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特表2022-529110外科用ロボットアームを位置合わせするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(54)【発明の名称】外科用ロボットアームを位置合わせするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20220610BHJP
【FI】
A61B34/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558801
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 US2019036657
(87)【国際公開番号】W WO2020214193
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/833,876
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】キャスレー, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】バシック, レネン
(72)【発明者】
【氏名】ラニア, グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】アイスマン, ジェイソン
(57)【要約】
医療システムは、ロボットアームと、外科用カートと、セットアップアームと、位置合わせユニットと、を含む。セットアップアームは、外科用カートに装着され、ロボットアームに動作可能に結合するように構成されている。位置合わせユニットは、セットアップアームに動作可能に結合され、代表的な座標系に対するロボットアームの配向を判定するように構成されている。ロボットアームを代表的な座標系と位置合わせする方法は、位置合わせユニットから床、患者、または代表的な座標系などの水平面に位置合わせパターンを投影することを含み、位置合わせユニットは、外科用カートに装着されたセットアップアームに動作可能に結合される。次に、ユーザは、位置合わせユニットを調整することによって位置合わせパターンを操作するように促される。次に、位置合わせユニットの調整が完了したことを示す入力が受信される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットシステムであって、
ロボットアームと、
外科用カートと、
前記外科用カートに装着され、前記ロボットアームに動作可能に結合するように構成されているセットアップアームと、
前記セットアップアームに動作可能に結合され、代表的な座標系に対する前記セットアップアームおよび前記ロボットアームの配向を判定するように構成されている位置合わせユニットと、を含む、外科用ロボットシステム。
【請求項2】
前記位置合わせユニットは、位置合わせパターンを表面に投影するように構成されている光ユニットを含む、請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項3】
前記光ユニットは、少なくとも2つの部分を投影するように構成されている、請求項2に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項4】
前記少なくとも2つの部分の各々は、互いに視覚的に区別される、請求項3に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項5】
各前記少なくとも2つの部分は、異なる色のものである、請求項3に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項6】
前記少なくとも2つの部分は、位置合わせ方向を示すように構成されている、請求項3に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項7】
前記位置合わせユニットは、前記位置合わせユニットの回転が前記位置合わせパターンを回転させるように、前記セットアップアームに対して回転するように構成されている、請求項2に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項8】
前記少なくとも2つの部分の各々は、1つ以上のラインを含む、請求項3に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項9】
前記位置合わせユニットは、前記ロボットアームに対する前記位置合わせパターンの角度を判定するように構成されているセンサを含む、請求項2に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項10】
前記セットアップアームに動作可能に結合され、前記センサから位置合わせ情報を受信するように構成されている制御デバイスをさらに含む、請求項9に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項11】
前記位置合わせユニットは、前記入力デバイスの起動が、前記セットアップアームの調整が完了したことを示すように、前記制御デバイスに動作可能に結合された入力デバイスを含む、請求項10に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項12】
ロボットアームを手術台と位置合わせする方法であって、
位置合わせユニットから表面に位置合わせパターンを投影することであって、前記位置合わせユニットは、外科用カートに装着されたセットアップアームに動作可能に結合される、投影することと、
前記位置合わせユニットを調整することにより、前記位置合わせパターンを操作するようにユーザに促すことと、
前記位置合わせユニットの調整が完了したことを示す入力を受信することと、
代表的な座標系に対する前記位置合わせパターンの配向を判定することと、
前記判定された前記位置合わせパターンの配向に基づいて、前記セットアップアームに動作可能に結合されたロボットアームの配向を判定することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記位置合わせパターンを投影することは、前記位置合わせパターンの少なくとも2つの部分を投影することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つの部分の各々は、互いに視覚的に区別される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各前記少なくとも2つの部分は、異なる色のものである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも2つの部分は、位置合わせ方向を示すように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの部分の各々は、1つ以上のラインを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記位置合わせパターンを操作することは、前記位置合わせユニットを回転させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記位置合わせパターンの前記配向を判定することは、前記位置合わせユニットに配設されたセンサを使用して判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記位置合わせユニットに配設された入力デバイスを起動させて、前記位置合わせユニットの調整が完了したことを示すことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本開示は、概して、外科用ロボットアームを位置合わせするための装置および方法に関する。より具体的には、本開示は、外科用環境内でロボットアームを位置合わせするために利用される位置合わせユニットを対象とする。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
ロボット外科用システムは、手持ち式外科用器具と比較して精度および便宜性が向上しているため、低侵襲医療処置で使用される。これらのロボット外科用システムでは、ロボットアームは、手首アセンブリによって装着されたエンドエフェクタを有する外科用器具を支持する。動作中、ロボットアームは、患者の上方の位置まで動き、次いで患者の外科用ポートまたは自然オリフィスを介して小さい切開部内に外科用器具を案内し、患者の体内の作業部位にエンドエフェクタを位置決めする。
【0003】
通常、ロボットアームはカート上に配設され、これにより、臨床医はロボットアームを手術台に対して手術室内の様々な場所まで動かすことができる。しかしながら、ロボットアームを利用する前に、ロボットアームを配向させる必要がある。したがって、ロボットアームの位置合わせおよび配向に伴う課題を克服するための解決策が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ロボットアームと、外科用カートと、セットアップアームと、位置合わせユニットと、を含む、医療システムが、本開示に従って提供される。セットアップアームは、外科用カートに装着され、ロボットアームに動作可能に結合するように構成されている。位置合わせユニットは、セットアップアームに動作可能に結合され、実質的に水平面(例えば、床)上に重ねられた代表的な座標系に対するロボットアームの配向を判定するように構成されている。本明細書で使用される場合、「代表的な座標系」は、1つ以上のロボットアームが使用される手術領域に重なる任意の2次元または3次元の座標系を示す。座標系は、デカルト、極、円筒、球などであり得る。
【0005】
本開示の態様によれば、位置合わせユニットは、位置合わせパターンを水平面に投影するように構成されている光ユニットを含む。光ユニットは、位置合わせ方向を示すために、各々が互いに視覚的に異なる、例えば、2つの異なる色である、少なくとも2つのラインを投影するように構成され得る。
【0006】
本開示のさらなる態様によれば、位置合わせユニットは、位置合わせユニットの回転が位置合わせパターンを回転させるように回転するように構成され得る。位置合わせユニットは、手動で回転可能であってもよく、位置合わせパターンは、1つ以上のラインであってもよい。位置合わせユニットはまた、ロボットアームに対する位置合わせパターンの角度を判定するように構成されているセンサを含み得る。
【0007】
本開示の態様によれば、システムは、セットアップアームに動作可能に結合された制御デバイスをさらに含み得、これは、センサから位置合わせ情報を受信するように構成され得る。位置合わせユニットは、入力デバイスの起動がセットアップアームの調整が完了したことを示すように、制御デバイスに動作可能に結合された入力デバイスをさらに含み得る。
【0008】
本開示のさらなる態様によれば、ロボットアームを代表的な座標系と位置合わせする方法も開示される。この方法は、外科用カートに装着されたセットアップアームに動作可能に結合された位置合わせユニットから、代表的な座標系を有する実質的に水平面に位置合わせパターンを投影することを含む。この方法は、位置合わせユニットを調整することにより、位置合わせパターンを操作するようにユーザに促すことと、位置合わせユニットの調整が完了したことを示す入力を受信すること、代表的な座標系に対する位置合わせパターンの配向を判定することと、判定された位置合わせパターンの配向に基づいて、セットアップアームに動作可能に結合されたロボットアームの配向を判定することと、をさらに含む。
【0009】
本開示の態様によれば、投影された位置合わせパターンは、位置合わせ方向を示し得、異なる色の少なくとも2つのラインを含み得る。1つのラインは赤であってもよく、別のラインは緑であってもよい。位置合わせパターンを操作することはまた、位置合わせユニットを回転させることを含み得る。本開示の態様によれば、位置合わせパターンの配向の判定は、位置合わせユニットに配設されたセンサを使用することによって行われ得る。この方法は、位置合わせユニット上に配設された入力デバイスを起動させて、位置合わせユニットの調整が完了したことを示すことをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の様々な実施形態は、図面を参照して本明細書で説明される。
【0011】
図1】本開示による、制御タワーと、コンソールと、1つ以上の外科用ロボットアームと、を含む、外科用ロボットシステムの概略図である。
図2】本開示による、図1の外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームの斜視図である。
図3】本開示による、図1の外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームを伴うセットアップアームの斜視図である。
図4】本開示による、図1の外科用ロボットシステムのコンピュータアーキテクチャの概略図である。
図5】本開示による、図1の外科用ロボットシステムのセットアップアームおよびロボットアームの斜視図である。
図6】本開示による、図1の外科用ロボットシステムの位置合わせパターンの概略図である。
図7】位置合わせユニットの構成要素を示すブロック図である。
図8】本開示による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の外科用ロボットシステムの実施形態を、図面を参照して詳細に説明するが、図中、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。本明細書で使用されるとき、「遠位」という用語は、患者により近い外科用ロボットシステムおよび/またはそれに連結された外科用器具の部分を指し、「近位」という用語は、患者からより遠い部分を指す。
【0013】
以下の説明は、外科用ロボットシステムに固有のものであるが、以下に説明する位置合わせユニットは、代表的な座標系または別の配向の点に対する位置合わせを必要とする任意の好適な医療デバイスとともに使用され得る。図1を参照すると、外科用ロボットシステム10は、外科用コンソール30および1つ以上のロボットアーム40を含む外科用ロボットシステム10のすべての構成要素に接続された制御タワー20を含む。ロボットアーム40の各々は、それに取り外し可能に結合された外科用器具50を含む。ロボットアーム40のうちの1つ以上は、手術部位を観察するための内視鏡またはカメラを含み得る。外科用器具50は、低侵襲の外科的処置中に使用するように構成されている。実施形態では、外科用器具50は、開腹外科的処置のために構成され得る。ロボットアーム40の各々はまた、可動カート60に結合されている。
【0014】
外科用コンソール30は、ロボットアーム40に配設されたカメラ(図示せず)によって提供される手術部位を表示する第1の表示デバイス32と、外科用ロボットシステム10を制御するためのユーザインターフェースを表示する第2の表示デバイス34と、を含む。外科用コンソール30はまた、ロボットアーム40を遠隔制御するために臨床医によって使用されるフットペダル36ならびに一対のハンドルコントローラ38aおよび38bなどの複数のユーザインターフェースデバイスを含む。
【0015】
制御タワー20は、外科用コンソール30と1つ以上のロボットアーム40との間のインターフェースとして機能する。特に、制御タワー20は、ロボットアーム40および外科用器具50が、フットペダル36ならびにハンドルコントローラ38aおよび38bからの入力に応答して、所望の動きシーケンスを実行するように、プログラム可能な命令および/または外科用コンソール30からの入力コマンドのセットに基づいて、ロボットアーム40および対応する外科用器具50を動かすなど、ロボットアーム40を制御するように構成されている。
【0016】
制御タワー20、外科用コンソール30、およびロボットアーム40の各々は、それぞれのコンピュータ21、31、41を含む。コンピュータ21、31、41は、有線または無線通信プロトコルに基づいて任意の好適な通信ネットワークを使用して互いに相互接続されている。本明細書で使用される「ネットワーク」という用語は、複数または単数であるかどうかにかかわらず、インターネット、イントラネット、ワイドエリアネットワーク、またはローカルエリアネットワークを含むが、これらに限定されない、データネットワークを示し、本開示に包含されるような通信ネットワークの定義の全範囲に関して限定されない。好適なプロトコルは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、データグラムプロトコル/インターネットプロトコル(UDP/IP)、および/またはデータグラム輻輳制御プロトコル(DCCP)を含むが、これらに限定されない。無線通信は、1つ以上の無線構成、例えば、無線周波数、光、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)(短電波長を使用して、固定および移動デバイスから短距離でデータを交換し、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を作成するためのオープン無線プロトコル、ZigBee(登録商標)(無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)用のIEEE802.15.4-2003標準に基づいて小型で低消費電力のデジタル無線を使用する高レベル通信プロトコルのスイートのための仕様)を介して、達成され得る。
【0017】
コンピュータ21、31、41は、メモリ(図示せず)に動作可能に接続された任意の好適なプロセッサ(図示せず)を含み得、メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、またはフラッシュメモリなどの、揮発性、不揮発性、磁気的、光学的、もしくは電気的媒体のうちの1つ以上を含み得る。プロセッサは、限定はされないが、ハードウェアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、およびそれらの組み合わせを含む、本開示で説明される動作、計算、および/または命令のセットを実施するように適合された任意の好適なプロセッサ(例えば、制御回路)であってもよい。当業者は、プロセッサは、本明細書で説明されるアルゴリズム、計算、および/または命令のセットを実行するように適合された任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)を使用することによって代用され得ることを理解されよう。
【0018】
図2を参照すると、ロボットアーム40の各々は、回転ジョイント44a、44b、44cでそれぞれ相互接続された複数のリンク42a、42b、42cを含み得る。ジョイント44aは、ロボットアーム40を可動カート60に固定するように構成されており、第1の長手方向軸を画定する。図3を参照すると、可動カート60は、リフト61と、ロボットアーム40を装着するためのベースを提供するセットアップアーム62と、を含む。リフト61は、セットアップアーム62の垂直方向の動きを可能にする。セットアップアーム62は、第1のリンク62a、第2のリンク62b、および第3のリンク62cを含み、これらは、ロボットアーム40の横方向の操作性を提供する。リンク62a、62b、62cは、回転ジョイント63aおよび63bで相互接続されており、これらの各々は、リンク62bおよび62bを互いおよびリンク62cに対して回転させるためのアクチュエータ(図示せず)を含み得る。特に、リンク62a、62b、62cは、互いに平行であるそれらの対応する側面において可動であり、それにより、患者(例えば、手術台)に対してロボットアーム40の伸長を可能にする。実施形態では、ロボットアーム40は、手術台(図示せず)に結合され得る。セットアップアーム62は、リンク62a、62b、62cおよびリフト61の動きを調整するためのコントロール65を含む。
【0019】
第3のリンク62cは、2自由度を有する回転可能なベース64を含む。特に、回転可能なベース64は、第1のアクチュエータ64aおよび第2のアクチュエータ64bを含む。第1のアクチュエータ64aは、第3のリンク62cによって画定される平面に垂直な第1の静止アーム軸を中心に回転可能であり、第2のアクチュエータ64bは、第1の静止アーム軸を横切る第2の静止アーム軸を中心に回転可能である。第1および第2のアクチュエータ64aおよび64bは、ロボットアーム40の完全な3次元の配向を可能にする。
【0020】
図2を参照すると、ロボットアーム40はまた、第2の長手方向軸を画定し、外科用器具50の器具駆動ユニット52(図1)を受容するように構成されているホルダ46を含み、器具駆動ユニット52は、外科用器具50の作動機構に結合するように構成されている。器具駆動ユニット52は、そのアクチュエータから外科用器具50に作動力を伝達して、外科用器具50の構成要素(例えば、エンドエフェクタ)を作動させる。ホルダ46は、ホルダ46によって画定される第2の長手方向軸に沿って器具駆動ユニット52を動かすように構成されているスライド機構46aを含む。ホルダ46はまた、リンク42cに対してホルダ46を回転させる回転ジョイント46bを含む。
【0021】
ジョイント44aおよび44bは、一連のベルト45aおよび45b、または駆動ロッド、ケーブル、またはレバーなどの他の機械的リンケージを介してジョイント44a、44b、44cを相互に駆動するように構成されている電気アクチュエータ48aおよび48bを含む。特に、ジョイント44bのアクチュエータ48bは、ベルト45aを介してジョイント44cに結合され、次に、ジョイント44cは、ベルト45bを介してジョイント46cに結合される。ジョイント44cは、アクチュエータ48bがリンク42b、42c、およびホルダ46の各々を互いに対して回転させるように構成されるように、ベルト45aおよび45bを結合する伝達ケースを含み得る。より具体的には、リンク42b、42c、およびホルダ46は、アクチュエータ48bに受動的に結合され、アクチュエータ48bは、リンク42aによって画定される第1の軸と、ホルダ46によって画定される第2の軸との交点にある枢動点「P」を中心とした回転を行う。したがって、アクチュエータ48bは、第1の軸と第2の軸との間の角度θを制御し、外科用器具50の配向を可能にする。ベルト45aおよび45bを介したリンク42a、42b、42c、およびホルダ46の相互リンクにより、リンク42a、42b、42cとホルダ46との間の角度もまた、所望の角度θを達成するために調整される。実施形態では、ジョイント44a、44b、44cのいくつかまたはすべては、機械的リンクの必要性を取り除くために電気アクチュエータを含み得る。
【0022】
図4を参照すると、外科用ロボットシステム10のコンピュータ21、31、41の各々は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで具体化され得る複数のコントローラを含み得る。制御タワー20のコンピュータ21は、コントローラ21aおよび安全オブザーバ21bを含む。コントローラ21aは、ハンドルコントローラ38aおよび38bの現在の位置および/または配向、ならびにフットペダル36および他のボタンの状態について、外科用コンソール30のコンピュータ31からデータを受信する。コントローラ21aは、これらの入力位置を処理して、ロボットアーム40および/または機器駆動ユニット52の各ジョイントに所望の駆動コマンドを判定し、これらをロボットアーム40のコンピュータ41に通信する。コントローラ21aはまた、実際のジョイント角度を受信し、この情報を使用して、外科用コンソール30のコンピュータ31に送り返される力フィードバックコマンドを判定し、ハンドルコントローラ38aおよび38bを介して触覚フィードバックを提供する。安全オブザーバ21bは、コントローラ21aに出入りするデータに対して妥当性チェックを実行し、データ伝送のエラーが検出された場合にシステム障害ハンドラに通知して、コンピュータ21および/または外科用ロボットシステム10を安全な状態にする。
【0023】
コンピュータ41は、複数のコントローラ、すなわち、メインコントローラ41a、セットアップアームコントローラ41b、ロボットアームコントローラ41c、および機器駆動ユニット(IDU)コントローラ41dを含む。メインカートコントローラ41aは、コンピュータ21のコントローラ21aからジョイントコマンドを受信して処理し、それらをセットアップアームコントローラ41b、ロボットアームコントローラ41c、およびIDUコントローラ41dに通信する。メインカートコントローラ41aはまた、機器交換、および可動カート60、ロボットアーム40、および機器駆動ユニット52の全体的な状態を管理する。メインカートコントローラ41aはまた、実際のジョイント角度をコントローラ21aに返すように通信する。
【0024】
セットアップアームコントローラ41bは、回転ジョイント63aおよび63bのそれぞれ、ならびにセットアップアーム62の回転可能なベース64を制御し、ピッチ軸に対する所望のモーター動きコマンド(例えば、モータートルク)を計算し、ブレーキを制御する。ロボットアームコントローラ41cは、ロボットアーム40の各ジョイント44aおよび44bを制御し、重力補償、摩擦補償、および閉ループ位置制御に必要な所望のモータートルクを計算する。ロボットアームコントローラ41cは、計算されたトルクに基づいて動きコマンドを計算する。次に、計算されたモーターコマンドは、ロボットアーム40内の1つ以上の電気アクチュエータ48aおよび48bに通信される。次に、実際のジョイント位置は、電気アクチュエータ48aおよび48bによってロボットアームコントローラ41cに送り返される。
【0025】
IDUコントローラ41dは、手首および顎の角度などの外科用器具50の所望のジョイント角度を受け、器具駆動ユニット52内のモーターの所望の電流を計算する。IDUコントローラ41dは、モーター位置に基づいて実際の角度を計算し、これらをメインコントローラ41aに送り返す。
【0026】
ロボットアームコントローラ41cは、ロボットアーム40の剛性リンク構造、すなわち、リンク42a、42b、42cによって回転ジョイント44aおよび44bに与えられるトルクを推定するように構成されている。回転ジョイント44aおよび44bの各々は、電気アクチュエータ48aおよび48bを収容する。ロボットアーム40の重量が重いため、ロボットアーム40を動かすために高トルクが使用され得る。しかしながら、損傷または怪我を防止するためにトルクを調整する必要があり得る。これは、ロボットアーム40が他のロボットアーム、患者、スタッフ、手術室機器などの外部物体と衝突する際のトルクを制限するのに特に有用である。
【0027】
図5を参照すると、ロボットアーム40は、セットアップアーム62と実質的に同じであるセットアップアーム300に結合されている。セットアップアーム300は、さらに、可動カート60に装着されている。セットアップアーム300は、可動カート60に結合されたセットアップアームベース302を含む。セットアップアーム300は、アクチュエータ(図示せず)によって互いに結合された複数の可動リンクをさらに含み、セットアップアーム300の様々な構成への動きを可能にする。特に、セットアップアーム300は、第1のセットアップリンク304、第2のセットアップリンク306、および結合アセンブリ308を含む。結合アセンブリ308は、ロボットアーム40に結合するように構成されている。
【0028】
セットアップアームベース302は、セットアップアーム300を手術台(図示せず)または可動カート12に固定するように構成されている。第1のセットアップリンク304は、セットアップアームベース302に対して軸「A-A」を中心にジョイント310で360°回転可能である。第2のセットアップリンク306は、第1のセットアップリンク304に対して軸「B-B」を中心にジョイント312で回転可能である。結合アセンブリ308は、第2のセットアップリンク306に対して軸「C-C」を中心にジョイント314で回転可能である。結合アセンブリ308は、軸「D-D」を中心に約0°~約90°までさらに回転可能である。
【0029】
セットアップアーム300は、セットアップアーム300、特にジョイント314に結合された位置合わせユニット316を含む。位置合わせユニット316は、制御タワー20と動作可能に通信している。実施形態では、位置合わせユニット316は、結合アセンブリ308に直接結合され得る。位置合わせユニット316は、代表的な座標系11に対するセットアップアーム300およびロボットアーム40の配向を判定するように構成されており、コンピュータ21によって生成された構成物であって、ロボットアーム40の各々を、例えばカメラおよび/または内視鏡を介して臨床医の視点に仮想的に配置および配向するために使用される。特に、位置合わせユニット316は、ロボットアーム40に対する共通の基準位置合わせを作成し、代表的な座標系11に対するロボットアーム40のヨー配向を判定するために使用される。本明細書で使用される場合、「ヨー」という用語は、地面に垂直な垂直軸を中心としたロボットアーム40の動きを示す。
【0030】
ロボットアーム40の各リンクおよびセットアップアーム300の各セットアップリンクの配向は、ロボットアーム40の動きを、外科用コンソール30における入力デバイス、例えば手動入力18の動きと位置合わせするための計算に使用される。位置合わせユニット316は、位置合わせパターン318を水平面に投影するように構成された光ユニット412(図6を参照)を含む。位置合わせパターン318は、手術台、床、患者、または他の任意の表面などの任意の表面に投影され得る。表面に投影された位置合わせパターン318が、臨床医またはコンピューティングデバイスによって視認可能かつ識別可能である限り、表面は、完全には水平ではないことがある。したがって、任意の非垂直面が使用され得る。
【0031】
位置合わせユニット316は、ユーザが位置合わせユニット316を手動で回転させ、位置合わせパターン318を代表的な座標系11と位置合わせするために位置合わせパターン318の角度を調整することを可能にする回転可能な本体320を有する。実施形態では、位置合わせユニット316は、順方向、または患者に対する方向を示すために、その表面に印刷されたラベルまたは画像などのインジケータ316aを含み得る。さらなる実施形態では、位置合わせパターン318は、方向の表示を有するラインであり得る。実施形態では、位置合わせパターン318は、第1の部分324および第2の部分322を含み得る。位置合わせパターン318の第2の部分322は、前方方向、または外科用器具50の一部および患者に最も近いロボットアーム40を示し得、第2の部分322は、後方方向、または外科用器具50の一部および患者から最も遠いロボットアーム40を示し得る。第2の部分322および第1の部分324は、より容易な識別を可能にするために、異なる色および/またはパターンなど、視覚的に異なっていてもよい。例示的な実施形態では、第2の部分322は緑色であってもよく、第1の部分324は赤色であってもよい。実施形態では、第2の部分322は青色であってもよく、第1の部分324は黄色であってもよく、色覚異常の職員によるより良好な識別を可能にする。さらなる実施形態では、第2の部分322および第1の部分324は、第1の部分324または第2の部分322の一方が中実であり得、他方が破線であり得るなど、異なるパターンを有し得る。
【0032】
図6を参照すると、患者「P」が配設された手術台400が示されている。図6はまた、手術台400に対して配向されている複数の位置合わせパターン318a、318b、318c、318dを示す。手術台400は、それぞれの位置合わせユニット316の各々を位置合わせすることによってロボットアーム40を配向させるための基準点として使用され得る。基準点は、手術台400、患者「P」、壁、床のマーキング、または他の位置合わせパターン318のいずれか1つなど、位置合わせの期間中に静止したままである任意の物体であり得る。4つのロボットアーム40の位置合わせユニット316によって投影された位置合わせパターン318a、318b、318c、318d。位置合わせパターン318aは、カメラおよび/または内視鏡を保持するロボットアーム40に取り付けられた位置合わせユニット316によって投影される。適切に配向された場合に、位置合わせパターン318b、318c、318dは、パターン402、404、および406に示されるように、カメラおよび/または内視鏡を保持するロボットアーム40から投影された位置合わせパターン318aに平行であり、これと同じ方向を向いている。パターン408は、位置合わせされていない位置合わせパターン318a、318b、318c、318dを示し、位置合わせパターン318cは、位置合わせパターン318aおよび318bに対して横方向であり、位置合わせパターン318dは、位置合わせパターン318aおよび318bとは反対方向に配向されている。
【0033】
実施形態では、位置合わせユニット316は、位置合わせユニット316上に配設された、ボタンまたは任意の他のユーザインターフェースデバイスであり得る入力デバイス326を含む。入力デバイス326は、セットアップアーム300および/または位置合わせユニット316の調整が完了したことを制御タワー20および/または外科用コンソール30に示すために、ユーザによって作動可能である。図7に示されるように、位置合わせユニット316は、光ユニット412、センサ414、およびコネクタ416を含む。位置合わせユニット316はまた、様々な電子構成要素を組み込むためのプリント回路基板を含み得る。センサ414は、任意の好適なエンコーダ、ポテンショメータ、回転可変差動変圧器、または任意の他の種類の回転位置センサであり得る。実施形態では、光ユニット412は、位置合わせユニット316の配向および/または方向を識別することを助けるために、1つ以上の色の様々な形状、数字、文字、および/または記号を含む、ある数の異なる位置合わせパターン318を投影する。光ユニット412は、レーザを放出するように構成され得る1つ以上の発光ダイオードなどの光源、および放出された光を位置合わせパターン318に成形する任意選択的な投影パターンまたはレンズを含み得る。センサ414は、位置合わせパターン318の角度を判定するために使用される。センサ414は、位置合わせユニット316の回転を測定するように構成され得、これは、次に、代表的な座標系11に対するロボットアーム40の配向を判定するために使用される。特に、位置合わせユニット316がユーザによって回転される際に、センサ414は、位置合わせパターン318の角度を判定し、この角度をロボットアーム40の位置と相関させる。
【0034】
コネクタ416は、位置合わせユニット316を、制御タワー20、外科用コンソール30、およびロボットアーム40のコンピュータ21、31、および41と動作可能に結合し、位置合わせユニット316ならびに制御タワー20、外科用コンソール30、およびロボットアーム40の間でデータおよび情報の転送を可能にする。実施形態では、コネクタ416は、有線接続(例えば、USB)であり得、コネクタ416は、制御タワー20および/または外科用コンソール30と無線通信する無線送信機/受信機を含み得、制御タワー20および/または外科用コンソール30はまた、無線送信機/受信機を含み得る。無線通信は、無線周波数、光、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)(短電波長を使用して短距離でデータを交換するためのオープン無線プロトコル)などであり得る。コネクタ416を介して、制御タワー20および/または外科用コンソール30は、位置合わせユニット316、具体的にはセンサ414からデータおよび/またはリアルタイムデータを転送することができる。センサ414は、位置合わせパターン318の配向を感知し、位置合わせパターン318の角度に関するデータを制御タワー20および/または外科用コンソール30に送信し返す。制御タワー20または外科用コンソール30は、この情報を利用して、代表的な座標系11に対するロボットアーム40の動きを、外科用コンソール30からの入力デバイス、例えば、手動入力18の動きと相関させる。
【0035】
図8は、ロボットアーム40と代表的な座標系11との位置合わせを整合させるための例示的な方法のフローチャート500を示している。実際には、ステップ502において、システムをセットアップする場合に、ユーザは、代表的な座標系11に隣接して、セットアップアーム300、ロボットアーム40、および外科用器具50を含む可動カート60を位置決めするように促される。次に、ユーザは、セットアップリンク304、306、および結合アセンブリ308を操作することにより、セットアップアーム300を調整して、セットアップアーム300を代表的な座標系11と位置合わせする。実施形態では、セットアップリンク304、306は、ユーザによって手動で調整可能であり得る。別の実施形態では、セットアップリンク304、306は、セットアップリンク304、306を作動させるように構成された複数のアクチュエータ(図示せず)を含み得る。複数のモーターは、ユーザによって動作可能な制御デバイス(図示せず)によって制御され得る。ロボットアーム40が再位置決めされ、入力デバイス326が起動された場合、または位置合わせユニット316がロボットアーム40のヨーにおける変化を検出した場合、開示された方法に従って、ユーザは、代表的な座標系11でロボットアーム40を再整合するように促され得る。ステップ504において、ユーザが代表的な座標系11に対してセットアップアーム300を調整すると、位置合わせユニット316は、光ユニットを介して、代表的な座標系11上に位置合わせパターン318を投影するように構成されている。投影された位置合わせパターン318は、位置合わせパターン318がユーザに視認可能であるように高強度であり得る。
【0036】
次に、ステップ506において、ユーザは、位置合わせユニット316を調整することによって、位置合わせパターン318を操作するように促される。特に、ユーザは、位置合わせユニット316を回転させることができ、これにより、位置合わせパターン318も回転させる。実施形態では、位置合わせパターン318は直線であり得る。さらなる実施形態では、光ユニットは、2つ以上の色の光を投射して、配向および/または方向を示す。ステップ508において、ユーザが位置合わせユニット316の調整を完了すると、ユーザは、位置合わせユニット316上に配設された入力デバイス326を起動させて、調整が完了し、セットアップアーム300が代表的な座標系11に適切に位置合わせされたことを制御タワー20および/または外科用コンソール30に示す。ステップ510において、制御タワー20および/または外科用コンソール30は、代表的な座標系11に対する位置合わせパターン318の配向を判定する。特に、位置合わせユニット316は、位置合わせユニット316の位置に対する投影された位置合わせパターン318の角度を判定するために使用されるセンサー(図示せず)を含む。ステップ512において、代表的な座標系11に対する位置合わせパターン318の配向に基づいて、制御タワー20および/または外科用コンソール30は、代表的な座標系11に対するセットアップアーム300および/またはロボットアーム40の位置および配向を判定する。ステップ514において、ロボットアーム40の配向が判定されると、制御タワー20および/または外科用コンソール30は、代表的な座標系に対するロボットアーム40の動きおよび配向を、ロボットアームを操作するように構成されている手動入力18の動きと相関させる。
【0037】
本明細書に開示された実施形態に様々な変更が加えられ得ることが理解されるであろう。実施形態において、センサは、ロボットアームの任意の好適な部分に配設され得る。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に様々な実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者は本明細書に添付される特許請求の範囲内および趣旨内で他の修正を想定するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】