(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(54)【発明の名称】官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の様々な使用方法
(51)【国際特許分類】
A01N 59/16 20060101AFI20220610BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20220610BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20220610BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220610BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20220610BHJP
A01G 7/06 20060101ALI20220610BHJP
A23K 20/20 20160101ALI20220610BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220610BHJP
A61K 8/9783 20170101ALI20220610BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20220610BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20220610BHJP
A61K 36/18 20060101ALI20220610BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220610BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220610BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220610BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20220610BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220610BHJP
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A61P 35/00 20060101ALI20220610BHJP
A23L 3/3454 20060101ALI20220610BHJP
A23B 7/153 20060101ALI20220610BHJP
A23B 7/157 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01N65/00 A
A01P1/00
A01P3/00
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A61K33/24
A61K36/18
A61P31/00
A61P43/00 107
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P33/00
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P43/00 171
A23L3/3454
A23B7/153
A23B7/157
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560349
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2020053120
(87)【国際公開番号】W WO2020202048
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】MX/A/2019/003969
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MX
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515353257
【氏名又は名称】インマリキュール・インターナショナル・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521440747
【氏名又は名称】レオン・グティエレス,ガブリエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】特許業務法人 松原・村木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオン・グティエレス,ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】レオン・グティエレス,セルジオ マニュエル
【テーマコード(参考)】
2B022
2B150
4B021
4B169
4C083
4C086
4C088
4H011
【Fターム(参考)】
2B022AB15
2B022AB17
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4H011DA15
(57)【要約】
本発明は、表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブ抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の様々な使用方法に関する。前記化合物は、例えば、水性懸濁液において水の消毒剤又は浄化剤としての使用;生物農薬及び作物の収穫後の使用;工業化された衛生用品、化粧品及び食品の調製における防腐剤としての使用;組織再生の官能物質又は活性化剤としての使用;製薬業界におけるウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア及び寄生虫に起因する感染プロセスの治療及び予防のための使用;病原性微生物と戦う抗腫瘍剤としての使用;家畜、牧畜及び養殖産業において各種の市販食品に混合することによる微生物剤としての使用が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法であって、
前記化合物は、水と混合されると共に、少なくとも他の物質と混合されて、異なる用途及び目的を有する幅広い微生物用用途を有する液体水性組成物を生成し、前記化合物は、医薬、食品、農業、畜産、養殖及び医療産業において使用することができる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項2】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、水性懸濁液において水の消毒剤又は浄化剤として使用される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項3】
請求項2に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
官能基化されたTiO
2の前記ナノ粒子化合物は、有効量30%~99%の有効成分として存在する
ことを特徴とする使用方法。
【請求項4】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、生物農薬として及び作物の収穫後に使用される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項5】
請求項4に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記化合物は、水源の汚染除去、又は種子の滅菌若しくは消毒のために使用される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項6】
請求項4に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、植物及び作物において使用され、葉面への浸透性の適用を介して、前記作物における真菌、バクテリア及び/又はウイルスの発生を減少させる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項7】
請求項6に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、果実、緑色野菜、多年生植物、森林、マメ科植物作物、及びパパイヤ、カカオ、リンゴ、マンゴー、タマネギ、バニラ、アボカド、柑橘類等の果実栽培物、チリペッパー、トウモロコシ、コーヒー、ソルガム、アルファルファ、カボチャ、ジャガイモ、外国産ウッド、クルミの木、スギ、豆、ヒヨコマメ、並びにバラ、ラン、チューリップ、カーネーションの作物が含まれる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、0.8%~30%の有効量で、直接又はエマルジョン若しくは溶液中で使用され、加えて、当該使用では、4%までの量のイオン性界面活性剤と、6%までの量の有機又は無機の葉接着剤とを添加するステップを有し、これにより、官能基化された二酸化チタンの前記ナノ粒子化合物を植物の葉に付着したままで残存させてその効果を延長させる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項9】
請求項8に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量0.8%~15%で存在する
ことを特徴とする使用方法。
【請求項10】
請求項4~7のいずれか1項に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量70%~90%の範囲で油性製剤中に存在する
ことを特徴とする使用方法。
【請求項11】
請求項8に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記有機の葉接着剤は、樹脂又はポリマーである
ことを特徴とする使用方法。
【請求項12】
請求項8に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記無機の葉接着剤は、アクリレートである
ことを特徴とする使用方法。
【請求項13】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、工業化された衛生用品、化粧品及び食品の調製において、ヒトのために並びに家畜及び養殖産業のために防腐剤として使用され、抗菌効果は、消毒処理によって規定される暴露時間に限定されない
ことを特徴とする使用方法。
【請求項14】
請求項13に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量0.02%~5%の範囲で水と混合される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項15】
請求項14に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、食品業界において防腐剤として使用され、適用食品として、瓶詰、缶詰、乳製品、肉、チーズ、魚、調理済み食品、加工食品、冷蔵食品及び冷凍食品、デザート並びに飲料が含まれる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項16】
請求項14に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、化粧品又はパーソナルケア製品の製造において、例えば、リップスティック、カラーパウダー及びリキッド、シャンプー、クリーム、コンディショナー、石けん並びに練り歯磨き粉の製造において微生物活性から物質を保護するため用いられる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項17】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、組織再生の官能物質又は活性化剤として使用され、前記化合物は、病原性微生物に対して選択的であることに加えて、それが接触する組織の増殖応答の増加を促進し、瘢痕化及び/又は細胞再生の効果を付与する
ことを特徴とする使用方法。
【請求項18】
請求項17に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量1%までの範囲で存在し、使用されるその濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項19】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、製薬業界において、複数の浸透性経路を介して投与されるものとして用いられ、ウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア及び寄生虫に起因する感染プロセスの治療及び予防に有効である
ことを特徴とする使用方法。
【請求項20】
請求項19に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量1%までの範囲で存在し、使用されるその濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項21】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、微生物剤として使用され、有効量0.00025%~34.97%の範囲で水と混合される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項22】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、病原性微生物と戦う抗腫瘍剤として使用され、その中心的な効果は、遺伝物質に対してDNA又はRNAの遺伝子連鎖を断つことで行われる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項23】
請求項22に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量1%までの範囲で存在し、使用されるその濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項24】
請求項1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、家畜、牧畜及び養殖産業において、当該産業における各種の市販食品に当該化合物を混合することにより微生物剤として用いられ、当該微生物剤は、エビ、家禽、ヤギ、牛等の複数の動物種により摂取されて、主に初期段階の死亡率を約33%まで低下させる
ことを特徴とする使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業、医薬等の様々な目的のために、原子及び分子レベルで物質を操作するナノテクノロジーにおいて使用される技術及び原理に関し、より具体的には、メキシコ特許339086号で開示されているように、表面及びポア(孔)に吸着された有機官能基、無機基及び果実及び/又はハーブの抽出物で官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の様々な使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史を通じて、抗菌剤の使用が活発に行われており、非常に古い時代の文化でも使用されている。微生物を除去することができるこれらの物質は、現代までに完成及び工業化されている。現在、いくつかの上記物質の使用は、先進国において禁止されている。
【0003】
抗菌物質は、真菌、バクテリア、寄生虫の増殖を排除又は阻害することができるものである。胞子形成された植物形態もウイルスも考慮されていない。抗体は、この分類に属する。そうではあるものの、過去の世紀に開発された微生物の全てが、広い有効範囲を有している訳ではなく、また、意図されたウイルス、胞子又はマイコバクテリアを有している訳ではないことに留意されたい。
【0004】
抗生物質の時代を特徴付ける歴史的イベントは、ペニシリンの発見であり、これは、他の病原性微生物を処置するために使用可能な他の天然又は合成の化合物の研究を開始及び増強させた。微生物に関するこの研究は、他の物質よりも困難であった。細菌細胞は、多くの基本的態様においてヒト細胞とは異なり、新しい薬剤を開発する機会をより多く提供する。その代わりに、真菌、寄生虫及びウイルスは、多くの代謝経路及び構造をヒト細胞と共有するため、研究者に対して少ない治療標的を提供し、患者にとって毒性のリスクを高める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題は、ペニシリンの使用開始から数年後に、ペニシリンの使用が微生物抵抗を発生させたこと、すなわち、ペニシリンに対して免疫性を有し得るバクテリア株が存在することが確認されたことに起因して発生した。これにより、人間だけでなく、家畜においても、さらには農業用途においても処置の効果が失われる。
【0006】
抗菌剤を用いた適正且つタイミングのよい処置は、生存と、死又は慢性の機能障害等との差で判断される。しかしながら、これらの物質の不適当且つ過剰な使用は、それに対する超耐性を有する微生物を生成する。このことが、第5世代の抗生物質が存在する理由である。さらに、これらの新世代の抗生物質を適用することにより、今日の超耐性微生物は、自らを保護したり、或いは、抗微生物剤又はそれらの混合物でさえも阻害されず、排除されなくなったりする。
【0007】
従って、真菌、バクテリア、寄生虫を阻害又は排除するだけでなく、マイコバクテリア、胞子の成長抑制若しくは阻害を排除若しくは阻害する、又はウイルス粒子を不活性化する新規な抗菌剤の重要性がある。なお、これらは全て感染性病原体である。
【0008】
さらに、食品製造における大量の微生物剤(microbial agents)の乱用、並びに人間や動物からの残留水及び農作物で使用される水を介した環境における微生物剤の幅広い自然放出は、食物によって伝搬されるヒトの病気を引き起こす動物性バクテリアの場合に明らかな公衆衛生上の深刻な結果をもたらす。
【0009】
微生物剤の質的及び量的な重要性は依然として不確かであるが、動物からヒト病原体へのバクテリアによる耐性物質の通過の可能性は、特に重要である。
【0010】
上記と合わせて、作物における殺虫剤の過剰な使用も、微生物抵抗の不穏当な加速に寄与している。今日、抗生物質が、感染性疾患の微生物の攻撃を排除するために不十分であるように、防腐剤及び消毒剤も、生物の又は不活性な表面からの微生物の攻撃を減少させるのには効果が不十分である。加えて、殺虫剤は、全くの作物を破壊し、植生領域から様々な種(種類)を消滅させるため、微生物の攻撃と闘うには不十分である。
【0011】
また、作物に有害な殺虫剤を使用すると、動物の排泄物に含まれる抗生物質の移動に加わることとなり、同排泄物は、ヒトにも供給されている地下水にも到達し、これがグローバルに警告されている問題となっている。
【0012】
上記のため、農業及び畜産の分野については非常に経済的な重要性があると共に、ヒトの健康については、広い有効範囲を得ることができる新規な抗菌剤(antimicrobial agent)を使用する必要がある。
【0013】
分子ナノテクノロジーは、そのグローバルな影響が産業革命と比肩し得るほど重要な分野であるが、その顕著な相違と共に、ナノテクノロジーの大きな影響は数年の間に明らかになるであろう。
【0014】
先行技術として、本発明の主題に関連する文献が存在する。そのような文献の例として、国際特許出願PCT/KR02/02142(国際公開第WO2003/059070に対応する。)が存在する。同文献では、二酸化チタンからなるナノ材料を含み、植物の生育を促進する液状組成物が記載されている。当該組成物は、二酸化チタンからのコロイドを含む水溶液を主成分として含む。ナノ粒子状二酸化チタンは、植物に容易に吸収され得る粒径を有する。水溶液のpHは、TiO2が所望の濃度を有するように水溶液を水で希釈する前に、水溶液中のTiO2の急速な沈殿を防止するように調整される。また、この組成物は、植物の成長用アジュバントと、分散用界面活性剤とを含有する。この組成物は、植物の光合成効率を高める作物の性能を向上させることができると共に、病原体に対する植物からの殺菌活性の増加を可能にする。加えて、この組成物は、生化学肥料の過剰使用による環境汚染の問題を改善することができ、作物農家収入の増加にも寄与する。
【0015】
上記から分かるように、この組成物は、純粋なTiO2(非官能基化)が不活性物質であるという不都合を提示し、この組成物にもかかわらず、溶液中に存在する追加の栄養物質を有する必要がある。この溶液は、懸濁液中のTiO2の粒子とは異なる酸化物又は界面活性剤を含む養液でなければならず、このことは、消費する植物を介してヒトに吸収されて健康上の問題となる重金属の希釈酸化物により、使用時に土壌を汚染する問題を生じさせる。TiO2は、光に曝されたときに得られる半導体特性に基づく殺菌活性を有するものと定義される。TiO2は、不活性材料であるため、それ自体が作物増強剤ではないことが確認されている。
【0016】
さらに、メキシコ特許339086号は、ウイルスを不活化し、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア及びトリパノソームを除去することができるハーブ及び/又は果実の抽出物を用いて調製されたTiO2の官能基化ナノ粒子材料を開示している。前記PCT出願の材料中のナノメートルレベルでの修飾(官能基化)は、修飾なしの同種の材料と異なると共に、これまでに見出された用途のために現在使用されている化学化合物とは異なる性質を与える。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の概要
本発明をより良く且つより明確に理解するために、本明細書全体を通して、二酸化チタンのナノ粒子化合物(nanoparticulate compound of titanium dioxide)を、区別せずに「官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物」(nanoparticulate compound of titanium dioxide functionalized)又は「表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基、果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物」(nanoparticulate compound of titanium dioxide modified with organic functional groups, inorganic radicals and fruit and/or herbal extracts absorbed on its surface and pores)と言及するが、いずれの場合も、同一の化合物を意味する。さらに、前記ナノ粒子化合物は、メキシコ特許339086号において既に開示され且つ保護されている。
【0018】
本発明は、官能基化された二酸化チタン(TiO2)の化合物の様々な使用方法に関し、同化合物は、水と混合されると共に、任意に、少なくとも他の物質と混合されて、異なる用途及び目的を有する幅広い微生物用用途を有する液体水性組成物を生成し、それらは、医薬、食品、農業、畜産、養殖産業及び医療において使用することができる。
【0019】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、水の消毒剤又は浄化剤として使用され、異なる微生物を除去するために推奨される前記ナノ粒子化合物の割合は、バクテリアの分布に依存して変化する。前記化合物は、異なる微生物が含まれる異なる水源の試料での水の消毒において有効であり、そのような微生物としては、例えば、
図1に示すような、中温性好気性菌、糞便性大腸菌、総大腸菌群、シュードモナス種(Pseudomonas spp)、アシネトバクター種(Acinetobacter spp)、アエロモナス属(Aeromonas)及びエシェリキア(Escherichia coli)が含まれる。前記ナノ粒子化合物は、水における制御対象の物理化学的パラメータに影響しないため、処理プロセスは、そのための追加の除去ステップを要さない。
【0020】
本発明の別の実施形態において、バクテリア、真菌及びウイルスのグループを含む微生物及びウイルス粒子の存在を排除又は減少させるために、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、異なる種類の野菜及び種子に対する生物農薬(biopesticide)として用いられると共に、様々な作物の種子殺菌剤及び収穫後の消毒剤として用いられる。
【0021】
生物農薬として、前記化合物は、水源の汚染除去、又は種子の滅菌/消毒のために用いられる。例えば、トマト種子の場合、クラビバクター・ミシガネンシス待ち時間(latency of Clavibacter michiganensis)が観察され、又は、トウモロコシ種子の場合、ナノ粒子化及び官能基化された二酸化チタン化合物の直接適用、若しくはエマルジョン若しくは溶液中への投与が行われ、病気の植物の発生を抑制するのに効率的であることが判明した。
【0022】
加えて、前記ナノ粒子化合物は、葉面への浸透性の適用を介しての植物又は作物に対する生物農薬として使用され、これによる実証的なプロットでは、作物における真菌、バクテリア及び/又はウイルスの出現の減少を示した。ここでの作物には、例えば、果実、緑色野菜、多年生植物、森林、マメ科植物、パパイヤ、カカオ、リンゴ、マンゴー、タマネギ、バニラ、アボカド、柑橘類等の果実栽培物、チリペッパー、トウモロコシ、コーヒー、ソルガム、アルファルファ、カボチャ、ジャガイモ、外国産ウッド(exotic woods)、クルミの木、スギ、豆、ヒヨコマメ、並びにバラ、ラン、チューリップ、カーネーションの作物等が含まれるが、これらに限らない。
【0023】
前記ナノ粒子化合物は、収穫後、すなわち、ポストハーベストにおける消毒に使用され、微生物の攻撃を排除し、例えば、パパイヤ、レモン、カボチャ及び塊茎について(但し、これらに限らない。)保存可能期間を約40%増加させるのに役立つ。収穫後の使用の場合、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物内において果実を洗浄及び浸水することにより、製品の保存可能期間を約40%増加させることに寄与することが示されており、そのような寄与は、パパイヤ、レモン、カボチャ及び塊茎において観察され得る。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、微生物(主としてバクテリア及び真菌)の活性が制限されないものと言及された場合でも、微生物の増殖を防止する防腐剤として使用される。同化合物の残留性により、微生物効果は、延長された作用期間を有し、同期間は、微生物の攻撃から食品及び/又は化粧品を保護することができる。官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、食品業界において、防腐剤として適用可能であり、適用可能な食品としては、瓶詰(potted food)、缶詰、乳製品、肉、チーズ、魚、調理済み食品、加工食品、冷凍食品、冷蔵食品、デザート及び飲料が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
また、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、微生物活性から物質を保護するために、化粧品やパーソナルケア製品の製造のような他の産業においても使用することができ、例えば、リップスティック、カラーパウダー及びリキッド、シャンプー、クリーム、コンディショナー、石けん、練り歯磨き粉の製造において用いることができるが、これらの製品に限定されない。
【0026】
TiO2のナノ粒子化合物は、異なる細胞株(cellular lines)及び組織の細胞再生において用いられて、適合性を検証し、細胞毒性及び細胞生存性の研究が実施される。ナノ粒子化された二酸化チタンの化合物は、病原性微生物に対して選択的であるだけでなく、それが接触する組織の増殖応答の増加を促進する。組織の処理に適用されるこの誘導は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物に対して、種々の組織及び細胞株について評価された、瘢痕化(cicatrizing)及び/又は細胞再生の効果を付与するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0027】
TiO2のナノ粒子化合物は、製薬業界において、複数の浸透性経路を介して投与されるものとして用いられ、ウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア及び寄生虫に起因する感染プロセスの治療及び予防に有効である。同化合物が作用する複数の微生物により、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、抗感染症薬又は抗菌剤として薬理学的に分類可能である。
【0028】
TiO2のナノ粒子化合物は、異なる微生物に感染した細胞株に有効な微生物剤として使用される。
【0029】
TiO2のナノ粒子化合物は、病原性微生物と戦うものとして設計された抗腫瘍剤として使用され、その中心的な効果は、遺伝物質に対してDNA又はRNAの遺伝子連鎖(genetic chain)を断つことで行われる。上記は、抗腫瘍細胞障害性薬物(antineoplastic-cytotoxic drugs)に用いられるものと同じメカニズムであり、同抗腫瘍剤は、このナノ粒子材料を癌細胞に特異的に標的化することができ、癌性腫瘍に直接適用することができるという利点を有する。これらの試験において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、微生物の除去と同様の作用機序に従って癌細胞からのDNA及びRNA分子を分解する(degrade)ことによって分子レベルで作用することが観察され、その結果、悪性細胞を排除するだけでなく、悪性細胞の増殖を回避する。この作用は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物による、ネガティブな攻撃を特定して、当該攻撃により引き付けられる生物選択的能力(bioselective capacity)によるものである。この後者は、互いに反対の攻撃を引き付けるという普遍的な原理の下にある。
【0030】
TiO2のナノ粒子化合物は、家畜、牧畜及び養殖産業において、当該産業における各種の市販食品に当該化合物を混合することにより微生物剤として用いられ、当該微生物剤は、エビ、家禽、ヤギ、牛等の複数の動物種により摂取されて、主に初期段階の死亡率を約33%まで低下させることが判明した。
【0031】
本発明の目的
従来技術で見出された欠点を考慮すると、本発明の目的は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の様々な使用方法を提供することであり、同化合物は、ウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア、寄生虫に対して、及び癌細胞のようにネガティブな攻撃を伴う細胞に対して幅広い有効範囲(spectrum)をもたらす。
【0032】
本発明の別の目的は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の水の消毒剤としての使用を提供することであり、当該使用では、同化合物を単体又は組成物で用いて、水中に存在し得る複数の微生物、特に病原体をより効果的に除去して、物理化学及び微生物パラメータの点でヒトの消費に適したものとする。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の生物農薬としての使用を提供することであり、当該使用では、同化合物を単体又は組成物で用いて、様々な野菜及び種子において、バクテリア、真菌及びウイルスのグループを主に含む微生物及びウイルス粒子の存在を排除又は減少させ、さらに、様々な作物の種子種子殺菌剤及び収穫後の消毒剤として同化合物を用いる。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の防腐剤としての使用を提供することであり、当該使用は、工業化された衛生用品、化粧品及び食品の調製におけるものであり、当該使用では、同化合物を単体又は組成物で、ヒトのために又は家畜及び養殖産業のために用い、抗菌効果は、消毒処理によって規定される暴露時間に限定されない。
【0035】
本発明のさらに別の目的は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の、組織再生の官能物質(inductor)又は活性化剤(activator)として使用を提供することであり、当該使用では、前記ナノ粒子化合物は、単体で用いられるとき、それが接触する組織の増殖応答の増加を促進する。
【0036】
本発明のさらに別の目的は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物と、追加されたハーブ及び又は/果実の抽出物との使用を提供することであり、当該使用では、同化合物は、有効性、生体選択性(bioselectivity)及び無害性評価(innocuousness)に応じて単体又は医薬組成物として用いられ、同化合物は、複数の浸透性経路を介して投与されることが可能であり、ウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア及び寄生虫に起因する感染プロセスの治療及び予防に有効である。
【0037】
本願に係る官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の様々な使用に関する上記及び他の目的、具体的内容並びに利点は、実施形態に関する詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に基づいて当業者にとって明らかになるであろう。
【0038】
本発明の特徴と考えられる新規な態様は、特に特許請求の範囲に記載される。しかしながら、本発明自体は、その組織及びその利用方法として、並びに他の目的及びその利点と合わせて、本発明の実施形態に関する以下の詳細な説明を、添付の図面と関連付けて読むと、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】水中における糞便(A)及び全体(B)の大腸菌の減少率を示すグラフである。
【
図2】制御(A)及び試験(B)の実証プロットにおける試験結果を示すグラフであって、別の作物における影響された領域の減少が観察されると共に、健康植物対傷病性植物の比を示すグラフである。
【
図3】異なる果物及び野菜の保存寿命に関する菌及び酵母の増加を示すグラフである。
【
図4】200℃以下の温度で単一の段階で分解が起こることが観察され得る熱分析による結果を示す図であって、熱重量分析及び熱示差分析は、ナノ粒子材料の熱劣化による一段階での重量損失及び分解を示す図である。
【
図5】食品(A)及び化粧品(B)における防腐効果の試験の効力の結果の例を示す図である。
【
図6】官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物と接触した後の細胞系及び組織の生存性を、他の活性成分と比較して示すグラフである。
【
図7】致死量50、最大毒性用量及び最小有効用量を示すグラフである。
【
図8】本発明に係る二酸化チタンのナノ粒子化合物に基づく組成物の微生物活性を示すグラフである。
【
図9】48時間PI (Post-Infection)時の累積死亡率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明をより良く且つより明確に理解するために、本明細書全体を通して、二酸化チタンのナノ粒子化合物を、官能基化された二酸化チタン(TiO2)のナノ粒子化合物、又は表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基、果実及び/又はハーブ抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物と区別せずに言及するが、いずれの場合も、同一の化合物を意味する。さらに、前記ナノ粒子化合物は、メキシコ特許339086号において既に開示され且つ保護されている。
【0041】
同様に、特許請求の範囲及び/又は実施例を除き、特に明記しない限り、詳細な説明中の材料量及び/又は反応条件に関する全ての数値は、本発明のより広い範囲の解釈において、「約」を用いて修正可能であると理解されるべきである。上記によれば、本発明は、上記数値範囲内で表される材料又は反応条件の量を意味するが、これに限定されるものではない。加えて、本発明の目的を達成するために好ましい又は適切であるように選択された元素グループ又は材料の分類の記載は、前記グループ又は分類の要素のうちの2つ以上の混合物が均等に又は適切に調製されることを意味する。
【0042】
驚くべきことに、官能基化された二酸化チタン(TiO2)のナノ粒子化合物は、メキシコ特許339086号に開示された消毒剤及び無菌性の特性に加えて、以下の特性により抗菌物質としての機能及び性質を有することが見出された。
【0043】
・ウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア、寄生虫に対する、及び癌細胞のようにネガティブな攻撃を伴う細胞に対する広域の薬効範囲
・生分解性: 生分解性を有する有機植物抽出物と少量の不活性物質とを含むナノ粒子であるため、生分解性であるという特定の性質を有する。このことは、確立されているモデルを用いた研究施設での評価によって証明されている。
・生物選択性:微小な材料であるため、細胞レベルでの影響も評価されており、粒子の大きさも表面修飾も、使用されている生物培地の細胞を損傷させず、微生物に対して作用又は攻撃するだけであることが見出された。この特性は、病原性微生物を化学的に同定することを可能にする物質の表面官能基化に選択性が直接関連する生物選択性(bioselectivity)として定義される。
・生体適合性:使用中の生体媒体に干渉や損傷を与えることなく、医療処置に応じて所望の機能を発揮させる能力であり、すなわち、人、動物、植物のユーザのいずれにも二次的な影響を与えない。これにより、二次的な、有害の又は有毒な及び細胞毒性の効果を有しない、官能基化二酸化チタンのような完全に無害な材料を作ることができる。上記によれば、毒性がないという利点が得られる。このことは、、異なる浸透性の投与経路について、急性、亜慢性及び慢性の症状に関して、試験生物の正常な機能に影響を与えることのないとの評価をより証明されている。これらの試験は、OECD(経済協力開発機構)によって承認されたモデルによってなされた。
・この化合物の使用は、DNA又はRNAのいずれかの遺伝物質の分解メカニズムは、核酸中のペプチド結合、C-C結合及びC-N結合の分解によって発生するため、微生物の抵抗を引き起こさない。分子接近を促進する化学吸着は、表面に吸着された官能基によるものであり、金属酸化物表面のルイス酸部位とブレンステッド酸部位による破壊を防止する。この作用メカニズムにより、ネガティブな攻撃を伴う微生物、ウイルス粒子又は細胞が有する、前記物質に抵抗する方法に関する遺伝情報を次世代に伝える能力を無効化する。
【0044】
従って、その広い微生物作用は、例えばバクテリアや真菌等の微生物の細胞膜に作用するが、それと同時に、遺伝物質にも作用する二重作用メカニズムによるものである。この第2の点は、他の微生物とは異なり、膜を有しないウイルスを不活性化するメカニズムとして機能するものである。
【0045】
同様に、参照したメキシコ特許339086号から知られているように、官能基化されたナノ粒子の二酸化チタン材料は、次の一般式を有する:
E/MaO2(c)(OH)v(PO4)w(SO4)xCly(NH2)z (1)
【0046】
上記式において、Eは果実及び/又はハーブ抽出物の複合溶液であり、Mはチタンである。果実及び/又はハーブ抽出物は、グレープフルーツ、レモン、タンゲリン及び他の柑橘類の果実を含むグループから選択される。
【0047】
上記のように、本発明によれば、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の様々な使用が開示されており、前記化合物を純粋な状態(100%)で使用することや、希釈を必要とする生成物に対しては、10%~90%の有効量として前記化合物を含有して使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
本発明の別の実施態様において、官能基化した二酸化チタンのナノ粒子化合物は、当該化合物が1%までの有効量で見出される低比率で使用することができる。使用される濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される。
【0049】
官能基化二酸化チタン(TiO2)の化合物は、水と混合され、任意に、少なくとも他の物質と混合されて、異なる用途及び目的を有する広い微生物用用途を有する液体水性組成物を生成し、それらは医薬、食品、農業、畜産、養殖、及び医療産業において使用することができる。
【0050】
A.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の水消毒剤又は浄化器としての使用:
ポータビライゼーション(potabilization。飲料化)とは、その物理化学的パラメータ及び微生物学的仕様において、ヒトの消費に適した水のことであり、水の消毒(water disinfection)とは、微生物、特に、水消費者の病気を引き起こす病原体の不活化を意味し、その程度及び深刻度は、微生物の種類及び水中における病原体の濃度のような多くの要因に依存して変化する。微生物の消毒は、水ポータビライゼーションにおいて、おそらく最も重要な処理であり、主要な項目である。
【0051】
本発明の特に好ましい実施態様において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、水の消毒剤又は浄化器(water disinfectant or purifier)として使用され、有効成分としての前記官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の有効量が30%以上99%以下である水性懸濁液を使用することが好ましい。異なる試験微生物の排除を達成するのに推奨される割合は、バクテリア集団に依存して変化する。
【0052】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用に関する試験は、残水処理プラントからの水、及び飲料水分配ネットワークに関連する泉及び井戸からの水に存在する微生物の約99.999%の減少を示す。上記の異なる水源と、異なる微生物(例えば、中温性好気性菌、糞便性大腸菌、総大腸菌群、シュードモナス種、アシネトバクター種、アエロモナス属、及びエシェリキア)との試料における水消毒でのその効力は、
図1のグラフに示すように証明されている。
【0053】
この試験は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用が、水制御の物理化学的パラメータに影響せず、そのため、処理プロセスは、その除去のための後工程を必要としないことを示している。
【0054】
さらに、微生物の遺伝物質に作用することにより、水中のエンドトキシンの放出を回避しながら「自然」死を生じさせる。官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物に対して行われる生分解性の試験は、環境の生物学的及び非生物学的因子と接触したとき、前記ナノ粒子化化合物は、100%で生分解性であることを示す。
【0055】
表1には、水及び測定された汚染物質のパラメータが示されており、具体的には、濁度、pH、真の色、温度、導電率、全固形分、全溶解固形分、残留塩素、フェノールフタレインアルカリ性、全アルカリ度、重炭酸塩、炭酸塩、水酸化物、全硬さ、硫酸塩、塩素、総大腸菌群及び糞便大腸菌が示されている。水の物理化学的パラメータ及び導電率は変更されず、それらは表1に反映されていることに留意することが重要である。
【0056】
【0057】
水ポータビライゼーションにおけるナノ粒子化及び官能基化された二酸化チタン化合物の使用を、従来の塩素化法と比較とすると、塩素化法の87%~99&に対して、糞便性大腸菌で100%及び中温性好気性菌で100%の微生物除去が実現するが、塩素化物質の使用及び乱用からの毒性及び付随的な損傷がないことは明らかである。
【0058】
塩素化法は、肝障害処理、喘息及び重金属蓄積と結びつく一方で、ナノ粒子化された官能基化二酸化チタン化合物に対する毒性試験がその無害性を証明していることに留意されたい。表1の結果により示されるように、物理化学的変数は、官能基化されたTiO2のナノ粒子化合物の適用前後の試料収集の間で変化せず、微生物学的有効性を示しつつ、物理化学的特性の変化を示さない。
【0059】
表2において、種々の水源において水中に存在する異なる微生物からのコロニー形成単位が示されている。官能基化されたTiO
2のナノ粒子化合物からの適用前後のデータにおいて、前記ナノ粒子化合物の効力は、
図1にも示される病原体の合計を排除することによって定量化される。
【0060】
【0061】
これらのユニークな特性は、表面及び細孔に吸着された、有機官能基で修飾された有機官能基、無機基及び果実及び/又はハーブ抽出物を備えるナノ粒子化二酸化チタン化合物に対して、微生物の除去を介して、水処理のための液体、コロイド及び固体の消毒製品中の有効成分として使用される能力とを与える。これは、材料が大量の水でその性質を失うと考えられていたので、不可能であると考えられていた特性である。
【0062】
B.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の生物農薬及び収穫後用としての使用:
用途に応じて、殺虫剤は、外部表面ののみ作用するため、表面用として分類可能であり、或いは、吸収及び植物内へ移動が生じるときには、系統的に分類することができる。
【0063】
本発明の別の態様において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、生物農薬(biopesticide)として及び収穫後に使用され、前記ナノ粒子化化合物は、0.8%~30%、好ましくは0.8%~15%の有効量で水と混合され、加えて、当該使用では、 4%までの量のイオン性界面活性剤と、6%までの量の有機又は無機の葉接着剤(follar adherent)とを添加するステップを有し、これにより、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物を植物の葉に付着したままで残存させてその効果を延長させ、有機の葉接着剤は、樹脂又はポリマーであることが好ましい一方、無機の葉接着剤は、アクリレートであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0064】
バクテリア、真菌及びウイルスのグループを主に含む微生物及びウイルス粒子の存在を排除又は減少させるために、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、殺虫剤として異なる種類の野菜及び種子を用いて評価すると共に、様々な作物の種子殺菌剤及び収穫後の消毒剤として評価されたこれらは、農作物及び/又は家畜の問題を引き起こす異なる処理段階において、農業及び食品産業においてしばしば見出されるものであり、生産処理、貯蔵寿命及び人間の生活に影響を与えることさえある。
【0065】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の殺虫剤としての使用に関する第1の別の実施形態において、同ナノ粒子化合物は、水源の汚染除去、又は種子の滅菌/消毒のためのものであり、例えば、クラビバクター・ミシガネンシス待ち時間(Clavibacter michiganensis latency)が観察されたトマト種子の場合、又は、ナノ粒子化及び官能基化された二酸化チタン化合物の直接適用、又はエマルジョン若しくは溶液中への投与が行われたトウモロコシ種子があり、病気の植物の発生を抑制するのに効率的であることが証明された。
図2のグラフには、例示的なプロットでの研究の比較結果が示されており、健康な植物の割合が赤色で示されている。
【0066】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の生物農薬としての使用に関する第2の別の実施形態において、同化合物は、植物又は作物の表面上に存在し、例証的なプロットに対する葉面への浸透性の適用を介して、真菌、バクテリア及び/又はウイルスの出現に関する100%までの減少が報告されており、その対象には、例えば、果実、緑色野菜、多年生植物、森林、マメ科植物、パパイヤ、カカオ、リンゴ、マンゴー、タマネギ、バニラ、アボカド、柑橘類等の果実栽培物(fruticulture)、チリペッパー、トウモロコシ、コーヒー、ソルガム、アルファルファ、カボチャ、ジャガイモ、外国産ウッド、クルミの木、スギ、豆、ヒヨコマメ、並びにバラ、ラン、チューリップ、カーネーションの作物等が含まれるが、これらに限らない。
【0067】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の有効性は、殺虫剤として様々な作物における各種の病気及び伝染病に対して生じて
図3に示されており、そのような作物には、例えば、ナス科、塊茎、ベリー、果実、フロキュラ、ランが含まれる。表3では、作物中の真菌、バクテリア及び/又はウイルスの発生に関する減少の有効性は、93%~100%の間であることがわかる。
【0068】
【0069】
本発明のさらなる態様において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、収穫後、すなわち、ポストハーベストにおいて消毒に使用され、微生物の攻撃を取り除き、例えば、パパイヤ、レモン、カボチャ及び塊茎について(但し、これに限らない。)約40%の貯蔵寿命を増加させるのに役立つ。
図3のグラフにおいて、異なる果実及び野菜について貯蔵寿命の増加が示されている。
【0070】
収穫後の使用の場合、表4に示されるように、ナノ粒子化及び官能基化された二酸化チタン化合物中における果実の洗浄及び浸水が、製品の貯蔵寿命を約40%まで増加することに寄与することが示されており、そのような寄与は、パパイヤ、レモン、カボチャ及び塊茎において観察され得る。
【0071】
本発明のさらに別の態様において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、植物による吸収を改善するために、有効量70%~90%の範囲で油性製剤(oily formulation)中に存在する。
【0072】
【0073】
C.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の防腐剤としての使用:
上述した使用によれば、衛生用品、化粧品、加工食品(industrialized food)の調製において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の防腐剤(preservative)としての適用が、ヒトのために並びに家畜及び養殖産業のために試験され、抗菌効果は、消毒処理によって規定される暴露時間に限定されない。
【0074】
本発明の別の態様において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物を防腐剤として使用し、前記ナノ粒子化合物を0.02%~5%の有効量で水と混合する。
最も重要な特性は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の微生物活性、残留性及び熱安定性である。
【0075】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の保存剤としての使用は、微生物の増殖、主にバクテリア及び真菌の増殖を避けるためのその有効性を意味し、上記のように、活性はこれに限定されない。残留性により、微生物効果は、延長された作用期間を有し、同期間は、微生物の攻撃から食品及び/又は化粧品を保護することができる。
【0076】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用は、示差熱及び熱重量分析(differential thermal and thermogravimetric analysis)により評価され、この分析を用いることで、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、-10℃~200℃の温度範囲において安定したままであることが証明された。従って、同化合物は、冷蔵又は冷凍保存される処理から、加熱調理される処理まで、その構造を変えることなく、又は対象の食品に影響を与えることなく、使用することができる。これらの特性は、他の産業にも有益であり、化学品、医薬品又は化粧品は、良好な状態に維持され、或いは、製品及び原料の平均寿命を延ばすことができる。
【0077】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、食品業界において、防腐剤として適用可能であり、適用可能な食品としては、瓶詰(potted food)、缶詰、乳製品、肉、チーズ、魚、調理済み食品、加工食品、冷蔵及び冷凍食品、デザート並びに飲料が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0078】
また、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、微生物活性から物質を保護するために、化粧品やパーソナルケア製品の製造のような他の産業においても使用することができ、例えば、リップスティック、カラーパウダー及びリキッド、シャンプー、クリーム、コンディショナー、石けん、練り歯磨き粉の製造において用いることができるが、これらの製品に限定されない。
【0079】
図4のグラフには、200℃より高い温度の単一段階において、分解が観測される熱解析結果が示されている。
図5のグラフには、防腐剤としての効果の例が示されている。
【0080】
D.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の、組織再生の官能物質又は活性化剤としての使用:
組織工学(engineering of tissues)は、生体材料開発の分野を変化させ、生物学的に活性な足場(scaffolds)、細胞及び分子を組み合わせて機能性組織を作製することを意味する。組織工学の目的は、損傷した組織又は完全な器官を修復、維持又は改善する発想や理論を再結集することである。人工皮膚及び軟骨は、FDAによって承認されたエンジニアリングによって作製された組織の例である。しかしながら、現在のところ、人間の患者では使用が制限されている。
【0081】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物を、異なる細胞株及び組織に用いて試験を行い、適合性を検証し、細胞毒性及び細胞生存性の研究を実施した。官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用と、医療行為における消毒剤又は防腐剤の一般的な使用を比較する研究が行われた。この研究は、二酸化チタンのナノ粒子化化合物が病原性微生物に対して選択的であるだけでなく、それが接触する組織の増殖応答の増加を促進することを示している。組織の処理に適用されるこの誘導は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物に対して、種々の組織及び細胞株について評価された、瘢痕化(cicatrizing)及び/又は細胞再生の効果を付与する与えるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0082】
本発明のこの実施態様において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、当該化合物が1%までの有効量で見出される低比率で使用することができる。使用される濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される。
【0083】
図6のグラフにおいて、試験された細胞株、組織及び細胞生存度の結果が、増殖及び活性化を示すものとして示されている。
【0084】
E.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の製薬業界における使用:
薬剤は、ある疾患の治療、治癒、予防、若しくは診断、又は望ましくない生理学的プロセスの開始を阻害するために使用される化学物質であることが知られている。そして、薬剤の顕著な特徴及び特性は、体外的な方法で身体に適用される物質であり、それにより、その使用(特に医学的使用)の目的のために、細胞活動の差し迫った変化を引き起こすであろう。
【0085】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の有効性、生体選択性及び無害性評価から得られるものとして、同化合物は、異なる浸透性経路によって投与されることが可能であり、ウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア及び寄生虫に起因する感染プロセスの治療及び予防に有効である。同化合物が作用する複数の微生物により、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、抗感染症薬又は抗菌剤として薬理学的に分類されている。この分類は、抗ウイルス性、抗真菌性、抗マイコバクテリア性、抗胞子形成及び抗寄生虫性の作用を含むので、抗生物質のそれよりも重要であることに留意すべきである。
【0086】
薬剤、化合物、分子又は抗菌剤(官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物が含まれる。)がその効力に達する特定の作用は、「作用機序」(action mechanism)として知られており、観察可能で定量化可能な効果を引き起こす、生化学的プロセス、酵素反応、電荷の移動、膜を介したCa2+の移動又は触媒プロセスであり得る。
【0087】
現存する微生物剤(microbial agents)は、それらの間で非常に異なる一連の機序(メカニズム)を介して作用し、その標的は、攻撃中の細胞の異なる領域にある。微生物攻撃の様々な領域は、一般に、細胞壁、細胞膜、タンパク質合成及び核酸合成であると考えられる。
【0088】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の製薬業界における使用のために、致死量及び用量50(LD及びD50)を判定するための試験を行った。
図7のグラフにおいて、致死量50、最大中毒量及び最小有効量が評価されている。本発明のこの態様において、官能基化された二酸化チタン(TiO
2)のナノ粒子化合物を、同化合物の有効量が1%までの低比率で使用することができ、使用される濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される。
【0089】
F.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の微生物剤としての使用:
一般に、微生物物質は、発酵、生合成起源の化学化合物、又は化学合成から誘導された化学化合物であり、その効果は、動物、植物種又はヒトに存在するバクテリア、マイコプラズマ、真菌又は原生動物の数の減少、及び不活性表面である。
【0090】
抗菌剤は、次のように作用する微生物に応じて分類することができる。
-抗菌性:存在するバクテリアの量を抑制又は減少させる;
-抗真菌性(Antifungal/antimycotic):存在する真菌の量を抑制又は減少させる;
-抗ウイルス性:存在するウイルス粒子の量を抑制又は減少させる;
-抗マイコバクテリア性:存在するマイコバクテリアの量を抑制又は減少させる;
-抗寄生虫性:存在する寄生虫の量を抑制又は減少させる。
【0091】
本発明の別の態様において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物を微生物剤として使用し、前記ナノ粒子化合物を0.00025%~34.97%の有効量で水と混合する。
【0092】
官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用のために、最初に、VERO(アフリカのサルの腎臓)融合性(confluent)細胞、イヌの腎臓又はMDCK(Madin-Darby Canine Kidney)等の異なる微生物に感染した細胞株に対して有効性試験を行うと共に、毒性、細胞毒性、刺激、吸収、又は致死量の評価のためのOECDのガイドラインによって承認された方法論を用いる研究プロトコールに従って、必要な試験を小種で行った。
【0093】
ヒト細胞株を伴う予備的なインビトロ試験は、抗真菌性、抗菌性、抗ウイルス剤又は殺ウイルス性、マイコプラズマ殺菌性及び抗寄生虫性の活性を示した。例えば、肺カンジダ症と診断されてフルコナゾールで処理した場合、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物を摂取可能に用い、3日目に真菌を根絶させた。
【0094】
別のケースは、結核性及び非結核性マイコバクテリアの治療であり、ここで、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は単体(pure)であり、トピックコロイド製剤を用いて使用され、トリ結核菌(Mycobacterium avium)及びマイコバクテリウム膿瘍を根絶した。
図8のグラフにおいて、種々の微生物からの抗感染活性が示されている。
【0095】
ヘリコバクター・ピロリ又はエシェリキア(Escherichia coii)を、最初に懸濁形態の液体製剤で処理した胃腸症例では、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の濃度は80ppm~300ppmであり、証明された有効用量は、体重1kg当たり0.001ml~2.1mlであった。
【0096】
G.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の抗腫瘍剤としての使用:
抗腫瘍剤(antineoplastic)は、悪性腫瘍細胞の発生、増殖又は拡散を回避する物質である。これらの物質は、天然、合成又は半合成起源のものとすることができる。
【0097】
抗腫瘍薬からの作用機序は、細胞分裂の過程に影響を及ぼすことを特徴とする。RNAの複製及び転写を防止するDNAとの結合を形成するアルキレート剤が最も効果的である。それらは、細胞周期の任意の相に作用することができるが、細胞傷害性であり、他の組織における生殖器官及び癌に対する付随効果を引き起こす可能性がある。また、抗代謝薬(antimetabolic drugs)は、細胞周期の合成プロセス、具体的にはDNA及びRNA合成にも作用し、それらの分子に組み込まれることにより、正しい転写及び複製を阻害することができる。これらの薬物効果は、癌細胞や腫瘍を標的としないので、特異的ではなく、健全な細胞の遺伝物質に付随的な効果を与え、生体に不可逆的な損傷を与える。
【0098】
さらに、ナノテクノロジーは、医療分野での応用を有する発展途上の領域であり、癌に対するナノ粒子の設計及び合成の1つである、これらのイノベーションによってもたらされる利点は、薬剤に限らないが、それらがある種の癌又は癌性腫瘍に特異的に標的化するように操作され得ることである。上記のため、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、病原性微生物と戦うように設計されたバイオ技術製品であり、その中心的な効果は、遺伝物質に対してDNA又はRNAの遺伝子連鎖を断つことで行われる。以上は、抗腫瘍細胞障害性薬物に用いられるものと同じメカニズムであり、同バイオ技術製品は、このナノ粒子材料を癌細胞に特異的に標的化することができ、癌性腫瘍に直接適用することができるという利点を有する。
【0099】
他の試験は、ウィスター系ラットに誘導された脳腫瘍から抽出された組織に対するTUNEL染色法により行われ、疾患によりヒトに生成されたものに匹敵するラットに癌性腫瘍を生成する多型神経膠芽腫の動物モデルが用いられた。これらの試験において、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物は、微生物の除去と同様の作用機序に従って癌細胞からのDNA及びRNA分子を分解することによって分子レベルで作用することが観察され、その結果、悪性細胞を排除するだけでなく、悪性細胞の増殖を回避する。この作用は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物による、ネガティブな攻撃を特定して、当該攻撃により引き付けられる生物選択的能力によるものである。この後者は、互いに反対の攻撃を引き付けるという普遍的な原理の下にある。
【0100】
本発明のこの実施態様において、官能基化された二酸化チタン(TiO2)のナノ粒子化合物は、当該化合物が1%までの有効量である低比率で使用することができる。使用される濃度は、最終製品について指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される。
【0101】
H.官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の家畜、牧畜、養殖産業の抗菌剤としての使用:
抗生物質に対する微生物の一定の耐性は、病原体によって引き起こされる感染を制御する新しい分子を開発するように研究者を導いてきた。官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物を、当該産業における各種の市販食品に混合した種々の研究によれば、エビ、家禽、ヤギ、牛等の異なる動物種により摂取されると、主に初期段階における死亡率が約33%低下することが証明された。例えば、決定された量の添加されたナノ粒子材料と他の食品とを用いて、白エビの幼虫を用いて作製された比較バイオアッセイは、腸炎ビブリオに対する予防効果を有することを示し、14ml/kgの食品を添加することで、幼虫の死亡率は33%減少する。
【0102】
組織病理学的なポリメラーゼ連鎖反応試験、物理化学的な細菌学的及び毒物学的分析は、改変、二次的又は有害な反応が存在せず、また、消化器、呼吸器又は神経系に毒性効果がなかったことを証明した。
【0103】
図9のグラフでは、蓄積死亡率が示されており、T1-1.6は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の最小用量100%を有する食品であり、T2-1.12は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の有効量100%を有する食品であり、T3-0.56は、官能基化された二酸化チタンのナノ粒子化合物の過剰投与量100%を有する食品であり、T 4-C+は、ポジティブコントロールであり、T5-C-は、ネガティブコントロールである。
【0104】
以上の説明では、表面に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブ抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物、の種々の用途について言及してきたが、本発明の真の範囲から逸脱することがない限り、上記使用に多くの改変が可能であることが強調されるべきである。特許請求の範囲に記載された本発明の技術的特徴は、個別に、又は本発明の製造のための任意の任意の組み合わせで使用することができると共に、本明細書で記載されていない別の使用も可能である。従って、本発明に係る使用は単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、先行技術及び特許請求の範囲によって確立されるものでない限り、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法であって、
前記ナノ粒子化合物は、水源の汚染除去、又は種子の滅菌若しくは消毒のために生物農薬として及び作物の収穫後に使用される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、植物及び作物において使用され、葉面への浸透性の適用を介して、前記作物における真菌、バクテリア及び/又はウイルスの発生を減少させる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項3】
請求項
2に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物
の使用は、果実、緑色野菜、多年生植物、森林、マメ科植物作物、及びパパイヤ、カカオ、リンゴ、マンゴー、タマネギ、バニラ、アボカド、柑橘類等の果実栽培物、チリペッパー、トウモロコシ、コーヒー、ソルガム、アルファルファ、カボチャ、ジャガイモ、外国産ウッド、クルミの木、スギ、豆、ヒヨコマメ、並びにバラ、ラン、チューリップ、カーネーションの作物の
いずれかに対して行われる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、0.8%~30%の有効量で、直接又はエマルジョン若しくは溶液中で使用され、加えて、当該使用では、4%までの量のイオン性界面活性剤と、6%までの量の有機又は無機の葉接着剤とを添加するステップを有し、これにより、官能基化された二酸化チタンの前記ナノ粒子化合物を植物の葉に付着したままで残存させてその効果を延長させる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量0.8%~15%で存在する
ことを特徴とする使用方法。
【請求項6】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量70%~90%の範囲で油性製剤中に存在する
ことを特徴とする使用方法。
【請求項7】
請求項
4に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記有機の葉接着剤は、樹脂又はポリマーである
ことを特徴とする使用方法。
【請求項8】
請求項
4又は7に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記無機の葉接着剤は、アクリレートである
ことを特徴とする使用方法。
【請求項9】
表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法であって、
前記ナノ粒子化合物は、工業化された衛生用品、化粧品及び食品の調製において、ヒトのために並びに家畜及び養殖産業のために防腐剤として使用され、抗菌効果は、消毒処理によって規定される暴露時間に限定され
ず、
前記ナノ粒子化合物は、有効量0.02%~5%の範囲で水と混合される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項10】
表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法であって、
前記ナノ粒子化合物は、組織再生の官能物質又は活性化剤として使用され、前記化合物は、病原性微生物に対して選択的であることに加えて、それが接触する組織の増殖応答の増加を促進し、瘢痕化及び/又は細胞再生の効果を付与する
ことを特徴とする使用方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量1%までの範囲で存在し、使用されるその濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項12】
表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法であって、
前記ナノ粒子化合物は、製薬業界において、複数の浸透性経路を介して投与されるものとして用いられ、ウイルス、バクテリア、真菌、胞子、マイコバクテリア及び寄生虫に起因する感染プロセスの治療及び予防に有効である
ことを特徴とする使用方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量1%までの範囲で存在し、使用されるその濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項14】
表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法であって、
前記ナノ粒子化合物は、病原性微生物と戦う抗腫瘍剤として使用され、その中心的な効果は、遺伝物質に対してDNA又はRNAの遺伝子連鎖を断つことで行われる
ことを特徴とする使用方法。
【請求項15】
請求項
14に記載の修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法において、
前記ナノ粒子化合物は、有効量1%までの範囲で存在し、使用されるその濃度は、最終製品において指定された希釈に依存し、0.125%から0.625%%までの最終濃度が保証される
ことを特徴とする使用方法。
【請求項16】
表面及び孔に吸着された有機官能基、無機基並びに果実及び/又はハーブの抽出物で修飾された二酸化チタンのナノ粒子化合物の使用方法であって、
前記ナノ粒子化合物は、家畜、牧畜及び養殖産
業における各種の市販食品
に混合
されて用いられ
ることで、エビ、家禽、ヤギ、牛等の複数の動物
種の初期段階の死亡率を
33%以下まで低下させる
ことを特徴とする使用方法。
【国際調査報告】