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特表2022-529107ステビオールグリコシド溶解度向上剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ステビオールグリコシド溶解度向上剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220610BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L2/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021558654
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2020026568
(87)【国際公開番号】W WO2020210122
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/830,450
(32)【優先日】2019-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/832,062
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ガスパード、ダン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ザース、アダム ティー.
【テーマコード(参考)】
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B047LB09
4B047LF07
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4B117LK16
(57)【要約】
【解決手段】 ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むモノカフェオイルキナ(MCQ)成分と、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むジカフェオイルキナ(DCQ)成分と、を含み得る。1つの好適な実装では、MCQ成分及びDCQ成分は共に、ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの50%(重量)超、好ましくは60%(重量)超、70%(重量)超、80%(重量)超、90%(重量)超、又は95%(重量)超を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むモノカフェオイルキナ(MCQ)成分と、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むジカフェオイルキナ(DCQ)成分と、を含む、ステビオールグリコシド溶解度向上剤であって、
前記MCQ成分及び前記DCQ成分が共に、前記ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの50%(重量)超、好ましくは60%(重量)超、70%(重量)超、80%(重量)超、90%(重量)超、又は95%(重量)超を含む、ステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項2】
0.3%(重量)未満のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0.05%(重量)未満のピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タルトレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、若しくは酢酸、又は約0.05%(重量)未満のクロロフィル、を含む、請求項1に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項3】
マロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、及びリンゴ酸を含まないか、又はピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タルトレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、及び酢酸を含まないか、又はクロロフィルを含まない、請求項2に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項4】
クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むモノカフェオイルキナ(MCQ)成分と、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むジカフェオイルキナ(DCQ)成分と、を含む、ステビオールグリコシド溶解度向上剤であって、
前記MCQ成分及び前記DCQ成分が共に、前記ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの50%(重量)超、好ましくは60%(重量)超、70%(重量)超、80%(重量)超、90%(重量)超、又は95%(重量)超を含み、
前記ステビオールグリコシド溶解度向上剤が、5%(重量)未満、好ましくは4%(重量)未満、3%(重量)未満、2%(重量)未満、1%(重量)未満、0.5%(重量)未満、0.25%(重量)未満、又は0.10%(重量)未満のステビオールグリコシド化合物を含むか、又はより好ましくは、ステビオールグリコシド化合物を実質的に含まず、
0~5%(重量)の、ケルセチン、ケンペロール、ミリセチン、フィセチン、ガランギン、イソラムネチン、パキポドール、ラムナジン、ピラノフラノボール、フラノフラノボール、ルテオリン、アピゲニン、タンゲレチン、タキシフォリン(若しくはジヒドロケルセチン)、ジヒドロケンペロール、ヘスペレチン、ナリンゲニン、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオール、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン、ヘスペリジン、ナリンギン、ルチン、クエルシトリン、ルテオリン-グルコシド、ケルセチン-キシロシド、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、及びペツニジンのうちの1以上、又は
0~3%(重量)の、マロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、リンゴ酸、シトレート、及びクエン酸のうちの1つ以上、又は
0~1%(重量)の、サルフェート、硫酸、ホスフェート、リン酸、ニトレート、硝酸、ニトリト、亜硝酸、塩化物、塩酸、アンモニア、アンモニウム、タンニン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、グルコース、フルクトース、スクロース、ガラクトース、リボース、トレハロース、トレハルロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、イソマルツロース、マンノース、タガトース、アラビノース、ラムノース、キシロース、デキストロース、エリトロース、トレオース、マルトトリオース、パノース、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリトリトール、イソマルト、及びイノシトールのうちの1つ以上、又は
0~0.5%(重量)の、タルトレート、酒石酸、ピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、アスコルビン酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、酢酸、及びクロロフィルのうちの1つ以上、を含む、ステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項5】
0.1%(重量)未満の、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アカシア(アラビア)ガム、寒天、アルギン-アルジネート、アラビノキシラン、ベータ-グルカン、ベータマンナン、カラギーナンガム、イナゴマメ又はローカストビーンガム、フェヌグリークガム、ガラクトマンナン、ジェランガム、グルコマンナン又はコンニャクガム、グアーガム、ヘミセルロース、イヌリン、カラヤゴム、ペクチン、ポリデキストロース、サイリウムハスク粘液、難消化性デンプン、タラガム、トラガカントガム、キサンタンガム、セルロース、キチン、及びキトサンのうちの1つ以上を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項6】
前記DCQ成分が、前記ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの10%(重量)以上、15%(重量)以上、20%(重量)以上、25%(重量)以上、30%(重量)以上、35%(重量)以上、40%(重量)以上、45%(重量)以上、50%(重量)以上、60%(重量)以上、70%(重量)以上、80%(重量)以上、又は90%(重量)以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項7】
前記DCQ成分の前記MCQ成分に対する重量比が、少なくとも0.2、少なくとも0.33、少なくとも0.5、好ましくは少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10である、請求項1~4のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項8】
前記DCQ成分の前記MCQ成分に対する重量比が、1~20、好ましくは1~10、2~10、3~10、4~10、又は5~10である、請求項1~4のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項9】
前記DCQ成分の前記MCQ成分に対する重量比が、0.33~5である、請求項1~4のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項10】
前記DCQ成分の前記MCQ成分に対する重量比が、少なくとも1であり、前記DCQ成分及びMCQ成分が共に、前記ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの70%(重量)超を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項11】
カフェイン酸、フェルラ酸、p-クマル酸、シナピン酸、キナ酸、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸、酒石酸、チコリ酸、カフタル酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される1つ以上の化合物を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項12】
カフェイン酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される1つ以上の化合物を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項13】
89%のレバウディオサイドM及び8%のレバウディオサイドDを含むステビオールグリコシドを、溶解度試験の下で少なくとも10日間の保存期間に溶液中に維持し、溶解度試験において、(a)前記ステビオールグリコシド及び前記ステビオールグリコシド溶解度向上剤を蒸留水に添加し、前記ステビオールグリコシドを5%(前記水のwt/vol)で添加し、前記ステビオールグリコシド溶解度向上剤を3.57%(前記水のwt/vol)で添加し、(b)工程(a)の組成物を、周期的に混合しながら10分間80℃まで加熱して溶液を形成し、(c)前記溶液を22℃まで冷却し、(d)前記保存期間中に22℃で前記溶液を保持する、請求項1~12のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む水性ステビオールグリコシド溶液。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のステビオールグリコシド溶解度向上剤及びステビオールグリコシドを含む、非アルコール性飲料。
【請求項16】
1.5~4のpHを有する、請求項15に記載の非アルコール飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年4月6日に出願され、かつ「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題する米国特許出願第62/830,450号、2019年4月10日に出願され、かつ「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題する米国特許出願第62/832,062号、米国特許出願公開第2019/0223481号として2019年7月25日に公開された、2019年4月2日に出願され、かつ「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題する米国特許出願第16/373,206号、2018年10月5日に出願され、かつ「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題する国際出願第PCT/US2018/054691号、及び、2017年10月6日に出願され、かつ「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題する米国特許仮出願第62/569,279号の利益を主張する。これらの出願の各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、1つ以上のステビオールグリコシド化合物及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する可溶化ステビオールグリコシド溶液、並びにこれらの溶液を作製及び使用する方法に関する。本開示はまた、食品、飲料、歯科用製品、医薬品、栄養補助食品等を含む甘味付けされた組成物を調製するための甘味料組成物及びスローシロップにも関する。
【背景技術】
【0003】
スクロース、フルクトース、及びグルコース等の糖は、飲料、食品、医薬品、及び口腔衛生製品/美容製品に好ましい味を提供するために利用される。スクロースは、具体的には、消費者に好まれる味を付与する。スクロースは、優れた甘味特徴を提供するが、カロリーがある。ノンカロリー又はより低いカロリーの甘味料が、消費者需要を満たすために導入されており、望ましい味の特徴を有するこれらの種類の甘味料が求められている。
【0004】
ステビアは、ヒマワリ族(Asteraceae)の約240種のハーブ及び灌木の属であり、北アメリカ西部から南アメリカの亜熱帯及び熱帯地域が原産である。ステビアレバウジアナ種は、スウィートリーフ、スウィート・リーフ、シュガーリーフ、又は単にステビアとして一般的に知られており、その甘味のある葉のために広域で栽培されている。ステビア系の甘味料は、葉から1つ以上の甘味化合物を抽出することによって得られ得る。これらの化合物の多くは、ステビオールグリコシド化合物であり、これらは、ジテルペン化合物であるステビオールのグリコシドである。これらのジテルペングリコシドは、糖の約150~450倍の甘味がある。
【0005】
ステビオールグリコシド化合物の例は、国際公開第2013/096420号(例えば、図1のリスト参照)、及びOhta et.al.,「Characterization of Novel Steviol Glycosides from Leaves of Stevia rebaudiana Morita,」J.Appl.Glycosi.,57,199-209(2010)(例えば、p.204の表4を参照)に記載されている。構造的には、ジテルペングリコシドは、単一の塩基、ステビオールを特徴とし、図2a~図2kに提示されるように、C13及びC19の位置に存在する炭水化物残基により異なる。PCT特許公開第WO2013/096420号も参照されたい。
【0006】
典型的には、ステビアの葉に見られる4つの主要なステビオールグリコシド化合物は、乾燥重量基準で、ズルコシドA(0.3%)、レバウディオサイドC(0.6~1.0%)、レバウディオサイドA(3.8%)、及びステビオシド(9.1%)である。ステビア抽出物中で同定される他のグリコシドには、レバウディオサイドB、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、ステビオールビオシド、及びルブソシドのうちの1つ以上が含まれる。
【0007】
主要なステビオールグリコシドReb Aは、飲料用途における甘味料として一般的に使用されるが、異味の問題を有する。より最近では、より良い味の特性を有する、ある特定の主要でないステビオールグリコシド化合物が注目されている。例えば、レバウディオサイドMは、より高い甘味度を有し、他のステビオールグリコシド化合物よりも強力である(例えば、Prakash,I.,et al.(2013)Nat.Prod.Commun.,8:1523-1526、及び国際公開第2013/096420号参照)。レバウディオサイドDは、スクロースよりも約200~220倍の甘味があり、官能評価において、甘味が緩徐に開始し、かつ非常にすっきりしていた(例えば、Prakash,I.,et al.(2012)Int.J.Mol.Sci.,13:15126-15136参照)。
【0008】
レバウディオサイドは、望ましい水溶性特性よりも低い水溶性特性を有するため、使用するのが困難であり得る。例えば、Reb Dは、室温でのその低い水溶性のために、食料品での使用が難しいことが報告されている。例えば、0.8%の濃度での完全な溶解を達成するためには、Reb Dをほぼ沸騰水の温度まで2時間加熱する必要がある。最大でもわずか300~450ppmだけが、23℃で水に可溶化され得る(例えば、米国特許出願公開第2013/0251881号参照)。別の例として、ステビアレバウジアナから得られるレバウディオサイドMは、飲料配合物中で低い水溶解度及び溶解品質を有する(例えば、米国特許出願公開第2014/0171519号を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、概して、可溶化ステビオールグリコシド組成物、例えば、1つ以上のステビオールグリコシド化合物及び1つ以上のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物を有する水溶液に関する。本開示はまた、食品、飲料、及び他の同様の製品を含む甘味付けされた組成物を調製するために使用され得る甘味料組成物としての可溶化ステビオールグリコシド組成物の使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、概して、ステビオールグリコシド溶解度向上剤に関する。例えば、本開示のいくつかの態様は、ステビオールグリコシドの溶解度を向上させるために、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む組成物、例えば、甘味料組成物、飲料、又は食料品を対象とする。
【0011】
ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を濃縮若しくは精製された形態で提供することが望ましい場合、又はステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物がステビオールグリコシド化合物から分離されるか、若しくは互いに分離される場合、更なる精製を行うことができる。ステビオールグリコシド化合物及びステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物のそのような濃縮又は精製は、液体発酵培地上で行われ得るか、又は発酵培地は、次いで精製前に乾燥され得る。例えば、凍結乾燥を使用して発酵培地を乾燥させて、後で処理され得るステビオールグリコシド化合物及びステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物のうちの1つ以上を含む乾燥組成物(例えば、粉末又はフレーク)を形成することができる。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語の「ステビオールグリコシド」は、一般に、ステビオールグリコシド化合物の総含有量を指す。ステビオールグリコシドの重量は、乾燥(無水)基準で決定される。本明細書で別途表明されていない限り、ステビオールグリコシドの「量」は、ステビオールグリコシド化合物の総含有量の重量百分率(%重量)を指す。
【0013】
本明細書で考察されるように、甘味料組成物は、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤、並びに他の化合物を含む。ステビオールグリコシド化合物は、一般に、以下の式を有し、
【化1】
式中、ステビオール(R及びR=H)は、アグリコン骨格であり、R及びRは各々、水素又は1つ以上の糖部分であり得る。これらの糖部分は、最も一般的にはグルコース、ラムノース、又はキシロースであるが、フルクトース及びデオキシグルコース糖部分を含むステビオールグリコシド化合物が報告されている。
【0014】
本明細書に記載の溶液中で有用であり得る例示的なステビオールグリコシド化合物としては、レバウディオサイドA(Reb A)(CAS番号58543-16-1)、レバウディオサイドB(Reb B)(CAS番号58543-17-2)、レバウディオサイドC(Reb C)(CAS番号63550-99-2)、レバウディオサイドD(Reb D)(CAS番号63279-13-0)、レバウディオサイドE(Reb E)(CAS番号63279-14-1)、レバウディオサイドF(Reb F)(CAS番号438045-89-7)、レバウディオサイドM(Reb M)(CAS番号1220616-44-3)、ルブソシド(CAS番号63849-39-4)、ズルコシドA(CAS番号64432-06-0)、レバウディオサイドI(Reb I)(MassBank Record:FU000332)、レバウディオサイドQ(Reb Q)、レバウディオサイドO(Reb O)、レバウディオサイドN(Reb N)(CAS番号1220616-46-5)、1,2-ステビオシド(CAS番号57817-89-7)、1,3-ステビオシド(Reb G)、ステビオール-1,2-ビオシド(MassBank Record:FU000299)、ステビオール-1,3-ビオシド、ステビオール-13-O-グルコシド(13-SMG)、ステビオール-19-O-グルコシド(19-SMG)、及び1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は糖添加(例えば、グルコース、ラムノース、及び/又はキシロース)を有するステビオールグリコシド化合物、並びにその異性体のうちの1つ以上が挙げられる。例えば、Steviol Glycosides Chemical and Technical Assessment 82nd JECFA,2016,revised by Jeff Moore,Food Agric.Org.を参照されたい。
【0015】
例示的なステビオールグリコシド化合物には、レバウディオサイドM、レバウディオサイドD、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドN、及び/又はレバウディオサイドOが挙げられ得る。いくつかの態様では、ステビオールグリコシド化合物のうちの1つ以上は、酵素修飾によって、又は操作された微生物による発酵によって生成される。例えば、レバウディオサイドD及びMは、操作された生物によって生成されてから単離されて、主要なステビオールグリコシド種としての主にレバウディオサイドD及びレバウディオサイドMのステビオールグリコシドを生成し得る。いくつかの態様では、ステビオールグリコシド化合物のうちの1つ以上は、ステビアレバウジアナから単離される。
【0016】
いくつかの態様では、ステビオールグリコシドは、レバウディオサイドD及びレバウディオサイドMを、他のステビオールグリコシド化合物よりも多い量で含み得る。例えば、レバウディオサイドM及び/又はレバウディオサイドDは、組成物中のステビオールグリコシド化合物の総量の約75重量パーセント(「%(重量)」又は「重量%」)以上、約80%(重量)以上、約80%(重量)以上、好ましくは約90%(重量)以上、約92.5%(重量)以上、又は95%(重量)以上の総量で、ステビオールグリコシド中に存在し得る。レバウディオサイドMは、組成物中の主要なステビオールグリコシド化合物であり得、例えば、組成物中のステビオールグリコシド化合物の総量の約45%(重量)~約70%(重量)、約50%(重量)~約65%(重量)、又は約52.5%(重量)~約62.5%(重量)の範囲の量で存在し得る。レバウディオサイドDは、組成物中のステビオールグリコシド化合物の総量の約25%(重量)~約50%(重量)、約30%(重量)~約45%(重量)、又は約32.5%(重量)~約42.5%(重量)の範囲の量等の、レバウディオサイドMよりも少ない量であり得る。
【0017】
ステビオールグリコシドは、任意選択的に、レバウディオサイドD及びレバウディオサイドM以外に、より少ない量のステビオールグリコシド化合物を含み得る。例えば、ステビオールグリコシドは、組成物中のステビオールグリコシド化合物の総量の約1%(重量)以下、約0.5%(重量)以下、又は約0.25%(重量)以下の量で、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、又はステビオシドのうちの1つ以上を含み得る。
【0018】
有利には、ある特定のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物が、水溶液中のステビオールグリコシドの溶解度を改善することができ、したがって、より高い濃度のステビオールグリコシドを有する組成物を調製することができることが見出された。本明細書で使用するとき「即時溶解度」は、室温(25℃)で水と激しく混合されるステビオールグリコシド化合物又はステビオールグリコシド化合物の混合物の溶解度を指す。本明細書で使用するとき、「平衡溶解度」は、80℃で15分間脱イオン水と激しく混合され、室温(25℃)まで冷却され、次いで少なくとも4日間観察されるステビオールグリコシド化合物又はステビオールグリコシド化合物の混合物の溶解度を指す。沈殿物を含まない透明な溶液は、可溶性であると見なされる。本明細書で別途指示されない限り、用語の「溶解度」は、「平衡溶解度」を指す。
【0019】
溶解度を向上させる化合物の不在下において、レバウディオサイドDは、水中で非常に低い即時溶解度(室温で0.08%未満)を有する。15分間、80℃まで加熱すると、レバウディオサイドDは、室温で少なくとも4日間、0.08%の平衡溶解度を有する。レバウディオサイドMは、レバウディオサイドDよりも高い溶解度を有する。レバウディオサイドMの即時溶解度は、約0.13%であり、その平衡溶解度は、室温で約0.2%である。
【0020】
ステビオールグリコシド溶解度向上剤の存在によって、ステビオールグリコシドの溶解度が、1、2、3、4、5、10、15、20、50、100、200、又は250倍以上改善し得る。
【0021】
いくつかの実施の形態では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、組成物中で濃縮され得る。用語の「濃縮された」は、組成物中に存在する1つ以上の他の化合物に対する、1つ以上のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物の量の増加を指す。1つ以上のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物について濃縮されている組成物は、ステビオールグリコシドと組み合わせて、ステビオールグリコシドの溶解度を改善し得る。
【0022】
更に他の実施の形態では、1つ以上のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物は、ステビア抽出物から精製されて、表2~6に列挙されるもの等のステビア葉に見られる他の成分を本質的に含まないステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む組成物を提供する。そのような精製組成物は、ステビオールグリコシドと組み合わせて、ステビオールグリコシドの水溶解度を増加させて、より高いステビオールグリコシド濃度を有する組成物を形成し得る。
【0023】
したがって、本開示の他の態様は、水性組成物中のステビオールグリコシドの溶解度を向上させる方法であって、ステビオールグリコシド溶解度向上剤及びステビオールグリコシド、例えば、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドM、レバウディオサイドD、レバウディオサイドI、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドN、レバウディオサイドO、若しくはステビオシド、又は任意のそれらの組み合わせを含む水性組成物を提供するステップを含む、方法を提供する。例えば、ステビオールグリコシドを、ステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する組成物に添加することができるか、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を混合してもよいか、又はステビオールグリコシド溶解度向上剤を、ステビオールグリコシドを有する組成物に添加することができる。
【0024】
本明細書で使用するとき、甘味料組成物(甘味付け組成物とも呼ばれる)は、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む組成物を指す。したがって、Reb B、Reb M、及び/又はReb D等の1つ以上のステビオールグリコシド化合物は、組成物中のステビオールグリコシドの総量の約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、又は約99%超等のより多くの量で組成物中に存在し得る。実際には、過度の処理費用を回避するために、少なくとも0.5%の他のステビオールグリコシドを含むことが有用であり得る。
【0025】
一態様では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、約1:1、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、1:0.5、1:0.4、1:0.3、1:0.2、又は1:0.1のステビオールグリコシドのステビオールグリコシド溶解度向上剤に対するモル比で甘味料組成物中に存在する。一態様では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、又は1:10のステビオールグリコシドのステビオールグリコシド溶解度向上剤に対するモル比で甘味料組成物中に存在する。
【0026】
甘味料組成物は、任意選択的に、別の甘味料、添加剤、液体担体、又はそれらの組み合わせを含み得る。甘味料組成物は、食品、飲料、薬品、口腔衛生組成物、栄養補助食品等の他の組成物(甘味付け可能な組成物)に甘味付けするために使用される。
【0027】
本明細書で使用するとき、「甘味付け可能な組成物」は、人又は動物の口腔に接触する物質を意味し、口腔に入れられるが後に吐き出される物質(マウスウォッシュ・リンス等)及び飲まれ、食べられ、嚥下され、又は消化され、かつ通常受容され得る範囲内で使用されたときにヒト又は動物による消費に好適な物質を含む。甘味付け可能な組成物は、甘味付けされた組成物の前駆体組成物であり、甘味付け可能な組成物を、少なくとも1つの甘味付け組成物並びに任意選択的に1つ以上の他の甘味付け可能な組成物及び/又は他の原料と組み合わせることによって、甘味付けされた組成物に変換される。
【0028】
本明細書で使用するとき、「甘味付けされた組成物」は、少なくとも1つの甘味付け可能な組成物及び少なくとも1つの甘味料組成物を含む成分に由来する物質を意味する。いくつかの実施の形態では、甘味付けされた組成物そのものを甘味付け組成物として使用して、甘味付け可能な組成物をまた更に甘味付けしてもよい。いくつかの実施の形態では、甘味付けされた組成物を、1つ以上の追加の甘味付け組成物で更に甘味付けされる、甘味付け可能な組成物として使用してもよい。例えば、甘味料成分を含まない飲料は、甘味付け可能な組成物の一種である。甘味付けされていない飲料に甘味料組成物を添加することによって、甘味付けされた飲料を提供することができる。甘味付けされた飲料は、甘味付けされた組成物の一種である。
【0029】
いくつかの調製物では、ステビオールグリコシドは、甘味付け組成物中に唯一の甘味料成分を提供する。
【0030】
いくつかの態様では、甘味付け組成物は、特定の量のスクロースと同等の甘味強度を提供するのに有効な量で、ステビオールグリコシドを含む。基準溶液中のスクロース量は、ブリックス度(°Bx)で記載され得る。1ブリックス度は、100グラムの溶液中に1グラムのスクロースであり、重量百分率(%w/w)として、溶液の強度を表す。例えば、甘味料組成物は、甘味付けされた組成物中に存在する場合に、糖ブリックス度約0.50~14、例えば、ブリックス度約5~約11の、ブリックス度約4~約7、又はブリックス度約5と同等の甘味を提供するのに有効な量でステビオールグリコシドを含有する。
【0031】
甘味料組成物中のステビオールグリコシドの量は、変動してもよい。ステビオールグリコシドは、甘味料組成物が甘味付けされた組成物中に組み込まれる場合に、所望の甘味を付与する任意の量で甘味料組成物中に存在し得る。例えば、Reb M及び/又はReb Dは、甘味付けされた組成物中に存在する場合に、約1ppm~約10,000ppm(1%(重量))~約100,000ppm(10%(重量))の総ステビオールグリコシド濃度を提供するのに有効な量で甘味料組成物中に存在し、別の態様では、ステビオールグリコシドは、約10ppm~約1,000ppm、より具体的には約10ppm~約800ppm、約50ppm~約800ppm、約50ppm~約600ppm、又は約200ppm~約500ppmの範囲のステビオールグリコシド濃度を提供するのに有効な量で甘味料組成物中に存在する。
【0032】
一態様では、Reb D、Reb M、Reb G、Reb O、Reb N、及び/若しくはReb E以外、又はReb D、Reb M、Reb B、及び/若しくはReb A以外、又はReb D及び/若しくはReb M以外のステビオールグリコシド化合物は、例えば、約0.1~50、0.5~70、1~50、1~35、2~25、3~20、5~15、0.1~15、0.5~10、1~5%等の、甘味料組成物の総含有量の約0.05~70重量%で甘味付けされた組成物中に存在する。一態様では、Reb D、Reb M、Reb G、Reb O、Reb N、及び/若しくはReb E以外、又はReb D、Reb M、Reb B、及び/若しくReb A以外、又はReb D及び/若しくはReb M以外のステビオールグリコシド化合物は、1:1~1:20、1:1.5~1:15、1:2~1:10、1:2.5~1:7.5、又は1:3~1:5の全ての他のグリコシドの合計の重量比で、甘味付けされた組成物中にある。
【0033】
別途明示的に記載されない限り、ppmは、重量基準である。
【0034】
いくつかの態様では、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する甘味料組成物は、1つ以上の追加の非ステビオールグリコシド甘味料化合物も含有する。非ステビオールグリコシド甘味料化合物は、任意の種類の甘味料、例えば、植物若しくは植物製品から得られた甘味料、又は植物から得られた物理的若しくは化学的に修飾された甘味料、又は合成甘味料であり得る。
【0035】
例えば、例示的な非ステビオールグリコシド甘味料としては、スクロース、フルクトース、グルコース、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、a-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリン)、リブロース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、グルコサミン、マンノサミン、フコース、フクロース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、キシロオリゴ糖類(キシロトリオース、及びキシロビオース等)、ゲンチオオリゴ糖類(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、及びゲンチオテトラオース等)、ガラクトオリゴ糖類、ソルボース、ケトトリオース(デヒドロキシアセトン)、アルドトリオース(グリセルアルデヒド)、ニゲロオリゴ糖類、フルクトオリゴ糖類(ケストース、及びニストース等)、マルトテトラオース、マルトトリオース、四糖類、マンナンオリゴ糖類、マルトオリゴ糖類(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、及びマルトヘプタオース等)、デキストリン類、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノース、リボース、異性化液糖、例えば、高フルクトースコーン/デンプンシロップ(HFCS/HFSS)(例えば、HFCS55、HFCS42、又はHFCS90)、カップリング糖類、大豆オリゴ糖類、グルコースシロップ、及びそれらの組み合わせが挙げられる。適用可能な場合、D又はL構成を使用することができる。
【0036】
ステビオールグリコシド及び炭水化物甘味料は、任意の重量比、例えば、約1:100等の、例えば、約1:14,000~約100:1等の任意の重量比で存在し得る。炭水化物は、例えば、飲料等の甘味付けされた組成物に存在する場合に、約100ppm~約140,000ppmの濃度を提供するのに有効な量で甘味料組成物中に存在する。
【0037】
他の態様では、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む甘味料組成物は、1つ以上の合成甘味料を更に含む。一態様では、合成は、甘味効力が、スクロース、フルクトース、及び/又はグルコースよりも高いのにも関わらず、カロリーが、スクロース、フルクトース、及び/又はグルコースよりも低い。例示的な合成非ステビオールグリコシド甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アセスルファム酸、及びそれらの塩、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、及びそれらの塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラメート、シクラミン酸、及びそれらの塩、ネオテーム、アドバンテーム、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。甘味料組成物がステビオールグリコシド及び合成甘味料を含む態様では、合成甘味料は、例えば、飲料等の甘味付けされた組成物中に存在する場合に、約0.3ppm~約3,500ppmの濃度を提供するのに有効な量で存在し得る。
【0038】
甘味料組成物は、所望のカロリー含有量を提供するようカスタマイズすることができる。例えば、甘味料組成物は、「フルカロリー」であり得、甘味付け可能な組成物(例えば、飲料等)に添加した場合に所望の甘味を付与し、8オンスの1人分当たり約120カロリーを有するようにする。代替として、甘味料組成物は、「中程度のカロリー」であり得、甘味付け可能な組成物(例えば、飲料等)に添加した場合に所望の甘味を付与し、8オンスの1人分当たり約60カロリー未満を有するようにする。他の態様では、甘味料組成物は、「低カロリー」であり得、甘味付け可能な組成物(例えば、飲料等)に添加した場合に所望の甘味を付与し、8オンスの1人分当たり40カロリー未満を有するようにする。更に他の態様では、甘味料組成物は、「ゼロカロリー」であり得、甘味付け可能な組成物(例えば、飲料等)に添加した場合に所望の甘味を付与し、8オンスの1人分当たり5カロリー未満を有するようにする。ノンカロリー組成物は、「非栄養性」である。いくつかの態様では、低カロリー組成物も、「非栄養性」と呼ばれ得る。
【0039】
甘味付けされた組成物に甘味付けするために使用する甘味料組成物の総量の重量比は、広い範囲にわたって変動し得る。多くの態様では、この重量比は、1:10,000~10:1の範囲である。
【0040】
ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する甘味料組成物は、任意の既知の食材(本明細書において「甘味付け可能な組成物」と呼ばれる)、又はヒト若しくは動物の口腔による消化及び/若しくは接触が意図とされている他の組成物、例えば、医薬組成物、食用ゲル混合物及び組成物、歯科及び口腔衛生組成物、食品(糖剤、香辛料、チューインガム、シリアル組成物、焼き菓子、半調理食品、料理用アジュバント、乳製品、及び卓上甘味料組成物)、飲料、並びに他の飲料品(例えば、飲料混合物、飲料濃縮物等)に組み込まれ得る。
【0041】
一態様では、甘味付けされた組成物は、甘味付け可能な組成物と、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する組成物とを含む原料に由来する。別の態様では、甘味付けされた組成物は、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む甘味料組成物を含む原料に由来する。甘味付けされた組成物は、任意選択的に、1つ以上の添加剤、液体担体、結合剤、甘味料、機能性原料、他のアジュバント、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0042】
好適な「バルク剤」としては、マルトデキストリン(10DE、18DE、又は5DE)、コーンシロップ固体(20又は36DE)、スクロース、フルクトース、グルコース、転化糖、ソルビトール、キシロース、リブロース、マンノース、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、マルトース、タガトース、ラクトース、イヌリン、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、ポリデキストロース、フルクトオリゴ糖、セルロース、及びセルロース誘導体等、並びにそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。加えて、更に他の態様によると、顕著にカロリーを付加せずに良好な含有物均一性を提供することにより、グラニュー糖(スクロース)、又は結晶フルクトース、他の炭水化物、若しくは糖アルコール等の他のカロリー甘味料をバルク剤として使用することができる。
【0043】
卓上甘味料組成物は、当技術分野で知られる任意の形態にパッケージ化され得る。非限定的な形態としては、粉末形態、顆粒形態、パケット、錠剤、サシェ、ペレット、キューブ、固体、及び液体が挙げられるがこれらに限定されない。乾燥ブレンド卓上甘味料配合物中のステビオールグリコシドの量は、変動し得る。特定の態様では、乾燥ブレンドの卓上甘味料配合物は、卓上甘味料組成物のうちの約1%(重量)~約10%(重量)の量のステビオールグリコシドを含有し得る。
【0044】
卓上甘味料組成物は、液体の形態でも具現化され得、ステビオールグリコシドを含み、かつステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む甘味料組成物は、液体担体と組み合わせられる。液体卓上機能性甘味料の担体剤の好適な非限定例としては、水、アルコール、ポリオール、水に溶解させたグリセリン系又はクエン酸系、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
一態様では、甘味付けされた組成物は、ステビオールグリコシドを含み、かつステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む飲料品である。本明細書で使用するとき、「飲料品」は、レディ・トゥ・ドリンク飲料、飲料濃縮物、飲料シロップ、冷凍飲料、又は粉末飲料である。好適なレディ・トゥ・ドリンク飲料としては、炭酸飲料及び非炭酸飲料が挙げられる。炭酸飲料としては、高発泡性清涼飲料、コーラ、レモンライム風味の発泡性清涼飲料、オレンジ風味の発泡性清涼飲料、ブドウ風味の発泡性清涼飲料、イチゴ風味の発泡性清涼飲料、パイナップル風味の発泡性清涼飲料、ジンジャーエール、ソフトドリンク、及びルートビアが挙げられるがこれらに限定されない。非炭酸飲料としては、果汁、果汁風味のジュース、ジュース飲料、ネクター、野菜ジュース、野菜風味のジュース、スポーツドリンク、エナジードリンク、強化水飲料、ビタミン入り強化水飲料、ほぼ水の飲料(例えば、水に天然風味材料又は合成風味材料を加えたもの)、ココナツ水、お茶タイプの飲料(例えば、黒茶、緑茶、紅茶、烏龍茶)、コーヒー、ココア飲料、乳成分含有飲料(例えば、乳飲料、乳成分含有コーヒー、カフェオレ、ミルクティー、果汁乳飲料)、穀類抽出物含有飲料、スムージ、及びそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
飲料濃縮物及び飲料シロップは、初期体積の液体マトリクス(例えば、水)及び所望の飲料原料で調製され得る。次いで、全強度の飲料は、更なる体積の水を添加することによって調製される。粉末飲料は、液体マトリクスの不在下で飲料原料の全てを乾式混合することによって調製される。次いで、全強度の飲料は、全体積の水を添加することによって、調製される。
【0047】
飲料品は、非アルコール性であり得る。非アルコール性飲料品は、0.5%(重量)未満、好ましくは0.2%(重量)未満、0.1%(重量)未満、又は0.05%(重量)未満のエタノールを含有する。より広義には、非アルコール性飲料品は、0.5%(重量)未満、好ましくは0.2%(重量)未満、0.1%(重量)未満、又は0.05%(重量)未満のC1~C4アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)を含有し得る。多くの非アルコール性飲料品は、アルコールを含まない、すなわち、エタノールを含有しない、又はC1~C4アルコールを含有しない。しかしながら、非アルコール性飲料は、他のアルコール、例えば、エリスリトール、イソマルト、キシリトール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、及びイノシトール等の糖アルコールを含み得る。商業的に有用なレディ・トゥ・ドリンク飲料又は飲料濃縮物は、エタノールを含まず、水、ステビオールグリコシド溶解度向上剤、及び糖アルコールを含む。そのような商業的に有用な飲料品も、ステビオールグリコシドを含んでもよい。
【0048】
一態様では、飲料は、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を含有する。本明細書に詳述されるステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む任意の甘味料組成物を、飲料に使用することができる。別の態様では、飲料を調製する方法は、液体マトリクス、ステビオールグリコシド、及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を組み合わせることを含む。この方法は、1つ以上の甘味料、添加剤、及び/又は機能性原料の添加を更に含み得る。更に別の態様では、飲料を調製する方法は、液体マトリクスと、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む甘味料組成物とを組み合わせることを含む。
【0049】
別の態様では、飲料は、ステビオールグリコシドを含有する甘味料組成物を含有し、ステビオールグリコシドは、約1ppm~約10,000ppm、例えば、25ppm~約800ppm等の範囲の量で飲料中に存在する。別の態様では、ステビオールグリコシドは、約100ppm~約600ppmの範囲の量で飲料中に存在する。更に他の態様では、ステビオールグリコシドは、約100~約200ppm、約100ppm~約300ppm、約100ppm~約400ppm、又は約100ppm~約500ppmの範囲の量で飲料中に存在する。更に別の態様では、ステビオールグリコシドは、約300~約700ppm、例えば、約400ppm~約600ppm等の範囲の量で飲料中に存在する。特定の態様では、ステビオールグリコシドは、約500ppmの量で飲料中に存在する。
【0050】
一態様では、組成物は、飲料であり、飲料中のステビオール含有量は、約50~1500ppm、又は100~1200ppm、200~1000ppm、300~900ppm、350~800ppm、400~600ppm、又は450~550ppmである。一態様では、Reb D、Reb M、Reb B及び/若しくはReb A以外、又はReb D及び/若しくはReb B以外、並びに任意選択的に、Reb G、Reb J、Reb O、Reb N、及び/若しくはReb E以外のステビオールグリコシド化合物は、少なくとも1、5、10、20、30、40、50、125、150、150、175、又は200ppmを含む、少なくとも約1ppm~約600ppm、例えば、約50ppm~約500ppmで飲料中に存在する。一態様では、Reb D、Reb M、Reb B及び/若しくはReb A以外、又はReb D及び/若しくはReb B以外、並びに任意選択的に、Reb G、Reb O、Reb N、及び/若しくはReb E以外のステビオールグリコシド化合物は、約1~600ppm 10~400、50~200、75~150、5~200、10~100、20~90、又は30~80ppmで飲料中に存在する。一態様では、Reb D、Reb M、Reb B及び/又はReb A以外のステビオールグリコシド化合物は、約1~600ppm 10~400、50~200、75~150、5~200、10~100、20~90、又は30~80ppmで飲料中に存在する。
ステビオールグリコシド溶解度向上剤の例示的な天然源
【0051】
ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、植物、例えば植物の葉及び茎を含むがこれらに限定されない生物から合成的に調製され得るか、又は単離され得る。以下の表は、本開示のステビオールグリコシド溶解度向上剤の範囲内の化合物を含有する可能性が高い植物の例である植物の属を提供し、例えば、式(I)は、例えば、カフェイン酸、クロロゲン酸、シナリン、及び/又はステビオールグリコシドの溶解度を助ける可能性のある構造的に関連する化合物を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【0052】
いくつかの態様では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、表1に記載されるもの等の植物源から単離され得る。ステビオールグリコシド溶解度向上剤が単離され得る商業的に有用な植物源の例としては、イエルバマテ植物(Ilex paraguariensis)、ステビア、コーヒー、茶、チコリ、及びグローブアーティチョークが挙げられる。いくつかの植物源は、カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つ以上について濃縮されているステビオールグリコシド溶解度向上剤を生成し得、ステビオールグリコシド組成物の溶解度を増加させることができる。例えば、イエルバマテ植物から単離されたステビオールグリコシド溶解度向上剤は、ジカフェオイルキナ酸について濃縮され得、ステビオールグリコシド組成物を増加させることができる。他の態様では、ジカフェオイルキナ酸について濃縮されているイエルバマテ植物から単離されたステビオールグリコシド溶解度向上剤は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上の、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸、並びにそれらの塩のうちの1つ以上の組み合わせを含み得る。
【0053】
ステビオールグリコシドの溶解度向上剤は、様々な方式で単離され得る。いくつかの好適なプロセスは、2018年5月25日に出願され、かつ「Methods for Making Yerba Mate Extract Composition」と題する米国特許仮出願第62/676,722号に詳細に開示されている。例えば、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩のうちの1つ以上を含む植物源から単離され得る。例えば、イエルバマテバイオマス及びステビアバイオマスを使用して、ステビオールグリコシド溶解度向上剤を調製することができる。1つの例示的なプロセスでは、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、商業的に得られた粉砕イエルバマテバイオマスから調製される。簡潔に言うと、イエルバマテバイオマスを50%(v/v)エタノール/水中に懸濁し、少なくとも1時間振盪し、得られた混合物を濾過して初期抽出物を得る。初期抽出物を水で35%(v/v)エタノールに希釈し、再濾過する。次いで、再濾過された透過液を、35%(v/v)エタノール/水で平衡化されたAMBERLITE(登録商標)FPA 53樹脂カラムに適用し、カラム透過液を廃棄する。カラムを35%(v/v)エタノール/水で洗浄し、カラム透過液を廃棄する。次いで、カラムを、10%(w/v)FCCグレードの塩化ナトリウムで50%(v/v)エタノール/水中で溶出し、溶出液を保持する。窒素ガスを溶出液の表面上に室温で吹き込んでエタノールを除去し、溶出液をその元の体積の1/3まで減少させる。次いで、減少した体積溶出液を0.2μmのポリエーテルスルホンフィルターを通して濾過し、次いで、3kDa分子量カットオフ膜を通過させることによって脱色する。脱色された透過液を保持し、ナノ濾過膜を通過させることによって脱塩する。次いで、脱塩された透過液を凍結乾燥して、ステビオールグリコシド溶解度向上剤を得る。このプロセスはまた、ステビアバイオマスからステビオールグリコシド溶解度向上剤を得るのにも好適であり、他の植物源からステビオールグリコシド溶解度向上剤を得るように適合させることができる。
【0054】
いくつかの化合物は、水溶液又は修飾されたステビオールグリコシド溶液の風味又は香りに悪影響を及ぼし得る。植物抽出物から調製されるもの等のある特定のステビオールグリコシド溶解度向上剤は、本開示の好ましい含有量レベルを超える、表2に示される化合物のうちの1つ以上、又は任意のそれらの組み合わせを含まない。全ての好ましい含有量レベルは、乾燥重量基準で、重量百分率として記載される。ある特定の商業的に望ましい固体(乾燥)ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、好ましい含有量レベルを超えた、表2に列挙される化合物のうちのいずれかを含まない。酸であるこれらの列挙される化合物について、化合物は、酸形態及び/又は塩形態で存在してもよい。
【表2-1】
【表2-2】
【0055】
好ましくは、そのような固体(乾燥)ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、50%(重量)未満、例えば、40%(重量)未満、30%(重量)未満、又は25%(重量)未満、より好ましくは20%(重量)未満、15%(重量)未満、10%(重量)未満、5%(重量)未満、4%(重量)未満、3%(重量)未満、2%(重量)未満、1%(重量)未満、0.5%(重量)未満、0.25%(重量)未満、0.10%(重量)未満、又は0%(重量)のステビオールグリコシド化合物を含む。選択された実装では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤を有するそのような固体(乾燥)組成物は、ステビオールグリコシド化合物を実質的に含まない。特に、ステビオールグリコシド溶解度向上剤がステビア、例えばステビア葉に由来する場合、ステビオールグリコシド溶解度向上剤中のステビオールグリコシド化合物の量を減少させることによって、ステビオールグリコシドのより正確な選択が可能になり、使用中の所望の風味プロファイルが達成される。
【0056】
一態様では、粉末であり得る固体(乾燥)甘味料組成物は、本開示の好ましい含有量レベルを超える、以下の化合物のうちの1つ以上、又は任意のそれらの組み合わせを含まないステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する。全ての好ましい含有量レベルは、乾燥重量基準で、重量百分率として記載される。酸であるこれらの列挙される化合物について、化合物は、酸形態及び/又は塩形態で存在してもよい。
【表3-1】
【表3-2】
【0057】
一態様では、液体甘味料濃縮物は、本開示の好ましい含有量レベルを超える、以下の化合物のうちの1つ以上、又は任意のそれらの組み合わせを含まないステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する。これらの好ましい含有量レベルは、液体甘味料濃縮物の重量百分率として記載される。酸であるこれらの列挙される化合物について、化合物は、液体甘味料濃縮物中で解離され得ることを考慮して、酸形態及び/又は塩形態で存在してもよい。
【表4-1】
【表4-2】
【0058】
一態様では、ステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を有する飲料は、本開示の重量%のカットオフにおいて、以下の化合物のうちの1つ以上、又は任意のそれらの組み合わせを含まない。全ての好ましい含有量レベルは、液体甘味料濃縮物全体の重量百分率として記載される。酸であるこれらの列挙される化合物について、化合物は、飲料中で解離され得ることを考慮して、酸形態及び/又は塩形態で存在してもよい。
【表5-1】
【表5-2】
溶解度向上剤
【0059】
溶解度向上剤の例としては、以下が挙げられる。
・カフェイン酸、カフェイン酸のエステル、カフェイン酸及びキナ酸のエステル、モノカフェオイルキナ酸、すなわち、単一のカフェイン酸部分、例えば、クロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、又はネオクロロゲン酸(各々の構造は本明細書に提供される)を含むカフェイン酸及びキナ酸のエステル、ジカフェオイルキナ酸等の2つ以上のカフェイン酸部分を含むカフェイン酸及びキナ酸のエステル、すなわち、2つのカフェイン酸部分、例えば、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、又は4,5-ジカフェオイルキナ酸(各々の構造は本明細書に提供される)を含むカフェイン酸及びキナ酸のエステル、
・フェルラ酸、フェルラ酸のエステル、フェルラ酸及びキナ酸のエステル、モノフェルロイルキナ酸、すなわち、単一のフェルラ酸部分、例えば、3-O-フェルロイルキナ酸、4-O-フェルロイルキナ酸、5-O-フェルロイルキナ酸を含むフェルラ酸及びキナ酸のエステル、ジフェルロイルキナ酸等の2つ以上のフェルラ酸部分を含むフェルラ酸及びキナ酸のエステル、すなわち、2つのフェルラ酸部分、例えば、1,3-ジフェルロイルキナ酸、1,4-ジフェルロイルキナ酸、1,5-ジフェルロイルキナ酸、3,4-ジフェルロイルキナ酸、3,5-ジフェルロイルキナ酸、及び4,5-ジフェルロイルキナ酸を含むフェルラ酸及びキナ酸のエステル、
・キナ酸、キナ酸のエステル、
・酒石酸、酒石酸誘導体、酒石酸のエステル、酒石酸誘導体のエステル、
・3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸誘導体、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸のエステル、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸誘導体のエステル、
・p-クマル酸、p-クマル酸のエステル、p-クマル酸及びキナ酸のエステル、単一のp-クマル酸部分を含むp-クマル酸及びキナ酸のエステル、2つ以上のp-クマル酸部分を含むp-クマル酸及びキナ酸のエステル、並びに
・シナピン酸、シナピン酸のエステル、シナピン酸及びキナ酸のエステル、単一のシナピン酸部分を含むシナピン酸及びキナ酸のエステル、2つ以上のシナピン酸部分を含むシナピン酸及びキナ酸のエステル。
【0060】
ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、例えば、第四級アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩、又はそのような塩の組み合わせとしての、その酸形態又は塩形態であってもよい。水性溶液では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、解離又は解離されてなくてもよく、例えば、酸ステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物のカリウム塩の一部又は全部は、カリウムカチオン及びアニオンに解離され得る。
【0061】
いくつかの態様では、溶解度向上剤化合物は、3-O-クマロイルキナ酸、4-O-クマロイルキナ酸、5-O-クマロイルキナ酸、1,3-ジクマロイルキナ酸、1,4-ジクマロイルキナ酸、1,5-ジクマロイルキナ酸、3,4-ジクマロイルキナ酸、3,5-ジクマロイルキナ酸、4,5-ジクマロイルキナ酸からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0062】
カフェイン酸は、以下の構造を有する。
【化2】
【0063】
フェルラ酸は、以下の構造を有する。
【化3】
【0064】
P-クマル酸は、以下の構造を有する。
【化4】
【0065】
シナピン酸は、以下の構造を有する。
【化5】
【0066】
キナ酸は、以下の構造を有する。
【化6】
【0067】
3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸は、以下の構造を有する。
【化7】
【0068】
酒石酸は、以下の構造を有し、
【化8】
D及びL形態であり得る。
【0069】
本明細書で企図される様々な酸のエステルの例としては、以下の構造を有するチコリ酸を含む、カフェイン酸及び酒石酸のエステルが挙げられ、
【化9】
これは、酒石酸コアに連結された2つのカフェイン酸分子を有し、カフタル酸は以下の構造を有し、
【化10】
これは、酒石酸コアに連結された1つのカフェイン酸分子を有する。
【0070】
本明細書で企図される様々な酸のエステルの例としては、例えば、以下の構造を有するロスマリン酸を含む、カフェイン酸及び3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸のエステルも挙げられる。
【化11】
【0071】
本明細書で企図される様々な酸のエステルの例としては、モノカフェオイルキナ酸(例えば、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、及びクリプトクロロゲン酸)、及びジカフェオイルキナ酸(例えば、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸)、並びにそれらの塩を含む、カフェイン酸及びキナ酸のエステルが挙げられる。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
4,5-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び3,4-ジカフェオイルキナ酸は、本明細書で企図される組成物中で最も優勢であり、ステビア、イエルバマテ、グローブアーティチョーク、及びグリーンコーヒー中で多量で最も優勢である。
【0072】
カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び他の溶解度向上剤化合物のうちの各々は、弱酸であると考えられ得、各々は、その共役酸形態、共役塩基形態(例えば、その塩形態)、及び混合共役酸-共役塩基形態のうちの少なくとも1つで存在し得、化合物の分画(例えば、モル分画)は、共役酸形態で存在し、別の分画は、共役塩基形態で存在する。カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び他の溶解度向上剤化合物の共役酸形態の共役塩基形態に対する分画は、各化合物のpKa及び組成物のpHを含む様々な因子に依存する。
【0073】
カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及び他のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物の塩の例としては、その第四級アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩、又はそのような塩の組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0074】
いくつかの態様では、溶解度向上剤は、カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つ以上について濃縮され得る。用語の「濃縮された」は、溶解度向上剤中に存在する1つ以上の他の化合物に対する、カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つの量の増加を指す。カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つ以上について濃縮されている溶解度向上剤は、ステビオール組成物の溶解度を増加させ得る。
【0075】
いくつかの態様では、1つ以上のジカフェオイルキナ酸について濃縮された溶解度向上剤は、ステビオールグリコシド組成物の溶解度を増加させ得る。ジカフェオイルキナ酸について濃縮されている溶解度向上剤は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上のジカフェオイルキナ酸を含み得る。他の態様では、ジカフェオイルキナ酸について濃縮されている溶解度向上剤は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上の、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸、並びにそれらの塩のうちの1つ以上の組み合わせを含み得る。
【0076】
いくつかの態様では、ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効な溶解度向上剤の量は、1つ以上のジカフェオイルキナ酸を含み、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上のジカフェオイルキナ酸を含む。他の態様では、ジカフェオイルキナ酸について濃縮されている溶解度向上剤は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上の、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸、並びにそれらの塩のうちの1つ以上の組み合わせを含み得る。
モノカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ成分
【0077】
ある特定の好ましいステビオールグリコシド溶解度向上剤は、具体的には、ジカフェオイルキナ(dicaffeoylquinic、DCQ)成分、及び任意選択的にモノカフェオイルキナ(monocaffeoylquinic、MCQ)成分を含む。DCQ成分は、少なくとも1つ、望ましくは少なくとも2つ、若しくは少なくとも3つのジカフェオイルキナ酸、又はそれらの塩を含む。一態様では、DCQ成分は、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。MCQ成分は、少なくとも1つ、望ましくは少なくとも2つ、若しくは少なくとも3つのモノカフェオイルキナ酸、又はそれらの塩を含む。一態様では、MCQ成分は、クロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0078】
DCQ成分及びMCQ成分(存在する場合)は共に、ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの50%(重量)超を含み得る。望ましくは、DCQ成分及びMCQ成分(存在する場合)は共に、ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの60%(重量)超、70%(重量)超、80%(重量)超、90%(重量)超、95%(重量)超、又は98%(重量)超を含む。
【0079】
ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、MCQ及びDCQ成分に加えて、溶解度向上剤化合物を含み得る。1つの有用なステビオールグリコシド溶解度向上剤は、MCQ成分、DCQ成分、並びにカフェイン酸、フェルラ酸、p-クマル酸、シナピン酸、キナ酸、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸、酒石酸、チコリ酸、カフタル酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む。ある特定の態様では、そのようなステビオールグリコシド溶解度向上剤は、MCQ成分、DCQ成分、並びにカフェイン酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0080】
1つの有用なステビオールグリコシド溶解度向上剤は、MCQ成分、DCQ成分、及び0.3%(重量)未満のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0.05%(重量)未満のピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タルトレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、若しくは酢酸、又は約0.05%(重量)未満のクロロフィルを含む。一態様では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤は、マロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、及びリンゴ酸を含まないか、又はピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タルトレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、及び酢酸を含まないか、又はクロロフィルを含まない。
【0081】
驚くべきことに、DCQ成分のMCQ成分に対する重量比は、重量基準で、ステビオールグリコシド溶解度向上剤の有効性に物質的に影響を及ぼし得る。具体的には、DCQ成分のMCQ成分に対する重量比が高くなると、一般に、ステビオールグリコシド化合物を溶液中に維持するのがより有効になる。これは、特に驚くべきことであるが、全ての他の物が同等であると、所与の重量のステビオールグリコシド溶解度向上剤中の分子の総数が、その重量比が増加するにつれて減少する(モノカフェオイルキナ酸が、ジカフェオイルキナ酸よりも低い分子量を有するため、1グラムのジカフェオイルキナ酸中よりも1グラムのモノカフェオイルキナ酸中に分子が多く存在する)。
【0082】
DCQ成分のMCQ成分に対する重量比(すなわち、MCQ成分の重量で割ったDCQ成分の重量)は、少なくとも0.2、少なくとも0.33、又は少なくとも0.5であり得る。好ましくは、この比は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10である。ある特定の態様では、この比は、20以下又は10以下、例えば、1~20、好ましくは1~10、2~10、3~10、4~10、又は5~10である。植物源に応じて、DCQ成分のMCQ成分に対する比がますます高くなることにより、例えば、1,000ppm未満のステビオールを有する飲料において、商業的に関連する使用に悪影響を及ぼすことなく溶解度向上剤を得るためには、処理費用が増加し得る。
【0083】
ある特定の商業的に有用なステビオールグリコシド溶解度向上剤は、0.33~5のDCQ成分のMCQ成分に対する重量比を有する。そのような組成物は、特に望ましい感覚特性を有する非アルコール飲料を生成することが見出された。したがって、いくつかの態様では、ステビオールグリコシド溶解度向上剤中のDCQ成分のMCQ成分に対する重量比は、0.33~5、0.5~5、1~5、1.5~5、2~5、3~5、0.5~4、1~4、1.5~4、0.5~3、1~3、又は1.5~3である。
【0084】
1つの好適なステビオールグリコシド溶解度向上剤は、少なくとも1、好ましくは少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも4のDCQ成分のMCQ成分に対する重量比を有し、DCQ成分及びMCQ成分は共に、ステビオールグリコシド溶解度向上剤のうちの70%(重量)超、例えば、80%(重量)超、又は90%(重量)超を含む。
【0085】
ステビオールグリコシド溶解度向上剤の有効性を、以下の標準化された溶解度試験を使用することによって測定することができる。ステビオールグリコシド溶解度向上剤と、89%(重量)のレバウディオサイドM及び8.2%(重量)のレバウディオサイドD(総ステビオールグリコシド含有量の重量に基づく)を含むステビオールグリコシドとを蒸留水に添加する。ステビオールグリコシド溶解度向上剤を、水1リットル当たり35.7グラム(3.57%(wt/vol))の濃度で添加し、ステビオールグリコシドを、水1リットル当たり50グラム(5%(wt/vol))の濃度で添加する。次いで、水を周期的に混合しながら10分間80℃まで加熱して、溶液を形成する。溶液を22℃まで冷却し、次いで、22℃で保存する。次いで、ステビオールグリコシドが溶液から出てくることを示す沈殿物について、溶液を定期的に視覚的に検査する。保存期間、すなわち、ステビオールグリコシドが溶液中に残っている22℃での保存の時間を記録する。
【0086】
本発明の態様によるステビオールグリコシド溶解度向上剤は、少なくとも3日間、少なくとも5日間、又は少なくとも6日間のこの標準化された溶解度試験に従って測定された保存期間に、ステビオールグリコシドを溶液中に維持し得る。この保存期間は、望ましくは少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、又は少なくとも28日間である。特に商業的に有用なステビオールグリコシド溶解度向上剤は、少なくとも6週間、少なくとも8週間、又は少なくとも12週間の保存期間に、ステビオールグリコシドを溶液中に維持し得る。これにより、C1~C4アルコールを含まない場合であっても、飲料スローシロップ又は水強化飲料濃縮物が商業的に関連する貯蔵寿命を有することが可能になり得る。
ステビオールグリコシドのステビオールグリコシド溶解度向上剤に対する比
【0087】
いくつかの態様では、ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効なステビオールグリコシド溶解度向上剤の量は、溶解度向上剤がステビオールグリコシドの溶解度向上剤に対する1:0.3~1:3の重量比を含むような量である。他の態様では、ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効な溶解度向上剤の量は、溶解度向上剤がステビオールグリコシドの溶解度向上剤に対する1:1~1:3の重量比を含むような量である。ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効な溶解度向上剤の量は、溶解度向上剤がステビオールグリコシドの溶解度向上剤に対する1:0.1~1:10の重量比を含むような量であり得る。いくつかの態様では、ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効な溶解度向上剤の量は、溶解度向上剤がステビオールグリコシドの溶解度向上剤に対する約1:0.1~1:5、約1:0.5~1:4、約1:0.3~1:3、又は約1:1~1:3の重量比を含むような量であり得る。他の態様では、ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効な溶解度向上剤の量は、溶解度向上剤がステビオールグリコシドの溶解度向上剤に対する約1:0.1、1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、又は1:10の重量比を含むような量であり得る。いくつかの態様では、ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効な溶解度向上剤の量は、溶解度向上剤がステビオールグリコシドの溶解度向上剤に対する約1:0.3~1:3の重量比を含むような量であり得る。
【0088】
いくつかの態様では、ステビオールグリコシドの溶解度を増加させるのに有効な溶解度向上剤の量は、100ppm超、200ppm、300ppm、400ppm、700ppm、800ppm、900ppm、又は1000ppmの溶解度向上剤の最終濃度である。溶解度向上剤の最終濃度は、1100ppm超、1200ppm、1300ppm、1400ppm、1500ppm、1600ppm、1700ppm、1800ppm、又は1900ppmであり得る。溶解度向上剤の最終濃度は、2100ppm超、2200ppm、2300ppm、2400ppm、2500ppm、2600ppm、2700ppm、2800ppm、又は2900ppmであり得る。溶解度向上剤の最終濃度は、3100ppm超、3200ppm、3300ppm、3400ppm、3500ppm、3600ppm、3700ppm、3800ppm、又は3900ppmであり得る。溶解度向上剤の最終濃度は、3000ppm超、4000ppm、5000ppm、6000ppm、7000ppm、8000ppm、又は9000ppmであり得る。溶解度向上剤の最終濃度は、1%超、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、又はそれ超であり得る。
【0089】
いくつかの態様では、ステビオールグリコシド組成物は、主に水を含む主に水性の溶液中に溶解される場合に、増加した溶解度を含む。主に水性の溶液はまた、45%、40%、30%、20%、15%、10%、5%、又は1重量%未満のC1~C4アルコールを含み得る。1つの商業的に関連する場合、主に水性の溶液は、C1~C4アルコール、例えば、非アルコール飲料を実質的に含み得ない(0.2%(重量)未満)。他の態様では、主に水性の溶液は、C1~C4アルコールを本質的に含まない(0.05%(重量)未満)。いくつかの態様では、主に水性の溶液は、1%未満のステビオシドを含む。主に水性の溶液は、3%未満のレバウディオサイドBを含み得る。主に水性の溶液は、1%未満のステビオールビオシドを含み得る。主に水性の溶液は、1%未満の13-SMGを含み得る。他の態様では、主に水性の溶液は、1%のステビオシド、1%のレバウディオサイドB、1%のステビオールビオシド、及び1%の13-SMGのうちの1つ以上未満を含む。
【0090】
主に水性の溶液は、任意の好適なpH、例えば、0~7、1~6、又は1.5~4を有してもよい。
【0091】
飲料は、ステビオールグリコシド溶解度向上剤及びステビオールグリコシドで作製され得る。ステビオールグリコシド溶解度向上剤によって、より多くのステビオールグリコシドを溶液に入れることが可能になるため、そのような飲料は、別の場合で可能であり得るよりも高い甘味レベルでステビオールグリコシドのみで甘味付けされたゼロカロリー飲料になり得る。
【実施例
【0092】
以下の実施例は、本開示を例示するために提供されるが、その範囲を限定することを意図しない。全ての部及び百分率は、別途指示のない限り重量によるものである。
実施例1.
【0093】
様々なステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物は、ステビア葉及び他の植物部分、例えば、アーティチョークの茎に見出され、他の葉(茶葉等)又は植物部分にあり得る。一実施形態では、溶解度向上剤化合物は、キナ酸のモノ-、ジ-、又はトリ-ヒドロキシ桂皮酸エステル、例えば、クロロゲン酸、シナリン、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、3-5-ジカフェオイルキナ酸である。これらの溶解度向上剤を精製するための例示的な方法を以下に記載する。
ステビア葉からの精製
【0094】
クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、シナリン、及び他のシナリン異性体は、乾燥重量基準でステビア葉中の物質の約7%を占める。
塩形態のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物
【0095】
ステビア葉を、最初に50%(vol/vol)エタノールで抽出して、固体から全てのステビオールグリコシド及びステビオールグリコシド溶解度向上剤を遊離させ得る。抽出された後、固体を除去し(例えば、濾過及び/又は遠心分離を介して)、得られた抽出物を、塩酸又はリン酸等の一般的な無機酸でpH2~2.5に酸性化し得る。次いで、酸性化された抽出物を酢酸エチルで液液抽出を介して抽出して、精製分画を産生し、ステビオールグリコシド化合物(水性層)を溶解度向上剤化合物(有機層)から分離し得る。次いで、各相を別々に更に精製して、所望の最終生成物を得ることができる。
【0096】
ステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物を有する酢酸エチル層は、塩基性溶液を水(例えば、0.05%水酸化カルシウム、0.1%重炭酸ナトリウム等)に添加し、別の液体液抽出を実行することによって更に精製され得る。着色種は、酢酸エチル相中に留まり、廃棄することができるが、水相は、溶解度向上剤化合物を含有し、直接乾燥させることができる。
酸形態のステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物
【0097】
ステビア葉を、最初に50%(vol/vol)エタノールで抽出して、固体から全てのステビオールグリコシド化合物及びステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物を遊離させ得る。抽出された後、固体を除去し(例えば、濾過及び/又は遠心分離を介して)、得られた抽出物を酢酸エチルで液液抽出を介して抽出して、着色種を除去し得る。有機相は、廃棄することができ、水層を、塩酸又はリン酸等の一般的な無機酸でpH2~2.5に酸性化し得る。新しい酢酸エチルを添加し、別の液液抽出を実行して精製分画を産生し、ステビオールグリコシド(水性層)をステビオールグリコシド溶解度向上剤化合物(有機層)から分離し得る。ステビオールグリコシド化合物を含有する水相は、所望のステビオールグリコシド系生成物のために更に精製され得、有機相は、直接乾燥させて、酸形態で所望のステビオールグリコシド溶解度向上剤生成物を作製し得る。
樹脂精製
【0098】
ポリスチレンジビニルベンゼン及びポリメタクリレート等の樹脂を使用してこれらの化合物を精製し得る。これらの樹脂を使用する場合、pH制御によって、クロロゲン酸及びシナリン異性体精製が可能になる。
【0099】
酸性条件下でのポリメタクリレート樹脂の場合、クロロゲン酸は、ステビオールグリコシド化合物の前に溶出し、シナリン異性体は、エタノール/水溶出を使用してステビオールグリコシド化合物の後に溶出する。中性条件下では、シナリン異性体及びクロロゲン酸の両方が、ステビオールグリコシド化合物の前に溶出する。
【0100】
酸性条件下でのポリスチレンジビニルベンゼンの場合、クロロゲン酸は、ステビオールグリコシド化合物の前に溶出し、シナリン異性体は、エタノール/水溶出を使用してステビオールグリコシド化合物と溶出する。中性条件下では、シナリン異性体及びクロロゲン酸の両方が、ステビオールグリコシド化合物の前に溶出する。
【0101】
他の疎水性樹脂及び固定相を使用してこれらの化合物を精製することができる。
シナリン(及びその異性体)のみの精製
【0102】
シナリン及びその異性体のみを精製するために(クロロゲン酸及びその異性体を除去する)、SE物質の水溶液を高濃度で作製して精製を開始し得る。より高い濃度のシナリンは、通常1/2モル濃度のNaOH等のいくつかの塩基を含み、pH約4の溶液が得られる。この物質を、ポリメタクリレート樹脂上に装填し、水で洗浄し得る(過剰な酸を除去する)。クロロゲン酸(及びその異性体)を15%(vol/vol)エタノールで溶出し、別々に乾燥させて、1つの生成物を形成し得る。次いで、カラムを60%(vol/vol)エタノールで処理して、シナリン及びその異性体を溶出し得る。次いで、この物質を、例えば、強酸又は高熱の不在下で乾燥させて、シナリンのみのSE物質を形成し得る。
実施例2.ステビオールグリコシドを含むステビオールグリコシド溶解度向上剤の長期溶解度試験
【0103】
重量対体積百分率で表6に示される設計を介して、試料を調製した。適切な量のステビオールグリコシド(steviol glycoside、SG)を10mLのガラスバイアルに秤量し、適切な体積のpH4シトレート緩衝液(例えば、0.6%レベル)で希釈し、27mgを4.5mLの緩衝液に希釈した。これを表1の全ての条件について繰り返した。次いで、pH2.5に設計された試料を、リン酸及びpH計を介してpH2.5に滴加して調整した。これらの試料については、同じロットのステビア葉由来のステビオールグリコシド溶解度向上剤(solubility enhancer、SE)を使用した。2つの異なるステビオールグリコシドである、RM80(乾燥重量基準で80%超のReb M)及びRA95(乾燥重量基準で95%超のReb A)を使用した。
【0104】
各時点で、溶液を10,000rpmで2分間遠心分離して、任意の不溶性材料を分析から除去した(可視でなかったとしても)。UHPLC-UVによる分析のために、上清のアリコートを55%メタノールに希釈した。クロマトグラフィ分析を、水及びアセトニトリル中のトリフルオロ酢酸を利用して、勾配条件下で高温でC18系逆相クロマトグラフィカラム上で実行した。210nmに設定されたUV検出器を利用してSGを検出した。基準溶液として高純度(99%超)のReb A標準物を使用して、線形較正曲線を適用した。
【表6】
【0105】
簡潔に言うと、この長期保存溶解度試験は、4℃、室温(約22℃)、pH4、及びpH2.5で保存されたSEを有するSG溶液が、48+週間の保存後のSGの94%超の回収を実証したことを示す。長期溶解度データを表7に示す。NMの値は、その時点で測定が行われなかったことを意味する。
【表7-1】
【表7-2】
【0106】
長期保存化学安定性データを表8に示す。同じ試料を、溶解したステビオールグリコシド化合物の絶対濃度についても評価した。表8に提示されるデータは、各時点におけるステビオールの濃度を示す。バイアルのうちのいくつかでは、1年の実験中に溶媒のいくらかの蒸発があった。したがって、濃度は、ほとんどの試料で経時的に増加したが、いずれの試料中のいずれの時点でも結晶は観察されなかった。NMの値は、その時点で測定が行われなかったことを意味する。
【表8】
【0107】
本実施例は、ステビオールグリコシド溶解度向上剤が、ステビオールグリコシドを経時的に可溶化するのに有効であることを示す。SEは、ステビオールグリコシド溶液を4℃、室温、pH4、及び/又はpH2.5で48週間にわたって可溶化するのに有効であり、94%超のステビオールグリコシドの回収を伴う。
実施例3.
【0108】
一連の溶解度アッセイを、ステビオールグリコシド向上剤組成物及びステビオールグリコシドを用いて行った。ジカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸塩のモノカフェオイルキナ酸及びモノカフェオイルキナ酸塩及びモノカフェオイルキナ酸塩に対する様々な比を含むステビオールグリコシド向上剤組成物を調製し、ステビオールグリコシド組成物を可溶化するその能力について試験した。高濃度のステビオールグリコシド(50,000ppm、又は5%(重量))及び高濃度のステビオールグリコシド溶解度向上剤(35,714ppm)を用いて加速溶解度アッセイを実行して、ステビオールグリコシドが溶液中に残り得る時間量を短縮し、ジカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸塩のモノカフェオイルキナ酸及びモノカフェオイルキナ酸塩に対する様々な比の、ステビオールグリコシド化合物の溶解度に対する効果を決定した。
【0109】
クロロゲン酸、モノカフェオイルキナ酸を、商業的に得た(Penta Manufacturing Company,Livingston,New Jersey)。ジカフェオイルキナ成分を、イエルバマテから単離した。これは、15%(重量)の3,4-ジカフェオイルキナ酸、45%(重量)の3,5-ジカフェオイルキナ酸、34%(重量)の4,5-ジカフェオイルキナ酸、及び5%(重量)未満の全モノカフェオイルキナ酸を含有していた。ステビオールグリコシドは、89%のレバウディオサイドM及び8.2%のレバウディオサイドDであった。モノカフェオイルキナ酸の保存溶液を調製し、濃縮水酸化ナトリウムでpH調整し、約70%のモノカフェオイルキナナトリウム塩のモノカフェオイルキナ酸の保存溶液を得るようにした。ジカフェオイルキナ酸の保存溶液を調製し、濃縮水酸化ナトリウムでpH調整し、約70%のジカフェオイルキナナトリウム塩のジカフェオイルキナ酸の保存溶液を得るようにした。保存溶液、ステビオールグリコシド、及び蒸留水を使用して、以下の表Ex-1に示される濃度及び比で3つの対照組成物及び7つの試験組成物を調製した。対照組成物及び試験組成物を調製し、ガラスバイアルに等分し、蓋をした後、周期的に混合しながら80℃で5~10分間加熱した。バイアルを室温(約22℃)まで冷却してから、室温で保存した。バイアルを、最初の2週間について毎日結晶形成について視覚的に検査し、その後、週1回検査した。結晶が見られる前に各組成物が溶液中に残った保存期間を、以下の表Ex-1に示す。
【0110】
3つの対照組成物は、ステビオールグリコシド溶解度向上剤を含まないステビオールグリコシドを含んでいた。1つは、50,000ppm(5%(wt/vol))、もう1つは、30,000ppm(3%(wt/vol))、3つ目は、20,000ppm(2%(wt/vol))のステビオールグリコシドを有していた。試験組成物の各々は、50,000ppm(5%(wt/vol))のステビオールグリコシドと、35,714ppm(3.57%(wt/vol))のステビオールグリコシド溶解度向上剤とを含み、ステビオールグリコシドのステビオールグリコシド溶解度向上剤に対する比は、約1.4であった。試験組成物1~7は、それぞれ10、5、3、1、0.33、0.2、及び0.1のDCQ成分のMCQ成分に対する重量比(すなわち、MCQ成分の重量で割ったDCQ成分の重量)を有するステビオールグリコシド溶解度向上剤を含んでいた。
【表9】
【0111】
表Ex-1は、ステビオールグリコシド溶解度向上剤を含む試験の各々が、5%(wt/vol)のステビオールグリコシドを効果的に可溶化することができたことを示す。5%(wt/vol)の同一のステビオールグリコシド濃度を有する対照組成物は、80℃で数時間後であっても溶解しなかった。対照中のステビオールグリコシド濃度が2%(wt/vol)に減少した場合であっても、80℃で溶液に溶けることになり、SGは、1時間未満で溶液から分解され、これは上記のレバウディオサイドM及びレバウディオサイドDの平衡溶解度と一致する。このことだけで、ステビオールグリコシド溶解度向上剤の顕著な有効性が実証される。
【0112】
驚くべきことに、DCQ成分のMCQ成分に対する比が1を超える試験組成物は、溶液中、すなわち、可視的な沈殿なしで、10日を超えた保存期間を有した。その保存期間は、0.1又は0.2のDCQ成分:MCQ成分の比を有する組成物の保存期間の2倍を超え、0.33の比を有する試料の場合よりも50%超えて長かった。したがって、DCQ成分のMCQ成分に対する比が増加したステビオールグリコシド溶解度向上剤は、ステビオールグリコシドの可溶化により有効であり、1を超える比がより大きな効果を有する。
【0113】
DCQ成分及びMCQ成分が同量の試験組成物は、5%(wt/vol)濃度のステビオールグリコシドを溶液中に11日間維持することができた。すなわち、それ自体が偉業である。3以上のDCQ成分のMCQ成分に対する比を有する組成物の全ては、漂動時に4週間を超えてステビオールグリコシドを溶液中に維持し、溶液中にはるかに長く残り得る。
【0114】
全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の明細書では、本発明は、そのある特定の好ましい態様に関連して説明されており、多くの詳細が例示の目的で記載され、本発明が追加の態様を受けやすく、かつ本明細書の特定の詳細が、本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更され得ることが、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】