
以上により、MRR
c(r,θ)、V(r,θ)及びP(r,θ)が既に取得されたので、式(4)により平面部品(88)のプリンストン係数K(r,θ)を求め、
ステップC2では、研磨過程中においてプリンストン係数が変わらないという仮定と弾性基礎の仮定とに基づいて、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状に対して正規化及び鏡面対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して全アパーチャの決定性研磨に必要な研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、
前記した研磨パッドの好ましい表面形状を得る方法は、
下記の式(7)のように、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状に対して正規化及び鏡面対称処理を行い、それを好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)の正規化結果とし、
【数7】
即ち、
【数8】
研磨過程中においてプリンストン係数K(r,θ)が変わらないという仮定に基づいて、研磨工程で用いられた回転速度のプロセスパラメータが変わらないとV(r,θ)が不変になるという事実を考慮して、平面部品の材料除去率分布関数を算出するモデルと併せて分析して平面部品の表面の好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を取得し、
弾性基礎の仮定に基づいて、ステップBで得られた平面部品(88)の表面形状が既知である場合、研磨パッド(81)のいずれの表面形状に対応する接触圧力も求め、好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)の正規化結果を最適化目標とし、全アパーチャの決定性研磨に必要な研磨パッドの好ましい表面形状を取得し、且つ平面部品(88)の表面における好ましい接触圧力分布関数P’(r,θ)を求めることであり、
ステップC3では、
研磨パッドの好ましい表面形状と平坦化研磨パッドの表面形状がそれぞれ既に測定され、ドレッシング中のドレッシング圧力が一定に維持され、ステップBにより研磨パッドのドレッシング除去率分布関数が既知である上で、下記の式(8)のように、研磨パッド(81)の径方向位置におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を決め、
【数9】
ただし、T
piは研磨パッド(81)のi番目の離散点におけるダイヤモンドドレッサ(74)の滞留時間を示し、u
piはi番目の離散点における平坦化研磨パッドの表面形状を示し、u’
piはi番目の離散点における研磨パッド(81)の好ましい表面形状を示し、
ステップC4では、下記の式(9)のように好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去率分布関数MRR’
c(r,θ)を取得し、
【数10】
ステップBに得られた平面部品(88)の表面形状の好ましい研磨パッドに対応する平面部品の材料除去分布関数MRR’
c(r,θ)と併せて研磨中の平面部品(88)の表面形状の進化を導き出し、平面部品(88)の表面形状の最大高低値であるPV値が最小になる時の対応する研磨時間を予測研磨時間として選択し、
ステップDでは、
研磨パッド表面ドレッサ機構(7)を制御して研磨パッドの表面形状を算出された研磨パッド(81)の好ましい表面形状にドレッシングし、
ステップEでは、
ステップBで平坦化研磨パッドを用いて平面部品の材料除去率分布関数を測定するときと同じプロセスパラメータで平面部品(88)を研磨し、前記プロセスパラメータは、平面部品(88)及び研磨パッド(81)のそれぞれの回転速度、研磨液組成、研磨液供給位置、研磨液流速、研磨荷重を含み、
ステップFでは、
ロボットアーム機構(4)は、研磨済の平面部品(88)を洗浄ステーション(53)に搬送し、平面部品(88)の表面における研磨液及び他の不純物を20~26℃の脱イオン水で洗浄し、そして平面部品(88)を乾燥ステーション(52)内のクランプ位置決め装置に搬送し、20~26℃の室温風を出力する強力な送風機で平面部品(88)に対して快速乾燥処理を行い、平面部品(88)の表面がきれいになった後、測定ステーション(51)に搬送し、平面部品(88)の表面形状を測定し、研磨結果が要件を満たしているかどうかを判断し、要件を満たしていない場合、ステップAに戻し、要件を満たす高精度の平面部品(88)を得るまで繰り返す、平面部品の全アパーチャの決定性研磨のスイングアーム式研磨方法。
【国際調査報告】